JP2018091392A - 車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法 - Google Patents

車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法 Download PDF

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Katsuhiro Nakasaki
勝啓 中崎
義祐 西廣
Yoshimasa Nishihiro
義祐 西廣
太田 雄介
Yusuke Ota
雄介 太田
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Abstract

【課題】セーリングストップ走行中、解放状態の摩擦締結要素にて油の引き摺りが発生しても、流体伝動装置内の油の温度上昇を抑制すること。【解決手段】エンジン1と駆動輪7,7との間に配されるフォワードクラッチFWD/Cと、トルクコンバータ2と、を備える。トルクコンバータ2は、エンジン1とフォワードクラッチFWD/Cとの間に配され、エンジン1から動力が入力されるポンプインペラ2aと、フォワードクラッチFWD/Cに動力を伝達するタービンランナ2bとを有する。このエンジン車であって、セーリングストップ走行条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cを解放状態にすると共にエンジン1の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行する。セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2のポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの回転速度差を低減する。【選択図】図5

Description

本発明は、動力伝達経路に有する摩擦締結要素を解放状態にすると共に走行用駆動源の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行する車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法に関する。
従来、エンジンから駆動輪への動力伝達を遮断すると共にエンジンの回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行する際、動力伝達経路に有するフォワードクラッチとロックアップクラッチを共に解放状態とする装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−117274号公報
しかしながら、従来装置にあっては、セーリングストップ走行中、フォワードクラッチとロックアップクラッチを共に解放状態とした場合、フォワードクラッチ内に介在する油の引き摺りにより、駆動輪のトルクがフォワードクラッチを経由してトルクコンバータに伝達される。その結果、トルクコンバータにおいて回転速度差が発生し、トルクコンバータ内の油の温度が上昇する、という問題が発生する。
即ち、セーリングストップ走行中、トルクコンバータのタービンランナは、駆動輪からフォワードクラッチを経由して伝達される引き摺りトルクにより回転を続ける。しかし、ポンプインペラは、エンジンの回転速度がゼロに向かうのに伴って回転速度が低下する。よって、タービン回転速度がポンプインペラ回転速度を上回り、トルクコンバータの速度比が1.0を超えてしまう。トルクコンバータの速度比が1.0を超える領域に入ると、トルクコンバータ内での油の循環流れにしたがってステータが連れ回ることでステータ回転速度が上昇する。ステータ回転速度が上昇すると、ステータを支持する軸受け部で摩擦熱が発生し、トルクコンバータ内の油の温度が上昇する。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、セーリングストップ走行中、流体伝動装置内の油の温度上昇を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、走行用駆動源と駆動輪との間に配される摩擦締結要素と、流体伝動装置と、コントローラと、を備える。
流体伝動装置は、走行用駆動源と摩擦締結要素との間に配され、走行用駆動源から動力が入力される入力要素と、摩擦締結要素に動力を伝達する出力要素とを有する。
コントローラは、セーリングストップ走行条件が成立すると、摩擦締結要素を解放状態にすると共に走行用駆動源の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行するセーリングストップ制御を行う。このセーリングストップ走行中、流体伝動装置の入力要素と出力要素との回転速度差を低減する処理を実行する。
即ち、本発明者等は、摩擦締結要素においても回転速度差が発生しており発熱するが、流体伝動装置における発熱量よりも小さく、セーリングストップ走行中に低減すべき回転速度差は、摩擦締結要素よりも流体伝動装置であることを知見した。
この点に着目し、セーリングストップ走行中、流体伝動装置における回転速度差を低減することで、セーリングストップ走行中、解放状態の摩擦締結要素にて油の引き摺りが発生しても、流体伝動装置内の油の温度上昇を抑制することができる。
実施例1のセーリングストップ制御装置及び制御方法が適用された副変速機付き無段変速機が搭載されたエンジン車を示す全体構成図である。 実施例1の変速機コントローラの内部構成を示すブロック図である。 実施例1の変速機コントローラの記憶装置に格納されている変速マップの一例を示す変速マップ図である。 実施例1の副変速機付き無段変速機における油圧制御系構成を示すブロック図である。 実施例1の統合コントローラで実行されるセーリングストップ制御処理の流れを示すフローチャートである。 セーリングストップ走行中にフォワードクラッチFWD/C及びロックアップクラッチLU/Cを共に解放状態とした場合にトルクコンバータ内の油温上昇のメカニズムを示す説明図である。 トルクコンバータの速度比に対する回転速度(ポンプインペラ回転速度、タービン回転速度、ステータ回転速度)の関係を示す回転速度特性図である。 セーリング入り時にロックアップONする場合(1)におけるアクセルペダル・ブレーキペダル・ロックアップ制御・FWDクラッチ制御・フューエルカット・車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転の各特性を示すタイムチャートである。 セーリング入り時にロックアップONする場合(2) におけるアクセルペダル・ブレーキペダル・ロックアップ制御・FWDクラッチ制御・フューエルカット・車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転の各特性を示すタイムチャートである。 ロックアップONのままセーリング入りの場合におけるアクセルペダル・ブレーキペダル・ロックアップ制御・FWDクラッチ制御・フューエルカット・車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転の各特性を示すタイムチャートである。 ロックアップONのままセーリング抜けの場合におけるアクセルペダル・ブレーキペダル・ロックアップ制御・FWDクラッチ制御・フューエルカット・車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転の各特性を示すタイムチャートである。 ロックアップOFFでセーリング抜けの場合におけるアクセルペダル・ブレーキペダル・ロックアップ制御・FWDクラッチ制御・フューエルカット・車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1におけるセーリングストップ制御装置及び制御方法は、副変速機付き無段変速機を搭載したエンジン車に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「変速マップによる変速制御構成」、「油圧制御系構成」、「セーリングストップ制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1のセーリングストップ制御装置が適用された副変速機付き無段変速機が搭載されたエンジン車の全体構成を示し、図2は、変速機コントローラの内部構成を示す。以下、図1及び図2に基づき、全体システム構成を説明する。なお、以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転速度を当該変速機構の出力回転速度で割って得られる値である。また、「最ロー変速比」は当該変速機構の最大変速比を意味し、「最ハイ変速比」は当該変速機構の最小変速比を意味する。
図1に示すエンジン車は、走行駆動源としてエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ9を有するトルクコンバータ2、リダクションギア対3、副変速機付き無段変速機4(以下、「自動変速機4」という。)、ファイナルギア対5、デファレンシャルギア6を介して駆動輪7へと伝達される。ファイナルギア対5には、駐車時に自動変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。油圧源として、エンジン1の動力により駆動されるメカオイルポンプ10と、モータ51の動力により駆動される電動オイルポンプ50と、を備える。そして、メカオイルポンプ10又は電動オイルポンプ50からの吐出圧を調圧して自動変速機4の各部位に供給するコントロールバルブユニット11と、コントロールバルブユニット11を制御する変速機コントローラ12と、統合コントローラ13と、エンジンコントローラ14と、が設けられている。以下、各構成について説明する。
エンジン1は、エンジン始動用のスタータモータ15と、エンジン1による回転駆動により発電するオルタネータ16と、を有する。オルタネータ16により発電電力は、車載のバッテリ17の充電電力になり、バッテリ17は、電動オイルポンプ50を駆動するモータ51の電源になる。
トルクコンバータ2は、エンジン1と自動変速機4との間に配され、動力伝達機能やトルク変動減衰機能やトルク増大機能を発揮する3要素1段2相型の流体伝動装置(流体継手+ステータ)である。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ2aと、タービンランナ2bと、ステータ2cと、を有する。ポンプインペラ2aは、エンジン1から動力が入力される入力要素である。タービンランナ2bは、摩擦締結要素を有する自動変速機4が配された出力側に動力を伝達する出力要素である。ステータ2cは、互いに対向位置に配されたポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの間に介装され、ケース等の静止部材に対してワンウェイクラッチを介して設けられるトルク増大要素である。
ロックアップクラッチ9は、トルクコンバータ2のコンバータカバー内に配され、クラッチ締結によってトルクコンバータ2のポンプインペラ2aとタービンランナ2bを連結する。ロックアップクラッチ9の解放状態では、ポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの回転速度差を許容する。ロックアップクラッチ9の締結トルクを入力トルクより低くするスリップ締結状態では、クラッチ滑り分がポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの回転速度差になり、回転速度差が抑えられる。ロックアップクラッチ9の締結トルクを入力トルクより高くする完全締結状態では、ポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの間の回転速度差がゼロ(直結)になる。
自動変速機4は、ベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に対して直列に設けられる副変速機構30とを備える。ここで、「直列に設けられる」とは、動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギア列)を介して接続されていてもよい。
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21,22の間に掛け回されるプーリベルト23とを備えるベルト式無段変速機構である。プーリ21,22は、それぞれ固定円錐板と、この固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され、固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、この可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させるプライマリ油圧シリンダ23aとセカンダリ油圧シリンダ23bを備える。プライマリ油圧シリンダ23aとセカンダリ油圧シリンダ23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してプーリベルト23と各プーリ21,22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比が無段階に変化する。
副変速機構30は、前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニヨウ型遊星歯車機構31と、ラビニヨウ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)と、を備える。
副変速機構30の変速段は、各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると変更される。例えば、ローブレーキ32を締結し、ハイクラッチ33とリバースブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は前進1速段(以下、「低速モード」という。)となる。ハイクラッチ33を締結し、ローブレーキ32とリバースブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな前進2速段(以下、「高速モード」という。)となる。また、リバースブレーキ34を締結し、ローブレーキ32とハイクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進段となる。なお、副変速機構30のローブレーキ32とハイクラッチ33とリバースブレーキ34の全てを解放すれば、駆動輪7への駆動力伝達経路が遮断される。なお、前進走行時に締結されるローブレーキ32(低速モード)とハイクラッチ33(高速モード)を総称し、以下、「フォワードクラッチFWD/C」という。
変速機コントローラ12は、図2に示すように、CPU121と、RAM/ROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。この変速機コントローラ12は、バリエータ20の変速比を制御すると共に、副変速機構30の複数の摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)を架け替えることで所定の変速段を達成する。
入力インターフェース123には、アクセルペダルの踏み込み開度(以下、「アクセル開度APO」という。)を検出するアクセル開度センサ41の出力信号、自動変速機4の入力回転速度(=プライマリプーリ21の回転速度、以下、「プライマリ回転速度Npri」という。)を検出する回転速度センサ42の出力信号、車両の走行速度(以下、「車速VSP」という。)を検出する車速センサ43の出力信号、自動変速機4のライン圧(以下、「ライン圧PL」という。)を検出するライン圧センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号、ブレーキ状態を検出するブレーキスイッチ46の出力信号、などが入力される。
記憶装置122には、自動変速機4の変速制御プログラム、この変速制御プログラムで用いる変速マップ(図3)が格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されている変速制御プログラムを読み出して実行し、入力インターフェース123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を、出力インターフェース124を介してコントロールバルブユニット11に出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、その演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
コントロールバルブユニット11は、複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。コントロールバルブユニット11は、変速機コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り替える。詳しくは後述する。
統合コントローラ13は、変速機コントローラ12による変速機制御やエンジンコントローラ14によるエンジン制御などが適切に担保されるように、複数の車載コントローラの統合管理を行う。この統合コントローラ13は、変速機コントローラ12やエンジンコントローラ14などの車載コントローラとCAN通信線25を介して情報交換が可能に接続される。そして、アクセル足放しによるコースト走行中、駆動力伝達系を切り離すと共にエンジン1を停止するセーリングストップ制御などを行う。
エンジンコントローラ14は、エンジン1へのフューエルカットによるエンジン停止制御、スタータモータ15を用いてエンジン1を始動するエンジン始動制御、などを行う。このエンジンコントローラ14には、エンジン1の回転速度(以下、「エンジン回転速度Ne」という。)を検出するエンジン回転速度センサ47の出力信号、などが入力される。
[変速マップによる変速制御構成]
図3は、変速機コントローラの記憶装置に格納される変速マップの一例を示す。以下、図3に基づき、変速マップによる変速制御構成を説明する。
自動変速機4は、図3に示す変速マップ上で車速VSPとアクセル開度APOとに基づき目標プライマリ回転速度Npri*を決定することで変速制御が行われる。変速マップ上での運転点(VSP,APO)と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが自動変速機4の変速比(バリエータ20の変速比vRatioに、副変速機構30の変速比subRatioを掛けて得られる全体の変速比、以下、「スルー変速比Ratio」という。)を表している。
この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセル開度APO毎に変速線が設定されており、自動変速機4の変速はアクセル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。なお、図3には簡単のため、全負荷線F/L(アクセル開度APO=8/8のときの変速線)、パーシャル線P/L(アクセル開度APO=4/8のときの変速線)、コースト線C/L(アクセル開度APO=0のときの変速線)のみが示されている。
自動変速機4が低速モードのときには、自動変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる低速モード最ロー線LL/Lと、バリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる低速モード最ハイ線LH/Lと、の間で変速することができる。このとき、自動変速機4の動作点はA領域とB領域内を移動する。一方、自動変速機4が高速モードのときには、自動変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる高速モード最ロー線HL/Lと、バリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる高速モード最ハイ線HH/Lと、の間で変速することができる。このとき、自動変速機4の動作点はB領域とC領域内を移動する。
副変速機構30の各変速段の変速比は、低速モード最ハイ線LH/Lに対応する変速比(低速モード最ハイ変速比)が高速モード最ロー線HL/Lに対応する変速比(高速モード最ロー変速比)よりも小さくなるように設定される。これにより、低速モードでとり得る自動変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である低速モードレシオ範囲LREと、高速モードでとり得る自動変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である高速モードレシオ範囲HREと、が部分的に重複する。自動変速機4の動作点が高速モード最ロー線HL/Lと低速モード最ハイ線LH/Lで挟まれるB領域(重複領域)にあるときは、自動変速機4は低速モード、高速モードのいずれのモードも選択可能になっている。
変速機コントローラ12は、この変速マップを参照して、運転点(VSP,APO)に対応するスルー変速比Ratioを到達スルー変速比DRatioとして設定する。この到達スルー変速比DRatioは、当該運転状態でスルー変速比Ratioが最終的に到達すべき目標値である。そして、変速機コントローラ12は、スルー変速比Ratioを所望の応答特性で到達スルー変速比DRatioに追従させるための過渡的な目標値である目標スルー変速比tRatioを設定し、スルー変速比Ratioが目標スルー変速比tRatioに一致するようにバリエータ20及び副変速機構30を制御する。
変速マップ上には、副変速機構30のアップ変速を行うモード切替アップ変速線MU/L(副変速機構30の1→2アップ変速線)が、低速モード最ハイ線LH/L上に略重なるように設定されている。モード切替アップ変速線MU/Lに対応するスルー変速比Ratioは、低速モード最ハイ線LH/L(低速モード最ハイ変速比)に略等しい。また、変速マップ上には、副変速機構30のダウン変速を行うモード切替ダウン変速線MD/L(副変速機構30の2→1ダウン変速線)が、高速モード最ロー線HL/L上に略重なるように設定されている。モード切替ダウン変速線MD/Lに対応するスルー変速比Ratioは、高速モード最ロー変速比(高速モード最ロー線HL/L)に略等しい。
[油圧制御系構成]
図4は、実施例1の自動変速機4における油圧制御系の構成を示す。以下、図4に基づき、コントロールバルブユニット11を中心とする油圧制御系構成を説明する。
コントロールバルブユニット11の入力側には、メカオイルポンプ10又は電動オイルポンプ50が接続され、メカオイルポンプ10又は電動オイルポンプ50から吐出される作動油を油圧源とする。例えば、アクセル踏み込み操作によるドライブ状態で走行シーンなどであって、エンジン1の運転中(作動)においては、エンジン1により回転駆動されるメカオイルポンプ10を油圧源とする。例えば、アイドルストップ停車シーンやセーリングストップ走行シーンなどであって、エンジン1の停止中(非作動)においては、バッテリ17を電源としてモータ51を回転駆動する電動オイルポンプ50を油圧源とする。なお、エンジン1の停止中は、エンジン1を駆動源とするメカオイルポンプ10もオルタネータ16も非作動になる。
コントロールバルブユニット11は、ライン圧レギュレータ弁、ローブレーキ圧制御弁、ハイクラッチ圧制御弁、リバースブレーキ圧制御弁、プライマリプーリ圧制御弁、セカンダリプーリ圧制御弁、トルクコンバータ圧制御弁、ロックアップ制御弁などを有する。
コントロールバルブユニット11の出力側には、摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)と、プーリ(プライマリプーリ21、セカンダリプーリ22)と、トルクコンバータ2と、クーラ18と、が接続される。
摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)への油圧は、ローブレーキ圧制御弁、ハイクラッチ圧制御弁、リバースブレーキ圧制御弁によりそれぞれ調圧される。これらの油圧制御弁は、油圧源からの吐出油をライン圧PLに調圧するライン圧レギュレータ弁からのライン圧PLを元圧とする。
プーリ(プライマリプーリ21、セカンダリプーリ22)への油圧は、プライマリプーリ圧制御弁、セカンダリプーリ圧制御弁によりそれぞれ調圧される。これらの油圧制御弁も、油圧源からの吐出油をライン圧PLに調圧するライン圧レギュレータ弁からのライン圧PLを元圧とする。
トルクコンバータ2へのトルクコンバータ圧は、油圧源からの吐出油をライン圧PLに調圧するライン圧レギュレータ弁からのドレーン油に基づきトルクコンバータ圧制御弁により調圧される。ロックアップクラッチ9は、トルクコンバータ2のアプライ室とリリース室の差圧制御により作動する。このアプライ室とリリース室の差圧は、トルクコンバータ圧制御弁からのトルクコンバータ圧を元圧とするロックアップ制御弁により作り出される。例えば、アプライ室とリリース室を共にトルクコンバータ圧とするとロックアップクラッチ9は解放状態になり、アプライ室をトルクコンバータ圧としリリース室をトルクコンバータ圧より低圧にするとロックアップクラッチ9は締結状態になる。
クーラ18へは、コントロールバルブユニット11からのドレーン油が排出されると共に、トルクコンバータ2からのドレーン油が排出される。クーラ18では、コントロールバルブユニット11とトルクコンバータ2から排出されてきたドレーン油の油温を熱交換により冷却する。クーラ18からの冷却油は、冷却油供給油路19を経由してプーリベルト23や摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)に送られる。そして、冷却油供給油路19から送られてきた冷却油によりベルト潤滑やクラッチ潤滑(=摩擦締結要素潤滑)を行い、オイルパンに戻される。
即ち、クーラ18の下流位置に冷却油供給油路19を介して摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)が配されるのに対し、クーラ18の上流位置にトルクコンバータ2に配される構成である。このように、摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)は、クーラ18からの冷却油により潤滑/冷却される構成であるのに対し、トルクコンバータ2は、クーラ18からの冷却油による潤滑/冷却を受けることがない構成である。
[セーリングストップ制御処理構成]
図5は、実施例1の統合コントローラ13で実行されるセーリングストップ制御処理構成の流れを示す。以下、セーリングストップ制御処理構成をあらわす図5の各ステップについて説明する。なお、アクセル足放し操作によりエンジン1から駆動輪7,7までの駆動系を駆動伝達状態のままとして惰性走行することを“コースト走行”という。一方、コースト走行中、セーリングストップ入り条件の成立に基づいてエンジン1から駆動輪7,7までの駆動系を駆動伝達遮断状態とし、エンジン1を停止(回転速度ゼロ)して惰性走行することを“セーリングストップ走行”という。
ステップS1では、エンジン1を走行駆動源とし、フォワードクラッチFWD/C(ローブレーキ32又はハイクラッチ33)を締結してのコースト走行中、ロックアップクラッチ9を解放状態にしているか否かを判断する。YES(ロックアップOFF)の場合はステップS2へ進み、NO(ロックアップON)の場合はステップS7へ進む。
ここで、ロックアップクラッチ9の締結/解放の判断は、ロックアップクラッチ9に対して締結制御指令が出力されているか、解放制御指令が出力されているかを監視したり、ポンプインペラ回転速度(=エンジン回転速度)とタービン回転速度を監視したりすることで判断する。
ステップS2では、ステップS1でのロックアップOFFであるとの判断に続き、ロックアップクラッチ9を解放状態としているコースト走行中、セーリングストップ入り条件が成立したか否かを判断する。YES(セーリングストップ入り条件成立)の場合はステップS3へ進み、NO(セーリングストップ入り条件不成立)の場合はステップS2の判断を繰り返す。
ここで、「セーリングストップ入り条件」とは、
(a)エンジン駆動による前進走行中(レンジ位置信号や車速信号などにより判断)
(b)ブレーキOFF(ブレーキスイッチ信号により判断)
(c)アクセルOFF(アクセル開度=0のアクセル開度信号により判断)
をいい、上記(a)〜(c)の条件を全て満足する状態のままで所定のディレー時間が経過すると、セーリングストップ入り条件が成立したとする。即ち、運転者が加速や停止を意図しておらず、そのまま惰性により走行することを検知する条件に設定している。
ステップS3では、ステップS2でのセーリングストップ入り条件成立であるとの判断に続き、締結状態であるフォワードクラッチFWD/C(ローブレーキ32又はハイクラッチ33)へ解放指令を出力し、ステップS4へ進む。
ここで、「フォワードクラッチFWD/Cの解放状態」は、フォワードクラッチFWD/Cへの油圧指令をゼロまで低下させることで行われる。なお、セーリングストップ入り条件が成立すると、電動オイルポンプ50のモータ51を起動し、セーリングストップ走行中の油圧源を確保する。
ステップS4では、ステップS3でのフォワードクラッチFWD/Cへの解放指令に続き、エンジン1への供給燃料を遮断するフューエルカットをしているか否かを判断する。YES(フューエルカットをしている)の場合はステップS5へ進み、NO(フューエルカットをしていない)の場合はステップS4の判断を繰り返す。
ここで、フューエルカットをしているかどうかの判断は、エンジンコントローラ14からフューエルカット指令が出力されているか否かにより判断し、フューエルカットをしていないと判断されると、エンジン1に対してフューエルカット指令を出力する。
ステップS5では、ステップS4でのフューエルカットをしているとの判断に続き、エンジン1のエンジン回転速度が規定回転速度以下、かつ、フォワードクラッチFWD/Cの締結容量が許容閾値以下であるか否かを判断する。YES(エンジン回転速度≦規定回転速度、かつ、クラッチ締結容量≦許容閾値)の場合はステップS6へ進み、NO(エンジン回転速度>規定回転速度、又は、クラッチ締結容量>許容閾値)の場合はステップS5の判断を繰り返す。
ここで、エンジン1のエンジン回転速度情報は、エンジン回転速度センサ47により取得する。「規定回転速度」は、エンジン1の再始動性が確保される所定回転速度以下の領域の値(例えば、上限値やゼロなど)に設定される。なお、好ましくは、エンジン1の再始動性が最も向上する「規定回転速度=0(ゼロ)」の値に設定される。
フォワードクラッチFWD/Cの締結容量情報は、締結指令値やクラッチ油圧センサ値により取得する。また、クラッチ入力回転速度とクラッチ出力回転速度との間で発生する回転速度差(クラッチ滑り速度)により推定しても良い。「許容閾値」としては、ロックアップクラッチ9の締結ショックが運転者にとって違和感とならない値に設定される。
ステップS6では、ステップS5でのエンジン回転速度≦規定回転速度、かつ、クラッチ締結容量≦許容閾値であるとの判断に続き、ロックアップクラッチ9へ締結指令を出力することで完全締結状態とし、ステップS11へ進む。
ステップS7では、ステップS1でのロックアップONであるとの判断に続き、エンジン1への供給燃料を遮断するフューエルカットをしているか否かを判断する。YES(フューエルカットをしている)の場合はステップS8へ進み、NO(フューエルカットをしていない)の場合はステップS7の判断を繰り返す。
ステップS8では、ステップS7でのフューエルカットをしているとの判断に続き、ロックアップクラッチ9を完全締結状態としているコースト走行中、セーリングストップ入り条件が成立したか否かを判断する。YES(セーリングストップ入り条件成立)の場合はステップS9へ進み、NO(セーリングストップ入り条件不成立)の場合はステップS8の判断を繰り返す。なお、セーリングストップ入り条件は、ステップS2と同様である。
ステップS9では、ステップS8でのセーリングストップ入り条件成立であるとの判断に続き、ステップS3と同様に、締結状態であるフォワードクラッチFWD/C(ローブレーキ32又はハイクラッチ33)へ解放指令を出力し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS9でのフォワードクラッチFWD/Cへの解放指令に続き、ロックアップクラッチ9が完全締結状態のままでエンジン1を停止し、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS6でのロックアップON、或いは、ステップS10でのエンジン停止、或いは、ステップS12でのセーリングストップ抜け条件不成立であるとの判断に続き、アクセルOFF&ブレーキOFFによるセーリングストップ走行を実行し、ステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11でのセーリングストップ走行に続き、セーリングストップ走行中、セーリングストップ抜け条件が成立したか否かを判断する。YES(セーリングストップ抜け条件成立)の場合はステップS13へ進み、NO(セーリングストップ抜け条件不成立)の場合はステップS11へ戻る。
ここで、「セーリングストップ抜け条件」とは、アクセルON(アクセル開度>0のアクセル開度信号により判断)、又は、ブレーキON(ブレーキスイッチ信号により判断)をいう。即ち、アクセル足放しからアクセル踏み込みに移行する加速要求が介入すると、セーリングストップ抜け条件成立とする。又、ブレーキ足放しからブレーキ踏み込みに移行する減速要求が介入すると、セーリングストップ抜け条件成立とする。
ステップS13では、ステップS12でのセーリングストップ抜け条件成立との判断に続き、セーリングストップ抜け条件が成立するときに運転者による加速要求が大きいか否かを判断する。YES(加速要求大)の場合はステップS14へ進み、NO(加速要求小、又は、減速要求)の場合はステップS15へ進む。
ここで、「運転者による加速要求」は、アクセル踏み込み量(アクセル開度APO)やアクセル踏み込み速度(アクセル開度APOの変化速度)の大きさにより判断する。そして、加速要求によりセーリングストップ抜け条件が成立するときであって、例えば、アクセル踏み込み量やアクセル踏み込み速度の大きさが所定の閾値より大きいとき、加速要求が大きいと判断する。
ステップS14では、ステップS13での加速要求大であるとの判断に基づき、セーリングストップ中に完全締結状態としているロックアップクラッチ9を解放状態にし、ステップS15へ進む。
ステップS15では、ステップS13での加速要求小、又は、減速要求であるとの判断、或いは、ステップS14でのロックアップOFFに続き、スタータモータ15により停止状態のエンジン1を再始動し、ステップS16へ進む。
ステップS16では、ステップS15でのエンジン再始動に続き、解放状態のフォワードクラッチFWD/Cの入力回転速度と出力回転速度が回転同期したか否かを判断する。YES(回転同期)の場合はステップS17へ進み、NO(回転非同期)の場合はステップS16での判断を繰り返す。ここで、フォワードクラッチFWD/Cの入力回転速度と出力回転速度の回転速度差が同期判定閾値以下になると、回転同期状態になったと判断する。
ステップS17では、ステップS16での回転同期であるとの判断に続き、ステップS3又はステップS9にて解放状態としたフォワードクラッチFWD/Cを再締結し、ステップS18へ進む。
ステップS18では、ステップS17でのフォワードクラッチFWD/Cの再締結に続き、運転者によるアクセル踏み込み操作やブレーキ踏み込み操作による通常走行へ移行し、エンドへ進む。
次に、作用を説明する。
実施例1の作用を、「セーリングストップ制御処理作用」、「セーリングストップ制御の背景技術と課題」、「セーリング入り作用」、「セーリング抜け作用」、「セーリングストップ制御の特徴作用」に分けて説明する。
[セーリングストップ制御処理作用]
以下、図5に示すフローチャートに基づいて、セーリングストップ制御処理作用を説明する。
まず、ロックアップクラッチ9を解放状態とし、フォワードクラッチFWD/Cを締結状態としてのコースト走行中、セーリングストップ入り条件が成立すると、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む。ステップS3では、締結状態のフォワードクラッチFWD/Cへ解放指令が出力される。フォワードクラッチFWD/Cへ解放指令が出力された後、エンジン1を停止するフューエルカット条件が成立し、かつ、ロックアップON条件が成立すると、ステップS3からステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS11へ進む。ステップS6では、ロックアップクラッチ9が完全締結状態とされ、ステップS11では、セーリングストップ走行が開始される。
一方、ロックアップクラッチ9とフォワードクラッチFWD/Cが締結状態によるコースト走行中、フューエルカット条件とセーリングストップ入り条件が成立すると、ステップS1→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む。ステップS9では、締結状態のフォワードクラッチFWD/Cへ解放指令が出力される。エンジン1が停止すると、ステップS9からステップS10→ステップS11へ進み、ステップS12では、セーリングストップ走行が開始される。
このように、セーリングストップ走行が開始される場合は、コースト走行中にロックアップクラッチ9が解放状態であるか、ロックアップクラッチ9が完全締結状態であるかによって処理を異ならせている。即ち、コースト走行中にロックアップクラッチ9が解放状態であるときは、セーリングストップ入り条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cへ解放指令を出力し、ロックアップON条件が成立するのを待つ。そして、ロックアップON条件が成立すると、解放されているロックアップクラッチ9を完全締結状態にしてセーリングストップ走行を開始する。一方、コースト走行中にロックアップクラッチ9が完全締結状態であるときは、セーリングストップ入り条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cへ解放指令を出力する。そして、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままで、エンジン1を停止させてセーリングストップ走行を開始する。
セーリングストップ走行中、セーリングストップ抜け条件が成立し、かつ、加速要求が大であると、ステップS11からステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15へと進む。ステップS14では、完全締結状態のロックアップクラッチ9を解放状態とし、ステップS15では、セーリングストップ走行中に停止していたエンジン1が再始動される。その後、フォワードクラッチFWD/Cが回転同期すると、ステップS15からステップS16→ステップS17へと進み、ステップS17では、セーリングストップ走行中に解放状態とされたフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。そして、ステップS18→エンドへと進み、セーリングストップ走行から通常走行へと走行モードが移行する。
一方、セーリングストップ走行中、セーリングストップ抜け条件が成立し、かつ、加速要求が小、又は、減速要求であると、ステップS11からステップS12→ステップS13→ステップS15へと進む。ステップS15では、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままで、セーリングストップ走行中に停止していたエンジン1が再始動される。その後、フォワードクラッチFWD/Cが回転同期すると、ステップS15からステップS16→ステップS17へと進み、ステップS17では、セーリングストップ走行中に解放状態とされたフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。そして、ステップS18→エンドへと進み、セーリングストップ走行から通常走行へと走行モードが移行する。
このように、セーリングストップ走行から抜けて通常走行へ移行するときは、セーリングストップ抜け条件が、加速要求が大で成立したのか、加速要求が小、又は、減速要求で成立したのかによって処理を異ならせている。即ち、加速要求が大でセーリングストップ抜け条件が成立すると、完全締結状態のロックアップクラッチ9を解放状態とし、エンジン再始動とフォワードクラッチFWD/Cの再締結を行うようにしている。これに対し、加速要求が小、又は、減速要求でセーリングストップ抜け条件が成立すると、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままで、エンジン再始動とフォワードクラッチFWD/Cの再締結を行うようにしている。
[セーリングストップ制御の背景技術と課題]
特開2013−117274号公報などに記載されている比較例の場合、セーリングストップ走行中、フォワードクラッチFWD/CとロックアップクラッチLU/Cとを共に解放状態にし、駆動系の動力伝達を遮断するようにしている。このように、セーリングストップ走行中、フォワードクラッチFWD/CとロックアップクラッチLU/Cとを共に解放状態とする理由としては、次のような理由がある。
セーリングストップ制御に際して、ロックアップクラッチLU/Cを解放するのみでは、トルクコンバータ内の流体(油)により駆動輪からのトルクがエンジンに入力され、エンジンが引き摺り負荷となりセーリングストップ走行による航続距離が低下する。これを防止するように、フォワードクラッチFWD/Cを解放状態にする。
ここで、セーリングストップ制御を終了する際は、エンジンから駆動輪へ動力を伝達するように、フォワードクラッチFWD/Cを締結する必要があり、差回転状態にあるフォワードクラッチFWD/Cを締結すると締結ショックが発生する。なお、締結ショックを防止するようにゆっくり締結すると、駆動力の応答遅れが発生する。よつて、フォワードクラッチFWD/Cの締結ショックをトルクコンバータが持つトルク変動減衰機能を発揮させて緩和するように、セーリングストップ制御中、ロックアップクラッチLU/Cを解放状態とする。
このような点から、セーリングストップ制御中は、フォワードクラッチFWD/C及びロックアップクラッチLU/Cを共に解放状態にしている。
しかしながら、比較例において、セーリングストップ走行中、フォワードクラッチFWD/C及びロックアップクラッチLU/Cを共に解放状態とした場合、フォワードクラッチFWD/C内に介在する油の引き摺りにより、駆動輪のトルクがフォワードクラッチFWD/Cを経由してトルクコンバータに伝達される。その結果、トルクコンバータにおいてタービン回転速度とポンプインペラ回転速度との間に回転速度差が発生し、トルクコンバータ内の油の温度が上昇する。以下、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ内の油温が上昇する詳しいメカニズムを、図6及び図7に基づいて説明する。
先ず、セーリングストップ走行中、フォワードクラッチFWD/Cに対し解放指令を出力しても引き摺りトルクを発生する理由を述べる。フォワードクラッチFWD/Cは、複数枚のクラッチプレート間のクリアランスを狭くした多板摩擦クラッチ構造であるため、クラッチ締結油圧を抜いて解放しようとしてもクラッチプレート間に油が残留する。この残留する油によりクリアランスを埋める油膜が形成され、フォワードクラッチFWD/Cのクラッチプレート間において、油膜を介在する伝達トルクである引き摺りトルクが発生する。
このように、フォワードクラッチFWD/Cに引き摺りトルクが発生するため、図6に示すように、セーリングストップ走行中、トルクコンバータのタービンランナは、駆動輪からフォワードクラッチFWD/Cを経由して伝達される引き摺りトルクにより回転を続ける。一方、トルクコンバータのポンプインペラは、エンジンの回転速度がゼロに向かうのに伴って回転速度が低下し、最終的には停止する。よって、セーリングストップ走行中、タービン回転速度がポンプインペラ回転速度を上回ることになり、トルクコンバータの速度比(=タービン回転速度/ポンプインペラ回転速度)が1.0を超えてしまう。
トルクコンバータの速度比が1.0を超える領域に入ると、トルクコンバータのタービンランナで遠心力により油が外径方向に移動し、この油の移動によりトルクコンバータ内にタービンランナからポンプインペラに向かう油の循環流れが発生する。トルクコンバータの速度比が1.0を超える領域のときのステータは、ワンウェイクラッチ(OWC)によるセルフロックが外れた状態であり、油の循環流れがあると循環流れにしたがって自由に連れ回る。このためにステータが回転し、ステータ回転速度が上昇すると、ステータを支持するワンウェイクラッチの両側位置に介装されたスラストベアリングが摩擦熱を持ち、このベアリング摩擦熱によりトルクコンバータ内の油の温度が上昇する。
ちなみに、トルクコンバータの速度比に対するステータ回転速度の関係は、図7に示すようになる。即ち、速度比が低速度比領域ではワンウェイクラッチによるセルフロックによりステータ回転速度=0(静止)しているが、速度比が低速度比領域を超えると、速度比が上昇するのにしたがってステータ回転速度が上昇する。つまり、速度比が1.0のときのステータ回転速度は、そのときのタービン回転速度やポンプインペラ回転速度と一致するが、速度比が1.0を超えると、ステータ回転速度だけがタービン回転速度から乖離して急上昇する特性を示す。
ここで、セーリングストップ走行中を考えると、タービン回転速度だけが上昇し、ポンプインペラ回転速度(=入力回転速度)が停止するので、トルクコンバータの速度比は1.0を遙かに超える領域まで高くなる。このため、図7の矢印Dの枠内特性に示すように、ステータ回転速度が高回転速度域まで上昇し、ステータ回転速度の上昇に伴ってベアリング発熱量が高くなることで、トルクコンバータ内の油温上昇を抑える発熱対策を施す必要がある。例えば、発熱対策を施すことなくセーリングストップ走行を長時間継続させてしまうと、トルクコンバータ内の油温上昇によりトルクコンバータの構成部品が熱損傷するおそれがある。
[セーリング入り作用」
コースト走行中、セーリングストップ入り条件が成立すると、上記課題を解決するセーリングストップ走行を実現する制御を行う必要がある。以下、図8〜図10に基づいてセーリング入り作用を説明する。なお、セーリング入り作用については、図8に示すセーリング入り時にロックアップONする場合(1)、図9に示すセーリング入り時にロックアップONする場合(2)、図10に示すロックアップONのままセーリング入りの場合、に分けて説明する。
(セーリング入り時にロックアップONする場合(1):図8)
先ず、セーリング入り時にロックアップONする場合(1)とは、図5のステップS5にてロックアップON条件を判断するとき、エンジン回転速度の判断閾値である規定回転速度を、エンジン1の再始動性を向上する下限値(ゼロ)に設定する場合のことをいう。
通常走行中に時刻t1にてアクセル足放し操作を行うとコースト走行に移行し、車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転が低下を開始する。時刻t1〜時刻t2の間では、ロックアップクラッチ9が解放状態であることで、エンジン回転速度の低下がタービン回転速度の低下より大きくなる。このため、時刻t1まではエンジン回転速度>タービン回転速度の関係であるが、途中からはエンジン回転速度<タービン回転速度の関係に切り替わる。また、フォワードクラッチFWD/Cが締結状態であることで、クラッチ入力回転速度とクラッチ出力回転速度は同じ回転速度で低下する。
アクセルOFFかつブレーキOFFの状態のままで時刻t1からの経過時間が所定のディレー時間になる時刻t2にてセーリングストップ入り条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cが解放されると共にエンジン1がフェールカットされる。時刻t2〜時刻t3の間では、フォワードクラッチFWD/Cが解放されることで、クラッチ出力回転速度の低下勾配に対してクラッチ入力回転速度の低下勾配が大きくなる。また、フェールカットされることで、エンジン回転速度がゼロ(エンジン停止)に向かって低下し、タービン回転速度がタービン回転速度>エンジン回転速度の関係を保って低下する。
時刻t3にてエンジン回転速度≦0、且つ、FWDクラッチ容量が許容閾値以下というロックアップON条件が成立すると、ロックアップクラッチ9が完全締結状態とされる。ロックアップクラッチ9が完全締結状態とされると、図8の矢印Eの一点鎖線で囲まれるエンジン回転・タービン回転特性に示すように、タービン回転速度がエンジン回転速度(=ポンプインペラ回転速度)に向かって低下してゼロになる。タービン回転速度がゼロになるのに伴い、フォワードクラッチFWD/Cの入力回転速度もゼロになる。
このように、時刻t1の直後から時刻t3までは、トルクコンバータ2の速度比が1.0を超えていたのが、時刻t3にてロックアップクラッチ9が完全締結状態とされることで、トルクコンバータ2のポンプインペラ2aの回転が停止する。ポンプインペラ2aの回転停止により、トルクコンバータ2での循環流れも無くなり、ステータ2cの回転も停止する。この結果、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2内の油の温度が上昇するのが抑えられる。
(セーリング入り時にロックアップONする場合(2):図9)
先ず、セーリング入り時にロックアップONする場合(2)とは、図5のステップS5にてロックアップON条件を判断するとき、エンジン回転速度の判断閾値である規定回転速度を、エンジン1の再始動性を確保できる上限値にする場合である。
通常走行中に時刻t1にてアクセル足放し操作を行うとコースト走行に移行し、車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転が低下を開始する。時刻t1〜時刻t2の間では、ロックアップクラッチ9が解放状態であることで、エンジン回転速度の低下がタービン回転速度の低下より大きくなる。このため、時刻t1まではエンジン回転速度>タービン回転速度の関係であるが、途中からはエンジン回転速度<タービン回転速度の関係に切り替わる。また、フォワードクラッチFWD/Cが締結状態であることで、クラッチ入力回転速度とクラッチ出力回転速度は同じ回転速度で低下する。
アクセルOFFかつブレーキOFFの状態のままで時刻t1からの経過時間が所定のディレー時間になる時刻t2にてセーリングストップ入り条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cが解放されると共にエンジン1がフェールカットされる。時刻t2〜時刻t3の間では、フォワードクラッチFWD/Cが解放されることで、クラッチ出力回転速度の低下勾配に対してクラッチ入力回転速度の低下勾配が大きくなる。また、フェールカットされることで、エンジン回転速度がゼロ(エンジン停止)に向かって低下し、タービン回転速度がタービン回転速度>エンジン回転速度の関係を保って低下する。
時刻t3にてエンジン回転速度≦上限値、且つ、FWDクラッチ容量が許容閾値以下というロックアップON条件が成立すると、ロックアップクラッチ9が完全締結状態とされる。ロックアップクラッチ9が完全締結状態とされると、図9の矢印Fの一点鎖線で囲まれるエンジン回転・タービン回転特性に示すように、タービン回転速度がエンジン回転速度(=ポンプインペラ回転速度)に向かって低下してゼロになる。このタービン回転速度がゼロになるのに伴い、フォワードクラッチFWD/Cの入力回転速度もゼロになる。
このように、セーリング入り時にロックアップONする場合(1)と同様に、時刻t3にてロックアップクラッチ9が完全締結状態とされることでステータ2cの回転が停止し、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2内の油の温度が上昇するのが抑えられる。
なお、セーリング入り時にロックアップONする場合(1)との相違点は、エンジン回転速度のロックアップON判断閾値をゼロではない上限値にしているため、ロックアップONによるセーリングストップ走行の開始タイミングが早期になる。
(ロックアップONのままセーリング入りの場合のシーン:図10)
時刻t1にてアクセル足放し操作を行うと、車速・エンジン回転・タービン回転・クラッチ出力回転・クラッチ入力回転が低下を開始する。時刻t1〜時刻t2の間では、ロックアップクラッチ9が完全締結状態であるため、時刻t1からのエンジン回転速度とタービン回転速度は同じ回転速度で低下する。また、フォワードクラッチFWD/Cが締結状態であることで、クラッチ入力回転速度とクラッチ出力回転速度は同じ回転速度で低下する。
アクセルOFFかつブレーキOFFの状態のままで時刻t1からの経過時間が所定のディレー時間になる時刻t2にてセーリングストップ入り条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cが解放される。時刻t2にてフォワードクラッチFWD/Cが解放されると、クラッチ出力回転速度の低下勾配に対してクラッチ入力回転速度の低下勾配が大きくなる。フェールカットされることで、エンジン回転速度がゼロ(エンジン停止)に向かって低下する。そして、ロックアップクラッチ9が完全締結状態であるため、タービン回転速度もエンジン回転速度に伴って低下する。
時刻t3にてエンジン回転速度がゼロ(エンジン停止)になると、時刻t3以降は図10の矢印Gの一点鎖線で囲まれるエンジン回転・タービン回転特性に示すように、エンジン回転速度(=ポンプインペラ回転速度)及びタービン回転速度が停止を維持する。このタービン回転速度がゼロになるのに伴い、フォワードクラッチFWD/Cの入力回転速度もゼロになる。
このように、トルクコンバータ2の速度比を1.0に保っているロックアップクラッチ9の完全締結状態でセーリングストップ入り条件が成立するときは、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままでフォワードクラッチFWD/Cを解放する。よって、時刻t3以降は、トルクコンバータ2のポンプインペラ2a、タービンランナ2b、ステータ2cの回転が停止する。この結果、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2内の油の温度が上昇するのが抑えられる。
[セーリング抜け作用]
セーリングストップ走行中、セーリングストップ抜け条件が成立すると、通常走行に復帰する制御を行う必要がある。以下、図11及び図12に基づいてセーリング抜け作用を説明する。なお、セーリング抜け作用については、図11に示すロックアップONのままセーリング抜けの場合、図12に示すロックアップOFFでセーリング抜けの場合、に分けて説明する。
(ロックアップONのままセーリング抜けの場合:図11)
セーリングストップ走行中、例えば、時刻t4にてアクセルペダルをゆっくり踏み込む操作を行うと、セーリングストップ抜け条件が成立すると共に加速要求が小さいと判断される。よって、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままで、時刻t4からエンジン1の再始動が開始され、エンジン回転速度とタービン回転速度が、時刻t5に向かって上昇する。そして、タービン回転速度の上昇に伴ってフォワードクラッチFWD/Cのクラッチ入力回転速度も、時刻t5に向かって上昇する。
フォワードクラッチFWD/Cのクラッチ入力回転速度が上昇して時刻t5に到達し、クラッチ出力回転速度との間で回転同期状態であると判断されると、時刻t5にてフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。そして、フォワードクラッチFWD/Cの再締結が完了する時刻t5直後から通常走行に復帰する。
このように、セーリングストップ走行中、運転者の小さな加速要求によりセーリングストップ抜け条件が成立するときは、ロックアップクラッチ9の完全締結状態を維持したままとされる。そして、ロックアップクラッチ9が完全締結状態でエンジン1の再始動が開始され、その後、回転同期状態になるとフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。この結果、セーリングストップ抜け条件の成立時刻t4からフォワードクラッチFWD/Cが再締結時刻t5までに要する時間が短くなり、セーリングストップ走行中、運転者の加速要求に対して応答良くアクセルONによる通常走行に復帰することができる。
(ロックアップOFFでセーリング抜けの場合:図12)
セーリングストップ走行中、時刻t4にてアクセルペダルを素早く大きく踏み込む操作を行うと、セーリングストップ抜け条件が成立すると共に加速要求が大きいと判断される。よって、時刻t4になると、完全締結状態のロックアップクラッチ9に解放指令が出力されると共に、エンジン1の再始動が開始される。よって、ロックアップクラッチ9が解放状態であることで、エンジン回転速度の上昇特性に対し、トルクコンバータ2での滑りにより応答遅れを持ちながら時刻t5に向かってタービン回転速度が緩やかに上昇する。そして、タービン回転速度の上昇に伴ってフォワードクラッチFWD/Cのクラッチ入力回転速度も、時刻t5に向かって緩やかに上昇する。
フォワードクラッチFWD/Cのクラッチ入力回転速度が上昇して時刻t5に到達し、クラッチ出力回転速度との間で回転同期状態であると判断されると、時刻t5にてフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。そして、フォワードクラッチFWD/Cの再締結が完了する時刻t5直後から通常走行に復帰する。
このように、セーリングストップ走行中、運転者の大きな加速要求によりセーリングストップ抜け条件が成立するときは、完全締結状態のロックアップクラッチ9が解放状態とされる。そして、ロックアップクラッチ9が解放状態でエンジン1の再始動が開始され、その後、回転同期状態になるとフォワードクラッチFWD/Cが再締結される。この結果、フォワードクラッチFWD/Cを再締結するとき、ロックアップクラッチ9のトルク変動吸収作用と回転同期作用により、フォワードクラッチFWD/Cの再締結ショックを確実に防止することができる。
[セーリングストップ制御の特徴作用]
実施例1では、セーリングストップ走行条件が成立すると、フォワードクラッチFWD/Cを解放状態にすると共にエンジン1の回転速度をゼロとする。このセーリングストップ走行中、トルクコンバータ2のポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの回転速度差を低減する。
即ち、本発明者等は、セーリングストップ走行中、解放状態のフォワードクラッチFWD/Cにおいても回転速度差が発生しており発熱するが、トルクコンバータ2における発熱量よりも小さい。つまり、セーリングストップ走行中に低減すべき回転速度差は、フォワードクラッチFWD/Cよりもトルクコンバータ2であることを知見した。
この点に着目し、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2における回転速度差を低減するようにした。この結果、セーリングストップ走行中、解放状態のフォワードクラッチFWD/Cにて油の引き摺りが発生しても、トルクコンバータ2内の油の温度上昇を抑制することができる。
ここで、“トルクコンバータ2における回転速度差を低減する”とは、トルクコンバータ2の速度比を1.0に近づけることをいう。
実施例1では、トルクコンバータ2は、ポンプインペラ2aとタービンランナ2bとの間にロックアップクラッチ9を備える。セーリングストップ走行中、少なくとも一部の走行区間にてロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
即ち、ロックアップクラッチ9は、締結によりトルクコンバータ2の入力側(ポンプインペラ2a)と出力側(タービンランナ2b)の回転速度差を低減し、完全締結により回転速度差を無くして直結するクラッチである。従って、ロックアップクラッチ9を用いた容易な構成により、トルクコンバータ2における回転速度差を低減することができる。
ここで、“ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする”とは、締結によりクラッチ伝達トルクを与えることをいう。つまり、スリップ締結状態や完全締結状態(回転速度差ゼロ)を含む。また、“セーリングストップ走行中、少なくとも一部の走行区間にてロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする”とは、セーリングストップ走行中、少なくとも一部の走行区間でロックアップクラッチ9を動力伝達状態としていれば良いことをいう。つまり、“セーリングストップ走行開始前からセーリングストップ走行終了後まで動力伝達状態とする形態”、“セーリングストップ走行開始後に動力伝達状態とする形態”、“セーリングストップ走行終了前に動力伝達を遮断する形態”を含む意味である。
実施例1では、セーリングストップ走行中、ロックアップクラッチ9を、クラッチ滑りを抑える締結容量による完全締結状態とする。
即ち、セーリングストップ走行中、解放状態のフォワードクラッチFWD/Cにて油の引き摺りが発生しても、トルクコンバータ2における回転速度差をゼロにすると、トルクコンバータ2の速度比が1.0になる。このため、トルクコンバータ2における油温上昇を、ロックアップクラッチ9をスリップ締結状態にする場合に比べて低減することができる。これにより、セーリングストップ走行中、トルクコンバータ2内の油温上昇を効果的に抑制することができる。
実施例1では、走行用駆動源はエンジン1であり、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が解放状態であるとき、エンジン回転速度が規定回転速度以下になると、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
即ち、エンジン回転速度が高いタイミングでロックアップクラッチ9を動力伝達状態とすると、ロックアップクラッチ9からフォワードクラッチFWD/Cまでのイナーシャがエンジン1に連結された状態となり、エンジン回転速度の低下が遅くなる。つまり、セーリングストップ入り条件が成立するセーリング開始からエンジン回転速度がゼロとなるまでに要する時間が長くなる。
エンジン1は、燃料の再噴射やスタータモータ15による始動が行われるが、どちらの方法であっても始動することができない回転速度領域があり、この回転速度領域にて再始動要求されると、エンジン1を直ちに再始動させることができず、エンジン1の再始動性が低下する。
そのため、セーリング開始後、エンジン回転速度が規定回転速度以下となるまでは、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とはせず、エンジン回転速度の低下を促進させる。これにより、上述した回転速度領域である時間を短くすることができ、エンジン1の再始動性を向上させることができる。
さらに、エンジン回転速度が規定回転速度以下になることに基づきロックアップクラッチ9を動力伝達状態とすることで、早期にトルクコンバータ2における回転速度差の発生を低減することができる。
このように、エンジン回転速度が規定回転速度以下になると、解放状態のロックアップクラッチ9を動力伝達状態とすることで、エンジン1の再始動性を確保しつつ、トルクコンバータ2における発熱を低減することができる。
ここで、“規定回転速度”とは、エンジン1の再始動性を確保できる上限値からゼロまでの何れかの回転速度値をいう。なお、規定回転速度をゼロにすると、エンジン1の再始動性を最も向上させることができる。
実施例1では、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が解放状態であるとき、解放状態へ移行するフォワードクラッチFWD/Cの締結容量が許容閾値以下になると、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
即ち、フォワードクラッチFWD/Cの伝達容量が許容閾値となっていない状態で、ロックアップクラッチ9を締結すると、フォワードクラッチFWD/Cを伝達するロックアップクラッチ9の締結ショックが、運転者にとって違和感とならない許容範囲を超えてしまう。
これに対し、ロックアップクラッチ9の締結ショックが運転者への違和感とならない許容範囲に低減されたことに基づき、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
従って、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする際にフォワードクラッチFWD/Cを伝達する締結ショックが、運転者にとって違和感となることを防止することができる。
ここで、“許容閾値”とは、上記のように、ロックアップクラッチ9の締結ショックが運転者にとって違和感とならないように設定されたフォワードクラッチFWD/Cの締結容量値をいう。
実施例1では、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が締結状態であるとき、ロックアップクラッチ9を締結状態としたままでセーリングストップ走行する。
即ち、セーリングストップ走行中にロックアップクラッチ9を動力伝達状態とするに際して、セーリングストップ走行を開始する前のロックアップクラッチ9が締結状態であれば、締結状態としたままセーリングストップ走行を行う。このため、セーリングストップ走行の開始に際して、ロックアップクラッチ9のOFF/ON動作が行われることを防止できる。これにより、ロックアップクラッチ9のOFF/ON動作の頻度を低減することができ、ロックアップクラッチ9の摩擦材摩耗を抑制することができる。
実施例1では、走行用駆動源はエンジン1であり、セーリングストップ走行中、ロックアップクラッチ9が動力伝達状態であると、セーリングストップ走行条件が不成立となるまで、ロックアップクラッチ9の動力伝達状態を維持する。
即ち、セーリングストップ走行条件が不成立となるまで、ロックアップクラッチ9の動力伝達状態が維持されることで、セーリングストップ走行中におけるトルクコンバータ2での油温上昇を低減することができる。
さらに、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態としておくことで、エンジン再始動判定部位がフェールした場合であっても、エンジン再始動を判定することができる。その理由を説明すると、自動変速機4にはタービン回転速度センサ(回転速度センサ42)が設けられており、エンジン1が再始動するとタービン回転速度が上昇する。この上昇によりエンジン再始動判定を行うことができる。この際、ロックアップクラッチ9が解放状態であると、トルクコンバータ2の流体による動力伝達により回転上昇がなまされ、エンジン再始動判定が正確に行うことができない、又は、エンジン再始動判定までに時間を要する。
そこで、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態としておくことで、タービン回転速度の回転上昇がなまされることを低減でき、エンジン再始動判定を正確に行うことができると共に、エンジン再始動判定に要する時間を短縮することができる。
実施例1では、フォワードクラッチFWD/C及びトルクコンバータ2への供給油圧源である電動オイルポンプ50と、電動オイルポンプ50から排出される油を冷却するクーラ18と、を備える。クーラ18の下流位置に冷却油供給油路19を介してフォワードクラッチFWD/Cが配されると共に、クーラ18の上流位置にトルクコンバータ2が配される。
即ち、セーリングストップ走行中においてトルクコンバータ2の回転速度差を低減することで、トルクコンバータ2における油温上昇を抑制することができる。しかしながら、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とすることで、フォワードクラッチFWD/Cにおける回転速度差が増大する。つまり、ロックアップクラッチ9での動力伝達が遮断されている場合におけるフォワードクラッチFWD/Cは、油の引き摺りによりフォワードクラッチFWD/Cにおける回転速度差が低減されている。一方、ロックアップクラッチ9が動力伝達状態となると、フォワードクラッチFWD/Cにて油の引き摺りは発生するものの、フォワードクラッチFWD/Cにおいてエンジン側回転要素により加わるイナーシャが大きくなる。このため、フォワードクラッチFWD/Cにおけるエンジン側回転速度(=クラッチ入力回転速度)が上昇しにくくなり、フォワードクラッチFWD/Cにおける回転速度差が拡大する。特に、ロックアップクラッチ9の回転速度差がゼロとなるよう、ロックアップクラッチ9を完全締結状態にすると、フォワードクラッチFWD/Cにおけるエンジン側回転速度(=クラッチ入力回転速度)がゼロとなり、フォワードクラッチFWD/Cにおける回転速度差が最大となる。ちなみに、フォワードクラッチFWD/Cにおける駆動輪側回転速度(=クラッチ出力回転速度)は、セーリングストップ走行中の車速に応じた回転速度になる。
このように、セーリングストップ走行中にトルクコンバータ2の回転速度差を低減する構成により、トルクコンバータ2における油温上昇は低減できるものの、フォワードクラッチFWD/Cにおける油温上昇を促進させてしまう。その結果、自動変速機4内の油温上昇を抑制することができない。
そこで、クーラ18の下流位置に冷却油供給油路19を介してフォワードクラッチFWD/Cが配される構成とすることにより、フォワードクラッチFWD/Cにはトルクコンバータ2よりも低い温度の冷却油が供給される。つまり、フォワードクラッチFWD/Cより高い温度の油が供給されるトルクコンバータ2は、動力伝達状態とすることで回転速度差を低減し、油温上昇を抑制する。一方、トルクコンバータ2より低い温度の冷却油が供給されるフォワードクラッチFWD/Cは、回転速度差は低減されないものの、低い温度の冷却油を供給することで油温上昇を抑制する。このようにして、トルクコンバータ2とフォワードクラッチFWD/Cを有する自動変速機4内の油温が上昇することを抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のエンジン車のセーリングストップ制御装置及び制御方法にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 走行用駆動源(エンジン1)と駆動輪7,7との間に配される摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)と、流体伝動装置(トルクコンバータ2)と、コントローラ(統合コントローラ13)と、を備える。
流体伝動装置(トルクコンバータ2)は、走行用駆動源(エンジン1)と摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)との間に配され、走行用駆動源(エンジン1)から動力が入力される入力要素(ポンプインペラ2a)と、摩擦締結要素に動力を伝達する出力要素(タービンランナ2b)とを有する。
コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行条件が成立すると、摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)を解放状態にすると共に走行用駆動源(エンジン1)の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行するセーリングストップ制御を行う。
この車両(エンジン車)であって、コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行中、流体伝動装置(トルクコンバータ2)の入力要素(ポンプインペラ2a)と出力要素(タービンランナ2b)との回転速度差を低減する処理を実行する。
このため、セーリングストップ走行中、解放状態の摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)にて油の引き摺りが発生しても、流体伝動装置(トルクコンバータ2)内の油の温度上昇を抑制する車両(エンジン車)のセーリングストップ制御装置を提供することができる。
(2) 流体伝動装置(トルクコンバータ2)は、入力要素(ポンプインペラ2a)と出力要素(タービンランナ2b)との間にロックアップクラッチ9を備える。
コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行中、少なくとも一部の走行区間にてロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
このため、(1)の効果に加え、ロックアップクラッチ9を用いた容易な構成により、流体伝動装置(トルクコンバータ2)における回転速度差を低減することができる。
(3) コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行中、ロックアップクラッチ9を、クラッチ滑りを抑える締結容量による完全締結状態とする。
このため、(2)の効果に加え、セーリングストップ走行中、流体伝動装置(トルクコンバータ2)内の油温上昇を効果的に抑制することができる。
(4) 走行用駆動源はエンジン1である。
コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が解放状態であるとき、エンジン回転速度が規定回転速度以下になると、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、エンジン1の再始動性を確保しつつ、流体伝動装置(トルクコンバータ2)における発熱を低減することができる。
(5) コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が解放状態であるとき、解放状態へ移行する摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)の締結容量が許容閾値以下になると、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする。
このため、(2)〜(4)の効果に加え、ロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする際に摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)を伝達する締結ショックが、運転者にとって違和感となることを防止することができる。
(6) コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行条件が成立した際にロックアップクラッチ9が締結状態であるとき、ロックアップクラッチ9を締結状態としたままでセーリングストップ走行する。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、ロックアップクラッチ9のOFF/ON動作の頻度を低減することで、ロックアップクラッチ9の摩擦材摩耗を抑制することができる。
(7) 走行用駆動源はエンジン1である。
コントローラ(統合コントローラ13)は、セーリングストップ走行中、ロックアップクラッチ9が動力伝達状態であると、セーリングストップ走行条件が不成立となるまで、ロックアップクラッチ9の動力伝達状態を維持する。
このため、(2)〜(6)の効果に加え、セーリングストップ走行中における流体伝動装置(トルクコンバータ2)での油温上昇を抑制しつつ、エンジン再始動判定を正確に行うことができると共に、エンジン再始動判定に要する時間を短縮することができる。
(8) 摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)及び流体伝動装置(トルクコンバータ2)への供給油圧源であるオイルポンプ(電動オイルポンプ50)と、オイルポンプから排出される油を冷却するクーラ18と、を備える。
クーラ18の下流位置に冷却油供給油路19を介して摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)が配されると共に、クーラ18の上流位置に流体伝動装置(トルクコンバータ2)が配される。
このため、(1)〜(7)の効果に加え、流体伝動装置(トルクコンバータ2)と摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)を有する自動変速機4内の油温が上昇することを抑制することができる。
(9) 走行用駆動源(エンジン1)と駆動輪7,7との間に配される摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)と、流体伝動装置(トルクコンバータ2)と、を備える。
流体伝動装置(トルクコンバータ2)は、走行用駆動源(エンジン1)と摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)との間に配され、走行用駆動源(エンジン1)から動力が入力される入力要素(ポンプインペラ2a)と、摩擦締結要素に動力を伝達する出力要素(タービンランナ2b)とを有する。
この車両(エンジン車)であって、セーリングストップ走行条件が成立すると、摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)を解放状態にすると共に走行用駆動源(エンジン1)の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行する。
セーリングストップ走行中、流体伝動装置(トルクコンバータ2)の入力要素(ポンプインペラ2a)と出力要素(タービンランナ2b)との回転速度差を低減する。
このため、セーリングストップ走行中、解放状態の摩擦締結要素(フォワードクラッチFWD/C)にて油の引き摺りが発生しても、流体伝動装置(トルクコンバータ2)内の油の温度上昇を抑制する車両(エンジン車)のセーリングストップ制御方法を提供することができる。
以上、本発明の車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、セーリングストップ走行中にロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする場合、エンジン1による駆動するメカオイルポンプ10に加えて、電動オイルポンプ50を備え、電動オイルポンプ50によりロックアップクラッチ9を動力伝達状態とする例を示した。しかし、電動オイルポンプに代えて、アキュームレータを備えても良い。さらに、アキュームレータとロックアップクラッチとの間に弁を設け、セーリングストップ走行中のみ連通するよう弁を制御しても良い。
実施例1では、ロックアップクラッチ9を用いてトルクコンバータ2における回転速度差を低減する例を示した。しかし、トルクコンバータにおける回転速度差を低減する手段としては、ロックアップクラッチ以外に、トルクコンバータの出力要素の回転を制動するような他の手段を用いても良い。
実施例1では、本発明の車両のセーリングストップ制御装置及び制御方法を、副変速機付き無段変速機を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明のセーリングストップ制御装置及び制御方法は、駆動源とバリエータとの間に前後進切換機構を搭載した車両や有段変速機を搭載した車両や変速機を搭載していない車両に適用しても良い。また、車両としても、エンジン車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車などに対しても適用できる。
1 エンジン(走行用駆動源)
2 トルクコンバータ(流体伝動装置)
2a ポンプインペラ(入力要素)
2b タービンランナ(出力要素)
2c ステータ
3 リダクションギア対
4 自動変速機(副変速機付き無段変速機)
5 ファイナルギア対
6 デファレンシャルギア
7 駆動輪
9 ロックアップクラッチ
10 メカオイルポンプ
11 コントロールバルブユニット
12 変速機コントローラ
13 統合コントローラ(コントローラ)
20 バリエータ
21 プライマリプーリ
22 セカンダリプーリ
23 プーリベルト
30 副変速機構
31 ラビニョウ型遊星歯車機構
32 ローブレーキ(摩擦締結要素、フォワードクラッチFWD/C)
33 ハイクラッチ(摩擦締結要素、フォワードクラッチFWD/C)
34 リバースブレーキ
50 電動オイルポンプ(オイルポンプ)
51 モータ

Claims (9)

  1. 走行用駆動源と駆動輪との間に配される摩擦締結要素と、
    前記走行用駆動源と前記摩擦締結要素との間に配され、前記走行用駆動源から動力が入力される入力要素と、前記摩擦締結要素に動力を伝達する出力要素とを有する流体伝動装置と、
    セーリングストップ走行条件が成立すると、前記摩擦締結要素を解放状態にすると共に前記走行用駆動源の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行するセーリングストップ制御を行うコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行中、前記流体伝動装置の入力要素と出力要素との回転速度差を低減する処理を実行する
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記流体伝動装置は、前記入力要素と前記出力要素との間にロックアップクラッチを備え、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行中、少なくとも一部の走行区間にて前記ロックアップクラッチを動力伝達状態とする
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  3. 請求項2記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行中、前記ロックアップクラッチを、クラッチ滑りを抑える締結容量による完全締結状態とする
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記走行用駆動源はエンジンであって、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行条件が成立した際に前記ロックアップクラッチが解放状態であるとき、エンジン回転速度が規定回転速度以下になると、前記ロックアップクラッチを動力伝達状態とする
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  5. 請求項2から請求項4までの何れか一項に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行条件が成立した際に前記ロックアップクラッチが解放状態であるとき、解放状態へ移行する前記摩擦締結要素の締結容量が許容閾値以下になると、前記ロックアップクラッチを動力伝達状態とする
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  6. 請求項2又は請求項3に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行条件が成立した際に前記ロックアップクラッチが締結状態であるとき、前記ロックアップクラッチを締結状態としたままでセーリングストップ走行する
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  7. 請求項2から請求項6までの何れか一項に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記走行用駆動源はエンジンであって、
    前記コントローラは、前記セーリングストップ走行中、前記ロックアップクラッチが動力伝達状態であると、前記セーリングストップ走行条件が不成立となるまで、前記ロックアップクラッチの動力伝達状態を維持する
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  8. 請求項1から請求項7までの何れか一項に記載された車両のセーリングストップ制御装置において、
    前記摩擦締結要素及び前記流体伝動装置への供給油圧源であるオイルポンプと、
    前記オイルポンプから排出される油を冷却するクーラと、を備え、
    前記クーラの下流位置に冷却油供給油路を介して前記摩擦締結要素が配されると共に、前記クーラの上流位置に前記流体伝動装置が配される
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御装置。
  9. 走行用駆動源と駆動輪との間に配される摩擦締結要素と、
    前記走行用駆動源と前記摩擦締結要素との間に配され、前記走行用駆動源から動力が入力される入力要素と、前記摩擦締結要素に動力を伝達する出力要素とを有する流体伝動装置と、を備える車両であって、
    セーリングストップ走行条件が成立すると、前記摩擦締結要素を解放状態にすると共に前記走行用駆動源の回転速度をゼロとしてセーリングストップ走行し、
    前記セーリングストップ走行中、前記流体伝動装置の入力要素と出力要素との回転速度差を低減する
    ことを特徴とする車両のセーリングストップ制御方法。
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