JP2018078810A - 調味料組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】和風調味料等、高含有量の食塩を含有する半練り状の調味料組成物を提供する。【解決手段】食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物を、トランスグルタミナーゼにより架橋させて、半練り状の調味料組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、食塩を高濃度で含有しながら、取扱いの容易な半練り状を呈し、かつ湯で溶解させることのできる、調味料組成物およびその製造方法に関する。
近年、保存や取扱いにおいて便利で、手軽に調味できるとして、半練り状の調味料組成物の利用が広がっている。かかる半練り状の調味料組成物は、従来、植物油脂や動物油脂等の固形食用油脂と粉体調味料に賦形剤等を加え、混合撹拌して調製される。
しかしながら、食用油脂を実質的に含有しないか、または食用油脂の含有量が少ない和風調味料の場合、高含有量の食塩の存在下では、寒天等の一般的なゲル化剤ではゲルを形成できないため、半練り状の形態とすることはできなかった。
一方、ゼラチンをトランスグルタミナーゼにより架橋して、ゲルを形成する技術が知られている(特許文献1)。また、ゼラチンによる動物性油脂の乳化と、トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋により、油脂の分離を抑制して、食品の品質を改良する技術が知られている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、人工ふかひれ様食品等、調理後においても不溶性であるゼラチン加工食品の製造に関するものであり、食塩を含有し、かつ調理の際に溶けることが前提となる調味料組成物の製造に応用できるものではない。
また、特許文献2に開示された技術も、油脂を含有する食品を対象とするものであり、油脂含有量が少なく、かつ食塩含有量の多い調味料のような食品組成物のゲル化について示唆するものではない。
従って、高含有量の食塩を含有する調味料組成物、特に、和風調味料等、高含有量の食塩を含有し、食用油脂を実質的に含有しないか、または食用油脂の含有量の少ない調味料組成物においては、調理において利便性の高い半練り状の組成物は得られていない。
特許第3012743号公報 特許第5508703号公報
そこで、本発明は、和風調味料等、高含有量の食塩を含有する半練り状の調味料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物において、トランスグルタミナーゼによりゼラチンを架橋させることにより、透明性の高いゲルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物に、トランスグルタミナーゼを添加する、調味料組成物の製造方法。
[2]食塩、ゼラチンおよび水を含有する混合物を加熱し、溶解して水溶液とする工程、前記水溶液を50℃以下に冷却する工程、ならびにトランスグルタミナーゼを添加して混合撹拌する工程を含む、調味料組成物の製造方法。
[3]食塩の含有量が、調味料組成物の全量に対し1重量%〜50重量%である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]ゼラチンの含有量が、調味料組成物の全量に対し2重量%〜20重量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]さらに、調味料組成物の全量に対する食用油脂の含有量が35重量%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]食塩、ゼラチンおよび水に加えて、さらに寒天を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]食塩、ゼラチンおよび水に加えて、さらに糖類、エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]調味料組成物をチューブ容器に充填する、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]食塩、ゼラチン、トランスグルタミナーゼおよび水を含有する、調味料組成物。
[10]食塩の含有量が、調味料組成物の全量に対し1重量%〜50重量%である、[9]に記載の組成物。
[11]ゼラチンの含有量が、調味料組成物の全量に対し2重量%〜20重量%である、[9]または[10]に記載の組成物。
[12]さらに、食用油脂の含有量が調味料組成物の全量に対し35重量%以下である、[9]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]さらに寒天を含有する、[9]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]さらに糖類、エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、[9]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]チューブ容器に充填されている、[9]〜[14]のいずれかに記載の組成物。
本発明により、食塩含有量の高い調味料組成物において、取扱い性のよい半練り状の調味料組成物を提供することができる。
半練り状を呈する本発明の調味料組成物は、必要量を分取しやすく、湯で溶けるため、調理に際し便利である。
本発明の調味料組成物は、特に、和風調味料等、食塩含有量が高く、食用油脂を実質的に含有しないか、または食用油脂含有量の少ない調味料組成物として、好適である。
半練り状を呈する本発明の調味料組成物(以下、本明細書において「本発明の調味料組成物」ともいう)は、食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物に、トランスグルタミナーゼを添加して、ゼラチンを架橋させて得られる。
本明細書において、「半練り状」とは、柔らかく糊状であるが、流動性を示さない状態をいう。
また、本明細書において、「調味料」とは、料理に対して味付けをする目的で使用される食品または食品添加物をいう。本発明においては、特に、和風料理に使用する汁に対して、鰹節、コンブ、シイタケ、煮干、鶏肉、牛肉等の香りおよび味を付与する風味調味料、または、湯等に溶かすだけで、和風料理における汁として使用できるものをいう。
本発明の調味料組成物に含有される食塩は、料理に塩味を付与するのに重要である。本発明における「食塩」は、通常、塩化ナトリウムを乾燥重量あたり97重量%以上含み、コーデックス規格(国際食品規格)を満たす食用塩である。
本発明の調味料組成物において、食塩は、調味料組成物の全量に対し好ましくは1重量%〜50重量%含有され、より好ましくは3重量%〜40重量%含有され、さらに好ましくは5重量%〜30重量%含有される。
本発明の調味料組成物に含有されるゼラチンは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したものであり、化学的には、コラーゲン分子の三重螺旋構造が熱変性によってほどけたものを主成分とする混合物である。
本発明においては、食品用のゲル化剤として各社より提供されている市販の製品を用いることができる。
本発明の調味料組成物において、ゼラチンは、調味料組成物の全量に対し好ましくは 2重量%〜20重量%含有され、より好ましくは5重量%〜15重量%含有され、さらに好ましくは5重量%〜12重量%含有される。
なお、本発明の調味料組成物においては、食用油脂が実質的に含有されないか、または食用油脂の含有量が少ないことが好ましい。
本発明の調味料組成物における食用油脂の含有量は、調味料組成物の全量に対し、通常35重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
なお、「食用油脂が実質的に含有されない」とは、本発明の調味料組成物の調製に際し、動物性油脂、植物性油脂等食用油脂が、原材料として用いられないことをいう。
本発明の調味料組成物には、さらに寒天を含有させてもよい。
本発明において、寒天としては、アガロースのみにより構成されるもの、およびアガロースとアガロペクチンとにより構成されるもののいずれも用いることができ、後者については、アガロースおよびアガロペクチンの構成比は特に限定されない。
また、テングサ、オゴノリ等の紅藻類の粘液質を凍結乾燥して製造したものや、工業的に製造したものを用いることができるが、食品用のゲル化剤として各社より提供されている市販の製品を用いることもできる。
本発明の調味料組成物において、寒天は、調味料組成物の全量に対し好ましくは1重量%〜15重量%含有され、より好ましくは3重量%〜10重量%含有される。
本発明の調味料組成物においては、ゼラチンと寒天の含有量および含有量比を調整することにより、得られるゲルの硬度、粘性等の物性を調整することができる。得られるゲルの硬度、粘性等は、本発明の調味料組成物の使用態様、たとえばブロック状等に成形して用いる、またはスプーン等の器具により分取して用いる等に応じて、適宜設定される。
本発明の調味料組成物におけるゼラチンと寒天の含有量比(ゼラチン:寒天)は、重量比にして1:100〜100:1であることが好ましく、1:10〜10:1であることがより好ましい。
本発明の調味料組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、さらに脂質以外の一般的な栄養成分や、食塩以外の呈味成分を含有させることができる。
かかる栄養成分および呈味成分としては、炭水化物、タンパク質をはじめとする栄養素、栄養素の供給源となる各種エキス類、栄養強化剤、調味のために使用される食品および食品添加物等が挙げられる。
具体的には、糖類(たとえば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、デキストリン、デンプン等)、野菜(たとえば、ニンジン、タマネギ、セロリ、ハクサイ、キャベツ等)の粉末およびそれらのエキス、海藻(たとえば、コンブ、ワカメ等)の粉末およびそれらのエキス、キノコ(たとえば、マッタケ、シイタケ、シメジ等)の粉末およびそれらのエキス、魚介類(たとえば、カツオ、サバ、アジ、イワシ、エビ、ホタテ、カキ等)の粉末およびそれらのエキス、畜肉(たとえば、ビーフ、ポーク、チキン等)の粉末およびそれらのエキス、タンパク質加水分解物、各種ビタミン類、各種ミネラル類、アミノ酸類、しょうゆ、酵母エキス、うま味調味料、甘味料、酸味料、香辛料等が挙げられる。
本発明の調味料組成物には、味および栄養学的見地から、食塩の他に、糖類、各種エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を含有させることが好ましい。
糖類、各種エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上は、それらの総含有量にして、調味料組成物の全量に対し、0.1重量%〜95重量%含有させることが好ましく、1重量%〜90重量%含有させることがより好ましい。
さらに、本発明の調味料組成物には、必要に応じて、食品の製造に際して一般的に用いられる食品添加物を添加することができる。
かかる食品添加物としては、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等)、保存料、酸化防止剤、着色料、香料等が挙げられ、これらは、1種または2種以上を用いることができる。
本発明においては、上記した食塩およびゼラチンを水に添加し、あるいはさらに寒天や、糖類、各種エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上、その他食品添加物等を添加して混合し、80℃〜90℃に加熱して均一に溶解して水溶液とした後、前記水溶液を50℃以下、好ましくは30℃〜50℃に冷却し、トランスグルタミナーゼを添加して撹拌しながら、通常30℃〜50℃で、1分間〜24時間架橋反応させた後、冷却して半練り状の組成物とする。
トランスグルタミナーゼ(タンパク質−グルタミンγ−グルタミルトランスフェラーゼ)は、タンパク質上のグルタミンのアミノ基と第1級アミンを縮合させ、アミン上の置換基をグルタミンに転移させて、アンモニアが生成する反応を触媒する転移酵素であり、通常は第1級アミンとしてタンパク質上のリシンのアミノ基が用いられ、架橋酵素として作用する。
従って、食塩およびゼラチンを含有する水溶液にトランスグルタミナーゼを作用させると、ゼラチンが架橋されてゲル化する。
トランスグルタミナーゼとしては、微生物より得られるカルシウム非依存性のものが好ましく用いられる。
微生物由来のカルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとしては、ストレプトマイセス属に属する放線菌により産生されるトランスグルタミナーゼが挙げられ、特許第2572716号公報に記載された方法等に従って得ることができるが、味の素株式会社等から提供されている「アクティバTG−K」、「アクティバTG−S」等、市販の製品を用いることもできる。
本発明においては、トランスグルタミナーゼの添加量は、ゼラチン1gあたり0.001U(ユニット)〜1,000Uが好ましく、0.01U〜100Uがより好ましい。
なお、トランスグルタミナーゼの酵素活性については、たとえば、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行わせ、トリクロロ酢酸存在下で、生成したヒドロキサム酸の鉄錯体を形成させた後、525nmの吸光度を測定して、ヒドロキサム酸の生成量を検量線より求めることにより、酵素活性を算出することができる。本明細書では、37℃、pH6.0で1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生成する酵素量を、1Uと定義した(特開昭64−27471号公報参照)。
本発明においては、トランスグルタミナーゼによる架橋反応を行わせた後、冷却する前に、80℃〜85℃で10分間程度の加熱処理を行うことが好ましい。
かかる加熱処理により、調味料組成物の滅菌を行うとともに、トランスグルタミナーゼの酵素活性を失活させることができ、ゼラチンの架橋が過剰に進行するのを防ぐことができる。
トランスグルタミナーゼによる架橋反応を行った後の冷却は、室温にて放冷して行ってもよく、冷蔵庫内にて2℃〜10℃程度に冷却して行ってもよい。
なお、本発明の調味料組成物は、プラスチック(たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)等の樹脂製、金属製、ガラス製等の容器に適量ずつ収納して提供される。使用性の観点から、プラスチック製等のチューブ容器に充填したチューブ入り調味料とすることもできる。本発明の調味料組成物は、トランスグルタミナーゼによる架橋反応を行い、好ましくは次いで加熱した後、前記容器に充填してから冷却して製造することが好ましい。
また、本発明は、半練り状の調味料組成物の製造方法(以下、本明細書において「本発明の製造方法」ともいう)をも提供する。
本発明の製造方法においては、食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物に、トランスグルタミナーゼを添加してゼラチンを架橋させて、半練り状の調味料組成物を製造する。
本発明の好ましい実施態様において、本発明の製造方法は、食塩、ゼラチンおよび水を含有する混合物を加熱し、均一に溶解して水溶液とする工程、前記水溶液を50℃以下、好ましくは30℃〜50℃に冷却する工程、ならびに、トランスグルタミナーゼを添加して混合撹拌する工程を含む。
本発明の製造方法においては、上記食塩、ゼラチンおよび水を含有する混合物に、さらに寒天を添加することができ、また、さらに、糖類、エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を添加することができる。
また、本発明の製造方法は、さらに加熱する工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法においては、トランスグルタミナーゼを添加して混合撹拌する工程、すなわちトランスグルタミナーゼによる架橋反応の工程の後、好ましくは加熱する工程を経た後に、冷却して半練り状の組成物を得る。なお、トランスグルタミナーゼによる架橋反応の工程を経た組成物、またはさらに加熱する工程を経た組成物は、冷却前に容器に充填されることが好ましい。
本発明の調味料組成物は、ゼラチンが架橋されてゲル化して良好な半練り状を呈し、適量を分取しやすく、取扱い性に優れる。
また、本発明の調味料組成物は湯に溶けるため、調理に際し便利である。
本発明の調味料組成物は、特に、和風調味料等、食塩含有量が高く、食用油脂を実質的に含有しないか、または食用油脂の含有量の少ない調味料組成物として、好適である。
以下、本発明について実施例により詳細に説明する。
以下に示す実施例および比較例の半練り状調味料組成物において用いた原料については、次の通りである。
なお、食塩、乳糖、デキストリンとしては、食品用として提供されている市販の製品を用いた。
(1)ゼラチン:「ゼラチンパウダー」(ゼライス株式会社製)
(2)トランスグルタミナーゼ:「アクティバTG−S」(味の素株式会社製)(トランスグルタミナーゼ活性=100U/g)
(3)加工澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉):「てり出し調味料」(粉状)(味の素株式会社製)
(4)寒天パウダー:「寒天パウダー」(山本漢方製薬株式会社製)
(5)かつおエキス・うま味調味料:「調味ベースかつおGA」(株式会社かつお技術研究所製)
[実施例1、比較例1〜4]半練り状調味料組成物における食塩の影響
表1に示す組成にて、実施例1および比較例1〜4の半練り状調味料組成物を調製した。
<調製方法>
実施例1については、食塩およびゼラチン、比較例2についてはゼラチンを水に混合し、それぞれ90℃に加熱して溶解した後、30℃〜50℃に冷却してトランスグルタミナーゼを添加し、2時間撹拌した。次いで、85℃で10分間加熱し、プラスチック製容器に充填し、冷蔵庫で冷却して調製した。
比較例1、3、4については、ゼラチン、または食塩およびゼラチンを水に混合し、それぞれ90℃に加熱して溶解し、さらに85℃で10分間加熱した後、プラスチック製容器に充填し、冷蔵庫で冷却して調製した。
実施例1および比較例1〜4の半練り状調味料組成物について、冷蔵庫で2時間冷却した後の状態を観察し、低温凝固性を評価した。
また、調製した各調味料組成物に30重量倍の湯をかけたときの溶解性を評価した。
低温凝固性および湯に対する溶解性は、各組成物の状態を観察し、下記に示す評価基準に従って評価した。評価結果は、表1に併せて示した。
<評価基準>
(1)低温凝固性
○;完全にゲル化し、容器を斜めに傾けても、内容物の流動が見られない。
△;ゲル化が不十分で、容器を斜めに傾けると、内容物の若干の流動が見られる。
×;ほとんどゲル化せず、容器を斜めに傾けると、内容物の顕著な流動が見られる。
(2)湯に対する溶解性
○;完全に溶解する。
△;ゼラチンゲルが部分的に溶けずに残存する。
×;ゼラチンゲルがほとんど溶けずに残存する。
表1に示されるように、食塩を含有しない調味料組成物は、トランスグルタミナーゼを作用させなくても良好にゲル化し(比較例1)、トランスグルタミナーゼを作用させると、湯に対する溶解性が悪くなった(比較例2)。
しかし、食塩を高含有量(25重量%以上)で含有する調味料組成物では、トランスグルタミナーゼを作用させない場合、ゲルが形成されなかった(比較例3、4)。
これに対し、実施例1の調味料組成物では、食塩を30重量%以上の高含有量で含有するにもかかわらず、良好なゲルが形成され、湯に対する溶解性にも優れることが認められた。
[実施例2、比較例5、6]半練り状調味料組成物におけるゲル化剤の影響
表2に示す組成にて、実施例2および比較例5、6の半練り状調味料組成物を調製した。
<調製方法>
実施例2については、食塩、ゼラチンおよびかつおエキス・うま味調味料を水に混合し、90℃に加熱して溶解した後、30℃〜50℃に冷却してトランスグルタミナーゼを添加し、2時間撹拌した。次いで、85℃で10分間加熱し、プラスチック製容器に充填し、放冷して調製した。
比較例5については、食塩、ゼラチンおよびかつおエキス・うま味調味料を水に混合し、90℃に加熱して溶解し、さらに85℃で10分間加熱した後、プラスチック製容器に充填し、放冷して調製した。
比較例6については、食塩、加工澱粉製剤およびかつおエキス・うま味調味料を水に混合し、85℃で10分間加熱した後、プラスチック製容器に充填し、放冷して調製した。
実施例2および比較例5、6の半練り状調味料組成物について、常温で12時間放冷した後に、実施例1および比較例1〜4の半練り状調味料組成物についての評価と同様に低温凝固性および湯に対する溶解性を評価した。
評価結果は、表2に併せて示した。
表2に示されるように、高含有量(30重量%)の食塩とかつおエキス・うま味調味料を含有する実施例2の調味料組成物では、良好な低温凝固性と湯に対する溶解性が認められた。
これに対し、トランスグルタミナーゼを作用させずに調製した比較例5の調味料組成物では、ゲルの形成が認められなかった。
また、ゼラチンの代わりに粉状の加工澱粉を用い、トランスグルタミナーゼを作用させずに調製した比較例6の調味料組成物では、ゲルの形成は認められず、湯に対する溶解性も不十分であった。
なお、実施例2の調味料組成物を、ポリエチレン製チューブに充填したものでは、絞り出しが良好であった。
[実施例3〜7]半練り状調味料組成物における糖類等の影響
上記実施例1、2では、食塩を高含有量で含有する調味料組成物においても、ゼラチンをトランスグルタミナーゼで架橋させることにより、ゲルが形成されることが示された。
次いで、さらに糖類等を含有させることにより、形成されるゲルの硬度、粘性等の物性や、器具による分取のしやすさにどのような影響が生じるかについて、下記に検証した。
すなわち、表3に示す組成にて、実施例3〜7の半練り状調味料組成物を調製した。
<製造方法>
食塩、ゼラチンおよび糖類等(乳糖、デキストリン、寒天パウダー)を混合し、加熱した水を加えて溶解させ、かつおエキス・うま味調味料を加えてさらに90℃以上に加熱して完全に溶解させた後、30℃〜50℃に冷却し、トランスグルタミナーゼを添加し、撹拌しながら室温で1時間反応させた。次いで80℃で10分間の加熱処理を行い、プラスチック製容器に充填し、冷蔵庫にて冷却して調製した。
実施例3〜7の半練り状調味料組成物の物性(硬さもしくは粘性の強さ)およびスプーンからの剥がれやすさについて、下記の評価基準により、実施例1の調味料組成物と比較して点数化した。評価結果を表3に併せて示した。
<評価基準>
実施例1の調味料組成物と同等の物性であり、スプーンへの付着があり、やや剥がれにくい。;1点
実施例1の調味料組成物よりもやや柔らかく、スプーンへの付着は少なく、剥がれやすい。;2点
実施例1の調味料組成物に比べて柔らかく、スプーンへの付着はほとんどなく非常に剥がれやすい。;3点
表3に示されるように、乳糖またはデキストリンを添加した実施例3または実施例4の組成物は、実施例1の組成物と同程度の物性であり、スプーンへの付着が見られた。一方、寒天を添加した実施例5、6、7の組成物では、実施例1の組成物に比べて柔らかく、スプーンへの付着は低減され、剥がれやすくなった。
実施例5〜7の組成物についての評価結果は、本発明の調味料組成物において、ゼラチンと寒天の含有量および含有量比を調整することにより、あるいは、さらにトランスグルタミナーゼの含有量を調整することにより、本発明の調味料組成物の物性(ゲルの硬度、粘性、スプーン等への付着性等)を、本発明の調味料組成物の使用態様に応じて調整し得ることを示唆するものである。
以上詳述したように、本発明により、食塩含有量の高い調味料組成物において、取扱い性のよい半練り状の組成物を提供することができる。
本発明の半練り状調味料組成物は、必要量を分取しやすく、湯で溶けるため、調理に際し便利である。
さらに、本発明の調味料組成物は、特に、和風調味料等、食塩含有量が高く、食用油脂を実質的に含有しないか、または食用油脂の含有量の少ない調味料組成物として、好適に利用することができる。

Claims (15)

  1. 食塩、ゼラチンおよび水を含有する組成物に、トランスグルタミナーゼを添加する、調味料組成物の製造方法。
  2. 食塩、ゼラチンおよび水を含有する混合物を加熱し、溶解して水溶液とする工程、前記水溶液を50℃以下に冷却する工程、ならびにトランスグルタミナーゼを添加して混合撹拌する工程を含む、調味料組成物の製造方法。
  3. 食塩の含有量が、調味料組成物の全量に対し1重量%〜50重量%である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. ゼラチンの含有量が、調味料組成物の全量に対し2重量%〜20重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. さらに、調味料組成物の全量に対する食用油脂の含有量が35重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 食塩、ゼラチンおよび水に加えて、さらに寒天を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 食塩、ゼラチンおよび水に加えて、さらに糖類、エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 調味料組成物をチューブ容器に充填する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 食塩、ゼラチン、トランスグルタミナーゼおよび水を含有する、調味料組成物。
  10. 食塩の含有量が、調味料組成物の全量に対し1重量%〜50重量%である、請求項9に記載の組成物。
  11. ゼラチンの含有量が、調味料組成物の全量に対し2重量%〜20重量%である、請求項9または10に記載の組成物。
  12. さらに、食用油脂の含有量が調味料組成物の全量に対し35重量%以下である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. さらに寒天を含有する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. さらに糖類、エキス、タンパク質加水分解物、しょうゆ、うま味調味料、酸味料および香辛料からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、請求項9〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. チューブ容器に充填されている、請求項9〜14のいずれか1項に記載の組成物。
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