JP2010081867A - アルカリでゲル化させるコンニャク利用食品用の糊化物、それから得られたコンニャク利用食品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コンニャク精粉を水または温湯で撹拌し、それらが糊化物となるまでの間に、吸水させた食品原料素材および/または調味料を添加、混合して糊化物とする糊化物の製造方法、得られた糊化物、ならびに、該糊化物をアルカリ処理することによりゲル化させ、必要に応じ、その後さらに食品原料素材および/または調味料を配合するコンニャク利用食品を製造する方法および得られたコンニャク利用食品。
【選択図】 なし
Description
このように、グルコマンナンなどの水溶性食物繊維は、低カロリーで、かつ、高粘性で消化管内での通過時間を遅らせることができるため、食事摂取量の減少、体重増加の抑制、体脂肪の減少などの生理的効果があるとされ、そのため、従来、グルコマンナンを種々の食品に添加した健康食品類が種々提供されている。
そこで、本発明は、コンニャク粉と小麦粉などの食品原料素材との混合工程に問題を生じることのない糊化物およびコンニャク利用食品を提供すること、すなわち、従来のコンニャク粉とそれ以外の食品原料素材を多量に活用したもので、食品業界にも広く利用され得るコンニャク加工品を提供することを目的とする。また、任意の量の食品原料素材や調味料をその種類を問わずコンニャクと組み合わせた新しい商品を開発すること、従来のコンニャク利用食品では発現することができなかった物性を有する食品を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、食品原料素材や調味料を含有している、または含有していないコンニャク糊を包装、商品化し、関連食品業界に業務用ゾルとして提供し、例えば、低カロリー、ヘルシー、多繊維品、老人向きの軟らかいものなどとして販売することもできる。また、本発明は、アルカリ処理によりゲル化させるコンニャク利用食品に用いるための糊化物を提供することもできる。
(1)コンニャク精粉を水または温湯で撹拌し、それらが糊化物となるまでの間に、吸水させた食品原料素材および/または調味料を添加し混合して糊化物とすることを特徴とする糊化物を製造する方法。
(2)吸水させた食品原料素材および/または調味料が固体状、スラリー状、または液状材料である(1)に記載の糊化物を製造する方法。
(3)コンニャク精粉1重量部から10重量部に対して水または温湯100重量部を配合する(1)または(2)に記載の糊化物を製造する方法。
(4)コンニャク精粉および水または温湯の混合物100重量部に対して、吸水させた食品原料素材および/または調味料を2重量部から100重量部を配合する(1)から(3)のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
(5)糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させるコンニャク利用食品に用いるための糊化物である(1)から(4)のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
(6)食品原料素材が、穀粉、でんぷん類、食物タンパク類、多糖類、水溶性または難溶性繊維類、果実、野菜、魚肉および畜肉からなる群から選ばれた1種または2種以上の材料である(1)から(5)のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
(7)糊化物を冷凍する(1)から(6)のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする糊化物。
(9)糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させるコンニャク利用食品に用いるための糊化物である(8)に記載の糊化物。
(10)糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させる前または後に、さらに食品原料素材および/または調味料を配合したコンニャク利用食品を製造するための糊化物である請求項9に記載の糊化物。
(11)製造するためのコンニャク利用食品が、かまぼこ様、チーズ様、麺様、ハンバーグ様、またはモチ様の物性を有する食品である(9)または(10)に記載の糊化物。
(12)(8)から(11)のいずれかに記載の糊化物をアルカリ処理することによりゲル化させることを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
(13)(8)から(11)のいずれかに記載の糊化物に、さらに食品原料素材および/または調味料を配合し、その後アルカリ処理することによりゲル化させることを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
(14)(8)から(11)のいずれかに記載の糊化物をアルカリ処理によりゲル化させた後、さらに食品原料素材および/または調味料を配合することを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
(15)(12)から(14)のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法において、ゲル化させた後、あるいはゲル化させ、その後さらに食品原料素材および/または調味料を配合した後、脱アルカリ処理するコンニャク利用食品の製造方法。
(16)脱アルカリ処理が、酸性成分を含有または含有しない水と50℃〜120℃の温度下で接触させることによる(15)に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
(17)脱アルカリ処理の酸性成分が、有機酸、無機酸、または酸性成分を含む調味料である(16)に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
(18)脱アルカリ処理が、容器中で行われる(15)から(17)のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法。
(19)容器が、密封または開放容器である(18)に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
(20)脱アルカリによりコンニャク利用食品のpHを3.5〜9.0に調整する(15)から(19)のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法。
(21)(12)から(20)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするコンニャク利用食品。
(1)コンニャク粉と水を混合した直後の短時間の間に、食品原料素材や調味料を添加するか、または膨潤途中で加水原料を加え混合させることにより、任意の割合で食品原料素材をその種類を問わずコンニャクと組み合わせた糊化物、必要に応じ凍結し、冷凍保存した糊化物を提供することが可能になった。
(2)この糊化物を利用して新しいコンニャク利用食品を開発することできる。
(3)コンニャク粉と水で糊化が始まる前に吸水された食品原料素材や調味料液を加えるか、または糊化の途中で加水した食品原料素材を加え混合することにより、コンニャク粉と他の水溶性粉体との均一混合を簡便に達成することが可能となった。
(4)従来、実現することができなかった物性と、密度の高いボディーを有する新規なコンニャク利用食品、例えば、コンニャクを利用したかまぼこ様、チーズ様、麺様、ハンバーグ様、またはモチ様製品を提供することができる。
(5)新しい物性を達成したコンニャク利用食品が提供されることにより、低カロリー意識やヘルシー感があり、また従来とは異なる食感を有し、若人向きを中心とした商品開発が食品製造業界において促進される。
(6)低カロリー、ヘルシー、多繊維品、老人向きの軟らかいものなどのキャッチフレーズを付すことが可能な食品を開発し提供することができる。
(7)コンニャク粉と食品原料素材を混合し糊化物とした後は、通常の方法によりアルカリ化処理などの処理工程を適用することにより、特殊な工程を必要としないで新規なコンニャク利用食品が製造できる。糊化物にさらに食品原料素材および/または調味料を配合し、その後アルカリ処理することによりゲル化させる、あるいは糊化物をアルカリ処理することによりゲル化させ、その後さらに食品原料素材および/または調味料を配合することにより、新規なコンニャク利用食品が製造できる。
(8)糊化物に含まれる所定量のアルカリ成分を中和するのに必要な量の有機酸と香味を付与するための調味液とを耐熱性容器中に充填密封した後加熱することによって、調味され、加熱滅菌された容器充填調味コンニャク食品を製造できる。
(9)糊化物そのものを包装して商品化し、関連食品業界に業務用ゾルとして販売することができる。
また、生成した糊化物には、通常の方法でゲル化(凝固)してコンニャクに加工する方法が適用されてコンニャク利用食品が製造される。
本発明により、コンニャク粉と食品原料素材および/または調味料の混合における従来の問題点が改善できるとともに、これまでの技術では得ることができなかった、密度の高いボディーと、独特な物性を有するコンニャク食品の製造が可能となった。
製造された本発明のコンニャク利用食品は、密度の高いボディーを持ち、従来にない物性を有する食品として将来性のあるものである。ここで、密度の高いボディーとは、コンニャク粉以外の食品原料素材を多量に含有し、固形物含量が高く重量感のある状態にある食品のことである。
魚肉すり身の一部分を本発明の糊化物で置き換えるのは、糊化物に所定量の魚肉すり身を塩摺りして混合するのが有利である。糊化物を混合した後に通常の方法でゲル化(凝固)してコンニャクに加工することも、あらかじめゲル化(凝固)してコンニャクに加工したものを混合することも可能である。
例えば、かに蒲鉾などの魚肉練製品の製造方法としては、一般に魚肉すり身に調味料等を添加して調整、混練した後、これを帯状に成形し、得られた帯状中間製品の段階で蒸し機により高温水蒸気によって加熱し、その後、帯状中間製品に多数の切れ目(スリット)を入れるのが通常である。これまで加熱工程はすべて成形後に行うのが通常であったが、成形前に、すり身ポンプにて調味すり身を連続的にジュール加熱部に送り込み、2秒から5秒程度の時間で約30℃程度の温度まで加熱を行う方法もある。ジュール加熱装置にて加熱した場合は、急速加熱のため座りが起きる前に加熱がおわるため、すり身は固化せず粘りだけが増すからである。
すなわち、本発明のコンニャク含有食品は、従来公知の各種成形機を用いることにより、麺状、パイ生地状、ケーキ生地状、粒状、大小ブロック状などの種々の形状に成形することができる。
コンニャク粉6gと水100gを練り、練り始めて約2分間の間に、小麦粉30g、魚肉のすり身(業務用)70g、塩1.8gを水100gに混合したものをすりつぶしてから混合し、引き続き撹拌して完全な糊状態とした。
生成物を2時間放置熟成させた後、4.5%の水酸化カルシウム20gを加えることにより全体をゲル化(凝固)させた後、80℃で50分間加熱することにより、コンニャク利用かまぼこ、揚げかまぼこを製造した。このかまぼこのpHは10.1であったので、薄い乳酸水溶液中に浸漬し、かまぼこのpH値が5となるように脱アルカリ処理を施した。製品の品質、香味ともに良好な製品であるとの評定を得た。
実施例1と同様の原材料と配合割合でかまぼこの製造を行った。コンニャク粉、小麦粉、魚肉すり身、および塩を水中で同時に混合したところ、しっかりとしたのり状にはならなかった。生成した混合物は、コンニャク中のグルコマンナンと結合する水分が不足している状態であり、これに水酸化カルシウムを添加した後もゲル化が充分に行われず、生成物は弾力性、硬さが不足していたのでかまぼことしての利用はできなかった。
このボディーのタイプに対して、魚肉すり身、畜肉、野菜、果実等を混合したり、練り込むことによって、種々な新製品ができる。
生成物をそのままで試料となし、硬度、凝集性を測定した。凝集力は弾力と粘りを表し、硬度は歯ごたえを表し、数値が大きいほど弾力、粘り、歯ごたえが強いことを示す。これらの物性値は、テクスチュロメーターで測定した。測定した物性値および食感を総合的に検討して最適な用途について表1に示した。これらの試験により、本発明のコンニャク利用食品は、コンニャク粉および食品原料素材の添加量ならびに食品原料素材の種類に応じてその物性は、かまぼこ状、チーズ状、もち状とさまざまに変化するので広範囲な用途に適応できる新しい材料が創生されたことが判明した。
実施例2の表1に記載した原材料と配合量で調製した全材料を1度に混合したところ、充分な糊状にはなりにくく、均一な混合も難しく、また一部が粒状物として残った。生成物は、アルカリによるゲル化処理を施しても異常な状態を示したためいかなる種類の食品へも応用することはできなかった。
このかまぼこ状物中に残存するアルカリをpH5.0に中和・除去するのに必要な0.5mLの酢酸と、サラダタイプ調味液(酢酸0.2%、食塩3%、グルタミン酸ソーダ0.3%、ソルビトール17%を含有)100mLと、かまぼこ状物200gを耐熱性プラスチック袋に充填、シールした後、85℃、40分の加熱処理を行った。内容物は、アルカリが中和されるだけでなく、調味液による味付けが十分なされていた。
本発明により、コンニャク精粉と小麦粉などの水溶性の他の粉体と水との三成分の混練時に不均一化の問題が生じることがなく、従来にない独特の物性を有する食品を簡便に製造し提供することができる。そのため、低カロリーでヘルシーな食品、多繊維含有食品や、従来にない独特の食感を有する新しいコンニャク製品の開発に有用な技術を本発明は提供することができる。本発明の糊化物は、様々なコンニャク利用食品の製造に使用できる素材として食品業界に提供される。
Claims (21)
- コンニャク精粉を水または温湯で撹拌し、それらが糊化物となるまでの間に、吸水させた食品原料素材および/または調味料を添加し混合して糊化物とすることを特徴とする糊化物を製造する方法。
- 吸水させた食品原料素材および/または調味料が固体状、スラリー状、または液状材料である請求項1に記載の糊化物を製造する方法。
- コンニャク精粉1重量部から10重量部に対して水または温湯100重量部を配合する請求項1または2に記載の糊化物を製造する方法。
- コンニャク精粉および水または温湯の混合物100重量部に対して、吸水させた食品原料素材および/または調味料を2重量部から100重量部を配合する請求項1から3のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
- 糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させるコンニャク利用食品に用いるための糊化物である請求項1から4のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
- 食品原料素材が、穀粉、でんぷん類、食物タンパク類、多糖類、水溶性または難溶性繊維類、果実、野菜、魚肉および畜肉からなる群から選ばれた1種または2種以上の材料である請求項1から5のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
- 糊化物を冷凍する請求項1から6のいずれかに記載の糊化物を製造する方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする糊化物。
- 糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させるコンニャク利用食品に用いるための糊化物である請求項8に記載の糊化物。
- 糊化物が、アルカリ処理によりゲル化させる前または後に、さらに食品原料素材および/または調味料を配合したコンニャク利用食品を製造するための糊化物である請求項9に記載の糊化物。
- 製造するためのコンニャク利用食品が、かまぼこ様、チーズ様、麺様、ハンバーグ様、またはモチ様の物性を有する食品である請求項9または10に記載の糊化物。
- 請求項8から11のいずれかに記載の糊化物をアルカリ処理することによりゲル化させることを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
- 請求項8から11のいずれかに記載の糊化物に、さらに食品原料素材および/または調味料を配合し、その後アルカリ処理することによりゲル化させることを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
- 請求項8から11のいずれかに記載の糊化物をアルカリ処理によりゲル化させた後、さらに食品原料素材および/または調味料を配合することを特徴とするコンニャク利用食品の製造方法。
- 請求項12から14のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法において、ゲル化させた後、あるいはゲル化させ、その後さらに食品原料素材および/または調味料を配合した後、脱アルカリ処理するコンニャク利用食品の製造方法。
- 脱アルカリ処理が、酸性成分を含有または含有しない水と50℃〜120℃の温度下で接触させることによる請求項15に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
- 脱アルカリ処理の酸性成分が、有機酸、無機酸、または酸性成分を含む調味料である請求項16に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
- 脱アルカリ処理が、容器中で行われる請求項15から17のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法。
- 容器が、密封または開放容器である請求項18に記載のコンニャク利用食品の製造方法。
- 脱アルカリによりコンニャク利用食品のpHを3.5〜9.0に調整する請求項15から19のいずれかに記載のコンニャク利用食品の製造方法。
- 請求項12から20のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするコンニャク利用食品。
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