JP2018076036A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能と操縦安定性能とをバランス良く向上する、タイヤの提供。【解決手段】ショルダー領域4に、第1横溝7、第2横溝8及び第3横溝9が複数設けられたタイヤ1であり、第1横溝7は、クラウン主溝3からタイヤ軸方向外側に離間する内端7iから角度θ1の傾斜でのびる内側部分11と、角度θ2(<θ1)の傾斜でトレッド接地端Teを跨ぐようにのびる外側部分12とを含んでおり第2横溝8は、第1横溝7、7間に設けられ、クラウン主溝3からタイヤ軸方向外側に離間し、第1横溝7と同方向に傾斜し、かつ、外端8eがトレッド接地端Teを交わることなく終端しており、第3横溝9は、タイヤ周方向に隣接した第1横溝7、7間に設けられ、第2横溝8からタイヤ軸方向外側に離間してトレッド接地端Teを跨ぐようにのびている、タイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、排水性能と操縦安定性能とをバランス良く向上させたタイヤに関する。
従来、例えば、図4に示されるように、トレッド部gに、タイヤ周方向に連続する一対の主溝a、a、主溝aとトレッド接地端Teとを連通しかつタイヤ軸方向に対して傾斜してのびる傾斜溝b1、及び、主溝aやトレッド接地端Teに連通することなく傾斜してのびる傾斜溝b2具えたタイヤtが知られている。このようなタイヤは、主溝aや傾斜溝b1、b2が、トレッド踏面と路面との間の水膜をスムーズに排出するので、優れた排水性能を発揮し得る。
しかしながら、この種のタイヤtは、その陸部cに、主溝aと傾斜溝b1とで挟まれる鋭角状の第1コーナ部c1が形成される。また、傾斜溝b2に、図に示されるような屈曲状にのびる屈曲部dが設けられる場合、陸部cには、屈曲部dに挟まれる鋭角状の第2コーナ部c2が形成される。このような第1コーナ部c1及び第2コーナ部c2は、タイヤ加硫時、ゴムが溜まりやすい。従って、第1コーナ部c1及び第2コーナ部c2を有するタイヤtは、接地圧が不均一になるので、操縦安定性能が悪化しやすいという問題があった。
特開2015−131603号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、排水性能と操縦安定性能とをバランス良く向上し得るタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる一対のクラウン主溝と、前記クラウン主溝の両外側の領域である両ショルダー領域に設けられた複数の横溝とが設けられたタイヤであって、各ショルダー領域には、前記横溝として、第1横溝、第2横溝及び第3横溝がそれぞれ複数設けられており、前記各第1横溝は、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からタイヤ軸方向に対して角度θ1の傾斜でタイヤ軸方向外側にのびる内側部分と、タイヤ軸方向に対して角度θ2(<θ1)の傾斜でトレッド接地端を跨ぐようにのびる外側部分とを含み、前記各第2横溝は、タイヤ周方向に隣接した前記第1横溝間に設けられており、前記各第2横溝は、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端を有し、前記内端から前記第1横溝と同方向に傾斜してタイヤ軸方向外側にのび、かつ、外端がトレッド接地端を交わることなく終端し、前記各第3横溝は、タイヤ周方向に隣接した前記第1横溝間に設けられており、前記各第3横溝は、前記第2横溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からトレッド接地端を跨ぐようにのび、前記第3横溝は、前記第2横溝よりもトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さが小さいことを特徴とする。
本発明に係るタイヤは、前記第3横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ4が、前記第2横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ3よりも小さいのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記第2横溝の前記内端と前記クラウン主溝とのタイヤ軸方向の距離Bが、前記第1横溝の前記内端と前記クラウン主溝とのタイヤ軸方向の距離Aよりも小さいのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記第1横溝の溝縁、前記第2横溝の溝縁、及び、前記第3横溝の溝縁が、それぞれタイヤ軸方向に対して異なる角度で傾斜する複数の溝縁部を含み、平面視において、隣り合う前記溝縁部同士が形成する前記トレッド踏面側の角度は、全て90°以上であるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記内側部分と前記外側部分とで挟まれる角度が、160〜170°であるのが望ましい。
本発明のタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる一対のクラウン主溝と、クラウン主溝の両外側の領域である両ショルダー領域に複数の横溝とが設けられたタイヤである。タイヤ周方向に連続するクラウン主溝は、トレッド踏面と路面との間の水膜をスムーズに排出しうるので、排水性能を向上する。
各ショルダー領域の横溝は、第1横溝、第2横溝及び第3横溝を含み、それぞれ複数設けられている。各第1横溝は、クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からタイヤ軸方向に対して角度θ1の傾斜でタイヤ軸方向外側にのびる内側部分と、タイヤ軸方向に対して角度θ2(<θ1)の傾斜でトレッド接地端を跨ぐようにのびる外側部分とを含んでいる。第1横溝は、トレッド接地端側に外側部分を有しているので、旋回走行時の横力を利用して溝内の水をスムーズに排出しうる。さらに、第1横溝は、クラウン主溝と連通していないので、第1横溝とクラウン主溝とで挟まれる鋭角状のコーナ部が形成されない。これにより、タイヤ加硫時のゴム溜りが抑制されるので、接地圧の不均一が解消されるため、操縦安定性能が高く維持される。
各第2横溝は、タイヤ周方向に隣接した第1横溝間に設けられている。各第2横溝は、クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端を有し、内端から第1横溝と同方向に傾斜してタイヤ軸方向外側にのび、かつ、外端がトレッド接地端を交わることなく終端している。このような第2横溝も、クラウン主溝との間で鋭角状のコーナ部を形成するものではない。このため、操縦安定性能が高く維持される。また、トレッド踏面と路面との間の水膜を溝内に除去しうるので、排水性能を確保しうる。
各第3横溝は、タイヤ周方向に隣接した前記第1横溝間に設けられている。各第3横溝は、第2横溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からトレッド接地端を跨ぐようにのびている。このような第3横溝は、第2横溝との間に陸部を形成し、陸部の剛性低下を抑制するため、操縦安定性能を高く維持する。また、第3横溝は、トレッド踏面と路面との間の水膜をスムーズにトレッド接地端から排出しうるので、排水性能を向上する。
第3横溝は、第2横溝よりもトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さが小さく形成されている。このように、タイヤ軸方向の長さが小さい第3横溝が、第2横溝よりもトレッド接地端側に配されているので、旋回走行時、より大きな横力が作用するトレッド接地端側のショルダー領域の陸部の剛性が高く維持される。
従って、本発明のタイヤは、排水性能と操縦安定性能とがバランス良く向上する。
本発明の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。 図1の横溝の拡大図である。 図1の横溝の拡大図である。 従来例の実施形態を示すトレッド部の展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本発明は、例えば、乗用車用や重荷重用等の種々の空気入りタイヤ、及び、タイヤの内部に空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いられる。本実施形態のタイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤである。
図1に示されるように、トレッド部2は、タイヤ周方向に連続してのびる一対のクラウン主溝3、3が設けられている。これにより、トレッド部2は、クラウン主溝3の両外側の領域であるショルダー領域4、4と、クラウン主溝3、3間の領域であるクラウン領域5とが形成される。
クラウン主溝3は、本実施形態では、直線状にのびている。このようなクラウン主溝3は、溝内を通過する水への抵抗を小さくして、高い排水性能発揮させる。なお、クラウン主溝3は、このような態様に限定されるものではなく、緩やかな波状やジグザグ状にのびるものでも良い。また、一対のクラウン主溝3は、タイヤ赤道Caを中心として左右対称に配置されるのが望ましい。
クラウン主溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの5%〜15%であるのが望ましい。クラウン主溝3の溝深さ(図示省略)は、例えば、5〜12mm程度が望ましい。このようなクラウン主溝3は、排水性能を確保しつつ、陸部の剛性を高く維持して、優れた操縦安定性能を発揮する。
前記「トレッド幅TW」とは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められるトレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この正規状態において測定される値である。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"とする。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"とし、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
各ショルダー領域4、4には、それぞれ複数の横溝6が設けられている。横溝6は、本実施形態では、第1横溝7、第2横溝8、及び、第3横溝9を含んで構成されている。
第1横溝7、第2横溝8、及び、第3横溝9は、本実施形態では、円弧状にのびている。本実施形態の第1横溝7、第2横溝8、及び、第3横溝9は、それぞれタイヤ周方向の一方側(図では下側)に中心を有し、タイヤ周方向の他方側(図では上側)に凸となる円弧状で形成されている。これにより、ショルダー領域4は、その陸部の剛性が大きく維持される。なお、第1横溝7、第2横溝8、及び、第3横溝9は、このような態様に限定されるものではない。
各第1横溝7は、本実施形態では、クラウン主溝3からタイヤ軸方向外側に離間して位置するタイヤ軸方向の内端7i、及び、トレッド接地端Teのタイヤ軸方向外側に位置する外端7eを有している。これにより、第1横溝7は、トレッド踏面と路面との間の水膜をトレッド接地端Teから外側に効率的に排出し得る。また、第1横溝7の内端7iがクラウン主溝3から離間しているので、第1横溝7とクラウン主溝3との間には、これら溝3、7に挟まれる鋭角状のコーナ部(図示省略)が形成されることがない。従って、タイヤ加硫時、ゴム溜りの形成が抑制されるので、操縦安定性能が高く維持される。
内端7iがクラウン主溝3から大きく離間する場合、第1横溝7の長さが小さくなり、排水性能が悪化するおそれがある。このため、第1横溝7の内端7iとクラウン主溝3とのタイヤ軸方向の距離Aは、例えば、ショルダー領域4のタイヤ軸方向の幅Wsの15%〜35%であるのが望ましい。
第1横溝7は、本実施形態では、内端7iを有する内側部分11と外端7eを有する外側部分12とを含んでいる。
図2に示されるように、内側部分11は、内端7iからタイヤ軸方向に対して角度θ1の傾斜でタイヤ軸方向外側にのびている。外側部分12は、内側部分11の角度θ1よりも小さいタイヤ軸方向に対する角度θ2の傾斜でトレッド接地端Teを跨ぐようにのびている。このような外側部分12は、旋回走行時の大きな横力を利用して、第1横溝7内の水をスムーズに排出しうるので、排水性能を大きく向上する。また、内側部分11は、大きな接地圧の作用するショルダー領域4のタイヤ軸方向内側の陸部のタイヤ周方向剛性を大きく維持しうる。
本明細書では、第1横溝7の内側部分11の角度θ1及び外側部分12の角度θ2は、以下のように定義される。先ず、第1横溝7の溝縁Eにおいて、円弧の向きがタイヤ周方向に対していずれか一方を向いて連続してのびかつタイヤ軸方向の最大長さを有する溝縁部Eaが特定される。内側部分11の角度θ1は、溝縁部Eaのタイヤ軸方向の内端E1と、溝縁部Eaの長さの中間位置E3とを直線で継ぐ仮想線Ecのタイヤ軸方向に対する角度である。また、外側部分12の角度θ2は、溝縁部Eaのタイヤ軸方向の外端E2と、溝縁部Eaの長さの中間位置E3とを直線で継ぐ仮想線Edのタイヤ軸方向に対する角度である。
内側部分11の角度θ1は、25〜45°であるのが望ましい。外側部分12の角度θ2は、15〜40°であるのが望ましい。内側部分11の角度θ1が25°未満、又は、外側部分12の角度θ2が15°未満の場合、第1横溝7の実長さ、ひいては、溝容積が小さくなり、排水性能が悪化するおそれがある。内側部分11の角度θ1が45°を超える、又は、外側部分12の角度θ2が40°を超える場合、旋回時の横力を利用して、第1横溝7内の水をスムーズにトレッド接地端Teから排出できないおそれがある。
内側部分11と外側部分12とで挟まれる角度αは、160〜170°であるのが望ましい。角度αが160°未満の場合、内側部分11と外側部分12とで挟まれる領域に鋭角状のコーナ部が形成されやすくなり、タイヤ加硫時にゴム溜まりが形成されるので、操縦安定性能が悪化するおそれがある。角度αが170°を超える場合、第1横溝7が直線状になり、その長手方向の実長さが小さくなるので、排水性能が悪化するおそれがある。角度αは、本明細書では、仮想線Ecと仮想線Edとで挟まれる角度として、定義される。
図1に示されるように、第2横溝8は、本実施形態では、タイヤ周方向に隣接した第1横溝7、7間に設けられている。即ち、本実施形態の第2横溝8は、第1横溝7とタイヤ周方向で交互に設けられている。
第2横溝8は、ショルダー領域4内に配されるタイヤ軸方向の内端8i及びショルダー領域4内に配されるタイヤ軸方向の外端8eを有している。第2横溝8は、内端8iから第1横溝7と同方向に傾斜してタイヤ軸方向外側にのびている。これにより、第1横溝7と第2横溝8との間で、陸部のタイヤ周方向の剛性段差が小さく維持されるので、操縦安定性能が高められる。
第2横溝8の内端8iは、クラウン主溝3からタイヤ軸方向外側に離間している。これにより、第2横溝8とクラウン主溝3との間には、これら溝3、8に挟まれる鋭角状のコーナ部が形成されることがない。従って、タイヤ加硫時、ゴム溜りの形成が抑制されるので、操縦安定性能が高く維持される。
第2横溝8の内端8iとクラウン主溝3とのタイヤ軸方向の距離Bは、第1横溝7の前記距離Aよりも小さいのが望ましい。第2横溝8の外端8eはショルダー領域4内に配されるが、第1横溝7の外端7eはトレッド接地端Teよりも外側に配されるので、第2横溝8は第1横溝7に比して、タイヤ軸方向の長さL2が小さくなる傾向にある。このため、距離Bを距離Aよりも小さくすることにより、第2横溝8のタイヤ軸方向長さL2が大きく確保されるので、排水性能が向上する。距離Bが距離Aよりも過度に小さい場合、クラウン主溝3と第2横溝8とで挟まれる陸部の剛性が小さくなり、タイヤ加硫時、ゴム溜まりが生じ易くなるおそれがある。このため、距離Bは、好ましくは距離Aの35%〜65%である。
図2に示されるように、第2横溝8は、本実施形態では、タイヤ軸方向の内端8iを有する内側部分21と、タイヤ軸方向の外端8eを有する外側部分22とを含んでいる。第2横溝8の内側部分21は、本実施形態では、内端8iからタイヤ軸方向に対して角度θ3aの傾斜でタイヤ軸方向外側にのびている。第2横溝8の外側部分22は、本実施形態では、内側部分21の角度θ3aよりも小さいタイヤ軸方向に対する角度θ3bで傾斜している。
本明細書では、第2横溝8の内側部分21の角度θ3aと外側部分22の角度θ3bは、第1横溝7と同様に、第2横溝8の溝縁Eの最大長さの溝縁部Eaの内端E1、中間位置E3、外端E2で定義される。
横溝のタイヤ軸方向の長さが、ショルダー領域4のタイヤ軸方向の幅Wsの60%未満の場合、その横溝に作用する接地圧や旋回走行時の横力は、内側部分、及び外側部分において、大きな変化はない。このため、このような横溝においては、その傾斜の角度が、内側部分及び外側部分を合わせた横溝自体で特定されるのが望ましい。横溝自体の角度の特定は、タイヤ軸方向の最大長さを有する溝縁部Eaの内端E1と外端とE2とを直線で継ぐ仮想線Efで定義される。本実施形態では、第2横溝8のタイヤ軸方向の長さL2は、ショルダー領域4のタイヤ軸方向の幅Wsの60%未満である。従って、第2横溝8は、前記溝縁部Eaの内端E1と外端E2とを直線で継ぐ仮想線Efのタイヤ軸方向に対する角度θ3で特定される。
第2横溝8の角度θ3は、内側部分11の角度θ1よりも大きいのが望ましい。第2横溝8の内端8iが、第1横溝7の内端7i、即ち、内側部分11の内端11iよりもクラウン主溝3側に設けられている。これにより、第2横溝8の内端8iには、内側部分11の内端11iよりも大きな接地圧が作用する。このため、第2横溝8の角度θ3を内側部分11の角度θ1よりも大きくすることで、第2横溝8の周りの陸部のタイヤ周方向の剛性が大きく確保されるので、優れた操縦安定性能が発揮される。
第2横溝8の角度θ3は、30〜50°であるのが望ましい。第2横溝8の角度θ3が30度未満の場合、トレッド踏面と路面との間の水膜を排出し難いタイヤ赤道Ca側において、第2横溝8の実長さを大きくできず、水を効果的に溝内に集めることができず、排水性能が悪化するおそれがある。第2横溝8の角度θ3が50°を超える場合、第2横溝8のタイヤ軸方向の長さL2が小さくなり、かえってトレッド踏面の水膜を溝内に集めることができず、排水性能が悪化するおそれがある。
図1に示されるように、上述の作用を効果的に発揮させるために、第2横溝8のトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さL2は、例えば、第1横溝7の長さL1よりも小さいのが望ましく、さらに、ショルダー領域4のタイヤ軸方向の幅Wsの40%〜58%であるのが望ましい。
第2横溝8は、タイヤ周方向で隣り合う何れか一方の第1横溝7とタイヤ周方向で重複する重複部8aを有する。これにより、さらに、優れた排水性能が発揮される。
第3横溝9は、タイヤ周方向に隣接した第1横溝7、7間に設けられている。即ち、本実施形態の第3横溝9は、第1横溝7とタイヤ周方向で交互に設けられている。
第3横溝9は、タイヤ軸方向の内端9iとタイヤ軸方向の外端9eとを有している。第3横溝9は、内端9iからトレッド接地端Teを跨ぐようにのびている。このように、第3横溝9の外端9eは、本実施形態では、トレッド接地端Teのタイヤ軸方向の外側に位置している。このような第3横溝9も、第3横溝9内の水をトレッド接地端Teの外側へスムーズに排出させるので、排水性能を向上する。
第3横溝9の内端9iは、第2横溝8からタイヤ軸方向外側に離間して位置している。本実施形態では、内端9iは、第2横溝8の外端8eよりもタイヤ軸方向の外側に位置している。これにより、第1横溝7、7間のショルダー領域4の陸部の剛性が大きく確保されるので、操縦安定性能が高く維持される。
第3横溝9のトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さL3は、第2横溝8の長さL2よりも小さく形成されている。即ち、タイヤ軸方向の長さが小さい第3横溝9が、第2横溝8よりもトレッド接地端Te側に配されている。このため、旋回走行時、より大きな横力が作用するトレッド接地端Te側のショルダー領域4の陸部の剛性が高く維持されるので、操縦安定性能が向上する。このような観点より、第3横溝9の長さL3は、第2横溝8の長さL2の20%〜30%であるのが望ましい。
第3横溝9の内端9iと第2横溝8の外端8eとのタイヤ軸方向の距離Cは、前記距離Bよりも大きいのが望ましい。これにより、旋回走行時、大きな横力が作用するトレッド接地端Te側の陸部の剛性を高く維持できるので、操縦安定性能が向上する。距離Cが過度に大きい場合、第3横溝9のトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さL3、又は、第2横溝8のタイヤ軸方向の長さL2が小さくなり、排水性能が悪化するおそれがある。このため、距離Cは、距離Bの1.2〜1.8倍が望ましい。
上述の作用を効果的に発揮させるために、距離Cは、第3横溝9のタイヤ軸方向の長さL3よりも大きいのが望ましく、さらに、第3横溝9の長さL3の1.1〜1.7倍が望ましい。
第3横溝9の内端9iと第2横溝8の外端8eとのタイヤ周方向の距離Dは、第2横溝8のタイヤ周方向の長さLbの4%〜12%であるのが望ましい。距離Dが、第2横溝8の長さLbの4%未満の場合、第3横溝9と第2横溝8との間の陸部の剛性が小さくなり、操縦安定性能が悪化するおそれがある。距離Dが第2横溝8の長さLbの12%を超える場合、第1横溝7と第3横溝9とが近くに配されるので、第1横溝7と第3横溝9との間の陸部のタイヤ周方向の剛性が小さくなるおそれがある。
図2に示されるように、第3横溝9は、本実施形態では、タイヤ軸方向の内端9iを有する内側部分31と、タイヤ軸方向の外端9eを有する外側部分32とを含んでいる。第3横溝9の内側部分31は、本実施形態では、内端9iからタイヤ軸方向に対して角度θ4aの傾斜でタイヤ軸方向外側にのびている。第3横溝9の外側部分32は、本実施形態では、内側部分31の角度θ4aよりも小さいタイヤ軸方向に対する角度θ4bで傾斜している。第3横溝9の内側部分31の角度θ4aと外側部分32の角度θ4bも、第1横溝7と同様に、第3横溝9の溝縁Eの最大長さの溝縁部Eaの内端E1、中間位置E3、外端E2で特定される。
第3横溝9は、本実施形態では、トレッド踏面上のタイヤ軸方向の長さL3(図1に示す)が、ショルダー領域4のタイヤ軸方向の幅Wsの60%未満である。このため、第3横溝9は、前記溝縁部Eaの内端E1と外端E2とを直線で継ぐ仮想線Efのタイヤ軸方向に対する角度θ4で定義される。
第3横溝9のタイヤ軸方向に対する角度θ4は、第2横溝8のタイヤ軸方向に対する角度θ3よりも小さいのが望ましい。これにより、トレッド接地端Te側の陸部のタイヤ周方向の剛性が大きく維持されるので、一層、操縦安定性能が向上する。また、第3横溝9内の水が、旋回走行時、横力を利用して、スムーズに排出される。このような観点より、第3横溝9の角度θ4は、25度以下が望ましい。
図3に示されるように、本実施形態では、横溝6のそれぞれの第1横溝7乃至第3横溝9の溝縁Eが以下のように規定されるのが望ましい。第1横溝7の溝縁Eは、タイヤ軸方向に対して異なる角度で傾斜する複数の溝縁部15、16…を含んでいる。第1横溝7に設けられる隣接する溝縁部15、16…同士で形成されるトレッド踏面側の角度β1、β2、β3、β4、…は、全て90°以上であるのが望ましい。換言すると、第1横溝7の周囲の陸部は、第1横溝7の隣り合う溝縁部15、16…同士によって90°以上の大きさの角度β1、β2…を有する陸部部分で形成され、90°未満となる鋭角状のコーナ部が形成されない。これにより、第1横溝7の周囲の陸部は、タイヤ加硫時、ゴム溜まりの形成が抑制されるので、優れた操縦安定性能が発揮される。第2横溝8の溝縁E、及び、第3横溝9の溝縁Eも第1横溝7の溝縁Eと同じように、隣接する溝縁部15、16…同士で形成されるトレッド踏面側の角度β1、β2、β3、β4、…が、全て90°以上で形成し得るのが望ましい。
上述のような作用効果は、とりわけ、トレッド踏面上の溝縁Etにおける溝縁部で発揮される。
図1に示されるように、第1横溝7のトレッド踏面上での溝幅W2は、第2横溝8のトレッド踏面上での溝幅W3よりも大きいのが望ましい。第2横溝8のトレッド踏面上での溝幅W3は、第3横溝9のトレッド踏面上での溝幅W4よりも大きいのが望ましい。第1横溝7の溝幅W2は、例えば、クラウン主溝3の溝幅W1の60%〜80%であるのが望ましい。第2横溝8の溝幅W3は、例えば、クラウン主溝3の溝幅W1の50%〜70%であるのが望ましい。第3横溝9の溝幅W4は、例えば、クラウン主溝3の溝幅W1の30%〜50%であるのが望ましい。各横溝7乃至9の溝幅W2乃至W4は、長手に対する直角方向の最大幅で特定される。
クラウン領域5は、本実施形態では、溝やサイプの設けられないプレーンリブとして形成されている。特に限定されるものではないが、クラウン領域5の陸部の剛性を高めて、直進安定性能を高めるために、クラウン領域5のタイヤ軸方向の幅Wcは、トレッド幅TWの10%〜20%であるのが望ましい。
以上、本発明のタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。
図1の基本パターンを有するサイズ245/40R18のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの排水性能及び操縦安定性能がテストされた。各試供タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
各比較例及び各実施例は、ショルダー領域、及び、クラウン領域のそれぞれのランド比、及び、溝容積が同じになるように溝幅及び溝深さが調整されている。
各比較例及び各実施例は、クラウン主溝の溝幅W1>第1横溝の溝幅W2>第2横溝の溝幅W3>第3横溝の溝幅W4を充足する。
距離A/ショルダー領域4の幅Ws:20%
第3横溝の長さL3/ショルダー領域の幅Ws:12.5%
従来例の角度αは、傾斜溝b2の角度である。
<操縦安定性能・排水性能>
試供タイヤが、下記の条件にて、乗用車の全輪に装着された。そして、テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコース、及び、水深3mmのウェットアスファルト路面のテストコースを走行させ、このときの、トラクション性能、及び、旋回性能に関する走行特性がテストドライバーの官能により評価された。結果は、従来例を100とする評点で表示されている。数値が大きい程、良好である。
車両:排気量2000ccの4WD車
内圧:230kPa
テストの結果が表1に示される。
Figure 2018076036
Figure 2018076036
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて各性能がバランス良く向上していることが確認できる。また、タイヤサイズを変化させてテストを行ったが、このテスト結果と同じであった。
1 タイヤ
3 クラウン主溝
4 ショルダー領域
7 第1横溝
7i 内端
8 第2横溝
8e 外端
9 第3横溝
11 内側部分
12 外側部分
Te トレッド接地端

Claims (5)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる一対のクラウン主溝と、前記クラウン主溝の両外側の領域である両ショルダー領域に設けられた複数の横溝とが設けられたタイヤであって、
    各ショルダー領域には、前記横溝として、第1横溝、第2横溝及び第3横溝がそれぞれ複数設けられており、
    前記各第1横溝は、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からタイヤ軸方向に対して角度θ1の傾斜でタイヤ軸方向外側にのびる内側部分と、タイヤ軸方向に対して角度θ2(<θ1)の傾斜でトレッド接地端を跨ぐようにのびる外側部分とを含み、
    前記各第2横溝は、タイヤ周方向に隣接した前記第1横溝間に設けられており、
    前記各第2横溝は、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端を有し、前記内端から前記第1横溝と同方向に傾斜してタイヤ軸方向外側にのび、かつ、外端がトレッド接地端を交わることなく終端し、
    前記各第3横溝は、タイヤ周方向に隣接した前記第1横溝間に設けられており、
    前記各第3横溝は、前記第2横溝からタイヤ軸方向外側に離間して位置する内端からトレッド接地端を跨ぐようにのび、
    前記第3横溝は、前記第2横溝よりもトレッド踏面上でのタイヤ軸方向の長さが小さいことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記第3横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ4は、前記第2横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ3よりも小さい請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記第2横溝の前記内端と前記クラウン主溝とのタイヤ軸方向の距離Bは、前記第1横溝の前記内端と前記クラウン主溝とのタイヤ軸方向の距離Aよりも小さい請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記第1横溝の溝縁、前記第2横溝の溝縁、及び、前記第3横溝の溝縁は、それぞれタイヤ軸方向に対して異なる角度で傾斜する複数の溝縁部を含み、
    平面視において、隣り合う前記溝縁部同士が形成する前記トレッド踏面側の角度は、全て90°以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記内側部分と前記外側部分とで挟まれる角度は、160〜170°である請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ。
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