以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
(1)冷凍装置100
図1は、本発明の一実施形態に係る熱源ユニット2が用いられた冷凍装置100の概略構成図である。冷凍装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内等の利用側空間の冷却を行う装置である。
冷凍装置100は、主として、熱源ユニット2と、複数(ここでは2台)の利用ユニット(第1利用ユニット50、第2利用ユニット60)と、熱源ユニット2と第1利用ユニット50、第2利用ユニット60とを接続する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7と、利用ユニットに関する制御装置、入力装置および表示装置としての利用ユニット制御部56(第1利用ユニット制御部57、第2利用ユニット制御部67、第1リモコン50a、および第2リモコン60aを含む)と、熱源ユニットに関する制御装置、入力装置および表示装置としての熱源ユニット制御部20と、を有している。
ここで、本実施形態においては、熱源ユニット2と、利用ユニット(第1利用ユニット50、第2利用ユニット60)とは、通信可能な構成とはされていない。すなわち、熱源ユニット2のコントローラ70は、利用ユニット制御部56とは通信可能に構成されておらず、後述する第1利用側膨張弁54の弁開度や第2利用側膨張弁64の弁開度を利用ユニットとの通信により把握することはできない。
冷凍装置100では、1台の熱源ユニット2に対して、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して、第1利用ユニット50と第2利用ユニット60とが互いに並列に接続されることで、冷媒回路10が構成されている。冷凍装置100では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒としてR32が充填されている。
(1−1)熱源ユニット2
熱源ユニット2は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して第1利用ユニット50および第2利用ユニット60が並列に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。熱源ユニット2は、主として、圧縮機21と、油分離器23、四路切換弁24と、熱源側熱交換器25と、熱源側ファン45と、レシーバ27と、過冷却器31と、熱源側膨張弁28と、インジェクション管30と、過冷却膨張弁32と、インジェクション弁33と、油戻し管38と、油戻し弁39と、第1分岐管34と、第2分岐管36と、液側閉鎖弁48と、ガス側閉鎖弁49と、を有している。
また、熱源ユニット2は、圧縮機21の吐出側から四路切換弁24の接続ポートの1つを接続しており途中に油分離器23が設けられている吐出側配管41と、圧縮機21の吸入側から四路切換弁24の接続ポートの1つとを接続する吸入側配管42と、熱源側熱交換器25の液側とレシーバ27とを接続する第1熱源液側配管43と、レシーバ27の熱源側熱交換器25側とは反対側の端部と液側閉鎖弁48とを接続する第2熱源液側配管44と、を有している。
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。特に限定されないが、本実施形態の圧縮機21は、互いに並列に接続された第1圧縮機21aと、第2圧縮機21bと、第3圧縮機21cと、によって構成されている。これらの第1圧縮機21a、第2圧縮機21bおよび第3圧縮機21cは、本実施形態では、いずれも全密閉式高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。このうち、第1圧縮機21aは、容量可変(回転数が可変)の圧縮機であり、インバータが設けられている。第2圧縮機21bおよび第3圧縮機21cは、容量固定(回転数が固定)の圧縮機であり、インバータは設けられていない。
第1圧縮機21a、第2圧縮機21b、第3圧縮機21cのそれぞれの吸入側には、個別吸入管が接続されている。これらの個別吸入管は、最上流側において1つにまとまっている。これらの個別吸入管の最上流側のまとまった箇所と、四路切換弁24とは、吸入側配管42によって接続されている。
第1圧縮機21a、第2圧縮機21b、第3圧縮機21cのそれぞれの吐出側には、個別吐出管が接続されている。これらの個別吐出管は、最下流側において1つにまとまっている。これらの個別吐出管の最下流側のまとまった箇所と、四路切換弁24とは、吐出側配管41によって接続されている。なお、第1圧縮機21aの吐出側には、吐出流れのみを許容する逆止弁22aが設けられている。第2圧縮機21bの吐出側にも同様に、吐出流れのみを許容する逆止弁22bが設けられており、第3圧縮機21cの吐出側にも同様に、吐出流れのみを許容する逆止弁22cが設けられている。
油分離器23は、圧縮機21から吐出された冷媒から主として冷凍機油を分離するための容器であり、吐出側配管41の途中に設けられている。この油分離器23は、圧縮機21を構成する複数の圧縮機である第1圧縮機21aと第2圧縮機21bと第3圧縮機21cから吐出された流体(冷媒と冷凍機油を含む)をまとめて流入させ、主として冷凍機油を分離する(なお、運転状況によってはガス冷媒も多少混ざり込む)。このため、例えば、第1圧縮機21aと第2圧縮機21bと第3圧縮機21cとのそれぞれの吐出側に1対1で対応させるように設けられる油分離器と比べると、本実施形態の油分離器23は容量が大きいものとなっている。
この吐出側配管41の途中に設けられた油分離器23からは、油戻し管38が分岐するようにして延び出している。この油戻し管38の他端は、後述するインジェクション管30の途中であって、過冷却器31と第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zとの間に接続されている。また、油戻し管38の途中には、弁開度を制御可能な電子膨張弁によって構成された油戻し弁39が設けられている。
四路切換弁24は、吐出側配管41の下流側端部に接続されている。この四路切換弁24は、接続状態を切り換えることにより、圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器25とが接続されてガス側閉鎖弁49と圧縮機21の吸入側とが接続された冷却運転状態と、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁49とが接続されて熱源側熱交換器25と圧縮機21の吸入側とが接続された加温運転状態と、を切り換えることが可能になっている。
熱源側熱交換器25は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器として機能すると共に、低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器25は、一端が四路切換弁24側から伸びた冷媒配管に接続されており、他端が第1熱源液側配管43に接続されている。
熱源側ファン45は、熱源ユニット2内に庫外空気(熱源側空気)を取り込んで、熱源側熱交換器25において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出させるための空気流れを形成する。熱源側ファン45は、熱源側ファンモータM45によって回転駆動される。熱源側ファン45の風量は、熱源側ファンモータM45の回転数を調節することにより制御される。
第1熱源液側配管43の途中には、熱源側熱交換器25側からレシーバ27側に向かう冷媒流れのみを許容する第1熱源液側逆止弁26が設けられている。
レシーバ27は、冷媒を一時的に溜める容器であり、第1熱源液側配管43の熱源側熱交換器25側とは反対側に設けられている。ここで、第1熱源液側配管43は、レシーバ27の上方における気相部分に接続されている。
熱源側膨張弁28は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、第2熱源液側配管44に(より詳細には過冷却器31の下流側の部分に)配置されている。
過冷却器31は、レシーバ27において一時的に溜められた冷媒を第1、第2利用ユニット50、60に送る前にさらに冷却する熱交換器であり、第2熱源液側配管44のレシーバ27と熱源側膨張弁28との間に配置されている。
インジェクション管30は、第2熱源液側配管44の過冷却器31と熱源側膨張弁28との間から分岐するように伸び出しており、圧縮機21の圧縮工程の途中に接続されている。
過冷却膨張弁32は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、インジェクション管30の途中であって、過冷却器31よりも上流側に設けられている。過冷却器31では、レシーバ27から流れ出た第2熱源液側配管44を流れる冷媒と、インジェクション管30を流れる冷媒であって過冷却膨張弁32によって減圧された冷媒と、の間で熱交換が行われる。これにより、第2熱源液側配管44を流れる冷媒は過冷却されて、熱源側膨張弁28に向けて流れる。他方、インジェクション管30において過冷却器31を通過した冷媒は、さらにインジェクション管30の下流側に向けて流れる。
インジェクション管30における油戻し管38との合流部分よりもさらに下流側(圧縮機21側)は、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zを介して、圧縮機21まで伸びている。具体的には、インジェクション管30における油戻し管38との合流部分よりもさらに下流側(圧縮機21側)は、第1圧縮機21aの圧縮工程の途中に合流するように流れる第1インジェクション分流管33xと、第2圧縮機21bの圧縮工程の途中に合流するように流れる第2インジェクション分流管33yと、第3圧縮機21cの圧縮工程の途中に合流するように流れる第3インジェクション分流管33zと、に分岐している。
インジェクション弁33は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、インジェクション管30における第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zの途中にそれぞれ設けられている。具体的には、第1インジェクション分流管33xの途中には第1インジェクション弁33aが設けられ、第2インジェクション分流管33yの途中には第2インジェクション弁33bが設けられ、第3インジェクション分流管33zの途中には第3インジェクション弁33cが設けられている。
第2熱源液側配管44には、熱源側膨張弁28と液側閉鎖弁48との間において、熱源側膨張弁28側から液側閉鎖弁48側に向かう冷媒流れのみを許容する第2熱源液側逆止弁29が設けられている。
第1分岐管34は、第2熱源液側配管44の途中であって、第2熱源液側逆止弁29と液側閉鎖弁48との間から分岐し、第1熱源液側配管43の途中であって第1熱源液側逆止弁26とレシーバ27との間の部分に合流するように設けられた冷媒配管である。この第1分岐管34の途中には、第2熱源液側配管44側から第1熱源液側配管43側に向かう冷媒流れのみを許容する第1分岐逆止弁35が設けられている。
第2分岐管36は、第2熱源液側配管44の途中であって、熱源側膨張弁28と第2熱源液側逆止弁29との間から分岐し、第1熱源液側配管43の途中であって熱源側熱交換器25と第1熱源液側逆止弁26との間の部分に合流するように設けられた冷媒配管である。この第2分岐管36の途中には、第2熱源液側配管44側から第1熱源液側配管43側に向かう冷媒流れのみを許容する第2分岐逆止弁37が設けられている。
液側閉鎖弁48は、第2熱源液側配管44と液側冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。
ガス側閉鎖弁49は、四路切換弁24から伸びる配管とガス側冷媒連絡配管7との接続部分に配置された手動弁である。
熱源ユニット2には、各種センサが配置されている。具体的には、吸入側配管42には、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力である吸入圧力を検出する低圧センサ40aが設けられている。また、第1圧縮機21aの個別吐出管の途中には、圧縮機21の吐出側における冷媒の圧力である吐出圧力を検出する高圧センサ40cが設けられている。さらに、インジェクション管30の途中であって、インジェクション管30と油戻し管38との合流部分と、過冷却器31と、の間には、冷凍サイクルにおける中間圧力を検出する中間圧センサ40bが設けられている。さらに、熱源側熱交換器25又は熱源側ファン45の周辺には、熱源ユニット2内に吸入される熱源側空気の温度を検出する熱源側空気温度センサ46が配置されている。そして、圧縮機21から吐出された冷媒の温度を検知するための吐出温度センサ47aが、吐出側配管41の途中(本実施形態では油分離器23の上流側であって、第1圧縮機21aと第2圧縮機21bと第3圧縮機21cの吐出冷媒の合流後の位置)に設けられている。また、四路切換弁24から圧縮機21の吸入側の間を流れる冷媒の温度を検知する吸入温度センサ47bが設けられている。
熱源ユニット2は、熱源ユニット2を構成する各部の動作を制御する熱源ユニット制御部20を有している。熱源ユニット制御部20は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。熱源ユニット制御部20は、各利用ユニット50の利用ユニット制御部57、67とは通信線での接続が行われておらず、利用ユニット制御部56との制御信号等の送受信は行えない。
(1−2)第1利用ユニット50
第1利用ユニット50は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して熱源ユニット2と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
第1利用ユニット50は、第1利用側膨張弁54と、第1利用側熱交換器52と、を有している。また、第1利用ユニット50は、第1利用側熱交換器52の液側端と液側冷媒連絡配管6とを接続する第1利用側液冷媒管59と、第1利用側熱交換器52のガス側端とガス側冷媒連絡配管7とを接続する第1利用側ガス冷媒管58と、を有している。
第1利用側膨張弁54は、第1利用側熱交換器52のガス側冷媒連絡配管7側に設けられた第1感温筒54aを有する感温式自動膨張弁(機械式膨張弁)である。第1利用側膨張弁54は、第1利用側熱交換器52のガス側冷媒連絡配管7側を流れる冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように、自動で弁開度が調節される。
第1利用側熱交換器52は、冷凍サイクルにおける冷却運転時には低圧の冷媒の蒸発器として機能して庫内空気(利用側空気)を冷却し、デフロスト運転等の加温運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。
ここで、第1利用ユニット50は、第1利用ユニット50内に利用側空気を吸入して、第1利用側熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、利用側空間に供給するための第1利用側ファン53を有している。第1利用側ファン53は、第1利用側熱交換器52を流れる冷媒の加熱源としての利用側空気を第1利用側熱交換器52に供給するためのファンである。第1利用側ファン53は、第1利用側ファンモータM53によって回転駆動される。
また、第1利用ユニット50は、第1利用ユニット50を構成する各部の動作を制御する第1利用ユニット制御部57を有している。第1利用ユニット制御部57は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。第1利用ユニット制御部57は、熱源ユニット制御部20とは通信線を介して接続が行われておらず、熱源ユニット制御部20との制御信号等の送受信は行えない。
(1−3)第2利用ユニット60
第2利用ユニット60は、第1利用ユニット50と同様の構成であり、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して熱源ユニット2と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。この第2利用ユニット60は、第1利用ユニット50に対して並列に接続されている。
第2利用ユニット60は、第2利用側膨張弁64と、第2利用側熱交換器62と、を有している。また、第2利用ユニット60は、第2利用側熱交換器62の液側端と液側冷媒連絡配管6とを接続する第2利用側液冷媒管69と、第2利用側熱交換器62のガス側端とガス側冷媒連絡配管7とを接続する第2利用側ガス冷媒管68と、を有している。
第2利用側膨張弁64は、第2利用側熱交換器62のガス側冷媒連絡配管7側に設けられた第2感温筒64aを有する感温式自動膨張弁(機械式膨張弁)である。第2利用側膨張弁64は、第2利用側熱交換器62のガス側冷媒連絡配管7側を流れる冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように、自動で弁開度が調節される。
第2利用側熱交換器62は、冷凍サイクルにおける冷却運転時には低圧の冷媒の蒸発器として機能して庫内空気(利用側空気)を冷却し、デフロスト運転等の加温運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。
ここで、第2利用ユニット60も、第1利用ユニット50と同様に、第2利用側ファンモータM63によって回転駆動される第2利用側ファン63を有している。
また、第2利用ユニット60は、第2利用ユニット60を構成する各部の動作を制御する第2利用ユニット制御部67を有している。第2利用ユニット制御部67は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。第2利用ユニット制御部67は、熱源ユニット制御部20とは通信線を介して接続が行われておらず、熱源ユニット制御部20との制御信号等の送受信は行えない。
(1−4)第1リモコン50a、第2リモコン60a
第1リモコン50aは、第1利用ユニット50のユーザが冷凍装置100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力するための入力装置である。また、第1リモコン50aは、冷凍装置100の運転状態や所定の報知情報を表示するための表示装置としても機能する。第1リモコン50aは、第1利用ユニット制御部57と通信線を介して接続されており、相互に信号の送受信を行っている。
第2リモコン60aも、第1リモコン50aと同様であり、第2利用ユニット60のユーザが冷凍装置100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力するための入力装置、表示装置である。第2リモコン60aは、第2利用ユニット制御部67と通信線を介して接続されており、相互に信号の送受信を行っている。
(2)利用ユニット制御部56の詳細
利用ユニット制御部56は、第1利用ユニット制御部57と第2利用ユニット制御部67とを有している。
第1利用ユニット制御部57は、第1リモコン50aからの指示等を受け付けて第1利用ユニットの制御を行う。具体的には、第1利用ユニット制御部57は、第1利用側ファン53の駆動制御等を行う。
第2利用ユニット制御部67も、第1利用ユニット制御部57と同様であり、第2リモコン60aからの指示等を受け付けて第2利用ユニットの制御を行う。具体的には、第2利用ユニット制御部67は、第2利用側ファン63の駆動制御等を行う。
(3)熱源ユニット制御部20の詳細
図2は、熱源ユニット制御部20の概略構成と、熱源ユニット制御部20に接続される各部と、を模式的に示したブロック図である。
熱源ユニット制御部20は、複数の制御モードを有し、遷移している制御モードに応じて熱源ユニット2を制御することにより、冷凍装置100の運転を制御する。例えば、熱源ユニット制御部20は、制御モードとして、平常時に行われる冷却運転モードと、逆サイクルデフロスト時に行われる加温運転モードと、を有している。
熱源ユニット制御部20は、熱源ユニット2に含まれる各アクチュエータ(具体的には、圧縮機21、四路切換弁24、熱源側膨張弁28、過冷却膨張弁32、インジェクション弁33、油戻し弁39、および熱源側ファン45(熱源側ファンモータM45))と、各種センサ(低圧センサ40a、中間圧センサ40b、高圧センサ40c、および熱源側空気温度センサ46、吐出温度センサ47a、吸入温度センサ47b等)と、電気的に接続されている。
熱源ユニット制御部20は、主として、記憶部20aと、通信部20bと、モード制御部20cと、アクチュエータ制御部20dと、表示制御部20eと、を有している。
(3−1)記憶部20a
記憶部20aは、例えば、ROM、RAM、およびフラッシュメモリ等で構成されており、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域を含む。記憶部20aには、熱源ユニット制御部20の各部における処理を定義した制御プログラムが格納されている。また、記憶部20aは、熱源ユニット制御部20の各部によって、所定の情報(例えば、各センサの検出値等)を、所定の記憶領域に適宜格納される。
(3−2)通信部20b
通信部20bは、熱源ユニット制御部20に接続される各機器と、信号の送受信を行うための通信インターフェースとしての役割を果たす機能部である。通信部20bは、アクチュエータ制御部20dからの依頼を受けて、指定されたアクチュエータに所定の信号を送信する。また、通信部20bは、各種センサからの信号を受けて、記憶部20aの所定の記憶領域に格納する。
(3−3)モード制御部20c
モード制御部20cは、制御モードの切り換え等を行う機能部である。モード制御部20cは、第1、第2利用側熱交換器52、62における霜の付着に関する加温運転開始条件が満たされていない状態で運転を行う場合には、冷却運転モードとする。また、モード制御部20cは、冷却運転モードにおいて、加温運転開始条件が満たされた場合には、加温運転モードに切り換える。
(3−4)アクチュエータ制御部20d
アクチュエータ制御部20dは、制御プログラムに沿って、状況に応じて、熱源ユニット2に含まれる各アクチュエータ(例えば圧縮機21等)の動作を制御する。
アクチュエータ制御部20dは、冷却運転モード時には、四路切換弁24の接続状態を圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器25とが接続されてガス側閉鎖弁49と圧縮機21の吸入側とが接続された状態として、熱源側膨張弁28が全開状態となるように制御しつつ、設定温度や各種センサの検出値等に応じて、圧縮機21の回転数、熱源側ファン45、過冷却膨張弁32の開度、油戻し弁39の開度、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度等をリアルタイムに制御する。なお、冷却運転モード実行中は、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cは、いずれも全閉状態以外の状態に制御される。
また、アクチュエータ制御部20dは、加温運転モード時には、四路切換弁24の接続状態を圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁49とが接続されて熱源側熱交換器25と圧縮機21の吸入側とが接続された状態として、過冷却膨張弁32は全閉状態となるように制御し、各種センサの検出値等に応じて、圧縮機21の回転数、熱源側ファン45、熱源側膨張弁28の開度、油戻し弁39の開度、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度等をリアルタイムに制御する。なお、加温運転モード実行中においても、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cは、いずれも全閉状態以外の状態に制御される。
ここで、冷却運転モードにおける圧縮機21の起動時、および加温運転モードから冷却運転モードへの復帰時には、アクチュエータ制御部20dは、熱源側膨張弁28の弁開度を制御することで圧縮機21の吸入湿り抑制制御を行う。
また、冷却運転モードにおける圧縮機21の起動時が終了した場合には、アクチュエータ制御部20dは、熱源側膨張弁28の弁開度を全開に制御する。
さらに、加温運転モードでは、アクチュエータ制御部20dは、圧縮機21の吸入する冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように、熱源側膨張弁28の弁開度を制御する。
(3−5)表示制御部20e
表示制御部20eは、熱源ユニット制御部20における表示外面に各種情報を表示出力する。
(4)冷却運転モードの冷媒の流れ
以下、冷却運転モードにおける起動時後の冷媒回路10における冷媒の流れについて説明する。
冷凍装置100では、運転時に、冷媒回路10に充填された冷媒が、主として、圧縮機21、熱源側熱交換器25、レシーバ27、過冷却器31、熱源側膨張弁28、利用側膨張弁54、64、利用側熱交換器52、62の順に循環する冷却運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
冷却運転時は、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。ここで、冷凍サイクルにおける低圧は、低圧センサ40aによって検出される吸入圧力であり、冷凍サイクルにおける高圧は、高圧センサ40cによって検出される吐出圧力であり、冷凍サイクルにおける中間圧は、中間圧センサ40bによって検出される吐出圧力である。
圧縮機21では、第1利用ユニット50および第2利用ユニット60における冷却負荷を処理できるように容量制御が行われる。特に限定されないが、例えば、吸入圧力が所定の目標値となるように圧縮機21の回転数が制御される。
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出側配管41を経て、熱源側熱交換器25のガス側端に流入する。ここで、吐出側配管41の途中に設けられた油分離器23は、圧縮機21から吐出された冷媒から冷凍機油を分離し、油戻し管38側に導く。なお、油戻し弁39は、圧縮機21からの油上がり量と同じ通過循環量を実現できる開度となるように弁開度が制御される。
熱源側熱交換器25のガス側端に流入したガス冷媒は、熱源側熱交換器25において、熱源側ファン45によって供給される熱源側空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、液冷媒となって熱源側熱交換器25の液側端から流出する。
熱源側熱交換器25の液側端から流出した液冷媒は、第2分岐管36側に分岐して流れることなく、第1熱源液側配管43および第1熱源液側逆止弁26を通過して、レシーバ27の入口に流入する。レシーバ27に流入した液冷媒は、レシーバ27において飽和状態の液冷媒として一時的に溜められた後に、レシーバ27の出口から流出する。
レシーバ27の出口から流出した液冷媒は、第2熱源液側配管44を流れて過冷却器31に流入する。
過冷却器31に流入した液冷媒は、過冷却器31において、インジェクション管30を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態の液冷媒になり、過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出する。なお、ここで、過冷却膨張弁32の弁開度は、コントローラ70によって、過冷却器31から熱源側膨張弁28に向けて流れる冷媒が所定の正の過冷却度を有するようにしつつ、中間圧センサの検知値が所定の中間圧条件を満たすように制御される。
過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出した液冷媒は、第2熱源液側配管44における過冷却器31と熱源側膨張弁28との間の部分を経て、熱源側膨張弁28に流入する。このとき、過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出した液冷媒の一部は、第2熱源液側配管44における過冷却器31と熱源側膨張弁28との間の部分から分岐しているインジェクション管30に向けて流れるようになっている。
インジェクション管30を流れる冷媒は、過冷却膨張弁32によって冷凍サイクルにおける中間圧になるまで減圧される。過冷却膨張弁32によって減圧された後のインジェクション管30を流れる冷媒は、過冷却器31のインジェクション管30側の入口に流入する。過冷却器31のインジェクション管30側の入口に流入した冷媒は、過冷却器31において、第2熱源液側配管44側を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されてガス冷媒になる。そして、過冷却器31において加熱された冷媒は、インジェクション管30の下流側まで流れ、油戻し管38を介して流れてきた冷凍機油と合流することで混合され、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zにそれぞれ分流されて、第1〜第3圧縮機21a、21b、21cの圧縮工程の途中に合流する。ここで、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zを流れる冷媒量は、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度によって調整される。
熱源側膨張弁28は、冷却運転モードにおける起動時終了後は全開状態に制御されているため、第2熱源液側配管44から熱源側膨張弁28に流入した液冷媒は、減圧されることなく熱源側膨張弁28を通過し、その後に、液側閉鎖弁48、および液側冷媒連絡配管6を経て、運転中の第1利用ユニット50および第2利用ユニット60に流入する。
第1利用ユニット50に流入した冷媒は、第1利用側液冷媒管59の一部を経て、第1利用側膨張弁54に流入する。第1利用側膨張弁54に流入した冷媒は、第1利用側膨張弁54によって、第1感温筒54aでの感温に応じて冷凍サイクルにおける低圧まで減圧されて、第1利用側液冷媒管59を経て第1利用側熱交換器52の液側端に流入する。第1利用側熱交換器52の液側端に流入した冷媒は、第1利用側熱交換器52において、第1利用側ファン53によって供給される利用側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって第1利用側熱交換器52のガス側端から流出する。第1利用側熱交換器52のガス側端から流出したガス冷媒は、第1利用側ガス冷媒管58を介して、ガス側冷媒連絡配管7に流れていく。
第2利用ユニット60に流入した冷媒は、第1利用ユニット50と同様に、第2利用側液冷媒管69の一部を経て、第2利用側膨張弁64に流入する。第2利用側膨張弁64に流入した冷媒は、第2利用側膨張弁64によって、第2感温筒64aでの感温に応じて冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧されて、第2利用側液冷媒管69を経て第2利用側熱交換器62の液側端に流入する。第2利用側熱交換器62の液側端に流入した冷媒は、第2利用側熱交換器62において、第2利用側ファン63によって供給される利用側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって第2利用側熱交換器62のガス側端から流出する。第2利用側熱交換器62のガス側端から流出したガス冷媒は、第2利用側ガス冷媒管68を介して、ガス側冷媒連絡配管7に流れていく。
このようにして、第1利用ユニット50から流出した冷媒と、第2利用ユニット60から流出した冷媒とは、ガス側冷媒連絡配管7において合流し、ガス側閉鎖弁49、四路切換弁24および吸入側配管42を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
(5)加温運転モードの冷媒の流れ
以下、利用側熱交換器52、62に付着した霜を除去するため等に行われる加温運転モードにおける冷媒回路10における冷媒の流れについて説明する。
加温運転は、熱源ユニット制御部20が冷却運転時に所定の加温運転開始条件を満たしたと判断した場合に(例えば、冷却運転が所定時間の間実行された場合等)、開始される。
冷凍装置100では、加温運転時に、冷媒回路10に充填された冷媒が、主として、圧縮機21、利用側熱交換器52、62、利用側膨張弁54、64、レシーバ27、熱源側膨張弁28、熱源側熱交換器25の順に循環する加温運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
加温運転時には、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。
圧縮機21では、特に限定されないが、例えば最大回転数となるように制御される。具体的には、インバータ圧縮機である第1圧縮機21aが最大回転数で運転されつつ、第2圧縮機21bと第3圧縮機21cが固定回転数で運転される状態に制御される。
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出側配管41を経て、利用側熱交換器52、62のガス側端に流入する。ここで、冷却運転と同様に、油戻し弁39は、圧縮機21からの油上がり量と同じ通過循環量を実現できる開度となるように弁開度が制御される。
利用側熱交換器52、62のガス側端に流入したガス冷媒は、放熱することで凝縮しつつ、利用側熱交換器52、62に付着している霜を融解させる。
利用側熱交換器52、62で霜を融解させて凝縮した冷媒は、全開状態となっている第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64を通過し、液側冷媒連絡配管6を介して熱源ユニット2の液側に流入する。なお、第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64が全開状態となるのは、加温運転時には、第1感温筒54aや第2感温筒64aが感温する冷媒の温度は、圧縮機21から吐出された冷媒の温度であり、冷却運転時と比較して十分に高温であるためである。
その後、熱源ユニット2の液側閉鎖弁48を通過した冷媒は、第1分岐管34における第1分岐逆止弁35を通過するように流れ(第2熱源液側配管44には第2熱源液側逆止弁29が設けられているため、当該方向には流れない。)、レシーバ27に流入する。レシーバ27に流入した冷媒は、第2熱源液側配管44を流れ、過冷却器31を通過して、熱源側膨張弁28において冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧された後、第2分岐管36の第2分岐逆止弁37を通過するように流れる。ここで、熱源側膨張弁28の弁開度は、圧縮機21が吸入する冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように制御される。具体的には、吸入温度センサ47bが検知する温度から低圧センサ40aの検知圧力に相当する飽和温度を差し引くことにより得られる過熱度が、所定の過熱度となるように熱源側膨張弁28の弁開度が制御される。なお、加温運転時には過冷却膨張弁32は全閉状態に制御されているため、インジェクション管30の上流側には冷媒は流れない。また、加温運転時には油戻し弁39は開度制御されているため、油戻し管38を流れた冷凍機油は、インジェクション管30の下流側部分を介して第1〜第3圧縮機21a、21b、21cのそれぞれに送られる。
上述の第2分岐管36の第2分岐逆止弁37を通過するように流れた冷媒は、第1熱源液側配管43を介して熱源側熱交換器25に流入する。熱源側熱交換器25の液側端に流入した冷媒は、熱源側熱交換器25において、熱源側ファン45によって供給される熱源側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって熱源側熱交換器25のガス側端から流出する。
熱源側熱交換器25から流出したガス冷媒は、四路切換弁24および吸入側配管42を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
なお、加温運転は、熱源ユニット制御部20が加温運転開始から所定の加温運転終了条件を満たしたと判断した場合に(例えば、所定時間が経過した場合等)、終了され、通常の冷却運転に復帰させる。
(6)起動時および復帰時における吸入湿り抑制制御の熱源ユニット制御部20による処理の流れ
以下、冷却運転における圧縮機21の起動時および加温運転(デフロスト運転)から冷却運転への復帰時における吸入湿り抑制制御について、熱源ユニット制御部20の処理の流れの一例を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
以下では、冷却運転において圧縮機21が起動された直後と、加温運転から冷却運転に切り換えられた直後について、まとめて説明する。
ステップS11では、熱源ユニット制御部20は、圧縮機21の吸入圧力が所定の目標値となるように圧縮機21の回転数を制御する。具体的には、インバータ圧縮機である第1圧縮機21aを駆動させつつ、回転数固定型の圧縮機である第2圧縮機21bや第3圧縮機21cについても順次駆動させた状態とする。そして、このように、第1圧縮機21a、第2圧縮機21bおよび第3圧縮機21cの全ての圧縮機が駆動している状態で、圧縮機21の吸入圧力が所定の目標値となるように、第1圧縮機21aの回転数が制御される。
ステップS12では、熱源ユニット制御部20は、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度が所定の目標過熱度となるように、熱源側膨張弁28の弁開度を制御する(過熱度制御する)。具体的には、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度が低い場合には熱源側膨張弁28の弁開度が小さくなるように、また、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度が高い場合には熱源側膨張弁28の弁開度が大きくなるように、熱源ユニット制御部20によって制御される。なお、この熱源側膨張弁28の過熱度制御を開始する時点では、圧縮機21における液圧縮をより確実に防ぐ観点から、熱源側膨張弁28が全閉状態となっていることが好ましい。
ここで、熱源ユニット制御部20は、利用ユニット制御部56とは通信可能に接続されておらず、第1利用側膨張弁54の弁開度や第2利用側膨張弁64の弁開度を制御するおとはできない。しかし、第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64は、いずれも感温式膨張弁であるため、第1感温筒54aや第2感温筒64aにおいて感温されることや感温が各利用側膨張弁54、64の弁開度として反映されるまでに多少の時間は要するものの、各利用側熱交換器52、62のガス側を流れる冷媒の過熱度に応じて自動的に弁開度が調節されることになる。このため、圧縮機21が回転数を上げていくことで、各利用側熱交換器52、62のガス側を流れる冷媒の過熱度が変化していくが、この変化に追従するように第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度は自動的に調節されていく。
ステップS13では、熱源ユニット制御部20は、熱源側膨張弁28の弁開度が全開になったか否かを判断する。熱源側膨張弁28の弁開度が全開状態になるということは、熱源側膨張弁28に対して流れた冷媒を全て利用ユニット50、60側に送った場合であっても、第1利用側熱交換器52、第2利用側熱交換器62において十分に蒸発させることができており、各利用ユニット50、60からガス側に向けて流れる冷媒の過熱度が十分に確保されている状態であると考えられる。したがって、このような場合には、圧縮機21において液冷媒を圧縮してしまう状況が生じにくいと考えられる。ここで、熱源側膨張弁28の弁開度が全開になった場合には、ステップS16に移行し、熱源側膨張弁28の弁開度が全開になっていない場合には、ステップS14に移行する。
ステップS14では、熱源ユニット制御部20は、熱源側膨張弁28の弁開度が所定持続時間の間、所定の変動幅の範囲内で維持されたか否か(維持条件を満たしたか否か)を判断する。熱源側膨張弁28の弁開度が安定しているということは、第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度も安定しており、各利用ユニット50、60からガス側に向けて流れる冷媒の過熱度が十分に確保されている状態であると考えられる。したがって、このような場合には、圧縮機21において液冷媒を圧縮してしまう状況が生じにくいと考えられる。ここで、熱源側膨張弁28の弁開度が維持条件を満たした場合には、ステップS16に移行し、熱源側膨張弁28の弁開度が維持条件を満たしていない場合には、ステップS15に移行する。
ステップS15では、熱源ユニット制御部20は、ステップS12における熱源側膨張弁28の弁開度の制御(過熱度制御)を開始してから、所定の安定化時間が経過したか否かを判断する。熱源側膨張弁28の弁開度の過熱度制御が行われてから所定の安定化時間が経過した場合には、もはや第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度も安定しており、各利用ユニット50、60からガス側に向けて流れる冷媒の過熱度が十分に確保されている状態であると考えられる。したがって、このような場合にも、圧縮機21において液冷媒を圧縮してしまう状況が生じにくいと考えられる。ここで、所定の安定化時間が経過した場合には、ステップS16に移行し、所定の安定化時間が経過していない場合には、ステップS13に戻る。
ステップS16では、熱源ユニット制御部20は、ステップS12における熱源側膨張弁28の過熱度制御を終了し(起動時または復帰時の制御を終了し)、熱源側膨張弁28の弁開度を強制的に全開状態とする制御(起動時終了後制御)を行う。その後は、上述した冷却運転が行われることとなる。
(7)熱源ユニット2の特徴
本実施形態に係る熱源ユニット2では、利用ユニット50、60との間で通信可能に構成されていないため、熱源ユニット2の熱源ユニット制御部20は、第1利用ユニット50の第1利用側膨張弁54の弁開度を制御することはできず、第2利用ユニット60の第2利用側膨張弁64の弁開度を制御することもできない。
このため、冷却運転の起動時や加温運転から冷却運転への復帰時のように、冷凍サイクルが一時的に不安定になる場合やガス側冷媒連絡配管7に対して液冷媒が多く流れ込みやすい状態となる場合であっても、第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度の制御により圧縮機21における液圧縮を回避することはできない。
これに対して、本実施形態の熱源ユニット2では、冷却運転の起動時や加温運転から冷却運転への復帰時には、熱源側膨張弁28の弁開度を、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度に基づいて制御することにより、液圧縮を抑制させることが可能になっている。したがって、熱源ユニット2と利用ユニット50、60の製造メーカが異なる等のように、利用ユニット50、60との通信の成立が予定されていない熱源ユニット2を備える冷凍装置においても、起動時やデフロスト運転からの復帰時における圧縮機21での液圧縮を抑制させることが可能になる。
また、本実施形態の利用ユニット50、60における第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64は、感温筒54a、64aを有する感温式自動膨張弁で構成されている。このように感温式自動膨張弁を用いることで、利用ユニットが非常に低温環境下で用いられる場合であっても、電気部品における電気的接点が不安定になる等の問題を生じにくくすることが可能になっている。ところが、このような感温式自動膨張弁は、一般的な電子膨張弁と比較して、制御に時間を要する(応答性が悪い)場合がある。特に、熱源ユニット2の熱源ユニット制御部20によって第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度が制御できない構成においては、圧縮機21における液圧縮が問題となりがちになる。これに対して、本実施形態の熱源ユニット2では、このように圧縮機21における液圧縮が特に問題となりがちな構成においても、熱源側膨張弁28の過熱度制御によって、圧縮機21の液圧縮を抑制させることが可能になっている。
特に、加温運転から冷却運転に復帰する際には、加温運転時に圧縮機21から利用ユニットに供給された吐出ガスによって、第1感温筒54aや第2感温筒64aにおいて感温する温度が高くなっており、第1利用側膨張弁54や第2利用側膨張弁64の弁開度が大きく開き気味になっているおそれがある。この場合には、冷却運転に復帰した際に、液冷媒が圧縮機21の吸入側に導かれてしまいやすい。このような場合であっても、本実施形態の熱源ユニット2では、熱源側膨張弁28の過熱度制御を行うことで、圧縮機21の液圧縮を抑制させることが可能になっている。
(8)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
(8−1)変形例A
上記実施形態の熱源ユニット2が備える熱源ユニット制御部20は、各利用ユニット50、60の各利用ユニット制御部57、67とは通信線で接続されておらず、各利用ユニット制御部57、67との制御信号等の送受信は行えない構成の場合を例に挙げて説明した。
しかし、熱源ユニット2としては、これに限られるものではなく、例えば、各利用ユニット50、60の各利用ユニット制御部57、67と通信が可能となるように構成された冷凍装置においても用いられてもよい。この場合には、熱源ユニット制御部20と利用ユニット制御部57、67との間の通信内容に拘わらず、上記実施形態において説明した制御等を行うこととなる。
これにより、熱源ユニット2に対して通信可能に接続される利用ユニットと、熱源ユニット2に対して通信可能には接続されない利用ユニットと、の両方を対象として、圧縮機21における液圧縮を抑制させることが可能な熱源ユニット2として利用することができる。
(8−2)変形例B
上記実施形態では、冷却運転の起動時と、加温運転から冷却運転への復帰時と、の両方において、熱源側膨張弁28の弁開度を過熱度制御する場合を例に挙げて説明した。
これに対して、熱源側膨張弁28の弁開度の過熱度制御は、冷却運転の起動時と、加温運転から冷却運転への復帰時と、の両方とも行われる必要は無く、冷却運転の起動時にのみ行われるようにしてもよい。
(8−3)変形例C
上記実施形態においては、熱源側膨張弁28の過熱度制御の終了条件として、熱源側膨張弁28が全開となっていること(ステップS13)、熱源側膨張弁28の弁開度が所定持続時間の間、所定の変動幅の範囲内で維持されたこと(ステップS14)、熱源側膨張弁28の過熱度制御が所定の安定化時間の間行われたこと(ステップS15)をそれぞれ判断する場合を例に挙げて説明した。
これに対して、熱源側膨張弁28の過熱度制御の終了条件としては、これに限られるものではなく、例えば、熱源側膨張弁28の過熱度制御が所定の安定化時間の間行われたことのみを終了条件としてもよいし、熱源側膨張弁28の弁開度が所定持続時間の間、所定の変動幅の範囲内で維持されたことのみを終了条件としてもよい。
さらには、冷凍サイクルにおける低圧圧力が目標低圧圧力となるように圧縮機21の回転数制御が行われている場合には、当該目標低圧圧力を実現できたことまたは当該目標低圧圧力を実現できて所定時間経過したことを熱源側膨張弁28の過熱度制御の終了条件としてもよい。また、当該目標低圧圧力を目標吸入温度に代えて、熱源側膨張弁28の過熱度制御の終了条件としてもよい。
(8−4)変形例D
上記実施形態では、第1利用側膨張弁54および第2利用側膨張弁64のいずれについても感温筒を有する機械式膨張弁で構成されている場合を例に挙げて説明した。
これに対して、第1利用側膨張弁54および/または第2利用側膨張弁64は、弁開度が対応する利用ユニット制御部57、67によって制御される電子膨張弁によって構成されていてもよい。
(8−5)変形例E
上記実施形態では、ステップS11の圧縮機21の回転数制御が行われている状況で、直ぐにステップS12の熱源側膨張弁28の過熱度制御を行う場合を例に挙げて説明した。
これに対して、熱源側膨張弁28の過熱度制御を開始するタイミングとしては、これに限られず、例えば、ステップS11において圧縮機21の回転数制御が開始された時点から所定の起動期間の間だけ、熱源側膨張弁28を全閉状態とした後に、熱源側膨張弁28の過熱度制御を開始するようにしてもよい。これにより、起動時の冷凍サイクルの不安定な状況においても圧縮機21における液圧縮をより確実に抑制することが可能になる。
(8−6)変形例F
上記実施形態では、熱源側膨張弁28の過熱度制御において、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度を基準として弁開度が制御される場合を例に挙げて説明した。
しかし、熱源側膨張弁28の過熱度制御において基準となる過熱度は、これに限られず、例えば、圧縮機21から吐出される冷媒の過熱度を基準として弁開度が制御されるようにしてもよい。この場合には、例えば、吐出温度センサ47aにより把握される温度から高圧センサ40cによる検知圧力から把握される飽和温度を差し引いて得られる値を吐出冷媒の過熱度とし、当該吐出冷媒の過熱度が所定の目標値となるように制御してもよい。
(8−7)変形例G
上記実施形態では、冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内の冷却を行う冷凍装置100を例に挙げて説明した。
しかし、これに限定されず、輸送コンテナ内の冷却を行う冷凍装置としてもよいし、建物内の冷房等を行うことで空気調和を実現する空調システム(エアコン)としてもよい。