JP2009228928A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の室内ユニットを備える空気調和装置において、暖房運転中の室外熱交換器に付着した霜の量を簡便な手法で推測し、無駄な除霜運転を回避して室内の快適性を確保する。
【解決手段】1台の室外ユニット11に2台の室内ユニット12,13が接続され、暖房運転中に室外熱交換器33に付着した霜を融かすために除霜運転が行われる。除霜運転中には、圧縮機31から吐出された高圧冷媒が室外熱交換器33へ供給される。暖房運転中において、コントローラ60の除霜運転制御部は、室外熱交換器33の能力を示す能力指標値を、室外熱交換器33における冷媒の蒸発温度と、外気温センサ58の計測値とを用いて算出する。そして、除霜運転制御部は、暖房運転中に能力指標値が低下し始めると、室外熱交換器33における霜の付着量が多くなっていると判断し、除霜運転を開始する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクルを行う空気調和装置における室外熱交換器の除霜に関するものである。
従来より、冷媒回路で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う空調機が知られている。特許文献1に開示された空調機では、1つの室外ユニットに対して、2つの室内ユニットが液側連絡配管及びガス側連絡配管を介して並列に接続されている。そして、この空調機は、室内ユニットの熱交換器が凝縮器となって室外ユニットの熱交換器が蒸発器となる暖房運転と、室内ユニットの熱交換器が蒸発器となって室外ユニットの熱交換器が凝縮器となる冷房運転とを選択的に行う。
この種の冷凍サイクルを行う空調機では、暖房運転中に室外熱交換器に霜が付着する場合がある。つまり、室外熱交換器の温度が0℃よりも低温になると、室外空気中の水分が凍結して室外熱交換器の表面に霜として付着する。室外熱交換器に霜が付着すると、冷媒と空気の熱交換が霜によって阻害され、暖房能力の低下を招く。従って、この種の空調機では、暖房運転中に室外空気に付着した霜を融かすために除霜運転が行われる。
通常、除霜運転は、圧縮機から吐出された高温の高圧冷媒を室外熱交換器へ供給することによって行われる。つまり、除霜運転中は、暖房運転が中断されることになる。このため、室外熱交換器に霜がさほど付着していない状態で除霜運転が行われると、暖房運転が不必要に中断されてしまい、室内の快適性を損なうおそれがある。
そこで、室外熱交換器における霜の付着量を何らかの手段で推測し、霜の付着量が多くなった時にだけ除霜運転を行うことが考えられる。例えば特許文献2には、室内熱交換器で得られる暖房能力の時間的な平均値を算出し、算出した暖房能力の平均値が下がり始めると除霜運転を開始することが開示されている。つまり、特許文献2に開示された空調機では、室外熱交換器における霜の付着量が多くなるほど室内熱交換器で得られる暖房能力が低下することを利用し、無駄な除霜運転を防いで暖房能力の低下を防いでいる。
特開2002−147878号公報 特開昭63−201442号公報
上述したように、特許文献2に開示された空調機では、室内熱交換器で得られる暖房能力に基づいて室外熱交換器における霜の付着量を推測している。このため、特許文献1に開示されているような複数の室内ユニットを備える空調機では、この特許文献2に開示された手法を用いて室外熱交換器における霜の付着量を推測するのが困難であった。
つまり、複数の室内ユニットを備える空調機では、室内ユニット毎に室内気温等の運転条件が相違することがある。このため、どの室内ユニットの暖房能力に基づいて室外熱交換器における霜の付着量を推測するのが適切なのかは、一律に定めることができない。また、全ての室内ユニットで得られる暖房能力の総和を考慮することも考えられるが、空調機に何台の室内ユニットを設けるかは空調機の設置対象毎に異なるため、そうすると空調機の運転制御が極めて煩雑となってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の室内ユニットを備える空気調和装置において、暖房運転中の室外熱交換器に付着した霜の量を簡便な手法で推測し、無駄な除霜運転を回避して室内の快適性を確保することにある。
第1の発明は、一つの室外ユニット(11)に複数の室内ユニット(12,13)が並列に接続された冷媒回路(20)で冷凍サイクルを行い、上記室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)で空気を加熱する暖房運転と、該暖房運転中に上記室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)に付着した霜を冷媒によって融かす除霜運転とを選択的に行う空気調和装置を対象とする。そして、暖房運転中における上記室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出する能力指標値算出動作と、上記能力指標値が低下し始めた時点で暖房運転から除霜運転へ切り換える除霜開始判断動作と、所定の除霜終了条件が成立すると除霜運転から暖房運転へ切り換える除霜終了判断動作とを行うように構成された除霜制御手段(60)を備えるものである。
第1の発明では、空気調和装置(10)に一つの室外ユニット(11)と複数の室内ユニット(12,13)とが設けられる。暖房運転中の空気調和装置(10)では、室外ユニット(11)から送り出された冷媒が各室内ユニット(12,13)へ分配され、室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)で空気へ放熱する。また、各室内ユニット(12,13)から室外ユニット(11)へ送り返された冷媒は、室外熱交換器(33)で空気から吸熱して蒸発する。暖房運転中の室外熱交換器(33)には、空気中の水分が凍結して霜となって付着する場合がある。そこで、この空気調和装置(10)は、室外熱交換器(33)の霜を融かすための除霜運転を行う。暖房運転と除霜運転の切り換えは、除霜制御手段(60)によって行われる。
第1の発明の除霜制御手段(60)は、能力指標算出動作と、除霜開始判断動作と、除霜終了判断動作とを行う。能力指標算出動作において、除霜制御手段(60)は、暖房運転中における室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出する。つまり、除霜制御手段(60)は、空気調和装置(10)に複数設けられた室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)の能力ではなく、空気調和装置(10)に1つだけ設けられた室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出する。
能力指標値が低下するということは、室外熱交換器(33)における冷媒と空気の熱交換が霜によって阻害されることによって、室外熱交換器(33)の能力が低下していることを示している。そこで、第1の発明の除霜制御手段(60)は、除霜開始判断動作を行い、能力指標値が低下し始めた時点で暖房運転から除霜運転へ切り換える。また、この除霜制御手段(60)は、除霜終了判断動作を行い、所定の除霜終了条件が成立すると除霜運転から暖房運転へ切り換える。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記除霜制御手段(60)は、上記能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度と外気温とを少なくとも用いて上記能力指標値を算出するように構成されるものである。
第2の発明の除霜制御手段(60)は、能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度と外気温とを少なくとも用いて能力指標値を算出する。暖房運転中の室外熱交換器(33)では、付着した霜の量が増えるに従って冷媒と空気の熱伝達率が低下するため、冷媒と空気の温度差を拡大して熱交換量を確保するために、冷媒の蒸発温度が低下してゆく。このように、外気温と室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度とは、室外熱交換器(33)の能力と相関がある。そこで、除霜制御手段(60)は、外気温と室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度とを用いて能力指標値を算出する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記除霜制御手段(60)は、前回の暖房運転の継続時間と前回の除霜運転の継続時間とに基づき、現時点で除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値を算出する除霜時間予測動作を行うように構成されると共に、上記能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度を差し引いた値の逆数を今回の暖房運転の開始時点から積算し、得られた積算値を現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除して得られた値を能力指標値とするように構成されるものである。
第3の発明では、除霜制御手段(60)が除霜時間予測動作を行う。除霜制御手段(60)は、暖房運転中に除霜時間予測動作を行う。つまり、暖房運転中において、除霜制御手段(60)は、その時点で除霜運転を開始したときに、その時点で室外熱交換器(33)に付着している霜を完全に融かすのに必要な除霜運転の継続時間を予測する。
第3の発明の除霜制御手段(60)は、能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度を差し引いた値の逆数を、今回の暖房運転の開始時点から積算する。次に、除霜制御手段(60)は、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度を差し引いた値の逆数の積算値を、現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除し、その演算によって得られた値を能力指標値とする。そして、除霜制御手段(60)は、算出した能力指標値が低下し始めると、その時点で暖房運転から除霜運転への切り換えを行う。
第4の発明は、上記第1の発明において、上記除霜制御手段(60)は、上記能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度と外気温とを少なくとも用いて上記能力指標値を算出するように構成されるものである。
第4の発明の除霜制御手段(60)では、能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度と外気温とを少なくとも用いて能力指標値を算出する。暖房運転中の室外熱交換器(33)では、付着した霜の量が増えるに従って冷媒と空気の熱伝達率が低下するため、冷媒と空気の温度差を拡大して熱交換量を確保するために、冷媒の蒸発温度が低下してゆく。また、室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度が低下すると、室外熱交自体の温度も低下する。このように、外気温と室外熱交換器(33)の温度とは、室外熱交換器(33)の能力と相関がある。そこで、除霜制御手段(60)は、外気温と室外熱交換器(33)の温度とを用いて能力指標値を算出する。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記除霜制御手段(60)は、前回の暖房運転の継続時間と前回の除霜運転の継続時間とに基づき、現時点で除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値を算出する除霜時間予測動作を行うように構成されると共に、上記能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度を差し引いた値の逆数を今回の暖房運転の開始時点から積算し、得られた積算値を現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除して得られた値を能力指標値とするように構成されるものである。
第5の発明では、除霜制御手段(60)が除霜時間予測動作を行う。除霜制御手段(60)は、暖房運転中に除霜時間予測動作を行う。つまり、暖房運転中において、除霜制御手段(60)は、その時点で除霜運転を開始したときに、その時点で室外熱交換器(33)に付着している霜を完全に融かすのに必要な除霜運転の継続時間を予測する。
第5の発明の除霜制御手段(60)は、能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度を差し引いた値の逆数を、今回の暖房運転の開始時点から積算する。次に、除霜制御手段(60)は、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度を差し引いた値の逆数の積算値を、現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除し、その演算によって得られた値を能力指標値とする。そして、除霜制御手段(60)は、算出した能力指標値が低下し始めると、その時点で暖房運転から除霜運転への切り換えを行う。
第6の発明は、上記第3又は第5の発明において、上記除霜制御手段(60)は、上記除霜終了判断動作において、上記除霜開始判断動作が行われる直前の上記除霜時間予測動作において算出された除霜運転の継続時間の予測値を目標時間とし、除霜運転の継続時間が上記目標時間に達することを除霜終了条件とするように構成されるものである。
第6の発明の除霜制御手段(60)は、除霜運転が開始される直前の除霜時間予測動作において算出された除霜運転の継続時間の予測値を目標時間とする。また、除霜制御手段(60)では、実際の除霜運転の継続時間が目標時間に達するという条件が、除霜終了条件とされている。そして、除霜制御手段(60)は、実際の除霜運転の継続時間が目標時間に達して除霜終了条件が成立すると、除霜運転から暖房運転への切り換えを行う。
本発明の除霜制御手段(60)は、空気調和装置(10)に1つだけ設けられた室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出し、その値が低下し始めると除霜運転を開始させる。つまり、この除霜制御手段(60)では、空気調和装置(10)に複数設けられた室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)の能力の合計値を求めるといった煩雑な計算を行うことなく、空気調和装置(10)に1つだけ設けられた室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)の能力だけを監視することによって、除霜運転を開始するか否かが判断される。従って、本発明によれば、複数の室内ユニット(12,13)を備える空気調和装置(10)において、暖房運転中の室外熱交換器(33)に付着した霜の量を簡便な手法で推測でき、無駄な除霜運転を回避して室内の快適性を確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置(10)は、1台の室外ユニット(11)と、2台の室内ユニット(12,13)とを備えている。室外ユニット(11)は、屋外に設置されている。各室内ユニット(12,13)は、屋内に設置されている。なお、ここに示す室外ユニット(11)や室内ユニット(12,13)の台数は、単なる例示である。また、この空気調和装置(10)は、除霜制御手段であるコントローラ(60)を備えている。
本実施形態の空気調和装置(10)では、室外ユニット(11)の室外回路(30)と、各室内ユニット(12,13)の室内回路(40,45)とを液側連絡配管(21)及びガス側連絡配管(22)で接続することによって冷媒回路(20)が形成されている。この冷媒回路(20)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。また、この冷媒回路(20)で行われる冷凍サイクルでは、その高圧が冷媒である二酸化炭素の臨界圧力よりも高い値に設定されている。
室外ユニット(11)には、1つの室外回路(30)が収容されている。室外回路(30)には、圧縮機(31)と、四方切換弁(32)と、室外熱交換器(33)と、室外膨張弁(34)と、レシーバ(35)と、液側閉鎖弁(36)と、ガス側閉鎖弁(37)とが設けられている。また、室外ユニット(11)には、室外熱交換器(33)へ室外空気を送るための室外ファン(16)が設けられている。
室外回路(30)において、圧縮機(31)は、その吐出側が四方切換弁(32)の第1のポートに接続され、その吸入側が四方切換弁(32)の第2のポートに接続されている。室外熱交換器(33)は、そのガス側端が四路切換弁の第3のポートに接続され、その液側端が室外膨張弁(34)の一端に接続されている。室外膨張弁(34)の他端は、レシーバ(35)を介して液側閉鎖弁(36)に接続されている。四方切換弁(32)の第4のポートはガス側閉鎖弁(37)に接続されている。
各室内ユニット(12,13)には、室内回路(40,45)が1つずつ収容されている。各室内回路(40,45)には、室内熱交換器(41,46)と室内膨張弁(42,47)とが1つずつ接続されている。各室内回路(40,45)では、室内熱交換器(41,46)と室内膨張弁(42,47)が直列に配置されている。また、各室内ユニット(12,13)には、室内熱交換器(41,46)へ室内空気を送るための室内ファン(17,18)が1つずつ設けられている。
冷媒回路(20)において、液側連絡配管(21)は、その一端が液側閉鎖弁(36)に接続されている。液側連絡配管(21)の他端は、二手に分岐されて各室内回路(40,45)の室内膨張弁(42,47)側の端部に接続されている。一方、ガス側連絡配管(22)は、その一端がガス側閉鎖弁(37)に接続されている。ガス側連絡配管(22)の他端は、二手に分岐されて各室内回路(40,45)の室内熱交換器(41,46)側の端部に接続されている。つまり、この冷媒回路(20)では、2つの室内回路(40,45)が1つの室外回路(30)に対して並列に接続されている。
圧縮機(31)は、圧縮機構と電動機が1つのケーシング内に収容された全密閉型の圧縮機である。室外熱交換器(33)と各室内熱交換器(41,46)は、何れも冷媒と空気を熱交換させるように構成されたフィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室外膨張弁(34)と各室内膨張弁(42,47)は、何れも開度可変の電動膨張弁である。四方切換弁(32)は、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に破線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に実線で示す状態)とに切り換わる。
本実施形態の空気調和装置(10)には、高圧圧力センサ(51)と、低圧圧力センサ(52)と、吸入温度センサ(53)と、ガス側冷媒温度センサ(54)と、室外熱交換器温度センサ(57)と、外気温センサ(58)と、室内温度センサ(55,56)とが設けられている。高圧圧力センサ(51)は、冷媒回路(20)における圧縮機(31)の吐出側と四方切換弁(32)の第1のポートとの間に接続され、圧縮機(31)から吐出された冷媒の圧力を計測する。低圧圧力センサ(52)は、冷媒回路(20)における圧縮機(31)の吸入側と四方切換弁(32)の第2のポートとの間に接続され、圧縮機(31)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吸入温度センサ(53)は、冷媒回路(20)における圧縮機(31)の吸入側と四方切換弁(32)の第2のポートとの間に設けられ、圧縮機(31)へ吸入される冷媒の温度を計測する。ガス側冷媒温度センサ(54)は、冷媒回路(20)のうち室外熱交換器(33)のガス側の端部の近傍に設けられ、そこを通過する冷媒の温度を計測する。室外熱交換器温度センサ(57)は、室外熱交換器(33)に設けられ、室外熱交換器(33)の表面温度を計測する。外気温センサ(58)は、室外ユニット(11)に設けられ、室外熱交換器(33)を通過する前の室外空気の温度を計測する。室内温度センサ(55,56)は、各室内ユニット(12,13)に1つずつ設けられ、室内熱交換器(41,46)を通過する前の室内空気の温度を計測する。
図2に示すように、コントローラ(60)には、暖房運転制御部(61)と、除霜運転制御部(65)とが設けられる。暖房運転制御部(61)には、高圧目標値設定部(62)と、圧縮機制御部(63)と、室外膨張弁制御部(64)とが設けられる。除霜運転制御部(65)には、除霜時間予測部(66)と、能力指標値算出部(67)と、除霜開始判断部(68)と、除霜終了判断部(69)とが設けられる。
コントローラ(60)には、高圧圧力センサ(51)、低圧圧力センサ(52)、吸入温度センサ(53)、ガス側冷媒温度センサ(54)、室外熱交換器温度センサ(57)、外気温センサ(58)、及び各室内温度センサ(55,56)の計測値が入力される。このコントローラ(60)は、各センサから入力された計測値を用いて空気調和装置(10)の運転を制御する。コントローラ(60)が行う制御動作の詳細は、後述する。
−空気調和装置の運転動作−
本実施形態の空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転と除霜運転を選択的に行う。冷房運転と暖房運転の切り換えや、暖房運転と除霜運転の切り換えは、四方切換弁(32)を操作することによって行われる。
〈冷房運転〉
冷房運転中の空気調和装置(10)の動作を説明する。冷房運転時には、四方切換弁(32)が第1状態(図1に破線で示す状態)に設定される。また、冷房運転時には、室外膨張弁(34)が全開に設定され、各室内膨張弁(42,47)の開度が適宜調節される。
冷媒回路(20)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。冷房運転時の冷媒回路(20)では、室外熱交換器(33)がガスクーラとして動作し、各室内熱交換器(41,46)が蒸発器として動作する。
具体的に、圧縮機(31)から吐出された超臨界状態の冷媒は、四方切換弁(32)を通って室外熱交換器(33)へ送られ、室外空気へ放熱する。室外熱交換器(33)から流出した冷媒は、室外膨張弁(34)とレシーバ(35)を通って液側連絡配管(21)へ流入し、その後に各室内回路(40,45)へ分配される。
各室内回路(40,45)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(42,47)を通過する際に減圧されて気液二相状態となり、その後に室内熱交換器(41,46)で室内空気から吸熱して蒸発する。各室内ユニット(12,13)は、室内熱交換器(41,46)で冷却された室内空気を室内へ供給する。各室内熱交換器(41,46)を通過した冷媒は、ガス側連絡配管(22)へ流れ込んで合流し、その後に四方切換弁(32)を通って圧縮へ吸入される。圧縮機(31)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
〈暖房運転〉
暖房運転中の空気調和装置(10)の動作を説明する。暖房運転時には、四方切換弁(32)が第2状態(図1に実線で示す状態)に設定される。また、暖房運転時には、室外膨張弁(34)及び各室内膨張弁(42,47)の開度が適宜調節される。
冷媒回路(20)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。暖房運転時の冷媒回路(20)では、各室内熱交換器(41,46)がガスクーラとして動作し、室外熱交換器(33)が蒸発器として動作する。
具体的に、圧縮機(31)から吐出された超臨界状態の冷媒は、四方切換弁(32)を通ってガス側連絡配管(22)へ流入し、その後に各室内回路(40,45)へ分配される。各室内回路(40,45)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(41,46)で室内空気へ放熱する。各室内ユニット(12,13)は、室内熱交換器(41,46)で加熱された室内空気を室内へ供給する。室内熱交換器(41,46)から流出した冷媒は、室内膨張弁(42,47)を通過後に液側連絡配管(21)へ流入し、その後に室外回路(30)へ流入する。
室外回路(30)へ流入した冷媒は、レシーバ(35)を通過後に室外膨張弁(34)へ送られ、室外膨張弁(34)を通過する際に減圧されて気液二相状態となる。室外膨張弁(34)を通過した冷媒は、室外熱交換器(33)へ送られ、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(33)から流出した冷媒は、四方切換弁(32)を通って圧縮機(31)へ吸入される。圧縮機(31)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
〈除霜運転〉
除霜運転中の空気調和装置(10)の動作を説明する。この除霜運転は、暖房運転中に室外熱交換器(33)に付着した霜を融かすために行われる。
除霜運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(32)が第1状態(図1に破線で示す状態)に設定され、冷房運転中と同様に冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。ただし、除霜運転中の空気調和装置(10)では、室外ファン(16)及び室内ファン(17,18)が停止状態となる。
具体的に、除霜運転中の冷媒回路(20)では、圧縮機(31)から吐出された高温の冷媒が四方切換弁(32)を通って室外熱交換器(33)へ送られる。室外熱交換器(33)では、そこに付着した霜が冷媒によって暖められて融解する。室外熱交換器(33)を通過した冷媒は、液側連絡配管(21)を通過後に室内回路(40,45)へ分配され、その後にガス側連絡配管(22)へ流れ込んで合流して室外回路(30)へ送り返される。室外回路(30)へ流入した冷媒は、圧縮機(31)へ吸入されて圧縮される。
−コントローラの動作−
上述したように、コントローラ(60)は、各センサから入力された計測値を用いて空気調和装置(10)の運転制御を行う。また、コントローラ(60)に設けられた暖房運転制御部(61)及び除霜運転制御部(65)は、以下で説明するような動作を行う。ここでは、暖房運転制御部(61)と除霜運転制御部(65)のそれぞれが行う動作について説明する。
暖房運転中において、暖房運転制御部(61)に設けられた高圧目標値設定部(62)、圧縮機制御部(63)、及び室外膨張弁制御部(64)は、以下で説明するような動作を行う。
高圧目標値設定部(62)は、高圧目標値設定動作を行うように構成されている。この高圧目標値設定動作では、冷凍サイクルの高圧の目標値である高圧目標値が、暖房運転時の室内ユニット(12,13)における暖房負荷に応じた値に設定される。
具体的に、高圧目標値設定部(62)は、各室内温度センサ(55,56)の計測値や暖房時の室内設定温度等に基づき、室内ユニット(12,13)における暖房能力の過不足を判断する。そして、高圧目標値設定部(62)は、室内ユニット(12,13)における暖房能力が不足していると判断した場合は、暖房能力を増大させるために高圧目標値を引き上げる。また、高圧目標値設定部(62)は、室内ユニット(12,13)における暖房能力が過剰であると判断した場合は、暖房能力を減少させるために高圧目標値を引き下げる。
圧縮機制御部(63)は、容量制御動作を行うように構成されている。この容量制御動作では、高圧圧力センサ(51)の計測値(即ち、冷凍サイクルの高圧の実測値)が高圧目標値となるように、圧縮機(31)の運転容量が調節される。
具体的に、圧縮機制御部(63)は、圧縮機(31)の電動機へ供給される交流の周波数を変更し、電動機で駆動される圧縮機構の回転速度を変化させることによって圧縮機(31)の運転容量を変化させる。そして、圧縮機制御部(63)は、高圧圧力センサ(51)の計測値が高圧目標値よりも低い場合は、冷凍サイクルの高圧を上昇させるために、圧縮機(31)の電動機の回転速度を上昇させて圧縮機(31)の運転容量を増加させる。また、圧縮機制御部(63)は、高圧圧力センサ(51)の計測値が高圧目標値よりも高い場合は、冷凍サイクルの高圧を低下させるために、圧縮機(31)の電動機の回転速度を低下させて圧縮機(31)の運転容量を減少させる。
室外膨張弁制御部(64)は、開度制御動作を行うように構成されている。この開度制御動作では、暖房運転中に蒸発器として動作する室外熱交換器(33)の出口における冷媒の過熱度が過熱度目標値(例えば、3℃)となるように、室外膨張弁(34)の開度を調節する。室外膨張弁制御部(64)による室外膨張弁(34)の開度制御は、PID制御等の一般的なフィードバック制御によって行われる。
室外膨張弁制御部(64)は、ガス側冷媒温度センサ(54)の検出値から、低圧圧力センサ(52)の検出値における冷媒の飽和温度を差し引くことによって、室外熱交換器(33)の出口における冷媒の過熱度を算出する。そして、この過熱度の算出値が過熱度目標値となるように、室外膨張弁(34)の開度を調節する。具体的に、室外膨張弁制御部(64)は、過熱度の算出値が過熱度目標値よりも小さい場合は、室外熱交換器(33)の出口における冷媒の過熱度を大きくするために、室外膨張弁(34)の開度を絞って室外熱交換器(33)を通過する冷媒の流量を減少させる。また、室外膨張弁制御部(64)は、過熱度の算出値が過熱度目標値よりも大きい場合は、室外熱交換器(33)の出口における冷媒の過熱度を小さくするために、室外膨張弁(34)の開度を拡大して室外熱交換器(33)を通過する冷媒の流量を増加させる。
除霜運転中および暖房運転中において、除霜運転制御部(65)に設けられた除霜時間予測部(66)、能力指標値算出部(67)、除霜開始判断部(68)、及び除霜終了判断部(69)は、以下で説明するような動作を行う。
除霜時間予測部(66)は、除霜時間予測動作を行うように構成されている。除霜時間予測動作では、現時点で除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値が、前回の暖房運転の継続時間と前回の除霜運転の継続時間とに基づいて算出される。
ここでは、除霜時間予測部(66)が行う除霜時間予測動作について、図3の時刻tにおいて除霜時間予測動作が行われる場合を例に説明する。同図に示すように、時刻t1に前々回の除霜運転が終了して前回の暖房運転が開始され、時刻t2に前回の暖房運転が終了して前回の除霜運転が開始され、時刻t3に前回の除霜運転が終了して今回の暖房運転が開始されている。時刻tは、今回の暖房運転の途中の時点である。
ところで、外気温が同じ場合について比較すると、除霜運転によって室外熱交換器(33)に付着した霜を完全に融かすのに要する時間は、その除霜運転の直前に行われていた暖房運転の継続時間に概ね比例することが、実験的に判っている。また、室外熱交換器(33)には熱容量があるため、除霜運転を開始してから室外熱交換器(33)の温度がある程度に達するまでは、室外熱交換器(33)に付着した霜は融け始めない。そして、除霜運転を開始してから室外熱交換器(33)に付着した霜は融け始めるまでの時間は約1分間であることが、実験的に判っている。
そこで、除霜時間予測部(66)は、前回の暖房運転の継続時間ΔtH(n-1)=t2−t1と、前回の除霜運転の継続時間ΔtD(n-1)=t3−t2と、時刻tまでにおける今回の暖房運転の継続時間ΔtH'(n)=t−t3とを下記の数式1へ代入することによって、時刻tで除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値ΔtD'(n)を算出する。
ΔtD'(n) =(ΔtD(n-1)/ΔtH(n-1))×ΔtH'(n)+1分 … 数式1
能力指標値算出部(67)は、能力指標値算出動作を行うように構成されている。能力指標値算出動作では、暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度Teと、外気温センサ(58)の計測値To(即ち、外気温の実測値)とを用いて能力指標値が算出される。また、能力指標値算出部(67)は、低圧圧力センサ(52)の検出値における冷媒の飽和温度を算出し、その値を室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度とする。
具体的に、能力指標値算出部(67)は、外気温センサ(58)の計測値Toから室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度Teを差し引いた値(To−Te)の逆数1/(To−Te)を、暖房運転が開始された時点から継続して積算する。つまり、図3において、能力指標値算出部(67)は、今回の暖房運転が開始された時点t3から現時点tまで亘って値1/(To−Te)を時間的に積分している。そして、能力指標値算出部(67)は、時点t3から時刻tまでに亘る値1/(To−Te)の積算値ΣT(n)-1を、時刻tまでにおける今回の暖房運転の継続時間ΔtH'(n)と除霜時間予測部(66)が算出した除霜運転の継続時間の予測値ΔtD'(n)との和(=ΔtH'(n)+ΔtD'(n))で除して得られた値を、時刻tにおける能力指標値Q(n)とする。つまり、能力指標値算出部(67)において、時刻tにおける能力指標値Q(n)は、下記の数式2に示す演算によって算出される。
Q(n) = ΣT(n)-1/(ΔtH'(n)+ΔtD'(n)) … 数式2
除霜開始判断部(68)は、除霜開始判断動作を行うように構成されている。除霜開始判断動作では、暖房運転から除霜運転への切り換えを行うための条件が成立するか否かの判断が行われ、この条件が成立すると暖房運転から除霜運転への切り換えが行われる。
具体的に、除霜開始判断部(68)は、図3の時刻t3において今回の暖房運転が開始されると、その後に能力指標値Q(n)を所定の時間間隔で定期的に計算する。そして、除霜開始判断部(68)は、今回算出した能力指標値Q(n)と、前回算出した能力指標値Q(n)とを比較し、今回算出した能力指標値Q(n)が前回算出した能力指標値Q(n)よりも小さくなっていると、暖房運転から除霜運転への切り換えを行う。つまり、除霜開始判断部(68)は、除霜運転を開始するための条件として“暖房運転中に能力指標値Q(n)が低下し始める”という条件が設定されており、この条件が成立すると四方切換弁(32)を第2状態から第1状態へ切り換えて除霜運転を開始させる。
除霜終了判断部(69)は、除霜終了判断動作を行うように構成されている。除霜終了判断動作では、除霜終了条件が成立するか否かの判断が行われ、この除霜終了条件が成立すると除霜運転から暖房運転への切り換えが行われる。
仮に、図3の時刻t4において除霜開始判断部(68)が暖房運転から除霜運転への切り換えを行ったとする。その場合において、除霜時間予測部(66)は、時刻t4に開始された今回の除霜運転の継続時間の予測値ΔtD(n)を、上記の数式1を用いて算出する。つまり、この場合は、t=t4となり、今回の暖房運転の継続時間ΔtH'(n)=ΔtH(n)=t4−t3となるため、今回の除霜運転の継続時間の予測値ΔtD(n)が下記の数式3によって算出される。
ΔtD(n) =(ΔtD(n-1)/ΔtH(n-1))×ΔtH(n)+1分 … 数式3
除霜終了判断部(69)は、時刻t4において除霜時間予測部(66)により算出された予測値ΔtD(n)を目標時間に設定する。そして、時刻t4に開始された今回の除霜運転の継続時間が予測値ΔtD(n)に達した時刻t5になると、除霜終了判定部は、除霜終了条件が成立したと判断し、四方切換弁(32)を第1状態から第2状態へ切り換えて次回の暖房運転を開始させる。つまり、除霜終了判断部(69)では、今回の除霜運転の継続時間が目標時間に達するという条件が、除霜終了条件となっている。
−実施形態の効果−
本実施形態のコントローラ(60)の除霜運転制御部(65)は、空気調和装置(10)に1つだけ設けられた室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出し、その値が低下し始めると除霜運転を開始させる。つまり、この除霜運転制御部(65)では、空気調和装置(10)に2つ設けられた室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)の能力の合計値を求めるといった煩雑な計算を行うことなく、空気調和装置(10)に1つだけ設けられた室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)の能力だけを監視することによって、除霜運転を開始するか否かが判断される。従って、本実施形態によれば、複数の室内ユニット(12,13)を備える空気調和装置(10)において、暖房運転中の室外熱交換器(33)に付着した霜の量を簡便な手法で推測でき、無駄な除霜運転を回避して室内の快適性を確保することができる。
ところで、暖房運転中の室外熱交換器(33)では、付着した霜の量が増えるに従って冷媒と空気の熱伝達率が低下するため、何の対策も講じなければ暖房能力が低下する。そこで、本実施形態の空気調和装置(10)では、コントローラ(60)の圧縮機制御部(63)が圧縮機(31)の運転容量を増大させ、冷媒回路(20)での冷媒の循環量を増やすことによって暖房能力の低下が抑えられる。
また、暖房運転中の空気調和装置(10)では、室外熱交換器(33)から流出する冷媒の過熱度が一定となるように室外膨張弁(34)の開度が調節されているため、圧縮機(31)の運転容量が増大すると、室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発圧力(即ち、冷凍サイクルの低圧)が低下する。このため、室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度が低下し、室外熱交換器(33)での冷媒と室外空気の温度差が拡大するため、室外熱交換器(33)における冷媒の吸熱量の低下が抑えられ、そのことによっても暖房能力の低下が抑えられる。
このように、外気温(即ち、外気温センサ(58)の計測値)と室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度とは、室外熱交換器(33)の能力と相関がある。そこで、本実施形態のコントローラ(60)の除霜運転制御部(65)は、外気温と室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度とを用いて能力指標値を算出している。このため、本実施形態によれば、除霜運転制御部(65)の能力指標値算出部(67)によって算出される能力指標値が室外熱交換器(33)の状態を適切に示す値となり、室外熱交換器(33)における霜の付着量を正確に推定して除霜運転を適切なタイミングで開始することができる。
−実施形態の変形例1−
上記実施形態のコントローラ(60)の除霜運転制御部(65)において、能力指標値算出部(67)は、室外熱交換器温度センサ(57)の計測値Th(即ち、室外熱交換器(33)の表面温度の実測値)と、外気温センサ(58)の計測値To(即ち、外気温の実測値)とを用いて能力指標値を算出するように構成されていてもよい。
本変形例の能力指標値算出部(67)は、外気温センサ(58)の計測値Toから室外熱交換器温度センサ(57)の計測値Thを差し引いた値(To−Th)の逆数1/(To−Th)を、暖房運転が開始された時点から継続して積算することによって積算値ΣT(n)-1を算出する。そして、この積算値ΣT(n)-1と上記の数式2とを用いて能力指標値Q(n)を算出する。
上述したように、暖房運転中の室外熱交換器(33)では、付着した霜の量が増えるに従って冷媒の蒸発温度が低下してゆく。このため、室外熱交換器(33)における霜の付着量が増えると、それに従って室外熱交換器(33)の表面温度が低下してゆく。従って、外気温(即ち、外気温センサ(58)の計測値)と室外熱交換器(33)の表面温度(即ち、室外熱交換器温度センサ(57)の計測値)とは、室外熱交換器(33)の能力と相関がある。そこで、本変形例のコントローラ(60)の除霜運転制御部(65)は、外気温と室外熱交換器(33)の表面温度とを用いて能力指標値を算出している。
−実施形態の変形例2−
上記実施形態の空気調和装置(10)において、冷媒回路(20)に冷媒として充填される物質は二酸化炭素に限定される訳ではなく、例えばいわゆるフロン冷媒が冷媒回路(20)に充填されていてもよい。また、冷媒回路(20)で行われる冷凍サイクルの高圧は、冷媒の臨界圧力以下の値に設定されていてもよい。
−実施形態の変形例3−
上記実施形態のコントローラ(60)の除霜終了判断部(69)では、除霜運転の継続時間が目標時間に達するという条件を除霜終了条件としているが、この除霜終了条件の内容はこれに限られるものではない。除霜終了判断部(69)では、例えば、除霜運転中における室外熱交換器(33)の表面温度が所定の基準値(例えば5℃)に達するという条件が除霜終了条件となっていてもよい。除霜運転中において、室外熱交換器(33)の表面温度が0℃を上回らない間は、室外熱交換器(33)に霜が残存していると推定できる。つまり、除霜運転中に室外熱交換器(33)の表面温度が0℃をある程度上回ると、室外熱交換器(33)に付着した霜が融解したと推定できる。従って、このような除霜終了条件を設定した場合でも、室外熱交換器(33)に付着した霜が既に融解したにも拘わらず無駄に除霜運転を続けるといった事態が回避される。
−実施形態の変形例4−
上記実施形態の空気調和装置(10)の冷媒回路(20)では、室外膨張弁(34)に代えて、動力回収用の膨張機が設けられていてもよい。この膨張機は、ロータリ式流体機械やスクロール式流体機械によって構成されており、ガスクーラとして動作する熱交換器を通過した冷媒の内部エネルギを回転動力に変換する。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う空気調和装置について有用である。
実施形態の空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。 実施形態の空気調和装置のコントローラの構成を示すブロック図である。 実施形態の空気調和装置における暖房運転と除霜運転の切り換えを示すタイムチャートである。
符号の説明
10 空気調和装置
20 冷媒回路
11 室外ユニット
12 室内ユニット
13 室内ユニット
20 冷媒回路
33 室外熱交換器
41 室内熱交換器
46 室内熱交換器
60 コントローラ(除霜制御手段)

Claims (6)

  1. 一つの室外ユニット(11)に複数の室内ユニット(12,13)が並列に接続された冷媒回路(20)で冷凍サイクルを行い、
    上記室内ユニット(12,13)の室内熱交換器(41,46)で空気を加熱する暖房運転と、該暖房運転中に上記室外ユニット(11)の室外熱交換器(33)に付着した霜を冷媒によって融かす除霜運転とを選択的に行う空気調和装置であって、
    暖房運転中における上記室外熱交換器(33)の能力を示す能力指標値を算出する能力指標値算出動作と、上記能力指標値が低下し始めた時点で暖房運転から除霜運転へ切り換える除霜開始判断動作と、所定の除霜終了条件が成立すると除霜運転から暖房運転へ切り換える除霜終了判断動作とを行うように構成された除霜制御手段(60)を備えている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1において、
    上記除霜制御手段(60)は、上記能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度と外気温とを少なくとも用いて上記能力指標値を算出するように構成されている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項2において、
    上記除霜制御手段(60)は、
    前回の暖房運転の継続時間と前回の除霜運転の継続時間とに基づき、現時点で除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値を算出する除霜時間予測動作を行うように構成されると共に、
    上記能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度を差し引いた値の逆数を今回の暖房運転の開始時点から積算し、得られた積算値を現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除して得られた値を能力指標値とするように構成されている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  4. 請求項1において、
    上記除霜制御手段(60)は、上記能力指標算出動作において、暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度と外気温とを少なくとも用いて上記能力指標値を算出するように構成されている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  5. 請求項4において、
    上記除霜制御手段(60)は、
    前回の暖房運転の継続時間と前回の除霜運転の継続時間とに基づき、現時点で除霜運転が開始された場合の除霜運転の継続時間の予測値を算出する除霜時間予測動作を行うように構成されると共に、
    上記能力指標値算出動作において、外気温から暖房運転中の室外熱交換器(33)の温度を差し引いた値の逆数を今回の暖房運転の開始時点から積算し、得られた積算値を現時点における暖房運転の継続時間と上記除霜時間予測動作によって算出した除霜運転の継続時間の予測値との和で除して得られた値を能力指標値とするように構成されている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  6. 請求項3又は5において、
    上記除霜制御手段(60)は、上記除霜終了判断動作において、上記除霜開始判断動作が行われる直前の上記除霜時間予測動作において算出された除霜運転の継続時間の予測値を目標時間とし、除霜運転の継続時間が上記目標時間に達することを除霜終了条件とするように構成されている
    ことを特徴とする空気調和装置。
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