以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
(1)冷凍装置100
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100の概略構成図である。冷凍装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内等の利用側空間の冷却を行う装置である。
冷凍装置100は、主として、熱源ユニット2と、利用ユニット50と、熱源ユニット2と利用ユニット50とを接続する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7と、入力装置および表示装置としてのリモコン50aと、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ70と、を有している。
冷凍装置100では、熱源ユニット2に対して、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して、利用ユニット50が接続されることで、冷媒回路10が構成されている。冷凍装置100では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒としてR32が充填されている。
(1−1)熱源ユニット2
熱源ユニット2は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して利用ユニット50が接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。熱源ユニット2は、主として、圧縮機21と、油分離器23、四路切換弁24と、熱源側熱交換器25と、熱源側ファン45と、レシーバ27と、過冷却器31と、熱源側膨張弁28と、インジェクション管30と、過冷却膨張弁32と、インジェクション弁33と、油戻し管38と、油戻し弁39と、第1分岐管34と、第2分岐管36と、ガス側閉鎖弁49aと、液側閉鎖弁49bと、バイパス回路80と、を有している。
また、熱源ユニット2は、圧縮機21の吐出側から四路切換弁24の接続ポートの1つを接続しており途中に油分離器23が設けられている吐出側配管41と、圧縮機21の吸入側から四路切換弁24の接続ポートの1つとを接続する吸入側配管42と、熱源側熱交換器25の液側とレシーバ27とを接続する第1熱源液側配管43と、レシーバ27の熱源側熱交換器25側とは反対側の端部と熱源側膨張弁28とを接続する第2熱源液側配管44と、熱源側膨張弁28と液側閉鎖弁49bとを接続する熱源液側出口配管48と、を有している。
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。特に限定されないが、本実施形態の圧縮機21は、互いに並列に接続された第1圧縮機21aと、第2圧縮機21bと、第3圧縮機21cと、によって構成されている。これらの第1圧縮機21a、第2圧縮機21bおよび第3圧縮機21cは、本実施形態では、いずれも全密閉式高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。このうち、第1圧縮機21aは、容量可変(回転数が可変)の圧縮機であり、インバータが設けられている。第2圧縮機21bおよび第3圧縮機21cは、容量固定(回転数が固定)の圧縮機であり、インバータは設けられていない。
第1圧縮機21a、第2圧縮機21b、第3圧縮機21cのそれぞれの吸入側には、個別吸入管が接続されている。これらの個別吸入管は、最上流側において1つにまとまっている。これらの個別吸入管の最上流側のまとまった箇所と、四路切換弁24とは、吸入側配管42によって接続されている。
第1圧縮機21a、第2圧縮機21b、第3圧縮機21cのそれぞれの吐出側には、個別吐出管が接続されている。これらの個別吐出管は、最下流側において1つにまとまっている。これらの個別吐出管の最下流側のまとまった箇所と、四路切換弁24とは、吐出側配管41によって接続されている。なお、第1圧縮機21aの吐出側には、吐出流れのみを許容する逆止弁22aが設けられている。第2圧縮機21bの吐出側にも同様に、吐出流れのみを許容する逆止弁22bが設けられており、第3圧縮機21cの吐出側にも同様に、吐出流れのみを許容する逆止弁22cが設けられている。
油分離器23は、圧縮機21から吐出された冷媒から主として冷凍機油を分離するための容器であり、吐出側配管41の途中に設けられている。
この吐出側配管41の途中に設けられた油分離器23からは、油戻し管38が分岐するようにして延び出している。この油戻し管38の他端は、後述するインジェクション管30の途中であって、過冷却器31と第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zとの間に接続されている。また、油戻し管38の途中には、弁開度を制御可能な電子膨張弁によって構成された油戻し弁39が設けられている。
四路切換弁24は、吐出側配管41の下流側端部に接続されている。この四路切換弁24は、接続状態を切り換えることにより、圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器25とが接続されてガス側閉鎖弁49aと圧縮機21の吸入側とが接続された冷却運転状態と、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁49aとが接続されて熱源側熱交換器25と圧縮機21の吸入側とが接続された加温運転状態と、を切り換えることが可能になっている。
熱源側熱交換器25は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器として機能すると共に、低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器25は、一端が四路切換弁24側から伸びた冷媒配管に接続されており、他端が第1熱源液側配管43に接続されている。
熱源側ファン45は、熱源ユニット2内に庫外空気(熱源側空気)を取り込んで、熱源側熱交換器25において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出させるための空気流れを形成する。熱源側ファン45は、熱源側ファンモータM45によって回転駆動される。熱源側ファン45の風量は、熱源側ファンモータM45の回転数を調節することにより制御される。
第1熱源液側配管43の途中には、熱源側熱交換器25側からレシーバ27側に向かう冷媒流れのみを許容する第1熱源液側逆止弁26が設けられている。
レシーバ27は、冷媒を一時的に溜める容器であり、第1熱源液側配管43の熱源側熱交換器25側とは反対側に設けられている。ここで、第1熱源液側配管43は、レシーバ27の上方における気相部分に接続されている。
熱源側膨張弁28は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、第2熱源液側配管44と熱源液側出口配管48の間に(より詳細には過冷却器31の下流側に)配置されている。
過冷却器31は、レシーバ27において一時的に溜められた冷媒を利用ユニット50に送る前にさらに冷却する熱交換器であり、第2熱源液側配管44の途中(レシーバ27と熱源側膨張弁28との間)に配置されている。
インジェクション管30は、第2熱源液側配管44の途中であって過冷却器31と熱源側膨張弁28との間から分岐するように伸び出しており、圧縮機21の圧縮工程の途中に接続されている。
過冷却膨張弁32は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、インジェクション管30の途中であって、過冷却器31よりも上流側に設けられている。過冷却器31では、レシーバ27から流れ出た第2熱源液側配管44を流れる冷媒と、インジェクション管30を流れる冷媒であって過冷却膨張弁32によって減圧された冷媒と、の間で熱交換が行われる。これにより、第2熱源液側配管44を流れる冷媒は過冷却されて、熱源側膨張弁28に向けて流れる。他方、インジェクション管30において過冷却器31を通過した冷媒は、さらにインジェクション管30の下流側に向けて流れる。
インジェクション管30における油戻し管38との合流部分よりもさらに下流側(圧縮機21側)は、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zを介して、圧縮機21まで伸びている。具体的には、インジェクション管30における油戻し管38との合流部分よりもさらに下流側(圧縮機21側)は、第1圧縮機21aの圧縮工程の途中に合流するように流れる第1インジェクション分流管33xと、第2圧縮機21bの圧縮工程の途中に合流するように流れる第2インジェクション分流管33yと、第3圧縮機21cの圧縮工程の途中に合流するように流れる第3インジェクション分流管33zと、に分岐している。
インジェクション弁33は、弁開度を制御可能な電動膨張弁によって構成されており、インジェクション管30における第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zの途中にそれぞれ設けられている。具体的には、第1インジェクション分流管33xの途中には第1インジェクション弁33aが設けられ、第2インジェクション分流管33yの途中には第2インジェクション弁33bが設けられ、第3インジェクション分流管33zの途中には第3インジェクション弁33cが設けられている。
熱源液側出口配管48には、熱源側膨張弁28と液側閉鎖弁49bとの間において、熱源側膨張弁28側から液側閉鎖弁49b側に向かう冷媒流れのみを許容する第2熱源液側逆止弁29が設けられている。
第1分岐管34は、熱源液側出口配管48の途中であって、第2熱源液側逆止弁29と液側閉鎖弁49bとの間から分岐し、第1熱源液側配管43の途中であって第1熱源液側逆止弁26とレシーバ27との間の部分に合流するように設けられた冷媒配管である。この第1分岐管34の途中には、熱源液側出口配管48側から第1熱源液側配管43側に向かう冷媒流れのみを許容する第1分岐逆止弁35が設けられている。
第2分岐管36は、熱源液側出口配管48の途中であって、熱源側膨張弁28と第2熱源液側逆止弁29との間から分岐し、第1熱源液側配管43の途中であって熱源側熱交換器25と第1熱源液側逆止弁26との間の部分に合流するように設けられた冷媒配管である。この第2分岐管36の途中には、熱源液側出口配管48側から第1熱源液側配管43側に向かう冷媒流れのみを許容する第2分岐逆止弁37が設けられている。
液側閉鎖弁49bは、熱源液側出口配管48と液側冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。
ガス側閉鎖弁49aは、四路切換弁24から伸びる配管とガス側冷媒連絡配管7との接続部分に配置された手動弁である。
バイパス回路80は、吐出側配管41における油分離器23と四路切換弁24との間と、熱源液側出口配管48における第1分岐管34と熱源液側出口配管48との合流点と液側閉鎖弁49bとの間と、を熱源側熱交換器25や熱源側膨張弁28を介することなく接続する配管である。このバイパス回路80の途中には、弁開度を調節可能な電子膨張弁であるバイパス膨張弁81が設けられている。
熱源ユニット2には、各種センサが配置されている。具体的には、吸入側配管42には、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力である吸入圧力を検出する低圧センサ40aが設けられている。また、第1圧縮機21aの個別吐出管の途中には、圧縮機21の吐出側における冷媒の圧力である吐出圧力を検出する高圧センサ40cが設けられている。さらに、インジェクション管30の途中であって、インジェクション管30と油戻し管38との合流部分と、過冷却器31と、の間には、冷凍サイクルにおける中間圧力を検出する中間圧センサ40bが設けられている。さらに、熱源側熱交換器25又は熱源側ファン45の周辺には、熱源ユニット2内に吸入される熱源側空気の温度を検出する熱源側空気温度センサ46が配置されている。そして、圧縮機21から吐出された冷媒の温度を検知するための吐出温度センサ47が、吐出側配管41の途中(本実施形態では油分離器23の上流側であって、第1圧縮機21aと第2圧縮機21bと第3圧縮機21cの吐出冷媒の合流後の位置)に設けられている。また、熱源液側出口配管48におけるバイパス回路80との合流点よりも液側閉鎖弁49b側を流れる冷媒の温度を検知する液管温度センサ85が設けられている。
熱源ユニット2は、熱源ユニット2を構成する各部の動作を制御する熱源ユニット制御部20を有している。熱源ユニット制御部20は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。熱源ユニット制御部20は、各利用ユニット50の利用ユニット制御部57と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
(1−2)利用ユニット50
利用ユニット50は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して熱源ユニット2と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
利用ユニット50は、利用側膨張弁54と、利用側開閉弁51と、利用側熱交換器52と、を有している。また、利用ユニット50は、利用側熱交換器52の液側端と利用側膨張弁54とを接続する利用側液冷媒管59と、利用側膨張弁54と利用側開閉弁51とを接続する利用側弁接続配管56と、利用側開閉弁51と液側冷媒連絡配管6とを接続する利用側液側出口配管55と、利用側熱交換器52のガス側端とガス側冷媒連絡配管7とを接続する利用側ガス冷媒管58と、を有している。
利用側膨張弁54は、利用側液冷媒管59と利用側弁接続配管56との間に設けられている。この利用側膨張弁54は、利用側ガス冷媒管58に設けられた感温筒54aでの検知に応じて自動的に弁開度が変化する感温式膨張弁(機械式膨張弁)によって構成されており、利用側熱交換器52のガス側における冷媒の過熱度が所定値となるように、自動的に開度が調節される。
利用側開閉弁51は、開閉制御が可能な電磁弁によって構成されており、利用側弁接続配管56と利用側液側出口配管55との間に設けられている。
利用側熱交換器52は、冷凍サイクルにおける冷却運転時には低圧の冷媒の蒸発器として機能して庫内空気(利用側空気)を冷却し、逆サイクルデフロスト運転(以下、単にデフロスト運転ともいう)等の加温運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。
ここで、利用ユニット50は、利用ユニット50内に利用側空気を吸入して、利用側熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、利用側空間に供給するための利用側ファン53を有している。利用側ファン53は、利用側熱交換器52を流れる冷媒の加熱源としての利用側空気を利用側熱交換器52に供給するためのファンである。利用側ファン53は、利用側ファンモータM53によって回転駆動される。
また、利用ユニット50は、利用ユニット50を構成する各部の動作を制御する利用ユニット制御部57を有している。利用ユニット制御部57は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。利用ユニット制御部57は、熱源ユニット制御部20と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
(1−3)リモコン50a
リモコン50aは、利用ユニット50のユーザが冷凍装置100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力するための入力装置である。また、リモコン50aは、冷凍装置100の運転状態や所定の報知情報を表示するための表示装置としても機能する。リモコン50aは、利用ユニット制御部57と通信線を介して接続されており、相互に信号の送受信を行っている。
(2)コントローラ70の詳細
冷凍装置100では、熱源ユニット制御部20と、利用ユニット制御部57と、が通信線を介して接続されることで、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ70が構成されている。
図2は、コントローラ70の概略構成と、コントローラ70に接続される各部と、を模式的に示したブロック図である。
コントローラ70は、複数の制御モードを有し、遷移している制御モードに応じて冷凍装置100の運転を制御する。例えば、コントローラ70は、制御モードとして、平常時に行われる冷却運転モードと、逆サイクルデフロスト時に行われる加温運転モードと、を有している。
コントローラ70は、熱源ユニット2に含まれる各アクチュエータ(具体的には、圧縮機21、四路切換弁24、熱源側膨張弁28、過冷却膨張弁32、インジェクション弁33、油戻し弁39、および熱源側ファン45(熱源側ファンモータM45))と、各種センサ(低圧センサ40a、中間圧センサ40b、高圧センサ40c、および熱源側空気温度センサ46、吐出温度センサ47、液管温度センサ85等)と、電気的に接続されている。また、コントローラ70は、利用ユニット50に含まれるアクチュエータ(具体的には、利用側ファン53(利用側ファンモータM53)、利用側開閉弁51)と電気的に接続されている。また、コントローラ70は、リモコン50aと、電気的に接続されている。
コントローラ70は、主として、記憶部71と、通信部72と、モード制御部73と、アクチュエータ制御部74と、表示制御部75と、を有している。なお、コントローラ70内におけるこれらの各部は、熱源ユニット制御部20および/又は利用ユニット制御部57に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
(2−1)記憶部71
記憶部71は、例えば、ROM、RAM、およびフラッシュメモリ等で構成されており、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域を含む。記憶部71には、コントローラ70の各部における処理を定義した制御プログラムが格納されている。また、記憶部71は、コントローラ70の各部によって、所定の情報(例えば、各センサの検出値、リモコン50aに入力されたコマンド等)を、所定の記憶領域に適宜格納される。
(2−2)通信部72
通信部72は、コントローラ70に接続される各機器と、信号の送受信を行うための通信インターフェースとしての役割を果たす機能部である。通信部72は、アクチュエータ制御部74からの依頼を受けて、指定されたアクチュエータに所定の信号を送信する。また、通信部72は、各種センサ、リモコン50aから出力された信号を受けて、記憶部71の所定の記憶領域に格納する。
(2−3)モード制御部73
モード制御部73は、制御モードの切り換え等を行う機能部である。モード制御部73は、利用側熱交換器52における霜の付着に関する加温運転開始条件が満たされていない状態で運転を行う場合には、冷却運転モードとする。また、モード制御部73は、冷却運転モードにおいて、加温運転開始条件が満たされた場合には、加温運転モードに切り換える。
(2−4)アクチュエータ制御部74
アクチュエータ制御部74は、制御プログラムに沿って、状況に応じて、冷凍装置100に含まれる各アクチュエータ(例えば圧縮機21等)の動作を制御する。
アクチュエータ制御部74は、冷却運転モード時(起動時以外)には、四路切換弁24の接続状態を圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器25とが接続されてガス側閉鎖弁49aと圧縮機21の吸入側とが接続された状態として、熱源側膨張弁28が全開状態となるように制御しつつ、設定温度や各種センサの検出値等に応じて、圧縮機21の回転数、熱源側ファン45、過冷却膨張弁32の開度、油戻し弁39の開度、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度、利用側開閉弁51の開閉、利用側ファン53の回転数等をリアルタイムに制御する。また、バイパス回路80に設けられたバイパス膨張弁81は、後述する冷却運転の起動時において後述する制御が行われるが、起動時以降は全閉状態に制御される。なお、冷却運転モード実行中は、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cは、いずれも全閉状態以外の状態に制御される。また、利用側膨張弁54はアクチュエータ制御部74によって制御されるものではなく、弁開度が自動的に調節されるものである。この利用側膨張弁54は、冷却運転モード実行中には、利用側ガス冷媒管58には利用側熱交換器52において蒸発した低温低圧冷媒が流れており、感温筒54aは当該冷媒の状態に応じて利用側膨張弁54の弁開度が自動的に調節されることになる。具体的には、利用側ガス冷媒管58を通過する冷媒の過熱度が高くなると利用側膨張弁54の弁開度が上がるように、利用側ガス冷媒管58を通過する冷媒の過熱度が小さくなると利用側膨張弁54の弁開度が下がるように、自動的に調節される。
また、アクチュエータ制御部74は、加温運転モード時には、四路切換弁24の接続状態を圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁49aとが接続されて熱源側熱交換器25と圧縮機21の吸入側とが接続された状態として、過冷却膨張弁32は全閉状態となるように制御し、利用側ファン53を停止させるように制御しつつ、各種センサの検出値等に応じて、圧縮機21の回転数、熱源側ファン45、熱源側膨張弁28の開度、油戻し弁39の開度、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度、利用側開閉弁51の開閉等をリアルタイムに制御する。また、バイパス回路80に設けられたバイパス膨張弁81は、加温運転モード実行中は、全閉状態に制御される。なお、加温運転モード実行中においても、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cは、いずれも全閉状態以外の状態に制御される。また、利用側膨張弁54は、加温運転時においても同様に、アクチュエータ制御部74によって制御されるものではなく、弁開度が自動的に調節されるものである。この利用側膨張弁54は、加温運転モード実行中には、感温筒54aが設けられている利用側ガス冷媒管58には圧縮機21から吐出されたホットガス冷媒が流れることとなるため、利用側膨張弁54は全開状態となる。
(2−5)表示制御部75
表示制御部75は、表示装置としてのリモコン50aの動作を制御する機能部である。
表示制御部75は、運転状態や状況に係る情報を管理者に対して表示すべく、リモコン50aに所定の情報を出力させる。
例えば、表示制御部75は、冷却運転実行中には、設定温度等の各種情報をリモコン50aに表示させる。
(3)冷却運転モードの冷媒の流れ
以下、冷却運転モード(起動時を除く)における冷媒回路10における冷媒の流れについて説明する。
冷凍装置100では、運転時に、冷媒回路10に充填された冷媒が、主として、圧縮機21、熱源側熱交換器25、レシーバ27、過冷却器31、熱源側膨張弁28、液側冷媒連絡配管6、利用側開閉弁51、利用側膨張弁54、利用側熱交換器52の順に循環する冷却運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
冷却運転が開始されると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。ここで、冷凍サイクルにおける低圧は、低圧センサ40aによって検出される吸入圧力であり、冷凍サイクルにおける高圧は、高圧センサ40cによって検出される吐出圧力であり、冷凍サイクルにおける中間圧は、中間圧センサ40bによって検出される吐出圧力である。
圧縮機21では、利用ユニット50で要求される冷却負荷に応じた容量制御が行われる。具体的には、吸入圧力の目標値が利用ユニット50で要求される冷却負荷に応じて設定され、吸入圧力が目標値になるように圧縮機21の運転周波数が制御される。
なお、バイパス回路80に設けられたバイパス膨張弁81は、起動時以降は全閉状態に制御されている。
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出側配管41を経て、熱源側熱交換器25のガス側端に流入する。ここで、吐出側配管41の途中に設けられた油分離器23は、圧縮機21から吐出された冷媒から冷凍機油を分離し、油戻し管38側に導く。
熱源側熱交換器25のガス側端に流入したガス冷媒は、熱源側熱交換器25において、熱源側ファン45によって供給される熱源側空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、液冷媒となって熱源側熱交換器25の液側端から流出する。
熱源側熱交換器25の液側端から流出した液冷媒は、第2分岐管36側に分岐して流れることなく、第1熱源液側配管43および第1熱源液側逆止弁26を通過して、レシーバ27の入口に流入する。レシーバ27に流入した液冷媒は、レシーバ27において飽和状態の液冷媒として一時的に溜められた後に、レシーバ27の出口から流出する。
レシーバ27の出口から流出した液冷媒は、第2熱源液側配管44を流れて過冷却器31に流入する。
過冷却器31に流入した液冷媒は、過冷却器31において、インジェクション管30を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態の液冷媒になり、過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出する。なお、ここで、過冷却膨張弁32の弁開度は、コントローラ70によって、過冷却器31から熱源側膨張弁28に向けて流れる冷媒が所定の正の過冷却度を有するようにしつつ、中間圧センサの検知値が所定の中間圧条件を満たすように制御される。
過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出した液冷媒は、第2熱源液側配管44における過冷却器31と熱源側膨張弁28との間の部分を経て、熱源側膨張弁28に流入する。このとき、過冷却器31の熱源側膨張弁28側の出口から流出した液冷媒の一部は、過冷却器31と熱源側膨張弁28との間の部分から分岐しているインジェクション管30に向けて流れるようになっている。
インジェクション管30を流れる冷媒は、過冷却膨張弁32によって冷凍サイクルにおける中間圧になるまで減圧される。過冷却膨張弁32によって減圧された後のインジェクション管30を流れる冷媒は、過冷却器31のインジェクション管30側の入口に流入する。過冷却器31のインジェクション管30側の入口に流入した冷媒は、過冷却器31において、第2熱源液側配管44側を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されてガス冷媒になる。そして、過冷却器31において加熱された冷媒は、インジェクション管30の下流側まで流れ、油戻し管38を介して流れてきた冷凍機油と合流することで混合され、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zにそれぞれ分流されて、第1〜第3圧縮機21a、21b、21cの圧縮工程の途中に合流する。ここで、第1〜第3インジェクション分流管33x、33y、33zを流れる冷媒量は、第1〜第3インジェクション弁33a、33b、33cの各弁開度によって調整される。
熱源側膨張弁28は、冷却運転モード(起動時を除く)では全開状態に制御されているため、第2熱源液側配管44から熱源側膨張弁28に流入した液冷媒は、減圧されることなく熱源側膨張弁28を通過し、その後に、熱源液側出口配管48、液側閉鎖弁49b、および液側冷媒連絡配管6を経て、運転中の利用ユニット50に流入する。
利用ユニット50に流入した冷媒は、利用側液側出口配管55、利用側開閉弁51、利用側弁接続配管56を経て、利用側膨張弁54に流入する。利用側膨張弁54に流入した冷媒は、利用側膨張弁54によって冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧されて、利用側液冷媒管59を経て利用側熱交換器52の液側端に流入する。利用側熱交換器52の液側端に流入した冷媒は、利用側熱交換器52において、利用側ファン53によって供給される利用側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって利用側熱交換器52のガス側端から流出する。利用側熱交換器52のガス側端から流出したガス冷媒は、利用側ガス冷媒管58を介して、ガス側冷媒連絡配管7に流れていく。
このようにして、利用ユニット50から流出した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管7、ガス側閉鎖弁49a、四路切換弁24および吸入側配管42を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
(4)加温運転モードの冷媒の流れ
以下、利用側熱交換器52に付着した霜を除去するため等に行われる加温運転モードにおける冷媒回路10における冷媒の流れについて説明する。
加温運転は、コントローラ70が冷却運転時に所定の加温運転開始条件を満たしたと判断した場合に(例えば、冷却運転が所定時間の間実行された場合または除霜対象の熱交換器の温度が所定温度以下に低下した場合)、開始される。
冷凍装置100では、加温運転時に、冷媒回路10に充填された冷媒が、主として、圧縮機21、利用側熱交換器52、利用側膨張弁54、レシーバ27、熱源側膨張弁28、熱源側熱交換器25の順に循環する加温運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
加温運転が開始されると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。
圧縮機21では、特に限定されないが、例えば最大周波数となるように制御される。
なお、バイパス回路80に設けられたバイパス膨張弁81は、加温運転中は全閉状態に制御されている。
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出側配管41を経て、利用側熱交換器52のガス側端に流入する。
利用側熱交換器52のガス側端に流入したガス冷媒は、放熱することで凝縮しつつ、利用側熱交換器52に付着している霜を融解させる。なお、このとき、利用側ファン53の駆動は停止している。
利用側熱交換器52で霜を融解させて凝縮した冷媒は、全開状態となっている利用側膨張弁54を通過し、液側冷媒連絡配管6を介して熱源ユニット2の液側に流入する。
熱源ユニット2の液側閉鎖弁49bを通過した冷媒は、熱源液側出口配管48および第1分岐管34における第1分岐逆止弁35を通過するように流れ(第2熱源液側逆止弁29が設けられているため、第2熱源液側配管44側には流れない。)、レシーバ27に流入する。レシーバ27に流入した冷媒は、第2熱源液側配管44を流れ、過冷却器31を通過して、熱源側膨張弁28において冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧された後、第2分岐管36の第2分岐逆止弁37を通過するように流れる。なお、加温運転時には過冷却膨張弁32は全閉状態に制御されているため、インジェクション管30の上流側には冷媒は流れない。また、加温運転時には油戻し弁39は開度制御されているため、油戻し管38を流れた冷凍機油は、インジェクション管30の下流側部分を介して第1〜第3圧縮機21a、21b、21cのそれぞれに送られる。
上述の第2分岐管36の第2分岐逆止弁37を通過するように流れた冷媒は、第1熱源液側配管43を介して熱源側熱交換器25に流入する。熱源側熱交換器25の液側端に流入した冷媒は、熱源側熱交換器25において、熱源側ファン45によって供給される熱源側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって熱源側熱交換器25のガス側端から流出する。
熱源側熱交換器25から流出したガス冷媒は、四路切換弁24および吸入側配管42を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
なお、加温運転は、コントローラ70が加温運転開始から所定の加温運転終了条件を満たしたと判断した場合に(例えば、所定時間の経過または除霜対象の熱交換器の温度が所定温度以上となること等)、終了され、通常の冷却運転が再開される。
(5)冷却運転における圧縮機21の起動時のコントローラ70による処理の流れ
以下、冷却運転の圧縮機21の起動時における、圧縮機21、熱源側膨張弁28、利用側開閉弁51、バイパス膨張弁81に関するコントローラ70の処理の流れの一例を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS11では、コントローラ70は、四路切換弁24の接続状態を冷却運転時の接続状態として、バイパス膨張弁81は全閉状態としたままで、圧縮機21の駆動を開始する。ここで、圧縮機21は、回転数を徐徐に上げていくことになる。
ステップS12では、コントローラ70は、利用側開閉弁51を開閉させる制御を開始する。具体的には、利用側開閉弁51を所定開時間だけ開いた状態(全開状態)とし、その後、所定閉時間だけ閉じた状態(全閉状態)とし、これを交互に行う開閉制御を開始する。これにより、起動時に圧縮機21に液冷媒が供給されてしまい、液圧縮が生じるおそれを低減することができる。
ステップS13では、コントローラ70は、熱源側膨張弁28の弁開度を、全閉状態ではない所定初期開度となるように制御する。これにより、熱源側熱交換器25において凝縮した液冷媒を、熱源液側出口配管48、液側冷媒連絡配管6、利用側液側出口配管55、利用側弁接続配管56に送ることが可能になり、熱源液側出口配管48、液側冷媒連絡配管6、利用側液側出口配管55、利用側弁接続配管56における冷媒の圧力が低下しにくい状況にすることが可能になる。
ステップS14では、コントローラ70は、ステップS13の処理を終えた後に起動時初期期間が経過したか否かを判断する。ここで、起動時初期期間が経過した場合にはステップS15に移行し、起動時初期期間が経過していない場合にはステップS14を繰り返す。
ステップS15では、コントローラ70は、熱源側膨張弁28を全閉状態に制御しつつ、バイパス回路80におけるバイパス膨張弁81の弁開度制御を開始する。具体的には、コントローラ70は、バイパス膨張弁81の弁開度を、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度以上となるように制御する。この所定結露抑制温度は、特に限定されないが、冷凍装置100の液側冷媒連絡配管6が配置される環境を考慮して、結露が生じないと予測される温度を予め定めておいてもよい。所定結露抑制温度の情報は、コントローラ70の記憶部71に格納させておくことで、上記制御の際にコントローラ70が参照するようにすることができる。具体的には、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度を下回りそうな状況では、バイパス膨張弁81の弁開度が上げられるように制御される。
ステップS16では、コントローラ70は、吐出温度センサ47の検知温度が安定しているか否かを判断する。具体的には、コントローラ70は、吐出温度センサ47の検知温度の変動幅が所定範囲内の状態で所定安定時間以上維持されたか否かを判断する。ここで、吐出温度センサ47の検知温度が安定していると判断された場合には、ステップS17に移行する。ここで、吐出温度センサ47の検知温度が安定していると判断されていない場合には、ステップS16の処理を続ける。
ステップS17では、コントローラ70は、起動時の制御を終了し、バイパス回路80におけるバイパス膨張弁81を全閉状態に制御しつつ、利用側開閉弁51の開閉制御を終了させて全開状態に制御しつつ、熱源側膨張弁28の弁開度を全開状態に制御することで、起動時以降の冷却運転を行う。
(6)冷凍装置100の特徴
(6−1)
圧縮機21の起動時に、利用側開閉弁51が閉じている状態から開いた状態に制御されることで、熱源側熱交換器25から液側冷媒連絡配管6等にかけて存在している液冷媒が、急激に利用側開閉弁51を通過する状態になることがある。このような場合には、利用側開閉弁51において急激に液冷媒が通過することに起因する衝撃(水撃)が生じてしまい、利用側開閉弁51やその周囲の配管(利用側液側出口配管55や利用側弁接続配管56)またはその周囲の弁(利用側膨張弁54)において振動が生じ、冷媒が漏洩してしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態に係る冷凍装置100では、圧縮機21の起動時に、熱源側膨張弁28を全閉状態に制御することで、熱源側熱交換器25〜熱源側膨張弁28にかけて存在している液冷媒が、利用側開閉弁51側に向かうことを阻止し、液側冷媒連絡配管6における液冷媒の密度が上がらないようにすることで、利用側開閉弁51における衝撃を小さく抑えることが可能になる。
ところが、このように、熱源側膨張弁28を全閉状態に制御してしまうと、熱源側膨張弁28から熱源液側出口配管48、液側冷媒連絡配管6、利用側液側出口配管55、利用側弁接続配管56等の部分が、圧縮機21の吸入側に接続された状態であるため、冷媒の圧力が低下し、冷媒の一部が蒸発してしまい、冷媒の温度が低下するおそれがある。このように冷媒の温度が低下してしまうと、熱源液側出口配管48、液側冷媒連絡配管6、利用側液側出口配管55、利用側弁接続配管56等の部分において結露が生じてしまうおそれがある。特に、熱源液側出口配管48、液側冷媒連絡配管6、利用側液側出口配管55、利用側弁接続配管56等の外表面が断熱材で覆われていない(防熱処理が施されていない)場合には、結露が生じやすい。
これに対して、本実施形態に係る冷凍装置100では、バイパス膨張弁81を開けることにより、圧縮機21の吐出側と熱源側膨張弁28の液側冷媒連絡配管6側とを接続するバイパス回路80を介して、利用側開閉弁51に向かおうとする液冷媒に対して高温高圧のガス冷媒を混ぜることが可能になる。これにより、利用側開閉弁51に向かおうとする冷媒の温度が低下する程度を小さく抑えることが可能となり、上記結露の発生を抑制することが可能になる。
また、バイパス回路80を介して熱源液側出口配管48に合流される冷媒は、熱源側膨張弁28から液側冷媒連絡配管6側に向かう液冷媒とは異なり、ガス冷媒であるため、液側冷媒連絡配管6の冷媒の過冷却度を小さくして冷媒密度を下げることができる。この点でも、液冷媒による利用側開閉弁51における衝撃を緩和することが可能になっている。
(6−2)
本実施形態の冷凍装置100では、圧縮機21の起動時において、熱源側膨張弁28が全閉状態に制御されている状況でバイパス回路80のバイパス膨張弁81の弁開度が開けられる制御が行われる前の段階で、熱源側膨張弁28が所定初期開度となるように開ける制御が行われている。これにより、熱源側膨張弁28が全閉状態となる前の段階で、熱源液側出口配管48や液側冷媒連絡配管6等において液冷媒をある程度供給することができているため、熱源側膨張弁28が全閉状態に制御された場合であっても、熱源液側出口配管48や液側冷媒連絡配管6等における冷媒の温度が急激に低下することを防ぐことができる。これにより、熱源液側出口配管48や液側冷媒連絡配管6等における結露の発生を抑制することができている。
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
(7−1)変形例A
上記実施形態では、圧縮機21の起動時において、熱源側膨張弁28が全閉状態に制御されている状況でバイパス回路80のバイパス膨張弁81の弁開度が開けられる制御が行われる前の段階で、熱源側膨張弁28が所定初期開度となるように開ける制御が行われる場合を例に挙げて説明した。
これに対して、圧縮機21の起動時の熱源側膨張弁28の制御としては、これに限られるものではなく、例えば、図4のフローチャートに示すようにコントローラ70によって制御が行われてもよい。
ステップS21、ステップS22は、上記実施形態のステップS11、ステップS12と同様であるため、説明を省略する。
ステップS23では、コントローラ70は、熱源側膨張弁28を全閉状態に制御しつつ、バイパス回路80におけるバイパス膨張弁81の弁開度を、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度以上となるように制御する。
ステップS24では、コントローラ70は、所定待機時間の経過を待って、ステップS25に移行する。
ステップS25では、コントローラ70は、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度以上になっているか否かを判断する。ここで、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度以上になっていない場合には、ステップS26に移行し、液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度以上になっている場合にはステップS27に移行する。
ステップS26では、コントローラ70は、熱源側膨張弁28の弁開度を、所定開度だけ上げる制御を行う。これにより、熱源側熱交換器25等における液冷媒を熱源側膨張弁28の液側冷媒連絡配管6側に供給することができ、液側冷媒連絡配管6等における冷媒の圧力が低下すること及び冷媒の温度が低下することを抑制することができる。ステップS26の処理を終えると、ステップS24に戻る。
ステップS27では、上記実施形態のステップS16の処理と同様に、コントローラ70は、吐出温度センサ47の検知温度が安定しているか否かを判断する。ここで、吐出温度センサ47の検知温度が安定していると判断された場合には、ステップS28に移行する。ここで、吐出温度センサ47の検知温度が安定していると判断されていない場合には、ステップS27の処理を続ける。
ステップS28では、上記実施形態のステップS17の処理と同様に、コントローラ70は、起動時の制御を終了し、バイパス回路80におけるバイパス膨張弁81を全閉状態に制御しつつ、利用側開閉弁51の開閉制御を終了させて全開状態に制御しつつ、熱源側膨張弁28の弁開度を全開状態に制御することで、起動時以降の冷却運転を行う。
以上の起動時の制御によれば、熱源側膨張弁28を全閉状態としつつバイパス膨張弁81が開いた状態に制御した場合であっても液管温度センサ85の検知温度が所定結露抑制温度より低くなってしまう場合には、熱源側膨張弁28の弁開度を上げて液側冷媒連絡配管6側に液冷媒を送ることで、液側冷媒連絡配管6等における冷媒圧力の低下を抑制し、冷媒温度の低下を抑制することができる。これにより、液側冷媒連絡配管6等の冷媒圧力の低下を緩和させ、液側冷媒連絡配管6等における結露を抑制させることが可能になる。
(7−2)変形例B
上記実施形態では、ステップS15の処理において熱源側膨張弁28を全閉状態とする場合を例に挙げて説明した。
これに対して、上記のように熱源側膨張弁28を全閉状態とする制御の代わりに、熱源側膨張弁28の弁開度を、全閉状態ではない予め定めた比較的小さな所定開度とする制御を行ってもよい。
熱源側膨張弁28の弁開度を全閉状態に制御しない場合には、利用側開閉弁51における液冷媒による衝撃が多少生じることとなるが、バイパス回路80を介したガス冷媒の混合により利用側開閉弁51での衝撃を小さく抑えることができている場合には、熱源側膨張弁28において多少の液冷媒を通過させても問題無い。なお、このように熱源側膨張弁28において液冷媒を通過させることにより、液側冷媒連絡配管6等における冷媒の低圧化をさらに抑制することができ、結露をさらに抑制することが可能になる。
(7−3)変形例C
上記実施形態では、圧縮機21の起動時が、圧縮機21の駆動を開始した時点から圧縮機21から吐出される冷媒温度が安定する時点までである場合を例に挙げて説明した。
これに対して、圧縮機21の起動時は、これに限定されず、例えば、圧縮機21の駆動を開始した時点から所定の起動時期間が終了するまでを圧縮機21の起動時としてもよい。すなわち、上記実施形態におけるステップS16の判断において、所定の起動時期間が終了したか否かを判断するようにしてもよい。
(7−4)変形例D
上記実施形態では、バイパス回路80には、弁開度の制御が可能な電子膨張弁であるバイパス膨張弁81が設けられている場合を例に挙げて説明した。
しかし、これに限定されず、バイパス回路80には、弁開度の制御は行われず、開閉の切り換え制御のみが可能な電磁開閉弁が設けられていてもよい。この場合には、電磁開閉弁の開の時間帯と閉の時間帯の長さの割合を調節することにより、上記実施形態のバイパス膨張弁81の開度制御に対応する制御を行うことができる。
(7−5)変形例E
上記実施形態では、冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内の冷却を行う冷凍装置100を例に挙げて説明した。
しかし、これに限定されず、輸送コンテナ内の冷却を行う冷凍装置としてもよいし、建物内の冷房等を行うことで空気調和を実現する空調システム(エアコン)としてもよい。