JP2018070641A - 含フッ素フェノールの製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性、低コスト化に優れ、健康や環境保全により配慮してペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素フェノールを製造する方法の提供。【解決手段】 非プロトン性極性溶媒にて溶解させて得られるアルコキシ基を有する含フッ素エーテルの溶解液に、スチレンスルホン酸重合物を存在させ水を加えて温度60℃〜120℃にて開裂反応を行い含フッ素フェノールの該重合物分散反応生成混合物を得る工程と、該重合物分散反応生成混合物より水を留去、該重合物固形分を分離し、続いて反応溶媒を留去して一般式(2)(C3nF6n−1O)k(HO)mAr(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素フェノール成分を得る工程と、を含むことを特徴とする含フッ素フェノールの製造法。【選択図】なし

Description

本発明は、ペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素フェノールの製造法に関し、より詳細には、耐熱性・耐溶剤性・撥水撥油性等に優れた成形材料、積層板材料、熱硬化性樹脂、塗料用ビヒクル、撥水・撥油性フィルム、光学材料、樹脂改質剤、電子材料等の機能性高分子材料等の原料として有用な一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素フェノールの製造法に関する。
ペルフルオロアルケニルアリールエーテル類の製造方法として、置換基を有することもあるフェノール類とヘキサフルオロプロペン2量体又は3量体とを反応させて得られる方法が、広く知られている(例えば、英国特許第1130822号公報、英国特許第1143927号公報、特開昭50−117727号公報等)。
かかる公知技術をもとに多くの新規化合物の提案もなされ、例えばペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素カルボン酸類、含フッ素ケトン類、含フッ素エーテル類、含フッ素アミン類、含フッ素アミド類等が開示されている(例えば、特開昭50−121243号公報、特開昭52−105141号公報、特開昭60−51146号公報、特開昭63−166849号公報、特開昭60−228474号公報、特開昭63−233940号公報、特開昭64−74215号公報、特開昭62−178551号公報、特開昭64−83064号公報、特開平2−117648号公報、特開平5−85995号公報、特開平3−66639号公報、特開2007−9163号公報、特開昭59−46236号公報、特開2002−348268号公報等。)。
かかる化合物類の中において、ペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素フェノールが特異な性質を有することから産業上期待されている(例えば、特開昭63−233940号公報、特開昭64−74215号公報(前文献の応用技術)。)。
そこで、該含フッ素フェノールの製造に係る公知文献としては、特開昭63−233940号公報の記載(発明の名称:パーフルオロアルケニルオキシフェノール及びその誘導体)のみしか見当たらない。
該特開昭63−233940号公報の「発明の詳細な説明」には、モノアルコキシフェノール又はそのアルキル誘導体とパーフルオロアルケンとを反応させてパーフルオロアルケニルオキシモノアルコキシベンゼン又はそのアルキル誘導体を合成し、次いで、これをハロゲン化水素と反応させることにより、パーフルオロアルケニルオキシフェノール又はそのアルキル誘導体が得られることが記載されている。
更に、該公報の実施例1には、
「 撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた反応容器にp−メトキシフェノール130g、ジメチルホルムアミド900mlおよびトリエチルアミン318gを入れ、20℃以下に冷却した。このものに20℃に保ちながらヘキサフルオロプロペン3量体450gを10分間で滴下し、20℃以下に保ちながら2時間撹拌した。反応後、多量の希塩酸中に反応液を投入し、沈澱した黄色の油状物を回収し、水層が酸性を示さなくなるまで水による洗浄を繰り返した。得られた油状物を蒸留し、4−パーフルオロノネニロキシフェニルメチルエーテル443g得た。bp86〜87℃/4mmHg。
この化合物388gを酢酸1300mlに溶解し、57%ヨウ化水素酸水溶液1300mlを加え撹拌しながら24時間加熱還流させた。放冷後、液状生成物を5%亜硫酸ナトリウム水溶液に投入し、クロロホルム2Lで2回抽出した。クロロホルム溶液を濃縮し、得られた粗結晶をクロロホルムに溶解し再結晶して4−パ−フルオロノネニロキシフェノール311gを得た。m.p.105℃。 」、
と開示されている。
該公知技術は、前段製造方法として、パーフルオロアルケニルオキシモノアルコキシベンゼンを合成し、更に後段製造方法として、これを原料にパーフルオロアルケニルオキシフェノールを合成する二段の異質な反応からなるものである。
つまり、上記の前段製造方法によるパーフルオロアルケニルオキシモノアルコキシベンゼンの合成は、相当するフェノール性HO基を含有する化合物とパーフルオロアルケンのオリゴマーとを用いて脱フッ酸反応を行った後、前段目的化合物を得るのに反応混合物に水を加えて相分離させて分取する精製処理工程により行われている。
かかる精製処理工程は処理水として大量の水を用いることを要し、更に該水溶液には該製造反応より副生する目的化合物当量のフッ酸を含むため、該水溶液から塩基性化合物触媒、溶媒等の反応助剤を分離回収することは技術的、経済的に難しい。
更に、該水溶液に含まれる副生フッ酸に起因するフッ素イオンを健康に安全で且つ環境を保全維持するレベルにまで処理、回収することは技術的、経済的に著しく困難である。
又、後段製造方法によるパーフルオロアルケニルオキシフェノールの合成は、該前段製造方法で得られるパーフルオロアルケニルオキシモノアルコキシベンゼンを原料とし、水溶性カルボン酸溶媒中で、多量のハロゲン化水素酸溶液を用いて該アルコキシ基の開裂反応を行った後、該反応混合物を亜硫酸ナトリウム水溶液で処理したのち抽出操作により該後段目的化合物を得ることが行われている。
かかる反応混合物の抽出処理工程は、工程が煩雑で生産性が優れないこと及び該抽出残廃水溶液には大量の水を含み、更に反応溶媒、ハロゲン処理残渣物を含んでおり、廃棄時には健康、環境を著しく害する問題があること、またこれらを分離、回収することは技術的、経済的に非常に難しいこと等の欠陥を有する。
そこで、本発明者は、該前段製造方法による該目的化合物の合成について、該前段目的化合物を製造する際に副生するフッ酸をフッ化カルシウムに変換し、反応助剤とともに簡便に且つ効果的に回収、再利用することができることを見出し、それにより健康や環境により配慮し、生産性向上、低コスト化を実現した(特開2016−135803号公報を参照。)。
より詳細には、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造にあたり、溶媒として非プロトン性極性溶媒、塩基性触媒として三級アミンを用いることにより、フェノール性HO基を少なくとも1個有するアレーン化合物とヘキサフルオロプロペンのオリゴマーとの脱フッ酸反応を高収率で進め、該反応生成溶液にCaCO類を加えて副生フッ酸と反応させ、系中にてフッ化カルシウム固形分として安全な物質に変換して簡易に
Figure 2018070641
れて、以降の操作に対するフッ酸の影響をなくすことができ、蒸留等の操作により三級アミン、非プロトン性極性溶媒、未反応オリゴマーを簡易、安全に且つ目的化合物のロスも少なく分離回収できることを見出して発明を完成し、上記した該前段製造方法による問題を解決して、すでに上記の該公報にて提供した。
一方、該後段製造方法によるパーフルオロアルケニルオキシフェノールを合成する方法については、該方法の上記した問題の解決策について、何ら記載がない。
尚、該文献にて開示された新規物質の同定物性値は、本発明者の実施によれば、測定誤差範囲を著しく超えて乖離した値であり、信頼性に欠け、検定値として用いることができないものであり、更に、他に該物質を確認同定する物性値の記載も見当たらない。
英国特許第1130822号公報 英国特許第1143927号公報 特開昭50−117727号公報 特開昭50−37736号公報 特開昭50−121243号公報 特開昭52−105141号公報 特開昭60−51146号公報 特開昭63−166849号公報 特開昭60−228474号公報 特開昭63−233940号公報 特開昭64−74215号公報 特開昭62−178551号公報 特開昭64−83064号公報 特開平2−117648号公報 特開平5−85995号公報 特公平6−51653号公報 特開平3−66639号公報 特開2007−9163号公報 特開昭59−46236号公報 特開2002−348268号公報 特開2016−135803号公報 特開昭60−15408号公報 特開昭63−189404号公報 特開平1−98605号公報 特開平6−211917号公報
上記した如く、該後段製造方法による含フッ素フェノールの製造において、水溶性溶媒中にてハロゲン化水素酸水溶液を用いて原料含フッ素エーテル中のアルコキシ基の開裂反応を行った後、亜硫酸ナトリウム水溶液で処理後、該目的化合物を分取するのに抽出操作を要し、かかる抽出工程は煩雑で生産性が優れないこと及び該抽出残廃水溶液には、多量の水、反応溶媒、ハロゲン処理残渣物を含有し、これらの回収、除去は難しく、廃棄時には健康や環境保全に著しい問題が生じ、技術的、経済的に大きな欠陥を有する。
本発明は、上記した該後段製造方法の問題を解決するもので、生産性、低コスト化に優れ、健康や環境保全により配慮した製造法を実現すべく、ペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素フェノールを製造する際に、アルコキシ基を有するペルフルオロアルケニルオキシ基含有含フッ素エーテルの非プロトン性極性溶媒による溶解液に、スチレンスルホン酸重合物を存在させ水を加えて、副反応を惹起することなく反応を簡便且つ効果的に行い、更に該反応助剤等を回収、再利用する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 一般式(2) (C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素フェノールの製造にあたり、非プロトン性極性溶媒、スチレンスルホン酸重合物及び水を用いることにより、アルコキシ基を少なくとも1個有するペルフルオロアルケニルオキシ基含有含フッ素エーテルの該アルコキシ基開裂反応を副反応が惹起することなく高収率で進め、得られる該重合物分散反応生成混合物より該スチレンスルホン酸重合物固形分を簡易に分離回収し、更に、該反応溶媒を留去して、該含フッ素フェノールをロスが少なく、健康や環境保全により配慮して製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(イ) 一般式(1)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Rは炭素数が1〜4の中から選ばれる整数のアルキル基、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素エーテルを非プロトン性極性溶媒にて溶解させて得られる該含フッ素エーテルの溶解液に、スチレンスルホン酸重合物0.1重量部〜50.0重量部(対該溶解液100重量部)を存在させ水1.0モル〜30.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)を加えて温度60℃〜120℃にて反応を行い、一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素フェノールの該重合物分散反応生成混合物を得る工程と、
(ロ) 上記(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より水を留去、該重合物固形分を分離し、続いて反応溶媒を留去して該含フッ素フェノール成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする含フッ素フェノールの製造法である。
本発明の(イ)工程に係る該含フッ素エーテルは、一般式(1)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Rは炭素数が1〜4の中から選ばれる整数のアルキル基、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される化合物である。
該式中において、nは2又は3の整数であるが、撥水撥油性、電気特性等が優れることから3の整数であることがより好ましい。kは1又は2の整数であるが、原料の入手が容易であること、反応を良好に進め優れた収率が得られること、製造における反応、精製等の工程が簡易であること、最終目的化合物である該含フッ素フェノールの誘導体有用性に優れること等から1の整数であることがより好ましい。mは1〜3の中から選ばれる整数であるが、最終目的化合物である含フッ素フェノールの樹脂、誘導体への官能基特性が優れること等から1又は2の整数であることがより好ましい。
又、該式中において、Rは炭素数が1〜4の中から選ばれる整数のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられるが、原料の入手が容易であること、本発明に係る反応が容易に進み、反応、精製の工程が簡易であること等から炭素数1のメチル基であることがより好ましい。Arは、置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であり、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の低級飽和炭化水素基、ビニル基、イソプロペニル基等の不飽和炭化水素基、ハロゲン基、シアノ基等が挙げられるが、原料の入手が容易であること等からメチル基、エチル基等の低級飽和炭化水素基がより好ましく、又、該芳香族単環及び多環式炭化水素基は、該芳香族単環及び多環式炭化水素の芳香族環上に遊離基があるものであり、該基本骨格の母体芳香族単環及び多環式炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等が挙げられるが、原料の入手が容易であること、製造が簡易であること等からベンゼンであることがより好ましい。
該式中において、アルコキシ基(RO) 及び ペルフルオロアルケニルオキシ基(C3n6n−1O)は、各々該Arで表される置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基中の芳香族環に結合する基を示す。
該ペルフルオロアルケニルオキシ基(C3n6n−1O)は、上記した公知技術(例えば、特開昭50−117727号公報、特開2016−135803号公報等。)の手法により、ヘキサフルオロプロペンの2又は3量体と原料フェノール性HO基との脱フッ酸反応によって得ることができ、具体的には、ペルフルオロヘキセニルオキシ基、ペルフルオロノネニルオキシ基及びこれらの異性遊離基が挙げられる。又、ペルフルオロノネニルオキシ基としては、本発明に係るヘキサフルオロプロペン3量体と原料フェノール性HO基との脱フッ酸反応が、主として該幾何異性体のペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)の2位結合F原子が脱離して反応が進むため、ペルフルオロ(2−イソプロピル−1,3−ジメチル−1−ブテニル)オキシ基結合が生成し、該基が特に有用であるが、これに限定されるものではない。
尚、本発明に係る一般式(1)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、n、k、m、R及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素エーテルは、上記した公知技術(例えば、特開昭50−117727号公報、特開2016−135803号公報等。)の手法により、例えば、一般式(5)(HO)(RO)Ar(式中、k、m、R及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される化合物、具体的には、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、2,6−ジメチル−4−メトキシフェノール、3,5−ジメトキフェノール、2,3,6−トリメトキシ−p−クレゾール、4−メトキシレゾルシノール、オイゲノール、4−メトキシ−1−ナフトール、6−メトキシ−1−ナフトール、4−ヒドロキシ−4’―メトキシビフェニル等とヘキサフルオロプロペン2又は3量体とを三級アミン等塩基性化合物の存在下で反応せしめて得られる。
本発明に係る該含フッ素エーテルとしては、例えば、4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル、3―ペルフルオロノネニルオキシフェニルエチルエーテル、3−ペルフルオロヘプテニルオキシフェニルメチルエーテル、3,5−ジメチル−4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル、1,3−ジメトキシ−5−ペルフルオロノネニルオキシベンゼン、4−ペルフルオロノネニルオキシ−2,3,5−トリメトキシトルエン、4−ペルフルオロノネニルオキシ−1−ナフチルメチルエーテル、5−ペルフルオロノネニルオキシ−2−ナフチルメチルエーテル、4−メトキシ−4’−ペルフルオロノネニルオキシビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(イ)工程に係る含フッ素エーテルの溶解液の溶媒として用いる非プロトン性極性溶媒は、OH、NH等のプロトン供与性の基を含む溶媒及びヘキサン等の非極性溶媒を除く溶媒群であり、具体的には、N,N―ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサフロロベンゼン、キシレン、ベンゼン、1,1,2−トリフルオロ−1,2,2−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、ベンゾニトリル等が挙げられるが、好ましくはN,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドである。
本発明に係るスチレンスルホン酸重合物は、該重合物中にスチレンスルホン酸残基を構成要素として60%以上有するものであり、例えば、p−スチレンスルホン酸塩の単独又は共重合体を脱塩して得られる60%以上スルホン化した重合物、ポリスチレンをSOにより60%以上スルホン化した重合物、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体、架橋したポリスチレン重合体等を60%以上スルホン化したスルホン酸陽イオン交換樹脂型重合物等として得られ、有用である。
該スチレンスルホン酸重合物は、該重合物が親水性に優れるほど本発明に係る反応が良好に進み操作が簡易であること等により該重合物のスルホン化度が80%以上であることがより好ましい。
又、該スチレンスルホン酸重合物の平均分子量は、200〜100000の範囲であるが、500未満では水不溶性スルホン化物が増大し、また50000を超えるとハンドリングが困難となること等から、平均分子量が500〜50000の範囲であることがより好ましい。
該スチレンスルホン酸重合物は、有機溶媒には極めて難溶性であるが、一方極めて強い親水性を示すことから、通常、液状あるいは固形状の含水スチレンスルホン酸重合物として得られ、有用である。
該含水スチレンスルホン酸重合物としては、例えば、スチレンスルホン酸の単独重合物の水溶液、ポリスチレンのスルホン化度80%以上の重合物の水溶液、これらの高濃度の固形状含水重合物、スルホン酸陽イオン交換樹脂(商品名:アンバーライト−15等)型重合物の含水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(イ)工程に係る該含フッ素エーテル中のRO基の開裂反応は、該スチレンスルホン酸重合物を存在させ水を加えて反応が進むが、該スチレンスルホン酸重合物中のスルホン酸基と水との親和による生成イオンにより反応が進むことから、該スチレンスルホン酸重合物と水を各々単独に反応系中に添加して用いるよりも予め溶融した含水スチレンスルホン酸重合物を用いる方が反応が良好に進み、精製分離等が簡易であることより該製造を該含水スチレンスルホン酸重合物の存在下に行うことがより好ましい。
該製造法の(イ)工程に係る実施形態としては、
(a) 該含フッ素エーテル溶解液に、該スチレンスルホン酸重合物を存在させ別途に水を加えて製造を行う方法、
(b) 該含フッ素エーテル溶解液に、該含水スチレンスルホン酸重合物を存在させ場合により水を添加して製造を行う方法、
等の方法が有用である。
該反応は、該スチレンスルホン酸重合物と水との親和により生成するイオンにより進むため、上記(b)の実施形態がより好ましい。
更に、該含水スチレンスルホン酸重合物としては、液状又は固形状のものがいずれも有用であるが、反応操作及び反応後の分離回収を簡易に行うには,予め固形状の該含水スチレンスルホン酸重合物を用いることがより好ましい。
尚、該固形状の含水スチレンスルホン酸重合物は、n−ヘキサン、クロロホルム、キシレン等の有機溶媒中に、滴下ロートより該スチレンスルホン酸重合物の水溶液を滴下し、場合により部分脱水して粒状物を得る方法等により簡易に得ることでき、より有用である。
該スチレンスルホン酸重合物は、該溶解液に対し0.1重量部〜50.0重量部(対該溶解液100重量部)が存在すれば該反応は進み有用であるが、該重合物が該溶解液に対し大過剰量に存在すれば反応操作、精製処理等に支障を惹起し易く、製造効率が不良となるため、該重合物は該溶解液に対し0.1重量部〜30.0重量部(対該溶解液100重量部)を存在させて製造を行うことがより好ましい。
又、該溶解液に対して加える水の量は、該含フッ素エーテル中のRO基と水とが等当量にて開裂反応が進むため水1.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)が必要であるが、大過剰の水を用いれば該溶解液の懸濁化が激しく反応・精製操作が困難となるため、水1.0モル〜30.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)が好ましく、更には水1.5モル〜20.0モル(対前記と同じ基1当量)を用いることがより好ましい。
尚、該含水スチレンスルホン酸重合物を用いる場合には、該含水スチレンスルホン酸重合物に含まれる水の量も該溶解液に加える水の量として加算される。
又、該溶解液に水を添加する方法は、該反応を良好に行うため水を一括して添加するよりも分割添加することがより好ましい。
本発明の(イ)工程に係る反応の温度は、60℃〜120℃の範囲であるが、温度が高くなるにしたがって反応速度が速くなり、70℃〜120℃の範囲で行うことがより好ましい。
該反応は、大気圧下あるいは加圧下で行うことができるが、反応作業、装置の簡便さから、大気圧下で行うことが好ましい。
更に、該反応系は、大気雰囲気下あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことができるが、該重合物分散反応生成混合物の着色を少なくするうえから不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。かかる不活性ガスとしては、具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等が挙げられるが、特に、経済性の面から窒素が好ましい。
本発明の(イ)工程に係るアルコキシ基を有するペルフルオロアルケニルオキシ基含有含フッ素エーテルの非プロトン性極性溶媒による溶解液に該スチレンスルホン酸重合物を存在させ水を加えて、該含フッ素エーテル中のRO基を開裂させてフェノール性HO基を生成せしめる反応は、該RO基を開裂して同じ結合位置にてフェノール性HO基のみを生成し、他に副生反応を惹起しないこと、更に該含フッ素エーテル中のペルフルオロアルケニルオキシ基(C3n6n−1O)に対しては該基の変性、開裂、転位等を全く惹起しないこと等の優れた特徴を有するものである。
本発明の(イ)工程に係る含フッ素フェノールは、一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される化合物であるが、該n、k、m及びArは、反応原料として用いる該含フッ素エーテル中のn、k、m及びArと同一であり、該(C3n6n−1O)基及びHO基は、各々反応原料として用いる該含フッ素エーテル中の(C3n6n−1O)基及びRO基と結合位置が変化せず、(C3n6n−1O)基の化学構造も同じである。
本発明に係る該含フッ素フェノールとしては、具体的には、4−ペルフルオロノネニルオキシフェノール、4−ペルフルオロヘキセニルオキシフェノール、3−ペルフルオロヘキセニルオキシフェノール、2,6−ジメチル−4−ペルフルオロノネニルオキシフェノール、3,5−ジペルフルオロノネニルオキシフェノール、5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノール、4−ペルフルオロノネニルオキシ−1−ナフトール、5−ペルフルオロノネニルオキシ−2−ナフトール、4−(4’−ペルフルオロノネニルオキシフェニル)フェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(ロ)工程において、(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より、該アルコキシ基開裂反応後に残存する水分を十分に留去し、該重合物固形分を分離した後、溶媒の非プロトン性極性溶媒を留去して一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素フェノール成分を得ることができる。
尚、(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より、該アルコキシ基開裂反応
Figure 2018070641
ま反応に再利用する方法も有用である。
更に、本発明に係る製造法は、該重合物分散反応生成混合物中の該スチレンスルホン酸重合物固形分、反応溶媒等の反応助剤の分離、留去を簡易に、効率よく行うことができ、更には、回収、再利用でき、実用上、工業的規模において優れたものである。
尚、上記の(ロ)工程において、上記の(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混
Figure 2018070641
等により簡易に行うことができるが、これらの方法に限定されるものではない。
又、上記の(ロ)工程で得られる該含フッ素フェノール成分は、不純物が少なく良質な物質として得られ、産業上有用である。更に、より高純度の該含フッ素フェノールは、(ロ)工程で得られる該含フッ素フェノール成分をメタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、ベンゼン、キシロール、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサフロロベンゼン、1,1,2−トリフロロー1,2,2−トリクロロエタン、水及びこれらの混合溶媒等の溶媒を用いて再結晶、溶媒精製する方法、(ロ)工程で得られる該含フッ素フェノール成分をカラムクロマトグラフにて精製する方法等により得ることができるが、これらに限定されるものではない。
尚、本発明においては、上記の具体的実施形態に示すものに限らず、目的、用途に応じて、本発明の範囲以内で種々変更した実施形態とすることもできる。
以上の如く、本発明に係る含フッ素フェノールの製造法は、該アルコキシ基を有する含フッ素エーテルを非プロトン性極性溶媒にて溶解させた溶解液に、スチレンスルホン酸重合物を存在させ水を加えて反応することにより、該含フッ素エーテル中のペルフルオロアルケニルオキシ基を変質、分離、転位等を惹起することなく、該含フッ素エーテル中のアルコキシ基を水により高収率で開裂反応を行い、副反応を惹起することなくフェノール性HO基を生成するとともに、該重合物分散反応生成混合物より該重合物固形分を分離し、反応溶媒を留去、回収し、これらを廃棄物として排出しない健康や環境保全により配慮した製造法であり、且つ該回収成分の再利用等により実用化する上で重要な生産性向上、低コスト化を実現できるなど優れた効果を発揮するものである。更に、本発明に係る含フッ素フェノールは、芳香族ポリエステル原料、ホルムアルデヒド、グリシジルハロゲン化物等と反応せしめ、各種成形材料、樹脂改質剤等として極めて広範囲に有用である。
実施例1(1)で得られた4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテルの質量スペクトルを示す。
実施例1(2)で得られた4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの質量スペクトルを示す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明は、
(イ) 一般式(1)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Rは炭素数が1〜4の中から選ばれる整数のアルキル基、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素エーテルを非プロトン性極性溶媒にて溶解させて得られる該含フッ素エーテルの溶解液に、スチレンスルホン酸重合物0.1重量部〜50.0重量部(対該溶解液100重量部)を存在させ水1.0モル〜30.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)を加えて温度60℃〜120℃にて反応を行い、一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素フェノールの該重合物分散反応生成混合物を得る工程と、
(ロ) 上記(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より水を留去、該重合物固形分を分離し、続いて反応溶媒を留去して該含フッ素フェノール成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする含フッ素フェノールの製造法である。
更に、本発明に係る製造法を実施するためのより好ましい形態としては、
(い) 一般式(3)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、nは3の整数、kは1の整数、mは1又は2の整数、Rはメチル基、Arは置換基を有することもある芳香族単環式炭化水素基の中から選ばれる種であり該芳香族炭化水素がベンゼンであることを示す。)で表される含フッ素エーテルを非プロトン性極性溶媒にて溶解させて得られる該含フッ素エーテルの溶解液に、スチレンスルホン酸重合物0.1重量部〜30.0重量部(対該溶解液100重量部)を存在させ水1.5モル〜20.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)を加えて温度70℃〜120℃にて反応を行い、一般式(4)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素フェノールの該重合物分散反応生成混合物を得る工程と、
(ろ) 上記(い)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より水を留去、該重合物固形分を分離し、続いて反応溶媒を留去して該含フッ素フェノール成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする含フッ素フェノールの製造法である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、これらの実施例の記載は、本発明の範囲をこれらのみに限定するものではない。
(1)4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテルの製造
((a)〜(c)工程):
(a) 4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテルの反応生成混合物の 製造:
撹拌機、温度計、スタック・ディーン型還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器にて、p−メトキシフェノール19.9g(0.160当量)をN,N−ジメチルホルムアミド200.0gに溶解させた液に、トリエチルアミン19.5g(0.193当量)を加えた。その液温を30℃に保持し撹拌しながら、滴下ロートよりヘキサフルオロプロペン3量体73.6g(0.164モル)を加えた。滴下終了後、4時間反応を行い完了して反応生成混合物を得た。該反応生成混合物をガスクロマトグラフにて検定した結果、原料p−メトキシフェノールのピークは消滅していた。
(b) フッ化カルシウム分散反応生成混合物の製造:
引き続いて、上記(a)工程で得られた反応生成混合物に反応温度40℃で沈降炭酸カルシウム(薬局方)11.2g(0.112モル)を5分割添加して2時間撹拌しながら反応を行い、白濁のフッ化カルシウム分散反応生成混合物を得た。
(c) 4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル成分の製造:
次に、上記(b)工程で得られたフッ化カルシウム分散反応生成混合物より、蒸留を行い、初留としてトリエチルアミン・水共沸留分13.7g(49.7〜50.4℃/260mmHg)、次いで順次にトリエチルアミン留分7.0g(56.4〜57.0℃/260mmHg)、オリゴマー留分1.4g(69.1〜73.3℃/198mmHg)を分留して留去した。
Figure 2018070641
82.2gを得た。この固形状物をN,N−ジメチルホルムアミドで共洗後、減圧乾燥してフッ化カルシウム固形分9.2g(純度66.2重量%:元素分析)を得た。尚、該固形分についてX線分析をした結果、マグネシウム、ヒ素及び珪素金属は検出されなかった。
Figure 2018070641
に移液して蒸留を行い、N,N−ジメチルホルムアミド留分192.5g(90.2〜91.7℃/88mmHg)を留去して、粘稠な半固形状の4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル成分86.2g(純度99.7重量%:液体クロマトグラフ検定)を得た。
尚、各留分の留出終了時点では留出液はテイリングすることなく一旦液の留出が止まり、各留分を得ることができた。
得られた留分を液体クロマトグラフで検定した結果、トリエチルアミン・水共沸留分は、トリエチルアミン純度89.6重量%(水分10.4重量%)であった。
又、トリエチルアミン留分、オリゴマー留分及びN,N−ジメチルホルムアミド留分は、いずれも純度99.9重量%であった。かかるトリエチルアミン留分、オリゴマー留分及びN,N−ジメチルホルムアミド留分は、いずれも高純度であり、上記(a)工程における原材料として用いることができる。
更に、該4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル成分をメタノールから再結晶することにより該化合物の白色結晶79.1g(mp41.0〜42.0℃)を得た。該結晶の元素分析、H核磁気共鳴吸収スペクトル分析、質量スペクトル分析結果を下記に示す。又、該結晶の質量スペクトル分析結果を[図1]に示す。
元素分析
測定値: C: 34.8%、H: 1.2%、F: 58.1%
計算値: C: 34.7%、H: 1.3%、F: 58.3%
H核磁気共鳴吸収スペクトル分析
(内部標準物質:TMS、溶媒:dDMSO)
フェニル基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 7.021(4H)
メチル基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 3.760(3H)
質量スペクトル分析
測定値: [M] :554
計算値: [M] :554
(2)4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの製造((イ)及び(ロ)工程):
(イ)4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの重合物分散反応生成混合物の製造 :
撹拌機、N吹込口付温度計、スタックディ−ン型還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器にて上記(1)項で得られる4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル55.4gにジメチルスルホキシド250.0gを加えて該溶解液を得た。その液を70℃に保持し撹拌しながら、滴下ロートより「20%ポリ(p−スチレンスルホン酸)溶液」(商品、和光純薬工業(株)製)30.0gを30分間で滴下した。滴下終了後、該液温を80℃まで上げて保持し10時間撹拌反応して4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの該重合物分散反応生成混合物を得た。
(ロ)4−ペルフルオロノネニルオキシフェノール成分の製造:
上記(イ)工程で得られた該重合物分散反応生成混合物より水を減圧下にて留去し、該残液を室温まで放冷後、該残留した重合物分散反応生成混合物より、遠心分離器を用いて
Figure 2018070641
.9重量%(NV測定)の含水ポリスチレンスルホン酸重合物であった。
Figure 2018070641
240.1gを留去して、半固形状の4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの含フッ素フェノール成分53.5g(純度99.1重量%:液体クロマトグラフ検定)を得た。
更に、該含フッ素フェノール成分をメタノールから再結晶することにより該化合物の白色結晶49.3g(mp108.1℃〜108.6℃)を得た。該結晶の元素分析、H核磁気共鳴吸収スペクトル分析、質量スペクトル分析結果を下記に示す。又、該結晶の質量スペクトル分析結果を[図2]に示す。
元素分析
測定値: C: 33.5%、H: 1.0%、F: 59.7%
計算値: C: 33.4%、H: 0.9%、F: 59.8%
H核磁気共鳴吸収スペクトル分析
(内部標準物質:TMS、溶媒:dDMSO)
フェニル基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 6.834 (4H)
HO基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 9.638 (1H)
質量スペクトル分析
測定値: [M] : 540
計算値: [M] : 540
4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの製造((イ)及び(ロ)工程):
(イ)4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの重合物分散反応生成混合物の製造 :
撹拌機、N吹込口付温度計、スタックディ−ン型還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器にて実施例1(1)の方法で得られる4−ペルフルオロノネニルオキシフェニルメチルエーテル55.4gにジメチルスルホキシド250.0gを加えて該溶解液を得た。その溶解液にスルホン酸陽イオン交換樹脂型重合物(商品名:アンバーリスト−15DRY、オルガノ(株)製)10.0gを加えて、その重合物分散混合物を80℃付近まで徐々に加温し、撹拌しながら滴下ロートより水15.0gを1時間で滴下した。滴下終了後、該重合物分散混合物の液温を80℃に保持し、15時間撹拌反応して4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの該重合物分散反応生成混合物を得た。
(ロ)4−ペルフルオロノネニルオキシフェノール成分の製造:
上記(イ)工程で得られた該重合物分散反応生成混合物より水を減圧下にて留去し、該残液を室温まで放冷後、該残留した重合物分散反応生成混合物より、遠心分離器を用いて
Figure 2018070641
半固形状の4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールの含フッ素フェノール成分53.0g(純度:98.3重量%:液体クロマトグラフ検定)を得た。
更に、該含フッ素フェノール成分をメタノールから再結晶することにより該化合物の白色結晶49.0gを得た。該結晶の融点、元素分析、H核磁気共鳴吸収スペクトル分析、質量スペクトル分析結果は、実施例1(2)で得られた4−ペルフルオロノネニルオキシフェノールのものと同じであった。
(1) 粒状含水スチレンスルホン酸重合物の製造:
撹拌機、N吹込口付温度計、スタックディ−ン型還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器に、n−ヘキサン350.0gを加えて、液温を室温に保持しながら撹拌し、滴下ロートより「20%ポリ(p−スチレンスルホン酸)溶液」(商品、和光純薬工業(株)製)100.0gを1時間で滴下して分散液を得た。
更に、滴下終了後、該分散液の撹拌を継続しながら、該液温を徐々に昇温させ、ゆるやかに還流させて脱水を12時間行った(脱水量76.4g)。
次に、該分散液を撹拌しながら室温まで放冷した後、該分散液より遠心分離器を用いて固液分離し、粒状含水スチレンスルホン酸重合物20.9g(含水率5.7重量%:NV測定)を得た。
(2) 5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノール製造
((イ)及び(ロ)工程):
(イ)5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノールの重合物分散反応生成混合物の 製造:
撹拌機、N吹込口付温度計、スタックディ−ン型還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器に、1,3−ジメトキシ−5−ペルフルオロノネニルオキシベンゼン58.4g及びジメチルスルホキシド250.0gを加えて溶解させた後、その溶解液に上記(1)項で得られる粒状含水スチレンスルホン酸重合物19.0gを撹拌しながら加えた。その重合物分散混合物を100℃付近まで徐々に加温し、おだやかに還流、撹拌しながら滴下ロートより水25.0gを2時間で滴下した後、15時間撹拌反応して5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノールの該重合物分散反応生成混合物を得た。
(ロ)5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノール成分の製造:
上記(イ)工程で得られた該重合物分散反応生成混合物より水を減圧下にて留去し、該残液を室温まで放冷後、該残留した重合物分散反応生成混合物より、遠心分離器を用いて
Figure 2018070641
6.3重量%(NV測定)の含水スチレンスルホン酸重合物であった。
Figure 2018070641
239.1gを留去して、固形状の5−ペルフルオロノネニルオキシレゾルシノールの含フッ素フェノール成分55.1g(純度98.2重量%:液体クロマトグラフ検定)を得た。
更に、該含フッ素フェノール成分をベンゼンから再結晶することにより該化合物の黄白色結晶49.8g(mp121.7℃〜122.3℃)を得た。該結晶の元素分析、H核磁気共鳴吸収スペクトル分析結果を下記に示す。
元素分析
測定値: C: 32.5%、H: 1.0%、F: 58.0%
計算値: C: 32.4%、H: 0.9%、F: 58.1%
H核磁気共鳴吸収スペクトル分析
(内部標準物質:TMS、溶媒:dDMSO)
フェニル基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 6.831 (2H)
δ値(ppm): 7.185 (1H)
HO基のプロトンに基づく吸収 δ値(ppm): 9.216 (2H)

Claims (1)

  1. (イ) 一般式(1)(C3n6n−1O)(RO)Ar(式中、nは2又は3の整数、kは1又は2の整数、mは1〜3の中から選ばれる整数、Rは炭素数が1〜4の中から選ばれる整数のアルキル基、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される含フッ素エーテルを非プロトン性極性溶媒にて溶解させて得られる該含フッ素エーテルの溶解液に、スチレンスルホン酸重合物0.1重量部〜50.0重量部(対該溶解液100重量部)を存在させ水1.0モル〜30.0モル(対該含フッ素エーテル中のRO基1当量)を加えて温度60℃〜120℃にて反応を行い、一般式(2)(C3n6n−1O)(HO)Ar(式中、n、k、m及びArは、前記と同じ意味を示す。)で表される含フッ素フェノールの該重合物分散反応生成混合物を得る工程と、
    (ロ) 上記(イ)工程で得られる該重合物分散反応生成混合物より水を留去、該重合物固形分を分離し、続いて反応溶媒を留去して該含フッ素フェノール成分を得る工程と、を含むことを特徴とする含フッ素フェノールの製造法。
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