JP2018065415A - 車両フロアの遮音構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】フロアパネルの面内における粒子速度の相違を勘案して、吸音材の面密度をより適正に設定して、遮音性と軽量化とを共に満足できるようにする。【解決手段】騒音としてのロードノイズの入射側となるフロアパネル1とこの上方に配設されたフロアカーペット16との間の空間Kに、吸音材17が配設される。フロアパネル1のうち、強度部材で囲まれたフロア領域F1(例えば後席の設置領域)が、振動の節を構成する例えばビード部18によって、正方形のパネル領域P1と他の領域P2とに区画される。パネル領域P1における吸音材17が、平面視において(パネル領域の面内において)、高密度領域M1と低密度領域M2とを有している。【選択図】 図9

Description

本発明は、車両フロアの遮音構造に関するものである。
遮音のためのパネル構造として、騒音が入射される外側パネルに対して、間隔をあけて内側パネルを配設して、この外側パネルと内側パネルとの間の空間内に吸音材を充填した2重壁構造が知られている。
車両においては、ロードノイズがフロアパネルを介して車室内に伝達されることから、フロアパネル部分での遮音というものが重要となる。特許文献1には、フロアパネルパネル部分を2重壁構造としたものが開示されている。
特開2014−189230号公報
ところで、遮音のために採択された2重壁構造にあっては、吸音材の面密度が大きいほど(つまり空間内での空気の流れ抵抗が大きいほど)、遮音性向上の上では好ましい反面、面密度が高くなるほど重量増加となり、軽量化という点では好ましくないものとなる。
従来の2重壁構造は、外側パネルの面内において(外側パネルの面に沿って)、吸音材の面密度が同一に設定されているのが実情である。すなわち、従来は、外側パネルから内側パネルとの間の空間においては、空気(粒子)が外側パネルから内側パネルに向けてほぼまっすぐに(外側パネルと直交する方向に)移動するものと考えられており、外側パネルの面内において吸音材の材質を変更する等のことは全く考慮されていないのが実情である。
一方、車両のフロアパネル部分に2重壁構造を採択した場合に、フロアパネルは薄板の鉄系金属で形成されているいことから、例えばロードノイズによって微妙に振動されて、吸音材が配設される空間内ので空気速度(粒子速度)の分布が、外側パネルとしてのフロアパネルの面内において相違する、ということが新たに知得された。すなわち、振動するフロアパネルは、振動していない静止状態の場合から大きく変位する腹の部分を有することから、腹とならない部分との間で空間容積の差が生じて、フロアパネルの面内において空気の速度(つまり粒子速度)が移動することになる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、フロアパネルの面内における粒子速度の相違を勘案して、フロアパネルの面内における吸音材の面密度を適正に設定して、遮音性と軽量化とを共に満足できる車両フロアの遮音構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
フロアパネルが、強度部材により囲まれて一方が長尺で他方が短尺となるフロア領域を有し、
前記フロア領域に、前記短尺方向に延びる高剛性部が形成されて、該フロア領域に該高剛性部により仕切られる正方形のパネル領域と他の領域とが形成され、
前記パネル領域上に、中間層としての吸音材を介してフロアカーペットを配設することにより2重壁構造が形成され、
前記パネル領域における吸音材が、平面視において、高密度領域と低密度領域とを有している、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、パネル領域について、平面視において(パネル領域の面内において)吸音材の密度を相違させて、パネル領域の全面に亘って一律に密度を大きくする場合に比して、遮音性を同等のものとしつつ軽量化を図ることができる。また、パネル領域を、高剛性部によって正方形となるようにしておくことにより、想定されるパネル領域での粒子速度の分布を精度よく反映させることができ、吸音材による遮音効果を十分に確保することができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
ロードノイズの車室内への等価損失が、前記高密度領域と前記低密度領域とで同等となるように設定されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、パネル領域の全面積範囲に渡って騒音の遮音性を同等にすることができる。
前記高剛性部が、ビード部とされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、高剛性部を確保するための重量増加を防止する上で好ましいものとなる。
前記高剛性部が、前記フロア領域に接合されると共に、該フロア領域を区画する前記強度部材よりも低剛性の補強部材によって構成されている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、補強部材を利用して高剛性部を簡単に構成することができ、また高剛性部を有しないフロアパネルをそのまま有効に利用して高剛性部を構成することができる。さらに、補強部材を、周囲の強度部材よりも低剛性として、補強部材自身の重量を軽減する上でも好ましいものとなる。
前記高密度領域が、前記パネル領域の中央部に設定された正方形の中央部位と、該中央部位を取り巻く正方形の環状部位とされている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、吸音材の密度分布を、パネル領域での粒子速度の分布を適切に反映させたものとすることができる。
前記強度部材が、少なくともトンネル部とサイドシルとクロスメンバを含むものとされており、
前記クロスメンバの延び方向が前記長尺方向とされる一方、前記サイドシルおよび前記トンネル部が延びる方向が前記短尺方向とされている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、車両のフロアパネルおよびその周辺部分の構造として一般的に採用されているものをそのまま利用することができる。
前記フロア領域において、前記パネル領域の面積に比して前記他の領域の面積が小さくされ、
前記他の領域に、前記フロアカーペットと前記吸音材とを有する2重壁構造が形成され、
前記他の領域における前記吸音材の密度が、前記パネル領域における前記高密度領域の密度よりも小さくされている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、他の領域における吸音材の密度を極力小さくして、その分軽量化をさらに促進することができる。
本発明によれば、遮音性と軽量化とを共に満足させることができる。
2重壁構造を模式的に示すと共に外側パネルが振動されている状況を示す断面図。 外側パネルが加振されたときに、粒子速度が大きい領域と小さい領域との分布例を示すと共に、粒子速度の最大値部位と中央値部位とを示す図。 図2の粒子速度の分布に基づいて吸音材の面密度を相違させた例を示す図。 粒子速度の最大値部位と中央値部位とのそれぞれについて、流れ抵抗σを変化させたときの粒子速度Vpの変化を示す図。 吸音材の目付と粒子速度と等価損失との関係を示す特性図。 本発明による吸音材の面密度を決定する手法を示す工程図。 本発明を車両のフロアパネル部分に適用した例を示す平面図。 図7のX8−X8線相当断面図。 図8に示されるフロア領域を示す平面図。 図9のX10−X10線相当断面図。
以下本発明の実施形態について説明するが、まず、図1〜図6を参照しつつ2重壁構造におけるパネルの面内における粒子速度の相違と、粒子速度の相違に応じて吸音材の面密度を相違させる点について説明する。その後、図7以下を参照しつつ車両のフロアパネルに関連して説明を行うこととする。
図1は、2重壁構造を模式的に示すものである。この図1において、20は外側パネル、30は内側パネル、40は吸音材である。外側パネル20と内側パネル30とは小間隔(例えば10〜30mm程度)あけて配設されている。両パネル20と30との間が空間Kとされている。そして、空間Kに、吸音材40が隙間無く充填されている。そして、両パネル20と30との周囲の隙間は、閉塞部材50によって閉塞されている(空間Kが外部を遮断された密閉空間あるいはほぼ密閉された空間とされている)。なお、両パネル20、30は、それぞれ正方形とされている。なお、図1において、フロアパネルについて2重壁構造を採択する場合を想定したときは、外側パネル20として例えば0.6mm厚程度の軟鋼板を用い、内側パネル30としてフロアカーペットを用いることができる。
両パネル20と30は、静止状態のときが破線で示されて、ほぼ平行状態を維持している。外側パネル20に対して入射音(外側パネル20を車両のフロアパネルとしたときはロードノイズ)が入力される。このとき、実線で示すように、外側パネル20が振動され、これに応じて内側パネル30も振動される。このように、パネル20、30の振動により、空間Kの容積は、外側パネル20(内側パネル30)の面内において変化し、空間K内の粒子速度(空気速度)が外側パネル20の面内において相違することになる。
図2は、図1の状態から吸音材40を無くした状態で外側パネル20が加振されたときに、空間Kにおける粒子速度の分布状況を2段階で示すものである。図2では、粒子速度Vpが大きい領域(実施形態では2.5m/s以上の領域)が白抜きの領域として示され、粒子速度が小さい領域(実施形態では2.5m/s未満の領域)がハッチングを付した領域として示される。また、図2において、粒子速度が最大値(例えば5.0m/s)となる部位が符号R1で示され、粒子速度の中央値(例えば2.5m/s)となる部位が符号R2で示される。
吸音材40によって、粒子速度を小さくする効果が高いほど、遮音効果が高いものとなる。すなわち、騒音エネルギの伝達が、外側パネルの振動→粒子速度への変化→内側パネルを振動→室内への伝播という過程を経ることから、吸音材40によって粒子速度を低減することにより遮音効果を高めることができる。
ここで、吸音材40の面密度が大きいほど、流れ抵抗(粒子速度を低減させる抵抗)が大きくなって、遮音効果の高いものとなる。また、同じ遮音効果を得るのであれば、粒子速度が小さいほど吸音材40の面密度を小さくすることができる。したがって、図2で示すように得られた粒子速度の2段階での分布に基づいて、粒子速度の大きい領域では吸音材40の面密度を大きくし、粒子速度の小さい領域では吸音材40の面密度を小さくすることができる。つまり、外側パネル20の面内における遮音性を同等にしつつ、面密度を小さくする部分の設定によって、その分軽量化を図ることができる。
図3においては、図2に示す粒子速度の分布に基づいて、吸音材40の面密度を大きくした領域M1を白抜きで、また面密度を小さくした領域M2をハッチングを付して示してある。領域M1は、方形(実施形態では正方形)の中央部位と、この中央部位を取り巻く方形の環状部位の2箇所に設定される。領域M2は、2箇所の領域M1の間に位置する方形(実施形態では正方形)の環状部位と、外側パネル1の周縁部に位置する方形の環状部位との2箇所とされている。
次に、領域M1での大きな面密度の設定例について説明する。まず、図2に示す粒子速度の分布から、粒子速度の最大値部位R1と中央値部位R2とが選択される。そして、この両部位R1とR2のそれぞれについて、流れ抵抗σを0から増大させたときの粒子速度Vp(の変化)が取得される。図4は、このようにして得られた粒子速度Vpと流れ抵抗σとの相関関係例を示すものである。図4中、破線が最大値部位R1についてのものであり、実線が中央値部位R2についてのものである。
図4において、部位R1およびR2共に、当初は、流れ抵抗の増大に伴って粒子速度Vpが大きく低下されていくが、流れ抵抗σが0.03(単位はMPa・s/m2 で、以下の説明では単位を省略して記載する)となった後は、流れ抵抗σの増大に伴う粒子速度Vpの低下分が極めて小さくなり、流れ抵抗σを0.05〜0.06付近から増大させても、粒子速度Vpは殆ど低下しないことになる。
各部位R1とR2のそれぞれについて、流れ抵抗σを0.06よりも大きくしても、粒子速度Vpの低下は実質的に得られない状況となる(吸音材40による粒子速度Vpの低下機能の飽和あるいは限界)。このことから、各部位R1とR2とのそれぞれについて、流れ抵抗σが同一という条件において、粒子速度Vpが同一となるときを所定の目標値VpTとする。この目標値VpTのときの流れ抵抗σを、図3に示す面密度の大きい領域M1で要求される流れ抵抗として設定する(粒子速度Vpが最大となる部位での遮音性を十分に確保)。
ここで、図5は、吸音材40の目付(面密度、重量に対応)と等価損失(騒音レベルの低減度合い)との関係を示すものである。この図5から明かなように、同じ等価損失を得るのに必要な目付は、粒子速度が大きいほど大きくする必要がある。つまり、ある等価損失δを得る場合に、粒子速度Vpが大きいときに比して粒子速度Vpが小さい方が、目付を小さくすることができ、その差分が吸音材40の重量差(重量の低減代)となる。なお、図5において、Vp・大の特性は、検出された粒子速度Vpの最大値に対応し(例えば5m/s)、Vp・小の特性は、検出された粒子速度Vpの中央値(例えば2.5m/s)に対応している。
前述のように、粒子速度の大きい領域M1について要求される流れ抵抗(実施形態では0.06)に基づいて、吸音材40の目付が設定される。
領域M1について設定された目付をβ1としたとき、これに対応した所定の等価損失(図5におけるδが対応)が、粒子速度Vpが大として示される特性線(図5実線)から決定される。そして、領域M2についての吸音材40の目付β2は、粒子速度Vpが小さいときの特性線(図5破線)に基づいて、所定の等価損失δとなるときの目付として決定される。これにより、領域M1とM2とで、同じ等価損失(同じ遮音性能)とすることができる。なお、中央値部位X2での粒子速度を考慮することにより、粒子速度が小さい領域M2での遮音性を十分に確保する上で好ましいものとなる。
図6は、前述した領域M1とM2を設定して、この領域M1、M2に対する吸音材40の面密度を設定するための工程を示すものである。図6は、前述した説明を総合したものとなっている。なお、以下の説明でQはステップを示す。
まず、Q1において、2重壁構造で吸音材40が存在しない状態の下に、外側パネル20を所定周波数で加振して(例えば音響スピーカによる加振)、そのときの粒子速度Vpの分布が求められる(図2のようなマップの取得で、粒子速度は粒子速度センサを利用して検出)。Q1の処理は、例えば車両のフロアパネルのうち後席部分に対する遮音対策の場合は、外側パネル20としてのフロアパネルを例えば900Hzで加振すればよく、この加振による粒子速度の分布は、シミュレーションにより取得することができる。
この後、Q2において、しきい値となる所定値を境にして、粒子速度の大きい領域M1と小さい領域M2とが設定される(図3のようなマップの設定)。
Q3では、粒子速度Vpの最大値部位R1と中央値部位R2とが選択される。この後、Q4において、両部位R1とR2とについて、流れ抵抗σを0から増大させたときの粒子速度Vpの関係が取得される(図4のような特性の取得で、シミュレーションによる取得とすることができる)。
Q5では、取得された図4に示すような特性から、各部位R1とR2とのそれぞれについて、粒子速度Vpがほぼ同じ値となる目標値VpTまで低下するときの流れ抵抗値σが決定される(実施形態では0.06)。この後、Q6において、Q5で決定された流れ抵抗σを満足する吸音材40の第1面密度(図5におけるβ1対応)が決定される。このQ6で決定される第1面密度が、吸音材40のうち領域M1についての面密度となる。
Q7では、図5に示す特性に基づいて、粒子速度Vpが小のときについて、粒子速度Vpが大かつ第1面密度のときの等価損失と同等の等価損失δとするための第2面密度が決定される。この第2面密度が、吸音材40のうち領域M2についての面密度となる。
次に、図7〜図10を参照しつつ、2重壁遮音構造を車両のフロアパネルについて適用した例について説明する。まず、図7において、1は、車室床面を構成するフロアパネルであり、前後2列のシートを有する車両用とされている。フロアパネル1の後部は、キックアップ部2を介して、リアフロアパネル3が連なっている。フロアパネル1の車幅方向中央部には、上方へ膨出されて前後方向に向けて伸びるトンネル部4が形成されている。そして、フロアパネル1の車幅方向端部は、前後方向に伸びる強度部材としてのサイドシル5に接合されている。なお、キックアップ部2の底部には、図示を略すが、車幅方向に延びるクロスメンバが接合されていて、キックアップ部2の底部の剛性(強度)が高いものとされている。
フロアパネル1上には、車幅方向に伸びる前後2組のクロスメンバ11、12が接合されている。前側のクロスメンバ11は、前席用シートが取付けられるようになっており、トンネル部4とサイドシル5とを連結している。後側のクロスメンバ12は、後席用シートが取付けられるようになっており、トンネル部4とサイドシル5とを連結している。なお、図中7は左右一対のフロントフレーム、8はエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルである。
フロアパネル1に対しては、左右一対のサイドシル5の間において、前後方向に斜めに延びるフロアフレーム15が接合されている。このフロアフレーム15は、その前端がフロントフレーム7の後部に直接的にまたは強度部材を介して間接的に連なり、その後端がサイドシル5の後部に連なっている。すなわち、フロアフレーム15は、フロントフレーム7に入力される前方からの荷重が伝達されるロードパスを構成している。なお、フロアフレーム15は、クロスメンバ11よりも前側においては、ハット状の強度部材がフロアパネル1の上面と下面とに接合されることにより上下2つの閉断面を構成する一方、クロスメンバ11よりも後部は、フロアパネル1の下面にのみハット状の強度部材が接合されて1つの閉断面を構成している。
フロアパネル1は、左右一対のサイドシル5、トンネル部4、クロスメンバ11、12によって、平面視において、ロードノイズを受けて振動されやすい6箇所のパネル部分が存在して、この各パネル部分について、2重壁構造の遮音構造が採択されている。この2重壁構造のうち、後席に対する左側のパネル部分の構造が図8〜図10に示される。なお、図9において、左側のクロスメンバ12、トンネル部4、キックアップ部2、左側のサイドシル5が、図1での閉塞部材50に対応したものとなる。
図8、図10に示すように、2重壁遮音構造は、外側パネル20に相当するフロアパネル1と、内側パネル30に相当するフロアカーペット16とを有し、その間の空間に吸音材17(図1における吸音材40対応)が充填されている。吸音材17は、繊維系のものが用いられている。また、フロアカーペット16の全周縁部は、シールされて、吸音材17が配設される空間(図1における空間K対応)が極力密閉構造となるように設定されている。そして、この吸音材17について、フロアパネル1の面内における粒子速度の分布に応じて、面密度が相違するように設定される。すなわち、吸音材17が、平面視において、例えば図3に示すようにして、面密度の大きい部分と面密度の小さい部分とに分けて存在される。
実施形態では、フロアカーペット16は、トンネル部4を境にして左右2枚設けられている。ただし、トンネル部4を境にした左右のフロアカーペット16を、クロスメンバ11と12とを境にして前後に3枚の分割構成とすることもできる。なお、実施形態では、フロアカーペット16がクロスメンバ12よりも低い位置に設定されているが、フロアカーペット16をクロスメンバ12よりも高い位置に設定することもできる(フロアパネル1とフロアカーペット16との上下方向間隔が大きくなって、その分遮音性が向上)。
ここで、説明の都合上、フロアパネル1のうち、後席用となる左側のパネル部分(それぞれ強度部材となる左側のクロスメンバ12、トンネル部4、キックアップ部2、左側のサイドシル5で囲まれた部分)をフロア領域F1として説明する(後席用となる右側のパネル部分においても同一構成が採択されている)。図7、図9に示すように、フロア領域F1は、平面視において、車幅方向において長尺で、前後方向において短尺の長方形状とされている。
フロア領域F1には、フロアパネル1を部分的に例えば上方へ膨出させることにより高剛性部としてのビード部18が形成されている。このビード部18は、フロア領域F1の短尺方向(前後方向)に延びていて、トンネル部4やサイドシル5と平行とされている。このビード部18は、フロア領域F1の短尺方向ほぼ全長に渡って伸びているが、フロア領域がロードノイズによって振動されたときに、振動の「節」を構成するものとなっている。
フロア領域F1は、ビード部18によって、車幅方向においてパネル領域P1と他の領域P2とに区画される。パネル領域P1は、図7ではダブルハッチングを付して示してあり、図9にも示すように正方形とされて、他の領域P2よりも大きな面積とされている。
パネル領域P1における吸音材17の面密度が、図3に示す場合と同様な設定とされている。すなわち、パネル領域P1において、吸音材17は、高密度領域M1と、低密度領域M2とが設定されている。このように、パネル領域P1において、遮音性を十分に確保しつつ、低密度領域M2を設定することから、この分軽量化を図ることができる。なお、実施形態では、高密度領域M1での面密度を0.9kg/m2 とし、低密度領域M2での面密度を面密度0.6kg/m2 としてある。
他の領域P2は、パネル領域P1に比して面積が小さくてロードノイズに起因して発生される粒子速度がパネル領域に比して小さくなる。よって、他の領域P2における吸音材17の面密度を、パネル領域P1での低密度領域M2と同じに設定して、その分さらなる軽量化を図ることができる。なお、他の領域P2での吸音材17の面密度を、領域M1での面密度と領域M2での面密度との中間程度の密度とすることもできる。
図8〜図10では、フロアパネル1のうち後席左側のパネル部分について説明したが、後席右側のパネル部分についても同様の設定とされている。また、後席以外の他のパネル部分についても同様に設定されている。すなわち、クロスメンバ11よりも前方側の左右2つのパネル部分と、クロスメンバ11と12との間に位置する左右2つのパネル部分についても、図8〜図10に示すような設定とすることができる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。ビード部18の形成に代えて、軽量の補強部材をフロアパネル1に接合してもよい(振動の「節」を構成できればよいので、極力軽量化とするために合成樹脂製とすることもできる)。粒子速度の分布を求めるための加振の際の周波数は、低減要求がある周波数(周波数域)として適宜選択することができる。また、互いに大きく異なる(例えば100Hz以上相違する)複数の周波数についてそれぞれ粒子速度の分布を求めて、複数の周波数についての粒子速度の分布に基づいて、粒子速度の領域分けを行うこともできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、吸音材の密度調整という簡単な手法によって、室内の静粛性を確保しつつ車両の軽量化を図ることができる。
1:フロアパネル
2:キックアップ部
4:トンネル部
5:サイドシル
11:クロスメンバ
12:クロスメンバ
16:フロアカーペット
17:吸音材
18:ビード部
20:外側パネル
30:内側パネル
40:吸音材
K:空間
M1:流れ抵抗大の領域
M2:流れ抵抗小の領域
R1:粒子速度の最大値部位
R2:粒子速度の中央値部位
β1:粒子速度が大の領域での吸音材の目付
β2:粒子速度が小の領域での吸音材の目付
F1:フロア領域
P1:パネル領域
P2:他の領域
本発明は、車両フロアの遮音構造に関するものである。
遮音のためのパネル構造として、騒音が入射される外側パネルに対して、間隔をあけて内側パネルを配設して、この外側パネルと内側パネルとの間の空間内に吸音材を充填した2重壁構造が知られている。
車両においては、ロードノイズがフロアパネルを介して車室内に伝達されることから、フロアパネル部分での遮音というものが重要となる。特許文献1には、フロアパネルパネル部分を2重壁構造としたものが開示されている。
特開2014−189230号公報
ところで、遮音のために採択された2重壁構造にあっては、吸音材の面密度が大きいほど(つまり空間内での空気の流れ抵抗が大きいほど)、遮音性向上の上では好ましい反面、面密度が高くなるほど重量増加となり、軽量化という点では好ましくないものとなる。
従来の2重壁構造は、外側パネルの面内において(外側パネルの面に沿って)、吸音材の面密度が同一に設定されているのが実情である。すなわち、従来は、外側パネルから内側パネルとの間の空間においては、空気(粒子)が外側パネルから内側パネルに向けてほぼまっすぐに(外側パネルと直交する方向に)移動するものと考えられており、外側パネルの面内において吸音材の材質を変更する等のことは全く考慮されていないのが実情である。
一方、車両のフロアパネル部分に2重壁構造を採択した場合に、フロアパネルは薄板の鉄系金属で形成されているいことから、例えばロードノイズによって微妙に振動されて、吸音材が配設される空間内ので空気速度(粒子速度)の分布が、外側パネルとしてのフロアパネルの面内において相違する、ということが新たに知得された。すなわち、振動するフロアパネルは、振動していない静止状態の場合から大きく変位する腹の部分を有することから、腹とならない部分との間で空間容積の差が生じて、フロアパネルの面内において空気の速度(つまり粒子速度)が移動することになる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、フロアパネルの面内における粒子速度の相違を勘案して、フロアパネルの面内における吸音材の面密度を適正に設定して、遮音性と軽量化とを共に満足できる車両フロアの遮音構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
フロアパネルが、強度部材により囲まれて一方が長尺で他方が短尺となるフロア領域を有し、
前記フロア領域に、前記短尺方向に延びる高剛性部が形成されて、該フロア領域に該高剛性部により仕切られる正方形のパネル領域と他の領域とが形成され、
前記パネル領域上に、中間層としての吸音材を介してフロアカーペットを配設することにより2重壁構造が形成され、
前記パネル領域における吸音材が、平面視において、高密度領域と該高密度領域よりも面密度の小さい低密度領域とを有しており、
前記高密度領域が、前記パネル領域の中央部に中央部位として設定され、
前記低密度領域が、該中央部位を取り巻く環状部位として設定されている、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、パネル領域について、平面視において(パネル領域の面内において)吸音材の密度を相違させて、パネル領域の全面に亘って一律に密度を大きくする場合に比して、遮音性を同等のものとしつつ軽量化を図ることができる。また、パネル領域を、高剛性部によって正方形となるようにしておくことにより、想定されるパネル領域での粒子速度の分布を精度よく反映させることができ、吸音材による遮音効果を十分に確保することができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。
前記高剛性部が、ビード部とされている、ようにしてある(請求項対応)。この場合、高剛性部を確保するための重量増加を防止する上で好ましいものとなる。
前記高剛性部が、前記フロア領域に接合されると共に、該フロア領域を区画する前記強度部材とは別部材の補強部材によって構成されている、ようにしてある(請求項対応)。この場合、補強部材を利用して高剛性部を簡単に構成することができ、また高剛性部を有しないフロアパネルをそのまま有効に利用して高剛性部を構成することができる。
前記高密度領域が、前記パネル領域の中央部に設定された正方形の中央部位と、該中央部位を取り巻く正方形の環状部位とされている、ようにしてある(請求項対応)。この場合、吸音材の密度分布を、パネル領域での粒子速度の分布を適切に反映させたものとすることができる。
前記強度部材が、少なくともトンネル部とサイドシルとクロスメンバを含むものとされており、
前記クロスメンバの延び方向が前記長尺方向とされる一方、前記サイドシルおよび前記トンネル部が延びる方向が前記短尺方向とされている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、車両のフロアパネルおよびその周辺部分の構造として一般的に採用されているものをそのまま利用することができる。
前記フロア領域において、前記パネル領域の面積に比して前記他の領域の面積が小さくされ、
前記他の領域に、前記フロアカーペットと前記吸音材とを有する2重壁構造が形成され、
前記他の領域における前記吸音材の面密度が、前記パネル領域における前記高密度領域での吸音材の面密度よりも小さくかつ前記低密度領域での吸音材の面密度以上とされている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、他の領域における吸音材の密度を極力小さくして、その分軽量化をさらに促進することができる。
本発明によれば、遮音性と軽量化とを共に満足させることができる。
2重壁構造を模式的に示すと共に外側パネルが振動されている状況を示す断面図。 外側パネルが加振されたときに、粒子速度が大きい領域と小さい領域との分布例を示すと共に、粒子速度の最大値部位と中央値部位とを示す図。 図2の粒子速度の分布に基づいて吸音材の面密度を相違させた例を示す図。 粒子速度の最大値部位と中央値部位とのそれぞれについて、流れ抵抗σを変化させたときの粒子速度Vpの変化を示す図。 吸音材の目付と粒子速度と透過損失との関係を示す特性図。 本発明による吸音材の面密度を決定する手法を示す工程図。 本発明を車両のフロアパネル部分に適用した例を示す平面図。 図7のX8−X8線相当断面図。 図8に示されるフロア領域を示す平面図。 図9のX10−X10線相当断面図。
以下本発明の実施形態について説明するが、まず、図1〜図6を参照しつつ2重壁構造におけるパネルの面内における粒子速度の相違と、粒子速度の相違に応じて吸音材の面密度を相違させる点について説明する。その後、図7以下を参照しつつ車両のフロアパネルに関連して説明を行うこととする。
図1は、2重壁構造を模式的に示すものである。この図1において、20は外側パネル、30は内側パネル、40は吸音材である。外側パネル20と内側パネル30とは小間隔(例えば10〜30mm程度)あけて配設されている。両パネル20と30との間が空間Kとされている。そして、空間Kに、吸音材40が隙間無く充填されている。そして、両パネル20と30との周囲の隙間は、閉塞部材50によって閉塞されている(空間Kが外部を遮断された密閉空間あるいはほぼ密閉された空間とされている)。なお、両パネル20、30は、それぞれ正方形とされている。なお、図1において、フロアパネルについて2重壁構造を採択する場合を想定したときは、外側パネル20として例えば0.6mm厚程度の軟鋼板を用い、内側パネル30としてフロアカーペットを用いることができる。
両パネル20と30は、静止状態のときが破線で示されて、ほぼ平行状態を維持している。外側パネル20に対して入射音(外側パネル20を車両のフロアパネルとしたときはロードノイズ)が入力される。このとき、実線で示すように、外側パネル20が振動され、これに応じて内側パネル30も振動される。このように、パネル20、30の振動により、空間Kの容積は、外側パネル20(内側パネル30)の面内において変化し、空間K内の粒子速度(空気速度)が外側パネル20の面内において相違することになる。
図2は、図1の状態から吸音材40を無くした状態で外側パネル20が加振されたときに、空間Kにおける粒子速度の分布状況を2段階で示すものである。図2では、粒子速度Vpが大きい領域(実施形態では2.5m/s以上の領域)が白抜きの領域として示され、粒子速度が小さい領域(実施形態では2.5m/s未満の領域)がハッチングを付した領域として示される。また、図2において、粒子速度が最大値(例えば5.0m/s)となる部位が符号R1で示され、粒子速度の中央値(例えば2.5m/s)となる部位が符号R2で示される。
吸音材40によって、粒子速度を小さくする効果が高いほど、遮音効果が高いものとなる。すなわち、騒音エネルギの伝達が、外側パネルの振動→粒子速度への変化→内側パネルを振動→室内への伝播という過程を経ることから、吸音材40によって粒子速度を低減することにより遮音効果を高めることができる。
ここで、吸音材40の面密度が大きいほど、流れ抵抗(粒子速度を低減させる抵抗)が大きくなって、遮音効果の高いものとなる。また、同じ遮音効果を得るのであれば、粒子速度が小さいほど吸音材40の面密度を小さくすることができる。したがって、図2で示すように得られた粒子速度の2段階での分布に基づいて、粒子速度の大きい領域では吸音材40の面密度を大きくし、粒子速度の小さい領域では吸音材40の面密度を小さくすることができる。つまり、外側パネル20の面内における遮音性を同等にしつつ、面密度を小さくする部分の設定によって、その分軽量化を図ることができる。
図3においては、図2に示す粒子速度の分布に基づいて、吸音材40の面密度を大きくした領域M1を白抜きで、また面密度を小さくした領域M2をハッチングを付して示してある。領域M1は、方形(実施形態では正方形)の中央部位と、この中央部位を取り巻く方形の環状部位の2箇所に設定される。領域M2は、2箇所の領域M1の間に位置する方形(実施形態では正方形)の環状部位と、外側パネル1の周縁部に位置する方形の環状部位との2箇所とされている。
次に、領域M1での大きな面密度の設定例について説明する。まず、図2に示す粒子速度の分布から、粒子速度の最大値部位R1と中央値部位R2とが選択される。そして、この両部位R1とR2のそれぞれについて、流れ抵抗σを0から増大させたときの粒子速度Vp(の変化)が取得される。図4は、このようにして得られた粒子速度Vpと流れ抵抗σとの相関関係例を示すものである。図4中、破線が最大値部位R1についてのものであり、実線が中央値部位R2についてのものである。
図4において、部位R1およびR2共に、当初は、流れ抵抗の増大に伴って粒子速度Vpが大きく低下されていくが、流れ抵抗σが0.03(単位はMPa・s/m2 で、以下の説明では単位を省略して記載する)となった後は、流れ抵抗σの増大に伴う粒子速度Vpの低下分が極めて小さくなり、流れ抵抗σを0.05〜0.06付近から増大させても、粒子速度Vpは殆ど低下しないことになる。
各部位R1とR2のそれぞれについて、流れ抵抗σを0.06よりも大きくしても、粒子速度Vpの低下は実質的に得られない状況となる(吸音材40による粒子速度Vpの低下機能の飽和あるいは限界)。このことから、各部位R1とR2とのそれぞれについて、流れ抵抗σが同一という条件において、粒子速度Vpが同一となるときを所定の目標値VpTとする。この目標値VpTのときの流れ抵抗σを、図3に示す面密度の大きい領域M1で要求される流れ抵抗として設定する(粒子速度Vpが最大となる部位での遮音性を十分に確保)。
ここで、図5は、吸音材40の目付(面密度、重量に対応)と透過損失(騒音レベルの低減度合い)との関係を示すものである。この図5から明かなように、同じ透過損失を得るのに必要な目付は、粒子速度が大きいほど大きくする必要がある。つまり、ある透過損失δを得る場合に、粒子速度Vpが大きいときに比して粒子速度Vpが小さい方が、目付を小さくすることができ、その差分が吸音材40の重量差(重量の低減代)となる。なお、図5において、Vp・大の特性は、検出された粒子速度Vpの最大値に対応し(例えば5m/s)、Vp・小の特性は、検出された粒子速度Vpの中央値(例えば2.5m/s)に対応している。
前述のように、粒子速度の大きい領域M1について要求される流れ抵抗(実施形態では0.06)に基づいて、吸音材40の目付が設定される。
領域M1について設定された目付をβ1としたとき、これに対応した所定の透過損失(図5におけるδが対応)が、粒子速度Vpが大として示される特性線(図5実線)から決定される。そして、領域M2についての吸音材40の目付β2は、粒子速度Vpが小さいときの特性線(図5破線)に基づいて、所定の透過損失δとなるときの目付として決定される。これにより、領域M1とM2とで、同じ透過損失(同じ遮音性能)とすることができる。なお、中央値部位X2での粒子速度を考慮することにより、粒子速度が小さい領域M2での遮音性を十分に確保する上で好ましいものとなる。
図6は、前述した領域M1とM2を設定して、この領域M1、M2に対する吸音材40の面密度を設定するための工程を示すものである。図6は、前述した説明を総合したものとなっている。なお、以下の説明でQはステップを示す。
まず、Q1において、2重壁構造で吸音材40が存在しない状態の下に、外側パネル20を所定周波数で加振して(例えば音響スピーカによる加振)、そのときの粒子速度Vpの分布が求められる(図2のようなマップの取得で、粒子速度は粒子速度センサを利用して検出)。Q1の処理は、例えば車両のフロアパネルのうち後席部分に対する遮音対策の場合は、外側パネル20としてのフロアパネルを例えば900Hzで加振すればよく、この加振による粒子速度の分布は、シミュレーションにより取得することができる。
この後、Q2において、しきい値となる所定値を境にして、粒子速度の大きい領域M1と小さい領域M2とが設定される(図3のようなマップの設定)。
Q3では、粒子速度Vpの最大値部位R1と中央値部位R2とが選択される。この後、Q4において、両部位R1とR2とについて、流れ抵抗σを0から増大させたときの粒子速度Vpの関係が取得される(図4のような特性の取得で、シミュレーションによる取得とすることができる)。
Q5では、取得された図4に示すような特性から、各部位R1とR2とのそれぞれについて、粒子速度Vpがほぼ同じ値となる目標値VpTまで低下するときの流れ抵抗値σが決定される(実施形態では0.06)。この後、Q6において、Q5で決定された流れ抵抗σを満足する吸音材40の第1面密度(図5におけるβ1対応)が決定される。このQ6で決定される第1面密度が、吸音材40のうち領域M1についての面密度となる。
Q7では、図5に示す特性に基づいて、粒子速度Vpが小のときについて、粒子速度Vpが大かつ第1面密度のときの透過損失と同等の透過損失δとするための第2面密度が決定される。この第2面密度が、吸音材40のうち領域M2についての面密度となる。
次に、図7〜図10を参照しつつ、2重壁遮音構造を車両のフロアパネルについて適用した例について説明する。まず、図7において、1は、車室床面を構成するフロアパネルであり、前後2列のシートを有する車両用とされている。フロアパネル1の後部は、キックアップ部2を介して、リアフロアパネル3が連なっている。フロアパネル1の車幅方向中央部には、上方へ膨出されて前後方向に向けて伸びるトンネル部4が形成されている。そして、フロアパネル1の車幅方向端部は、前後方向に伸びる強度部材としてのサイドシル5に接合されている。なお、キックアップ部2の底部には、図示を略すが、車幅方向に延びるクロスメンバが接合されていて、キックアップ部2の底部の剛性(強度)が高いものとされている。
フロアパネル1上には、車幅方向に伸びる前後2組のクロスメンバ11、12が接合されている。前側のクロスメンバ11は、前席用シートが取付けられるようになっており、トンネル部4とサイドシル5とを連結している。後側のクロスメンバ12は、後席用シートが取付けられるようになっており、トンネル部4とサイドシル5とを連結している。なお、図中7は左右一対のフロントフレーム、8はエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルである。
フロアパネル1に対しては、左右一対のサイドシル5の間において、前後方向に斜めに延びるフロアフレーム15が接合されている。このフロアフレーム15は、その前端がフロントフレーム7の後部に直接的にまたは強度部材を介して間接的に連なり、その後端がサイドシル5の後部に連なっている。すなわち、フロアフレーム15は、フロントフレーム7に入力される前方からの荷重が伝達されるロードパスを構成している。なお、フロアフレーム15は、クロスメンバ11よりも前側においては、ハット状の強度部材がフロアパネル1の上面と下面とに接合されることにより上下2つの閉断面を構成する一方、クロスメンバ11よりも後部は、フロアパネル1の下面にのみハット状の強度部材が接合されて1つの閉断面を構成している。
フロアパネル1は、左右一対のサイドシル5、トンネル部4、クロスメンバ11、12によって、平面視において、ロードノイズを受けて振動されやすい6箇所のパネル部分が存在して、この各パネル部分について、2重壁構造の遮音構造が採択されている。この2重壁構造のうち、後席に対する左側のパネル部分の構造が図8〜図10に示される。なお、図9において、左側のクロスメンバ12、トンネル部4、キックアップ部2、左側のサイドシル5が、図1での閉塞部材50に対応したものとなる。
図8、図10に示すように、2重壁遮音構造は、外側パネル20に相当するフロアパネル1と、内側パネル30に相当するフロアカーペット16とを有し、その間の空間に吸音材17(図1における吸音材40対応)が充填されている。吸音材17は、繊維系のものが用いられている。また、フロアカーペット16の全周縁部は、シールされて、吸音材17が配設される空間(図1における空間K対応)が極力密閉構造となるように設定されている。そして、この吸音材17について、フロアパネル1の面内における粒子速度の分布に応じて、面密度が相違するように設定される。すなわち、吸音材17が、平面視において、例えば図3に示すようにして、面密度の大きい部分と面密度の小さい部分とに分けて存在される。
実施形態では、フロアカーペット16は、トンネル部4を境にして左右2枚設けられている。ただし、トンネル部4を境にした左右のフロアカーペット16を、クロスメンバ11と12とを境にして前後に3枚の分割構成とすることもできる。なお、実施形態では、フロアカーペット16がクロスメンバ12よりも低い位置に設定されているが、フロアカーペット16をクロスメンバ12よりも高い位置に設定することもできる(フロアパネル1とフロアカーペット16との上下方向間隔が大きくなって、その分遮音性が向上)。
ここで、説明の都合上、フロアパネル1のうち、後席用となる左側のパネル部分(それぞれ強度部材となる左側のクロスメンバ12、トンネル部4、キックアップ部2、左側のサイドシル5で囲まれた部分)をフロア領域F1として説明する(後席用となる右側のパネル部分においても同一構成が採択されている)。図7、図9に示すように、フロア領域F1は、平面視において、車幅方向において長尺で、前後方向において短尺の長方形状とされている。
フロア領域F1には、フロアパネル1を部分的に例えば上方へ膨出させることにより高剛性部としてのビード部18が形成されている。このビード部18は、フロア領域F1の短尺方向(前後方向)に延びていて、トンネル部4やサイドシル5と平行とされている。このビード部18は、フロア領域F1の短尺方向ほぼ全長に渡って伸びているが、フロア領域がロードノイズによって振動されたときに、振動の「節」を構成するものとなっている。
フロア領域F1は、ビード部18によって、車幅方向においてパネル領域P1と他の領域P2とに区画される。パネル領域P1は、図7ではダブルハッチングを付して示してあり、図9にも示すように正方形とされて、他の領域P2よりも大きな面積とされている。
パネル領域P1における吸音材17の面密度が、図3に示す場合と同様な設定とされている。すなわち、パネル領域P1において、吸音材17は、高密度領域M1と、低密度領域M2とが設定されている。このように、パネル領域P1において、遮音性を十分に確保しつつ、低密度領域M2を設定することから、この分軽量化を図ることができる。なお、実施形態では、高密度領域M1での面密度を0.9kg/m2 とし、低密度領域M2での面密度を面密度0.6kg/m2 としてある。
他の領域P2は、パネル領域P1に比して面積が小さくてロードノイズに起因して発生される粒子速度がパネル領域に比して小さくなる。よって、他の領域P2における吸音材17の面密度を、パネル領域P1での低密度領域M2と同じに設定して、その分さらなる軽量化を図ることができる。なお、他の領域P2での吸音材17の面密度を、領域M1での面密度と領域M2での面密度との中間程度の密度とすることもできる。
図8〜図10では、フロアパネル1のうち後席左側のパネル部分について説明したが、後席右側のパネル部分についても同様の設定とされている。また、後席以外の他のパネル部分についても同様に設定されている。すなわち、クロスメンバ11よりも前方側の左右2つのパネル部分と、クロスメンバ11と12との間に位置する左右2つのパネル部分についても、図8〜図10に示すような設定とすることができる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。ビード部18の形成に代えて、軽量の補強部材をフロアパネル1に接合してもよい(振動の「節」を構成できればよいので、極力軽量化とするために合成樹脂製とすることもできる)。粒子速度の分布を求めるための加振の際の周波数は、低減要求がある周波数(周波数域)として適宜選択することができる。また、互いに大きく異なる(例えば100Hz以上相違する)複数の周波数についてそれぞれ粒子速度の分布を求めて、複数の周波数についての粒子速度の分布に基づいて、粒子速度の領域分けを行うこともできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、吸音材の密度調整という簡単な手法によって、室内の静粛性を確保しつつ車両の軽量化を図ることができる。
1:フロアパネル
2:キックアップ部
4:トンネル部
5:サイドシル
11:クロスメンバ
12:クロスメンバ
16:フロアカーペット
17:吸音材
18:ビード部
20:外側パネル
30:内側パネル
40:吸音材
K:空間
M1:流れ抵抗大の領域
M2:流れ抵抗小の領域
R1:粒子速度の最大値部位
R2:粒子速度の中央値部位
β1:粒子速度が大の領域での吸音材の目付
β2:粒子速度が小の領域での吸音材の目付
F1:フロア領域
P1:パネル領域
P2:他の領域

Claims (7)

  1. フロアパネルが、強度部材により囲まれて一方が長尺で他方が短尺となるフロア領域を有し、
    前記フロア領域に、前記短尺方向に延びる高剛性部が形成されて、該フロア領域に該高剛性部により仕切られる正方形のパネル領域と他の領域とが形成され、
    前記パネル領域上に、中間層としての吸音材を介してフロアカーペットを配設することにより2重壁構造が形成され、
    前記パネル領域における吸音材が、平面視において、高密度領域と低密度領域とを有している、
    ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  2. 請求項1において、
    ロードノイズの車室内への等価損失が、前記高密度領域と前記低密度領域とで同等となるように設定されている、ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記高剛性部が、ビード部とされている、ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記高剛性部が、前記フロア領域に接合されると共に、該フロア領域を区画する前記強度部材よりも低剛性の補強部材によって構成されている、ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記高密度領域が、前記パネル領域の中央部に設定された正方形の中央部位と、該中央部位を取り巻く正方形の環状部位とされている、ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記強度部材が、少なくともトンネル部とサイドシルとクロスメンバを含むものとされており、
    前記クロスメンバの延び方向が前記長尺方向とされる一方、前記サイドシルおよび前記トンネル部が延びる方向が前記短尺方向とされている、
    ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記フロア領域において、前記パネル領域の面積に比して前記他の領域の面積が小さくされ、
    前記他の領域に、前記フロアカーペットと前記吸音材とを有する2重壁構造が形成され、
    前記他の領域における前記吸音材の密度が、前記パネル領域における前記高密度領域の密度よりも小さくされている、
    ことを特徴とする車両フロアの遮音構造。
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