JP2005096734A - 自動車のフロアパネル構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車室内の騒音を低減することができる自動車のフロアパネル構造を提供する。
【解決手段】 本発明は、車体のフレーム部材12,14,16,18,20,22,24,26に接続して設けられたフロアパネルS1,S2,S3,S4,S5,S6により自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルは、フレーム部材に接しないように設けられたビード部50(150)と、このビード部の周囲に形成された平面部52(152)とを有し、このフロアパネルのビード部の少なくとも一側面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、この境界部aを含む境界領域cに制振材54(154)が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車体のフロアパネル構造に係り、特に、車体のフレーム部材に接続されて設けられたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造に関する。
エンジンやサスペンションが連結されたフレーム部材からの振動がフロアパネルに伝達され、このフロアパネルが振動し、その結果、車室内の空気を大きく振動させることにより、不快な車室内振動や騒音が発生することが知られている。
この場合、振動源として、エンジン自体の振動や、サスペンションから伝わるロードノイズが問題となり、このロードノイズには、一般に、タイヤの空洞共鳴によるものと、サスペンションの共振によるものとがある。
従来から、これらの振動騒音を抑制するためにフロアパネル及びその近傍の車体各部に、種々の防振及び防音対策として、制振材や防振材を貼付けることが一般的に行われている。これにより、振動及び騒音の低減が可能であるが、一方で大量の制振材や防振材を必要とするため、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響が生じたりコストの面で問題があった。
さらに、自動車においては、エンジンやサスペンションから伝達される不快な振動が主に400Hz以下であり、特にタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数にピークを有しているので、フロアパネルにビードを多数形成したり、パネル厚を大きくすることによりその剛性を高め、それにより、フロアパネルの固有振動数を400Hzよりも高い高帯域にずらすようにしたことも知られている。このようにして、フロアパネルがサスペンションの共振周波数やタイヤの空洞共鳴周波数帯域等で共振しないようにして、不快な振動騒音を低減するようにしている。
この場合、低周波の領域における共振ピークを抑制できるという利点があるが、一方で、高音域の振動が逆に多くなるため、高周波領域における振動騒音を抑制するための制振材や防振材が多く必要となり、上述したものと同様に、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響が生じたりコストの面で問題があり、これらの問題を解決することが要望されていた。
そこで、本出願人は、フロアパネルに伝わる振動の振動周波数と振動モードの関係に着目し、特定の振動周波数(共振領域)で音響放射レベルがより小さい振動モードになるようなフロアパネル構造を提案した(特許文献1)。このフロアパネル構造は、特定の周波数として、最も不快な振動としてフロアパネルに伝達されるタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数帯で、フロアパネルの振動モードが2×2モード又は2×1モードのように振動の腹が偶数個生じる振動モードになるようにフロアパネルの剛性を部分的に調節し、それぞれの振動の腹から放射される音波が互いに打ち消し合うように設定することで音響放射レベルを低下させて、車室内の騒音を低減するようにしたものである。
特開平9−202269号公報
しかしながら、上述した従来のフロアパネルの全面に制振材や防振材を貼り付けるフロアパネル構造では、制振材等を多用するので、材料コストが高くなり、さらに、車体の重量が増大するという問題が生じる。また、パネル厚を大きくすると車体重量が増加するという問題も生じる。
また、特許文献1に記載されたフロアパネル構造では、特定の周波数域の騒音を低減させるのに有用であるが、その特定周波数域以外の周波数の騒音を同時に低減させるのは難しく、広範囲の周波数帯の振動を同時に低減させるには、フロアパネルの全面に制振材を貼付ける必要があり、車体の重量が増加してしまうという問題が生じる。
一方、本発明者らは、制振材を多量に使用すると、制振材自体の剛性が高まり、その振動低減効果には一定の上限が存在し、振動及び騒音の低減を十分に図ることが出来ない場合があるという問題を見い出した。
ここで、本発明者らは、制振材を変形させる振動エネルギや制振材の変形が大きい程その振動減衰効果が高いことに着目し、上述した従来技術の問題点を解決することを試みた。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体のフレーム部材からフロアパネルに伝わる振動により生ずるフロアパネルの振動を、従来より少ない重量の制振材でその振動を大きく低減して、車室内の騒音の低減及び車両の軽量化を図ることができる車体のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、車体のフレーム部材に接続して設けられたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルは、フレーム部材に接しないように設けられたビード部と、このビード部の周囲に形成された平面部とを有し、このフロアパネルのビード部の少なくとも一側面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、この境界部を含む境界領域に制振材が設けられていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ビード部をフレーム部材に接しないように設け、さらに、ビード部の少なくとも一側面と平面部とによりそれぞれ形成される境界部を直線状又はほぼ直線状としているので、ビード部の少なくとも一側面の周囲に形成された平面部の剛性を高めないようにしてこの境界部を含む境界領域に振動エネルギを集中させることができ、さらに、この境界領域に制振材を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの振動を低減させ、フロアパネルからの放射音を低減することができる。
本発明において、好ましくは、ビード部の両側面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、これらの境界部を含む境界領域に制振材が設けられている。
このように構成された本発明においては、ビード部の両側面と平面部とにより形成される境界部を直線状又はほぼ直線状としているので、ビード部の両側面の周囲に形成された平面部の剛性を高めないようにしてこれらの境界部を含む境界領域に振動エネルギを集中させることができ、さらに、これらの境界領域に制振材を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの振動を低減させ、フロアパネルからの放射音を低減することができる。
本発明において、好ましくは、ビード部は、互いに接しないように且つ境界部が互いに平行になるように複数個設けられている。
このように構成された本発明においては、ビード部は、互いに接しないように且つ境界部が互いに平行になるように複数個設けられているので、各ビード部間の平面部の剛性を高めないようにして、境界領域に設けた制振材の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。
本発明において、好ましくは、境界部は、鋭角的に折れ曲がるように形成されている。
このように構成された本発明においては、境界領域の境界部は、鋭角的に折れ曲がるように形成されているので、境界領域に振動エネルギを効果的に集中させることができる。
本発明において、好ましくは、ビード部は、上方向に突出して形成され、制振材は、境界領域に塗布される。
このように構成された本発明においては、ビード部は、上方向に突出して形成されているので、制振材を境界領域に容易に塗布することができる。
本発明において、好ましくは、境界領域には、溝部が形成され、少なくともこの溝部に制振材が設けられている。
このように構成された本発明においては、境界領域に溝部が形成されているので、境界領域に振動エネルギを効果的に集中させることができ、さらに、少なくともこの溝部に制振材が設けられているので、振動を大きく低減させることが出来る。
本発明において、好ましくは、ビード部は、その両端面が円弧状に形成されている。
このように構成された本発明においては、ビード部は、その両端面が円弧状に形成されているので、境界領域の剛性を高めないようにして、境界領域に設けた制振材の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。
本発明において、好ましくは、ビード部の両端面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、この境界部を含む境界領域に制振材が設けられている。
このように構成された本発明においては、ビード部の両端面と平面部とによりそれぞれ形成される境界部を直線状又はほぼ直線状としているので、ビード部の両端面の周囲に形成された平面部の剛性を高めないようにしてこれらの境界部を含む境界領域に振動エネルギを集中させることができ、さらに、これらの境界領域に制振材を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの振動を低減させ、フロアパネルからの放射音を低減することができる。
本発明において、好ましくは、ビード部は、境界部がフレーム部材に対して平行になるように設けられている。
このように構成された本発明においては、ビード部は、境界部がフレーム部材に対して平行になるように設けられているので、ビード部とフレーム部材との間の平面部の剛性を高めないようにして、境界領域に設けた制振材の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。
本発明において、好ましくは、ビード部は、その固有振動数が300Hz以上となるように形成されている。
このように構成された本発明においては、ビード部は、それ自体の固有振動数が300Hz以上となるように形成されているので、例えば、250Hz付近の周波数にピークを有するタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズによる振動により共振せず、このような振動によるフロアパネルからの放射音を低減することが出来る。一方、ビード部は、それ自体の固有振動数が300Hz以上となるように形成されているので、ビード部より剛性が低い平面部特に境界領域は300Hz以下で振動し、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの特に300Hz以下の振動を効果的に低減することが出来る。
本発明において、好ましくは、ビード部は、その固有振動数が400Hz以上となるように形成されている。
このように構成された本発明においては、ビード部は、それ自体の固有振動数が400Hz以上となるように形成されているので、例えば、250Hz付近の周波数にピークを有するタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズによる振動により共振せず、このような振動によるフロアパネルからの放射音を低減することが出来る。一方、ビード部は、それ自体の固有振動数が400Hz以上となるように形成されているので、ビード部より剛性が低い平面部特に境界領域は400Hz以下で振動し、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの特に400Hz以下の振動を効果的に低減することが出来る。
本発明において、好ましくは、平面部は、ビード部とフレーム部材との間に設けられ、その幅が30mm以上である。
このように構成された本発明においては、平面部は、ビード部とフレーム部材との間に設けられ、その幅が30mm以上であるので、ビード部に対して平面部の剛性を低くすることが出来、境界領域に振動エネルギが効果的に集中するようにすることが出来る。
本発明において、好ましくは、平面部は、複数個設けられたビード部の間に設けられ、その幅が30mm以上である。
このように構成された本発明においては、平面部は、複数個設けられたビード部の間に設けられその幅が30mm以上であるので、ビード部に対して平面部の剛性を低くすることが出来、境界領域に振動エネルギが効果的に集中するようにすることが出来る。
本発明によれば、車体のフレーム部材からフロアパネルに伝わる振動により生ずるフロアパネルの振動を、従来より少ない重量の制振材でその振動を大きく低減して、車室内の騒音の低減及び車両の軽量化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1乃至図7により、本発明の車体のフロアパネル構造の第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す平面図である。
図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、複数のフレーム部材と、フロアパネルとしての、車室の床部分(フロア部分)を構成するフロントフロアパネル2と、このフロントフロアパネル2の車体後方の一段高い位置に配設されるセンタフロアパネル4と、このセンタフロアパネル4よりも車体後方の一段高い位置に配設され荷室の床部分を構成するリアフロアパネル6と、フロントフロアパネル2の車体前方に車体前方斜め上方に延び車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル8とから構成されている。
フレーム部材は、フロントサイドフレーム10、サイドシル12、フロアサイドフレーム14、リアサイドフレーム16、No.1クロスメンバ18、No.2クロスメンバ20、サブクロスメンバ22、No.3クロスメンバ24及びNo.4クロスメンバ26である。
次に、フレーム部材を説明する。図1に示すように、自動車のアンダボディ1の車幅方向の両端側には、車体前後方向の補強部材として閉断面構造のサイドシル12が車体前後方向に延び、これらのサイドシル12の前方部は、車幅方向の補強部材であるNo.1クロスメンバ18に接合されている。さらに、各サイドシル12の間には、それぞれ車体前後方向に延びるように一対の閉断面構造のフロアサイドフレーム14が設けられている。
これらのフロアサイドフレーム14の前端は、エンジンルームの左右両側を囲むように設けられた一対のフロントサイドフレーム10に接合されている。このフロントサイドフレーム10には、エンジン28及びフロントサスペンションクロスメンバ30が取り付けられており、フロントサスペンションクロスメンバ30には、フロントサスペンション32が取り付けられている。
また、各サイドシル12の後方部の車幅方向内方側には、車体前後方向に延びる閉断面構造のリアサイドフレーム16が接合され、また、このリアサイドフレーム16には、リアサスペンションクロスメンバ34が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ34には、リアサスペンション36が取り付けられている。
車幅方向の補強部材としては、上述したNo.1クロスメンバ18に加えて、それぞれ車幅方向に延びる、No.2クロスメンバ20と、サブクロスメンバ22と、No.3クロスメンバ24と、No.4クロスメンバ26と、が配設されている。
No.2クロスメンバ20の左右両端部はそれぞれサイドシル12に接合され、サブクロスメンバ22の車幅方向内方端部はフロアサイドフレーム14に接合され、車幅方向外方端部はリアサイドフレーム16に接合されている。また、No.3クロスメンバ24の左右両端部は、それぞれ、リアサイドフレーム16に接合され、このNo.3クロスメンバ24には、上述したフロアサイドフレーム14の後端部が接合されている。No.4クロスメンバ26の左右両端部は、リアサイドフレーム16に接合されている。
このように、フロアパネル2、4、6及びダッシュパネル8には、車体前後方向の補強構造として、左右両端側のサイドシル12、一対のフロアサイドフレーム14及び一対のリアサイドフレーム16が配設され、車幅方向の補強構造として、No.1クロスメンバ18、No.2クロスメンバ20、サブクロスメンバ22、No.3クロスメンバ24及びNo.4クロスメンバ26が配設されており、これらにより、自動車のボディの曲げ剛性やねじり剛性を十分に確保出来るとともに、特に自動車の正面衝突時や側面衝突時における車室の変形を最小限に抑えて、乗員を確実に保護することができる。
次に、フロアパネルを説明する。図1に示すように、フロントフロアパネル2は、鋼板を一体でプレス成形したもので、車幅方向のほぼ中央位置において上方に膨出するフロアトンネル部40が車体前後方向に延びている。このフロアトンネル部40は、その前端部が、ダッシュパネル8の車幅方向ほぼ中間部分に接合され、その後端部は、センタフロアパネル4の車体後方端まで延びている。
フロントフロアパネル2は、車幅方向左右両端において各々車体前後方向に延びるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、リアサイドフレーム16及びフロアトンネル部40、並びに、各々車幅方向に延びる各クロスメンバ18、20、22、24によって取り囲まれた8つのフロアパネル部S1、S2、S3、S4から構成されている。
フロアパネル部S1は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフレーム部材であるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、No.1クロスメンバ18及びNo.2クロスメンバ20に取り囲まれた空間内に設けられ、その周縁が各フレーム部材12、14、18、20に接合されている。
フロアパネル部S2は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフレーム部材であるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、No.2クロスメンバ20及びサブクロスメンバ22に取り囲まれた空間内に設けられ、その周縁が各フレーム部材12、14、20、22に接合されている。
フロアパネル部S3は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフレーム部材であるリアサイドフレーム16、フロアサイドフレーム14、サブクロスメンバ22及びNo.3クロスメンバ24に取り囲まれた空間内に設けられ、その周縁が各フレーム部材14、16、22、24に接合されている。
フロアパネル部S4は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフロアトンネル部40と、フレーム部材であるフロアサイドフレーム14及びNo.3クロスメンバ24とに取り囲まれた空間内に設けられ、その2辺の外縁部が各フレーム部材14、24に接合されている。
センタフロアパネル4は、鋼板を一体でプレス成形したもので、車幅方向のほぼ中央位置において上方に膨出するフロアトンネル部40が車体前後方向に延びている。このセンタフロアパネル4には、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフロアトンネル部40と、フレーム部材であるリアサイドフレーム16、No.3クロスメンバ24及びNo.4クロスメンバ26によって取り囲まれた空間内に2つのフロアパネル部S5が設けられ、それらの3辺の外縁部が、各フレーム部材16、24、26に接合されている。
リアフロアパネル6は、鋼板を一体でプレス成形したもので、後方に開放するように設けられたスペアタイヤハウス42を有している。このリアフロアパネル6には、スペアタイヤハウス42の周縁部42a、リアボディ44、フレーム部材であるリアサイドフレーム16及びNo.4クロスメンバ26によって取り囲まれた空間内にフロアパネル部S6が設けられ、その3辺の外縁部が各フレーム部材16、26に接合され、後端部がリアボディ44に接合されている。
ダッシュパネル8は、鋼板を一体でプレス成形したもので、その下端縁部は、No.1クロスメンバ18に接合され、残りの周縁部は、自動車のフロントボディ(図示せず)に接合されその周縁が拘束されている。また、ダッシュパネル8は、そのダッシュパネル8の一部がほぼ平らに形成されたダッシュロアパネル部8aを有している。
このような自動車のアンダボディ1において、エンジン28、フロントサスペンション32及びリアサスペンション36の振動及びロードノイズは、それぞれ、フロントサイドフレーム10、フロントサスペンションクロスメンバ30、リアサスペンションクロスメンバ34を経由して、それぞれ連結された各フレーム部材12、14、16、18、20、22、24、26に伝達され、これらの振動及びロードノイズが、フロアパネル部S1乃至S6及びダッシュパネル8に伝達される。
上述したように、エンジンやサスペンションからフレーム部材に伝達される振動は、主に400Hz以下の周波数帯にあり、本実施形態では、フロアパネル部S1乃至S6及びダッシュパネル8に振動低減構造を設けることにより、フレーム部材12、14、16、18、20、22、24、26から伝達された400Hz以下の広範囲の周波数帯の振動を低減させるようにし、フロアパネル部S1乃至S6及びダッシュパネル8の放射音を抑制するようにしている。
次に、図2及び図3により、本実施形態の車体のフロアパネル構造を具体的に説明する。図2は、本実施形態のフロアパネル部S1を示す拡大平面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って見た断面図である。本実施形態では、各フロアパネル部S1乃至S6及びダッシュパネル8に設けた振動低減構造の基本構造は同じであり、以下に、フロアパネル部S1を例に本実施形態の振動低減構造を有する車体のフロアパネル構造を具体的に説明する。
先ず、図2に示すように、フロアパネル部S1は、上述したように、フレーム部材であるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、No.1クロスメンバ18及びNo.2クロスメンバ20に取り囲まれた空間内に設けられ、これらのフレーム部材により囲まれた領域に車体前後方向に延びる複数のビード部50と、これらのビード部50の周囲に形成された平面部52とを有し、この平面部52の外周端部は、フレーム部材12、14、18、20に接合されている。
次に、図2及び図3により、ビード部50の配置及び形状について説明する。
図2に示すように、複数のビード部50は、それぞれ、ビード部50の両側面と平面部52とによりそれぞれ形成される境界部aが直線状になるように、その両側面が互いに平行に直線状に延び、また、その両端部が円弧状に形成されている。そして、複数のビード部50は、互いに接しないように且つ境界部aが互いに平行になるように配置されると共に、フレーム部材12、14、18、20に接しないように配置されている。また、これらのビード部50は、フロアサイドフレーム14の車体外方側の側面及びサイドシル12の車体内方側の側面に平行に延びるように配置されている。
また、図3に示すように、ビード部50は上方に突出し、その断面形状はほぼ台形状となっている。これらのビード部50は、フロアパネル自身を車体上方に突出して形成されているので、平面部52に比べて剛性が高く、上下方向及び水平方向に変形し難くなっている。
一方、平面部52は、ほぼ平らに構成されている。そして、ビード部50は、この平面部52との境界部aから所定の角度で立ち上がるようになっている。言い換えると、その境界部aは、鋭角的に折れ曲がるように、即ち、境界部aを境にビード部50と平面部52のそれぞれの法線方向が、不連続となるように形成されている。ここで、所定の角度は、ビード部50の剛性がより高まるように、その形状、大きさ、高さ等によって定められる。
このようにして、ビード部50と平面部52とは剛性差が付けられ、その結果、境界部aを含む境界領域cは、フロアパネルの振動エネルギが集中し、大きく振動するようになっている。
なお、ビード部50の断面形状は、例えば、三角形状や、曲線として半円や半楕円などとしても良く、この場合においても、ビード部50と平面部52との境界部aを含む境界領域cにフロアパネルの振動エネルギが集中するように、ビード部50が平面部52との境界部から所定の角度で立ち上がるようにすると良い。また、ビード部50は、下方に突出するようにしても良い。
次に、図2及び図3により、制振材54の配置について説明する。
図2及び図3に示すように、制振材54は、ビード部50の側面と平面部52とにより形成される境界部aを含む境界領域cに、ビード部50の両側面のほぼ全長に沿って連続して設けられ、フレーム部材12、14、18、20に接しないように配置されている。
これらの制振材54は、図3に示すように、各ビード部50の両側面のそれぞれの制振材54(例えば、図3中の54'、54'')が、ビード部を跨いで互いに接しないように設けられると共に、隣り合うビード部50との間に設けられた制振材(例えば、図3中の54''、54''')が、互いに接しないように設けられている。このように各制振材54が互いに接しないように配置することで、制振材54自体の剛性が上がらないように、即ち、互いの制振材54の変形を拘束しないようにしている。
また、これらの制振材54は、その厚さと幅とを調整し、この制振材54及び境界領域cの両者による剛性、即ち、制振材54と境界部aを含む境界領域cとにより構成される部分の剛性が、ビード部50の剛性より低くなるように設けられ、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギが大きく集中するようにしている。なお、制振材54は、ビード部50の片側面側のみに設けても良い。
ここで、制振材54は、液状ゴム等の液状物質であり、ビード部50をプレスで成形しフレーム部材に溶接した後、注入用ガン等で塗布される。本実施形態では、ビード部50が上方に突出するように設けられているので、このビード部50の境界部a及び領域bに、液状の制振材54を容易に塗布することができる。制振材54としては、日本特殊塗料株式会社のW‐250、米国EFTEC社のEF3000及び3300等を使用することができる。なお、制振材54は、注入用ガンで注入できる制振機能を持つ液状物質であれば、液状ゴムに限らず、また、発泡ゴム等の制振材を貼付けるようにしても良い。
次に、図1により、フロアパネル部S2乃至S6、及びダッシュパネル8に設けた振動低減構造について説明する。
フロアパネル部S2は、図1に示すように、フレーム部材12、14、20、22に取り囲まれたそれぞれの領域に、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、平面部52の外周端部がフレーム部材12、14、20、22に接合されている。また、ビード部50及びその両側面の制振材42が複数組設けられ、それぞれ互いに平行に延びると共に、フレーム部材であるフロアサイドフレーム14の車体外方側の側面及びサイドシル12の車体内方側の側面に平行に延びるように配置されている。
フロアパネル部S3は、図1に示すように、フレーム部材14、16、22、24に取り囲まれたそれぞれの領域に、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、平面部52の外周端部がフレーム部材14、16、22、24に接合されている。また、ビード部50及びその両側面の制振材42が複数組設けられ、それぞれ互いに平行に延びると共に、フレーム部材であるフロアサイドフレーム14の車体外方側の側面に平行に延びるように配置されている。
フロアパネル部S4は、フレーム部材14、24とフロアトンネル部40の裾部とにより取り囲まれた領域に、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、平面部52の2辺の外縁部がフレーム部材14、24に接合されている。また、ビード部50及びその両側面の制振材42が1組設けられ、フレーム部材であるフロアサイドフレーム14の車体内方側の側面に平行に延びるように設けられている。
フロアパネル部S5は、フレーム部材16、24、26とフロアトンネル部40の裾部とにより取り囲まれた領域に、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、平面部52の3辺の外縁部がフレーム部材16、24、26に接合されている。また、ビード部50及びその両側面の制振材42が複数組設けられ、それぞれ互いに平行に延びると共に、フロアトンネル部40に平行に延びるように設けられている。
フロアパネル部S6は、フレーム部材16、26と、スペアタイヤハウス42の周縁部42aと、リアボディ44とにより取り囲まれた領域に、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、平面部52の3辺の外縁部が各フレーム部材16、26に接合され、後端部がリアボディ44に接合されている。また、ビード部50及びその両側面の制振材42が複数組設けられ、その一部が、それぞれ互いに平行に延びると共に、フレーム部材であるNo.4クロスメンバ26に平行に延びるように設けられ、残りの一部が、フレーム部材であるリアサイドフレーム16に平行に延びるように設けられている。
ダッシュパネル8は、フレーム部材であるNo.1クロスメンバ18及びフロントボディ(図示せず)に取り囲まれた領域のうち、ほぼ平らなダッシュロアパネル部8aに、フロアパネル部S1と同様に、ビード部50、平面部52及び制振材54を有し、ビード部50及びその両側面の制振材42が複数組設けられ、それぞれ互いに平行に延びると共に、フレーム部材であるNo.1クロスメンバ18に垂直に延びるように設けられている。
次に、本実施形態のフロアパネル構造の作用効果について説明する。
本実施形態では、各フロアパネルS1乃至S6及びダッシュパネル8において、ビード部50をフレーム部材に接しないように直線状に延びるように設けているので、ビード部50とフレーム部材との間に設けられた平面部52の剛性を高めないようにすることが出来、そのように平面部52の剛性を高めないようにすると共に、ビード部50の両側面と平面部52とによりそれぞれ形成される境界部aを直線状に形成しているので、この境界部aを含む境界領域cに振動エネルギを集中させることが出来る。さらに、このように振動エネルギが集中している境界領域cに制振材を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの振動を低減させ、フロアパネルからの放射音を低減することができる。
また、ビード部50を、平面部52との境界部aから所定の角度で立ち上がるように形成しているので、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギを大きく集中させることができると共に、この領域cに制振材54を配置しているので、制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることができる。
また、複数のビード部50を互いに接しないように且つ境界部aが互いに平行になるように設けているので、境界領域cの剛性を高めないようにして、境界領域cに設けた制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。
また、制振材54及び境界領域cの両者による剛性がビード部50の剛性より低くなるようにしているので、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギが大きく集中するようにすることが出来、制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。つまり、上述したように、境界部aを含む境界領域cは、振動エネルギが集中するように形成されており、制振材54を、この制振材54及び境界領域cの両者による剛性がビード部50の剛性より低くなるように設けることで、制振材54自体の変形が拘束されず、また、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギが集中するのを妨げないようにして、制振材54の効果を大きく発揮させることができる。
また、制振材54をフレーム部材に接しないように配置しているので、制振材54自体の剛性を高めないようにすることができ、制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。同様に、各ビード部50の両側面のそれぞれの制振材54(54'、54'')を、ビード部を跨いで互いに接しないように設けており、また、ビード部50を複数設けた場合に、隣り合うビード部50との間に設けられた制振材54(54''、54''')を、互いに接しないように設けているので、これらの制振材54自体の剛性を高めないようにすることが出来、制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。つまり、制振材54は、比較的粘性が高く、それ自体で剛性部材となり得るようなものであるので、制振材54を、フレームに接しないように、或いは、各制振材54が互いに接しないように設けることにより、制振材54自体の剛性を高めないようにすることができ、その結果、境界領域cの振動による制振材54の変形が拘束されないようにして、制振材54の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。
また、制振材54を、上記境界部aを含む境界領域cに、ビード部50の両側面のほぼ全長に沿って連続して設けているので、大きな振動低減効果を発揮させることができる。
さらに、両端部が円弧状に形成されているので、ビード部50とフレーム部材との間に設けられた平面部の剛性を高めないようにすると共に、境界領域cの剛性を高めないようにすることが出来、境界部aを含む境界領域cに設けた制振材の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。即ち、ビード部50の両端部を円弧状に形成することで、平面部に生じる曲げ振動やねじり振動等の様々な振動に対し、平面部の剛性を高めないようにすることが出来、それによって、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギを集中させることができる。
次に、図4及び図5により、本実施形態の変形例による振動低減構造を有するフロアパネル構造を説明する。図4は、図3と同様に示す、制振材54の配置の変形例を示すフロアパネル構造の断面図であり、図5は、図3と同様に示す、本実施形態の振動低減構造にさらに溝部58を設けた変形例を示すフロアパネル構造の断面図である。
先ず、図4により、本実施形態の振動低減構造の制振材54の配置の変形例を説明する。図4(a)に示すように、制振材54を、上記境界部aを含む境界領域cに配置すると共に、ビード部50に接する面積が小さくなるように配置しても良い。このようにして、制振材54の剛性が上がらないように、即ち、境界領域cの振動による制振材54の変形をビード部50で拘束しないようにして、制振材54の制振効果を大きく発揮させることが出来る。
また、図4(b)に示すように、制振材54を平面部52の全域に設けて、境界領域cを含む平面部52の振動を低減させるようにすると共に、透過音による音響放射等を防止するようにしても良い。この場合には、制振材54の剛性が上がらないように、即ち、境界領域cを含む平面部52の振動による制振材54の変形が拘束されないように、制振材54を比較的薄く設けたり、比較的柔らかい制振材54を使用することが好ましい。
また、図4(c)に示すように、制振材54を平面部52の全域に設ける場合に、制振材54に、各ビード部50の側面に平行に直線状に延びるようにスリット又は凹部56を設けても良い。このようにして、制振材54の剛性が上がらないように、即ち、境界領域cを含む平面部52の振動による制振材54の変形が拘束されないようにして、制振材54の制振効果を大きく発揮させることが出来る。
次に、図5により、本実施形態の振動低減構造にさらに溝部58を設けた変形例を説明する。図5(a)は、断面矩形の溝部58を設けた例であり、図5(b)は、断面が円弧状にされた溝部58の例であり、図5(c)は、断面が円弧状のビード部50の両側面と平面部との間に矩形状の溝部58を設けた例である。
図5(a)乃至(c)に示すように、本実施形態のフロアパネル構造の変形例として、各フロアパネルS1乃至S6及びダッシュパネル8に、ビード部50の側面と平面部52との境界部aを含む境界領域cに、ビード部50の両側面のほぼ全長に沿って、平面部52よりさらに剛性が低くなるような形状及び大きさにされた溝部58を設け、この溝部58に制振材54を塗布しても良い。
本変形例では、この溝部58の剛性が平面部52より低くされて、この溝部58に振動エネルギが集中し易くされており、この溝部58に制振材54を塗布することにより、振動を大きく低減させることが出来るようになっている。
なお、溝部58は、ビード部50の片側面側のみに設けても良い。
次に、図6及び図7により、本実施形態によるフロアパネル構造の振動低減特性を説明する。図6(a)は、本実施形態によるフロアパネルの実験モデルを示す断面図であり、図6(b)は、従来のフロアパネルの実験モデルを示す断面図である。これらの実験モデルは、上方から見て正方形状に配置した断面矩形の実験用のフレーム部材60に、本実施形態による振動低減構造を有するパネル162、及び、従来のパネル64をそれぞれ設けたものである。ここで、パネル162は、下方に突出して形成されたビード部50がフレーム部材60に接しないように直線状に延びるように配置され、制振材54が、ビード部50の側面と平面部52とにより形成される境界部aを含む境界領域cに、ビード部50の両側面のほぼ全長に沿って貼付けられたパネルであり、パネル54は、従来の全面がフラットなパネルで全面に制振材54が貼付けられているパネルである。実験では、フロアパネルが取り付けられているフレーム部材60の一部を加振器で400Hz以下の周波数(ホワイトノイズ)の加振力を与えて、パネル面の音響放射パワーを測定した。
図7は、この実験により得られた、制振材54の重量と音響放射パワーとの関係を示す線図である。
図7から明らかなように、本実施形態のパネル162における音響放射パワーは、従来のパネル64に対して、特に、200乃至400gの範囲で大幅に低減され、同じ音響放射パワーまで下げるために必要な制振材54の重量は、例えば、83dBまで下げる必要があるとすると、従来のフラットなパネル54では、約400gの重量の制振材54が必要となるのに対し、本実施形態のパネル162では、その半分程度の約200gの重量の制振材54で済み、制振材54の重量を大幅に削減することができる。また、本実施形態のパネル162では、従来のパネル64と同じ重量の制振材を設けた場合に、上述した振動低減構造により、音響放射パワーを大幅に低減することができる。
なお、図7に示すような振動低減効果と同様の効果は、後述する第2実施形態のフロアパネル構造においても得られた。
次に、図2及び図3により、本実施形態のフロアパネル構造において設定された種々の数値範囲を説明する。
先ず、本実施形態のフロアパネルを構成する鋼鈑は、厚さ0.7mmであり、ビード部50(高剛性部)は、このような板厚の鋼鈑においてビード部50自身の固有振動数が400Hz以上になるように大きさ及び形状に設定されている。
一方、図2に示すように、平面部52(低剛性部)は、ビード部50との剛性差が大きくなるように、各ビード部間の幅がD1=50mmとされ、ビード部50とサイドシル12との間の幅がD2=50mmとされ、ビード部50とフロアサイドフレーム14との間の幅がD3=30mmとされている。
ここで、ビード部50は、平面部52に対する高さが大きい程その剛性も大きくなり、低剛性部との剛性差を付けやすくなるが、高さが大きい程、乗員によるフロアの踏み心地が悪化する。本実施形態では、乗員のフロアの踏み心地を確保すると共に低剛性部との剛性差を大きくとるために、ビード部の深さH1を20mmとしている(図3参照)。
このように、ビード部50は、それ自体の固有振動数が400Hz以上となるように剛性が高められているので、例えば、250Hz付近の周波数にピークを有するタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズによる振動により共振せず、このような振動によるフロアパネルからの放射音を低減することが出来る。また、固有振動数が400Hz以上となるように剛性が高められたビード部50に対し、平面部52の剛性が小さくなるようにしているので、平面部52特に境界領域cは400Hz以下で振動し、この平面部52の境界領域cに制振材54を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの特に400Hz以下の振動を効果的に低減することが出来る。
ここで、ビード部50が400Hz以上の周波数の振動により共振し、その周波数による放射音が増大することが懸念される場合であっても、吸音材により、300Hz以上、特に400Hz以上の周波数の振動による放射音を効果的に吸音することが出来るので、吸音材を設けることで放射音を低減することが出来る。
また、平面部52は、各ビード部50間、ビード部50とサイドシル12との間、及び、ビード部50とフロアサイドフレーム14との間において、それぞれの幅が30mm以上となるように形成されているので、ビード部50に対して平面部52の剛性を低くすることが出来ると共に境界領域cに振動エネルギが効果的に集中するようなビード部と平面部との剛性差を得ることが出来る。
以上述べたように、本実施形態では、ビード部50の高さを20mmに設定し、且つ、ビード部50自体の固有振動数が400Hz以上となるようにビード部50を形成した上で、平面部52の幅を30mm以上に設定しているので、例えば、250Hz付近の周波数にピークを有するタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズによる放射音を低減すると共に境界領域cに振動エネルギを効果的に集中させて制振材54により放射音をより低減することが出来る。
なお、ビード部の高さを20mm以下、例えば16mm等とした場合ても、平面部の幅を、30mmより大きい例えば50mmとすれば、ビード部50に対して平面部52の剛性を低くすることが出来ると共に境界領域cに振動エネルギが効果的に集中するようなビード部と平面部との剛性差を得ることが出来る。また、一般的には、フロアパネルを構成する鋼鈑の厚さは0.6乃至0.8mmであり、この範囲においても、上述した作用が得られる。
次に、図8乃至図16により本発明の車体のフロアパネル構造の第2実施形態を説明する。
図8は、本実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図であり、図9は、フロントフロアパネルの拡大斜視図である。
図8に示すように、自動車のアンダボディ101は、車室の床部分(フロア部分)を構成するフロントフロアパネル102と、このフロントフロアパネル102の車体後方の一段高い位置に配設されリヤシート(図示せず)が配置されるセンタフロアパネル104と、さらに、このセンタフロアパネル104よりも車体後方の一段高い位置に配設され荷室の床部分を構成するリヤフロアパネル106とを備えている。
また、フロントフロアパネル102の車体前側の端縁部には、車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル108の下端縁部がスポット溶接等により接合されており、さらに、ダッシュパネル108の前方には、エンジンルームの左右両側を囲むように一対のフロントサイドフレーム110とフェンダエプロン111が設けられている。このフロントサイドフレーム110には、エンジン128が弾性体(図示せず)を介して着脱自在に取り付けられている。
ダッシュパネル108の下側の部分である傾斜部108aには、車幅方向の補強部材であるNo.1クロスメンバ118が取り付けられている。このNo.1クロスメンバ118は、各フロントサイドフレーム110の車体外側に設けられそのフランジがフロントサイドフレーム110とダッシュパネル108の傾斜部108aに接合された閉断面構造である一対のトルクボックスメンバ118aと、一対のフロントサイドフレーム110の中間に挟まるように配置され両端がフロントサイドフレーム110に接合されたダッシュロアクロスメンバ118bとから構成されている。
このNo.1クロスメンバ118及び一対のフロントサイドフレーム110には、フロントサスペンションクロスメンバ130が取付けられ、このフロントサスペンションクロスメンバ130には、フロントサスペンション132が取り付けられている。
図8及び図9に示すように、フロントフロアパネル102は、厚さ0.7mmの鋼板を一体でプレス成形したもので、車幅方向のほぼ中央位置において上方に膨出するフロアトンネル部140が車体前後方向に延びている。また、フロアパネル102の車幅方向の両端側には、それぞれ、自動車のサイドボディ(図示せず)が取り付けられるようになっており、このサイドボディの下端縁部を閉断面構造のサイドシル112(仮想線で示す)が車体前後方向に延び、このサイドシル112に、スポット溶接等によりフロントフロアパネル102が接合されている。このサイドシル112の前方部は、No.1クロスメンバ118に接合されている。
さらに、フロアトンネル部140と各サイドシル112との中間には、それぞれ車体前後方向に延びるように一対のフロアサイドフレーム114が設けられている。これらのフロアサイドフレーム114の前端は、上述したフロントサイドフレーム110の後端に接続され、後端は、リアサイドフレーム116に接続されている。これらのフロアサイドフレーム114は、断面コ字状の鋼板製部材をフロントフロアパネル102の底面に下方から重ね合わせて、略矩形の閉断面を構成している。この閉断面積を確保するために、フロントフロアパネル102には上方に突出する凸部115が形成され、この凸部115はこのフロントフロアパネル102の前縁部から車体前後方向の中央位置よりも後方の所定箇所まで前後方向に延びている。
さらに、リアサイドフレーム116には、リアサスペンションクロスメンバ134が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ134には、リアサスペンション136が取り付けられている。
つまり、フロントフロアパネル102には、車体前後方向の補強構造として、左右両端側のサイドシル112に加えて、フロアトンネル部140とサイドシル112との間のほぼ中間にフロアサイドフレーム114及び凸部115が配設されており、これにより、自動車のボディの曲げ剛性やねじり剛性を十分に確保できるとともに、特に自動車の正面衝突時における車室の変形を最小限に抑えて、乗員を確実に保護することができるようになっている。
さらに、車幅方向の補強構造としては、上述したNo.1クロスメンバ118に加えて、フロントフロアパネル102の車体前後方向のほぼ中央位置においてフロアトンネル部140を跨ぐようにして車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ120と、フロアパネル102の後端縁部において車幅方向に延びるNo.3クロスメンバ124とが配設されている。No.2クロスメンバ120は、下向きに開放するコ字状断面の部材をフロアパネル102の上面に接合したもので、車幅方向の略中央部がフロアトンネル部140の形状に対応するように上方に屈曲している一方、左右両端部はそれぞれサイドシル112に接合されている。また、No.3クロスメンバ124は、下向きに開放するコ字状断面の部材をフロアパネル102の上面に接合したもので、その左右両端部は、それぞれ、サイドシル112に接合され、さらに、その一部がフロアサイドフレーム114に接合されている。
以上の構成により、フロントフロアパネル102によって構成されるフロアは、各々車体前後方向に延びるフロアトンネル部140、フロアサイドフレーム114(凸部115を含む)及びサイドシル112、並びに、各々車幅方向に延びる各クロスメンバ118、120、124によって取り囲まれた略長方形状の若しくは長方形状に近い形状の8つのフロアパネルS1、S2、S3、S4から構成されている。そして、フロントサスペンション132及びエンジン128の振動は、フロアサイドフレーム114を経由してNo.1クロスメンバ118に伝わり、また、リアサスペンション136から伝わる振動はフロアサイドフレーム114を経由してNo.3クロスメンバ124に伝わり、これらの振動が、さらに、サイドシル112を経由してNo.2クロスメンバ120に伝わり、これらのフロアサイドフレーム114、サイドシル112及び各クロスメンバ118、120、124の振動が、フロアパネルS1,S2,S3,S4に伝達される。
本発明の実施形態は、後述するように、サイドシル112、フロアサイドフレーム114(凸部115を含む)、No.1クロスメンバ118、No.2クロスメンバ120及びNo.3クロスメンバ124からフロアパネルS1、S2、S3に伝達される振動をフロアパネルの一部分で大きく低減するようにしている。
以下、上述したサイドシル112、フロアサイドフレーム114(凸部115を含む)、No.1クロスメンバ118、No.2クロスメンバ120及びNo.3クロスメンバ124を総称してフレーム部材と呼ぶ。
図9に示すように、第1フロアパネルS1は、一体成形されるフロントフロアパネル102の一部を構成し、フロアトンネル部140の左右両側においてそれぞれフレーム部材であるNo.1クロスメンバ118、サイドシル112、フロアサイドフレーム114及びNo.2クロスメンバ120に溶接により接合されその周縁が拘束されている。
第2フロアパネルS2は、一体成形されるフロントフロアパネル102の一部を構成し、両側の第1フロアパネルS1の車体内方寄りに位置し、車体内方側の1辺はフロアトンネル部140と連続的に成形され、残りの3辺が、フレーム部材であるNo.1クロスメンバ118、フロアサイドフレーム114及びNo.2クロスメンバ120に溶接により接合され、その3辺の周縁が拘束されている。
第3フロアパネルS3は、一体成形されるフロントフロアパネル102の一部を構成し、第2フロアパネルS2の車体後方に位置し、車体内方側の1辺はフロアトンネル部140と連続的に成形され、残りの3辺が、フレーム部材であるフロアサイドフレーム114、No.2クロスメンバ120及びNo.3クロスメンバ124に溶接により接合され、その3辺の周縁が拘束されている。
これらの第3フロアパネルS3の車体外方には、フロアサイドフレーム114からサイドシル112に亘る補強部材137が架設されている。この補強部材137は、フロントシート(図示せず)の取付座を兼用しており、フロントシートの2つの前側の脚がNo.2クロスメンバ120に締結され、後側の一方の脚が補強部材137に締結され他方の脚がフロアトンネル部140に締結されるようになっている。
第4フロアパネルS4は、一体成形されるフロントフロアパネル102の一部を構成し、第1フロアパネルS1の車体後方に位置し、フレーム部材であるサイドシル112、フロアサイドフレーム114、No.2クロスメンバ120及びNo.3クロスメンバ124により囲まれた領域として区画されている。そして、この第4フロアパネルS4は、それらのフレーム部材112、114、120、124に溶接により接合されその周縁が拘束されている。
次に、図9乃至図12により、本実施形態の車両のフロアパネル構造を具体的に説明する。図10は、本実施形態のフロアパネル部S1を示す拡大斜視図であり、図11は、図9のXI−XI線に沿って見た断面図であり、図12は、図9のXII−XII線に沿って見た断面図である。本実施形態では、各フロアパネルS1、S2、S3に振動低減構造を設けることにより、300Hz以下の広範囲の周波数帯の振動を低減させるようにしている。
まず、図9により、フロアパネルS1、S2、S3に設けた振動低減構造を説明する。
先ず、第1フロアパネルS1は、上述したように、フレーム部材であるNo.1クロスメンバ118、サイドシル112、フロアサイドフレーム114及びNo.2クロスメンバ120の内方に形成された空間内に設けられ、これらのフレーム部材により囲まれた領域の中央部に車体下方に突出して高剛性部を形成するビード部150と、このビード部150の周囲の全域に平らな低剛性部を形成する平面部152を有し、この平面部152の外周端部は、これらのフレーム部材118、112、114、120と接合されている。
次に、第2フロアパネルS2は、上述したように、フレーム部材であるNo.1クロスメンバ118、フロアサイドフレーム114及びNo.2クロスメンバ120の内方に形成された空間に設けられ、これらのフレーム部材により囲まれた領域の中央部に車体下方に突出して高剛性部を形成するビード部150と、このビード部150の周囲の全域に平らな低剛性部を形成する平面部152を有し、この平面部152の外周端部は、各フレーム部材118、114、120と接合されている。
さらに、本実施形態では、第2フロアパネルS2の内方側縁の前方部分であるフロアトンネル部140との境界付近に、フロアトンネル部140の側面と第2フロアパネルS2とに跨るように車幅方向に延び且つ前後に離間した複数のビード141が設けられている。これらのビード141の車体外方側の端部の位置は、二点鎖線で示すライン143上に並ぶように揃えられ、第2フロアパネルS2の後部におけるフロアトンネル部140の裾の位置を通っており、このようにして、平面部152の領域を規制するようにしている。
さらに、第3フロアパネルS3は、フレーム部材であるフロアサイドフレーム114、No.2クロスメンバ120及びNo.3クロスメンバ124の内方に形成された空間に設けられ、これらのフレーム部材により囲まれた領域の中央部に車体上方に突出して高剛性部を形成するビード部150と、このビード部150の周囲の全域に平らな低剛性部を形成する平面部152と、を有し、この平面部152の外周端部は、各フレーム部材114、120、124と接合されている。
この第3フロアパネルS3でも、第2フロアパネルS2と同様に、平面部152の領域を規制するために、フロアトンネル部140に複数のビード141を設けている。第3フロアパネルS3においても、これらのビード141の車体外方側の端部の位置は、二点鎖線で示すライン143上に並ぶように揃えられている。
第4フロアパネルS4は、その固有振動数が400Hz以上となるようにその剛性が調整されている。
次に、図9乃至図12により、第1乃至第3フロアパネルS1、S2、S3に設けたビード部150の配置及び形状について説明する。本実施形態では、各フロアパネルS1〜S3に設けた振動低減構造の基本構造は同じであり、以下、主にフロアパネルS1を例に具体的に説明する。
まず、図9及び図10に示すように、ビード部150は、平面視で矩形状に形成され、ビード部50と各フレーム部材112、114、118、120、124との間に設けられた平面部52の剛性を高めないように直線状に延びるように配置されると共に各フレーム部材112、114、118、120、124に接しないように配置されている。
ビード部150は、このビード部150と平面部152との境界、即ち、ビード部150の4辺の側面と平面部152とによりそれぞれ形成される境界部a(図11及び図12参照)は直線状に延びると共に4辺のそれぞれの境界部aが各フレーム部材112、114、118、120、124に対して平行に延びるように形成されている。ここで、第2及び第3フロアパネルS2、S3においては、ビード部のフロアトンネル側の境界部aは、平面部の領域を規制する二点鎖線で示すライン143に対して平行に延びるように配置されている。
次に、図11及び図12に示すように、ビード部150は、ドーム状に下方に突出するように形成されており、その車幅方向の断面形状は、曲率が連続的に変化する曲線で構成され、長手方向の断面形状は、その底部において直線状に延び両端部において曲率が連続的に変化する曲線で構成されている。なお、長手方向の断面形状をその全体にわたって曲率が連続的に変化する曲線で構成し、或いは、車幅方向の断面形状を底部が直線状になるように構成しても良い。
一方、平面部152は、ほぼ平らに構成されている。そして、ビード部150は、平面部152との境界部aから所定の角度で立ち上がるようになっている。言い換えると、その境界部aは、鋭角的に折れ曲がるように、即ち、境界部aを境に平面部152とビード部150のそれぞれの曲率又は法線方向が、不連続となっている。ここで、所定の角度は、ビード部150の剛性がより高まるように、その曲面の形状、大きさ、高さ等によって定められる。
このようにビード部50はフロアパネル自身を車体下方に突出して形成され、平面部152に比べて上下方向及び水平方向に変形し難く、平面部152に比べて剛性が高くなっている。また、ビード部50自体の固有振動数が300Hz以上になるような大きさ及び形状に設定されていると共にその突出高さがH1=20mmとされている。
一方、図10に示すように、平面部152(低剛性部)は、ビード部150との剛性差が大きくなるように、ビード部150の4辺のそれぞれの境界部aと、各フレーム部材112、114、118、120、124との間の幅がそれぞれD4=30mmとなるように形成されている。
このようにして、ビード部150と平面部152とは剛性差が付けられ、その結果、境界部aを含む境界領域cは、フロアパネルの振動エネルギが集中し、大きく振動するようになっている。
次に、図9乃至図12により、制振材154の配置について説明する。
先ず、図9及び図10に示すように、制振材154は、各フレーム部材112、114、118、120、124に接しないように、ビード部150の4つのそれぞれの側面のほぼ全長に沿って連続して設けられ、図11及び図12に示すように、ビード部150の側面と平面部152とにより形成される境界部aを含む境界領域cに配置されている。この境界領域cは、境界部a及びこの境界部aに接する平面部152の一部の領域bにより構成され、振動エネルギが集中するようになっている。
図10に示すように、これらの制振材154は、上述した第1実施形態と同様に、ビード部を介して対向するそれぞれの制振材、例えば、車幅方向に並ぶ制振材154aと制振材154bとが、ビード部を跨いで互いに接しないように設けられている。このように各制振材154が互いに接しないように配置することで、制振材154自体の剛性が上がらないように、即ち、互いの制振材154の変形を拘束しないようにしている。
また、これらの制振材154は、その厚さと幅とを調整し、この制振材154及び境界領域cの両者による剛性、即ち、制振材154と境界部aを含む境界領域cとにより構成される部分の剛性が、ビード部150の剛性より低くなるように設けられ、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギが大きく集中するようにしている。
次に、図13及び図14により、本実施形態の変形例による振動低減構造を有するフロアパネル構造を説明する。図13は、図10と同様に示す、制振材154の配置の変形例を示すフロアパネル部S1の拡大斜視図であり、図14は、図10と同様に示す、ビード部150の形状の変形例を示すフロアパネル部S1の拡大斜視図である。なお、図14では、制振材は、図示していない。
先ず、図13(a)に示すように、制振材154を制振材をビード部を囲むように設けても良く、また、図13(b)に示すように、平面部の全域に設けても良い。このように制振材154を配置することにより、境界領域cにおいて振動を大きく低減すると共に平面部152の振動をより低減することが出来、少ない制振材で振動を効果的に低減することが出来る。また、発泡ゴム等の制振材を貼り付ける場合には、制振材を、予め、図13(a)或いは図13(b)のような形状に一体で形成することが出来るので、制振材をパネルに貼り付け易くなると共に製造コストも下げることが出来る。
次に、図14(a)に示すように、矩形状に形成したビード部150のそれぞれの辺の境界部aを、若干曲線状に延びるようなほぼ直線状に形成し、或いは、図14(b)に示すように、矩形状に形成したビード部150のそれぞれの辺の境界部aを、その隅の部分が曲線状に延び且つそれらの間の残りの部分が直線状に延びるようなほぼ直線状に形成し、上述したように制振材を設けても良い。
ここで、境界部aを若干曲線状に延びるように形成することで、平面部152の剛性が若干高まるが、このような場合でも、境界部aをほぼ直線状に形成しているので、上述したような振動低減効果は大きく損なわれることがない。また、境界領域cの剛性が若干高まっても、例えば、平面部の幅を30mmより大きい例えば40mm等とすれば、ビード部50に対して平面部52の剛性を低くすることが出来ると共に境界領域cに振動エネルギが効果的に集中するようなビード部と平面部との剛性差を得ることが出来る。このように、境界部aをほぼ直線状に形成して、上述した作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
また、ビード部150をこのように形成することで、発泡ゴム等の制振材を貼り付ける場合に、境界部aを含む境界領域cに制振材を位置決めし易くなる。例えば、図10、図13(a)及び図13(b)に示すようないずれの制振材154の配置をとっても、境界部aの形状に合わせて予め制振材を成形し平面部152に貼り付けるようにすれば、境界部aの曲線部分と制振材の曲線部分とを合わせることで、前後方向や車幅方向の位置決めがし易くなり、製造コストも低減することが出来る。また、ビード部150のプレス成形精度も高めることが出来る。
なお、本実施形態では、ビード部の固有振動数を300Hz以上に設定しているが、約300Hz以上の周波数帯の音響放射は吸音材により効果的に低減することが出来るので、本実施形態のように平面部152に制振性能即ち減衰力が大きい制振材154を配置し、ビード部150に吸音材を貼り付けるようにするとより効果的に振動を低減することが出来る。
次に、本実施形態のフロアパネル構造の作用効果について説明する。
本実施形態では、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることが出来る。即ち、各フロアパネルS1乃至S3において、ビード部150をフレーム部材に接しないように直線状に延びるように設けているので、ビード部150とフレーム部材との間に設けられた平面部152の剛性を高めないようにすることが出来る。
また、ビード部150の4つの側面と平面部152とによりそれぞれ形成されるそれぞれの境界部aを直線状に形成しているので、この境界部aを含む境界領域cに振動エネルギを集中させることが出来る。さらに、このように振動エネルギが集中している境界領域cに制振材を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの振動を低減させ、フロアパネルからの放射音を低減することができる。
また、ビード部150の4辺のそれぞれの境界部aは、各フレーム部材112、114、118、120、124及びライン143に対して平行に延びているので、境界部aを含む境界領域cに振動エネルギを大きく集中させることができる。また、この領域cに制振材154を配置しているので、制振材154の振動低減効果を大きく発揮させることが出来る。さらに、制振材154及び境界領域cの両者による剛性がビード部150の剛性より低くなるようにしているので、制振材154の振動低減効果を大きく発揮させることができる。
また、制振材154を、上記境界部aを含む境界領域cに、ビード部150の4つの側面のそれぞれのほぼ全長に沿って連続して設けているので、大きな振動低減効果を発揮させることができる。ここで、図13(a)及び13(b)に示すように制振材を設けても同様の振動低減効果を発揮する。
また、ビード部150は、それ自体の固有振動数が300Hz以上となるように剛性が高められているので、例えば、250Hz付近の周波数にピークを有するタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズによる振動により共振せず、このような振動によるフロアパネルからの放射音を低減することが出来る。また、固有振動数が300Hz以上となるように剛性が高められたビード部50に対し、平面部52の剛性が小さくなるようにしているので、平面部52特に境界領域cは300Hz以下で振動し、この平面部52の境界領域cに制振材54を設けているので、フレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの特に300Hz以下の振動を効果的に低減することが出来る。
また、平面部152は、ビード部150と各フレーム部材112、114、118、120、124との間のそれぞれの幅が30mm以上となるように形成されているので、ビード部50に対して平面部52の剛性を低くすることが出来ると共に境界領域cに振動エネルギを効果的に集中出来るようなビード部150と平面部152の剛性差を得ることが出来る。なお、第1実施形態で上述したように、ビード部の高さを20mm以下、例えば16mm等とした場合ても、平面部の幅を30mmより大きい例えば50mmとすれば同様の効果を得ることが出来る。
次に、図15乃至図17により、本実施形態による振動低減構造を有するフロアパネル構造の振動低減特性を説明する。図15は、本実施形態によるフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及びA-A線に沿って見た断面図(b)であり、図16は、従来のフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及びB-B線に沿って見た断面図(b)である。
図15及び図16に示すように、これらの実験モデルは、上方から見て正方形状に配置した断面矩形の実験用のフレーム部材160に、本実施形態による振動低減構造を有するパネル162、及び、従来のパネル164をそれぞれ設けたものである。パネル162及び164は、いずれも厚さ0.7mmの鋼鈑をプレス成形したものであり、フレーム部材160に囲まれたパネルの大きさは、いずれも、縦横の長さDが、それぞれ約300mmの大きさとなっている。
また、図15に示すように、パネル162には、平面部との境界部が各フレームに対し平行に延び、その突出高さH3が20mmであるビード部150が形成され、このビード部自身の固有振動数は300Hz以上になっている。ビード部150の周囲の全域には平面部が形成され、各フレーム160との幅D5は30mm(D/10)とした(本実施形態パネル)。
また、この本実施形態パネルの効果を確認するために、平面部の幅D5が15mm(D/20)のパネル(比較例パネル)も別途作製した(図示せず)。この比較例パネルにおいても、ビード部は高さ20mm、固有振動数が300Hz以上となるように形成されている。
これらの本実施形態パネル及び比較例パネルには、境界部aを含む境界領域cにビード部150の4つの側面のそれぞれのほぼ全長に沿って制振材154が貼付けられている。
また、図16に示すように、従来のパネル164は、フロアパネルとして機能するように所定の剛性を確保したパネルであり、本実施形態パネル及び比較例パネルと同量の制振材を全面に貼付けている。
実験では、フロアパネルが取り付けられているフレーム部材160の一部を加振器で500Hz以下の周波数(ホワイトノイズ)の加振力を与えて、フレームの振動の大きさに対するパネル面の振動の大きさの比(振動率)を測定した。
図17は、上述した実験モデルから得た実験結果を示す。図17に示すように、本実施形態のフロアパネル162では、従来のフロアパネル164に対し、その振動率は300Hz以下の周波数の比較的全域に亘って低下し、特に、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズである250Hz付近の周波数で大きく低下した。また、本実施形態のフロアパル162は、比較例のフロアパネルに対しても、250Hz付近の周波数で大きく低下した。この結果、本実施形態による振動低減効果が確認できた。なお、このような振動低減効果は、上述した第1実施形態でも同様に得られた。
以上説明したように、上述した実施形態のフロアパネルによれば、少量の制振材54、154で従来と同等の振動低減効果を得ることができ、制振材54、154の使用量を大幅に低減して、車体の軽量化、コスト低減を図ることができる。反対に、同量の制振材54、154で大きな振動低減効果を得ることも可能となる。また、上述した実施形態の車両のフロアパネル構造に設けた振動低減構造によれば、約300Hz或いは約400Hz以下の広範囲の周波数帯の振動を低減し、フロアパネルやダッシュパネルからの音響放射を低減することができる。
本発明の第1実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す平面図である。 本発明の第1実施形態のフロアパネル部S1を示す拡大平面図である。 図2のIII-III線に沿って見た断面図である。 本発明の第1実施形態の車体のフロアパネルの制振材の配置の変形例を示すフロアパネル構造の断面図である。 本発明の第1実施形態の振動低減構造にさらに溝部を設けた変形例を示すフロアパネル構造の断面図である。 本発明の第1実施形態の振動低減構造による振動低減効果を説明するための実験モデルを示す断面図である。 図7の実験モデルから得た実験結果を示す線図である。 本発明の第2実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態のフロントフロアパネルを示す拡大斜視図である。 本発明の第2実施形態のフロアパネル部S1を示す拡大斜視図である。 図9のXI−XI線に沿って見た断面図である。 図9のXII−XII線に沿って見た断面図である。 本発明の第2実施形態のフロアパネル部S1の制振材の配置の変形例を示す拡大斜視図である。 本発明の第2実施形態のフロアパネル部S1のビード部の形状の変形例を示す拡大斜視図である。 本発明の第2実施形態の振動低減構造による振動低減効果を説明するための第2実施形態のフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及び断面図(b)である。 本発明の第2実施形態の振動低減構造による振動低減効果を説明するための従来のフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及び断面図(b)である。 図14及び図15の実験モデルから得た実験結果を示す線図である。
符号の説明
2、102 フロントフロアパネル
4、104 センタフロアパネル
6、106 リアフロアパネル
8、108 ダッシュパネル
8a ダッシュロアパネル部
10、110 フロントサイドフレーム
12、112 サイドシル
14、114 フロアサイドフレーム
16、116 リアサイドフレーム
18、118 No.1クロスメンバ
20、120 No.2クロスメンバ
22 サブクロスメンバ
24、124 No.3クロスメンバ
26、126 No.4クロスメンバ
40、140 フロアトンネル部
50、150 ビード部
52、152 平面部
54、154 制振材
S1〜S6 フロアパネル部
a 境界部
c 境界領域

Claims (13)

  1. 車体のフレーム部材に接続して設けられたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
    上記フロアパネルは、上記フレーム部材に接しないように設けられたビード部と、このビード部の周囲に形成された平面部とを有し、
    このフロアパネルのビード部の少なくとも一側面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、この境界部を含む境界領域に制振材が設けられていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。
  2. 上記ビード部の両側面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、これらの境界部を含む境界領域に制振材が設けられている請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
  3. 上記ビード部は、互いに接しないように且つ上記境界部が互いに平行になるように複数個設けられている請求項1又は請求項2記載の車体のフロアパネル構造。
  4. 上記境界部は、鋭角的に折れ曲がるように形成されている請求項1乃至3の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  5. 上記ビード部は、上方向に突出して形成され、上記制振材は、上記境界領域に塗布される請求項1乃至4の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  6. 上記境界領域には、溝部が形成され、少なくともこの溝部に上記制振材が設けられている請求項1乃至5の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  7. 上記ビード部は、その両端面が円弧状に形成されている請求項1乃至7の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  8. 上記ビード部の両端面と平面部とにより直線状又はほぼ直線状の境界部が形成され、これらの境界部を含む境界領域に制振材が設けられている請求項1乃至6の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  9. 上記ビード部は、上記境界部が上記フレーム部材に対して平行になるように設けられている請求項1乃至8の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  10. 上記ビード部は、その固有振動数が300Hz以上となるように形成されている請求項1乃至9の何れか1項記載の車体のフロアパネル。
  11. 上記ビード部は、その固有振動数が400Hz以上となるように形成されている請求項1乃至9の何れか1項記載の車体のフロアパネル。
  12. 上記平面部は、上記ビード部と上記フレーム部材との間に設けられ、その幅が30mm以上である請求項1乃至11の何れか1項記載の車体のフロアパネル。
  13. 上記平面部は、上記複数個設けられたビード部の間に設けられ、その幅が30mm以上である請求項3記載の車体のフロアパネル構造。
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