JP2018063860A - ロールプレス方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的な電極の製造方法においては、集電体の全体に電極合材を塗工するのではなく、集電体の幅方向の両端に、電極合材が塗工されない未塗工部を設けている。ここで言う集電体の幅方向とは、集電体における搬送方向を長手方向とした時に当該長手方向と略直交する方向である。
電極前駆体の未塗工部は、電極製造時に切り落とされる場合もあるし、或いは、電池におけるリードへの接続部分になる場合もある。
箔状をなす集電体と、活物質と結着剤とを含有し前記集電体の幅方向の両端を避けて形成されている合材層と、を具備する電極前駆体を、2つのロール間でプレスするロールプレス方法であって、
前記2つのロールよりも前記電極前駆体の搬送方向の先側で検知した前記電極前駆体の先側張力と、前記2つのロールよりも前記搬送方向の後側で検知した前記電極前駆体の後側張力と、を対比し、前記先側張力が前記後側張力の0.375倍以下となるように前記電極前駆体の搬送状態を制御する、ロールプレス方法である。
電極前駆体の長手方向においては、合材層は連続的に形成されていても良いし、断続的に形成されていても良い。つまり、電極前駆体において、合材層と未塗工部は長手方向に交互に形成されても良い。なお、ここで言う長手方向及び幅方向については既述したとおりである。
以下、必要に応じて、本発明のロールプレス方法を実施するための装置を、本発明のロールプレス装置と呼ぶ場合がある。
本発明のロールプレス装置及び電極前駆体をはじめとする、以下に説明する各要素において、ロールプレス時に主ロールよりも搬送方向の先側に位置する部分を先側部分と呼び、主ロールよりも搬送方向の後側に位置する部分を後側部分と呼ぶ。電極前駆体の合材層は乾燥及びロールプレスを経て活物質層となるが、必要に応じてロールプレス後の活物質層を合材層と呼ぶ場合がある。加えて、必要に応じて、搬送方向の先側を単に先側と呼び、搬送方向の後側を単に後側と呼ぶ。
具体的には、本発明の発明者は、先側張力が後側張力の0.375倍以下となるようにロールプレス時の電極前駆体の搬送状態を制御することで、実際に、上記した未塗工部の皺を抑制することを可能にした。
電極前駆体が巻き出しロール及び巻き取りロールによって搬送される場合を例に挙げて考えると、ロールプレス時には、電極前駆体の全体に巻き出しロール及び巻き取りロールによる張力が作用する。
具体的には、先側張力は3.0N/cm以下であるのが好ましく、2.5N/cm以下であるのがより好ましく、2.0N/cm以下であるのが更に好ましく、1.5N/cm以下であるのがなお好ましい。上記の巻き癖を抑制するための後側張力については特に限定しないが、強いて言えば、後側張力は5.0N/cm以下であるのが好ましく、4.0N/cm以下であるのがより好ましく、3.5N/cm以下であるのが特に好ましい。
なお、電極前駆体に作用する張力のうち副ロールに由来する力は、主ロール、巻き出しロール及び巻き取りロール等に由来する力に比べると僅かであるため、副ロールの有無及びその位置は先側張力及び後側張力に影響しないとみなし得る。つまり、主ロールと巻き取りロールとの間に副ロールを設けた場合を例示すると、当該複数の副ロールの存在に関係なく、巻き取りロールと主ロールとの間の何れかの位置において電極前駆体に作用する張力を先側張力として扱えば良い。主ロールと巻き出しロールとの間に副ロールを設ける場合にも同様であり、巻き出しロールと主ロールとの間の何れかの位置において電極前駆体に作用する張力を後側張力として扱えば良い。
ここで、本明細書で言う「電極前駆体の搬送状態を制御する」とは、先側張力と後側張力との比が上記した範囲外である場合に、当該範囲内となるように、搬送要素の駆動状態を一時的に或いは継続的に変更することを意味する。
なお、場合によっては、本発明のロールプレス装置に制御要素を設けず、その代わりに作業者自身が上記したような搬送状態の制御を行っても良い。
何れの場合にも、張力検知要素で検知した先側張力の実測値及び後側張力の実測値に基づいて、先側張力が後側張力の0.375倍以下となるように電極前駆体の搬送状態を制御することで、上記した皺の発生を抑制できる。
更に、本発明のロールプレス方法は、合材層の幅方向の長さと合材層の長さ方向の長さとの比が1:2以上である場合により効果的であり、1:5以上である場合に更に効果的であり、1:10以上である場合に特に効果的であると考えられる。
乾燥は、加熱、送風及び/又は減圧雰囲気下で行うのが良く、その温度や時間等は特に問わない。集電体の両面に各々合材層を形成する場合には、両者を同時に乾燥しても良い。乾燥後、必要に応じて、電極前駆体を加熱しても良い。加熱温度及び時間は、結着剤及び活物質の機能を損なわないような温度及び時間を適宜設定すれば良い。なお、加熱は既述したロールプレスと同時に行っても良いし、ロールプレス後に行っても良い。加熱することで、活物質層中の活物質及び導電助剤と結着剤の密着性を高めたり、活物質層と集電体との密着性を高めたりできる利点がある。
なお、合材層および活物質層の密度を上記の範囲内にするためには、合材層の目付量は、片面あたり、5〜35mg/cm2の範囲内であるのが好ましく、10〜30mg/cm2の範囲内であるのがより好ましく、15〜25mg/cm2の範囲内であるのが特に好ましい。なお、合材層の目付量とは、単位面積あたりの合材層における合材の固形分の質量を指し、活物質層の目付量と言い換えることもできる。
結着剤としては、電池用の正極又は負極に使用されるものを選択すれば良い。
例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのモノマー単位を含むアクリル系樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーを挙げることができる。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
具体的には、正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
具体的には、負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
MmNi5系水素吸蔵合金は、Mmつまりミッシュメタルと呼ばれるLa、Ce、Pr、Nd等の混合希土類元素を含有する。また、MmNi5のNiの一部は、Al、Mn等の元素で置換され得る。
その他の水素吸蔵合金としては、MgZn2、ZrNi2に代表されるAB2型、TiFe、TiCoに代表されるAB型、Mg2Ni、Mg2Cuに代表されるA2B型、Ti−V、V−Nbに代表される固溶体型、及び、希土類、Mg及びNiを含有する超格子構造のA2B7型及びA5B19型等が挙げられる。
導電助剤の配合量は特に限定されないが、あえて範囲を挙げるとすると、質量比で、活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
実施例1のロールプレス方法は、集電体の両面に各々正極活物質層が形成された正極前駆体を製造する方法である。実施例1のロールプレス方法を模式的に表す説明図を図1に示す。以下、図1を基に各実施例及び各比較例を説明する。
巻き出しロール50に巻かれた集電体20を準備し、図1に示すように、集電体20の長手方向の一端を巻き出しロール50から巻出して、巻き取りロール51に巻き取った。集電体20としては、厚さ15μmのアルミニウム箔を用いた。このアルミニウム箔の、JIS H 4160−1994による合金番号は、1N30であった。
巻き出しロール50及び巻き取りロール51は、各々、別々のモータM1又はM2に接続されている。各モータM1及びM2は制御要素40に接続され、制御要素40によって各々独立に制御される。
巻き出しロール50と巻き取りロール51との間には2つの主ロール30が設けられている。巻き出しロール50と2つの主ロール30との間、より具体的には巻き出しロール50と後述する後側張力検知要素52の可動ロール55との間には、図略の塗工要素及び乾燥要素が設けられている。塗工要素は塗工ロール及びドクターブレードで構成され、乾燥要素は加熱炉である。乾燥要素は塗工要素の後側にある。
実施例1のロールプレス方法では、塗工要素によって集電体20の両面に各々正極合材を塗布して正極合材層21を形成した。正極合材としては、正極活物質として層状岩塩構造のLiNi0.5Co0.3Mn0.2O2を94質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを3質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3質量部、及び、溶剤として適量のNMPを混合して得られたスラリーを用いた。
塗工要素により正極合材層21が形成された集電体20は、次いで乾燥要素に供給された。乾燥要素では正極合材層21を加熱乾燥した。
上記した正極合材層21の形成及び乾燥は、巻き出しロール50及び巻き取りロール51からなる搬送要素5によって電極前駆体25を搬送しつつ行った。したがって、正極合材層21は集電体20の長手方向に連続的に形成された。なお、2つの正極合材層21は、集電体20の幅方向の両端には形成されないため、電極前駆体25の幅方向の両端には、集電体20が露出する未塗工部22が形成された。
巻き出しロール50の先側かつ図略の塗工要素の先側には、2つの主ロール30が設けられている。主ロール30は電極前駆体25を挟んだ上下にそれぞれ配置されている。電極前駆体25の上側に位置する主ロール30を上側主ロール30aと呼び、電極前駆体25の下側に位置する主ロール30を下側主ロール30bと呼ぶ。2つの主ロール30は、それぞれ、80℃に加熱されている。
上側主ロール30aは上下方向に位置固定され、下側主ロール30bは上下方向に位置変化可能である。したがって、2つの主ロール30の距離は、プレス対象である電極前駆体25の形状等に応じて設定される。具体的には、電極前駆体25をプレスするために、2つの主ロール30の隙間は電極前駆体25の厚さよりも短い。より具体的には、実施例1における下側主ロール30bは、上側主ロール30aと下側主ロール30bとで電極前駆体25を2トン/cmの荷重でプレスできるように位置決めされている。
各主ロール30にはモータM3が接続され、当該モータM3もまた上記の制御要素40に接続されている。制御要素40は、2つの主ロール30が同期して回転するように、モータM3を駆動制御する。実施例1のロールプレス方法における制御要素40は、ロールプレス開始時には、電極前駆体25を設定搬送速度10m/分で搬送するように、巻き出しロール50、巻き取りロール51及び2つの主ロール30の出力を制御する。
後側張力が1.25N/cm、先側張力が0.3125N/cm、先側張力が後側張力の0.25倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例2のロールプレス方法により実施例2の電極前駆体を製造した。
後側張力が2.5N/cm、先側張力が0.3125N/cm、先側張力が後側張力の0.125倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例3のロールプレス方法により実施例3の電極前駆体を製造した。
後側張力が2.5N/cm、先側張力が0.625N/cm、先側張力が後側張力の0.25倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例4のロールプレス方法により実施例4の電極前駆体を製造した。
後側張力が2.5N/cm、先側張力が0.9375N/cm、先側張力が後側張力の0.375倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例5のロールプレス方法により実施例5の電極前駆体を製造した。
後側張力が1.875N/cm、先側張力が0.625N/cm、先側張力が後側張力の0.333倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例6のロールプレス方法により実施例6の電極前駆体を製造した。
後側張力が0.9375N/cm、先側張力が0.3125N/cm、先側張力が後側張力の0.333倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例7のロールプレス方法により実施例7の電極前駆体を製造した。
後側張力が3.125N/cm、先側張力が0.3125N/cm、先側張力が後側張力の0.1倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例8のロールプレス方法により実施例8の電極前駆体を製造した。
後側張力が1.25N/cm、先側張力が0.3125N/cm、先側張力が後側張力の0.25倍であったこと以外は実施例1と同様に、実施例9のロールプレス方法により実施例9の電極前駆体を製造した。
後側張力が1.25N/cm、先側張力が1.25N/cm、先側張力が後側張力の1倍であったこと以外は実施例1と同様に、比較例1のロールプレス方法により比較例1の電極前駆体を製造した。
後側張力が1.25N/cm、先側張力が0.625N/cm、先側張力が後側張力の0.5倍であったこと以外は実施例1と同様に、比較例2のロールプレス方法により比較例2の電極前駆体を製造した。
後側張力が2.5N/cm、先側張力が1.25N/cm、先側張力が後側張力の0.5倍であったこと以外は実施例1と同様に、比較例3のロールプレス方法により比較例3の電極前駆体を製造した。
後側張力が0.625N/cm、先側張力が1.25N/cm、先側張力が後側張力の2倍であったこと以外は実施例1と同様に、比較例4のロールプレス方法により比較例4の電極前駆体を製造した。
後側張力が0.625N/cm、先側張力が0.625N/cm、先側張力が後側張力の1倍であったこと以外は実施例1と同様に、比較例5のロールプレス方法により比較例5の電極前駆体を製造した。
各実施例及び比較例の電極前駆体につき、未塗工部の皺の有無を目視で評価した。評価結果を表1に示す。また、先側張力及び後側張力並びに未塗工部の皺の有無の関係を表すグラフを図2に示す。
20:集電体 21:合材層(正極合材層)
22:未塗工部 25:電極前駆体
27:活物質層(正極活物質層) 30:ロール(主ロール)
40:制御要素 50:巻き出しロール
51:巻き取りロール 52:後側張力検知要素
53:先側張力検知要素 190:皺
Claims (5)
- 箔状をなす集電体と、活物質と結着剤とを含有し前記集電体の幅方向の両端を避けて形成されている合材層と、を具備する電極前駆体を、搬送しつつ2つのロール間でプレスするロールプレス方法であって、
前記2つのロールよりも前記電極前駆体の搬送方向の先側で検知した前記電極前駆体の先側張力と、前記2つのロールよりも前記搬送方向の後側で検知した前記電極前駆体の後側張力と、を対比し、前記先側張力が前記後側張力の0.375倍以下となるように前記電極前駆体の搬送状態を制御する、ロールプレス方法。 - 前記先側張力は、1.5N/cm以下である、請求項1に記載のロールプレス方法。
- 前記集電体はアルミニウム箔である、請求項1又は請求項2に記載のロールプレス方法。
- 前記電極前駆体は、前記集電体の両方の面にそれぞれ前記合材層を具備する、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のロールプレス方法。
- 前記合材層は、正極活物質と結着剤とを含有する正極合材層である、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のロールプレス方法。
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