JP2018073729A - 電極の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】両面塗工型の電極を製造する際に、第1合材層及び第2合材層を同時に乾燥でき、かつ、製造コストを低減できる技術を提供する。【解決手段】第1塗工ロール21と第2塗工ロール22との間に集電体を含む基材シート10を配置し、第1塗工ロールによって基材シート10の一方の面に第1合材層11を形成しかつ第2塗工ロール22によって基材シート10の他方の面に第2合材層12を形成しつつ、基材シート10に第1合材層11及び第2合材層12が形成された電極前駆体1を高さ方向に搬送し、塗工工程と、前記塗工工程後の電極前駆体1を、前記高さ方向に交差する広さ方向に搬送しつつ乾燥させる、乾燥工程と、前記塗工工程後かつ前記乾燥工程前に、第1合材層11及び第2合材層12に非接触な案内要素4によって電極前駆体1の搬送方向を前記高さ方向から前記広さ方向に案内する方向転換工程と、を有する、電極の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、電極を製造するための方法及び装置に関する。
電極は箔状をなす集電体の面上に電極活物質層が形成されたものであり、電極活物質層は、正極活物質又は負極活物質から選ばれる活物質と、当該活物質を集電体に繋ぎ止めるための結着剤とを含有する。電極のなかには、集電体の両面にそれぞれ電極活物質層が形成されたものがある。以下、この種の電極を両面塗工型の電極と呼ぶ。
この種の両面塗工型の電極を製造する一般的な方法としては、2つの電極活物質層を別々に形成する方法が挙げられる。具体的には、先ず、活物質及び結着剤を含有する第1電極合材層を集電体の一方の面に形成し、乾燥及び必要に応じてプレスして第1電極活物質層とする。次いで、活物質及び結着剤を含有する第2電極合材層を集電体の他方の面に形成し、同じく乾燥及び必要に応じてプレスして第2電極活物質層とする。
しかしこのような電極の製造方法は工数が多いために製造コストが高く、かつ、一方の電極活物質層には少なくとも2回の乾燥工程を行うことになるために、電極活物質層に過大な負担が加わる場合がある。更に、これらの電極活物質層の上には、必要に応じて各種のコート層が形成される場合がある。電極活物質層に加えてこれらのコート層を形成する場合には、電極活物質層に加わる負担は更に大きくなる。したがって、両面塗工型の電極の製造方法には、更なる改良が望まれていた。
しかしこのような電極の製造方法は工数が多いために製造コストが高く、かつ、一方の電極活物質層には少なくとも2回の乾燥工程を行うことになるために、電極活物質層に過大な負担が加わる場合がある。更に、これらの電極活物質層の上には、必要に応じて各種のコート層が形成される場合がある。電極活物質層に加えてこれらのコート層を形成する場合には、電極活物質層に加わる負担は更に大きくなる。したがって、両面塗工型の電極の製造方法には、更なる改良が望まれていた。
電極活物質層に負荷される外力を低減し、かつ、電極を安価に製造するためには、同じ集電体の一方の面に第1電極合材層を形成するとともに他方の面に第2電極合材層を形成し、第1電極合材層及び第2電極合材層を同時に乾燥する方法が有効だと考えられる(例えば、特許文献1参照)。同様に、電極活物質層上にコート層を形成する場合には、集電体上に予め形成された一方の電極活物質層上に第1コート合材層を形成し、他方の電極活物質層上に第2コート合材層を形成し、第1コート合材層及び第2コート合材層を同時に乾燥すれば良いと考えられる。
以下、必要に応じて、第1電極合材層と第1コート合材層とを総称して第1合材層と呼び、第2電極合材層と第2コート合材層とを総称して第2合材層と呼ぶ。また、必要に応じて、第1合材層および第2合材層を総称して合材層と呼ぶ。更に、集電体上に第1合材層および第2合材層が形成されたものと、集電体と、を総称して基材シートと呼ぶ。第1合材層が形成される基材シートの一方の面を第1面と呼び、第2合材層が形成される基材シートの他方の面を第2面と呼ぶ。
以下、必要に応じて、第1電極合材層と第1コート合材層とを総称して第1合材層と呼び、第2電極合材層と第2コート合材層とを総称して第2合材層と呼ぶ。また、必要に応じて、第1合材層および第2合材層を総称して合材層と呼ぶ。更に、集電体上に第1合材層および第2合材層が形成されたものと、集電体と、を総称して基材シートと呼ぶ。第1合材層が形成される基材シートの一方の面を第1面と呼び、第2合材層が形成される基材シートの他方の面を第2面と呼ぶ。
特許文献1の実施形態には、基材シートの第1面に第1合材層を形成し、第2面に第2合材層を形成して、これらを同時に乾燥要素に供給する技術が開示されている。具体的には、特許文献1の図3に示されるように、先ず、第1面及び第2面を側方に向けつつ集電体を鉛直方向に搬送しつつ、第1面にスラリー状の第1合材を塗布して第1合材層を形成する。次いで、第2面にガイドローラを接触させ当該ガイドローラを中心として集電体を撓ませつつ、第1面が上方に向き第2面が下方に向くように、集電体の搬送方向を鉛直方向から水平方向に方向転換する。そして、方向転換後の集電体の第2面にスラリー状の第2合材を塗布して第2合材層を形成し、その後、乾燥及びプレスを行う。
ところで、特許文献1に紹介されている方法において、第2合材層を塗工形成する集電体の第2面は、集電体の下面となる。集電体の下面に塗工された第2合材層には、自重により、集電体から剥離する方向の力が作用する。第1合材及び第2合材はスラリー状であるために、場合によっては、第2合材層が変形したり、第2合材層が集電体から脱落したりする可能性がある。したがってこの方法では、良好な形状の第2合材層を形成し難く、ひいては良好な品質の両面塗工型の電極を製造し難い問題があった。
本発明の発明者は鋭意研究の結果、図3に示すように、基材シート10を鉛直方向に搬送しつつ基材シート10の両面に第1合材層11及び第2合材層12を各々塗工形成すれば、良好な形状の第1合材層11及び第2合材層12を形成し得ることに想到した。このような塗工方法で基材シート10に第1合材層11及び第2合材層12を形成し、得られた電極前駆体1を乾燥要素5で乾燥すれば、第1合材層11及び第2合材層12を良好な形状にでき、かつ、第1合材層11及び第2合材層12を同時に乾燥できる。乾燥後の電極前駆体1を適宜プレスし更に裁断等すれば、両面塗工型の電極を製造できる。
しかしこのような電極の製造方法によっても、電極の製造コストを充分に低減することは困難であった。つまり図3に示すように、基材シート10を鉛直方向に搬送しつつ第1合材層11及び第2合材層12を塗工形成する場合には、基材シート10、第1合材層11及び第2合材層12を有する電極前駆体1は、乾燥時にも鉛直方向に搬送し続けるのが良いと考えられる。方向転換のために乾燥前の第1合材層11及び第2合材層12に外力を負荷すると、これらの層が変形する可能性があるためである。
しかし、電極の製造装置において第1合材層11及び第2合材層12の乾燥に必要な乾燥区間5l、すなわち、電極前駆体1の搬送方向における乾燥要素5の長さは、比較的長いため、電極の製造装置は全体として非常に丈高になる。このため、当該製造装置を配設するための建屋としても、天井高さの高い特別な建屋が必要になり、その結果、電極の製造コストを低減し難い問題があった。
しかし、電極の製造装置において第1合材層11及び第2合材層12の乾燥に必要な乾燥区間5l、すなわち、電極前駆体1の搬送方向における乾燥要素5の長さは、比較的長いため、電極の製造装置は全体として非常に丈高になる。このため、当該製造装置を配設するための建屋としても、天井高さの高い特別な建屋が必要になり、その結果、電極の製造コストを低減し難い問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、両面塗工型の電極を製造する際に、第1合材層及び第2合材層を同時に乾燥でき、かつ、製造コストを低減できる技術を提供することを目的とする。
本発明の電極の製造方法は、
第1塗工ロールと第2塗工ロールとの間に集電体を含む基材シートを配置し、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成しつつ、前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を高さ方向に搬送する、塗工工程と、
前記塗工工程後の前記電極前駆体を、前記高さ方向に交差する広さ方向に搬送しつつ、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる、乾燥工程と、
前記塗工工程後かつ前記乾燥工程前に、前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触な案内要素によって前記電極前駆体の搬送方向を前記高さ方向から前記広さ方向に案内する方向転換工程と、を有する、電極の製造方法である。
第1塗工ロールと第2塗工ロールとの間に集電体を含む基材シートを配置し、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成しつつ、前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を高さ方向に搬送する、塗工工程と、
前記塗工工程後の前記電極前駆体を、前記高さ方向に交差する広さ方向に搬送しつつ、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる、乾燥工程と、
前記塗工工程後かつ前記乾燥工程前に、前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触な案内要素によって前記電極前駆体の搬送方向を前記高さ方向から前記広さ方向に案内する方向転換工程と、を有する、電極の製造方法である。
本発明の電極の製造装置は、
第1塗工ロール及び第2塗工ロールが集電体を含む基材シートを挟んで配置され、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成する塗工要素と、
前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を搬送する搬送要素と、
前記塗工要素に対して前記電極前駆体の搬送方向の先側に配置され、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる乾燥要素と、
前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触であり、かつ、前記塗工要素と前記乾燥要素との間で前記電極前駆体の搬送方向を高さ方向から前記高さ方向に交差する広さ方向に案内する案内要素と、を有する、電極の製造装置である。
第1塗工ロール及び第2塗工ロールが集電体を含む基材シートを挟んで配置され、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成する塗工要素と、
前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を搬送する搬送要素と、
前記塗工要素に対して前記電極前駆体の搬送方向の先側に配置され、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる乾燥要素と、
前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触であり、かつ、前記塗工要素と前記乾燥要素との間で前記電極前駆体の搬送方向を高さ方向から前記高さ方向に交差する広さ方向に案内する案内要素と、を有する、電極の製造装置である。
本発明の電極の製造方法及び製造装置によると、両面塗工型の電極を製造する際に、第1合材層及び第2合材層を同時に乾燥でき、かつ、製造コストを低減できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の電極の製造方法は、集電体の両面に電極活物質層を形成する方法として用いる事もできるし、集電体の両面に形成された電極活物質層上に更にコート層を形成する方法として用いる事もできる。基材シートは、集電体そのもの、集電体上に電極活物質層が形成されたもの、並びに、集電体上に電極活物質層及びコート層が形成されたもの、の何れであっても良い。
本発明の電極の製造方法は、二層の電極活物質層を同時に形成する方法、二層のコート層を同時に形成する方法、並びに、一層の電極活物質層及び一層のコート層を同時に形成する方法、の何れに用いても良い。既述したように、第1合材層は電極合材層であっても良いしコート合材層であっても良い。同様に、第2合材層は電極合材層であっても良いしコート合材層であっても良い。
本発明の電極の製造方法は、二層の電極活物質層を同時に形成する方法、二層のコート層を同時に形成する方法、並びに、一層の電極活物質層及び一層のコート層を同時に形成する方法、の何れに用いても良い。既述したように、第1合材層は電極合材層であっても良いしコート合材層であっても良い。同様に、第2合材層は電極合材層であっても良いしコート合材層であっても良い。
本発明の電極の製造方法は、上記した両面塗工型の電極を製造するための方法であって、塗工工程、乾燥工程及び方向転換工程を有する。
塗工工程においては、基材シート及び電極前駆体を高さ方向に搬送しつつ、基材シートの一方の面すなわち基材シートの第1面に第1合材層を形成し、かつ、基材シートの他方の面すなわち基材シートの第2面に第2合材層を形成する。
具体的には、第1合材層を塗布形成するための第1塗工ロールと、第2合材層を形成するための第2塗工ロールと、の間に基材シートを配置する。そして、第1塗工ロールによって基材シートの第1面に第1合材層を形成しかつ第2塗工ロールによって基材シートの第2面に第2合材層を形成する。この塗工工程は、電極前駆体を高さ方向に搬送しつつ行う。なお、本明細書で言う高さ方向とは、鉛直方向及びそれに近似した方向を指し、具体的には鉛直方向±45°の方向と定義する。
具体的には、第1合材層を塗布形成するための第1塗工ロールと、第2合材層を形成するための第2塗工ロールと、の間に基材シートを配置する。そして、第1塗工ロールによって基材シートの第1面に第1合材層を形成しかつ第2塗工ロールによって基材シートの第2面に第2合材層を形成する。この塗工工程は、電極前駆体を高さ方向に搬送しつつ行う。なお、本明細書で言う高さ方向とは、鉛直方向及びそれに近似した方向を指し、具体的には鉛直方向±45°の方向と定義する。
電極前駆体を高さ方向に搬送しつつ塗工工程を行うことで、第1合材層及び第2合材層の変形や集電体からの剥離等を抑制しつつ、両面塗工型の電極前駆体を形成できる。
乾燥工程においては、塗工工程後の電極前駆体を、高さ方向に交差する広さ方向に搬送しつつ、第1合材層及び第2合材層を乾燥させる。
乾燥時に電極前駆体を広さ方向に搬送することで、電極前駆体の乾燥に用いる乾燥要素は丈高である必要がなくなり、当該乾燥要素を備える電極の製造装置もまた丈高である必要がなくなる。したがって、当該製造装置は、充分な長さの乾燥区間を有するにも拘わらず、一般的な天井高の一般的な建屋に配設し得る。よって、電極の製造コストを低減できる。
なお、広さ方向は上記した高さ方向に交差する方向であり、鉛直方向及びそれに近似した方向である高さ方向に対して、水平方向及びそれに近似した方向と言い得る。本明細書においては、広さ方向を、水平方向±45°の方向と定義する。なお、当該広さ方向は上記の高さ方向と交差する方向であるため、高さ方向と広さ方向とが一致することはない。
乾燥時に電極前駆体を広さ方向に搬送することで、電極前駆体の乾燥に用いる乾燥要素は丈高である必要がなくなり、当該乾燥要素を備える電極の製造装置もまた丈高である必要がなくなる。したがって、当該製造装置は、充分な長さの乾燥区間を有するにも拘わらず、一般的な天井高の一般的な建屋に配設し得る。よって、電極の製造コストを低減できる。
なお、広さ方向は上記した高さ方向に交差する方向であり、鉛直方向及びそれに近似した方向である高さ方向に対して、水平方向及びそれに近似した方向と言い得る。本明細書においては、広さ方向を、水平方向±45°の方向と定義する。なお、当該広さ方向は上記の高さ方向と交差する方向であるため、高さ方向と広さ方向とが一致することはない。
方向転換工程は、上記の塗工工程後かつ乾燥工程前に電極前駆体の搬送方向を、高さ方向から広さ方向に案内する工程である。当該方向転換工程においては、第1合材層及び前記第2合材層に非接触な案内要素によって、電極前駆体の搬送方向を案内する。
本発明の電極の製造方法においては、案内要素が第1合材層及び第2合材層に接触せずに電極前駆体の搬送方向を案内するために、乾燥前の第1合材層及び第2合材層が例え変形し易くても、方向転換工程における第1合材層及び第2合材層の変形等が抑制される。
本発明の電極の製造方法においては、案内要素が第1合材層及び第2合材層に接触せずに電極前駆体の搬送方向を案内するために、乾燥前の第1合材層及び第2合材層が例え変形し易くても、方向転換工程における第1合材層及び第2合材層の変形等が抑制される。
以上説明した本発明の電極の製造方法によると、第1合材層及び第2合材層を同時に乾燥しつつ両面塗工型の電極を製造できるため、品質に優れた電極を低コストで製造できる。また、当該製造は通常の建屋内で行い得るために、製造設備に高いコストを必要としない。更に、本発明の製造方法では、合材層の変形等による製造ロスを抑制できるために、電極の製造コストを低減できる。
本発明の電極の製造方法は、以下の本発明の電極の製造装置を用いて実施できる。
本発明の電極の製造装置は、塗工要素、搬送要素、案内要素及び乾燥要素を有する。
本発明の電極の製造装置は、塗工要素、搬送要素、案内要素及び乾燥要素を有する。
塗工要素は、第1塗工ロール及び第2塗工ロールを有する。以下、必要に応じて第1塗工ロール及び第2塗工ロールを総称して塗工ロールと呼ぶ場合がある。
第1塗工ロールと第2塗工ロールとは基材シートを挟んで配置される。第1塗工ロールは、基材シートの第1面に第1合材層を塗工形成する。また、第2塗工ロールは、基材シートの第2面に第2合材層を塗工形成する。
第1塗工ロールと第2塗工ロールとは基材シートを挟んで配置される。第1塗工ロールは、基材シートの第1面に第1合材層を塗工形成する。また、第2塗工ロールは、基材シートの第2面に第2合材層を塗工形成する。
乾燥要素は、塗工要素に対して電極前駆体の搬送方向の先側に配置され、電極前駆体に形成されている第1合材層及び第2合材層を乾燥させる。
搬送要素は、電極前駆体を搬送する。後述するように、本発明の電極の製造装置は案内要素を有し、当該案内要素は塗工要素と乾燥要素との間で、電極前駆体の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内する。したがって搬送要素は、塗工要素においては電極前駆体を高さ方向に搬送し、乾燥要素においては電極前駆体を広さ方向に搬送する。搬送要素が乾燥要素において電極前駆体を広さ方向に搬送することで、本発明の電極の製造装置では乾燥要素を丈高にする必要が無くなる。このため、本発明の電極の製造装置は通常の建屋内に配設し得る。
案内要素は、上記したように塗工要素と乾燥要素との間で、電極前駆体の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内する。案内要素は第1合材層及び第2合材層に非接触であるため、合材層が乾燥する前の電極前駆体の搬送方向を方向転換できる。したがって、本発明の電極の製造装置は、上記したように丈高でない乾燥要素を有するにも拘わらず、合材層の変形等を抑制しつつ合材層を同時に乾燥できる。このため、本発明の電極の製造装置は、品質に優れた電極を低コストで製造することを実現し得る。
なお、案内要素は、合材層を乾燥させ得る乾燥部を有しても良い。この場合、合材層は、案内要素により乾燥されつつ、搬送方向を案内される。乾燥要素による乾燥前に、案内要素により合材層の乾燥を行うことで、乾燥要素により合材層を乾燥するための乾燥区間、すなわち、電極製造装置において乾燥要素に必要な区間を必要最小限にできるために、乾燥工程を迅速に行うことができ、かつ、電極製造装置を小型化できる利点がある。なお、合材層の乾燥は主として乾燥要素で行われる。このため、案内要素に乾燥部を設ける場合には、案内要素における乾燥部は合材層を完全に乾燥させる必要はなく、案内要素による案内を行う間だけ合材層の乾燥を行うことができれば良い。
なお、案内要素は、合材層を乾燥させ得る乾燥部を有しても良い。この場合、合材層は、案内要素により乾燥されつつ、搬送方向を案内される。乾燥要素による乾燥前に、案内要素により合材層の乾燥を行うことで、乾燥要素により合材層を乾燥するための乾燥区間、すなわち、電極製造装置において乾燥要素に必要な区間を必要最小限にできるために、乾燥工程を迅速に行うことができ、かつ、電極製造装置を小型化できる利点がある。なお、合材層の乾燥は主として乾燥要素で行われる。このため、案内要素に乾燥部を設ける場合には、案内要素における乾燥部は合材層を完全に乾燥させる必要はなく、案内要素による案内を行う間だけ合材層の乾燥を行うことができれば良い。
以下、本発明の電極の製造方法及び電極の製造装置を更に具体的に説明する。以下、必要に応じて、本発明の電極の製造方法を単に本発明の製造方法と略し、本発明の電極の製造装置を単に本発明の装置と略する。
本発明の製造方法において、塗工工程は塗工ロールを用いて行う。また本発明の製造装置における塗工要素は当該塗工ロールを有する。
塗工ロールとしては、既知のロールコート法に用いるロールを用いることができ、例えばグラビアコート用のグラビアロールを挙げることができる。また、各塗工ロールには、ドクターブレード等の補助塗工要素や、スラリーを収容保持しかつ塗工ロールに供給するためのスラリー容器を併用しても良い。スラリー容器はスラリーを塗工ロールに供給するための開口を有するのが一般的であるところ、スラリーの漏出を防止しつつ塗工ロールにスラリーを供給するために、スラリー容器は当該開口を斜め上方に向けるのが好ましい。
塗工ロールとしては、既知のロールコート法に用いるロールを用いることができ、例えばグラビアコート用のグラビアロールを挙げることができる。また、各塗工ロールには、ドクターブレード等の補助塗工要素や、スラリーを収容保持しかつ塗工ロールに供給するためのスラリー容器を併用しても良い。スラリー容器はスラリーを塗工ロールに供給するための開口を有するのが一般的であるところ、スラリーの漏出を防止しつつ塗工ロールにスラリーを供給するために、スラリー容器は当該開口を斜め上方に向けるのが好ましい。
第1塗工ロールと第2塗工ロールとは、連続して配置され、かつ、互いに逆方向から基材シートに圧接するのが好ましい。こうすることで、第1塗工ロールは塗工ロールとして機能するだけでなく、第2塗工ロールにとってのバックアップロールとしても機能する。同様に、第2塗工ロールは塗工ロールとして機能するだけでなく、第1塗工ロールにとってのバックアップロールとしても機能する。
一般に、塗工ロールによって基材シート上に合材層を安定的に塗布形成するためには、基材シートを挟んで塗工ロールの逆側の位置に、基材シートを支えるバックアップロールを設ける。第1合材層、第2合材層の2つの合材層を形成するのであれば、それぞれの合材層に対応する2つのバックアップロールを設けるのが好ましい。
しかし、両面塗工型の電極前駆体を製造する際には、2つのバックアップロールのうちの一方は、既に形成された合材層に接触することになり、バックアップロールの押圧力によって合材層が変形等する場合がある。しかし、上記したように塗工ロールをバックアップロールとしても機能させれば、このような不具合を抑制しつつ、塗工ロールによって基材シート上に合材層を安定的に塗工形成し得る。
一般に、塗工ロールによって基材シート上に合材層を安定的に塗布形成するためには、基材シートを挟んで塗工ロールの逆側の位置に、基材シートを支えるバックアップロールを設ける。第1合材層、第2合材層の2つの合材層を形成するのであれば、それぞれの合材層に対応する2つのバックアップロールを設けるのが好ましい。
しかし、両面塗工型の電極前駆体を製造する際には、2つのバックアップロールのうちの一方は、既に形成された合材層に接触することになり、バックアップロールの押圧力によって合材層が変形等する場合がある。しかし、上記したように塗工ロールをバックアップロールとしても機能させれば、このような不具合を抑制しつつ、塗工ロールによって基材シート上に合材層を安定的に塗工形成し得る。
更に、第1塗工ロール及び第2塗工ロールが連続して配置されることで、塗工区間すなわち電極製造装置において塗工要素に必要な区間を必要最小限にできるために、塗工工程を迅速に行うことができ、かつ、電極製造装置を小型化できる利点もある。
なお、第1塗工ロール及び第2塗工ロールは、基材シートを挟んで互いに対面しても良いし、或いは、互いに基材シートの長手方向にずれた位置に配置されても良い。何れの場合にも、第1塗工ロール及び第2塗工ロールが互いに逆側から基材シートに圧接すれば、バックアップロールとしての効果を発揮し得る。
なお、第1塗工ロール及び第2塗工ロールは、基材シートを挟んで互いに対面しても良いし、或いは、互いに基材シートの長手方向にずれた位置に配置されても良い。何れの場合にも、第1塗工ロール及び第2塗工ロールが互いに逆側から基材シートに圧接すれば、バックアップロールとしての効果を発揮し得る。
乾燥要素は、基材シート上に形成された第1合材層及び第2合材層を乾燥し得るものであれば良い。ここで言う乾燥とは、合材層に含まれる溶剤の少なくとも一部を気化させることを指す。したがって乾燥要素としては、ヒータ、ブロワー、及び減圧機等を用いることができ、これらを併用しても良い。
ヒータとしては、ガス炉や電気炉等の一般的なものを使用すれば良い。
ブロワーとしては、合材層に気体を供給し得る一般的なものを用いれば良い。また、ブロワーは、温風又は冷風を生じるためのエアーコンディショナーを含んでも良い。この場合には、温度調節された気体を合材層に供給できるため、合材層を効率良く乾燥し得る利点がある。コスト面から、ブロワーで供給する気体は空気であるのが良い。
ブロワーとしては、合材層に気体を供給し得る一般的なものを用いれば良い。また、ブロワーは、温風又は冷風を生じるためのエアーコンディショナーを含んでも良い。この場合には、温度調節された気体を合材層に供給できるため、合材層を効率良く乾燥し得る利点がある。コスト面から、ブロワーで供給する気体は空気であるのが良い。
搬送要素については特に限定しないが、例えば後述する図1に示される巻き出しロール及び巻き取りロールを用い得る。この場合、巻き出しロールに巻回しておいた基材シートの一端を巻き取りロールに取り付け、乾燥工程後の電極前駆体を当該巻き取りロールに巻き取りつつ、巻き出しロールと巻き取りロールとによって電極前駆体を搬送しても良い。或いは、搬送要素として当該巻出しロール及び巻き取りロール以外のものを用いても良い。なお、搬送要素として巻出しロール及び巻き取りロールを用いる場合には、塗工ロールと搬送要素とを同期させ易い利点がある。
案内要素は、第1合材層及び第2合材層に非接触であり、かつ、電極前駆体の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内し得るものを用いれば良い。案内要素は、それ自体が第1合材層及び第2合材層に非接触であれば良く、例えば、案内要素から吹き出す気体によって第1合材層及び第2合材層と案内要素とが物理的に隔てられても良い。或いは、電極前駆体に第1合材層及び第2合材層を形成しない未塗工部を設け、当該未塗工部にのみ接触する案内要素によって、電極前駆体の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内しても良い。
何れの場合にも、第1合材層及び第2合材層に非接触な案内要素を用いることで、電極前駆体の搬送方向を転換する際に合材層に作用する外力は大きく低減する。したがって、当該案内要素を用いる本発明の製造方法及び製造装置によると、合材層の損傷等を抑制でき、良好な品質の両面塗工型の電極を製造し得る。
何れの場合にも、第1合材層及び第2合材層に非接触な案内要素を用いることで、電極前駆体の搬送方向を転換する際に合材層に作用する外力は大きく低減する。したがって、当該案内要素を用いる本発明の製造方法及び製造装置によると、合材層の損傷等を抑制でき、良好な品質の両面塗工型の電極を製造し得る。
更に、本発明の製造方法は、乾燥工程後の電極前駆体をプレスするプレス工程を有しても良い。同様に、本発明の製造装置は、乾燥要素に対して電極前駆体の搬送方向の先側に、電極前駆体をプレスするプレス要素を有しても良い。電極前駆体をプレスすることによって、電極活物質層に活物質を高密度で含有する電極を製造し得るとともに、集電体と電極活物質層との密着性を高め得る。プレス要素は特に限定しないが、例えば、既知のロールプレス機等を用いれば良い。プレス要素としてロールプレス機を用いる場合、プレス要素を上記した塗工ロールと同期させ易い。プレス要素は、更にヒータを有しても良い。
以下、本発明の製造方法及び製造装置で製造する電極、及び当該電極の前駆体たる電極前駆体について説明する。
本発明の製造方法は、塗工工程においては電極前駆体を高さ方向に搬送し、乾燥工程においては電極前駆体を広さ方向に搬送し、かつ、方向転換工程においては合材層に非接触な案内要素によって電極前駆体の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内できれば良い。したがって本発明の製造方法は、合材層の組成や集電体の種類等、電極前駆体の構成を問わず、様々な電極を製造する方法として利用できる。具体的には、本発明の製造方法は、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、及びニッケル金属水素化物電池用の電極を製造する方法として好ましく使用できる。
電極前駆体は、乾燥工程後に必要に応じてプレスされ、更に適宜裁断等をされることで、両面塗工型の電極となる。両面塗工型の電極は第1合材層に由来する電極活物質層又はコート層と、第2合材層に由来する電極活物質層又はコート層とを有する。何れの場合にも、当該電極は少なくとも2の電極活物質層を有する。第1合材層及び第2合材層は同じ組成の層であっても良いし異なる組成の層であっても良い。したがって本発明の製造方法で製造される電極は、例えば、集電体の両面に正極活物質層を有する正極であっても良いし、集電体の両面に負極活物質層を有する負極であっても良いし、集電体の一方の面に正極活物質層を有し他方の面に負極活物質層を有する双極型電極であっても良い。又、本発明の電極は集電体の両面に電極活物質層を有し、かつ、一方の電極活物質層上にのみコート層が形成されたものであっても良いし、両方の電極活物質層上に各々コート層が形成されたものであっても良い。
正極活物質層は、正極活物質及び必要に応じて結着剤を含有する。負極活物質層は、負極活物質及び必要に応じて結着剤を含有する。正極合材層は乾燥後、必要に応じてプレスを経て正極活物質層となる。負極合材層も同様に、乾燥後、必要に応じてプレスを経て負極活物質層となる。本明細書においては、正極合材層及び負極合材層を総称して単に電極合材層と呼ぶ場合がある。また、正極活物質層及び負極活物質層を、総称して単に電極活物質層と呼ぶ場合がある。コート層は、コート材料及び必要に応じて結着剤を有する。なお、コート材料自体が結着剤として機能しても良い。コート合材層は、上記した正極合材層および負極合材層と同様に、乾燥後、必要に応じてプレスを経てコート層となる。なお、既述した合材層は、電極合材層とコート合材層を包含する概念である。
電極前駆体を製造する工程、つまり、塗工工程においては、一方の合材層を先に形成しても良いし、或いは、両方を同時に形成しても良い。
電極合材層は、基材シートにスラリー状の電極合材を塗布することで形成できる。電極合材層における当該スラリーは、後述するように、活物質及び溶剤、並びに必要に応じて結着剤、導電助剤等のその他の添加剤を混合したものである。コート合材層もまた、基材シートにスラリー状のコート合材を塗布することで形成できる。コート合材層における当該スラリーは、コート材料、及び、必要に応じて溶剤、結着剤等の添加剤を混合したものである。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水等の揮発し易い液体を例示できる。
基材シートに含まれる集電体は、ニッケル金属水素化物電池、リチウムイオン二次電池等の電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔状をなす。ここで言う箔状とは、シート状、フィルム状、リボン状等を含む概念であり、厚さ1mm以下かつ幅及び長さが厚さよりも大きいものを指す。
合材層の組成、活物質層の組成及びコート層の組成は、本発明の製造方法により製造される電極を用いる電池の種類に応じて適宜決定すれば良い。既述したように、各合材層は、活物質又はコート材料、溶剤、並びに必要に応じて結着剤、導電助剤、分散剤及び増粘剤に代表される各種の添加剤を含み得る。
電極合材層及び電極活物質層における結着剤は、正極活物質、負極活物質等を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。
結着剤としては、電池用の正極又は負極に使用されるものを選択すれば良い。
例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのモノマー単位を含むアクリル系樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーを挙げることができる。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
結着剤としては、電池用の正極又は負極に使用されるものを選択すれば良い。
例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのモノマー単位を含むアクリル系樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーを挙げることができる。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
本発明の製造方法で製造される電極がリチウムイオン二次電池用の電極である場合、正極活物質層に含まれる正極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池用の正極活物質を使用できる。
具体的には、正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
具体的には、正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
同様に、負極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池用の負極活物質を使用できる。
具体的には、負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
具体的には、負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
本発明の製造方法で製造される電極がニッケル金属水素化物電池用の電極である場合、正極活物質層に含まれる正極活物質としては、水酸化ニッケルに代表されるニッケル酸化化合物等、公知のものを採用できる。また、負極活物質としては、各種の水素吸蔵合金を採用できる。水素吸蔵合金としては、例えば、希土類を含有するAB5型の水素吸蔵合金が知られている。AB5型の水素吸蔵合金は、六方晶であるCaCu5型相を主たる結晶構造とすることが知られており、希土類元素、ニオブ、ジルコニウム、遷移金属、Mg及びAl等を含有するものが一般的である。より具体的には、AB5型の水素吸蔵合金としては、例えばLaNi5に代表されるように希土類元素を単体で用いた合金か、或いは、MmNi5系水素吸蔵合金とも呼ばれる複数の希土類元素の混合物を用いた合金が実用化されている。
MmNi5系水素吸蔵合金は、Mmつまりミッシュメタルと呼ばれるLa、Ce、Pr、Nd等の混合希土類元素を含有する。また、MmNi5のNiの一部は、Al、Mn等の元素で置換され得る。
その他の水素吸蔵合金としては、MgZn2、ZrNi2に代表されるAB2型、TiFe、TiCoに代表されるAB型、Mg2Ni、Mg2Cuに代表されるA2B型、Ti−V、V−Nbに代表される固溶体型、及び、希土類、Mg及びNiを含有する超格子構造のA2B7型及びA5B19型等が挙げられる。
MmNi5系水素吸蔵合金は、Mmつまりミッシュメタルと呼ばれるLa、Ce、Pr、Nd等の混合希土類元素を含有する。また、MmNi5のNiの一部は、Al、Mn等の元素で置換され得る。
その他の水素吸蔵合金としては、MgZn2、ZrNi2に代表されるAB2型、TiFe、TiCoに代表されるAB型、Mg2Ni、Mg2Cuに代表されるA2B型、Ti−V、V−Nbに代表される固溶体型、及び、希土類、Mg及びNiを含有する超格子構造のA2B7型及びA5B19型等が挙げられる。
合材層がコート合材層である場合、コート材料としては例えばセラミックスを挙げることができる。セラミックスを含有するコート層を、例えばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含有する正極活物質層上に形成することで、リチウムイオン二次電池の熱安定性を向上させ得る。
或いは、コート材料としてポリマーを挙げることもできる。ポリマーを含有するコート層を例えばケイ素系負極活物質を含有する負極活物質層上に形成することで、負極活物質層の耐久性を向上させ得る。
或いは、コート材料としてポリマーを挙げることもできる。ポリマーを含有するコート層を例えばケイ素系負極活物質を含有する負極活物質層上に形成することで、負極活物質層の耐久性を向上させ得る。
セラミックスとしては、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、MgO、SiC、AlN、BN、CaCO3、MgCO3、BaCO3、タルク、マイカ、カオリナイト、CaSO4、MgSO4、BaSO4、CaO、ZnO、ゼオライトを例示できる。セラミックスを含有するコート層は、1種又は複数種のセラミックスを含有し得る。
セラミックスの形態としては粉末が好ましい。また、セラミックスを含有するコート層用の結着剤、或いは、コート材料としてのポリマーとしては、電極合材層及び電極活物質層についての説明で述べた結着剤を例示できる。
セラミックスの形態としては粉末が好ましい。また、セラミックスを含有するコート層用の結着剤、或いは、コート材料としてのポリマーとしては、電極合材層及び電極活物質層についての説明で述べた結着剤を例示できる。
導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて正極活物質層に添加することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例)
実施例の電極の製造方法及び製造装置を模式的に表す説明図を図1に示す。なお、図1に示す上下方向は鉛直方向であり、本発明の製造方法及び製造装置における高さ方向に相当する。図1に示す前後方向は水平方向であり、本発明の製造方法及び製造装置における広さ方向に相当する。以下、実施例において、上、下、前、後とは図1に示す上、下、前、後を指す。また、必要に応じて、電極前駆体の搬送方向の先側を単に搬送方向の先側と呼ぶ場合がある。
実施例の電極の製造方法及び製造装置を模式的に表す説明図を図1に示す。なお、図1に示す上下方向は鉛直方向であり、本発明の製造方法及び製造装置における高さ方向に相当する。図1に示す前後方向は水平方向であり、本発明の製造方法及び製造装置における広さ方向に相当する。以下、実施例において、上、下、前、後とは図1に示す上、下、前、後を指す。また、必要に応じて、電極前駆体の搬送方向の先側を単に搬送方向の先側と呼ぶ場合がある。
実施例の製造装置は、第1塗工ロール21及び第2塗工ロール22が基材シート10を挟んで配置され、前記第1塗工ロール21によって前記基材シート10の一方の面10aに第1合材層11を形成しかつ前記第2塗工ロール22によって前記基材シート10の他方の面10bに第2合材層12を形成する塗工要素2と、
前記基材シート10に前記第1合材層11及び前記第2合材層12が形成された電極前駆体1を搬送する搬送要素3と、
前記塗工要素2に対して前記電極前駆体1の搬送方向の先側に配置され、前記第1合材層11及び前記第2合材層12を乾燥させる乾燥要素5と、
前記第1合材層11及び前記第2合材層12に非接触であり、かつ、前記塗工要素2と前記乾燥要素5との間で前記電極前駆体1の搬送方向を高さ方向から前記高さ方向に交差する広さ方向に案内する案内要素4と、を有する。
前記基材シート10に前記第1合材層11及び前記第2合材層12が形成された電極前駆体1を搬送する搬送要素3と、
前記塗工要素2に対して前記電極前駆体1の搬送方向の先側に配置され、前記第1合材層11及び前記第2合材層12を乾燥させる乾燥要素5と、
前記第1合材層11及び前記第2合材層12に非接触であり、かつ、前記塗工要素2と前記乾燥要素5との間で前記電極前駆体1の搬送方向を高さ方向から前記高さ方向に交差する広さ方向に案内する案内要素4と、を有する。
実施例の製造装置における搬送要素3は、巻き出しロール31、巻き取りロール32及び2つの送りロール33、34で構成されている。
巻き出しロール31には、基材シート10としてのアルミニウム箔が巻かれている。巻き出しロール31は搬送方向の後側に配置され、巻き取りロール32は搬送方向の先側に配置されている。巻き出しロール31には図略の第1モータが接続され、巻き取りロール32には図略の第2モータが接続されている。第1モータは巻き出しロール31を回転駆動し、第2モータは巻き取りロール32を回転駆動する。巻き取りロール32は、巻き出しロール31から巻き出された基材シート10の長手方向の一端を巻き取る。基材シート10は巻き出しロール31及び巻き取りロール32によって後方から前方に向けて搬送される。
巻き出しロール31には、基材シート10としてのアルミニウム箔が巻かれている。巻き出しロール31は搬送方向の後側に配置され、巻き取りロール32は搬送方向の先側に配置されている。巻き出しロール31には図略の第1モータが接続され、巻き取りロール32には図略の第2モータが接続されている。第1モータは巻き出しロール31を回転駆動し、第2モータは巻き取りロール32を回転駆動する。巻き取りロール32は、巻き出しロール31から巻き出された基材シート10の長手方向の一端を巻き取る。基材シート10は巻き出しロール31及び巻き取りロール32によって後方から前方に向けて搬送される。
後述するように、巻き出しロール31と巻き取りロール32との間の位置で、基材シート10上には第1合材層11及び第2合材層12が形成される。このため、巻き取りロール32に巻き取られる基材シート10は、実質的に、第1合材層11及び第2合材層12を有する電極前駆体1である。したがって、巻き出しロール31及び巻き取りロール32を有する搬送要素3は、実質的には、電極前駆体1を搬送する。
実施例の製造装置における塗工要素2は、巻き出しロール31及び2つの送りロール33、34に連続して配置されている。塗工要素2は、第1塗工ロール21、第1スラリー容器23、第2塗工ロール22、及び第2スラリー容器24で構成されている。第1塗工ロール21及び第2塗工ロール22はグラビアコート用のグラビアロールであり、基材シート10を挟んで巻き出しロール側から巻き取りロール側に向けて第2塗工ロール22、第1塗工ロール21の順に連続して配置されている。ここで言う「連続して配置されている」とは、第2塗工ロール22及び第1塗工ロール21の間に、基材シート10及び第2合材層12に接触する部材(例えば送りロール等)が介在しないことを指す。
第1塗工ロール21は基材シート10の第1面10aに対面し、第2塗工ロール22は基材シート10の第2面10bに対面している。
第1スラリー容器23はスラリー状の第1合材91を収容保持し、かつ第1塗工ロール21に面する開口23oを通じて第1塗工ロール21にスラリー状の第1合材91を供給する。第2スラリー容器24も同様に、スラリー状の第2合材92を収容保持し、かつ第2塗工ロール22に面する開口24oを通じて第2塗工ロール22にスラリーを供給する。
第1スラリー容器23はスラリー状の第1合材91を収容保持し、かつ第1塗工ロール21に面する開口23oを通じて第1塗工ロール21にスラリー状の第1合材91を供給する。第2スラリー容器24も同様に、スラリー状の第2合材92を収容保持し、かつ第2塗工ロール22に面する開口24oを通じて第2塗工ロール22にスラリーを供給する。
第1塗工ロール21及び第2塗工ロール22は、互いに逆方向から、基材シート10に圧接している。したがって、第1塗工ロール21及び第2塗工ロール22の間において、基材シート10には所定の張力が負荷されている。このため第1塗工ロール21による第1合材層11の塗工、及び、第2塗工ロール22による第2合材層12の塗工は円滑に行われる。つまり、第1塗工ロール21は第2塗工ロール22に対するバックアップロールとして機能し、第2塗工ロール22は第1塗工ロール21に対するバックアップロールとして機能する。
第2塗工ロール22と巻き出しロール31との間には、2つの送りロール33、34が設けられている。この2つの送りロール33、34は、第2塗工ロール22と巻き出しロール31との間において、基材シート10に張力を負荷する。第1塗工ロール21と後述する案内要素4との間においては、案内要素4が吹き出す気体90によって、基材シート10には張力が負荷されている。このように基材シート10に張力を負荷することで、搬送時における基材シート10のばたつきを抑制し得る。
案内要素4は、塗工要素2に対して搬送方向の先側、かつ、後述する乾燥要素5に対して搬送方向の後側に配置されている。
実施例の製造装置は3つの案内要素4と、当該3つの案内要素4を収容するカバー45と、を有する。各案内要素4は、電極前駆体1に向けて気体90を吹き出す吹出口41を有し、当該気体90によって電極前駆体1と案内要素4とを物理的に隔てる。
実施例の製造装置は3つの案内要素4と、当該3つの案内要素4を収容するカバー45と、を有する。各案内要素4は、電極前駆体1に向けて気体90を吹き出す吹出口41を有し、当該気体90によって電極前駆体1と案内要素4とを物理的に隔てる。
具体的には、案内要素4は、案内部42と気体供給部43とを有する。案内部42は湾曲面42aを有する略筒状をなし、湾曲面42aには開口状をなす多数の吹出口41が設けられている。気体供給部43は、略管状をなす。気体供給部43の一端は案内部42に接続され、気体供給部43の他端は図略の空調装置に接続されている。つまり気体供給部43は、空調装置から案内部42に向けた温風の通路を構成している。気体供給部43を経て案内部42に供給された温風は、吹出口41を通じて吹き出し、第1合材層11に吹き付けられる。
案内要素4は、湾曲面42aを第1合材層11に対面させつつ、電極前駆体1における第1合材層11側に配列している。
案内要素4は、湾曲面42aを第1合材層11に対面させつつ、電極前駆体1における第1合材層11側に配列している。
カバー45は、電極前駆体1の搬送方向に延びるトンネル状をなす。案内要素4はカバー45の内部に配置されている。電極前駆体1は当該カバー45の内部を通過する。カバー45の内部は案内要素4から吹き出した温風により加熱される。したがって、カバー45は電極前駆体1の合材層11、12を乾燥する乾燥室として機能する。
乾燥要素5は、塗工要素2及び案内要素4に対して、搬送方向の先側に配置されている。実施例の製造装置における乾燥要素5は、所謂フローティングドライヤーであり、乾燥室50と、複数のブロワー51と、図略の空調装置で構成されている。乾燥要素5には、塗工要素2及び案内要素4を経た電極前駆体1が供給される。
乾燥室50は、図1に示す前後方向に延びるトンネル状をなす。複数のブロワー51は乾燥室50内に配置されている。具体的には、各ブロワー51は、電極前駆体1の第1合材層11側と第2合材層12側とに交互に配置され、前後方向に配列している。各ブロワー51は、案内要素4と同様に、図略の空調装置に接続されている。したがって、ブロワー51は、空調装置で生成した温風を電極前駆体1に向けて吹き出すことで、第1合材層11及び第2合材層12を乾燥する。既述したように乾燥要素5の乾燥室50は前後方向に延び、ブロワー51は乾燥室50内に配置されている。したがって乾燥要素5は前後方向に延び、乾燥要素5が第1合材層11及び第2合材層12を乾燥する乾燥区間5lもまた前後方向に延びる。
実施例の製造装置は、上記した塗工要素2、案内要素4、搬送要素3及び乾燥要素5以外に、プレス要素6を有する。プレス要素6は、電極前駆体1を挟んで配置されている2つのプレスロール61、62で構成されている。2つのプレスロール61、62の隙間は電極前駆体1の厚さよりも小さく、プレス要素6は、2つのプレスロール61、62の間で電極前駆体1をプレスする。
実施例の電極の製造装置を用いた実施例の電極の製造方法を以下に説明する。
<塗工工程>
先ず、セラミックス、結着剤及び溶剤を含有するスラリー状のコート合材を準備し、塗工要素2の第1スラリー容器23及び第2スラリー容器24に入れる。つまり、実施例の製造方法における第1合材91及び第2合材92はともにコート合材であり、実施例の製造方法では、基材シート10の両面にコート層が形成された両面塗工型の電極を製造する。なお、実施例の製造方法で用いた基材シート10は、集電体と、集電体の両面にそれぞれ形成された正極活物質層と、で構成される。
先ず、セラミックス、結着剤及び溶剤を含有するスラリー状のコート合材を準備し、塗工要素2の第1スラリー容器23及び第2スラリー容器24に入れる。つまり、実施例の製造方法における第1合材91及び第2合材92はともにコート合材であり、実施例の製造方法では、基材シート10の両面にコート層が形成された両面塗工型の電極を製造する。なお、実施例の製造方法で用いた基材シート10は、集電体と、集電体の両面にそれぞれ形成された正極活物質層と、で構成される。
搬送要素3によって基材シート10を上下方向に搬送しつつ、第1塗工ロール21及び第2塗工ロール22を用いて基材シート10上に第1合材層11及び第2合材層12を形成する。
先ず、基材シート10を下方から上方に向けて搬送しつつ、第2塗工ロール22によって基材シート10の第2面10bにコート合材つまり第2合材92を連続的に塗工して、コート合材層たる第2合材層12を形成する。第1塗工ロール21によって、第2合材層12が形成された基材シート10の第1面10aにコート合材つまり第1合材91を連続的に塗工して、コート合材層たる第1合材層11を形成する。この塗工工程において、基材シート10の第1面10aに第1合材層11が形成され、基材シート10の第2面10bに第2合材層12が形成された電極前駆体1が得られる。第1合材層11及び第2合材層12は、それぞれ、図略の正極活物質層上に形成される。塗工工程において得られる電極前駆体1は、基材シート10と同様に下方から上方に向けて搬送される。
先ず、基材シート10を下方から上方に向けて搬送しつつ、第2塗工ロール22によって基材シート10の第2面10bにコート合材つまり第2合材92を連続的に塗工して、コート合材層たる第2合材層12を形成する。第1塗工ロール21によって、第2合材層12が形成された基材シート10の第1面10aにコート合材つまり第1合材91を連続的に塗工して、コート合材層たる第1合材層11を形成する。この塗工工程において、基材シート10の第1面10aに第1合材層11が形成され、基材シート10の第2面10bに第2合材層12が形成された電極前駆体1が得られる。第1合材層11及び第2合材層12は、それぞれ、図略の正極活物質層上に形成される。塗工工程において得られる電極前駆体1は、基材シート10と同様に下方から上方に向けて搬送される。
<方向転換工程>
塗工工程後の電極前駆体1は、塗工要素2の上方に配置されているカバー45内に導入される。カバー45内には案内要素4が配置されており、案内要素4に対面する位置において、電極前駆体1には案内要素4から温風が吹き付けられる。
塗工工程後の電極前駆体1は、塗工要素2の上方に配置されているカバー45内に導入される。カバー45内には案内要素4が配置されており、案内要素4に対面する位置において、電極前駆体1には案内要素4から温風が吹き付けられる。
より具体的には、案内要素4は、湾曲面42aに設けられた吹出口41から第1合材層11に向けて温風を吹き出す。このため、案内要素4の湾曲面42aと電極前駆体1の第1合材層11との間には空気の層が形成されるため、湾曲面42aと第1合材層11とは離間する。つまりこのとき第1合材層11は湾曲面42aに接触しない。電極前駆体1は、塗工要素2よりも上方かつ前方にある巻き取りロール32によって巻き取られるため、塗工要素2を通過し案内要素4近傍にある電極前駆体1には、上方かつ前方に向けた力、つまり案内要素4に向けた力が作用する。したがって、案内要素4近傍の電極前駆体1は、第1合材層11が案内要素4に非接触な状態のまま、案内要素4に向けて押しつけられ、案内要素4の湾曲面42aに沿って撓む。換言すると、塗工工程においては下方から上方に向けて搬送されていた電極前駆体1は、方向転換工程においては案内要素4を中心として前方に向けて撓む。このため実施例の電極の製造方法及び製造装置では、方向転換工程後には、電極前駆体1を前方向に搬送できるようになる。つまり、方向転換工程において、電極前駆体1の搬送方向は上下方向から前後方向に案内され、当該搬送方向の案内は、案内要素4によって為される。
なお、案内要素4が吹き出す温風によって、第1合材層11及び第2合材層12の溶剤は一部気化する。したがって、実施例の製造方法及び装置では、方向転換工程においても、第1合材層11及び第2合材層12の乾燥が行われる。
なお第1合材層11は、方向転換工程に続く乾燥工程において基材シート10の下面側に配置されるために、自重による変形や基材シート10からの剥離等が生じ易いと考えられる。しかし実施例の製造方法及び装置においては、方向転換工程における第1合材層11つまり基材シート10の下面側に配置される前の第1合材層11を、案内要素4から吹き出す温風によって基材シート10に押しつけつつ乾燥することで、第1合材層11の変形等を抑制し得る。
なお第1合材層11は、方向転換工程に続く乾燥工程において基材シート10の下面側に配置されるために、自重による変形や基材シート10からの剥離等が生じ易いと考えられる。しかし実施例の製造方法及び装置においては、方向転換工程における第1合材層11つまり基材シート10の下面側に配置される前の第1合材層11を、案内要素4から吹き出す温風によって基材シート10に押しつけつつ乾燥することで、第1合材層11の変形等を抑制し得る。
<乾燥工程>
方向転換工程後の電極前駆体1は、案内要素4の前側に配置されている乾燥室50内に導入される。乾燥室50内では、電極前駆体1は後方から前方に向けて搬送されつつ、ブロワー51から吹き出す温風に曝される。したがって、当該乾燥工程において、電極前駆体1の第1合材層11及び第2合材層12は乾燥して各々コート層となる。
<プレス工程>
乾燥工程後の電極前駆体1は、乾燥要素5の更に前側に配置されている一対のプレスロール61、62の間に導入され、プレスされる。プレス後の電極前駆体1は、巻き取りロール32に巻き取られる。この電極前駆体1は、更に裁断等されて電極となる。
方向転換工程後の電極前駆体1は、案内要素4の前側に配置されている乾燥室50内に導入される。乾燥室50内では、電極前駆体1は後方から前方に向けて搬送されつつ、ブロワー51から吹き出す温風に曝される。したがって、当該乾燥工程において、電極前駆体1の第1合材層11及び第2合材層12は乾燥して各々コート層となる。
<プレス工程>
乾燥工程後の電極前駆体1は、乾燥要素5の更に前側に配置されている一対のプレスロール61、62の間に導入され、プレスされる。プレス後の電極前駆体1は、巻き取りロール32に巻き取られる。この電極前駆体1は、更に裁断等されて電極となる。
実施例の製造方法及び製造装置によると、両面塗工型の電極前駆体1における第1合材層11及び第2合材層12を同時に乾燥することで製造工数及び製造コストを低減できる。また、塗工時には電極前駆体1を上下方向つまり高さ方向に搬送でき、かつ、乾燥時には電極前駆体1を前後方向つまり広さ方向に搬送できるために、乾燥要素5の乾燥区間5lを広さ方向に延ばすことができる。よって、乾燥要素5を丈高にすることなく乾燥区間5lを充分に設けることができ、電極の製造装置自体もまた丈高にする必要がなくなる。よって実施例の電極の製造装置及び製造方法によると、電極の製造設備に高いコストを必要としない。また、電極前駆体1の搬送方向を方向転換するにあたり、第1合材層11及び第2合材層12に非接触な案内要素4を用いることで、品質に優れた電極を製造できる。
既述したように、実施例の製造方法及び製造装置においては、第1合材層11に向けて温風を吹き出すことで第1合材層11及び第2合材層12に非接触となる案内要素4を用いた。しかし案内要素4はこれに限定されるものではない。例えば図2に示すように、基材シート10の幅方向の両端に合材層11、12を塗工しない未塗工部19を設け、当該未塗工部19にのみ接触するロール状の案内要素4によって電極前駆体1の搬送方向を高さ方向から広さ方向に案内することも可能である。何れの場合にも、案内要素4が第1合材層11及び第2合材層12に非接触であれば、実施例の製造方法及び製造装置と同様に、品質に優れた電極を製造できる。
1:電極前駆体 10:基材シート
10a:基材シートの一方の面 10b:基材シートの他方の面
11:第1合材層 12:第2合材層
2:塗工要素 21:第1塗工ロール
22:第2塗工ロール 3:搬送要素
4:案内要素 41:吹出口
42:案内部 42a:湾曲面
43:気体供給部 5:乾燥要素
90:気体
10a:基材シートの一方の面 10b:基材シートの他方の面
11:第1合材層 12:第2合材層
2:塗工要素 21:第1塗工ロール
22:第2塗工ロール 3:搬送要素
4:案内要素 41:吹出口
42:案内部 42a:湾曲面
43:気体供給部 5:乾燥要素
90:気体
Claims (3)
- 第1塗工ロールと第2塗工ロールとの間に集電体を含む基材シートを配置し、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成しつつ、前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を高さ方向に搬送する、塗工工程と、
前記塗工工程後の前記電極前駆体を、前記高さ方向に交差する広さ方向に搬送しつつ、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる、乾燥工程と、
前記塗工工程後かつ前記乾燥工程前に、前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触な案内要素によって前記電極前駆体の搬送方向を前記高さ方向から前記広さ方向に案内する方向転換工程と、を有する、電極の製造方法。 - 第1塗工ロール及び第2塗工ロールが集電体を含む基材シートを挟んで配置され、前記第1塗工ロールによって前記基材シートの一方の面に第1合材層を形成しかつ前記第2塗工ロールによって前記基材シートの他方の面に第2合材層を形成する塗工要素と、
前記基材シートに前記第1合材層及び前記第2合材層が形成された電極前駆体を搬送する搬送要素と、
前記塗工要素に対して前記電極前駆体の搬送方向の先側に配置され、前記第1合材層及び前記第2合材層を乾燥させる乾燥要素と、
前記第1合材層及び前記第2合材層に非接触であり、かつ、前記塗工要素と前記乾燥要素との間で前記電極前駆体の搬送方向を高さ方向から前記高さ方向に交差する広さ方向に案内する案内要素と、を有する、電極の製造装置。 - 前記案内要素は、
前記第1合材層に対面する湾曲面と前記湾曲面に開口する複数の吹出口とを有する案内部と、前記吹出口に気体を供給する気体供給部と、を有し、
前記湾曲面に沿って前記電極前駆体を案内し、かつ、前記吹出口から吹き出す前記気体によって前記湾曲面と前記第1合材層とを離間させる、請求項2に記載の電極の製造装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016215095A JP2018073729A (ja) | 2016-11-02 | 2016-11-02 | 電極の製造方法及び製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109513581A (zh) * | 2018-11-14 | 2019-03-26 | 浙江工业职业技术学院 | 一种锂电池涂布装置 |
JP2020032373A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | 株式会社豊田自動織機 | グラビア塗工装置、及び塗料の塗工方法 |
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JP2022545026A (ja) * | 2019-08-20 | 2022-10-24 | 北京▲衛▼▲藍▼新能源科技有限公司 | 大幅の極薄金属リチウムストリップを調製するためのグラビアコーティング装置及びその方法 |
CN118099350A (zh) * | 2024-04-23 | 2024-05-28 | 宁德时代新能源科技股份有限公司 | 极片制造方法及极片制造装置 |
-
2016
- 2016-11-02 JP JP2016215095A patent/JP2018073729A/ja not_active Withdrawn
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