JP2018062865A - オイルセパレータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部での結露に起因する短絡異常の発生を抑えることのできるオイルセパレータの制御装置を提供する。【解決手段】オイルセパレータ10は、複数の電極と隣り合う電極間に介設されたフィルタとを有し、電極間に電圧が印加されている状態で内燃機関のブローバイガスをフィルタに通過させることにより、ブローバイガスに含まれるオイルミストを静電吸着力により分離する。制御装置は、抵抗器67および検知回路70により、オイルセパレータ10の内部での結露の発生の有無を検知する。結露の発生が検知されたときには、電子制御装置71による駆動回路69の作動制御を通じて、オイルセパレータ10の電極間に印加する電圧を制限する。【選択図】図3

Description

本発明は、オイルセパレータの制御装置に関するものである。
内燃機関には、クランク室内のブローバイガスを吸気通路に還流する還流通路が設けられている。また、こうした還流通路の途中に、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離するオイルセパレータを設けることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のオイルセパレータには、ケース内部においてブローバイガスの流れを遮るように、電気絶縁材料からなる繊維によって形成されたフィルタが設けられている。また、ケースの内部には、2枚の金属板からなる電極が上記フィルタを挟み込むように配置されている。そして、これら電極には電圧発生装置から電圧が印加されている。
こうしたオイルセパレータでは、フィルタを構成する繊維と同フィルタを通過するオイルミストとが共に帯電し、その帯電したオイルミストが静電気力によってフィルタ(その繊維)に吸着されるようになる。上記オイルセパレータによれば、静電吸着力を利用してオイルの捕集力が高められる。
特開2016−109038号公報
ここで、上記オイルセパレータの内部では、内燃機関の運転停止後の温度低下に際して結露が生じることがある。この状態で内燃機関が始動されて、オイルセパレータ内部の電極間に電圧が印加されると、結露によって電極やフィルタに付着している水が原因で電極間が短絡する異常(短絡異常)が発生するおそれがあり、これに起因してオイルセパレータの動作不良を招くおそれがある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部での結露に起因する短絡異常の発生を抑えることのできるオイルセパレータの制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するためのオイルセパレータの制御装置は、複数の電極と、電気絶縁材料によって形成されるとともに前記複数の電極間に介設されたフィルタとを有し、前記複数の電極間に電圧が印加されている状態で内燃機関のブローバイガスを前記フィルタに通過させることにより、ブローバイガスに含まれるオイルミストを静電吸着力により分離するオイルセパレータに適用される制御装置であって、前記オイルセパレータの内部での結露の発生の有無を検知する検知部と、前記検知部によって結露の発生が検知されたときに、前記複数の電極間に印加する電圧を制限する制御部とを備える。
上記構成によれば、オイルセパレータの内部での結露の発生が検知されると、電極間の印加電圧が低くされる。これにより、電極間が短絡する異常(短絡異常)が発生し難い状況にすることができる。したがって、オイルセパレータ内部で結露が発生した場合であっても、その結露に起因する短絡異常の発生を抑えることができる。
本発明のオイルセパレータの制御装置によれば、オイルセパレータ内部での結露に起因する短絡異常の発生を抑えることができる。
オイルセパレータの制御装置の第1実施形態について、車載内燃機関のオイルセパレータの斜視図。 オイルセパレータの電極と電圧発生装置との接続態様を示す模式図。 第1実施形態の制御装置の回路構造を示す回路図。 抵抗器の端子間電圧とフィルタの絶縁抵抗との関係を示すグラフ。 第1実施形態の制御処理の実行手順を示すフローチャート。 結露の未検知時における同制御処理の実行態様を示すタイミングチャート。 結露の検知時における同制御処理の実行態様を示すタイミングチャート。 第2実施形態の制御装置の回路構造を示す回路図。 第2実施形態の制御処理の実行手順を示すフローチャート。 結露の未検知時における同制御処理の実行態様を示すタイミングチャート。 結露の検知時における同制御処理の実行態様を示すタイミングチャート。
(第1実施形態)
以下、オイルセパレータの制御装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、オイルセパレータ10は、車載内燃機関のクランク室内のブローバイガスを吸気通路に還流する還流通路に設けられるものであり、電気絶縁性の硬質樹脂材料(例えばナイロン66)によって形成されたケース11を有している。
ケース11は、上部開口を有するケース本体20と、ケース本体20の上部開口を閉塞するリッド30とを有している。ケース本体20は、平面視長方形状の底壁22と、同底壁22の四辺から上方に向けて延びる側壁21とを有している。なお、以降において、底壁22の長手方向をそれぞれ単に長手方向として説明する。
長手方向における一端側の側壁21には、ケース11の内外を連通する円筒状のガス流入口23が外側に向けて突設されている。また、長手方向における他端側の側壁21には、ケース11の内外を連通する円筒状のガス流出口24が外側に向けて突設されている。底壁22におけるガス流出口24に近接した位置には、ケース11の内外を連通するオイル排出口25が下側に向けて突設されている。
ケース本体20の内部には、ステンレス鋼によって形成された4枚の電極40が互いに間隔をおいて対向して配置されている。また、各電極40は、ガス流入口23およびガス流出口24が形成された側壁21と間隔をおいて配置されている。なお、電極40は2枚以上であればよく、電極40の枚数を任意に変更することができる。
各電極40の間には、電気絶縁材料であるポリエステルの繊維によって形成されたフィルタ50が介設されている。フィルタ50は、同フィルタ50を挟む一対の電極40にそれぞれ当接している。なお、ポリエステルなどの電気絶縁材料は誘電分極が生じる誘電材料でもある。
図2に示すように、各電極40には、導線を介して電圧発生装置60が電気的に接続されている。同図の左から奇数番目の電極40には、電圧発生装置60の陽極(+)が接続されている。また、同図の左から偶数番目の電極40には、電圧発生装置60の陰極(−)が接続されている。この電圧発生装置60により、互いに隣り合う電極40の間に所定の電圧を印加することが可能とされている。
図3に示すように、電圧発生装置60は車載の直流電源(以下、電源61)を備えている。この電源61には、昇圧用のトランス62の一次コイル63、およびスイッチング素子としてこの例では電界効果トランジスタ(以下、FET64)が直列に接続されている。またトランス62の二次コイル65には、ダイオード66、オイルセパレータ10の各電極40、および電流検出用の抵抗器67が順に直列にて接続されている。オイルセパレータ10には平滑用のコンデンサ68が並列に接続されている。
電圧発生装置60はFET64をスイッチング駆動する駆動回路69を有しており、この駆動回路69にはFET64のゲート端子が接続されている。また、電圧発生装置60はケース11内部における結露の発生の有無を検知するための検知回路70を有しており、この検知回路70には抵抗器67の端子間電圧Vtが入力されている。さらに、電圧発生装置60は、例えばマイクロコンピュータを有して構成される電子制御装置71を備えている。この電子制御装置71には、駆動回路69や、検知回路70、運転スイッチ72などが接続されている。運転スイッチ72は、内燃機関を始動させる際にオン操作されてオン信号を出力する一方で、内燃機関の運転を停止させる際にはオフ操作されてオフ信号を出力する。
そして、検知回路70に取り込まれる端子間電圧Vtが所定の閾値JV1よりも高くなると、検知回路70は電子制御装置71に対して検知信号を出力する。この所定の閾値JV1については後述する。電子制御装置71は、この検知信号を受けて、駆動回路69(詳しくは、FET64)への駆動信号の出力を禁止する。これにより、電極40間への電圧の印加が禁止されるようになる。本実施形態では、検知回路70がオイルセパレータ10内部での結露発生の有無を検知する検知部に相当し、電子制御装置71が電極40間に印加する電圧を制限する制御部に相当する。
オイルセパレータ10を作動させる際には、電圧発生装置60から、隣り合う電極40の間に所定電圧V1(本実施形態では5000V)が印加される。以下、オイルセパレータ10を作動させることによる作用について説明する。
図1に示すように、ガス流入口23を通じてケース11内に導入されたブローバイガスはガス流出口24に向けて移動する。そして、電圧発生装置60から各電極40の間に所定電圧V1が印加されることにより、電極40間に静電界が生じるとともに、フィルタ50を構成する繊維の表面に誘電分極により正(+)または負(−)の電荷が生じる。
このため、ブローバイガスに含まれるオイルミストのうち帯電しているものは、各電極40の間を通過する際に静電気力によって移動方向が曲げられることとなり、フィルタ50に捕捉されやすくなる。
また、ブローバイガスに含まれるオイルミストのうち帯電していないものは、各電極40の間に介設されたフィルタ50の繊維同士の間を通過する際に誘電分極によって表面に正(+)または負(−)の電荷が生じる。このため、静電気力によってオイルミストがフィルタ50の繊維の表面の負(−)または正(+)の電荷に引き寄せられることとなり、フィルタ50に捕捉されやすくなる。
このようにして、オイルセパレータ10では、フィルタ50によってオイルミストを効果的に捕捉することができる。なお、オイルが分離されたブローバイガスは、ガス流出口24を通じて還流通路に流出する。一方、底壁22上に溜まったオイルなどは同底壁22を伝って移動し、オイル排出口25を通じてケース11外に排出される。
前記電子制御装置71は、ケース11内における結露の発生の有無を検知するための処理(結露検知処理)を実行する。この結露検知処理は、以下のような考えのもとに実行される。
オイルセパレータ10の内部で結露が発生していないときには、各電極40間に介設されたフィルタ50の絶縁抵抗(本実施形態では、数百MΩ)は大きい。これに対して、オイルセパレータ10の内部において結露が発生すると、上記フィルタ50の絶縁抵抗(本実施形態では数MΩ)は小さくなる。こうした絶縁抵抗の変化を検出することにより、オイルセパレータ10の内部における結露発生の有無を検知することが可能になる。
本実施形態では、電流検出用の抵抗器67が各電極40(詳しくは、電極40間に介設されたフィルタ50)と直列に接続されており、同フィルタ50と抵抗器67とに同一の電流が流れるようになっている。そのため、この抵抗器67の端子間電圧Vtをもとに、同抵抗器67に流れる電流をフィルタ50に流れる電流として検出することができる。そして、この検出した電流値に基づきフィルタ50の絶縁抵抗を把握して、結露の発生の有無を検知することが可能になる。このように本実施形態によれば、抵抗器67を追加するといった簡素な構造で、結露発生の有無の検知を実行することができる。
図4に示すように、フィルタ50の絶縁抵抗が小さくなるほど、フィルタ50および抵抗器67を流れる電流が多くなって、同抵抗器67の端子間電圧Vtが高くなる。この点をふまえて、本実施形態では、端子間電圧Vtが前記所定の閾値JV1以上であるときに、結露が発生していると検知するようにしている。なお本実施形態では、結露が発生していることを的確に検知することの可能な端子間電圧Vtの範囲が発明者による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同範囲の最低値(あるいは最低値よりも若干低い値)が上記所定の閾値JV1として電子制御装置71に記憶されている。
また電子制御装置71は、オイルセパレータ10の作動を制御する処理(制御処理)を実行する。以下、この制御処理の実行手順について説明する。なお、上述した結露検知処理は、制御処理に含まれている。
図5は、制御処理の実行手順を示すフローチャートであり、同フローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として電子制御装置71により実行される。
図5に示すように、この処理では先ず、運転スイッチ72がオン操作されたか否かが判断される(ステップS11)。ここでは、運転スイッチ72がオフ状態からオン状態に切り替わったときである場合に、運転スイッチ72がオン操作されたと判断される。
そして、運転スイッチ72がオン操作されたと判断されると(ステップS11:YES)、結露の発生の有無を検知するべく電極40間に所定電圧V1が印加された後(ステップS12)、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV1以上であるか否かが判断される(ステップS13)。
端子間電圧Vtが所定の閾値JV1未満である場合には(ステップS13:NO)、結露が発生していないとして、異常フラグがオフ操作されるとともに(ステップS14)、オイルセパレータ10の作動(具体的には、電極40間への所定電圧V1の印加)が許可される(ステップS15)。なお異常フラグは、運転スイッチ72がオン操作されたとき(初期状態)においてオフ操作状態になるとともに、結露の発生を検知したときにオン操作されるフラグである。
一方、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV1以上である場合には(ステップS13:YES)、結露が発生しているとして、異常フラグがオン操作されるとともに(ステップS16)、オイルセパレータ10の作動が禁止される(ステップS17)。
運転スイッチ72がオン操作された直後ではないと判断される場合には(ステップS11:NO)、異常フラグがオン操作されているか否かが判断され(ステップS18)、異常フラグのオン操作の継続時間が所定時間T以上であるか否かが判断される(ステップS19)。本実施形態では、内燃機関の始動時において結露が発生していた場合に同内燃機関の運転継続によって結露が解消されるようになる時間が発明者による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同時間の最短値(あるいは最短値よりも若干長い時間)が上記所定時間Tとして電子制御装置71に記憶されている。
そして、異常フラグがオン操作されており(ステップS18:YES)、且つそのオン操作の継続時間が所定時間T以上である場合には(ステップS19:YES)、結露検知処理(具体的には、ステップS12〜ステップS17の処理)が実行される。
一方、異常フラグがオフ操作されている場合には(ステップS18:NO)、内燃機関の運転が継続されている限り結露が発生する可能性が低いとして、結露検知処理を実行することなく本処理は終了される。
他方、異常フラグのオン操作の継続時間が所定時間T未満である場合には(ステップS19:NO)、結露が解消されている可能性が低く結露検知処理を実行するタイミングではないとして、同結露検知処理を実行することなく本処理は終了される。
以下、制御処理を実行することによる作用効果について説明する。
ここでは先ず、結露が発生していないときの作用効果について、図6を参照しつつ説明する。
図6の時刻t11において、同図(a)に示す運転スイッチ72がオン操作されると、結露の発生の有無を検知するべく、同図(b)に示すように電極40間に所定電圧V1が印加される。このとき結露が発生しておらず、同図(c)に示す抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV1未満であるため、同図(d)に示す異常フラグがオフ操作される。したがって、この場合(時刻t11以降)には、オイルセパレータ10の作動が許可されて、電極40間に所定電圧V1を印加した状態が継続される。
ここで、オイルセパレータ10内での結露は、内燃機関の運転停止時において発生することが多い。そして、内燃機関の始動時に結露が発生していなければ、その後の内燃機関の運転中においては結露は殆ど発生しない。
本実施形態によれば、内燃機関の始動時に結露が発生していないときには、その後に結露が発生する可能性は低いとして、オイルセパレータ10を作動させるための電極40間への電圧印加が許可される。しかも、このときには、その後において運転スイッチ72がオン操作されている限り、異常フラグがオフ操作されたままになり、オイルセパレータ10の作動許可が継続される。
次に、結露が発生しているときの作用効果について、図7を参照しつつ説明する。
図7の時刻t21において、同図(a)に示す運転スイッチ72がオン操作されると、結露の発生の有無を検知するべく、同図(b)に示すように電極40間に所定電圧V1が印加される。このとき結露が発生しており、同図(c)に示す抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV1以上になるため、同図(d)に示す異常フラグがオン操作される。そして、この場合(時刻t21〜t22)にはオイルセパレータ10の作動が一旦禁止されて、電極40間への所定電圧V1の印加が停止される。
このように本実施形態によれば、内燃機関の始動時において結露の発生が検知されたとき、すなわち短絡異常が発生するおそれがあるときには、オイルセパレータ10の作動のための電極40間への所定電圧V1の印加が禁止されて、短絡異常の発生が好適に抑えられるようになる。
その後の時刻t22において、前回の結露異常処理の実行時から所定時間Tが経過すると、改めて結露の発生の有無を検知するべく、電極40間に所定電圧V1が印加される。このときには内燃機関の運転継続による温度上昇などによって結露が解消されており、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV1未満であるため、異常フラグがオフ操作される。したがって、この場合(時刻t22以降)には、オイルセパレータ10の作動が許可されて、電極40間に所定電圧V1を印加した状態が継続される。
このように本実施形態によれば、電極40間への所定電圧V1の印加を禁止している期間において定期的に結露検知処理が実行され、この結露検知処理において結露が発生していないと検知されたときにはオイルセパレータ10の作動のための電極40間への所定電圧V1の印加が許可される。これにより、内燃機関の始動時に結露発生が検知されてオイルセパレータ10の作動のための電極40間への電圧印加が一旦禁止された場合であっても、その後において結露が解消されたことを確認したうえで電圧印加の禁止を解除することができる。したがって、短絡異常の発生を抑えつつ、オイルセパレータ10の作動時間の減少を抑えることもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)結露の発生が検知されたときには、オイルセパレータ10の作動のための電極40間への電圧の印加が禁止される。そのため、短絡異常の発生を好適に抑えることができる。
(2)抵抗器67を追加するといった簡素な構造で、結露発生の有無の検知を実行することができる。
(3)内燃機関の始動時に結露が発生していないときには、その後に結露が発生する可能性は低いとして、電極40間への電圧印加が許可される。しかも、内燃機関の始動時において結露の発生が検知されたときには、電極40間への所定電圧V1の印加が禁止される。このように内燃機関の始動後における結露の有無を精度良く把握するとともに、その把握した結果に応じて電極40間への電圧印加の許可と禁止とを的確に切り替えることができる。
(4)オイルセパレータ10電極40間への所定電圧V1の印加を禁止している期間において定期的に結露検知処理が実行され、この結露検知処理において結露が発生していないと検知されたときには、オイルセパレータ10の作動のための電極40間への所定電圧V1の印加が許可される。したがって、短絡異常の発生を抑えつつ、オイルセパレータ10の作動時間の減少を抑えることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のオイルセパレータの制御装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお以下では第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は割愛する。本実施形態と第1実施形態とは、電圧発生装置の構成と結露検知処理の処理手順とが異なる。
以下、本実施形態の電圧発生装置の構成について説明する。
図8に示すように、電圧発生装置80には、3つの抵抗器81,82,83と1つの常閉型のスイッチ84とからなる分圧回路が設けられている。この分圧回路の出力電圧は、電子制御装置71に入力されている。電子制御装置71は、分圧回路の出力電圧が予め定められた所定電圧(例えば1V)になるように、駆動回路69の作動状態をフィードバック制御する。これにより、電極40間に印加される電圧が一定電圧に調節される。
抵抗器81,82は、電圧発生装置80の陽極(+)とグランド85との間に直列に接続されている。また分圧回路では、抵抗器83とスイッチ84とが直列接続された抵抗回路が、2つの抵抗器81,82のうちのグランド85側の抵抗器82に並列に接続されている。スイッチ84は、検知回路70に接続されており、結露検知処理の実行時には開操作される一方、それ以外のときには閉操作される。
電圧発生装置80は、スイッチ84の開閉操作によって、分圧回路による分圧態様が変化する構造になっている。詳しくは、スイッチ84の閉操作時には、分圧回路は3つの抵抗器81,82,83によって構成された回路になる。本実施形態では、このとき前記フィードバック制御を通じて電極40間に印加される電圧が前記所定電圧V1に調節されるように、各抵抗器81,82,83の抵抗値が定められている。
また、スイッチ84の開操作時には、分圧回路は2つの抵抗器81,82によって構成された回路になる。本実施形態では、このとき前記フィードバック制御を通じて、電極40間に印加される電圧が所定電圧V1よりも低い所定電圧V2(本実施形態では、100V)になるように、各抵抗器81,82の抵抗値が定められている。なお本実施形態では、結露が発生している状況で電極40間に印加しても短絡異常が発生することのない印加電圧の範囲が発明者による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同範囲の最高値(あるいは最高値よりも若干低い値)が上記所定電圧V2として設定されている。
次に、本実施形態の結露検知処理の処理手順について説明する。
図9に、本実施形態の結露検知処理を含む制御処理の実行手順を示す。
図9に示すように、結露検知処理の実行に際しては(ステップS11:YES、またはステップS19:YES)、電極40間に所定電圧V2が印加される(ステップS22)。詳しくは、検知回路70(図8)によってスイッチ84が開操作されるとともに、電子制御装置71によって前記フィードバック制御が実行される。その後、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV2以上であるか否かが判断される(図9のステップS23)。なお本実施形態では、電極40間に所定電圧V2を印加した状態において結露の発生を的確に検知することの可能な端子間電圧Vtの範囲が発明者による各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同範囲の最低値(あるいは最低値よりも若干低い値)が上記所定の閾値JV2として電子制御装置71に記憶されている。
そして、端子間電圧Vtが所定の閾値JV2未満である場合には(ステップS23:NO)、結露が発生していないとして、異常フラグがオフ操作されるとともに(ステップS14)、オイルセパレータ10の作動が許可される(ステップS15)。詳しくは、スイッチ84が閉操作された状態で電子制御装置71によって前記フィードバック制御が実行される。
一方、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV2以上である場合には(ステップS23:YES)、結露が発生しているとして、異常フラグがオン操作される(ステップS16)。そして、この場合には電極40間への所定電圧V2の印加が停止されるとともにオイルセパレータ10の作動が禁止される(ステップS27)。
以下、本実施形態のオイルセパレータの制御装置による作用について説明する。
先ず、結露が発生していないときの作用について、図10を参照しつつ説明する。
図10の時刻t31において、同図(a)に示す運転スイッチ72がオン操作されると、結露の発生の有無を検知するべく、同図(b)に示すように電極40間に所定電圧V2が印加される。このとき結露が発生しておらず、同図(c)に示す抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV2未満であるため、同図(d)に示す異常フラグがオフ操作される。したがって、この場合には、オイルセパレータ10の作動が許可されるため、時刻t32において電極40間に印加する電圧が所定電圧V2から所定電圧V1に切り替えられる。そして、その後(時刻t32以降)においては電極40間に所定電圧V1を印加した状態が継続される。
次に、結露が発生しているときの作用について、図11を参照しつつ説明する。
図11の時刻t41において、同図(a)に示す運転スイッチ72がオン操作されると、結露の発生の有無を検知するべく、同図(b)に示すように電極40間に所定電圧V2が印加される。このとき結露が発生しており、同図(c)に示す抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV2以上になるため、同図(d)に示す異常フラグがオン操作される。そのため、その後の時刻t42において、電極40間への所定電圧V2の印加が停止されるとともに、オイルセパレータ10の作動が一旦禁止される。
その後の時刻t43,t44において、直近の結露検知処理の実行時から所定時間Tが経過すると、改めて結露の発生の有無を検知するべく、電極40間に所定電圧V2が印加される。そして、内燃機関の運転継続によって結露が解消されていると(時刻t44)、抵抗器67の端子間電圧Vtが所定の閾値JV2未満になるため、異常フラグがオフ操作される。この場合には、オイルセパレータ10の作動が許可されるため、時刻t45において、電極40間に印加する電圧が所定電圧V2から所定電圧V1に切り替えられる。そして、その後(時刻t45以降)においては電極40間に所定電圧V1を印加した状態が継続される。
本実施形態によれば、先の(1)〜(4)に記載した効果と同様の効果に加えて、以下の(5)に記載する作用効果が得られる。
(5)結露の発生の有無の検知時において電極40間に印加する所定電圧V2が、オイルセパレータの作動時において電極40間に印加する所定電圧V1よりも低くなっている。そのため、内燃機関の始動時に結露の発生の有無を検知するべく電極40間に電圧を印加する際には、その印加電圧(所定電圧V2)を低くして、短絡異常が発生し難い状況にすることができる。これにより、結露検知処理の実行時における短絡異常の発生を抑えることができる。しかも、結露検知処理の実行時に電極40間に印加する電圧が低くなる分だけ、結露検知処理を実行する際に消費される電力を抑えることもできる。また、結露が発生していないことが検知されてオイルセパレータ10が作動する際には、電極40間に印加する電圧(所定電圧V1)を高くして、オイルミストをフィルタ50に吸着させるために十分な静電気力を発生させることができる。
<変形例>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・制御処理(図5)のステップS18,S19の処理を省略するなどして、オイルセパレータ10の作動を禁止している期間において定期的に結露検知処理を実行する構成を省略してもよい。
・抵抗器67の端子間電圧Vtに基づいて結露発生の有無を検知することに限らず、抵抗器67を流れる電流を検出するとともに、その電流検出値に基づいて結露発生の有無を検知するようにしてもよい。また、ケース11の内部に水分センサを設けるとともに、同水分センサの水分検出値に基づいて結露発生の有無を検知することなども可能である。結露発生の有無を検知することができるのであれば、その検知のための構成は任意に変更することができる。
・結露が発生していると検知されたときに、オイルセパレータ10の作動のための電極40間への電圧印加を禁止することに代えて、オイルセパレータ10を作動させるべく電極40間に印加する電圧を、結露の発生時と比較して低い電圧に制限するようにしてもよい。こうした構成によれば、結露の発生が検知されたときに、電極40間に印加する電圧を低くして、短絡異常が発生し難い状況にすることができる。そのため、オイルセパレータ10内部で結露が発生した場合であっても、その結露に起因する短絡異常の発生を抑えることができる。
・オイルセパレータ10を常時作動させるとともに、同オイルセパレータ10の作動中において定期的に結露検知処理を実行するようにしてもよい。そして、結露が発生していることが検知されたときに、オイルセパレータ10の作動のための電極40間への電圧印加を禁止したり、オイルセパレータ10を作動させるべく電極40間に印加する電圧を結露の発生時と比較して低い電圧に制限したりしてもよい。
10…オイルセパレータ、11…ケース、20…ケース本体、21…側壁、22…底壁、23…ガス流入口、24…ガス流出口、25…オイル排出口、30…リッド、40…電極、50…フィルタ、60…電圧発生装置、61…電源、62…トランス、63…一次コイル、64…電界効果トランジスタ(FET)、65…二次コイル、66…ダイオード、67…抵抗器、68…コンデンサ、69…駆動回路、70…検知回路、71…電子制御装置、72…運転スイッチ、80…電圧発生装置、81,82,83…抵抗器、84…スイッチ、85…グランド。

Claims (6)

  1. 複数の電極と、電気絶縁材料によって形成されるとともに前記複数の電極間に介設されたフィルタとを有し、前記複数の電極間に電圧が印加されている状態で内燃機関のブローバイガスを前記フィルタに通過させることにより、ブローバイガスに含まれるオイルミストを静電吸着力により分離するオイルセパレータに適用される制御装置であって、
    前記オイルセパレータの内部での結露の発生の有無を検知する検知部と、
    前記検知部によって結露の発生が検知されたときに、前記複数の電極間に印加する電圧を制限する制御部と
    を備えるオイルセパレータの制御装置。
  2. 請求項1に記載のオイルセパレータの制御装置において、
    前記複数の電極と直列に電流検出用の抵抗器が接続されており、
    前記検知部は、前記電極間に電圧が印加されている状態での前記抵抗器の端子間電圧が所定の閾値以上である場合に、前記結露が発生していることを検知する
    ことを特徴とするオイルセパレータの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のオイルセパレータの制御装置において、
    前記制御部は、前記検知部によって結露の発生が検知されたときに、前記オイルセパレータの作動のための前記電極間への電圧の印加を禁止する
    ことを特徴とするオイルセパレータの制御装置。
  4. 請求項3に記載のオイルセパレータの制御装置において、
    前記検知部は、前記内燃機関の始動時に前記結露の発生の有無の検知を実行し、
    前記制御部は、前記オイルセパレータの作動のための前記電極間への電圧の印加を、前記検知部によって前記結露が発生していると検知されたときには禁止する一方、前記検知部によって前記結露が発生していないと検知されるときには許可する
    ことを特徴とするオイルセパレータの制御装置。
  5. 請求項4に記載のオイルセパレータにおいて、
    前記検知部は、前記制御部によって前記電極間への電圧の印加を禁止している期間において、定期的に前記結露の発生の検知を実行し、
    前記制御部は、前記期間において前記検知部によって前記結露が発生していないと検知されたときには前記オイルセパレータの作動のための前記電極間への電圧の印加を許可する
    ことを特徴とするオイルセパレータの制御装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のオイルセパレータの制御装置において、
    前記複数の電極と直列に電流検出用の抵抗器が接続されており、
    前記検知部は、前記電極間に電圧が印加されている状態での前記抵抗器の端子間電圧が所定の閾値以上である場合に、前記結露が発生していることを検知するものであり、
    前記結露の発生の有無の検知時において前記電極間に印加する電圧は、前記オイルセパレータの作動時において前記電極間に印加する電圧よりも低い
    ことを特徴とするオイルセパレータの制御装置。
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