JP2018058437A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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俊宏 三木
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Abstract

【課題】グリップ持続性能に優れる空気入りタイヤの提供。【解決手段】このタイヤは、第一架橋ゴムからなる第一層と、第二架橋ゴムからなり第一層の半径方向内側に位置する第二層とを含むトレッドを備えている。第二架橋ゴムの硬度は、第一架橋ゴムの硬度より大きい。このタイヤでは、軸方向及び半径方向に沿った断面において、第一層と第二層との境界をなす界面が、少なくとも2種類の形状に形成されている。好ましくは、この界面の形状は、タイヤ軸方向に連続する山なり形状又はジグザグ形状である。好ましくは、この界面の形状を構成する最小単位の幅wは、トレッド幅WTの2.0%以上5.0%以下である。赤道面を含む中央領域の界面と、車両装着時にこの中央領域の車両幅方向内側に位置する内側領域の界面と、この中央領域の車両幅方向外側に位置する外側領域の界面とが、それぞれ異なる形状に形成されたタイヤが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、レースのための空気入りタイヤに関する。
レース中の車両は、高速での直進・旋回走行に併せて急加速・急制動を繰り返す。レース用車両に装着される空気入りタイヤには、優れたグリップ性能が求められる。車両走行中、タイヤ表面をなすトレッドが路面と接触する。トレッドの接地面積がタイヤのグリップ性能に寄与する。トレッド面に溝を設けずに接地面積を増加したスリックタイヤが、レース用タイヤとして使用される。
レース走行中、タイヤには、頻繁に大きな荷重が負荷される。これにより、タイヤは変形と復元とを繰り返す。この変形と復元とによってトレッドをなす架橋ゴムが発熱し、タイヤの温度が上昇する。温度の上昇にしたがって、架橋ゴムの硬度は低下する。
一般に、軟質な架橋ゴムからなるトレッドを備えたタイヤは、グリップ性能に優れる。レース走行中、このタイヤの温度が上昇すると、トレッドをなす架橋ゴムの硬度が過度に低下する。このタイヤでは、レース走行中に必要なトレッド剛性が得られない。さらに、軟質な架橋ゴムからなるトレッドは、レース走行中に摩耗する。摩耗によりトレッドの接地面積が減少する。接地面積が減少したタイヤは、グリップ性能に劣る。このタイヤのグリップ性能は、走行中に低下するおそれがある。
一方、硬質な架橋ゴムからなるトレッドは、耐摩耗性に優れるが、低温時のグリップ性能が低い。このトレッドを備えたタイヤでは、走行によりトレッドが十分に昇温して架橋ゴムが軟質化するまで、必要なグリップ性能が発揮されないという問題がある。
トレッド温度が低い走行初期のグリップ性能と走行中のトレッド剛性とを両立するために、軟質ゴム層及び硬質ゴム層の二層構造からなるトレッドを備えたタイヤが提案されている。特開平1−278804号公報では、積層した軟質ゴム層と硬質ゴム層との境界をなす界面の形状を変更して、走行中の摩耗によるタイヤ特性の急激な変動を抑制する検討がなされている。
特開平1−278804号公報
レース走行中にタイヤが受ける荷重の状態は、走行条件、コースレイアウト、車両セット等によって異なる。例えば、タイヤが、ネガティブキャンバーを有するレース用車両に装着された場合、直進走行時、トレッドの車両幅方向内側により大きな荷重が負荷される。このタイヤの接地圧は、トレッド面の車両幅方向内側の領域において高く、車両幅方向外側の領域において低い。このタイヤのトレッド面には、接地圧分布の偏りが生ずる。
高い接地圧は摩耗を促進する。ネガティブキャンバーを有する車両に装着されたタイヤでは、トレッド面の、車両幅方向内側領域の摩耗速度が、車両幅方向外側領域の摩耗速度よりも大きい。このタイヤには、車両幅方向において摩耗量が不均一となる所謂偏摩耗が生じる。摩耗量が大きい領域では、接地面積が減少して、グリップ性能が低下する。このタイヤのグリップ性能は、走行中の偏摩耗により、低下する。偏摩耗を生じるタイヤでは、レース走行初期から終盤まで、グリップ性能を維持することができない。
特開平1−278804号公報に開示されたタイヤでは、トレッドを構成する2層の境界に、車両幅方向において均一な形状の界面が形成されている。このタイヤでは、車両幅方向において生じる偏摩耗を抑制することができない。このタイヤのグリップ性能は、レース走行中に低下するおそれがある。特開平1−278804号公報に開示されたタイヤの耐偏摩耗性能及びグリップ持続性能は、十分に満足できるものではない。
本発明の目的は、耐偏摩耗性能を改善して、レース走行初期から終盤まで、優れたグリップ性能を発揮することができる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、第一架橋ゴムからなる第一層と、第二架橋ゴムからなり第一層の半径方向内側に位置する第二層とを含むトレッドを備えている。第二架橋ゴムの硬度は、第一架橋ゴムの硬度より大きい。このタイヤでは、タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、第一層と第二層との境界をなす界面は、少なくとも2種類の形状に形成されている。
好ましくは、第一層と第二層との境界をなす界面の形状は、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状及びタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状からなる群から選択される。
好ましくは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状及びタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状の、少なくとも一つを構成する最小単位の軸方向最大幅wは、トレッドの幅WTの2%以上5%以下である。
好ましくは、タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、第一層と第二層との境界をなす界面を、タイヤ赤道面を含む中央領域と、車両装着時にこの中央領域の車両幅方向内側に位置する内側領域と、この中央領域の車両幅方向外側に位置する外側領域とに区分するとき、内側領域の界面と、中央領域の界面と、外側領域の界面とは、それぞれ異なる形状に形成されている。
好ましくは、このタイヤでは、内側領域の界面は、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状に形成されており、中央領域の界面は、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状に形成されており、外側領域の界面は、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状に形成されている。
本発明に係る空気入りタイヤでは、走行時にトレッド面上に形成される接地圧分布の偏りに応じて、軟質な架橋ゴムからなる第一層と硬質な架橋ゴムからなる第二層との境界をなす界面の形状を設定することができる。このタイヤでは、第一層の摩耗速度及び第二層の露出速度が適正である。このタイヤでは、走行による偏摩耗が抑制される。このタイヤは、グリップ持続性能に優れている。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤが示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのトレッドの内側領域(2a)、外側領域(2b)及び中央領域(2c)の構成を説明するための模式図である。 図3は、比較例1のタイヤのトレッドの構成を説明するための模式図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2が示されている。このタイヤ2は、レース用の四輪自動車に装着される。好ましくは、このタイヤ2は、ネガティブキャンバーを有するレース用車両に装着される。このタイヤ2が、レース用以外の四輪自動車に装着されてもよい。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。タイヤ2の赤道面が、一点鎖線CLで示されている。図1は、タイヤ軸方向及び半径方向に沿ったタイヤ2の断面図である。図1は、赤道面CLに垂直な断面におけるタイヤ2の断面図でもある。
図1において、二点鎖線Bは、このタイヤ2が装着される車両のボディを表している。この図1において、左右方向は車両の幅方向でもある。図1に示された(IN)は車両幅方向内側(以下、車両内側と称する)であり、(OUT)は車両幅方向外側(以下、車両外側と称する)である。
図示される通り、このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16及び一対のチェーファー18を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
トレッド4は架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。このトレッド面24には、溝は刻まれていない。このタイヤ2は、スリックタイヤである。このトレッド面24に溝が刻まれていてもよい。図示されないが、このタイヤ2のトレッド4は、その外面がトレッド面24をなす第一層42と、この第一層42の半径方向内側に位置する第二層44とを含んでいる。本発明の目的が達成される限り、トレッド4が更に別の層を備えてもよい。なお、トレッド4の詳細については後述する。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド面24の両端38から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、カーカス10よりも軸方向外側に位置している。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
ビード8は、半径方向においてサイドウォール6よりも内側に位置している。ビード8は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。コア26は、リング状である。コア26は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス28は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス28は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、第一カーカスプライ30及び第二カーカスプライ32からなる。第一カーカスプライ30及び第二カーカスプライ32は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。第一カーカスプライ30は、コア26の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一カーカスプライ30には、主部30aと折り返し部30bとが形成されている。第二カーカスプライ32は、コア26の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第二カーカスプライ32には、主部32aと折り返し部32bとが形成されている。このタイヤ2では、第一カーカスプライ30の折り返し部30bの端は、半径方向において、第二カーカスプライ32の折り返し部32bの端よりも外側に位置している。
第一カーカスプライ30及び第二カーカスプライ32のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス10が、1枚のカーカスプライから形成されてもよい。このカーカス10が3枚以上のカーカスプライから形成されてもよい。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、カーカス10に積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層34及び外側層36からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層34の幅は外側層36の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層34及び外側層36のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層34のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層36のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト12の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト12が、3以上の層を備えてもよい。
バンド14は、ベルト12の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド14の幅はベルト12の幅と略同等である。図示されていないが、このバンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト12が拘束されるので、ベルト12のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12及びバンド14は、補強層を構成している。ベルト12のみから、補強層が構成されてもよい。バンド14のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー16は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー16は、カーカス10の内面に接合されている。インナーライナー16は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー16の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー16は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー18は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー18がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。このチェーファー18は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。
図1に示された両矢印WTは、トレッド4の幅である。このトレッド幅WTは、図1の断面において、タイヤ軸方向における一方のトレッド端38から他方のトレッド端38までの長さとして計測される。本明細書において、トレッド面24の、車両外側の端38を外側端38oと称し、車両内側の端38を内側端38iと称する場合がある。換言すれば、トレッド幅WTは、トレッド面24に沿って計測される外側端38oから内側端38iまでの長さである。
この実施形態に係るタイヤでは、トレッド4が、赤道面CLを挟んで、この赤道面CLと略平行に周方向に延びる2本の境界線によって、三の領域に区分される。図1において、赤道面CLを含む中央領域が符号Rcとして示されている。車両装着時に、中央領域Rcの車両幅方向内側に位置する内側領域が、符号Riとして示されている。内側領域Riは、中央領域Rcの軸方向外側に隣接してトレッド面24の内側端38iを含む領域である。車両装着時に、中央領域Rcの車両幅方向外側に位置する外側領域が、符号Roとして示されている。外側領域Roは、中央領域Rcの軸方向外側に隣接してトレッド面24の外側端38oを含む領域である。図示される通り、このタイヤ2のトレッド4は、車両内側から車両外側に向かって、順に、内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roに略三等分されている。これにより、トレッド4に含まれる第一層42と第二層44との境界をなす界面50が、内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roに区分される。
図2の(2a)−(2c)には、図1のタイヤ2のトレッド4の各領域の構成が模式的に示されている。(2a)−(2c)は、いずれも、タイヤ軸方向及び半径方向に沿ったタイヤ2の部分断面図である。即ち、(2a)−(2c)において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ2の周方向である。この(2a)−(2c)において、左右方向は、このタイヤ2が車両に装着されたときの、車両幅方向でもある。
図2の(2a)には、内側領域Riに位置するトレッド4の一部が示されている。図示される通り、このトレッド4は、その外面がトレッド面24iをなす第一層42iと、この第一層42iの半径方向内側に位置する第二層44iとから構成されている。第一層42iは、第二層44iに積層されている。この内側領域Riにおいて、第一層42iと第二層44iとの境界をなす界面50iは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状に形成されている。
図2の(2b)には、外側領域Roに位置するトレッド4の一部が示されている。図示される通り、このトレッド4は、その外面がトレッド面24oをなす第一層42oと、この第一層42oの半径方向内側に位置する第二層44oとから構成されている。第一層42oは、第二層44oに積層されている。この外側領域Roにおいて、第一層42oと第二層44oとの境界をなす界面50oは、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状に形成されている。
図2の(2c)には、中央領域Rcに位置するトレッド4の一部が示されている。図示される通り、このトレッド4は、その外面がトレッド面24cをなす第一層42cと、この第一層42cの半径方向内側に位置する第二層44cとから構成されている。第一層42cは、第二層44cに積層されている。この中央領域Rcにおいて、第一層42cと第二層44cとの境界をなす界面50cは、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状に形成されている。
このタイヤ2において、第一層42は、第一架橋ゴムからなる。このタイヤ2が装着された車両が走行するとき、先ず、トレッド面24をなす第一層42が路面と接触する。この第一層42は、タイヤ2のグリップ性能に寄与する。軟質な第一架橋ゴムからなる第一層42が好ましい。軟質な架橋ゴムからなる第一層42によって、特に、走行初期のグリップ性能が向上する。
このタイヤ2が装着された車両が長時間を走行することにより、トレッド面24をなす第一層42が摩耗する。これにより、第二層44がタイヤ2の表面に露出する。このタイヤ2において、第二層44は、第一層よりも硬質な第二架橋ゴムからなる。硬質な第二架橋ゴムからなる第二層44がタイヤ2の表面に露出することにより、トレッド剛性が高くなり、耐摩耗性が向上する。
このタイヤ2が、ネガティブキャンバーを有する車両に装着された場合、走行時に、トレッド4の車両内側に大きな荷重が負荷される。このタイヤ2では、トレッド面24の内側領域Riにおける接地圧が特に高く、外側領域Roにおける接地圧が低い。
接地圧が特に高い内側領域Riにおける摩耗速度は、中央領域Rc及び外側領域Roよりもかなり大きい。さらに、このタイヤ2では、内側領域Riにおいて、第一層42iと第二層44iとの界面50iが、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状をなしている。大きな摩耗速度と界面50iの形状とによって、内側領域Riでは、他の領域よりも早期かつ広範囲に、硬質な架橋ゴムからなる第二層44iがタイヤ2の表面に露出する。早期かつ広範囲にタイヤ表面に露出した第二層44iにより、この内側領域Riでは、接地圧が高いにも関わらず、トレッド4の摩耗が抑制される。
接地圧が低い外側領域Roでは、走行時、トレッド4が大きくは変形しない。この外側領域Roに含まれる架橋ゴムの、走行時の変形に起因する発熱量は、中央領域Rc及び内側領域Riよりも小さい。この外側領域Roでは、架橋ゴムの昇温速度が小さい。一方、接地圧が低い外側領域Roにおける摩耗速度は、中央領域Rc及び内側領域Riよりも小さい。さらに、このタイヤ2では、外側領域Roにおいて、第一層42oと第二層44oとの界面50oが、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状をなしている。小さな摩耗速度と界面50oの形状とに起因して、外側領域Roに含まれる第二層44oがタイヤ2の表面に露出する速度が小さくなる。これにより、この外側領域Roでは、硬質な架橋ゴムからなる第二層44oが、十分に昇温した状態で、タイヤ2の表面に露出する。十分に昇温した第二層44oにより、走行中のグリップ性能が維持される。
このタイヤ2の中央領域Rcにおける接地圧は、内側領域Riより低く、外側領域Roより高い。この中央領域Rcにおける摩耗速度は、内側領域Riよりも大きく、外側領域Roよりも小さい。このタイヤ2では、中央領域Rcにおいて、第一層42cと第二層44cとの界面50cが、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状をなしている。この中央領域Rcにおいて、第二層44cがタイヤ2の表面に露出する速度は、内側領域Riより小さく、外側領域Roより大きい。この中央領域Rcにおける界面50cの形状は、第一層42の摩耗速度及び第二層44の露出速度の、トレッド4の車両幅方向における急激な変動の緩和に寄与する。
以上述べた通り、このタイヤ2では、内側領域Riにおける界面50iの形状が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状であり、中央領域Rcにおける界面50cの形状が、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状であり、外側領域Roにおける界面50oの形状が、タイヤ軸方向内向きに凸の山なり形状である。このタイヤ2では、ネガティブキャンバーを有する車両に装着されて走行するときに生じる接地圧分布の偏りに応じて、内側領域Riの界面50iと、中央領域Rcの界面50cと、外側領域Roの界面50oとが、それぞれ異なる形状に形成されている。このタイヤ2の各領域における界面50i、50c、50oの形状は適正である。このタイヤ2において、第二層44i、44c、44oがタイヤ表面に露出する速度は適正である。このタイヤ2では、トレッド4の車両幅方向における摩耗速度が略均一化され、偏摩耗が抑制される。このタイヤ2によれば、走行中の偏摩耗に基づくグリップ性能の低下が回避される。このタイヤ2によれば、レース走行初期から終盤まで、優れたグリップ性能が発揮される。
タイヤ2において、トレッド4を内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roに区分する2本の境界線の位置は、特に限定されない。このタイヤ2が装着される車両の種類、走行条件等により生じうる接地圧分布の偏りに応じて、適宜設定される。偏摩耗抑制及びグリップ性の観点から、好ましくは、トレッド面24の全表面積に対して各領域の占める割合が、それぞれ、10%以上50%以下となるように、各境界線の位置が選択される。より好ましい割合は、20%以上40%以下である。
本発明において、トレッド4を区分する境界線の数は、特に限定されず、少なくとも1本の境界線により、トレッド4が二の領域に区分されてもよい。接地圧分布の偏りに起因する偏摩耗の抑制が容易であるとの観点から、好ましい境界線の数は、2本以上である。製造容易との観点から、好ましい境界線の数は、5本以下である。
図2の(2a)に示された両矢印wは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状を構成する最小単位の軸方向最大幅である。(2b)に示された両矢印wは、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状を構成する最小単位の軸方向最大幅である。(2c)に示された両矢印wは、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状を構成する最小単位の軸方向最大幅である。
このタイヤ2では、各領域の界面の形状を構成する最小単位の幅wによって、第二層44のタイヤ表面への露出量が調整される。耐偏摩耗性能の観点から、好ましくは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状及び半径方向内向きに凸の山なり形状並びにタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状の、少なくとも一つを構成する最小単位の幅wが、トレッド幅WTの2.0%以上であり、より好ましくは、2.5%以上である。グリップ持続性能の観点から、この幅wは、トレッド幅WTの5.0%以下が好ましく、4.5%以下がより好ましい。
本明細書において、最小単位の幅wは、タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面にて計測される。内側領域Riの界面と、中央領域Rcの界面と、外側領域Roの界面とが、同じ幅wの最小単位からなる形状に形成されてもよく、それぞれ異なる幅wの最小単位からなる形状に形成されてもよい。偏摩耗抑制の観点から、各領域の界面の形状を構成する最小単位の幅wが同じであることが好ましい。
図2の(2a)−(2c)に示された両矢印dmaxは、第一層42の厚みの最大値であり、両矢印dminは、第一層42の厚みの最小値である。この厚みdmax及び厚みdminは、タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、トレッド面上の任意の点における接平面に垂直な直線(法線)に沿って計測される。
図2の(2a)に示された両矢印hは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状を構成する最小単位の半径方向最大高さである。(2b)に示された両矢印hは、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状を構成する最小単位の半径方向最大高さである。(2c)に示された両矢印hは、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状を構成する最小単位の半径方向最大高さである。本明細書において、それぞれの高さhは、厚みdmaxと厚みdminとの差(dmax−dmin)として表される。
このタイヤ2では、各領域の界面の形状を構成する最小単位の高さhによって、走行中、第二層44がタイヤ2の表面に露出する速度が調整される。偏摩耗抑制の観点から、好ましくは、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状及び半径方向内向きに凸の山なり形状並びにタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状の、少なくとも一つを構成する最小単位の高さhが、第一層42の最大厚みdmaxの50%以上であり、より好ましくは、55%以上である。グリップ性能の観点から、この高さhは、厚みdmaxの90%以下が好ましい。内側領域Riの界面と、中央領域Rcの界面と、外側領域Roの界面とが、同じ高さhの最小単位からなる形状に形成されてもよく、それぞれ異なる高さhの最小単位からなる形状に形成されてもよい。偏摩耗抑制の観点から、各領域の界面の形状を構成する最小単位の高さhが同じであることが好ましい。
図2の(2a)−(2c)に示された両矢印DTはトレッド4の厚みである。この厚みDTは、タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、トレッド面上の任意の点における接平面に垂直な直線(法線)に沿って測定される。耐偏摩耗性能及びグリップ持続性能の観点から、トレッドの厚みDTは、2.0mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましい。軽量化の観点から、好ましい厚みDTは、5.0mm以下である。内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roのそれぞれにおける厚みDTは、同じであってもよく、異なっていてもよいが、偏摩耗抑制の観点から、全領域において略均一な厚みDTを有するトレッド4が好ましい。
走行初期におけるグリップ性能の観点から、第一層42の最大厚みdmaxは、トレッドの厚みDTの40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。偏摩耗抑制の観点から、好ましい厚みdmaxは、厚みDTの60%以下である。
走行初期におけるグリップ性能の観点から、第一層42の最小厚みdmminは、トレッドの厚みDTの10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。偏摩耗抑制の観点から、好ましい厚みdminは、厚みDTの30%以下である。
このタイヤ2において、第一層42は、第一架橋ゴムからなり、第二層44は、第二架橋ゴムからなる。前述した通り、第二架橋ゴムの硬度H2は、第一架橋ゴムの硬度H1より大きい。耐偏摩耗性能及びグリップ持続性能の観点から、硬度H2と硬度H1との差(H2−H1)は、3以上が好ましく、5以上がより好ましい。耐久性の観点から、差(H2−H1)は、20以下が好ましい。なお、本明細書において、硬度H1及び硬度H2は、JIS K6253の規定に準拠して、タイプAデュロメータを用いて25℃で測定されるJIS−A硬度として定義される。
走行初期のグリップ性能の観点から、第一架橋ゴムの硬度H1は、55以下が好ましく、50以下がより好ましい。耐摩耗性の観点から、硬度H1は、30以上が好ましく、35以上がより好ましい。内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roに含まれる第一架橋ゴムの硬度H1が、同じであってもよく、異なっていてもよい。
耐摩耗性の観点から、第二架橋ゴムの硬度H2は、50以上が好ましく、55以上がより好ましい。グリップ持続性能の観点から、硬度H2は、65以下が好ましく、60以下がより好ましい。内側領域Ri、中央領域Rc及び外側領域Roに含まれる第二架橋ゴムの硬度H2が、同じであってもよく、異なっていてもよい。
第一架橋ゴム及び第二架橋ゴムは、それぞれ、ゴム組成物が架橋されることにより得られる。本発明において、ゴム組成物の配合は特に限定されず、従来既知のトレッドゴム用の配合が適宜変更されて用いられうる。好ましくは、第一架橋ゴムと第二架橋ゴムとは、それぞれ配合が異なるゴム組成物が架橋されることにより得られる。
本発明の目的が達成される限り、内側領域Riに含まれる第一架橋ゴムと、中央領域Rcに含まれる第一架橋ゴムと、外側領域Roに含まれる第一架橋ゴムとが、同じ配合のゴム組成物から得られてもよく、それぞれ異なる配合のゴム組成物から得られてもよい。内側領域Riに含まれる第二架橋ゴムと、中央領域Rcに含まれる第二架橋ゴムと、外側領域Roに含まれる第二架橋ゴムとが、同じ配合のゴム組成物から得られてもよく、異なる配合のゴム組成物から得られてもよい。
本発明の他の実施形態に係るタイヤの一例として、ポジティブキャンバーを有する車両に装着されるタイヤが挙げられる。この実施形態では、図1に示される基本構成を備えた空気入りタイヤにおいて、トレッドの内側領域における界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状をなしており、中央領域における界面が、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状をなしており、外側領域における界面が、タイヤ軸方向外向きに凸の山なり形状をなしている。即ち、この実施形態に係るタイヤの内側領域には、図2の(2b)に示される形状の界面が形成されており、中央領域には、図2の(2c)に示される形状の界面が形成されており、外側領域には、図2の(2a)に示される形状の界面が形成されている。
このタイヤが、ポジティブキャンバーを有する車両に装着された場合、走行時に、トレッドの車両外側に大きな荷重が負荷される。このタイヤでは、トレッド面の外側領域における接地圧が特に高く、内側領域における接地圧が低い。
この実施形態では、接地圧の特に高い外側領域における摩耗速度が、中央領域及び内側領域よりもかなり大きい。さらに、この実施形態に係るタイヤでは、外側領域において、第一層と第二層との界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状をなしている。大きな摩耗速度と界面の形状とによって、外側領域では、他の領域よりも早期かつ広範囲に、硬質な架橋ゴムからなる第二層がタイヤ表面に露出する。これにより、この外側領域では、接地圧が高いにも関わらず、トレッドの摩耗が抑制される。
この実施形態において、接地圧の低い内側領域では、トレッドが大きくは変形しない。この内側領域に含まれる架橋ゴムの、走行時の変形に起因する発熱量は、中央領域及び外側領域よりも小さい。この内側領域では、架橋ゴムの昇温速度が小さい。一方、接地圧の低い内側領域における摩耗速度は、中央領域及び外側領域よりも小さい。さらに、この実施形態に係るタイヤでは、内側領域において、第一層と第二層との界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状をなしている。小さな摩耗速度と界面の形状とに起因して、内側領域に含まれる第二層がタイヤ表面に露出する速度が小さくなる。これにより、この内側領域では、硬質な架橋ゴムからなる第二層が、十分に昇温した状態で、タイヤ表面に露出する。十分に昇温した第二層により、走行中のグリップ性能が維持される。
この実施形態に係るタイヤの中央領域における接地圧は、外側領域より低く、内側領域より高い。この中央領域における摩耗速度は、外側領域よりも大きく、内側領域よりも小さい。この実施形態では、中央領域において、第一層と第二層との界面が、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状をなしている。この中央領域において、第二層がタイヤ表面に露出する速度は、外側領域よりも小さく、内側領域より大きい。この中央領域の界面形状は、第一層の摩耗速度及び第二層の露出速度の、トレッドの車両幅方向における急激な変動の緩和に寄与する。
この実施形態に係るタイヤでは、ポジティブキャンバーを有する車両に装着されて走行するときに生じる接地圧分布の偏りに応じて、内側領域の界面と、中央領域の界面と、外側領域の界面とが、それぞれ異なる形状に形成されている。このタイヤの各領域における界面の形状は適正である。このタイヤにおいて、第二層がタイヤ表面に露出する速度は適正である。このタイヤによれば、走行中の偏摩耗が抑制され、レース走行初期から終盤まで、優れたグリップ性能が発揮される。
以上、キャンバー角を有する車両への装着に適した二の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲内で種々の変更を加えることができる。即ち、本発明に係るタイヤでは、キャンバー角の有無に関わらず、走行時に生じる接地圧分布の偏りに応じて、軟質な第一架橋ゴムからなる第一層と、硬質な第二架橋ゴムからなる第二層との境界に、適正に選択された少なくとも2種類の形状の界面を形成することにより、第一層の摩耗速度及び第二層の露出速度が適正に調整される。このタイヤは、耐偏摩耗性能及びグリップ持続性能に優れている。
本発明において、第一層と第二層との境界に形成される界面の形状は、接地圧分布の偏りに起因する偏摩耗を抑制できる形状であればよく、特に限定されるものではない。第一層の摩耗速度及び第二層の露出速度の調整の観点から、好ましくは、第一と上記第二層との境界をなす界面の形状が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状及びタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状からなる群から選択される。より好ましくは、接地圧が高い領域の界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状に形成され、接地圧が低い領域の界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状に形成され、接地圧が高い領域と接地圧が低い領域とに挟まれた領域の界面が、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状に形成される。本発明の効果が阻害されない限り、第一層と第二層との境界をなす界面が他の形状に形成されてもよい。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、特に限定されず、既知の製造方法が利用されうる。例えば、配合の異なる2種類のゴム組成物を準備し、第一層及び第二層を、その界面形状が所定の形状となるように設計されたダイプレートを有する押出装置を用いて共押出加工した後、他のタイヤ部材と併せて、タイヤ成形機で成形して未加硫タイヤとし、この未加硫タイヤを加硫機中で加圧及び加熱することにより、本発明に係る空気入りタイヤが得られる。
本発明では、特に言及された場合を除き、タイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤが正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤに空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤには荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤの場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。本明細書において正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。なお、下記表1−3において、界面の形状として示された(2a)−(2c)は、それぞれ、図2の(2a)−(2c)を意味する。下記表2に示された(3)は、図3を意味する。
[実施例1]
図1の基本構成を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:255/40R18)を製造した。このタイヤのトレッドは、第一架橋ゴムからなる第一層と、第二架橋ゴムからなる第二層とを含んでいる。第二架橋ゴムの硬度は、第一架橋ゴムの硬度より大きい。実施例1のタイヤでは、第一層と第二層との境界をなす界面が、トレッド幅WTを略三等分した位置で、内側領域、中央領域及び外側領域に区分される。内側領域の界面は、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状に形成されており、下記表1に(2c)として示されている。中央領域の界面は、タイヤ軸方向に連続する半径外向きに凸の山なり形状に形成されており、下記表1に(2a)として示されている。外側領域の界面は、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状に形成されており、下記表1に(2b)として示されている。各領域の界面の形状を構成する最小単位の幅w及び高さhは、全て同じである。最小単位の高さhは、第一層の最大厚みdmaxの50%である。厚みdmaxは、トレッドの厚みDTの40%である。最小単位の幅wのトレッド幅WTに対する比率が、w/WT(%)として、下記表1に示されている。
[比較例1]
内側領域、中央領域及び外側領域の界面を、全て、図3に模式的に示される形状に形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを製造した。図3は、比較例1のタイヤの軸方向及び半径方向に沿った部分断面図である。図3において、上下方向がタイヤの半径方向であり、左右方向がタイヤの軸方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤの周方向である。比較例1のタイヤの軸方向及び半径方向に沿った断面において、第一層と第二層との界面の形状は直線状である。この界面の形状が、下記表2に(3)として示されている。
[実施例2−6及び比較例2−4]
内側領域、中央領域及び外側領域の界面を、それぞれ、下記表1−2に示される形状に形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2−6及び比較例2−4のタイヤを製造した。
[実施例7−8及び比較例5−6]
内側領域、中央領域及び外側領域の界面の形状と、その最小単位の幅(w/WT(%))とを、それぞれ、下記表2−3に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして、実施例7−8及び比較例5−6のタイヤを製造した。
[耐偏摩耗性能]
実施例1−8及び比較例1−6の試作タイヤを、それぞれ4本ずつ準備した。これらのタイヤを標準リム(18×9.0J)に装着して、内圧が180kPaとなるように空気を充填した後、ネガティブキャンバー(キャンバー角CA=−3°)を有して、インサイドドラム試験機に装着した。平均速度80km/hで、走行距離が2000kmに到達するまでドラム上を走行させた後、目視によりトレッド面の摩耗状態を観察して、耐偏摩耗性能を評価した。比較例1を評点5として、10点法で相対評価した結果が、下記表1−3に示されている。数値が大きいほど評価が高い。
[グリップ持続性能]
実施例1−8及び比較例1−6の試作タイヤを、それぞれ4本ずつ準備した。これらのタイヤを標準リム(18×9.0J)に装着した後、内圧が180kPaとなるように空気を充填して、排気量が2000ccである四輪駆動車に、ネガティブキャンバー(キャンバー角CA=−3°)を有して装着した。この四輪駆動車を、サーキットで走行させて、グリップ持続性能についてドライバーによる官能評価をおこなった。走行時の最高速度は180km/hであった。サーキット(4.4km/周)の周回数は10周とした。比較例1を評点5として、10点法で相対評価した結果が、下記表1−3に示されている。数値が大きいほど評価が高い。
Figure 2018058437
Figure 2018058437
Figure 2018058437
表1−3に示されるように、比較例のタイヤよりも評価が高い実施例のタイヤが得られた。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、レース用車両を含む種々の車両に装着される。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・バンド
16・・・インナーライナー
18・・・チェーファー
24、24i、24c、24o・・・トレッド面
26・・・コア
28・・・エイペックス
30、30a、30b・・・第一カーカスプライ
32、32a、32b・・・第二カーカスプライ
34・・・(ベルトの)内側層
36・・・(ベルトの)外側層
38、38i、38o・・・トレッド面24の端
42、42i、42c、42o・・・第一層
44、44i、44c、44o・・・第二層
50、50i、50c、50o・・・第一層と第二層との界面

Claims (5)

  1. 第一架橋ゴムからなる第一層と、第二架橋ゴムからなり上記第一層の半径方向内側に位置する第二層とを含むトレッドを備えており、
    上記第二架橋ゴムの硬度が、上記第一架橋ゴムの硬度よりも大きく、
    タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、上記第一層と上記第二層との境界をなす界面が、少なくとも2種類の形状に形成されている空気入りタイヤ。
  2. 上記第一層と上記第二層との境界をなす界面の形状が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状及びタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状からなる群から選択される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状及びタイヤ軸方向に連続するジグザグ形状の、少なくとも一つを構成する最小単位の軸方向最大幅wが、上記トレッドの幅WTの2.0%以上5.0%以下である請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ軸方向及び半径方向に沿った断面において、上記第一層と上記第二層との境界をなす界面を、タイヤ赤道面を含む中央領域と、車両装着時にこの中央領域の車両幅方向内側に位置する内側領域と、この中央領域の車両幅方向外側に位置する外側領域とに区分するとき、
    上記内側領域の界面と、上記中央領域の界面と、上記外側領域の界面とが、それぞれ、異なる形状に形成されている請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記内側領域の界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向外向きに凸の山なり形状に形成されており、上記中央領域の界面が、タイヤ軸方向に連続するジグザグ形状に形成されており、上記外側領域の界面が、タイヤ軸方向に連続する半径方向内向きに凸の山なり形状に形成されている請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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