JP2018057565A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】針板13の上面から上方に出没し、規定の送り方向に沿って移動する送り歯31により被縫製物を送る送り機構30と、針板の上面の被縫製物Cを上から押さえる押さえ足20と、送り方向に沿った当接面を有する被縫製物の送りガイド22とを備えるミシン10において、送り機構は、針板の上面に沿った方向であって、規定の送り方向に直交する方向への移動成分を送り歯に加える横送り機構34を有し、規定の送り方向に沿った送りに加えて、横送り機構による送りガイドの当接面側への移動成分を加えて被縫製物を送るように、送り機構を制御する制御装置90を備えている。
【選択図】図5
Description
このため、従来のミシンは、被縫製物を上から押さえる押さえ足に被縫製物の側縁部を当接させる送りガイドを装備していた。
縫製の際には、送りガイドに沿って被縫製物を送ることで、被縫製物の側縁部に沿って一定の距離を維持しながら安定的に縫製することを可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
また、作業者の負担も大きくなるという問題もあった。
針板の上面から上方に出没し、規定の送り方向に沿って移動する送り歯により被縫製物を送る送り機構と、
前記針板の上面の被縫製物を上から押さえる押さえ足と、
前記送り方向に沿った当接面を有する被縫製物の送りガイドとを備えるミシンにおいて、
前記送り機構は、前記針板の上面に沿った方向であって、前記規定の送り方向に直交する方向への移動成分を前記送り歯に加える横送り機構を有し、
前記規定の送り方向に沿った送りに加えて、前記横送り機構による前記送りガイドの当接面側への移動成分を加えて前記被縫製物を送るように、前記送り機構を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
前記送りガイドは、前記押さえ足に設けられていることを特徴とする。
前記送りガイドは、前記押さえ足に対して上下方向に揺動可能に設けられており、弾性体により下方に押圧された状態で装備されていることを特徴とする。
前記押さえ足は、当該押さえ足を支持する押さえ棒に対して着脱可能であり、
前記送りガイドが設けられた押さえ足と前記送りガイドが設けられていない他の押さえ足とに交換可能であることを特徴とする。
前記制御装置は、前記送りガイドが設けられた押さえ足が前記押さえ棒に装着された場合に、前記横送り機構による前記送りガイドの当接面側への移動成分を加えて前記被縫製物を送るように、前記送り機構を制御することを特徴とする。
以下、図面を参照して、発明の実施形態であるミシン10について詳細に説明する。図1はミシン10の斜視図である。このミシン10は、水平面上に載置した状態において、その針板13の上面が水平となり、当該針板13の上面沿って被縫製物である布地の送りを行う。なお、以下の説明において針板13の上面に平行であって被縫製物の送りを行う方向をY軸方向、針板13の上面に平行であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、針板13に垂直な方向をZ軸方向とする。また、図1に示すように、X軸方向の一方を左、他方を右、Y軸方向の一方を前、他方を後、Z軸方向の一方を上、他方を下と定義する。
そして、針上下動機構、釜機構、天秤機構については周知の構造と同じなので、ここでは詳細な説明は省略する。
ミシンフレーム80は、X軸方向に沿って延在するミシンベッド部81と、ミシンベッド部81の右端部から立設された立胴部82と、立胴部82の上端部から左方に延出されたミシンアーム部83とを備えている。
図2は、送り機構30の全体構成を示す斜視図である。
ミシン10の送り機構30は、ミシンフレーム80におけるミシンベッド部81内に格納されている。
そして、送り機構30は、針板13の開口部から上方に出没する送り歯31と、送り歯31をY軸方向に沿って前後に往復移動させる前後送り機構32と、送り歯31の前後の送りピッチを調節する送り調節機構33と、送り歯31をX軸方向に沿って左右に往復移動させる横送り機構34とを備えている。
送り歯31は上部に鋸歯状の歯がY軸方向に並んで複数形成されており、その中央部には針落ちが行われる開口部が形成されている。
この送り歯31は、Y軸方向に長い板状の送り台311の中央に固定装備されている。送り台311は、前後送り機構32により、その前端部から前後方向に沿った往復動作が入力され、後端部から上下方向に沿った往復動作が入力される。
前後送り機構32は、針棒12に上下動を付与する上軸から同周期で全回転が伝達される縦送り軸321と、当該縦送り軸321に固定装備された上下送りカム322及び前後送りカム323と、前後送りカム323から往復動作が付与される前後送りロッド324と、前後送りロッド324から往復回動動作が入力される伝達軸325とを備えている。
上下送りカム322は、偏心カムであり、その外周が送り台311の後端部の底面に当接して、当該送り台311に上下方向に沿った往復動作を付与する。
なお、送り台311は、上下送りカム322の外周に常に当接状態を維持するように、図示しないバネによりその後端部が下方に押圧されている。
前後送りロッド324は、Y軸方向に沿って延在しており、その後端部には前後送りカム323から上下方向に沿った往復動作が入力される。
これにより、前後送りロッド324の前端部は、前後方向に往復移動を行うことができるようになっている。
また、この伝達軸325は、その右端部から横送り機構34によりX軸方向に沿った往復動作が入力される。このため、横送り機構34との当接状態を持するために、バネ326により右方向へ加圧されている。
入力腕327の延出端部は、X軸方向に沿ったピン327aによりX軸回りに回動可能な状態で前後送りロッド324の前端部と連結されている。
従って、入力腕327はその回動端部に前後送りロッド324から前後方向に沿った往復動作が入力され、伝達軸325に往復回動動作を伝達することができる。
これらの出力腕328の回動端部は、X軸回りに回動可能に送り台311の前端部に連結されており、各出力腕328は入力腕327と一体となって前後方向に往復動作を行い、送り台311に前後方向への往復動作を伝達する。
送り調節機構33は、前後送りロッド324に連結された連結軸331と、連結軸331に連結された角コマ332と、角コマ332を直線溝に沿って滑動可能に支持するガイド333と、ガイド333から延びる腕部333aに連結されたリンク部材334を介してガイド333の直線溝の向きを変更調節する送り調節モーター335(図4参照)とを備えている。
例えば、ガイド333の直線溝が、上下方向(Z軸方向)を向いた状態では、前後送りロッド324の後端部は、ピン327aを中心として上下方向にのみ揺動し、前後方向の往復動作成分が発生しないので、送り台311及び送り歯31には前後の往復動作が伝わらない状態、即ち、送りピッチが0の状態となる。
また、ガイド333の直線溝を上下方向に対して前側(上に進むにつれて前進する方向)に傾けると、前後送りロッド324の後端部は前斜め上となる方向に沿って往復動作し、送り台311及び送り歯31には、例えば、正送り方向の前後の往復動作が伝達される。そして、ガイド333の直線溝の前側への傾斜が大きくなるにつれて前後の往復動作のストロークが大きくなり、送りピッチを正方向に大きくすることができる。
また、ガイド333の直線溝を上下方向に対して後側(上に進むにつれて後退する方向)に傾けると、前後送りロッド324の後端部は後斜め上となる方向に往復動作し、送り台311及び送り歯31には、例えば、逆送り方向の前後の往復動作が伝達される。そして、ガイド333の直線溝の後側への傾斜が大きくなるにつれて前後の往復動作のストロークが大きくなり、送りピッチを逆方向に大きくすることができる。
横送り機構34は、針棒12に上下動を付与する上軸から同周期で全回転が伝達される横送り軸341と、当該横送り軸341に固定装備され、三つのカム342a〜342cが一体化された横送りカム342と、三つのカム342a〜342cに選択的に当接する当接腕343aを備える接触子343と、接触子343を回動可能に支持する接触子軸344と、接触子軸344の一端部に固定装備された端面カム345と、接触子343の当接腕343aが当接するカム342a〜342cの切り替え動作を付与する横送りモーター346と、横送りモーター346のトルクにより接触子343の切り替え動作を伝達する二つのリンク部材347,348とを備えている。
端面カム345は、接触子軸344の左端部に固定装備されており、カムとなる左端面が前述した伝達軸325の右端部に当接するように配置されている。このカムとなる左端面は、端面カム345が接触子軸344と共に回動することにより、X軸方向の変位が変化する形状であり、前方回動で送り台311及び送り歯31を右方に移動させることができ、後方回動で送り台311及び送り歯31を左方に移動させることができる形状となっている。
また、当接腕343aが前述した左送りカム342aに対向する位置にある場合は、当接腕343aが左送りカム342aの端面に沿って接触子軸344を中心に揺動するため、連動ピン344aを介して接触子軸344も揺動し、これにより端面カム345は中立位置から後方回動さらに前方回動を行って中立位置に戻る動作を繰り返し行う。
また、当接腕343aが前述した右送りカム342cに対向する位置にある場合は、当接腕343aが右送りカム342cの端面に沿って接触子軸344を中心に揺動するため、連動ピン344aを介して接触子軸344も揺動し、これにより端面カム345は、中立位置から前方回動さらに後方回動を行って中立位置に戻る動作を繰り返し行う。
接触子343は、連動ピン344aにより接触子軸344と共に回動を行い、長穴343bにより連動ピン344aに拘束されることなく、接触子軸344に対して接触子343のX軸方向の移動を可能とする。
また、横送りカム342の左送りカム342a及び右送りカム342cは、前後送り機構32による前後の送り動作と同期して左右の送り動作が生じる様にそのカム形状が設定されている。
図3は、押さえ足20の斜視図である。
図示のように、押さえ足20は、平面視で略矩形の押さえ板21と、布地Cの前後の送り方向に沿った当接面を有する送りガイド22とを備えている。
この押さえ足20は、ミシンアーム部83の左端部近傍において上下動可能且つ図示しないバネにより下方に押圧された押さえ棒23の下端部に対して着脱可能となっている。
また、押さえ板21の中央部には縫い針11を遊挿可能な挿通孔211が形成されており、押さえ板21の後端部から挿通孔211にかけてスリットが形成されている。
従って、押さえ板21は、連結ピン24が押さえ棒23の下端部のラッチ構造の爪に挟持されるように押し込むことで押さえ棒23に対する装着が可能であり、ラッチ構造の操作部に対して爪による保持の解除操作を行うことにより押さえ棒23から分離することが可能である。
この当接部221は、押さえ板21の右側縁部のさらに右側に位置し、当接部221の下端部が押さえ板21の底面よりも下方に突出するように支持部222によって弾性支持されている。
従って、送りガイド22の当接部221は、押さえ足20が布地Cを上から押さえた場合に、布地Cの厚さ分だけ押さえ板21の底面より下方に突出し、その左平面を当接面として、布地Cの右縁部に当接した状態となる。
これにより、布地Cを前方(又は後方)に送る場合に、布地Cの右縁部を当接部221に沿わせてガイドすることができ、布地Cをその右縁部に沿わせて真っ直ぐに送ることができる。
つまり、ミシン10は、縫製の必要に応じて、一般的な押さえ足と図3に示した押さえ足20とを適宜選択して装着し、縫製を行うことができるようになっている。
図4はミシン10の制御系を示している。
ミシン10は、その各構成の動作制御を行う制御装置90を備え、当該制御装置90に対して、縫製動作の駆動源となるミシンモーター14及びその出力軸角度(上軸角度)を検出するエンコーダー15が駆動回路14aを介して接続されている。
また、制御装置90には、駆動回路16a,335a,346aを介して、針振りモーター16、送り機構30の送り調節モーター335及び横送りモーター346が接続されている。
操作パネル41からは、例えば、ミシンの縫いピッチの設定値や押さえ棒23に現在装着されている押さえ足の種別等が入力される。
上記制御装置90が実行するミシン10の特徴的な縫製動作について図5の動作説明図及び図6のフローチャートに基づいて説明する。
なお、前述したように、このミシン10は、X軸方向に沿った針振りとY軸方向に沿った正逆の送り動作とを組み合わせて任意の縫製パターンの縫製を行うことも可能だが、ここでは、パターン縫いではなく、針振りを行わずに一定方向に沿って縫い目を形成する縫製動作について例示する。
また、現在の押さえ足が通常の押さえ足である場合には(ステップS1:NO)、横送りモーター346を制御して、当接腕343aが中立カム342bの外周に当接する位置に接触子343を移動させる(ステップS5)。
そして、送り調節モーター335を制御して、設定された縫いピッチに対応する傾斜角度となるように送り調節機構33のガイド333を傾斜させる(ステップS9)。
送りガイド付きの押さえ足20による縫製を実行する場合には、当接腕343aが右送りカム342cの外周に当接した状態で縫製が行われるので、端面カム345が伝達軸325に当接し、針棒12の上下動と同じ周期で、送り歯31を右方向に移動させる。
これにより、図5に示すように、縫製中は、送り歯31は前進方向と右方向の両方向に向かって布地Cの送りを行うことになる。
そして、押さえ足20には送りガイド22が装備されているので、布地Cの右側縁部は送りガイド22の当接部221の左面に当接し、且つ、当接部221の左面に向かって押しつけられながら搬送される。
従って、作業者は布地Cをしっかりと送りガイド22に押しつけることを意識しながら布地Cを押さえる必要がなく、布地Cに対して、その右側縁部から一定の距離を維持して縫製を行うことができる。
これにより、縫製中は、送り歯31は前進方向に布地Cの送りを行うことになる。
以上のように、ミシン10は、送り機構30は、針板13の上面に沿った方向であって、規定の送り方向であるY軸方向に直交するX軸方向への移動成分を送り歯31に加える横送り機構34を有し、制御装置90は、Y軸方向に沿った送りに加えて、横送り機構34による送りガイド22の当接面側への移動成分を加えて布地Cを送るように、送り機構30を制御している。
このため、布地Cの右側縁部が送りガイド22の当接部221の左面に押しつけられながら搬送が行われ、作業者は布地Cを送りガイド22に押しつけながら押さえる必要がなく、布地Cに対して、その右側縁部から一定の距離を維持して縫製を行うことができる。
このため、布地Cの縁部に沿って安定的に縫製を行うことが可能となる。また、このように安定的な縫製を行うための作業者の負担を低減することが可能となる。
また、支持部222の高さ調節が不要であり、作業者の作業負担を低減することが可能となる。
また、見方を変えれば、前後の縫製と左右の縫製とを組み合わせて任意のパターンを形成する既存のミシンに対して、送りガイド22が設けられた押さえ足20を加えることで、布地Cに対して、容易に、その側縁部から一定の距離を維持して縫製を行う機能を加えることが可能となる。
なお、上記実施形態では、送りガイド22が設けられた押さえ足20が押さえ棒23に装着された場合に、これを操作パネル41から入力することにより、制御装置90が横送り機構34による送りガイドの当接面側への移動成分を加えて被縫製物を送るように送り機構30を制御する構成を例示したが、これに限られない。
例えば、押さえ棒23側に、送りガイド22が設けられた押さえ足20が装着された場合に、通常の押さえ足と区別して識別可能な検出手段を設け、押さえ足20の装着が検出されると、制御装置90がこれを認識して自動的に横送り機構34による送りガイドの当接面側への移動成分を加えて被縫製物を送るように送り機構30を制御する構成としても良い。
11 縫い針
12 針棒
13 針板
14 ミシンモーター
20 押さえ足
21 押さえ板
22 送りガイド
221 当接部
222 支持部
23 押さえ棒
30 送り機構
31 送り歯
32 前後送り機構
33 送り調節機構
335 送り調節モーター
34 横送り機構
346 横送りモーター
41 操作パネル
90 制御装置
C 布地(被縫製物)
Claims (5)
- 針板の上面から上方に出没し、規定の送り方向に沿って移動する送り歯により被縫製物を送る送り機構と、
前記針板の上面の被縫製物を上から押さえる押さえ足と、
前記送り方向に沿った当接面を有する被縫製物の送りガイドとを備えるミシンにおいて、
前記送り機構は、前記針板の上面に沿った方向であって、前記規定の送り方向に直交する方向への移動成分を前記送り歯に加える横送り機構を有し、
前記規定の送り方向に沿った送りに加えて、前記横送り機構による前記送りガイドの当接面側への移動成分を加えて前記被縫製物を送るように、前記送り機構を制御する制御装置を備えることを特徴とするミシン。 - 前記送りガイドは、前記押さえ足に設けられていることを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記送りガイドは、前記押さえ足に対して上下方向に揺動可能に設けられており、弾性体により下方に押圧された状態で装備されていることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
- 前記押さえ足は、当該押さえ足を支持する押さえ棒に対して着脱可能であり、
前記送りガイドが設けられた押さえ足と前記送りガイドが設けられていない他の押さえ足とに交換可能であることを特徴とする請求項2又は3記載のミシン。 - 前記制御装置は、前記送りガイドが設けられた押さえ足が前記押さえ棒に装着された場合に、前記横送り機構による前記送りガイドの当接面側への移動成分を加えて前記被縫製物を送るように、前記送り機構を制御することを特徴とする請求項4記載のミシン。
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