JP2018057210A - 多相回転機の制御装置 - Google Patents

多相回転機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018057210A
JP2018057210A JP2016193021A JP2016193021A JP2018057210A JP 2018057210 A JP2018057210 A JP 2018057210A JP 2016193021 A JP2016193021 A JP 2016193021A JP 2016193021 A JP2016193021 A JP 2016193021A JP 2018057210 A JP2018057210 A JP 2018057210A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
filter
current
voltage command
sum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016193021A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6740842B2 (ja
Inventor
崇志 鈴木
Takashi Suzuki
崇志 鈴木
治雄 鈴木
Haruo Suzuki
治雄 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2016193021A priority Critical patent/JP6740842B2/ja
Publication of JP2018057210A publication Critical patent/JP2018057210A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6740842B2 publication Critical patent/JP6740842B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inverter Devices (AREA)

Abstract

【課題】電流制御の応答性を高めつつ、断線故障又はオープン故障を適正に判定可能な多相回転機の制御装置を提供する。【解決手段】一組の3相巻線を有するモータ801の駆動を制御する制御装置において、制御器24は、電流フィードバック制御により演算した電圧指令値をインバータ60に出力し、モータ801に流れる電流を制御する。フィルタ49は、制御器24が出力した電圧指令値Vu、Vv、Vwをフィルタ処理により補正し、電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_fとして出力する。故障判定器50は、各相について、電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_fの絶対値が電圧閾値より大きく、且つ、モータ801に流れる電流Iu、Iv、Iwの絶対値が電流閾値より小さいとき、電流経路の断線故障、又は、スイッチング素子のオープン故障であると判定する。フィルタ49の時定数は、モータ801の時定数より大きく設定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、多相回転機の制御装置に関する。
従来、インバータ等の電力変換器が変換した電力を多相回転機に供給し多相回転機の駆動を制御する制御装置において、電力変換器を構成するスイッチング素子のオープン故障や電流経路の断線故障を検出する技術が知られている。
例えば特許文献1に開示された装置は、3相回転機の各相間の線間電圧が基準値以上であるタイミングにおいて、各相の電流検出値が閾値以下の状態が所定時間継続した場合に断線と判定する。
特開2015−213666号公報
制御装置が演算した電流指令値に基づいて多相回転機に流れる電流を制御する電流制御では、一般に、多相回転機に流れる電流は、電流指令値に対し一次遅れ型の周波数応答特性を有する。そのため、電流指令値の周波数が低いとき、電流指令値に基づいて演算される電圧指令値と電流との位相は一致するが、電流指令値の周波数が高いとき、電圧指令値の位相に対して電流の位相が遅れる。
したがって、特許文献1の技術において、電流指令値の周波数が高いとき、互いに対応する電圧指令値と電流検出値とを、同じタイミングで、それぞれの基準値、閾値と比較することが困難となる。
また、一次遅れ型の周波数応答特性では、電流指令値の周波数が高いとき、ゲイン応答が低下する。このゲイン応答の低下を補償するため電圧指令値のゲインを大きく設定すると、電圧指令値が閾値を超える可能性が高くなり誤判定が生じやすくなる。このように、電流指令値の周波数が高く、電流制御の応答性が高い場合、正常状態と、断線故障又はオープン故障が発生している故障状態とを正しく判別することが困難であった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電流制御の応答性を高めつつ、断線故障又はオープン故障を適正に判定可能な多相回転機の制御装置を提供することにある。
本発明は、一組以上の多相巻線(84、841、842)を有する多相回転機(801、802)の駆動を制御する制御装置に係る発明である。この多相回転機の制御装置は、一つ以上の電力変換器(60、601、602)と、一つ以上の制御器(24、241、242、261、262)と、一つ以上のフィルタ(49、441、442、461、462、491、492)と、一つ以上の故障判定器(501、502)とを備える。
電力変換器は、複数のスイッチング素子(61−66、611−661、612−662)の動作により、一組以上の巻線に通電する。
制御器は、多相回転機に流れる電流に基づくフィードバック制御により演算した電圧指令値を電力変換器に出力し、多相回転機に流れる電流を制御する。
フィルタは、制御器が出力した電圧指令値を、周波数に応じて増幅又は減衰させるフィルタ処理により補正し、電圧指令フィルタ値として出力する。
故障判定器は、各相について、電圧指令フィルタ値の絶対値が電圧閾値(Vth)より大きく、且つ、多相回転機に流れる電流の絶対値が電流閾値(Ith)より小さいとき、電力変換器から多相巻線までの電流経路の断線故障、又は、スイッチング素子のオープン故障であると判定する。
ここで、フィルタの時定数は、多相回転機の時定数(To、Ta、Tb)より大きく設定されている。
つまり、フィルタの入力に対する出力の周波数応答特性は、電流指令値に対する電流の周波数応答特性と同程度か、それより低周波数側にシフトした応答特性となる。その結果、電圧指令フィルタ値の位相は、多相回転機に流れる電流の位相に近づく。
これにより、故障判定器は、互いの位相が同程度の情報を用いて故障判定することができるため、電流指令値の周波数が高い場合にも、正常時に故障又はオープン故障と誤判定することを防止することができる。よって、電流制御の応答性を高めつつ、電流経路の断線故障、又は、スイッチング素子のオープン故障を適正に判定することができる。
好ましくは、本発明は、互いに磁気的に結合する二組の多相巻線を有する多相回転機の駆動を制御する制御装置であって、二組の多相巻線に個別に通電可能な二つの電力変換器を備える。
各巻線、各巻線に通電する電力変換器、及び、各巻線への通電を制御する一群の構成要素の単位を「系統」と定義すると、故障判定器は、系統毎に設けられ、各系統の各相について断線故障又はオープン故障を判定する。
二系統の制御装置では、二組の巻線間の相互インダクタンスの影響により、電流制御の応答性が高いとき、正常状態と故障状態とを判別することが、一系統の制御装置に比べて一層困難となる。そのため、制御器が出力した電力指令値をフィルタ処理により補正し、電圧指令フィルタ値と、多相回転機に流れる電流値とに基づいて故障判定する本発明の効果が特に有効に発揮される。
第1実施形態による3相回転機の制御装置の全体構成図。 第1実施形態による制御部の制御ブロック図。 一次遅れ応答の周波数特性図。 (a)電流指令値の周波数が低いとき、(b)電流指令値の周波数が高いときの電圧指令値と電流との位相差を示す図。 故障判定処理のフローチャート。 第2〜第4実施形態による3相回転機の制御装置の全体構成図。 第2実施形態による制御部の制御ブロック図。 二組の巻線間の相互インダクタンスの影響を考慮したモータモデル。 第3実施形態による制御部の制御ブロック図。 (a)モータの和、差のモデル、(b)和制御器、差制御器のブロック図。 第4実施形態による制御部の制御ブロック図。
以下、多相回転機の制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。また、以下の第1〜第4実施形態を包括して「本実施形態」という。
本実施形態では、多相回転機を代表して3相回転機の制御装置を示す。この3相回転機の制御装置は、例えば電動パワーステアリング装置において、操舵アシストモータを駆動する制御装置として用いられる。
(第1実施形態)
第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に、「3相回転機」としてのモータ801の駆動を制御する「制御装置」としてのECU101の全体構成を示す。モータ801は、U相コイル81、V相コイル82、W相コイル83からなる3相巻線84を一組有する3相ブラシレスモータである。
ECU101は、インバータ60、電流センサ70及び制御部651等を備えている。
「電力変換器」としてのインバータ60は、バッテリ11からの電源電圧Vrが入力され、6個のスイッチング素子61−66の動作により、バッテリ11の直流電力を3相交流電力に変換して3相巻線84に通電する。インバータ60の入力部には、電源リレー12及び平滑コンデンサ13が設けられている。
スイッチング素子61−66は、例えばMOSFETで構成され、ブリッジ接続されている。スイッチング素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。
電流センサ70は、電流検出素子71、72、73により、モータ801に流れる各相電流Iu、Iv、Iwを検出し、制御部651にフィードバックする。
回転角センサ85は、モータ801の電気角θを検出し、制御部651に通知する。
制御部651は、マイコン67、駆動回路(又はプリドライバ)68等で構成される。電動パワーステアリング装置に適用されるECU101の場合、操舵トルクセンサ(図示しない)からの操舵トルクtrqの情報が制御部651に入力される。制御部651は、操舵トルクtrq、相電流Iu、Iv、Iw、及び電気角θのフィードバック情報等に基づいてインバータ60のスイッチング素子61−66を動作させ、モータ801の通電を制御する。
また、制御部651は、電源電圧Vr、及び、電気角θを時間微分して得られる回転数ωの情報を取得する。電源電圧Vrは、例えば、インバータ60の高電位ラインと低電位ラインとの間で検出された分圧を換算して求められる。また、本明細書では、電気角θの時間微分値である電気角速度ω[deg/s]に所定の比例定数を乗じて得られる回転数について、「回転数ω」と記す。
ここで、モータ801の巻線84、巻線84に通電するインバータ60、及び、制御部651において巻線84への通電を制御する一群の構成要素の単位を「系統」と定義する。第1実施形態のECU101は、一系統の制御装置である。なお、第2〜第4実施形態は、図6に参照されるように、二組の巻線841、842を有するモータ802に通電する二つのインバータ601、602を備える二系統の制御装置である。
ところで、ECU101によりモータ801の駆動を制御するシステムにおいて、インバータ60から巻線84までの電流経路の断線故障、又は、インバータ60のスイッチング素子61−66のオープン故障が発生する場合がある。
本実施形態の制御部651は、インバータ60へ入力される電源電圧Vrが正常であり、且つ回転数ωが0に近い動作状態を前提として、各相の電圧指令値とモータ801に流れる電流とに基づいて、断線故障又はオープン故障を判定する機能を備える。
次に、第1実施形態の制御部651の制御ブロック図を図2に示す。
制御部651は、一般的な電流フィードバック制御の構成として、制御器24、2相3相変換部28、3相2相変換部31、電流偏差算出器33等を備える。また、本実施形態に特有の構成として、フィルタ49及び故障判定器50を備える。
図2では、d軸及びq軸の電流、電圧をまとめて1本の線で表し、3相の電流、電圧をまとめて1本の線で表す。また、2相3相変換部28及び3相2相変換部31において座標変換演算に用いられる電気角θの入力図示を省略する。二系統の第2〜第4実施形態の制御ブロック図でも、同様に、電気角θ、θ+30[deg]の入力図示を省略する。
3相2相変換部31は、電流センサ70が検出した相電流Iu、Iv、Iwを3相2相変換したdq軸電流Id、Iqをフィードバックする。
電流偏差算出器33は、dq軸電流指令値Id*、Iq*と、フィードバックされたdq軸電流Id、Iqとの電流偏差ΔId、ΔIqを算出する。
制御器24は、電流偏差ΔId、ΔIqを0に収束させるように、PI制御によりdq軸電圧指令値Vd、Vqを演算する。詳しくは、制御器24は、PI制御後指令電流Id**、Iq**にインピーダンス項(R+Ls)を乗算し、dq軸電圧指令値Vd、Vqを演算する。
なお、図2の制御器24に「PI」の記号を示しているが、I(積分)制御のみを実施してもよい。
インピーダンス項(R+Ls)の記号の意味は、以下の通りである。
R:巻線84の抵抗
L:巻線84の自己インダクタンス
s:微分演算子(ラプラス変数)
このインピーダンス項(R+Ls)は、モータモデルにおけるインピーダンスの逆数項「1/(R+Ls)」に対応するモータ逆モデルの伝達関数である。モータモデルに関しては第2実施形態にて後述する。
2相3相変換部28は、制御器24が出力したdq軸電圧指令値Vd、Vqを2相3相変換して3相電圧指令値Vu、Vv、Vwを生成し、インバータ60に出力する。
インバータ601は、3相電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて生成されるPWM信号によりスイッチング素子61−66が動作することにより、バッテリ11の直流電力を変換し、モータ801に3相電圧Vu_i、Vv_i、Vw_iを印加する。
このような電流フィードバック制御では、電流指令値に対し実際にモータ801に流れる電流の周波数応答は、時定数Tの一次遅れ系の伝達関数の式(1)で表される。
Figure 2018057210
図3に示すように、一次遅れ系の周波数応答では、周波数が(1/T)より十分に低い領域ではゲイン0[dB]、位相0[deg]であり、周波数が(1/T)を超えると、ゲインは周波数の上昇に従って次第に小さくなると共に、位相は負の値になる。つまり、位相遅れが生じる。周波数が(1/T)より十分に高い領域では位相が−90[deg]に収束する。
ここで、制御器24が出力する電圧指令値の位相は電流指令値の位相に等しいものとすると、図4(a)に示すように、電流指令値の周波数が低いとき、モータ801に流れる電流の位相は、電圧指令値の位相と一致する。
一方、図4(b)に示すように、電流指令値の周波数が高いとき、モータ801に流れる電流の位相は、電圧指令値の位相に対して遅れる。また、電圧指令値に対する電流のゲイン応答の低下を補償するため、電圧指令値のゲインを大きく設定せざるを得なくなる。
ところで、特許文献1(特開2015−213666号公報)には、3相回転機の各相間の線間電圧が基準値以上であるタイミングにおいて、各相の電流検出値が閾値以下の状態が所定時間継続した場合に断線と判定する技術が開示されている。
特許文献1の技術を応用すると仮定し、図4に、故障判定における電圧閾値±Vth及び電流閾値±Ithを例示する。電圧指令値の絶対値が電圧閾値の絶対値|Vth|より大きく、且つ、電流の絶対値が電流閾値の絶対値|Ith|より小さいときを故障と判定する。また、図4(a)、(b)のいずれの場合も、実際には回路は正常であり、断線故障又はオープン故障は発生していないものとする。
図4(a)の例では、1周期中、電圧指令値の絶対値が電圧閾値の絶対値|Vth|を超えることがなく、故障とは判定されない。また、仮に電圧指令値のピ−クの絶対値が電圧閾値の絶対値|Vth|を超えたとしても、そのタイミングでは電流もピークであり、正常時には電流の絶対値が電流閾値の絶対値|Ith|より小さくなることはないため、故障とは判定されない。
一方、図4(b)の例では、電圧指令値のゲインを大きく設定したことにより電圧指令値のピ−クの絶対値が電圧閾値の絶対値|Vth|を超えている。また、電流の位相が電圧指令値の位相に対して遅れ、ピークのタイミングがずれている。したがって、時刻t1と時刻t2との間の期間JXに、電圧指令値が正の電圧閾値+Vthより大きく、且つ、電流が正の電流閾値+Ithより小さくなり、故障と判定される。同様に、時刻t3と時刻t4との間の期間JYに、電圧指令値が負の電圧閾値−Vthより小さく、且つ、電流が負の電流閾値−Ithより大きくなり、故障と判定される。
このように、特許文献1の従来技術を用いるに際し、電流指令値の周波数が高く、電圧指令値に対する電流検出値の位相遅れが発生する状況では、正常状態と故障状態とを正しく判別することが困難である。そのため、実際に断線故障又はオープン故障が発生していない場合にも故障と誤判定するおそれがある。
しかし、電流制御の応答性を高めることは制御の高速化のためのニーズであり、故障の誤判定を回避するために、わざわざ電流制御の応答性を下げることは好ましくない。
そこで本実施形態は、電流指令値の周波数が高く、電流制御の応答性が高いときにも、断線故障又はオープン故障を適正に判定することを目的とする。
そのための構成として、第1実施形態の制御部651は、フィルタ49及び故障判定器50を備える。
フィルタ49は、制御器24が出力し2相3相変換部28が2相3相変換した3相電圧指令値Vu、Vv、Vwを、周波数に応じて増幅又は減衰させるフィルタ処理により補正し、電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_fとして出力する。
具体的には、フィルタ49は、式(1)の伝達関数を有する一次遅れフィルタである。ここで、フィルタ49の時定数T1は、モータ801の時定数である(L/R)よりも大きく設定されている。「To=(L/R)」とすると、式(2)の関係が成立する。
1>To(=(L/R)) ・・・(2)
式(2)の境界条件におけるフィルタ49の伝達関数Go(s)は、巻線抵抗Rを制御器24のインピーダンス項(R+Ls)で除した式に相当する式(3)で表される。
Figure 2018057210
つまり、フィルタ49の入力に対する出力の周波数応答特性は、電流指令値に対する電流の周波数応答特性と同程度か、それより低周波数側にシフトした応答特性となる。その結果、電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_fの位相は、モータ801に流れる電流Iu、Iv、Iwの位相に少なくとも近づき、理想的には一致する。
なお、3相電圧指令値Vu、Vv、Vwをフィルタ49が補正する構成に代えて、制御器24が出力したdq軸電圧指令値Vd、Vqをフィルタが補正した後、dq軸電圧指令フィルタ値Vd_f、Vq_fを2相3相変換する構成としてもよい。その例のフィルタは、二系統の制御装置に関する第2実施形態で示す。
故障判定器50は、例えば電気1周期中に数回以上、インバータ60の電源電圧Vr、モータ回転数ω、フィルタ44が出力した電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_f、及び、電流センサ70が検出した電流Iu、Iv、Iwを取得する。そして、故障判定器50は、図5のフローチャートに示す故障判定処理を実施する。図5の説明において、記号Sは「ステップ」を表す。
故障判定器50は、故障判定を開始する前提として、S1で、電源電圧Vrが電源電圧閾値Vrthより大きいことを判断し、S2で、モータ回転数ωが回転数閾値ωthより低いことを判断する。電源電圧閾値Vrthは正常範囲の下限値に設定されており、回転数閾値ωthは逆起電圧の影響を無視可能な最低回転数に設定されている。
インバータ60に正常な電源電圧Vrが印加されていない状態では、電圧指令値に応じた電圧がモータ801に出力されない。また、逆起電圧の影響が大きくなる高回転領域では正常な判定が困難となる。そこで、S1又はS2でNOの場合、故障判定器50は、故障判定を開始せず、ルーチンを終了する。
S1及びS2でYESの場合、故障判定器50は、S3で各相の故障判定を開始する。ここで、記号「#」は、「u,v,w」のいずれかを表す。図5には、故障判定器50が1相ずつ順に判定を進める処理を示す。ただし、故障判定器50の処理能力によっては、3相の判定を同時に並行して実施してもよい。
故障判定器50は、S4で、例えばU相について「電圧指令フィルタ値Vu_fの絶対値が電圧閾値Vthより大きく、且つ、電流Iuの絶対値が電流閾値Ithより小さい」か否か判定する。
S4でYESと判断されたとき、故障判定器50は、S5で、U相の断線故障又はオープン故障と判定し、インバータ60に停止信号を出力する。なお、S4で1回YESと判定したららすぐに停止信号を出力するのではなく、所定の回数もしくは一定時間内に所定の積算値に達した時に停止信号を出力することとしてもよい。
S4でNOと判断されたとき、故障判定器50は、S6で、U相は故障ではない、と判定する。
S7では全相の判定が完了したか判断される。V相が未判定ならば、S4に戻り、次にV相について判定する。更に、W相が未判定ならば、再びS4に戻り、次にW相について判定する。こうして全相の判定が完了したら、ルーチンを終了する。
なお、フェールセーフを目的とする場合、いずれか1相で故障と判定され、停止信号が出力された時点でルーチンを終了してもよい。
また、停止信号が出力されたときの処置については、全スイッチング素子61−66の駆動信号をオフすることに加え、電源リレー12の遮断や運転者への警告等、周知技術の故障時処置を適宜実施可能である。第2〜第4実施形態の二系統の制御装置では、故障が検出された系統の駆動を停止し、正常な一系統での駆動に切り替えてもよい。
以上のように、第1実施形態の故障判定処理では、モータ801に流れる電流Iu、Iv、Iwに対し、同じタイミングに制御器24が出力した電圧指令値を用いるのでなく、フィルタ49で補正された電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_fを用いる。
これにより、故障判定器50は、互いの位相が同程度の情報を用いて故障判定することができるため、電流指令値の周波数が高い場合にも、正常時に故障又はオープン故障と誤判定することを防止することができる。よって、電流制御の応答性を高めつつ、電流経路の断線故障、又は、スイッチング素子のオープン故障を適正に判定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図6〜図8を参照して説明する。全体構成を図6に示すように、第2実施形態のECU102は、互いに磁気的に結合する二組の3相巻線841、842を有するモータ802を駆動する二系統の制御装置である。ECU102は、インバータ601、602、電流センサ701、702、及び制御部652等を備えている。
以下、第1実施形態の構成に対し、二系統の制御装置に特有の構成を中心に説明する。その他、第1実施形態と共通の事項については、重複する説明を省略する。
モータ802の第1巻線841、第1巻線841に通電する第1インバータ601、及び、制御部652において第1巻線841への通電を制御する一群の構成要素は、「第1系統」を構成する。また、モータ802の第2巻線842、第1巻線842に通電する第2インバータ602、及び、制御部652において第2巻線842への通電を制御する一群の構成要素は、「第2系統」を構成する。
図中、第1系統の構成要素には名称の前に「第1」を記し、第2系統の構成要素には名称の前に「第2」を記す。また、第1系統の構成要素には符号の3桁目に「1」を付し、第2系統の構成要素には符号の3桁目に「2」を付す。同様に、電流、電圧の記号の末尾数字「1」、「2」は、第1系統又は第2系統の電流、電圧であることを示す。図7以下についても同様とする。
モータ802における第2巻線842の各相コイル812、822、832は、第1巻線841の各相コイル811、821、831に対し、例えば電気角30degの位置関係に配置されている。このような巻線841、842の構成は、特許第5556845号公報(以下、「参照文献」という)の図3等に開示されている。
第1インバータ601は、6個のスイッチング素子611、621、631、641、651、661(以下「611−661」と記す)を含む。第2インバータ602は、6個のスイッチング素子612、622、632、642、652、662(以下「612−662」と記す)を含む。
正常時、第1インバータ601には電源電圧Vr1が入力され、第2インバータ602には電源電圧Vr2が入力される。第1インバータ601は、モータ802の第1巻線841に3相電圧Vu1_i、Vv1_i、Vw1_iを印加する。第2インバータ602は、第2巻線842に3相電圧Vu2_i、Vv2_i、Vw2_iを印加する。
並列に接続された第1インバータ601及び第2インバータ602の入力部には、各系統の電源リレー121、122及び平滑コンデンサ13が設けられている。
第1系統の電流センサ701は、電流検出素子711、721、731により第1系統の3相電流Iu1、Iv1、Iw1を検出し、制御部652にフィードバックする。
第2系統の電流センサ702は、電流検出素子712、722、732により第2系統の3相電流Iu2、Iv2、Iw2を検出し、制御部652にフィードバックする。
制御部652は、操舵トルクtrq、相電流Iu1、Iv1、Iw1、Iu2、Iv2、Iw2、及び電気角θのフィードバック情報等に基づいてモータ802の通電を制御する。また、制御部652は、電源電圧Vr1、Vr2及び回転数ωの情報を取得する。
図7に示す第2実施形態の制御部652は、二系統の電流を系統毎にフィードバック制御するものであり、実質的に同一の構成要素を二組備えている。
第1系統の電流偏差算出器331は、dq軸電流指令値Id*、Iq*と、3相2相変換部311からフィードバックされたdq軸電流Id1、Iq1との電流偏差ΔId1、ΔIq1を算出する。制御器241は、電流偏差ΔId1、ΔIq1を0に収束させるように、PI制御によりdq軸電圧指令値Vd1、Vq1を演算する。
第2系統の電流偏差算出器332は、dq軸電流指令値Id*、Iq*と、3相2相変換部312からフィードバックされたdq軸電流Id2、Iq2との電流偏差ΔId2、ΔIq2を算出する。制御器242は、電流偏差ΔId2、ΔIq2を0に収束させるように、PI制御によりdq軸電圧指令値Vd2、Vq2を演算する。
なお、図7の制御器241、242に「PI」の記号を示しているが、I(積分)制御のみを実施してもよい。
ただし、制御部652は、更にモータ802の二組の3相巻線841、842間に発生する相互インダクタンスの影響による系統間干渉を考慮した制御を行う。系統間干渉については上記参照文献に詳しく開示されているため、ここでは要点のみを説明する。また、上述の通り、逆起電力の影響を受けない低回転領域、すなわち「回転数ω≒0」の領域での動作を前提とする。
図8に、二組の巻線間の相互インダクタンスの影響を考慮したモータモデルを示す。
このモータモデルでは、dq軸の区別を省略し、第1系統の電圧、電流をV1、I1、第2系統の電圧、電流をV2、I2と記す。電圧V1、V2はインバータ601、602から巻線841、842に印加される電圧であり、電流I1、I2は巻線841、842に流れる電流である。第1系統及び第2系統の各巻線の自己インダクタンスL、及び、二組の巻線841、842間の相互インダクタンスMは、互いに等しいものとする。
相互インダクタンスM項を含む電圧方程式は、ω≒0のとき、式(4.1)、(4.2)で表される。
Figure 2018057210
式(4.1)、(4.2)を電流I1、I2について整理すると式(4.3)、(4.4)が得られる。図8のモータモデルは、この式を表したものである。
Figure 2018057210
モータモデルに示す通り、相互インダクタンスMとラプラス変数sとの積Msが干渉項となる。各系統の入力電圧V1、V2から、「相手系統の電流に干渉項Msを乗じた干渉電圧」が減算された値に、インピーダンスの逆数項である「1/(R+Ls)」が乗算され、電流I1、I2として出力される。
第2実施形態の制御部652は、この干渉電圧を補償するため、制御器241、242の出力を非干渉化する非干渉化処理部25を備える。非干渉化処理部25は、自系統の制御器241、242の出力に対し、相手系統の制御器242、241で演算されたPI制御後指令電流Id2**、Iq2**、及び、Id1**、Iq1**に干渉項Msを乗算した補償電圧を加算する。補償電圧が加算された後の値がdq軸電圧指令値Vd1、Vq1、Vd2、Vq2として2相3相変換部281、282に入力される。
第2実施形態のフィルタ441、442は、制御器241、242が出力した非干渉化処理前、すなわち、干渉項Msによる補償電圧が加算される前のdq軸電圧指令値を補正する。つまり、PI制御後指令電流Id1**、Iq1**、及び、Id2**、Iq2**にインピーダンス項(R+Ls)が乗算されて得られたdq軸電圧指令値Vd1_0、Vq1_0、Vd2_0、Vq2_0がフィルタ441、442に入力される。
この系統間非干渉化処理前のdq軸電圧指令値Vd1_0、Vq1_0、Vd2_0、Vq2_0は、モータ802において二組の巻線841、842間の相互インダクタンスによる干渉電圧を除去した後の電圧値に対応する。
第1フィルタ441は、第1制御器241が出力した非干渉化処理前のdq軸電圧指令値Vd1_0、Vq1_0を補正し、電圧指令フィルタ値Vd1_f、Vq1_fを出力する。
第2フィルタ442は、第2制御器242が出力した非干渉化処理前のdq軸電圧指令値Vd2_0、Vq2_0を補正し、電圧指令フィルタ値Vd2_f、Vq2_fを出力する。
ここで、フィルタ441、442の時定数T2は、系統間干渉を考慮しない第1実施形態と同様に、式(5)の通り、モータ時定数Toより大きく設定されている。
2>To(=L/R) ・・・(5)
2相3相変換部481、482は、各系統の電圧指令フィルタ値Vd1_f、Vq1_f、及び、Vd2_f、Vq2_fを座標変換し、3相電圧指令フィルタ値Vu1_f、Vv1_f、Vw1_f、及び、Vu2_f、Vv2_f、Vw2_fを算出する。
第1故障判定器501は、第1系統の各相について、図5のフローチャートに基づき、第1インバータ601から第1巻線841までの電流経路の断線故障、又は、第1インバータ601のスイッチング素子611−661のオープン故障を判定する。第1故障判定器501は、故障と判定すると、第1インバータ601に停止信号を送信する。
第2故障判定器502は、第2系統の各相について、図5のフローチャートに基づき、第2インバータ602から第2巻線842までの電流経路の断線故障、又は、第2インバータ602のスイッチング素子612−662のオープン故障を判定する。第2故障判定器502は、故障と判定すると、第2インバータ602に停止信号を送信する。
なお、モータ回転機ωに関するフローチャートのS2については、一方の故障判定器の判定結果を他方の故障判定器が共用してもよい。
以上のように、一般に二系統の制御装置では、二組の3相巻線841、842間の相互インダクタンスの影響により、電流制御の応答性が高いとき、正常状態と故障状態とを正しく判別することが、一系統の制御装置に比べて一層困難となる。
それに対し第2実施形態では、非干渉化処理前の電圧指令値をフィルタ441、442により補正することで、モータ802を流れる電流との位相差を低減した条件で故障判定を実施することができる。したがって、一系統の第1実施形態と同様に、電流制御の応答性を高めつつ、断線故障又はオープン故障を適正に判定することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図9、図10を参照して説明する。なお、第3、第4実施形態の全体構成図は、第2実施形態の図6を援用し、図6の制御部652の符号のみを第3、第4実施形態の制御部の符号653、654に読み替える。
図9に示す第3実施形態の制御部653は、二系統の電流の和と差をフィードバック制御するものである。この和と差の制御は上記参照文献に開示されており、トルクリップルの抑制や熱特性の改善に有効である。
制御部653は、第2実施形態の制御部652の構成に加えて電流指令値加減算部22及びフィードバック(図中「F/B」)電流加減算部32を備えている。また、各系統の制御器241、242に代えて、和制御器261、差制御器262、及び系統電圧算出部27を備えている。また、各系統のフィルタ441、442に代えて、和フィルタ461、差フィルタ462、及び系統電圧算出部47を備えている。
電流指令値加減算部22は、電流指令値Id*、Iq*を加減算し、電流指令値の和であるId和*、Iq和*、及び、電流指令値の差であるId差*、Iq差*を算出する。二系統の電気的特性は同等であるから、Id和*、Iq和*はId*、Iq*の2倍に相当し、Id差*、Iq差*は「0」に相当する。
なお、電流指令値加減算部22を設けず、「Id和*=2×Id*、Iq和*=2×Iq*、Id差*=0、Iq差*=0」に設定する構成としてもよい。
フィードバック電流加減算部32は、3相2相変換部311、312が座標変換した二系統のフィードバック電流Id1、Iq1、Id2、Iq2を加減算し、フィードバック電流の和であるId和、Iq和、及び、フィードバック電流の差であるId差、Iq差を算出する。
電流偏差算出器341は、Id和*、Iq和*と、Id和、Iq和との偏差ΔId和、ΔIq和を算出する。
電流偏差算出器342は、Id差*(=0)、Iq差*(=0)と、Id差、Iq差との偏差ΔId差、ΔIq差を算出する。
和制御器261は、電流和の偏差ΔId和、ΔIq和を0に収束させるように、PI制御により、二系統のdq軸電圧指令値の和であるVd和、Vq和を演算する。
差制御器262は、電流差の偏差ΔId差、ΔIq差を0に収束させるように、PI制御により、二系統のdq軸電圧指令値の差であるVd差、Vq差を演算する。
なお、後述の図10(b)には、和制御器261及び差制御器262に「PI」の記号を示しているが、I(積分)制御のみを実施してもよい。
系統電圧算出部27は、式(6.1)〜(6.4)により、Vd和、Vq和、及び、Vd差、Vq差に基づいて、各系統のdq軸電圧指令値Vd1、Vq1、及び、Vd2、Vq2を算出する。
Vd1=(Vd和+Vd差)/2 ・・・(6.1)
Vq1=(Vq和+Vq差)/2 ・・・(6.2)
Vd2=(Vd和−Vd差)/2 ・・・(6.3)
Vq2=(Vq和−Vq差)/2 ・・・(6.4)
和フィルタ461は、和制御器261が出力したdq軸電圧指令値の和であるVd和、Vq和を補正し、電圧指令フィルタ値Vd和_f、Vq和_fを出力する。
差フィルタ462は、差制御器262が出力したdq軸電圧指令値の差であるVd差、Vq差を補正し、電圧指令フィルタ値Vd差_f、Vq差_fを出力する。
系統電圧算出部47は、系統電圧算出部27と同様に、各系統のdq軸電圧指令フィルタ値Vd1_f、Vq1_f、及び、Vd2_f、Vq2_fを算出する。
次に図10(a)を参照し、「モータの和、差のモデル」について説明する。
式(4.1)、(4.2)の両辺を加減算すると、式(7.1)、(7.2)が得られる。
Figure 2018057210
式(7.1)、(7.2)を電流和(I1+I2)、電流差(I1−I2)について整理すると式(7.3)、(7.4)が得られる。図10(a)の「モータの和、差のモデル」は、この式を表したものである。
Figure 2018057210
また、これに対応するモータ逆モデルにより、和制御器261及び差制御器262は、図10(b)のように表される。
和制御器261では、PI制御後指令電流Id和**、Iq和**に対し、インピーダンス項「R+(L+M)s)」が乗算される。
差制御器262では、PI制御後指令電流Id差**、Iq差**に対し、インピーダンス項「R+(L−M)s)」が乗算される。
各インピーダンス項を巻線抵抗Rで除したときの微分演算子sの係数を式(8.1)、(8.2)により定義する。
Ta=(L+M)/R ・・・(8.1)
Tb=(L−M)/R ・・・(8.2)
このTaを「干渉系和時定数」といい、Tbを「干渉系差時定数」という。第3実施形態では、干渉系和時定数Ta又は干渉系差時定数Tbを「モータ802の時定数」として扱う。
和フィルタ461の時定数T3+は、式(9.1)の通り、干渉系和時定数Taより大きく設定されている。
3+>Ta(=(L+M)/R) ・・・(9.1)
差フィルタ462の時定数T3-は、式(9.2)の通り、干渉系差時定数Tbより大きく設定されている。
3->Tb(=(L−M)/R) ・・・(9.2)
ここで、Ta>Tbであるため、差フィルタ462の時定数T3-を和フィルタ461の時定数T3+と共通に、干渉系和時定数Taより大きく設定してもよい。
上記式(9.1)の境界条件における和フィルタ461の伝達関数Ga(s)、及び、式(9.2)の境界条件における差フィルタ462の伝達関数Gb(s)は、それぞれ、式(10.1)、(10.2)で表される。
Figure 2018057210
これにより、和フィルタ461及び差フィルタ462で補正されたdq軸電圧指令フィルタ値Vd1_f、Vq1_f、Vd2_f、Vq2_fを座標変換して得られる3相電圧指令フィルタ値の位相は、モータ802に流れる電流の位相に近づく。
したがって、第3実施形態は、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図11を参照して説明する。
第4実施形態の制御部654は、第1実施形態による一系統の制御装置の制御部651に対し、二系統の制御装置において各系統の3相電圧指令値を補正するフィルタ491、492を備える。第1フィルタ491は、第1系統の3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1を補正し、第2フィルタ492は、第2系統の3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2を補正する。
フィルタ491、492の時定数T4は、式(11)の通り、第3実施形態で定義した干渉系和時定数Ta(=(L+M)/R)より大きく設定されている。
4>Ta(=(L+M)/R) ・・・(11)
dq軸電圧指令値に比べ、3相電圧指令値についての系統間干渉の解析は複雑である。そこで第4実施形態では、系統間干渉を排除可能な時定数の最大値として、干渉系和時定数Taを用いる。つまり、フィルタ491、492の時定数を少なくとも干渉系和時定数Taより大きく設定することで、系統間の干渉を考慮しつつ、各系統の電圧指令フィルタ値の位相を、モータ802に流れる電流の位相に近づけることができる。
したがって、第4実施形態は、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
(その他の実施形態)
(a)上記実施形態では、3相巻線を一組、又は、二組有するモータの駆動を制御する制御装置について説明しているが、本発明は、4相以上の多相巻線を有するモータ、又は多相巻線を三組以上有するモータにも同様に適用可能である。
ただし、三組以上の多相巻線を有するモータでは、相互インダクタンスの解析が複雑となる。その場合でも、理論的、実験的に推定される最大のモータ時定数よりもフィルタの時定数を大きく設定することで上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
(b)上記実施形態の故障判定処理では、3相電圧指令フィルタ値Vu_f、Vv_f、Vw_f及び3相電流Iu、Iv、Iwをそれぞれ電圧閾値Vth及び電流閾値Ithと比較している。これに代えて、dq軸電圧指令フィルタ値Vd_f、Vq_f及びdq軸流Id、Iqに基づいて故障判定を実施してもよい。
(c)本発明の多相回転機の制御装置は、電動パワーステアリング装置に限らず、他のいかなる回転機の制御装置として適用されてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
101、102・・・ECU(制御装置)、
24、241、242、261、262・・・制御器、
49、441、442、461、462、491、492・・・フィルタ、
50、501、502・・・故障判定器、
60、601、602・・・インバータ(電力変換器)、
61−66、611−661、612−662・・・スイッチング素子、
651−654・・・制御部、
801、802・・・モータ(3相回転機、多相回転機)、
84、841、842・・・3相巻線。

Claims (5)

  1. 一組以上の多相巻線(84、841、842)を有する多相回転機(801、802)の駆動を制御する制御装置であって、
    複数のスイッチング素子(61−66、611−661、612−662)の動作により、前記一組以上の巻線に通電する一つ以上の電力変換器(60、601、602)と、
    前記多相回転機に流れる電流に基づくフィードバック制御により演算した電圧指令値を前記電力変換器に出力し、前記多相回転機に流れる電流を制御する一つ以上の制御器(24、241、242、261、262)と、
    前記制御器が出力した電圧指令値を、周波数に応じて増幅又は減衰させるフィルタ処理により補正し、電圧指令フィルタ値として出力する一つ以上のフィルタ(49、441、442、461、462、491、492)と、
    各相について、前記電圧指令フィルタ値の絶対値が電圧閾値(Vth)より大きく、且つ、前記多相回転機に流れる電流の絶対値が電流閾値(Ith)より小さいとき、前記電力変換器から前記多相巻線までの電流経路の断線故障、又は、前記スイッチング素子のオープン故障であると判定する一つ以上の故障判定器(50、501、502)と、
    を備え、
    前記フィルタの時定数は、前記多相回転機の時定数(To、Ta、Tb)より大きく設定されている多相回転機の制御装置。
  2. 互いに磁気的に結合する二組の多相巻線を有する多相回転機の駆動を制御する制御装置であって、
    前記二組の多相巻線に個別に通電可能な二つの前記電力変換器を備え、
    各巻線、各巻線に通電する前記電力変換器、及び、各巻線への通電を制御する一群の構成要素の単位を系統と定義すると、
    前記故障判定器は、系統毎に設けられ、各系統の各相について前記断線故障又は前記オープン故障を判定する請求項1に記載の多相回転機の制御装置。
  3. 前記フィルタの時定数は、
    各巻線の自己インダクタンスと二組の巻線間の相互インダクタンスとの和を各巻線の抵抗で除算して算出される干渉系和時定数(Ta)より大きく設定されている請求項2に記載の多相回転機の制御装置。
  4. 前記フィルタ(441、442)は、
    前記制御器(241、242)が出力した各系統の電圧指令値について、前記多相回転機において二組の巻線間の相互インダクタンスによる干渉電圧を除去した後の電圧値に対応する非干渉化処理前の電圧指令値を補正する請求項2に記載の多相回転機の制御装置。
  5. 前記制御器として、二系統の電流の和を制御する和制御器(261)、及び、二系統の電流の差を制御する差制御器(262)を備え、
    前記フィルタとして、前記和制御器が出力した電圧指令値の和を補正する和フィルタ(461)、及び、前記差制御器が出力した電圧指令値の差を補正する差フィルタ(462)を備え、
    前記和フィルタの時定数は、
    各巻線の自己インダクタンスと二組の巻線間の相互インダクタンスとの和を各巻線の抵抗で除算して算出される干渉系和時定数(Ta)より大きく設定されており、
    前記差フィルタの時定数は、
    各巻線の自己インダクタンスから二組の巻線間の相互インダクタンスを減じた差を各巻線の抵抗で除算して算出される干渉系差時定数(Tb)より大きく設定されている請求項2に記載の多相回転機の制御装置。
JP2016193021A 2016-09-30 2016-09-30 多相回転機の制御装置 Active JP6740842B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193021A JP6740842B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 多相回転機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193021A JP6740842B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 多相回転機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018057210A true JP2018057210A (ja) 2018-04-05
JP6740842B2 JP6740842B2 (ja) 2020-08-19

Family

ID=61837270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016193021A Active JP6740842B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 多相回転機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6740842B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021044930A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日立オートモティブシステムズ株式会社 電力変換装置、および電力変換装置の制御方法
US11018611B2 (en) 2017-04-03 2021-05-25 Denso Corporation Control apparatus for multi-phase rotating electric machine

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007244028A (ja) * 2006-03-06 2007-09-20 Jtekt Corp モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP2013031356A (ja) * 2011-06-24 2013-02-07 Mitsubishi Electric Corp モータ制御装置およびそれを用いた電動パワーステアリング装置
JP2013038950A (ja) * 2011-08-09 2013-02-21 Denso Corp 3相回転機の制御装置
JP2013230019A (ja) * 2012-04-26 2013-11-07 Denso Corp 3相回転機の制御装置
JP2014085286A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Denso Corp 断線検出装置
US20150151785A1 (en) * 2013-11-29 2015-06-04 Hyundai Mobis Co., Ltd. Method and apparatus for detecting motor error of motor driven power steering
JP2015216730A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 ファナック株式会社 モータの動力線断線、またはモータ用電力変換装置のパワー素子異常を検出するモータ制御装置
JP2015213666A (ja) * 2014-05-12 2015-12-03 株式会社東芝 洗濯機

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007244028A (ja) * 2006-03-06 2007-09-20 Jtekt Corp モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP2013031356A (ja) * 2011-06-24 2013-02-07 Mitsubishi Electric Corp モータ制御装置およびそれを用いた電動パワーステアリング装置
JP2013038950A (ja) * 2011-08-09 2013-02-21 Denso Corp 3相回転機の制御装置
JP2013230019A (ja) * 2012-04-26 2013-11-07 Denso Corp 3相回転機の制御装置
JP2014085286A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Denso Corp 断線検出装置
US20150151785A1 (en) * 2013-11-29 2015-06-04 Hyundai Mobis Co., Ltd. Method and apparatus for detecting motor error of motor driven power steering
JP2015216730A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 ファナック株式会社 モータの動力線断線、またはモータ用電力変換装置のパワー素子異常を検出するモータ制御装置
JP2015213666A (ja) * 2014-05-12 2015-12-03 株式会社東芝 洗濯機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11018611B2 (en) 2017-04-03 2021-05-25 Denso Corporation Control apparatus for multi-phase rotating electric machine
JP2021044930A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日立オートモティブシステムズ株式会社 電力変換装置、および電力変換装置の制御方法
WO2021049230A1 (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日立オートモティブシステムズ株式会社 電力変換装置、および電力変換装置の制御方法
JP7370775B2 (ja) 2019-09-10 2023-10-30 日立Astemo株式会社 電力変換装置、および電力変換装置の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6740842B2 (ja) 2020-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7990093B2 (en) Electric motor control apparatus
JP5760830B2 (ja) 3相回転機の制御装置
JP6852522B2 (ja) 多相回転機の制御装置
JP5621598B2 (ja) モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
US8710775B2 (en) Electric power steering apparatus
JP5082719B2 (ja) モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP2017169405A (ja) モータ制御装置及び操舵制御装置
US20160164278A1 (en) Electronic apparatus
JP4918870B2 (ja) モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP6428248B2 (ja) モータ制御装置
US9862409B2 (en) Electric power steering apparatus
CN112429076B (zh) 电机控制装置
JP6984399B2 (ja) 電力変換器制御装置
JP6740842B2 (ja) 多相回転機の制御装置
JP2012147531A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2005027379A (ja) モータ駆動装置
JP7006428B2 (ja) モータ制御装置
JP5927858B2 (ja) モータ制御装置及び車両の電動パワーステアリング装置
US11502632B2 (en) Motor control device and electric vehicle
JP5546754B2 (ja) 電気車制御装置
JP2019068642A (ja) 多相回転機の制御装置
JP7047056B2 (ja) モータ制御装置
JP2008312280A (ja) モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
WO2018179822A1 (ja) 誘導電動機の駆動装置
JP5590959B2 (ja) モータ駆動機構、モータ制御装置、及び、モータ駆動車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190618

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200706

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6740842

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250