本発明は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている多穴管を備える熱交換器の製造方法に関する。
従来、冷凍装置の一種である空気調和装置の室外機に用いられる熱交換器として、特許文献1(特開2010−107103号公報)に開示されるようなマイクロチャネル熱交換器が用いられている。マイクロチャネル熱交換器は、主として、複数の多穴管と、ヘッダと、伝熱フィンとから構成される。多穴管は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている扁平管である。ヘッダは、複数の多穴管の端部が接続される管である。ヘッダは、各多穴管の貫通孔に流入する冷媒、または、各多穴管の貫通孔から流出した冷媒が流れる管である。伝熱フィンは、多穴管の表面に取り付けられている。マイクロチャネル熱交換器では、多穴管内を流れる冷媒と、伝熱フィンを通過する空気との間で熱交換が行われる。
従来のマイクロチャネル熱交換器の製造工程は、ロウ付け等によって複数の多穴管をヘッダに接合する工程を含む。しかし、全ての多穴管の端部が接合される部材であるヘッダを用いるため、製造コストが高くなるという問題、および、ヘッダと多穴管との接合箇所が多いため、多穴管をヘッダに接合する加工が難しく、加工性が低いという問題がある。
本発明の目的は、低コスト化および加工性の向上を実現できる熱交換器の製造方法を提供することである。
本発明の第1観点に係る熱交換器の製造方法は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている多穴管を備える熱交換器の製造方法である。この熱交換器の製造方法は、曲げ工程と、並べ工程と、組み合わせ工程と、接合工程とを備える。曲げ工程は、多穴管を曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成して、互いに異なる折り返し部を有する複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。並べ工程は、複数の曲げ加工済み多穴管の内の一つの折り返し部が、他の曲げ加工済み多穴管の折り返し部の内側または外側に位置するように、複数の曲げ加工済み多穴管を並べる工程である。組み合わせ工程は、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管と、伝熱フィンとを組み合わせる工程である。接合工程は、組み合わせ工程の後に、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを接合する工程である。
本発明の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器は、多穴管の貫通孔を流れる冷媒と、伝熱フィンを通過する空気との間の熱交換を行うマイクロチャネル熱交換器である。従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法では、全ての多穴管の端部を、ヘッダと呼ばれる管に接合する必要がある。多穴管は、ヘッダの長手方向に直交する平面内で延びている。そのため、熱交換器が大型になるほど、ヘッダが長くなり、必要な多穴管の数が多くなるので、製造コストが高くなり、加工性が低下する。一方、第1観点に係る熱交換器の製造方法では、ヘッダの長手方向に直交する平面内で延びている多穴管の代わりに、曲げ加工済み多穴管が用いられる。曲げ加工済み多穴管は、例えば、複数の折り返し部を有することで蛇行する多穴管である。この場合、多穴管の貫通孔を流れる冷媒は、折り返し部において流れ方向を反転させながら熱交換される。そのため、熱交換器を大型化するためには、曲げ加工済み多穴管を長くして折り返し部を増やせばよく、長いヘッダを用いたり、多穴管の数を増やしたりする必要はない。従って、第1観点に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本発明の第2観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点に係る熱交換器の製造方法であって、直線化工程をさらに備える。直線化工程は、曲げ工程の前に、多穴管を直線状に延ばす工程である。
第2観点に係る熱交換器の製造方法は、例えば、コイル状に巻かれた状態で輸送された多穴管を用いる前に直線状に延ばす工程を含む。これにより、ベンダー加工機を用いて多穴管を所定の位置で曲げる工程が容易になる。従って、第2観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第3観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点または第2観点に係る熱交換器の製造方法であって、取り付け工程をさらに備える。取り付け工程は、組み合わせ工程の後、かつ、接合工程の前に、曲げ加工済み多穴管の両端部に出入り口管を取り付ける工程である。
第3観点に係る熱交換器の製造方法は、曲げ加工済み多穴管の両端部に、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに相当する管である出入り口管を取り付ける工程を含む。出入り口管は、従来のヘッダに比べて短く、かつ、出入り口管と曲げ加工済み多穴管との接合箇所の数は、従来のヘッダと多穴管との接合箇所の数より少ない。従って、第3観点に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本発明の第4観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、接合工程は、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを炉中ロウ付けにより接合する工程である。
第4観点に係る熱交換器の製造方法は、炉中ロウ付け方法を採用することで、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを接合する工程に要する時間を短縮することができる。従って、第4観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第5観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、曲げ工程は、折り返し部における曲げ加工位置の間隔が多穴管ごとに異なるように多穴管を曲げることで、複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。
第5観点に係る熱交換器の製造方法では、折り返し部における複数の曲げ加工位置の間隔が多穴管ごとに異なるように、複数の曲げ加工済み多穴管が作られる。これにより、複数の曲げ加工済み多穴管を並べる工程において、複数の曲げ加工済み多穴管が互いに接触しないように並べることができ、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを組み合わせる工程が容易になる。従って、第5観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第6観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、曲げ工程は、曲げ加工位置において共通の曲げ半径で多穴管を曲げることで、複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。
第6観点に係る熱交換器の製造方法では、全ての多穴管は、所定の曲げ加工位置において共通の曲げ半径で曲げられる。これにより、多穴管をベンダー加工機で曲げる場合に、多穴管の送り量を変更するだけで、折り返し部が互いに異なる複数の曲げ加工済み多穴管を作ることができる。従って、第6観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第7観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、伝熱フィンは、波状に形成されたコルゲートフィンである。組み合わせ工程は、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の間にコルゲートフィンを挿入する工程である。
第7観点に係る熱交換器の製造方法では、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の間にコルゲートフィンを挿入することで、複数の曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを容易に組み合わせることができる。従って、第7観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第8観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、伝熱フィンは、曲げ加工済み多穴管が挿入される差込部を有する差込フィンである。組み合わせ工程は、差込フィンの差込部に、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管を挿入する工程である。
第8観点に係る熱交換器の製造方法では、差込フィンの差込部に、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管を挿入することで、複数の曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを容易に組み合わせることができる。従って、第8観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器30を備える室外ユニット100の内部構造を示す斜視図である。
熱交換器30の概略図である。
第1伝熱管31の概略図である。
第2伝熱管32の概略図である。
第3伝熱管33の概略図である。
第4伝熱管34の概略図である。
コルゲートフィンである伝熱フィン35の外観図である。
熱交換器30の製造方法のフローチャートである。
並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34を示す図である。
変形例Cにおいて、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の外観図である。
変形例Cにおいて、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の断面図である。
変形例Dにおいて、熱交換器130の概略図である。
変形例Dにおいて、1本ずつの伝熱管131〜134からなる伝熱管ユニット140a〜140cの概略図である。
本発明の実施形態に係る熱交換器の製造方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器は、空気調和装置の室外ユニットが備えるマイクロチャネル熱交換器である。
(1)室外ユニットの構成
図1は、本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器30を備える室外ユニット100の内部構造を示す斜視図である。室外ユニット100は、冷媒回路を循環する冷媒を用いる冷凍サイクルを備える空気調和装置の構成要素である。室外ユニット100は、外部配管101,102を介して、室内ユニット(図示せず)に接続されている。以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」および「右」からなる6つの方向を、図1に示されるように定義する。図1において、鉛直方向は、上下方向である。
室外ユニット100は、主として、略直方体形状のユニットケーシング10と、圧縮機20と、熱交換器30と、ファン40とを備える。室外ユニット100は、これらの他にも、様々な機器、弁および冷媒管等を備える。
(1−1)ユニットケーシング
ユニットケーシング10は、主として、底板11と、天板12と、前板13と、側板14と、仕切板15とを有している。図1において、天板12、前板13および側板14は、二点鎖線で示されている。
底板11は、ユニットケーシング10の下側の面を構成する略長方形の板状部材である。底板11の周縁部は、上向きに折り曲げられている。底板11の外周部には、複数の固定脚11aが取り付けられている。固定脚11aは、ユニットケーシング10の前側から後側に向かって延びている。固定脚11aは、室外ユニット100を設置面に固定するための部材である。
天板12は、ユニットケーシング10の上側の面を構成する略長方形の板状部材である。天板12は、底板11と対向する部材である。
前板13は、主として、ユニットケーシング10の前側の面、および、ユニットケーシング10の右側の面の前側部分を構成する板状部材である。前板13の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。前板13には、吹出口13aが形成されている。吹出口13aは、ユニットケーシング10の外部から内部に取り込まれた室外空気を、ユニットケーシング10の外部に吹き出すための開口である。図1において、ユニットケーシング10を通過する空気の流れは、矢印A〜Cで示されている。
側板14は、主として、ユニットケーシング10の右側の面の後側部分、および、後側の面の右側部分を構成する板状部材である。側板14の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。
仕切板15は、底板11に固定される板状部材である。仕切板15は、鉛直方向に延びている。仕切板15の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。仕切板15は、ユニットケーシング10の内部空間を、熱交換室10aおよび機械室10bの2つの空間に区画する。熱交換室10aは、ユニットケーシング10の内部空間の左側の空間である。機械室10bは、ユニットケーシング10の内部空間の右側の空間である。熱交換室10aは、底板11と、天板12と、前板13と、仕切板15とによって囲まれた空間である。機械室10bは、底板11と、天板12と、前板13と、側板14と、仕切板15とによって囲まれた空間である。熱交換室10aには、主として、熱交換器30およびファン40が配置されている。機械室10bには、主として、圧縮機20が配置されている。
(1−2)圧縮機
圧縮機20は、冷凍サイクルにおいて低圧の冷媒を高圧の冷媒に圧縮する。圧縮機20は、略円筒形状の密閉型圧縮機である。圧縮機20は、室外ユニット100を鉛直方向に沿って視た場合に、機械室10bの中央部に配置されている。
(1−3)熱交換器
熱交換器30は、冷凍サイクルを循環する冷媒と、室外空気との熱交換を行う。熱交換器30は、空気調和装置の冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、空気調和装置の暖房運転時には冷媒の吸熱器として機能する。熱交換器30は、複数の伝熱管31〜34と複数の伝熱フィン35とから構成されるフィンチューブ型熱交換器である。熱交換器30は、鉛直方向に沿って視た場合に、略L字形状を有している。熱交換器30は、ユニットケーシング10の左側および後側に沿うように、送風機室S2に配置されている。熱交換器30は、ファン40の左側および後側を囲むように配置されている。熱交換器30の詳細な構成および製造方法については、後述する。
(1−4)ファン
ファン40は、ユニットケーシング10の左側および後側に形成された吸入口(図示せず)を通じて熱交換室10aに室外空気を取り込み、熱交換器30を通過させた後に、吹出口13aから吹き出す。ファン40は、例えば、プロペラファンである。ファン40は、送風機室S2に配置されている。図1において矢印A〜Cで示されている、ユニットケーシング10を通過する空気の流れにおいて、ファン40は、熱交換器30の下流側に配置されている。
(2)熱交換器の詳細な構成
図2は、熱交換器30の概略図である。図2は、図1に示されるように略L字形状に曲げられる前の平板状の熱交換器30を表している。図2では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図2において、鉛直方向は、上下方向である。図2の上側は、図1の上側に相当する。図2の下側は、図1の下側に相当する。図2において、熱交換器30の左右方向の両端部は、図1に示される室外ユニット100を鉛直方向に沿って視た場合における熱交換器30の長手方向の両端部に相当する。具体的には、図2に示される熱交換器30の左側の端部は、図1に示される熱交換器30の前側の端部に相当し、図2に示される熱交換器30の右側の端部は、図1に示される熱交換器30の後側の端部に相当する。
熱交換器30は、主として、4本の伝熱管31〜34と、複数の伝熱フィン35と、2本の出入り口管36a,36bと、2枚の管板37a,37bとを備える。以下、必要に応じて、伝熱管31〜34を、それぞれ、第1伝熱管31、第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34と呼び、出入り口管36a,36bを、それぞれ、第1出入り口管36aおよび第2出入り口管36bと呼び、管板37a,37bを、それぞれ、第1管板37aおよび第2管板37bと呼ぶ。
(2−1)伝熱管
伝熱管31〜34は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の扁平多穴管である。扁平多穴管とは、複数の貫通孔が所定の方向に並んで形成されている扁平な管である。扁平多穴管の貫通孔は、扁平多穴管の長手方向に沿って貫通する孔である。扁平多穴管は、押し出し成形等により製造される。伝熱管31〜34の貫通孔は、熱交換器30で熱交換される冷媒が通過する孔である。
伝熱管31〜34は、それぞれ、1本の扁平多穴管が所定の曲げ加工位置で曲げられて、鉛直方向に沿って蛇行するように成形されている管である。伝熱管31〜34は、互いに異なる形状を有している。図3〜6は、それぞれ、第1伝熱管31、第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34の概略図である。図3〜6では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図3〜6の上側は、図2の上側に相当する。図3〜6の下側は、図2の下側に相当する。図3〜6の左側は、図2の左側に相当する。図3〜6の右側は、図2の右側に相当する。
図3に示される第1伝熱管31について説明する。第1伝熱管31は、水平部31aと、第1折り返し部31bと、第2折り返し部31cとから構成される。水平部31a、第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cは、第1伝熱管31の長手方向における、第1伝熱管31の一部分である。図3において、第1伝熱管31は、6つの水平部31aと、3つの第1折り返し部31bと、2つの第2折り返し部31cとから構成されている。第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cは、2つの水平部31aの間の部分である。第1伝熱管31の両端部は、共に、水平部31aである。第1伝熱管31の両端部にある2つの水平部31aは、1つの第1折り返し部31bに接続されている。第1伝熱管31の両端部にある水平部31aを除く4つの水平部31aは、1つの第1折り返し部31bおよび1つの第2折り返し部31cに接続されている。
水平部31aは、鉛直方向に垂直な方向である水平方向に沿って延びている部分である。水平部31aは、その長手方向および鉛直方向に直交する方向に沿って複数の貫通孔が形成されている部分である。以下、水平部31aにおいて複数の貫通孔が並んでいる方向を幅方向と呼ぶ。図3〜6において、幅方向は、上下方向および左右方向に直交する方向である。第1伝熱管31の6つの水平部31aは、鉛直方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。水平部31aは、図1に示される熱交換器30を鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状を有する部分である。
第1折り返し部31bは、第1伝熱管31が2箇所の第1曲げ加工位置31dで曲げられている部分である。第1折り返し部31bの2箇所の第1曲げ加工位置31dでは、所定の曲げ半径Rで第1伝熱管31が同じ側に90°曲げられている。すなわち、第1折り返し部31b全体では、第1伝熱管31は180°曲げられて、折り返されている。そのため、第1折り返し部31bの両側の2つの水平部31aは、互いに平行である。第1折り返し部31bにおいて、2箇所の第1曲げ加工位置31dの間の部分は、鉛直方向に沿って延びている。
第2折り返し部31cは、第1伝熱管31が2箇所の第2曲げ加工位置31eで曲げられている部分である。第2折り返し部31cの2箇所の第2曲げ加工位置31eでは、所定の曲げ半径Rで第1伝熱管31が同じ側に90°曲げられている。すなわち、第2折り返し部31c全体では、第1伝熱管31は180°曲げられて、折り返されている。そのため、第2折り返し部31cの両側の2つの水平部31aは、互いに平行である。第2折り返し部31cにおいて、2箇所の第2曲げ加工位置31eの間の部分は、鉛直方向に沿って延びている。
第2折り返し部31cでは、第1折り返し部31bとは反対側に折り返されている。そのため、第1伝熱管31は、第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cで折り返されながら蛇行している。第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34は、図4〜6に示されるように、第1伝熱管31と同様に蛇行している。
図4に示されるように、第2伝熱管32は、6つの水平部32aと、3つの第1折り返し部32bと、2つの第2折り返し部32cとを有している。第1折り返し部32bでは、2箇所の第1曲げ加工位置32dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部32cでは、2箇所の第2曲げ加工位置32eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部32cでは、第1折り返し部32bとは反対側に折り返されている。
図5に示されるように、第3伝熱管33は、6つの水平部33aと、3つの第1折り返し部33bと、2つの第2折り返し部33cとを有している。第1折り返し部33bでは、2箇所の第1曲げ加工位置33dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部33cでは、2箇所の第2曲げ加工位置33eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部33cでは、第1折り返し部33bとは反対側に折り返されている。
図6に示されるように、第4伝熱管34は、6つの水平部34aと、3つの第1折り返し部34bと、2つの第2折り返し部34cとを有している。第1折り返し部34bでは、2箇所の第1曲げ加工位置34dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部34cでは、2箇所の第2曲げ加工位置34eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部34cでは、第1折り返し部34bとは反対側に折り返されている。
図2に示されるように、伝熱管31〜34は、それぞれ互いに接触しないように配置されている。伝熱管31〜34の水平部31a〜34aは、鉛直方向に沿って等間隔に配置されている。伝熱管31〜34の第1曲げ加工位置31d〜34dおよび第2曲げ加工位置31e〜34eにおける曲げ半径Rは、全て同じである。
(2−2)伝熱フィン
伝熱フィン35は、伝熱管31〜34の水平部31a〜34aの表面に接触するように配置されている。具体的には、伝熱フィン35は、水平部31a〜34aの上側および下側の少なくとも一方の表面に接触している。伝熱フィン35は、鉛直方向に隣り合う2つの水平部31a〜34aの間に配置されている。
図2において、最も上側に位置する水平部31aの上方には、上側枠板38aが配置されている。上側枠板38aは、水平部31aと平行に配置される細長い板である。最も上側に位置する水平部31aと、上側枠板38aとの間には、伝熱フィン35が配置されている。同様に、最も下側に位置する水平部31aの下方には、下側枠板38bが配置されている。下側枠板38bは、水平部31aと平行に配置される細長い板である。最も下側に位置する水平部31aと、下側枠板38bとの間には、伝熱フィン35が配置されている。
伝熱フィン35は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のコルゲートフィンである。図7は、コルゲートフィンである伝熱フィン35の外観図である。図7では、第1伝熱管31の水平部31aと第2伝熱管32の水平部32aとの間に位置している伝熱フィン35、および、第2伝熱管32の水平部32aと第3伝熱管33の水平部33aとの間に位置している伝熱フィン35が示されている。図7には、伝熱管31〜33の水平部31a〜33aの断面が示され、水平部31a〜33aに形成されている貫通孔39が示されている。貫通孔39は、水平部31a〜33aの幅方向に沿って並んでいる。
伝熱フィン35は、水平部31a〜34aの長手方向に沿って板状素材が波状に折り曲げられることによって形成されている。伝熱フィン35の幅方向の寸法は、少なくとも、水平部31a〜34aの幅方向の寸法より長い。
伝熱フィン35は、伝熱管31〜34の水平部31a〜34a内部の貫通孔39を流れる冷媒と熱交換される室外空気を導くための部材である。伝熱フィン35を通過する室外空気は、水平部31a〜34aの幅方向に沿って流れる。
(2−3)出入り口管
出入り口管36a,36bは、図2に示されるように、伝熱管31〜34の両端部に取り付けられている。出入り口管36a,36bは、鉛直方向に沿って配置されている管である。第1出入り口管36aは、伝熱管31〜34の上側の端部に取り付けられている。第2出入り口管36bは、伝熱管31〜34の下側の端部に取り付けられている。出入り口管36a,36bの内部空間は、伝熱管31〜34の貫通孔39と連通している。第1出入り口管36aは、第1冷媒配管50aに接続されている。第2出入り口管36bは、第2冷媒配管50bに接続されている。第1冷媒配管50aおよび第2冷媒配管50bは、熱交換器30に接続される、冷媒回路の配管である。
第1冷媒配管50aを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒は、第1出入り口管36aに供給され、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39に流入する。伝熱管31〜34の貫通孔39を流れる冷媒は、伝熱フィン35を通過する室外空気と熱交換される。熱交換された冷媒は、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39から、第2出入り口管36bに供給され、第2冷媒配管50bに流入する。なお、第2冷媒配管50bを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒が、第2出入り口管36bに供給され、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39で熱交換された後に、第1出入り口管36aに供給され、第1冷媒配管50aに流入してもよい。
(2−4)管板
管板37a,37bは、伝熱フィン35を支持するための部材である。図2に示されるように、管板37a,37bは、伝熱フィン35の長手方向の両端部と接触するように配置されている。
管板37a,37bは、伝熱管31〜34が通過する開口または切り欠きを有している。伝熱管31〜34は、溶接等によって、管板37a,37bに固定されている。管板37a,37bは、ネジ留め等によって、室外ユニット100のユニットケーシング10に固定されている。
管板37a,37bは、鉛直方向に延びている細長い板である。第1管板37aは、図2に示される熱交換器30の左側端部に取り付けられている。第2管板37bは、図2に示される熱交換器30の右側端部に取り付けられている。上側枠板38aは、溶接等によって、第1管板37aの上端部および第2管板37bの上端部に固定されている。下側枠板38bは、溶接等によって、第1管板37aの下端部および第2管板37bの下端部に固定されている。
伝熱管31〜34の両端部は、第2管板37bの開口または切り欠きを通過している。伝熱管31〜34が延びる方向において、第2管板37bは、伝熱フィン35と出入り口管36a,36bとの間に位置している。
(3)熱交換器の製造方法
図8は、熱交換器30の製造方法のフローチャートである。熱交換器30は、曲げ工程S1、並べ工程S2、組み合わせ工程S3、取り付け工程S4、接合工程S5および成形工程S6を経て製造される。
(3−1)曲げ工程
曲げ工程S1は、図3〜6に示されるように蛇行している伝熱管31〜34を作る工程である。具体的には、曲げ工程S1では、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している伝熱管31〜34が形成される。
直線状の扁平多穴管を曲げる工程は、ベンダー加工装置を用いて行われる。ベンダー加工装置は、主として、搬送部と、曲げ加工部とを備える。搬送部は、扁平多穴管が搬送される距離である送り量を制御することで、ベンダー加工装置の内部において扁平多穴管を搬送して任意の位置に配置する。曲げ加工部は、搬送部によって配置された扁平多穴管を、所定の曲げ加工位置において所定の曲げ半径でR形状に曲げる。搬送部および曲げ加工部は、コンピュータによって制御される。
ベンダー加工装置を用いる場合、扁平多穴管から形成される伝熱管31〜34の種類ごとに、扁平多穴管を曲げる加工を行うことが好ましい。例えば、ベンダー加工装置を用いて、最初に、所定の数の扁平多穴管を第1伝熱管31に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第2伝熱管32に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第3伝熱管33に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第4伝熱管34に加工することが好ましい。
次に、図3〜6に示される伝熱管31〜34の詳細な寸法について説明する。伝熱管31〜34は、互いに異なる形状を有している。具体的には、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cの形状は、伝熱管31〜34ごとに異なっている。より具体的には、第1折り返し部31b〜34bの2つの第1曲げ加工位置31d〜34dの間隔、および、第2折り返し部31c〜34cの2つの第2曲げ加工位置31e〜34eの間隔は、伝熱管31〜34ごとに異なっている。
伝熱管31〜34に関して、図3〜6に示される寸法を以下のように定義する。寸法H1aは、第1伝熱管31の第1折り返し部31bと接続される2つの水平部31aの間の鉛直方向の距離である。寸法H1bは、第1伝熱管31の第2折り返し部31cと接続される2つの水平部31aの間の鉛直方向の距離である。寸法H2aは、第2伝熱管32の第1折り返し部32bと接続される2つの水平部32aの間の鉛直方向の距離である。寸法H2bは、第2伝熱管32の第2折り返し部32cと接続される2つの水平部32aの間の鉛直方向の距離である。寸法H3aは、第3伝熱管33の第1折り返し部33bと接続される2つの水平部33aの間の鉛直方向の距離である。寸法H3bは、第3伝熱管33の第2折り返し部33cと接続される2つの水平部33aの間の鉛直方向の距離である。寸法H4aは、第4伝熱管34の第1折り返し部34bと接続される2つの水平部34aの間の鉛直方向の距離である。寸法H4bは、第4伝熱管34の第2折り返し部34cと接続される2つの水平部34aの間の鉛直方向の距離である。寸法L0は、図3〜6において、水平部31a〜34aの長手方向における、第1折り返し部31b〜34bの左端から、第2折り返し部31c〜34cの右端までの距離である。全ての伝熱管31〜34は、同じ寸法L0を有する。寸法L1〜L4は、それぞれ、図3〜6において、水平部31a〜34aの長手方向における、第1折り返し部31b〜34bの左端から、最も上側または最も下側に位置する水平部31aの右端までの距離である。図3〜6に示される寸法は、次の式(1)〜(7)で表される関係を満たす。
(数1)
H1a>H2a>H3a>H4a ・・・(1)
H1b<H2b<H3b<H4b ・・・(2)
H1a=H4b ・・・(3)
H1b=H4a ・・・(4)
H2a=H3b ・・・(5)
H2b=H3a ・・・(6)
L0>L1>L2>L3>L4 ・・・(7)
以下、曲げ工程S1において扁平多穴管から形成された伝熱管31〜34を、それぞれ、曲げ加工済み多穴管31〜34と呼ぶ。また、必要に応じて、曲げ加工済み多穴管31〜34を、それぞれ、第1曲げ加工済み多穴管31、第2曲げ加工済み多穴管32、第3曲げ加工済み多穴管33および第4曲げ加工済み多穴管34と呼ぶ。
(3−2)並べ工程
並べ工程S2は、曲げ工程S1で形成された曲げ加工済み多穴管31〜34を並べる工程である。具体的には、並べ工程S2では、4つの曲げ加工済み多穴管31〜34の内の1つの第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが、それぞれ、他の曲げ加工済み多穴管31〜34の第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cの内側または外側に位置するように、曲げ加工済み多穴管31〜34が並べられる。ここで、外側とは、水平部31a〜34aの長手方向中央部から見て長手方向両端部の側であり、内側とは、水平部31a〜34aの長手方向両端部から見て長手方向中央部の側である。図9は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34を示す図である。図9では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図9の上側は、図2の上側に相当する。図9の下側は、図2の下側に相当する。図9の左側は、図2の左側に相当する。図9の右側は、図2の右側に相当する。図9において、曲げ加工済み多穴管31〜34は、水平部31a〜34aの幅方向が鉛直方向に沿うように、水平面上に置かれている。
次に、図9に示される並べられた4つの曲げ加工済み多穴管31〜34の位置関係について説明する。
第1曲げ加工済み多穴管31の第1折り返し部31bの内側には、第2曲げ加工済み多穴管32の第1折り返し部32bが位置している。第2曲げ加工済み多穴管32の第1折り返し部32bの内側には、第3曲げ加工済み多穴管33の第1折り返し部33bが位置している。第3曲げ加工済み多穴管33の第1折り返し部33bの内側には、第4曲げ加工済み多穴管34の第1折り返し部34bが位置している。これらの位置関係を満たす並べ方は、上記の式(1)の関係式により可能となる。
第1曲げ加工済み多穴管31の第2折り返し部31cの外側には、第2曲げ加工済み多穴管32の第2折り返し部32cが位置している。第2曲げ加工済み多穴管32の第2折り返し部32cの外側には、第3曲げ加工済み多穴管33の第2折り返し部33cが位置している。第3曲げ加工済み多穴管33の第2折り返し部33cの外側には、第4曲げ加工済み多穴管34の第2折り返し部34cが位置している。これらの位置関係を満たす並べ方は、上記の式(2)の関係式により可能となる。
曲げ加工済み多穴管31〜34は、図9に示されるように、積層方向において隣り合う2つの水平部31a〜34aの間の距離H0が全て等しくなるように並べられている。積層方向とは、図9において上下方向であり、水平部31a〜34aの幅方向および長手方向に直交する方向である。この位置関係を満たす並べ方は、上記の式(3)〜(6)の関係式により可能となる。
曲げ加工済み多穴管31〜34は、図9に示されるように、端部がそろうように並べられている。すなわち、水平部31a〜34aの長手方向において、曲げ加工済み多穴管31〜34の端部は同じ位置にある。この位置関係を満たす並べ方は、上記の式(7)の関係式により可能となる。
図9に示されるように、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34は、互いに接触していない。
(3−3)組み合わせ工程
組み合わせ工程S3は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34と、伝熱フィン35とを組み合わせる工程である。伝熱フィン35は、図7に示されるようなコルゲートフィンである。この場合、組み合わせ工程S3では、図9に示されるように並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34の水平部31a〜34aの間に、伝熱フィン35が挿入される。
(3−4)取り付け工程
取り付け工程S4は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34に、出入り口管36a,36bおよび管板37a,37bを取り付ける工程である。
取り付け工程S4では、最初に、図9に示される曲げ加工済み多穴管31〜34の左右方向の両端部に管板37a,37bが取り付けられる。このとき、上側枠板38aおよび下側枠板38bが、管板37a,37bに取り付けられる。管板37a,37bは、曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが通過するための開口および切り欠きを有している。
取り付け工程S4では、次に、図9に示される曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部に出入り口管36a,36bが取り付けられる。出入り口管36a,36bは、曲げ加工済み多穴管31〜34の端部が嵌め込まれる開口を有している。
取り付け工程S4の終了後、図2に示されるような、熱交換器30の仮組体が形成される。
(3−5)接合工程
接合工程S5は、取り付け工程S4の後において、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを接合する工程である。接合工程S5では、取り付け工程S4で組み立てられた熱交換器30の仮組体がロウ付け炉に投入されて、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とがロウ付け接合される。接合工程S5では、同時に、曲げ加工済み多穴管31〜34と管板37a,37bとがロウ付け接合され、曲げ加工済み多穴管31〜34と出入り口管36a,36bとがロウ付け接合される。これらのロウ付け接合では、接合工程S5の前に接合箇所の周辺に予め配置されたアルミロウ材が用いられる。炉中ロウ付けでは、アルミロウ材が溶けて、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35との間、曲げ加工済み多穴管31〜34と出入り口管36a,36bとの間、および、曲げ加工済み多穴管31〜34と管板37a,37bとの間がロウ付け接合される。炉中ロウ付けにおいて、炉内の温度は、例えば、約610℃に保持されるように制御される。
(3−6)成形工程
成形工程S6は、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体を、略L字形状に曲げる工程である。成形工程S6によって、図2に示されるような平板状の熱交換器30から、図1に示されるような略L字形状の熱交換器30が形成される。
(4)特徴
本実施形態の熱交換器30の製造方法によって製造される熱交換器30は、扁平多穴管である伝熱管31〜34の貫通孔を流れる冷媒と、伝熱フィン35を通過する室外空気との間の熱交換を行うマイクロチャネル熱交換器である。
従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法では、全ての扁平多穴管の端部を、ヘッダと呼ばれる管に接合する必要がある。扁平多穴管は、直線状であり、ヘッダの長手方向に沿って積層され、ヘッダの長手方向に直交する平面内において延びている。そのため、熱交換器が大型になるほど、必要な扁平多穴管の数が多くなり、ヘッダが長くなるので、製造コストが高くなる。また、ヘッダと扁平多穴管との接合箇所が増えるため、ロウ付け接合が困難になり、加工性が低下する。
一方、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、ヘッダの長手方向に直交する平面内において延びている直線状の扁平多穴管の代わりに、図3〜6に示されるような曲げ加工済み多穴管31〜34が用いられる。曲げ加工済み多穴管31〜34は、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが形成されることにより、蛇行している扁平多穴管である。この場合、曲げ加工済み多穴管31〜34の貫通孔を流れる冷媒は、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cで流れ方向を変えながら熱交換される。曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部は、出入り口管36a,36bに接続される。図2に示されるように、出入り口管36a,36bの長さは、熱交換器30の鉛直方向の寸法に比べて短い。なぜなら、出入り口管36a,36bの長さは、曲げ加工済み多穴管31〜34の数に依存し、熱交換器30の鉛直方向の寸法に依存しないからである。
そのため、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、熱交換器30を大型化するためには、曲げ加工済み多穴管31〜34の鉛直方向の寸法を長くすればよく、熱交換器30の寸法に合わせた長いヘッダを用いたり、使用する扁平多穴管の数を増やしたりする必要はない。曲げ加工済み多穴管31〜34の鉛直方向の寸法を長くするためには、より長い曲げ加工済み多穴管31〜34を用いて、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cを増やせばよい。
以上より、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法と比較して、全ての扁平多穴管と接合される長いヘッダを使用する必要がない。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部に、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに相当する管である出入り口管36a,36bを取り付ける工程を含む。出入り口管36a,36bは、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに比べて短く、かつ、出入り口管36a,36bと曲げ加工済み多穴管31〜34との接合箇所の数は、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダと扁平多穴管との接合箇所の数より少ない。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、接合工程S5において炉中ロウ付け方法を採用することで、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを接合する工程に要する時間を短縮することができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、第1折り返し部31b〜34bにおける2つの第1曲げ加工位置31d〜34dの間隔、および、第2折り返し部31c〜34cにおける2つの第2曲げ加工位置31e〜34eの間隔が、曲げ加工済み多穴管31〜34ごとに異なるように、曲げ工程S1において曲げ加工済み多穴管31〜34が作られる。これにより、並べ工程S2において曲げ加工済み多穴管31〜34を並べる際に、曲げ加工済み多穴管31〜34が互いに接触しないように容易に並べることができ、かつ、組み合わせ工程S3において曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを容易に組み合わせることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、曲げ工程S1において、扁平多穴管は、所定の第1曲げ加工位置31d〜34dおよび第2曲げ加工位置31e〜34eにおいて共通の曲げ半径Rで曲げられる。これにより、ベンダー加工機を用いて扁平多穴管をR形状に曲げる場合、曲げ加工済み多穴管31〜34ごとに扁平多穴管の送り量を調整するだけで、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが互いに異なる曲げ加工済み多穴管31〜34を容易に作ることができる。すなわち、共通のベンダー加工機を用いて、扁平多穴管から曲げ加工済み多穴管31〜34を作ることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、組み合わせ工程S3において、図9に示されるように、積層方向において隣り合う2つの水平部31a〜34aの間にコルゲートフィンである伝熱フィン35を挿入することで、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを容易に組み合わせることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5)変形例
本発明の具体的構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本発明の実施形態の適用可能な変形例について説明する。
(5−1)変形例A
実施形態の熱交換器30の製造方法は、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している曲げ加工済み多穴管31〜34を形成する曲げ工程S1を含む。しかし、曲げ工程S1で加工される前の扁平多穴管が直線状に延びていない場合、曲げ工程S1を行う前に、直線化工程をさらに行ってもよい。
直線化工程は、直線状に延びていない扁平多穴管を、直線状に延ばす工程である。例えば、コイル状に巻かれた状態で輸送された扁平多穴管を用いて熱交換器30を製造する場合、曲げ工程S1を行う前に、直線化工程において、コイル状に巻かれた扁平多穴管を予め直線状に延ばしておくことが好ましい。これにより、曲げ工程S1において、ベンダー加工装置を用いて扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げやすくなる。従って、直線化工程によって、熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5−2)変形例B
実施形態の熱交換器30の製造方法では、図3〜6に示されるように、曲げ工程S1で形成された曲げ加工済み多穴管31〜34は、それぞれ、6つの水平部31a〜34aと、3つの第1折り返し部31b〜34bと、2つの第2折り返し部31c〜34cとを有している。しかし、水平部31a〜34aの数、第1折り返し部31b〜34bの数、第2折り返し部31c〜34cの数、および、図3〜6に示される各寸法は、熱交換器30のサイズ等に合わせて適宜に設定することができる。
(5−3)変形例C
実施形態の熱交換器30の製造方法は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34と、伝熱フィン35とを組み合わせる組み合わせ工程S3を含む。伝熱フィン35は、図7に示されるようなコルゲートフィンである。
しかし、伝熱フィン35は、コルゲートフィン以外のフィンであってもよい。例えば、伝熱フィン35は、差込フィンであってもよい。図10は、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の外観図である。図11は、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の断面図である。
差込フィン135は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱フィンである。差込フィン135は、扁平多穴管Wの表面に接している。差込フィン135は、図10および図11に示されるように、複数の差込部135aが形成されている伝熱フィンである。差込部135aは、扁平多穴管Wの断面形状とほぼ一致する形状を有する細長い切り欠き部である。差込フィン135の各差込部135aには、1つの扁平多穴管Wが、その幅方向に沿って差し込まれる。扁平多穴管Wの幅方向は、図11に示されるように、扁平多穴管Wの複数の貫通孔139が並んでいる方向である。
本変形例の熱交換器30の製造方法は、実施形態の熱交換器30の製造方法と比較して、組み合わせ工程S3が異なっている。本変形例の組み合わせ工程S3では、最初に、水平面に差込フィン135が配置される。このとき、差込フィン135は、差込部135aの開口が上側を向くように配置される。次に、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34が持ち上げられ、曲げ加工済み多穴管31〜34の水平部31a〜34aが、差込フィン135の差込部135aに上方から差し込まれて挿入される。これにより、曲げ加工済み多穴管31〜34と差込フィン135とを容易に組み合わせることができる。従って、本変形例の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5−4)変形例D
実施形態の熱交換器30の製造方法は、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している曲げ加工済み多穴管31〜34を形成する曲げ工程S1を含む。しかし、曲げ工程S1では、図3〜6に示されるような蛇行している形状以外の形状となるように、扁平多穴管が曲げられてもよい。
図12は、本変形例の熱交換器130の概略図である。図12では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図12において、鉛直方向は、上下方向である。熱交換器130は、主として、伝熱管131〜134と、伝熱フィン135と、ヘッダ136と、管板137a,137bとを備えている。伝熱管131〜134は、3本の第1伝熱管131、3本の第2伝熱管132、3本の第3伝熱管133、および、3本の第4伝熱管134から構成される。図12に示されるように、熱交換器130では、1本ずつの伝熱管131〜134からなる伝熱管ユニット140a〜140cが鉛直方向に沿って3つ配置されている。図13は、伝熱管ユニット140a〜140cの概略図である。図13では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図13の上側は、図12の上側に相当する。図13の下側は、図12の下側に相当する。図13の左側は、図12の左側に相当する。図13の右側は、図12の右側に相当する。
伝熱管131〜134は、略U字形状を有している。伝熱管131〜134は、実施形態の伝熱管31〜34の変形例であって、2つの水平部131a〜134aと、1つの折り返し部131b〜134bとから構成される。折り返し部131b〜134bの両端部は、水平部131a〜134aに接続されている。折り返し部131b〜134bは、実施形態の第1折り返し部31b〜34bと同様に、伝熱管131〜134が180°曲げられて折り返されている部分である。熱交換器130の製造方法の曲げ工程S1では、直線状の扁平多穴管が曲げられて、伝熱管131〜134が形成される。
伝熱管131〜134は、実施形態の伝熱管31〜34と同様に、互いに異なる形状を有している。具体的には、実施形態の伝熱管31〜34の第1折り返し部31b〜34bと同様に、伝熱管131〜134の折り返し部131b〜134bの鉛直方向の寸法が互いに異なっている。これにより、熱交換器130の製造方法の並べ工程S2において、図13に示されるように、4つの伝熱管131〜134の内の一つの折り返し部131b〜134bが、他の伝熱管131〜134の折り返し部131b〜134bの内側または外側に位置するように、伝熱管131〜134を並べることができる。
伝熱フィン135は、伝熱管131〜134の水平部131a〜134aの間に嵌め込まれるフィンである。伝熱フィン135は、例えば、実施形態で用いられるコルゲートフィンである。この場合、熱交換器130の製造方法の組み合わせ工程S3において、鉛直方向において隣り合う2つの水平部131a〜134aの間に、伝熱フィン135が挿入される。
また、図12において、最も上側に位置する水平部131aの上方には、上側枠板138aが配置されている。上側枠板138aは、水平部131aと平行に配置される細長い板である。最も上側に位置する水平部131aと、上側枠板138aとの間には、伝熱フィン135が配置されている。同様に、最も下側に位置する水平部131aの下方には、下側枠板138bが配置されている。下側枠板138bは、水平部131aと平行に配置される細長い板である。最も下側に位置する水平部131aと、下側枠板138bとの間には、伝熱フィン135が配置されている。
ヘッダ136は、熱交換器130の片側のみに取り付けられる管である。図12では、ヘッダ136は、右側の端部に取り付けられている。ヘッダ136は、鉛直方向に延びる管である。ヘッダ136の長さは、熱交換器130の鉛直方向の寸法にほぼ等しい。ヘッダ136の内部空間は、鉛直方向に沿って上方から、第1ヘッダ空間136a、第2ヘッダ空間136b、第3ヘッダ空間136cおよび第4ヘッダ空間136dの4つに区画されている。第1ヘッダ空間136aおよび第4ヘッダ空間136dは、実施形態の出入り口管36a,36bの内部空間に相当する。第1ヘッダ空間136aは、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134を介して、第2ヘッダ空間136bと連通している。第2ヘッダ空間136bは、伝熱管ユニット140bの伝熱管131〜134を介して、第3ヘッダ空間136cと連通している。第3ヘッダ空間136cは、伝熱管ユニット140cの伝熱管131〜134を介して、第4ヘッダ空間136dと連通している。すなわち、第1ヘッダ空間136aは、伝熱管ユニット140a〜140cの12本の伝熱管131〜134、第2ヘッダ空間136bおよび第3ヘッダ空間136cを介して、第4ヘッダ空間136dと連通している。本変形例の熱交換器130のような熱交換器において、ヘッダ136の内部空間が鉛直方向に沿って区画されて形成されるヘッダ空間136a〜136dの数は、伝熱管ユニット140a〜140cの数より1だけ多い。
ヘッダ136の第1ヘッダ空間136aは、第1冷媒配管150aに接続されている。ヘッダ136の第4ヘッダ空間136dは、第2冷媒配管150bに接続されている。第1冷媒配管150aおよび第2冷媒配管150bは、熱交換器130に接続される、冷媒回路の配管である。
管板137a,137bは、伝熱フィン135の長手方向の両端部を支持し、伝熱管131〜134が通過する開口または切り欠きを有する。熱交換器130の製造方法の取り付け工程S4では、伝熱管131〜134に、ヘッダ136および管板137a,137bが取り付けられる。このとき、上側枠板138aおよび下側枠板138bが、管板137a,137bに取り付けられる。
第1冷媒配管150aを流れている、熱交換器130において熱交換される前の冷媒は、第1ヘッダ空間136aに供給され、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔に流入する。伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる冷媒は、伝熱フィン135を通過する室外空気と熱交換される。熱交換された冷媒は、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔から、第2ヘッダ空間136bに供給される。同様に、第2ヘッダ空間136bに供給された冷媒は、伝熱管ユニット140bの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる過程で熱交換されて、第3ヘッダ空間136cに供給される。同様に、第3ヘッダ空間136cに供給された冷媒は、伝熱管ユニット140cの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる過程で熱交換されて、第4ヘッダ空間136dに供給され、第2冷媒配管150bに流入する。なお、第2冷媒配管150bを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒が、第4ヘッダ空間136dに供給され、伝熱管ユニット140a〜140cの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔で熱交換された後に、第1ヘッダ空間136aに供給され、第1冷媒配管150aに流入してもよい。
熱交換器130の製造方法は、実施形態の熱交換器30の製造方法と基本的に同じである。しかし、図12に示される3つの伝熱管ユニット140a〜140cは、互いに独立している。そのため、並べ工程S2において伝熱管131〜134を並べ終わった後に、取り付け工程S4においてヘッダ136および管板137a,137bを伝熱管131〜134に取り付けて、伝熱管ユニット140a〜140c同士を連結した後に、組み合わせ工程S3において伝熱管131〜134と伝熱フィン135とを組み合わせてもよい。
本変形例では、組み合わせ工程S3において、並べられた伝熱管131〜134の水平部131a〜134aの間に、コルゲートフィンである伝熱フィン135を挿入することで、伝熱管131〜134と伝熱フィン135とを容易に組み合わせることができる。従って、本変形例の熱交換器130の製造方法は、加工性の向上を実現できる。なお、他の変形例は、本変形例の熱交換器130の製造方法に適用可能である。
(5−5)変形例E
実施形態の熱交換器30の製造方法は、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体を、鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状となるように曲げる成形工程S6を含む。成形工程S6によって、図2に示されるような平板状の熱交換器30から、図1に示されるような略L字形状の熱交換器30が形成される。
しかし、成形工程S6では、熱交換器30の仮組体が、鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状以外の形状となるように曲げられてもよい。例えば、成形工程S6では、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体が、鉛直方向に沿って視た場合に略U字形状となるように曲げられてもよい。
(5−6)変形例F
実施形態の熱交換器30の製造方法は、空気調和装置の室外ユニット100の構成要素である熱交換器30の製造に用いられる。しかし、実施形態の製造方法は、熱交換器30の製造に限定されるものではない。例えば、実施形態の製造方法は、空気調和装置の室内ユニットの構成要素である熱交換器の製造、および、他の冷凍装置に用いられる熱交換器の製造に用いられてもよい。
本発明に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
30 熱交換器
31〜34 伝熱管(曲げ加工済み多穴管)
31b〜34b 第1折り返し部(折り返し部)
31c〜34c 第2折り返し部(折り返し部)
31d〜34d 第1曲げ加工位置(曲げ加工位置)
31e〜34e 第2曲げ加工位置(曲げ加工位置)
35 コルゲートフィン(伝熱フィン)
36a 第1出入り口管(出入り口管)
36b 第2出入り口管(出入り口管)
135 差込フィン(伝熱フィン)
135a 差込部
本発明は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている多穴管を備える熱交換器の製造方法に関する。
従来、冷凍装置の一種である空気調和装置の室外機に用いられる熱交換器として、特許文献1(特開2010−107103号公報)に開示されるようなマイクロチャネル熱交換器が用いられている。マイクロチャネル熱交換器は、主として、複数の多穴管と、ヘッダと、伝熱フィンとから構成される。多穴管は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている扁平管である。ヘッダは、複数の多穴管の端部が接続される管である。ヘッダは、各多穴管の貫通孔に流入する冷媒、または、各多穴管の貫通孔から流出した冷媒が流れる管である。伝熱フィンは、多穴管の表面に取り付けられている。マイクロチャネル熱交換器では、多穴管内を流れる冷媒と、伝熱フィンを通過する空気との間で熱交換が行われる。
従来のマイクロチャネル熱交換器の製造工程は、ロウ付け等によって複数の多穴管をヘッダに接合する工程を含む。しかし、全ての多穴管の端部が接合される部材であるヘッダを用いるため、製造コストが高くなるという問題、および、ヘッダと多穴管との接合箇所が多いため、多穴管をヘッダに接合する加工が難しく、加工性が低いという問題がある。
本発明の目的は、低コスト化および加工性の向上を実現できる熱交換器の製造方法を提供することである。
本発明の第1観点に係る熱交換器の製造方法は、冷媒が通過する複数の貫通孔が並んで形成されている多穴管を備える熱交換器の製造方法である。この熱交換器の製造方法は、曲げ工程と、並べ工程と、組み合わせ工程と、接合工程とを備える。曲げ工程は、多穴管を曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成して、互いに異なる折り返し部を有する複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。並べ工程は、複数の曲げ加工済み多穴管の内の一つの折り返し部が、他の曲げ加工済み多穴管の折り返し部の内側または外側に位置するように、複数の曲げ加工済み多穴管を並べる工程である。組み合わせ工程は、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管と、伝熱フィンとを組み合わせる工程である。接合工程は、組み合わせ工程の後に、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを接合する工程である。
本発明の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器は、多穴管の貫通孔を流れる冷媒と、伝熱フィンを通過する空気との間の熱交換を行うマイクロチャネル熱交換器である。従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法では、全ての多穴管の端部を、ヘッダと呼ばれる管に接合する必要がある。多穴管は、ヘッダの長手方向に直交する平面内で延びている。そのため、熱交換器が大型になるほど、ヘッダが長くなり、必要な多穴管の数が多くなるので、製造コストが高くなり、加工性が低下する。一方、第1観点に係る熱交換器の製造方法では、ヘッダの長手方向に直交する平面内で延びている多穴管の代わりに、曲げ加工済み多穴管が用いられる。曲げ加工済み多穴管は、例えば、複数の折り返し部を有することで蛇行する多穴管である。この場合、多穴管の貫通孔を流れる冷媒は、折り返し部において流れ方向を反転させながら熱交換される。そのため、熱交換器を大型化するためには、曲げ加工済み多穴管を長くして折り返し部を増やせばよく、長いヘッダを用いたり、多穴管の数を増やしたりする必要はない。従って、第1観点に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本発明の第2観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点に係る熱交換器の製造方法であって、直線化工程をさらに備える。直線化工程は、曲げ工程の前に、多穴管を直線状に延ばす工程である。
第2観点に係る熱交換器の製造方法は、例えば、コイル状に巻かれた状態で輸送された多穴管を用いる前に直線状に延ばす工程を含む。これにより、ベンダー加工機を用いて多穴管を所定の位置で曲げる工程が容易になる。従って、第2観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第3観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点または第2観点に係る熱交換器の製造方法であって、取り付け工程をさらに備える。取り付け工程は、組み合わせ工程の後、かつ、接合工程の前に、曲げ加工済み多穴管の両端部に出入り口管を取り付ける工程である。
第3観点に係る熱交換器の製造方法は、曲げ加工済み多穴管の両端部に、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに相当する管である出入り口管を取り付ける工程を含む。出入り口管は、従来のヘッダに比べて短く、かつ、出入り口管と曲げ加工済み多穴管との接合箇所の数は、従来のヘッダと多穴管との接合箇所の数より少ない。従って、第3観点に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本発明の第4観点に係る熱交換器の製造方法は、第3観点に係る熱交換器の製造方法であって、出入り口管の長手方向は、並べ工程において並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の積層方向であり、かつ、出入り口管の長手方向の寸法は、並べ工程において並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の長手方向の寸法よりも短い。
本発明の第5観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、接合工程は、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを炉中ロウ付けにより接合する工程である。
第5観点に係る熱交換器の製造方法は、炉中ロウ付け方法を採用することで、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを接合する工程に要する時間を短縮することができる。従って、第5観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第6観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、曲げ工程は、折り返し部における曲げ加工位置の間隔が多穴管ごとに異なるように多穴管を曲げることで、複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。
第6観点に係る熱交換器の製造方法では、折り返し部における複数の曲げ加工位置の間隔が多穴管ごとに異なるように、複数の曲げ加工済み多穴管が作られる。これにより、複数の曲げ加工済み多穴管を並べる工程において、複数の曲げ加工済み多穴管が互いに接触しないように並べることができ、曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを組み合わせる工程が容易になる。従って、第6観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第7観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、曲げ工程は、曲げ加工位置において共通の曲げ半径で多穴管を曲げることで、複数の曲げ加工済み多穴管を作る工程である。
第7観点に係る熱交換器の製造方法では、全ての多穴管は、所定の曲げ加工位置において共通の曲げ半径で曲げられる。これにより、多穴管をベンダー加工機で曲げる場合に、多穴管の送り量を変更するだけで、折り返し部が互いに異なる複数の曲げ加工済み多穴管を作ることができる。従って、第7観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第8観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、伝熱フィンは、波状に形成されたコルゲートフィンである。組み合わせ工程は、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の間にコルゲートフィンを挿入する工程である。
第8観点に係る熱交換器の製造方法では、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管の間にコルゲートフィンを挿入することで、複数の曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを容易に組み合わせることができる。従って、第8観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明の第9観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る熱交換器の製造方法であって、伝熱フィンは、曲げ加工済み多穴管が挿入される差込部を有する差込フィンである。組み合わせ工程は、差込フィンの差込部に、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管を挿入する工程である。
第9観点に係る熱交換器の製造方法では、差込フィンの差込部に、並べられた複数の曲げ加工済み多穴管を挿入することで、複数の曲げ加工済み多穴管と伝熱フィンとを容易に組み合わせることができる。従って、第9観点に係る熱交換器の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
本発明に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器30を備える室外ユニット100の内部構造を示す斜視図である。
熱交換器30の概略図である。
第1伝熱管31の概略図である。
第2伝熱管32の概略図である。
第3伝熱管33の概略図である。
第4伝熱管34の概略図である。
コルゲートフィンである伝熱フィン35の外観図である。
熱交換器30の製造方法のフローチャートである。
並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34を示す図である。
変形例Cにおいて、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の外観図である。
変形例Cにおいて、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の断面図である。
変形例Dにおいて、熱交換器130の概略図である。
変形例Dにおいて、1本ずつの伝熱管131〜134からなる伝熱管ユニット140a〜140cの概略図である。
本発明の実施形態に係る熱交換器の製造方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器は、空気調和装置の室外ユニットが備えるマイクロチャネル熱交換器である。
(1)室外ユニットの構成
図1は、本実施形態の熱交換器の製造方法によって製造される熱交換器30を備える室外ユニット100の内部構造を示す斜視図である。室外ユニット100は、冷媒回路を循環する冷媒を用いる冷凍サイクルを備える空気調和装置の構成要素である。室外ユニット100は、外部配管101,102を介して、室内ユニット(図示せず)に接続されている。以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」および「右」からなる6つの方向を、図1に示されるように定義する。図1において、鉛直方向は、上下方向である。
室外ユニット100は、主として、略直方体形状のユニットケーシング10と、圧縮機20と、熱交換器30と、ファン40とを備える。室外ユニット100は、これらの他にも、様々な機器、弁および冷媒管等を備える。
(1−1)ユニットケーシング
ユニットケーシング10は、主として、底板11と、天板12と、前板13と、側板14と、仕切板15とを有している。図1において、天板12、前板13および側板14は、二点鎖線で示されている。
底板11は、ユニットケーシング10の下側の面を構成する略長方形の板状部材である。底板11の周縁部は、上向きに折り曲げられている。底板11の外周部には、複数の固定脚11aが取り付けられている。固定脚11aは、ユニットケーシング10の前側から後側に向かって延びている。固定脚11aは、室外ユニット100を設置面に固定するための部材である。
天板12は、ユニットケーシング10の上側の面を構成する略長方形の板状部材である。天板12は、底板11と対向する部材である。
前板13は、主として、ユニットケーシング10の前側の面、および、ユニットケーシング10の右側の面の前側部分を構成する板状部材である。前板13の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。前板13には、吹出口13aが形成されている。吹出口13aは、ユニットケーシング10の外部から内部に取り込まれた室外空気を、ユニットケーシング10の外部に吹き出すための開口である。図1において、ユニットケーシング10を通過する空気の流れは、矢印A〜Cで示されている。
側板14は、主として、ユニットケーシング10の右側の面の後側部分、および、後側の面の右側部分を構成する板状部材である。側板14の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。
仕切板15は、底板11に固定される板状部材である。仕切板15は、鉛直方向に延びている。仕切板15の下部は、ネジ等によって底板11に固定されている。仕切板15は、ユニットケーシング10の内部空間を、熱交換室10aおよび機械室10bの2つの空間に区画する。熱交換室10aは、ユニットケーシング10の内部空間の左側の空間である。機械室10bは、ユニットケーシング10の内部空間の右側の空間である。熱交換室10aは、底板11と、天板12と、前板13と、仕切板15とによって囲まれた空間である。機械室10bは、底板11と、天板12と、前板13と、側板14と、仕切板15とによって囲まれた空間である。熱交換室10aには、主として、熱交換器30およびファン40が配置されている。機械室10bには、主として、圧縮機20が配置されている。
(1−2)圧縮機
圧縮機20は、冷凍サイクルにおいて低圧の冷媒を高圧の冷媒に圧縮する。圧縮機20は、略円筒形状の密閉型圧縮機である。圧縮機20は、室外ユニット100を鉛直方向に沿って視た場合に、機械室10bの中央部に配置されている。
(1−3)熱交換器
熱交換器30は、冷凍サイクルを循環する冷媒と、室外空気との熱交換を行う。熱交換器30は、空気調和装置の冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、空気調和装置の暖房運転時には冷媒の吸熱器として機能する。熱交換器30は、複数の伝熱管31〜34と複数の伝熱フィン35とから構成されるフィンチューブ型熱交換器である。熱交換器30は、鉛直方向に沿って視た場合に、略L字形状を有している。熱交換器30は、ユニットケーシング10の左側および後側に沿うように、送風機室S2に配置されている。熱交換器30は、ファン40の左側および後側を囲むように配置されている。熱交換器30の詳細な構成および製造方法については、後述する。
(1−4)ファン
ファン40は、ユニットケーシング10の左側および後側に形成された吸入口(図示せず)を通じて熱交換室10aに室外空気を取り込み、熱交換器30を通過させた後に、吹出口13aから吹き出す。ファン40は、例えば、プロペラファンである。ファン40は、送風機室S2に配置されている。図1において矢印A〜Cで示されている、ユニットケーシング10を通過する空気の流れにおいて、ファン40は、熱交換器30の下流側に配置されている。
(2)熱交換器の詳細な構成
図2は、熱交換器30の概略図である。図2は、図1に示されるように略L字形状に曲げられる前の平板状の熱交換器30を表している。図2では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図2において、鉛直方向は、上下方向である。図2の上側は、図1の上側に相当する。図2の下側は、図1の下側に相当する。図2において、熱交換器30の左右方向の両端部は、図1に示される室外ユニット100を鉛直方向に沿って視た場合における熱交換器30の長手方向の両端部に相当する。具体的には、図2に示される熱交換器30の左側の端部は、図1に示される熱交換器30の前側の端部に相当し、図2に示される熱交換器30の右側の端部は、図1に示される熱交換器30の後側の端部に相当する。
熱交換器30は、主として、4本の伝熱管31〜34と、複数の伝熱フィン35と、2本の出入り口管36a,36bと、2枚の管板37a,37bとを備える。以下、必要に応じて、伝熱管31〜34を、それぞれ、第1伝熱管31、第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34と呼び、出入り口管36a,36bを、それぞれ、第1出入り口管36aおよび第2出入り口管36bと呼び、管板37a,37bを、それぞれ、第1管板37aおよび第2管板37bと呼ぶ。
(2−1)伝熱管
伝熱管31〜34は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の扁平多穴管である。扁平多穴管とは、複数の貫通孔が所定の方向に並んで形成されている扁平な管である。扁平多穴管の貫通孔は、扁平多穴管の長手方向に沿って貫通する孔である。扁平多穴管は、押し出し成形等により製造される。伝熱管31〜34の貫通孔は、熱交換器30で熱交換される冷媒が通過する孔である。
伝熱管31〜34は、それぞれ、1本の扁平多穴管が所定の曲げ加工位置で曲げられて、鉛直方向に沿って蛇行するように成形されている管である。伝熱管31〜34は、互いに異なる形状を有している。図3〜6は、それぞれ、第1伝熱管31、第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34の概略図である。図3〜6では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図3〜6の上側は、図2の上側に相当する。図3〜6の下側は、図2の下側に相当する。図3〜6の左側は、図2の左側に相当する。図3〜6の右側は、図2の右側に相当する。
図3に示される第1伝熱管31について説明する。第1伝熱管31は、水平部31aと、第1折り返し部31bと、第2折り返し部31cとから構成される。水平部31a、第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cは、第1伝熱管31の長手方向における、第1伝熱管31の一部分である。図3において、第1伝熱管31は、6つの水平部31aと、3つの第1折り返し部31bと、2つの第2折り返し部31cとから構成されている。第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cは、2つの水平部31aの間の部分である。第1伝熱管31の両端部は、共に、水平部31aである。第1伝熱管31の両端部にある2つの水平部31aは、1つの第1折り返し部31bに接続されている。第1伝熱管31の両端部にある水平部31aを除く4つの水平部31aは、1つの第1折り返し部31bおよび1つの第2折り返し部31cに接続されている。
水平部31aは、鉛直方向に垂直な方向である水平方向に沿って延びている部分である。水平部31aは、その長手方向および鉛直方向に直交する方向に沿って複数の貫通孔が形成されている部分である。以下、水平部31aにおいて複数の貫通孔が並んでいる方向を幅方向と呼ぶ。図3〜6において、幅方向は、上下方向および左右方向に直交する方向である。第1伝熱管31の6つの水平部31aは、鉛直方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。水平部31aは、図1に示される熱交換器30を鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状を有する部分である。
第1折り返し部31bは、第1伝熱管31が2箇所の第1曲げ加工位置31dで曲げられている部分である。第1折り返し部31bの2箇所の第1曲げ加工位置31dでは、所定の曲げ半径Rで第1伝熱管31が同じ側に90°曲げられている。すなわち、第1折り返し部31b全体では、第1伝熱管31は180°曲げられて、折り返されている。そのため、第1折り返し部31bの両側の2つの水平部31aは、互いに平行である。第1折り返し部31bにおいて、2箇所の第1曲げ加工位置31dの間の部分は、鉛直方向に沿って延びている。
第2折り返し部31cは、第1伝熱管31が2箇所の第2曲げ加工位置31eで曲げられている部分である。第2折り返し部31cの2箇所の第2曲げ加工位置31eでは、所定の曲げ半径Rで第1伝熱管31が同じ側に90°曲げられている。すなわち、第2折り返し部31c全体では、第1伝熱管31は180°曲げられて、折り返されている。そのため、第2折り返し部31cの両側の2つの水平部31aは、互いに平行である。第2折り返し部31cにおいて、2箇所の第2曲げ加工位置31eの間の部分は、鉛直方向に沿って延びている。
第2折り返し部31cでは、第1折り返し部31bとは反対側に折り返されている。そのため、第1伝熱管31は、第1折り返し部31bおよび第2折り返し部31cで折り返されながら蛇行している。第2伝熱管32、第3伝熱管33および第4伝熱管34は、図4〜6に示されるように、第1伝熱管31と同様に蛇行している。
図4に示されるように、第2伝熱管32は、6つの水平部32aと、3つの第1折り返し部32bと、2つの第2折り返し部32cとを有している。第1折り返し部32bでは、2箇所の第1曲げ加工位置32dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部32cでは、2箇所の第2曲げ加工位置32eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部32cでは、第1折り返し部32bとは反対側に折り返されている。
図5に示されるように、第3伝熱管33は、6つの水平部33aと、3つの第1折り返し部33bと、2つの第2折り返し部33cとを有している。第1折り返し部33bでは、2箇所の第1曲げ加工位置33dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部33cでは、2箇所の第2曲げ加工位置33eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部33cでは、第1折り返し部33bとは反対側に折り返されている。
図6に示されるように、第4伝熱管34は、6つの水平部34aと、3つの第1折り返し部34bと、2つの第2折り返し部34cとを有している。第1折り返し部34bでは、2箇所の第1曲げ加工位置34dにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第1折り返し部34cでは、2箇所の第2曲げ加工位置34eにおいて所定の曲げ半径Rで同じ方向に90°曲げられて、折り返されている。第2折り返し部34cでは、第1折り返し部34bとは反対側に折り返されている。
図2に示されるように、伝熱管31〜34は、それぞれ互いに接触しないように配置されている。伝熱管31〜34の水平部31a〜34aは、鉛直方向に沿って等間隔に配置されている。伝熱管31〜34の第1曲げ加工位置31d〜34dおよび第2曲げ加工位置31e〜34eにおける曲げ半径Rは、全て同じである。
(2−2)伝熱フィン
伝熱フィン35は、伝熱管31〜34の水平部31a〜34aの表面に接触するように配置されている。具体的には、伝熱フィン35は、水平部31a〜34aの上側および下側の少なくとも一方の表面に接触している。伝熱フィン35は、鉛直方向に隣り合う2つの水平部31a〜34aの間に配置されている。
図2において、最も上側に位置する水平部31aの上方には、上側枠板38aが配置されている。上側枠板38aは、水平部31aと平行に配置される細長い板である。最も上側に位置する水平部31aと、上側枠板38aとの間には、伝熱フィン35が配置されている。同様に、最も下側に位置する水平部31aの下方には、下側枠板38bが配置されている。下側枠板38bは、水平部31aと平行に配置される細長い板である。最も下側に位置する水平部31aと、下側枠板38bとの間には、伝熱フィン35が配置されている。
伝熱フィン35は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のコルゲートフィンである。図7は、コルゲートフィンである伝熱フィン35の外観図である。図7では、第1伝熱管31の水平部31aと第2伝熱管32の水平部32aとの間に位置している伝熱フィン35、および、第2伝熱管32の水平部32aと第3伝熱管33の水平部33aとの間に位置している伝熱フィン35が示されている。図7には、伝熱管31〜33の水平部31a〜33aの断面が示され、水平部31a〜33aに形成されている貫通孔39が示されている。貫通孔39は、水平部31a〜33aの幅方向に沿って並んでいる。
伝熱フィン35は、水平部31a〜34aの長手方向に沿って板状素材が波状に折り曲げられることによって形成されている。伝熱フィン35の幅方向の寸法は、少なくとも、水平部31a〜34aの幅方向の寸法より長い。
伝熱フィン35は、伝熱管31〜34の水平部31a〜34a内部の貫通孔39を流れる冷媒と熱交換される室外空気を導くための部材である。伝熱フィン35を通過する室外空気は、水平部31a〜34aの幅方向に沿って流れる。
(2−3)出入り口管
出入り口管36a,36bは、図2に示されるように、伝熱管31〜34の両端部に取り付けられている。出入り口管36a,36bは、鉛直方向に沿って配置されている管である。第1出入り口管36aは、伝熱管31〜34の上側の端部に取り付けられている。第2出入り口管36bは、伝熱管31〜34の下側の端部に取り付けられている。出入り口管36a,36bの内部空間は、伝熱管31〜34の貫通孔39と連通している。第1出入り口管36aは、第1冷媒配管50aに接続されている。第2出入り口管36bは、第2冷媒配管50bに接続されている。第1冷媒配管50aおよび第2冷媒配管50bは、熱交換器30に接続される、冷媒回路の配管である。
第1冷媒配管50aを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒は、第1出入り口管36aに供給され、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39に流入する。伝熱管31〜34の貫通孔39を流れる冷媒は、伝熱フィン35を通過する室外空気と熱交換される。熱交換された冷媒は、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39から、第2出入り口管36bに供給され、第2冷媒配管50bに流入する。なお、第2冷媒配管50bを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒が、第2出入り口管36bに供給され、伝熱管31〜34のそれぞれの貫通孔39で熱交換された後に、第1出入り口管36aに供給され、第1冷媒配管50aに流入してもよい。
(2−4)管板
管板37a,37bは、伝熱フィン35を支持するための部材である。図2に示されるように、管板37a,37bは、伝熱フィン35の長手方向の両端部と接触するように配置されている。
管板37a,37bは、伝熱管31〜34が通過する開口または切り欠きを有している。伝熱管31〜34は、溶接等によって、管板37a,37bに固定されている。管板37a,37bは、ネジ留め等によって、室外ユニット100のユニットケーシング10に固定されている。
管板37a,37bは、鉛直方向に延びている細長い板である。第1管板37aは、図2に示される熱交換器30の左側端部に取り付けられている。第2管板37bは、図2に示される熱交換器30の右側端部に取り付けられている。上側枠板38aは、溶接等によって、第1管板37aの上端部および第2管板37bの上端部に固定されている。下側枠板38bは、溶接等によって、第1管板37aの下端部および第2管板37bの下端部に固定されている。
伝熱管31〜34の両端部は、第2管板37bの開口または切り欠きを通過している。伝熱管31〜34が延びる方向において、第2管板37bは、伝熱フィン35と出入り口管36a,36bとの間に位置している。
(3)熱交換器の製造方法
図8は、熱交換器30の製造方法のフローチャートである。熱交換器30は、曲げ工程S1、並べ工程S2、組み合わせ工程S3、取り付け工程S4、接合工程S5および成形工程S6を経て製造される。
(3−1)曲げ工程
曲げ工程S1は、図3〜6に示されるように蛇行している伝熱管31〜34を作る工程である。具体的には、曲げ工程S1では、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している伝熱管31〜34が形成される。
直線状の扁平多穴管を曲げる工程は、ベンダー加工装置を用いて行われる。ベンダー加工装置は、主として、搬送部と、曲げ加工部とを備える。搬送部は、扁平多穴管が搬送される距離である送り量を制御することで、ベンダー加工装置の内部において扁平多穴管を搬送して任意の位置に配置する。曲げ加工部は、搬送部によって配置された扁平多穴管を、所定の曲げ加工位置において所定の曲げ半径でR形状に曲げる。搬送部および曲げ加工部は、コンピュータによって制御される。
ベンダー加工装置を用いる場合、扁平多穴管から形成される伝熱管31〜34の種類ごとに、扁平多穴管を曲げる加工を行うことが好ましい。例えば、ベンダー加工装置を用いて、最初に、所定の数の扁平多穴管を第1伝熱管31に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第2伝熱管32に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第3伝熱管33に加工し、次に、所定の数の扁平多穴管を第4伝熱管34に加工することが好ましい。
次に、図3〜6に示される伝熱管31〜34の詳細な寸法について説明する。伝熱管31〜34は、互いに異なる形状を有している。具体的には、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cの形状は、伝熱管31〜34ごとに異なっている。より具体的には、第1折り返し部31b〜34bの2つの第1曲げ加工位置31d〜34dの間隔、および、第2折り返し部31c〜34cの2つの第2曲げ加工位置31e〜34eの間隔は、伝熱管31〜34ごとに異なっている。
伝熱管31〜34に関して、図3〜6に示される寸法を以下のように定義する。寸法H1aは、第1伝熱管31の第1折り返し部31bと接続される2つの水平部31aの間の鉛直方向の距離である。寸法H1bは、第1伝熱管31の第2折り返し部31cと接続される2つの水平部31aの間の鉛直方向の距離である。寸法H2aは、第2伝熱管32の第1折り返し部32bと接続される2つの水平部32aの間の鉛直方向の距離である。寸法H2bは、第2伝熱管32の第2折り返し部32cと接続される2つの水平部32aの間の鉛直方向の距離である。寸法H3aは、第3伝熱管33の第1折り返し部33bと接続される2つの水平部33aの間の鉛直方向の距離である。寸法H3bは、第3伝熱管33の第2折り返し部33cと接続される2つの水平部33aの間の鉛直方向の距離である。寸法H4aは、第4伝熱管34の第1折り返し部34bと接続される2つの水平部34aの間の鉛直方向の距離である。寸法H4bは、第4伝熱管34の第2折り返し部34cと接続される2つの水平部34aの間の鉛直方向の距離である。寸法L0は、図3〜6において、水平部31a〜34aの長手方向における、第1折り返し部31b〜34bの左端から、第2折り返し部31c〜34cの右端までの距離である。全ての伝熱管31〜34は、同じ寸法L0を有する。寸法L1〜L4は、それぞれ、図3〜6において、水平部31a〜34aの長手方向における、第1折り返し部31b〜34bの左端から、最も上側または最も下側に位置する水平部31aの右端までの距離である。図3〜6に示される寸法は、次の式(1)〜(7)で表される関係を満たす。
(数1)
H1a>H2a>H3a>H4a ・・・(1)
H1b<H2b<H3b<H4b ・・・(2)
H1a=H4b ・・・(3)
H1b=H4a ・・・(4)
H2a=H3b ・・・(5)
H2b=H3a ・・・(6)
L0>L1>L2>L3>L4 ・・・(7)
以下、曲げ工程S1において扁平多穴管から形成された伝熱管31〜34を、それぞれ、曲げ加工済み多穴管31〜34と呼ぶ。また、必要に応じて、曲げ加工済み多穴管31〜34を、それぞれ、第1曲げ加工済み多穴管31、第2曲げ加工済み多穴管32、第3曲げ加工済み多穴管33および第4曲げ加工済み多穴管34と呼ぶ。
(3−2)並べ工程
並べ工程S2は、曲げ工程S1で形成された曲げ加工済み多穴管31〜34を並べる工程である。具体的には、並べ工程S2では、4つの曲げ加工済み多穴管31〜34の内の1つの第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが、それぞれ、他の曲げ加工済み多穴管31〜34の第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cの内側または外側に位置するように、曲げ加工済み多穴管31〜34が並べられる。ここで、外側とは、水平部31a〜34aの長手方向中央部から見て長手方向両端部の側であり、内側とは、水平部31a〜34aの長手方向両端部から見て長手方向中央部の側である。図9は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34を示す図である。図9では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図9の上側は、図2の上側に相当する。図9の下側は、図2の下側に相当する。図9の左側は、図2の左側に相当する。図9の右側は、図2の右側に相当する。図9において、曲げ加工済み多穴管31〜34は、水平部31a〜34aの幅方向が鉛直方向に沿うように、水平面上に置かれている。
次に、図9に示される並べられた4つの曲げ加工済み多穴管31〜34の位置関係について説明する。
第1曲げ加工済み多穴管31の第1折り返し部31bの内側には、第2曲げ加工済み多穴管32の第1折り返し部32bが位置している。第2曲げ加工済み多穴管32の第1折り返し部32bの内側には、第3曲げ加工済み多穴管33の第1折り返し部33bが位置している。第3曲げ加工済み多穴管33の第1折り返し部33bの内側には、第4曲げ加工済み多穴管34の第1折り返し部34bが位置している。これらの位置関係を満たす並べ方は、上記の式(1)の関係式により可能となる。
第1曲げ加工済み多穴管31の第2折り返し部31cの外側には、第2曲げ加工済み多穴管32の第2折り返し部32cが位置している。第2曲げ加工済み多穴管32の第2折り返し部32cの外側には、第3曲げ加工済み多穴管33の第2折り返し部33cが位置している。第3曲げ加工済み多穴管33の第2折り返し部33cの外側には、第4曲げ加工済み多穴管34の第2折り返し部34cが位置している。これらの位置関係を満たす並べ方は、上記の式(2)の関係式により可能となる。
曲げ加工済み多穴管31〜34は、図9に示されるように、積層方向において隣り合う2つの水平部31a〜34aの間の距離H0が全て等しくなるように並べられている。積層方向とは、図9において上下方向であり、水平部31a〜34aの幅方向および長手方向に直交する方向である。この位置関係を満たす並べ方は、上記の式(3)〜(6)の関係式により可能となる。
曲げ加工済み多穴管31〜34は、図9に示されるように、端部がそろうように並べられている。すなわち、水平部31a〜34aの長手方向において、曲げ加工済み多穴管31〜34の端部は同じ位置にある。この位置関係を満たす並べ方は、上記の式(7)の関係式により可能となる。
図9に示されるように、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34は、互いに接触していない。
(3−3)組み合わせ工程
組み合わせ工程S3は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34と、伝熱フィン35とを組み合わせる工程である。伝熱フィン35は、図7に示されるようなコルゲートフィンである。この場合、組み合わせ工程S3では、図9に示されるように並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34の水平部31a〜34aの間に、伝熱フィン35が挿入される。
(3−4)取り付け工程
取り付け工程S4は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34に、出入り口管36a,36bおよび管板37a,37bを取り付ける工程である。
取り付け工程S4では、最初に、図9に示される曲げ加工済み多穴管31〜34の左右方向の両端部に管板37a,37bが取り付けられる。このとき、上側枠板38aおよび下側枠板38bが、管板37a,37bに取り付けられる。管板37a,37bは、曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが通過するための開口および切り欠きを有している。
取り付け工程S4では、次に、図9に示される曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部に出入り口管36a,36bが取り付けられる。出入り口管36a,36bは、曲げ加工済み多穴管31〜34の端部が嵌め込まれる開口を有している。
取り付け工程S4の終了後、図2に示されるような、熱交換器30の仮組体が形成される。
(3−5)接合工程
接合工程S5は、取り付け工程S4の後において、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを接合する工程である。接合工程S5では、取り付け工程S4で組み立てられた熱交換器30の仮組体がロウ付け炉に投入されて、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とがロウ付け接合される。接合工程S5では、同時に、曲げ加工済み多穴管31〜34と管板37a,37bとがロウ付け接合され、曲げ加工済み多穴管31〜34と出入り口管36a,36bとがロウ付け接合される。これらのロウ付け接合では、接合工程S5の前に接合箇所の周辺に予め配置されたアルミロウ材が用いられる。炉中ロウ付けでは、アルミロウ材が溶けて、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35との間、曲げ加工済み多穴管31〜34と出入り口管36a,36bとの間、および、曲げ加工済み多穴管31〜34と管板37a,37bとの間がロウ付け接合される。炉中ロウ付けにおいて、炉内の温度は、例えば、約610℃に保持されるように制御される。
(3−6)成形工程
成形工程S6は、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体を、略L字形状に曲げる工程である。成形工程S6によって、図2に示されるような平板状の熱交換器30から、図1に示されるような略L字形状の熱交換器30が形成される。
(4)特徴
本実施形態の熱交換器30の製造方法によって製造される熱交換器30は、扁平多穴管である伝熱管31〜34の貫通孔を流れる冷媒と、伝熱フィン35を通過する室外空気との間の熱交換を行うマイクロチャネル熱交換器である。
従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法では、全ての扁平多穴管の端部を、ヘッダと呼ばれる管に接合する必要がある。扁平多穴管は、直線状であり、ヘッダの長手方向に沿って積層され、ヘッダの長手方向に直交する平面内において延びている。そのため、熱交換器が大型になるほど、必要な扁平多穴管の数が多くなり、ヘッダが長くなるので、製造コストが高くなる。また、ヘッダと扁平多穴管との接合箇所が増えるため、ロウ付け接合が困難になり、加工性が低下する。
一方、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、ヘッダの長手方向に直交する平面内において延びている直線状の扁平多穴管の代わりに、図3〜6に示されるような曲げ加工済み多穴管31〜34が用いられる。曲げ加工済み多穴管31〜34は、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが形成されることにより、蛇行している扁平多穴管である。この場合、曲げ加工済み多穴管31〜34の貫通孔を流れる冷媒は、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cで流れ方向を変えながら熱交換される。曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部は、出入り口管36a,36bに接続される。図2に示されるように、出入り口管36a,36bの長さは、熱交換器30の鉛直方向の寸法に比べて短い。なぜなら、出入り口管36a,36bの長さは、曲げ加工済み多穴管31〜34の数に依存し、熱交換器30の鉛直方向の寸法に依存しないからである。
そのため、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、熱交換器30を大型化するためには、曲げ加工済み多穴管31〜34の鉛直方向の寸法を長くすればよく、熱交換器30の寸法に合わせた長いヘッダを用いたり、使用する扁平多穴管の数を増やしたりする必要はない。曲げ加工済み多穴管31〜34の鉛直方向の寸法を長くするためには、より長い曲げ加工済み多穴管31〜34を用いて、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cを増やせばよい。
以上より、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、従来のマイクロチャネル熱交換器の製造方法と比較して、全ての扁平多穴管と接合される長いヘッダを使用する必要がない。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、曲げ加工済み多穴管31〜34の両端部に、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに相当する管である出入り口管36a,36bを取り付ける工程を含む。出入り口管36a,36bは、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダに比べて短く、かつ、出入り口管36a,36bと曲げ加工済み多穴管31〜34との接合箇所の数は、従来のマイクロチャネル熱交換器のヘッダと扁平多穴管との接合箇所の数より少ない。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、接合工程S5において炉中ロウ付け方法を採用することで、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを接合する工程に要する時間を短縮することができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、第1折り返し部31b〜34bにおける2つの第1曲げ加工位置31d〜34dの間隔、および、第2折り返し部31c〜34cにおける2つの第2曲げ加工位置31e〜34eの間隔が、曲げ加工済み多穴管31〜34ごとに異なるように、曲げ工程S1において曲げ加工済み多穴管31〜34が作られる。これにより、並べ工程S2において曲げ加工済み多穴管31〜34を並べる際に、曲げ加工済み多穴管31〜34が互いに接触しないように容易に並べることができ、かつ、組み合わせ工程S3において曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを容易に組み合わせることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、曲げ工程S1において、扁平多穴管は、所定の第1曲げ加工位置31d〜34dおよび第2曲げ加工位置31e〜34eにおいて共通の曲げ半径Rで曲げられる。これにより、ベンダー加工機を用いて扁平多穴管をR形状に曲げる場合、曲げ加工済み多穴管31〜34ごとに扁平多穴管の送り量を調整するだけで、第1折り返し部31b〜34bおよび第2折り返し部31c〜34cが互いに異なる曲げ加工済み多穴管31〜34を容易に作ることができる。すなわち、共通のベンダー加工機を用いて、扁平多穴管から曲げ加工済み多穴管31〜34を作ることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器30の製造方法では、組み合わせ工程S3において、図9に示されるように、積層方向において隣り合う2つの水平部31a〜34aの間にコルゲートフィンである伝熱フィン35を挿入することで、曲げ加工済み多穴管31〜34と伝熱フィン35とを容易に組み合わせることができる。従って、本実施形態の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5)変形例
本発明の具体的構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本発明の実施形態の適用可能な変形例について説明する。
(5−1)変形例A
実施形態の熱交換器30の製造方法は、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している曲げ加工済み多穴管31〜34を形成する曲げ工程S1を含む。しかし、曲げ工程S1で加工される前の扁平多穴管が直線状に延びていない場合、曲げ工程S1を行う前に、直線化工程をさらに行ってもよい。
直線化工程は、直線状に延びていない扁平多穴管を、直線状に延ばす工程である。例えば、コイル状に巻かれた状態で輸送された扁平多穴管を用いて熱交換器30を製造する場合、曲げ工程S1を行う前に、直線化工程において、コイル状に巻かれた扁平多穴管を予め直線状に延ばしておくことが好ましい。これにより、曲げ工程S1において、ベンダー加工装置を用いて扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げやすくなる。従って、直線化工程によって、熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5−2)変形例B
実施形態の熱交換器30の製造方法では、図3〜6に示されるように、曲げ工程S1で形成された曲げ加工済み多穴管31〜34は、それぞれ、6つの水平部31a〜34aと、3つの第1折り返し部31b〜34bと、2つの第2折り返し部31c〜34cとを有している。しかし、水平部31a〜34aの数、第1折り返し部31b〜34bの数、第2折り返し部31c〜34cの数、および、図3〜6に示される各寸法は、熱交換器30のサイズ等に合わせて適宜に設定することができる。
(5−3)変形例C
実施形態の熱交換器30の製造方法は、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34と、伝熱フィン35とを組み合わせる組み合わせ工程S3を含む。伝熱フィン35は、図7に示されるようなコルゲートフィンである。
しかし、伝熱フィン35は、コルゲートフィン以外のフィンであってもよい。例えば、伝熱フィン35は、差込フィンであってもよい。図10は、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の外観図である。図11は、扁平多穴管Wが取り付けられた差込フィン135の断面図である。
差込フィン135は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱フィンである。差込フィン135は、扁平多穴管Wの表面に接している。差込フィン135は、図10および図11に示されるように、複数の差込部135aが形成されている伝熱フィンである。差込部135aは、扁平多穴管Wの断面形状とほぼ一致する形状を有する細長い切り欠き部である。差込フィン135の各差込部135aには、1つの扁平多穴管Wが、その幅方向に沿って差し込まれる。扁平多穴管Wの幅方向は、図11に示されるように、扁平多穴管Wの複数の貫通孔139が並んでいる方向である。
本変形例の熱交換器30の製造方法は、実施形態の熱交換器30の製造方法と比較して、組み合わせ工程S3が異なっている。本変形例の組み合わせ工程S3では、最初に、水平面に差込フィン135が配置される。このとき、差込フィン135は、差込部135aの開口が上側を向くように配置される。次に、並べ工程S2で並べられた曲げ加工済み多穴管31〜34が持ち上げられ、曲げ加工済み多穴管31〜34の水平部31a〜34aが、差込フィン135の差込部135aに上方から差し込まれて挿入される。これにより、曲げ加工済み多穴管31〜34と差込フィン135とを容易に組み合わせることができる。従って、本変形例の熱交換器30の製造方法は、加工性の向上を実現できる。
(5−4)変形例D
実施形態の熱交換器30の製造方法は、直線状の扁平多穴管を所定の曲げ加工位置で曲げて折り返し部を形成することで、蛇行している曲げ加工済み多穴管31〜34を形成する曲げ工程S1を含む。しかし、曲げ工程S1では、図3〜6に示されるような蛇行している形状以外の形状となるように、扁平多穴管が曲げられてもよい。
図12は、本変形例の熱交換器130の概略図である。図12では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図12において、鉛直方向は、上下方向である。熱交換器130は、主として、伝熱管131〜134と、伝熱フィン135と、ヘッダ136と、管板137a,137bとを備えている。伝熱管131〜134は、3本の第1伝熱管131、3本の第2伝熱管132、3本の第3伝熱管133、および、3本の第4伝熱管134から構成される。図12に示されるように、熱交換器130では、1本ずつの伝熱管131〜134からなる伝熱管ユニット140a〜140cが鉛直方向に沿って3つ配置されている。図13は、伝熱管ユニット140a〜140cの概略図である。図13では、「上」、「下」、「左」および「右」の4つの方向が、それぞれ矢印で示されている。図13の上側は、図12の上側に相当する。図13の下側は、図12の下側に相当する。図13の左側は、図12の左側に相当する。図13の右側は、図12の右側に相当する。
伝熱管131〜134は、略U字形状を有している。伝熱管131〜134は、実施形態の伝熱管31〜34の変形例であって、2つの水平部131a〜134aと、1つの折り返し部131b〜134bとから構成される。折り返し部131b〜134bの両端部は、水平部131a〜134aに接続されている。折り返し部131b〜134bは、実施形態の第1折り返し部31b〜34bと同様に、伝熱管131〜134が180°曲げられて折り返されている部分である。熱交換器130の製造方法の曲げ工程S1では、直線状の扁平多穴管が曲げられて、伝熱管131〜134が形成される。
伝熱管131〜134は、実施形態の伝熱管31〜34と同様に、互いに異なる形状を有している。具体的には、実施形態の伝熱管31〜34の第1折り返し部31b〜34bと同様に、伝熱管131〜134の折り返し部131b〜134bの鉛直方向の寸法が互いに異なっている。これにより、熱交換器130の製造方法の並べ工程S2において、図13に示されるように、4つの伝熱管131〜134の内の一つの折り返し部131b〜134bが、他の伝熱管131〜134の折り返し部131b〜134bの内側または外側に位置するように、伝熱管131〜134を並べることができる。
伝熱フィン135は、伝熱管131〜134の水平部131a〜134aの間に嵌め込まれるフィンである。伝熱フィン135は、例えば、実施形態で用いられるコルゲートフィンである。この場合、熱交換器130の製造方法の組み合わせ工程S3において、鉛直方向において隣り合う2つの水平部131a〜134aの間に、伝熱フィン135が挿入される。
また、図12において、最も上側に位置する水平部131aの上方には、上側枠板138aが配置されている。上側枠板138aは、水平部131aと平行に配置される細長い板である。最も上側に位置する水平部131aと、上側枠板138aとの間には、伝熱フィン135が配置されている。同様に、最も下側に位置する水平部131aの下方には、下側枠板138bが配置されている。下側枠板138bは、水平部131aと平行に配置される細長い板である。最も下側に位置する水平部131aと、下側枠板138bとの間には、伝熱フィン135が配置されている。
ヘッダ136は、熱交換器130の片側のみに取り付けられる管である。図12では、ヘッダ136は、右側の端部に取り付けられている。ヘッダ136は、鉛直方向に延びる管である。ヘッダ136の長さは、熱交換器130の鉛直方向の寸法にほぼ等しい。ヘッダ136の内部空間は、鉛直方向に沿って上方から、第1ヘッダ空間136a、第2ヘッダ空間136b、第3ヘッダ空間136cおよび第4ヘッダ空間136dの4つに区画されている。第1ヘッダ空間136aおよび第4ヘッダ空間136dは、実施形態の出入り口管36a,36bの内部空間に相当する。第1ヘッダ空間136aは、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134を介して、第2ヘッダ空間136bと連通している。第2ヘッダ空間136bは、伝熱管ユニット140bの伝熱管131〜134を介して、第3ヘッダ空間136cと連通している。第3ヘッダ空間136cは、伝熱管ユニット140cの伝熱管131〜134を介して、第4ヘッダ空間136dと連通している。すなわち、第1ヘッダ空間136aは、伝熱管ユニット140a〜140cの12本の伝熱管131〜134、第2ヘッダ空間136bおよび第3ヘッダ空間136cを介して、第4ヘッダ空間136dと連通している。本変形例の熱交換器130のような熱交換器において、ヘッダ136の内部空間が鉛直方向に沿って区画されて形成されるヘッダ空間136a〜136dの数は、伝熱管ユニット140a〜140cの数より1だけ多い。
ヘッダ136の第1ヘッダ空間136aは、第1冷媒配管150aに接続されている。ヘッダ136の第4ヘッダ空間136dは、第2冷媒配管150bに接続されている。第1冷媒配管150aおよび第2冷媒配管150bは、熱交換器130に接続される、冷媒回路の配管である。
管板137a,137bは、伝熱フィン135の長手方向の両端部を支持し、伝熱管131〜134が通過する開口または切り欠きを有する。熱交換器130の製造方法の取り付け工程S4では、伝熱管131〜134に、ヘッダ136および管板137a,137bが取り付けられる。このとき、上側枠板138aおよび下側枠板138bが、管板137a,137bに取り付けられる。
第1冷媒配管150aを流れている、熱交換器130において熱交換される前の冷媒は、第1ヘッダ空間136aに供給され、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔に流入する。伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる冷媒は、伝熱フィン135を通過する室外空気と熱交換される。熱交換された冷媒は、伝熱管ユニット140aの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔から、第2ヘッダ空間136bに供給される。同様に、第2ヘッダ空間136bに供給された冷媒は、伝熱管ユニット140bの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる過程で熱交換されて、第3ヘッダ空間136cに供給される。同様に、第3ヘッダ空間136cに供給された冷媒は、伝熱管ユニット140cの伝熱管131〜134の貫通孔を流れる過程で熱交換されて、第4ヘッダ空間136dに供給され、第2冷媒配管150bに流入する。なお、第2冷媒配管150bを流れている、熱交換器30において熱交換される前の冷媒が、第4ヘッダ空間136dに供給され、伝熱管ユニット140a〜140cの伝熱管131〜134のそれぞれの貫通孔で熱交換された後に、第1ヘッダ空間136aに供給され、第1冷媒配管150aに流入してもよい。
熱交換器130の製造方法は、実施形態の熱交換器30の製造方法と基本的に同じである。しかし、図12に示される3つの伝熱管ユニット140a〜140cは、互いに独立している。そのため、並べ工程S2において伝熱管131〜134を並べ終わった後に、取り付け工程S4においてヘッダ136および管板137a,137bを伝熱管131〜134に取り付けて、伝熱管ユニット140a〜140c同士を連結した後に、組み合わせ工程S3において伝熱管131〜134と伝熱フィン135とを組み合わせてもよい。
本変形例では、組み合わせ工程S3において、並べられた伝熱管131〜134の水平部131a〜134aの間に、コルゲートフィンである伝熱フィン135を挿入することで、伝熱管131〜134と伝熱フィン135とを容易に組み合わせることができる。従って、本変形例の熱交換器130の製造方法は、加工性の向上を実現できる。なお、他の変形例は、本変形例の熱交換器130の製造方法に適用可能である。
(5−5)変形例E
実施形態の熱交換器30の製造方法は、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体を、鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状となるように曲げる成形工程S6を含む。成形工程S6によって、図2に示されるような平板状の熱交換器30から、図1に示されるような略L字形状の熱交換器30が形成される。
しかし、成形工程S6では、熱交換器30の仮組体が、鉛直方向に沿って視た場合に略L字形状以外の形状となるように曲げられてもよい。例えば、成形工程S6では、接合工程S5でロウ付け接合された熱交換器30の仮組体が、鉛直方向に沿って視た場合に略U字形状となるように曲げられてもよい。
(5−6)変形例F
実施形態の熱交換器30の製造方法は、空気調和装置の室外ユニット100の構成要素である熱交換器30の製造に用いられる。しかし、実施形態の製造方法は、熱交換器30の製造に限定されるものではない。例えば、実施形態の製造方法は、空気調和装置の室内ユニットの構成要素である熱交換器の製造、および、他の冷凍装置に用いられる熱交換器の製造に用いられてもよい。
本発明に係る熱交換器の製造方法は、低コスト化および加工性の向上を実現できる。
30 熱交換器
31〜34 伝熱管(曲げ加工済み多穴管)
31b〜34b 第1折り返し部(折り返し部)
31c〜34c 第2折り返し部(折り返し部)
31d〜34d 第1曲げ加工位置(曲げ加工位置)
31e〜34e 第2曲げ加工位置(曲げ加工位置)
35 コルゲートフィン(伝熱フィン)
36a 第1出入り口管(出入り口管)
36b 第2出入り口管(出入り口管)
135 差込フィン(伝熱フィン)
135a 差込部