JP2018052362A - 車両側部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドアの閉まり性を低下させることなく、ドア下空間から車室内に入ってくる音を低減する。
【解決手段】車両側部構造S1では、ドア下空間300の開口下縁部側の壁面である車体側壁面100は、法線方向を略車両上方に向けた第一上面104と、第一上面104の車幅方向外方の端部に形成された第一角面105と、第一角面105から略下方に延びた第一縦面106と、を含んで構成されている。ドア下空間300は、第一角面105の車両上方に位置する空間である角上空間301と、ドアWS16と角上空間301との間の空間である第一空間302と、を含んで構成されている。角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さい。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両側部構造に関する。
特許文献1に開示されている車両側部構造では、ドアとロッカモールとの隙間をシールして遮音性を向上させるために、ドアの下端部にシール部材が設けられている。
特開2008−030631号公報
しかし、上記技術では、ドアの下端部に設けられたシール部材により、ドアを閉めるときの反力が増大し、ドアの閉まり性が低下する虞がある。他方、ドア下端部に設けられたシール部材を単に廃止するだけでは、遮音性が悪化してしまう。
本発明は上記事実を考慮し、ドアの閉まり性を低下させることなく、ドア下空間(ドアの下方に形成される空間)から車室内に入ってくる音を低減することができる車両側部構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の車両側部構造は、車両側部に設けられたドア開口部の車両下側の部分を構成する開口下縁部と、前記ドア開口部を開閉可能であり、前記ドア開口部を閉じた状態で前記開口下縁部との間にドア下空間が形成されるサイドドアと、前記ドア下空間をシールするシール部材と、を備える車両側部構造であって、前記ドア下空間の前記開口下縁部側の壁面である車体側壁面は、法線方向を略車両上方に向けた上面と、前記上面の車幅方向外方の端部に形成された角面と、前記角面から略車両下方に延びた縦面と、を含んで構成されており、前記ドア下空間は、前記角面の車両上方に位置する空間である角上空間と、前記シール部材の車外側に隣接し、前記シール部材と前記角上空間との間の空間である第一空間と、を含んで構成されており、前記角上空間の車両上下方向の幅は、前記第一空間の車両上下方向の幅よりも小さく、かつ、前記第一空間の車幅方向の幅よりも小さい。
請求項1に記載の車両側部構造では、車両側部にドア開口部が設けられており、このドア開口部を開閉可能にサイドドアが設けられている。そして、サイドドアが閉じた状態では、ドア開口部の車両下側部分を構成する開口下縁部とサイドドアとの間にドア下空間が形成される。さらに、ドア下空間をシールするシール部材が設けられている。
ドア下空間の開口下縁部側の壁面である車体側壁面は、法線方向を略車両上方に向けた上面と、上面の車幅方向外方の端部に形成された角面と、角面から略車両下方に延びた縦面と、を含んで構成されている。そして、ドア下空間は、角面の車両上方に位置する空間である角上空間と、シール部材の車外側に隣接し、シール部材と角上空間との間の空間である第一空間と、を含んで構成されている。さらに、角上空間の車両上下方向の幅は、第一空間の車両上下方向の幅よりも小さく、かつ、前記第一空間の車幅方向の幅よりも小さい。
以上のように構成されているので、ドア下空間を通って車外から車室内へ向かう音の侵入経路において、シール部材の手前に第一空間が形成されており、この第一空間の手前に、音の侵入経路に対して垂直な断面積が第一空間よりも小さくされた角上空間が形成されている。
このため、車外からドア下空間に入った音は、シール部材で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間と角上空間との間で再び反射される。このように、第一空間の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外から車室内に入る音が低減される。
また、上述のとおり、第一空間の車両上下方向の幅、及び車幅方向の幅よりも小さいのは、角上空間の車両上下方向の幅である。
ここで、ドア下空間の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりサイドドアのオーバーストローク要件(すなわち、サイドドアを閉めたときにサイドドアと車体とを接触させないための要件)を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間に対する第一空間の断面積比(音の侵入経路に対して垂直な断面積の比)を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
請求項2に記載の車両側部構造は、請求項1に記載の車両側部構造において、前記車体側壁面は、前記上面の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びると共に、上部に前記シール部材が当接するシール当接縦面をさらに含んで構成されている。
請求項2に記載の車両側部構造では、上面の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びるシール当接縦面が設けられている。そして、シール当接縦面の上部にシール部材が当接する。
このため、シール当接縦面のうちシール部材が当接しない下部の車幅方向外方に第一空間が形成されるので、第一空間を大きく形成することが出来る。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
請求項3に記載の車両側部構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造において、前記車体側壁面は、前記縦面の車両下方の端部から車幅方向外方へ延びた第二上面と、前記第二上面の車幅方向外方の端部から車両下方へ延びた第二縦面と、をさらに含んで構成されている。
請求項3に記載の車両側部構造では、縦面の車両下方の端部から車幅方向外方へ延びた第二上面が設けられており、この第二上面の車幅方向外方の端部から車両下方へ延びた第二縦面が設けられている。
このため、ドア下空間の、音の侵入経路に垂直な断面積を効率的に小さくすることができる。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
請求項4に記載の車両側部構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造において、前記車体側壁面は、前記縦面の車両下方に設けられ、前記縦面よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面をさらに含んで構成されており、前記凹面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅は、前記縦面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅よりも大きい。
請求項4に記載の車両側部構造では、縦面の車両下方に、縦面よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面が設けられている。そして、凹面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅が、縦面から車幅方向に測ったドア下空間の幅よりも大きい。
このため、車外から侵入する音が、凹面の車幅方向外方に位置する拡大されたドア下空間と、縦面の車幅方向外方に位置するドア下空間との間で一部反射される。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
請求項5に記載の車両側部構造は、請求項4に記載の車両側部構造において、前記凹面は、前記縦面の車両下方の端部から車幅方向内方へ延びた下面を含んで構成されており、前記下面は、車両前後方向に対して傾斜している。
請求項5に記載の車両側部構造では、縦面の車両下方の端部から、車幅方向内方へ延びた下面が設けられている。そして、下面は、車両前後方向に対して傾斜している。
このため、縦面を伝わって下面に垂れてきた水が、車両前後方向に対して傾斜した下面を伝わって車両前後方向の一方側へ流れる。したがって、水切れがよい。
請求項6に記載の車両側部構造は、請求項5に記載の車両側部構造において、前記サイドドアは、車両前後方向の一方側にヒンジを備えたヒンジドアであり、前記下面は、車両前後方向の一方側に向かって車両下方に傾斜している。
請求項6に記載の車両側部構造では、サイドドアが、車両前後方向の一方側にヒンジを備えたヒンジドアである。そして、下面が、車両前後方向の一方側に向かって車両下方に傾斜している。
このため、下面を伝わって流れる水は、車両前後方向のうちサイドドアのヒンジが設けられた側に流れる。したがって、乗降時に乗員の足に水がかかりにくい。
請求項7に記載の車両側部構造は、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の車両側部構造において、前記サイドドアの下端部は、前記開口下縁部と車両上下方向に対向して車外側隙部を形成しており、車両前後方向に垂直な断面において、前記車外側隙部と前記シール部材とを結ぶ仮想直線上に、前記サイドドアの一部と前記開口下縁部の一部の少なくとも一方が設けられている。
請求項7に記載の車両側部構造では、サイドドアの下端部が、開口下縁部と車両上下方向に対向して車外側隙部を形成している。そして、車両前後方向に垂直な断面において、車外側隙部とシール部材とを結ぶ仮想直線上に、サイドドアの一部と開口下縁部の一部の少なくとも一方が設けられている。
このため、車外側隙部から入ってくる水が直接的にシール部材まで到達することが抑制されている。したがって、車室内へ水が入りにくい。
以上説明したように、本発明に係る車両側部構造は、ドアの閉まり性を低下させることなく、ドア下空間から車室内に入ってくる音を低減することができる、という優れた効果を有する。
図1は、第一実施形態の車両側部構造を示す図であって、車両前後方向に垂直な平面で切断した断面を示す図(図3の1−1線断面図)である。 図2は、図1の要部拡大図である。 図3は、第一実施形態の車両側部構造が適用された車両の側面図である。 図4は、第二実施形態の車両側部構造を示す図であって、車両前後方向に垂直な平面で切断した断面を示す図(図7の4−4線断面図)である。 図5は、図4の要部拡大図である。 図6は、図5とは異なる位置(車両前後方向位置)で、車両前後方向に垂直な平面で切断した断面を示す図(図7の6−6線断面図)である。 図7は、第二実施形態の車両側部構造が適用された車両の側面図である。 図8は、第一実施形態、第二実施形態、及び比較例の車両側部構造の消音効果を比較した実験結果を示すグラフである。 図9は、単純化した拡張型消音器を示す模式図である。 図10は、比較例の車両側部構造を示す要部拡大図である。
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態に係る車両側部構造S1が適用された車両10について説明する。
なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、内外及び左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両幅方向の内外、及び進行方向を向いた場合の車両幅方向の左右を示すものとする。
図3には、車両10の左側の側部が示されている。図3に示されるように、車両10の側部には、フロントサイドドア20Fと、リアサイドドア20Rと、が設けられている。
フロントサイドドア20Fは、車両側部に設けられた前側ドア開口部12Fを開閉可能に設けられている。前側ドア開口部12Fは、前席(本実施形態では、運転席又は助手席)の乗員が乗降するためのドア開口部である。
リアサイドドア20Rは、車両側部に設けられた後側ドア開口部12Rを開閉可能に設けられている。後側ドア開口部12Rは、後席の乗員が乗降するためのドア開口部である。後側ドア開口部12Rは、前側ドア開口部12Fの車両後方に設けられている。前側ドア開口部12Fと後側ドア開口部12Rとの間には、図示しないセンターピラー(Bピラー)が設けられている。
フロントサイドドア20F及びリアサイドドア20Rは、共に、それぞれの車両前方部に設けられたヒンジ14を介して車体に支持されたヒンジドアであり、それぞれの車両前方部に位置する略車両上下方向の回転軸を中心に回転可能に設けられている。
図1には、図3の1−1線断面図(切断端面図)が示されている。図1に示されるように、車両側部の下部には、車両前後方向に延びる閉断面構造のロッカ80が設けられている。ロッカ80は、車幅方向外方に開放されたハット型形状のロッカインナパネル81と、車幅方向内方に開放されたハット型形状のロッカアウタパネル82とが、互いのフランジ部81A、82A同士で接合されることで形成されている。
ロッカ80には、サイドアウタパネル70が接合されている。サイドアウタパネル70は上側接合部71を備えており、上側接合部71が、ロッカアウタパネル82の上側のフランジ部82Aの車幅方向外方の面に接合されている。上側接合部71の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて延びるように天壁部72が設けられている。天壁部72の車幅方向外方の端部からは、下方に向けて延びるように側壁部73が設けられている。側壁部73の下方には、車幅方向内方へ変位する段差部74が設けられており、段差部74の下方に設けられた下側接合部75がロッカアウタパネル82の側壁82Bに接合されている。これにより、サイドアウタパネル70は、ロッカ80の一部(車両上方かつ車幅方向外方の一部)を被覆している。
ロッカ80の車幅方向外方には、ロッカ80の一部を車幅方向外方から覆うようにロッカモール50が設けられている。ロッカモール50は、樹脂で形成されており、車幅方向内方に開放された断面形状とされている。ロッカモール50の断面形状における一方側(車両上方側)の端部が、サイドアウタパネル70の側壁部73の下側に配置されており、他方側(下方側)の端部が、ロッカアウタパネル82の下側のフランジ部82Aの車幅方向外方に配置されている。
これにより、サイドアウタパネル70及びロッカモール50によって、ロッカ80のロッカアウタパネル82が車幅方向外方から覆われている。以下、サイドアウタパネル70及びロッカモール50を「開口下縁部」ということがある。
フロントサイドドア20Fは、ドアアウタパネル30と、ドアインナパネル40と、を含んで構成されている。ドアアウタパネル30は、フロントサイドドア20Fにおける最も車幅方向外方の部分を構成する部材であり、フロントサイドドア20Fを閉じたとき車両10を側方から見たときの意匠面の一部を構成している。ドアインナパネル40は、ドアアウタパネル30の車幅方向内方に設けられている。
図1に示されるようにフロントサイドドア20Fが閉じられた状態では、開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)とフロントサイドドア20Fとの間に空間300(以下、ドア下空間300という。)が形成される。
ドア下空間300をシールするように「シール部材」としてのドアウェザストリップ(以下、「ドアWS」と略記する。)16が設けられている。ドアWS16は、フロントサイドドア20Fのドアインナパネル40に固定されており、フロントサイドドア20Fが閉じられた状態では、サイドアウタパネル70の側壁部73の上部及び天壁部72の車幅方向外方部に押し付けられるようになっている。ドアWS16は、中空構造のチューブ状とされている。ドアWS16によって、ドア下空間300が車室内600側と車外500側とに分けられている。なお、図3に示されるようにドアWS16は車両側面視で環状に配置されており、図1に示されているのは環状に配置されたドアWS16の下部である。
ドアアウタパネル30の下端部には、車幅方向内方へ向けて折り曲げられた折曲部32が形成されている。そして、ドアアウタパネル30の本体部31と折曲部32との間に、ドアインナパネル40の下端部に設けられたフランジ部47が挟み込まれている。これにより、ドアアウタパネル30とドアインナパネル40とが所謂ヘミング結合により結合されている。
ドアインナパネル40のフランジ部47の上端からは、車幅方向内方かつ車両上方の斜め方向に向けて外側段差部46が延設されている。外側段差部46の上端からは、車両上方に向けて外側縦壁部45が延設されており、外側縦壁部45の上端からは、車幅方向内方かつ車両上方の斜め方向に向けて内側段差部44が延設されている。そして、内側段差部44の上端からは、車両上方へ向けて内側縦壁部43が延設されており、内側縦壁部43の上端からは、車幅方向内方へ向けて膨出部42が延設されている。さらに、膨出部42の車幅方向内方の端部からは、車両上方に向けて膨出底部41が延設されている。
ドアWS16は、内側縦壁部43と膨出部42との境界付近に設けられている。具体的には、内側縦壁部43の上部と、膨出部42の車幅方向外方部とにドアWS16が固定されている。
ロッカモール50は、フロントサイドドア20Fが閉じた状態で、車外側からフロントサイドドア20Fに隠される部分(図3に図示されていない部分)と、フロントサイドドア20Fが閉じた状態でもフロントサイドドア20Fに隠されない部分(図3に図示されている部分)と、を含んで構成されている。
上述の隠されない部分は、側壁部57を含んで構成されている。側壁部57は、フロントサイドドア20Fが閉じた状態を車両側方から見たときに、ドアアウタパネル30の下方に配置される部分である。図1に示されるように、側壁部57は、フロントサイドドア20Fが閉じた状態でドアアウタパネル30の本体部31を下方に延長させた仮想的な面と、略一致する形状となっている。側壁部57の下端からは、車幅方向内方へ向けて底壁部58が延設されている。
次に、上述の隠される部分について説明する。
側壁部57の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、略車両上下方向に板厚方向を向けた最下底壁56が形成されている。最下底壁56の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第二縦壁部55が形成されている。第二縦壁部55の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第二上壁部54が形成されている。第二上壁部54の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第一縦壁部53が形成されている。第一縦壁部53の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第一上壁部52が形成されている。第一上壁部52の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた最上部51が形成されている。最上部51は、サイドアウタパネル70の側壁部73の下方に配置されている。
(ドア下空間300)
次に、図1を拡大した図2を用いて、ドア下空間300について詳細に説明する。
具体的には、ドア下空間300のドア側の壁面200(以下、「ドア側壁面200」という。)と、ドア下空間300の車体側の壁面100(以下、「車体側壁面100」という。)とを説明した上で、車体側壁面100とドア側壁面200との間隔(寸法関係)について説明する。
(ドア側壁面)
本実施形態では、図1に示されるように、ドアインナパネル40の膨出部42、内側縦壁部43、内側段差部44、外側縦壁部45、外側段差部46、フランジ部47、及び、ドアアウタパネル30の折曲部32の外面がドア側壁面200となっている。
(ドア側壁面の構成)
図2に示されるように、ドア側壁面200は、膨出面201、内側縦面202、内側段差面203、外側縦面204、外側段差面205、最外縦面206、及び最下面207から構成されている。
膨出面201は、ドアインナパネル40の膨出部42の外面であり、ドア側壁面200の最も車両上方の部分を構成している。膨出面201は、法線方向を略下方へ向けている。膨出面201の車幅方向外方の端部にドアWS16が固定されている。
膨出面201の車幅方向外方には、内側縦面202が連続して設けられている。内側縦面202は、ドアインナパネル40の内側縦壁部43の外面である。内側縦面202は、法線方向を車幅方向内方へ向けている。内側縦面202の車両上方には、ドアWS16が固定されている。
内側縦面202の下方には、内側段差面203が連続して設けられている。内側段差面203は、ドアインナパネル40の内側段差部44の外面であり、下方に向かうに従って車幅方向外方へ傾斜している。具体的には、内側段差面203の上部においては、ドア下空間300に対して凸の湾曲面となっており、下部においてはドア下空間300に対して凹の湾曲面となっている。
内側段差面203の下方には、外側縦面204が連続して設けられている。外側縦面204は、ドアインナパネル40の外側縦壁部45の外面であり、法線方向を車幅方向内方へ向けている。
外側縦面204の下方には、外側段差面205が連続して設けられている。外側段差面205は、ドアインナパネル40の外側段差部46の外面であり、下方に向かうに従って車幅方向外方へ傾斜している。具体的には、ドア下空間300に対して凸の湾曲面となっている。
外側段差面205の下方には、最外縦面206が連続して設けられている。最外縦面206の上部は、ドアインナパネル40のフランジ部47の外面であり、最外縦面206の下部は、ドアアウタパネル30の折曲部32の外面である。最外縦面206は、法線方向を略車幅方向内方へ向けている。
最外縦面206の下端からは、最下面207が連続して設けられている。最下面207は、ドアアウタパネル30の折曲部32の下端の外面であり、法線方向を略下方へ向けている。
(車体側壁面)
一方、図1に示されるように、サイドアウタパネル70の天壁部72及び側壁部73、並びに、ロッカモール50の一部(車外側からフロントサイドドア20Fに隠される部分)の外面が、車体側壁面100となっている。
(車体側壁面の構成)
図2に示されるように、車体側壁面100は、天面101、シール当接角面102、シール当接縦面103、第一上面104、第一角面105、第一縦面106、第二上面107、第二角面108、第二縦面109及び最下底面110から構成されている。
天面101は、車体側壁面100の最も車両上方の部分を構成している。天面101は、サイドアウタパネル70の天壁部72の外面であり、法線方向を略車両上方に向けている。天面101は、ドア側壁面200の膨出面201と車両上下方向に対向している。天面101の車幅方向外方の一部にドアWS16が当接している。
天面101の車幅方向外方には、シール当接角面102が連続して設けられている。シール当接角面102は、サイドアウタパネル70の天壁部72と側壁部73との境界部分の外面である。シール当接角面102には、ドアWS16が当接している。
シール当接角面102の下方には、シール当接縦面103が設けられている。シール当接縦面103は、法線方向を車幅方向外方に向けている。シール当接縦面103の上部は、サイドアウタパネル70の側壁部73の外面であり、シール当接縦面103の下部は、ロッカモール50の最上部51の外面である。シール当接縦面103の車両上方の一部にドアWS16が当接している。シール当接縦面103は、ドア側壁面200の内側縦面202及び内側段差面203と車幅方向に対向している。
シール当接縦面103の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて「上面」としての第一上面104が設けられている。第一上面104は、ロッカモール50の第一上壁部52の外面であり、法線方向を略車両上方に向けており、具体的には、車幅方向外方へ向かうに従い下方へ若干傾斜している。第一上面104の車幅方向内方の一部は、ドアWS16と車両上下方向に対向しており、第一上面104の車幅方向外方の一部は、第一段差部74の車幅方向内方の一部と車両上下方向に対向している。
第一上面104の車幅方向外方には、「角面」としての第一角面105が設けられている。第一角面105は、ロッカモール50の第一上壁部52と第一縦壁部53との境界部分の外面である。第一角面105は、ドア側壁面200の内側段差面203の一部と車両上下方向に対向している。
第一角面105からは、下方へ向けて、「縦面」としての第一縦面106が設けられている。第一縦面106は、ロッカモール50の第一縦壁部53の外面であり、法線方向を車幅方向外方に向けている。第一縦面106は、ドア側壁面200の外側縦面204、外側段差面205、及び最外縦面206と車幅方向に対向している。
第一縦面106の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて、第二上面107が設けられている。第二上面107は、ロッカモール50の第二上壁部54の外面であり、法線方向を略車両上方に向けており、具体的には、車幅方向外方へ向かうに従い下方へ傾斜している。
第二上面107の車幅方向外方の端部には、第二角面108が設けられている。第二角面108は、ロッカモール50の第二上壁部54と第二縦壁部55との境界部分の外面である。第二角面108は、ドア側壁面200の外側段差面205の一部と車両上下方向に対向している。
第二角面108からは、下方へ向けて、第二縦面109が設けられている。第二縦面109は、ロッカモール50の第二縦壁部55の外面であり、法線方向を車幅方向外方に向けている。第二縦面109は、ドア側壁面200の最外縦面206の一部と車幅方向に対向している。
第二縦面109の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて、最下底面110が設けられている。最下底面110は、ロッカモール50の最下底壁56の外面であり、法線方向を略車両上方に向けており、具体的には、車幅方向外方へ向かうに従い下方へ傾斜している。最下底面110は、ドア側壁面200の外側段差面205及び最下面207と車両上下方向に対向している。
(ドア下空間の幅)
次に、車体側壁面100とドア側壁面200との間隔(寸法関係)を説明する。
なお、図2に示されるように、シール当接縦面103と内側縦面202との車幅方向の間隔を間隔W1とし、第一縦面106と外側縦面204との車幅方向の間隔を間隔W2とし、第二縦面109と最外縦面206との車幅方向の間隔を間隔W3とする。
また、第一角面105と内側段差面203との車両上下方向の間隔をH1とし、第二角面108と外側段差面205との車両上下方向の間隔をH2とし、最下底面110と最下面207との車両上下方向の間隔をH3とする。
但し、上述の間隔を規定する互いに対向する面は、必ずしも平行の関係となっていない。そのため、車幅方向の間隔は、車両上下方向のどの位置で測るかによって変化することがあり、また、車両上下方向の間隔は、車幅方向のどの位置で測るかによって変化することがある。この場合、間隔W1、W2、W3、H1、H2は、車体側壁面100とドア側壁面200とが対向している部分で測った間隔の最小値を意味する。
また、ドア下空間300のうち、第一角面105の車両上方に位置する空間を角上空間301といい、角上空間301とドアWS16との間の空間を第一空間302という。
車幅方向の間隔W1、W2、W3は、サイドドアのオーバーストローク要件(すなわち、サイドドアを閉めたときに車体とサイドドアとを干渉させないための要件)を考慮して設定されている。このため、本実施形態では、間隔W1、W2、W3は、いずれも、11mm以上の間隔となっている。
これに対し、車両上下方向の間隔H1、H2は、ドアのオーバーストローク要件を考慮して設定する必要がない。したがって、車両上下方向の間隔H1、H2は、車幅方向の間隔W1、W2、W3と比較して、狭い間隔に設定することができる。具体的には以下に示す関係となっている。
すなわち、間隔H1は、間隔W1よりも小さく(H1<W1)、詳細には間隔W1の半分以下となっている。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さくなっている。
さらに、第一上面104とドアWS16との車両上下方向の間隔Dは、間隔H1よりも大きい。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
したがって、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
また、本実施形態では、間隔H1は、間隔W2よりも小さく(H1<W2)、間隔W3よりも小さい(H1<W3)。また、間隔H3は、間隔W2よりも小さく(H1<W2)、間隔W3よりも小さい(H1<W3)。
<作用効果>
次に、第一実施形態の車両側部構造の作用効果について説明する。
第一実施形態の車両側部構造S1では、車両側部に前側ドア開口部12Fが設けられており、この前側ドア開口部12Fを開閉可能にフロントサイドドア20Fが設けられている。そして、図1に示されるようにフロントサイドドア20Fが閉じた状態では、前側ドア開口部12Fの車両下側部分を構成する開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)とフロントサイドドア20Fとの間にドア下空間300が形成される。さらに、ドア下空間300をシールするドアWS16が設けられている。
図2に示されるように、ドア下空間300の開口下縁部側の壁面である車体側壁面100は、法線方向を略車両上方に向けた第一上面104と、第一上面104の車幅方向外方の端部に形成された第一角面105と、第一角面105から略下方に延びた第一縦面106と、を含んで構成されている。そして、ドア下空間300は、第一角面105の車両上方に位置する空間である角上空間301と、ドアWS16の車外側に隣接し、ドアWS16と角上空間301との間の空間である第一空間302と、を含んで構成されている。さらに、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さい。
以上のように構成されているので、ドア下空間300を通って車外500から車室内600へ向かう音の侵入経路において、ドアWS16の手前に第一空間302が形成されており、この第一空間302の手前に、音の侵入経路に対して垂直な断面積が第一空間302よりも小さくされた角上空間301が形成されている。換言すると、ドアWS16の手前に音の侵入経路に対して垂直な断面積が拡大された空間が形成されており、さらに手前に、音の侵入経路に対して垂直な断面積が縮小された空間が形成されている。
このため、車外500からドア下空間300に入った音は、ドアWS16で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間302と角上空間301との間で再び反射される。このように、第一空間302の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外500から車室内600に侵入する音が低減される。
ここで、拡張型消音器の原理について補足する。
図9は、単純化した拡張型消音器を示している。A1は入口管断面積、A2は拡大管断面積である。また、Lは拡大管の長さである。
このとき、透過損失TLは以下の式1で表される。式1から判るように、拡大管断面積A2の入口管断面積A1に対する比(断面積比)Mが大きい程、透過損失TL(消音効果)は大きくなる。また、共鳴周波数は、拡大管の長さLにより決まる。なお、kは、音波の波数である。
また、上述のとおり、第一空間302の車両上下方向の幅D及び車幅方向の幅W1よりも小さいのは、角上空間301の車両上下方向の幅H1である。
ここで、ドア下空間300の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりドアのオーバーストローク要件を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間301に対する第一空間302の音の侵入経路に対する断面積の比を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第一実施形態の車両側部構造S1では、第一上面104の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びるシール当接縦面103が設けられている。そして、シール当接縦面103の車両上方の一部にドアWS16が当接する。
このため、シール当接縦面103のうちドアWS16が当接しない部分の車幅方向外方に第一空間302が形成されるので、第一空間302を大きく形成することができる。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第一実施形態の車両側部構造S1では、第一縦面106の下方の端部から車幅方向外方へ延びた第二上面107が設けられており、この第二上面107の車幅方向外方の端部(第二角面108)から下方へ延びた第二縦面109が設けられている。
このため、ドア下空間300の、音の侵入経路に垂直な断面積を効率的に小さくすることができる。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第一実施形態の車両側部構造S1では、フロントサイドドア20Fの下端部が、開口下縁部(具体的にはロッカモール50)と車両上下方向に対向して車外側隙部305を形成している。そして、車両前後方向に垂直な断面において、車外側隙部305とドアWS16とを結ぶ仮想直線上に、フロントサイドドア20Fの一部と開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)の一部の少なくとも一方が設けられている。
このため、車外側隙部305から入ってくる水が直接的にドアWS16まで到達することが抑制されている。したがって、車室内600へ水が入りにくい。
なお、車両前後方向に垂直な断面視において、ドアWS16及び車外側隙部305とを結ぶ仮想直線は、一意には定まらない。上述した内容は、ドアWS16の少なくとも一部と、車外側隙部305の少なくとも一部とをどのように直線で結んだとしても、その仮想直線上に、フロントサイドドア20Fの一部と開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)の一部の少なくとも一方が存在するという意味である。
<第二の実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る車両側部構造S2が適用された車両11について説明する。
車両側部構造S2が適用された車両11では、第一実施形態のロッカモール50に代えて、異なる構造のロッカモール60が設けられている。他方、その他の構成は第一実施形態と同一である。
以下、第二実施形態のロッカモール60の構成を説明する。
第二実施形態のロッカモール60は、第一実施形態のロッカモール50(図1参照)と同様に、フロントサイドドア20Fが閉じた状態で、車外側からフロントサイドドア20Fに隠される部分(図7に図示されていない部分)と、フロントサイドドア20Fが閉じた状態でもフロントサイドドア20Fに隠されない部分(図7に図示されている部分)と、を含んで構成されている。
上述の隠されない部分は、側壁部67を含んで構成されている。側壁部67は、フロントサイドドア20Fが閉じた状態を車両側方から見たときに、ドアアウタパネル30の下方に配置される部分である。側壁部67は、フロントサイドドア20Fが閉じた状態でドアアウタパネル30の本体部31を下方に延長させた仮想的な面と、略一致する形状となっている。側壁部67の下端からは、車幅方向内方へ向けて底壁部68が延設されている。
次に上述の隠される部分について説明する。
側壁部67の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、略車両上下方向に板厚方向を向けた最下底壁66が形成されている。最下底壁66の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第二縦壁部65が形成されている。第二縦壁部65の上端からは、車幅方向外方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた下壁部64が形成されている。下壁部64の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第一縦壁部63が形成されている。第一縦壁部63の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第一上壁部62が形成されている。第一上壁部62の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた最上部61が形成されている。最上部61は、サイドアウタパネル70の側壁部73の下方に配置されている。
このため、第二実施形態の車体側壁面400は、以下のように構成されている。
すなわち、図5に示されるように、車体側壁面400は、天面401、シール当接角面402、シール当接縦面403、第一上面404、第一角面405、第一縦面406、第二角面407、下面408、第二縦面409及び最下底面410から構成されている。
天面401は、車体側壁面100の最も車両上方の部分を構成している。天面401は、サイドアウタパネル70の天壁部72の外面であり、法線方向を略車両上方に向けている。天面401は、ドア側壁面200の膨出面201と車両上下方向に対向している。天面101の車幅方向外方の一部にドアWS16が当接している。
天面401の車幅方向外方には、シール当接角面402が連続して設けられている。シール当接角面402は、サイドアウタパネル70の天壁部72と側壁部73との境界部分の外面である。シール当接角面402には、ドアWS16が当接している。
シール当接角面402の下方には、シール当接縦面403が設けられている。シール当接縦面403は、法線方向を車幅方向外方に向けている。シール当接縦面403の上部は、サイドアウタパネル70の側壁部73の外面であり、シール当接縦面103の下部は、ロッカモール60の最上部61の外面である。シール当接縦面403の車両上方の一部にドアWS16が当接している。シール当接縦面403は、ドア側壁面200の内側縦面202及び内側段差面203と車幅方向に対向している。
シール当接縦面403の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて「上面」としての第一上面404が設けられている。第一上面404は、ロッカモール60の第一上壁部62の外面であり、法線方向を略車両上方に向けており、具体的には、車幅方向外方へ向かうに従い下方へ若干傾斜している。第一上面404の車幅方向内方の一部は、ドアWS16と車両上下方向に対向しており、第一上面404の車幅方向外方の一部は、ドア側壁面200の内側段差面203の車幅方向内方の一部と車両上下方向に対向している。
第一上面404の車幅方向外方には、「角面」としての第一角面405が設けられている。第一角面405は、ロッカモール60の第一上壁部62と第一縦壁部63との境界部分の外面である。第一角面405は、ドア側壁面200の内側段差面203の一部と車両上下方向に対向している。
第一角面405からは、下方へ向けて、「縦面」としての第一縦面406が設けられている。第一縦面406は、ロッカモール60の第一縦壁部63の外面であり、法線方向を車幅方向外方に向けている。第一縦面406は、ドア側壁面200の外側縦面204と車幅方向に対向している。
第一縦面406の下方の端部には、第二角面407が設けられている。第二角面407は、ロッカモール60の第一縦壁部63と下壁部64との境界部分の外面である。
第二角面407からは、車幅方向内方に向けて、下面408が設けられている。下面408は、ロッカモール60の下壁部64の外面であり、法線方向を略下方に向けている。
下面408の車幅方向内方の端部からは、下方へ向けて、第二縦面409が設けられている。第二縦面409は、ロッカモール60の第二縦壁部65の外面であり、法線方向を車幅方向外方に向けている。第二縦面409は、ドア側壁面200の外側段差面205及び最外縦面206と車幅方向に対向している。
第二縦面409の下方の端部からは、車幅方向外方に向けて、最下底面410が設けられている。最下底面410は、ロッカモール60の最下底壁66の外面であり、法線方向を略車両上方に向けており、具体的には、車幅方向外方へ向かうに従い下方へ傾斜している。最下底面410は、車体側壁面400の下面408、並びに、ドア側壁面200の内側段差面203、外側段差面205及び最下面207と車両上下方向に対向している。
(ドア下空間の幅)
次に、車体側壁面400とドア側壁面200との間隔(寸法関係)を説明する。
なお、図5に示されるように、シール当接縦面403と内側縦面202との車幅方向の間隔を間隔W1とし、第一縦面406と外側縦面204との車幅方向の間隔を間隔W2とし、第二縦面409と最外縦面206との車幅方向の間隔を間隔W3とする。
また、第一角面405と内側段差面203との車両上下方向の間隔をH1とし、最下底面410と最下面207との車両上下方向の間隔をH3する。また、第二縦面409の車両上下方向の寸法をH4とする。
但し、上述の間隔を規定する互いに対向する面は、必ずしも平行の関係となっていない。そのため、車幅方向の間隔は、車両上下方向のどの位置で測るかによって変化することがあり、また、車両上下方向の間隔は、車幅方向のどの位置で測るかによって変化することがある。この場合、間隔W1、W2、W3、H1は、車体側壁面400とドア側壁面200とが対向している部分で測った間隔の最小値を意味する。
また、ドア下空間300のうち、第一角面405の車両上方に位置する空間を角上空間301といい、角上空間301とドアWS16との間の空間を第一空間302という。
車幅方向の間隔W1、W2、W3は、サイドドアのオーバーストローク要件(すなわち、サイドドアを閉めたときに車体とサイドドアとを干渉させないための要件)を考慮して設定されている。このため、本実施形態では、間隔W1、W2、W3は、何れも、11mm以上の間隔となっている。
これに対し、車両上下方向の間隔H1は、ドアのオーバーストローク要件を考慮して設定する必要がない。したがって、車両上下方向の間隔H1は、車幅方向の間隔W1、W2、W3と比較して、狭い間隔に設定することができる。具体的には以下に示す関係となっている。
すなわち、間隔H1は、間隔W1よりも小さく(H1<W1)、詳細には間隔W1の半分以下となっている。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さくなっている。
さらに、第一上面404とドアWS16との車両上下方向の間隔Dは、間隔H1よりも大きい。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
したがって、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
また、間隔H1は、間隔W2よりも小さくなっている(H1<W2)。
また、車体側壁面400のうち、下面408、第二縦面409及び最下底面410の部分によって、第一縦面406の下方に、この第一縦面406よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面450が設けられている。これにより、凹面450から車幅方向に測ったドア下空間300(第二空間303)の幅W3が、第一縦面406から車幅方向に測ったドア下空間300の幅W2よりも拡大されている。
図6には、図7における6−6線断面図(切断端面図)、すなわち図4、5に示す断面よりも車両前方における断面が示されている。図5、6に示されるように、第二縦面409の車両上下方向の寸法H4は、車両前後方向の位置によって変化している。具体的には、車両後方から車両前方に向けて次第に寸法H4が小さくなるように構成されている。これと関連して、下面408は、車両前後方向に対して傾斜している。具体的には、下面408は、車両後方から車両前方に向けて次第に下方へ変位していくように、車両前後方向に対して傾斜している。
<第二の実施形態の作用効果>
次に、第二実施形態の作用効果について説明する。
第二実施形態の車両側部構造S2では、車両側部に前側ドア開口部12Fが設けられており、この前側ドア開口部12Fを開閉可能にフロントサイドドア20Fが設けられている。そして、図4に示されるようにフロントサイドドア20Fが閉じた状態では、前側ドア開口部12Fの車両下側部分を構成する開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)とフロントサイドドア20Fとの間にドア下空間300が形成される。さらに、ドア下空間300をシールするドアWS16が設けられている。
図5に示されるように、ドア下空間300の開口下縁部側の壁面である車体側壁面400は、法線方向を略車両上方に向けた第一上面404と、第一上面404の車幅方向外方の端部に形成された第一角面405と、第一角面405から略下方に延びた第一縦面406と、を含んで構成されている。そして、ドア下空間300は、第一角面405の車両上方に位置する空間である角上空間301と、ドアWS16の車外側に隣接し、ドアWS16と角上空間301との間の空間である第一空間302と、を含んで構成されている。さらに、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さい。
以上のように構成されているので、ドア下空間300を通って車外500から車室内600へ向かう音の侵入経路において、ドアWS16の手前に第一空間302が形成されており、この第一空間302の手前に、音の侵入経路に対して垂直な断面積が第一空間302よりも小さくされた角上空間301が形成されている。
このため、車外500からドア下空間300に入った音は、ドアWS16で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間302と角上空間301との間で再び反射される。このように、第一空間302の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外500から車室内600に侵入する音が低減される。
また、上述のとおり、第一空間302の車両上下方向の幅D及び車幅方向の幅W1よりも小さいのは、角上空間301の車両上下方向の幅H1である。
ここで、ドア下空間300の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりドアのオーバーストローク要件を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間301に対する第一空間302の音の侵入経路に対する断面積の比を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、第一上面404の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びるシール当接縦面403が設けられている。そして、シール当接縦面403の車両上方の一部にドアWS16が当接する。
このため、シール当接縦面403のうちドアWS16が当接しない部分の車幅方向外方に第一空間302が形成されるので、第一空間302を大きく形成することができる。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、フロントサイドドア20Fの下端部が、開口下縁部(具体的にはロッカモール50)と車両上下方向に対向して車外側隙部305を形成している。そして、車両前後方向に垂直な断面において、車外側隙部305とドアWS16とを結ぶ仮想直線上に、フロントサイドドア20Fの一部と開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)の一部の少なくとも一方が設けられている。
このため、車外側隙部305から入ってくる水が直接的にドアWS16まで到達することが抑制されている。したがって、車室内600へ水が入りにくい。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、第一縦面406の下方に、第一縦面406よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面450が設けられている。そして、凹面450から車幅方向に測ったドア下空間300の幅W3が、第一縦面406から車幅方向に測ったドア下空間300の幅W2よりも拡大されている。
このため、車外500から侵入する音が、凹面450の車幅方向外方に位置する拡大されたドア下空間である第二空間303と、第一縦面406の車幅方向外方に位置するドア下空間300との間で一部反射される。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、凹面450が、第一縦面406の下方の端部(第二角面407)から車幅方向内方へ延びた下面408を含んで構成されている。そして、下面408は、車両前後方向に対して傾斜している。
このため、第一縦面406を伝わって下面408に垂れてきた水は、車両前後方向に対して傾斜した下面408を伝わって車両前後方向の一方側(本実施形態では車両前方)へ流れる。したがって、水切れがよい。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、フロントサイドドア20Fが、車両前方にヒンジ14を備えたヒンジドアである。そして、車体側壁面400の下面408が、車両前方に向かって下方側に傾斜している。
このため、下面を伝わって流れる水は、車両前後方向のうちサイドドアのヒンジが設けられた車両前方側に流れる。したがって、乗降時に乗員の足に水がかかりにくい。
また、第二実施形態の車両側部構造S2では、図5及び図6に示されるように、第二縦面409の車両上下方向の寸法H4が、車両前後方向によって変化している。これにより、凹面450の車両上下方向の寸法が車両前後方向によって変化しており、その結果、第二縦面409の車幅方向外方のドア下空間300である第二空間303の車両上下方向の大きさが車両前後方向の位置によって変化している。つまり、第二空間303の長さ(音の侵入経路に沿って測った長さ)が車両前後方向の位置によって変化している。このため、幅広い周波数帯の音に対して、消音効果を発揮することができる。
(実験例)
最後に、図8に、第一実施形態の車両側部構造S1、第二実施形態の車両側部構造S2、及び比較例に係る車両側部構造S3について行った実験の結果を示す。
図8の縦軸は、透過音(進入してきた音)の音圧レベル(dB)であり、小さいほど消音効果が大きいことを示す。また、図8の横軸は、音の中心周波数(Hz)である。
なお、比較例は、図10に示す車両側部構造S3となっている。図10に示されるように、車両側部構造S3では、第一角面105が、ドア側壁面200の内側段差面203と車両上下方向に対向しておらず、ドアWS16と車両上下方向に対向している。その結果、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さくなっておらず、幅W1より大きくなっている。さらに、幅H1は、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっておらず、幅Dよりも大きくなっている。
また、車両側部構造S3では、第一縦面106と最下底面110との間に、第一実施形態のような第二上面107、第二角面108、及び第二縦面109が設けられておらず、第一縦面106と最下底面110が接続されている。
図8に示されるように、630〜1000Hzの周波数帯において、比較例の車両側部構造S3に対して、第一実施形態及び第二実施形態の車両側部構造S1、S2では、音圧レベルが大きく低下しており、消音効果が大きくなることが確認された。
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、フロントサイドドア20Fとの間にドア下空間300が形成される開口下縁部が、サイドアウタパネル70及びロッカモール50の外面によって構成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロッカモールのみによって構成されていてもよいし、サイドアウタパネル及びロッカモール以外のその他の部材を含んで構成されていてもよい。
また、第二実施形態では、下面408が、車幅方向に平行な例を説明したが(図5参照)、本発明はこれに限られない。例えば、下面408が、車幅方向に対して傾斜しており、車幅方向外方に向かうに従い下方に傾いていてもよい。この場合、第一縦面406を伝わってきた水が第二角面407に集まり、水切り性がより一層向上する。
また、上記実施形態では、本発明のサイドドアとしてフロントサイドドア20Fを説明したが、本発明のサイドドアはこれに限定されず、リアサイドドアであってもよい。また、フロントサイドドア及びリアサイドドアの両方において本発明の車両側部構造が適用されていてもよい。
S1 車両側部構造
10 車両
12F 前側ドア開口部(ドア開口部)
14 ヒンジ
16 ドアWS
20F フロントサイドドア(サイドドア)
50 ロッカモール(開口下縁部)
60 ロッカモール(開口下縁部)
70 サイドアウタパネル(開口下縁部)
80 ロッカ
100 車体側壁面
103 シール当接縦面
104 第一上面(上面)
105 第一角面(角面)
106 第一縦面(縦面)
107 第二上面
108 第二角面
109 第二縦面
200 ドア側壁面
300 ドア下空間
301 角上空間
302 第一空間
305 車外側隙部
500 車外
600 車室内
S2 車両側部構造
11 車両
400 車体側壁面
403 シール当接縦面
404 第一上面(上面)
405 第一角面(角面)
406 第一縦面(縦面)
408 下面
450 凹面
H1 第一角面と内側段差面との車両上下方向の間隔(角上空間の車両上下方向の幅)
D 第一上面とドアWSとの車両上下方向の間隔(第一空間の車両上下方向の幅)
W1 シール当接縦面と内側縦面との車幅方向の間隔(第一空間の車幅方向の幅)

Claims (7)

  1. 車両側部に設けられたドア開口部の車両下側の部分を構成する開口下縁部と、
    前記ドア開口部を開閉可能であり、前記ドア開口部を閉じた状態で前記開口下縁部との間にドア下空間が形成されるサイドドアと、
    前記ドア下空間をシールするシール部材と、
    を備える車両側部構造であって、
    前記ドア下空間の前記開口下縁部側の壁面である車体側壁面は、
    法線方向を略車両上方に向けた上面と、
    前記上面の車幅方向外方の端部に形成された角面と、
    前記角面から略車両下方に延びた縦面と、
    を含んで構成されており、
    前記ドア下空間は、
    前記角面の車両上方に位置する空間である角上空間と、
    前記シール部材の車外側に隣接し、前記シール部材と前記角上空間との間の空間である第一空間と、
    を含んで構成されており、
    前記角上空間の車両上下方向の幅は、
    前記第一空間の車両上下方向の幅よりも小さく、かつ、前記第一空間の車幅方向の幅よりも小さい、
    車両側部構造。
  2. 前記車体側壁面は、
    前記上面の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びると共に、上部に前記シール部材が当接するシール当接縦面をさらに含んで構成されている、
    請求項1に記載の車両側部構造。
  3. 前記車体側壁面は、
    前記縦面の車両下方の端部から車幅方向外方へ延びた第二上面と、
    前記第二上面の車幅方向外方の端部から車両下方へ延びた第二縦面と、
    をさらに含んで構成されている。
    請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造。
  4. 前記車体側壁面は、
    前記縦面の車両下方に設けられ、前記縦面よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面
    をさらに含んで構成されており、
    前記凹面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅は、
    前記縦面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅よりも大きい、
    請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造。
  5. 前記凹面は、
    前記縦面の車両下方の端部から車幅方向内方へ延びた下面
    を含んで構成されており、
    前記下面は、
    車両前後方向に対して傾斜している、
    請求項4に記載の車両側部構造。
  6. 前記サイドドアは、車両前後方向の一方側にヒンジを備えたヒンジドアであり、
    前記下面は、車両前後方向の一方側に向かって車両下方に傾斜している、
    請求項5に記載の車両側部構造。
  7. 前記サイドドアの下端部は、前記開口下縁部と車両上下方向に対向して車外側隙部を形成しており、
    車両前後方向に垂直な断面において、前記車外側隙部と前記シール部材とを結ぶ仮想直線上に、前記サイドドアの一部と前記開口下縁部の一部の少なくとも一方が設けられている、
    請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の車両側部構造。
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