JP2018052362A - 車両側部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両側部構造S1では、ドア下空間300の開口下縁部側の壁面である車体側壁面100は、法線方向を略車両上方に向けた第一上面104と、第一上面104の車幅方向外方の端部に形成された第一角面105と、第一角面105から略下方に延びた第一縦面106と、を含んで構成されている。ドア下空間300は、第一角面105の車両上方に位置する空間である角上空間301と、ドアWS16と角上空間301との間の空間である第一空間302と、を含んで構成されている。角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さい。
【選択図】図2
Description
このため、車外からドア下空間に入った音は、シール部材で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間と角上空間との間で再び反射される。このように、第一空間の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外から車室内に入る音が低減される。
ここで、ドア下空間の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりサイドドアのオーバーストローク要件(すなわち、サイドドアを閉めたときにサイドドアと車体とを接触させないための要件)を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間に対する第一空間の断面積比(音の侵入経路に対して垂直な断面積の比)を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、シール当接縦面のうちシール部材が当接しない下部の車幅方向外方に第一空間が形成されるので、第一空間を大きく形成することが出来る。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、ドア下空間の、音の侵入経路に垂直な断面積を効率的に小さくすることができる。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、車外から侵入する音が、凹面の車幅方向外方に位置する拡大されたドア下空間と、縦面の車幅方向外方に位置するドア下空間との間で一部反射される。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、縦面を伝わって下面に垂れてきた水が、車両前後方向に対して傾斜した下面を伝わって車両前後方向の一方側へ流れる。したがって、水切れがよい。
このため、下面を伝わって流れる水は、車両前後方向のうちサイドドアのヒンジが設けられた側に流れる。したがって、乗降時に乗員の足に水がかかりにくい。
このため、車外側隙部から入ってくる水が直接的にシール部材まで到達することが抑制されている。したがって、車室内へ水が入りにくい。
以下、本発明の第一実施形態に係る車両側部構造S1が適用された車両10について説明する。
フロントサイドドア20Fは、車両側部に設けられた前側ドア開口部12Fを開閉可能に設けられている。前側ドア開口部12Fは、前席(本実施形態では、運転席又は助手席)の乗員が乗降するためのドア開口部である。
リアサイドドア20Rは、車両側部に設けられた後側ドア開口部12Rを開閉可能に設けられている。後側ドア開口部12Rは、後席の乗員が乗降するためのドア開口部である。後側ドア開口部12Rは、前側ドア開口部12Fの車両後方に設けられている。前側ドア開口部12Fと後側ドア開口部12Rとの間には、図示しないセンターピラー(Bピラー)が設けられている。
フロントサイドドア20F及びリアサイドドア20Rは、共に、それぞれの車両前方部に設けられたヒンジ14を介して車体に支持されたヒンジドアであり、それぞれの車両前方部に位置する略車両上下方向の回転軸を中心に回転可能に設けられている。
側壁部57の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、略車両上下方向に板厚方向を向けた最下底壁56が形成されている。最下底壁56の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第二縦壁部55が形成されている。第二縦壁部55の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第二上壁部54が形成されている。第二上壁部54の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第一縦壁部53が形成されている。第一縦壁部53の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第一上壁部52が形成されている。第一上壁部52の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた最上部51が形成されている。最上部51は、サイドアウタパネル70の側壁部73の下方に配置されている。
次に、図1を拡大した図2を用いて、ドア下空間300について詳細に説明する。
具体的には、ドア下空間300のドア側の壁面200(以下、「ドア側壁面200」という。)と、ドア下空間300の車体側の壁面100(以下、「車体側壁面100」という。)とを説明した上で、車体側壁面100とドア側壁面200との間隔(寸法関係)について説明する。
本実施形態では、図1に示されるように、ドアインナパネル40の膨出部42、内側縦壁部43、内側段差部44、外側縦壁部45、外側段差部46、フランジ部47、及び、ドアアウタパネル30の折曲部32の外面がドア側壁面200となっている。
図2に示されるように、ドア側壁面200は、膨出面201、内側縦面202、内側段差面203、外側縦面204、外側段差面205、最外縦面206、及び最下面207から構成されている。
一方、図1に示されるように、サイドアウタパネル70の天壁部72及び側壁部73、並びに、ロッカモール50の一部(車外側からフロントサイドドア20Fに隠される部分)の外面が、車体側壁面100となっている。
図2に示されるように、車体側壁面100は、天面101、シール当接角面102、シール当接縦面103、第一上面104、第一角面105、第一縦面106、第二上面107、第二角面108、第二縦面109及び最下底面110から構成されている。
次に、車体側壁面100とドア側壁面200との間隔(寸法関係)を説明する。
また、第一角面105と内側段差面203との車両上下方向の間隔をH1とし、第二角面108と外側段差面205との車両上下方向の間隔をH2とし、最下底面110と最下面207との車両上下方向の間隔をH3とする。
但し、上述の間隔を規定する互いに対向する面は、必ずしも平行の関係となっていない。そのため、車幅方向の間隔は、車両上下方向のどの位置で測るかによって変化することがあり、また、車両上下方向の間隔は、車幅方向のどの位置で測るかによって変化することがある。この場合、間隔W1、W2、W3、H1、H2は、車体側壁面100とドア側壁面200とが対向している部分で測った間隔の最小値を意味する。
また、ドア下空間300のうち、第一角面105の車両上方に位置する空間を角上空間301といい、角上空間301とドアWS16との間の空間を第一空間302という。
これに対し、車両上下方向の間隔H1、H2は、ドアのオーバーストローク要件を考慮して設定する必要がない。したがって、車両上下方向の間隔H1、H2は、車幅方向の間隔W1、W2、W3と比較して、狭い間隔に設定することができる。具体的には以下に示す関係となっている。
さらに、第一上面104とドアWS16との車両上下方向の間隔Dは、間隔H1よりも大きい。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
したがって、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
次に、第一実施形態の車両側部構造の作用効果について説明する。
このため、車外500からドア下空間300に入った音は、ドアWS16で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間302と角上空間301との間で再び反射される。このように、第一空間302の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外500から車室内600に侵入する音が低減される。
図9は、単純化した拡張型消音器を示している。A1は入口管断面積、A2は拡大管断面積である。また、Lは拡大管の長さである。
このとき、透過損失TLは以下の式1で表される。式1から判るように、拡大管断面積A2の入口管断面積A1に対する比(断面積比)Mが大きい程、透過損失TL(消音効果)は大きくなる。また、共鳴周波数は、拡大管の長さLにより決まる。なお、kは、音波の波数である。
ここで、ドア下空間300の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりドアのオーバーストローク要件を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間301に対する第一空間302の音の侵入経路に対する断面積の比を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、シール当接縦面103のうちドアWS16が当接しない部分の車幅方向外方に第一空間302が形成されるので、第一空間302を大きく形成することができる。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、ドア下空間300の、音の侵入経路に垂直な断面積を効率的に小さくすることができる。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、車外側隙部305から入ってくる水が直接的にドアWS16まで到達することが抑制されている。したがって、車室内600へ水が入りにくい。
なお、車両前後方向に垂直な断面視において、ドアWS16及び車外側隙部305とを結ぶ仮想直線は、一意には定まらない。上述した内容は、ドアWS16の少なくとも一部と、車外側隙部305の少なくとも一部とをどのように直線で結んだとしても、その仮想直線上に、フロントサイドドア20Fの一部と開口下縁部(サイドアウタパネル70及びロッカモール50)の一部の少なくとも一方が存在するという意味である。
次に、本発明の第二実施形態に係る車両側部構造S2が適用された車両11について説明する。
以下、第二実施形態のロッカモール60の構成を説明する。
側壁部67の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、略車両上下方向に板厚方向を向けた最下底壁66が形成されている。最下底壁66の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第二縦壁部65が形成されている。第二縦壁部65の上端からは、車幅方向外方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた下壁部64が形成されている。下壁部64の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた第一縦壁部63が形成されている。第一縦壁部63の上端からは、車幅方向内方へ延びるように、板厚方向を略車両上下方向に向けた第一上壁部62が形成されている。第一上壁部62の車幅方向内方の端部からは、車両上方へ延びるように、板厚方向を略車幅方向に向けた最上部61が形成されている。最上部61は、サイドアウタパネル70の側壁部73の下方に配置されている。
すなわち、図5に示されるように、車体側壁面400は、天面401、シール当接角面402、シール当接縦面403、第一上面404、第一角面405、第一縦面406、第二角面407、下面408、第二縦面409及び最下底面410から構成されている。
次に、車体側壁面400とドア側壁面200との間隔(寸法関係)を説明する。
また、第一角面405と内側段差面203との車両上下方向の間隔をH1とし、最下底面410と最下面207との車両上下方向の間隔をH3する。また、第二縦面409の車両上下方向の寸法をH4とする。
但し、上述の間隔を規定する互いに対向する面は、必ずしも平行の関係となっていない。そのため、車幅方向の間隔は、車両上下方向のどの位置で測るかによって変化することがあり、また、車両上下方向の間隔は、車幅方向のどの位置で測るかによって変化することがある。この場合、間隔W1、W2、W3、H1は、車体側壁面400とドア側壁面200とが対向している部分で測った間隔の最小値を意味する。
また、ドア下空間300のうち、第一角面405の車両上方に位置する空間を角上空間301といい、角上空間301とドアWS16との間の空間を第一空間302という。
これに対し、車両上下方向の間隔H1は、ドアのオーバーストローク要件を考慮して設定する必要がない。したがって、車両上下方向の間隔H1は、車幅方向の間隔W1、W2、W3と比較して、狭い間隔に設定することができる。具体的には以下に示す関係となっている。
さらに、第一上面404とドアWS16との車両上下方向の間隔Dは、間隔H1よりも大きい。つまり、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
したがって、角上空間301の車両上下方向の幅H1は、第一空間302の車幅方向の幅W1よりも小さく、かつ、第一空間302の車両上下方向の幅Dよりも小さくなっている。
次に、第二実施形態の作用効果について説明する。
このため、車外500からドア下空間300に入った音は、ドアWS16で一部吸収されて、一部反射される。そして、一部反射された音は、第一空間302と角上空間301との間で再び反射される。このように、第一空間302の前後に音を反射する機構が設けられているため、所謂拡張型消音器と同様の原理で、車外500から車室内600に侵入する音が低減される。
ここで、ドア下空間300の車両上下方向の幅は、車幅方向の幅と異なりドアのオーバーストローク要件を考慮せずに設計できるため、比較的狭い幅に設計することができる。
このため、角上空間301に対する第一空間302の音の侵入経路に対する断面積の比を大きく設計しやすい。よって、効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、シール当接縦面403のうちドアWS16が当接しない部分の車幅方向外方に第一空間302が形成されるので、第一空間302を大きく形成することができる。よって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、車外側隙部305から入ってくる水が直接的にドアWS16まで到達することが抑制されている。したがって、車室内600へ水が入りにくい。
このため、車外500から侵入する音が、凹面450の車幅方向外方に位置する拡大されたドア下空間である第二空間303と、第一縦面406の車幅方向外方に位置するドア下空間300との間で一部反射される。したがって、より一層効率的に消音効果を向上させることができる。
このため、第一縦面406を伝わって下面408に垂れてきた水は、車両前後方向に対して傾斜した下面408を伝わって車両前後方向の一方側(本実施形態では車両前方)へ流れる。したがって、水切れがよい。
このため、下面を伝わって流れる水は、車両前後方向のうちサイドドアのヒンジが設けられた車両前方側に流れる。したがって、乗降時に乗員の足に水がかかりにくい。
最後に、図8に、第一実施形態の車両側部構造S1、第二実施形態の車両側部構造S2、及び比較例に係る車両側部構造S3について行った実験の結果を示す。
図8の縦軸は、透過音(進入してきた音)の音圧レベル(dB)であり、小さいほど消音効果が大きいことを示す。また、図8の横軸は、音の中心周波数(Hz)である。
なお、上記実施形態では、フロントサイドドア20Fとの間にドア下空間300が形成される開口下縁部が、サイドアウタパネル70及びロッカモール50の外面によって構成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロッカモールのみによって構成されていてもよいし、サイドアウタパネル及びロッカモール以外のその他の部材を含んで構成されていてもよい。
10 車両
12F 前側ドア開口部(ドア開口部)
14 ヒンジ
16 ドアWS
20F フロントサイドドア(サイドドア)
50 ロッカモール(開口下縁部)
60 ロッカモール(開口下縁部)
70 サイドアウタパネル(開口下縁部)
80 ロッカ
100 車体側壁面
103 シール当接縦面
104 第一上面(上面)
105 第一角面(角面)
106 第一縦面(縦面)
107 第二上面
108 第二角面
109 第二縦面
200 ドア側壁面
300 ドア下空間
301 角上空間
302 第一空間
305 車外側隙部
500 車外
600 車室内
S2 車両側部構造
11 車両
400 車体側壁面
403 シール当接縦面
404 第一上面(上面)
405 第一角面(角面)
406 第一縦面(縦面)
408 下面
450 凹面
H1 第一角面と内側段差面との車両上下方向の間隔(角上空間の車両上下方向の幅)
D 第一上面とドアWSとの車両上下方向の間隔(第一空間の車両上下方向の幅)
W1 シール当接縦面と内側縦面との車幅方向の間隔(第一空間の車幅方向の幅)
Claims (7)
- 車両側部に設けられたドア開口部の車両下側の部分を構成する開口下縁部と、
前記ドア開口部を開閉可能であり、前記ドア開口部を閉じた状態で前記開口下縁部との間にドア下空間が形成されるサイドドアと、
前記ドア下空間をシールするシール部材と、
を備える車両側部構造であって、
前記ドア下空間の前記開口下縁部側の壁面である車体側壁面は、
法線方向を略車両上方に向けた上面と、
前記上面の車幅方向外方の端部に形成された角面と、
前記角面から略車両下方に延びた縦面と、
を含んで構成されており、
前記ドア下空間は、
前記角面の車両上方に位置する空間である角上空間と、
前記シール部材の車外側に隣接し、前記シール部材と前記角上空間との間の空間である第一空間と、
を含んで構成されており、
前記角上空間の車両上下方向の幅は、
前記第一空間の車両上下方向の幅よりも小さく、かつ、前記第一空間の車幅方向の幅よりも小さい、
車両側部構造。 - 前記車体側壁面は、
前記上面の車幅方向内方の端部から略車両上方に延びると共に、上部に前記シール部材が当接するシール当接縦面をさらに含んで構成されている、
請求項1に記載の車両側部構造。 - 前記車体側壁面は、
前記縦面の車両下方の端部から車幅方向外方へ延びた第二上面と、
前記第二上面の車幅方向外方の端部から車両下方へ延びた第二縦面と、
をさらに含んで構成されている。
請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造。 - 前記車体側壁面は、
前記縦面の車両下方に設けられ、前記縦面よりも車幅方向内方へ凹んだ凹面
をさらに含んで構成されており、
前記凹面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅は、
前記縦面から車幅方向に測った前記ドア下空間の幅よりも大きい、
請求項1又は請求項2に記載の車両側部構造。 - 前記凹面は、
前記縦面の車両下方の端部から車幅方向内方へ延びた下面
を含んで構成されており、
前記下面は、
車両前後方向に対して傾斜している、
請求項4に記載の車両側部構造。 - 前記サイドドアは、車両前後方向の一方側にヒンジを備えたヒンジドアであり、
前記下面は、車両前後方向の一方側に向かって車両下方に傾斜している、
請求項5に記載の車両側部構造。 - 前記サイドドアの下端部は、前記開口下縁部と車両上下方向に対向して車外側隙部を形成しており、
車両前後方向に垂直な断面において、前記車外側隙部と前記シール部材とを結ぶ仮想直線上に、前記サイドドアの一部と前記開口下縁部の一部の少なくとも一方が設けられている、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の車両側部構造。
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