JP2018048173A - 皮膚貼付用粘着シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低皮膚刺激性かつ十分な薬物の放出性を有する経皮吸収製剤、及び、十分な粘着性を有しながら皮膚刺激性の低い皮膚貼付用粘着シートの製造方法の提供。【解決手段】織布又は不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートであって、a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、b)上記粘着層は少なくともスチレン−イソプレン−スチレン(SBS)共重合体、及び、該共重合体100重量部に対して300重量部を超える流動パラフィンを含み、c)上記粘着層中の流動パラフィン含量が65〜90重量%であり、d)上記SBS共重合体の含量は、8〜20重量%であり、SBS共重合体を流動パラフィンを加熱溶融し、粘着基材を作製し、シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、粘着基材の表面に不織布をラミネートする、皮膚貼付用粘着シートの製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は十分な粘着性を有しながら皮膚刺激性の低い皮膚貼付用粘着シート、ならびに、皮膚刺激性が低く、かつ、薬物の放出性が改善された経皮吸収製剤の製造方法に関する。
薬物を経皮吸収させようとする場合、薬物を粘着基剤等に配合して貼付剤化することが行なわれている。近年では、貼付剤中に多量の水を構成成分として含有するパップ剤よりも、より粘着性に優れたテープ剤が使用されることが多い。このテープ剤の粘着基剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコン系等の親油性粘着基剤が使用される。中でもゴム系の粘着基剤は、他の粘着基剤に比較して添加剤の配合が容易であるため、広く用いられている。(特許文献1〜3)
しかし、ゴム系の粘着基剤を用いた経皮吸収製剤においても、充分な薬物の放出性が確保できない、あるいは経皮吸収製剤に通常添加されている粘着付与剤に起因する皮膚刺激が発生する等の問題が指摘されていた。
しかし、ゴム系の粘着基剤を用いた経皮吸収製剤においても、充分な薬物の放出性が確保できない、あるいは経皮吸収製剤に通常添加されている粘着付与剤に起因する皮膚刺激が発生する等の問題が指摘されていた。
「粘着製品の応用技術」125〜141頁、福沢敬司ら著、シーエムシー社、2000年刊
本発明の目的は、十分な粘着性を有しながら皮膚刺激性の低い皮膚貼付用粘着シートの製造方法、さらには、低皮膚刺激性かつ十分な薬物の放出性を有する経皮吸収製剤の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、粘着基材として、熱可塑性エラストマーと該エラストマーに対して多量の流動パラフィンを用いることで、粘着付与剤を含有しなくても、十分な粘着性を有しつつ皮膚刺激性が低い皮膚貼付用粘着シートが得られることを見出した。更には、当該粘着シートに薬物又はその薬学的に許容し得る塩を含有させることで十分な経皮吸収性を有する経皮吸収製剤が得られ得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が65〜90重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が8〜20重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して300重量部を超える流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
g)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(2)加熱溶解して得られた粘着基剤を冷却して、薬物を溶解した多価アルコールを加えて混合撹拌し、シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布することを特徴とする、上記(1)に記載の製造方法。
(3)上記多価アルコールが、プロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコールであることを特徴とする、上記(2)に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(4)上記不織布が、ポリエステル系不織布であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(5)上記皮膚貼付用粘着シートが、低皮膚刺激性であり、且つ十分な粘着性を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(6)不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が75〜78.7重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が12〜15重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して500〜650重量部の流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)冷却後、上記粘着層中の多価アルコールの含量が5重量%となるように混合撹拌して、
g)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
h)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、上記(1)に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(1)不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が65〜90重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が8〜20重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して300重量部を超える流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
g)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(2)加熱溶解して得られた粘着基剤を冷却して、薬物を溶解した多価アルコールを加えて混合撹拌し、シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布することを特徴とする、上記(1)に記載の製造方法。
(3)上記多価アルコールが、プロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコールであることを特徴とする、上記(2)に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(4)上記不織布が、ポリエステル系不織布であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(5)上記皮膚貼付用粘着シートが、低皮膚刺激性であり、且つ十分な粘着性を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
(6)不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が75〜78.7重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が12〜15重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して500〜650重量部の流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)冷却後、上記粘着層中の多価アルコールの含量が5重量%となるように混合撹拌して、
g)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
h)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、上記(1)に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
本発明の製造方法で得られた皮膚貼付用粘着シートは、皮膚に貼付した際に十分な粘着性を持ちつつ、皮膚刺激性が低い。また、本発明の皮膚貼付用粘着シートに薬物を含有した経皮吸収製剤は、薬物の放出性も良好である。
本発明の皮膚貼付用粘着シートならびに経皮吸収製剤は、支持体上に設けられた粘着層を有し、当該粘着層は少なくとも熱可塑性エラストマーと、該エラストマー100重量部に対して300重量部を超える流動パラフィンを含み、かつ、粘着層中の粘着付与剤は10重量%以下であることを特徴とする。
本発明の「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性のエラストマーであり、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系など、各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。このうち、本発明の目的である十分な粘着性と低皮膚刺激性の両立の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー、特に、スチレン系ブロック共重合体が好ましく用いられる。
具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。これら、スチレン系ブロック共重合体は、1種のみ用いても、2種以上の組合せとして用いてもよい。
これらスチレン系ブロック共重合体のうち、十分な粘着性と低皮膚刺激性の両立のほか、皮膚貼付用としての入手性や取り扱い性の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、およびこれらの混合物が特に好ましく用いられる。
本発明の「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性のエラストマーであり、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系など、各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。このうち、本発明の目的である十分な粘着性と低皮膚刺激性の両立の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー、特に、スチレン系ブロック共重合体が好ましく用いられる。
具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。これら、スチレン系ブロック共重合体は、1種のみ用いても、2種以上の組合せとして用いてもよい。
これらスチレン系ブロック共重合体のうち、十分な粘着性と低皮膚刺激性の両立のほか、皮膚貼付用としての入手性や取り扱い性の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、およびこれらの混合物が特に好ましく用いられる。
本発明の「流動パラフィン」とは、公知の市販のものが使用可能であり、特に限定されるものではない。
前記の通り、本発明においては、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、300重量部を超える流動パラフィンを配合する。当該比率を満足する限り、粘着層中の熱可塑性エラストマーおよび流動パラフィンの具体的な配合量は特に限定されないが、一般に、熱可塑性エラストマーが少なすぎると粘着剤として形状維持が困難となり、多すぎると十分な粘着性が得られない。一方、流動パラフィンは、少なすぎると十分な粘着性が得られず、多すぎると粘着剤としての形状維持が困難となる。
熱可塑性エラストマー含量の下限は通常5重量%であり、好ましくは8重量%、より好ましくは10重量%である。上限は通常25重量%であり、好ましくは20重量%である。流動パラフィン含量の下限は、通常60重量%、好ましくは65重量%、更に好ましくは70重量%、特に好ましくは75重量%である。上限は、通常95重量%、好ましくは90重量%である。
前記の通り、本発明においては、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、300重量部を超える流動パラフィンを配合する。当該比率を満足する限り、粘着層中の熱可塑性エラストマーおよび流動パラフィンの具体的な配合量は特に限定されないが、一般に、熱可塑性エラストマーが少なすぎると粘着剤として形状維持が困難となり、多すぎると十分な粘着性が得られない。一方、流動パラフィンは、少なすぎると十分な粘着性が得られず、多すぎると粘着剤としての形状維持が困難となる。
熱可塑性エラストマー含量の下限は通常5重量%であり、好ましくは8重量%、より好ましくは10重量%である。上限は通常25重量%であり、好ましくは20重量%である。流動パラフィン含量の下限は、通常60重量%、好ましくは65重量%、更に好ましくは70重量%、特に好ましくは75重量%である。上限は、通常95重量%、好ましくは90重量%である。
本発明の粘着シートにおいては、上記のような熱可塑性エラストマーと流動パラフィンの配合量を採用することにより、粘着付与剤を添加しなくとも、良好な粘着性を発揮することができる。ここでいう「粘着付与剤」とは、通常貼付剤の分野で汎用される粘着付与剤を表し、例えばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
皮膚刺激性を低減する等の観点から、本発明では、粘着層中の粘着付与剤の含量は10重量%以下とする。好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、粘着付与剤を含まないのが最も好ましい。
本発明では、皮膚貼付用粘着シートの粘着層に、更に薬物またはその薬学的に許容し得る塩を含有させることで、経皮吸収製剤とすることができる。
皮膚刺激性を低減する等の観点から、本発明では、粘着層中の粘着付与剤の含量は10重量%以下とする。好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、粘着付与剤を含まないのが最も好ましい。
本発明では、皮膚貼付用粘着シートの粘着層に、更に薬物またはその薬学的に許容し得る塩を含有させることで、経皮吸収製剤とすることができる。
本発明の「薬物又はその薬学的に許容し得る塩」とは、経皮吸収させるために使用される薬物とその塩を言い、特に限定されるものではない。例えば、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アミノピリン、アルクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アンフェナクナトリウム、メピリゾール、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク等の消炎鎮痛剤;ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイド系抗炎症剤;塩酸ジルチアゼム、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸イソソルビド、タラジピル、ニコランジル、ニトログリセリン、乳酸プレニラミン、モルシドミン、亜硝酸アルミ、塩酸トラゾリン、ニフェジピン等の血管拡張剤;塩酸プロカインアミド、塩酸リドカイン、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、ナドロール、酒石酸メトプロロール、アジマリン、ジソピラミド、塩酸メキシレチン等の不整脈用剤;塩酸エカラジン、インダパミド、塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、塩酸ラベタロール、カプトプリル、酢酸グアナベンズ、メブタメート、硫酸ベタニジン等の血圧降下剤;クエン酸カルベタペンタン、クロペラスチン、タンニン酸オキセラジン、塩酸クロプチノール、塩酸クロフェダノール、塩酸ノスカピン、塩酸エフェドリン、塩酸イソプロテレノール、塩酸クロリプレナリン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、塩酸クレンプテロール、フマル酸ケトチフェン等の鎮該去痰剤;シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、マイトマイシンC、塩酸プロカルバジン、ドキシフルリジン、ラニムスチン等の抗悪性腫瘍剤;アミノ安息香酸エチル、塩酸テトラカイン、塩酸ブロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸プロピトカイン等の局所麻酔剤;プロピルチオウラシル、チアマゾール、酢酸メテロノン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン等のホルモン剤;塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、塩酸ジプロヘプタジン、塩酸ジフェニルピラリン等の抗ヒスタミン剤;ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン等の血液凝固阻止剤;臭化メチルアトロピン、スコポラミン等の鎮痙剤;チオペンタールナトリウム、ペントバルビタールナトリウム等の全身麻酔剤;ブロムワレニル尿素、アモバルビタール、フェノバルビタール等の催眠・鎮痛剤;フェニトインナトリウム等の抗癲癇剤;塩酸メタンフェタミン等の興奮剤・覚醒剤;塩酸ジフェンドール、メシル酸ベタヒスチン等の鎮暈剤;塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、メプロバメート、塩酸イミプラミン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等の精神神経用剤;塩酸スキサメトニウム、塩酸エペリゾン等の骨格筋弛緩剤;臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等の自律神経用剤;塩酸アマンタジン等の抗パーキンソン剤;ヒドロフルメチアジド、イソソルビド、フロセミド等の利尿剤;塩酸フェニレフリン等の血管収縮剤;臭化ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等の呼吸促進剤;臭化グリコピロニウム、プログルミド、塩酸セトラキサート、シメチジン、スピゾフロン等の消化性潰瘍治療剤;ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等の利胆剤;ヘキサミン、スパルティン、ジノプロスト、塩酸リトドリン等の泌尿生殖器及び肛門用剤;サリチル酸、シクロピロクスオラミン、塩酸コロコナゾール等の寄生性皮膚疾患用剤;尿素等の皮膚軟化剤;カルシトリオール、塩酸チアミン、リン酸リボフラピンナトリウム、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パンテノール、アスコルビン酸等のビタミン剤;塩化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等の無機質製剤;エタンシラート剤の止血剤;チオプロニン等の肝臓疾患用剤;シアナミド等の習慣性中毒用剤;コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等の通風治療剤;トルブタミド、クロルプロパミド、グリミジンナトリウム、グリプゾール、塩酸プホルミン、インスリン等の糖尿病用剤;ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピリシン、カルベニシリンナトリウム、セファロリジン、セフォキシチンナトリウム、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン等の抗生物質;イソシアニド、ピラジナミド、エチオナミド等の化学療法剤;塩酸モルヒネ、リン酸コディン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン、クエン酸フェンタニル等の麻薬等が挙げられる。
本発明の皮膚貼付用粘着シート、および、経皮吸収製剤は、上記の構成からなる粘着層を支持体上に展延して構成される。
本発明の皮膚貼付用粘着シート、および、経皮吸収製剤は、上記の構成からなる粘着層を支持体上に展延して構成される。
本発明の「支持体」とは、特に限定されるものではなく汎用のものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の伸縮性又は非伸縮性の織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等のフィルム、あるいはウレタン、ポリウレタン等の発泡性支持体が挙げられる。これらは、単独で使用されてもよく、複数種が積層されたものとして使用されてもよい。更に支持体に静電気が蓄積することを防止するため、並びに、粘着剤層との良好な投錨性のため、帯電防止剤を含む不織布又は織布を用いることができる。
また、本発明の経皮吸収製剤には、任意成分として、賦形剤、抗酸化剤、香料、着色料等を含有してもよい。
本発明に用いられる賦形剤としては、例えば、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸等のケイ素化合物、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、乾燥水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、カオリン、酸化チタン等が挙げられる。
本発明に用いられる抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、トコフェロール、トコフェロールエステル誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
また、本発明の経皮吸収製剤には、任意成分として、賦形剤、抗酸化剤、香料、着色料等を含有してもよい。
本発明に用いられる賦形剤としては、例えば、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸等のケイ素化合物、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、乾燥水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、カオリン、酸化チタン等が挙げられる。
本発明に用いられる抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、トコフェロール、トコフェロールエステル誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
以下実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)ジクロフェナクを含有する経皮吸収貼付剤の作製
以下の表1の組成(w/w%)になるように各試剤を秤取し、流動パラフィンにスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を加え、約160℃で加熱溶解する。溶解液を100℃に冷却し、ジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩を溶解したプロピレングリコールを加えて混合攪拌し、粘着基剤を作製する。
該粘着基剤をシリコン処理したポリエステルフィルムに塗布し、1000g/m2の量になるように調整する。その粘着基剤の表面にポリエステル製不織布をラミネートする。このものを所望の大きさに裁断して目的の経皮吸収貼付剤を得た。
以下の表1の組成(w/w%)になるように各試剤を秤取し、流動パラフィンにスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を加え、約160℃で加熱溶解する。溶解液を100℃に冷却し、ジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩を溶解したプロピレングリコールを加えて混合攪拌し、粘着基剤を作製する。
該粘着基剤をシリコン処理したポリエステルフィルムに塗布し、1000g/m2の量になるように調整する。その粘着基剤の表面にポリエステル製不織布をラミネートする。このものを所望の大きさに裁断して目的の経皮吸収貼付剤を得た。
上記表1で作製された経皮吸収製剤の風合いおよび皮膚への粘着特性は良好であった。経皮吸収性も、図1に示されるように、同じ薬物含量の貼付剤であっても、本発明のNo.2と市販のジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩含有貼付剤である比較例1(ジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩1.3w/w%含有)を比較すると、本発明製剤(No.2)の方が経皮吸収性が優れていた。
(実施例2)リドカインを含有する経皮吸収貼付剤の作製
以下の表2の組成(w/w%)になるように各試剤を秤取し、流動パラフィンにスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を加え、約160℃で加熱溶解する。溶解液を100℃に冷却し、リドカインを溶解したプロピレングリコールとポリエチレングリコール400の溶液を加えて混合攪拌し、粘着基剤を作製する。
該粘着基剤をシリコン処理したポリエステルフィルムに塗布し、1000g/m2の量になるように調整する。その粘着基剤の表面にポリエステル製不織布をラミネートする。このものを所望の大きさに裁断して目的の経皮吸収貼付剤を得た。
以下の表2の組成(w/w%)になるように各試剤を秤取し、流動パラフィンにスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を加え、約160℃で加熱溶解する。溶解液を100℃に冷却し、リドカインを溶解したプロピレングリコールとポリエチレングリコール400の溶液を加えて混合攪拌し、粘着基剤を作製する。
該粘着基剤をシリコン処理したポリエステルフィルムに塗布し、1000g/m2の量になるように調整する。その粘着基剤の表面にポリエステル製不織布をラミネートする。このものを所望の大きさに裁断して目的の経皮吸収貼付剤を得た。
上記表2で作製された経皮吸収製剤は、実施例1の経皮吸収製剤と同様に風合いおよび皮膚への粘着特性は良好であった。
経皮吸収性に関して、市販のリドカイン含有貼付剤である比較例2(リドカイン60w/w%含有)、比較例3(リドカイン10w/w%含有)と本発明製剤(No.3)を比較すると、本発明製剤の方が、リドカイン5w/w%と低濃度であるに係らず、高濃度の比較例2および3よりも経皮吸収性が優れていることが分かった。
経皮吸収性に関して、市販のリドカイン含有貼付剤である比較例2(リドカイン60w/w%含有)、比較例3(リドカイン10w/w%含有)と本発明製剤(No.3)を比較すると、本発明製剤の方が、リドカイン5w/w%と低濃度であるに係らず、高濃度の比較例2および3よりも経皮吸収性が優れていることが分かった。
(比較例1)市販ジクロフェナク貼付剤
水及び水溶性高分子、多価アルコール等からなる水性基剤中に、ジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩1.3w/w%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、1000g/m2であった。
水及び水溶性高分子、多価アルコール等からなる水性基剤中に、ジクロフェナク・ヒドロキシエチルピロリジン塩1.3w/w%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、1000g/m2であった。
(比較例2)市販リドカイン貼付剤A
アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体にリドカインを60重量%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、19.6g/m2であった。
(比較例3)市販リドカイン貼付剤B
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂、流動パラフィン等よりなる基剤にリドカインを10重量%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、110g/m2であった。
アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体にリドカインを60重量%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、19.6g/m2であった。
(比較例3)市販リドカイン貼付剤B
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂、流動パラフィン等よりなる基剤にリドカインを10重量%含有する貼付剤を用いた。基剤重量は、110g/m2であった。
(試験例1)貼付剤の経皮吸収性評価試験(A)
雄性Wister系ラット(5週令)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着し、実施例1と比較例1の被験貼付剤を各々直径1.0cmの円形に打ち抜き、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター側には10%エタノール生理食塩水を用いて一定時間後にラット皮膚を透過する薬物量をHPLCにより定量した。
これらの結果を図1に示す。図1から明らかなように、本発明の経皮吸収製剤は水性基剤である比較例1に比べて経皮吸収性が約4倍優れていた。
雄性Wister系ラット(5週令)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着し、実施例1と比較例1の被験貼付剤を各々直径1.0cmの円形に打ち抜き、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター側には10%エタノール生理食塩水を用いて一定時間後にラット皮膚を透過する薬物量をHPLCにより定量した。
これらの結果を図1に示す。図1から明らかなように、本発明の経皮吸収製剤は水性基剤である比較例1に比べて経皮吸収性が約4倍優れていた。
(試験例2)貼付剤の経皮吸収性評価試験(B)
雄性Wister系ラット(5週令)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着し、実施例2と比較例2、比較例3の被験貼付剤を各々直径1.77cmの円形に打ち抜き、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター側には10%エタノール生理食塩水を用いて一定時間後にラット皮膚を透過する薬物量をHPLCにより定量した。
これらの結果を図2に示す。図2から明らかなように、本発明の経皮吸収製剤は市販のリドカイン製品よりも、約6倍以上の優れた経皮吸収性を示した。
雄性Wister系ラット(5週令)の腹部抽出皮膚を縦型フランツ拡散セルに装着し、実施例2と比較例2、比較例3の被験貼付剤を各々直径1.77cmの円形に打ち抜き、拡散セルのラット皮膚上に貼付した(n=3)。レセプター側には10%エタノール生理食塩水を用いて一定時間後にラット皮膚を透過する薬物量をHPLCにより定量した。
これらの結果を図2に示す。図2から明らかなように、本発明の経皮吸収製剤は市販のリドカイン製品よりも、約6倍以上の優れた経皮吸収性を示した。
本発明の経皮吸収製剤は、皮膚に貼付した際の風合いと経皮吸収性に優れており、既存の経皮吸収製剤の性能改善、ならびに新たな経皮吸収製剤開発に利用できる可能性がある。
Claims (6)
- 不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が65〜90重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が8〜20重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して300重量部を超える流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
g)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、皮膚貼付用粘着シートの製造方法。 - 加熱溶解して得られた粘着基剤を冷却して、薬物を溶解した多価アルコールを加えて混合撹拌し、シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 上記多価アルコールが、プロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
- 上記不織布が、ポリエステル系不織布であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
- 上記皮膚貼付用粘着シートが、低皮膚刺激性であり、且つ十分な粘着性を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
- 不織布の支持体上に粘着層が形成された皮膚貼付用粘着シートの製造方法であって、
a)上記粘着層に粘着付与剤を含まず、
b)上記粘着層中の流動パラフィン含量が75〜78.7重量%であり、
c)上記粘着層中のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の含量が12〜15重量%であり、
d)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体100重量部に対して500〜650重量部の流動パラフィンとなるように、
e)上記スチレン−イソプレン−スチレン共重合体と流動パラフィンを加熱溶解して、粘着基剤を作製し、
f)冷却後、上記粘着層中の多価アルコールの含量が5重量%となるように混合撹拌して、
g)シリコン処理したポリエステルフィルムに塗布した後、
h)粘着基剤の表面に不織布をラミネートする
ことを特徴とする、請求項1に記載の皮膚貼付用粘着シートの製造方法。
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