以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面の第1軸(X軸)と平行な方向をX軸方向とし、第1軸と直交する所定面の第2軸(Y軸)と平行な方向をY軸方向とし、所定面と直交する第3軸(Z軸)と平行な方向をZ軸方向とする。また、第1軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とし、第2軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とし、第3軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。XY平面は所定面である。
第1実施形態.
[電子部品実装装置]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置1の一例を模式的に示す図である。電子部品実装装置1は、電子部品Cを基板Pに実装する。電子部品実装装置1において基準位置FMが規定される。本実施形態において、XYZ直交座標系は、電子部品実装装置1に規定された基準位置FMを基準とするローカル座標系である。
電子部品実装装置1は、ベース部材2と、基板Pを搬送する基板搬送装置3と、電子部品Cを供給するテープフィーダ40を含む電子部品供給装置4と、ノズル51及びシャフト52を含む保持ユニット50を有する実装ヘッド5と、保持ユニット50を移動する移動システム6と、交換されるノズル51を収容する交換ノズル収容装置7と、電子部品Cの画像データを取得する撮像装置8と、保持ユニット50のノズル51の状態及び保持ユニット50に保持されている電子部品Cの状態の少なくとも一方を検出する状態検出装置9とを備える。
基板搬送装置3は、電子部品Cが実装される基板Pを搬送する。基板搬送装置3は、基板Pを搬送する搬送ベルト3Bと、基板Pをガイドするガイド部材3Gと、基板Pを保持する保持部材3Hとを含む。搬送ベルト3Bは、アクチュエータの作動により移動して、基板PをX軸方向に搬送する。基板Pは、ガイド部材3GにガイドされてX軸方向に移動する。保持部材3Hは、基板搬送装置3の搬送経路に規定された実装位置DMにおいて基板Pを保持する。保持部材3Hは、基板Pの表面とXY平面とが平行となるように基板Pを保持する。
電子部品供給装置4は、電子部品Cを実装ヘッド5の保持ユニット50に供給する。電子部品供給装置4は、テープフィーダ40と、テープフィーダ40を着脱可能に支持するフィーダバンク41とを含む。本実施形態において、電子部品供給装置4は、基板搬送装置3の+Y側及び−Y側のそれぞれに配置される。
テープフィーダ40は、電気駆動方式の電動テープフィーダである。テープフィーダ40は、X軸方向に複数配置される。テープフィーダ40は、複数の電子部品Cを保持する。テープフィーダ40は、電子部品CをY軸方向に移動して、保持ユニット50のノズル51に電子部品Cを供給する。X軸方向に複数配置されているテープフィーダ40が同時に作動することにより、X軸方向に配置される複数の電子部品CがY軸方向に同時に移動する。
実装ヘッド5は、電子部品供給装置4から供給された電子部品Cを実装位置DMに配置された基板Pに実装する。実装ヘッド5は、X軸方向に配置される複数の保持ユニット50と、複数の保持ユニット50を支持するヘッド本体53とを有する。ヘッド本体53は、保持ユニット50を支持する支持部材である。保持ユニット50は、電子部品Cを着脱可能に保持するノズル51と、ノズル51を支持するシャフト52とを有する。
保持ユニット50は、電子部品供給装置4から電子部品Cが供給される供給位置SMと、基板Pが配置される実装位置DMとの間を移動可能である。供給位置SM及び実装位置DMは、XY平面内において異なる位置に規定される。保持ユニット50は、電子部品供給装置4から供給位置SMに供給された電子部品Cを供給位置SMにおいてノズル51で保持し、実装位置DMに移動した後、基板Pに実装する。
移動システム6は、保持ユニット50をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動させる。移動システム6は、基準位置FMを基準として、保持ユニット50のノズル51の位置を制御する。
移動システム6は、ヘッド本体53をX軸方向に移動するX軸駆動装置61と、ヘッド本体53をY軸方向に移動するY軸駆動装置62と、ヘッド本体53に設けられ保持ユニット50をZ軸方向に移動するZ軸駆動装置63と、ヘッド本体53に設けられ保持ユニット50をθZ方向に移動するθZ駆動装置64とを有する。
X軸駆動装置61は、実装ヘッド5をX軸方向にガイドするガイド部材611と、実装ヘッド5をX軸方向に移動させるための動力を発生するアクチュエータ612とを有する。実装ヘッド5は、X軸駆動装置61に接続される。X軸駆動装置61により実装ヘッド5がX軸方向に移動することによって、保持ユニット50がX軸方向に移動する。
Y軸駆動装置62は、X軸駆動装置61をY軸方向にガイドするガイド部材621と、ガイド部材621をY軸方向に移動させるための動力を発生するアクチュエータ622とを有する。X軸駆動装置61のガイド部材611は、Y軸駆動装置62のガイド部材621にY軸方向に移動可能に支持される。Y軸駆動装置62によりX軸駆動装置61のガイド部材611がY軸方向に移動することによって、ガイド部材611に支持されている実装ヘッド5がガイド部材611と一緒にY軸方向に移動する。実装ヘッド5がY軸方向に移動することによって、保持ユニット50がY軸方向に移動する。
Z軸駆動装置63は、ヘッド本体53に支持される。Z軸駆動装置63は、保持ユニット50をZ軸方向に移動させるための動力を発生するアクチュエータと、アクチュエータで発生した動力を保持ユニット50に伝達する動力伝達機構とを有する。Z軸駆動装置63により、保持ユニット50がZ軸方向に移動する。
θZ駆動装置64は、ヘッド本体53に支持される。θZ駆動装置64は、保持ユニット50をθZ方向に回転させるための動力を発生するアクチュエータと、アクチュエータで発生した動力を保持ユニット50に伝達する動力伝達機構とを有する。θZ駆動装置64により、保持ユニット50がθZ方向に回転する。
交換ノズル収容装置7は、複数種類のノズル51を収容する。交換ノズル収容装置7において、シャフト52に装着されるノズル51が交換される。
撮像装置8は、ノズル51の画像データ及びノズル51に保持されている電子部品Cの画像データの少なくとも一方を取得する。撮像装置8は、ノズル51又はノズル51に保持されている電子部品Cを−Z側(下側)から撮影する。電子部品Cの画像データが取得されることにより、ノズル51に保持されている電子部品Cの形状及びノズル51による電子部品Cの保持状態が検出される。
状態検出装置9は、ノズル51に検出光を照射して、ノズル51の状態を検出する。また、状態検出装置9は、ノズル51に保持されている電子部品Cに検出光を照射して、電子部品Cの状態を検出する。状態検出装置9は、実装ヘッド5に設けられる。
[電子部品供給装置]
次に、電子部品供給装置4について説明する。図2は、本実施形態に係る電子部品供給装置4のテープフィーダ40の一例を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係るテープフィーダ40の一部を拡大した側断面図である。
図2に示すように、テープフィーダ40は、メインフレーム42と、メインフレーム42に支持され、キャリアテープTを搬送する搬送機構43と、メインフレーム42に支持され、キャリアテープTからカバーテープEを剥離する剥離機構44とを有する。
複数の電子部品CがキャリアテープTに保持される。電子部品Cは、キャリアテープTの長手方向に等間隔で複数設けられる。電子部品Cは、キャリアテープTに設けられたポケットRに配置される。ポケットRは、キャリアテープTの長手方向に等間隔で複数設けられる。複数のポケットRのそれぞれに電子部品Cが配置される。キャリアテープTにはカバーテープEが貼り合せられる。
メインフレーム42は、キャリアテープTが移動する搬送部421と、テープリールから供給されるキャリアテープTの入口422と、搬送部421を移動したキャリアテープTの出口423とを有する。キャリアテープTは、搬送部421においてY軸方向に移動する。
メインフレーム42は、キャリアテープTからカバーテープEを剥離する剥離部424を有する。剥離部424は、メインフレーム42に接続されるカバープレート425に設けられる。カバープレート425は、搬送部421のキャリアテープTを上方から覆うように配置される。カバープレート425の剥離部424において、キャリアテープTとカバーテープEとが剥離される。
図3に示すように、カバーテープEは、剥離部424において上方に折り返され、剥離機構44により−Y方向に移動する。キャリアテープTは、搬送機構43により+Y方向に移動する。カバーテープEが剥離機構44により移動され、キャリアテープTが搬送機構43により移動されることにより、剥離部424においてキャリアテープTからカバーテープEが剥離される。
カバーテープEが剥離されたキャリアテープTは、+Y方向に移動する。カバープレート425は、剥離部424よりも+Y側に形成された開口部426を有する。電子部品Cは、キャリアテープTのポケットRに配置された状態で搬送される。開口部426は、電子部品Cの寸法及びポケットRの寸法よりも大きい。開口部426は、供給位置SMを含む。ポケットRに配置された電子部品Cが開口部426に配置されることにより、ノズル51は、開口部426を介して、電子部品Cを保持することができる。
テープフィーダ40は、テープリールから供給されたキャリアテープTをポケットRの間隔で断続的にステップ移動し、剥離部424においてキャリアテープTからカバーテープEを剥離し、カバーテープEが剥離されたキャリアテープTに保持されている電子部品Cを供給位置SMに移動する。
搬送機構43は、メインフレーム42に支持される駆動モータ431と、メインフレーム42に回転可能に支持されるスプロケット432と、駆動モータ431が発生する動力をスプロケット432に伝達する動力伝達機構433とを有する。本実施形態において、駆動モータ431は、ステッピングモータである。動力伝達機構433は、複数のギアを含む。スプロケット432は、駆動モータ431が発生する動力により回転して、電子部品Cを保持するキャリアテープTを+Y方向に移動する。
スプロケット432は、X軸と平行な回転軸SXを中心に回転する。スプロケット432は、駆動モータ431のステップ動作により断続的にステップ回転する。駆動モータ431は、ポケットRに配置されている電子部品Cが開口部426に順次配置されるように、ステップ動作する。
テープフィーダ40は、スプロケット432の回転方向におけるスプロケット432の位置を検出する位置検出装置45を有する。本実施形態において、複数のスリット461を有するスリット板46がスプロケット432に固定される。スリット板46は、スプロケット432と一緒に回転する。位置検出装置45は、スプロケット432に固定されたスリット板46のスリット461を検出して、回転方向におけるスプロケット432の絶対位置を検出する。
剥離機構44は、メインフレーム42に支持される駆動モータ441と、メインフレーム42に回転可能に支持される一対の搬送ローラ442と、駆動モータ441が発生する動力を搬送ローラ442に伝達する動力伝達機構443と、カバーテープEに張力を付与するテンションローラ444とを有する。
動力伝達機構443は、複数のギアを含む。一対の搬送ローラ442は、カバーテープEを挟むように配置される。搬送ローラ442は、駆動モータ441が発生する動力により回転して、カバーテープEを−Y方向に移動する。
駆動モータ441は、ステッピングモータである。搬送ローラ442は、駆動モータ441のステップ動作により断続的にステップ回転する。駆動モータ441は、駆動モータ431と同期してステップ動作する。駆動モータ441は、駆動モータ431によるキャリアテープTの移動量とカバーテープEの移動量とが同じになるようにステップ動作する。搬送ローラ442により搬送されたカバーテープEは、メインフレーム42に設けられている回収ボックス47に回収される。
図4は、本実施形態に係るスプロケット432及び位置検出装置45の一例を模式的に示す側面図である。図4に示すように、スプロケット432は、円板部432Bと、円板部32Bの外縁部に設けられたスプロケットピン432Pとを有する。
スプロケットピン432Pは、スプロケット432の回転方向に間隔をあけて複数設けられる。スプロケットピン432Pのそれぞれは、キャリアテープTのスプロケットホールHに配置される。
スリット板46は、スプロケット432に固定される。スリット板46は、円板状の部材である。スリット板46は、スプロケット432と一緒に回転する。スプロケット432の回転軸SXとスリット板46の中心とは一致する。スリット板46は、回転軸SXを中心に回転可能である。
スリット板46は、回転方向に設けられた複数のスリット461を有する。異なるスリット幅を有する複数のスリット461がスリット板46に設けられる。スリット幅とは、回転方向におけるスリット461の寸法をいう。異なるスリット幅のスリット461が回転方向にランダムに設けられる。
位置検出装置45は、スプロケット432の回転方向におけるスプロケット432の絶対位置を検出する。位置検出装置45は、フォトセンサを含み、スプロケット432に固定されたスリット板46のスリット461を光学的に検出して、回転方向におけるスプロケット432の絶対位置を検出する。位置検出装置45は、検出光を射出してスリット板46に検出光を照射する射出部と、スリット板46を介して射出部から射出された検出光の少なくとも一部を受光する受光部とを有する。
スプロケット432及びスリット板46が回転することにより、位置検出装置45は、複数のスリット461を順次検出する。位置検出装置45は、スリット461を1つずつ検出する。位置検出装置45は、複数のスリット461のスリット幅の組み合わせにより、スリット板46の回転方向におけるスリット板46の絶対位置を検出する。スリット板46の回転方向におけるスリット板46の絶対位置が検出されることにより、スプロケット432の回転方向におけるスプロケット432の絶対位置が検出される。
図5は、本実施形態に係るキャリアテープTの一例を模式的に示す平面図である。図6は、本実施形態に係るスプロケット432により移動されるキャリアテープTの一例を模式的に示す側面図である。
図5に示すように、キャリアテープTは、Y軸方向に移動する。複数のスプロケットホールHがキャリアテープTに形成される。複数のスプロケットホールHは、キャリアテープTにおいてY軸方向に間隔をあけて設けられる。また、複数の電子部品Cが、キャリアテープTにおいてY軸方向に間隔をあけて設けられる。
図6に示すように、スプロケット432に設けられている複数のスプロケットピン432Pのうち少なくとも一部のスプロケットピン432Pは、キャリアテープTのスプロケットホールHに配置される。スプロケットホールHにスプロケットピン432Pが配置された状態で、回転軸AXを中心にスプロケット432が回転することにより、キャリアテープTはY軸方向に移動される。
位置検出装置45は、回転方向におけるスプロケット432の位置を検出する。回転方向におけるスプロケット432の位置と、キャリアテープTに保持されているY軸方向における電子部品Cの位置とは、1対1で対応する。位置検出装置45の検出データに基づいて、Y軸方向における電子部品Cの位置が算出される。また、位置検出装置45は、スプロケット432の回転量を検出可能である。スプロケット432の回転量と、キャリアテープTに保持されているY軸方向における電子部品Cの移動量とは、1対1で対応する。位置検出装置45の検出データに基づいて、Y軸方向における電子部品Cの移動量が算出される。
フィーダバンク41において、テープフィーダ40は、X軸方向に複数配置される。フィーダバンク41において、電子部品Cは、X軸方向に複数配置される。テープフィーダ40は、電子部品CをY軸方向に移動して、保持ユニット50のノズル51に電子部品Cを供給する。電子部品供給装置4は、X軸方向に配置される複数の電子部品CをY軸方向に移動して、X軸方向に複数配置されている保持ユニット50のノズル51のそれぞれに電子部品Cを供給する。
[実装ヘッド]
次に、実装ヘッド5について説明する。図7は、本実施形態に係る実装ヘッド5の一例を模式的に示す側面図である。図8は、本実施形態に係る実装ヘッド5の一例を模式的に示す正面図である。
図7及び図8に示すように、実装ヘッド5は、X軸方向に設けられる複数の保持ユニット50と、複数の保持ユニット50を支持するヘッド本体53とを有する。複数の保持ユニット50は、X軸方向に一列に配置される。
保持ユニット50は、シャフト52と、シャフト52に接続され、電子部品Cを保持する先端部54を有するノズル51とを備える。
シャフト52は、X軸方向に複数設けられる。シャフト52は、Z軸方向に長い。シャフト52は、Z軸と平行なシャフト52の回転軸AXを中心に回転可能である。複数のシャフト52の構造及び寸法は、それぞれ等しい。複数のシャフト52の重量も、それぞれ等しい。
ノズル51は、シャフト52の下端部に接続される。ノズル51は、複数のシャフト52のそれぞれに接続される。ノズル51は、X軸方向に複数設けられる。
本実施形態において、保持ユニット50は、X軸方向に8つ設けられる。すなわち、本実施形態において、シャフト52は、X軸方向に8本設けられ、ノズル61は、X軸方向に8つ設けられる。
ノズル51は、電子部品Cを着脱可能に保持する。ノズル51は、電子部品Cを吸着保持する吸引ノズルである。ノズル51の先端部54に開口が設けられる。ノズル51の開口は、真空システムと接続される。ノズル51の先端部54と電子部品Cとが接触した状態で、ノズル51の先端部54に設けられた開口からの吸引動作が実施されることにより、ノズル51の先端部54に電子部品Cが吸着保持される。先端部54の開口からの吸引動作が解除されることにより、ノズル51から電子部品Cが解放される。
実装ヘッド5は、保持ユニット50を支持するヘッド本体53を有する。ヘッド本体53は、複数の保持ユニット50のノズル51の先端部54がX軸方向に等間隔で配置されるように、それら複数の保持ユニット50を支持する。
複数のシャフト52のそれぞれは、XY平面と直交するシャフト52の回転軸AXを中心に回転可能にヘッド本体53に支持される。
ヘッド本体53は、Z軸方向に延在する鉛直部531と、鉛直部531の上端部から+Y方向に延在する上水平部532と、鉛直部531の下端部から−Y方向に延出する下水平部533とを有する。
ヘッド本体53は、ホルダ55を介して、保持ユニット50を保持する。ホルダ55は、シャフト52を保持する。
鉛直部531は、Z軸方向に延在するガイド部65を有する。ホルダ55は、ガイド部65を移動可能なスライド部66を有する。ホルダ55は、ガイド部65によってZ軸方向にガイドされながら移動可能である。
実装ヘッド5は、保持ユニット50をZ軸方向に移動するZ軸駆動装置63と、保持ユニット50をθZ方向に移動するθZ駆動装置64とを有する。
Z軸駆動装置63は、ヘッド本体53に支持され、ホルダ55をZ軸方向に移動する。Z軸駆動装置63は、シャフト52をZ軸方向に移動させるための動力を発生するアクチュエータである回転モータ631と、回転モータ631で発生した動力をシャフト52に伝達する動力伝達機構632とを有する。回転モータ631が作動すると、回転モータ631で発生した動力は、動力伝達機構632を介してホルダ55に伝達される。ホルダ55は、回転モータ631で発生した動力により、Z軸方向に移動する。ホルダ55がZ軸方向に移動すると、そのホルダ55に保持されているシャフト52及びそのシャフト52に支持されているノズル51は、ホルダ55と一緒にZ軸方向に移動する。
θZ駆動装置64は、ヘッド本体53に支持され、シャフト52をθZ方向に回転する。θZ駆動装置64は、シャフト52をθZ方向に回転させるための動力を発生するアクチュエータである回転モータ641と、回転モータ641で発生した動力をシャフト52に伝達する動力伝達機構642とを有する。回転モータ641が作動すると、回転モータ641で発生した動力は、動力伝達機構642を介してシャフト52に伝達される。シャフト52は、回転モータ641で発生した動力により、θZ方向に移動する。シャフト52がθZ方向に移動すると、そのシャフト52に支持されているノズル51は、シャフト52と一緒にθZ方向に移動する。
複数の保持ユニット50のそれぞれについて、Z軸駆動装置63及びθZ駆動装置64が設けられる。すなわち、ヘッド本体53は、複数のシャフト52のそれぞれをZ軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータである複数の回転モータ631と、複数のシャフト52のそれぞれをθZ方向に回転させる動力を発生するアクチュエータである複数の回転モータ641とを有する。本実施形態において、実装ヘッド5は、8本のシャフト52をそれぞれZ軸方向に移動させる動力を発生する8つの回転モータ631と、8本のシャフト52をそれぞれθZ方向に回転させる動力を発生する8つの回転モータ641とを有する。複数の保持ユニット50は、Z軸駆動装置63及びθZ駆動装置64の作動により、ヘッド本体53に対して、Z軸方向及びθZ方向の2つの方向に個別に移動可能である。
図7に示すように、Z軸駆動装置63の回転モータ631は、上水平部532に支持される。θZ駆動装置64の回転モータ641は、下水平部533に支持される。
動力伝達機構632は、回転モータ631の出力軸に接続される駆動プーリ632Aと、ホルダ55と上水平部532とを連結するボールねじ機構632Bと、ボールねじ機構632Bのねじ軸に接続される従動プーリ632Cと、駆動プーリ632Aと従動プーリ632Cとを連結するベルト632Dとを有する。ボールねじ機構632Bのねじ軸は、上水平部532に設けられたベアリング67に回転可能に支持される。ボールねじ機構632Bのナットは、ホルダ55に固定される。ベルト632Dは、無端ベルトである。
XY平面内において、回転モータ631の出力軸の中心軸の位置と駆動プーリ632Aの中心軸の位置とは一致する。XY平面内において、ボールねじ機構632Bのねじ軸の中心軸の位置と従動プーリ632Cの中心軸の位置とは一致する。
回転モータ631が作動すると、回転モータ631の出力軸に接続されている駆動プーリ632Aが回転する。駆動プーリ632Aが回転すると、駆動プーリ632Aに支持されているベルト632Dが移動し、従動プーリ632Cが回転する。従動プーリ632Cが回転すると、ボールねじ機構632Bのねじ軸が回転する。ボールねじ機構632Bのねじ軸が回転することにより、ボールねじ機構632Bのナットに固定されているホルダ55がガイド部65にガイドされながらZ軸方向に移動する。ホルダ55がZ軸方向に移動すると、そのホルダ55に保持されているシャフト52及びそのシャフト52に支持されているノズル51は、ホルダ55と一緒にZ軸方向に移動する。
動力伝達機構642は、回転モータ641の出力軸に接続される駆動プーリ642Aと、シャフト52に接続される従動プーリ642Cと、駆動プーリ642Aと従動プーリ642Cとを連結するベルト642Dとを有する。シャフト52は、ホルダ55に設けられたベアリング681、ヘッド本体53に設けられたベアリング682、及びヘッド本体53に設けられたベアリング683に回転可能に支持される。ベルト642Dは、無端ベルトである。
XY平面内において、回転モータ641の出力軸の中心軸の位置と駆動プーリ642Aの中心軸の位置とは一致する。XY平面内において、シャフト52の中心軸の位置と従動プーリ642Cの中心軸の位置とは一致する。
回転モータ641が作動すると、回転モータ641の出力軸に接続されている駆動プーリ642Aが回転する。駆動プーリ642Aが回転すると、駆動プーリ642Aに支持されているベルト642Dが移動し、従動プーリ642Cが回転する。従動プーリ642Cが回転すると、従動プーリ642Cに固定されているシャフト52は、従動プーリ642Cと一緒にθZ方向に回転する。
[状態検出装置]
次に、状態検出装置9について説明する。図7に示すように、実装ヘッド5は、ノズル51の状態及びノズル51に保持されている電子部品Cの状態の少なくとも一方を検出する状態検出装置9を有する。状態検出装置9は、ノズル51に検出光を照射して、ノズル51の状態を検出する。状態検出装置9は、ノズル51に保持されている電子部品Cに検出光を照射して、ノズル51に保持されている電子部品Cの状態を検出する。
ノズル51の状態は、ノズル51の形状及びノズル51の位置の少なくとも一つを含む。ノズル51の位置は、X軸方向、Y軸方向、及びθZ方向におけるノズル51の位置を含む。
電子部品Cの状態は、電子部品Cの形状及びノズル51に保持されている電子部品Cの位置の少なくとも一方を含む。電子部品Cの位置は、X軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における電子部品Cの位置を含む。
状態検出装置9は、ノズル51及び電子部品Cの少なくとも一方に検出光であるレーザ光を照射可能な照射装置91と、照射装置91から射出されたレーザ光の少なくとも一部を受光可能な受光装置92とを有する。照射装置91は、レーザ光を射出可能な発光素子を含む。受光装置92は、レーザ光を受光可能な受光素子を含む。受光装置92は、照射装置91と対向する位置に配置される。Z軸方向における照射装置91の位置と受光装置92の位置とは等しい。状態検出装置9は、ノズル51にレーザ光を照射して、ノズル51の状態を検出する。また、状態検出装置9は、ノズル51に保持されている電子部品Cにレーザ光を照射して、電子部品Cの状態を検出する。
状態検出装置9の照射装置91は、保持ユニット50の−Y方向に配置される。状態検出装置9の受光装置92は、保持ユニット50の+Y方向に配置される。状態検出装置9は、ヘッド本体53に支持される。X軸駆動装置61及びY軸駆動装置62によりヘッド本体53がX軸方向及びY軸方向に移動されることによって、そのヘッド本体53に支持されている状態検出装置9は、ヘッド本体53と一緒に移動する。
図9は、本実施形態に係る状態検出装置9の一例を模式的に示す側面図である。図10は、本実施形態に係る状態検出装置9の一例を模式的に示す平面図である。図9及び図10を用いる説明においては、状態検出装置9がノズル51に保持されている電子部品Cの状態を検出する例について説明する。
図9及び図10に示すように、状態検出装置9は、ノズル51に保持されている電子部品Cにレーザ光を照射可能な照射装置91と、レーザ光を受光可能な受光装置92とを有する。状態検出装置9は、XY平面内における電子部品Cの形状及びXY平面内における電子部品Cの位置を検出する。
状態検出装置9は、照射装置91と受光装置92との間に電子部品Cの少なくとも一部が配置されている状態で、照射装置91からレーザ光を射出して、受光装置92に到達したレーザ光を受光装置92で検出する。照射装置91は、X軸方向に配置される複数の射出部91Sを有する。照射装置91から、X軸方向に配置された複数のレーザ光が射出される。照射装置91の射出部91Sは、Y軸方向にレーザ光を射出する。照射装置91から射出されたレーザ光は、Y軸方向に進行する。
状態検出装置9は、検出領域MAに配置された電子部品Cの少なくとも一部の形状及び位置を検出する。検出領域MAは、照射装置91から射出されたレーザ光の照射領域を含む。本実施形態において、検出領域MAは、X軸方向に長く、X軸とほぼ平行である。
保持ユニット50のノズル51は、+Z方向を向く電子部品Cの上面を保持する。電子部品Cが状態検出装置9の検出領域MAに配置されるように、移動システム6により、電子部品Cを保持する保持ユニット50の位置が調整される。
図10に示すように、照射装置91と受光装置92との間に電子部品Cが配置されることにより、照射装置91から射出されたレーザ光の少なくとも一部は、電子部品Cで遮られる。レーザ光の少なくとも一部が電子部品Cで遮られることにより、受光装置92に入射するレーザ光の強度分布が変化する。状態検出装置9は、受光装置92で受光したレーザ光の強度分布に基づいて、検出領域MAに配置されている電子部品Cの外形を検出することができる。
図10に示すように、θZ駆動装置64の作動により、電子部品Cを保持するノズル51がθZ方向に回転しながら、状態検出装置9の照射装置91から射出されたレーザ光が電子部品Cに照射される。電子部品Cが回転することによって、電子部品Cにおけるレーザ光の照射部位及び受光装置92に対する電子部品Cの相対角度が変化する。
θZ方向に回転している電子部品Cにレーザ光が照射されることにより、受光装置92に対する複数の相対角度のそれぞれにおける電子部品Cの外形が検出される。状態検出装置9は、回転している電子部品Cにレーザ光を照射して、検出領域MAに配置される電子部品Cの外形を検出する。電子部品Cは、θZ方向に少なくとも360[°]回転される。状態検出装置9は、θZ方向の複数の位置のそれぞれについて、検出領域MAに配置される電子部品Cの外形を検出する。θZ方向の複数の位置のそれぞれについて検出された電子部品Cの外形データが合成することにより、検出領域MAに配置されている電子部品Cの形状及び位置が算出される。
例えば、電子部品Cが検出領域MAに配置された状態で、電子部品Cが回転され、受光装置92に対する複数の相対角度のそれぞれにおける電子部品Cの外形データが合成されることにより、XY平面内における電子部品Cの形状及びXY平面内における電子部品Cの位置が算出される。
また、ノズル51が検出領域MAに配置されている状態で、ノズル51が回転され、受光装置92に対する複数の相対角度のそれぞれにおけるノズル51の外形データが合成されることにより、XY平面内におけるノズル51の形状及びXY平面内におけるノズル51の位置が算出される。
本実施形態においては、XY平面内におけるノズル51の先端部54の理想位置を示す基準点RPが規定される。状態検出装置9は、XY平面内におけるノズル51の先端部54の位置を検出可能である。基準点RPと状態検出装置9により検出されたノズル51の先端部54の位置とに基づいて、XY平面内における基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差が算出される。
[制御システム]
次に、本実施形態に係る電子部品実装装置1の制御システムについて説明する。図11は、本実施形態に係る電子部品実装装置1の制御システムの一例を示す機能ブロック図である。図11に示すように、電子部品実装装置1は、制御装置10を有する。制御装置10は、電子部品実装装置1の構成要素を制御する。
制御装置10は、コンピュータシステムを含む。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。
図11に示すように、制御装置10は、入出力部11と、記憶部12と、XY平面内におけるノズル51の先端部54の理想位置を示す基準点RPを設定する基準点設定部13と、XY平面内における基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差を算出する位置誤差データ算出部14と、位置誤差データ算出部14で算出された位置誤差に基づいて、電子部品供給装置4による電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データを算出する補正データ算出部15と、位置誤差データ算出部14で算出された基準点RPとノズル51の先端部54とのY軸方向の位置誤差に基づいて、電子部品CをY軸方向に移動させる制御信号を電子部品供給装置4に出力する制御部16とを有する。
入出力部11は、撮像装置8から画像データを取得する。入出力部11は、状態検出装置9からXY平面内におけるノズル51の先端部54の位置データを取得する。入出力部11は、電子部品供給装置4の位置検出装置45から回転方向におけるスプロケット432の位置データ及び回転量データを取得する。入出力部11は、移動システム6に制御信号を出力する。入出力部11は、電子部品供給装置4の駆動モータ431に制御信号を出力する。
基準点設定部13は、XY平面内におけるノズル51の先端部54の理想位置を示す基準点RPを設定する。本実施形態において、基準点設定部13は、供給位置SMに移動された実装ヘッド5について基準点RPを設定する。XY平面内におけるヘッド本体53の位置データが、エンコーダのようなヘッド位置検出装置によって検出される。供給位置SMに移動されたヘッド本体53のXY平面内における位置がヘッド位置検出装置によって検出される。基準点設定部13は、供給位置SMに移動されたヘッド本体53の位置を基準として、基準点RPを設定する。
図12は、本実施形態に係る基準点RPの一例を示す模式図である。図12に示すように、基準点RPは、X軸と平行な第1基準線RXに等間隔で複数規定される。X軸方向に隣り合う基準点RPの距離Wは、一定である。
基準点設定部13は、複数のノズル51の先端部54のそれぞれについて基準点RPを設定する。すなわち、本実施形態において、基準点RPは、第1基準線RXにそって等間隔で8つ設定される。なお、図12においては、視認性を高めるために、8つのノズル51の先端部54についての基準点RPのうち、4つのノズル51の先端部54についての基準点RPが図示されている。
位置誤差データ算出部14は、基準点設定部13で設定されたXY平面内における基準点RPの位置データと、状態検出装置9により検出されたXY平面内におけるノズル51の先端部54の位置データとに基づいて、XY平面内における基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gを算出する。基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gは、XY平面内における基準点RPと状態検出装置9により検出されたノズル51の先端部54との距離である。状態検出装置9は、ヘッド本体53に固定されている。状態検出装置9は、ヘッド本体53の位置を基準として、XY平面内におけるノズル51の先端部54の位置を検出する。位置誤差データ算出部14は、供給位置SMに移動されたヘッド本体53の位置を基準として、基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gを算出する。
基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gは、X軸方向における位置誤差Gx及びY軸方向における位置誤差Gyを含む。位置誤差データ算出部14は、複数の基準点RP及び複数のノズル51の先端部54のそれぞれについての位置誤差Gを算出する。
補正データ算出部15は、位置誤差データ算出部14で算出された位置誤差Gに基づいて、電子部品供給装置4による電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データを算出する。補正データ算出部15は、テープフィーダ40が電子部品CをY軸方向に移動して供給位置SMに配置されているノズル51に供給するときのY軸方向の移動量についての補正データを算出する。補正データ算出部15は、供給位置SMに配置されている複数のノズル51のそれぞれに供給する複数のテープフィーダ40のそれぞれによる電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データを算出する。
制御部16は、複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品CをY軸方向に移動させる制御信号を電子部品供給装置4に出力する。本実施形態において、制御部16は、補正データ算出部15で算出された補正データに基づいて、電子部品供給装置4の複数のテープフィーダ40の駆動モータ431のそれぞれに制御信号を出力する。
[電子部品実装方法]
次に、本実施形態に係る電子部品実装方法の一例について説明する。図13は、本実施形態に係る電子部品実装方法の一例を示すフローチャートである。
制御装置10は、Z軸駆動装置63及びθZ駆動装置64を制御して、複数のノズル51の先端部54を、状態検出装置9の検出領域MAに配置する。制御装置10は、複数のノズル51の先端部54が状態検出装置9の検出領域MAに配置された状態で、回転モータ641を含むθZ駆動装置64を作動して、回転軸AXを中心にヘッド本体53に回転可能に支持された複数のシャフト52を回転させる(ステップSA10)。
ノズル51の先端部54が状態検出装置9の検出領域MAに配置され、シャフト52がθZ方向に回転されている状態で、状態検出装置9は、XY平面内におけるノズル51の先端部54の移動軌跡を検出する。状態検出装置9は、複数のノズル51の先端部54それぞれの移動軌跡を検出する(ステップSA20)。
図14は、シャフト52の回転に伴って回転するノズル51の状態を模式的に示す図である。シャフト52が理想的な直線性を有し回転軸AXを中心に正確に回転し、ノズル51の先端部54が回転軸AX上に存在する場合、シャフト52の回転において、XY平面内におけるノズル51の先端部54の位置は変動せず、基準点RPと合致し続ける。換言すれば、シャフト52の回転において、ノズル51の先端部54が中心軸AXから偏心せずに回転する。
例えば、シャフト52の反り、シャフト52に対するノズル51の接続誤差、ヘッド本体53に対するシャフト52の支持誤差、シャフト52の製造誤差、及びノズル51の製造誤差の少なくとも一つに起因して、図14に示すように、シャフト52の回転において、XY平面内におけるノズル51の先端部54の位置が変動したり、基準点RPから離れたりする可能性がある。換言すれば、シャフト52の回転において、ノズル51の先端部54が中心軸AXから偏心して回転する可能性がある。
図15は、本実施形態に係る状態検出装置9の検出データの一例を示す模式図である。状態検出装置9は、シャフト52の回転において、XY平面内における複数のノズル51の先端部54それぞれの移動軌跡TRを検出する。図15に示すように、ノズル51の先端部54は、円形の移動軌跡TRを描く。なお、図12においては、視認性を高めるために、8つのノズル51の先端部54の移動軌跡TRのうち、4つのノズル51の先端部54の移動軌跡TRが図示されている。
本実施形態においては、シャフト52の回転において、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRの少なくとも一部のX軸方向の位置が、基準点RPのX軸方向の位置と一致するように、保持ユニット50がヘッド本体53に回転可能に支持されている。すなわち、本実施形態においては、シャフト52の回転において、XY平面内におけるノズル51の先端部54の位置が変動するものの、基準点RPを通りY軸と平行な第2基準線RYをノズル51の先端部54が通過するように、ヘッド本体53に対するシャフト52の取付け調整、及びシャフト52に対するノズル51の取付け調整が行われている。換言すれば、シャフト52の回転において、移動軌跡TRの少なくとも一部のX座標と基準点RPのX座標とが一致するように、実装ヘッド5の調整が行われている。
位置誤差データ算出部14は、ヘッド本体53が供給位置SMに配置されているときの、XY平面における基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gを算出する。
本実施形態において、位置誤差データ算出部14は、状態検出装置9の検出データに基づいて、XY平面内におけるノズル51の先端部54の移動軌跡TRの位置データを算出する。
位置誤差データ算出部14は、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRにおいて、X軸と平行に等間隔で規定された複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれのX軸方向の位置誤差Gxが、予め規定されている閾値以下となる回転軸AXを中心とする回転方向の複数のシャフト52の位置を決定する。
本実施形態において、閾値は十分に小さい。本実施形態において、位置誤差データ算出部14は、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差GxがゼロとなるθZ方向のシャフト52の位置を決定する(ステップSA30)。
すなわち、位置誤差データ算出部14は、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRの位置データから、先端部54のX座標が基準点RPのX座標と一致するときのθZ方向のシャフト52の位置を決定する。
位置誤差データ算出部14は、複数の保持ユニット50のそれぞれについて、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差GxがゼロとなるθZ方向のシャフト52の位置を決定する。
本実施形態において、位置誤差データ算出部14は、シャフト52の回転において状態検出装置9に検出された複数のノズル51の先端部54の移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点を算出し、その交点に複数のノズル51の先端部54が位置決めされるように、θZ方向のシャフト52の位置を決定する。位置誤差GxがゼロとなるθZ方向のシャフト52の位置は、移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点にノズル51の先端部54が位置決めされるθZ方向のシャフト52の位置である。
位置誤差GxがゼロとなるθZ方向のシャフト52の位置と、位置誤差GxがゼロとなるθZ駆動装置64の回転モータ641の駆動量とは、1対1で対応する。位置誤差データ算出部14は、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差GxがゼロとなるθZ駆動装置64の回転モータ641の駆動量を決定する。位置誤差GxがゼロとなるθZ駆動装置64の回転モータ641の駆動量データは、記憶部12に記憶される。記憶部12には、複数の保持ユニット50のそれぞれに設けられている複数のθZ駆動装置64のそれぞれについて、位置誤差Gxがゼロとなる回転モータ641の駆動量データが記憶される。
制御部16は、X軸方向の位置誤差Gxが前記閾値以下になるように、複数のθZ駆動装置64の回転モータ641に制御信号を出力する。本実施形態において、制御部16は、記憶部12に記憶されている駆動量データに基づいて、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差Gxがゼロとなるように、すなわち、ノズル51の先端部54が移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点に位置決めされるように、θZ駆動装置64の回転モータ641に制御信号を出力する。
図16は、本実施形態に係る電子部品実装方法を説明するための模式図である。図16は、X軸方向の位置誤差GxがゼロとなるようにθZ方向のシャフト52の位置が調整された後の基準点RPとノズル51の先端部54との相対位置を模式的に示す図である。なお、図16においては、視認性を高めるために、8つのノズル51の先端部54のうち、4つのノズル51の先端部54が図示されている。
図16に示すように、制御部16は、状態検出装置9の検出データから取得されたノズル51の先端部54の移動軌跡TRに基づいて回転モータ641を制御して、ノズル51の先端部54と基準点RPとのX軸方向の位置誤差Gxをゼロにして、移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点にノズル51の先端部54を位置決めすることができる。
本実施形態においては、ノズル51の先端部54と基準点RPとのX軸方向の位置誤差GxがゼロになるθZ方向のシャフト52の位置が、シャフト52の回転方向におけるシャフト52の基準位置に規定される。また、ノズル51の先端部54と基準点RPとのX軸方向の位置誤差Gxがゼロになる回転モータ641の駆動量によって規定される回転モータ641のロータの位置が、回転モータ641のロータの基準位置に規定される。
シャフト52の回転方向におけるシャフト52の基準位置は、所謂ゼロ度位置である。本実施形態においては、位置誤差Gxがゼロになる回転モータ641のロータの位置が、ロータの原点に規定される。
このように、本実施形態においては、複数のシャフト52は、X軸と平行に等間隔で規定された複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれのX軸方向の位置誤差Gxがゼロになるように、ヘッド本体53に支持される。シャフト52の回転において検出された複数のノズル51の先端部54の移動軌跡TRと、複数の基準点RPのそれぞれを通る第2基準線RYとの交点に、複数のノズル51の先端部54が位置決めされる。制御部16は、ノズル51の先端部54が移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点に位置決めされるように、回転モータ641に制御信号を出力する。ヘッド本体53は、シャフト52の回転におけるノズル51の先端部54の移動軌跡TRにおいてX軸方向の位置誤差Gxがゼロになるように複数のシャフト52を支持する。
位置誤差データ算出部14は、供給位置SMに配置されている実装ヘッド5において、位置誤差Gxがゼロのときの、すなわち、ノズル51の先端部54が移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点に位置決めされたときの、基準点RPとノズル51の先端部54とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyを算出する。位置誤差データ算出部14は、移動軌跡TRに基づいて、位置誤差Gxがゼロのときの複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれの位置誤差Gyを算出する。
補正データ算出部15は、供給位置SMに配置されている実装ヘッド5について算出された、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差Gxがゼロのときの、基準点RPとノズル51の先端部54とのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品供給装置4による電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データを算出する。補正データ算出部15は、複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、Y軸方向の電子部品Cの移動量についての補正データを算出する(ステップSA40)。
上述のように、電子部品供給装置4のテープフィーダ40は、駆動モータ431を断続的にステップ回転させ、キャリアテープTをポケットRの間隔でY軸方向に断続的にステップ移動させることにより、複数の電子部品Cを供給位置SMに順次移動させる。電子部品供給装置4が初期モードにおいては、テープフィーダ40は、供給位置SMに配置される電子部品Cの上面の中心の位置と供給位置SMに配置される保持ユニット50の基準点RPの位置とが、XY平面内において一致するように、電子部品Cを移動する。
補正データ算出部15は、位置誤差Gxがゼロのときの位置誤差Gyに基づいて、ゼロ度位置に調整されたシャフト52に接続されているノズル51の先端部54と電子部品Cの上面の中心とのY軸方向の位置が一致するように、補正データを算出する。
制御部16は、複数の基準点RPと複数のノズル51の先端部54とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品CをY軸方向に移動させる制御信号を電子部品供給装置4に出力する。すなわち、制御部16は、複数の基準点RPと、移動軌跡TRと第2基準線RYとの複数の交点とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品CをY軸方向に移動させる制御信号を電子部品供給装置4に出力する。制御部16は、ステップSA40で算出された補正データに基づいて、複数のテープフィーダ40の駆動モータ431のそれぞれに制御信号を出力する。
図17は、本実施形態に係る電子部品実装方法を説明するための模式図である。図17は、電子部品供給装置4の初期モードにおいて供給位置SMに供給された電子部品C、及び電子部品供給装置4の補正モードにおいて供給位置SMに供給された電子部品Cを模式的に示す図である。なお、図17では、8つのノズル51のうち4つのノズル51に供給される電子部品Cを示す。
電子部品供給装置4の補正モードとは、テープフィーダ40の駆動モータ431が補正データに基づいて作動するモードである。
電子部品供給装置4の初期モードにおいては、制御部16は、供給位置SMにおける基準点RPと電子部品Cの上面の中心とのY軸方向の位置が一致するように、駆動モータ431に制御信号を出力する。これにより、図17の点線で示すように、供給位置SMにおいて、電子部品Cの上面の中心は、基準点RPに配置される。
補正データ算出部15は、位置誤差Gxがゼロであり、位置誤差Gyが存在するノズル51の先端部54と電子部品Cの上面の中心とのY軸方向の位置が一致するように、補正データを算出する。
電子部品供給装置4の補正モードにおいては、制御部16は、補正データに基づいて、位置誤差Gyが存在する状態で供給位置SMに配置されているノズル51の先端部54と、供給位置SMに供給される電子部品Cの上面の中心とのY軸方向の位置が一致するように、駆動モータ431に制御信号を出力する。これにより、図17の実線で示すように、供給位置SMにおいて、電子部品Cの上面の中心は、ノズル51の先端部54の直下に配置される。
制御部16は、X軸方向に複数配置されるテープフィーダ40の駆動モータ431のそれぞれに、補正データに基づいて、制御信号を出力する。これにより、X軸方向に配置される複数の電子部品Cが補正データに基づいてY軸方向にステップ移動する。
電子部品供給装置4は、制御部16から出力された制御信号に基づいて、X軸方向に配置される複数の電子部品CをY軸方向に移動して、複数のノズル51のそれぞれに電子部品Cを供給する(ステップSA50)。すなわち、電子部品供給装置4は、複数の基準点RPと、移動軌跡TRと第2基準線RYとの複数の交点とのそれぞれのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、X軸方向に配置される複数の電子部品CをY軸方向に移動して、複数のノズル51のそれぞれに電子部品Cを供給する。本実施形態においては、補正データに基づいて、8つのテープフィーダ40が、供給位置SMに配置されている8つのノズル51に電子部品Cを供給する。
複数のノズル51のそれぞれは、電子部品Cの上面の中心を先端部54で吸着保持する。複数のノズル51は、複数の電子部品Cを同時吸着する。供給位置SMにおいて、複数の電子部品Cが複数のノズル51に吸着保持された後、制御部16は、移動システム6に制御信号を出力して、実装ヘッド5を実装位置DMに移動する。実装ヘッド5は、複数のノズル51に保持されている複数の電子部品Cを基板Pに実装する(ステップSA60)。
[作用及び効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、保持ユニット50のシャフト52は、基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差Gxが閾値以下になるようにヘッド本体53に支持される。本実施形態においては、保持ユニット50のシャフト52は、移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点にノズル51の先端部54が位置決めされ、位置誤差Gxがゼロになるように、ヘッド本体53に支持される。基準点RPとノズル51の先端部54とのX軸方向の位置誤差Gxが閾値以下になるように保持ユニット50のシャフト52がヘッド本体53に支持された状態で、基準点RPとノズル51の先端部54とのY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品Cを供給装置SMに移動させるときの移動量が調整されることにより、複数のノズル51のそれぞれが、目標部位である電子部品Cの上面の中心を保持することができる。したがって、実装ヘッド5は、複数のノズル51で複数の電子部品Cを安定して同時に保持することができる。
また、本実施形態によれば、XY平面における基準点RPとノズル51の先端部54との位置誤差Gを算出する位置誤差データ算出部14と、位置誤差データ算出部14で算出された位置誤差Gに基づいて、電子部品供給装置4による電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データを算出する補正データ算出部15とが設けられる。これにより、制御部16は、供給位置SMにおいて、ノズル51の先端部54と電子部品Cの上面の中心とのY軸方向の位置が一致するように、複数のテープフィーダ40の駆動モータ431のそれぞれに制御信号を出力することができる。
また、本実施形態においては、複数のシャフト52のそれぞれが回転軸AXを中心に回転可能にヘッド本体53に支持され、シャフト52の回転におけるノズル51の先端部54の移動軌跡TRが検出される。移動軌跡TRが検出されることにより、検出された移動軌跡TRに基づいて、X軸方向の位置誤差Gxが閾値以下となるθZ方向におけるシャフト52のゼロ度位置が円滑に決定される。ヘッド本体53は、複数のシャフト52のそれぞれがゼロ度位置になるように、それら複数のシャフト52を支持することができる。
また、本実施形態においては、複数のシャフト52のそれぞれがゼロ度位置に調整される。したがって、ノズル交換収容装置7においてシャフト52に対してノズル51が交換されるとき、ゼロ度位置に調整されたシャフト52にノズル51が装着される。ゼロ度位置に調整されたシャフト52にノズル51が装着されることにより、ノズル51の交換後において、ノズル51の先端部54と基準点RPとの位置誤差Gの拡大が抑制される。
なお、上述の実施形態においては、状態検出装置9によってノズル51の先端部54の移動軌跡TRが検出されることとした。撮像装置8によってノズル51の先端部54の移動軌跡TRが検出されてもよい。θZ駆動装置64によりシャフト52が回転している状態で、撮像装置8によりノズル51の先端部54が撮影され、撮像装置8により取得された画像データが制御装置10において画像処理されることにより、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRが検出される。
第2実施形態.
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図18は、本実施形態に係る実装ヘッド5Bの一例を模式的に示す斜視図である。図18に示すように、本実施形態においては、1つの回転モータ641の出力軸の接続されている駆動プーリ642Aと、2つの保持ユニット50の従動プーリ642Cとが、1つのベルト642Dを介して連結されている。すなわち、本実施形態においては、1つの回転モータ641で発生する動力で、複数の保持ユニット50がθZ方向に回転される。1つの回転モータ641で発生する動力は、ベルト642Dを介して、2つの保持ユニット50に伝達される。
次に、本実施形態に係る電子部品実装方法について説明する。図19は、本実施形態に係る電子部品実装方法の一例を示すフローチャートである。
実装ヘッド5の調整時において、ベアリング681,682,683に回転可能に支持されているシャフト52が回転される(ステップSB10)。シャフト52の回転は、θZ駆動装置64により実施されてもよいし、θZ駆動装置64とは別の駆動装置により実施されてもよい。
シャフト52の回転において、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRが検出される(ステップSB20)。本実施形態において、ノズル51の先端部54の移動軌跡TRは、例えばダイヤルゲージのような測定器によって検出される。例えば、ダイヤルゲージの測定子がノズル51の先端部54に当てられた状態で、シャフト52が回転される。これにより、ノズル51の先端部54の移動軌跡TPが検出される。
ノズル51の先端部54の移動軌跡TRにおいて、X軸方向の位置誤差Gxが閾値以下となるθZ方向のシャフト52の位置が決定される(ステップSB30)。本実施形態においても、X軸方向の位置誤差GxがゼロとなるθZ方向のシャフト52のゼロ度位置が決定される。すなわち、本実施形態においても、移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点にノズル51の先端部54が位置決めされるように、θZ方向のシャフト52のゼロ度位置が決定される。
θZ駆動装置64の回転モータ641のロータが原点に配置される。回転モータ641にはロータリーエンコーダが設けられている。ロータリーエンコーダの検出データに基づいて、回転モータ641のロータが原点に配置される(ステップSB40)。
1つの回転モータ641のロータが原点に配置され、2つの保持ユニット50のシャフト52がゼロ度位置に配置された状態で、1つの回転モータ641の出力軸の接続されている駆動プーリ642Aと、2つの保持ユニット50の従動プーリ642Cとが、1つのベルト642Dを介して連結されている(ステップSB50)。
ステップSB50の処理が実施されることにより、回転モータ641のロータが原点に配置されるとき、移動軌跡TRと第2基準線RYとの交点にノズル51の先端部54が位置決めされ、2つの保持ユニット50のノズル51の先端部54についての位置誤差Gxは、常にゼロになる。
次に、ノズル51の先端部54のY軸方向の位置が状態検出装置9によって検出される(ステップSB60)。なお、ノズル51の先端部54のY軸方向の位置が撮像装置8によって検出されてもよい。
ステップSB60で検出された検出データに基づいて、基準点RPとノズル51の先端部54とのY軸方向の位置誤差Gyが算出される。算出されたY軸方向の位置誤差Gyに基づいて、電子部品供給装置4による電子部品CのY軸方向の移動量についての補正データが算出される(ステップSB70)。
算出された補正データは、記憶部12に記憶される。制御部16は、補正データに基づいて、電子部品CをY軸方向に移動させる制御信号を電子部品供給装置4の複数の駆動モータ431のそれぞれに出力する。これにより、補正データに基づいて、8つのテープフィーダ40が、供給位置SMに配置されている8つのノズル51に電子部品Cを供給する(ステップSB80)。
複数のノズル51のそれぞれは、電子部品Cの上面の中心を先端部54で吸着保持する。複数のノズル51は、複数の電子部品Cを同時吸着する。供給位置SMにおいて、複数の電子部品Cが複数のノズル51に吸着保持された後、制御部16は、移動システム6に制御信号を出力して、実装ヘッド5を実装位置DMに移動する。実装ヘッド5は、複数のノズル51に保持されている複数の電子部品Cを基板Pに実装する(ステップSB90)。
以上説明したように、本実施形態によれば、1つの駆動モータ641で2つの保持ユニット50が回転される。これにより、駆動モータ641の数が低減される。1つの駆動モータ641で複数の保持ユニット50を回転させる場合、上述のステップSB10からステップSB90の処理に従って、実装ヘッド5の調整及び駆動が実施されることにより、複数のノズル51は複数の電子部品Cを安定して同時に保持することができる。