以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品移載装置、部品、部品供給部、移載対象の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず図1、図2を参照して、部品移載装置1の構成について説明する。部品移載装置1は、基台2上に移載対象移動機構10、供給部移動機構20、移載ヘッド30、剥離部50、第1のカメラ100が設置されている。移載対象移動機構10は、基台2上に設置されたX方向に延びる一対のX方向レール11上を、図示省略するリニア駆動機構によってX方向に往復移動するXテーブル12を備えている。Xテーブル12上には、X方向に水平面内で直交するY方向に延びる一対のY方向レール13が設置されている。一対のY方向レール13上には、図示省略するリニア駆動機構によってY方向に往復移動するYテーブル14を備えている。Yテーブル14の上部には、部品が移載される移載対象である基板16を上面に保持する基板保持部15が設置されている。
図1において、移載対象移動機構10が備えるリニア駆動機構は、部品移載装置1が備える制御装置60によって制御される。すなわち制御装置60は、移載対象移動機構10が備えるリニア駆動機構を制御することにより、基板保持部15(移載対象保持部)に保持された基板16(移載対象)を水平面内(X方向、Y方向)に移動させて所定の位置で停止させる。以下、図2における紙面側をX方向の前側、X方向の前側の反対側を後側と称する。また、X方向の前側から見たY方向の左側を左側、右側を右側と称する。すなわち、移載対象移動機構10によって、基板16は前後左右(XY方向)に移動する。
図1、図2において、供給部移動機構20は、基台2上のY方向の両端に上方に延びる支柱21を備えている。基台2の両端に設けられた支柱21の上部には、X方向に延びるXビーム22がそれぞれ設置されている。2つのXビーム22の間には、Y方向に延びるYビーム23がX方向に移動可能に設置されている。Yビーム23は、Xビーム22が備えるリニア駆動機構によってX方向に往復移動する。Yビーム23の前側には、Yビーム23が備えるリニア駆動機構によってY方向に往復移動する移動部材24が設置されている。移動部材24の前側には、部品供給部25が設置されている。
図2において、部品供給部25には、下面に複数の部品27が貼着された伸縮性のあるシート26が水平方向に伸張されて取り付けられている。本実施例では、部品供給部25には、予め検査に合格しているLEDチップなどの部品27を基板16の上面に接地する側の面(電極面)がシート26側になるようにXY方向(前後左右)に所定の間隔で格子状に並べて貼着したシート26が、上下反転させて部品27が下となるように装着されている。このように、部品供給部25は、シート26に貼着された部品27を供給する。
図1において、供給部移動機構20が備えるリニア駆動機構は、制御装置60によって制御される。すなわち制御装置60は、供給部移動機構20が備えるリニア駆動機構を制御することにより、複数の部品27を保持する部品供給部25を水平面内(X方向、Y方向)で前後左右に移動させて所定の位置で停止させる。このように、部品供給部25は、移載対象移動機構10によって水平面内で移動可能に保持された基板16の上方に基板16と平行に保持されており、基板16とは別々に水平面内で移動可能である。
なお、移載対象移動機構10のXテーブル12、Yテーブル14をX方向またはY方向に移動させる機構、あるいは供給部移動機構20のYビーム23、移動部材24をX方向またはY方向に移動させる機構は、リニア駆動機構に限定されることはない。例えば、ナットに係合するボールねじと、ボールねじを回転駆動するモータを含んで構成されるボールねじ駆動の直動機構であってもよい。
図1、図2において、移載ヘッド30は、移載対象移動機構10によって基台2に対して水平面内で前後左右に移動する基板16と、供給部移動機構20によって基台2に対して水平面内を前後左右に移動する部品供給部25の間に設置されている。移載ヘッド30は、作業する移載対象移動機構10(基板16)と供給部移動機構20(部品供給部25)と干渉しないように、基台2上に設置された移載ヘッド支持部材31に支持されている。すなわち移載ヘッド30の配置位置は、基台2に対して固定されている。
剥離部50は、作業する供給部移動機構20(部品供給部25)に干渉しないように、移載ヘッド支持部材31上に設置された剥離部支持部材51によって部品供給部25の上方に支持されている。すなわち剥離部50の配置位置は、基台2に対して固定されている。なお、剥離部支持部材51は、基台2に直接設置してもよい。このように、部品供給部25は、基台2に対して固定して配置された移載ヘッド30と剥離部50の間を基台2に対して水平面内で前後左右に移動する。
次に図3〜図5を参照して、移載ヘッド30の詳細について説明する。図3は、移載ヘッド30をY方向の左側から見た側面図である。図4は、図3に示すA−A面においてX方向の前側から見た移載ヘッド30の正面図である。図5は、図4に示すB−B面においてY方向の右側から見た移載ヘッド30の部分断面図である。図5において、移載ヘッド支持部材31には、X方向の前側に突出する円柱状の突出部31aが形成されている。突出部31aの中心にはX方向に延びる中央孔31bが形成されている。
図5において、突出部31aには、回転軸受け33が内部に配置された突出部挿入孔32aを有する円柱状の回転部材32が、突出部31aに突出部挿入孔32aが挿入されるように前側から装着されている。これにより、回転部材32は、回転部材32と突出部31aの中心を通るX方向に延びる回転軸Arを回転中心として、移載ヘッド支持部材31に対して回転運動することができる(回転軸Ar廻りに円弧運動することができる)。
図3において、回転部材32の後側には受動側平歯車34が形成されている。回転部材32の左斜め下には受動側平歯車34に噛み合う駆動側平歯車35が配置されている。駆動側平歯車35は、移載ヘッド支持部材31に配置された回転モータ36によってX方向に延びるモータ軸Am廻りに回転する。回転モータ36は、制御装置60によって制御される。
図4において、制御装置60が回転モータ36を制御することにより、回転モータ36が駆動側平歯車35をモータ軸Am廻りに回転させ、駆動側平歯車35が受動側平歯車34を回転軸Ar廻りに回転させる。これにより、回転部材32が回転軸Ar廻りに回転する。この例では、前側から見て駆動側平歯車35が反時計方向に回転すると(矢印a)、回転部材32は時計回りに回転する(矢印b)。すなわち、制御装置60は回転モータ36を制御することにより、回転部材32を回転軸Ar廻りに円弧運動させ、所定の位置で停止させる。このように、回転モータ36、駆動側平歯車35、受動側平歯車34は、回転部材32を回転軸Ar廻りに円弧運動(回転運動)させる回転駆動機構37を構成する。
図4、図5において、回転部材32の前側の中央には、前側に開口する凹部32bが形成されている。回転部材32の前側には、部品保持ユニット70をそれぞれ支持する複数のユニット支持部材32c(ここでは8つ)が、回転部材32の回転軸Arを中心とする円周上に等回転角間隔(ここでは45度間隔)で配置されている。部品保持ユニット70は、それぞれ部品27を真空吸着して保持するノズル71(図6参照)を備えている。
各ユニット支持部材32cは、各ノズル71の軸(以下、「自転軸Aθ」と称する。)が回転部材32の回転軸Arを中心とする円の法線方向(以下、「自転軸方向」と称する。)に沿い、部品27を保持するノズル71の先端(以下、「保持部71a」と称する。)が円の外側を向くように部品保持ユニット70を支持する。すなわち、部品保持ユニット70は、部品27を保持する保持部71aを有している。
このように、回転部材32の凹部32bの外周の前側には、回転部材32の回転軸Arを中心とする円周上に保持部71aが位置し、保持部71aが回転軸Arを中心とする円の外側を向くように複数の部品保持ユニット70が設置されている。部品保持ユニット70は、回転駆動機構37によって駆動される回転部材32と一体となって円弧運動する。また、部品移載装置1には、回転部材32は回転軸Arが水平方向となるように配置され、部品供給部25は回転部材32の上方に配置され、基板16(移載対象)は回転部材32の下方に配置されている。
次に図6、図7を参照して、部品保持ユニット70の詳細について説明する。図6、図7は、ノズル71の保持部71aが保持する部品27を基板16(移載対象)に引き渡す引き渡し回転位置Rmに停止している部品保持ユニット70の断面の概略を示している。ユニット支持部材32cには、自転軸方向に延びてユニット支持部材32cを自転軸方向に貫通するユニット支持孔32dが形成されている。ユニット支持孔32dには、ノズル71の保持部71aから上方に伸びるノズル軸71bが挿入されるノズル挿入孔72aを中央に有する円筒形のノズル保持部材72が回転軸受け73を介して回転自在に装着されている。
ノズル挿入孔72aの保持部71a側の内壁にはボールスプライン軸受け74が配置されている。ノズル71は、ノズル軸71bの外周に形成された図示省略する溝がボールスプライン軸受け74に係合するようにノズル挿入孔72aに挿入されている。この構成により、ノズル71はノズル保持部材72に支持されて自転軸方向に移動自在である。また、ノズル保持部材72が自転軸Aθ廻りに回転すると、ノズル71もノズル保持部材72と一緒に自転軸Aθ廻りに回転する。以下、ノズル71の自転軸Aθ廻りの回転を「自転」と称する。すなわち、ノズル71の保持部71aは、回転部材32の回転軸Arを中心とする円の法線方向(自転軸方向)の自転軸Aθ廻りに自転可能に部品保持ユニット70に設けられている。
図6において、ノズル保持部材72は、ユニット支持部材32cから回転部材32の回転軸Ar側(以下、「回転部材32の中心側」と称する。)に延出しており、回転部材32の中心側の端部には受動側傘歯車72bが形成されている(図4も参照)。受動側傘歯車72bは、回転部材32の中心側の径が外周側より小さい形状をしている。ノズル71のノズル軸71bはノズル保持部材72から回転部材32の中心側に延出している。ノズル保持部材72の回転部材32の中心側の端には、ノズル挿入孔72aのより内径の大きなバネ装着孔72cが形成されている。すなわち、バネ装着孔72cが形成された位置では、ノズル保持部材72とノズル軸71bの間に、圧縮コイルバネ75を装着可能な空間が形成されている。
ノズル軸71bには、回転部材32の中心側から圧縮コイルバネ75が装着されている。ノズル71の回転部材32の中心側の端部には、ノズル軸71bより径の大きな円板状の後端部71cが形成されている。圧縮コイルバネ75は、一端がノズル保持部材72のバネ装着孔72cの底72dに当接し、他端がノズル71の後端部71cの下面71dに当接している。
この構成により、ノズル71は圧縮コイルバネ75の反力によってノズル保持部材72に対して回転部材32の中心側に加勢されている。ノズル71の保持部71aの直径φ1はノズル軸71bの直径φ2より大きくなるように形成されている。保持部71aがノズル軸71bからはみ出した部分の回転部材32の中心側の後面71e(図7参照)がノズル保持部材72の回転部材32の外周側の前面72e(図7参照)に当接することで、ノズル71の回転部材32の中心側への移動が規制される。以下、圧縮コイルバネ75に付勢されて保持部71aの後面71eがノズル保持部材72の前面72eに当接する位置(図6の状態)を「待機位置」と称する。
図6において、ノズル71の内部には、ノズル軸71bの中間部から保持部71aの先端まで貫通する吸引孔71fが形成されている。ノズル軸71bの中間部には、吸引孔71fからノズル軸71bの外周面まで貫通する連通孔71gが形成されている。ノズル保持部材72のノズル挿入孔72aにおいて連通孔71gが位置する領域は、ノズル挿入孔72aの内径がノズル軸71bの外径よりも大きく切り取られており、ノズル保持部材72とノズル軸71bで囲まれた接続空間72fが形成されている。接続空間72fは、ノズル71が自転軸方向に移動しても自転軸Aθ廻りに自転しても連通孔71gと継続して連通できるように形成されている(図7参照)。すなわち、ノズル71に形成された吸引孔71fは、ノズル71の移動や自転にかかわらず、連通孔71gを通じて接続空間72fに常時連通している。
接続空間72fは、ユニット支持部材32cに形成された通路(図示省略)と制御装置60で制御される切り替え装置を通じて真空吸引機(図示省略)に連通している。制御装置60が切り替え装置を制御することで、各部品保持ユニット70の接続空間72fを真空吸引したり、大気圧にしたりすることができる。すなわち、制御装置60が各部品保持ユニット70の吸引孔71fを真空状態にすると、それぞれの保持部71aが部品27を真空吸着する。また、制御装置60が各部品保持ユニット70の吸引孔71fを大気圧にすると、それぞれの保持部71aが保持している部品27が保持部71aから解除される。
次に図2〜8を参照して、第1の押出し機構80および第2の押出し機構90の構成について説明する。第1の押出し機構80と第2の押出し機構90は、部品保持ユニット70のノズル71の後端部71cを回転部材32の外周側に押して保持部71aを突出させる機能を有している。
図2において、第1の押出し機構80は、移載ヘッド支持部材31に設置された第1の押出し機構支持部材81によって、回転部材32の前側であって回転軸Arの右側に設置されている。第2の押出し機構90は、移載ヘッド支持部材31に設置された第2の押出し機構支持部材91によって、回転部材32の前側であって回転軸Arの左側に設置されている。
図3において、第1の押出し機構80は、第1のロッド82をZ方向(上下方向)に突没させる第1のシリンダ83と、第1のロッド82に接続された第1の当接部材84を備えて構成されている。第1の当接部材84は、部品供給部25から部品27を取り出す取り出し回転位置Rp(図2参照)に停止している部品保持ユニット70の円板状の後端部71cに下方から当接する第1の当接ピン84a(図8(b)参照)を備えている。第1のシリンダ83は、制御装置60によって制御される。
図8(b)において、部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rpに停止している状態で、制御装置60は第1のシリンダ83を制御して第1のロッド82を突出させて第1の当接部材84を上方に移動させる(矢印f2)。後端部71cに下方から当接した第1の当接ピン84aは、圧縮コイルバネ75の付勢力に抗して後端部71cを上方に移動させる。これにより、保持部71aが待機位置から部品供給部25の方向に突出して部品27Aに当接する(矢印f3)。この状態で制御装置60が吸引孔71fを真空状態にすると、部品27Aが保持部71aに保持される。
図9において、突出した保持部71aが部品27Aを保持した状態で、制御装置60は第1のシリンダ83を制御して第1のロッド82を没入させて第1の当接部材84を下方に移動させる(矢印g2)。これにより、圧縮コイルバネ75の付勢力で後端部71cが元に位置まで移動し、保持部71aが待機位置まで下降する(矢印g3)。以下、取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70が保持部71aによって部品供給部25から取り出す部品27Aの位置を、供給位置Ppと称する(図8(a)参照)。
図3、図5において、第2の押出し機構90は、第2のロッド92をZ方向(上下方向)に突没させる第2のシリンダ93と、第2のロッド92に接続された第2の当接部材94を備えて構成されている。第2の当接部材94は、引き渡し回転位置Rm(図2参照)に停止している部品保持ユニット70の円板状の後端部71cに上方から当接する第2の当接ピン94aを備えている。第2のシリンダ93は、制御装置60によって制御される。
図7において、部品27を保持する部品保持ユニット70が引き渡し回転位置Rmに停止している状態で、制御装置60は第2のシリンダ93を制御して第2のロッド92を突出させて第2の当接部材94を下方に移動させる(矢印e1)。これにより、後端部71cに上方から当接した第2の当接ピン94aが圧縮コイルバネ75の付勢力に抗して後端部71cを下方に移動させて、保持部71aが待機位置から基板16の方向に突出して部品27が基板16上に着地する(矢印e2)。この状態で制御装置60が吸引孔71fを大気圧状態にすると、保持部71aによる部品27の保持が解除がされる。
保持部71aが突出した状態で、制御装置60は第2のシリンダ93を制御して第2のロッド92を没入させて第2の当接部材94を上方に移動させる。これにより、圧縮コイルバネ75の付勢力で後端部71cが元に位置まで移動して保持部71aが待機位置まで上昇する。これにより、保持部71aが保持していた部品27が基板16に移載(搭載)される。以下、引き渡し回転位置Rmに停止している部品保持ユニット70の保持部71aが保持する部品27を基板16(移載対象)に移載(搭載)する位置を移載位置Pmと称する。
このように、部品保持ユニット70は、保持部71aとは反対側に保持部71aの方向に押すと保持部71aが突出する後端部71cを有している。第1の押出し機構80は、部品保持ユニット70の後端部71cに当接して後端部71cを押す第1の当接部材84を有している。第1の押出し機構80は、部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)で停止中に、後端部71cを押して保持部71aを部品供給部25の方向に突出させる。また、第2の押出し機構90は、部品保持ユニット70の後端部71cに当接して後端部71cを押す第2の当接部材94を有している。第2の押出し機構90は、部品保持ユニット70が引き渡し回転位置Rm(第2の回転位置)に停止中に、後端部71cを押して保持部71aを基板16(移載対象)の方向に突出させる。
次に図8〜9を参照して、部品供給部25においてシート26に貼着されている部品27をシート26から剥離させる剥離部50の構成と機能について説明する。図8、図9には、剥離部50および取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70が模式的に表されている。図8(a)において、剥離部50は、剥離ピン52と剥離ピン52を下方に突没させる剥離シリンダ53を備えている。剥離部50は、部品供給部25に水平に伸張されたシート26の上方であって、剥離ピン52の位置が取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70の自転軸Aθと一致する位置(供給位置Ppの上方)に配置されている。剥離シリンダ53は、制御装置60によって制御される。
図8(b)において、制御装置60が剥離シリンダ53を制御して剥離ピン52を下方に突出させると(矢印f1)、突出した剥離ピン52がシート26を押し下げて供給位置Ppにある取り出し対象の部品27Aとシート26が下方に突出した状態となる。これにより、部品27Aのシート26に貼着されていた面の一部(部品27Aの外周部)がシート26から剥離される。
この状態で、制御装置60が第1の当接部材84を上方に移動させ、第1の当接ピン84aによって部品保持ユニット70の後端部71cを上方に押し上げると(矢印f2)、保持部71aが突出して部品27Aのシート26に貼着された面と反対の面に当接する(矢印f3)。さらに、制御装置60が各部品保持ユニット70の吸引孔71fを真空状態とすることで、保持部71aが供給位置Ppの部品27Aを真空吸着する。
図9において、剥離ピン52を元の位置まで上昇させると(矢印g1)(剥離シリンダ53が剥離ピン52を引き込むと)、シート26は元の水平状態に戻る。さらに、第1の当接部材84を元の位置まで下降させると(矢印g2)、圧縮コイルバネ75の付勢力で部品27Aを保持した保持部71aが元の待機位置まで下降する(矢印g3)。
このように、剥離部50は、取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70が部品供給部25の供給位置Ppから取り出す部品27Aをシート26の裏側から剥離ピン52(ピン)で押してシート26から剥離させる。なお、剥離部50は、剥離ピン52でシート26を押す構成に限定されることはない。例えば、紫外線や熱で粘着力が低下するシート26の場合、剥離部50は、供給位置Ppにある取り出し対象の部品27Aに対してシート26の裏側から紫外線やレーザを照射する構成であってもよい。また、剥離ピン52による剥離と紫外線やレーザの照射を同時に行う構成であってもよい。
次に図4〜5を参照して、回転部材32に設置された複数の部品保持ユニット70の保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる自転駆動機構について説明する。図5において、回転部材32が装着される突出部31aの中央に形成された中央孔31bには、中央孔31b内に配置された回転軸受け38を介して回転シャフト39が挿入されている。回転シャフト39の後側は、移載ヘッド支持部材31に配置された自転モータ40に接続されている。回転シャフト39の前側は、回転部材32に形成された凹部32b内に突出しており、凹部32b内に配置された駆動側傘歯車41に接続されている。自転モータ40は制御装置60によって制御され、回転シャフト39を介して駆動側傘歯車41を回転軸Ar廻りに回転させる(図4の矢印c)。
図4、図5において、駆動側傘歯車41の前側には、回転部材32に設置された複数の部品保持ユニット70のノズル保持部材72に形成された受動側傘歯車72bと噛み合う歯列部41aが形成されている。歯列部41aの前面は、駆動側傘歯車41の回転軸Ar側(中心側)が部品保持ユニット70の自転軸Aθ側(前側)に延出し、駆動側傘歯車41の外周側が部品保持ユニット70の自転軸Aθから後退する形状をしている。これにより、駆動側傘歯車41の歯列部41aと各部品保持ユニット70の受動側傘歯車72bは、受動側傘歯車72bの回転軸Arと各部品保持ユニット70の自転軸Aθが90度で交わる(直交する)ように互いに噛み合う。
図4において、制御装置60が自転モータ40を制御して、駆動側傘歯車41を回転部材32に対して相対的に回転させると(矢印c)、回転部材32に設置された複数の部品保持ユニット70の受動側傘歯車72bが自転軸Aθ廻りに自転し、保持部71aが自転軸Aθ廻りにそれぞれ自転する(矢印d)。このように、自転モータ40、回転シャフト39、駆動側傘歯車41、受動側傘歯車72bは、部品保持ユニット70の保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる自転駆動機構42(図15参照)を構成する。
次に図2を参照して、第1のカメラ100の詳細について説明する。第1のカメラ100は、移載ヘッド支持部材31に設置された第1のカメラ支持部材101によって、移載ヘッド30の右側に設置されている。第1のカメラ100は、取り出し回転位置Rpに停止中に部品供給部25から部品27を取り出して保持部71aに保持した部品保持ユニット70が、回転軸Ar廻りの円弧運動によって引き渡し回転位置Rmに移動する間に、保持部71aが保持する部品27を撮像する(図20(b)、図21(a)、図22(b)、図23(b)参照)。
この例では、第1のカメラ100は、部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rpから時計回りに90度回転した位置に設定された撮像回転位置Rsに停止中に、保持部71aが保持する部品27を撮像可能な位置に設置されている。このように、第1のカメラ100は、部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)から引き渡し回転位置Rm(第2の回転位置)に円弧運動する間に、部品保持ユニット70に保持された部品27を撮像する。第1のカメラ100の撮像結果は制御装置60に送信され、保持部71aに保持された部品27の保持位置Ps(保持部71aに対する部品27の位置ずれ、回転角度など)が検出される。
次に図10〜12を参照して、部品供給部25の供給位置Ppに貼着されている取り出し対象の部品27Bを撮像する第2のカメラ110の構成と機能について説明する。図11は、図10に示すC−C面において左側から見た断面図である。図11において、第2のカメラ110は、CMOSセンサやCCDなどの撮像素子111aを内蔵する撮像部111、撮像経路を屈折させる3角柱形のプリズム112を備えて構成されている。撮像部111、プリズム112は、図示省略する支持部材によって移載ヘッド支持部材31に設置されている。
図11において、撮像部111は移載ヘッド30の前側に、撮像素子111aの撮像軸が移載ヘッド30の方向を向くように配置されている。この実施例では、撮像素子111aの撮像軸と回転軸Arが一致している。プリズム112は、回転部材32に配置された複数の部品保持ユニット70の中心に配置されている。プリズム112は、水平方向(X方向)の撮像素子111aの撮像軸を上方の部品供給部25の方向(Z方向)に屈折させる。図10において、第2のカメラ110は、回転部材32に設置された部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rpに停止していない状態で部品供給部25を撮像する。すなわち、第2のカメラ110は、回転軸Ar側から隣接する2つの部品保持ユニット70の間を通して部品供給部25を撮像する。
図12(a)、図12(b)に、第2のカメラ110が部品供給部25を撮像した撮像画像の例を示す。図12(a)は、部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rpに停止している状態で(例えば、図4の状態)、第2のカメラ110が部品供給部25を撮像した撮像画像110aの例である。この状態では、取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70が取り出し対象の部品27Bの前面に位置して撮像を妨害している(撮像画像110aでは、後端部71cが部品27Bに重なっている)。
図12(b)は、図10に示す隣接する2つの部品保持ユニット70の間から第2のカメラ110が撮像した撮像画像110bの例である。この状態では、部品保持ユニット70が部品27Bに重なっておらず、供給位置Ppが撮像画像110bに写っている。また、第1の当接ピン84aを含む第1の当接部材84も、供給位置Ppに重なっていない。すなわち、第1の当接部材84は、回転軸Ar側から部品供給部25を撮像する第2のカメラ110の撮像を妨げない第1の隙間84b(図11も参照)を有する。第2のカメラ110の撮像結果は制御装置60に送信され、部品供給部25の供給位置Ppにある部品27Bの位置が検出される。
なお、第2のカメラ110は、撮像素子111aの撮像軸が回転軸Arと一致する構成に限定されることはなく、回転軸Ar側から部品供給部25を撮像できる構成、配置であればよい。例えば、第2のカメラ110は撮像素子111aの撮像軸が回転軸Arから垂直方向に移動した位置に配置されてもよい。また、プリズム112の代わりに撮像軸を屈折させるミラーを使用する構成であってもよい。
次に図13を参照して、基板16(移載対象)の移載位置Pmを撮像する第3のカメラ120の構成と機能について説明する。第3のカメラ120は、CMOSセンサやCCDなどの撮像素子121aを内蔵する撮像部121、撮像経路を屈折させる3角柱形のプリズム122を備えて構成されている。第3のカメラ120は、3角柱形のプリズム122の向きが異なる他は前述の第2のカメラ110と同様の構成である。以下、相違点のみ説明する。
図13において、プリズム122は、水平方向(X方向)の撮像素子121aの撮像軸を下方の基板16の方向(Z方向)に屈折させる。第3のカメラ120は、回転部材32に設置された部品保持ユニット70が引き渡し回転位置Rmに停止していない状態(図10も参照)で基板16を撮像する。すなわち、第3のカメラ120は、回転軸Ar側から隣接する2つの部品保持ユニット70の間を通して基板16(移載対象)を撮像する。また、第2の当接部材94は、回転軸Ar側から基板16(移載対象)を撮像する第3のカメラ120の撮像を妨げない第2の隙間94bを有する。第3のカメラ120の撮像結果は制御装置60に送信され、部品27が移載(搭載)される移載対象である基板16の移載位置Pmが検出される。
次に図14を参照して、第4のカメラ130の構成と機能について説明する。第4のカメラ130は、第2のカメラ110と第3のカメラ120の両方の機能を併せて有している。すなわち、第4のカメラ130は、部品供給部25の供給位置Ppにある取り出し対象の部品27Cと、部品27が移載(搭載)される基板16(移載対象)の移載位置Pmを撮像する。第4のカメラ130は、CMOSセンサやCCDなどの撮像素子131aを内蔵する撮像部131、撮像経路を屈折させる5角柱形のプリズム132を備えて構成されている。第4のカメラ130は、プリズム132の形状が異なる他は前述の第2のカメラ110または第3のカメラ120と同様の構成である。以下、相違点のみ説明する。
図14において、5角柱形のプリズム132は、水平方向(X方向)の撮像素子131aの撮像軸を上方の部品供給部25の供給位置Ppの方向(第1の方向)と、下方の基板16の移載位置Pmの方向(第2の方向)に屈折させる。これにより、第4のカメラ130は、回転軸Ar側から部品供給部25に向く供給位置Ppの方向(第1の方向)と回転軸Ar側から移載対象の基板16に向く移載位置Pmの方向(第2の方向)とを撮像することができる。第4のカメラ130が隣接する2つの部品保持ユニット70の間から部品供給部25と基板16(移載対象)を撮像すると、撮像素子131aが撮像する撮像画像には、部品供給部25の供給位置Ppと基板16の移載位置Pmを同時に写すことができる。第4のカメラ130の撮像結果は制御装置60に送信され、部品供給部25の部品27Cの供給位置Ppと部品27の移載対象である基板16の移載位置Pmが検出される。
このように、部品移載装置1では、回転軸Ar側から供給位置Ppまたは回転軸Ar側から移載位置Pmが撮像される。部品移載装置1は、供給位置Ppを撮像する第2のカメラ110だけを備えても、移載位置Pmを撮像する第3のカメラ120だけを備えても、第2のカメラ110と第3のカメラ120を併せて備えていてもよい。また、第2のカメラ110と第3のカメラ120の代わりに、供給位置Ppと移載位置Pmを撮像可能な第4のカメラ130を備えていてもよい。
次に図15を参照して、部品移載装置1の制御系の構成について説明する。ここでは、撮像回転位置Rsに停止中の部品保持ユニット70が保持する部品27を撮像する第1のカメラ100と、部品供給部25の供給位置Ppと基板16(移載対象)の移載位置Pmを回転軸Ar側から撮像する第4のカメラ130とを備える部品移載装置1について説明する。制御装置60には、移載対象移動機構10、供給部移動機構20、回転駆動機構37、自転駆動機構42、剥離部50、第1の押出し機構80、第2の押出し機構90、第1のカメラ100、第4のカメラ130が接続されている。
制御装置60は、供給位置検出部61、保持位置検出部62、移載位置検出部63、供給制御処理部64、移載制御処理部65、自転制御処理部66、統括制御処理部67などの処理部の他、記憶装置である記憶部68を備えている。記憶部68には、移載データ68a、供給位置補正データ68b、保持位置補正データ68c、移載位置補正データ68dなどが記憶されている。
図15において、移載データ68aには、部品供給部25から供給される部品27のサイズ(XY方向の長さ、幅など)および配置(XY方向のピッチ、配置数など)、移載対象である基板16における部品27の移載目標位置(X座標、Y座標)および移載回転角度など、部品移載装置1による部品27の移載作業に必要な各種情報が含まれている。移載データ68aに含まれる移載目標位置は、基板16に設けられた基板基準マーク(図示省略)を基準とするX座標、Y座標(基準マークからのXY方向の距離)などにより指定される。
供給位置検出部61は、第4のカメラ130が供給位置Ppの方向(第1の方向)を撮像した撮像画像を認識処理して、部品供給部25にある取り出し対象の部品27の位置を検出する。さらに供給位置検出部61は、移載データ68aに含まれる部品供給部25における部品27の配置に基づいて、取り出し対象の部品27の正規の位置からの位置ずれ量を算出して、供給位置補正データ68bとして記憶部68に記憶させる。取り出し対象の部品27の正規の位置は、取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70の保持部71aが部品供給部25から部品27を取り出す位置である。なお、供給位置検出部61は、部品移載装置1が第4のカメラ130に代わって第2のカメラ110を備える場合は、第2のカメラ110が供給位置Ppの方向を撮像した撮像画像を認識処理して、供給位置補正データ68bを算出する。
図15において、保持位置検出部62は、撮像回転位置Rsに停止している部品保持ユニット70の保持部71aが保持している部品27を第1のカメラ100が撮像した撮像画像を認識処理して、保持部71aに保持された部品27の保持位置Psを検出する。さらに保持位置検出部62は、保持部71aが保持している部品27の正規の位置(例えば、保持部71aの中心である自転軸Aθの位置)からのX方向、Y方向の位置ずれ量、回転角度(回転ずれ量)を算出して、保持位置補正データ68cとして記憶部68に記憶させる。
移載位置検出部63は、第4のカメラ130が移載位置Pmの方向(第2の方向)を撮像した撮像画像を認識処理して、基板16(移載対象)上に部品27を移載する移載位置Pmを検出する。さらに移載位置検出部63は、移載データ68aに含まれる部品27の移載目標位置に基づいて、移載位置Pmの移載目標位置からの位置ずれ量を算出して、移載位置補正データ68dとして記憶部68に記憶させる。なお、移載位置検出部63は、部品移載装置1が第4のカメラ130に代わって第3のカメラ120を備える場合は、第3のカメラ120が移載位置Pmの方向を撮像した撮像画像を認識処理して、移載位置補正データ68dを算出する。
移載位置Pmの移載目標位置からの位置ずれ量として、移載位置検出部63は、例えば部品27の端子が接続される基板16上に形成された電極(ランド)の目標位置からのずれを算出する。また、移載位置検出部63は、基板16上の電極付近に形成された電極マーク(図示省略)を認識して位置ずれ量を算出してもよい。また、移載位置検出部63は、移載データ68aに含まれる基板基準マークの位置に基づいて移載対象移動機構10を制御し、基板基準マークを移載位置Pmに位置させて撮像した基板基準マークの目標位置からの位置ずれ量を移載位置補正データ68dとして記憶部68に記憶させるようにしてもよい。
図15において、供給制御処理部64は、移載データ68aに含まれる部品供給部25における部品27の配置と供給位置補正データ68bに基づいて、供給部移動機構20(Xビーム22が備えるリニア駆動機構、Yビーム23が備えるリニア駆動機構)を制御して部品供給部25を移動させる。具体的には、供給制御処理部64は、供給位置Ppから前の部品27が取り出された後に、部品供給部25における部品27の配置に基づいて、次の取り出し対象の部品27を供給位置Ppに移動させる。
その後、第4のカメラ130(または、第2のカメラ110)が供給位置Ppを撮像し、撮像画像から供給位置検出部61によって供給位置補正データ68bが算出される。そして、供給制御処理部64は供給位置補正データ68bに基づいて、取り出し対象の部品27が供給位置Ppとなるように部品供給部25の位置を微調整する。すなわち、供給部移動機構20は、第4のカメラ130(または、第2のカメラ110)が供給位置Ppの方向(第1の方向)を撮像した撮像結果(供給位置補正データ68b)に基づいて、部品供給部25を移動させる。
図15において、移載制御処理部65は、移載データ68aに含まれる基板16における部品27の移載目標位置と保持位置補正データ68cおよび移載位置補正データ68dに基づいて、移載対象移動機構10(リニア駆動機構)を制御して移載対象である基板16を移動させる。具体的には、移載制御処理部65は、移載位置Pmに前の部品27が移載(搭載)された後に、基板16における部品27の移載目標位置に基づいて、次の部品27が次の移載目標位置に位置するように基板16を移動させる。その後、第4のカメラ130(または、第3のカメラ120)が移載位置Pmを撮像し、撮像画像から移載位置検出部63によって移載位置補正データ68dが算出される。
そして、移載制御処理部65は、予め算出されていた保持位置補正データ68cに含まれる移載対象の部品27の保持部71aにおけるXY方向の位置ずれ量と移載位置補正データ68dに基づいて、保持部71aが保持する部品27が移載目標位置に移載されるように基板16の位置を微調整する。すなわち、移載対象移動機構10は、第1のカメラ100の撮像結果(保持位置補正データ68cに含まれる移載対象の部品27のXY方向の位置ずれ量)と第4のカメラ130(または、第3のカメラ120)が移載位置Pmの方向(第2の方向)を撮像した撮像結果(移載位置補正データ68d)に基づいて、部品16(移載対象)を移動させる。
これによって、保持部71aが部品27を部品供給部25から取り出した際の位置ずれと、基板16(移載対象)が移載位置Pmに停止した際の位置のずれを補正して、部品27を基板16(移載対象)に移載した際の移載位置精度を高めることができる。
図15において、自転制御処理部66は、移載データ68aに含まれる基板16における部品27の移載回転角度と予め算出されていた保持位置補正データ68cに含まれる移載対象の部品27の保持部71aにおける回転ずれ量に基づいて、自転駆動機構42(自転モータ40)を制御して、移載対象の部品27を保持する保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる。
具体的には、自転制御処理部66は、回転駆動機構37の回転モータ36が回転部材32を回転軸Ar廻りに回転させる角度に対して、自転駆動機構42の自転モータ40が駆動側傘歯車41を回転軸Ar廻りに回転させる角度の相対的な角度の差が保持部71aの回転ずれ量を補正する量となるように、自転モータ40を制御する。例えば、回転ずれ量がゼロの場合、回転モータ36が回転部材32を45度回転させると、自転制御処理部66は駆動側傘歯車41が同じ方向に45度回転するように(相対的な角度の差がゼロとなるように)自転モータ40を駆動させる。
また、回転ずれ量がゼロでない場合は、回転モータ36が回転部材32を回転させた角度に対して、駆動側傘歯車41が回転する角度が保持部71aの回転ずれ量を補正する量となるように、自転制御処理部66は自転モータ40を駆動させる。このように、自転駆動機構42は、第1のカメラ100の撮像結果(保持位置補正データ68cに含まれる移載対象の部品27の回転ずれ量)に基づいて、保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる。これによって、保持部71aが部品27を部品供給部25から取り出した際の回転ずれ量を補正して、部品27を基板16(移載対象)に移載した際の移載位置精度を高めることができる。
図15において、統括制御処理部67は、供給制御処理部64、移載制御処理部65、自転制御処理部66、回転駆動機構37、剥離部50、第1の押出し機構80、第2の押出し機構90、第1のカメラ100、第4のカメラ130を統括制御して、部品移載装置1によって部品移載作業を実行させる。
次に図16〜23を参照して、統括制御処理部67が部品移載装置1を統括制御して実行させる部品移載作業について説明する。図16は、部品移載装置1の各部による作業のタイミングを示した図である。部品移載装置1は、図17(a)に示す初期状態にあるとする。すなわち、移載ヘッド30の回転部材32に設置された8個の部品保持ユニット70は全て部品27を保持しておらず、部品供給部25は最初に取り出される部品27Dが供給位置Ppとなるように移動し、基板16(移載対象)は最初に部品27Dが移載される移載目標位置が移載位置Pmとなるように移動している。
また、一の部品保持ユニット70が取り出し回転位置Rpに停止している。この時、取り出し回転位置Rpに停止している部品保持ユニット70を部品保持ユニット70(N8)と称する。以下、回転部材32を前面から見て反時計回りに部品保持ユニット70(N1)、部品保持ユニット70(N2)、部品保持ユニット70(N3)・・・と称する。図16には、(N1)、(N2)、(N3)・・・と表示する。
図16において、まず、統括制御処理部67は回転駆動機構37を制御して、回転部材32を回転軸Ar廻りに前側から見て時計回り方向に22.5度回転させる(図17(b)に示す矢印h1)。以下、統括制御処理部67が回転部材32を22.5度回転させる動作を順にインデックス回転I1、インデックス回転I2、インデックス回転I3・・・と称し、図16には1、2、3・・・と表示し、図17〜図23には(I1)、(I2)、(I3)・・・と表示する。
図17(b)において、インデックス回転I1により、取り出し回転位置Rpに停止していた部品保持ユニット70(N8)が移動して、隣接する部品保持ユニット70(N8)と部品保持ユニット70(N1)の間から第4のカメラ130が供給位置Ppの方向(第1の方向)を撮像可能な状態となる。次いで第4のカメラ130が供給位置Ppの部品27Dを撮像して、供給位置検出部61は撮像画像から部品27Dの供給位置補正データ68bを算出する。
なお、第4のカメラ130による供給位置Ppの撮像は、回転部材32(部品保持ユニット70)が停止中に限定されない。例えば、インデックス回転I1とインデックス回転I2を連続して実行し(すなわち、回転部材32を45度回転させる)、隣接する部品保持ユニット70(N8)と部品保持ユニット70(N1)の間から供給位置Ppが撮像可能な時間帯に第4のカメラ130が供給位置Ppを撮像してもよい。これによって、部品27の移載効率を高めることができる。
図16において、次いで統括制御処理部67は、回転部材32を22.5度インデックス回転I2させる(図18(a)に示す矢印h2)。これにより、次の部品保持ユニット70(N1)が取り出し回転位置Rpに停止する。インデックス回転I2中に、供給制御処理部64はインデックス回転I1後に算出された部品27Dの供給位置補正データ68bに基づいて、部品供給部25の位置を微調整させる(図18(a)に示す矢印h3)。すなわち、供給部移動機構20は、第4のカメラ130が供給位置Ppの方向(第1の方向)を撮像した撮像結果(部品27Dの供給位置補正データ68b)に基づいて、部品供給部25を移動させる。
図18(b)において、次いで統括制御処理部67は剥離部50を制御して剥離ピン52を下方に突出させて(矢印h4)、取り出し対象の部品27Dの一部をシート26から剥離させる。また、統括制御処理部67は第1の押出し機構80を制御して第1の当接部材84を上方に移動させて(矢印h5)、保持部71aを上方に突出させて部品27Dに当接させる。すなわち、第1の押出し機構80は、部品保持ユニット70(N1)が取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)で停止中に、後端部71cを押して保持部71aを部品供給部25の方向に突出させる。次いで統括制御処理部67は吸引孔71fを真空状態して、部品27Dを保持部71aに真空吸着させる。
図19(a)において、次いで統括制御処理部67は剥離部50を制御して剥離ピン52を元の位置に戻し(矢印h6)、第1の押出し機構80を制御して第1の当接部材84を下方に移動させて(矢印h7)、部品27Dを保持した保持部71aを待機位置に戻させる。
図16において、次いで統括制御処理部67は回転部材32をインデックス回転I3させる(図19(b)に示す矢印h8)。インデックス回転I3中に、供給制御処理部64は次の取り出し対象の部品27Eが供給位置Ppとなるように部品供給部25を移動させる(図19(b)に示す矢印h9)。図19(b)において、第4のカメラ130は隣接する部品保持ユニット70(N1)と部品保持ユニット70(N2)の間から供給位置Ppの方向を撮像し、供給位置検出部61は撮像画像から部品27Eの供給位置補正データ68bを算出する。
図16において、次いで統括制御処理部67は回転部材32をインデックス回転I4させ(図20(a)に示す矢印h10)、供給制御処理部64は算出された部品27Eの供給位置補正データ68bに基づいて部品供給部25の位置を微調整させる(図20(a)に示す矢印h11)。図20(a)において、次いで統括制御処理部67は剥離部50と第1の押出し機構80を制御して、部品27Eを供給位置Ppから取り出して部品保持ユニット70(N2)の保持部71aに保持させる(矢印h12、矢印h13)。
図16において、次いでインデックス回転I5、インデックス回転I6が実行され(図20(b)に示す矢印h14)、部品27Fが供給位置Ppに移動し(図20(b)に示す矢印h15)、第4のカメラ130が供給位置Ppの部品27Fを撮像する。図20(b)において、この状態で取り出し回転位置Rpに停止している部品保持有ニット70(N3)が供給位置Ppから部品27Fを取り出して保持部71aに保持する(矢印h16、矢印h17)。
また、この状態で部品27Dを保持する部品保持ユニット70(N1)は、撮像回転位置Rsに停止しており、第1のカメラ100は部品保持ユニット70(N1)の保持部71aが保持している部品27Dを撮像する。保持位置検出部62は、第1のカメラ100が撮像した撮像画像を認識処理して部品27Dの保持位置補正データ68cを算出して記憶部68に記憶させる。
図16において、次いでインデックス回転I7、インデックス回転I8が実行され(図21(a)に示す矢印h18)、部品27Gが供給位置Ppに移動し(矢印h19)、第4のカメラ130が供給位置Ppの部品27Gを撮像する。図21(a)において、供給位置Ppの部品27Gが部品保持有ニット70(N4)によって取り出されて保持部71aに保持される(矢印h20、矢印h21)。また、第1のカメラ100が部品保持ユニット70(N2)が保持する部品27Eを撮像し、保持位置検出部62は撮像画像を認識処理して部品27Eの保持位置補正データ68cを算出して記憶部68に記憶させる。
図16において、次いでインデックス回転I9が実行され(図21(b)に示す矢印h22)、部品27Hが供給位置Ppに移動する(図21(b)に示す矢印h23)。図21(b)において、第4のカメラ130は隣接する部品保持ユニット70(N4)と部品保持ユニット70(N5)の間から供給位置Ppの方向を撮像し、供給位置検出部61は撮像画像から部品27Hの供給位置補正データ68bを算出する。また、第4のカメラ130は隣接する部品保持ユニット70(N8)と部品保持ユニット70(N1)の間から移載位置Pmの方向を撮像し、移載位置検出部63は撮像画像から部品27Dを基板16上に移載する部品27Dの移載位置補正データ68dを算出する。
図16において、次いでインデックス回転I10が実行され(図22(a)に示す矢印h24)、算出された部品27Hの供給位置補正データ68bに基づいて部品供給部25の位置が微調整される(図22(a)に示す矢印h25)。
図22(a)において、移載制御処理部65は、記憶されている部品27Dの保持位置補正データ68cに含まれるXY方向の位置ずれ量と、算出された移載位置補正データ68dに基づいて、保持ユニット70(N1)が保持する部品27Dが移載目標位置に移載されるように基板16の位置を微調整する(矢印h26)。すなわち、移載対象移動機構10は、第1のカメラ100の撮像結果(部品27Dの保持位置補正データ68c)と第4のカメラ130が移載位置Pmの方向(第2の方向)を撮像した撮像結果(部品27Dの移載位置補正データ68d)に基づいて、基板16(移載対象)を移動させる。なお、基板16の移載目標位置の微調整が、部品移載作業の前に取得された基板16に形成された基板マークの位置に基づいて実行される場合は、インデックス回転後の第4のカメラ130による移載位置Pmの撮像は省略される。
自転制御処理部66は、記憶されている部品27Dの保持位置補正データ68cに含まれる回転ずれ量に基づいて、部品27Dを保持する保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる(矢印h27)。すなわち、第1のカメラ100の撮像結果(部品27Dの保持位置補正データ68c)に基づいて、自転駆動機構42は保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる。
図22(b)において、次いで剥離部50は剥離ピン52を下方に突出させ(矢印h28)、第1の押出し機構80は第1の当接部材84を上方に移動させて(矢印h29)、部品保持ユニット70(N5)の保持部71aに部品27Hを真空吸着させる。また、統括制御処理部67は第2の押出し機構90を制御して第2の当接部材94を下方に移動させ(矢印h30)、部品保持ユニット70(N1)の保持部71aを下方に突出させて保持する部品27Dを基板16上に着地させる。次いで統括制御処理部67は部品保持ユニット70(N1)の吸引孔71fを大気圧状態して、部品27Dを保持部71aから解放させる。
図22(b)において、部品保持ユニット70(N5)が部品供給部25から部品27Hを取り出して保持し、部品保持ユニット70(N1)が部品27Dを基板16に移載している間に、保持位置検出部62は、第1のカメラ100が撮像した撮像画像を認識処理して部品保持ユニット70(N3)が保持する部品27Fの保持位置補正データ68cを算出して記憶部68に記憶させる。
図23(a)において、次いで剥離部50は剥離ピン52を元の位置に戻し(矢印h31)、第1の押出し機構80は第1の当接部材84を元の位置に移動させて(矢印h32)、部品保持ユニット70(N5)の保持部71aに部品27Hを保持させる。また、また、統括制御処理部67は第2の押出し機構90を制御して第2の当接部材94を元の位置に移動させる(矢印h33)。これにより、部品27Dが基板16上に移載(搭載)され、部品保持ユニット70(N1)の保持部71aが待機位置まで上昇する。
このように、部品保持ユニット70(N1)は回転部材32と一体となって円弧運動し、取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)で部品供給部25から部品27Dを取り出して保持部71aに保持し、自転軸Aθ廻りに自転させた部品27Dを引き渡し回転位置Rm(第2の回転位置)で基板16(移載対象)に引き渡している。これによって、部品27Dの移載位置精度を高めることができる。
また、部品保持ユニット70(N5)(一の部品保持ユニット)が、取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)で部品供給部25から部品27Hを取り出して部品保持ユニット70(N5)の保持部71aに保持する作業と、部品保持ユニット70(N1)(他の部品保持ユニット)が、引き渡し回転位置Rm(第2の回転位置)で基板16(移載対象)に部品保持ユニット70(N1)の保持部71aが保持している部品27Dを引き渡す作業とが、並行して実行される。さらに、撮像回転位置Rsに位置する部品保持ユニット70(N3)が保持する部品27Fを第1のカメラ100が撮像する作業も、並行して実行される。このように、部品27Hの取り出し、部品27Dの基板16への移載、部品27Fの第1のカメラ100による撮像を並行して実行することで作業時間が短縮でき、部品27D〜27Hの移載効率を高めることができる。
図16において、次いでインデックス回転I11、インデックス回転I12が実行され(図23(b)に示す矢印h34)、部品27Iが供給位置Ppに移動し(図23(b)に示す矢印h35)、第4のカメラ130が供給位置Ppの部品27Iを撮像する。図23(b)において、部品保持ユニット70(N6)によって供給位置Ppから部品27Iが取り出されて保持部71aに保持される(矢印h36、矢印h37)。また、第1のカメラ100が部品保持ユニット70(N4)が保持する部品27Gを撮像し、部品27Gの保持位置補正データ68cが算出される。また、次の部品27Eが移載される移載目標位置が移載位置Pmとなるように移動した基板16に(矢印h38)、部品保持ユニット70(N2)が保持していた部品27Eが移載される(矢印h39)。
以下、同様の部品移載作業を繰り返し実行することで、回転部材32に設置された複数の部品保持ユニット70(N1)〜(N8)が部品供給部25から順番に部品27を取り出し、順番に基板16に移載することで、基板16に部品27が移載された実装基板が製造される。
上記説明したように、本実施の形態の部品移載装置1は、回転部材32と、回転部材32を回転軸Ar廻りに円弧運動させる回転駆動機構37と、回転部材32に設置された部品保持ユニット70と、部品保持ユニット70が有する保持部71aを自転軸Aθ廻りに自転させる自転駆動機構42を備えている。そして部品保持ユニット70は回転部材32と一体となって円弧運動し、取り出し回転位置Rp(第1の回転位置)で部品供給部25から部品27を取り出して保持部71aに保持し、自転軸Aθ廻りに自転させた部品27を引き渡し回転位置Rm(第2の回転位置)で基板16(移載対象)に引き渡している。これによって、部品27の移載効率を高めつつ、部品27の移載位置精度も高めることができる。
なお、上述では基板16を移載対象とする実施例を説明したが、移載対象は基板16に限定されることはない。例えば、移載対象は、部品27を格納する凹部が規則的に形成されたトレイであっても、部品27を格納するポケットが直線状に形成されたキャリアテープであってもよい。その場合、移載対象を移動させる移載対象移動機構10は、移載対象に合わせて適宜変更される。また、移載対象がトレイやキャリアテープなどの移載時に要求される自転軸Aθ方向の移載位置精度が高くないものである場合、部品移載装置1は自転駆動機構42を備えない構成であってもよい。