JP2018040513A - 熱交換器用チューブ及び熱交換器 - Google Patents

熱交換器用チューブ及び熱交換器 Download PDF

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Kota Hagiwara
康太 萩原
聡也 長沢
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Abstract

【課題】耐食性を向上できると共に、伝熱性能の低下を好適に抑制できる熱交換器用チューブ及び熱交換器を提供する。【解決手段】風上側チューブ14は、内部に冷媒を流通するハウジング141と、ハウジング141の内部に収容され、冷媒の流通方向と直交する断面で視たときに冷媒が流通する流路を複数に区切るよう形成されるインナフィン143と、を備える。インナフィン143の材料は、ハウジング141の材料より電位的に貴である。インナフィン143は、ハウジング141の腐食負荷が高い部位において、ハウジング141の内面全体と密着するよう形成される壁部144を有する。【選択図】図2

Description

本開示は、熱交換器用チューブ、及び、この熱交換器用チューブを適用する熱交換器に関する。
従来、例えば車両用空調装置などに適用され、内部に熱交換用の冷媒を流通させる複数のチューブを積層配置して構成される熱交換器において、チューブの耐食性を向上させるための構造が提案されている。例えば特許文献1には、チューブのハウジングの芯材層の外側に、この芯材層よりも電位的に卑な材料で形成される犠牲層を設ける構成が開示されている。
特開2001−50690号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来のチューブの耐食性対策では、チューブの部位によって防食設計の差異が存在しないため、所望の耐食性を確保するためには、最も腐食負荷が厳しい部位に合わせて板厚や電位設計を設定する必要がある。このため、腐食負荷が緩やかな部位では耐食性に対して過剰スペックとなり、不必要なコストや、耐食性向上とトレードオフとなる背反項目が発生する。例えば、チューブの耐食性を確保するためにハウジングの板厚を厚くする構成をとる場合、腐食負荷が緩やかな部位でも板厚を厚くする必要があり、材料費の増加や、冷媒流路の圧損、伝熱性能の低下などが発生する場合がある。
本開示は、耐食性を向上できると共に、伝熱性能の低下を好適に抑制できる熱交換器用チューブ及び熱交換器を提供することを目的とする。
本開示は、熱交換器用チューブ(14,14A,14B,14C,14D,14E)であって、内部に冷媒を流通するハウジング(141,141A,141B,141C)と、前記ハウジングの内部に収容され、前記冷媒の流通方向と直交する断面で視たときに前記冷媒が流通する流路を複数に区切るよう形成されるインナフィン(143,143D,143E)と、を備え、前記インナフィンの材料は、前記ハウジングの材料より電位的に貴であり、前記インナフィンは、前記ハウジングの腐食負荷が高い部位において、前記ハウジングの内面全体と密着するよう形成される壁部(144,144D,144E)を有する。
同様に、本開示は、熱交換器(1)であって、上記の熱交換器用チューブを備える。
これらの構成により、ハウジングの腐食負荷が高い部位では、壁部を設けることによって、ハウジングと壁部による二重構造となるため、ハウジングの寿命を延ばすことができ、耐食性を向上できる。また、ハウジングの腐食負荷が高い部位のみに壁部を追加する構成によって、相対的に耐食性を低くしても問題のないハウジングの腐食負荷が低い他の部位では、ハウジングの板厚を薄型化できる。これにより、チューブの内部を流れる冷媒と、チューブの外部を流れる流体との間の伝熱性能の低下を抑制できる。
本開示によれば、耐食性を向上できると共に、伝熱性能の低下を好適に抑制できる熱交換器用チューブ及び熱交換器を提供することができる。
図1は、実施形態に係る熱交換器用チューブ(風上側チューブ)が適用される熱交換器の構成の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1中のII−II断面図であり、実施形態に係る熱交換器用チューブの断面形状を示す図である。 図3は、図2中の領域Aの拡大図であり、ハウジング及び壁部による多層構造と、厚さ方向の電位と腐食時間とを示す図である。 図4は、壁部を備えない比較例における、ハウジングによる多層構造と、厚さ方向の電位と腐食時間とを示す図である。 図5は、市場回収品の熱交換器において風上側チューブに生じた腐食孔の観察結果を示す図である。 図6は、風上側チューブのハウジングの構造の別形態を示す断面図である。 図7は、風上側チューブのハウジングの構造の別形態を示す断面図である。 図8は、風上側チューブのハウジングの構造の別形態を示す断面図である。 図9は、風上側チューブの壁部の構造の別形態を示す断面図である。 図10は、風上側チューブの壁部の構造の別形態を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[実施形態]
図1〜図5を参照して実施形態について説明する。本実施形態に係る熱交換器用チューブ14(以下、「風上側チューブ14」と表記する)は、熱交換器1に適用されるものである。熱交換器1は、車室内の温度を調整する車両用空調装置に搭載され、冷凍サイクルに用いられる。具体的には、熱交換器1は、車室内に吹き出される空気から熱を奪うと共に、その熱を液相の冷媒に与えて蒸発させることで空気を冷却する。熱交換器1は、冷媒蒸発器や、エバポレータとも呼ばれる。冷凍サイクルは、周知のように、熱交換器1の他に、図示しない圧縮機、放熱器、及び減圧器等から構成される。
以下の説明では、図1の紙面上の上下方向(風上側チューブ14内を流れる冷媒の流れ方向)を「高さ方向」と表し、その上側を「上側」、下側を「下側」と表す。なお、高さ方向は典型的には重力方向であるが、他の方向でもよい。また、風上側チューブ14が積層する方向を「積層方向」と表し、図1におけるその右側(排出口11a及び流入口21aが配置される側)を「手前側」と表し、右側を「奥側」と表す。そして、これらの高さ方向及び積層方向の両方と直交する方向を、空気が空気通路(間隙16)を流れる「風流れ方向」と表し、図1におけるその左側を「風上側」、右側を「風下側」と表す。
図1〜図3を参照して、本実施形態に係る風上側チューブ14と、この風上側チューブ14が適用される熱交換器1の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態において例示する熱交換器1は、所謂2ターン方式の冷媒通路を有する構成をとる。2ターン方式の冷媒通路では、風流れ方向の風下側において、流入された冷媒が高さ方向下側に向けて風上側チューブ14内を流れ、次いで風上側においてその流れ方向を高さ方向上側に反転させて風下側チューブ24を流れた後に排出される。熱交換器1は、このような冷媒通路の風上側チューブ14及び風下側チューブ24の内部を流れる冷媒と、これらのチューブ14,24の外部を流れる流体との間で熱交換を行う。なお、本実施形態に係る風上側チューブ14は、他のタイプの熱交換器にも適用可能である。
熱交換器1は、風上側蒸発部10と風下側蒸発部20とを備えている。風上側蒸発部10と風下側蒸発部20は、矢印Xで示される空気の流れ方向において対向するように、風流れ方向の風上側と風下側に配置されている。
風上側蒸発部10は、風上側集合タンク11と、風上側コア部12と、風上側分配タンク13とを有している。風上側集合タンク11、風上側コア部12及び風上側分配タンク13は、この順序で、高さ方向下側に向けて並べて配置されている。
風上側コア部12は、全体として、風流れ方向を厚さ方向とする扁平な直方体形状を呈している。風上側コア部12の下端部には、風上側分配タンク13が接続されている。風上側コア部12の上端部には、風上側集合タンク11が接続されている。風上側コア部12は、複数の風上側チューブ14と、複数のフィン15とが積層方向に交互に積層された構造からなる。
風上側チューブ14は、その断面が扁平状で、高さ方向に延びるように配置されている。風上側チューブ14の内部には、冷媒が流れる流路が形成されている。
フィン15は、金属製の薄板を屈曲させることで形成される、いわゆるコルゲートフィンである。フィン15は、積層方向に隣り合う風上側チューブ14,14の間隙16に配置されており、風上側チューブ14の外側面に接続されている。フィン15は、風流れ方向から視たときに、波型の形状をとるよう形成され、この波形状の峰が高さ方向に沿って連なるように配置されている。フィン15は、熱伝達に優れたろう材などの接合材によって、これらの波形状の頂部が隣接するチューブ14,14に接合されることで、隣接するチューブ14,14と熱的に結合されている。フィン15は、風上側コア部12の間隙16を流れる空気との接触面積を増加させて、風上側チューブ14内を流れる冷媒との熱交換を促進できるよう設けられている。
風上側分配タンク13は、内部に冷媒の流路を有する筒状の部材からなる。風上側分配タンク13の軸方向(積層方向)の両端部は閉塞されている。風上側集合タンク11は、内部に冷媒の流路を有する筒状の部材からなる。風上側集合タンク11の積層方向奥側の端部は閉塞されている。風上側集合タンク11の積層方向手前側の端部には排出口11aが形成されている。排出口11aは、図示しない圧縮機の吸入側に接続されている。
風下側蒸発部20は、風下側分配タンク21と、風下側コア部22と、風下側集合タンク23とを有している。風下側分配タンク21、風下側コア部22及び風下側集合タンク23は、この順序で、高さ方向下側に向けて並べて配置されている。
風下側コア部22は風上側コア部12と略同一の構造を有している。すなわち、風下側コア部22は、全体として、風流れ方向を厚さ方向とする扁平な直方体形状を呈している。また、風下側コア部22は、複数の風下側チューブ24と、複数のフィン15とが積層方向に交互に積層された構造からなる。風下側コア部22の上端部には、風下側分配タンク21が接続されている。風下側コア部22の下端部には、風下側集合タンク23が接続されている。
風下側分配タンク21は、内部に冷媒の流路を有する筒状の部材からなる。風下側分配タンク21の積層方向奥側の端部は閉塞されている。風下側分配タンク21の積層方向手前側の端部には流入口21aが形成されている。流入口21aには、図示しない減圧器により減圧された低圧冷媒が流入する。風下側集合タンク23は、内部に冷媒の流路を有する筒状の部材からなる。風下側集合タンク23の積層方向の両端部は閉塞されている。また、風下側集合タンク23は、隣接する風上側分配タンク13と連通している。
続いて、熱交換器1に供給される冷媒の流れと、空気の冷却方法について説明する。図示されない膨張弁により減圧された冷媒は、流入口21aから風下側分配タンク21内に供給される。この冷媒は、風下側分配タンク21内で分配され、風下側コア部22の各風下側チューブ24に流入する。
各風下側チューブ24に流入した冷媒は、その内部を高さ方向下側に向かって流れる。このとき、各風下側チューブ24内を流れる冷媒は、各風下側チューブ24の外部を矢印X方向に向かって流れる空気と、各風下側チューブ24の壁面を介して熱交換を行う。これにより、冷媒の一部が蒸発して空気から熱を奪い、空気の冷却が行われる。
風下側コア部22の各風下側チューブ24内を流れ、各風下側チューブ24の下端部から流出した冷媒は、風下側集合タンク23に流入して集約される。風下側集合タンク23に集められた冷媒は、風上側分配タンク13に流入する。
風上側分配タンク13内に流入した冷媒は、上部の貫通孔から排出され風上側コア部12に供給される。冷媒は、各風上側チューブ14の下端部から流入し、各風上側チューブ14内を高さ方向上側に向かって流れる。このとき、各風上側チューブ14内を流れる冷媒は、各風上側チューブ14の外部を矢印X方向に向かって流れる空気と、各風上側チューブ14の壁面を介して熱交換を行う。これにより、冷媒の一部が蒸発して空気から熱を奪い、空気の冷却が行われる。
各風上側チューブ14内を流れ、その上端部から流出した冷媒は、風上側集合タンク11に集められる。風上側集合タンク11に集められた冷媒は、風上側集合タンク11の排出口11aから、図示されない圧縮機の吸入側に供給される。
次に本実施形態に係る風上側チューブ14の構成について説明する。
図2に示すように、風上側チューブ14の長手方向(図1に示す高さ方向)に直交する断面形状は、扁平筒状に形成されている。詳細には、風上側チューブ14は、積層方向の長さよりも風流れ方向の長さの方が長い形状を有している。風上側チューブ14は、ハウジング141と、接合部142とを有している。
ハウジング141は、風上側チューブ14において筒状に形成されている本体部分である。ハウジング141の内部空間には冷媒が流れている。また、ハウジング141の内部空間にはインナフィン143が収容されている。
インナフィン143は、金属製の薄板を屈曲させることで形成される、いわゆるコルゲートフィンである。インナフィン143は、高さ方向(図2の紙面垂直方向)から視たときに、波型の形状をとるよう形成され、この波形状の峰が風流れ方向に沿って連なるように配置されている。インナフィン143は、例えばろう付けにより、これらの波形状の頂部がハウジング141の内面に接合されている。このように、インナフィン143は、風上側チューブ14の内部において冷媒が流通する流路を複数に区切るよう形成され、これにより冷媒の伝熱効果を高めることができるよう構成されている。
接合部142は、風上側チューブ14の風流れ方向の風下側に設けられている。接合部142は、ハウジング141を構成する薄板の両端部をかしめて接合した部分である。このような風上側チューブ14の構成は、一般に「板チューブ」とも呼ばれる。
そして特に本実施形態では、インナフィン143は、ハウジング141の腐食負荷が高い部位において、ハウジング141の内面全体と密着するよう形成される壁部144を有する。ここで、本実施形態では、「ハウジング141の腐食負荷が高い部位」とは、ハウジング141のうち、風流れ方向の風上側に配置される部位である。より詳細には、図3に示すように、風流れ方向の風上側の端部から、風流れ方向の風下側に向けて長さDまでの部位(以降では「コア面までの距離」とも表記する)である。なお、図1に示すように風上側チューブ14の積層方向の間隙16の幅Wが4〜6mmであり、この間隙16に配置されるフィン15に関して冷媒の流通方向(高さ方向)に沿ったピッチPが2〜4mmである場合に、図3に示す壁部144が存在する領域の長さDは、9mm以内であることが好ましい。
壁部144は、例えば図2に示すように、風流れ方向の風下側端部から風上側に向けて波形状のインナフィン143を形成する薄板を、ハウジング141の風上側端部から長さDまでの領域では、ハウジング141の内面の断面形状に沿って内面全体に密着するように延在させることで形成される。さらに、壁部144を形成した後に、この領域において壁部144の内側に薄板を波形状とすることで、風上側チューブ14の内部の風流れ方向全域に亘り、波形状のインナフィン143を配置することができる。
図3に示すように、風上側チューブ14のハウジング141は、内側に電位的に貴の材料で形成される芯材層を有し、その外側に芯材層材料に対して電位的に卑な材料で形成される犠牲層を有する二層構造であり、これにより耐食性を向上できるよう構成されている。そして、壁部144が存在する風流れ方向の先端部では、図3に示すように、この二層構造に加えて、芯材層の内側に壁部144の層がさらに設けられる。インナフィン143及び壁部144を形成する薄板の材料は、ハウジング141の材料、すなわち芯材層及び犠牲層の材料より電位的に貴となるように選定されている。つまり、風上側チューブ14のハウジング141は、基本的には二層構造で構成されるが、壁部144が存在するハウジング141の風流れ方向の先端部に限り、外部側から内部側に向けて電位的に卑から貴となる三層構造となっている。
なお、風下側チューブ24は、基本的には風上側チューブ14と同様の構成であるが、壁部144に相当する要素を有していない点で風上側チューブ14と異なる。
次に、本実施形態に係る風上側チューブ(熱交換器用チューブ)14及び熱交換器1の効果について説明する。
本実施形態の風上側チューブ14は、内部に冷媒を流通するハウジング141と、ハウジング141の内部に収容され、冷媒の流通方向(高さ方向)と直交する断面で視たときに冷媒が流通する流路を複数に区切るよう形成されるインナフィン143と、を備える。インナフィン143の材料は、ハウジング141の材料より電位的に貴である。インナフィン143は、ハウジング141の腐食負荷が高い部位において、ハウジング141の内面全体と密着するよう形成される壁部144を有する。
本実施形態の風上側チューブ14は、その複数が積層配置され、チューブ14,24の内部を流れる冷媒と、チューブ14,24の間隙16を流れる流体との間で熱交換を行う熱交換器1に適用される。インナフィン143の壁部144は、流体の流れ方向の風上側に配置されるハウジング141の部位において、ハウジング141の内壁面全体と密着するよう形成される。つまり、本実施形態において壁部144が設けられる上記の「ハウジング141の腐食負荷が高い部位」とは、ハウジング141のうち熱交換器1の風流れ方向の風上側に設置される部位である。より詳細には、インナフィン143の壁部144は、風上側チューブ14の積層方向の間隙16の幅Wが4〜6mmであり、間隙16に配置されるフィン15に関して冷媒の流通方向に沿ったピッチPが2〜4mmである場合に、空気(流体)の流れ方向(風流れ方向)の風上側のハウジング141の端部から風流れ方向に沿った長さDが9mm以内の部位において、ハウジング141の内壁面全体と密着するよう形成される。
このような構成により、ハウジング141の腐食負荷が高いハウジング141の風上側の部位では、ハウジング141の内壁面全体と密着するようにインナフィン143の壁部144が設けられ、ハウジング141と壁部144による二重構造となるため、図3に示すように、外側のハウジング141の腐食が壁部144まで到達してハウジング141が寿命に達しても(図3の「ハウジング寿命」)、まずは電位的に卑である周囲のハウジング141側へ腐食が進み、その間、壁部144は腐食されない。ハウジング141の腐食が十分に広がった後に壁部144の腐食が始まり、壁部144の腐食が内面まで到達した時点で、壁部144が設けられているハウジング141の風上側部位の寿命となる(図3の「全体寿命」)。このように、壁部144を設けることによって、ハウジング141の腐食負荷が高いハウジング141の風上側の部位の寿命を延ばすことができるので、耐食性を向上できる。
また、ハウジング141の腐食負荷が高い部位のみに壁部144を追加する構成によって、相対的に耐食性を低くしても問題のないハウジング141の腐食負荷が低い他の部位では、腐食負荷が高い部位に合わせてハウジング141を厚くする必要がなくなるので、この部位の所望の耐食性に合わせてハウジング141の板厚を薄型化できる。これにより、風上側チューブ14の内部を流れる冷媒と、風上側チューブ14の外部を流れる空気との間の伝熱性能の低下を抑制できる。同様に、ハウジング141の内部空間を広くできるので冷媒流路の圧損を好適に抑制でき、また、材料費も低減できる。この結果、本実施形態に係る風上側チューブ14及び熱交換器1は、耐食性を向上できると共に、伝熱性能の低下を好適に抑制できる。
また、本実施形態の風上側チューブ14において、ハウジング141が二層構造であり、この二層構造の材料は、外部側から内部側に向けて電位的に卑から貴となる材料である。ハウジング141の二層構造は、図3に示すように、ハウジング141の芯材層の外側に、この芯材層よりも電位的に卑な材料で形成される犠牲層を設ける構成である。
このような二層構造では、図3に示すように、外側の犠牲層の腐食が内側の芯材層まで到達しても、まずは電位的に卑である周囲の犠牲層側へ腐食が進み、その間、芯材層は腐食されない。したがって、ハウジング141を二層構造にすることで、犠牲層と芯材層との電位差に基づき犠牲層を優先腐食させ、芯材層の貫通時間を稼いでハウジング寿命を延ばすことができ、ハウジング141自体の耐食性を向上できる。これにより、風上側チューブ14の耐食性をさらに向上できる。
ここで、図3及び図4を参照して、壁部144を備える本実施形態の構成(図3)と、壁部144を備えない比較例の構成(図4)とを比較する。図3及び図4の上下方向は、ハウジング141及び壁部144の厚さ方向を表し、上側が外部側の表層(空気側)、下側が内部側(冷媒側)である。この厚さ方向の長さが、ハウジング141及び壁部144の厚さを相対的に表している。また、各図は、ハウジング141及び壁部144の厚さ方向の各位置における電位と、腐食環境におかれた時間との推移を図示している。図3及び図4は、同一の寿命時間としようとした場合の、壁部144を備える構成におけるハウジング141及び壁部144の厚さ(図3)と、壁部144を備えない構成におけるハウジング141の厚さ(図4)とを模式的に表したものである。
図3及び図4に示すように、ハウジング141の腐食負荷が高い部位に壁部144を設けると、壁部144の厚さが増える分だけハウジング141の厚さを縮小できる。これにより、上述のように、ハウジング141の腐食負荷が低い他の部位では、ハウジング141の板厚を薄型化することが可能となる。
さらに、壁部144を設けることにより、壁部144がハウジング141の三層目の役割を果たし、実質的にハウジング141が三層構造になる。これにより、ハウジング141の芯材層と壁部144との間の電位差で芯材を優先腐食させ、貫通時間(全体寿命)を稼ぐことができる。この結果、図3及び図4に示すように、同一の寿命時間を実現しようとする場合には、本実施形態の構成は、壁部144が無い場合の二層構造に比べて、ハウジング141と壁部144とを合わせた全体の厚さも薄型化できる。
次に、図5を参照して、インナフィン143の壁部144を設けるハウジング141の部位を、風流れ方向の風上側のハウジング141の端部(コア前面)から風流れ方向に沿った長さDが9mm以内の範囲に設定することの根拠について説明する。この条件は、市場回収品の熱交換器1を観察した結果、導出したものである。
観察に用いた市場回収品の熱交換器1は、標準的なサイズのものであり、風上側チューブ14の積層方向の間隙16の幅Wは、4〜6mmの範囲内であり、また、間隙16に配置されるフィン15に関して、冷媒の流通方向(高さ方向)に沿ったピッチPは、2〜4mmの範囲内である。これらの幅W及びピッチPの範囲は、本実施形態において壁部144を設けるハウジング141の部位の長さを設定する際の前提条件と同一である。
観察の手法についてより詳細に説明する。市場回収品の熱交換器1の風上側チューブ14を観察して、その表面に形成されている所定深さ以上の腐食孔を検出し、コア前面からの距離(図2に示す長さDに相当)を計測した。そして、検出した腐食孔の数を、コア前面からの距離に応じた5つの領域(0〜3mm、3〜6mm、6〜9mm、9〜12mm、12mm以上)に分類して、各領域で検出された腐食孔の数を積算した。その結果、図5に棒グラフで示すように、コア前面からの距離が0〜9mmの領域が、検出された腐食孔の存在比率の9割を占めている。
このように、図5に示す市場回収品の観察結果により、風上側チューブ14の積層方向の間隙16の幅Wが4〜6mmであり、間隙16に配置されるフィン15に関して冷媒の流通方向に沿ったピッチPが2〜4mmである場合に、インナフィン143の壁部144を設けるハウジング141の部位を、コア前面から風流れ方向に沿った長さDが9mm以内の範囲に設定すれば、大半の腐食孔が形成される部位に壁部144を設けることができるので、風上側チューブ14及び熱交換器1の耐食性を向上できることが示された。
[変形例]
図6〜図10を参照して上記実施形態の変形例を説明する。本実施形態に係る風上側チューブ14(熱交換器用チューブ)の構成は、図2に示して説明した上記実施形態のものに限られない。例えば、風上側チューブ14のハウジング141の構造を図6〜図9のように別形態とすることができる。図6に示すチューブ14Aでは、ハウジング141Aは、2つの扁平状の部材を積層方向に対向配置され、風流れ方向の両端部に設けられた接合部142A,142Aにて接合されている。図6のチューブ14Aの構成は、一般に「積層タイプ」とも呼ばれる。
図7に示すチューブ14Bは、図2に示す上記実施形態と接合部142Bの態様が異なる。接合部142Bは、チューブ14Bの風流れ方向の風下側に設けられ、ハウジング141Bを構成する薄板の両端部を重畳させ、この重畳部分にて接合されている。図8に示すチューブ14Cは、接合部142Cがチューブ14Cのハウジング141Cの風流れ方向の風上側に設けられる点で、図7のチューブ14Bと異なる。
また、風上側チューブ14のインナフィン143の壁部144の構造を、図9及び図10のように別形態とすることもできる。図9に示すチューブ14Dでは、インナフィン143Dは、風流れ方向の風下側端部から風上側端部まで波形状に形成される。壁部144Dは、インナフィン143を形成する薄板の風上側の端部において、ハウジング141のコア前面近傍の内面のみに形成される。図10に示すチューブ14Eでは、ハウジング141の風上側の壁部144Eを設ける部分において、インナフィン143Eの波型の頂部を風流れ方向に拡張させてハウジング141の内面と面接触させる形状とする。さらに、これらの拡張頂部を隙間なく連続的に配置することにより壁部144Eが構成される。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
上記実施形態では、壁部144を設ける部位を風上側チューブ14の風上側の端部近傍とする構成を例示したが、壁部144はハウジング141の腐食負荷が高い部位であればよく、熱交換器1の設置条件などの諸条件によっては、他の部位に壁部144を設ける構成としてもよいし、風下側チューブ24に壁部144を設ける構成とすることもできる。
また、上記実施形態では、風上側チューブ14のハウジング141が犠牲層と芯材層の二層構造である構成を例示したが、ハウジング141はこの構成に限らず三層以上の多層構造でもよい。また、ハウジング141は単層構造でもよい。
1:熱交換器
14,14A,14B,14C,14D,14E:風上側チューブ(熱交換器用チューブ)
141,141A,141B,141C:ハウジング
143,143D,143E:インナフィン
144,144D,144E:壁部
15:フィン
16:間隙
W:間隙の幅
P:フィンのピッチ
D:風上側のハウジングの端部から風流れ方向に沿った長さ

Claims (5)

  1. 熱交換器用チューブ(14,14A,14B,14C,14D,14E)であって、
    内部に冷媒を流通するハウジング(141,141A,141B,141C)と、
    前記ハウジングの内部に収容され、前記冷媒の流通方向と直交する断面で視たときに前記冷媒が流通する流路を複数に区切るよう形成されるインナフィン(143,143D,143E)と、を備え、
    前記インナフィンの材料は、前記ハウジングの材料より電位的に貴であり、
    前記インナフィンは、前記ハウジングの腐食負荷が高い部位において、前記ハウジングの内面全体と密着するよう形成される壁部(144,144D,144E)を有する、
    熱交換器用チューブ。
  2. 当該熱交換器用チューブの複数が積層配置され、当該熱交換器用チューブの内部を流れる冷媒と、複数の当該熱交換器用チューブの間隙(16)を流れる流体との間で熱交換を行う熱交換器(1)に適用され、
    前記インナフィンの前記壁部は、前記流体の流れ方向の風上側に配置される前記ハウジングの部位において、前記ハウジングの内壁面全体と密着するよう形成される、
    請求項1に記載の熱交換器用チューブ。
  3. 前記インナフィンの前記壁部は、複数の当該熱交換器用チューブの積層方向の前記間隙の幅(W)が4〜6mmであり、前記間隙に配置されるフィン(15)に関して前記冷媒の流通方向に沿ったピッチ(P)が2〜4mmである場合に、前記流体の流れ方向の風上側の前記ハウジングの端部から前記流れ方向に沿った長さ(D)が9mm以内の部位において、前記ハウジングの内壁面全体と密着するよう形成される、
    請求項2に記載の熱交換器用チューブ。
  4. 前記ハウジングが多層構造であり、
    前記多層構造の材料は、外部側から内部側に向けて電位的に卑から貴となる材料である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブを備える熱交換器(1)。
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