JP4122670B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部流体の流れる内部流体通路を構成するプレート状部材だけで構成される熱交換器に関するもので、例えば、車両空調用蒸発器に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱交換器、例えば、車両空調用蒸発器においては、2枚のプレートを最中状に接合して構成される断面偏平状のチューブ相互の間に、空気側の伝熱面積拡大のためにルーバ付きのコルゲートフィンを介在させている。ここで、コルゲートフィンを通過する空気流の高速化は過大な圧損増加を招くので、一般には、層流域となる比較的低い空気流速にて熱交換器を使用している。
【0003】
そこで、従来では、ルーバの先端効果を利用して境界層の厚さを薄くすることにより、空気側の熱伝達率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
空気側の熱伝達率向上のために、ルーバは近年、加工限界付近まで微細化されてきているので、コルゲートフィンの加工工数の増加を招いている。また、チューブを構成する2枚のプレートの間にコルゲートフィンを組付けることにより、組付性を悪化させている。従って、コルゲートフィンの存在が熱交換器のコスト低減、および小型化に対して大きな阻害要因となっている。
【0005】
そこで、本発明は上記点に鑑みて、コルゲートフィン等のフィンを必要とせず、内部流体通路を構成する伝熱プレートだけで必要伝熱性能を確保できる熱交換器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)に、それぞれ複数の突出部(14)を形成し、複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)を接合することにより突出部(14)の内側に内部流体の流れる内部流体通路(19、20)を構成し、
伝熱プレート(12a〜12c、12)に、突出部(14)の側面部から突出する小突起(14a)を形成し、伝熱プレート(12a〜12c、12)の小突起(14a)同志を当接させて、この小突起(14a)同志の当接部を接合し、
突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12、12)に対して隙間を介在して対向し、この隙間により伝熱プレート(12a〜12c、12、12)の外部側を流れる外部流体の通路を構成するとともに、突出部(14)が外部流体の流れの直進を妨げて乱れを起こさせる乱れ発生器として作用するようになっており、
さらに、複数の突出部(14)相互の間隔である突出部ピッチ(P1)を2〜20mmとしたことを特徴としている。
これによると、内部流体通路(19、20)を構成する突出部(14)それ自体が乱れ発生器として作用することにより外部流体側の熱伝達率を大幅に向上できるので、外部流体側にフィン部材を設けなくても、必要伝熱性能を確保することができる。
従って、内部流体通路を構成する突出部(14)を持つ伝熱プレート(12a〜12c、12、12)だけで熱交換器を構成でき、熱交換器の大幅なコスト低減および小型化を達成できる。
しかも、薄肉のフィン部材を介在せず、伝熱プレート(12a〜12c、12、12)同志の接合で熱交換器を構成できるため、熱交換器の耐圧強度を向上できる。そのため、伝熱プレート(12a〜12c、12、12)の薄肉化が可能となり、熱交換器をより一層コスト低減、小型化できる。
また、請求項1記載の発明では、突出部(14)の側面部から突出する小突起(14a)同志を当接させて、この小突起(14a)同志の当接部を接合しているから、突出部(14)の凸面頂部と隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12、12)との間に空隙を介在する構成であっても、上記小突起(14a)同志の当接部に押圧力を加えた状態で接合(ろう付け)工程を実施することが可能となり、複数の伝熱プレート(12a〜12c、12、12)相互の接合面を良好に密着できるので、接合性を向上できる。
さらに、本発明者の検討によると、突出部ピッチ(P1)を2〜20mmの範囲に設定することにより、後述の図8に例示するように、熱交換器の伝熱性能を効果的に向上できることが分かった
【0012】
請求項記載の発明では、請求項1に記載の熱交換器において、内部流体通路(19、20)相互の間隔である通路ピッチ(P2)を1.4〜3.9mmとしたことを特徴としている。
【0013】
このように、請求項1に記載の熱交換器において、突出部ピッチ(P1 )=2〜20mmと通路ピッチ(P2 )=1.4〜3.9mmとの組み合わせにより、外部流体側の圧力損失を所定範囲に維持しながら、熱交換器の伝熱性能を効果的に向上できる。
【0014】
また、請求項記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器において、突出部ピッチ(P1 )=10〜20mmとし、通路ピッチ(P2 )=1.4〜2.3mmとしたことを特徴としている。
【0015】
このような範囲にP1 、P2 を設定することにより、熱交換器の伝熱性能をより一層効果的に向上できる。
【0016】
また、請求項記載の発明のように、請求項に記載の熱交換器において、突出部(14)の凸面頂部と隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)との隙間は、0.7〜1.95mmの範囲が伝熱性能確保のために好適である。
【0018】
また、請求項記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の熱交換器において、伝熱プレート(12a〜12c、12)の板厚(t)を0.1〜0.35mmとしたことを特徴としている。
【0019】
このような伝熱プレート薄肉化により、熱交換器の軽量化と、同一体格当たりの伝熱性能の向上とを達成できる。
【0022】
また、請求項記載の発明では、請求項1または4に記載の熱交換器において、伝熱プレート(12a〜12c、12)をアルミニウム合金のH材により成形することを特徴としている。
【0023】
ここで、アルミニウム合金のH材とは、「JIS H 0001」にて規定されているアルミニウム材料で、加工硬化により硬度を増した伸び率の小さい硬い材料である。
【0024】
前述のごとく本発明によると、フィン部材を介在せず、伝熱プレート(12a〜12c、12)同志の接合で熱交換器を構成できるため、従来のコルゲートフィン型の通常の熱交換器に比して、伝熱プレート(12a〜12c、12)に形成するタンク部(15〜18)の打ち出し高さを大幅に縮小できる。その結果、伝熱プレートの材料として伸び率の小さいアルミニウム合金のH材を使用できるようになり、これにより、伝熱プレートの薄肉化を一層促進できる。
【0025】
しかも、伝熱プレート成形時における伸びの小さいH材を使用することにより、H材表面にクラッドされたろう材のエロージョン(侵食)を低減でき、伝熱プレートの耐食性を向上できる。
【0026】
請求項記載の発明のように、請求項1、4、6のいずれか1つに記載の熱交換器において、複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)は、具体的には、互いに当接して接合される基板部(13)を有し、突出部(14)を基板部(13)から外方へ突出する形態とすることができる。
【0027】
より具体的には、請求項記載の発明のように、請求項7に記載の熱交換器において、突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)により構成される凹面部に位置して、突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)の凹面部に対して所定間隔で対向する形態とすることができる。
【0028】
これによれば、凹凸形状の繰り返しにより、同一形状の伝熱プレート(12a〜12c、12)の組み合わせで、かつ、比較低小さい容積(体格)で熱交換器を構成できる。
【0029】
更に、具体的には、請求項記載の発明のように、請求項7または8に記載の熱交換器において、伝熱プレート(12a〜12c、12)は2枚1組として、それぞれの突出部(14)が互いに外側に向くようにして、2枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)同志を当接させて接合することにより、内部流体通路(19、20)を一方の伝熱プレート(12a〜12c、12)の突出部(14)の内側面と他方の伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)との間に構成できる。
【0030】
また、請求項10記載の発明のように、請求項9に記載の熱交換器において、具体的には、内部流体通路(19、20)を構成する2枚1組の伝熱プレート(12a〜12c、12)を複数組積層して接合する形態とすることができる。
【0031】
また、請求項11記載の発明のように、請求項10に記載の熱交換器において、伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、内部流体の流れ方向の両端部に、連通穴(15a〜18a)を有するタンク部(15〜18)を形成し、複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に形成される内部流体通路(19、20)相互の間をタンク部(15〜18)により連結する形態とすることができる。
【0032】
また、請求項12記載の発明のように、請求項11に記載の熱交換器において、内部流体通路(19、20)を、伝熱プレート(12a〜12c、12)の外部流体の流れ方向(A)の前後に2つ独立に形成し、タンク部(15〜18)を、2つの独立した内部流体通路(19、20)にそれぞれ対応して、伝熱プレート(12a〜12c、12)の両端部に2個づつ形成してもよい。
【0033】
また、請求項13記載の発明では、請求項10に記載の熱交換器において、伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、内部流体の流れ方向の一端部のみに、連通穴(16a、18a)を有するタンク部(16、18)を外部流体の流れ方向の前後に2つ独立に形成し、
複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に形成される内部流体通路(19、20)相互の間をタンク部(15〜18)により連結するとともに、
伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、内部流体の流れ方向の他端部において、内部流体の流れをUターンさせるUターン部(D)を形成したことを特徴としている。
【0034】
これによると、タンク部(16、18)が伝熱プレート(12a〜12c、12)の一端部のみに形成され、他端部ではほぼ全域に突出部(14)を形成して伝熱面積とすることができるので、タンク部を両端部に設ける場合に比してタンク部によるデッドスペースを半減でき、熱交換器をより一層小型化できる。
【0035】
また、前述のごとく本発明では、伝熱プレート(12a〜12c、12)だけで熱交換器を構成できるため、請求項14に記載のように伝熱プレート(12a〜12c、12)の複数組の積層形状(熱交換用コア部(11)の形状)を、直方体状から外部へ突出した伝熱拡大部(11′)を有する形状にすることができる。
このような伝熱拡大部(11′)の付加により熱交換用コア部(11)の容積を拡大できるので、熱交換器の性能向上を図ることができる。特に、上記伝熱拡大部(11′)は空調ケース(101)内の余剰空間を利用して形成できるので、実用上極めて有利である。
【0036】
請求項15記載の発明のように、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の熱交換器において、突出部(14)は、伝熱プレート(12a〜12c、12)の外部側を流れる外部流体の流れ方向(A)に対して略直交する方向に連続して延びるように形成することができる。
【0037】
これによると、蒸発器のような空気冷却器として用いる際に、突出部(14)を上下方向に延びるように配置することにより、伝熱プレート(12a〜12c、12)の凸面頂部に発生する凝縮水を突出部(14)の凸面頂部に沿って下方へスムースに排出できる。従って、凝縮水の排水性が向上して、凝縮水の滞留に起因する通風抵抗の増加を良好に抑制できる。
【0038】
なお、本発明における突出部(14)は請求項16に記載のように外部流体の直進を妨げるように配置された多数の独立した細長の突出形状とすることができる。
【0039】
さらに、この細長の突出部(14)は、請求項17に記載のように外部流体の流れ方向に対して斜めに交差するように配置したり、あるいは、請求項18に記載のように外部流体の流れ方向に対して直交状に配置したり、あるいは、請求項19に記載のように外部流体の流れ方向に対して直交状に配置されたものと、外部流体の流れ方向に対して平行に配置されたものとの組み合わせから構成することができる。
【0046】
請求項20記載のように本発明は、内部流体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、外部流体として空調用の空気が流れる空調用蒸発器において好適に実施できる。
【0047】
請求項21記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器からなり、内部流体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、外部流体として空調用の空気が流れる空調用蒸発器であって、
複数の突出部(14)相互の間隔である突出部ピッチ(P1)を2〜15mmとしたこことを特徴としている。
【0048】
本発明者の検討によると、空調用蒸発器において、突出部ピッチ(P1 )を2〜15mmの範囲に設定することにより、後述の図40に例示するように、空調用蒸発器の最大性能近傍の性能を効果的に発揮できることが分かった。
【0049】
本発明において、伝熱プレートの数に関係する「複数枚」、「2枚」、「複数組」といった表現は、後述の図6等の断面図にプレート状断面形状として表れるプレート積層方向での伝熱プレート(プレート状部材)が複数(2枚)であることを意味している。そして、これらの複数の伝熱プレートは、個々に完全に切り離して成形できることはもちろんのこと、折り曲げ等による連結部により一体に連結して成形することもできる。
【0050】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0052】
(第1実施形態)
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示すもので、本発明を車両空調用蒸発器10に適用した例を示している。図1は冷媒出入口側における伝熱プレート構成を示す分解斜視図で、図2は蒸発器全体の冷媒通路構成を示す分解斜視図である。
【0053】
蒸発器10は、空調用空気の流れ方向Aと、伝熱プレート部での冷媒流れ方向B(図2に示す上下方向)とが略直交する直交流熱交換器として構成されている。この蒸発器10は、空調用空気(外部流体)と冷媒(内部流体)との熱交換を行うコア部11を、多数枚の伝熱プレート12a、12b、12cを積層するだけで構成している。
【0054】
本第1実施形態においては、図3に示す第1伝熱プレート12aと図4に示す第2伝熱プレート12bとの組み合わせ領域X、および第1伝熱プレート12aと図5に示す第3伝熱プレート12cとの組み合わせ領域Yにより、コア部11を構成している。
【0055】
そして、各伝熱プレート12a、12b、12cは、A3000系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなるもので、板厚t=0.1〜0.4mm程度の薄板をプレス成形したものである。この伝熱プレート12a、12b、12cは図3〜5に示すような概略長方形の平面形状を有し、その外形寸法はいずれも同一であり、長辺方向の長さは例えば、245mmで、短辺方向の幅は例えば、45mmである。
【0056】
伝熱プレート12a、12b、12cの打ち出し形状は基本的には同一形状でよいが、その具体的な形状は、冷媒通路成立、蒸発器の組付性、ろう付け性、凝縮水の排水性等の理由から異なっている。
【0057】
図3〜5において、各伝熱プレート12a、12b、12cは平坦な基板部13から紙面裏側へ突出部(リブ)14を打ち出し成形している。この突出部14は、冷凍サイクルの減圧手段(膨張弁等)を通過した後の低圧側冷媒が流れる冷媒通路(内部流体通路)19、20を構成するものであって、伝熱プレート12の長手方向(換言すると空気流れ方向Aと略直交方向)に連続して平行に延びる形状である。また、突出部14の断面形状は、図6(c)に示すよう略台形状である。
【0058】
この突出部14の打ち出し数は、図3の第1伝熱プレート12aでは6本であり、図4の第2伝熱プレート12bでは4本であり、図5の第3伝熱プレート12cでは4本である。
【0059】
さらに、第2、第3伝熱プレート12b、12cには、内部洩れ検知用の突出部(リブ)140を幅方向の中央部に形成している。この突出部140も上記突出部14と基本的には同じ形態で打ち出し成形されるが、内部洩れ検知を目的としているため、第2伝熱プレート12bではプレート長手方向の両端部140a、140bにて突出部140の内部を熱交換器外部へ開放している。
【0060】
これに対して、第3伝熱プレート12cの突出部140はプレート長手方向の上端(一端)部140aのみで熱交換器外部へ開放し、下端(他端)部140bは後述するタンク部手前の位置にて閉塞端を形成している。
【0061】
なお、上記の突出部14、140はいずれも同一の打ち出し高さh(図6(c))である。
【0062】
そして、上記のように、第1伝熱プレート12aでは打ち出し数を6本とし、第2、第3伝熱プレート12b、12cでは、突出部14と突出部140の合計数を5本として、第1伝熱プレート12aと第2、第3伝熱プレート12b、12cとで打ち出し数を異ならせているから、図6(c)に示すように、第1伝熱プレート12aと第2伝熱プレート12bとを互いの突出部14、突出部140が外側に向くように向かい合わせて、互いの基板部13同志を当接すると、第1伝熱プレート12aの突出部14の中間に、第2伝熱プレート12bの突出部14、突出部140が位置する。
【0063】
同様に、第1伝熱プレート12aと第3伝熱プレート12cとを互いの突出部14、突出部140が外側に向くように向かい合わせて、互いの基板部13同志を当接すると、第1伝熱プレート12aの突出部14の中間に、第3伝熱プレート12cの突出部14、突出部140が位置する。
【0064】
そして、2枚の伝熱プレート12aと12bまたは12aと12cの基板部13同志を当接させ接合すると、一方の伝熱プレートの各突出部14、140の内面側は相手側の伝熱プレートの基板部13により密封されるので、各突出部14の内面側と相手側の伝熱プレートの基板部13との間に通路を形成することができる。
【0065】
すなわち、各伝熱プレート12a〜12cの幅方向において、中央部(内部洩れ検知用突出部140の位置)より風上側に位置する突出部14の内側には、風上側の冷媒通路20を形成し、各伝熱プレート12a〜12cの幅方向において、中央部より風下側に位置する突出部14の内側には、風下側の冷媒通路19を形成する。また、中央部の突出部140の内側には内部洩れ検知用通路141を形成する。
【0066】
風上側の冷媒通路20と風下側の冷媒通路19は、図6に示すように、第1伝熱プレート12aと第2伝熱プレート12bとの間、および第1伝熱プレート12aと第3伝熱プレート12cとの間にそれぞれ、5個づつ並列に形成されている。
【0067】
一方、伝熱プレート12a〜12cのうち、空気流れ方向Aと直交する方向(伝熱プレート長手方向)Bの両端部に、それぞれ伝熱プレート幅方向(空気流れ方向A)に分割されたタンク部15〜18が2個づつ形成してある。このタンク部15〜18は各伝熱プレート12a〜12cにおいて、突出部14、140と同一方向(図3〜5の紙面裏側)に打ち出されるもので、その打ち出し高さは突出部14、140と同一高さh(図7)である。
【0068】
このように、タンク部15〜18を突出部14と同一方向に打ち出すとともに、突出部14の長手方向の両端部において、打ち出しによる凹形状がタンク部15〜18の打ち出し凹形状に連続するようにしてあるので、風上側の冷媒通路20の両端部は風上側のタンク部17、18に連通し、また、風下側の冷媒通路19の両端部は風下側のタンク部15、16に連通する。
【0069】
また、伝熱プレート上端のタンク部15と17、および伝熱プレート下端のタンク部16と18は、伝熱プレート幅方向に2分割されているため、各タンク部15〜18の打ち出し形状は図3〜図5の図示例では、略D字状にしてある。しかし、図1、2の図示例のように、各タンク部15〜18を略長円状に形成してもよい。
【0070】
各タンク部15〜18の中央部には連通穴15a〜18aが開口している。この連通穴15a〜18aにより図1、2に示す左右方向(伝熱プレート積層方向)において、隣接する伝熱プレート相互間でタンク部15〜18同志の流路を連通させる。
【0071】
すなわち、図7に示すように、隣接する各タンク部15〜18の打ち出し頂部は互いに当接して接合されることにより、連通穴15a〜18a相互の連通がなされる。
【0072】
なお、図5に示す第3伝熱プレート12cでは、内部洩れ検知用突出部140の下端(他端)部140bを前述のごとくタンク部16、18の手前の位置で終了させてここで閉塞し、突出部140に代えて、タンク部16と18とを直接連通するための連通路120を形成している。この連通路120は、タンク部16と18の中間部位をタンク部16、18と同一方向に打ち出すことにより形成できる。
【0073】
また、図3〜5に示すように、第1〜第3伝熱プレート12a〜12cのいずれにおいても、風上側のタンク部17、18に比して風下側のタンク部15、16の高さを所定寸法Lだけ小さくしている。これは、後述するようにコア部11において風上側の領域に比して風下側の領域における通風面積を拡大するためである。
【0074】
また、各伝熱プレート12a〜12cの各突出部14の側面部から伝熱プレート幅方向(空気流れ方向A)へ突出する小突起14aを形成している。この小突起14aは、各突出部14の長手方向において同一位置にて多数個設けている。
【0075】
そして、本実施形態では、第2、第3伝熱プレート12b、12cの各突出部14の多数個の小突起14aを伝熱プレート幅方向に対しては1個づつ逆方向に突出させており、第1伝熱プレート12aの各突出部14の多数個の小突起14aは、伝熱プレート幅方向に対して、第2、第3伝熱プレート12b、12cの小突起14aと同一方向となるように突出している。
【0076】
このため、隣接する2枚の伝熱プレート12a、12bまたは12a、12cの小突起14a同志を当接させ、この小突起14a同志の当接部に伝熱プレート積層方向の押圧力が作用した状態で、伝熱プレート12a〜12c相互を接合することができる。
【0077】
これに反し、小突起14aを形成しない場合は、各伝熱プレート12a〜12cの長手方向において、両端のタンク部15〜18の打ち出し頂部が当接するのみで、長手方向の中間部位(冷媒通路19、20の形成部位)では図6(c)に示すような当接部の全然ない状態が連続することになる。しかし、本実施形態によると、小突起14aの形成により、図6(a)、(b)に示すように、長手方向の中間部位でも小突起14a同志の当接部を形成できる。
【0078】
これにより、伝熱プレート12のうち、長手方向両端のタンク部15〜18を除く中間部位(冷媒通路19、20の形成部位)でも、上記押圧力を作用させて伝熱プレート12の基板部13同志を全面的に確実に当接させて、この基板部13同志の当接面を良好にろう付けすることができる。よって、ろう付け不良による冷媒通路19、20からの冷媒洩れを防止できる。
【0079】
ところで、各伝熱プレート12a〜12cの幅方向(空気流れ方向A)において、複数の突出部14、および第2、第3伝熱プレート12b、12cの内部洩れ検知用の突出部140は図6(c)に示すように、互いに隣接する各伝熱プレート12a〜12cの突出部14、140と形成位置がずれており、これにより、各突出部14、140を隣接する各伝熱プレート12a〜12cの基板部13により形成される凹面部に位置させることがきる。
【0080】
その結果、各突出部14、140の凸面側の頂部と隣接する他の伝熱プレート12a〜12cの基板部13の凹面部との間に必ず隙間が形成される。この隙間は突出部14の打ち出し高さhからプレート板厚分を引いた大きさの隙間であって、この隙間により、伝熱プレート幅方向(空気流れ方向A)の全長にわたって矢印A1 のごとく波状に蛇行した空気通路が連続して形成される。
【0081】
従って、矢印A方向に送風される空調空気は、上記空気通路を矢印A1 のごとく波状に蛇行しながら2枚の伝熱プレート12a、12bまたは12a、12cの間を通り抜けることができる。
【0082】
次に、コア部11に対する冷媒の入出を行う部分について説明すると、図1、図2に示すように、伝熱プレート積層方向の両端側には、伝熱プレート12a〜12cと同一の大きさを持ったエンドプレート21、22が配設されている。このエンドプレート21、22はいずれも伝熱プレート12aの突出部14およびタンク部15〜18の凸面側に当接して伝熱プレート12aと接合される平坦な板形状になっている。
【0083】
図1、2の左側のエンドプレート21には、その下端部近傍位置に冷媒入口穴21aおよび冷媒出口穴21bが開けられ、この冷媒入口穴21aは伝熱プレート12aの下端部の風下側タンク部16の連通穴16aと連通し、また、冷媒出口穴21bは伝熱プレート12aの下端部の風上側タンク部18の連通穴18aと連通する。また、エンドプレート21の冷媒入口穴21aおよび冷媒出口穴21bにはそれぞれ冷媒入口パイプ23、冷媒出口パイプ24が接合される。
【0084】
一方のエンドプレート21は、冷媒入口、出口パイプ23、24との接合のために、伝熱プレート12a〜12cと同様にA3000系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなる。他方のエンドプレート22は、A3000系のアルミニウム芯材の片面(伝熱プレート12aと接合される側の面)のみにA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした片面クラッド材からなる。また、両エンドプレート21、22は、伝熱プレート12に比して板厚tを厚く(例えば、板厚t=1.0mm程度)して強度向上を図っている。
【0085】
上記冷媒入口パイプ23には、図示しない膨張弁等の減圧手段で減圧された気液2相冷媒が流入し、冷媒出口パイプ24は図示しない圧縮機吸入側に接続され、蒸発器10で蒸発したガス冷媒を圧縮機吸入側に導くものである。
【0086】
各伝熱プレート12a〜12cにおいて、風下側の冷媒通路19は、冷媒入口パイプ23からの冷媒が流入するため、蒸発器全体の冷媒通路の中で、入口側冷媒通路を構成し、風上側の冷媒通路20は、風下側(入口側)の冷媒通路19を通過した冷媒が流入し、冷媒出口パイプ24へと冷媒を流出させるため、出口側冷媒通路を構成することになる。
【0087】
次に、蒸発器10全体としての冷媒通路を図2により説明すると、まず、図1、2の左右方向(伝熱プレート積層方向)において、一方のエンドプレート21側の半分領域Xでは、2枚の伝熱プレート12aと12bを1組として多数組積層し、また、他方のエンドプレート22側の半分領域Yでは、2枚の伝熱プレート12aと12cを1組として多数組積層し、各伝熱プレート間を接合することによりコア部11を構成している。
【0088】
そして、蒸発器10の上下両端部に位置するタンク部15〜18のうち、風下側のタンク部15、16が冷媒入口側タンク部を構成し、また、風上側のタンク部17、18が冷媒出口側タンク部を構成している。風下側の下側の冷媒入口側タンク部16は、伝熱プレート12の積層方向の中間位置(領域Xと領域Yの境界部)に配設した仕切り部27により、図2左側流路(領域X側の流路)と図2右側流路(領域Y側の流路)とに仕切られている。
【0089】
同様に、風上側の下側の冷媒出口側タンク部18も、同様に中間位置に配設した仕切り部28により、図2左側流路(領域X側の流路)と図2右側流路(領域Y側の流路)とに仕切られている。これらの仕切り部27、28は、前述した伝熱プレート12a〜12cのうち、該当部位に位置する伝熱プレートのみ、そのタンク部15、18の連通穴15a、18a部分を閉塞した盲蓋形状のものを使用することにより簡単に構成できる。
【0090】
本実施形態の蒸発器10によると、膨張弁で減圧された低圧の気液2相冷媒が冷媒入口パイプ23から矢印aのように風下側の下側の入口側タンク部16に入る。この入口側タンク部16の流路は仕切り部27より左右の領域XとYに分断されているので、冷媒は入口側タンク部16の左側領域Xの流路のみに入る。
【0091】
そして、冷媒は図2の左側領域Xにおいて、伝熱プレート12a、12bの風下側突出部14により形成される冷媒通路19を矢印bのように上昇して上側の入口側タンク部15に入る。次に、冷媒は上側の入口側タンク部15を矢印cのように図2の右側領域Yに移行して、伝熱プレート12a、12cの風下側突出部14により形成される冷媒通路19を矢印dのように下降して下側の入口側タンク部16の右側領域Yの流路に入る。
【0092】
ここで、右側領域Yに組み込まれている第3伝熱プレート12cの下側のタンク部16と18の中間位置には、この両タンク部16、18を直接連通するための連通路120が形成されているので、タンク部16の右側領域Yの冷媒は、次に、この連通路120を通って矢印eのように風上側の出口側タンク部18に入る。
【0093】
ここで、この出口側タンク部18の流路は仕切り部28より左右の領域XとYに分断されているので、冷媒は出口側タンク部18の右側領域Yの流路のみに入る。次に、冷媒はこのタンク部18の右側領域Yにおいて、伝熱プレート12a、12cの風上側突出部14により形成される冷媒通路20を矢印fのように上昇して上側の出口側タンク部17の右側領域Yに入る。
【0094】
この右側領域Yから冷媒は上側の出口側タンク部17を矢印gのように図2の左側領域Xに移行し、その後、伝熱プレート12a、12bの風上側突出部14により形成される冷媒通路20を矢印hのように下降して下側の出口側タンク部18の左側領域Xの流路に入る。この出口側タンク部18を冷媒は矢印iのように左側へ流れて、冷媒出口パイプ24から蒸発器外部へ流出する。
【0095】
本実施形態では蒸発器10の冷媒通路が以上のように構成されており、図1、2に示す各構成部品を相互に当接した状態に積層して、その積層状態(組付状態)を適宜の治具により保持してろう付け加熱炉内に搬入して、組付体をろう材の融点まで加熱することにより組付体を一体ろう付けする。これにより、蒸発器10の組付を完了できる。
【0096】
この一体ろう付けにおいて、伝熱プレート12a〜12cの長手方向の接合面において、隣接する2枚の伝熱プレート12a、12bまたは12a、12cの小突起14a同志を当接(図6(a)、(b)参照)させ、この小突起14a同志の当接部に伝熱プレート積層方向の押圧力を上記治具により作用させた状態で、伝熱プレート12a〜12c相互を接合することができる。
【0097】
これにより、伝熱プレート12a〜12cのうち、長手方向両端のタンク部15〜18を除く中間部位(冷媒通路19、20の形成部位)でも、上記押圧力を作用させて伝熱プレート12a〜12cの基板部13同志を全面的に確実に当接させて、この基板部13同志の当接面を良好にろう付けすることができ、ろう付け不良による冷媒通路19、20からの冷媒洩れを防止できる。
【0098】
ところで、冷媒洩れによる製品不良を発見するために、蒸発器10の冷媒洩れ検査を行うのであるが、この検査は例えば、ろう付け後の蒸発器10を密閉室内に搬入し、冷媒入口パイプ23と冷媒出口パイプ24の一方を適宜の盲蓋で閉塞し、他方のパイプから洩れ検査流体(例えば、ヘリウムガス)を所定圧力に加圧して蒸発器10内冷媒通路に供給することにより、蒸発器10外への流体洩れ(密閉室内への流体洩れ)の有無を検査する。
【0099】
このとき、検査対象の蒸発器10において、伝熱プレート12a〜12c相互の基板部13間の接合面のうち、外周部の接合面に万一ろう付け不良があるときは、この外周部の接合不良箇所から検査流体が直接外部へ洩れ出るので、外周部の接合不良は簡単に検知できる。
【0100】
一方、伝熱プレート12a〜12c相互の基板部13のうち、幅方向の中央部に位置する基板部13の接合面に接合不良が生じると、風下側の入口側冷媒通路19と風上側の出口側冷媒通路20との間が直接連通する内部洩れの状態が発生する。ところが、この内部洩れの状態が発生しただけでは、検査流体の外部への洩れが発生しない。
【0101】
そこで、本実施形態においては、第1伝熱プレート12aと組み合わせる第2、第3伝熱プレート12b、12c側において、基板部13の幅方向の中央部に内部洩れ検知用の突出部140を形成し、この突出部140内側の内部洩れ検知用通路141を第2伝熱プレート12bではプレート長手方向の両端部140a、140bにて外部へ開放している。また、第3伝熱プレート12cでは突出部140内側の内部洩れ検知用通路141を上端部140aにて外部へ開放している。
【0102】
このため、上記内部洩れの状態が発生すると、突出部140内側の内部洩れ検知用通路141を通過して検査流体が外部へ洩れ出るので、内部洩れも簡単に検知できる。
【0103】
次に、本実施形態の蒸発器10の作用を説明すると、蒸発器10は図示しない空調ユニットケース内に図1、2の上下方向を上下にして収容され、図示しない空調用送風機の作動により矢印A方向に空気が送風される。
【0104】
そして、冷凍サイクルの圧縮機が作動すると、図示しない膨張弁により減圧された低圧側の気液2相冷媒が前述した図2の矢印a〜iの通路構成に従って流れる。一方、コア部11の伝熱プレート12a〜12cの外面側に凸状に突出している突出部14、140と基板部13の間に形成される隙間により、伝熱プレート幅方向(空気流れ方向A)の全長にわたって図6(c)の矢印A1 のごとく波状に蛇行した空気通路が連続して形成されている。
【0105】
その結果、矢印A方向に送風される空調空気は、上記空気通路を矢印A1 のごとく波状に蛇行しながら2枚の伝熱プレート12aと12bの間または12aと12cの間を通り抜けることができ、この空気の流れから冷媒は蒸発潜熱を吸熱して蒸発するので、空調空気は冷却され、冷風となる。
【0106】
この際、空調空気の流れ方向Aに対して、風下側に入口側冷媒通路19を、また、風上側に出口側冷媒通路20を配置することにより、空気流れに対する冷媒出入口が対向流の関係となる。
【0107】
さらに、空気側においては、空気流れ方向Aが、伝熱プレート12a〜12cの突出部14、140の長手方向(冷媒通路19、20での冷媒流れ方向B)に対して直交する方向になっており、突出部14、140が空気流れと直交状に突出する凸面(伝熱面)を形成しているので、空気はこの直交状に延びる突出部14、140の凸面形状により直進を妨げられる。
【0108】
このため、空気流は伝熱プレート12a〜12c間の隙間を図6(c)の矢印A1 に示すように波状に蛇行した流れを形成して、その流れを乱すので、空気流が乱流状態となり、空気側の熱伝達率を飛躍的に向上することができる。ここで、コア部11が伝熱プレート12a〜12cのみで構成されているため、従来のフィン部材を備えている通常の蒸発器に比して、空気側の伝熱面積が大幅に減少するが、乱流状態の設定により空気側の熱伝達率が飛躍的に向上するため、空気側伝熱面積の減少を空気側熱伝達率の向上により補うことが可能となり、必要冷却性能を確保できるのである。
【0109】
また、本実施形態によると、右側領域Yに組み込まれている第3伝熱プレート12cの下側のタンク部16と18の中間位置に連通路120を形成して、この連通路120により両タンク部16、18間を直接連通しているので、エンドプレート22部分に冷媒通路を形成する必要がなく、エンドプレート22として単純な平板状のものを1枚用いるだけでよい。そのため、コア部11における伝熱プレート配置容積を拡大でき、その容積拡大に伴って伝熱性能を向上できる。
【0110】
次に、本実施形態における、蒸発器10の凝縮水の排水性について説明すると、蒸発器10は、図1、2に示すように伝熱プレート12a〜12cの長手方向が上下方向となるように配置されて実際に使用される。従って、蒸発器10の使用状態において、伝熱プレート12a〜12cの相互間に、その長手方向(上下方向)に延びる隙間(図6参照)を連続して形成できる。その結果、この上下方向に延びる隙間に沿って、伝熱プレート12a〜12cの表面に発生する凝縮水を下方側へスムースに落下させることができる。
【0111】
凝縮水の一部は送風空気の風圧により風下側へ移行する傾向にあるが、本実施形態によると、伝熱プレート12a〜12cのいずれにおいても、風上側のタンク部17、18に比して風下側のタンク部15、16の高さを所定寸法Lだけ小さくしている。これにより、コア部11において風上側の領域に比して風下側の領域における通風面積を拡大することができ、風下側の領域における空気流速を低下できる。
【0112】
そのため、凝縮水の一部が風下側へ移行しても、伝熱プレート12a〜12cの風下側端部から凝縮水が下流側へ飛散することを上記空気流速の低下により効果的に抑制できる。
【0113】
次に、本実施形態における熱交換器の具体的設計例と伝熱性能との関係を説明すると、図8は熱交換器伝熱性能の指標である「空気側熱伝達率αaと空気側伝熱面積Faとの積」を縦軸にとり、横軸には突出部ピッチP1 をとっている。ここで、突出部ピッチP1 は図6(c)に示すように複数の突出部14相互の間隔(空気流れ方向Aにおける突出部14間の間隔)である。また、図8中に示す通路ピッチP2 は図6(c)に示すように伝熱プレート積層方向における冷媒通路19、20相互の間隔(伝熱プレート間の間隔)である。
【0114】
図8に示すように、上記突出部ピッチP1 と上記通路ピッチP2 との組み合わせの変化により、伝熱性能(縦軸にとったαaとFaとの積)が変化する。ここで、突出部ピッチP1 と空気側熱伝達率αaとの関係は、P1 を小さくする程、αaが増大する関係にある。これは、P1 が減少すれば、突出部14の数を増加できるので、空気流れ方向Aにおいて、流れの乱れによる熱伝達の高い部位を増やすことができ、その結果、熱交換器全体としての空気側熱伝達率αaを向上できるのである。しかし、その一方でP1 を小さくする程、空気側の圧力損失が増大することになる。
【0115】
また、通路ピッチP2 については、P2 を小さくする程、同一の熱交換器体格(容積)における伝熱プレート積層枚数を増加できるので、空気側伝熱面積Faを増大できる。しかし、その一方でP2 を小さくする程、空気側の圧力損失が増大することになる。
【0116】
図8はコンピュータシュミレーションによる計算結果を示すもので、その前提として、熱交換器入口空気流速は2m/sであり、また、空気側の圧力損失=100Pa(一定)となるように、突出部ピッチP1 と通路ピッチP2 とを設定している。
【0117】
なお、伝熱プレート12a〜12cの板厚tは、内部流体(冷媒)圧力、耐食性、プレス加工の成形性、材質等に応じて決定されるものであって、一概には決定できないので、図8では板厚tをパラメータとして用いており、板厚tは0.1mm〜0.35mmの範囲で変化させている。
【0118】
図8の計算結果によれば、通路ピッチP2 =1.47mm〜3.82mmの範囲で変化させたときに、伝熱性能が最高となる突出部ピッチP1 が2.48mmから18.39mmに増加していくことが分かる。
【0119】
空気側の圧力損失=一定を前提条件とする場合に、通路ピッチP2 を大きくして突出部ピッチP1 を小さくするよりも、通路ピッチP2 を小さくして突出部ピッチP1 を大きくする方が伝熱性能向上のために有利であることがわかる。
【0120】
図8のデータから、突出部ピッチP1 については概略、2mm〜20mmの範囲に設定することにより、各種の通路ピッチP2 において伝熱性能を効果的に向上できることが分かる。また、通路ピッチP2 については概略、1.4mm〜3.9mmの範囲に設定することにより、空気側の圧力損失の増加を抑えつつ、伝熱性能を向上できることが分かる。また、空気通路を構成する伝熱プレート間の隙間は通路ピッチP2×1/2−板厚tであるから、略0.7mm〜1.95mmが好適な範囲となる。
【0121】
なお、従来の通常のコルゲートフィン型の熱交換器においては、チューブ間にコルゲートフィンを介在するため、チューブ端部のタンク部の高さ(図7のhに相当する寸法)が5mm以上必要となる。従って、従来の熱交換器では、チューブ用アルミニウム板材をプレス成形する際に、上記タンク部成形のために大きな伸びが必要であり、そのため、チューブ用アルミニウム板材として伸びの良い(柔らかい)O材を使用していた。
【0122】
ここで、アルミニウム合金のO材とは、「JIS H 0001」にて規定されているアルミニウム材料で、焼きなましにより最も柔らかい状態となった材料であり、H材に比してはるかに伸び率が大きい。
【0123】
しかし、この伸びの良いO材は、チューブ用アルミニウム板材表面にクラッドされたろう材のエロージョン(侵食)により、アルミニウム板材の芯材が部分的に薄くなって、耐食性が低下してしまうことが知られている。その結果、この耐食性低下を考慮して、従来では、チューブ用アルミニウム板材として板厚の厚い(例えば、0.6mm以上)のものを使用していた。
【0124】
ろう材のエロージョンを防止するには、アルミニウム板材として伸びの小さい硬い材料(H材)を使用すればよいが、H材を使用すると、プレス成形時の伸びが不足してタンク部に割れを発生するという問題が生じる。
【0125】
なお、アルミニウム合金のH材は、加工硬化により硬くして伸び率を小さくした材料であり、具体的には、「JIS H 0001」にて規定されているH1、H2、H3等があり、さらに、H112は展伸材であるため、展伸加工それ自体で加工硬化が生じるので、展伸加工後に加工硬化の工程を特別に実施する必要がない。
【0126】
本実施形態の熱交換器によると、コルゲートフィンを介在せず、伝熱プレート12a〜12cを積層するのみで構成できるため、タンク部15〜18の高さhは突出部14、140の高さhと同様に2mm以下とすることができ、このことから、伝熱プレート12a〜12cを構成するアルミニウム板材として、伸びの小さいH材を使用しても、タンク部15〜18の成形に必要なプレス成形時の伸びを確保できる。
【0127】
従って、H材を使用してもタンク部15〜18の割れを発生することなく、伝熱プレート12a〜12cを必要形状にプレス成形できる。そのため、伝熱プレート12a〜12cの板厚tを図8に示すように従来技術より大幅に薄肉化(t=0.1〜0.35mm)しても耐食性を確保でき、熱交換器の軽量化を達成できる。
【0128】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、第1〜第3伝熱プレート12a〜12cにおける突出部14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して略直交する方向に連続して延びるように形成しているが、突出部14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して斜め方向に延びるように形成した多数の独立した細長の突出形状で形成してもよい。
【0129】
第2実施形態は、図9〜図14に示すように突出部14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して所定角度θ(図10)により斜め方向に延びる多数の独立した細長の突出形状で形成して、この斜め方向の突出部14相互の重合部分にて、多数の突出部14の内部空間を相互に連通させて冷媒通路(内部通路)19、20を形成する。
【0130】
図11において、矢印B1 は風下側の冷媒通路19での冷媒流れを示し、矢印B2 は風上側の冷媒通路20での冷媒流れを示す。空気(外部流体)は、図11の矢印A2 に示すように、伝熱プレート12の平面方向(図11の上下方向)において蛇行するとともに、図13の矢印A1 に示すように伝熱プレート12の積層方向(図13の上下方向)においても蛇行する。
【0131】
なお、第2実施形態では、エンドプレート22の外側に凹形状のサイドプレート25を配置して、このサイドプレート25とエンドプレート22との間に冷媒通路26(図14)を形成し、この冷媒通路26によりエンドプレート22の連通穴22aと22bとの間を連通している。なお、第2実施形態における蒸発器全体の冷媒通路は図14に示す通りである。第2実施形態において、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一符号を付して、その他の説明は省略する。
【0132】
第2実施形態においても、突出部ピッチP1 (図10)および通路ピッチP2 (図12)と、伝熱性能との関係は第1実施形態と同様の関係があるので、図8に基づいて説明したP1 およびP2 の寸法範囲は第2実施形態に対しても同様に適用できる。
【0133】
(第3実施形態)
図15、16は第3実施形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応する図であり、第2実施形態では、伝熱プレート12において空気流れ方向Aの前後に設ける2列の突出部14の傾斜方向を同一方向としているが、第3実施形態ではこの2列の突出部14の傾斜方向を逆方向としている。他の点は第2実施形態と同じである。
【0134】
(第4実施形態)
図17、18は第4実施形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応する図であり、第2、3実施形態では、伝熱プレート12において空気流れ方向Aの前後に設ける2列の突出部14を空気流れ方向Aに対して所定角度θで傾斜させているが、第3実施形態では2列の突出部14を空気流れ方向Aに対して直交状に配置している。換言すると、細長の突出部14を伝熱プレート12の長手方向(冷媒流れ方向B)と平行に配置している。
【0135】
ここで、第4実施形態では、伝熱プレート12の長手方向(冷媒流れ方向B)と平行な細長の突出部14を千鳥状に配列することにより、凹面同志が接合される2枚1組の伝熱プレート12において、図18に示すように細長の突出部14相互間に部分的な重合部を設定して、冷媒通路19、20を構成する。従って、本例によると、冷媒通路19、20の全長にわたって冷媒は伝熱プレート12の長手方向と平行に流れる。
【0136】
(第5実施形態)
図19、20は第5実施形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応する図であり、第4実施形態の変形例である。すなわち、伝熱プレート12において空気流れ方向Aの前後に設ける2列の突出部14のうち、一方の突出部14を空気流れ方向Aに対して直交状に配置し、かつ他方の突出部14を空気流れ方向Aに対して平行に配置したものである。
【0137】
従って、本例によると、冷媒通路19、20内を冷媒は伝熱プレート12の長手方向および長手方向と直交する方向に交互に方向転換しながら流れる。
【0138】
(第6実施形態)
図21は第6実施形態を示すもので、第2実施形態を示す図9とは空調空気の流れ方向Aが逆方向となっている。第2実施形態では図9に示すように、左側のエンドプレート21に冷媒入口パイプ23および冷媒出口パイプ24を独立に接合しているが、第6実施形態ではこの冷媒入口パイプ23および冷媒出口パイプ24を1つの配管ジョイントブロック30にまとめて設けている。
【0139】
このために、第6実施形態では図21に示すように、左側のエンドプレート21にサイドプレート31を接合して、この両プレート21、31の間に配管ジョイントブロック30の冷媒出入口に通じる冷媒通路を構成している。この冷媒通路構成をより具体的に説明すると、エンドプレート21には、伝熱プレート12の下側の冷媒入口側タンク部15の連通穴15aと連通する連通穴21a、および上側の冷媒出口側タンク部18の連通穴18aと連通する連通穴21bが開けてある。
【0140】
サイドプレート31はエンドプレート21、22およひサイドプレート25と同様にA3000系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなるもので、伝熱プレート12に比して板厚tを厚く(例えば、板厚t=1.0mm程度)して強度向上を図っている。
【0141】
さらに、配管ジョイントブロック30は例えば、A6000系のアルミニウムベア材にて冷媒入口パイプ23および冷媒出口パイプ24を一体に成形したものであり、配管ジョイントブロック30は本例ではサイドプレート31の上部側に配置され接合される。
【0142】
そして、サイドプレート31のうち、配管ジョイントブロック30の部位から下方側にわたって突出部31aが外側へ打ち出し成形してあり、この突出部31aの上下両端部は1つに合流しているが、上下方向(プレート長手方向)の途中は複数(図示の例は3個)に分割して、サイドプレート31の断面係数を大きくし、強度アップを図っている。突出部31a内側の凹部により形成される冷媒通路の上端部は配管ジョイントブロック30の冷媒入口パイプ23と連通し、また、この冷媒通路の下端部はエンドプレート21の連通穴21aと連通する。
【0143】
サイドプレート31のうち、配管ジョイントブロック30の上方側には1つの突出部31bが外側へ打ち出し成形してある。この突出部31b内側の凹部により形成される冷媒通路は冷媒出口パイプ24とエンドプレート21の連通穴21bとを接続する。
【0144】
第6実施形態によると、冷媒入口パイプ23および冷媒出口パイプ24を1つの配管ジョイントブロック30にまとめて設けているから、蒸発器10と、外部の冷媒配管との配管の取り回しが良好となる。
【0145】
(第7実施形態)
図22〜図25は第7実施形態を示すもので、上記した第1〜第6実施形態では、いずれも、伝熱プレート12の長手方向の両端部にタンク部15〜18をそれぞれ2個づつ(合計4個)設けているが、このタンク部15〜18では、空気と冷媒との間の伝熱面積が極端に減少するので、タンク部15〜18は蒸発器10の冷却性能向上のために、ほとんど寄与しないデッドスペースとなる。
【0146】
そこで、第7実施形態では、伝熱プレート12の長手方向の一端部のみにタンク部16、18を設けて、他端側のタンク部15、17を廃止することにより、タンク部によるデッドスペースを半減して、蒸発器10の冷却性能を維持しつつ、蒸発器10の小型化を実現しようとするものである。
【0147】
すなわち、第7実施形態では、図22〜図24に示すように、伝熱プレート12の長手方向の一端部(上端部)のみにタンク部16、18を設けて、他端部(下端部)ではタンク部15、17を廃止し、その代わりに、他端部の縁近くまで突出部14を形成している。ここで、伝熱プレート12の他端部では、空気流れ方向A前後の2列の冷媒通路19、20のUターン部D(図25)を形成するように、突出部14を伝熱プレート12の空気流れ方向Aにおいて、空気流れ上流領域から下流領域の両方にわたって連続的に形成してある。
【0148】
これにより、図15、16の下端側領域Fにおいて、空気流れ方向A前後の2列の冷媒通路19、20のUターン部Dを構成できる。
【0149】
なお、第7実施形態において、突出部14による2列の冷媒通路19、20の形成は第2実施形態と同じであるので、説明は省略し、以下相違点のみを説明すると、第7実施形態では、伝熱プレート12の積層方向の一端側に位置するエンドプレート21に、冷媒出口パイプ24を接合し、伝熱プレート積層方向の他端側に位置するエンドプレート22に、冷媒入口パイプ23を接合している。
【0150】
そして、冷媒出口パイプ24は上側の空気上流側タンク部18の一端側に連通され、冷媒入口パイプ23は上側の空気上流側タンク部18の他端部に連通されている。従って、右側のエンドプレート22には、冷媒入口パイプ23と上側の空気上流側タンク部18とを連通する連通穴22cが開けてある。左側のエンドプレート21にも、図示しない同様の連通穴が開けてある。
【0151】
図25に示すように、上側の空気上流側タンク部18の途中位置に仕切り部27を配置することにより、空気流れ方向A前後でUターンする2列の冷媒通路19、20を構成できる。
【0152】
図24に示すように、伝熱プレート12の下端側領域Fにおける突出部14によって、空気流れ方向A前後の2列の冷媒通路19、20のUターン部Dを構成しているから、伝熱プレート12の下端側領域Fではその縁部近くまで空気流れの乱流による高熱伝達率の熱交換領域を構成できる。
【0153】
(第8実施形態)
図26は第8実施形態を示すもので、本発明による特徴、すなわち、冷媒(内部流体)通路19、20を構成する突出部14を持つ伝熱プレート12だけで熱交換器を構成でき、空気(外部流体)側にフィン部材を設ける必要がない点を有効活用して、蒸発器10の形態を通常の直方体状以外の異形状に形成するものである。
【0154】
図26は車両用空調ユニット100を示しており、空調ケース101内に冷房用熱交換器としての蒸発器10、および暖房用熱交換器としての温水熱源のヒータコア102を設置している。ヒータコア102を通過する温風Gとヒータコア102をバイパスする冷風Hとの割合をエアミックス用フィルムドア103により調整して、フェイス、デフロスタの吹出空気温度を調整する。
【0155】
また、フェイス吹出開口部104、デフロスタ吹出開口部105、およびフット吹出開口部106への空気流れを吹出モード用フィルムドア107により切り替えるようになっている。
【0156】
このような空調ユニット100において、蒸発器10の形態は、通常、図27に示すような直方体状になっている。これは、熱交換コア部11を構成する偏平チューブ11aとコルゲートフィン11bのうち、コルゲートフィン11bの外形が成形上の理由(薄肉コイル材を波状にローラ成形するという理由)から、図28に示す矩形状以外の形状にすることが困難であり、その結果、蒸発器10の形態も必然的にコルゲートフィン11bの矩形状に沿った直方体状になってしまうのである。
【0157】
しかるに、本発明によれば、コルゲートフィン11bのごときフィン部材を必要としないので、第8実施形態では、蒸発器10を空調ケース101内の余剰空間に沿った異形状とすることにより、空調ケース101内の空間を蒸発器10の性能向上のために最大限活用できる。
【0158】
この点を図26により具体的に説明すると、エアミックス用フィルムドア103の空気流れ上流側に大きな余剰空間が存在することに着目して、蒸発器10のコア部11を空気流れ下流側に向かって(エアミックス用フィルムドア103側に向かって)三角状に突出させている。11′はその三角状突出部で、伝熱拡大部を構成する。
【0159】
図27に示す従来の通常の蒸発器10であると、図26の破線Iで示す容積となってしまうが、第8実施形態によると、蒸発器10のコア部11の容積を三角状突出部11′の分だけ増大でき、蒸発器10の性能を向上できる。
【0160】
(第9実施形態)
図29、図30は第9実施形態を示すもので、蒸発器10の冷却除湿作用により発生する凝縮水の排水性を向上させるものである。
【0161】
本発明者らの実験検討によると、図9〜図14の第2実施形態においては、伝熱プレート12の突出部14の凸面同志が逆方向に傾斜して交差した状態で当接するように積層され、この当接部が接合される。そのため、第2実施形態では、図31に示すように、突出部14の凸面同志の当接部付近にて凝縮水▲1▼が滞留しやすなって、この凝縮水▲1▼の滞留により空気側通路の一部を閉塞し、通風抵抗増加の原因となることが判明した。
【0162】
そこで、第9実施形態では、突出部14の凸面同志の当接部を廃止して凝縮水の落下を容易にし、それによって、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を抑制するようにしたものである。
【0163】
なお、第9実施形態における蒸発器10の全体の冷媒通路構成は図21の第6実施形態と同じであるので、図29に図21と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。また、第9実施形態における伝熱プレート12の突出部14の成形形態は第1実施形態と同様であり、伝熱プレート12の突出部14の形状をプレート長手方向(上下方向)に沿った直線的な形状としている。
【0164】
第9実施形態による蒸発器10は、図29、30に示すように伝熱プレート12の長手方向が上下方向となるように配置されて実際に使用される。そして、使用状態において、送風空気が2枚の伝熱プレート12の間の空気通路を矢印A1 のように波状に蛇行しながら通り抜けるときに、送風空気と伝熱プレート12との間の熱交換で発生する凝縮水▲2▼(図30参照)は、各突出部14の凸面頂部で最も多く発生する。
【0165】
この凝縮水▲2▼の発生状況は実験的に確認しており、これは冷媒通路19、20内を通過する冷媒の蒸発潜熱により各突出部14の凸面頂部が最も良く冷却され、その結果、凸面頂部に凝縮水▲2▼が最も多く発生すると考えられる。
【0166】
そして、各突出部14の凸面頂部は隣接する相手側の伝熱プレート12に対して空隙を介在して対向し、接合箇所を上下方向の全長にわたって形成しないため、各突出部14の凸面頂部の途中に凝縮水▲2▼の滞留箇所が発生しない。同様に、伝熱プレート12の他の部位(突出部14の側面部および基板部13の表面)においても凝縮水▲2▼の滞留箇所がない。
【0167】
以上の結果、各突出部14の凸面頂部に発生する凝縮水▲2▼を含めて、伝熱プレート12の表面に発生する凝縮水全体を伝熱プレート12の長手方向、すなわち、上下方向に沿ってスムースに下方へ落下させることができる。これにより、凝縮水▲2▼の滞留によって通風抵抗が増加することを良好に抑制できる。
【0168】
第9実施形態の具体的構成を説明すると、多数枚の伝熱プレート12は基本的には同一形状にプレス成形されている。そして、伝熱プレート12に、その長手方向(換言すると空気流れ方向Aと直交方向)に連続して平行に延びる突出部14を複数個本例では6個づつ平坦な基板部13から打ち出し成形している。
【0169】
ここで、突出部14は断面略矩形状であり、その打ち出し高さは伝熱プレート12の長手方向の両端部に位置するタンク部15〜18と同一高さにしてある。なお、図30において、左側の伝熱プレート12群の上端は断面形状を図示している。
【0170】
複数の突出部14は図30に示すように、伝熱プレート12の幅方向(空気流れ方向A)の中心位置に対して左右対称とせず、幅方向の中心からずらして配置している。
【0171】
このため、2枚の伝熱プレート12の突出部14の凸面側が互いに外側に向かうように、しかも、2枚の伝熱プレート12の突出部14がプレート幅方向(空気流れ方向A)において互いにずれるように配置して、2枚の伝熱プレート12の基板部13同志を当接させると、各突出部14が隣接する他の伝熱プレート12の基板部13により形成される凹面部に位置する。
【0172】
その結果、各突出部14の凸面側の頂部と隣接する他の伝熱プレート12の基板部13の凹面部との間に必ず空隙が形成される。この空隙は突出部14の打ち出し高さに相当する隙間であり、図30に示すように、伝熱プレート12の幅方向(空気流れ方向A)の全長にわたって波状に蛇行した空気通路が連続して形成される。
【0173】
従って、矢印Aからの送風空気は、上記空気通路をA1 のように波状に蛇行しながら2枚の伝熱プレート12の間を通り抜けることができる。
【0174】
一方、2枚の伝熱プレート12の基板部13同志を当接させ接合すると、各突出部14の内面側は相手側の伝熱プレート12の基板部13により密封されるので、各突出部14の内面側と相手側の伝熱プレート12の基板部13との間に、冷媒通路19、20を形成することができる。ここで、冷媒通路19は空気流れ方向Aの下流側のタンク部15、16の間を連通させる空気下流側の冷媒通路であり、また、冷媒通路20は空気流れ方向Aの上流側のタンク部17、18の間を連通させる空気上流側の冷媒通路である。
【0175】
(第10実施形態)
図32、33は第10実施形態を示すもので、上記第1および第9実施形態における伝熱プレート12a〜12cおよび伝熱プレート12の加工性を向上するものである。すなわち、第10実施形態では、伝熱プレート12の突出部14の形状がプレート長手方向(上下方向)に沿った直線的な形状である点に着目して、アルミニウム材(ろう材をクラッドしてないアルミニウムベア材)を押し出し加工して、1枚の伝熱プレート12に伝熱プレート積層方向の両側に突出する突出部14を成形するとともに、1枚の伝熱プレート14内の穴形状により冷媒通路19、20を構成するようにしたものである。
【0176】
具体的には、伝熱プレート12は押し出し加工により基板部13からその表裏両側(伝熱プレート積層方向の両側)に突出する突出部14を伝熱プレート長手方向の全長にわたって直線的に形成している。そして、この突出部14は基板部13の表裏両側で位置をずらして配置することにより、各突出部14を隣接する伝熱プレート12の基板部13による凹面部内に位置するようにしてある。冷媒通路19、20はそれぞれ突出部14の形成部位の内側に伝熱プレート長手方向の全長にわたって形成される直線的な穴形状により構成される。
【0177】
多数枚の伝熱プレート12相互の間隔は、伝熱プレート長手方向の上下両端部に配置されるスペーサ部材32を介在させることにより保持する。このスペーサ部材32は伝熱プレート12相互の間隔の凹凸形状に対応した凹凸形状を持つようにプレス成形された部材であり、A3000系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなる。
【0178】
また、図示するように、伝熱プレート12は空気流れ方向Aにおいて、上流側のプレートと下流側のプレートとに2分割され、この2分割された伝熱プレート12、12の上下両端部はそれぞれ、別体で成形された空気下流側および空気上流側のタンク部材33、34に接合され、伝熱プレート12、12の上下両端部はそれぞれ、タンク部材33、34の内部空間に連通する。
【0179】
このタンク部材33、34もA3000系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなり、その機能は上記第1〜第9実施形態における伝熱プレート12のタンク部15〜18と同様に冷媒通路19、20相互間の連結を行う。蒸発器10全体としての冷媒通路構成は、図21の第6実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0180】
第10実施形態においても、上下両端のスペーサ部材32の配置箇所を除いて、他の部位では伝熱プレート12の上下方向全長にわたって各突出部14の凸面頂部が相手側伝熱プレート12との当接部を形成しないから、第8、第9実施形態とほぼ同等の良好な排水性を発揮できる。
【0181】
しかも、アルミニウムの押し出し加工により伝熱プレート12の必要形状を1工程にて加工できるから、プレス成形に比して伝熱プレート12の加工工数を大幅に低減できる。さらに、冷媒通路19、20は突出部14の形成部位に形成される穴形状により構成されるから、2枚の伝熱プレート12の接合により冷媒通路19、20を構成する場合に比して、接合不良による洩れ発生の心配が全くない。
【0182】
(第11実施形態)
図34、35は第11実施形態を示すもので、上記第10実施形態による押し出し加工を用いた伝熱プレート12の成形を更に進化させ、必要枚数の伝熱プレート12をすべて一体成形するようにしたものである。
【0183】
すなわち、図34は第11実施形態においてアルミニウム材を押し出し加工した直後の状態を示しており、概略直方体状の押し出し成形体35には、上記第10実施形態の伝熱プレート12に相当する多数の伝熱プレート12、この伝熱プレート積層方向の両側に突出する突出部14、各伝熱プレート14内の穴形状による冷媒通路19、20、および各伝熱プレート14相互間に位置して空気通路を構成する隙間部36が直方体長手方向に沿って一体成形される。
【0184】
この押し出し加工直後の状態では、隙間部36の空気流れ方向Aの両端部が押し出し成形体35の外縁部37、38にて閉塞されているので、隙間部36が空気通路として機能しない。
【0185】
そこで、空気流れ方向Aの両端部に位置する外縁部37、38のうち、図34の斜線部に示す部分39、39a、40,40aを切削等により切除して、隙間部36の空気流れ方向Aの両端部を外部に開放している。図35は上記切除部分39、39a、40,40aを切除した後に、隙間部36の端部が外部に開放されている状態を示している。
【0186】
図35に示すように、この切除部分39、39a、40,40aは直方体長手方向に複数に分割して形成してあるので、複数の切除部分39、39a、40,40aの間に幅の狭い連結部41、42が残存し、この連結部41、42により多数の伝熱プレート12の一体成形状態を維持するようになっている。これにより、第10実施形態における上下両端のスペーサ部材32が不要となる。
【0187】
概略直方体状の押し出し成形体35の上下両端部の切除部分39a、40aには、各伝熱プレート14の上下両端部が挿入可能なスリット部43aを持つ保持板44、45が嵌合配置される。更に、この上下の保持板44、45にタンク部材46、47が組み付けられる。
【0188】
なお、上下の保持板44、45とタンク部材46、47はいずれもアルミニュウムで成形され、各部品間はろう付けにより一体に接合される。
【0189】
図35の例では、上側のタンク部材46に冷媒入口パイプ23を配置し、下側のタンク部材47に冷媒出口パイプ24を配置しているので、冷媒入口パイプ23からの冷媒が上側のタンク部材46にて各伝熱プレート14内の穴形状による冷媒通路19(20)に分配される。そして、各伝熱プレート14内の冷媒通路19(20)を通過した冷媒は下側のタンク部材47で集合して冷媒出口パイプ24から外部へ流出する。
【0190】
(第12実施形態)
図36〜38は第12実施形態を示すもので、第1〜第9実施形態による伝熱プレート12の成形形態、および熱交換器組み付け方法を変更したものである。
【0191】
上記した第1〜第9実施形態では、2枚の伝熱プレート12aと12bとの間、または12aと12cとの間、さらには、2枚の伝熱プレート12、12の間に冷媒通路(内部流体通路)19、20を形成しているが、本発明では、薄肉のフィン部材を介在せず、伝熱プレート12a〜12c同志の接合、あるいは2枚の伝熱プレート12、12同志の接合で熱交換器を構成できるから、2枚の伝熱プレートに限らず、領域Xあるいは領域Yの必要枚数分の伝熱プレート、さらに、熱交換器全体としての必要枚数分の伝熱プレートを1枚のプレート材の折り曲げ形状から構成することも可能である。
【0192】
第12実施形態はこのような考え方に基づくもので、第1実施形態の図3に示す伝熱プレート12aと図4に示す伝熱プレート12bとを隣接して一体に成形するとともに、この両伝熱プレート12a、12bを2枚1組で1つの単位とし、この2枚1組のプレート単位をさらに幅の狭い連結部48を介して必要数だけ一体に連結している。
【0193】
そして、両伝熱プレート12a、12bをその中央部50で矢印a方向に折り曲げて、互いの突出部14の凸面が外方に向き、互いの基板部13、13同士が当接するようにする。また、連結部48をその両端の付け根部51、52で矢印b方向(矢印a方向と反対方向)に折り曲げることにより伝熱プレート12a、12bの外面側に所定間隔の隙間(空気通路)を形成できる。図37、38の断面図はこの折り曲げ後の断面形状を示す。
【0194】
なお、熱交換器の分野では、2枚の伝熱プレートに相当する大きさ、形状を持った1枚のプレート材を折り曲げて、内部流体通路を形成することは周知技術であるから、本発明においても、このように、1枚のプレート材を折り曲げて2枚の伝熱プレート12aと12b、12aと12c、および2枚の伝熱プレート12、12に相当する部材を形成し、そして、この折り曲げた2枚の伝熱プレートの間に、冷媒通路(内部流体通路)19、20を形成してもよい。
【0195】
すなわち、第12実施形態の図36において、2枚1組のプレート単位をさらに幅の狭い連結部48を介して必要数だけ一体に連結することを止めて、両伝熱プレート12a、12bだけを一体に成形し、その後に両伝熱プレート12a、12bの中央部50で矢印a方向に折り曲げて、図38の断面図に表れる2枚1組のプレート折り曲げ体を作り、このプレート折り曲げ体を必要数積層し、接合する構成としてもよい。
【0196】
従って、本明細書における「複数枚の伝熱プレート」という用語は、上記した第1〜第9実施形態で開示した完全に切り離された複数枚の伝熱プレートに限定されることなく、1枚の伝熱プレートから折り曲げ形成された複数枚のプレートも包含する意味で用いている。
【0197】
更に、第11実施形態のように連結部41、42により多数の伝熱プレート12を一体に連結する構造をも包含しているから、本明細書において、プレートの数に関係する「複数枚」、「2枚」、「複数組」といった表現は、プレート状の断面形状として表れるプレート積層方向での伝熱プレート(プレート状部材)が複数であることを意味しているだけで、一体か、別体かは問わない。
【0198】
(第13実施形態)
図39は第13実施形態を示すもので、2枚1組として接合される伝熱プレート12において、互いの突出部14、14と互いの基板部13、13とを空気(外部流体)流れ方向Aにおいて同一位置に形成し、かつ、プレート積層方向で隣接する組の伝熱プレート12とは互いの突出部14、14および基板部13、13の位置をずらして蛇行状の空気通路を形成している。
【0199】
(第14実施形態)
第1実施形態では、図8に示すコンピュータシュミレーションによる算出結果から、突出部ピッチP1 および通路ピッチP2により空気側伝熱性能が左右され、空気側伝熱性能に対するピッチP1 、P2の最適範囲が存在することを示している。
【0200】
しかし、本発明熱交換器を空調用蒸発器10として用いる場合には空気側伝熱性能だけでなく冷媒側伝熱性能も考慮する必要がある。突出部ピッチP1 を小さくすると、冷媒通路19、20の数が増えて冷媒通路断面積が増加し、冷媒流速が低下するので、冷媒側熱交換率が低下するが、冷媒側伝熱面積は増加する。
【0201】
これに対し、突出部ピッチP1 を大きくすると、冷媒通路19、20の数が減少して冷媒通路断面積が減少し、冷媒流速が上昇するので、冷媒側熱交換率が向上するが、冷媒側伝熱面積は減少する。
【0202】
つまり、突出部ピッチP1の増減は冷媒側熱交換率と冷媒側伝熱面積に対して相反的な関係にあり、冷媒側伝熱性能に対する突出部ピッチP1の最適範囲が存在する。
【0203】
従って、本発明熱交換器を空調用蒸発器10として用いる場合には空気側伝熱性能に対する最適範囲に冷媒側伝熱性能に対する最適範囲を加味した形で突出部ピッチP1の値を設定する必要がある。
【0204】
図40は上記視点に基づいて本発明者が行ったコンピュータシュミレーションによる算出結果であり、縦軸は空調用蒸発器10における空気側から冷媒側への伝熱性能(W)である。横軸の突出部ピッチP1 は、図8と同様の定義であって、図6(c)に示すように複数の突出部14相互の間隔(空気流れ方向Aにおける突出部14相互の頂部間の間隔)である。また、通路ピッチP2 も図8と同様の定義であって、図6(c)に示すように伝熱プレート積層方向における冷媒通路19、20相互の間隔(伝熱プレート間の間隔)である。
【0205】
ここで、コンピュータシュミレーションの主要な条件について述べると、蒸発器10の入口空気の温度:27℃、入口空気の相対湿度:50%、入口空気流速は2m/sであり、また、空気側の圧力損失=100Pa(一定)となるように、突出部ピッチP1 と通路ピッチP2 とを設定している。
【0206】
更に、冷媒側条件として、蒸発器10の出口冷媒温度:10℃、蒸発器10の出口冷媒圧力:280kPa(abs)である。また、蒸発器10の熱交換部の体格は伝熱プレート12a〜12c積層方向寸法(図1の左右方向寸法):170mm、伝熱プレート幅方向寸法(図1の矢印A方向寸法):40m、伝熱プレート12a〜12cのうち、熱交換部高さ寸法(複数の突出部14の形成部位の高さ寸法):220mmである。
【0207】
図40において、伝熱プレート12a〜12cの板厚tは蒸発器内部の冷媒圧力、耐食性、プレス加工の成形性、材質等により決定されるものであって、一概に決めることができない。そのため、板厚tはパラメータとして、各板厚tにおける最大性能が得られる突出部ピッチP1、を図40では示している。
【0208】
図40の算出結果から、突出部ピッチP1を、P1=5.92〜7.73mmの範囲に選定することにより、蒸発器10の最大性能が得られることが分かる。ここで、熱交換器分野では、実用上、一般に最大性能から10%程度の性能差は許容される。そこで、各板厚tにおける最大性能から10%の性能減少が生じる点をプロットしたのが図8の各グラフの右端部の○印である。
【0209】
この○印から理解されるように、突出部ピッチP1の最大値を15mm以内に制限することにより、蒸発器最大性能(100%)に対して90%以上の性能を発揮できる。
【0210】
一方、突出部ピッチP1の最小値は、ろう付け時に冷媒通路19、20がろう詰まりすることを防止するために、2mmとしている。この突出部ピッチP1の最小値=2mmの点は、上記最大値よりも最大性能となるピッチP1に近接しているので、蒸発器10の最大性能(100%)に対して90%以上の性能を十分発揮できる。
【0211】
以上により、突出部ピッチP1=2〜15mmの範囲に設定することにより、パラメータとなる各板厚tにおいて、蒸発器最大性能の90%以上の性能(最大性能近傍の性能)を常に発揮できる。
【0212】
(他の実施形態)
なお、上記した各実施形態では、空気(外部流体)流れ方向Aを伝熱プレート12a〜12c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方向)Bに対して直交状に設定する場合について説明したが、空気(外部流体)流れ方向Aを伝熱プレート12a〜12c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方向)Bに対して所定角度だけ傾斜するようにしてもよく、要は空気(外部流体)流れ方向Aと伝熱プレート12a〜12c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方向)Bとが交差する関係にあればよい。
【0213】
また、上記した各実施形態では、伝熱プレート12の冷媒通路(内部流体通路)19、20を冷凍サイクルの低圧側の低温冷媒が流れ、伝熱プレート12の外部を空調空気が流れ、冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して冷媒を蒸発させる蒸発器10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されることなく、本発明は種々な用途の流体間の熱交換を行う熱交換器一般に広く適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態による冷媒通路を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態における第1伝熱プレートの平面図である。
【図4】第1実施形態における第2伝熱プレートの平面図である。
【図5】第1実施形態における第3伝熱プレートの平面図である。
【図6】図3のA−A断面、B−B断面、およびC−C断面を示す断面図である。
【図7】第1実施形態におけるタンク部の断面図である。
【図8】突出部ピッチP1 および通路ピッチP2 と、伝熱性能との関係を示すグラフである。
【図9】第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図10】第2実施形態における伝熱プレートの平面図である。
【図11】第2実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの重合状態を示す平面図である。
【図12】図11のX−X断面図である。
【図13】図11のY−Y断面図である。
【図14】第2実施形態による冷媒通路を示す概略斜視図である。
【図15】第3実施形態に用いる伝熱プレートの平面図である。
【図16】第3実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの重合状態を示す平面図である。
【図17】第4実施形態に用いる伝熱プレートの平面図である。
【図18】第4実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの重合状態を示す平面図である。
【図19】第5実施形態に用いる伝熱プレートの平面図である。
【図20】第5実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの重合状態を示す平面図である。
【図21】第6実施形態を示す分解斜視図である。
【図22】第7実施形態を示す分解斜視図である。
【図23】第7実施形態に用いる伝熱プレートの平面図である。
【図24】第7実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの重合状態を示す平面図である。
【図25】第7実施形態における冷媒通路構成を示す概略斜視図である。
【図26】第8実施形態による蒸発器を搭載した車両用空調ユニットの縦断面図である。
【図27】第8実施形態による蒸発器の比較例としての通常の蒸発器の概略斜視図である。
【図28】(a)は図27の通常の蒸発器で用いられるコルゲートフィンの正面図、(b)は(a)の側面図である。
【図29】第9実施形態を示す分解斜視図である。
【図30】図29の要部の拡大斜視図である。
【図31】第9実施形態の比較例(第2実施形態)における凝縮水の落下状況の説明図であにる。
【図32】第10実施形態を示す分解斜視図である。
【図33】図32の要部の拡大斜視図である。
【図34】第11実施形態に用いる押し出し成形体の斜視図である。
【図35】第11実施形態を示す分解斜視図である。
【図36】第12実施形態に用いる伝熱プレートの部分展開状態の平面図である。
【図37】図36のA−A断面図である。
【図38】図36のB−B断面図である。
【図39】第13実施形態を示す分解斜視図である。
【図40】第14実施形態による突出部ピッチP1 および通路ピッチP2 と、蒸発器伝熱性能との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
12a〜12c、12…伝熱プレート、14…突出部、15〜18…タンク部、19、20…冷媒通路(内部流体通路)。

Claims (21)

  1. 複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)に、それぞれ複数の突出部(14)を形成し、
    前記複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)を接合することにより前記突出部(14)の内側に内部流体の流れる内部流体通路(19、20)を構成し、
    前記伝熱プレート(12a〜12c、12)に、前記突出部(14)の側面部から突出する小突起(14a)を形成し、
    前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の小突起(14a)同志を当接させて、この小突起(14a)同志の当接部を接合し、
    前記突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)に対して隙間を介在して対向し、
    前記隙間により前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の外部側を流れる外部流体の通路を構成するとともに、
    前記突出部(14)が前記外部流体の流れの直進を妨げて乱れを起こさせる乱れ発生器として作用するようになっており、
    さらに、前記複数の突出部(14)相互の間隔である突出部ピッチ(P1)を2〜20mmとしたことを特徴とする熱交換器。
  2. 前記内部流体通路(19、20)相互の間隔である通路ピッチ(P2)を1.4〜3.9mmとしたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記突出部ピッチ(P1)=10〜20mmとし、前記通路ピッチ(P2)=1.4〜2.3mmとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記隙間を、0.7〜1.95mmしたことを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  5. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の板厚(t)を0.1〜0.35mmとしたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の熱交換器。
  6. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)はアルミニウム合金のH材により成形されていることを特徴とする請求項1または4に記載の熱交換器。
  7. 前記複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)は、互いに当接して接合される基板部(13)を有し、
    前記突出部(14)は前記基板部(13)から外方へ突出することを特徴とする請求項1、4、6のいずれか1つに記載の熱交換器。
  8. 前記突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)により構成される凹面部に位置して、前記突出部(14)の凸面頂部が前記隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)の凹面部に対して所定間隔で対向することを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  9. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)は2枚1組として、それぞれの突出部(14)が互いに外側に向くようにして、前記2枚の伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)同志を当接させて接合することにより、前記内部流体通路(19、20)が一方の伝熱プレート(12a〜12c、12)の突出部(14)の内側面と他方の伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部(13)との間に構成されるようにしたことを特徴とする請求項またはに記載の熱交換器。
  10. 前記内部流体通路(19、20)を構成する前記2枚1組の伝熱プレート(12a〜12c、12)を、複数組積層して接合することを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  11. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、前記内部流体の流れ方向の両端部に、連通穴(15a〜18a)を有するタンク部(15〜18)を形成し、
    前記複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に形成される前記内部流体通路(19、20)相互の間を前記タンク部(15〜18)により連結することを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  12. 前記内部流体通路(19、20)は、前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の前記外部流体の流れ方向(A)の前後に2つ独立に形成され、
    前記タンク部(15〜18)は、前記2つの独立した内部流体通路(19、20)にそれぞれ対応して、前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の両端部に2個づつ形成されていることを特徴とする請求項11に記載の熱交換器。
  13. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、前記内部流体の流れ方向の一端部のみに、連通穴(16a、18a)を有するタンク部(16、18)を前記外部流体の流れ方向の前後に2つ独立に形成し、
    前記複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に形成される前記内部流体通路(19、20)相互の間を前記タンク部(15〜18)により連結するとともに、
    前記伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、前記内部流体の流れ方向の他端部において、前記内部流体の流れをUターンさせるUターン部(D)を形成したことを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  14. 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の複数組の積層形状を、直方体状から外部へ突出した伝熱拡大部(11′)を有する形状としたことを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1つに記載の熱交換器。
  15. 前記突出部(14)は、前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の外部側を流れる外部流体の流れ方向(A)に対して交差する方向に連続して延びるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の熱交換器。
  16. 前記突出部(14)は、前記外部流体の直進を妨げるように配置された多数の独立した細長の突出形状からなることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の熱交換器。
  17. 前記細長の突出部(14)は、前記外部流体の流れ方向に対して斜めに交差するように配置されていることを特徴とする請求項16に記載の熱交換器。
  18. 前記細長の突出部(14)は、前記外部流体の流れ方向に対して直交状に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の熱交換器。
  19. 前記細長の突出部(14)は、前記外部流体の流れ方向に対して直交状に配置されたものと、前記外部流体の流れ方向に対して平行に配置されたものとの組み合わせからなることを特徴とする請求項16に記載の熱交換器。
  20. 請求項1ないし19のいずれか1つに記載の熱交換器からなり、前記内部流体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、前記外部流体として空調用の空気が流れることを特徴とする空調用蒸発器。
  21. 請求項1または2に記載の熱交換器からなり、前記内部流体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、前記外部流体として空調用の空気が流れる空調用蒸発器であって、
    前記複数の突出部(14)相互の間隔である突出部ピッチ(P1)を2〜15mmとしたこことを特徴とする空調用蒸発器。
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