本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板において、ガラス組成を上記のように限定した理由を以下に示す。なお、以下の各成分の説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiO2は、ガラス化範囲を拡げてガラス化しやすくするとともに、化学的耐久性を向上させる成分である。SiO2の含有量は、35〜80%であり、40〜75%、50〜64%、55〜62%、特に57〜61%が好ましい。SiO2の含有量が少な過ぎると、ガラス網目構造を形成し難くなって、ガラス化が困難になりやすくなり、また、クラックの発生率が高くなったり、化学的耐久性が低下しやすくなる。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、溶融性、成形性が低下しやすくなる。
Al2O3は、化学的耐久性を向上させ、ヤング率、歪点を高める成分である。Al2O3の含有量は、0〜20%であり、3〜18%、5〜17.5%、8.5〜17%、10〜17%、12〜17%、13〜17%、13.5〜17%、14〜17%、14.5〜17%、特に15〜17%が好ましい。Al2O3の含有量が多過ぎると、ガラス中に失透結晶が析出して、液相粘度が低下しやすくなる。
B2O3は、軟化点、液相温度、密度を低下させる成分である。B2O3の含有量は、0〜17%であり、2〜15%、3〜13%、4〜12%、5〜11%、7〜10.4%、8.5〜10.4%、8.8〜10.4%、特に9〜10.4%が好ましい。B2O3の含有量が多過ぎると、歪点、ヤング率、化学的耐久性が低下しやすくなる。
MgOは、ヤング率、歪点を高めると共に、高温粘度、クラック発生率を低下させる成分である。MgOの含有量は、0〜10%であり、0〜5%、0〜3%、0〜2%、0〜1.5%、0〜1%、特に0〜0.5%が好ましい。MgOの含有量が多すぎると、液相温度が上昇して、耐失透性、化学的耐久性が低下しやすくなる。
CaOは、ヤング率、歪点を高めると共に、高温粘度、クラック発生率を低下させる成分である。CaOの含有量は、0〜15%であり、0.5〜12%、2〜10%、3〜9%、5〜8.5%、6〜8.5%、7〜8.5%、特に7.5〜8.5%が好ましい。CaOの含有量が多すぎると、密度、熱膨張係数が高くなりやすい。
SrOは、ヤング率、歪点を高めると共に、化学的耐久性を向上させる成分である。SrOの含有量は0〜15%であり、0.5〜12%、1〜10%、2〜6%、3〜5%、特に3.5〜4.5%が好ましい。SrOの含有量が多すぎると、密度、熱膨張係数が高くなりやすい。
BaOは、化学的耐久性を向上させる成分である。BaOの含有量は、0〜30%、0〜25%、0〜20%、0〜15%、0〜10%、0〜5%、0〜2%、0〜1%、特に0〜0.5%が好ましい。BaOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなりやすい。
MgO、CaO、SrO、BaOの各成分を複数導入すると、液相温度が低下して、ガラス中に結晶異物が発生し難くなる。これらの成分の合量は、0〜30%、5〜20%、8〜18%、特に13〜15%が好ましい。これらの成分の合量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、これらの成分の合量が多すぎると、密度が上昇し、ガラスの軽量化が図り難くなることに加えて、クラック発生率が高くなりやすい。
なお、アルカリ金属酸化物は、化学的耐久性を大きく低下させる成分であるため、実質的に含有しない。アルカリ金属酸化物を実質的に含有しないとは、アルカリ金属酸化物を意図的に添加しないという意味であり、不可避的不純物の混入まで排除するものではない。具体的には、アルカリ金属酸化物の含有量が各々0.1%未満であることを意味する。
本発明を構成するガラスには、上記成分以外にも以下の成分を含有させることができる。
Fe2O3の含有量は、1000ppm以下、800ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、特に130ppm以下が好ましい。Fe2O3の含有量が少ない程、透過率が高くなるため、マイクロ流路内の液体の観察を行いやすくなる。なお、Fe2O3の含有量を低減するためには、高純度の原料を使用することが好ましい。Fe2O3の含有量の下限は特に限定されないが、現実的には、90ppm以上、さらには100ppm以上である。
Y2O3、Nb2O3、La2O3は、歪点、ヤング率等を高める成分である。しかし、これらの成分の含有量が多過ぎると、密度が高くなり易い。よって、Y2O3、Nb2O3、La2O3の含有量は、それぞれ3%以下が好ましい。
清澄剤として、As2O3、Sb2O3、CeO2、SnO2、F、Cl、SO3の群から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。但し、As2O3、Sb2O3及びF、特にAs2O3及びSb2O3は、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましく、各々の含有量を0.1%未満に制限することが好ましい。好ましい清澄剤は、SnO2、SO3及びClである。SnO2の含有量は、好ましくは0〜1%、0.01〜0.5%、特に0.05〜0.4%である。また、SnO2+SO3+Cl(SnO2、SO3及びClの合量)の含有量は、好ましくは0.001〜1%、0.01〜0.5%、特に0.01〜0.3%である。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、軟化点が1150℃以下、1130℃以下、1110℃以下、1090℃以下、特に1070℃以下であることが好ましい。軟化点が高すぎると、ガラス基板同士を接合する温度が上昇するため、マイクロ流路デバイスを安価で作製しにくくなる。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、熱膨張係数(30〜380℃)が60×10−7/℃以下、55×10−7/℃以下、50×10−7/℃以下、特に45×10−7/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数が高すぎると、ガラス基板同士を接合するための熱処理を行った後に急冷する際に、ガラス基板の破損が起こりやすい。
また、後述するように、マイクロ流路デバイスは、流路形成用ガラス基板とその基板をカバーするガラス基板(以下、カバー用ガラス基板)を張り合わせて作製される。複数のガラス基板を張り合わせる際、張り合わせる各ガラス基板の熱膨張係数の差は5×10−7/℃以下、3×10−7/℃以下、2×10−7/℃以下、1×10−7/℃以下、特に0.5×10−7/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数の差が大きすぎると接合し冷却する際にガラス基板の破損が起りやすく、また、ガラス基板の反りが大きくなりやすい。なお、実質的には、張り合わせる各ガラス基板は、同一であることが好ましい。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、歪点が、600℃以上、630℃以上、650℃以上、680℃以上、特に700℃以上であることが好ましい。歪点が低すぎると、耐熱性が低下しやすく、各種溶剤を用いた実験を行った後、再利用するための熱処理を高温で行ったとしてもガラス基板の変形や変質が起こりにくいため、再利用が行いやすくなる。高温で処理することにより、流路内に残存する有機物をほぼ0にすることが可能となる。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、液相粘度が、104.0dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.6dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上であることが好ましい。また、液相温度が、1200℃以下、1150℃以下、1130℃以下、1110℃以下、1090℃以下、特に1070℃以下であることが好ましい。液相粘度が低すぎ、液相温度が高すぎると、成形時にガラスが失透しやすくなる。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、クラック発生率が70%以下、50%以下、40%以下、30%以下、特に20%以下であることが好ましい。クラック発生率が高すぎると、ガラス基板が破損しやすくなる。ここで、「クラック発生率」は、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重1000gに設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨相当面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)し、この操作を20回繰り返し(即ち、圧子を20回打ち込み)、総クラック数を計数した後、(総クラック発生数/80)×100(%)にて得られた値を指す。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、ヤング率が65GPa以上、67GPa以上、68GPa以上、69GPa以上、70GPa以上、71GPa以上、72GPa以上、特に75GPa以上であることが好ましい。ヤング率が低すぎると、ガラス基板が反りやすくなり、破損等の問題が生じやすくなる。
本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板は、密度が2.7g/cm3以下、2.6g/cm3以下、2.5g/cm3以下、特に2.4g/cm3以下であることが好ましい。密度が高すぎると、マイクロ流路デバイスの軽量化を図りにくくなる。
次に、本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板を製造する方法を説明する。
まず、所望の組成を有するガラスとなるように調合したガラス原料を加熱溶融して、ガラス融液を得る。次に、得られたガラス融液を板引き成形し、マイクロデバイス用ガラス基板を得る。板引き成形の方法に制限はないが、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。この方法で作製されたガラス基板は、表面品位に優れており、研磨を必要としない。オーバーフローダウンドロー法で成形されたガラス基板が表面品位に優れる理由は、ガラス基板の表面となるべき面が樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。ここで、オーバーフローダウンドロー法は、溶融ガラスを耐熱性の樋状構造物の両側から溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス基板を製造する方法である。樋状構造物の構造や材質は、ガラス基板の寸法や表面精度を所望の状態とし、ガラス基板に使用できる品位を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行うために、ガラスに対してどのような方法で力を印加するものであってもよい。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。なお、オーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、スロットダウン法、リドロー法等の成形方法を採用することもできる。
得られたガラス基板は、未研磨の表面を有することが好ましい。ガラスの理論強度は、本来、非常に高いが、理論強度よりも遥かに低い応力でも破壊に至ることが多い。これは、ガラス基板の表面にグリフィスフローと呼ばれる小さな欠陥がガラスの成形後の工程、例えば研磨工程等で生じるからである。よって、ガラス基板の表面を未研磨とすれば、本来の機械的強度を損ない難くなり、ガラス基板が破壊し難くなる。また、研磨工程を省略し得るため、ガラス基板の製造コストを低下することができる。なお、ガラス基板の両表面を未研磨にすれば、ガラス基板が更に破壊し難くなる。
得られたガラス基板の表面粗さRaは、100Å以下、50Å以下、10Å以下、8Å以下、4Å以下、3Å以下、特に2Å以下であることが好ましい。ガラス基板の表面の表面粗さRaが大きすぎると、基板同士を接合しにくくなる。ガラス基板の端面の表面粗さRaは、100Å以下、50Å以下、10Å以下、8Å以下、4Å以下、3Å以下、特に2Å以下であることが好ましい。ガラス基板の端面の表面粗さRaが大きすぎると、ガラス基板が破損しやすくなる。また、ガラス基板のうねりは、1μm以下、0.08μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下、0.02μm以下、特に0.01μm以下であることが好ましい。ガラス基板のうねりが大きすぎると、基板同士を接合しにくくなる。さらに、ガラス基板の最大厚みと最小厚みの差が10μm以下、5μm以下、2μm以下、特に1μm以下であることが好ましい。この差が大きすぎると、基板同士を接合しにくくなる。
マイクロ流路用ガラス基板の幅寸法は、500mm以上、600mm以上、800mm以上、1000mm以上、1200mm以上、1500mm以上、特に2000mm以上であることが好ましい。このようにすれば、大型のガラス基板にフォトリソグラフィーあるいはレーザーにより流路を書き込み、カバーガラスを張り合わせたのちに切断することで一度に大量のマイクロ流路デバイスを作製することが可能になる。
次に、本発明のマイクロ流路デバイス用ガラス基板を用いてマイクロ流路デバイスを製造する方法を説明する。なお、マイクロ流路デバイスは、流路形成用ガラス基板とカバー用ガラス基板からなり、本発明のガラス基板は、流路形成用ガラス基板及びカバー用ガラス基板のどちらにも用いることができる。
流路形成用ガラス基板とカバー用ガラス基板を上記の方法で作製する。流路形成用ガラス基板の厚みは30〜3000μm、50〜2800μm、100〜2000μm、200〜1800μm、200〜1500μm、200〜1200μm、200〜1000μm、200〜800μm、200〜700μm、200〜500μm、特に200〜300μmであることが好ましい。厚みが小さすぎると、デバイス全体の剛性が不足し、取扱時に破損しやすくなる。一方、厚みが大きすぎると、流路デバイスが軽量化されにくくなる。また、カバー用ガラス基板の厚みは、1000μm以下、700μm以下、600μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、特に50μm以下であることが好ましい。なお、厚みの下限値は特に限定されないが、現実的には、5μm以上である。厚みが大きすぎると、流路形成用ガラス基板の上に、カバー用ガラス基板を湾曲させながら張り合わせることができにくくなり、張り合わせたガラスの間に空気を巻き込みやすくなる。
次に、流路形成用ガラス基板に流路を形成する。流路の形成には、フォトリソグラフィー、レーザー等を使用できる。流路を形成した流路形成用ガラス基板とカバー用ガラス基板を500〜900℃で熱融着させ、マイクロ流路デバイスを得る。ここで熱融着する温度が高すぎると、流路パターンが溶融しやすくなる。一方、低すぎると基板同士が融着し難くなる。
なお、流路形成用ガラス基板に貫通孔からなる流路を形成しても構わない。この場合は、カバー用ガラス基板を流路形成用ガラス基板の両面に接合する。この場合、流路形成用ガラス基板の厚みは500μm以下、300μm以下、100μm以下、70μm以下、50μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。厚みが大きすぎると、フォトリソグラフィー、レーザー等により貫通孔を作製する際に、タクトタイムが上昇するため、製造コストが上がりやすい。また、カバー用ガラス基板の厚みは2000μm以下、1800μm以下、1500μm以下、1200μm以下、1000μm以下、800μm以下、700μm以下、500μm以下、特に300μm以下であることが好ましい。なお、厚みの下限値は特に限定されないが、現実的には、5μm以上である。厚みが大きすぎると、流路デバイスが軽量化されにくくなる。
以下に、本発明で使用するガラス基板の好適な例を説明する。但し、以下の例は単なる例示である。本発明で使用するガラス基板は、以下の例に何ら限定されない。
表1は、ガラス基板(試料No.1〜6)のガラス組成と特性を示している。
まず表1に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合し、得られたガラス原料をガラス溶融炉に供給して1500〜1600℃で溶融した。次いで、得られた溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法により、表中の厚み、幅寸法1500mmになるように成形した。続いて、成形直後のガラス基板を徐冷エリアに移動させ冷却した後、切断し、流路形成用ガラス基板及びカバー用ガラス基板を得た。その際に、1012〜1014dPa・sにおける温度での冷却速度が20℃/分になるように、徐冷エリアの温度と基板引き出し速度を調整した。得られた流路形成用ガラス基板にレーザーにて流路を形成した。その後、流路形成用ガラス基板とカバー用ガラス基板を500〜900℃で熱融着し、マイクロ流路デバイスを作製した。
表1から明らかなように、試料No.1〜6は、軟化点が944〜1051℃と低かったため熱融着する温度が低かった。また、化学的耐久性(耐HCl性、耐BHF性)が高かった。さらに、試料No.1〜6は、厚みが小さく、表面精度が良好であった。そのため、コストアップを招来させることなく、マイクロ流路デバイスを作製することができた。
密度は、周知のアルキメデス法により測定した値である。
歪点は、ASTM C336−71の方法に基づいて測定した値である。
ガラス転移温度は、熱膨張曲線からJIS R3103−3の方法に基づいて測定した値である。
軟化点は、ASTM C338−93の方法に基づいて測定した値である。
104.0、103.0、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。この温度が低い程、溶融性に優れていることになる。
ヤング率は、共振法により測定した値である。
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃における平均熱膨張係数を測定したものである。熱膨張係数の測定用試料として、端面にR加工を施したφ5mm×20mmの円柱状の試料を用いた。
液相温度は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定したものである。液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
下記の方法により、化学的耐久性を評価した。具体的には、耐HCl性と耐BHF性を評価した。まず各試料の両表面を光学研磨した後、表面の一部をマスキングした。次に、所定の濃度に調合した薬液中で、所定の温度で所定の時間浸漬した。その後、マスクを外し、マスク部分と浸食部分の段差を表面粗さ計で測定し、その値を浸食量とした。また、各試料の両表面を光学研磨した後、所定の濃度に調合した薬液中で、所定の温度で所定の時間浸漬した。その後、試料の表面を目視で観察し、表面が白濁したり、荒れたり、クラックが入っているものを「×」、変化が全く無いものを「○」として評価した。
ここで、耐HCl性の浸食量は、10質量%塩酸水溶液を用いて80℃、24時間の処理条件で測定した。外観評価は、10質量%塩酸水溶液を用いて80℃、3時間の処理条件で行った。また、耐BHF性の浸食量は、130BHF溶液(NH4HF:4.6質量%,NH4F:36質量%)を用いて20℃、30分間の処理条件で測定した。外観評価は、63BHF溶液(HF:6質量%,NH4F:30質量%)を用いて、20℃、30分間の処理条件で行った。
クラック発生率は、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重1000gに設定したビッカース圧子を試料表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。20回圧子を打ち込み、(総クラック発生数/80)×100(%)として評価した。
表面の表面粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値である。
端面の表面粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値である。
うねりは、触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B0601:2001に記載のWCA(ろ波中心線うねり)を測定した値であり、この測定は、SEMI STD D15−1296「FPDガラス板の表面うねりの測定方法」に準拠した方法で測定し、測定時のカットオフは0.8〜8mm、ガラス基板の引き出し方向に対して垂直な方向に300mmの長さで測定した値である。
ガラス基板の最大厚みと最小厚みの差は、レーザー式厚み測定装置を用いて、ガラス基板の任意の一辺に厚み方向からレーザーを走査することにより、ガラス基板の最大厚みと最小厚みを測定した上で、最大厚みの値から最小厚みの値を減じた値である。
屈折率ndは、精密屈折率計(島津製作所社製KPR−2000)を用いて測定した値である。