JP2003215140A - マイクロチップの製造方法 - Google Patents

マイクロチップの製造方法

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JP2003215140A
JP2003215140A JP2002020130A JP2002020130A JP2003215140A JP 2003215140 A JP2003215140 A JP 2003215140A JP 2002020130 A JP2002020130 A JP 2002020130A JP 2002020130 A JP2002020130 A JP 2002020130A JP 2003215140 A JP2003215140 A JP 2003215140A
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Japan
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glass substrate
microchip
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viscosity
substrate
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Takao Miwa
隆雄 三輪
Toshiaki Mizuno
俊明 水野
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B23/00Re-forming shaped glass
    • C03B23/20Uniting glass pieces by fusing without substantial reshaping
    • C03B23/203Uniting glass sheets

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Optical Measuring Cells (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Micromachines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロチップを構成するガラス基板の接合
面を光学平面となるよう研磨することなくマイクロチッ
プを製造することができるマイクロチップの製造方法を
提供する。 【解決手段】 マイクロチップ100は、一方の面に両
端が夫々二又に分岐した溝1が形成されたガラス基板6
から成るベースプレート2と、ベースプレート2の一方
の面に接合されたガラス基板7から成るカバープレート
4とを備える。カバープレート4は、溝1の対応位置に
試料注入・排出用の貫通穴3を4つ有する。溝1は、マ
イクロチップ100の微細流路5を構成する。ガラス基
板6とガラス基板7は温度粘性曲線が互いに異なる。マ
イクロチップ100は、ガラス基板6及びガラス基板7
を所定温度に加熱しながら接合することにより製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロチップの
製造方法に関し、特に熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析法使用するマイクロチップの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、化学反応の高速化や微少量で
の反応、オンサイト分析等の観点から、化学反応を微小
空間で行うための集積化技術が注目されており、そのた
めの研究が精力的に進められている。
【0003】このような集積化技術の1つとして、マイ
クロチップ内部の微細流路で液中試料の混合、反応、分
離、抽出、検出等を行うマイクロ化学システムがある。
【0004】マイクロチップは、溝が形成されたガラス
基板上に、試料注入・排出用小穴が溝の対応位置に配置
された他のガラス基板を接合したものをいい、接合後そ
の溝部分が、前述の微細流路を形成するものである。ま
た、マイクロチップを構成する2枚のガラス基板の接合
方法としては、フッ酸水溶液又は無水ケイ酸を片方のガ
ラス基板に滴下し、もう一方のガラス基板を張り合わせ
て長時間荷重を印加して接合するものや、アルカリ(N
aOH等)で両方のガラス基板表面を洗浄し、軽い圧を
加えることで接合するものや、高真空下で両方のガラス
基板表面をエネルギービームを照射することで活性化さ
せて接合するものなどが知られている。
【0005】このようなマイクロ化学システムにおいて
は、試料の量が微量であるので、試料の高感度な検出方
法が必須である。このような方法として、いわゆる熱レ
ンズ効果を利用した光熱変換吸光分析法が確立されてい
る。この熱レンズ効果を利用した光熱変換分光分析法
は、このマイクロチップ内部の微細な流路を流れる試料
に集光するようにマイクロチップ表面に光を照射し、照
射された光を試料中の溶質が吸収して熱エネルギーを放
出し、この熱エネルギーによって溶媒が局所的に温度上
昇することによって屈折率が変化し、もって熱レンズが
形成される光熱変換効果を利用するものである。
【0006】具体的には、マイクロチップを顕微鏡の対
物レンズの下方に配置し、励起光源から出力された所定
波長の励起光を顕微鏡に入射する。この励起光を顕微鏡
の対物レンズによりマイクロチップ内部の微細な流路内
の試料溶液に集光照射する。集光照射された励起光の焦
点位置は溶液試料中に在り、この焦点位置を中心として
熱レンズが形成される。
【0007】一方、検出光源から出力された波長が励起
光と異なる検出光を顕微鏡に入射する。この検出光を励
起光と同様に顕微鏡の対物レンズによって集光する。
【0008】こうすることにより、熱レンズが凹レンズ
の効果を有するときに、検出光は試料溶液を透過して発
散し、熱レンズが凸レンズの効果を有するときに、検出
光は試料溶液を透過して集光する。この発散又は集光し
た検出光が集光レンズとフィルタ又はフィルタのみを介
して検出器に受光されると、検出器は、受光した光を熱
レンズ信号として検出する。即ち、この熱レンズ信号の
強度が、試料溶液において形成された熱レンズに応じた
ものとなる。なお、検出光は励起光と同じ波長のもので
もよく、また、励起光が検出光を兼ねることもできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
光熱変換吸光分析法によりマイクロチップ内部の微細な
流路内の液中試料の検出を行うには、マイクロチップを
構成する2枚のガラス基板が接合されている面(以下、
接合面という。)と、接着面と反対側の表面であって、
励起光及び検出光が入射・透過する面とで、励起光及び
検出光が散乱・反射しないようにしなければならない。
【0010】このため、従来のいずれの接合方法におい
ても、マイクロチップを構成するガラス基板の両方の接
合面とも、光学平面となるように研磨する必要があっ
た。
【0011】本発明の目的は、マイクロチップを構成す
るガラス基板の接合面を光学平面となるよう研磨するこ
となくマイクロチップを製造することができるマイクロ
チップの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載のマイクロチップの製造方法は、一方
の面に溝が有する板状の第1のガラス基板の前記一方の
面に、前記溝の対応位置に少なくとも2つの貫通孔を有
する板状の第2のガラス基板を接合する接合ステップを
備えるマイクロチップの製造方法であって、前記第1の
ガラス基板と前記第2のガラス基板は、温度粘性曲線が
互いに異なり、前記接合ステップは、前記接合を前記第
1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を所定温度に
加熱することにより行うことを特徴とする。
【0013】請求項1記載のマイクロチップの製造方法
によれば、温度粘性曲線が互いに異なる第1のガラス基
板と第2のガラス基板を所定温度に加熱することにより
接合するので、この2種のガラス基板表面の接合面を加
熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱変換吸光分析法
に使用できる程度の光学特性を有するマイクロチップを
作製することができる。
【0014】請求項2記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項1記載のマイクロチップの製造方法におい
て、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の各
々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下であるこ
とを特徴する。
【0015】請求項2記載のマイクロチップの製造方法
によれば、第1のガラス基板と第2のガラス基板の各々
は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下であるの
で、接合時に熱膨張率の違いによりマイクロチップ10
0に反りやクラックが生じることを防ぐことができる。
【0016】請求項3記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項1又は2記載のマイクロチップの製造方法に
おいて、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板
は、化学的耐久性が強いことを特徴する。
【0017】請求項3記載のマイクロチップの製造方法
によれば、第1のガラス基板と第2のガラス基板は、化
学的耐久性が強いので、細胞等の生体試料、例えばDN
A解析用としての用途でマイクロチップを使用すること
ができる。
【0018】請求項4記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロチ
ップの製造方法において、前記所定温度は、前記第1の
ガラス基板の粘度(Logη)が11未満、前記第2の
ガラス基板の粘度(Logη)が11より大きい温度で
あることを特徴とする。
【0019】請求項4記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の粘度(Logη)が11未満、第2のガラス基板の粘
度(Logη)が11<Logηとなる温度であるの
で、第2のガラス基板は、表面形状が変化しない程度の
粘度を有するため、マイクロチップの測定面の光学特性
を保持することができる。また、第1のガラス基板は、
接合時、表面の粘性が低くなり、その表面が第2のガラ
ス基板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表
面の接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱
変換吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマ
イクロチップを作製することができる。
【0020】請求項5記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項4記載のマイクロチップの製造方法におい
て、前記所定温度は、前記第1のガラス基板の軟化点の
温度より低いことを特徴とする。
【0021】請求項5記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の軟化点の温度より低いので、第1のガラス基板はその
形状を維持することができる。
【0022】請求項6記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項4又は5記載のマイクロチップの製造方法に
おいて、前記所定温度は、前記第1のガラス基板の粘度
(Logη)が8.8≦Logη≦10.8である温度
であることを特徴とする。
【0023】請求項6記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の粘度(Logη)が8.8≦Logη≦10.8であ
る温度であるので、マイクロチップ100の溝加工精度
を高精度に維持することができる。
【0024】請求項7記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のマイクロチ
ップの製造方法において、前記接合の前に前記第1のガ
ラス基板の他方の面に離型剤を塗布する塗布ステップを
含み、前記接合の後に前記第1のガラスの一方の面を研
磨することを特徴とする。
【0025】請求項7記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合の前に第1のガラス基板の他方の面に離
型剤を塗布し、前記接合の後に第1のガラスの一方の面
を研磨するので、少ない部材で確実に光熱変換吸収分析
をすることができるマイクロチップを製造することがで
きる。
【0026】請求項8記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロチ
ップの製造方法において、前記所定温度は、前記第2の
ガラス基板の粘度(Logη)が11未満、前記第1の
ガラス基板の粘度(Logη)が11<Logηとなる
温度であることを特徴とする。
【0027】請求項8記載のマイクロチップの製造方法
によれば、所定温度は、第2のガラス基板の粘度(Lo
gη)が11未満、第1のガラス基板の粘度(Log
η)が11<Logηとなる温度であるので、第1のガ
ラス基板は、表面形状が変化しない程度の粘度を有する
ため、接合時に第1のガラス基板の底に離型剤を塗布し
たり、第1のガラス基板及び第2のガラス基板以外のガ
ラス基板を使用しなくてもマイクロチップを作製するこ
とができる。また、接合時、第1のガラス基板は、表面
の粘性が低くなり、その表面が第2のガラス基板の表面
に追随する結果、この2種のガラス基板表面の接合面を
加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱変換吸光分析
法に使用できる程度の光学特性を有するマイクロチップ
を作製することができる。
【0028】請求項9記載のマイクロチップの製造方法
は、請求項8記載のマイクロチップの製造方法におい
て、前記所定温度は、前記第2のガラス基板の軟化点の
温度より低いことを特徴とする。
【0029】請求項9記載のマイクロチップの製造方法
によれば、所定温度は、第2のガラス基板の軟化点の温
度より低いので、第2のガラス基板はその形状を維持す
ることができる。
【0030】請求項10記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項9記載のマイクロチップの製造方法におい
て、前記接合ステップは、前記接合の後に、前記第1の
ガラス基板と接合する前記第2のガラス基板の面と反対
側の面を研磨することを特徴とする。
【0031】請求項10記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合の後に、第1のガラス基板と接合する
第2のガラス基板の面と反対側の面を研磨するので、接
合の際の加熱後の第2のガラス基板の表面を、光熱変換
吸光分析法に使用できる程度の光学特性とすることがで
きる。
【0032】上記目的を達成するために、請求項11記
載のマイクロチップの製造方法は、スリットを有する板
状の第1のガラス基板の一方の面に、前記スリットの対
応位置に少なくとも2つの貫通孔を有する板状の第2の
ガラス基板を接合し、前記第一のガラス基板の他方の面
に前記第2のガラス基板と同じ材料からなる板状の第3
のガラス基板を接合する接合ステップを備えるマイクロ
チップの製造方法であって、前記第1のガラス基板と、
前記第2のガラス基板及び前記第3のガラス基板とは、
温度粘性曲線が互いに異なり、前記接合ステップは、前
記接合を前記第1のガラス基板〜前記第3のガラス基板
を所定温度に加熱することにより行うことを特徴とす
る。
【0033】請求項11記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第1のガラス基板と、第2のガラス基板及
び第3のガラス基板とは、温度粘性曲線が互いに異な
り、接合を第1のガラス基板〜第3のガラス基板を所定
温度に加熱することにより行うので、接合後、表面研磨
等をしなくてもマイクロチップを作製することができ
る。
【0034】請求項12記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項11記載のマイクロチップの製造方法にお
いて、前記第1のガラス基板〜前記第3のガラス基板の
各々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下である
ことを特徴する。
【0035】請求項12記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第1のガラス基板〜第3のガラス基板の各
々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下であるの
で、接合時に熱膨張率の違いによりマイクロチップ10
0に反りやクラックが生じることを防ぐことができる。
【0036】請求項13記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項11又は12記載のマイクロチップの製造
方法において、前記第1のガラス基板〜前記第3のガラ
ス基板は、化学的耐久性が強いことを特徴する。
【0037】請求項13記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第1のガラス基板〜第3のガラス基板は、
化学的耐久性が強いので、細胞等の生体試料、例えばD
NA解析用としての用途でマイクロチップを使用するこ
とができる。
【0038】請求項14記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載のマイ
クロチップの製造方法において、前記所定温度は、前記
第1のガラス基板の粘度(Logη)が11未満、前記
第2のガラス基板及び第3のガラス基板の粘度(Log
η)が11<Logηとなる温度であることを特徴とす
る。
【0039】請求項14記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の粘度(L
ogη)が11未満、第2のガラス基板及び第3のガラ
ス基板の粘度(Logη)が11<Logηとなる温度
であるので、第2のガラス基板及び第3のガラス基板
は、表面形状が変化しない程度の粘度を有するため、マ
イクロチップの測定面の光学特性を保持することができ
る。また、第1のガラス基板は、接合時、表面の粘性が
低くなり、その表面が第2のガラス基板及び第3のガラ
ス基板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表
面の接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱
変換吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマ
イクロチップを作製することができる。
【0040】請求項15記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項14記載のマイクロチップの製造方法にお
いて、前記所定温度は、前記第1のガラス基板の軟化点
の温度より低いことを特徴とする。
【0041】請求項15記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の軟化点の
温度より低いので、第1のガラス基板はその形状を維持
することができる。
【0042】請求項16記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項14又は15記載のマイクロチップの製造
方法において、前記所定温度は、前記第1のガラス基板
の粘度(Logη)が8.8≦Logη≦10.8であ
る温度であることを特徴とする。
【0043】請求項16記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の粘度(L
ogη)が8.8≦Logη≦10.8である温度であ
るので、マイクロチップ100の溝加工精度を高精度に
維持することができる。
【0044】請求項17記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項15乃至17のいずれか1項に記載のマイ
クロチップの製造方法において、前記接合の後に前記第
2,3のガラスの表面を研磨することを特徴とする。
【0045】請求項17記載のマイクロチップの製造方
法によれば、前記接合の後に前記第2,3のガラスの表
面を研磨するので、確実に光熱変換吸収分析をすること
ができるマイクロチップを製造することができる。
【0046】請求項18記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載のマイ
クロチップの製造方法において、前記所定温度は、前記
第2のガラス基板及び前記第3のガラス基板の粘度(L
ogη)が11未満、前記第1のガラス基板の粘度(L
ogη)が11<Logηとなる温度であることを特徴
とする。
【0047】請求項18記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合する際の所定温度は、第2のガラス基
板及び前記第3のガラス基板の粘度(Logη)が11
未満、第1のガラス基板の粘度(Logη)が11<L
ogηとなる温度であるので、第1のガラス基板は、表
面形状が変化しない程度の粘度を有するため、接合時
に、表面の粘性が低くなり、その表面が第2のガラス基
板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表面の
接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱変換
吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマイク
ロチップを作製することができる。
【0048】請求項19記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項18項に記載のマイクロチップの製造方法
において、前記所定温度は、前記第2のガラス基板及び
前記第3のガラス基板の軟化点の温度より低いことを特
徴とする。
【0049】請求項19記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第2のガラス基板及び第3のガラス基板の
軟化点の温度より低いので、第2のガラス基板及び第3
のガラス基板はその形状を維持することができる。
【0050】請求項20記載のマイクロチップの製造方
法は、請求項19項に記載のマイクロチップの製造方法
において、前記接合ステップは、前記接合の後に、前記
第1のガラス基板と接合する前記第2のガラス基板の面
と反対側の面を研磨することを特徴とする。
【0051】請求項20記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合の後に、第1のガラス基板と接合する
第2のガラス基板の面と反対側の面を研磨するので、接
合の後の第2のガラス基板の表面を、光熱変換吸光分析
法に使用できる程度の光学特性とすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記目的を達成すべ
く鋭意研究を行った結果、一方の面に溝が有する板状の
第1のガラス基板の前記一方の面に、前記溝の対応位置
に少なくとも2つの貫通孔を有する板状の第2のガラス
基板を接合する接合ステップを備えるマイクロチップの
製造方法であって、前記第1のガラス基板と前記第2の
ガラス基板は、温度粘性曲線が互いに異なり、前記接合
ステップは、前記接合を前記第1のガラス基板及び前記
第2のガラス基板を所定温度に加熱することにより行う
と、この2種の基板表面の接合面を加熱前に光学平面に
研磨しなくても、光熱変換吸光分析法に使用できる程度
の光学特性を有するマイクロチップを作製することがで
きることを見出した。
【0053】また、本発明者は、スリットを有する板状
の第1のガラス基板の一方の面に、スリットの対応位置
に少なくとも2つの貫通孔を有する板状の第2のガラス
基板を接合し、第一のガラス基板の他方の面に第2のガ
ラス基板と同じ材料からなる板状の第3のガラス基板を
接合する接合ステップを備えるマイクロチップの製造方
法であって、第1のガラス基板と、第2のガラス基板及
び第3のガラス基板とは、温度粘性曲線が互いに異な
り、接合ステップは、接合を第1のガラス基板〜第3の
ガラス基板を所定温度に加熱することにより行うと、接
合後、表面研磨等をしなくてもマイクロチップを作製す
ることができることを見出した。
【0054】本発明は、上記研究の結果に基づいてなさ
れたものである。
【0055】以下、図面を参照しながら本発明の実施の
形態に係るマイクロチップを図面を参照して詳細に説明
する。
【0056】図1は、本発明の実施の形態に係るマイク
ロチップの概略構成を示す図であり、(a)は、マイク
ロチップの分解斜視図であり、(b)は、マイクロチッ
プの平面図であり、(c)は、(b)の線A−A’につ
いての断面図であり、(d)は、(b)の線B−B’に
ついての断面図である。
【0057】図1において、マイクロチップ100は、
一方の面(以下、「接合面8」という。)に両端が夫々
二又に分岐した0.3±0.2mm幅の溝1が形成され
た基板7から成るベースプレート2と、ベースプレート
2の接合面8に接合された基板6から成るカバープレー
ト4とを備える。カバープレート4は、溝1の対応位置
に試料注入・排出用の貫通穴3を4つ有する(図1
(d))。溝1は、マイクロチップ100の微細流路5
を構成する。
【0058】基板6,7の材料としては、耐久性、耐薬
品性の面からガラスが望ましく、細胞等の生体試料、例
えばDNA解析用としての用途を考慮すると、化学的耐
久性のある(耐酸性、耐アルカリ性の高い)ガラス、具
体的には、硼珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミ
ノ硼珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が好
ましい。
【0059】上記マイクロチップ100の微細流路5を
適宜な形状に形成し、貫通穴3から適宜に液中試料を注
入・排出することにより、微細流路5中で液中試料の混
合、反応、分離、抽出、検出等が行われる。
【0060】図2は、図1のマイクロチップ100を用
いた光熱変換吸光分析システムの概略構成を示す図であ
る。図2において、マイクロチップ100は、図1
(b)の線A−A’についての断面図として示してい
る。
【0061】図2の光熱変換吸光分析システムは、マイ
クロチップ100の微細流路5内の液中試料に励起光及
び検出光を照射する照射部101と、マイクロチップ1
00の微細流路5を通過した励起光及び検出光を受光す
る受光部102とから成る。
【0062】照射部101は、試料を励起させる励起光
を出力する励起光用光源105と、励起光用光源105
が出力する励起光を変調する音響光学変調器107と、
音響光学変調器107によるブラック回折によって回折
された励起光を0次光と1次光に分離するプリズム11
1と、検出光を出力する検出光用光源106と、対物レ
ンズ130と、プリズム111からの1次光及び検出光
用光源106からの検出光を同軸的に対物レンズ130
を介してマイクロチップ100の微細流路5に照射させ
るダイクロミックミラー108とから成る。
【0063】受光部102は、流路付き板状部材2の微
細流路5を通過した励起光及び検出光を受光すると共
に、検出光のみを選択的に濾波する波長フィルタ403
と、濾波された検出光を検出する光電変換器401と、
光電変換器401からの信号を音響光学変調器107と
同期させるロックインアンプ404と、この信号をデー
タ解析するコンピュータ405とから成る。
【0064】尚、検出光の一部のみを選択的に透過させ
るため、マイクロチップ100と光電変換器401の間
にピンホールを配置してもよい。
【0065】励起光用光源105から出射された励起光
は、音響光学変調器107、プリズム111、ダイクロ
イックミラー108を介して対物レンズに入射する。一
方、検出光用光源106から出射された検出光は、ダイ
クロイックミラー108を介して対物レンズ130に入
射する。
【0066】この対物レンズ130に入射した励起光及
び検出光は、マイクロチップ100内部の微細流路5を
流れる試料に集光するようにマイクロチップ100に垂
直に入射する。
【0067】試料中に照射された励起光及び励起光によ
り励起され熱レンズ効果が生じた試料中に照射された検
出光のうち検出光のみが、波長フィルタ403で選択的
に透過した後、光電変換器401で電気信号に変換され
る。この電気信号に変換された検出光は、ロックインア
ンプ404で音響光学変調器107と同期し、コンピュ
ータ405で解析されることで光熱変換吸光分析が行わ
れる。
【0068】従って、マイクロチップ100の励起光及
び検出光が通過する部分、特に、これらの光を受光する
側のカバープレート4の面(以下、「測定面9」とい
う。)と、ベースプレート2の接合面8と、ベースプレ
ート2の他方の面(以下、「測定面10」という。)と
のヘイズ率、散乱率等の光学特性は、励起光及び検出光
の散乱・反射等を防止し、光熱変換吸光分析を正確に行
うことができる程度の特性が要求される。
【0069】図3は、マイクロチップ100の製造工程
を示す図である。
【0070】図3で示されるカバープレート4及びベー
スプレート2は、夫々図1(b)のB−B’面に沿った
断面である。
【0071】図3において、まず、カバープレート形成
が行なわれる(図3(a))。カバープレート4は、基
板6の所定位置にCO2レーザを照射し、貫通孔3を形
成することにより作製される。
【0072】次に、ベースプレート形成が行なわれる
(図3(b))。ベースプレート2は、基板7の表面に
下から順にCr膜11、フォトレジスト層12、マスキ
ングパターン13を形成し、その後、光を照射して、マ
スキングされていない部分に相当する基板7の表面を微
細加工するいわゆるフォトレジスト法により溝1を形成
する。
【0073】その後、カバープレート4に形成された貫
通孔3とベースプレート2に形成された溝1の位置が一
致するように、ベースプレート2の表面にカバープレー
ト4を載せた後、離型剤をベースプレート2の測定面1
0に塗布して所定の加熱台に載せ、後述する加温条件に
より接合する(図3(c))。これにより、接合面8と
なるベースプレート2及びカバープレート4夫々の表面
を光学平面に研磨することなく光熱変換吸光分析をする
ことができる程度の平面性を維持しつつ接合することが
できる。但し、接合後、測定面10の表面は研磨するこ
とで、光熱変換吸光分析をすることができる程度の平面
性を確保する必要がある。
【0074】さらに、基板7と基板6の線膨張係数の差
(絶対値Δαで表す)が19×10 -7/℃以下とするこ
とにより、接合時に熱膨張率の違いによりマイクロチッ
プ100に反りやクラックが生じることを防ぐ必要があ
る。
【0075】また、離型剤をベースプレートの測定面1
0に塗布する代わりに、ベースプレート2の下にカバー
プレート4と同じ基板6からなる板状部材であるボトム
プレート14に載せた状態で前述の所定の加熱台に載
せ、後述する加温条件により接合するようにしてもよ
い。これにより、マイクロチップ100の励起光及び検
出光が通過する部分である、接合面8及び測定面9以外
に、ボトムプレート14の両面のヘイズ率、散乱率等の
光学特性に関しても、励起光及び検出光の散乱・反射等
を防止し、光熱変換吸光分析を正確に行うことができ
る。
【0076】本実施の形態では、溝1はフォトレジスト
法により形成されていたが、これに限定されるわけでな
く、サンドブラスト法を用いても同様に形成することが
できる。
【0077】また、溝1は、CO2レーザを照射するこ
とによっても形成することができるが、この場合、基板
7には溝でなく貫通孔が形成されるため、この貫通孔を
形成されたベースプレート2を、カバープレート4とボ
トムプレート14とに挟みこむように接合し、微細流路
5を形成する(図3)。さらに、マイクロチップ100
の励起光及び検出光が通過する部分である、接合面8及
び測定面9以外に、ボトムプレート14の両面のヘイズ
率、散乱率等の光学特性に関しても、励起光及び検出光
の散乱・反射等を防止し、光熱変換吸光分析を正確に行
うことができる程度の特性が要求される。
【0078】また、上記貫通孔は、CO2レーザでなく
サンドブラスト法によっても形成することができる。
【0079】次に、図3の接合を行う際の加温条件につ
いて説明する。
【0080】図4は、基板6,7の温度粘性特性を示す
グラフであり、曲線aは、基板7の温度粘性特性を示す
グラフであり、曲線bは、基板6の温度粘性特性を示す
グラフである。
【0081】図4において、T1は、基板7の粘度がL
ogη=11であるときの温度、T2は、基板7が軟化
点にあるときの温度、T3は、基板6の粘度がLogη
=11であるときの温度を示す。
【0082】軟化点とは、別名リトルトン点といわれる
温度で、粘度がLogη=7.6となる温度をいう。
【0083】図3の接合の際の温度は、T1以上T3以
下となる必要がある。基板6は、T3以下の温度にある
とき、表面形状が変化しない程度の粘度を有するため、
マイクロチップ100の測定面9,10の光学特性を保
持することができる。また、基板7は、T1以上の温度
にあるとき、表面の粘性が低くなり、その表面が基板6
の表面に追随する結果、この2種の基板表面を加熱接合
の後に光学平面に研磨しなくても、光熱変換吸光分析法
に使用できる程度の光学特性を有するマイクロチップ1
00を作製することができる。
【0084】また、図3の接合の際の温度は、T2以下
である必要がある。基板7の軟化点(T2)以上の温度
にあるとき、基板7により構成されるカバープレートは
その形状を維持することができないからである。さら
に、図3(c)の接合の際の温度は、基板7の粘度が
8.8≦Logη≦10.8となる温度(T1’)であ
ることが好ましい。この温度範囲ではマイクロチップ1
00の溝加工精度を高精度に維持することができるから
である。
【0085】基板6及び基板7のΔαは、19×10-7
/℃未満である必要がある。Δαが19×10-7/℃以上
の場合、熱膨張率の違いにより、接合時にマイクロチッ
プ100に反りやクラックが生じるからである。
【0086】ベースプレート2の下にボトムプレート1
4が配されるマイクロチップの場合は、同じ温度条件で
接合するときのΔαが19×10-7であっても発生残留
ひずみが小さくなり、割れ、クラックが生じない。
【0087】ベースプレート2を基板7で、カバープレ
ート4を基板6で作製し、前述した加熱台に直接載せ
て、上記加熱条件により接合することで、マイクロチッ
プ100を作製することとも可能である。但し、この場
合は、カバープレート4の表面は接合時の加熱により、
光熱変換吸光分析法に使用できる程度の光学特性を維持
できないため、表面研磨を行う必要がある。
【0088】
【実施例】次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0089】(1)部材の選定 基板6,7は、化学的耐久性のある(耐酸性、耐アルカ
リ性の高い)ガラス、具体的には、硼珪酸ガラス(#7
740(コーニング社製)、AF45,SK18RH,
D263(ショット社製))、ソーダライムガラス(F
L1100(日本板硝子社製))、石英ガラス、無アル
カリガラス(NA35(N.H. Techno Co.社製))を用
いる。
【0090】例えば、#7740、D263,AF45
の耐酸性は5%塩酸に95℃で24時間入れたときの溶
出量が各々0.0045mg,0.02mg,5.2m
gとなり、耐アルカリ性は、5%水酸化ナトリウムに9
5℃で6時間入れたときの溶出量が各々1.4mg、
2.1mg、2.2mgとなる。
【0091】また、NA35、AF45、#7740、
D263、SK18RH、及びFL1100の各ガラス
の温度粘性特性を温度範囲550〜850℃により測定
した(図5)。1000度以下、粘度Logη=7〜1
0までの測定は、貫入型自動粘度測定計(日本板硝子社
製)を用いてペネトレーション法により行い、1000
度以下、粘度Logη=9〜17までの測定は、ビーム
ベンディング式粘度測定装置RHEORONIC 1
(東京工業(株)製)を用いて、ビームベンディング法
により行った。
【0092】以上の結果より、粘性がLogη=11で
あるときの温度が比較的高いNA35、SK18RH、
及びAF45を基板6として、即ちカバープレート、ボ
トムプレートの部材として選定した。
【0093】また、NA35、AF45、#7740、
D263、SK18RH、及びFL1100の各粘度が
Log7.6のときの温度、即ち軟化点は、順に940
度、883度、821度、736度、773度、及び6
35度であることがわかった。
【0094】さらに、NA35、AF45、#774
0、D263、SK18RH、及びFL1100の熱膨
張率を示差熱膨張計(理学電機(株)型式8098A
Z)より測定した結果、線膨張係数は、順に46×10
-7、45×10-7、32.5×10-7、65×10-7
84×10-7、及び88×10-7であることがわかっ
た。
【0095】(2)カバープレートの作製 カバープレートとして、縦32(mm)×横64(m
m)×厚さ0.7(mm)の基板6にCO2レーザを照
射して、マイクロチャンネルの端点位置に対応する4つ
の貫通孔(径0.5mm)を形成した。この4つの貫通
孔のうち、2つの貫通孔は試料注入口となり、残りの2
つの貫通孔は試料排出口として使用した。
【0096】(3)ベースプレートの作製 ベースプレートとして、縦32(mm)×横64(m
m)×厚さ0.7(mm)の基板7を準備した。
【0097】実施例1〜10及び比較例1〜13につい
ては、この基板7にフォトレジスト法により幅100〜
200μm、深さ50〜100μmのダブル逆Y字形状
(図1(a))の溝1を形成した。
【0098】(4)接合 ベースプレートの溝部分がカバープレートに覆われるよ
うにカバープレートを載せた。さらに、カバープレート
の上部には重し用のアルミナの板を置いた。
【0099】実施例1〜5及び比較例1〜6について
は、このカバープレートを乗せたベースプレートを基板
6からなる縦35(mm)×横70(mm)×厚さ10
(mm)のボトムプレートの上に載せた。その後、ボト
ムプレートを加熱台に置き、基板6,7として使用され
る材料に応じて表1に示すように加熱条件を変えて接合
し、マイクロチップを作製した。
【0100】実施例6〜10及び比較例7〜12につい
ては、このカバープレートを乗せたベースプレートの底
の部分に離型剤として、蒸着膜を成膜して、加熱台に置
き、基板6,7として使用される材料に応じて表1に示
すように加熱条件を変えて接合し、マイクロチップを作
製した。
【0101】比較例13については、ベースプレートと
カバープレートの間にフッ化水素酸を挟み加圧装置にて
加圧して接合し、マイクロチップを作製した。
【0102】
【表1】
【0103】(4)評価方法 作製したマイクロチップの以下のサンプルについて、外
観観察を行った。
【0104】実施例1は、基板6としてNA35、基板
7として#7740を使用してサンプルを作製した。加
熱温度を700℃に設定することで、NA35の粘度を
Logη=13.5とし、#7740の粘度をLogη
=9.7とすることにより、基板6から成るカバープレ
ート及びボトムプレートと基板7から成るベースプレー
トととを接合した。また、この2種のガラスのΔαは、
4.5×10-7/℃であった。
【0105】実施例1によれば、NA35の表面は接合
前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果を利
用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイクロチ
ップを製造することができることがわかった。
【0106】実施例2は、基板6としてAF45、基板
7として#7740を使用してサンプルを作製した。加
熱温度を700℃に設定することで、AF45の粘度を
Logη=11.8とし、#7740の粘度をLogη
=9.7とすることにより、基板6から成るカバープレ
ート及びボトムプレートと基板7から成るベースプレー
トととを接合した。また、この2種のガラスのΔαは、
12.5×10-7/℃であった。
【0107】実施例2によれば、AF45の表面は接合
前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果を利
用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイクロチ
ップを製造することができることがわかった。
【0108】実施例3は、基板6としてNA35、基板
7としてAF45を使用してサンプルを作製した。加熱
温度を750℃に設定することで、NA35の粘度をL
ogη=11.8とし、AF45の粘度をLogη=1
0.8とすることにより、基板6から成るカバープレー
ト及びボトムプレートと基板7から成るベースプレート
とを接合した。また、この2種のガラスのΔαは、8.
0×10-7/℃であった。
【0109】実施例3によれば、NA35の表面は接合
前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果を利
用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイクロチ
ップを製造することができることがわかった。
【0110】実施例4は、基板6としてSK18RH、
基板7としてFL1100を使用してサンプルを作製し
た。加熱温度を610℃に設定することで、SK18R
Hの粘度をLogη=17とし、FL1100の粘度を
Logη=10.8とすることにより、基板6から成る
カバープレート及びボトムプレートと基板7から成るベ
ースプレートとを接合した。また、この2種のガラスの
Δαは、4.0×10 -7/℃であった。
【0111】実施例4によれば、SK18RHの表面は
接合前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果
を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイク
ロチップを製造することができることがわかった。
【0112】実施例5は、基板6としてSK18RH、
基板7としてD263を使用してサンプルを作製した。
加熱温度を650℃に設定することで、SK18RHの
粘度をLogη=13.7とし、D263の粘度をLo
gη=9.8とすることにより、基板6から成るカバー
プレート及びボトムプレートと基板7から成るベースプ
レートとを接合した。また、この2種のガラスのΔα
は、19.0×10-7/℃であった。
【0113】実施例5によれば、SK18RHの表面は
接合前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果
を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイク
ロチップを製造することができることがわかった。
【0114】上記実施例1〜5までのサンプル作製の結
果から、ベースプレートをカバープレートとボトムプレ
ートで挟むようにして接合する場合、接合時のベースプ
レートの粘度がLogη=11.8〜15.2、カバー
プレート及びボトムプレートの粘度がLogη=9.7
〜10.8となるように、即ち、ベースプレートの粘度
が11<Logη、カバープレート及びボトムプレート
の粘度が9.7≦Logη≦10.8となるよう加熱温
度を設定すると、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光
分析を行うことが可能なマイクロチップを製造すること
ができることがわかった。
【0115】また、Δαが、4.0〜19×10-7/℃
の範囲にあるとき、即ち、Δαが19×10-7/℃以下
であるとき、ボトムプレートがベースプレートの下に配
される実施例1〜5のマイクロチップである場合、発生
残留ひずみが小さくなるため、反りやクラックが発生し
ないことがわかった。
【0116】実施例6は、基板6としてNA35、基板
7として#7740を使用してサンプルを作製した。ベ
ースプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を7
50℃に設定することで、NA35の粘度をLogη=
11.8とし、#7740の粘度をLogη=8.8と
することにより、基板6から成るカバープレートと基板
7から成るベースプレートを接合した。このとき、離型
剤の塗布方法は、Pt膜のスパッタリングによるものと
した。また、この2種のガラスのΔαは、4.5×10
-7/℃であった。
【0117】実施例6によれば、#7740の離型剤側
表面に加熱台の表面凹凸が転写された(以下、「インプ
レッションが生じた」という。)ものの、#7740の
表面は熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行う
ことが可能である程度であることがわかった。
【0118】実施例7は、基板6としてAF45、基板
7として#7740を使用してサンプルを作製した。ベ
ースプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を7
20℃に設定することで、AF45の粘度をLogη=
11.2とし、#7740の粘度をLogη=9.3と
することにより、基板6から成るカバープレートと基板
7から成るベースプレートを接合した。このとき、離型
剤の塗布方法は、Pt膜のスパッタリングによるものと
した。また、この2種のガラスのΔαは、12.5×1
-7/℃であった。
【0119】実施例7によれば、#7740の離型剤側
にインプレッションが生じたものの、#7740の表面
は熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行うこと
が可能である程度であることがわかった。
【0120】実施例8は、基板6としてNA35、基板
7としてAF45を使用してサンプルを作製した。ベー
スプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を77
0℃に設定することで、NA35の粘度をLogη=1
1.2とし、AF45の粘度をLogη=9.8とする
ことにより、基板6から成るカバープレートと基板7か
ら成るベースプレートを接合した。このとき、離型剤の
塗布方法は、Pt膜のスパッタリングによるものとし
た。また、この2種のガラスのΔαは、8.0×10-7
/℃であった。
【0121】実施例8によれば、AF45の離型剤側に
インプレッションが生じたものの、AF45の表面は熱
レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可
能である程度であることがわかった。
【0122】実施例9は、基板6としてSK18RH、
基板7としてD263を使用してサンプルを作製した。
ベースプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を
680℃に設定することで、SK18RHの粘度をLo
gη=11.8とし、D263の粘度をLogη=8.
9とすることにより、基板6から成るカバープレートと
基板7から成るベースプレートを接合した。このとき、
離型剤の塗布方法は、DLC(ダイヤモンドライクカー
ボン)膜の蒸着によるものとした。また、この2種のガ
ラスのΔαは、19.0×10-7/℃であった。
【0123】実施例9によれば、D263の離型剤側に
インプレッションが生じたものの、D263の表面は熱
レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可
能である程度であることがわかった。
【0124】実施例10は、基板6としてSK18R
H、基板7としてFL1100を使用してサンプルを作
製した。ベースプレートの底に離型剤を塗布した後の加
熱温度を650℃に設定することで、SK18RHの粘
度をLogη=13.7とし、FL1100の粘度をL
ogη=9.6とすることにより、基板6から成るカバ
ープレートと基板7から成るベースプレートを接合し
た。このとき、離型剤の塗布方法は、DLC膜の蒸着に
よるものとした。また、この2種のガラスのΔαは、
4.0×10-7/℃であった。
【0125】実施例10によれば、FL1100の蒸着
膜側にインプレッションが生じたものの、FL1100
の表面は熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行
うことが可能である程度であることがわかった。
【0126】上記実施例6〜9までのサンプル作製の結
果から、底に離型剤を塗布して、ベースプレートとカバ
ープレートを接合する場合、接合時のベースプレートの
粘度が11.2〜11.8、カバープレート及びボトム
プレートの粘度が8.8〜9.8となるように、即ち、
ベースプレートの粘度が11<Logη、カバープレー
ト及びボトムプレートの粘度が8.8≦Logη≦1
0.8となるように加熱温度を設定すると、熱レンズ効
果を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイ
クロチップを製造することができることがわかった。
【0127】以上、実施例1〜9の結果から、ベースプ
レートの粘度は11<Logη、ボトムプレートの粘度
が8.8≦Logη≦10.8となるように加熱温度を
設定すると、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析
を行うことが可能なマイクロチップを製造することがで
きることがわかった。また、底に蒸着膜を塗布して、ベ
ースプレートとカバープレートを接合する場合も同様の
条件により、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析
を行うことが可能なマイクロチップを製造することがで
きることがわかった。
【0128】また、基板6及び基板7のΔαが、4.0
〜19.0×10-7/℃の範囲にあるとき、即ち、Δα
が19×10-7/℃以下であるとき、熱膨張率に大きな
違いがないため反りやクラックが発生しないことがわか
った。
【0129】以上の結果から、接合時にボトムプレート
を使用する場合も離型剤を使用する場合も、カバープレ
ートの粘度が8.8≦Logη≦10.8であるとき
は、確実に熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を
行うことが可能なマイクロチップを製造することができ
ることがわかった。
【0130】これらに対し、比較例1は、基板6,7と
して、#7740を使用してサンプルを作製した。加熱
温度を650℃に設定することで、#7740の粘度を
Logη=10.7とすることにより、基板6から成る
カバープレート及びボトムプレートと基板7から成るベ
ースプレートとを接合した。
【0131】比較例1によれば、加熱台の表面転写が少
しあり、また泡残りが多いため、表面研磨が必須とな
り、このままの状態で熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析を行うことはこのサンプルではできないことが
わかった。
【0132】比較例2は、基板6,7としてAF45を
使用してサンプルを作製した。加熱温度を750℃に設
定することで、AF45の粘度をLogη=10.8と
することにより、基板6から成るカバープレート及びボ
トムプレートと基板7から成るベースプレートとを接合
した。
【0133】比較例2によれば、加熱台の表面転写が少
しあり、また泡残りが多いため、表面研磨が必須とな
り、このままの状態で熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析を行うことはこのサンプルではできないことが
わかった。
【0134】比較例3は、基板6としてAF45、基板
7としてD263を使用してサンプルを作製した。加熱
温度を650℃に設定することで、AF45の粘度をL
ogη=13.6、D263の粘度をLogη=9.8
とすることにより、基板6から成るカバープレート及び
ボトムプレートと基板7から成るベースプレートとを接
合した。また、この2種のガラスのΔαは、20×10
-7/℃であった。
【0135】比較例3によれば、この2種のガラスのΔ
αが19×10-7/℃より大きいときは、割れが生じ、
熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行うことは
できないことがわかった。
【0136】比較例4は、基板6,7としてD263を
使用してサンプルを作製した。加熱温度を650℃に設
定することで、D263の粘度をLogη=9.8とす
ることにより、基板6から成るカバープレート及びボト
ムプレートと基板7から成るベースプレートとを接合し
た。
【0137】比較例4によれば、加熱台の表面転写が少
しあり、また泡残りが多いため、表面研磨が必須とな
り、このままの状態で熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析を行うことはこのサンプルではできないことが
わかった。
【0138】比較例5は、基板6,7としてNA35を
使用してサンプルを作製した。加熱温度を770℃に設
定することで、NA35の粘度をLogη=11.2と
することにより、基板6から成るカバープレート及びボ
トムプレートと基板7から成るベースプレートとを接合
した。
【0139】比較例5によれば、加熱台の表面転写が少
しあり、また泡残りが多いため、表面研磨が必須とな
り、このままの状態で熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析を行うことはこのサンプルではできないことが
わかった。
【0140】比較例6は、基板6,7としてSK18R
Hを使用してサンプルを作製した。加熱温度を720℃
に設定することで、SK18RHの粘度をLogη=
9.7とすることにより、基板6から成るカバープレー
ト及びボトムプレートと基板7から成るベースプレート
とを接合した。
【0141】比較例6によれば、加熱台の表面転写が少
しあり、また泡残りが多いため、表面研磨が必須とな
り、このままの状態で熱レンズ効果を利用した光熱変換
吸光分析を行うことはこのサンプルではできないことが
わかった。
【0142】上記比較例1〜5までのサンプル作製の結
果から、ベースプレートをカバープレートとボトムプレ
ートで挟むようにして接合する場合、基板6及び基板7
の材料が全く同じであるときは、接合時のカバープレー
トの粘度として最も望ましい粘度範囲8.8≦Logη
≦10.8となるよう加熱温度を設定しても、加熱台の
表面転写が少しあり、また泡残りが多いため、表面研磨
が必須となることがわかった。また、Δαが19×10
-7/℃より大きいときは、接合時のベースプレート及び
ボトムプレートの粘度として最も望ましい粘度範囲11
<Logηとし、同じく接合時のカバープレートの粘度
として最も望ましい粘度範囲8.8≦Logη≦10.
8となるよう加熱温度を設定しても、割れが生じること
がわかった。
【0143】比較例7は、基板6,7として#7740
を使用してサンプルを作製した。ベースプレートの底に
離型剤を塗布した後の加熱温度を700℃に設定するこ
とで、#7740の粘度をLogη=9.7とすること
により、基板6から成るカバープレートと基板7から成
るベースプレートを接合した。このとき、離型剤の塗布
方法は、窒化ホウ素(BN)のスプレーによるものとし
た。以下、比較例8〜12についても、同様の離型剤の
塗布方法を用いた。
【0144】比較例7によれば、離型剤コート面に転写
が多く、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行
うことはこのサンプルではできないことがわかった。
【0145】比較例8は、基板6としてAF45、基板
7としてAF45を使用してサンプルを作製した。ベー
スプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を77
0℃に設定することで、AF45の粘度をLogη=
9.8とすることにより、基板6から成るカバープレー
トと基板7から成るベースプレートを接合した。
【0146】比較例8によれば、離型剤コート面に転写
が多く、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を行
うことはこのサンプルではできないことがわかった。
【0147】比較例9は、基板6としてAF45、基板
7としてD263を使用してサンプルを作製した。ベー
スプレートの底に離型剤を塗布した後の加熱温度を68
0℃に設定することで、AF45の粘度をLogη=1
2.4とし、D263の粘度をLogη=8.9とする
ことにより、基板6から成るカバープレートと基板7か
ら成るベースプレートを接合した。また、この2種のガ
ラスのΔαは、20.0×10-7/℃であった。
【0148】比較例9によれば、割れが生じ、熱レンズ
効果を利用した光熱変換吸光分析を行うことはこのサン
プルではできないことがわかった。これは、2種のガラ
スのΔαが大きいためであると考えられる。
【0149】比較例10は、基板6,7としてD263
を使用してサンプルを作製した。ベースプレートの底に
離型剤を塗布した後の加熱温度を650℃に設定するこ
とで、D263粘度をLogη=9.8とすることによ
り、基板6から成るカバープレートと基板7から成るベ
ースプレートを接合した。
【0150】比較例10によれば、離型剤コート面に転
写が多く、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を
行うことはこのサンプルではできないことがわかった。
【0151】比較例11は、基板6,7としてNA35
を使用してサンプルを作製した。ベースプレートの底に
離型剤を塗布した後の加熱温度を800℃に設定するこ
とで、NA35の粘度をLogη=10.4とすること
により、基板6から成るカバープレートと基板7から成
るベースプレートを接合した。
【0152】比較例11によれば、離型剤コート面に転
写が多く、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を
行うことはこのサンプルではできないことがわかった。
【0153】比較例12は、基板6,7としてSK18
RHを使用してサンプルを作製した。ベースプレートの
底に離型剤を塗布した後の加熱温度を750℃に設定す
ることで、SK18RHの粘度をLogη=8.4とす
ることにより、基板6から成るカバープレートと基板7
から成るベースプレートを接合した。
【0154】比較例12によれば、離型剤コート面に転
写が多く、熱レンズ効果を利用した光熱変換吸光分析を
行うことはこのサンプルではできないことがわかった。
【0155】上記比較例6〜12までのサンプル作製の
結果から、底に離型剤を塗布して、ベースプレートとカ
バープレートを接合する場合、基板6及び基板7の材料
が全く同じであるときは、接合時のカバープレートの粘
度として、最も望ましい粘度範囲8.8≦Logη≦1
0.8となるよう加熱温度を設定しても、離型剤コート
面に転写が多いため、表面研磨が必須となることがわか
った。また、Δαが15.0×10-7/℃より大きいと
きは、接合時のベースプレート及びボトムプレートの粘
度として、最も望ましい粘度範囲11<Logηとし、
同じく接合時のカバープレートの粘度として、最も望ま
しい粘度範囲8.8≦Logη≦10.8となるよう加
熱温度を設定しても、割れが生じることがわかった。
【0156】比較例13は、基板6,7として石英ガラ
スを使用し、HFを接合面に塗布した後加圧することに
より、基板6から成るカバープレートと基板7から成る
ベースプレートを接合した。
【0157】比較例13によれば、石英ガラスの表面は
接合前の表面状態を維持することができ、熱レンズ効果
を利用した光熱変換吸光分析を行うことが可能なマイク
ロチップを製造することができることがわかった。しか
し、接合するためには、高圧で24時間以上維持しなく
てはならないことがわかった。
【0158】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1記
載のマイクロチップの製造方法によれば、温度粘性曲線
が互いに異なる第1のガラス基板と第2のガラス基板を
所定温度に加熱することにより接合するので、この2種
のガラス基板表面の接合面を加熱前に光学平面に研磨し
なくても、光熱変換吸光分析法に使用できる程度の光学
特性を有するマイクロチップを作製することができる。
【0159】請求項2記載のマイクロチップの製造方法
によれば、第1のガラス基板と第2のガラス基板の各々
は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下であるの
で、接合時に熱膨張率の違いによりマイクロチップ10
0に反りやクラックが生じることを防ぐことができる。
【0160】請求項3記載のマイクロチップの製造方法
によれば、第1のガラス基板と第2のガラス基板は、化
学的耐久性が強いので、細胞等の生体試料、例えばDN
A解析用としての用途でマイクロチップを使用すること
ができる。
【0161】請求項4記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の粘度(Logη)が11未満、第2のガラス基板の粘
度(Logη)が11<Logηとなる温度であるの
で、第2のガラス基板は、表面形状が変化しない程度の
粘度を有するため、マイクロチップの測定面の光学特性
を保持することができる。また、第1のガラス基板は、
接合時、表面の粘性が低くなり、その表面が第2のガラ
ス基板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表
面の接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱
変換吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマ
イクロチップを作製することができる。
【0162】請求項5記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の軟化点の温度より低いので、第1のガラス基板はその
形状を維持することができる。
【0163】請求項6記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合する際の所定温度は、第1のガラス基板
の粘度(Logη)が8.8≦Logη≦10.8であ
る温度であるので、マイクロチップ100の溝加工精度
を高精度に維持することができる。
【0164】請求項7記載のマイクロチップの製造方法
によれば、接合の前に第1のガラス基板の他方の面に離
型剤を塗布し、接合の後に第1のガラスの一方の面を研
磨するので、少ない部材で確実に光熱変換吸収分析をす
ることができるマイクロチップを製造することができ
る。
【0165】請求項8記載のマイクロチップの製造方法
によれば、所定温度は、第2のガラス基板の粘度(Lo
gη)が11未満、第1のガラス基板の粘度(Log
η)が11<Logηとなる温度であるので、第1のガ
ラス基板は、表面形状が変化しない程度の粘度を有する
ため、接合時に第1のガラス基板の底に離型剤を塗布し
たり、第1のガラス基板及び第2のガラス基板以外のガ
ラス基板を使用しなくてもマイクロチップを作製するこ
とができる。また、接合時、第1のガラス基板は、表面
の粘性が低くなり、その表面が第2のガラス基板の表面
に追随する結果、この2種のガラス基板表面の接合面を
加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱変換吸光分析
法に使用できる程度の光学特性を有するマイクロチップ
を作製することができる。
【0166】請求項9記載のマイクロチップの製造方法
によれば、所定温度は、第2のガラス基板の軟化点の温
度より低いので、第2のガラス基板はその形状を維持す
ることができる。
【0167】請求項10記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合の後に、第1のガラス基板と接合する
第2のガラス基板の面と反対側の面を研磨するので、接
合の際の加熱後の第2のガラス基板の表面を、光熱変換
吸光分析法に使用できる程度の光学特性とすることがで
きる。
【0168】以上詳細に説明したように、請求項11記
載のマイクロチップの製造方法によれば、第1のガラス
基板と、第2のガラス基板及び第3のガラス基板とは、
温度粘性曲線が互いに異なり、接合を第1のガラス基板
〜第3のガラス基板を所定温度に加熱することにより行
うので、接合後、表面研磨等をしなくてもマイクロチッ
プを作製することができる。
【0169】請求項12記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第1のガラス基板〜第3のガラス基板の各
々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以下であるの
で、接合時に熱膨張率の違いによりマイクロチップ10
0に反りやクラックが生じることを防ぐことができる。
【0170】請求項13記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第1のガラス基板〜第3のガラス基板は、
化学的耐久性が強いので、細胞等の生体試料、例えばD
NA解析用としての用途でマイクロチップを使用するこ
とができる。
【0171】請求項14記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の粘度(L
ogη)が11未満、第2のガラス基板及び第3のガラ
ス基板の粘度(Logη)が11<Logηとなる温度
であるので、第2のガラス基板及び第3のガラス基板
は、表面形状が変化しない程度の粘度を有するため、マ
イクロチップの測定面の光学特性を保持することができ
る。また、第1のガラス基板は、接合時、表面の粘性が
低くなり、その表面が第2のガラス基板及び第3のガラ
ス基板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表
面の接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱
変換吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマ
イクロチップを作製することができる。
【0172】請求項15記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の軟化点の
温度より低いので、第1のガラス基板はその形状を維持
することができる。
【0173】請求項16記載のマイクロチップの製造方
法によれば、所定温度は、第1のガラス基板の粘度(L
ogη)が8.8≦Logη≦10.8である温度であ
るので、マイクロチップ100の溝加工精度を高精度に
維持することができる。
【0174】請求項17記載のマイクロチップの製造方
法によれば、前記接合の後に前記第2,3のガラスの表
面を研磨するので、確実に光熱変換吸収分析をすること
ができるマイクロチップを製造することができる。
【0175】請求項18記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合する際の所定温度は、第2のガラス基
板及び前記第3のガラス基板の粘度(Logη)が11
未満、第1のガラス基板の粘度(Logη)が11<L
ogηとなる温度であるので、第1のガラス基板は、表
面形状が変化しない程度の粘度を有するため、接合時
に、表面の粘性が低くなり、その表面が第2のガラス基
板の表面に追随する結果、この2種のガラス基板表面の
接合面を加熱前に光学平面に研磨しなくても、光熱変換
吸光分析法に使用できる程度の光学特性を有するマイク
ロチップを作製することができる。
【0176】請求項19記載のマイクロチップの製造方
法によれば、第2のガラス基板及び第3のガラス基板の
軟化点の温度より低いので、第2のガラス基板及び第3
のガラス基板はその形状を維持することができる。
【0177】請求項20記載のマイクロチップの製造方
法によれば、接合の後に、第1のガラス基板と接合する
第2のガラス基板の面と反対側の面を研磨するので、接
合の後の第2のガラス基板の表面を、光熱変換吸光分析
法に使用できる程度の光学特性とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るマイクロチップの概
略構成を示す図であり、(a)は、マイクロチップの分
解斜視図であり、(b)は、マイクロチップの平面図で
あり、(c)は、(b)の線A−A’についての断面図
であり、(d)は、(b)の線B−B’についての断面
図である。
【図2】図1のマイクロチップ100を用いた光熱変換
吸光分析システムの概略構成を示す図である。
【図3】マイクロチップ100の製造工程を示す図であ
る。
【図4】基板6,7の温度粘性特性を示すグラフであ
り、曲線(a)は、基板7の温度粘性特性を示すグラフ
であり、曲線(b)は、基板6の温度粘性特性を示すグ
ラフである
【図5】NA35、AF45、#7740、D263、
SK18RH、及びFL1100の各ガラスの温度粘性
曲線を示すグラフである。
【符合の説明】
100 マイクロチップ 1 溝 2 ベースプレート 3 貫通穴 4 カバープレート 5 微細流路 6 基板 7 基板

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の面に溝が有する板状の第1のガラ
    ス基板の前記一方の面に、前記溝の対応位置に少なくと
    も2つの貫通孔を有する板状の第2のガラス基板を接合
    する接合ステップを備えるマイクロチップの製造方法で
    あって、 前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板は、温度
    粘性曲線が互いに異なり、 前記接合ステップは、前記接合を前記第1のガラス基板
    及び前記第2のガラス基板を所定温度に加熱することに
    より行うことを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1のガラス基板と前記第2のガラ
    ス基板の各々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃以
    下であることを特徴する請求項1記載のマイクロチップ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のガラス基板と前記第2のガラ
    ス基板は、化学的耐久性が強いことを特徴する請求項1
    又は2記載のマイクロチップの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記所定温度は、前記第1のガラス基板
    の粘度(Logη)が11未満、前記第2のガラス基板
    の粘度(Logη)が11より大きい温度であることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイ
    クロチップの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記所定温度は、前記第1のガラス基板
    の軟化点の温度より低いことを特徴とする請求項4記載
    のマイクロチップの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記所定温度は、前記第1のガラス基板
    の粘度(Logη)が8.8≦Logη≦10.8以下
    である温度であることを特徴とする請求項4又は5記載
    のマイクロチップの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接合ステップは、前記接合の前に前
    記第1のガラス基板の他方の面に離型剤を塗布する塗布
    ステップを含み、前記接合の後に前記第1のガラスの一
    方の面を研磨することを特徴とする請求項4乃至6のい
    ずれか1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記所定温度は、前記第2のガラス基板
    の粘度(Logη)が11未満、前記第1のガラス基板
    の粘度(Logη)が11より大きい温度であることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイ
    クロチップの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記所定温度は、前記第2のガラス基板
    の軟化点の温度より低いことを特徴とする請求項8記載
    のマイクロチップの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記接合ステップは、前記接合の後
    に、前記第1のガラス基板と接合する前記第2のガラス
    基板の面と反対側の面を研磨することを特徴とする請求
    項9記載のマイクロチップの製造方法。
  11. 【請求項11】 スリットを有する板状の第1のガラス
    基板の一方の面に、前記スリットの対応位置に少なくと
    も2つの貫通孔を有する板状の第2のガラス基板を接合
    し、前記第1のガラス基板の他方の面に前記第2のガラ
    ス基板と同じ材料からなる板状の第3のガラス基板を接
    合する接合ステップを備えるマイクロチップの製造方法
    であって、 前記第1のガラス基板と、前記第2のガラス基板及び前
    記第3のガラス基板とは、温度粘性曲線が互いに異な
    り、 前記接合ステップは、前記接合を前記第1のガラス基板
    〜前記第3のガラス基板を所定温度に加熱することによ
    り行うことを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第1のガラス基板〜前記第3のガ
    ラス基板の各々は、線膨張係数の差が19×10-7/℃
    以下であることを特徴する請求項11記載のマイクロチ
    ップの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1のガラス基板〜前記第3のガ
    ラス基板は、化学的耐久性が強いことを特徴する請求項
    11又は12記載のマイクロチップの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記所定温度は、前記第1のガラス基
    板の粘度(Logη)が11未満、前記第2のガラス基
    板及び第3のガラス基板の粘度(Logη)が11より
    大きい温度であることを特徴とする請求項11乃至13
    のいずれか1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記所定温度は、前記第1のガラス基
    板の軟化点の温度より低いことを特徴とする請求項14
    記載のマイクロチップの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記所定温度は、前記第1のガラス基
    板の粘度(Logη)が8.8≦Logη≦10.8で
    ある温度であることを特徴とする請求項14又は15記
    載のマイクロチップの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記接合ステップは、前記接合の後に
    前記第2,3のガラスの表面を研磨することを特徴とす
    る請求項14乃至16のいずれか1項に記載のマイクロ
    チップの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記所定温度は、前記第2のガラス基
    板及び前記第3のガラス基板の粘度(Logη)が11
    未満、前記第1のガラス基板及び前記第3のガラス基板
    の粘度(Logη)が11より大きい温度であることを
    特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の
    マイクロチップの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記所定温度は、前記第2のガラス基
    板及び前記第3のガラス基板の軟化点の温度より低いこ
    とを特徴とする請求項18記載のマイクロチップの製造
    方法。
  20. 【請求項20】 前記接合ステップは、前記接合の後に
    前記第2のガラス基板の面で、前記第1のガラス基板の
    一方の面と接合する面と反対側の面を研磨することを特
    徴とする請求項19項に記載のマイクロチップの製造方
    法。
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