JP2023505906A - 低弾性率のイオン交換可能なガラス - Google Patents

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Abstract

Figure 2023505906000001
ヤング率の値に対するピーク圧縮応力値の比が14以上である、イオン交換済みのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品。このガラス物品は、18モル%以上のAlモル%+ROモル%を含み、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まないことがあり、ここで、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%である。このガラス物品は、850MPaから1400MPaの範囲のピーク圧縮応力値を有することがある。このガラス物品は、使用中に著しい曲げ応力を経験するカバーガラス用途、例えば、フレキシブルディスプレイ用のカバーガラスの用途を含む、様々な高強度用途に適している。

Description

優先権
本出願は、2019年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/947817号、および2020年2月12日に出願された蘭国特許出願第2024883号に優先権を主張するものである。
本開示は、イオン交換可能なガラス組成物に関する。詳しくは、ここに記載された実施の形態は、様々な業界、例えば、家庭用電化製品、輸送、建築、防衛、医薬品、および包装に使用するためのイオン交換可能なガラス組成物に関する。さらにより詳しくは、本開示は、カバーガラス用途、例えば、フレキシブルディスプレイ用のカバーガラスの用途のためのガラス組成物に関する。
多くの消費者向け製品、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯型メディアプレーヤー、パーソナルコンピュータ、およびカメラには、ディスプレイ用カバーとして機能することがあり、タッチ機能を備えることがあるカバーガラスが組み込まれている。多くの場合、これらの機器は、ユーザにより硬い表面に落とされ、これにより、カバーガラスが損傷を受けることがあり、機器の使用が悪影響を受けるかもしれず、例えば、タッチ機能が損なわれるかもしれない。
消費者向け家電製品用途のための折り畳めるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイは、薄い可撓性のイオン交換済みガラスから恩恵を受けるであろう。ガラスは、ガラス表面に圧縮応力を誘発させることを含む、イオン交換過程により屈曲劣化に対してより耐性を高めることができる。イオン交換過程を使用して導入される圧縮応力は、数ある中でも、ガラスを破壊させ得る傷を阻む働きをする。
したがって、カバーガラス用途を含む様々な用途に使用するための望ましい機械的性質を有するイオン交換可能なガラス組成物が継続的に必要とされている。
本開示は、様々な用途、例えば、電子機器のカバーガラス用途に適した強度および可撓性を有するイオン交換可能なガラス組成物に関する。ここに開示されたガラス組成物は、18モル%以上の(Alモル%+ROモル%)値を有する。そのガラス組成物は、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比を最大にするように設計されている。高い比、例えば、14以上の比により、ガラス組成物は、曲げ事象中の破壊に耐えることができる。また、イオン交換過程によりそのガラス組成物に与えられる強度のために、そのガラス組成物に、使用中の割れに抵抗するのに望ましい機械的性質が与えられる。
本出願の第1の態様(1)は、イオン交換済みのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品であって、SiO、13.5モル%以上のAl、1モル%から5モル%のMgO、CaO、NaOを含み、ここで、Alモル%+ROモル%≧18モル%、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まないガラス物品に関する。このガラス物品は、イオン交換される前のGPaで測定されるヤング率値、およびガラス物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層も有し、この圧縮応力層は、MPaで測定されるピーク圧縮応力値を有し、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比は、14以上である。
第2の態様(2)において、Alモル%+ROモル%≧20モル%である、第1の態様(1)によるガラス物品が提供される。
第3の態様(3)において、(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%である、第1の態様(1)または第2の態様(2)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第4の態様(4)において、7モル%≧(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%である、態様(1)~(3)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第5の態様(5)において、ガラス物品が、イオン交換される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、態様(1)~(4)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第6の態様(6)において、ガラス物品が0.5モル%から2モル%のCaOを含み、Alモル%+ROモル%≧20モル%である、態様(1)~(5)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第7の態様(7)において、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比が、15以上かつ18以下である、態様(1)~(6)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第8の態様(8)において、ヤング率値が70MPaから80MPaの範囲にある、態様(1)~(7)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第9の態様(9)において、ピーク圧縮応力が850MPaから1400MPaの範囲にある、態様(1)~(8)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第10の態様(10)において、圧縮深さが5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にある、態様(1)~(9)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第11の態様(11)において、圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、態様(1)~(9)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第12の態様(12)において、圧縮深さがガラス物品の厚さの5%から20%の範囲にある、態様(1)~(11)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第13の態様(13)において、ピーク圧縮応力が1100MPaから1350MPaの範囲にあり、圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、態様(1)~(12)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第14の態様(14)において、ガラス物品が、59モル%から66モル%のSiO、13.5モル%から20モル%のAl、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含む、態様(1)~(13)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第15の態様(15)において、ガラス物品が、60モル%から65モル%のSiO、16モル%から18モル%のAl、2モル%から4モル%のMgO、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含む、態様(1)~(13)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第16の態様(16)において、Alモル%+ROモル%≧20モル%である、第1の態様(15)によるガラス物品が提供される。
第17の態様(17)において、ガラス物品が16モル%以上のAlを含む、態様(1)~(13)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第18の態様(18)において、23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、(1)~(17)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第19の態様(19)において、(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))≧0.5である、(1)~(18)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第20の態様(20)において、(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))≧0.55である、(1)~(18)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第21の態様(21)において、ガラス物品が4ミリメートル以下の厚さを有する、(1)~(20)のいずれかによるガラス物品が提供される。
第22の態様(22)において、ガラス物品が15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、(1)~(20)のいずれかによるガラス物品が提供される。
本出願の第23の態様(23)は、電子ディスプレイおよびその電子ディスプレイを覆って配置された態様(1)~(22)のいずれかによるガラス物品を備えた電子機器に関する。
第24の態様(24)において、電子機器が、前面、背面、および側面を含む筐体と、その筐体の少なくとも部分的に内部にある電気部品であって、制御装置、メモリ、および筐体の前面にあるまたはそれに隣接した電子ディスプレイを含む電気部品とを備え、ガラス物品が筐体の少なくとも一部を形成する、第23の態様(23)による電子機器が提供される。
本出願の第25の態様(25)は、イオン交換済みガラス物品であって、59モル%から66モル%のSiO、13.5モル%から20モル%のAl、1モル%から5モル%のMgO、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含み、ガラス物品のイオン交換前のGPaで測定されるヤング率値、およびイオン交換済みガラス物品の表面から延在し、MPaで測定されるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層を有し、Alモル%+ROモル%≧18モル%、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まず、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比は、14以上かつ18以下である、イオン交換済みガラス物品に関する。
第26の態様(26)において、ガラス物品が、60モル%から65モル%のSiO、16モル%から18モル%のAl、2モル%から4モル%のMgO、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含む、第25の態様(25)によるガラス物品が提供される。
第27の態様(27)において、ガラス物品が、20マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、第25の態様(25)または第26の態様(26)のいずれかのガラス物品が提供される。
本出願の第28の態様(28)は、ガラス物品を強化する方法であって、SiO、13.5モル%以上のAl、1モル%から5モル%のMgO、CaO、およびNaOを含み、ここで、Alモル%+ROモル%≧18モル%、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まないガラス物品を、50質量%以上のカリウム塩を含むイオン交換溶液中に浸漬する工程、および350℃から480℃の範囲の温度で1時間から24時間の範囲の期間に亘りそのガラス物品をそのイオン交換溶液中でイオン交換して、ガラス物品の表面から圧縮深さまで延在し、850MPaから1400MPaの範囲にあるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層を達成する工程を有してなる方法に関する。
第29の態様(29)において、圧縮深さが5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にある、第28の態様(28)による方法が提供される。
第30の態様(30)において、圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、第28の態様(28)による方法が提供される。
第31の態様(31)において、ピーク圧縮応力値が1100MPaから1350MPaの範囲にあり、圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、態様(28)~(30)のいずれかによる方法が提供される。
第32の態様(32)において、期間が1時間から8時間の範囲にある、態様(28)~(31)のいずれかによる方法が提供される。
第33の態様(33)において、ガラス物品が、イオン交換溶液中に浸漬される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、態様(28)~(32)のいずれかによる方法が提供される。
第34の態様(34)において、ガラス物品が、イオン交換溶液中に浸漬される前にGPaで測定されるヤング率値を有し、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比が、14以上かつ18以下である、態様(28)~(33)のいずれかによる方法が提供される。
第35の態様(35)において、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比が、15以上かつ18以下である、第34の態様(34)による方法が提供される。
第36の態様(36)において、ガラス物品が、59モル%から66モル%のSiO、13.5モル%から20モル%のAl、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含む、態様(28)~(35)のいずれかによる方法が提供される。
第37の態様(37)において、ガラス物品が、60モル%から65モル%のSiO、16モル%から18モル%のAl、2モル%から4モル%のMgO、0.5モル%から2モル%のCaO、および15モル%から18モル%のNaOを含む、態様(28)~(35)のいずれかによる方法が提供される。
第38の態様(38)において、23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、態様(28)~(37)のいずれかによる方法が提供される。
第39の態様(39)において、ガラス物品が4ミリメートル以下の厚さを有する、態様(28)~(38)のいずれかによる方法が提供される。
第40の態様(40)において、ガラス物品が15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、態様(28)~(38)のいずれかによる方法が提供される。
ここに組み込まれる添付図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の実施の形態を図解する。これらの図面は、説明と共に、開示された実施の形態の原理を説明し、当業者が開示された実施の形態を作成し、利用できるようにさらに機能する。これらの図面は、説明に役立つことを意図しており、限定を意図するものではない。本開示は、これらの実施の形態の文脈で広く記載されているが、本開示の範囲をこれらの特定の実施の形態に限定する意図はないことを理解すべきである。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に類似の要素を示す。
いくつかの実施の形態による、圧縮応力領域を有するガラス物品の断面図 ガラス物品を曲げる際の、いくつかの実施の形態によるガラス物品の断面図 ここに開示されたガラス物品のいずれかによるガラス物品を組み込んだ例示の電子機器の上面図 図3Aの例示の電子機器の斜視図 様々な例示のガラス組成物に関する層の深さに対する圧縮応力のグラフ ガラス物品の表面からの様々な深さでの曲げの最中にガラス物品に印加される応力をモデル化したグラフ 様々な例示のガラス組成物に関するガラスの厚さの関数としての曲げ試験の安全プレート間隔をモデル化したグラフ
以下の例は、本開示を例示するものであるが、限定するものではない。当該技術分野で通常遭遇する様々な条件およびパラメータの他の適切な変更および適応は、当業者には明らかであろうが、本開示の精神および範囲に含まれる。
ここに記載されたガラスは、高いピーク圧縮応力を達成するためにイオン交換されることがあるイオン交換可能なアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの一群である。ここに用いられているように、「イオン交換可能」とは、ガラス組成物、またはその組成物から作られたガラス物品が、基板の表面またはその近くに位置する第1の陽イオンを同じ価数の第2の陽イオンと交換することができることを意味する。第1のイオンは、ナトリウムのイオンであることがある。第2のイオンは、カリウム、ルビジウム、およびセシウムの内の1つのイオンであることがあり、ただし、第2のイオンは、第1のイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有することが条件である。第1のイオンは、その酸化物(例えば、NaO)としてガラス系基板中に存在する。ここに用いられているように、「イオン交換済みガラス」または「化学強化済みガラス」は、ガラスの表面またはその近くに位置する陽イオンを同じ価数の陽イオンと交換するイオン交換過程が少なくとも1回施されたガラスを意味する。
ここに記載されたガラス組成物は、高いピーク圧縮応力を達成するためにイオン交換することができる。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、約1000MPa以上かつ約1400MPaまでのピーク圧縮応力を達成するためにイオン交換されることがある。イオン交換過程中に与えられる高いピーク圧縮応力は、浅い傷サイズ分布でガラスに高い強度を与え、それによって曲げ中の破壊を防ぐことができる。この高いピーク圧縮応力は、ガラスが正味の圧縮を保持し、それゆえ、きつい半径の周りでガラスが曲げられるときに、表面傷を抑えることを可能にする。ここに記載された実施の形態によるガラスは、低いヤング率を有し、その結果、曲げの際の曲げ応力値がより低くなり、それゆえ、曲げ事象の最中の破壊を防ぐことができる。
さらに、ここに開示されたガラス組成物は、イオン交換過程によって生じた圧縮領域について、広い圧縮深さ範囲に亘り14以上の、ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比(ピーク圧縮応力値/ヤング率値、CS/E、ここで、CSはMPaで表され、EはGPaで表される)を有する。イオン交換過程中に与えられる表面圧縮応力は、ヤング率を高くすることが、圧縮応力を向上させる一般的な方法であるという点で、ヤング率の影響を強く受けるため、この比を増加させることは困難である。すなわち、ヤング率は、網状構造の剛性を示す尺度である。例えば、KイオンをNa部位に交換すると、圧縮応力が生じるが、網状構造が堅くなるにつれて(ヤング率を増加させることによって)、膨張応力がより高くなる。したがって、CSを高くする一般的な方法の1つは、単にヤング率を増加させることであるが、本開示で行われたのは、ヤング率を大幅に増加させずにCSを増加させることである。高いCS/E比を有すると、このガラス組成物は、イオン交換後であっても可撓性を維持することができる。ここに記載されたガラス組成物は、イオン交換前に十分に低いヤング率を有し、イオン交換過程中に与えられる圧縮応力の値は、広い圧縮深さ範囲に亘り高いCS/E比を達成するために十分に高い。この結果、可撓性であり、かつ高い表面圧縮応力値も得るガラス組成物が得られる。このガラス組成物は、イオン交換過程中に起こり得る応力緩和に抵抗するため、大きい圧縮深さ、例えば、50マイクロメートル(μm)もの大きい深さで、高い表面圧縮応力を得ることができる。応力緩和は、高温と時間の経過でより顕著になり得、大きい圧縮深さを与えるように設計されたイオン交換過程中に生じる傾向がある。ここに記載されたガラス組成物のこれらの特性のために、そのガラス組成物は、例えば、フレキシブルディスプレイおよび折り畳み式ディスプレイのカバーガラスとして、使用中に著しい曲げ応力を経験する高強度カバーガラス用途を含む様々な産業用途に適したものとなる。
ここに用いたように、「ピーク圧縮応力」は、圧縮応力領域内で測定された最高の圧縮応力(CS)値を称する。いくつかの実施の形態において、ピーク圧縮応力は、ガラスの表面に位置している。他の実施の形態において、ピーク圧縮応力は、表面より下のある深さで生じ、圧縮応力プロファイルに「埋もれたピーク(buried peak)」が現れることがある。特に明記のない限り、圧縮応力(表面CSを含む)は、例えば、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM-6000などの市販の計器を使用して表面応力計(FSM)によって測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。SOCは、次に、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。
ここに用いられているように、「圧縮深さ」(DOC)は、ガラス物品内の応力が圧縮から引張に変化する深さを称する。DOCにおいて、応力は、圧縮応力から引張応力に交差し、それゆえ、ゼロの応力値を示す。圧縮深さおよび層の深さは、表面応力計、例えばFSM-6000表面応力計によって測定することができる。ここに用いられているように、「層の深さ」(DOL)は、金属酸化物のイオンがガラス物品中に拡散し、そのイオンの濃度が最小値に達するガラス物品内の深さを称する。カリウムのみがガラス物品中にイオン交換される実施の形態において、DOCはDOLと等しくなり得る。特に明記のない限り、DOCとDOLは同じである。
ここに記載されたガラス組成物はまた、合理的なコストで製造することができる。このガラス組成物は、特定の製造技術、例えば、スロットドロー法にとって、適切に高い液相温度および適切に低い液相粘度を示す。これらの熱的性質は、この組成物でできているガラス物品の製造の容易さを高めることができ、それにより、コストを低下させることができる。本開示に記載されたガラス組成物は、数ある中でも、酸化アルミニウム含有量、酸化マグネシウム含有量、および製造中の溶融を助けるNaOモル%+ROモル%≧Alモル%の値を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、50kP(キロポアズ)から500kPの範囲の液相粘度を有し得る。
ここに記載されたガラス組成物は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる。(1)この組成物はリチウムを含まないが、小さい層の深さ(DOL)でイオン交換中に高い圧縮応力値(例えば、1400MPaまで)であって、40マイクロメートル(μm)の大きいDOLでさえも約1250MPaまでの高い圧縮応力値を達成することが可能である。(2)この組成物は低弾性率を有し、このため、より高いCS/E比が容易になり、薄型の折り畳み用途のために曲げ性が改善される。(3)これらのガラスを製造するための原材料は安価であり、容易に入手できる。(4)この組成物は、改質剤当たりの含有量が高く、そのため、溶融が容易である。ガラス組成物に関する「改質剤当たりの(per-modifier)」含有量とは、(ROモル%+ROモル%-Alモル%)の値が0モル%より大きいことを意味し、ここで、ROモル%は組成物中の全アルカリ金属酸化物の合計モル%であり、ROモル%は組成物中の全アルカリ土類金属酸化物の合計モル%である。(5)この組成物では、液相温度が低く、液相粘度が高く、液相がゆっくり成長し、これらは全て、シート成形に有利である。
ここに用いられているように、「ガラス」という用語は、ガラスおよびガラスセラミックを含む、少なくとも部分的にガラスでできた任意の材料を含むことが意図されている。「ガラスセラミック」は、ガラスの制御された結晶化により生成された材料を含む。均質な結晶化を促進するために、ガラスセラミック組成物に1種類以上の核形成剤、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ナトリウム(NaO)、および酸化リン(P)が添加されることがある。
ここに記載されたガラス組成物について、構成成分(例えば、SiO、Al、NaOなど)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で与えられている。実施の形態によるガラス組成物の成分は、下記に個別に述べられている。ある成分の様々に列挙された範囲のどれも、どの他の成分の様々に列挙された範囲のどれと個別に組み合わされてもよいことを理解すべきである。ここに用いられているように、数字の末尾の0は、その数字の有効数字を表すことが意図されている。例えば、「1.0」の数字は有効数字2桁であり、「1.00」の数字は有効数字3桁である。ここに用いられているように、下限として0モル%で定義されている範囲内で酸化物を含むと記載されている組成物は、その組成物が、0モル%を上回り(例えば、0.01モル%または0.1モル%)、その範囲の上限までの任意の量でその酸化物を含むことを意味する。
SiOは、このガラス組成物中の最多成分であることがあり、それゆえ、ガラス組成物から形成されるガラス網状構造の主成分である。純粋なSiOは、比較的低い熱膨張係数(CTE-ここに用いられているように、この性質は、0℃から300℃の温度で測定される)を有し、アルカリを含まない。しかしながら、純粋なSiOは、高い融点を有する。したがって、ガラス組成物中のSiOの濃度が高すぎると、SiOの濃度が高まるにつれて、ガラスを溶融する難しさが増し、次に、ガラスの成形性が悪影響を受けので、ガラス組成物の成形性は低下するであろう。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、55モル%以上から70モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でSiOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、56モル%以上、57モル%以上、58モル%以上、59モル%以上、60モル%以上、61モル%以上、62モル%以上、63モル%以上、64モル%以上、65モル%以上、66モル%以上、67モル%以上、68モル%以上、69モル%以上、または70モル%の量でSiOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、69モル%以下、68モル%以下、67モル%以下、66モル%以下、65モル%以下、64モル%以下、63モル%以下、62モル%以下、61モル%以下、60モル%以下、59モル%以下、58モル%以下、57モル%以下、56モル%以下、または55モル%の量でSiOを含むことがある。
上記SiOの範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、55モル%から70モル%、56モル%から69モル%、57モル%から68モル%、58モル%から67モル%、59モル%から66モル%、60モル%から65モル%、61モル%から64モル%、または62モル%から63モル%、および端点を含む、端点として先に列挙されたSiO値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でSiOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、59モル%から66モル%の範囲のSiOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、60モル%から65モル%の範囲のSiOを含むことがある。
ここに開示されたガラス組成物は、Alを含む。Alの添加は、ガラス網状構造形成材の機能を果たすことがある。さらに、Alの濃度がガラス組成物中のSiOの濃度およびアルカリ酸化物の濃度に対して釣り合わされる場合、Alは、ガラス溶融物の液相温度を低下させ、それによって、液相粘度を高めることがある。
いくつかの実施の形態において、前記組成物中のAlのモル%に加えたROのモル%(Alモル%+ROモル%)は、18モル%以上であることがある。いくつかの実施の形態において、Alモル%+ROモル%は、以下の値の間の全ての範囲と部分的範囲を含む、18モル%以上から23モル%以下(例えば、23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%)であることがある。いくつかの実施の形態において、Alモル%+ROモル%は、19モル%以上、20モル%以上、21モル%以上、または22モル%以上であることがある。いくつかの実施の形態においてAlモル%+ROモル%は、22モル%以下、21モル%以下、20モル%以下、または19モル%以下であることがある。先の式において、ROモル%は、MgOモル%に加えたCaOモル%と等しい。
上記範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、Alモル%+ROモル%は、18モル%から23モル%、19モル%から22モル%、または20モル%から21モル%、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。いくつかの実施の形態において、Alモル%+ROモル%は、20モル%以上であることがある。
先に記載された(Alモル%+ROモル%)の値は、ここに開示されたガラス組成物に恩恵を与える。先に記載されたような(Alモル%+ROモル%)の値により、ガラス組成物は、ここに述べられたような広い圧縮深さの範囲に亘り高いピーク圧縮応力を達成することができる。(Alモル%+ROモル%)が18モル%より低いと、ひいては、望ましく高いイオン交換応力は生じないであろう。(Alモル%+ROモル%)が23モル%を上回ると、ひいては、イオン交換過程は遅すぎ得る、および/またはヤング率が望ましくなく高くなり得る。また、ガラス組成物の製造可能性が、23モル%を上回る値のために、劣り得る。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、13モル%以上から20モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でAlを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、13モル%以上、13.5モル%以上、14モル%以上、14.5モル%以上、15モル%以上、15.5モル%以上、16モル%以上、16.5モル%以上、17モル%以上、17.5モル%以上、18モル%以上、18.5モル%以上、19モル%以上、19.5モル%以上、または20モル%の量でAlを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、20モル%以下、19.5モル%以下、19モル%以下、18.5モル%以下、18モル%以下、17.5モル%以下、17モル%以下、16.5モル%以下、16モル%以下、15.5モル%以下、15モル%以下、14.5モル%以下、14モル%以下、13.5モル%以下、または13モル%の量でAlを含むことがある。
上記Alの範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、13モル%から20モル%、13.5モル%から19.5モル%、14モル%から19モル%、14.5モル%から18.5モル%、15モル%から18モル%、15.5モル%から17.5モル%、または16モル%から17モル%、および端点を含む、端点として先に列挙されたAl値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でAlを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、13.5モル%から20モル%の量でAlを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、16モル%以上の量でAlを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、16モル%から18モル%の量でAlを含むことがある。
ここに記載されたガラス組成物は、NaOを含む。NaOは、ガラス組成物のイオン交換可能性を支援し、ガラス組成物の成形性を改善し、それによって、製造可能性を改善することがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるNaOが多すぎると、CTEが低くなりすぎ、融点が高くなりすぎることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、15モル%以上から18モル%以下、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でNaOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、15モル%以上、15.5モル%以上、16モル%以上、16.5モル%以上、17モル%以上、17.5モル%以上、または18モル%の量でNaOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、18モル%以下、17.5モル%以下、17モル%以下、16.5モル%以下、16モル%以下、15.5モル%以下、または15モル%の量でNaOを含むことがある。
上記NaOの範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、15.5モル%から17.5モル%、16モル%から17モル%、または16.5モル%から17モル%、および端点を含む、端点として先に列挙されたNaO値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でNaOを含むことがある。
いくつかの実施の形態において、ガラス組成物に関するNaOのモル%+ROのモル%-Alのモル%(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)は、0モル%以上である。いくつかの実施の形態において、NaOモル%+ROモル%-Alモル%は、以下の値の間の全ての範囲と部分的範囲を含む、0モル%以上かつ7モル%以下(例えば、7モル%≧(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%)であることがある。いくつかの実施の形態において、NaOモル%+ROモル%-Alモル%は、1モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、4モル%以上、5モル%以上、または6モル%以上であることがある。いくつかの実施の形態において、NaOモル%+ROモル%-Alモル%は、7モル%以下、6モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、または1モル%以下であることがある。先の式において、ROモル%は、MgOモル%に加えたCaOモル%と等しい。
上記範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、NaOモル%+ROモル%-Alモル%は、1モル%から6モル%、2モル%から5モル%、または3モル%から4モル%、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。
上述した(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)の値は、ここに記載されたガラス組成物に恩恵を与える。先に記載されたような(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)の値により、そのガラス組成物は、以下の有利な性質を示す。第一に、(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)値を上述したように調整することにより、ガラス組成物の溶けやすさが改善される。この(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)値は、有利な熱的性質、例えば、ここに述べられたような液相温度と液相粘度が生じ、これにより、その組成物から作られるガラス物品の製造の容易さが増す。(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)値が0モル%より低いと、ガラス組成物の溶けやすさが損なわれる。第二に、(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)値を上述したように調整することにより、イオン交換過程により与えられる圧縮応力を相殺する、ガラス物品に関する著しい応力緩和を避けながら、所望の組成勾配を生じることのできるイオン交換範囲が確実になる。値(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)が7モル%を上回ると、イオン交換過程中に、ガラス物品内に著しい量の応力緩和が生じ得る。この応力緩和は、イオン交換過程中に与えられる、圧縮応力、特に、ピーク圧縮応力を低下させてしまう。
ここに記載されたガラス組成物は、MgOを含む。MgOは、ガラスの粘度を低下させることがあり、これにより、ガラスの成形性および製造可能性が向上する。ガラス組成物中にMgOを含ませると、ガラス組成物の歪み点およびヤング率、並びにガラスのイオン交換能力も改善されることがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるMgOが多すぎると、ガラス組成物の密度およびCTEが、望ましくないレベルまで増加することがある。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、1モル%以上から5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でMgOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、1.5モル%以上、2モル%以上、2.5モル%以上、3モル%以上、3.5モル%以上、4モル%以上、4.5モル%以上、または5モル%の量でMgOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、または1モル%の量でMgOを含むことがある。
上記MgOの範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、1モル%から5モル%、1.5モル%から4.5モル%、2モル%から4モル%、2.5モル%から3.5モル%、または2.5モル%から3モル%、および端点を含む、端点として先に列挙されたMgO値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でMgOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、2モル%から4モル%の範囲でMgOを含むことがある。
ここに記載されたガラス組成物は、CaOを含む。CaOは、ガラスの粘度を低下させることがあり、これにより、成形性、歪み点、およびヤング率が向上することがあり、ガラスのイオン交換能力が改善されることがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるCaOが多すぎると、ガラス組成物の密度およびCTEが、望ましくないレベルまで増加することがある。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、0.1モル%以上から2.5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でCaOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、または2.5モル%の量でCaOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、または0.1モル%の量でCaOを含むことがある。
上記の範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、0.1モル%から2.5モル%、0.5モル%から2モル%、または1モル%から1.5モル%、および端点を含む、端点として先に列挙されたCaO値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でCaOを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、0.5モル%から2モル%の範囲でCaOを含むことがある。
いくつかの実施の形態において、ガラス組成物に関するMgOのモル%にCaOのモル%を加えたものに対するMgOのモル%の比(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))は、0.5以上であることがある。いくつかの実施の形態において、MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%)は、以下の値の間の全ての範囲と部分的範囲を含む、0.5以上かつ0.9以下(例えば、0.9≧(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%)≧0.5)であることがある。いくつかの実施の形態において、MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%)は、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、または0.9と等しいことがある。いくつかの実施の形態において、MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%)は、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下、または0.5と等しいことがある。
上記の範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%)は、0.5から0.9、0.55から0.85、0.6から0.8、0.65から0.75、または0.65から0.7、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。
ここに記載されたガラス組成物は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOの1つ以上を含まない、または実質的に含まないことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOの全てを含まない、または実質的に含まないことがある。これらの酸化物の内のいくつかは、高価であり得る、および/または供給に制限があり得る。アルカリ土類金属酸化物は、ヤング率を望ましくなく増加させ得、イオン交換過程を遅くし得る。B、P、およびKOは、イオン交換過程中に与えられる圧縮応力の量を減少させ得る。ここに記載されたガラス物品は、これらの酸化物を必要とせずに、有利な性質を達成することができる。したがって、これらの酸化物は、前記組成物から排除されることがある。ここに用いられているように、「実質的に含まない」という用語は、その成分が、汚染物質として非常に少量で最終ガラス中に存在するかもしれないが、その成分がバッチ材料の成分として添加されないことを意味する。本開示のガラス組成物を製造するために使用される原材料および/または設備の結果として、意図的に添加されない特定の不純物または成分が、最終的なガラス組成物中に存在し得る。そのような材料は、「混入材料」と称され、微量でガラス組成物中に存在する。ある成分を「実質的に含まない」組成物は、その成分が、組成物に目的を持って添加されなかったが、その組成物は、混入量または微量でその成分をまだ含むかもしれないことを意味する。ある酸化物を「実質的に含まない」組成物は、その酸化物が、0.1モル%以下、例えば、0モル%から0.1モル%の量で存在することを意味する。ここに用いられているように、ある成分を「含まない」ガラス組成物は、その成分(例えば、酸化物)が、混入量または微量でさえ、その組成物中に存在しないことを意味すると定義される。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、必要に応じて、1種類以上の清澄剤を含むことがある。いくつかの実施の形態において、その清澄剤の例としては、SnOが挙げられるであろう。そのような実施の形態において、SnOは、2モル%以下、例えば、0モル%から2モル%、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量でそのガラス組成物中に存在することがある。いくつかの実施の形態において、SnOは、0.1モル%から2モル%、0.1モル%から1.5モル%、0.1モル%から1モル%、または0.1モル%から0.5モル%の量でそのガラス組成物中に存在することがある。
ここに開示されたガラス組成物、およびそのガラス組成物から作られたガラス物品の物理的性質が、下記に述べられている。これらの物理的性質は、実施例を参照してより詳しく述べられるように、ガラス組成物の成分量を調整することによって、達成することができる。
いくつかの実施の形態において、ガラス組成物のヤング率(E)は、70ギガパスカル(GPa)以上から80GPa以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、71GPa以上から79GPa以下、72GPa以上から78GPa以下、73GPa以上から77GPa以下、74GPa以上から76GPa以下、または75GPa以上から76GPa以下、および端点を含む、端点として先に列挙されたヤング率値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲のヤング率を有することがある。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、70GPaから80GPa、71GPaから79GPa、72GPaから78GPa、73GPaから77GPa、74GPaから76GPa、または75GPaから76GPaの範囲にあるヤング率を有することがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、70GPaから75GPaの範囲にあるヤング率を有することがある。特に明記のない限り、本開示に開示されたヤング率値およびポアソン比値は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts」と題する、ASTM E2001-13に述べられた一般型の共鳴超音波スペクトロスコピー技術によって測定された値を称する。また、特に明記のない限り、ガラス組成物または物品のヤング率およびポアソン比は、その組成物または物品が、どのようなイオン交換過程も、またはどの他の強化過程も施される前に測定される。具体的に、ガラス組成物または物品のヤング率およびポアソン比は、その組成物または物品がイオン交換溶液に曝露される前に、例えば、イオン交換溶液中に浸漬される前に、測定される。ポアソン比値(ν)は、以下の式:E=2G(1+ν)を使用して、ASTM E2001-13試験から得られたヤング率値(E)および剛性率値(G)に基づいて計算される。
いくつかの実施の形態において、ガラス組成物の液相粘度は、50キロポアズ(kP)以上から500kP以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、100kP以上から450kP以下、150kP以上から400kP以下、200kP以上から350kP以下、または250kP以上から300kP以下、および端点を含む、端点として先に列挙された液相粘度値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の液相粘度を有することがある。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、50kPから500kP、100kPから450kP、150kPから400kP、200kPから350kP、または250kPから300kPの範囲にある液相粘度を有することがある。
ここに用いられているように、「液相粘度」という用語は、液相温度での溶融ガラスの粘度を称し、ここで、液相温度は、溶融ガラスが溶融温度から冷めるときに、結晶が最初に現れる温度、または温度を室温から上昇させるときに一番最後の結晶が溶けてなくなる温度を称する。特に明記のない限り、本出願に開示された液相粘度値は、以下の方法によって決定される。最初に、ガラスの液相温度を、「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method」と題する、ASTM C829-81(2015)にしたがって測定する。次に、その液相温度でのガラスの粘度を、「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point」と題する、ASTM C965-96(2012)にしたがって測定する。特に明記のない限り、ガラス組成物または物品の液相粘度および温度は、その組成物または物品がどのようなイオン交換過程も、またはどの他の強化過程も施される前に測定される。具体的に、ガラス組成物または物品の液相粘度および温度は、その組成物または物品がイオン交換溶液に曝露される前に、例えば、イオン交換溶液中に浸漬される前に、測定される。
上述した組成物から、実施の形態によるガラス物品は、どの適切な方法、例えば、スロット成形法、フロート成形法、圧延過程、フュージョン成形法などによって、成形されてもよい。そのガラス組成物およびそれから製造された物品は、それが成形される様式によって、特徴付けられることがある。例えば、ガラス組成物は、フロート成形可能(すなわち、フロート法により成形される)、ダウンドロー可能、特に、フュージョン成形可能またはスロットドロー可能(例えば、ダウンドロー法、例えば、フュージョンドロー法またはスロットドロー法により成形される)と特徴付けられることがある。
ここに記載されたガラス物品のいくつかの実施の形態は、ダウンドロー法によって成形されることがある。ダウンドロー法により、比較的無垢な表面を持つ、均一な厚さを有するガラス物品が製造される。そのガラス物品の平均曲げ強度は、表面傷の量とサイズにより制御されるので、接触が最小の無垢な表面は、より高い初期強度を有する。それに加え、ダウンドロー法により製造されたガラス物品は、費用のかかる研削や研磨を行わずに、最終用途に使用できる、非常に平らで滑らかな表面を有する。
前記ガラス物品のいくつかの実施の形態は、フュージョン成形可能(すなわち、フュージョンドロー法を使用して成形可能)と記載されることがある。このフュージョン法では、溶融したガラス原材料を受け入れるための通路を有する延伸槽が使用される。この通路は、通路の両側に通路の長さに沿って上部で開いた堰を有する。この通路が溶融材料で満たされると、溶融材料は堰から溢れる。溶融ガラスは、重力のために、2つの流れるガラス膜として、延伸槽の外面を流れ落ちる。延伸槽のこれらの外面は、延伸槽の下の縁で接合するように下方と内側に延在する。2つの流れるガラス膜はこの縁で結合して、融合し、1つの流れるガラス物品を形成する。このフュージョンドロー法には、通路から溢れ流れる2つのガラス膜が互いに融合するために、結果として得られたガラス物品の外面のいずれも、装置のどの部分にも接触しないという利点がある。それゆえ、フュージョンドロー法により成形されたガラス物品の表面特性は、そのような接触により影響を受けない。
ここに記載されたガラス物品のいくつかの実施の形態は、スロットドロー法により成形することができる。このスロットドロー法は、フュージョンドロー法とは異なる。スロットドロー法において、溶融原材料ガラスが、延伸槽に供給される。この延伸槽の底部にスロットが開けられており、このスロットは、スロットの長さに延在するノズルを有する。溶融ガラスは、スロットおよび/またはノズル中を流れ、連続したガラス物品として徐冷領域へと下方に延伸される。
ガラス物品、例えば、ガラスシートを成形するためのドロー法は、薄いガラス物品を、欠陥を少なく成形できるので、望ましい。ガラス組成物は、ドロー法、例えば、フュージョンドロー法またはスロットドロー法により成形されるために、比較的高い液相粘度-例えば、1000kP超、1100kP超、または1200kP超の液相粘度-を有する必要があると以前は考えられていた。しかしながら、ドロー法の発展により、より低い液相粘度を有するガラスを、ドロー法に使用できることがある。
1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラス物品は、非晶質微細構造を示すことがあり、結晶または晶子を実質的に含まないことがある。言い換えると、このガラス物品では、いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック材料が排除される。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラス物品は、ガラスセラミック材料を含むことがある。
上述したように、前記ガラス組成物、およびそのガラス組成物から作られた物品は、イオン交換過程により強化することができる。図1を参照すると、ガラス物品100は、圧縮応力下にある1つ以上の領域を有することがある。例えば、ガラス物品100は、ガラス物品100の外面(例えば、面110、112)から圧縮深さ(DOC、d、d)まで延在する第1の圧縮応力領域120および/または第2の圧縮応力領域122、並びにDOCからガラス物品100の中央または内部領域まで延在する引張応力またはCT下にある第2の領域(例えば、中央領域130)を有することがある。イオン交換済みの圧縮応力領域120、122は、ガラス物品100の厚さ(t)を通じて2つ以上の地点で異なる金属酸化物の濃度を有する。
当該技術分野で通常使用される慣例によれば、圧縮または圧縮応力(CS)は負の(<0)応力として表され、張力または引張応力は正の(>0)応力と表される。しかしながら、本記載を通じて、CSは正の値または絶対値として表される-すなわち、ここに挙げられるように、CS=|CS|である。CSは、ガラスの表面で最大値を有し、関数にしたがって、表面から距離dで変動することがある。再び図1を参照すると、第1の圧縮応力領域120は第一面110から深さdまで延在し、第2の圧縮応力領域122は、第二面112から深さdまで延在する。これらの圧縮応力領域120、122は、共に、ガラス物品100の圧縮領域またはCS領域を画成する。
いくつかの実施の形態において、前記ガラス物品の1つ以上の圧縮応力領域のピーク圧縮応力は、850MPa以上から1400メガパスカル(MPa)以下、例えば、900MPa以上から1350MPa以下、950MPa以上から1300MPa以下、1000MPa以上から1250MPa以下、1050MPa以上から1200MPa以下、または1100MPa以上から1150MPa以下、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。例えば、いくつかの実施の形態において、ピーク圧縮応力は、850MPaから1400MPa、900MPaから1350MPa、950MPaから1300MPa、1000MPaから1250MPa、1050MPaから1200MPa、または1100MPaから1150MPaの範囲内、もしくは端点を含む、端点としてこれらの値のいずれか2つを有する範囲内にあることがある。いくつかの実施の形態において、ガラス物品の1つ以上の圧縮応力領域のピーク圧縮応力は、1100MPaから1350MPaの範囲にあることがある。
いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物から作られたガラス物品は、14以上のヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比(ピーク圧縮応力値/ヤング率値、CS/E)を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、14以上から18以下の範囲、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲のCS/E比を有することがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、15以上、16以上、17以上、または18のCS/E比を有することがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、18以下、17以下、16以下、15以下、または14のCS/E比を有することがある。上記CS/Eの範囲のいずれを、どの他の範囲と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、CS/E比は、14から18、15から17、または15から16、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、15以上のCS/E比を有することがある。
これらのCS/E比、およびCS/E比の範囲は、ここに開示されたピーク圧縮応力で、および/または圧縮深さで、達成されることがある。例えば、いくつかの実施の形態において、ガラス物品は、850MPaから1400MPaの範囲のピーク圧縮応力について、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、ガラス物品の厚さの5%から20%の範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、1100MPaから1350MPaの範囲のピーク圧縮応力および5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、850MPaから1400MPaの範囲にあるピーク圧縮応力および5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。別の例として、ガラス物品は、850MPaから1400MPaの範囲にあるピーク圧縮応力および5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲の圧縮深さについて、先に記載されたような、CS/E比、またはCS/E比の範囲を有することがある。
イオン交換により達成されることのある高いピーク圧縮応力により、ガラスを所定のガラス厚についてよりきつい(すなわち、より小さい)曲げ半径に曲げる能力が与えられる。この高いピーク圧縮応力により、ガラスが正味の圧縮を維持し、それゆえ、ガラスがきつい半径の周りの曲げに曝されたときに表面傷を阻止することができる。表面近くの傷は、この正味の圧縮下で阻止されている場合、または有効表面圧縮層内に配置されている場合、破壊するまで延在できない。
図2は、曲げ力202を使用した、2枚のプレート200の間のガラス物品100の2点曲げを示す。曲げ力202は、2点曲げ試験装置を使用して印加され、その装置において、2枚のプレート200は、一定力の曲げ力202による曲げ試験中に、ガラス物品100に押し付けられる。必要に応じて、その試験装置に関連する固定具で、曲げ力202がプレート200を介してガラス物品100に印加されているときに、ガラス物品100が、折り目210に対して対称に曲げられることが確実になる。プレート200は、特定のプレート距離Dが達成されるまで、調和して互いに動かすことができる。ここに用いられているように、曲げ力下の「破壊」という用語は、破損、崩壊、剥離、亀裂伝搬、永久変形、または物品を本来の目的に適さなくする他の機構を称する。
図2において、ガラス物品100の面110に、曲げによる引張応力が施され、これにより、その面からの有効DOCが、物品が曲げられていないときの面110からのDOCから減少する一方で、面112には、曲げによる追加の圧縮応力が施される。面110からの有効DOCは、プレート距離の増加により増加し、プレート距離の減少により減少する(物品100の面112が、図2に示されるように、それ自体に向かって曲げられている場合)。言い換えると、有効DOCは、曲げられていない状態のDOCから、曲げにより誘発される引張応力からの有効深さが差し引かれたものである。
いくつかの実施の形態において、ガラス物品100は、60℃および93%の相対湿度で、240時間に亘り10ミリメートル(mm)以下のプレート距離(D)で2枚のプレート200の間に保持されたときの、静止2点曲げ試験中の破壊を避ける。例えば、いくつかの実施の形態において、ガラス物品100は、60℃および93%の相対湿度で、240時間に亘り2枚のプレートの間に保持されたときに、10mmから1mmのプレート距離(D)まで、静止2点曲げ試験中の破壊を避ける。プレート距離(D)は、例えば、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、または1mmであることがある。
両方の領域120および122の圧縮応力は、ガラス物品100の中央領域130に貯蔵された張力により釣り合わされる。特に明記のない限り、CT値は、最大CT値として報告される。DOCは、イオン交換処理および測定されている物品の厚さに応じて、表面応力計または散乱光偏光器(SCALP)により測定することができる。基板中の応力が、基板中にカリウムイオンを交換することによって生じている場合、圧縮深さを測定するために、表面応力計、例えば、FSM-6000(日本国、有限会社折原製作所)が使用される。基板中にナトリウムイオンを交換することによって応力が生じており、測定されている物品が約400マイクロメートルより厚い場合、圧縮深さおよび最大中央張力(CT)を測定するために、SCALPが使用される。基板中の応力が、ガラス中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じており、測定されている物品が約400マイクロメートルより厚い場合、圧縮深さおよびCTは、SCALPにより測定される。理論で束縛される意図はないが、ナトリウムイオンの交換深さは圧縮深さを表し、一方で、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(しかしながら、必ずしも、圧縮から引張の応力の変化ではない)を表すことがある。ここに用いられているように、「層の深さ」は、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム)が基板中に交換された深さを意味する。本開示を通じて、最大中央張力がSCALPにより直接測定できない場合(測定されている物品が約400マイクロメートルより薄い場合など)、最大中央張力は、基板の厚さと圧縮深さの2倍との間の差で除算された最大圧縮応力と圧縮深さの積により近似することができ、ここで、圧縮応力および圧縮深さは、FSMで測定される。
基板の厚さが約400マイクロメートルより大きい場合、応力プロファイルのグラフ表示を導くために、屈折近視野(RNF)法も使用されることがある。応力プロファイルのグラフ表示を導くために、RNF法が使用される場合、SCALPにより与えられる最大CT値がRNF法に使用される。詳しくは、RNFにより測定された応力プロファイルは、SCALP測定により与えられる最大CT値に対して力平衡され、較正される。このRNF法は、ここに全てが引用される、「Systems and methods for measuring a profile characteristic of a glass sample」と題する米国特許第8854623号明細書に記載されている。詳しくは、このRNF法は、基準ブロックに隣接してガラス物品を配置する工程、1Hzから50Hzまでの間の速度で直交偏光の間で切り換えられる偏光切替光線を生成する工程、その偏光切替光線の出力量を測定する工程、および偏光切替基準信号を生成する工程を含み、直交偏光の各々の出力の測定量は互いの50%以内にある。この方法は、偏光切替光線を、ガラス試料中の異なる深さについて、ガラス試料および基準ブロックに透過させ、次いで、リレー光学系を使用して、透過した偏光切替光線を信号光検出器に中継する工程をさらに含み、その信号光検出器は偏光切替検出器信号を生成する。この方法は、検出器信号を基準信号で割って、正規化検出器信号を形成する工程、およびその正規化検出器信号からガラス試料の特徴を示すプロファイルを決定する工程も含む。
SCALP測定が行われる場合、エストニア国、タリン所在のGlasstress Ltd.から入手できるSCALP偏光器(例えば、SCALP-04またはSCALP-05)を使用して行われる。少なくとも1つの応力関連の特徴を特徴付けるために試料を測定する場合、偏光器における測定ノイズを許容レベルまで減少させるための精確な試料速度SSおよび曝露時間tは、数多くの要因に依存する。これらの要因としては、イメージセンシング装置の特徴(例えば、利得、画像取込み速度(フレーム/秒)、画素サイズ、内部画素平均技術など)、並びに非応力関連((no-stress-related)NSR)散乱特徴、入力光線の強度、使用される偏光状態の数などが挙げられる。他の要因としては、レーザ光源からの光線の測定波長および散乱光線の強度が挙げられる。例示の測定波長は、640ナノメートル(nm)、518nmおよび405nmを含み得る。例示の曝露時間は、0.05ミリ秒から100ミリ秒に及び得る。例示のフレームレートは、毎秒10から200フレームに及び得る。光学的遅れの例示の計算は、0.1秒から10秒の測定時間tに亘り2から200フレームを利用することができる。
いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、20MPa以上から400メガパスカル(MPa)以下、例えば、50MPa以上から350MPa以下、75MPa以上から300MPa以下、100MPa以上から250MPa以下、または150MPa以上から200MPa以下、および端点を含む、端点として先に列挙された値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の最大CTを有することがある。例えば、いくつかの実施の形態において、最大CTは、20MPaから400MPa、50MPaから350MPa、75MPaから300MPa、100MPaから250MPa、または150MPaから200MPaの範囲内、もしくは端点を含む、端点としてこれらの値のいずれか2つを有する範囲内であることがある。
いくつかの実施の形態において、領域120および/または領域122のDOCは、部分的範囲を含む、5マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲内にあることがある。例えば、DOCは、5マイクロメートル、10マイクロメートル、15マイクロメートル、20マイクロメートル、25マイクロメートル、30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、または50マイクロメートル、もしくは端点を含む、端点としてこれらの値のいずれか2つを有する範囲内であることがある。いくつかの実施の形態において、領域120および/または領域122のDOCは、10マイクロメートルから45マイクロメートル、15マイクロメートルから40マイクロメートル、20マイクロメートルから35マイクロメートル、または25マイクロメートルから30マイクロメートルの範囲内にあることがある。いくつかの実施の形態において、DOCは、5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にあることがある。いくつかの実施の形態において、DOCは5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にあることがある。
いくつかの実施の形態において、DOCは、ガラス物品100の厚さ(t)の一部として報告されることがある。実施の形態において、ガラス物品は、ガラス物品の厚さの5%(0.05t)以上からガラス物品の厚さの20%(0.20t)以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の圧縮深さ(DOC)を有することがある。いくつかの実施の形態において、DOCは、ガラス物品の厚さの5%から20%、ガラス物品の厚さの5%から10%、またはガラス物品の厚さの5%から15%であることがある。
ガラス物品100の厚さ(t)は、面110と面112との間で測定される。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100の厚さは、4ミリメートル(mm)以下であることがある。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100の厚さは、部分的範囲を含む、15マイクロメートルから4mmの範囲にあることがある。例えば、ガラス物品100の厚さは、15マイクロメートル、20マイクロメートル、30マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、または4mm、もしくは端点を含む、端点としてこれらの値のいずれか2つを有する範囲内であることがある。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100の厚さは、20マイクロメートルから3.5mm、30マイクロメートルから3mm、50マイクロメートルから2.5mm、75マイクロメートルから2mm、100マイクロメートルから1.5mm、150マイクロメートルから1mm、200マイクロメートルから500マイクロメートル、または200マイクロメートルから250マイクロメートルの範囲にあることがある。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100の厚さは、15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲にあることがある。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100の厚さは、15マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲にあることがある。
圧縮応力層は、ガラス物品をイオン交換溶液に曝露することによってガラス物品中に形成されることがある。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換溶液は、溶融カリウム塩を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換溶液は、50質量%以上のカリウム塩、60質量%以上のカリウム塩、70質量%以上のカリウム塩、80質量%以上のカリウム塩、90質量%以上のカリウム塩、または100質量%のカリウム塩、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲のカリウム塩を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換溶液は、50質量%から100質量%のカリウム塩、60質量%から100質量%のカリウム塩、70質量%から100質量%のカリウム塩、80質量%から100質量%のカリウム塩、または90質量%から100質量%のカリウム塩を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのカリウム塩はKNOであることがある。いくつかの実施の形態において、イオン交換溶液中の残りの質量パーセントの全てまたは一部は、溶融硝酸塩、例えば、NaNOであることがある。
前記ガラス物品は、前記ガラス組成物から作られたガラス物品をイオン交換溶液の浴中に浸漬すること、前記ガラス組成物から作られたガラス物品にイオン交換溶液を吹き付けること、またはそのガラス物品にイオン交換溶液を他のやり方で物理的に施すことによって、イオン交換溶液に曝露されることがある。そのイオン交換溶液は、ガラス物品に曝露される際に、実施の形態によれば、350℃以上から480℃以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の温度であることがある。いくつかの実施の形態において、その温度は、360℃以上から470℃以下、370℃以上から460℃以下、380℃以上から450℃以下、390℃以上から440℃以下、400℃以上から430℃以下、または410℃以上から420℃以下、および端点を含む、端点として先に列挙された温度値のいずれか2つを有する先の値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。いくつかの実施の形態において、イオン交換溶液の温度は、350℃から480℃、360℃から470℃、370℃から460℃、380℃から450℃、390℃から440℃、400℃から430℃、または410℃から420℃の範囲にあることがある。
いくつかの実施の形態において、前記ガラス物品は、1時間以上から24時間以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の期間に亘り、前記イオン交換溶液に曝露されることがある。いくつかの実施の形態において、その期間は、2時間以上から20時間以下、4時間以上から16時間以下、6時間以上から12時間以下、または8時間以上から12時間以下、および端点を含む、端点として先に列挙された時間値のいずれか2つを有する先の時間値の間の全ての範囲と部分的範囲であることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、1時間から24時間、2時間から20時間、4時間から16時間、または8時間から12時間の期間に亘り、イオン交換溶液に曝露されることがある。いくつかの実施の形態において、その期間は、1時間から10時間、または2時間から8時間の範囲にあることがある。
イオン交換過程が行われた後、ガラス物品の表面の組成は、成形されたままのガラス物品(例えば、イオン交換を経る前のガラス物品)の組成と異なるであろうことを理解すべきである。これは、より大きいアルカリ金属イオン、例えば、Kにより交換された、成形されたままのガラス物品中のアルカリ金属イオンの一種、例えば、Naから生じる。しかしながら、ガラス物品の深さの中心またはその近くでのガラス組成は、いくつかの実施の形態において、それでも、成形されたままのガラス物品の組成を有するであろう。特に明記のない限り、本出願に開示されたガラス組成は、組成がイオン交換過程により影響を受けていない(または最も控えめにしか影響を受けていない)物品の深さの中心近くのガラス物品の組成、すなわち、成形されたままのガラス物品の組成である。
ここに開示されたガラス物品は、別の物品、例えば、ディスプレイを備えた物品(またはディスプレイ物品)(例えば、携帯電話、腕時計、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステムなどを含む家庭用電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、船舶など)、電化製品、またはある程度の透明性、耐引掻性、耐磨耗性またはその組合せの恩恵を受けるであろう任意の物品に組み込まれることがある。ここに開示されたガラス物品のいずれかを組み込んだ例示の物品が、図3Aおよび3Bに示されている。詳しくは、図3Aおよび3Bは、前面304、背面306、および側面308を有する筐体302を備えた家庭用電気製品300を示している。その筐体の少なくとも部分的に内側にまたは完全に中にある電気部品としては、少なくとも制御装置320、メモリ322、および筐体302の前面306にまたはそれに隣接したディスプレイ310を含むことがある。ディスプレイ310は、例えば、発光ダイオード(LED)ディスプレイまたは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであることがある。
カバー基板312が、ディスプレイ310を覆うように筐体302の前面304にまたはその上に配置されることがある。カバー基板312は、ここに開示されたガラス物品のいずれかを含むことがあり、「カバーガラス」と称されることがある。カバー基板312は、ディスプレイ310および家庭用電気製品300の他の部品(例えば、制御装置320およびメモリ322)を損傷から保護する機能を果たすことがある。いくつかの実施の形態において、カバー基板312は、接着剤でディスプレイ310に結合されることがある。いくつかの実施の形態において、カバー基板312は、筐体302の前面304の全てまたは一部を画成することがある。いくつかの実施の形態において、カバー基板312は、筐体302の前面304および筐体302の側面308の全てまたは一部を画成することがある。いくつかの実施の形態において、家庭用電気製品300は、筐体302の背面306の全てまたは一部を画成するカバー基板を含むことがある。
実施の形態が、以下の実施例によりさらに明白になるであろう。これらの実施例は、先に記載された実施の形態を限定するものではないことが理解されよう。
下記の表1に列挙された成分を有するガラス組成物を従来のガラス形成方法によって調製した。表1の組成物1~4は、本出願の実施の形態によるガラス組成物である。表1の組成物Aは、同様の酸化物で作られた比較組成物である。表1において、全ての成分はモル%で表されている。表1に報告されたSC値とCT値は、各組成物について表に報告された試料の厚さで測定した。
表2には、表1の組成物の材料特性が列挙されている。表2に報告されたヤング率(E)値は、本明細書に開示された方法にしたがって測定した。同様に、剛性率値は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts」と題する、ASTM E2001-13に述べられた一般型の共鳴超音波スペクトロスコピー技術によって測定した。
表2に列挙された追加の材料特性に、以下のものがある:密度、ここで、密度値は、ASTM C693-93(2013)の浮力法を使用して決定した;セ氏温度当たり百万分率(ppm)(ppm/℃)で測定した低温(0℃から300℃の範囲)CTE;歪み点、徐冷点、および軟化点、ここで、歪み点は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を使用して決定し、徐冷点は、ASTM C336-71(2015)のファイバ延伸法を使用して決定し、軟化点は、ASTM C338-93(2013)のファイバ延伸法を使用して決定した;1011ポアズ温度、35kP温度、200kP温度、および液相温度;液相粘度、ここで、液相粘度は、ここに述べられたように決定される;および応力光学係数(SOC)、これはガラスの複屈折に関連する。特に明記のない限り、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。特に明記のない限り、表2に列挙された特性は、組成物または物品に、どのイオン交換過程も、またはどの他の強化過程も施される前に測定した。表2に報告されたCTE値は、ファイバ延伸法を使用して測定した。膨脹計を、ASTM E228(「Standard Test Method for Linear Thermal Expansion of Solid Materials With a Push-Rod Dilatomer」)にしたがって構成した。ファイバ延伸試験について、膨脹計に搭載された特定の組成物のファイバ試料を、0℃の氷浴に入れ、次いで、300℃の等温炉に入れて、その温度範囲に亘る平均線熱膨張係数を決定した。ファイバ試料は、火炎作業により調製した。
表3には、表1の組成物1~4および組成物Aに関するイオン交換条件および特性が含まれている。表3に報告されたイオン交換過程について、各組成物の試料を、100質量%のKNOからなる溶融塩浴中に浸漬した。各試料は、長さ1インチ(約2.5cm)、幅1インチ(約2.5cm)、厚さ0.8mmであった。表3に報告された最大CT値は、基板の厚さと圧縮深さの2倍との間の差で除算された最大圧縮応力と圧縮深さの積により近似し、ここで、圧縮応力と圧縮深さは、FSMにより測定した。
Figure 2023505906000002
Figure 2023505906000003
Figure 2023505906000004
表3に示されるように、組成物1~4の全ては、各イオン交換時間について、組成物AのCS/E比よりも高いCS/E比を達成することができた。2時間のイオン交換時間について、組成物Aは、23.4マイクロメートルのDOCおよび13.69のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも23マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.53のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約13.4%の増加)を達成した。4時間のイオン交換時間について、組成物Aは、32.6マイクロメートルのDOCおよび13.38のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも32.6マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.16のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約13.3%の増加)を達成した。6時間のイオン交換時間について、組成物Aは、39.4マイクロメートルのDOCおよび13.09のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも39.4マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.15のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約15.7%の増加)を達成した。8時間のイオン交換時間について、組成物Aは、45.7マイクロメートルのDOCおよび12.85のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも45.9マイクロメートルのDOCおよび少なくとも14.85のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約15.6%の増加)を達成した。
図4のグラフ400は、表3の各イオン交換時間での組成物1~4および組成物Aに関する層の深さ値に対する圧縮応力値をプロットしている。表3に報告され、グラフ400にプロットされた結果は、ここに記載された実施の形態によるガラス組成物が、可撓性および強度に関して、比較のガラス組成物をどの程度上回れるかを示している。ここに記載された実施の形態によるガラス組成物は、様々なイオン交換時間で、比較のガラス組成物よりも高いCS/E比を達成できる。そして、イオン交換時間および/またはDOCが増加するにつれて、ここに記載されたガラス組成物のCS/E比は実際に増加するのに対し、比較のガラス組成物のCS/E比は、イオン交換温度および時間が増加するにつれて、減少し得る。
ここに記載された実施の形態によるガラス組成物、およびこれらの組成物から作られたガラス物品が、使用中に著しい曲げ応力を経験する高強度用途、例えば、可撓性カバーガラス用途のための改善された機械的性質をどのように提供できるかを実証するために、モデルを使用した。下記の表4には、モデル化された組成物、および各組成物に関してモデル化されたポアソン比とヤング率が示されている。別の基準組成物として、組成物Bをモデル化した。組成物Bとしてモデル化された組成物は、60.33モル%のSiO、19.17モル%のAl、1.81モル%のMgO、1.72モル%のCaO、16.84モル%のNaO、0.01モル%のKO、0.01モル%のTiO、0.09モル%のSnO、および0.01モル%のFeであった。
Figure 2023505906000005
このモデルは、厚さおよび曲げ試験中のプレート間隔(「プレート距離(D)」と呼ばれる)の関数としてのガラスの曲げ性能を予測している。このモデルは、既存のイオン交換プロファイルから曲げ応力を引いたもの(任意の所定のプレート間隔について)を検討し、次いで、任意の長さでの表面傷(例えば、亀裂)についての応力強度を計算する。
例えば、図5のグラフ500は、モデル化された曲げ、イオン交換、および曲げ中に組成物Aからなる75マイクロメートル厚のガラス物品に印加された、ガラス物品の表面からの様々な深さでの結果としての全応力を示す。グラフ500について、モデル化されたピーク圧縮応力は800MPaであり、モデル化されたDOCは15.3マイクロメートルであり、モデル化されたプレート間隔は9.4mmであった。9.4mmのプレート間隔により印加されるモデル化された曲げ応力が、グラフ500に実線で示されている。
モデルについて、「安全曲げ」プレート間隔は、傷の深さでの全応力(「結果としての応力プロファイル」)がゼロと等しく、よって、曲げ引張応力が、イオン交換により誘起された圧縮を完全に相殺するときであると考えた。グラフ500に示されるように、モデル化された応力を有する組成物Aに関する9.4mmのプレート間隔での「安全曲げ」は、傷サイズが1マイクロメートル以下(Y軸上の応力がゼロである最小の深さ)であるときに生じる。表5Aにおいて下記に示された組成物および厚さの各々について、同様のグラフを作成した。ピーク圧縮応力値は、表5AにMPaで報告されている。表5Aに示された各組成物および厚さに関する1マイクロメートルの傷の長さについての「安全曲げ」プレート間隔の距離が、表6に報告されている。表6に報告された安全プレート間隔を決定するために、プレート間隔により、各モデル化された物品について「安全曲げ」プレート間隔値がもたらされるまで、モデル化されたプレート間隔の関数としてのモデル化された曲げ応力(グラフ500ににおける実線)を増加させた。図6のグラフ600は、ガラス物品の厚さに対して表6の安全曲げプレート距離の結果をプロットしている。表5Bには、各モデル化された物品に関するモデル化された最大中央張力値が報告されている。表5Bに報告された最大CT値は、基板の厚さと圧縮深さの2倍との間の差で除算された最大圧縮応力と圧縮深さの積により近似した。
Figure 2023505906000006
Figure 2023505906000007
Figure 2023505906000008
表6に示されるように、このモデルにより、組成物1~3は、組成物Aより著しく小さいプレート間隔での曲げ試験中に1マイクロメートルの傷による破壊を避けることができると予測された。より小さいプレート間隔は、ガラス組成物が、曲げ中の破壊をよりよく避けられることを意味する。35マイクロメートルの厚さで、組成物1~3からなるガラス物品は、最大で4.44mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化され、一方で、組成物Aからなるガラス物品は、5.38mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化された。50マイクロメートルの厚さでは、組成物1~3からなるガラス物品は、最大で5.88mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化され、一方で、組成物Aからなるガラス物品は、7.12mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化された。75マイクロメートルの厚さでは、組成物1~3からなるガラス物品は、最大で7.77mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化され、一方で、組成物Aからなるガラス物品は、9.39mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化された。100マイクロメートルの厚さでは、組成物1~3からなるガラス物品は、最大で9.91mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化され、一方で、組成物Aからなるガラス物品は、12.0mmの安全プレート間隔を達成するとモデル化された。
様々な実施の形態をここに記載してきたが、それらは、制限ではなく、例として提示されている。ここに提示された教示および指導に基づいて、適用および改変は、開示された実施の形態の同等の意味および範囲に含まれることが意図されている。したがって、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に、形態と詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には明白であろう。ここに提示された実施の形態の要素は、必ずしも相互に排他的ではないが、当業者に認識されるであろうように、様々な状況を満たすために交換されることがある。
本開示の実施の形態は、添付図面に例示されるようなその実施の形態を参照してここに詳細に説明され、その中で、同一のまたは機能的に同様の要素を示すために、同様の参照数字が使用されている。「1つの実施の形態」、「ある実施の形態」、「いくつかの実施の形態」、「特定の実施の形態において」などへの言及は、記載された実施の形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことがあるが、すべての実施の形態が、その特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含むわけではないことがあることを示す。さらに、このような言い回しは、必ずしも同じ実施の形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施の形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施の形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
実施例は、本開示を例示するものであるが、限定するものではない。当該分野で通常遭遇する様々な条件およびパラメータの他の適切な改変および適応は、当業者には明らかであろうが、本開示の精神および範囲内である。
要素または構成要素を説明するための不定冠詞「a」および「an」は、これらの要素または構成要素の1つまたは2つ以上が存在することを意味する。これらの冠詞は、修飾名詞が単数名詞であることを意味するために慣習的に採用されているが、ここに使用されるように、冠詞「a」および「an」は、特定の例で特に明記しない限り、複数も含む。同様に、ここに使用される定冠詞「the」もまた、特定の例で特に断らない限り、修飾名詞が単数または複数である可能性があることを意味する。
ここに使用される方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上、下、内側、外側-は、描かれた図を参照してのみなされ、絶対的な方向を暗示することを意図していない。
特許請求の範囲で使用されているように、「含む(comprising)」は、制約のない移行句である。移行句「含む(comprising)」の対象となる要素のリストは、複数の要素が、リストに具体的に記載された要素に加えて、存在し得るような非排他的なリストである。特許請求の範囲で使用されているように、「から実質的になる(consisting essentially of)」または「から実質的に構成される(composed essentially of)」は、材料の組成を、特定の材料と、その材料の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない材料に限定する。特許請求の範囲で使用されているように、「からなる(consisting essentially of)」または「から完全に構成される(composed entirely of)」は、材料の組成を特定の材料に限定し、特定されていない材料は除外する。
上限値と下限値からなる数値の範囲がここに記載されている場合、特定の状況において別途記載されていない限り、範囲はその端点、および範囲内のすべての整数と分数を含むことを意図している。特許請求の範囲は、範囲を定義する際に記載された特定の値に限定することは意図されていない。さらに、量、濃度、もしくは他の値またはパラメータが、範囲、1つ以上の好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値のリストとして与えられる場合、これは、任意の上限範囲または好ましい値と、任意の下限範囲または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を、そのような対が別々に開示されているか否かにかかわらず、具体的に開示していると理解すべきである。最後に、範囲の値または端点を説明する際に「約」という用語が使用される場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むと理解されるべきである。数値または範囲の端点に「約」が記載されているか否かにかかわらず、数値または範囲の端点は、「約」によって修飾された実施の形態、および「約」によって修飾されていない実施の形態の2つの実施の形態を含むことが意図される。
ここに使用される場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、および他の量と特性が、正確ではなく、またその必要もないが、公差、変換係数、丸め、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて近似である、および/またはそれより大きいかまたは小さいことがあることを意味している。
ここに使用される「実質的な」、「実質的に」という用語、およびその変形は、記載された特徴が、ある値または記載と等しいかまたはほぼ等しいことを注記することを意図している。例えば、「実質的に平らな」表面は、平面であるかまたはほぼ平面である表面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいか、またはほぼ等しいことを示すことを意図している。いくつかの実施の形態において、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば、互いの約5%以内、または互いの約2%以内の値を示すことがある。
本出願の実施の形態は、指定された機能およびその関係の実施を示す機能的な構成要素の助けを借りて、先に記載されてきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜のためにここに任意に定義されている。指定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定義することができる。
ここに使用される語句または用語は、説明のためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。本開示の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施の形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびその等価物に従って定義されるべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
イオン交換済みのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品であって、
61モル%以上のSiO
13.5モル%以上のAl
1モル%から5モル%のMgO、
CaO、
NaO、
を含み、
Alモル%+ROモル%≧18モル%、ここで、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、該ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まず、
該ガラス物品は、
イオン交換される前のGPaで測定されるヤング率値、および
該ガラス物品の表面から圧縮深さまで延在し、MPaで測定されるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層、
を有し、
前記ヤング率値に対する前記ピーク圧縮応力値の比は、14以上である、ガラス物品。
実施形態2
Alモル%+ROモル%≧20モル%である、実施形態1に記載のガラス物品。
実施形態3
(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%である、実施形態1または2に記載のガラス物品。
実施形態4
7モル%≧(NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%である、実施形態1から3のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態5
62モル%以上のSiOを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態6
17モル%未満のAlを含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態7
前記ガラス物品が、イオン交換される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、実施形態1から6のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態8
前記ガラス物品が0.5モル%から2モル%のCaOを含み、Alモル%+ROモル%≧20モル%である、実施形態1から7のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態9
前記ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比が、15以上かつ18以下である、実施形態1から8のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態10
前記ヤング率値が70MPaから80MPaの範囲にある、実施形態1から9のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態11
前記ピーク圧縮応力が850MPaから1400MPaの範囲にある、実施形態1から10のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態12
前記圧縮深さが5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から11のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態13
前記圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から12のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態14
前記圧縮深さが前記ガラス物品の厚さの5%から20%の範囲にある、実施形態1から13のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態15
前記ピーク圧縮応力が1100MPaから1350MPaの範囲にあり、前記圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から14のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態16
61モル%から66モル%のSiO
13.5モル%から20モル%のAl
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態17
61モル%から65モル%のSiO、または61モル%超から65モル%のSiO
16モル%から18モル%のAl
2モル%から4モル%のMgO、
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態18
Alモル%+ROモル%≧20モル%である、実施形態1から17のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態19
16モル%以上のAlを含む、実施形態1から18のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態20
23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、実施形態1から19のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態21
(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))≧0.5である、実施形態1から20のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態22
(MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))≧0.55である、実施形態1から21のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態23
4ミリメートル以下の厚さを有する、実施形態1から22のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態24
15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施形態1から23のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態25
電子ディスプレイ、および
前記電子ディスプレイを覆って配置された実施形態1から24のいずれか1つによるガラス物品、
を備えた電子機器。
実施形態26
前面、背面、および側面を含む筐体と、該筐体の少なくとも部分的に内部にある電気部品であって、制御装置、メモリ、および該筐体の前面にあるまたはそれに隣接した前記電子ディスプレイを含む電気部品とを備え、
前記ガラス物品が前記筐体の少なくとも一部を形成する、実施形態25に記載の電子機器。
実施形態27
イオン交換済みガラス物品であって、
61モル%から66モル%のSiO、または61モル%超から66モル%のSiO
13.5モル%から20モル%のAl
1モル%から5モル%のMgO、
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含み、
前記ガラス物品のイオン交換前のGPaで測定されるヤング率値、および
前記イオン交換済みガラス物品の表面から延在し、MPaで測定されるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層、
を有し、
Alモル%+ROモル%≧18モル%、
ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、
前記ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まず、
前記ヤング率値に対する前記ピーク圧縮応力値の比は、14以上かつ18以下である、イオン交換済みガラス物品。
実施形態28
17モル%未満のAlを含む、実施形態27に記載のガラス物品。
実施形態29
61モル%から65モル%のSiO、または61モル%超から65モル%のSiO
16モル%から18モル%のAl
2モル%から4モル%のMgO、
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含む、実施形態27または28に記載のガラス物品。
実施形態30
20マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施形態27から29のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態31
62モル%以上のSiOを含む、実施形態27から30のいずれか1つに記載のガラス物品。
実施形態32
ガラス物品を強化する方法において、
前記ガラス物品を、50質量%以上のカリウム塩を含むイオン交換溶液中に浸漬する工程であって、該ガラス物品は、
61モル%以上のSiO
13.5モル%以上のAl
1モル%から5モル%のMgO、
CaO、および
NaO、
を含み、ここで、Alモル%+ROモル%≧18モル%、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、該ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まない工程、および
350℃から480℃の範囲の温度で1時間から24時間の範囲の期間に亘り前記ガラス物品を前記イオン交換溶液中でイオン交換して、該ガラス物品の表面から圧縮深さまで延在し、850MPaから1400MPaの範囲にあるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層を達成する工程、
を有してなる方法。
実施形態33
前記圧縮深さが5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にある、実施形態32に記載の方法。
実施形態34
前記圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、実施形態32または33に記載の方法。
実施形態35
前記ピーク圧縮応力値が1100MPaから1350MPaの範囲にあり、前記圧縮深さが5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲にある、実施形態32から34のいずれか1つに記載の方法。
実施形態36
前記期間が1時間から8時間の範囲にある、実施形態32から35のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37
前記ガラス物品が、前記イオン交換溶液中に浸漬される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、実施形態32から36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38
前記ガラス物品が、前記イオン交換溶液中に浸漬される前にGPaで測定されるヤング率値を有し、該ヤング率値に対する前記ピーク圧縮応力値の比が、14以上かつ18以下である、実施形態32から37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39
前記ヤング率値に対するピーク圧縮応力値の比が、15以上かつ18以下である、実施形態38に記載の方法。
実施形態40
17モル%未満のAlを含む、実施形態32から39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41
前記ガラス物品が、
61モル%から66モル%のSiO、または61モル%超から66モル%のSiO
13.5モル%から20モル%のAl
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含む、実施形態32から40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42
前記ガラス物品が、
61モル%から65モル%のSiO、または61モル%超から65モル%のSiO
16モル%から18モル%のAl
2モル%から4モル%のMgO、
0.5モル%から2モル%のCaO、および
15モル%から18モル%のNaO、
を含む、実施形態32から41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43
23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、実施形態32から42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44
前記ガラス物品が4ミリメートル以下の厚さを有する、実施形態32から43のいずれか1つに記載の方法。
実施形態45
前記ガラス物品が15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施形態32から44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46
62モル%以上のSiOを含む、実施形態32から45のいずれか1つに記載の方法。
100 ガラス物品
110 第一面
112 第二面
120 第1の圧縮応力領域
122 第2の圧縮応力領域
130 中央または内部領域
200 プレート
202 曲げ力
210 折り目
300 家庭用電気製品
302 筐体
304 前面
306 背面
308 側面
310 ディスプレイ
312 カバー基板
320 制御装置
322 メモリ
表3に示されるように、組成物1~4の全ては、各イオン交換時間について、組成物AのCS/E比よりも高いCS/E比を達成することができた。2時間のイオン交換時間について、組成物Aは、23.4マイクロメートルのDOCおよび13.69のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも23マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.54のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約13.4%の増加)を達成した。4時間のイオン交換時間について、組成物Aは、32.6マイクロメートルのDOCおよび13.38のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも32.6マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.17のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約13.3%の増加)を達成した。6時間のイオン交換時間について、組成物Aは、39.4マイクロメートルのDOCおよび13.09のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも39.4マイクロメートルのDOCおよび少なくとも15.16のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約15.7%の増加)を達成した。8時間のイオン交換時間について、組成物Aは、45.7マイクロメートルのDOCおよび12.85のCS/E比を達成したのに対し、組成物1~4は、匹敵するDOCおよび著しく高いCS/E比を達成した。組成物1~4の各々は、少なくとも45.9マイクロメートルのDOCおよび少なくとも14.86のCS/E比(組成物Aと比べて少なくとも約15.6%の増加)を達成した。

Claims (18)

  1. イオン交換済みのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品であって、
    SiO
    13.5モル%以上のAl
    1モル%から5モル%のMgO、
    CaO、
    NaO、
    を含み、
    Alモル%+ROモル%≧18モル%、ここで、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、該ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まず、
    該ガラス物品は、
    イオン交換される前のGPaで測定されるヤング率値、および
    該ガラス物品の表面から圧縮深さまで延在し、MPaで測定されるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層、
    を有し、
    前記ヤング率値に対する前記ピーク圧縮応力値の比は、14以上である、ガラス物品。
  2. Alモル%+ROモル%≧20モル%である、請求項1記載のガラス物品。
  3. (NaOモル%+ROモル%-Alモル%)≧0モル%である、請求項1または2記載のガラス物品。
  4. 前記ガラス物品が、イオン交換される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、請求項1から3いずれか1項記載のガラス物品。
  5. 前記ヤング率値が70MPaから80MPaの範囲にある、請求項1から4いずれか1項記載のガラス物品。
  6. 前記ピーク圧縮応力が850MPaから1400MPaの範囲にある、請求項1から5いずれか1項記載のガラス物品。
  7. 前記圧縮深さが前記ガラス物品の厚さの5%から20%の範囲にある、請求項1から6いずれか1項記載のガラス物品。
  8. 23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、請求項1から7いずれか1項記載のガラス物品。
  9. (MgOモル%/(MgOモル%+CaOモル%))≧0.5である、請求項1から8いずれか1項記載のガラス物品。
  10. 15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1から9いずれか1項記載のガラス物品。
  11. 電子機器であって、
    電子ディスプレイ、および
    前記電子ディスプレイを覆って配置された請求項1から10いずれか1項記載のガラス物品、
    を備え、
    前記電子機器は、前面、背面、および側面を含む筐体と、該筐体の少なくとも部分的に内部にある電気部品であって、制御装置、メモリ、および該筐体の前面にあるまたはそれに隣接した前記電子ディスプレイを含む電気部品とを備え、
    前記ガラス物品が前記筐体の少なくとも一部を形成する、電子機器。
  12. ガラス物品を強化する方法において、
    前記ガラス物品を、50質量%以上のカリウム塩を含むイオン交換溶液中に浸漬する工程であって、該ガラス物品は、
    61モル%以上のSiO
    13.5モル%以上のAl
    1モル%から5モル%のMgO、
    CaO、および
    NaO、
    を含み、ここで、Alモル%+ROモル%≧18モル%、ROモル%=MgOモル%+CaOモル%であり、該ガラス物品は、ZnO、SrO、BaO、B、P、LiO、およびKOを実質的に含まない工程、および
    350℃から480℃の範囲の温度で1時間から24時間の範囲の期間に亘り前記ガラス物品を前記イオン交換溶液中でイオン交換して、該ガラス物品の表面から圧縮深さまで延在し、850MPaから1400MPaの範囲にあるピーク圧縮応力値を有する圧縮応力層を達成する工程、
    を有してなる方法。
  13. 前記圧縮深さが5マイクロメートルから40マイクロメートルの範囲にある、請求項12記載の方法。
  14. 前記期間が1時間から8時間の範囲にある、請求項12または13記載の方法。
  15. 前記ガラス物品が、前記イオン交換溶液中に浸漬される前に測定して、50kPから500kPの範囲の液相粘度を有する、請求項12から14いずれか1項記載の方法。
  16. 前記ガラス物品が、前記イオン交換溶液中に浸漬される前にGPaで測定されるヤング率値を有し、該ヤング率値に対する前記ピーク圧縮応力値の比が、14以上かつ18以下である、請求項12から15いずれか1項記載の方法。
  17. 23モル%≧Alモル%+ROモル%≧18モル%である、請求項12から16いずれか1項記載の方法。
  18. 前記ガラス物品が15マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項12から17いずれか1項記載の方法。
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