JP2018039004A - 廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水中のシアン成分を有効に除去し得る方法を提供する。
【解決手段】シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加し、廃水中のシアン成分を難溶化する工程と、難溶化されたシアン成分を固液分離する工程と、を含む廃水の処理方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、廃水の処理方法に関し、より詳しくは、シアン成分を含有する廃水(以下、「シアン含有廃水」と記載することがある。)の処理方法に関する。
メッキを行う工場、石炭工場、コークス工場、及びコークスを大量に使用する工場等から排出される廃水には、シアン成分が含有されている場合がある。そのシアン成分は、シアン化ナトリウム等のシアン化物、シアン化物イオン(CN-)、並びにフェロシアン化物イオン([Fe(CN)64-)及びフェリシアン化物イオン([Fe(CN)63-)等の鉄シアノ錯体(錯イオン)等を含む。
シアン含有廃水中のシアン化物イオンの処理方法としては、アルカリ塩素法等に代表される酸化分解法が古くから行われてきている。アルカリ塩素法では、シアン化物、シアン化物イオン、亜鉛シアノ錯体、銅シアノ錯体、及び銀シアノ錯体等を処理することができる一方、例えば鉄シアノ錯体等のように、金属イオンと大きな結合力をもって錯体化したシアン化合物の分解は難しい。
上述のアルカリ塩素法では分解が困難な鉄シアノ錯体を含有する廃水を処理する方法としては、鉄塩を使用する方法(紺青法)、亜鉛塩を使用する方法、銅塩を使用する方法等が知られている。例えば、特許文献1には、遊離シアン及びシアン錯塩を含有する廃水に硫酸銅(CuSO4)及び亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を存在させ、難溶性の沈殿を生成させて分離する方法が開示されている。特許文献2には、フェリシアン化ナトリウムを含有する原水に硫酸第一鉄(FeSO4)、硫酸銅(CuSO4)、及び亜硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加した後、アルカリ性下に難溶性塩を生成させ、固液分離する方法が開示されている。
また、特許文献3には、所定のシアン含有廃水に塩化第一鉄及び塩化亜鉛を添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整してシアンを不溶化処理し、その後、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有する処理方法が開示されている。さらに、特許文献4には、シアン含有廃水に塩化第一鉄と有機含窒素化合物と第一銅塩とを添加して、シアン含有廃水中のシアン成分を不溶化して除去する方法が開示されている。
特開昭63−39693号公報 特開平1−30693号公報 特開2013−163144号公報 特開2015−100767号公報
シアン含有廃水には、先に例示したように様々な廃水があり、シアン含有廃水によっては、従来の方法でもシアン成分を有効に除去しきれず、シアン成分の除去率が必ずしも十分であるとはいえない場合があった。シアン成分を有効に除去しきれない場合のシアン含有廃水について、本発明者らは、鋭意研究を重ねた。その結果、そのような廃水には、シアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、及びフェリシアン化物イオンが含有されているとともに、フェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオン以外の他の鉄−シアン化合物が含有されていることを見出した。そして、本発明者らは、従来の方法では、上記他の鉄−シアン化合物を有効に除去しきれないために、シアン成分の除去率が十分であるとはいえない場合があることを突き止めた。
そこで、本発明は、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水中のシアン成分を有効に除去し得る方法を提供しようとするものである。
本発明は、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加し、前記廃水中のシアン成分を難溶化する工程と、難溶化された前記シアン成分を固液分離する工程と、を含む廃水の処理方法を提供する。
本発明によれば、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水中のシアン成分を有効に除去し得る方法を提供することができる。
試験例において、液体クロマトグラフィー−誘導結合プラズマ質量分析(LC−ICP−MS)により測定された、原水中の鉄化合物のクロマトグラムである。 試験例において、LC−ICP−MSにより測定された、原水中のニッケル化合物のクロマトグラムである。 LC−ICP−MSにより測定された、試験例A1、試験例A2、試験例A8、及び試験例A12で得られた各処理水中の鉄化合物のクロマトグラムである。 LC−ICP−MSにより測定された、試験例A1、試験例A2、試験例A8、及び試験例A12で得られた各処理水中のニッケル化合物のクロマトグラムである。 LC−ICP−MSにより測定された、試験例D1及びD12〜D16で得られた各処理水中の鉄化合物のクロマトグラムを、標準試料及び原水のクロマトグラムとともに示した図である。 試験例Fで処理対象とした廃水が生じる、排出ガスの処理フローの一部を例示する模式図である。 試験例Fにおける処理フローを示す模式図である。 図7に示す処理フロー(試験例F)を一部として組み込むことを想定した場合の排出ガスの洗浄及びその洗浄排水の処理フローの一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
上述の通り、従来の方法では、シアン含有廃水によっては、シアン成分を有効に除去しきれず、シアン成分の除去率が必ずしも十分であるとはいえない場合があった。本発明者らの検討の結果、そのような廃水には、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオンのほか、それら以外の他の鉄−シアン化合物が含有されていることが判明した。そして、本発明者らは、従来の方法では、上記他の鉄−シアン化合物を有効に除去しきれないために、シアン成分の除去率が十分であるとはいえない場合があることを突き止めた。
本発明者らは、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に対し、当該廃水中のシアン成分を有効に除去し得る方法を鋭意研究した。その結果、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の組み合わせを用いることで、シアン化物イオン、フェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオンに加えて、上記他の鉄−シアン化合物の除去にも有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一実施形態の廃水の処理方法(以下、「本処理方法」と記載することがある。)では、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加し、廃水中のシアン成分を難溶化する工程と、難溶化されたシアン成分を固液分離する工程とを含む。
本明細書において、シアン成分の難溶化とは、廃水(原水)中に存在するシアン成分が、処理後に処理前よりも廃水に溶け難くなることをいう。また、シアン成分の難溶化には、シアン成分が廃水に溶けなくなる不溶化(シアン成分の不溶化)も含まれる。
(シアン含有廃水)
本発明の一実施形態の処理方法は、シアン成分を含有する廃水を処理対象とする。その廃水は、シアン化物イオン(CN-)を含有するとともに、フェロシアン化物イオン([Fe(CN)64-)及びフェリシアン化物イオン([Fe(CN)63-)、並びにそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する。シアン化物イオンは遊離シアンとも称される。フェロシアン化物イオンはヘキサシアノ鉄(II)酸イオンとも称される。フェリシアン化物イオンはヘキサシアノ鉄(III)酸イオンとも称される。本処理方法では、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を使用することで、廃水中のシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及び他の鉄−シアン化合物(例えば後述する鉄−シアン化合物A及びB)を難溶化することができる。
シアン含有廃水中のシアン化物イオンについては、古くから行われてきているアルカリ塩素法に代表される酸化分解法によって、有効に処理できることが知られている。例えば、シアン含有廃水に、ORP制御下で次亜塩素酸ソーダを添加し、pH10以上でシアンをシアン酸にし(1段目)、次に、pHを中性付近にして、シアン酸を窒素と炭酸ガスにまで分解し、シアンを無害化することができる。一方、フェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオン等の鉄シアノ錯体は、鉄とシアンが安定な錯体を形成しているため、上記のアルカリ塩素法等では分解しきれない。そこで、本発明の一実施形態の処理方法では、シアン含有廃水中のシアン成分を難溶化し、難溶化されたシアン成分を固液分離する処理を行う。
シアン含有廃水中のシアン成分を難溶性の塩とし、その後、固液分離することによって、鉄シアノ錯体を除去する方法も、従来から行われている。しかし、従来の方法では、シアン成分を除去しきれないシアン含有廃水が存在する。そのようなシアン含有廃水について、本発明者らは分析したところ、そのシアン含有廃水には、フェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオン以外の他の鉄−シアン化合物が含有されていることが判明した。そして、従来の方法では、上記の他の鉄−シアン化合物を除去しきれないために、シアン成分の除去率が十分であるとはいえない場合があることが分かった。
シアン含有廃水中の他の鉄−シアン化合物の存在は、シアン含有廃水について、液体クロマトグラフィー−誘導結合プラズマ質量分析(LC−ICP−MS)装置を用いた分析により、確認することができる。このLC−ICP−MS装置は、液体クロマトグラフィー(LC)の検出器として、金属を種類別に定量可能な分析装置である誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)装置を備えるため、金属の種類ごとにクロマトグラムを得ることができるものである。
LC−ICP−MSにより以下の測定条件で測定される、シアン含有廃水中の鉄化合物のクロマトグラムにおいて、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物のそれぞれに由来するピークを有する。上記クロマトグラムにおいて、他の鉄−シアン化合物としては、例えば、フェロシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間と、フェリシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間との間に検出されるものを挙げることができる。
LC−ICP−MSの測定条件は次の通りである。
カラム;ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm、カラム長150mm、2連)
移動相;アセトニトリルと25mMリン酸緩衝液(pH7.0、イオンペア試薬として15mMリン酸二水素テトラブチルアンモニウムを含む)との体積比40:60の混合物
流速;0.8mL/分
カラム温度;40℃
注入量;50〜100μL
より具体的には、上記クロマトグラムにおいて、フェロシアン化物イオンは、保持時間390〜410秒の間に検出され、フェリシアン化物イオンは保持時間600〜620秒の間に検出される。また、上記クロマトグラムにおいて、他の鉄−シアン化合物は、1種のみ検出されてもよく、2種以上検出されてもよい。他の鉄−シアン化合物は、少なくとも2種検出されることが好ましい。すなわち、本処理方法では、他の鉄−シアン化合物の除去処理に有効であることから、フェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオン以外の他の鉄−シアン化合物を少なくとも2種含有するシアン含有廃水がより好適である。この場合、上記クロマトグラムにおいて、他の鉄−シアン化合物は、保持時間460〜520秒の間に検出される鉄−シアン化合物Aと、保持時間540〜600秒の間に検出される鉄−シアン化合物Bとを含むことが好ましい。
なお、本発明者らの分析の結果、鉄−シアン化合物Aは、[Fe(CN)5(CO)]3-と考えられ、鉄−シアン化合物Bは、[Fe(CN)4(CO)22-と考えられる。これらを同定した際の分析方法の概略は次の通りである。まず、移動相を「アセトニトリルと25mMリン酸緩衝液(pH7.0、イオンペア試薬として15mMジブチルアンモニウムアセタート(DBA)を含む)との体積比40:60の混合物」に変更したこと以外は、上記の測定条件と同条件の液体クロマトグラフィーにより、クロマトグラムを得た。このクロマトグラムにおいて、上記LC−ICP−MSで測定された鉄−シアン化合物A及びBに由来するピーク(ピークA及びBという。)を、それぞれのピークのUVスペクトルの比較から確認した。次いで、ピークAとピークBをそれぞれ含む画分をそれぞれ試験管に採取した。得られたそれぞれの画分について、ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化−質量分析法)を用いて質量分析を行った。この質量分析の結果から、鉄−シアン化合物Aは、[Fe(CN)5(CO)]3-と同定され、鉄−シアン化合物Bは、[Fe(CN)4(CO)22-と同定された。
上記クロマトグラムにおいて、シアン含有廃水中のフェロシアン化物イオン及びフェリシアン化物イオン等の存在は、それらの標準試料を用いて上記測定条件で測定されるクロマトグラムを予め得ておくことで確認することができる。また、シアン含有廃水中のシアン化物イオンの存在は、JIS K0102:2013に規定される方法で測定されるシアン化物イオン濃度及び全シアン濃度により、確認することができる。
本発明の一実施形態の処理方法は、シアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及び他の鉄−シアン化合物のほか、さらにテトラシアノニッケル(II)酸イオン([Ni(CN)42-)を含有する廃水の処理にも好適である。テトラシアノニッケル(II)酸イオンはニッケルシアノ錯体([Ni(CN)42-)とも称される錯イオンである。本処理方法では、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を使用するため、テトラシアノニッケル(II)酸イオンに対しても難溶化することができる。LC−ICP−MSにより前述の測定条件で測定される、シアン含有廃水中のニッケル化合物のクロマトグラムにおいて、テトラシアノニッケル(II)酸イオンは、保持時間590〜610秒の間に検出される。
本発明の一実施形態の処理方法は、処理対象である原水(シアン含有廃水)として、石炭工場、メッキを行う工場、コークス工場、及びコークスを大量に使用する工場等から排出される廃水に好適である。シアン含有廃水としては、シアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及び上記の他の鉄−シアン化合物を含有する可能性が高いことから、排出ガスの洗浄排水がより好適である。排出ガスの洗浄排水には、排ガス処理装置から生じる排水も含まれる。
(銅塩)
銅塩としては、銅(I)塩(第一銅塩)及び銅(II)塩(第二銅塩)のいずれも用いることができる。銅(I)塩としては、例えば、塩化銅(I)、酸化銅(I)及び硫酸銅(I)等を挙げることができる。銅(II)塩としては、例えば、塩化銅(II)、及び硫酸銅(II)等を挙げることができる。本処理方法では、銅塩の1種又は2種以上を用いることができる。銅(I)塩を用いる場合、後述する鉄(II)塩と併用することが、処理水の全シアン濃度をより低下できる点で好ましい。銅(II)塩を用いる場合、銅(I)塩と鉄(II)塩との併用と同等程度の効果が得られることから、銅(II)塩を用いることがより好ましい。
(還元剤)
還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、塩化第一鉄、硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩等を挙げることができ、1種又は2種以上の還元剤を用いることができる。還元剤としては、亜硫酸塩、硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらのうち、硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩がより好ましく、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩がさらに好ましい。亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及びチオ硫酸塩における塩を形成する陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオン等を挙げることができる。
還元剤は、銅塩として銅(II)塩を用いる場合に銅(II)塩を還元することが可能であり、また、銅(I)塩を用いる場合にも、銅(I)塩は一般的に空気酸化し易いため、それを還元することが可能である。また、還元剤は、シアン含有廃水中のフェリシアン化物イオンをフェロシアン化物イオンに還元することも可能である。
(第4級アンモニウム化合物)
第4級アンモニウム化合物は、第4級アンモニウムカチオンを有する化合物であり、モノマーでもよいし、ポリマーでもよい。本処理方法では、第4級アンモニウム化合物の1種又は2種以上を用いることができる。モノマーの第4級アンモニウム化合物は、N+4(Rは置換されていてもよいアルキル基又はアリール基を表す。)で表される。第4級アンモニウム化合物は、下記一般式(1)で表されるテトラアルキルアンモニウム化合物、及びカチオン性ポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
Figure 2018039004
前記一般式(1)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はベンジル基を表し、X-は、対となる陰イオンを表す。
一般式(1)中のR1は、C49、C817、C1021、C1225、又はC1633であることがより好ましく、C1021であることがさらに好ましい。一般式(1)中のR2、R3及びR4は、それぞれ独立に、CH3、C49、C1021、C817、C1225、又はベンジル基であることがより好ましい。X-としては、例えば、フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、硫酸イオン((1/2)SO4 2-)、硝酸イオン(NO3 -)、リン酸イオン((1/3)PO4 3-)、メチル硫酸イオン(CH3SO4 -)、エチル硫酸イオン(C25SO4 -)等を挙げることができる。これらの陰イオンのうち、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
一般式(1)で表されるテトラアルキルアンモニウム化合物としては、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、及びベンジルドデシルジメチルアンモニウム塩が好ましい。さらに、これらの第4級アンモニウムカチオンの対イオンが塩化物イオン及び臭化物イオンであるものがより好ましく、ジデシルジメチルアンモニウムクロリドがさらに好ましい。
カチオン性ポリマー(ポリマーの第4級アンモニウム化合物)は、ラジカル重合により合成されるホモポリマーでもよく、コポリマーでもよい。また、重縮合により得られるカチオンポリマーでもよい。ラジカル重合により合成されるカチオン性ポリマーとしては、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級アンモニウム塩のうちの少なくとも一方のモノマーに由来する構成単位を有するホモポリマー又はコポリマーが好ましい。カチオン性ポリマーは、上述のモノマーの1種又は2種以上を重合又は共重合することで得ることができる。カチオン性ポリマーがコポリマーである場合、カチオン性ポリマーは、上述のモノマーに由来する構成単位に加えて、アクリルアミド及びそのN−置換体、メチレンビス(アクリルアミド)並びに(メタ)アクリル酸及びその水溶性塩に由来する構成単位を含んでいてもよい。また、重縮合により得られるカチオンポリマーとしては、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重縮合物、もしくは、ジメチルアミン、エピクロロヒドリン及びアンモニアの重縮合物が好ましい。
ジアリルジアルキルアンモニウム塩は、例えば、メチルジアリルアミン及びエチルジアリルアミン等のアルキルジアリルアミンに、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、及びヨウ化エチル等の4級化剤を反応させることで得ることができる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級アンモニウム塩は、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのような3級アミンに、上述の4級化剤を反応させて得られる。なお、上述の各「(メタ)アクリレート」の文言には、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方が含まれる。
前述のシアン含有廃水中のシアン成分を難溶化する工程では、シアン含有廃水への銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の添加は、一緒に行ってもよく、それぞれ別々に所定の間隔をおいて行ってもよい。また、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物のうちのいずれか2種を一緒にシアン含有廃水に添加し、いずれか1種を別に添加してもよい。
シアン含有廃水への銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の各添加量は、特に限定されず、シアン含有廃水の全シアン濃度に応じて、適宜調整することができる。例えば、シアン含有廃水の全シアン濃度が2〜20mg/L程度である場合、各添加量は以下の範囲であることが好ましい。
シアン含有廃水への銅塩の添加量は、当該廃水中の銅(Cu)としての濃度で、1〜100mg-Cu/Lであることが好ましく、2〜80mg-Cu/Lであることがより好ましく、3〜50mg-Cu/Lであることがさらに好ましい。シアン含有廃水への還元剤の添加量は、当該廃水中の還元剤の濃度として、1〜200mg/Lであることが好ましく、5〜50mg/Lであることがより好ましく、10〜40mg/Lであることがさらに好ましい。シアン含有廃水へのモノマーの第4級アンモニウム化合物の添加量は、当該廃水中の第4級アンモニウム化合物としての濃度で、3〜100mg/Lであることが好ましく、5〜50mg/Lであることがより好ましく、10〜35mg/Lであることがさらに好ましい。シアン含有廃水へのポリマーの第4級アンモニウム化合物の添加量は、当該廃水中の当該ポリマーとしての濃度で、1〜100mg/Lであることが好ましく、2〜50mg/Lであることがより好ましい。
(鉄(II)塩)
本発明の一実施形態の処理方法は、シアン含有廃水にさらに鉄(II)塩(第一鉄塩)を添加することが好ましい。鉄(II)塩としては、シアン含有廃水に添加された際に、鉄(II)イオン(Fe2+)を生じさせるものが好ましい。好適な鉄(II)塩としては、例えば、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、及び硝酸鉄(II)等を挙げることができ、1種又は2種以上の鉄(II)塩を用いることができる。
シアン含有廃水への鉄(II)塩の添加は、シアン含有廃水に前述の銅塩、還元剤及び第4級アンモニウム化合物を添加する前でも、その後でもよく、それらと一緒に(同時期に)添加してもよい。本発明の一実施形態の処理方法では、シアン含有廃水に銅塩、還元剤及び第4級アンモニウム化合物を添加する前に、鉄(II)塩を添加することが好ましい。これにより、シアン含有廃水に、銅塩及び還元剤の添加前に、鉄(II)塩による鉄(II)イオン(Fe2+)と、廃水中のシアン化物イオン(CN-)との反応により、フェロシアン化物イオンを生成させておくことができるため、処理効率を高めることができる。
シアン含有廃水への鉄(II)塩の添加量は、特に限定されず、シアン含有廃水の全シアン濃度に応じて、適宜調整することができる。例えば、シアン含有廃水の全シアン濃度が2〜20mg/L程度である場合、シアン含有廃水への鉄(II)塩の添加量は、当該廃水中の鉄(Fe)としての濃度で、1〜100mg-Fe/Lであることが好ましく、5〜80mg-Fe/Lであることがより好ましい。
(重金属不溶化剤)
本発明の一実施形態の処理方法では、シアン含有廃水にさらに重金属不溶化剤を添加してもよい。シアン含有廃水に前述の銅塩を添加することで処理水中に溶解性の銅化合物が残存する可能性がある場合に、シアン含有廃水にさらに重金属不溶化剤を添加することにより、溶解性の銅化合物の濃度が抑制された処理水を得ることができる。
重金属不溶化剤としては、溶解性の銅化合物を不溶化させ得るもの(銅不溶化剤)を用いることができる。そのような重金属不溶化剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバミン酸系化合物(二量体や塩を含む);ベンゾトリアゾール、及びトリルトリアゾール等のトリアゾール系化合物及びその塩;並びにベンゼンジチオール、ヒドロキシキノリン、ピリチオンアルカリ金属塩、及び多硫化物塩等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の一実施形態の処理方法は、シアン含有廃水に銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物、並びに必要に応じて鉄(II)塩を添加した後、それらが添加された廃水を撹拌する工程を有することが好ましい。撹拌時間は、例えば0.1〜2時間程度とすることができる。また、処理時における廃水のpHは5.0〜10.0の範囲内であることが好ましく、5.0〜8.5の範囲内であることがより好ましく、5.0〜8.0の範囲内であることがさらに好ましい。pHの調整には、例えば、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び炭酸ナトリウム等のpH調整剤を用いることができる。
(固液分離)
本発明の一実施形態の処理方法は、前述のシアン含有廃水への銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の添加により、難溶化されたシアン成分を固液分離する工程を含む。固液分離の処理としては、凝集・沈殿処理、膜分離・ろ過処理、浮上処理のいずれも用いることができる。
固液分離を行う際には、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物が添加された廃水(被処理水)に対し、凝集剤を添加することが好ましい。凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び鉄塩系凝集剤等の無機凝集剤、並びにポリアクリルアミド系ノニオン性凝集剤、ポリアクリルアミド系アニオン性凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム系アニオン性凝集剤、ポリアクリル酸エステル系カチオン性凝集剤、及びポリメタクリル酸エステル系カチオン性凝集剤等の高分子凝集剤を用いることができる。
本発明の一実施形態の処理方法は、シアン含有廃水(原水)を反応槽に移送し、その反応槽で銅塩、還元剤及び第4級アンモニウム化合物、並びに必要に応じて鉄(II)塩を添加する工程を含むことが好ましい。その工程において、シアン含有廃水中のシアン成分を難溶化することができる。その工程後、難溶化されたシアン成分を含有する廃水を固液分離槽に移送し、固液分離することができる。この際の固液分離の手段としては、沈殿処理が好ましく、固液分離槽には、シックナー等の沈殿槽を用いることが好ましい。廃水を固液分離槽に移送する前、又は固液分離槽において、上述の凝集剤を添加することが好ましい。なお、反応槽の前段階には、反応槽とは別に、原水を調整するための槽(前処理槽)や原水を貯留させておく槽等を設けてもよい。それらの槽で、上述の各種剤を添加してもよく、それらの槽と反応槽とで分けて添加してもよい。また、固液分離により処理水とは分離された汚泥(懸濁物質)は、原水や汚泥の性質等に応じて、反応槽や前処理槽等に戻してもよいし、廃棄(排泥)してもよく、脱水機により脱水処理して脱水ケーキとしてもよい。本処理方法では、上述の各工程を実行する一連の連続式プロセスを行うこともできる。
以上詳述した本発明の一実施形態の処理方法では、シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加する。そのような廃水に対し、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の少なくとも3種を添加することで、廃水中の上記シアン成分を難溶化することができる。そして、難溶化されたシアン成分を固液分離することで、シアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、及びフェリシアン化物イオンに加え、従来技術では除去しきれなかった上記他の鉄−シアン化合物も有効に除去処理することが可能となる。
上述の通り、本発明の一実施形態の廃水の処理方法は、次の構成をとることが可能である。
[1]シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加し、前記廃水中のシアン成分を難溶化する工程と、難溶化された前記シアン成分を固液分離する工程と、を含む廃水の処理方法。
[2]前記他の鉄−シアン化合物が、液体クロマトグラフィー−誘導結合プラズマ質量分析(LC−ICP−MS)により前述の測定条件で測定される、前記廃水中の鉄化合物のクロマトグラムにおいて、前記フェロシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間と、前記フェリシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間との間に検出されるものである前記[1]に記載の廃水の処理方法。
[3]前記廃水は、前記他の鉄−シアン化合物を少なくとも2種含有し、前記他の鉄−シアン化合物は、前記クロマトグラムにおいて、保持時間460〜520秒の間に検出される鉄−シアン化合物Aと、保持時間540〜600秒の間に検出される鉄−シアン化合物Bとを含む前記[2]に記載の廃水の処理方法。
[4]前記廃水は、さらにテトラシアノニッケル(II)酸イオンを含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
[5]前記還元剤が、亜硫酸塩、硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
[6]前記第4級アンモニウム化合物は、前述の一般式(1)で表されるテトラアルキルアンモニウム化合物、及びカオン性ポリマーの少なくとも一方を含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
[7]前記廃水に、さらに鉄(II)塩を添加する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
[8]前記廃水が、排出ガスの洗浄排水である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
[9]前記廃水に、さらに重金属不溶化剤を添加する前記[1]〜[8]のいずれかに記載の廃水の処理方法。
以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
<試験例A>
(原水1)
本試験例Aでは、処理対象となる原水1として、所定の工場における排出ガスの洗浄を行う排ガス処理装置から排出された廃水を用いた。この原水1について、JIS K0102:2013に規定される方法により、シアン化物イオン(遊離シアン)濃度及び全シアン濃度を測定したところ、シアン化物イオン(F−CN)濃度は3.6mg/L、全シアン(T−CN)濃度は5.8mg/Lであった。また、原水1のpHは7.56で、原水の採取時の温度は60℃であった。本試験例Aは、バッチ式のビーカー試験を行った例であるが、実際の廃水が生じる現場での処理を考慮して、原水(被処理水)のpHを7.0〜8.0、温度を約60℃に維持して試験を行った。pH調整には、塩酸又は硫酸と、水酸化ナトリウムを用いた。また、この原水中にはホスホン酸系化合物及びポリカルボン酸からなるスケール防止剤が添加されている。
上記原水について、液体クロマトグラフィー(LC;商品名「Alliance 2695」、日本ウォーターズ社製)に、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS;商品名「ICP−MS7500」、アジレント・テクノロジー社製)を検出器として結合させた装置(LC−ICP−MS)を用い、以下の測定条件で、原水中の鉄化合物のクロマトグラムを測定した。また、予め、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、及びトリシアノ銅(I)酸ジカリウムのそれぞれの標準試料について、同条件でクロマトグラムを測定し、標準試料における保持時間と、原水中の鉄化合物のクロマトグラムの保持時間とを比較することで、それらを同定した。原水中の鉄化合物のクロマトグラムを図1に示す。
(測定条件)
カラム;ODSカラム(商品名「L−Column2」;粒子径5μm、内径4.6mm、カラム長150mm、2連;化学物質評価研究機構製)
移動相;アセトニトリルと25mMリン酸緩衝液(pH7.0、イオンペア試薬として15mMリン酸二水素テトラブチルアンモニウムを含む)との体積比40:60の混合物
流速;0.8mL/分
カラム温度;40℃
検出器;ICP−MS及びフォトダイオードアレイ(PDA)(検出波長:210〜400nm)
ICP−MSにおける検出対象元素:Fe(原子量56)、Cu(原子量63)、Ni(原子量60)、Co(原子量59)、Zn(原子量66)
注入量;50〜100μL
図1に示すように、原水中にフェロシアン化物イオン([Fe(CN)64-)及びフェリシアン化物イオン([Fe(CN)63-)が含有されていることが確認された。また、クロマトグラムにおいて、フェロシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間(390〜410秒)と、フェリシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間(600〜620秒)との間に、それら以外の他の鉄−シアン化合物が少なくとも2種検出された。すなわち、原水に、上記クロマトグラムにおける保持時間460〜520秒の間に検出された鉄−シアン化合物Aと、保持時間540〜600秒の間に検出された鉄−シアン化合物Bとが含有されていることが確認された。これらについて分析した結果、鉄−シアン化合物Aは、[Fe(CN)5(CO)]3-と同定され、鉄−シアン化合物Bは、[Fe(CN)4(CO)22-と同定された。なお、図1(及び後述する図3の一部)に示すクロマトグラムにおいて、保持時間650〜700秒の間にみられるピークは、シアンを含有しない水溶性の鉄化合物に由来するものである。
さらに、上記原水について、上記LC−ICP−MS装置を用いて、上述の測定条件で原水中のニッケル化合物のクロマトグラムを測定した。また、予め、ニッケルシアノ錯体([Ni(CN)42-)の標準試料について、同条件でクロマトグラムを測定し、標準試料における保持時間と、原水中のニッケル化合物のクロマトグラムの保持時間とを比較することで、同定した。ニッケルシアノ錯体の標準試料のクロマトグラムにおいて、ニッケルシアノ錯体は保持時間590〜610秒の間に検出されることが確認された。原水中のニッケル化合物のクロマトグラムを図2に示す。図2に示すように、原水にニッケルシアノ錯体([Ni(CN)42-)が含有されていることが確認された。
なお、上記LC−ICP−MS装置を用いて、原水中のCu、Zn、及びCoについても、同時に測定を行ったが、それらのピークは検出されなかった。
(処理手順)
各試験例のそれぞれにおいて、300mLのビーカーに、上記廃水を200mL入れたものを用意した。上記廃水を入れたビーカーに、表1に示す薬剤を、廃水中の濃度が同表に示す濃度となる量にて添加し、60分間撹拌した。撹拌停止後、アクリル酸とアクリルアミドとからなる弱アニオン性高分子凝集剤(商品名「KEA−520」、日鉄住金環境社製)を1mg/L添加して撹拌した後、ろ紙(商品名「No.5A」、アドバンテック社製)でろ過した。このようにして得られたろ液を処理水(検水)として、JIS K0102:2013に規定される方法で、検水中の全シアン濃度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表中の「DDAC]はジデシルジメチルアンモニウムクロリドを表し、「CP」は強カチオン性ポリマーの一種である、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマー(商品名「KEC−858」、日鉄住金環境社製)を表す。また、処理水の全シアン(T−CN)濃度の欄における「<0.1」は、測定下限値(0.1mg/L)未満であったことを表す。
Figure 2018039004
表1に示すように、上記廃水に対し、銅塩のみの添加(試験例A1及びA14)、銅塩及び還元剤の添加(試験例A2及びA15)、銅塩及び第4級アンモニウム化合物の添加(試験例A3及びA16)、並びに鉄(II)塩、銅塩、及び第4級アンモニウム化合物の添加(試験例A8、A9、A17)では、処理水の全シアン濃度を十分に低減することができなかった。一方、上記廃水に対し、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の組み合わせを添加した場合(試験例A4〜A7及びA18〜A21)やそれらに加えてさらに鉄(II)塩を添加した場合(試験例A10〜A13及びA22)、処理水の全シアン濃度が0.5mg/L以下となった。このことから、シアン含有廃水に銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加することにより、廃水中のシアン成分が難溶化され、廃水中のシアン成分を有効に除去できることが認められた。また、銅(I)塩を用いた場合には、鉄(II)塩を併用した方が、高い処理効率が得られることが分かった。銅(II)塩を用いた場合には、鉄(II)塩を用いなくても、高い処理効率が得られることが分かった。
さらに、各試験例の処理水について、上記LC−ICP−MS装置を用いて、上記測定条件で処理水中の鉄化合物のクロマトグラム、及びニッケル化合物のクロマトグラムを測定した。例として、試験例A1、試験例A2、試験例A8、及び試験例A12で得られた各処理水の鉄化合物のクロマトグラムを図3に示す(図3中の「A」及び「B」はそれぞれ図1中の「鉄−シアン化合物A」及び「鉄−シアン化合物B」に対応することを表す)。また、例として、試験例A1、試験例A2、試験例A8、及び試験例A12で得られた各処理水のニッケル化合物のクロマトグラムを図4に示す。
図3に示すように、上記廃水に対し、銅塩のみを添加した場合(試験例A1)、並びに鉄(II)塩、銅塩及び第4級アンモニウム化合物を添加した場合(試験例A8)では、フェロシアン化物イオン、及びフェリシアン化物イオン、並びにそれら以外の他の鉄−シアン化合物A及びBのいずれも有効に除去できていないことが確認された。また、上記廃水に対し、銅塩及び還元剤を添加した場合(試験例A2)では、他の鉄−シアン化合物A及びBの検出が確認され、廃水中のシアン成分を除去しきれていないことが確認された。一方、上記廃水に対し、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加した場合(試験例A12)では、シアン成分がほとんど検出されず、上記廃水中のシアン成分をより有効に除去できることが確認された。
図4に例示するように、いずれの試験例においても、ニッケルシアノ錯体([Ni(CN)42-)を有効に除去できていることが確認された(図2及び図4参照)。
<試験例B>
次に、上記原水1と同じ廃水であって、原水1を採取した日とは異なる日に採取した廃水(これを原水2という。)を用い、上記原水1に対する処理と同様の条件及び処理手順で試験及び分析を行った。原水2のシアン化物イオン(遊離シアン)濃度及び全シアン濃度を測定したところ、シアン化物イオン(F−CN)濃度は9.4mg/L、全シアン(T−CN)濃度は10.0mg/Lであった。また、原水2のpHは7.49で、原水2の採取時の温度は60℃であった。上記LC−ICP−MS装置を用いて、上記測定条件で原水2中の鉄化合物のクロマトグラムを測定したところ、原水2も原水1と同様、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、鉄−シアン化合物A及びBが含有されていることが確認された(図1参照)。なお、後述する試験例C〜Fでそれぞれ処理対象とした原水についても同様のことが確認された。原水2に対する処理条件及び結果(処理水の全シアン濃度)を表2に示す。
Figure 2018039004
<試験例C>
次に、上記原水1と同じ廃水であって、原水1及び原水2を採取した各日とは異なる日に採取した廃水(これを原水3という。)を用い、上記原水1に対する処理と同様の条件及び処理手順で試験及び分析を行った。原水3のシアン化物イオン(遊離シアン)濃度及び全シアン濃度を測定したところ、シアン化物イオン(F−CN)濃度は4.6mg/L、全シアン(T−CN)濃度は4.9mg/Lであった。また、原水3のpHは7.23で、原水3の採取時の温度は60℃であった。原水3に対する処理条件及び結果(処理水の全シアン濃度)を表3に示す。
Figure 2018039004
表2及び表3に示すように、採取日の異なる原水について、前述の原水1に対する結果(表1)を考慮した試験を行った結果、やはり、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物の組み合わせを用いた場合に、優れた処理能を示すことが確認された。
<試験例D>
試験例Dでは、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを用い、第4級アンモニウム化合物としてジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)を用い、銅塩の添加量を上記試験例A〜Cよりも少ない20mg-Cu/Lとして、本処理方法による効果のさらなる検証を行った。この検証では、比較のために、銅塩以外の他の金属塩として、塩化ニッケル(II)(NiCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、塩化マンガン(II)(MnCl2)、塩化バリウム(BaCl2)、塩化ランタン(III)(LaCl3)を用いた試験(試験例D12〜D16)も行った。
具体的には、試験例Dでは、上記原水1と同じ廃水であって、原水1〜3を採取した各日とは異なる日に採取した廃水(これを原水4という。)を処理対象とした。原水4のシアン化物イオン(遊離シアン)濃度及び全シアン濃度を測定したところ、シアン化物イオン(F−CN)濃度は4.0mg/L、全シアン(T−CN)濃度は5.9mg/Lであった。また、原水4のpHは7.68で、原水4の採取時の温度は56℃であった。この原水4について、表4に示す薬剤を、原水4(被処理水)中の濃度が表4に示す濃度となる量にて添加したこと、及び処理時における被処理水のpHを表4に示す値に維持したこと以外は、上記試験例Aと同様の条件及び処理手順で試験及び分析を行った。原水4に対する処理条件及び結果(処理水の全シアン濃度)を表4に示す。
Figure 2018039004
試験例Dの結果から、銅塩とチオ硫酸塩を第4級アンモニウム化合物とともに用いることにより、全シアン濃度が十分に低い処理水を得ることができることが確認された(試験例D1〜D9)。よって、試験例D1〜D9では、廃水中のシアン成分が難溶化され、廃水中のシアン成分を有効に除去できることが認められた。
特に、チオ硫酸ナトリウムの添加量が、硫酸銅(II)のすべてを第一銅(硫酸銅(I))に還元し得るほどの量でない場合にも(試験例D3及びD4)、チオ硫酸塩を用いない場合(試験例D10及びD11)に比べて、処理水の全シアン濃度を顕著に低減できることが確認された。また、前述の試験例Aの結果から、銅塩として、塩化銅(I)(CuCl)を用いた場合よりも、硫酸銅(II)(CuSO4)を用いた場合の方が、処理水の全シアン濃度をより低減することができていた(試験例A7及びA21)。これらのことから、本処理方法は、いわゆる還元銅塩法(被処理水中に第二銅塩とともに還元剤を添加して被処理水中に第一銅塩を生成させ、その第一銅塩によってシアノ錯体を不溶化させるシアン含有水の処理方法)とは異なる機構であると考えられる。
さらに、試験例Dで得られた処理水について、上記LC−ICP−MS装置を用いて、上記測定条件で処理水中の鉄化合物のクロマトグラムを測定した。例として、試験例D1、及びD12〜D16で得られた各処理水の鉄化合物のクロマトグラムを図5に示す。図5中の「A」及び「B」はそれぞれ図1中の「鉄−シアン化合物A」及び「鉄−シアン化合物B」に対応するピークを表す。また、図5には、前述したフェロシアン化カリウム及びフェリシアン化カリウムのそれぞれの標準試料について測定したクロマトグラムと、原水4について測定したクロマトグラムもあわせて示した。表4及び図5に示す通り、還元剤及び第4級アンモニウム化合物とともに使用する金属塩として、銅塩の代わりに、銅塩以外の他の金属塩を用いた場合には、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、鉄−シアン化合物A及びBのすべてを有効に除去することはできないことが確認された。
<試験例E>
シアン含有廃水に銅塩を添加することにより、処理水中に溶解性の銅化合物が残存する可能性がある。そこで、試験例Eでは、シアン含有廃水にさらに重金属不溶化剤を添加することにより、廃水中のシアン成分を除去し得る処理能を維持しつつ、溶解性の銅化合物の濃度を抑制可能であるか確認する試験を行った。
具体的には、試験例Eでは、上記原水1と同じ廃水であって、原水1〜4を採取した各日とは異なる日に採取した廃水(これを原水5という。)を処理対象とした。原水5のシアン化物イオン濃度及び全シアン濃度を測定したところ、シアン化物イオン(F−CN)濃度は3.0mg/L、全シアン(T−CN)濃度は4.8mg/Lであった。また、原水5のpHは7.63で、原水5の採取時の温度は56℃であった。
上記原水5について、表5に示す薬剤を、原水5(被処理水)中の濃度が表5に示す濃度となる量にて添加したこと以外は、上記試験例Aと同様の条件及び処理手順で試験及び分析を行った。重金属不溶化剤には、ベンゾトリアゾール(以下、「BTA」と記すことがある。)とジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(以下、「DDTC」と記すことがある。)を用いた。また、試験例Eで得られたろ液を処理水として、処理水中の全シアン濃度の測定に加えて、ICP発光分光分析法により、処理水中の全溶解性銅化合物(S−Cu)の濃度を測定した。原水5に対する処理条件及び結果(処理水中の全溶解性銅化合物の濃度、及び全シアン濃度)を表5に示す。
Figure 2018039004
表5に示す通り、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物に加えて、さらに重金属不溶化剤をシアン含有廃水に添加することにより、溶解性の銅化合物の濃度を抑制可能であることが認められた(試験例E1〜E8)。また、試験例E1〜E8では、全シアン濃度が顕著に低減した処理水が得られたことから、廃水中のシアン成分の難溶化により、廃水中のシアン成分を除去し得る処理能を維持できたことが認められた。一方、銅塩及び第4級アンモニウム化合物とともに重金属不溶化剤を添加しても、還元剤を添加しなければ、廃水中のシアン成分を有効に除去することができないことが確認された(試験例E9〜E12)。
<試験例F>
実際の廃水処理の現場において、本処理方法による廃水中のシアン成分の除去処理能を確認するために、試験例Fとして、小スケールでのベンチ試験を22日間にわたって行った。
(処理対象)
試験例Fでは、排出ガスを図6に示すような処理フローで洗浄している排ガス洗浄設備1から発生したブロー水W1を処理対象(原水)とした。具体的には、排出ガスを連続的に湿式集塵機(ベンチュリスクラバー)2で洗浄し、得られた集塵水W2を沈殿槽3で沈降分離し、沈降分離により得られた上澄み液W3を処理水槽4に送り、その処理水槽4から流れ出るブロー水W1を処理対象とした。この処理フローでは、処理水槽4に送られた上澄み液W3の一部は、循環水W4として、補給水W5が加えられつつ湿式集塵機2に戻されて、排出ガスの洗浄に循環使用される。また、沈殿槽3で沈降分離により得られた沈殿物Sは、脱水機5に送られて脱水処理され、その一部は脱水ケーキとして処理され、また別の一部は脱水ろ液W6として沈殿槽3に再送される。なお、上記排出ガスには、シアン化水素(HCN)、一酸化炭素、及び二酸化炭素に加え、SOxが含まれることが確認されている。ベンチ試験を行った22日間(day1〜22)の原水の水質を表6に示す。
Figure 2018039004
図7に試験例Fの処理フローの模式図を示す。試験例Fでは、原水W1を反応槽6に送る工程と、反応槽6中の原水に銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物等の薬剤を各薬剤タンク(61等)から添加する工程と、各薬剤が添加された原水を凝集槽7に送り、その凝集槽7に凝集剤タンク71から凝集剤を添加する工程と、薬剤及び凝集剤が添加された原水を沈殿槽8で固液分離する工程とを連続的に行った。
具体的には、各試験日において、原水(上記ブロー水)W1を流入量16L/時間にて反応槽6(容量約16L)に送り、その反応槽6において、表7に示す薬剤を各薬剤タンク61〜64から、原水中の濃度が同表に示す濃度となる量で添加し、回転速度可変式小型撹拌装置67で撹拌した(回転速度:120rpm)。この際、pH調整剤タンク65から硫酸を適宜添加し、pHコントローラー66により、反応槽6中の液のpHが6.5になるように調整した。各薬剤が添加された原水を凝集槽7(容量約1.5L)に送り、その凝集槽7にて、凝集剤タンク71から試験例A等で使用したものと同じ弱アニオン性高分子凝集剤を1mg/L添加し、マグネチックスターラー72で撹拌した。なお、各薬剤、pH調整剤(硫酸)、及び凝集剤の添加には、ポンプPを用いた。そして、各薬剤及び凝集剤が添加された原水を撹拌機81付きの沈殿槽8(容量約12L)に送り、沈殿処理による固液分離を行った。沈殿槽8で生じた沈殿物は、各日の通水終了後、排泥した。このベンチ試験による処理方法は、図8に示すような、実際の現場における排出ガスの処理フローの一部として組み込まれることを想定して行われたものである。図8に示す処理フローにおいて、凝集剤は、反応槽16から沈殿槽18に至る過程のいずれか(例えば、反応槽16、中継槽17、又は沈殿槽18)で添加することができる。
Figure 2018039004
試験例Fの処理フローにおいて、反応槽6にて薬剤を添加してから、反応槽6、凝集槽7、及び沈殿槽8内の水が入れ替わったと考えられる2時間経過後に、沈殿槽8の上澄みを処理水として採取し始めた。その処理水の採取を始めてから、通水を5時間後まで継続し、この間、処理水をすべて貯留した。この貯留した処理水を混合したものについて、JIS K0102:2013に規定される方法により、全シアン(T−CN)濃度を測定した。また、原水W1のシアン濃度の測定は、原水W1を反応槽6に送ってから通水の終了までの間に連続的に採取した原水を混合したものについて行った。試験例Fの結果を表8に示す。
Figure 2018039004
原水中のシアン濃度は日ごとに異なっていた。特に試験13日目及び14日目では、原水中にシアノ錯体(溶解性錯CN)は検出されず、シアン化物イオン(F−CN)に起因して全シアン(T−CN)濃度が高かった。そのため、他の試験日に比べて、処理水中の全シアン(T−CN)が高めの値となった。しかし、原水への硫酸銅(II)の添加量を20mg-Cu/Lから40mg-Cu/Lに増やすことで、処理水中の全シアン(T−CN)濃度を0.1mg/L未満に低減することができた。よって、実際の廃水処理現場において、本処理方法により、廃水中のシアン成分を安定して除去し得ることが確認された。

Claims (9)

  1. シアン化物イオン、並びにフェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、及びそれら以外の他の鉄−シアン化合物を含有する廃水に、銅塩、還元剤、及び第4級アンモニウム化合物を添加し、前記廃水中のシアン成分を難溶化する工程と、
    難溶化された前記シアン成分を固液分離する工程と、を含む廃水の処理方法。
  2. 前記他の鉄−シアン化合物が、液体クロマトグラフィーにより以下の測定条件で測定される、前記廃水中の鉄化合物のクロマトグラムにおいて、前記フェロシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間と、前記フェリシアン化物イオンに由来するピークに対応する保持時間との間に検出されるものである請求項1に記載の廃水の処理方法。
    (測定条件)
    カラム;ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm、カラム長150mm、2連)
    移動相;アセトニトリルと25mMリン酸緩衝液(pH7.0、15mMリン酸二水素テトラブチルアンモニウムを含む)との体積比40:60の混合物
    流速;0.8mL/分
    カラム温度;40℃
    注入量;50〜100μL
  3. 前記廃水は、前記他の鉄−シアン化合物を少なくとも2種含有し、
    前記他の鉄−シアン化合物は、前記クロマトグラムにおいて、保持時間460〜520秒の間に検出される鉄−シアン化合物Aと、保持時間540〜600秒の間に検出される鉄−シアン化合物Bとを含む請求項2に記載の廃水の処理方法。
  4. 前記廃水は、さらにテトラシアノニッケル(II)酸イオンを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
  5. 前記還元剤が、亜硫酸塩、硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、及びチオ硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
  6. 前記第4級アンモニウム化合物は、下記一般式(1)で表されるテトラアルキルアンモニウム化合物、及びカチオン性ポリマーの少なくとも一方を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
    Figure 2018039004
    (前記一般式(1)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はベンジル基を表し、X-は、対となる陰イオンを表す。)
  7. 前記廃水に、さらに鉄(II)塩を添加する請求項1〜6のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
  8. 前記廃水が、排出ガスの洗浄排水である請求項1〜7のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
  9. 前記廃水に、さらに重金属不溶化剤を添加する請求項1〜8のいずれか1項に記載の廃水の処理方法。
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