JP2014004581A - シアン含有廃水の処理方法および該方法に用いるための薬剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、シアン含有廃水に、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる有機含窒素化合物を添加し、シアン成分と上記含窒素化合物とを共存させることで廃水中のシアン成分を不溶化した後、該不溶化されたシアン成分を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
【選択図】なし
Description
〔式(1)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表し、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はベンジル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
〔式(2)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
〔式(1)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表し、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はベンジル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
〔式(2)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
本発明者らは、本発明の目的を達成できる薬剤について鋭意検討の結果、シアン含有廃水に、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる有機含窒素化合物、より好ましくは、炭素数が5以上のテトラアルキルアンモニウム化合物を添加して、シアン含有廃水中のシアン成分と共存させた場合に、廃水中のシアン成分を不溶化させることができ、さらには、不溶化したシアン化合物は、凝集沈殿するので容易に固液分離できることを見出した。さらに、その添加量は、例えば、処理時におけるシアン含有廃水中に、廃水中のシアン量に対して0.1倍〜10倍程度の濃度となるようにすれば十分であることがわかった。
〔式(1)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表し、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はベンジル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
より具体的なものとしては、R1が、C4H9、C8H17、C10H21、C12H25などであり、かつ、R2、R3およびR4が、それぞれ独立に、CH3、C4H9、C10H21、C8H17、ベンジル基などである構造のものが挙げられる。
〔式(2)中、R1は、炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。また、X-は、対となる陰イオンを表す。〕
より具体的なものとしては、R1がC12H25などである構造のものが挙げられる。
先にも述べたように、シアン含有廃水に、例えば上記したような構造を有する、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる有機含窒素化合物を添加して、シアン含有廃水中のシアン成分と共存させた場合に、廃水中のシアン成分を不溶化させることができ、さらには、不溶化したシアン成分は凝集し、容易に固液分離することができる。本発明の効果をより向上させる処理系とする場合に適宜に必要となる、シアン含有廃水中に、Zn2+或いはCu+や、さらに、これに加えて、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびAl3+からなる群から選ばれるいずれかのイオンを含有させるためのものとしては、例えば、これらのイオンと、その対イオンとからなる化合物や物質などの、従来公知のものを適宜に用いればよい。
以下に、本発明のシアン含有廃水の処理方法において、シアン成分を除去する過程で、シアン含有廃水中で生じていると考えられる反応について、より好ましい形態を例にとって説明する。まず、シアン含有廃水中からのシアン化水素の発生を抑制するために、処理時における廃水のpHを6以上、より好ましくはpHを7.0〜10.0の範囲に維持させることが好ましい。そして、このpHを調整したシアン含有廃水に、本発明を特徴づける、例えば、前記した一般式(1)で表されるような、廃水中でカチオンを生じるテトラアルキルアンモニウム化合物を、処理時におけるシアン含有廃水中に、シアンに対して0.1倍〜10倍の濃度となるように添加させるとよい。
上記したように、本発明では、廃液中の全シアン成分を、特定の有機含窒素化合物と必要に応じて併存させたイオンによって容易に不溶化させることができ、固液分離することで、効率よく、しかも確実に廃液中の全シアン成分を除去する。上記した不溶化したシアン成分を固液分離する方法としては、一般に使用されている、例えば、重力沈降を利用した沈殿や、加圧浮上、ろ過、遠心分離などの方法をいずれも用いることができる。また、固液分離の前に、一般に使用されている、例えば、ポリ塩化アルミ(PAC)などの無機凝集剤や、ポリアクリルアミドなどの有機高分子凝集剤を使用してもよい。
(模擬廃水)
シアンを含有しない工場排水を用い、該廃水に、12.5mg/L(5mg−CN/L)のシアン化カリウムおよび35.4mg/L(15mg−CN/L)のフェロシアン化カリウムをそれぞれ添加し、廃水中の全シアン濃度が20mg/Lになるように調整した。そして、これを模擬廃水とした。
まず、300mLの各ビーカーに、上記で用意した模擬廃水を200mLずつ入れたものを用意した。次に、模擬廃水を入れた各ビーカーに、表1、2に示した窒素化合物と必要に応じて加える各薬剤をそれぞれに添加して、下記のようにして処理を行った。具体的には、模擬廃水に、表1、2に示した窒素化合物と、必要に応じて添加する薬剤を、添加濃度が10mg/L(廃水中のシアン量に対して0.5倍)の濃度になるようにして添加し、60分間、室温で撹拌しながら処理を行った。さらに、撹拌停止後、高分子凝集剤KEA−520(商品名、日鉄住金環境社製)を1mg/Lの濃度になるように添加して撹拌した後、5Cのろ紙で濾過した。このようにして得られたろ液を検水として、JIS K0102に規定される方法で、検水中の全シアンの濃度を測定し、各方法を評価した。なお、各処理の開始時におけるpHは、6以上になるように調整した。
実施例1〜6の処理では、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる含窒素化合物の構造を変えたものを添加して処理を行なった。比較例1の処理は、添加する含窒素化合物が炭素数4アルキル基のものであることが異なるのみで、その他の条件は同様である。得られたシアン成分除去の結果を表1にまとめて示した。なお、表1中の式(1)、(2)は、下記の一般式(1)又は(2)であり、表1中のR1〜R4は、これらの式中におけるものを表している。
また、実施例7〜12の処理では、先の実施例1〜6の処理で、処理に対する有効性が確認された各含窒素化合物に、さらに、Zn2+又はCu+を廃水中における濃度が表1に示したものとなるようにそれぞれ加えて、これらのイオンが併存する状態で処理を行なった。また、比較のために、比較例2では、有機含窒素化合物を添加せずに、Zn2+の廃水中の濃度が10mg/L(廃水中のシアン量に対して0.5倍)となるように添加して処理を行い、比較例3では、有機含窒素化合物を添加せずに、Cu+の廃水中の濃度が10mg/L(廃水中のシアン量に対して0.5倍)となるように添加して処理を行った。得られた結果を表1に示したが、表1に示したように、これらのイオンが併存しない含窒素化合物単独の処理系の場合(実施例3)と比較して、Zn2+(実施例7〜9)、Cu+(実施例10〜12)が併存している処理系では、いずれにおいてもシアン成分の除去効果が向上することが確認された。また、含窒素化合物を使用せずに、Zn2+又はCu+を添加して処理しても、比較例2、3に示したように、処理水中のシアン成分はほとんど低減しないことが確認された。これらの結果から、実施例1〜6に示したように、イオン成分の除去処理においては、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる有機含窒素化合物を添加した処理系で処理することが有効であるが、その処理系に、Zn2+又はCu+の少なくともいずれかのイオンが含まれている(併存している)場合に、その処理を向上させることができ、得られる処理水中のシアン濃度が、上記の有機含窒素化合物を単独で使用した場合よりも低くなることが確認できた。
先の検討によって、その処理系には、特定の有機含窒素化合物と、Zn2+又はCu+の少なくともいずれかのイオンが併存している場合により良好な処理が可能になったことから、さらなる処理効率の向上を目的に、これらに加え、他の金属イオン等の存在が処理の効率に影響を与えるか否かの確認を行った。具体的には、その処理系に少量のCu+が含まれている実施例10の処理、或いは、その処理系に少量のZn2+が含まれている実施例7の処理において、さらに、これに他の金属イオン等の物質が含まれている系として、表2に示した実施例13〜22の処理を行い、これらの物質が処理効率に影響を与えるか否かについての検討を行った。そして、結果を表2に示した。なお、表2中に、比較するために、先に得た実施例10および実施例7の結果も併せて示した。
先の検討によって、前記の一般式(1)で示される特定の有機含窒素化合物の中でも良好な効果が得られた実施例3で使用した化合物を用い、実施例23〜26では、処理系内における該化合物の添加量の違いが処理に及ぼす影響と、処理系内にさらにZn2+又はCu+のイオンを共存させた場合のこれらのイオンの量の違いが処理水に及ぼす影響について、表3に示した条件で処理試験を行って確認した。なお、表3中に、先に行った処理試験で、実施例3で使用した化合物を用いて処理した他の実施例の場合の結果についても併せて示した。
Claims (5)
- シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、
シアン含有廃水に、炭素数が5以上であり、かつ、廃水中でカチオンを生じる有機含窒素化合物を添加し、シアン成分と上記含窒素化合物とを共存させることで廃水中のシアン成分を不溶化した後、
該不溶化されたシアン成分を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。 - 前記処理するシアン含有廃水が、Zn2+又はCu+の少なくともいずれかのイオンを含む廃水であるか、或いは、これらのイオンが含まれていない廃水に対して、Zn2+又はCu+の少なくともいずれかのイオンが含まれるように調整した廃水である請求項1又は2に記載のシアン含有廃水の処理方法。
- 前記処理するシアン含有廃水が、さらに、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびAl3+からなる群から選ばれる少なくともいずれかのイオンを含む廃水であるか、或いは、これらのイオンが含まれていない廃水に対して、さらに、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびAl3+の少なくともいずれかのイオンが含まれるように調整した廃水である請求項3に記載のシアン含有排水の処理方法。
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