JP2005081170A - シアン化合物を含有する排水の処理方法 - Google Patents

シアン化合物を含有する排水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活性炭を用いてシアン化合物を含有する被処理液からシアン化合物を効果的に吸着除去する排水の処理方法を提供する。
【解決手段】シアン化合物を含有する被処理液にシアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンを添加する反応工程と、前記反応工程で生成した析出物を前記被処理液から分離する金属シアン化合物分離除去工程と、前記被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去するシアン化合物吸着除去工程とでシアン化合物を含有する排水の処理方法を構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シアン化合物を含有する排水中からシアン化合物を除去する排水の処理方法に関するものである。
従来、シアン化合物で汚染された排水等(被処理液)からのシアン化合物の除去方法としては、主にアルカリ塩素法や電解酸化法による酸化分解が用いられてきた。しかし、特に、ヘキサシアノ鉄(II)イオン([Fe(CN)64-)やヘキサシアノ鉄(III)イオ
ン([Fe(CN)63-)を含む被処理液からシアン化合物を除去する場合は、上記のような方法でシアン錯化合物を分解することは非常に困難である。
そこで、上記のような[Fe(CN)64-や[Fe(CN)63-を含む被処理液からシアン化合物を除去する場合は、紺青法、亜鉛白法等を用いて凝集沈殿により分離、除去する方法が一般的に用いられてきた。これらの方法は、鉄や亜鉛等、金属シアン錯体と反応して沈殿を生成する金属イオンを添加し、pH条件等を整えることにより、Fe[Fe(CN)6]等のシアン化合物を析出させ、汚泥として被処理液から分離する方法である。しかしながら、この凝集沈殿分離法を用いる場合、沈殿を生成するシアン化合物を得るために金属イオンを過多に投入することになり、未反応の金属イオンが必要以上に被処理液中に残存してしまう問題や、生成されるシアン化合物のフロックが小さいことから、凝集剤の添加や、大規模な沈殿池の設備が必要となっていた。
上記のような状況下から、活性炭を用いた吸着除去を採用する方法が考えられた。この技術に関しては、被処理液のpHを2〜4.5に調整した後、活性炭で処理することによりシアン化合物を除去する方法が示されている。(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)
特公昭55−40315号公報 斎藤勇「活性炭による重金属錯体の吸着(その4)−鉄シアノ錯イオンの処理−」、公害資源研究所彙報13巻第1号、昭和58年
しかし、活性炭を用いた吸着除去方法によりシアン化合物を含有する地下水を処理しようと試みたところ、シアン化合物が活性炭にほとんど吸着されないことが明らかとなった。これは、特許文献1や非特許文献1での試薬によるビーカー実験とは異なり、実際の地下水では塩化ナトリウムや塩化カルシウム等が存在するため、これらの共存物が活性炭によるシアン化合物の吸着を阻害しているものと考えられる。
そこで、本発明の目的は、排水中に塩化ナトリウムや塩化カルシウムが共存する場合でも、シアン化合物の除去が効果的に行える排水の処理方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は次の(1)〜(10)を特徴構成とする。
(1)特徴構成1のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、シアン化合物を含有する被処理液にシアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンを添加する反応工程と、前記反応工程で生成した析出物を前記被処理液から分離する金属シアン化合物分離除去工程と、前記被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去するシアン化合物吸着除去工程とを有することを特徴する。
(2)特徴構成2のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成1に記載の前記反応工程で添加する前記金属イオンが鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンのうちから選ばれる1種または2種以上の金属イオンであることを特徴とする。
(3)特徴構成3のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成1または2に記載の前記被処理液に、前記金属イオンと共に酸性物質を添加することを特徴とする。
(4)特徴構成4のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成3に記載の前記反応工程で得る前記被処理液のpHが2〜4.5の間であることを特徴とする。
(5)特徴構成5のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成3または4のいずれかに記載の前記シアン化合物吸着除去工程から排出された前記被処理液にアルカリ性物質を添加するpH調整工程を有することを特徴とする。
(6)特徴構成6のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、シアン化合物を含有する被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去する方法において、前記被処理液に界面活性剤を添加した後、前記活性炭と接触させることを特徴とする。
(7)特徴構成7のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成6に記載の前記界面活性剤がカチオン系界面活性剤であることを特徴とする。
(8)特徴構成8のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成7に記載の前記界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、「CTAB」という)であることを特徴とする。
(9)特徴構成9のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成6〜8のいずれかに記載の前記被処理液に、前記界面活性剤と共に酸性物質を添加することを特徴とする。
(10)特徴構成10のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、前記特徴構成9に記載の前記被処理液に、前記界面活性剤と共に酸性物質を添加し、pHを2〜4.5の間に調整することを特徴とする。
ここで、前記「被処理液」とは、シアン成分と夾雑物(例えば塩分など)を含む液状物として存在するものであって、特には限定されないが、例えば、前記シアン化合物を含んだ地下水、埋立地の浸出水、産業廃液等が挙げられる。
前記特徴構成1のシアン化合物を含有する排水の処理方法を用いることにより、被処理液に金属イオンを添加することで析出した析出物(金属シアン化合物)を金属シアン化合物分離除去工程で先に分離し、その後、前記分離除去工程では分離困難な前記析出物(金属シアン化合物)をシアン化合物吸着除去工程において活性炭により吸着除去することで、被処理液中のシアン化合物を非常に低濃度になるまで除去できた。
前記反応工程において添加する前記金属イオンは、シアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンであれば何でもよいが、凝集沈殿法において添加されることが多い鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンのいずれかであることが好ましい。また、処理液の水質が排水基準を満足するようにするため等の理由から、ある金属イオンだけを多量に添加することが好ましくない場合には、2種以上の金属イオンを添加することが好ましい場合もある。
また、前記反応工程で得る前記被処理液のpHは、7以下の酸性であればシアン化合物が活性炭へ吸着されるが、より効率よく前記被処理液中のシアン化合物を除去するためにはpHが2〜4.5の範囲であることが好ましく、そのために必要に応じて反応工程において酸性物質を添加すると良い。
また、前記シアン化合物吸着除去工程から排出される前記被処理液のpHが排出液のpHに関する基準を下回る場合は、前記pH調整工程により排出液のpHに関する基準を満足するpHとなるように調整した後、排出することが好ましい。
一方、シアン化合物を含有する被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去する方法において、被処理液に界面活性剤を添加した後、活性炭と接触させることにより、界面活性剤を添加しない場合に比べて、被処理液中のシアン化合物の除去率が向上した。これは、界面活性剤の親水性基にシアン化合物が結合すると共に、界面活性剤の疎水性基が活性炭に吸着されたものと考えられる。さらに、被処理液中のシアン化合物は一般的に陰イオンであることが多いため、前記界面活性剤はカチオン系界面活性剤であることがより好ましく、前記カチオン系界面活性剤の中でも、特にCTABがより好ましい。
請求項1のシアン化合物を含有する排水の処理方法を採用することにより、被処理液に酸性物質及び金属イオンを添加することで析出した析出物(金属シアン化合物)を金属シアン化合物分離除去工程で分離し、前記分離除去工程では分離困難な前記析出物(金属シアン化合物)をシアン化合物吸着除去工程において活性炭により吸着除去することで、被処理液中のシアン化合物を非常に低濃度になるまで除去でき、有害なシアン化合物を含有する排水の処理が効率良く行うことができるようになる。
また、反応工程で前記被処理液に前記酸性物質及び前記金属イオンを添加することにより析出物を生成させ、生成した析出物を分離除去工程において可能な限り除去した後、金属シアン化合物分離除去工程において分離除去されなかった析出物の除去をシアン化合物吸着除去工程において行うことで、活性炭のシアン化合物吸着能力をより持続させることができ、被処理水中のシアン濃度が低濃度となる処理が長時間継続して行えるので、処理方法自体の運転効率が向上する。
一方、シアン化合物を含有する被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去する方法において、被処理液に界面活性剤を添加した後、活性炭と接触させることで、界面活性剤を添加しない場合に比べて、被処理液中のシアン化合物の除去率が向上するので、シアン化合物を含有する被処理液の処理を効果的に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の請求項1〜6のシアン化合物を含有する排水の処理方法を実現するシステムは、シアン化合物を含む被処理液5から活性炭を用いて前記シアン化合物を除去するものであって、図1に示すように、被処理液5に酸性物質と金属イオンを添加するための反応手段1と、前記反応手段1で生成する析出物7を分離するための分離手段2と、被処理液5と活性炭とを接触させて前記被処理液7から前記シアン化合物を前記活性炭により吸着除去するシアン化合物吸着除去手段3とを備えているものである。それぞれの工程はバッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
前記反応手段1において被処理液5を酸性にするために添加する物質は、酸性の物質であればなんでもよく、例えば、無機の酸性物質が利用可能であり、代表的な例としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸が利用可能である。また、前記反応手段1で用いる反応容器は、合成樹脂、コンクリート等により構成されるpH2程度までの酸性に耐えうる公知の反応容器を用いることができる。前記反応容器と酸性溶液貯留槽とをチューブで接続し、pHセンサーで前記反応手段1のpHを測定しながら、pH制御装置により前記酸性溶液貯留槽と前記反応容器との間に設置されたポンプを駆動させ、自動的に前記反応容器内のpHを一定の値に維持することも可能である。
また、前記反応手段1において添加する前記金属イオンは、シアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンであれば何でもよく、例えば、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンが利用可能である。また、添加する金属イオンは、前記鉄イオン、前記亜鉛イオン、前記銅イオンのうちの1種でもよく、あるいは、前記処理液の性状が排出液に関する規制を満足するために1種の金属イオンだけを多量に添加することが好ましくない場合は、2種以上添加することもできる。
添加する前記金属イオンの濃度は、前記被処理液中に存在するシアン化合物と反応する理論量と同じか20%程度の過剰量とすることが好ましいが、前記被処理液中にはシアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンが既に共存している場合も多く、より少量で効果が得られる場合もある。よって、添加する前記金属イオンの最適濃度については、事前に目的とする被処理液を用いた実験を行って決定すべきである。
前記金属イオンを前記反応容器へ供給する方法としては、高濃度に前記金属イオンを含む水溶液を金属イオン水溶液貯留槽に貯留し、前記金属イオン水溶液貯留槽と前記反応容器とをチューブで接続し、前記金属イオン水溶液貯留槽と前記反応容器との間に設置されたポンプを駆動させ、所定濃度となるように前記金属イオン水溶液を前記反応容器へ供給することも可能である。
前記反応手段1で生成した析出物7を前記被処理液5から分離する前記分離手段2としては、シックナーによる沈降分離、フィルタープレス、遠心分離等の公知の分離技術が利用可能である。必要であれば凝集剤、例えば硫酸バンドなどの無機凝集剤や高分子凝集剤などを添加することもあるが、厳密に全量除去する必要はないため、通常は凝集剤を添加せずにシックナーによる沈降分離を行えば十分である。
前記シアン化合物吸着除去手段3において使用する前記活性炭の形状は粉末状、粒状のいずれでもよく、また、活性炭素繊維を利用することも可能である。さらに、前記活性炭と前記被処理液との接触方法は、粉末状活性炭を用いる接触ろ過法、粒状活性炭を用いる固定層法、移動層法、流動層法等が採用可能である。
前記シアン化合物吸着除去手段3における前記活性炭と前記被処理液5との最適な接触時間は、被処理液の性状によって異なると考えられるため、適宜決定すべきであるが、通常は5〜200分の範囲、より好ましくは、10〜30分の範囲とする。
前記シアン化合物吸着除去手段3において使用する前記活性炭は、活性炭であれば何でも利用可能であり、例えば、ヤシ殻、石炭、ピッチ等を原料とする活性炭が利用可能である。また、活性炭の細孔半径のピークが6〜20オングストロームの間であることが好ましく、活性炭の細孔半径のピークが8〜18オングストロームの間であることがより好ましく、活性炭の細孔半径のピークが10〜15オングストロームの間であることがさらに好ましい。
前記シアン化合物吸着除去手段3から排出される被処理液は、そのまま排出することもできるが、通常は排出液のpHに関する規制が存在するため、規制をクリアできるpH値まで処理液6のpHを調整した後排出することが望ましい。pH調整手段4において排出液のpHに関する規制を満足する処理液6を得るために添加するアルカリ性物質は、アルカリ性の物質であればなんでもよく、例えば、無機のアルカリ性物質が利用可能であり、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩が利用可能であり、代表的な例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが利用可能である。また、前記pH調整手段4で用いるpH調整容器は、合成樹脂、コンクリート、鉄板等により構成されるpH5〜9程度に耐えうる公知の反応容器を用いることができる。前記pH調整容器とアルカリ性溶液貯留槽とをチューブで接続し、pHセンサーで前記pH調整手段4のpHを測定しながら、pH制御装置により前記アルカリ性溶液貯留槽と前記pH調整容器との間に設置されたポンプを駆動させ、自動的に前記pH調整容器内のpHを一定の値に維持することも可能である。
前記各工程間の前記各被処理液の移動は、ポンプを使用して強制的に移動させることも可能であるし、オーバーフローにより自然に移動させることも可能である。前記被処理液5としては、シアン化合物を含有する種々の溶液が該当する。例えば、前記シアン化合物を含有する地下水、工業廃水、埋立地の浸出水等である。好適な例としては、連続的に湧出又は揚水される地下水を前記被処理液5として連続的に処理する。
本発明は、被処理液の発生量が少なく、大規模な水処理設備の設置に適さない条件での利用に適しており、例えば、短期間の工事期間中に発生する工事排水の処理や、毎日少量ずつ地下水を揚水して地下水の浄化を行う場所で利用するような場合に非常に有効である。
前記シアン化合物としては、遷移金属シアノ錯体、例えば、鉄シアノ錯体、コバルトシアノ錯体、金シアノ錯体、ニッケルシアノ錯体、銀シアノ錯体等があるが、特に、難分解性の鉄シアノ錯体、コバルトシアノ錯体、金シアノ錯体に対しては、酸化分解法の適用が非常に困難であるため、有効である。
処理に使用した前記活性炭は、そのまま焼却等により処理してもよいし、加熱により吸着したシアン化合物を分解した後再利用してもよい。また、発明者らは、前記活性炭に吸着したシアン化合物が強アルカリ性の溶液と接触させることにより容易に脱着されることを確認したため、処理に使用した前記活性炭に強アルカリ性溶液を接触させて前記活性炭の吸着能力を再生した後再利用することも可能である。この場合、前記強アルカリ溶液には高濃度の前記シアン化合物が含まれることになるため、別途前記強アルカリ溶液の処理が必要となる。
前記分離手段2において分離された前記析出物7には前記シアン化合物が含まれるため、別途前記シアン化合物を含有する汚泥として処理する必要がある。前記析出物7は、そのまま排出してもよいし、フィルタープレスや遠心分離等の脱水手段により脱水した後排出してもよい。
本発明の請求項6〜10のシアン化合物を含有する排水の処理方法は、シアン化合物を含む被処理液に界面活性剤を添加した後、活性炭と接触させることにより、前記被処理液中のシアン化合物を吸着除去するものであって、その処理はバッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
前記界面活性剤は、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用可能であるが、特にカチオン系界面活性剤が好ましく、例えば、CTAB、塩化ベンザルコニウムなどが使用可能である。
以下、本発明の実施例により、その効果をより明らかにすることができる。
以下の実施例において、活性炭としては太平化学産業(株)製ブロコールCMを使用した。また、実排水としては、工場跡地から採取した地下水を使用した。地下水中の全シアン濃度は0.43mg−CN/L、pHは7であった。実験に供試する際は、フェロシアン化カリウム三水和物を添加して全シアン濃度が10mg−CN/Lになるように調整した。以下、これを「実排水」という。
溶液中の全シアン濃度は、JIS−K0102「工場排水試験方法」の「38.1.2全シアン(pH2以下で発生するシアン化水素)」に従って蒸留し、全自動シアン測定装置(アナテック・ヤナコ製T−CN501)を使用して、「38.4 イオン電極法」に従い定量した。
〔実験方法〕
蒸留水にフェロシアン化カリウム三水和物を全シアン濃度が10mg−CN/Lになるように添加し、塩酸及び水酸化ナトリウムを添加して所定のpHとなるように調整した。(以下、蒸留水にフェロシアン化カリウム三水和物を添加した溶液を「試薬液」という)200mL容のビーカーに、試薬液100mLを添加し、45μmのふるいを通過させた活性炭0.1gを添加し、30℃で3時間、スタラーを用いて攪拌した。その後、No.1のろ紙でろ過し、ろ液中の全シアン濃度を測定した。
〔結果〕
図2に示す通り、pH2〜4の間でシアン化合物除去率が高くなり、特にpH3で高くなった。この結果から、活性炭によりシアン化合物を吸着除去する最適pHは、2〜4の間であることが明らかとなった。
〔実験方法〕
蒸留水に、塩化ナトリウムを0.4mol/L、及び、塩化カルシウムを0.05mol/Lの濃度となるように添加し、さらに、フェロシアン化カリウム三水和物を全シアン濃度が10mg−CN/Lになるように添加した液を調整した。以下、これを「模擬排水」という。
pH3に調整した模擬排水に、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)を金属イオンとして10mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、30℃で1時間スタラーを用いて攪拌した。その後、ろ紙GA100(目の開き1μm)でろ過し、ろ液中の全シアン濃度を測定した。次に、ろ液に活性炭0.05gを添加し、30℃で3時間スタラーを用いて攪拌した。その後、ろ紙No.1でろ過し、ろ液中の全シアン濃度を測定した。また、比較例として、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)のいずれも添加しない条件についても同様の実験を実施した。
〔結果〕
結果を図3に示す。すなわち、塩化鉄(III)、塩化銅(II)を添加した場合は、ろ過によって25〜35%のシアンが除去された後、活性炭によってほぼ全てのシアンが吸着除去された。また、塩化亜鉛(II)を添加した場合は、ろ過によって98%のシアンが除去され、その後の活性炭処理によりさらにシアン濃度は低下した。一方、いずれの金属イオンも添加しない条件では、ろ過によっても活性炭処理によってもシアンが全く除去されなかった。
以上の結果から、塩化ナトリウムや塩化カルシウムといった塩分が共存する場合にはpH3の条件でもシアンは活性炭にほとんど吸着されないが、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、あるいは塩化亜鉛(II)といった金属イオンを添加した後活性炭処理することにより、一部は析出することにより除去され、さらに活性炭により吸着除去されて非常に低濃度まで除去できることが明らかとなった。
〔実験方法〕
内径26mm、高さ230mmのカラムに活性炭10gを充填し、流速2.6mL/minでカラム下部から試料液を供給した。カラム上部からの流出液を採取し、全シアン濃度を測定した。試料液としては、pH7の試薬液、pH3の試薬液、pH3の実排水、pH3の実排水に塩化鉄(III)を10mg−Fe/L、塩化銅(II)を3mg−Cu/L、塩化亜鉛(II)を5mg−Zn/L添加したものの4種類を供試した。実排水を供試した実験においては、pHを3にすることにより析出物が生成したため、懸濁液を1時間静置し、上澄み液を実験に供試した。
〔結果〕
結果を図4に示す。すなわち、pH7の試薬液の場合は流出液量約2,000mLで破過したのに対し、pH3の試薬液の場合は流出液量10,000mLを超えるまで破過しなかった。また、pH3の実排水の場合は流出液量約2,000mLで破過したのに対し、pH3の実排水に塩化鉄(III)、塩化銅(II)、及び塩化亜鉛(II)を添加した場合は流出液量15,000mLを超えるまで破過しなかった。以上の結果から、pH7では、活性炭によるシアン化合物の吸着容量が非常に小さいが、pH3にすることにより大幅に吸着容量が増加することが明らかとなった。また、実排水の場合はpH3でもシアン化合物の吸着容量が非常に小さいが、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、及び塩化亜鉛(II)を添加することにより吸着容量が大幅に増加することが明らかとなった。
これらの結果から、被処理液をpH3にした後析出物を分離除去し、その後活性炭で吸着除去することにより、活性炭を用いてシアン化合物を含有する被処理液を効果的に除去できることが明らかとなった。
〔実験方法〕
蒸留水にフェロシアン化カリウム三水和物を全シアン濃度が10mg−CN/Lになるように添加し、塩酸及び水酸化ナトリウムを添加してpH7となるように調整した。(以下、蒸留水にフェロシアン化カリウム三水和物を添加した溶液を「試薬液」という)200mL容のビーカーに、試薬液100mLを添加し、45μmのふるいを通過させた活性炭0.1g及びCTABを20mg/Lの濃度となるように添加し、30℃で3時間、スタラーを用いて攪拌した。その後、No.1のろ紙でろ過し、ろ液中の全シアン濃度を測定した。比較のために、CTABを添加しない場合について同様の実験を行い、ろ液中の全シアン濃度を測定した。
〔結果〕
図5に示す通り、CTABを添加しない場合のシアン除去率は39.4%であったが、CTABを添加することによりシアン除去率が54.9%に増加した。
〔実験方法〕
蒸留水に、塩化ナトリウムを0.4mol/L、及び、塩化カルシウムを0.05mol/Lの濃度となるように添加し、さらに、フェロシアン化カリウム三水和物を全シアン濃度が10mg−CN/Lになるように添加した液を調整した。以下、これを「模擬排水」という。pH3に調整した模擬排水に、界面活性剤としてCTAB(カチオン系界面活性剤)、塩化ベンザルコニウム(カチオン系界面活性剤)、Triton X(ノニオン系界面活性剤)、Antifoam(ノニオン系界面活性剤)、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)をそれぞれ50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、30℃で1時間スタラーを用いて攪拌した。その後、No.1のろ紙でろ過し、ろ液中の全シアン濃度を測定した。また、比較のために、界面活性剤を添加しない条件についても同様の実験を実施した。
〔結果〕
結果を図6に示す。すなわち、界面活性剤を添加しない場合及びノニオン系、アニオン系界面活性剤を添加した条件では、模擬排水中のシアン化合物がほとんど除去されなかった。一方、カチオン系界面活性剤の塩化ベンザルコニウムを添加した場合はシアン化合物の除去率が9.5%に向上し、同じくカチオン系界面活性剤であるCTABを添加した場合は31.3%に向上した。
以上の結果から、カチオン系界面活性剤を添加した後に活性炭処理することにより、活性炭によるシアン化合物の吸着効果が向上することが明らかとなった。
本発明のシアン化合物の除去プロセスを表す概念図 pHと活性炭によるシアン化合物吸着除去効果の相関関係を表すグラフ 金属イオン添加の効果を表すグラフ カラム実験によるシアン化合物含有溶液の処理結果を表すグラフ 試薬液に対する界面活性剤の効果を表すグラフ 模擬排水に対する界面活性剤の効果を表すグラフ
符号の説明
1 反応手段
2 分離手段
3 シアン化合物吸着除去手段
4 pH調整手段
5 被処理液
6 処理液
7 析出物

Claims (10)

  1. シアン化合物を含有する被処理液にシアン化合物と反応して析出物を生成する金属イオンを添加する反応工程と、反応工程で生成した析出物を前記被処理液から分離する金属シアン化合物分離除去工程と、前記析出物を分離除去した前記被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去するシアン化合物吸着除去工程とを有することを特徴とするシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  2. 前記反応工程で添加する前記金属イオンが鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンのうちから選ばれる1種または2種以上の金属イオンであることを特徴とする請求項1に記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  3. 前記被処理液に、前記金属イオンと共に酸性物質を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  4. 前記酸性物質を添加した前記被処理液のpHが2〜4.5の間であることを特徴とする請求項3に記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  5. 前記シアン化合物吸着除去工程から排出された前記被処理液にアルカリ性物質を添加するpH調整工程を有することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  6. シアン化合物を含有する被処理液を活性炭と接触させてシアン化合物を吸着除去する方法において、前記被処理液に界面活性剤を添加した後、前記活性炭と接触させることを特徴とするシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  7. 前記界面活性剤がカチオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項6に記載のシアン化合物含有する排水の処理方法。
  8. 前記カチオン系界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)であることを特徴とする請求項7に記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  9. 前記被処理液に、前記界面活性剤と共に酸性物質を添加することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
  10. 前記被処理液に、前記界面活性剤と共に酸性物質を添加し、pHを2〜4.5の間に調整することを特徴とする請求項9に記載のシアン化合物を含有する排水の処理方法。
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