JP2013163144A - シアン含有廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シアン含有廃水の処理を、従来方法で処理した場合と比べ、効率的に、確実に除去でき、シアン成分を処理した処理物の無害化をより確実に行うことができる経済性に優れたシアン含有廃水の処理方法の提供。
【解決手段】必要に応じて還元剤を添加させて、酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにするか及び/又は必要に応じてアンモニウムイオンを添加させて、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するようにしたシアン含有廃水に、鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整してシアンを不溶化処理し、その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有するシアン含有廃水の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法に関し、特に、メッキ等を行う化学工場や、石炭工場、コークス工場、コークスを大量に用いる工場等で生ずるシアン含有廃液を含む廃水中のシアン成分を、より効率よく経済的に、かつ、安全な状態で除去できるシアン含有廃水の処理方法に関する。
上記したように、メッキ工場、石炭工場、コークス工場等からの廃水には、シアン含有化合物(シアン成分)が含有されている場合がある。従来、シアン含有廃水中のシアン化物イオン(CN-)の処理方法としては、アルカリ塩素法が古くから行われてきているが、この方法に使用される薬剤の次亜塩素酸塩は、その輸送に不便がある等の課題がある。このような問題のない処理方法として、シアン含有廃水を、ホルムアルデヒドを含む処理剤で処理することによって、毒性の少ないシアノヒドリンの1種であるホルムアルデヒドシアノヒドリンを生成させて、シアンを無毒化する方法が知られている(特許文献1参照)。さらに、上記方法におけるシアン化合物の低減効果を高め、安全性を高めるために、ホルムアルデヒドを添加しての第1反応後に過酸化水素を特定量添加し、pH7.0以上で第2反応を行うことが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、ホルムアルデヒドシアノヒドリンは、毒性が弱まっているとは言え、その毒性は比較的高く、また、場合によってはホルムアルデヒドとシアン化物に解離するおそれもある。さらに、本発明者らの検討によれば、上記に列挙した工場からの大量の廃水中のシアン化物イオンの処理を、上記した薬剤で十分に行うには、シアン化物イオンの濃度にもよるが、大量の薬剤を必要とし、上記した従来方法は、処理水や処理物における安全性の問題に加えて、経済的に優れた方法であるとは言い難い。
一方、上記に列挙したような工場からの廃液を含むシアン含有廃水には、シアン成分が、フェロシアン化物イオンやフェリシアン化物イオンといった錯イオンの形で含まれているものも多い。これらの中で、フェロシアン化物イオンは、金属イオンを作用させることで難溶性の金属錯体を形成することが知られており、従来より、これを利用して、フェロシアン化物イオンを含む廃液をマンガンや亜鉛等の金属イオンと反応させ、得られる金属塩を沈殿除去することが行われている。
特許文献3には、上記した従来技術を改良して、第一マンガン化合物溶液と水酸化ナトリウムを加えることによって、フェロシアン化物イオンとフェリシアン化物イオンを同時に廃液から除去する方法が開示されている。
そして、上記に列挙したような工場からの廃液を含むシアン含有廃水中のシアン成分の除去処理に用いられている従来の方法では、処理水に残留した場合に特に問題となる毒性のある遊離シアン(CN-)の処理に重点が置かれているため、下記のように処理することが一般的である。すなわち、まず、先に述べたような方法で処理剤を用いて遊離シアンを除去することを行い、その後に、上記方法では処理されないフェロシアン化物イオンやフェリシアン化物イオンといった錯イオンがある場合には、これを不溶化し、固液分離することが行われている。すなわち、シアン含有廃水からシアン成分を除去する従来の方法では、遊離シアンの処理を第一とし、まず遊離シアンの処理を行い、その後に錯シアンに配位しているシアンイオンの処理を行っている。
特公昭45−36号公報 特開平2−35991号公報 特開平7−124570号公報
上記した従来技術における現状に対し、本発明者らは、下記に挙げる課題を認識するに至った。シアン含有廃液を含むシアン含有廃水からシアン成分を除去する従来の方法では、ホルムアルデヒドシアノヒドリンを生成させて遊離シアンを無害化しているが、先に述べたように、毒性が弱まっているとは言え、ホルムアルデヒドシアノヒドリンの毒性は比較的高く、また、場合によってはホルムアルデヒドとシアン化物に解離するおそれもあり、改善する必要があった。さらに、上記したような処理剤を用いる従来の方法の最大の課題は、処理剤の使用量が多く、これにかかるコストの削減が急務であり、特に、シアン含有廃液を上記したような処理剤を使用することなく、処理することができれば、極めて有用な技術となり得るとの認識をもった。
従って、本発明の目的は、毒性があるシアン成分を含むシアン含有廃水の処理を、従来の方法で処理した場合に比べて、より簡便に、より効率的にでき、場合によっては、従来、遊離シアンの処理に必須と考えられていた処理剤を使用することなく、或いは、使用したとしても従来技術に比べて処理剤の使用量を大幅に削減できる、経済性に優れ、工業的に利用可能な優れたシアン含有廃水の処理方法を提供することにある。
上記目的は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、必要に応じてアンモニウムイオンを添加して、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するようにしたシアン含有排水に、鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整し、その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法を提供する。
また、本発明は、シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、必要に応じて還元剤を添加して、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにしたシアン含有廃水に、鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整し、その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法を提供する。
また、本発明は、シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、必要に応じてアンモニウムイオンを添加して、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するようにし、かつ、必要に応じて還元剤を添加して、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにしたシアン含有廃水に、鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整し、その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態は、上記いずれかの方法において、下記の構成とすることが好ましい。廃水中の鉄(II)イオンの数が、廃水中の全シアン(遊離シアンと、錯シアンに配位しているシアンイオンとの和)に対して0.05モル当量以上となるように、前記鉄(II)塩を添加すること;廃水中の亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンの数またはその和が、廃水中の全シアン(遊離シアンと、錯シアンに配位しているシアンイオンとの和)に対して0.05モル当量以上となるように、前記亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類の添加を行うこと;鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加する前又は後に、さらに、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、ジアリルジメチルアンモニウム塩、アクリロニトリル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびホルムアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を原料として合成された化合物、セルロース或いはその誘導体、キトサン或いはその誘導体からなる群から選ばれるいずれかの高分子凝集剤を添加すること;前記還元剤が、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、塩化第一鉄およびチオ硫酸からなる群から選ばれる少なくとも1つであること;前記亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、硝酸亜鉛、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化銅および硫酸銅からなる群から選ばれることである。
本発明の好ましい形態は、上記いずれかの方法において、さらに、前記鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加する際に、シアン化物イオン(CN-)と反応してニトリル化合物を生じる、アルデヒド基又はケト基を有する化合物、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を添加することが挙げられる。
本発明によれば、毒性があるシアン成分を含むシアン含有廃水の処理を、従来の方法で処理した場合に比べて、より簡便に、より効率的にでき、場合によっては、遊離シアンの処理に必須と考えられていた処理剤を使用することなく、或いは、使用したとしても従来技術に比べて処理剤の使用量を大幅に削減できる、経済性に優れ、工業的に利用可能な優れたシアン含有廃水の処理方法の提供が可能になる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術におけるシアン含有廃水の処理方法における課題を解決すべく鋭意検討していく過程で、従来のホルムアルデヒドを含む処理剤による処理についての検討した結果、従来の処理剤に比べて、より有用な効果が得られる新たな処理剤を見出した。該処理剤をシアン含有廃水に添加して、該化合物と廃水中のシアン成分とを反応させることで、シアン成分を、毒性の少ないシアノヒドリンであって、しかも廃水中の懸濁性物質に吸着し易い反応生成物とすることが可能になる。
これに対し、本発明者らは、本発明が最終的な目的としている、シアン含有廃水中のシアン成分の除去処理技術を、より経済的な、工業的に利用可能なものにするためには、上記した新たな処理剤を単に従来の処理方法で使用している処理剤に代えただけでは不十分であると考えた。すなわち、従来の処理方法においては、まず遊離シアンの除去を行っているため、処理剤の使用量を低減することは難しく、この点だけでも経済性に優れた方法であるとは言い難かった。そこで、さらなる検討を行い、本発明に至ったものであるが、本発明の技術的な特徴は、従来の、処理剤による遊離シアンの除去後に、錯イオン化しているシアンがある場合に行っていた、錯イオン化しているシアンを不溶化し、固液分離する方法をより効率のよいものにした点にある。すなわち、本発明によれば、廃水中のシアン成分を錯イオンとし、これを不溶化・固液分離する工程を、より効率のよいものにでき、場合によっては、この不溶化・固液分離処理のみで処理水中の全シアン量を規制値以下にすることができる。このため、遊離シアンの処理に大量に用いていた処理剤が不要になるか、本発明では、従来のものとは異なる新規な特有の処理剤を用いることで、この効率のよい不溶化・固液分離処理と併行して処理剤による遊離シアンの処理を行うものにできる。このため、1段階の処理でまとめて処理ができ、しかも処理剤の使用量を大幅に削減することが可能になる。
以下、本発明のシアン含有廃水の処理方法について詳細に説明する。本発明の処理方法では、シアン含有廃水に、廃水中で鉄イオン(Fe2+)を生じる鉄(II)塩と、廃水中で、少なくともZn2+またはMn2+またはCu2+のいずれかの金属イオンを生じさせる金属塩類とを添加し、処理時における廃水のpHを7.0〜10.0の範囲に調整することで、廃水中のシアン成分を錯イオンとし、これを不溶化させ、その後に不溶化物を固液分離する。本発明者らの検討によれば、シアン含有廃水が、本発明で規定する特有の性状のものであれば、pHを7.0〜10.0の範囲に調整した状態で、鉄(II)塩を添加すると、シアン含有廃水中のシアン化物イオンは、より速やかにフェロシアン化物イオンになる。さらに、本発明では、上記した鉄(II)塩の添加に加えて、少なくともZn2+またはMn2+またはCu2+のいずれかの金属イオンを生じさせる金属塩類を添加して処理するが、この結果、上記で生じたフェロシアン化物イオンはより速やかに不溶化し、固液分離できるものになる。
本発明の技術的特徴は、上記した廃水中のシアンを不溶化・固液分離処理をする際におけるシアン含有廃水の性状を、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下であるか、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有しているか、或いは、最適には上記両方の条件を満足している場合に、特に上記した不溶化をより速やかに効率よく行われることを見出した点にある。すなわち、本発明では、上記したいずれかの要件を満足する性状のシアン含有廃水を、上記した2種類の薬剤を添加して不溶化・固液分離処理することで、より効率のよい不溶化及び固液分離処理をすることを可能にし、廃水中のシアンの除去処理をより簡便な方法で行うことを達成する。より具体的には、上記いずれかの要件を満足したシアン含有廃水を処理した場合と、それ以外のシアン含有廃水を処理した場合とを比較すると、明らかに、本発明の方法で処理した処理水では、全シアン濃度の低減の程度に違いがあり、後述するように、場合によっては、上記した不溶化・固液分離処理のみで処理水中の全シアン量を規制値以下にすることができる。したがって、この場合は、処理剤による遊離シアンの処理を不要にできる。
本発明においてより良好な効果が得られる不溶化・固液分離処理をする際におけるシアン含有廃水の性状について説明する。pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)については、0mV以下である場合に、それ以外のORPの廃水を処理した場合と比較して処理水における全シアン濃度に有意差が見られた。他の要件にもよるが、本発明者らの検討によれば、廃水のORPが−10mV以下であることがより好ましい。また、廃水が、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有している場合に、それ以外の濃度を示す廃水を処理した場合と比較して有意差があることがわかった。他の要件にもよるが、本発明者らの検討によれば、アンモニア性窒素として50mg/L以上のアンモニウムイオンを含有している廃水を処理するようにすることが好ましい。さらに、本発明者らの検討によれば、ORPとアンモニウムイオンについて両方の要件を満足するシアン含有廃水を処理した場合は、一方の要件のみを満足するシアン含有廃水を処理した場合よりも、明らかに処理水中のシアンの除去効率を向上させることができることがわかった。本発明においては、これらの知見に基づき、処理対象のシアン含有廃水の性状を確認し、必要に応じて還元剤を添加して、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにするか、必要に応じてアンモニウムイオンを添加して、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するものとなるようにする。上記において使用する還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、塩化第一鉄およびチオ硫酸からなる群から選ばれるものが挙げられる。
さらに、シアン含有廃水の性状が上記した要件を満足するいずれの場合も、廃水のpHによってシアンの除去効果に影響を与えるため、本発明では、シアン含有廃水のpHを7.0〜10.0の範囲に調整することが必要である。より好ましいpH範囲は8.5〜10.0であり、pH調整に必要な薬剤量を低減できることからも特に好適には、pHを8.5〜9.5の範囲内に調整することが挙げられる。
さらに、本発明の好ましい形態としては、上記において、鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類の添加の際に、遊離のシアン化物イオン(CN-)と反応してニトリル化合物を生じる、アルデヒド基又はケト基を有する化合物、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体、アクリル酸或いはその誘導体、および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を添加することが挙げられる。以下、この好ましい実施形態について説明する。
先に述べたように、特定の性状のシアン含有廃水を処理する本発明の方法では、シアン含有廃水に鉄イオン(Fe2+)を生じる鉄(II)塩を加えると、廃水中のシアン化物イオン(CN-)は、速やかにフェロシアン化物イオンになり、該フェロシアン化物イオンは、一緒に添加したZn2+またはMn2+またはCu2+のいずれかの金属イオンを生じさせる金属塩類と反応して、速やかに効率よく不溶化したシアノ錯体となる。これに対し、本発明者らの検討によれば、上記したように、鉄(II)塩とともに、シアン化物イオンと反応してニトリル化合物を生じる化合物を添加して処理した場合も、シアン含有廃水中のシアン化物イオンの大部分は錯化してヘキサシアノ鉄錯体に変換される。すなわち、上記したように、鉄(II)塩と、シアン化物イオンと反応してニトリル化合物を生じる化合物とを併用した状態で処理した場合、廃水中のシアン化物イオン(CN-)は優先的に鉄(II)塩と反応するので、廃水中のシアンイオンのその大部分は、鉄(II)塩と、これとともに添加した金属塩類とで不溶化される。そして、上記構成とした場合は、この優先的に効率よく行われる不溶化・固液分離処理によっても、錯化せず、不溶化反応せずに廃水中にシアン化物イオンが残存していることがあれば、鉄(II)塩等とともに添加したアルデヒド基又はケト基を有する化合物等と反応して、廃水中の懸濁性物質に吸着し易いニトリル化合物になる。このため、上記構成とすれば、シアン含有廃水からのシアンの除去をより高度にすることができる。しかし、先に述べたように、本発明の方法によれば、2種類の薬剤を用いて行う廃水中のシアン成分を不溶化・固液分離処理する工程で、許容されている廃水基準を満たす処理水を得ることが可能であるので、上記したニトリル化合物を生じるアルデヒド基又はケト基を有する化合物等の添加は、必ずしも必要ではない。このため、本発明によれば、従来、多量に使用されていた薬剤量を削減され、経済的な処理が可能となるという効果が得られる。
以下、本発明の処理方法に用いる各薬剤について説明する。
[鉄(II)塩]
本発明で使用する鉄(II)塩は、そのほとんどが水である廃水に加えられて鉄イオン(Fe2+)を生じる化合物であればいずれでもよい。例えば、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)等が挙げられる。これらは単一で加えてもよいし、混合して加えてもよい。鉄イオンのFe2+はシアン化物イオンと反応して錯イオン(フェロシアン化物イオン)となるため、上記したFe2+を生じる鉄化合物を加えることにより、廃水中のシアン化物イオンは、そのほとんどがフェロシアン化物イオンとなる。廃水に加える鉄(II)塩の量は、廃水の性状にもよるが、シアン含有廃水に含まれるシアン化物イオンに対して、0.01〜50モル当量の範囲で添加することが好ましく、0.05〜50モル当量の範囲で添加することがさらに好ましい。
[金属塩類]
先に述べたように、本発明の処理方法では、廃水に添加した鉄(II)塩と、廃水中のシアン化物イオンとから効率よく生成したフェロシアン化物イオンを、さらに、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる金属塩類が添加することによって効率よく不溶化し、難溶性の金属錯塩として析出させている。析出した難溶性の金属錯塩は、沈殿槽等による簡便な方法で固液分離することが可能であるので、本発明の処理方法によれば、廃水中のシアン化物イオンが容易に除去される。金属塩類の具体的なものとしては、例えば、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、硝酸亜鉛、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化銅、硫酸銅が挙げられる。これらのうちの何れか1つを用いてもよいし、2つ以上を混合して用いてもよい。
上記した金属塩類は、シアン含有廃水に含まれるシアン化物イオンが、上記で加えられた鉄(II)塩によってフェロシアン化物イオンとされたとして、このフェロシアン化物イオンを全て金属錯塩とするのに十分な量の金属イオンを生じる量を添加することが好ましい。具体的には、金属塩類は、シアン含有廃水に含まれるシアン化物イオン量に対して、0.05モル当量以上加えることが好ましく、0.3モル当量以上加えることがさらに好ましい。
[固液分離]
上記したように、本発明では、廃液中のシアン化物イオンを、鉄(II)塩と金属塩類とで不溶化したシアノ錯体(金属錯塩)とし、不溶化したシアノ錯体を固液分離することで、より効率よく、確実に廃液中のシアン化物イオンを除去する。不溶化したシアノ錯体を固液分離する方法としては、一般に使用されている、例えば、重力沈降を利用した沈殿や、加圧浮上、ろ過、遠心分離等の方法をいずれも用いることができる。また、固液分離の前に、一般に使用されている、例えば、ポリ塩化アルミ(PAC)等の無機凝集剤や、有機高分子凝集剤を使用してもよい。有機高分子凝集剤としては、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル化合物、ジアリルジメチルアンモニウム塩、アクリロニトリル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびホルムアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を原料として合成された化合物、セルロース或いはその誘導体、キトサン或いはその誘導体が挙げられる。
[シアン化物イオンをニトリル化合物にする処理剤]
先に述べたように、本発明によれば、上記した2種類の薬剤を添加することによるシアン成分の不溶化処理と、これに続いて行う固液分離処理によって、廃水中のシアン化物イオンの大部分を速やかに分離除去することができ、これらの不溶化・固液分離処理のみで、処理水中の全シアン量を廃水の規制値(1ppm)以下にすることができる。したがって、上記した処理のみでも十分であるが、シアン化物イオンは毒性が高いため、廃水からできるだけ除去する必要があり、より高度な処理が要求される場合には、先に述べたように、錯化せずに残存したシアン化物イオンを処理するための特定の処理剤を、上記した2種類の薬剤の添加とともに行うことも好ましい。この際に使用する特定の処理剤としては、アルデヒド基又はケト基を有する化合物、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物であり、これらを添加すると、錯化せずに残存したシアン化物イオンがあった場合、該イオンと反応してニトリル化合物を生じる。本発明者らの検討によれば、この場合に生成するニトリル化合物は、廃水中の懸濁性物質に吸着し易いものであるため、本発明で行う上記した固液分離処理の際に、不溶化したシアノ錯体とともに速やかに固液分離することができる。また、本発明において、上記の処理をさらに行ったとしても、使用する処理剤の量は、シアン化物イオンの処理を第一に行っていた従来の方法に比べて格段に削減される。また、上記処理剤を添加した処理を行う場合であっても、段階的に処理するのではなく、2種類の薬剤を添加してのシアンの不溶化処理と同一工程で処理ができ、しかも最終処理を、簡単な固液分離でまとめてできるので、使用する処理剤の削減効果に加えて、設備的にも極めて有利な方法であり、経済的な処理となる。
本発明に用いるシアン化物イオンをニトリル化合物にする処理剤としては、シアン含有廃水中の錯化せずに残存したシアン化物イオンと反応してニトリル化合物を生成できる下記の化合物が好ましい。具体的には、アルデヒド基又はケト基を有する化合物、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を用いることができる。これらの化合物は、その構造中にアルデヒド基又はケト基(カルボニル基)等を有するので、これらの基にシアン化合物イオンが容易に付加する。また、これと同時に、該化合物は、その構造中に疎水性基を持つため、得られる反応物(付加体)は、例えば、廃水中に存在している石炭の微粉等の懸濁物質に速やかに吸着される。廃水中に適当な懸濁性物質が含有されていない場合や少ない場合には、廃水中に、例えば、活性炭、ゼオライト、粘土鉱物等の多孔質体を懸濁性物質として含有させてもよい。
より具体的なものとしては、下記のものが挙げられる。アルデヒド基又はケト基と疎水性基とを有する化合物としては、1のアルデヒド基をもつ芳香族アルデヒド、1のケト基をもつ芳香族ケトン、1のアルデヒド基と1以上の不飽和結合とを有する不飽和アルデヒド、1のケト基と1以上の不飽和結合とを有する不飽和ケトン、1のアルデヒド基と炭素数2〜28のアルキル基を有する飽和アルデヒド、1のケト基と炭素数2〜28のアルキル基を有する飽和ケトン等が挙げられる。上記芳香族アルデヒドとしては、例えば、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、バニリン等が挙げられる。また、上記の不飽和アルデヒドとしては、クロトンアルデヒド等が挙げられ、上記の飽和アルデヒドとしては、ペンタナール、ヘキサナール等が挙げられる。また、アクリル酸やアクリル酸メチル等のアクリル酸の誘導体、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体および還元糖等が挙げられる。還元糖としては、グルコース、リボース等が挙げられる。
上記した化合物を添加して処理する場合の廃水中への添加量は、錯化せずに残存すると考えられるシアン化物イオンに対してほぼ等量の、0.8〜1.2モル当量の範囲となるように添加することが好ましい。安全のためには、例えば、2〜20倍程度の過剰な量で添加して処理することが好ましい。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記におけるORPの値は、いずれも、pH8.0、25℃における酸化還元電位の測定値である。
(実施例1〜6、比較例1〜12)
下記のようにしてシアンを含む処理対象とする模擬廃水(原水)を調製した。まず、シアンを含有せず、かつ、表1に示したように、酸化還元電位が、−211mV〜+124mVの範囲でそれぞれに異なるNo.1〜No.6の6種類の工場排水を用意した。より具体的には、No.1〜No.3の排水はプラスの酸化還元電位を示し、No.4〜No.6の排水は、0mV以下のマイナスの酸化還元電位を示すものである。そして、これらの工場排水のそれぞれに、12.5mg/L(5mg−CN/L)のシアン化カリウムと、35.4mg/L(15mg−CN/L)のフェロシアン化カリウムとを用いて、各工場排水のそれぞれに添加して全シアン濃度をそれぞれ20mg/Lに調整した。
上記のようにして調製した、全シアン濃度が20mg/Lの、酸化還元電位が、−211mV〜+124mVの範囲でそれぞれ異なる6種類のシアン含有模擬廃水を用い、条件を変えてシアンの除去処理を行った。具体的には、300mLビーカーに、上記で調製した各シアン含有模擬廃水をそれぞれ200mLとり、この中に、それぞれ、鉄(II)塩として塩化第一鉄を鉄イオン濃度が100mg/Lとなるように添加し、さらに、亜鉛(II)イオン濃度が10mg/Lとなるように塩化亜鉛を添加し、処理時のpHを、8.5、9.5、10.5にそれぞれ調整して変えて、60分間、室温で撹拌してシアンを不溶化させた。撹拌停止後、高分子凝集剤KEA−520(日鉄環境エンジニアリング社製)を1mg/Lになるように添加して撹拌した後、5Cのろ紙で濾過して、不溶化されたシアン化合物を除去した。ろ液を検水として、JIS K0102に規定される方法で、全シアンの濃度を決定し、処理液中のシアン濃度を測定し、得られた測定値を表1中にまとめて示した。
Figure 2013163144
比較例1〜6と実施例1〜6におけるそれぞれの処理条件と、処理後における処理水中の全シアン濃度をそれぞれ比較した結果、表1に示したように、下記のことが明らかになった。pHを8.5〜9.5に調整して処理を行った場合、廃水のORPが0mV以下であれば、処理後の全シアン濃度が1mg/L以下となるが、廃水のORPが0mVを超えている場合は、処理後の全シアン濃度が1mg/Lを超えてしまい、明らかに有意差があることが確認された。また、比較例7〜12のpHを10.5に調整して処理を行った場合は、水のORPが、0mVを超えている場合よりも0mV以下の方が、処理後の全シアン濃度が低くなる傾向はみられるものの、pHを8.5〜9.5に調整して処理を行った場合よりもシアンの除去処理が十分とはならないことがわかった。そこで、pHを10に調整して処理を行ったところ、pHを9.5に調整して処理を行った場合とほぼ同様の結果が得られた。従って、本発明では、酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにし、さらに、廃水の処理pHを7.0〜10.0にすることを必須の要件とした。
(実施例7〜12、比較例13〜21)
下記のようにしてシアンを含む処理対象とする模擬廃水(原水)を調製した。まず、水道水に、12.5mg/L(5mg−CN/L)のシアン化カリウムと、35.4mg/L(15mg−CN/L)のフェロシアン化カリウムとをそれぞれ添加して、全シアン濃度がそれぞれ20mg/Lになるように調整した。さらに、これに、任意の量の塩化アンモニウムをそれぞれに添加して、NH4−N濃度が0mg/L〜100mg/Lの範囲でそれぞれ異なる5種類のシアン含有模擬廃水を得、これらについてシアンの除去処理試験を行った。
上記で調製した、全シアン濃度が20mg/Lの、NH4−N濃度が、0mg/L〜100mg/Lの範囲でそれぞれ異なる5種類のシアン含有模擬廃水をそれぞれに用い、条件を変えてシアンの除去処理を行った。具体的には、300mLビーカーに、上記で調製した各シアン含有模擬廃水をそれぞれ200mLとり、この中に、それぞれ、鉄(II)塩として塩化第一鉄を、鉄イオン濃度が100mg/Lとなるように添加し、さらに、亜鉛(II)イオン濃度が10mg/Lとなるように塩化亜鉛を添加し、処理時のpHを、8.5、9.5、10.5にそれぞれ調整して変えて、60分間、室温で撹拌してシアンを不溶化させた。撹拌停止後、高分子凝集剤KEA−520(日鉄環境エンジニアリング社製)を1mg/Lになるように添加して撹拌した後、5Cのろ紙で濾過して、不溶化されたシアン化合物を除去した。ろ液を検水として、JIS K0102に規定される方法で、全シアンの濃度を決定し、処理液中のシアン濃度を測定し、得られた測定値を表2中にまとめて示した。
Figure 2013163144
比較例13〜21と実施例7〜12におけるそれぞれの処理条件と、処理後における処理水中の全シアン濃度をそれぞれ比較した結果、表2に示したように、下記のことが明らかになった。pHを8.5〜9.5に調整して処理を行った場合、廃水のNH4−N濃度が30mg/L以上であれば、処理後の全シアン濃度が1mg/L未満となるが、廃水のNH4−N濃度が30mg/L未満である場合は、処理後の全シアン濃度が1mg/Lを超えてしまい、明らかに有意差があることが確認された。また、比較例17〜21で、pHを10.5に調整して処理を行った場合は、廃水のNH4−N濃度が、30mg/L未満である場合よりも30mg/L以上である場合の方が、処理後の全シアン濃度が低くなる傾向はみられるものの、pHを8.5〜9.5に調整して処理を行った場合よりもシアンの除去処理が十分ではないことがわかった。そこで、pHを10に調整して処理を行ったところ、pHを9.5に調整して処理を行った場合とほぼ同様の結果が得られた。従って、本発明では、廃水のNH4−N濃度が30mg/L以上となるようにし、さらに、廃水の処理pHを7.0〜10.0にすることを必須の要件とした。
(実施例13〜18、比較例22、23)
下記のようにしてシアンを含む処理対象とする模擬廃水(原水)を調製した。まず、水道水に、12.5mg/L(5mg−CN/L)のシアン化カリウムと、35.4mg/L(15mg−CN/L)のフェロシアン化カリウムとをそれぞれ添加して、全シアン濃度がそれぞれ20mg/Lになるように調整した。そして、その半分に、塩化アンモニウムを添加して、NH4−N濃度が30mg/Lとなるようにした。さらに、上記で得た、全シアン濃度が20mg/Lで、NH4−N濃度が30mg/Lか0mg/Lのいずれかである2種類のものに、還元剤として亜硫酸水素ナトリウムを添加して、酸化還元電位が、−59mV〜+110mVの範囲でそれぞれ異なる8種類のシアン含有模擬廃水を調製した。
上記で調製した8種類のシアン含有模擬廃水をそれぞれに用い、下記の条件でシアンの除去処理を行った。具体的には、300mLビーカーに、上記で調製した各シアン含有模擬廃水をそれぞれ200mLとり、この中に、それぞれ、鉄(II)塩として塩化第一鉄を、鉄イオン濃度が100mg/Lとなるように添加し、さらに、亜鉛(II)イオン濃度が10mg/Lとなるように塩化亜鉛を添加し、処理時のpHを、8.5、に調整し、60分間、室温で撹拌してシアンを不溶化させた。撹拌停止後、高分子凝集剤KEA−520(日鉄環境エンジニアリング社製)を1mg/Lになるように添加して撹拌した後、5Cのろ紙で濾過して、不溶化されたシアン化合物を除去した。ろ液を検水として、JIS K0102に規定される方法で、全シアンの濃度を決定し、処理液中のシアン濃度を測定し、得られた測定値を表3中にまとめて示した。
Figure 2013163144
表3に示した結果から、下記のことが確認できた。比較例22、23と、実施例13、14との比較から、NH4−N濃度が0mg/Lの場合であってもORPを0mV以下として処理すれば、処理水の全シアン濃度を1mg/L未満とできることがわかった。また、実施例15〜18の比較から、アンモニア濃度がNH4−Nとして30mg/L以上であれば、ORPの値に関わらず、処理水の全シアン濃度を1mg/L未満とできることがわかった。また、実施例17、18から、特に、処理対象とした模擬廃水を、ORPの値が0mV以下で、かつ、アンモニア濃度がNH4−Nとして30mg/L以上とした場合に、より高度なシアンの除去処理が達成できることを確認した。

Claims (9)

  1. シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、
    必要に応じてアンモニウムイオンを添加して、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するようにしたシアン含有排水に、
    鉄(II)塩と、
    亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整してシアンを不溶化処理し、
    その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  2. シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、
    必要に応じて還元剤を添加して、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにしたシアン含有廃水に、
    鉄(II)塩と、
    亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整してシアンを不溶化処理し、
    その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  3. シアン含有廃水からシアン成分を除去するためのシアン含有廃水の処理方法であって、
    必要に応じてアンモニウムイオンを添加して、アンモニア性窒素として30mg/L以上のアンモニウムイオンを含有するようにし、かつ、必要に応じて還元剤を添加して、pH8.0、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以下となるようにしたシアン含有廃水に、
    鉄(II)塩と、
    亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加するとともに、pHを7.0〜10.0に調整してシアンを不溶化処理し、
    その後に、不溶化されたシアン化合物を含有する懸濁性物質を固液分離する工程を有することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  4. 廃水中の鉄(II)イオンの数が、廃水中の全シアン(遊離シアンと、錯シアンに配位しているシアンイオンとの和)に対して0.05モル当量以上となるように、前記鉄(II)塩を添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  5. 廃水中の亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンの数またはその和が、廃水中の全シアン(遊離シアンと、錯シアンに配位しているシアンイオンとの和)に対して0.05モル当量以上となるように、前記亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類の添加を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  6. 前記鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加する前又は後に、さらに、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル化合物、ジアリルジメチルアンモニウム塩、アクリロニトリル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびホルムアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を原料として合成された化合物、セルロース或いはその誘導体、キトサン或いはその誘導体からなる群から選ばれるいずれかの高分子凝集剤を添加する請求項1〜5のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  7. 前記還元剤が、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、塩化第一鉄およびチオ硫酸からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項2又は3に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  8. 前記亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、硝酸亜鉛、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化銅および硫酸銅からなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  9. さらに、前記鉄(II)塩と、亜鉛(II)イオン、マンガン(II)イオンおよび銅(II)イオンから選ばれる少なくとも1つを水中で生じる塩類とを添加する際に、シアン化物イオン(CN-)と反応してニトリル化合物を生じる、アルデヒド基又はケト基を有する化合物、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を添加する請求項1〜8のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
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