JP2019214020A - Cod成分を含む廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術として汎用されている、凝集処理→促進酸化処理→活性炭による吸着処理する、COD成分を含む廃水の一般的な処理方法の改良に関し、最終的な活性炭による吸着処理を不要にでき、使用する活性炭の量を削減でき、しかも、促進酸化による酸化工程で、より効率的にCODを除去することが可能になるCOD成分を含む廃水の処理方法を提供すること。【解決手段】酸化処理工程後の活性炭による吸着工程を不要にできるCOD成分を含む廃水の処理方法であって、酸化処理工程に先立って行う凝集剤による凝集処理工程で、被処理水に無機凝集剤を添加して処理した後に、さらに被処理水に有機凝集剤を添加して処理し、かつ、前記無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加して無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理することを特徴とするCOD成分を含む廃水の処理方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、COD値(化学的酸素要求量)で示されるCOD成分を含む廃水の処理方法に関し、詳しくは、従来技術で処理水中のCOD値低減のために必要とされてきた、活性炭による吸着工程を不要にすることができる簡便な方法で、処理に使用する活性炭の量を大きく低減できるにもかかわらず、最終的な処理水のCOD値の低減が達成できるCOD成分を含む廃水の処理方法に関する。
例えば、鉄鋼製造業では、圧延油を用いる圧延工程等から、油分及び難分解性有機物を含有する廃水が大量に発生しており、その浄化処理を行う必要がある。難分解性有機物などの汚濁物質を含むCOD成分を含む廃水を処理する際に、一般的に行われている従来の手法としては、被処理水に対し、最初に、凝集剤によるSS(懸濁物質)処理を行った後、酸化分解工程で、難分解性有機物の酸化分解を行い、さらに、最終工程で、活性炭吸着(活性炭吸着塔を使用)処理することが挙げられる。そして、難分解性有機物の分解効率を高める方法として、例えば、過酸化水素のような酸素系酸化剤と、鉄イオン等を生じる金属触媒とを用いて化学酸化処理を行う方法や(例えば、特許文献1参照)や、強力な酸化力をもつオゾンを利用する方法(例えば、特許文献2等参照)、といった促進酸化が行われており、有用な方法として広く行われている。
上記したような従来の処理手法では、酸化分解処理後に、さらに活性炭吸着を行うことが一般的である。その理由は、凝集処理と、その後の酸化分解だけでは、処理水中のCOD値を目的とする値まで下げることができないことによる。近年、従来にもまして環境保護の重視性が認識されるようになり、排出規制もより強化されたものとなっており、現在の処理水放流基準値は、従来のCOD<20〜30mg/Lから、COD<10mg/Lと変更されて非常に厳しい値が要求されており、活性炭吸着による最終処理は重要性を増している。
特許文献3には、上記した汎用されているCOD成分を含む廃水処理とは構成が異なる、油分、COD成分及び窒素成分を含有するCOD排水中の懸濁質を凝集沈殿させる際に、凝集沈殿槽内において、排水に粉末活性炭を0.1%〜10%(対排水)添加して吸着処理した後、活性二酸化ケイ素及びアルミナを主成分とする無機粉粒体からなる無機系粉末凝集剤を50ppm〜10,000ppm(対排水)添加して、油分、COD成分及び窒素成分を一括同時に処理する方法が提案されている。この技術では、上記凝集処理後の上澄水に、高分子凝集剤による凝集処理や、膜による透水処理を施す必要がないとしている。
特許第4662059号公報 特開2001−321787号公報 特許第4169614号公報
本発明者らは、COD成分を含む廃水の処理に対する上記した技術状況に対し、より経済的な処理を可能にすることを目的として、簡便に、より処理効率を高めることについて鋭意検討を行った。ここで、上記した、COD成分を含む廃水の従来の処理技術で汎用されている凝集処理→促進酸化処理→活性炭による吸着処理の順で処理を行う方法では、活性炭によるCOD処理率が低いことから、その前段で行う酸化処理工程で除去すべきCODが大きくなる(負荷が高い)という課題があり、より効率のよい酸化処理が求められている。この点に対し、例えば、過酸化水素と鉄とを用いて、強力な酸化作用を持つOHラジカルを発生させる方法(フェントン法)や、強力な酸化力をもつオゾンを利用するオゾン酸化方法などの促進酸化方法が提案されている。しかし、いずれの方法の場合も、処理水中のCOD値を、厳しい放流基準を満足したものになるようにするためには、活性炭吸着による最終処理が必要になっている。発明者らは、検討する過程で、上記した、凝集処理→促進酸化処理→活性炭による吸着処理の順で処理を行う方法では、活性炭による吸着効率が悪いため、活性炭の使用量が多く、この点を改善できなければ、ランニングコストを縮小し、より効率のよい経済的な処理方法の確立は難しいとの認識をもった。
また、先に挙げた特許文献3の、凝集沈殿槽内の排水に、粉末活性炭を添加して吸着処理後、特有の無機凝集剤で処理する構成としたことで、油分、COD成分及び窒素成分が吸着された粉末活性炭が、特有の無機凝集剤と凝集沈殿して凝集沈殿汚泥となり、一括同時に処理できるとした従来技術では、処理の初期段階で、吸着効率が悪い活性炭を吸着剤として使用する技術であるため、当然に大量の活性炭が必要となる。このことは、活性炭は、比較的高価であるため、上澄水に対して高分子凝集剤による処理を不要にできるとした点を考慮したとしても、廃水処理の実用化において重要な問題であるランニングコストの低減を達成できるものになっていない。さらに、その後に特有の無機凝集剤と凝集沈殿した際における凝集沈殿汚泥に含まれる大量の活性炭は、油分、COD成分及び窒素成分が吸着したものであるため、その再利用が望めないものになる。
したがって、本発明の目的は、鉄鋼製造業等における大量のCOD成分を含む工業廃水の浄化処理技術として汎用されている、凝集処理→促進酸化処理→活性炭による吸着処理の工程を順次行う、COD成分を含む廃水の一般的な処理方法の改良に関し、促進酸化による酸化工程で、より効率的にCODを分解することが可能になり、浄化処理後の処理水に求められているCOD<20〜30mg/L、さらにはCOD<10mg/Lとすることが容易にでき、しかも、最終的な活性炭による吸着処理を不要にすることが可能な、処理に要する活性炭の使用量を大幅に削減できる経済性にも優れるCOD成分を含む廃水の処理方法を実現することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記のCOD成分を含む廃水の処理方法を提供する。
[1]酸化処理工程後の活性炭による吸着工程を不要にできるCOD成分を含む廃水の処理方法であって、酸化処理工程に先立って行う凝集剤による凝集処理工程で、被処理水に無機凝集剤を添加して処理した後に、さらに被処理水に有機凝集剤を添加して処理し、かつ、前記無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加して無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理することを特徴とするCOD成分を含む廃水の処理方法。
上記した本発明のCOD成分を含む廃水の処理方法の好ましい形態としては、下記の発明が挙げられる。
[2]前記無機凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム及び塩化アルミニウムを含むアルミ系凝集剤、及び/又は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄及びポリ硫酸鉄を含む鉄系凝集剤からなる群から選択される少なくともいずれかであること;
[3]前記活性炭が、平均粒径が200μm以下で、比表面積が800〜2000m2/gの粉末であり、該粉末を水に分散させて添加すること;
[4]前記酸化処理工程での処理が、酸素系酸化剤と金属触媒とで生じるヒドロキシラジカルを利用した酸化促進処理であって、かつ、前記酸素系酸化剤の使用量に対する前記活性炭添加量の比が、0.5〜20であること;
[5]前記酸化処理工程での処理が、オゾンを利用した酸化促進処理であること;
[6]前記酸化処理工程での処理の後、さらに、被処理水に有機凝集剤を添加して凝集処理すること;
[7]前記活性炭の添加量が、COD成分に対して、1〜10倍であること;が挙げられる。
本発明によれば、最終的な活性炭による吸着処理を不要にすることができ、活性炭の使用量を大幅に削減でき、しかも、促進酸化による酸化工程で、より効率的にCODを除去することが可能になる、経済性に優れる工業上有用な、COD成分を含む廃水の処理方法が実現できる。また、本発明の好ましい形態によれば、より効果的な酸化処理と、処理によって発生する凝集沈殿物の量の低減を両立した、工業上有用な、COD成分を含む廃水の処理方法が実現できる。
本発明の、COD成分を含む廃水の処理方法の一例を説明するための処理フローの概略図である。 本発明の実施例2〜8と、比較例3、4の処理方法で発生したスラッジ(SS)量と、使用した酸化剤の使用量に対する活性炭の添加量の比の関係を示すグラフである。 図2の横軸の値を対数で表示した、スラッジ(SS)の発生量と、使用した酸化剤の使用量に対する活性炭の添加量の比の関係を示すグラフである。 従来技術の、COD成分を含む廃水の処理方法の一例を説明するための処理フローの概略図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明のCOD成分を含む廃水の処理方法は、図1に示したように、その基本フローは、図4に示した従来技術と同様に、凝集剤による凝集処理工程後に、促進酸化処理等の酸化処理を行ってCOD成分を分解するが、図4に示した従来の処理フローで必須としていた最終の活性炭吸着工程を不要にできるという顕著な効果を奏する。
本発明者らは、先述したように、COD成分を含む廃水の処理に対し、より経済的な処理を可能にすることを目的として、より処理効率を高めることができる簡便な方法を見出すべく鋭意検討を行った。その過程で、酸化処理工程に先立って行う、無機凝集剤による処理の後に続けて、有機凝集剤による処理を行う凝集処理工程で、被処理水であるCOD成分を含む廃水に、最初に無機凝集剤を添加して処理する際に、活性炭を添加して無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理する、という極めて簡便な構成としたことで、驚くことに、その後の酸化処理の効率が従来法に比べて格段に向上し、その結果、従来の方法で最終工程として設けていた活性剤による吸着工程が不要になるという、工業上、極めて有用な効果の実現が可能になり、より経済的で効率のよい処理が達成できることを見出した。
先に従来技術として挙げた特許文献3にあるように、活性炭は、廃水中の油分、COD成分及び窒素成分を吸着する。特許文献3に記載の技術では、まず、活性炭に、廃水中の油分、COD成分及び窒素成分を吸着させた後、この油分やCOD成分等を吸着させた活性炭を、特定の無機凝集剤で凝集させている。すなわち、特許文献3の技術は、活性炭のもつ、油分、COD成分及び窒素成分に対する吸着能を十分に発揮させた後に、特定の無機凝集剤を添加することで、排水中の、スラッジ等の油分と、COD成分と、窒素成分とを同時に処理でき、活性炭の凝集性、凝集した活性炭の沈降性が非常に良好になるとしている。これに対し、本発明者らは、凝集工程で、最初に無機凝集剤を添加して処理する際に、活性炭を添加して無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理すると、驚くべきことに、次に行う酸化分解処理の効率が格段に向上することを見出して本発明を達成した。
本発明者らは、上記した顕著な効果が得られた理由について下記のように考えている。例えば、鉄鋼製造業において大量に生じる、圧延油を用いる圧延工程等からの廃水は、油分及び難分解性有機物(COD)などの種々の汚濁物質を含有する。廃水中のこれらの汚濁物質には、様々な分子量の有機物等の成分が併存していると考えられる。一般に、活性炭への吸着性能は、その分子量に依存し、分子量が大きい有機物ほど吸着しやすい。逆に言えば、分子量が小さい有機物は、分子量が大きい有機物に比べ活性炭への吸着性に劣る。これらのことから、本発明者らは、本発明の処理方法で、前記した顕著な効果が得られた理由について、以下のように推論している。
酸化分解工程の後に活性炭による吸着工程が設けられた既存のCOD処理方式では、酸化工程によって分子量の大きな有機物が分解されて小さな分子量の成分となるので、活性炭への吸着性能が下がる。このため、活性炭吸着工程における活性炭の必要量が大きくなり、また、活性炭吸着工程でのCOD負荷を下げるためには、酸化工程での酸化剤使用量が多くなる。これに対し、本発明の処理方法では、酸化工程での酸化によってCOD成分の吸着性能が下がる前に活性炭での吸着が行われるため、活性炭による吸着効率が高くなり、活性炭の量を削減することができる。また、活性炭による吸着除去量の向上に伴い、酸化工程における酸化剤の使用量を低減することができる。本発明の処理方法で、既存のCOD処理方式で必須としている酸化工程後の活性炭吸着工程が不要とできた理由は、上記効果が奏合して実現できたものと考えられる。すなわち、酸化工程の前段の凝集工程で活性炭を添加して活性炭吸着を行うことにより、難分解性CODが効率よく吸着除去されるため、その後に行う酸化工程での酸化剤による酸化効率も向上し、上記優れた効果が実現できたものと考えられる。
次に、本発明のCOD成分を含む廃水の処理方法を構成する処理対象や、使用する薬剤や、処理条件などについて説明する。本発明の方法は、先に従来技術として提示した特許文献1に記載の発明と同様に、例えば、鉄鋼製造業の圧延工程におけるアルカリ排水中の油分及びCODを良好な状態に処理する方法に適用でき、より効果的な処理を可能とするものである。すなわち、本発明の処理方法は、特許文献1に記載の発明と同様に、浄化処理後の処理水に求められている、COD<20〜30mg/L、さらには、COD<10mg/Lを達成することが可能であり、特許文献1に記載の発明と比較して、特に、活性炭吸着による最終的な処理を不要にできるので、浄化処理に用いる活性炭の使用量を格段に低減でき、また、酸化分解処理の効率を向上させることができるので、酸化分解に用いる薬剤の使用量を低減できるという効果も得られ、より経済的で効率のよい処理が可能になる。
〔被処理水〕
本発明の処理方法は、COD成分を含む各種の廃水にいずれも適用できる。例えば、全CODとして20〜1500mg/L、溶解性CODとして20〜1000mg/Lである廃水の浄化処理に適用した場合に、より大きな効果が得られる。このような性状を示す被処理水としては、下記に挙げるような各種の廃水等が挙げられる。具体的には、例えば、埋立場浸出汚水、天然ガス精製廃水、し尿生物処理水、家畜糞尿含有水、屠殺場排水、パルプ製造廃水、コーヒー・お茶等飲料製造廃水、製糖廃水、醤油・味噌製造等醸造廃水、廃糖蜜(グルタミン酸製造、イースト製造、その他発酵微生物産生品製造等)廃水、石油精製廃水、石炭化学廃水、コークス炉ガス凝縮水(安水)、石油化学廃水、熱分解工程廃水、塩析廃液、蒸留釜残廃液、無電解メッキ廃水、水溶性研磨・圧延油廃水、金属表面処理脱脂廃水(精密機械加工から鉄鋼・自動車製造まで)、写真現像排水、フォトレジスト排水、油脂化学・界面活性剤製造廃水等が挙げられる。
〔凝集処理工程〕
本発明の処理方法では、酸化処理工程に先立って行う凝集剤による凝集処理工程で、まず、廃水に無機凝集剤を添加して処理した後に、さらに廃水に有機凝集剤を添加して処理を行う。そして、無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加して、無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理することを特徴とする。まず、凝集処理工程で用いる薬剤について説明する。
<無機凝集剤>
本発明で使用する無機凝集剤としては、廃水中の懸濁物質(SS)の処理に用いられている従来公知のものをいずれも使用することができる。具体的には、アルミ系凝集剤や鉄系凝集剤等を用いることができる。アルミ系凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム及び塩化アルミニウム等が挙げられる。また、鉄系凝集剤としては、硫酸第二鉄、塩化第二鉄及びポリ硫酸鉄等が挙げられる。これらの中から1種以上を適宜に選択して使用することができる。添加量は、廃水中の汚濁物質の濃度に応じて適宜に決定すればよいが、例えば、50〜1000mg/Lの範囲で添加すればよい。
<活性炭>
本発明の処理方法では、上記した無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加して、無機凝集剤と活性炭とを共存させて凝集処理を行う。ここで、「無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加」との規定は、無機凝集剤を添加すると同時に活性炭を添加して処理しても、無機凝集剤を添加するよりも前に活性炭を添加して処理しても、無機凝集剤を添加後に活性炭を添加してもよいことを意味しており、いずれにしても、無機凝集剤と活性炭とを共存させて凝集処理を行う状態にすればよいことを意味する。特に、無機凝集剤を添加すると同時に活性炭を添加するか、無機凝集剤を添加するよりも前に活性炭を添加する構成として凝集処理することが好ましい。使用する活性炭としては、廃水・排水処理用として従来より使用されている活性炭をいずれも使用できる。例えば、木質、石炭、やし殻を原料として得られた、平均粒径が200μm以下の粉末活性炭を使用することが好ましい。より好ましくは、平均粒径が1〜150μm、さらに好ましくは、平均粒径が1〜100μm程度の粉体を用いるとよい。例えば、150μm pass≧90%、75μm pass≧90%として市販されている製品をいずれも使用できる。比表面積が800〜2000m2/gの粉末状の活性炭を使用することが好ましい。
また、無機凝集剤を添加する際に行う活性炭の添加量は、COD成分に対して1〜10倍程度であれば、安定して良好な効果を得ることができる。また、本発明者らの検討によれば、その後の酸化処理工程で用いる方法が、酸素系酸化剤と金属触媒とで生じるヒドロキシラジカルを利用した酸化促進処理である場合は、活性炭の添加量に対する酸素系酸化剤の使用量の比が、0.5〜20、より好ましくは、1.0〜12、であるように構成することが好ましい。後述するが、このように構成することで、処理後に生じるスラッジ(SS)の量を低減することが可能になり、その後のスラッジに対する2次処理の問題を低減することができる。
<有機凝集剤>
本発明で使用する有機凝集剤としては、廃水中の懸濁物質(SS)の処理に用いられている従来公知の高分子凝集剤をいずれも使用することができる。アニオン系、カチオン系、両性のいずれであってもよい。アニオン系高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系、アニオン性ポリアクリルアミド系、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等が挙げられる。カチオン系高分子凝集剤としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、アミド基、ニトリル基、アミン塩酸塩、ホルムアルデヒド基などを含むポリビニルアミジン等が挙げられる。両性の高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノメチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物、ジメチルアミノメチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物等が挙げられる。
上記に挙げたような高分子凝集剤の使用量は、廃水中の汚濁物質の濃度に応じて適宜に決定すればよいが、原水(被処理水)1リットルあたり1〜5mgの範囲、さらには、1リットルあたり1〜2mgの範囲で添加すればよい。本発明の処理方法では、凝集処理工程の有機凝集剤での処理後に行う、後述する酸化処理工程での処理を、前記した酸素系酸化剤と金属触媒とで生じるヒドロキシラジカルを利用した酸化促進処理で行うような場合には、懸濁物質が生じるので、酸化処理後の被処理水に上記に挙げたような高分子凝集剤を使用して凝集処理を行う必要が生じる。その場合の高分子凝集剤の使用量は、被処理水1リットルあたり1〜5mgの範囲、さらには、1リットルあたり1〜2mgの範囲で添加すればよい。
〔凝集処理の手順〕
本発明のCOD成分を含む廃水の処理方法では、図1に示した概略のフロー図のように処理を行う。図1に示したように、まず、被処理水である原水に、無機凝集剤と活性炭粉末とを添加し、撹拌しながら凝集処理を行う。この結果、汚濁物質の一部が吸着した活性炭と、無機凝集剤とを含む凝集物が沈降する。次に、被処理水に高分子凝集剤である有機凝集剤を添加し、凝集処理を行う。この結果、被処理水中の汚濁物質が凝集・沈降して沈殿物として除去される。そして、固液分離して得られた上澄水は、次の酸化分解工程における被処理水となる。
〔酸化処理工程〕
本発明の処理方法は、上記した活性炭を利用した凝集剤による凝集処理を、酸化処理工程に先立って行うことを特徴とする。次に行う酸化処理工程での処理は、従来公知の方法でよく、例えば、酸素系酸化剤と金属触媒とで生じるヒドロキシ(OH)ラジカルを利用した化学酸化促進処理や、オゾンを利用したオゾン酸化促進処理などの従来公知の方法がいずれも使用できる。以下、化学酸化促進処理を代表例として説明する。上記した化学酸化促進処理で使用する酸素系酸化剤としては、金属触媒と反応してOHラジカルを生成するものであればその種類を問わない。具体的には、過酸化水素、オゾン等が挙げられるが、中でも過酸化水素を使用することが好ましい。その使用量としては、被処理水中の有機物の量や酸素系酸化剤の種類にもよるが、例えば、被処理水1リットルに対して、100〜550mg程度とすることが好ましい。金属触媒としては、被処理水中で鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン及び銅イオンの少なくともいずれかを生じるものが好ましく使用できる。これらは、過酸化水素等の酸素系酸化剤と反応してOHラジカルを生成する。具体的なものとしては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化ニッケル、塩化コバルト等が使用できる。これらの中でも鉄系の触媒が好ましい。その使用量としては、酸素系酸化剤の種類や量にもよるが、酸素系酸化剤と金属触媒との質量比が、1:2〜7となるようにして処理を行うことが好ましい。
化学酸化処理の際に行う酸素系酸化剤と金属触媒との反応は、pH2〜4の酸性域で行うことが好ましい。この場合、反応pHが2未満であると、反応終了後のpH調整工程で中和のためのアルカリ剤の使用量が多くなり経済的でない。また、反応pHが4超であると金属触媒が水酸化物として析出し、金属触媒として有効に利用されなくなるため酸化反応が効率的に進まない。また、上記反応において、酸素系酸化剤と金属触媒との反応モル比は2〜7の範囲で行うことが好ましい。このような条件で化学酸化処理を行えば、被処理水中のCOD成分を効率的に分解除去することができる。
酸化処理工程での酸化を、上記の化学酸化処理で行った場合、得られる処理水は酸性となるので、放流する場合にはアルカリで中和する必要がある。また、上記の化学酸化処理では、金属触媒を用いているので、中和後の被処理水中に金属触媒に起因した懸濁物質が残存することになる。したがって、この場合には、さらに有機凝集剤による凝集処理をして、金属触媒に起因する懸濁物を除去処理する必要が生じる。本発明の処理方法では、酸化処理工程における効率化が図られ、酸化処理の際に使用する酸素系酸化剤及び金属触媒の使用量を低減することができるので、この際に生じる凝集・沈降物(スラッジ)の量を低減することができるという利点がある。このため、スラッジに対する二次処理にかかる負荷が軽減され、この点でも、従来の方法に比べて、より優れた効果が得られる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
廃水200mLをビーカーに分取した。この廃水は、製鉄所の圧延工程からでた、溶解性COD濃度が37mg/Lのものである。この廃水を処理対象の原水とし、酸化処理工程に先立って行う凝集剤による凝集処理工程で、以下の処理を行った。分取した上記廃水中に、活性炭粉末(平均粒径が13μm)が50mg/L、ポリ塩化アルミニウム(PAC)が148mg/Lとなるようにそれぞれ添加し、硫酸によってpH7に調整しながら15分間撹拌した。上記において、活性炭粉末とPACは、ほぼ同時に添加した。続いて、この被処理水中に、2mg/Lとなるようにポリアクリルアミド高分子凝集剤KEA−735(商品名、日鉄住金環境社製)を加えて1分間撹拌して、廃水中の汚濁物質を、処理に使用した活性炭及び凝集剤とともに凝集させた。次に、生成した凝集・沈殿物を固液分離工程で除去し、上澄水を得た。
上記で得た上澄水を被処理水として、次の酸化処理工程で、被処理水に、過酸化水素が126mg/L、塩化第二鉄が750mg/Lとなるように添加し、硫酸によってpH3に調整しながら7.5分間撹拌し、促進酸化処理を行った。処理後、被処理液のpHを、苛性ソーダでpH7に調整し、その状態で7.5分間撹拌した。次に、先の凝集処理工程で使用したものと同様の高分子凝集剤を、2mg/Lとなる量で加えて1分間撹拌し、懸濁物質を凝集させた。最後に、生成した凝集物を、固液分離によって除去し、上澄水を得た。最終的に得られたこの上澄水中の溶解性COD濃度は、10mg/Lであった。処理及び結果の概要を表1にまとめて示した。上記において、活性炭粉末を添加した後、PACを添加して試験したところ、上記と同様の効果が得られた。
[比較例1]
実施例1で使用したと同様の廃水200mLをビーカーに分取した。その中に、ポリ塩化アルミニウムを148mg/L添加し、硫酸によってpH7に調整しながら15分間撹拌した。次に、実施例で使用したと同様の高分子凝集剤を2mg/Lとなるように加えて1分間撹拌し、懸濁物質を凝集させた。次に、生成した凝集・沈殿物を固液分離工程で除去し、上澄水を得た。
上記で得た上澄水を被処理水として、次の酸化処理工程で、被処理水に、過酸化水素が256mg/L、塩化第二鉄が1500mg/Lとなるように添加し、硫酸によってpH3に調整しながら7.5分間撹拌した。処理後、苛性ソーダによってpH7に調整し、その状態で、7.5分間撹拌した。最後に、先の凝集処理工程で使用したと同様の高分子凝集剤を2mg/Lとなる量で加えて1分間撹拌し、懸濁物質を凝集させた。生成した凝集物を、固液分離によって除去し、上澄水を得た。そして、本比較例では、上記で分離した上澄水に、活性炭を300mg/L添加し、7.5分撹拌して吸着処理した。最終的に得られたこの上澄水(処理水)中の溶解性COD濃度は、10mg/Lであった。処理及び結果の概要を表1にまとめて示した。
[比較例2]
実施例1で使用したと同様の廃水200mLをビーカーに分取した。その中に、活性炭粉末(平均粒径が13μm)を900mg/L添加し、7.5分間撹拌した。その後、ポリ塩化アルミニウムを148mg/L添加し、硫酸によってpH7に調整しながら7.5分間撹拌し、懸濁物質を凝集させた。次に、生成した凝集・沈殿物を固液分離工程で除去し、上澄水を得た。
Figure 2019214020
[実施例2〜8、比較例3、4]
実施例2〜8では、実施例1で使用したと同様の廃水200mLに対して、実施例1の凝集処理工程で使用した活性炭及び酸化処理に使用する薬剤の量をそれぞれ表2のように変えた以外は同様にして、処理を行った。酸化処理に使用する薬剤の量は、酸化剤である過酸化水素の量で示した。過酸化水素の使用量に応じて金属触媒としての塩化第二鉄の使用量を決定した。また、比較例3では、無機凝集剤の添加の際に活性炭を添加することなく処理を行った。比較例4では、活性炭を大量に使用して凝集処理を行い、酸化処理をせずに処理をした。処理の際に、すべて、最終的に得られる処理水(上澄水)の溶解性COD濃度が11mg/Lとなるように、薬剤の添加量を調整した。表2に、使用した酸化剤の使用量に対する活性炭の使用量の比と、それぞれの処理で発生したスラッジ(SS)の量を示した。そして、図2及び図3に、発生したスラッジ(SS)量と、使用した酸化剤の使用量に対する活性炭の使用量の比の関係を示した。
Figure 2019214020
表2、図2及び図3に示したように、活性炭の添加を行わなかった比較例3では、スラッジの発生量が極めて多いのに対し、酸素系酸化剤の使用量に対する活性炭使用量の比が、0.5〜12である実施例3〜6では、酸化剤である過酸化水素の量を低減でき、スラッジの発生量を低減できるという顕著な効果が得られることが確認された。

Claims (7)

  1. 酸化処理工程後の活性炭による吸着工程を不要にできるCOD成分を含む廃水の処理方法であって、酸化処理工程に先立って行う凝集剤による凝集処理工程で、被処理水に無機凝集剤を添加して処理した後に、さらに被処理水に有機凝集剤を添加して処理し、かつ、前記無機凝集剤を添加する際に活性炭を添加して無機凝集剤と活性炭とを共存させて処理することを特徴とするCOD成分を含む廃水の処理方法。
  2. 前記無機凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム及び塩化アルミニウムを含むアルミ系凝集剤、及び/又は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄及びポリ硫酸鉄を含む鉄系凝集剤からなる群から選択される少なくともいずれかである請求項1に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
  3. 前記活性炭が、平均粒径が200μm以下で、比表面積が800〜2000m2/gの粉末であり、該粉末を水に分散させて添加する請求項1又は2に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
  4. 前記酸化処理工程での処理が、酸素系酸化剤と金属触媒とで生じるヒドロキシラジカルを利用した酸化促進処理であって、かつ、前記酸素系酸化剤の使用量に対する前記活性炭添加量の比が、0.5〜20である請求項1〜3のいずれか1項に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
  5. 前記酸化処理工程での処理が、オゾンを利用した酸化促進処理である請求項1〜3のいずれか1項に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
  6. 前記酸化処理工程での処理の後、さらに、被処理水に有機凝集剤を添加して凝集処理する請求項1〜5のいずれか1項に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
  7. 前記活性炭の添加量が、COD成分に対して、1〜10倍である請求項1〜6のいずれか1項に記載のCOD成分を含む廃水の処理方法。
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