以下、本発明にかかる液状物の吐出装置(以下、バルブとも略称する)の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書において、特に断りがない限り、上下方向とはバルブ本体の長手方向(バルブを開閉するためのニードルの移動する方向:軸方向)であり、上はバルブ本体のジャンクションボックス側、下はノズルベース側を指す。また、前後方向とは、バルブ本体の長手方向と直交する奥行き方向で、後ろとはバルブ本体の奥側、前とはシリンジの出し入れを行う手前側を指す。さらに左右方向とは、バルブ本体の長手方向並びに前後方向とそれぞれ直交する幅方向を指し、バルブ本体の実際の向きに関係なく、長手方向に移動する場合には昇降あるいは上昇ないし下降と呼ぶ。また、バルブと一般に呼ばれる本発明にかかる液状物の吐出装置は、一般的には、下向きに液状物を吐出するが、ワーク(被塗物)の形状によってはバルブ本体の取付角度を変えて斜め下方に向けて吐出されることもある。しかし、本明細書においては下向きに吐出するケースを挙げて主に説明する。また、図中の黒く塗り潰された丸あるいは楕円は気密構造とするためのOリングである。
図1〜図6に、本発明にかかる液状物の吐出装置の第1の実施形態を示す。尚、本実施形態において、液状物の吐出装置の駆動部を除く構造については特許文献2において詳細に述べられているので、本明細書においてはその詳細な説明を省略する。ここで、駆動部とは、ニードル弁の開閉にかかわる機構部であり、主にソレノイド5と該ソレノイド5によって駆動されかつニードル4と磁気結合される被駆動部材(アーマチャ7を含む連結部材8の総称して本明細書では被駆動部材と呼ぶ)の上昇端を規制する機構を指すものである。
本実施形態にかかる液状物の吐出装置は、図1〜図4に示すように、シリンジ1の先端に装着されるバルブシートアッセンブリ3と、シリンジ1の内部に挿入されてバルブシートアッセンブリ3との間でニードル弁を構成するニードル4と、バルブシートアッセンブリ3及びニードル4を装着したシリンジ1を収容するシリンジ収容空間64を有すると共に、アクチュエータとしてのソレノイド5と該ソレノイド5によって駆動される被駆動部材としてのアーマチャ7を含む連結部材8と、シリンジ1に向けて進退動することによりシリンジ1を連結させると共にシリンジ1を定位置に向けて付勢するポジショニングメンバー14とを内蔵するバルブ本体6とを少なくとも備え、ニードル4とバルブ本体6内の被駆動部材たる連結部材8とが磁気結合によって連結されることによって、ニードル4が挿入されかつバルブシートアッセンブリ3が装着された状態のままでシリンジ1をバルブ本体6に対して脱着させることが可能であり、ソレノイド5によるニードル弁の開閉によりシリンジ1内の液状物の吐出が制御されるようにしたものである。
即ち、この液状物の吐出装置は、ソレノイド5によって駆動されるステムがバルブ本体6に内蔵されるアーマチャ7を含む連結部材8とシリンジ1に内装されるニードル4とに分離された別体構造とされて、両者を接近させたときにのみマグネット15を用いて強固に締結可能な構造とされている。このため、シリンジ1は、ニードル4を内装した状態でバルブ本体6に対して脱着させることが可能となる。そして、シリンジ1がバルブ本体6にセットされると同時に連結部材8とニードル4との軸合わせが磁力による結合で自動的に行われることにより、ニードル4を内装した状態のままでシリンジ1のバルブ本体6に対する脱着を可能にすると共にシリンジ1の交換時に発生する微妙な再調整が必要ない構造を実現している。尚、連結部材8とニードル4とを磁気結合する手段としては、マグネット15が用いられ、バルブ本体6内の連結部材8側あるいはニードル4側の少なくともいずれか一方、または好ましく双方に装備される。本実施形態においては、連結部材8にマグネット15が備えられている。
本実施形態において、ニードル4は、図1に示すように、バルブシート46と当接する先端部分のタングステンカーバイト製インパクトスティック47と、それを支持するステンレススティール製インパクトロッド48及びインパクトロッド48の頭部に冠着されている強磁性材料から成るコネクトスリーブ21とで構成されている。勿論、コネクトスリーブ21に代えてマグネット15をニードル4の頭頂部に備えるようにしても良い。このニードル4は、先端にバルブシートアッセンブリ3が装着され且つ後端の開口に対応するアダプタ例えばユニバーサルアダプタ12が嵌め込まれたシリンジ1に対し、ユニバーサルアダプタ12の中心の孔から挿入されてバルブシートアッセンブリ3とユニバーサルアダプタ12とによって中心軸上に配置された状態で保持される。また、バルブ本体6に適合可能な最大長さのシリンジ1よりも短い少量用のシリンジ1を用いる場合には、エクステンションロッド13を利用して不足するシリンジ長さの調整を行う(図3参照)ので、この場合にはニードル4の上端のコネクトスリーブ21部分がエクステンションロッド13によって保持される。
バルブ本体6は、各シリンジサイズ毎に対応する大きさに設計しても良いが、バルブの共通化を図るために使用目的に合致した最も大きなシリンジサイズ、例えば本実施形態では55ccのシリンジの外径・長さに適合するように設計されている。そして、市場に流通するシリンジのうち最も流通性が高い例えば55cc、30cc、10cc及び5ccの4種類のシリンジに適合(挿入)可能な4種類のプラグ部を有する1つのユニバーサルアダプタ12並びに必要に応じてシリンジ長さの調整を行うエクステンションロッド13を併用することにより、55cc、30cc、10cc、5ccの各シリンジ1の固定を可能としている。勿論、シリンジサイズ毎にサイズや形態毎に対応する専用のバルブ本体6を用意し、専用アダプタを介してあるいは介さずに各々装着するようにしても良い。
ここで、バルブ本体6は、図1及び図4に示すように、シリンジ1の連結とニードル4の駆動を図る機構部・駆動部を収容するボックス状のフレームであるジャンクションボックス(メインフレーム)9と、バルブシートアッセンブリ3を受け止めて保持するノズルベース10と、これらを三面で連結すると共にシリンジ1を収容するシリンジ収容空間64を形成する横断面コ形のプラットホーム11とを少なくとも備え、ノズルベース10とジャンクションボックス9のポジショニングメンバー14とが同軸上に配置されている。ジャンクションボックス9には、内蔵する駆動部たるソレノイド5に給電するための電源ケーブル69やポジショニングメンバー14やシリンジ1内に作動ガス例えば圧縮空気や窒素ガス等の不活性ガス(以下、単に空気と呼ぶ)を供給するためのエアホース70が接続されている。また、バルブシートアッセンブリ3は、特定の構造に限定されるものではなく、バルブシートとして機能するものをシリンジ1の先端に装着できるものであれば十分であり、例えばシリンジ1の先端の口部にねじを用いて固定するルアーロック(ねじ込み)式あるいはルアースルー(非ねじ込み)式、若しくはそれ以外の方式でも良い。本実施形態のバルブシートアッセンブリ3は、例えば図9に示すように、外周面にねじ部を有するシートホルダ85と、ノズルリテーナ86と、バルブシート46及びノズル87とで構成され、シリンジ1の先端の口部に設けられた雌ねじ部にシートホルダ85の雄ねじ部を螺合させることにより固定するルアーロック(ねじ込み)式とされている。尚、本実施形態においては、ノズルベース10は、特定の構造に限られず、特許文献2で示す構造であっても良いし、図4に示すように、ノズルベース10に装着されたノズルリテーナプラグ83に対してバルブシートアッセンブリ3を直接的に受支えさせるようにしても良い。
ジャンクションボックス9は、駆動部であるソレノイド5や被駆動部材たるアーマチャ7と連結部材8などを収納する下向きに開口する円形の内部空間67と、バルブストローク調整機構50を組み付けるための上向きに開放された凹部66とを有し、内部空間67を画成する内周壁面に4本のエア流路(図示省略)が開口されると共に内部空間67と凹部66とがそれらを仕切る隔壁部65の中央を貫通する通し孔71によって互いに連通されている。この通し孔71は、ソレノイド5の雄ねじ26が通過できる径の穴である。
このジャンクションボックス9には、ソレノイド5と被駆動部材としてのアーマチャ7と連結部材8並びに空気圧の印加によりジャンクションボックス9から突出してシリンジ1と嵌合しノズルベース10のノズルリテーナプラグ83との間で保持するポジショニングメンバー14とが内蔵され、シリンジ1内のニードル4と連結部材8とを磁気結合によって連結し、ソレノイド5を励磁することで吸引されるアーマチャ7の動きをニードル4に伝達するように設けられている。ポジショニングメンバー14は、必要に応じて対応するアダプタ12あるいはエクステンションロッド13を介在させてあるいはさせずにシリンジ1と嵌合される。ポジショニングメンバー14は、空気圧の印加によりシリンジ1に向けて進退動することによりシリンジ1のセンター出しと連結とを図ってシリンジ1をバルブ本体6に着脱させる機構と、シリンジ1をノズルベース10に向けて押し続ける付勢機構と、かつバルブ本体6を介して供給される空気をシリンジ1内に供給する流路を確立するシール機構とを兼ねる。尚、ピストン状のポジショニングメンバ14は、シリンダとして機能するロックアップスリーブ30に収納され、空間38あるいは68に供給される空気でシリンジ収容空間64に出没可能に内蔵されている。ここで、空気は、ポジショニングメンバー14の中心の孔とそこに収容されている連結部材8のヨーク17との間の隙間を介してシリンジ1内へも供給され、シリンジ1内の液状物に印加される。また、ロックアップスリーブ30によって囲まれたポジショニングメンバ14のピストン部の上のソレノイド5との間の空間38にはアーマチャ7が収納され、ソレノイド5による励磁でソレノイド5側へ吸着されることにより軸方向へ移動可能に設けられている。
しかして、この液状物の吐出装置によれば、ニードル4を内装した状態のシリンジ1をバルブ本体6の前面の開口部からシリンジ収容空間64に収め、シリンジ先端のバルブシートアッセンブリ3がノズルベース10のノズルリテーナプラグ83に宛がわれた状態でシリンジ収容空間64に突出するポジショニングメンバー14がアダプタ12あるいはエクステンションロッド13と嵌合されることによってバルブ本体6に組み込まれる(図2、図3及び4参照)。ポジショニングメンバー14の連結ポート60とユニバーサルアダプタ12あるいはエクステンションロッド13の上端の連結部61との嵌合により、バルブ本体6側とシリンジ1側との芯出しと連結とが同時に完了する。その後に、ポジショニングメンバー14の移動によって空間38に供給されている空気がポジショニングメンバー14と連結部材8との間の隙間を通してシリンジ1内に供給されるので、シリンジ1内を満たしながらその圧力でシリンジ1が定位置にセットされる。その後、図示していない制御装置によって、シリンジ1内に加えられる空気圧力が液状物の吐出に適した圧力に切り替えられ、液状物の吐出・塗布作業に備えられる。そこで、吐出しようとする液状物の量に対応するニードル4の可動量・ストロークとなるように必要に応じてバルブストローク調整機構50を調整しかつ吐出時間を設定した後、ソレノイド5の励磁を行うと、アーマチャ7が吸引されてニードル4が持ち上げられることによってノズル87が開口し、ニードル4が持ち上げられている間だけシリンジ内の液状物が吐出されるように構成されている。
他方、アーマチャ7は、ロックアップスリーブ30のソレノイド5と対向する面に配置されたマグネット42によって、ソレノイド5の吸引力よりは遥かに弱い磁力で常時吸着され、アーマチャ7を自重のみならず磁力で吸引することにより、待機位置に戻すように設けられている。勿論、アーマチャ7は自重のみで下方に落下させることで待機位置に戻すようにしても良い。
アーマチャ7と連結部材8とは、本実施形態においてはアーマチャ7とマグネット15との間の磁気遮断のために中間コネクタ18として非鉄金属若しくはエンジニアリングプラスチック等を採用可能とするため、アーマチャ7と一体のボス部16、中間コネクタ18及びヨーク17から成る分離可能な別体構造とされている。例えば図4に示すように、円盤状のアーマチャ7の裏面側に中間コネクタ18の端面の凹凸と嵌合する凹凸とねじ孔とを備えるボス16が削りだし等でアーマチャ7と一体に形成され、ねじ軸19で中間コネクタ18とマグネット15を納めたヨーク17とを相互に連結することによって一体化されている。勿論、アーマチャ7と連結部材8とは一体成形品や溶接などによる連結で一体化されたものでも良い。尚、アーマチャの残留磁気を取り除くため、焼鈍処理を行うと、アーマチャが柔らかくなるので、プッシャ31が当接する中央部分には硬い材料から成る当て金25を埋め込むことが好ましい。
ここで、ソレノイド5は、図5に示すように、バルブ本体6のジャンクションボックス9に対して固定されるソレノイド本体(ソレノイドのソレノイドコアを除く部分)32と、該ソレノイド本体32の中心に配置されてアーマチャ7に向けて摺動可能な中空のソレノイドコア36とで構成され、ソレノイド本体32の下端面からソレノイドコア36が突出し得るように構成されている。
ソレノイドコア36は、本実施形態の場合、アーマチャ7に常時接触するプッシャ31及び該プッシャ31を介してアーマチャ7を待機位置に押し戻す力を常時付勢する付勢機構例えば圧縮コイルばね24とを内蔵するため、各々中空部を有する上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとで構成され、ねじ29の螺合によって締結されて一体化されている。尚、ニードル4を定位置に押し戻す付勢機構24としては、本実施形態のようなばねに限らず、場合によっては互いに反発するように配置した一対以上のマグネット(図示省略)の反発力でプッシャ31を付勢することにより発塵等を防ぐようにしても良い。また、ポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦係数・低摩耗性の樹脂材料から成る鞘管や低摩擦コート剤を内周面にコーティングした鞘管などをばね24の外に被せて鞘管に沿ってばね24が相対的に摺動させることでも簡易に発塵を防ぐことができる。
上ソレノイドコア36aは、例えばソレノイド本体32のボビン34内に配置される大径部とガイドスリーブ20内に配置される小径部とを有する段付き中空軸であり、頂部に締結ねじ57を螺合させるねじ孔を有し、内部の中空部(空間)がプッシャ31の頭部31a並びに該プッシャ31を介してアーマチャ7を待機位置に押し戻す力を常時付勢する付勢機構24としてのばねを収納するものとして用いられている。
他方、下ソレノイドコア36bは、プッシャ31の軸部を貫通させる中空軸であり、その下端には、径方向外側に突出するフランジ部36cが形成されている。このフランジ部36cが、ソレノイド本体32の絶縁プレート37の内径側の凹部39に嵌合することでボビン34の縁に当接して上昇端が規制されるように設けられている。
したがって、分解状態にある上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bの中空部に、ばね24とプッシャ31とを収容してから、上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとのねじ29を螺合させることで、一体化されたソレノイドコア36を構成すると共にプッシャ31とばね24とを内蔵させ、ソレノイドコア36の下端面たる吸着面28からアーマチャ7へ向けてプッシャ31を突き出させる構造とすることができる。因みに、この構造の場合、ばね24を収容するための空間を軸方向に長く採ることができるので、ばね24の収容が容易であると共に、ばね定数の調整もし易い。尚、本実施形態では、ばね24及びプッシャ31を収容する内部空間は、分離可能な上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとによって形成されているが、場合によっては単一部材から成るソレノイドコアによって形成しても良い。
他方、ソレノイド本体32は、本実施形態の場合、ボビン34と、該ボビン34に巻回されたコイル35と、ボビン34とコイル35とを覆うハウジング33と、ハウジング33の底部開口を塞いでボビン34の内側を貫通して摺動するソレノイドコア36を保持する絶縁プレート37とで構成されている。
直流駆動のソレノイド5の場合、給電用の+−の各電極を有する。給電構造を簡略にして安価に製造可能とするためには、例えば、ソレノイド本体32を回転させないように内部空間67に収めることが好ましい。そこで、本実施形態の場合、図示していないが、ソレノイド本体32の端面に+−の各電極ピンと回転止めのためのピンとを軸方向に突出させる一方、これらピンを対応するジャンクションボックス9の隔壁部65の穴(図示省略)に嵌合させることによってソレノイド本体32が回転不能となるように設けられている。
ソレノイド本体32並びにガイドスリーブ20のジャンクションボックス9に対する固定は、特定の手法に限定されるものではないが、本実施形態では同時に行う構造とされている。例えば、ガイドスリーブ20は、軸方向に分割された上スリーブ20aと下スリーブ20bとの2部材で構成され、上スリーブ20aと下スリーブ20bとで上下からハウジング33の内径側に突出するフランジ部33aを挟み付けながら互いに連結することによってソレノイド本体32と一体化されるように設けられている。具体的には、上スリーブ20aと下スリーブ20bとの連結はねじ27によって行われ、下スリーブ20bの下端にはハウジング33のフランジ部33aを下側から受支えるフランジ部20bfが備えられ、上スリーブ20aの端面との間で、ハウジング33のフランジ部33aを挟持するように設けられている。他方、上スリーブ20aは、上端からジャンクションボックス9の隔壁部65の通し孔71を貫通するねじ26を外周面に有し、ジャンクションボックス9の隔壁部65の通し孔71を貫通した状態で座金22を嵌めてからナット23をねじ込むことで隔壁部65を挟み付けてジャンクションボックス9に固定されるように設けられている。したがって、ソレノイド本体32並びにガイドスリーブ20は一体となってジャンクションボックス9に固定される。
また、隔壁部65を貫通して凹部66内に突出するガイドスリーブ20の外周面のねじ26には、トルクリミッタハウジング51が螺合させられることによってバルブストローク調整機構50がジャンクションボックス9に組み付けられる。トルクリミッタハウジング51とソレノイドコア36の上端側(上ソレノイドコア36aの上端側)とは嵌合された上、締結ねじ57によって連結されて一体化されている。したがって、マイクロアジャストメントキャップ53が回されると、該マイクロアジャストメントキャップ53に止めねじ40で締結されているトルクリミッタホルダ54及びボールプランジャ55を介して連動するトルクリミッタハウジング51も回転し、ジャンクションボックス9に固定されるガイドスリーブ20の外周面のねじ26との間で回転運動が直線運動に変換されて送り・上下動が与えられるため、ソレノイドコア36が共回りしながら軸方向移動即ち昇降動する。即ち、バルブストローク調整機構50とソレノイドコア36とは連動する関係に保たれ、バルブストローク調整機構50の調整動作に連動してレノイドコア36そのものがアーマチャ7に向けて接近あるいはアーマチャ7から離反するように直線移動させられる。このとき、ソレノイド本体32はジャンクションボックス9に固定されているので、ソレノイド本体32の下端面からソレノイドコア36が突出し、アーマチャ7に対して離反あるいは接近することとなる。
バルブストローク調整機構50に連動してソレノイドコア36のソレノイド本体32からの突出量が変動することによって、磁気吸引によりアーマチャ7が上昇できる位置、換言すればストロークが調整される。つまり、ニードル4の下降端は決まっているので、上昇端を調整するということは、ストロークを調整することに他成らない。しかも、ソレノイドコア36のアーマチャ7と対向する面28は、ソレノイド5の吸着面として機能するため、アーマチャ吸引開始時の吸着面(面28)とアーマチャ7との間のギャップGも変動することとなる。これにより、トルクリミッタの利点をいかしながら、吸引力を強くすることが可能である。したがって、例えばストロークが小さくなるほど、ギャップGも小さくなり、吸引力が強くなって応答速度が加速度的に速くなる。
ここで、ソレノイドコア36の最大上昇端位置即ち格納位置は、ソレノイド本体32の下端面(ハウジング33と絶縁プレート37とのアーマチャに対向する面)とソレノイドコア36のアーマチャ7と対向する面(吸着面)28とが面一になる位置に設定することが好ましい。そこで、下ソレノイドコア36bの下端には径方向外側に突出し絶縁プレート37の径方向内側の空間に収まるフランジ36cが形成されている。また、上ソレノイドコア36aには肩部36asが設けられ、この肩部36asがガイドスリーブ20のインナー部材20bのフランジ部分20bfの下面と当接するように設けられている。尚、本実施形態では、ソレノイドコア36が2点において同時にジャンクションボックス9に固定されている部材に当接することで、ソレノイドコア36の上昇端を規制するようにしているが、これに特に限られるものでなく、場合によってはいずれか一方の位置決めあるいはその他の位置決めによって、ソレノイドコア36の上昇端を規制するようにしても良い。
また、バルブストローク調整機構50にはトルクリミッタが組み込まれている。本実施形態のトルクリミッタは、例えば図5に示すように、スラストベアリング52を介してマイクロアジャストメントキャップ53に対して回転自在に設けられるトルクリミッタハウジング51と、該トルクリミッタハウジング51に保持されているボールプランジャ55と、マイクロアジャストメントキャップ53と一体化されるトルクリミッタホルダ54と、該トルクリミッタホルダ54に設けられた凹部または孔56とで構成され、トルクリミッタホルダ54側の凹部または孔56にトルクリミッタハウジング51側のボールプランジャ55のボールを嵌合させることで一定の負荷をかけるようにしている。これにより、設定値以上のトルクが作用したときにマイクロアジャストメントキャップ53を空回りさせることでゼロ点を正確に求めることができるので、ゼロ点を基準に外周面の目盛58を目安に所望量だけマイクロアジャストメントキャップ53を戻すように回してソレノイドコア36を引き上げることで、正確に所望のストロークが設定される。ゼロ点とは、ニードル4とバルブシート46との間が閉じている状態(バルブ閉塞状態)で且つ吸着面(ソレノイドコアあるいはソレノイド底面)とアーマチャ7の上面との間に隙間が無い状態を言う。尚、図1〜図3において符号58は目盛り、62は基線を示す。
尚、マイクロアジャストメントキャップ53は、ジャンクションボックス9に設置されたばねプランジャー59により絶えず上方に押し上げられ、ねじの遊びが吸収されると共に回り止めの摩擦力が常時付与されている。ここで、好ましくは、キャップ53の底面には環状の例えばウレタンゴムやシリコンゴムなどの滑り止め部材63を嵌め込み、該滑り止め部材63にばねプランジャー59を押しつけさせるようにすることで、高速ショット時に発生する振動によるマイクロアジャストメントキャップ53の回転・緩みをより確実に防ぐようにしても良い。
以上のように構成された本実施形態の液状物の吐出装置によれば、バルブストローク調整機構50によるソレノイドコア36の直接駆動で、ソレノイド本体32からソレノイドコア36を突出させることでソレノイドの吸着面28をアーマチャ7に向けて移動させることによってストローク調整が行われる。また、図6に示すように、ソレノイドの吸着面28そのものがアーマチャ7に向けて移動するので、磁気吸引に関するギャップGも変動する。つまり、ストロークが小さくなる程にギャップGも小さくなる。これにより、ソレノイド5の吸引力が加速度的に強力となる。例えば、500μm程度の最大ギャップ値Gmaxの吐出装置おいて、ギャップGが200μm〜300μm程度に狭く調整されると、吸引力が30〜40%程度増加することとなる。しかも、ソレノイド5の吸着面であるソレノイドコア36の下端面28にアーマチャ7が突き当たってストロークエンドに達するので、ソレノイドによる吸引力を最大限に活用することができ、応答性がより高まる。依って、液状物の高サイクルでの微少量吐出が可能となる吐出装置を実現できる。
また、図7に第2の実施形態を示す。この実施形態にかかる装置は、中実のソレノイドコア36を採用し、該ソレノイドコア36をバルブストローク調整機構50と連動させて上下動させるようにする一方、ソレノイド5のソレノイド本体32とアーマチャ7との間に円錐ばねやウェーブばねあるいは多重コイルばねなどの付勢機構24を配置してアーマチャ7を付勢機構24で直接付勢するようにしたものである。即ち、本実施形態にかかる装置は、ソレノイドコア36として中実のロッドを採用している点で第1の実施形態とは異なり、さらに中実のソレノイドコア36を採用している関係で、ソレノイド本体32のハウジング33とアーマチャ7との間に付勢機構24としてのばねを配置している点で異なる。第1の実施形態と同様の構成については、符号を省略して説明を省く。
本実施形態において、ソレノイド本体32はジャンクションボックス9に固定される一方、ソレノイドコア36はバルブストローク調整機構50のトルクリミッタハウジング51と締結ねじ57で連結されてとも回りするように設けられている。即ち、バルブストローク調整機構50とソレノイドコア36とは連動する関係に保たれる。したがって、マイクロアジャストメントキャップ53が回されると、トルクリミッタホルダ54及びボールプランジャ55を介して連動するトルクリミッタハウジング51が回転してガイドスリーブ20の外周面のねじ26に沿った軸方向移動即ち昇降動作し、さらにトルクリミッタハウジング51と締結ねじ57を介して連結されているソレノイドコア36が共回りしながら昇降する。尚、本実施形態のソレノイドコア36は、図5に例示する第1の実施形態の上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとが連続的に一体形成された中実部品であり、バルブストローク調整機構50のマイクロアジャストメントキャップ53の回転に合わせてとも回りしながら上下動するように設けられている。
ソレノイド本体32及びガイドスリーブ20の構造並びにこれらのジャンクションボックス9に対する固定手法に関しては、図5に示す第1の実施形態と同じであるのでその詳細な説明は省略する。つまり、2分割された上スリーブ20aと下スリーブ20bとの間でソレノイド本体32のハウジング33の内径側に突出するフランジ部33aを挟み付けてソレノイド本体32とガイドスリーブ20とを一体化すると共に、ジャンクションボックス9の隔壁部65の通し孔71を貫通させたガイドスリーブ20を座金22及びナット23を用いて締結することで固定されている。
他方、ソレノイド本体32とアーマチャ7との間には、アーマチャ7に直に接触して待機位置に向けて押し下げるように常時付勢する付勢機構24が配置されている。ここで、付勢機構24としては、アーマチャ7とソレノイド本体32の下端面との間の極めて狭い空間に配置されるため、例えば、円錐ばねやウェーブばね、同心状に配置された多重円筒コイル(同心円状に複数の円筒コイルを配置したもの)などの復帰ばねの使用が好ましい。この種のばねによれば、最大ギャップ値Gmaxの範囲内でストロークを変化させても、ばね定数をほぼ一定にできる。つまり、アーマチャ7とソレノイド本体32との間に配置される円錐ばねは定位置にあるためソレノイドコア36の上下動作によっても荷重に変化が生じない。したがって、ストロークという1つのパラメータを調整するだけで済むので、調整が簡単なものとなる。しかも、ソレノイドコアが中実であるため、ソレノイドコアが中空構造となる第1の実施形態にかかる吐出装置に比べてソレノイドコアを通過する磁束・吸引力を30%〜40%程度増加させ得るので、より励磁力を高められる。尚、絶縁プレート37の内径側の凹部39は、円錐ばね24を配置する場合には、内周面側が漏斗状の斜面に形成されることが好ましい。
以上のように構成された本実施形態の液状物の吐出装置によれば、例えば、ソレノイドコア36をソレノイド本体32から突出する方向に移動させることによって、磁気吸引の吸着面28もソレノイド本体32から突出して待機位置に在るアーマチャ7との間のギャップGも狭くすることによってストロークを短くすることができる。依って、磁気吸着面となるソレノイドコア36の下端面28とアーマチャ7との間のギャップGが狭くなり、励磁力が加速度的に強くなり、応答速度も加速度的に速くなる。しかも、磁気吸着面であるソレノイドコア36の下端面28にアーマチャ7が直に突き当たってストロークエンドに達するので、ソレノイドによる吸引力を最大限に活用することができ、応答性が損なわれることがない。加えて、ソレノイドコア36が中実であるため、ソレノイドコア36が中空構造となる第1の実施形態にかかる吐出装置に比べてソレノイドコア36を通過する磁束・吸引力を30%〜40%程度増加させ得るので、より励磁力を高められる。
図8に第3の実施形態を示す。この実施形態は、ソレノイド本体32とソレノイドコア36とが連結されて一体化された組み物(本明細書ではソレノイドアッセンブリーと呼ぶ)としたものである。そして、このソレノイドアッセンブリーとバルブストローク調整機構50とを軸方向にのみ連動可能に連結させて、マイクロアジャストキャップ53の回転操作によりジャンクションボックス9に内蔵されたソレノイドアッセンブリーを全体的に昇降させることによって、ソレノイド5の吸着面の位置を変化させるようにしたものである。これにより、ジャンクションボックス9に内蔵されたアーマチャ7及び連結部材8の移動量、換言すればバルブストロークが調整されると共にアーマチャ7とソレノイド5の吸着面28との間のギャップも同時に変化させられる。尚、本実施形態では、ソレノイド本体32とソレノイドコア36とが一体となったソレノイドアッセンブリーとして、バルブストローク調整機構50によって軸方向に移動可能とされていることから、磁気吸着面とはソレノイドコア36の下端面28のみならず、ソレノイド本体32の下端面例えばハウジング33の下端面なども含むものである。
本実施形態においては、ソレノイド5は直流電源用端子を介して給電される構造であるので、給電構造を簡略にして安価に製造するためには、ソレノイドアッセンブリーを回転させないようにして尚且つ軸方向には移動可能となるように内部空間67に収めることが好ましい。そこで、本実施形態では、例えば、ソレノイド本体32とソレノイドコア36とを連結させて一体的に軸方向移動可能に支持させると共に、ソレノイド5のジャンクションボックス9の隔壁部65と対向するハウジング33の端面から+−の各電極ピン(図示省略)と回転止めのためのピン(図示省略)とを突き出させ、対応するジャンクションボックス9の隔壁部65の穴(図示省略)に摺動可能に嵌合させるように設けられている。これによって、ソレノイドアッセンブリーは、ジャンクションボックス9の内部空間67に、回転不能でかつ軸方向には摺動可能に収容される。尚、本実施形態においては、例えば図5に示す第1の実施形態と同様に、締結ねじ29による締結で上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bに分解可能な構造となっている中空のソレノイドコア36の内部にアーマチャ7を待機位置に押し戻すための付勢力を常時与えるための付勢機構24としてのばねと、ばねの付勢力をアーマチャの表面に伝えるプッシャ31とが収容されている。
他方、バルブストローク調整機構50を支持するガイドスリーブ20は、例えば、ジャンクションボックス9の内部空間67と凹部66とを仕切る隔壁部65に開けられた段付き穴から成る通し孔71にガイドスリーブ20の下端のフランジ部20fを係合させる一方、ガイドスリーブ20の外周のねじ26に座金22を嵌めてからナット23を螺合させることによりジャンクションボックス9の隔壁部65に固定されている。そして、ガイドスリーブ20の外周面のねじ26にバルブストローク調整機構50のトルクリミッタハウジング51が螺合されて、アジャストメントキャップ53を回転させることによってトルクリミッタハウジング51ひいてはこれに連結されるソレノイドアッセンブリが上下動するように設けられている。
ここで、回転不能に収納されているソレノイドアッセンブリーをマイクロアジャストメントキャップ53の回転によって昇降させるには、トルクリミッタハウジング51が回転可能で且つ上ソレノイドコア36aと軸方向に連動する構造とすることが必要である。この構造は、例えば、締結ねじ57の頭57aとトルクリミッタハウジング51の頂端面51aとの間に僅かの隙間Sが設けられて回転不能のソレノイドコア36とトルクリミッタハウジング51とが完全に締結されない程度に連結される一方、トルクリミッタハウジング51の透孔を通過する締結ねじ57の首下部とねじ部との境界部分の段部57bが上ソレノイドコア36aの頂端部36atに突き当たるときに、締結ねじ57の頭57aとトルクリミッタハウジング51の頂端面51aとの間に僅かの隙間Sが空くように設ける関係にすることによって実現される。この構造よれば、マイクロアジャストメントキャップ53をトルクリミッタハウジング51が上昇する方向に回転させると、トルクリミッタハウジング51の頂端面51aが締結ねじ57の頭57aに当たった後は、両者間の隙間Sがなくなって締結ねじ57が引き上げられることから、締結ねじ57に連結された上ソレノイドコア36aひいてはソレノイドアッセンブリーが引き上げられる。他方、アジャストメントキャップ53をトルクリミッタハウジング51が下降する方向に回転させると、トルクリミッタハウジング51の頂端面51aと締結ねじ57の頭57aとの間に隙間Sが空いてトルクリミッタハウジング51のみが回転すると共に、トルクリミッタハウジング51の肩部51bが上ソレノイドコア36aの頂端部36atに当接して、上ソレノイドコア36aひいてはソレノイドアッセンブリーが押し下げられる。
また、例えば、図9に示すように、ソレノイド本体32とソレノイドコア36とが連結されて一体化されたソレノイドアッセンブリーが、全体として回転しながら昇降する構造としても良い(第4の実施形態)。
この実施形態では、例えば、ソレノイドコア36は、プッシャ31及び圧縮コイルばね24を内蔵するため、各々中空部を有する上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとで構成され、ねじ29の螺合によって締結されて一体化される。そして、上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとをねじ29で締結する際に、上ソレノイドコア36aと下ソレノイドコア36bとの突き合わせ面でハウジング33のフランジ部33aを挟持することによって、ソレノイド本体32とソレノイドコア36とが一体化される。
加うるに、ジャンクションボックス9の隔壁部65の中央に設けられた雌ねじ72に上ソレノイドコア36aの雄ねじ73を螺合させることによって、ジャンクションボックス9とソレノイドコア36との間に送りねじ機構が構成される。また、上ソレノイドコア36aには、バルブストローク調整機構50のトルクリミッタハウジング51が螺合されると共に締結ねじ57で連結されてとも回りするように設けられている。斯くして、バルブストローク調整機構50とソレノイドコア36とは連動する関係に保たれる。したがって、アジャストメントキャップ53を回転させると、ボールプランジャ55を介してトルクリミッタハウジング51に回転が伝達され、さらに締結ねじ57で締結された上ソレノイドコア36aを回転させるので、ジャンクションボックス9に対して上ソレノイドコア36aひいてはソレノイドアッセンブリー全体が回転しながら昇降する。これにより、バルブストロークが調整されると共にアーマチャ7とソレノイド5の吸着面28との間のギャップも同時に変化させられる。
このとき、回転しながら昇降するソレノイドアッセンブリーに対して給電可能とするため、ソレノイド本体32のハウジング33とジャンクションボックス9との間に給電ブラシ機構が備えられている。例えば、二重リングで構成される+−の各電極板75a,75bと、各々の電極板75a,75b上を摺接する電極ブラシ74a,74bとで構成されるスリップリング方式の給電ブラシ機構が備えられている。電極ブラシ74a,74bは、具体的な構造は図示していないが、例えばジャンクションボックス9内に付勢ばね等を内蔵して出没可能に備えられる金属あるいはカーボン製などの電極である。また、電極板75a,75bはジャンクションボックス9の隔壁部65と対向するハウジング33の端面に、直径の異なる2枚の導電性材料から成るリングが互いに隔離されて絶縁された状態で同心状に配置して成る、二重リングで構成されている。そして、ジャンクションボックス9から突出する電極ブラシ74a,74bがソレノイド本体32に配置された対応する+−の電極板75a,75bに向けて押しつけられるように備えられている。各電極板75a,75bの下には、図示していないが、必要に応じて環状の絶縁板が配置される。そして、各電極板75a,75bがコイル35に結線されている。
以上のように構成された本実施形態の液状物の吐出装置によれば、ソレノイドアッセンブリーが全体的に移動することによって磁気吸引の吸着面28と待機位置に在るアーマチャ7との間のギャップGとストロークとが同時に調整されるので、ソレノイド本体32からソレノイドコア36のみを突き出させる場合よりも更に励磁力が加速度的に強くなり、応答速度も加速度的に速くなる。
また、図10及び図11に第5の実施形態を示す。この実施形態にかかるバルブは、ジャンクションボックス9に搭載されたバルブストローク調整機構50に代えて、シリンジ1を全体的に昇降させるバルブストローク調整機構82によって、ストローク調整を行うようにしたものである。このバルブストローク調整機構82は、例えば、バルブシートアッセンブリ3を受け止めて保持するノズルリテーナプラグ83と該ノズルリテーナプラグ83を支持するノズルベース10との間に回転運動を直線運動に変換して送りを与える送りねじ機構84を設けることによって構成され、ノズルリテーナプラグ83を回転させることによって、ノズルリテーナプラグ83ともどもシリンジ1を全体的に昇降させることでアーマチャ7を昇降させてストローク調整するように設けられている。ここで、ノズルリテーナプラグ83のノズルベース10から露出する外周面には、図11に示すように、目盛り88並びに基線89を入れておけば、定量的な微調整が可能となる。尚、ノズルリテーナプラグ83の上端寄りの部位にはノズルリテーナプラグ83とノズルベース10との間にOリング90が介在されてねじの遊びが吸収されると共に回り止めの摩擦力が常時付与されている。これにより、ノズルリテーナプラグ83はがたつき無く保持され、所望量が送られる。
したがって、ノズルリテーナプラグ83を回転させることで、ノズルベース10に対してバルブシートアッセンブリ3やニードル4を含むシリンジ1が全体的に上下方向に移動することによって、ニードル4と連動するアーマチャ7の位置を変化させ得る。これにより、ストロークが調整されると共にアーマチャ7とソレノイド5との間のギャップGも同時に変化させられる。
このバルブストローク調整機構82の場合、図5〜図9に示す上述のバルブストローク調整機構50に比べて遙かに簡易な構造でありながら、同様のストローク微調整を可能とする。そして、アーマチャ7をソレノイドコア36あるいはソレノイドアッセンブリーに近づけることでより強い励磁力によってアーマチャ7が吸引され、アーマチャ7と磁気連結されたニードル4の動作がより素早い動作となりバルブ動作時間もより短い時間での応答が可能となることで微少量の吐出が可能となるという、図5〜図9に示す駆動部と同じ効果が得られる。しかも、図5〜図9に示すバルブストローク調整機構50に比べて構造が簡易にできるためコストを減らすことができる。
ここで、本実施形態にかかるバルブストローク調整機構82の場合、ノズルリテーナプラグ83を回転させることでバルブシートアッセンブリ3を含むシリンジ1などを全体的に上下動させることによって、ニードル4及びそれと磁気連結される連結部材8並びにアーマチャ7を昇降させてストローク調整するので、ワークとノズル87との間隙が変動することとなる。したがって、このままでは、吐出される液状物の液滴の命中精度が低下してくる問題が生ずることも考えられるが、周辺機器例えばロボット側の調整・自動補正機能などによってワークとノズル87との間隙を一定に保つように自動調整することで容易に解消することができる。
尚、本実施形態のノズルリテーナプラグ83を回転させるバルブストローク調整機構82と、図5〜図9に示す上述のバルブストローク調整機構50及びこれによって駆動される機構部分については選択的に採用されるものである。したがって、図10のバルブストローク調整機構82が採用される場合には、ソレノイド5並びにソレノイドコア36はジャンクションボックス9内で固定され、シリンジ1を固定するポジショニングメンバー14と、連結部材8と一体化されたアーマチャ7と、アーマチャ7に常時接触するプッシャ31及び該プッシャ31をアーマチャ7に向けて常時付勢してアーマチャ7ひいてはニードル4を待機位置に押し戻すための付勢力を常時与える付勢機構24(あるいはアーマチャ7とソレノイド5との間に配置されてアーマチャ7を直接付勢する付勢機構)を備えるようにしている。
尚、図示していないが、ノズルリテーナプラグ83の周りにマイクロアジャストメントキャップ53を被せ、このマイクロアジャストメントキャップ53とノズルリテーナプラグ83との間にトルクリミッタ機能を組み込むようにして、ニードル4がストローク端に達して一定の負荷が作用したときにマイクロアジャストメントキャップ53を空転させてニードル4を傷めないようにしても良い。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、図5に示す中空ソレノイドコアタイプの実施形態と図8及び図9に示すエンジン可変タイプの実施形態の場合には、ソレノイドコアの中心にプッシャ31とばね24とを内蔵するようにしているが、必要に応じて図7に例示するソリッドコアタイプの実施形態のようにプッシャとばねに代えて円錐ばね24を用いるようにしても良い。
また、上述の実施形態では、アーマチャ7と連結部材8とは一体成形あるいはねじや溶接などによる連結で一体化されているが、これに特に限られず、アーマチャ7と連結部材8とを分離可能な別体構造とし、ソレノイド5の励磁初期には連結部材8を連動させずにアーマチャ7のみが動く助走区間が設けられる隙間を備える特許文献2に示すように構造を採っても良い。この構造によれば、ギャップを比較的大きく設定し尚且つニードルのストロークが大きく設定される場合にも、アーマチャ7の単独での助走区間によりソレノイド5の印加とアーマチャ7の動作との関係にほとんど遅れがなくダイレクトに駆動できるので、高サイクルでの吐出が可能となる。
また、上述の実施形態では、バルブストローク調整機構50にはトルクリミッタを組み込んでいるが、場合によっては必ずしも組み込まなくとも良く、ソレノイドコア36あるいはソレノイドアッセンブリを軸方向へ移動させるだけのバルブストローク調整機構(マイクロメータに限らない)であっても良い。
また、上述の実施形態では、液状物を予め充填したシリンジ1をバルブ本体6に装着して使用するシリンジ内蔵型の吐出装置の例を挙げて主に説明したが、この使用例に特に限られるものではなく、シリンジ1に代えて各種機能性カートリッジ(図示省略)を装着可能とし、液状物を加圧タンクからの圧送で外部から供給するタイプや、シリンジ外付けタイプ、ポンプ循環供給方式などの、さまざまな形式の液状物供給方式として使用することもできる。機能性カートリッジ(図示省略)を用いる場合においてもシリンジ1を用いる場合と同様であり、機能性カートリッジにニードル4を挿入し、あるいは必要に応じてエクステンションロッド13を機能性カートリッジに嵌め込んでからニードル4を挿入し、さらには機能性カートリッジの先端にノズルシートアッセンブリ3を装着して、バルブ本体6に装着する。
また、上述の第1から第4の実施形態では、バルブストローク調整機構50とソレノイドコア36との連動関係は、締結ねじ57による連結で保たれているが、これに特に限られるものではなく、場合によっては締結ねじ57による物理的連結関係の存在なくして連動関係を保つこともできる。例えば、図5に示す第1の実施形態におけるバルブストローク調整機構50とソレノイドコア36との連動機構を例に挙げれば、ソレノイドコア36は内蔵する圧縮コイルばね(アーマチャ7を待機位置に押し戻す力を常時付勢する付勢機構)24の反力を常時受けていることから、締結ねじ57とそのねじ孔などを省略して孔を塞ぎ、ソレノイドコア36の上端をトルクリミッタハウジング51の首部51cの底面に当接させるだけで連動関係を構築できる。このバルブストローク調整機構50によれば、アジャストメントキャップ53を回転させてトルクリミッタハウジング51を上昇させようとすると、ばね24の反力を常時受けてトルクリミッタハウジング51の首部51cへ向けて付勢されているソレノイドコア36がトルクリミッタハウジング51の動きに追従して上昇する。他方、アジャストメントキャップ53を回転させてトルクリミッタハウジング51を下降させようとすると、ばね24の反力を常時受けてトルクリミッタハウジング51の首部51cへ向けて付勢されているソレノイドコア36は、トルクリミッタハウジング51によって押し下げられる。即ち、バルブストローク調整機構50の動きと連動してソレノイドコア36が昇降する。