JP2018012820A - 耐衝撃性改良剤、熱可塑性樹脂組成物およびフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献6は、芳香族チオアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする単量体から得られる重合体部位と芳香族チオアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としない単量体から得られる重合体部位とを含有し、全体の屈折率nが1.570以上で、メチルエチルケトンに不溶で、且つガラス転移温度が−10℃以下である高屈折率エラストマーと熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物を開示している。
本発明の課題は、屈折率が高く、且つ耐熱分解性、透明性及び耐衝撃性に優れるフィルムなどの成形体、そのような成形体を得るのに適した熱可塑性樹脂組成物、およびそのような熱可塑性樹脂組成物を得るために熱可塑性樹脂と熔融混練して高熱に晒されても熱分解しにくい耐衝撃性改良剤を提供することである。
センターコアおよびインナーシェルを構成する重合体の少なくとも一つが架橋ゴム重合体であり、
センターコアを構成する重合体の質量に対するセンターコアを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比またはインナーシェルを構成する重合体の質量に対するインナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比のいずれかがアウターシェルを構成する重合体の質量に対するアウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比よりも多く、
コア粒子の平均粒子径Dが150nm以上300nm以下であり、
センターコアを構成する重合体の屈折率ndCCとインナーシェルを構成する重合体の屈折率ndISが0nm≦|ndCC−ndIS|×D≦9nmの関係を満たし、且つ
コアシェル架橋ゴム粒子の屈折率ndが1.50〜1.55である耐衝撃性改良剤。
センターコアおよびインナーシェルを構成する架橋ゴム重合体以外の重合体がメタクリル酸エステルに由来する構造単位を含有する重合体(ii)であり、且つ
アウターシェルを構成する重合体がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を含有する重合体(iii)である、〔1〕に記載の耐衝撃性改良剤。
〔3〕 架橋ゴム重合体がアクリル酸エステルに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体(i)であり、
センターコアおよびインナーシェルを構成する架橋ゴム重合体以外の重合体が芳香族ビニルに由来する構造単位とメタクリル酸メチルに由来する構造単位とを合計で50質量%以上含有する重合体(ii)であり、且つ
アウターシェルを構成する重合体がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体(iii)である、〔1〕に記載の耐衝撃性改良剤。
重合体(ii)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位10質量%以上を含有する、〔2〕または〔3〕に記載の耐衝撃性改良剤。
〔5〕 重合体(i)は、アルキル基の炭素数が4〜12であるアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有量が、重合体(i)の質量に対して50質量%未満である、〔2〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤。
〔6〕 窒素流量10ml/分、昇温速度20℃/分で測定した1.0%加熱減量温度が、310℃以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤。
シード粒子の存在下にインナーシェルを構成する重合体を得るための単量体をシード乳化重合してコア粒子を得、
コア粒子の存在下にアウターシェルを構成する重合体を得るための単量体をシード乳化重合してコアシェル架橋ゴム粒子を得ることを含む、
前記〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤の製造方法。
耐衝撃性改良剤(B)に対する熱可塑性樹脂(A)の質量比(A)/(B)が95/5〜10/90である、〔8〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔11〕 メタクリル酸環式炭化水素エステルが、式(2)で表される化合物である、〔10〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(式(2)中、Xは炭素数6以上の環式炭化水素基を表す。)
〔12〕 炭素数6以上の環式炭化水素基が、イソボルナン−2−イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、または置換基を有していてもよいシクロヘキシル基である、〔11〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔15〕 前記〔8〕〜〔13〕のいずれかひとつに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
〔16〕 厚さが10〜50μmである、〔15〕に記載のフィルム。
〔17〕 前記〔15〕または〔16〕に記載のフィルムからなる偏光子保護フィルム。
〔18〕 前記〔15〕または〔16〕に記載のフィルムからなる位相差フィルム。
〔19〕 前記〔15〕または〔16〕に記載のフィルムと有機発光ダイオードとを有する照明若しくは表示装置。
〔20〕 前記〔15〕または〔16〕に記載のフィルムと液晶セルとを有する表示装置。
コア粒子の平均粒子径Dは、次のようにして決定する。
先ず、コアシェル架橋ゴム粒子を製造する際の中間に生成するコア粒子水分散液をサンプリングし、コア粒子が濃度0.05質量%になるようにイオン交換水で希釈する。希釈液をガラスプレートに展開して、乾燥する。このようにするとコア粒子が凝集することなくガラスプレート上に分散して存在するようになる。次いで、乾燥させたガラスプレート表面に白金・パラジウムを蒸着させ、それを電子顕微鏡で観察し写真を撮る。電子顕微鏡写真から、無作為に100個の粒子を選び、それぞれの粒子径を測定し、それら測定値を算術平均した値を平均粒子径Dとした。
1)平均粒子径Dが既知のコア粒子水分散液(コア粒子濃度:0.05質量%)を複数調製し、コア粒子水分散液の吸光度と平均粒子径Dとの関係を示す検量線を作成し、平均粒子径が未知のコア粒子水分散液(コア粒子濃度:0.05質量%)の吸光度の測定値から平均粒子径Dを推量することができる。なお、吸光度は、例えば、光路長10mmのクウォーツセルにて、波長590nmで測定した値を使用することができる。
2)コアシェル架橋ゴム粒子を熱可塑性樹脂(A)に混練し染色し電子顕微鏡で観察すると、メタクリル骨格の割合が多いアウターシェルの輪郭は薄く観察され、アクリル骨格又は不飽和結合の割合が多いコア粒子の輪郭が濃く観察される。そこで、平均粒子径Dが既知のコア粒子を含有するコアシェル架橋ゴム粒子を複数用意し、上記のようにして濃い輪郭の大きさをそれぞれ測定する。濃い輪郭の大きさと平均粒子径Dとの関係を示す検量線を作成し、平均粒子径が未知のコア粒子を含有するコアシェル架橋ゴム粒子における濃い輪郭の大きさから平均粒子径Dを推量することができる。
なお、センターコアを構成する重合体の屈折率ndCC、インナーシェルを構成する重合体の屈折率ndIS、およびアウターシェルを構成する重合体の屈折率ndOSは、それぞれの重合体を構成する単量体単位のホモポリマーの屈折率に重合体に占める単量体単位の質量比を掛けた値の総和である。
なお、インナーシェルを構成する重合体が2以上ある場合、その屈折率ndISは、それぞれの重合体の屈折率(ndIS(i))にインナーシェル中のそれぞれの重合体の質量比(xi)を掛けた値の総和で算出される値である。
重合体(i)に用いられるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸非環状アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸環状アルキルエステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジルなどの官能基含有アクリル酸非環状アルキルエステル;式(1a)で表される単量体(以下、単量体(1a)ということがある。)などを挙げることができる。屈折率を高めるという観点から単量体(1a)が好ましく用いられる。
(式(1a)中、R18は芳香環を含む炭素数6〜20の有機基を表す。Yは炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルキレンオキシ基を表し、該アルキレン基及び該アルキレンオキシ基は、水酸基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜4のアシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。mは1〜6の整数を表し、mが2以上の整数である場合、Yは相互に同じでも異なってもよい。)
炭素数2〜6のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、トリメチレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基、ヘキサメチレンオキシ基などを挙げることができる。炭素数2〜6のアルキレンオキシ基は、オキシ基がR18に結合することが好ましい。
(式(D-1a)〜(D-3a)中、Y1は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はオキソ基で置換されていてもよい。R19は、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはグリシジルオキシ基を表す。nは0〜5の整数、pは0〜4の整数、qは0〜5の整数を表す。mは、式(1a)におけるものと同じ意味を表す。mが2以上の整数である場合、複数のY1は、同じであっても異なってもよい。p及びqが2以上の整数である場合、複数のR19は、同一であっても異なってもよい。)
重合体(i)は、アルキル基の炭素数が4〜12であるアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有量が、重合体(i)の質量に対して、好ましくは99質量%未満、より好ましくは98質量%未満、さらに好ましくは90質量%未満である。
他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸非環状アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸環状アルキルエステル;メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル;式(1b)で表される単量体(以下、単量体(1b)ということがある。);スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。これらのうち、屈折率を高める観点から、芳香族ビニル単量体または単量体(1b)が好ましく、スチレンがより好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合体(i)に含まれ得る他のビニル系単量体に由来する構造単位の量は、重合体(i)の全質量に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であり、好ましくは40質量%以上である。
(式(1b)中、R18は芳香環を含む炭素数6〜20の有機基を表す。Yは炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルキレンオキシ基を表し、該アルキレン基及び該アルキレンオキシ基は、水酸基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜4のアシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。mは1〜6の整数を表し、mが2以上の整数である場合、Yは相互に同じでも異なってもよい。)
(式(D-1b)〜(D-3b)中、Y1は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はオキソ基で置換されていてもよい。R19は、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはグリシジルオキシ基を表す。nは0〜5の整数、pは0〜4の整数、qは0〜5の整数を表す。mは、式(1a)におけるものと同じ意味を表す。mが2以上の整数である場合、複数のY1は、同じであっても異なってもよい。p及びqが2以上の整数である場合、複数のR19は、同一であっても異なってもよい。)
他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸非環状アルキルエステル、アクリル酸環状アルキルエステル、アクリル酸アリールエステル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、単量体(1a);スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などを挙げることができる。これらのうち、屈折率を高める観点から、芳香族ビニル単量体が好ましく、スチレンがより好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合体(ii)に含有し得る他のビニル系単量体に由来する構造単位の量は、重合体(ii)の質量に対して、好ましくは98質量%以下、より好ましくは96質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下であり、好ましくは40質量%以上である。重合体(ii)に含有し得る芳香族ビニル単量体に由来する構造単位とメタクリル酸メチルに由来する構造単位との合計量は、重合体(ii)の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
また、センターコアおよびインナーシェルを構成する重合体の少なくとも一つに含まれる単量体(1a)または単量体(1b)に由来する構造単位の量は、コアシェル架橋ゴム粒子の全質量に対して、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは20〜35質量%である。
重合体(iii)に含まれるメタクリル酸エステル単量体に由来する構造単位の量は、重合体(iii)の質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、最も好ましくは90質量%以上である。
さらに、センターコアを構成する重合体の質量に対するセンターコアを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比またはインナーシェルを構成する重合体の質量に対するインナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比のいずれかがアウターシェルを構成する重合体の質量に対するアウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比よりも多い。
センターコアを構成する重合体の質量に対するセンターコアを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比またはインナーシェルを構成する重合体の質量に対するインナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比のいずれかは、好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%である。
アウターシェルを構成する重合体の質量に対するアウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比は、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.02〜0.4質量%である。
重合体に含有する硫黄成分の量は、コアシェル架橋ゴム粒子を製造する際の各ステージにおいて使用される硫黄含有化合物の種類や量によって調節することができる。硫黄含有化合物としては、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤などを挙げることができる。
まず、試料重合体、具体的にはコアシェル架橋ゴム粒子を製造する際の各ステージで得られるシード粒子、コア粒子またはコアシェル架橋ゴム粒子、各0.2gを精秤し容器に入れる。これに濃硝酸10mlを加え、容器を密閉し、マイクロウェーブ試料分解装置(マイルストーンゼネラル社製 ETHOS−1600型)にて500〜1000Wの出力で55分間分解処理する。次いで、ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルーメンツ社製、CCD多元素同時型ICP発光分光分析装置、ICP−OES VISTA−PRO)にて硫黄成分(質量%)を定量する。アウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の量は、コアシェル架橋ゴム粒子に含有する硫黄成分の量からセンターコアおよびインナーシェルを構成する重合体(コア粒子)に含有する硫黄成分の量を差し引くことで算出することができ、インナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の量は、コア粒子に含有する硫黄成分の量からセンターコアを構成する重合体(シード粒子)に含有する硫黄成分の量を差し引くことで算出することができる。
第一段目重合または第二段目重合において使用される連鎖移動剤の量は、それぞれ、第一段目重合または第二段目重合において供される単量体の総重量に対して、好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%である。また、第三段目重合において使用される連鎖移動剤の量は、第三段目重合において供される単量体の総重量に対して、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%である。
特に、第1段目重合において連鎖移動剤を用いることで、本発明の耐衝撃性改良剤の、窒素流量10ml/分、昇温速度20℃/分で測定した1.0%加熱減量温度を高くできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂(A)と本発明の耐衝撃性改良剤(B)との合計量は、熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。
メタクリル樹脂[Aa]は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の量が、全構造単位に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは99.5質量%以上である。他の単量体に由来し且つ環構造を主鎖に有しない構造単位の量は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の量とバランスする限り制限されず、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。
クロマトグラムは、試験対象溶液と参照溶液との屈折率差に由来する電気信号値(強度Y)をリテンションタイムXに対してプロットしたチャートである。
分子量400〜5000000の範囲の標準ポリスチレンをゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定し、リテンションタイムと分子量との関係を示す検量線を作成する。クロマトグラムの高分子量側の傾きがゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点を結んだ線をベースラインとする。クロマトグラムが複数のピークを示す場合は、最も高分子量側のピークの傾きがゼロからプラスに変化する点と、最も低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点を結んだ線をベースラインとする。
環構造を主鎖に有する構造単位は、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどのような重合性不飽和炭素−炭素二重結合を有する環状単量体をメタクリル酸メチルなどと共重合させることによって、または重合によって得られたメタクリル樹脂の分子鎖の一部を分子内縮合環化させることによって、メタクリル樹脂[Ab]に含有させることができる。
式(I)中、R14およびR15はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機残基であり、R14が水素原子、R15がメチル基であるのが好ましい。R16は−COORであり、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機残基であり好ましくはメチル基である。*は結合手を意味する。
なお、式(I)における、有機残基としては、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、および−CN基等を挙げることができる。有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。「Ac」はアセチル基を示す。有機残基は、その炭素数が、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
式(II)中、R21およびR22はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機残基である。*は結合手を意味する。
なお、式(II)における、有機残基としては、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、および−CN基等を挙げることができる。有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。「Ac」はアセチル基を示す。有機残基は、その炭素数が、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
2,5−ジオキソジヒドロフランジイル構造単位は、無水マレイン酸の共重合などによって、メタクリル樹脂に含有させることができる。
式(III)中、R33およびR34はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機残基である。*は結合手を意味する。
なお、式(III)における、有機残基としては、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、および−CN基等を挙げることができる。有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。「Ac」はアセチル基を示す。有機残基は、その炭素数が、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、もっとも好ましくは1である。最も好ましい有機残基はメチル基である。
式(IV)中、R41およびR42はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、R43は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。*は結合手を意味する。
原料入手の容易さ、費用、耐熱性などの観点から、R41およびR42はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であることが好ましく、R41がメチル基でありR42が水素原子であることがより好ましい。R43は水素原子、メチル基、n−ブチル基、シクロへキシル基またはベンジル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
式(V)中、R52およびR53はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜14のアルキル基であり、R51は、炭素数7〜14のアリールアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜14のアリール基である。アリール基に置換される基は、ハロゲノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数7〜14のアリールアルキル基である。*は結合手を意味する。R51はフェニル基またはシクロヘキシル基であるのが好ましく、R52およびR53は共に水素原子であるのが好ましい。
2,5−ジオキソピロリジンジイル構造単位は、N−置換マレイミドの共重合などによって、メタクリル樹脂に含有させることができる。
式(VI)中、R61およびR62はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、または環構造を有する炭素数3〜20の炭化水素基である。*は結合手を意味する。
R61およびR62としては、それぞれ独立に、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−イル基、t−ブチル基、または4−t−ブチルシクロヘキサニル基が好ましい。
式(2)中、Xは、炭素数6以上の環式炭化水素基、好ましくは炭素数10以上の橋かけ環式炭化水素基である。なお、橋かけ環式炭化水素基は、環を構成する隣り合わない二つの炭素原子が1以上の炭素原子からなる炭素鎖で結ばれた構造を有する脂環式炭化水素基である。係る橋かけ環式炭化水素基は、炭素鎖で結ばれた構造以外に、縮合環構造、スピロ環構造を有してもよい。橋かけ環式炭化水素基を構成する炭素原子の数は、10〜20であることがより好ましい。アルキルなどの非環式炭化水素基にシクロへキシル基やフェニル基などが置換したものは環式炭化水素基に含まない。
これらの中でも、1,3,3−トリメチルノルボルナン−2−イル基、1,2,3,3−テトラメチルノルボルナン−2−イル基、1,3,3−トリメチルノルボルナン−2−イル基、イソボルナン−2−イル基、2−メチルイソボルナン−2−イル基、2−エチルイソボルナン−2−イル基、デカヒドロ−2,5−メタノ−7,10−メタノナフタレン−1−イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、シクロヘキシル基、アルキル基で置換されたシクロヘキシル基、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基、ナフチル基、アルキル基で置換されたナフチル基が好ましく、イソボルナン−2−イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基がより好ましく、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基(慣用名:ジシクロペンタニル基)が特に好ましい。
メタクリル樹脂[Ac]に有するメタクリル酸環式炭化水素エステル以外のメタクリル酸エステルに由来する構造単位の量は、メタクリル樹脂[Ac]に対して、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは70〜80質量%である。
メタクリル樹脂[Ac]に有するアクリル酸エステルに由来する構造単位の量は、メタクリル樹脂[Ac]に対して、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
メタクリル樹脂[Ac]に有することがあるメタクリル酸エステル並びにアクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位の量は、メタクリル樹脂[Ac]の質量に対して、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜2質量%である。
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、室温以上の領域においてJIS K7121に準拠して行うものであり、示差走査熱量計を用いて、室温から230℃まで昇温速度10℃/分で一度昇温(1stラン)し、次いで室温まで冷却し、次いで室温から230℃までを10℃/分で昇温(2ndラン)させたときの、2ndランの昇温時の示差走査熱量測定で得られるものである。
メタクリル樹脂[Aa]、[Ab]または[Ac]の特性値は、重合条件を調整することによって、具体的には、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の種類や量などを調整することによって行うことができる。
ポリカーボネート樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される重量平均分子量が、好ましくは1.8万〜7.5万、より好ましくは2万〜6万である。なお、ポリカーボネート樹脂のMVR値や重量平均分子量の調節は末端停止剤や分岐剤の量を調整することによって行うことができる。
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、室温以上の領域においてJIS K7121に準拠して行うものであり、示差走査熱量計を用いて、室温から230℃まで昇温速度10℃/分で一度昇温(1stラン)し、次いで室温まで冷却し、次いで室温から230℃までを10℃/分で昇温(2ndラン)させたときの、2ndランの昇温時の示差走査熱量測定で得られるものである。
混練に使用することができる装置としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。これらのうち、二軸押出機が好ましい。混練時の温度は、熱可塑性樹脂(A)の軟化温度および本発明の耐衝撃性改良剤(B)の軟化温度などに応じて適宜調節することができるが、好ましくは110℃〜280℃、より好ましくは200℃〜270℃である。熔融温度が高すぎると熱可塑性樹脂組成物の酸価が高くなることがある。
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、室温以上の領域においてJIS K7121に準拠して行うものであり、示差走査熱量計を用いて、室温から230℃まで昇温速度10℃/分で一度昇温(1stラン)し、次いで室温まで冷却し、次いで室温から230℃までを10℃/分で昇温(2ndラン)させたときの、2ndランの昇温時の示差走査熱量測定で得られるものである。
熱可塑性樹脂組成物をフィルムに成形した後、延伸処理を施してもよい。延伸処理によって、機械的強度が向上し、ひび割れし難くなることがある。延伸の方法は特に限定されず、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、チュブラー延伸法、圧延法などが挙げられる。延伸時の温度は、下限が熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より5℃高い温度であり、上限が熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より40℃高い温度である。延伸の速度は、好ましくは100〜5000%/分である。延伸処理においては延伸段階の後に熱固定段階を行うことがさらに好ましい。熱固定によって、熱収縮の少ないフィルムを得ることができる。
本発明のフィルムは、低位相差の光学フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する厚さ40μmにおける厚さ方向位相差Rthが、好ましくは−12nm以上12nm以下、より好ましくは−5nm以上5nm以下、さらに好ましくは−3nm以上3nm以下、特に好ましくは−2nm以上2nm以下、最も好ましくは−1nm以上1nm以下である。
なお、面内方向位相差Reおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ、以下の式で定義される値である。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
ここで、nxはフィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルムの進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率であり、d[nm]はフィルムの厚さである。遅相軸はフィルム面内の屈折率が最大になる方向の軸である。進相軸は面内において遅相軸に対して直角となる方向の軸である。
Rin=β×σ×d
物性値等は以下の方法によって決定した。
核磁気共鳴装置(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用い、樹脂10mgに対して重水素化クロロホルム1mL、室温、積算回数64回の条件にて、1H−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルから樹脂中の単量体単位の組成を算出した。
Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値から算出した。
GPC装置:東ソー株式会社製、HLC−8320
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultipore HZM−Mの2本とSuperHZ4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離剤: テトラヒドロフラン
溶離剤流量: 0.35ml/分
カラム温度: 40℃
検量線:標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
実施例1および4ならびに比較例3で得られたコアシェル架橋ゴム粒子に含有されるコア粒子の平均粒子径Dは次のようにして決定した。
先ず、コアシェル架橋ゴム粒子を製造する際の中間に生成するコア粒子水分散液をサンプリングし、コア粒子が濃度0.05質量%になるようにイオン交換水で希釈する。希釈液をガラスプレートに展開して、乾燥する。このようにするとコア粒子が凝集することなくガラスプレート上に分散して存在するようになる。次いで、乾燥させたガラスプレート表面に白金・パラジウムを蒸着させ、それを電子顕微鏡で観察し写真を撮る。電子顕微鏡写真から、無作為に100個の粒子を選び、それぞれの粒子径を測定し、それら測定値を算術平均した値をコア粒子の平均粒子径Dとした。
実施例1および4ならびに比較例3で得られたコアシェル架橋ゴム粒子に含有されるコア粒子の水分散液(コア粒子濃度:0.05質量%)を光路長10mmのクウォーツセルに注ぎ入れ、波長590nmでの吸光度をそれぞれ測定した。実施例1および4ならびに比較例2で得られたコアシェル架橋ゴム粒子に含有されるコア粒子水分散液の吸光度と平均粒子径Dとの関係を示す検量線を作成した。
実施例2〜3および5〜9ならびに比較例1〜2および4で得られたコアシェル架橋ゴム粒子に含有されるコア粒子の水分散液(コア粒子濃度:0.05質量%)の吸光度を光路長10mmのクウォーツセルにて波長590nmで測定した。その測定値から検量線を用いて平均粒子径Dを得た。
コアシェル架橋ゴム粒子を製造する際の各ステージで得られるシード粒子、コア粒子またはコアシェル架橋ゴム粒子、各0.2gを精秤し容器に入れた。これに濃硝酸10mlを加え、容器を密閉し、マイクロウェーブ試料分解装置(マイルストーンゼネラル社製 ETHOS−1600型)にて500〜1000Wの出力で55分間分解処理した。次いで、ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルーメンツ社製、CCD多元素同時型ICP発光分光分析装置、ICP−OES VISTA−PRO)にて硫黄成分(質量%)を定量した。シード粒子、コア粒子またはコアシェル架橋ゴム粒子についての定量値から、センターコア、インナーシェルおよびアウターシェルに含まれる各硫黄成分の質量比を算出した。
表1および2においては、センターコアを構成する重合体の質量に対するセンターコアを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比、インナーシェルを構成する重合体の質量に対するインナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比、およびアウターシェルを構成する重合体の質量に対するアウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比を、センターコア/インナーシェル/アウターシェルの順に記載している。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、SE−180DU−HP)を使用し、樹脂組成物を、シリンダ温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル1分で射出成形して長さ50mm、幅50mm、厚さ1mmの試験片を得た。光路長1mmの該試験片について、JIS K7361−1に準じて、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いて測定された全光線透過率を、樹脂組成物の全光線透過率(TtA)とした。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、SE−180DU−HP)を使用し、樹脂組成物を、シリンダ温度280℃、金型温度75℃、成形サイクル1分で射出成形して長さ50mm、幅50mm、厚さ1mmの試験片を得た。光路長1mmの該試験片についてJIS K7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いて測定したヘイズを、樹脂組成物のヘイズ(HA)とした。
プレス成形機を使用し、耐衝撃性改良剤または樹脂組成物を200℃にてプレス成形して、厚さ3mm板を得、この板から30mm×30mmの試験片を切り出した。この試験片について、精密屈折率計(島津製作所製 カルニュー KPR−20)を用いて、25℃、ヘリウムd線(587.56nm)にて測定した屈折率を、耐衝撃性改良剤または樹脂組成物の屈折率(n25 dBまたはn25 dA)とした。
センタ−コアおよびインナーシェルの屈折率(n25 dCCおよびn25 dIS)は、それぞれの重合体を構成する単量体単位のホモポリマーの屈折率に重合体に占める単量体単位の質量比を掛けた値を総和したものである。
熱重量測定装置(島津製作所製 TGA−50)にて、窒素流量が10ml/分、昇温速度20℃/分の条件で測定し、150℃での重量を基準(100重量%)に、1.0重量%減量したときの温度を1.0%加熱減量温度(T1.0 HL)、2.5%重量%減量したときの温度を2.5%加熱減量温度(T2.5 HL)、および5.0%重量%減量したときの温度を5.0%加熱減量温度(T5.0 HL)とした。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、SE−180DU−HP)を使用し、樹脂組成物を、シリンダ温度230℃、金型温度65℃、成形サイクル0.5分で射出成形して長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た、該試験片について、ISO179−1に準拠し、シャルピー衝撃試験を行って測定したノッチ無しのシャルピー衝撃強度を、樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(Ic)とした。
樹脂組成物をOptical Control System社製の製膜機(型式FS−5)にて、シリンダおよびTダイの温度300℃、リップ間隙0.5mm、吐出量2.7kg/hr、ロール温度85℃、フィルム引取り速度2.2m/分で押出成形し、厚さ100μmのフィルムを連続して製造した。製造開始から1時間経過した時にロールの表面を肉眼観察した。製膜性の評価を以下の指標で表した。
A:ロール汚れが全く若しくは殆どない。
B:ロール汚れが僅かにある。
C:ロール汚れが著しい。
〔第1段目重合〕
コンデンサー、温度計および撹拌機を備えたグラスライニングを施した容量100Lの反応槽に、イオン交換水480質量部を投入し、次いでポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.06質量部を添加し溶解させた。反応槽内の液を撹拌しながら80℃に上げて、スチレン62.0質量%、メタクリル酸メチル33.5質量%、ジビニルベンゼン3.3質量%およびn−オクチルメルカプタン1.2質量%からなる混合物176.4質量部とポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.78質量部とを含む溶液(〔重合体(ii)〕の原料)を80℃にて添加した。その後、3%過硫酸カリウム水溶液4.26質量部を添加して80℃にて乳化重合を開始させた。反応熱による反応槽内の温度上昇が収まった後、80℃にて30分間保持して、シード粒子を含有するエマルジョンを得た。
〔第2段目重合〕
第1段目重合で得られたエマルジョンに、3%過硫酸ナトリウム水溶液5.32質量部を添加した。その後、アクリル酸ブチル54.1質量%、スチレン43.9質量%、およびメタクリル酸アリル2質量%からなる混合物80.2質量部とポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.375質量部とを含む溶液(〔重合体(i)〕の原料)を80℃にて60分間かけて滴下してシード乳化重合を行った。滴下終了後、80℃にて60分間保持して、平均粒子径220nmのコア粒子を含有するエマルジョンを得た。
〔第3段目重合〕
第2段目重合で得られたエマルジョンに、3%過硫酸カリウム水溶液2.72質量部を添加した。その後、メタクリル酸メチル29質量%、アクリル酸メチル4.9質量%、メタクリル酸ベンジル65.9質量%およびn−オクチルメルカプタン0.2質量%からなる混合物64.1質量部(〔重合体(iii)〕の材料)を80℃にて30分間かけて添加してシード乳化重合を行った。添加終了後、80℃にて60分間保持してコアシェル架橋ゴム粒子を40%含有するエマルジョンを得た。
〔造粒〕
第3段目重合で得られたエマルジョンを室温まで冷やした。次いで該エマルジョンを−20℃にて2時間静置して凍結させた。凍結したエマルジョンをそれの2倍量の80℃の温水に投入し氷解させてスラリーを得た。該スラリーを80℃にて20分間保持し、次いで脱水し、残部を70℃で乾燥させて、コアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B1)を得た。耐衝撃性改良剤B1の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B2)を得た。耐衝撃性改良剤B2の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変え、且つ第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の量を、それぞれ、121.9質量部、134.7質量部および64.1質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B3)を得た。耐衝撃性改良剤B3の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変え、第2段目重合において混合物とともに添加するポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)の量を0.24質量部に変え、且つ第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の量を、それぞれ、160.4質量部、96.2質量部および64.1質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B4)を得た。耐衝撃性改良剤B4の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変え、且つ第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の量を、それぞれ、112.2質量部、144.3質量部および64.1質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B5)を得た。耐衝撃性改良剤B5の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B6)を得た。耐衝撃性改良剤B6の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表1に示す比率に変え、且つ第2段目重合において混合物とともに添加するポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)の量を0.3質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B7)を得た。耐衝撃性改良剤B7の評価結果を表1に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表2に示す比率に変え、且つ第2段目重合において混合物とともに添加するポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)の量を0.045質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B8)を得た。耐衝撃性改良剤B8の評価結果を表2に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表2に示す比率に変え、且つ第2段目重合において混合物とともに添加するポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)の量を0.05質量部とした以外は実施例1と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B9)を得た。耐衝撃性改良剤B9の評価結果を表2に示す。
〔第1段目重合〕
コンデンサー、温度計および撹拌機を備え且つグラスライニングの施された容量100Lの反応槽に、イオン交換水480質量部を投入し、次いでポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.06質量部を添加し溶解させた。反応槽内の液を撹拌しながら80℃に上げて、スチレン64.5質量%、メタクリル酸メチル28.0質量%、アクリル酸メチル4.9質量%、メタクリル酸アリル1.4質量%およびn−オクチルメルカプタン1.2質量%からなる混合物112.1質量部とポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.78質量部とを含む溶液(〔重合体(ii)〕の原料)を添加した。その後、3%過硫酸カリウム水溶液4.26質量部を添加して80℃にて乳化重合反応を開始させた。反応熱による反応槽内の温度上昇が収まった後、80℃にて30分間保持して、シード粒子を含有するエマルジョンを得た。
〔第2段目重合〕
第1段目重合で得られたエマルジョンに、3%過硫酸ナトリウム水溶液5.32質量部を添加した。その後、アクリル酸2エチルヘキシル50.0質量%、新中村化学工業社(株)製NKエステルA−LEN−10(エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート;既存化学物質番号:4-1693、CAS:72009-86-0)49.0質量%およびメタクリル酸アリル1.0質量%からなる混合物142.7質量部とポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.375質量部とを含む溶液(〔重合体(i)〕の原料)を80℃にて60分間かけて滴下してシード乳化重合を行った。滴下終了後、80℃にて60分間保持して、平均粒子径220nmのコア粒子を含有するエマルジョンを得た。
〔第3段目重合〕
第2段目重合で得られたエマルジョンに、3%過硫酸カリウム水溶液2.72質量部を添加した。その後、メタクリル酸メチル38.0質量%、メタクリル酸ベンジル、4.8質量%、アクリル酸メチル57.0質量%およびn−オクチルメルカプタン0.2質量%からなる混合物65.9質量部(〔重合体(iii)〕の材料)を80℃にて30分間かけて添加してシード乳化重合を行った。添加終了後、80℃にて60分間保持してコアシェル架橋ゴム粒子を40%含有するエマルジョンを得た。
〔造粒〕
第3段目重合で得られたエマルジョンを室温まで冷やした。次いで該エマルジョンを−20℃にて2時間静置して凍結させた。凍結したエマルジョンをそれの2倍量の80℃の温水に投入し氷解させてスラリーを得た。該スラリーを80℃にて20分間保持し、次いで脱水し、残部を70℃で乾燥させて、コアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B10)を得た。耐衝撃性改良剤B10の評価結果を表2に示す。
第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表2に示す比率に変えた以外は実施例6と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B11およびB12)を得た。耐衝撃性改良剤B11およびB12の評価結果を表2に示す。
第1段目重合においてイオン交換水480質量部に添加されるポリオキシエチレン(EO=3)酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製 ニッコール3NEX)0.06質量部を0.24質量部に変え、第1段目重合、第2段目重合および第3段目重合において添加した混合物の組成を表2に示す比率に変えた以外は実施例6と同じ手法でコアシェル架橋ゴム粒子からなるグラニュール(耐衝撃性改良剤B13)を得た。コア粒子の平均粒子径は150nmであった。耐衝撃性改良剤B13の評価結果を表2に示す。
St: スチレン
MMA: メタクリル酸メチル
BA: アクリル酸ブチル
DVB: ジビニルベンゼン
MA: アクリル酸メチル
ALMA: メタクリル酸アリル
n−OM: n−オクチルメルカプタン
2−EHA: アクリル酸2−エチルヘキシル
BzA: アクリル酸ベンジル
BzMA: メタクリル酸ベンジル
PTMB: ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)
A−LEN−10:新中村化学工業社(株)製NKエステルA−LEN−10(既存化学物質番号:4-1693、CAS:72009-86-0)
M110: 東亜合成(株)製 アロニックスM110(パラクミルフェノールEO変性アクリレート)
熱可塑性樹脂(A1)としてスチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチルランダム共重合体(電気化学工業株式会社製 R−200;スチレン単位56質量%、無水マレイン酸単位18質量%およびメタクリル酸メチル単位26質量%〔13C‐NMR分析〕;Mw=168,000、Mw/Mn=2.49、Tg=138℃、屈折率n23 d=1.5550)を用意した。
オートクレーブに、メタクリル酸メチル63質量部、メタクリル酸ジシクロペンタニル(TCDMA)35質量部、アクリル酸メチル2質量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート0.47質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.06質量部、1,1−ビス(1,1−ジメチルペルオキシ)シクロへキサン0.01質量部、水231質量部、分散剤1.4質量部およびpH調整剤17.5質量部を投入した。
オートクレーブ内の液を攪拌しながら70℃に上げ、70℃で120分間保持し、その後120℃で60分間保持して、重合を行った。オートクレーブ内の液を室温まで冷まし、次いでオートクレーブから抜き出した。抜き出した液を濾過して固形分を取り出し、該固形分を水で洗浄し、次いで80℃にて24時間熱風乾燥させた。得られた乾燥物を、2軸押出機にてシリンダ温度230℃で混練し、ストランド状に押出し、ペレタイザでカットして、Mw=127,000、TCDMA単位32.5質量%、Tg=126℃、酸価0.1mg/g、屈折率1.500のメタクリル樹脂のペレット(熱可塑性樹脂(A2))を得た。
熱可塑性樹脂(A3)としてポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製、商品名:カリバー300−22、Mw=42,000、屈折率=1.585)を用意した。
熱可塑性樹脂(A4)としてメタクリル樹脂(クラレ社製、商品名:パラペット(登録商標)HR−1000S)を用意した。
熱可塑性樹脂(A1)51.8質量%、耐衝撃性改良剤(B1)30.0質量%および熱可塑性樹脂(A4)18.2質量%をタンブラーにて乾式混合した。
得られた混合物を、二軸押出機((株)テクノベル製、商品名:KZW20TW−45MG−NH−600;軸径=20mm)で、シリンダ温度200〜250℃、ダイ温度240℃、スクリュ回転数100rpmの条件で、熔融混練し、ストランド状に押出し、ペレタイザでカットして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
表3に示す配合比率に変えた以外は実施例10と同じ手法で熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
表4に示す配合比率に変えた以外は実施例10と同じ手法で熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表4に示す。
熱可塑性樹脂(A1)52.5質量%、耐衝撃性改良剤(B10)30.0質量%および熱可塑性樹脂(A4)17.5質量%をタンブラーにて乾式混合した。
得られた混合物を、二軸押出機((株)テクノベル製、商品名:KZW20TW−45MG−NH−600)で、シリンダ温度200〜250℃、ダイ温度240℃、スクリュ回転数100rpmの条件で、混練し、ストランド状に押出し、ペレタイザでカットして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表4に示す。
表4に示す配合比率に変えた以外は実施例16と同じ手法で熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表4に示す。
Claims (20)
- センターコアおよびセンターコアを囲むインナーシェルを有するコア粒子、ならびにコア粒子を囲むアウターシェルを有するコアシェル架橋ゴム粒子を含有して成り、
センターコアおよびインナーシェルを構成する重合体の少なくとも一つが架橋ゴム重合体であり、
センターコアを構成する重合体の質量に対するセンターコアを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比またはインナーシェルを構成する重合体の質量に対するインナーシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比のいずれかがアウターシェルを構成する重合体の質量に対するアウターシェルを構成する重合体に含有する硫黄成分の質量の比よりも多く、
コア粒子の平均粒子径Dが150nm以上300nm以下であり、
センターコアを構成する重合体の屈折率ndCCとインナーシェルを構成する重合体の屈折率ndISが0nm≦|ndCC−ndIS|×D≦9nmの関係を満たし、且つ
コアシェル架橋ゴム粒子の屈折率ndが1.50〜1.55である耐衝撃性改良剤。 - 架橋ゴム重合体がアクリル酸エステルまたは共役ジエンに由来する構造単位を含有する重合体(i)であり、
センターコアおよびインナーシェルを構成する架橋ゴム重合体以外の重合体がメタクリル酸エステルに由来する構造単位を含有する重合体(ii)であり、且つ
アウターシェルを構成する重合体がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を含有する重合体(iii)である、請求項1に記載の耐衝撃性改良剤。 - 架橋ゴム重合体がアクリル酸エステルに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体(i)であり、
センターコアおよびインナーシェルを構成する架橋ゴム重合体以外の重合体が芳香族ビニルに由来する構造単位とメタクリル酸メチルに由来する構造単位とを合計で50質量%以上含有する重合体(ii)であり、且つ
アウターシェルを構成する重合体がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体(iii)である、請求項1に記載の耐衝撃性改良剤。 - 重合体(i)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位10質量%未満を含有し、
重合体(ii)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位10質量%以上を含有する、請求項2または3に記載の耐衝撃性改良剤。 - 重合体(i)は、アルキル基の炭素数が4〜12であるアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有量が、重合体(i)の質量に対して50質量%未満である、請求項2〜4のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤。
- 窒素流量10ml/分、昇温速度20℃/分で測定した1.0%加熱減量温度が、310℃以上である、請求項1〜5のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤。
- センターコアを構成する重合体を得るための単量体を乳化重合してシード粒子を得、
シード粒子の存在下にインナーシェルを構成する重合体を得るための単量体をシード乳化重合してコア粒子を得、
コア粒子の存在下にアウターシェルを構成する重合体を得るための単量体をシード乳化重合してコアシェル架橋ゴム粒子を得ることを含む、
請求項1〜6のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤の製造方法。 - 熱可塑性樹脂(A)と請求項1〜6のいずれかひとつに記載の耐衝撃性改良剤(B)とを含有して成る熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)が、>CH−O−C(=O)−基を含む環構造、−C(=O)−O−C(=O)−基を含む環構造、−C(=O)−N−C(=O)−基を含む環構造、および>CH−O−CH<基を含む環構造からなる群から選ばれる少なくとも一つの環構造を主鎖に有する構造単位と、メタクリル酸メチルに由来する構造単位とを含むものであり、
耐衝撃性改良剤(B)に対する熱可塑性樹脂(A)の質量比(A)/(B)が95/5〜10/90である、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 熱可塑性樹脂(A)が、メタクリル酸環式炭化水素エステルに由来する構造単位10〜50質量%、メタクリル酸環式炭化水素エステル以外のメタクリル酸エステルに由来する構造単位50〜90質量%、およびアクリル酸エステルに由来する構造単位0〜20質量%を含むものである、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 炭素数6以上の環式炭化水素基が、イソボルナン−2−イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、または置換基を有していてもよいシクロヘキシル基である、請求項11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)が、ポリカーボネート樹脂を、熱可塑性樹脂(A)に対して2〜50質量%で含有するものである、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項8〜13のいずれかひとつに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項8〜13のいずれかひとつに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
- 厚さが10〜50μmである、請求項15に記載のフィルム。
- 請求項15または16に記載のフィルムからなる偏光子保護フィルム。
- 請求項15または16に記載のフィルムからなる位相差フィルム。
- 請求項15または16に記載のフィルムと有機発光ダイオードとを有する照明若しくは表示装置。
- 請求項15または16に記載のフィルムと液晶セルとを有する表示装置。
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