JP2018009218A - 塗装鋼材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶、海洋構造物、橋梁、各種プラントなど、海水あるいは飛来海塩粒子に起因した塩分による腐食環境下で使用される鋼構造物用の耐久性に優れた塗装鋼材を提供する。【解決手段】素地鋼材と塗膜との間に濃度を調整したZn、Cl、O、Cを含む物質からなる界面層を形成することによって、塩素イオンや酸素などの腐食性物質の浸透を防止する。【選択図】なし

Description

本発明は、船舶、海洋構造物、橋梁、各種プラントなどの鋼構造物に用いられる塗装鋼材に関するものである。本発明は、特に、海水あるいは飛来海塩粒子に起因した塩分による腐食環境下で使用される耐久性に優れた塗装鋼材に関するものである。
船舶、海洋構造物、橋梁などの海水に曝される構造物の構造用部材として鋼材を使用した場合、鋼材が海水の腐食作用を受け、板厚減少や穴あきなどによって構造物の強度が低下するという問題がある。このような海水による鋼構造物の腐食対策としては、溶射、電気防食、塗装、などの方法があり、状況に応じて実用されている。
溶射により環境遮断性の高い被覆層を鋼材表面に形成したり、犠牲防食性を有する被覆層を形成する方法は防食法として比較的有効である。しかしながら、溶射皮膜に通常内在する気孔や施工時の温度変化で生じるクラックなどが起点となって、防食性が早期に劣化してしまう場合がある。よって、溶射皮膜の損傷状況の検査や損傷部の補修といったメンテナンスを定期的に実施する必要であるが、足場を組む必要がある高所、海中、或いは構造的に入り組んだ部位ではメンテナンスに大きなコストがかかったり、メンテナンスが困難な場合が多い。また、溶射施工時の熱の影響で母材の鋼材の強度や靭性が低下してしまう場合もあり、溶射を効果的・経済的に実用できる構造物は限られている。
電気防食は、直流電源装置より防食電流を流出する外部電源方式と母材の鉄鋼よりイオン化傾向の高い金属(Al,Zn,Mg等)を母材とつなぐ流電陽極方式があり、海水中の防食に実用されている。このような電気防食法は、海水に完全に浸漬される部位では有効であるが、海上気相部のような海水に完全に浸漬されない部位では電気防食が作用せず、母材の鋼材が海上に露出した場合などに海水の飛沫による激しい腐食を受ける。
塗装については、エポキシ樹脂系を中心として、その他にも、塩化ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、およびフッ素樹脂系などの様々な防食塗料が実用されている。環境に応じて最適な塗装系が使用されており、これらを複層化して使用される場合もある。塗装は施工が比較的容易であり、広範囲で実用できる防食技術である。しかしながら、塗膜は、紫外線による経時劣化や、何らかの外的な機械的作用により損傷することがあり、塗膜欠陥部で鋼材の腐食が進展する。よって、塗装も溶射と同様に定期的な検査や補修が必要であり、上述のようにメンテナンスに大きなコストがかかったり、メンテナンスが困難な場合が多く、課題は多い。
さらに近年、鋼材の表面に緻密な錆層を形成する新しい防食技術が検討されている。例えば、特許文献1等のように、鋼板に更に塗装後の耐食性を付与するため、ZnもしくはZnをマトリックスとし,Ni,Fe,Co,Cr,Mn,Ti,Mo,Si,Alの金属または酸化物の一種または二種以上を合金あるいは分散粒子として含有するめっきを施すことが提案されている。この方法では、めっきの犠牲防食作用により耐食性に寄与するが、下地の腐食時においても、Znマトリックス中に存在する成分とNi,Pなどの拡散層成分との相乗効果により、下地鉄の錆安定化、緻密化に効果を示す。
また、特許文献2等のように鋼材の化学成分を調整して、特にFe3O4を微細化し、緻密な錆層を形成することによって、船舶バラストタンクにおける塗装耐食性を向上させる技術が提案されている。このときジンクプライマーの塗布により耐食性に優れた錆形成を促すが、必須ではない。このような材料と表面処理の組合せにより、防食性は向上し、ある程度は補修までの寿命延長や補修軽減が得られる。
特開平07−292436号公報 特開2013−256701号公報
近年では、地球環境保全の観点から、クリーンエネルギーである海洋上での風力発電、波浪発電、潮流・海流発電、温度差発電、太陽光発電などの発電技術開発が進められている。これらの使用環境条件は従来構造物の海浜・海水環境よりもさらに厳しい腐食性を有する可能性も想定され、防食状態の検査や補修などのメンテナンス作業が困難であることが想定される。
以上のような技術により海水腐食環境における防食性・耐食性はある程度は確保できるが、まだ十分とはいえる状態ではなく、更なる性能上が要求されている。特に、防食状態の検査や補修が難しい部位を含む構造物では、安全性の向上やメンテナンス負荷低減などの観点から、防食寿命延長へのニーズは高揚している。
本発明は、上記の問題を解決せんとしてなされたもので、海水腐食環境下、或いは飛来海塩粒子が主因となる腐食環境下における構造物の構造用部材として用いた場合に、塗膜欠陥部からの腐食による塗膜欠陥の進展や鋼材の板厚衰耗が進展し難い塗装鋼材を提供することを課題とするものである。
本発明の塗膜鋼材においては、素地鋼材と塗膜との間に、濃度を調整したZn、Cl、O、Cを含む物質からなる界面層を形成し、素地鋼材の表面粗さを適正化することによって、塩素イオンや酸素などの腐食性物質の浸透を防止する。
本発明の耐食性に優れる塗装鋼材によると、海水や飛来海塩粒子などの腐食作用の影響を受けて腐食する可能性が高い船舶、海洋構造物、橋梁などの腐食が厳しい環境の鋼構造物に用いても、良好な耐食性を発揮することができる。これによって、構造物の長寿命化やメンテナンス負荷の低減を得ることができる。
テストピースの形状と被覆層厚さ測定点(×印)を示す概略上面図。 テストピースの人工欠陥を横断する概略断面図。
本発明者らは、特に、海水腐食環境における塗装鋼材の腐食進展機構を精査し、優れた防食性を得るための方策について研究を行った。その結果、塗膜欠陥部からの鋼材の腐食は、欠陥部から露出した鋼材表面と欠陥部周辺の塗膜下の部位とがマクロセルを形成して、その電気化学反応によって進展することを見出した。
露出した鋼材表面においてはFeが酸化されてFe2+となって2eを発生し、一方、塗膜下の鋼材表面では2eを受け取って空気中の酸素と水分との反応により2OHを発生すると考えられる。従来、露出表面におけるFe酸化を防ぐために、Feよりもイオン化傾向の大きなZn系メッキを施すなどの対策により、Znによる犠牲防食が行われている。しかしながら、海水腐食環境のような厳しい腐食環境ではZn消耗が早いため犠牲防食作用は早期に消失してしまう。
本発明者らは、さらなる研究により、欠陥部周辺の塗膜下における電気化学反応は、塗膜を浸透してくる塩素イオンや酸素などの腐食性物質の浸透量と鋼材の化学成分に大きく影響されることも知見した。
すなわち、塗膜欠陥部周辺の鋼材の腐食防止は、鋼材自体の耐食性の向上に加え、露出表面におけるFe酸化の防止のみならず、塗膜を浸透して鋼材表面に到達する腐食性物質の影響を防止することも重要である。
そこで、本発明者らは、マクロセル形成時の電気化学反応を抑制する観点から、塗膜を浸透して鋼材表面に到達する腐食性物質から鋼材表面を防御することを検討した。その結果、塗膜と素地鋼材との間に、濃度を調整したZn、Cl、O、Cを含む物質からなる界面層を形成し、かつ、素地鋼材の表面粗さを適正化すると、これらの相乗効果によって欠陥部における腐食抑制効果が、従来技術に比べて飛躍的に高まることを見出した。
すなわち、本発明の塗装鋼材は、表面粗さを適正化した素地鋼材と、前記素地鋼材の表面上に形成された界面層と、前記界面層の上層に形成された塗膜の三層で構成され、前記界面層は、濃度を調整したZn、Cl、O、Cを含む物質からなる。
以下に、本発明の塗膜鋼材を構成する各々の要素について詳細に説明する。
<塗膜>
本発明の塗装鋼材に用いる塗料としては、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、塩化ゴム系、アクリル樹脂系、フッ素樹脂系およびウレタン樹脂系などの塗料が適用可能であり、これら複数の塗料を用いて塗膜を多層化することも可能である。
例えば、エポキシ樹脂系塗膜を形成するための塗料としては、ビヒクルとしてエポキシ樹脂を含むものであればどのような塗料を用いても良く、特に限定されない。具体的な塗料としては、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、タールエポキシ樹脂塗料などを例示することができる。
シリコーン樹脂はケイ素樹脂とも呼ばれ、シリコーン樹脂系塗膜を形成するための塗料としては、シロキサン結合(−O−Si−O−)からなる重合体を含有する塗料が適用可能である。セラミック変性シリコン樹脂塗料などでもかまわない。
塩化ゴム系塗膜を形成するための塗料としては、塩素化樹脂を主原料としてなる塗料であればどのような塗料を用いても良く、特に限定されない。具体的な塗料としては、塩化ゴムや塩素化ポロオレフィンなどの塩素化樹脂を主原料としてなる塗料を例示することができる。
また、アクリル樹脂塗膜を形成するための塗料としては、通常のアクリル樹脂塗料、アクリルエマルジョン樹脂塗料、アクリルウレタン系エマルジョン塗料、アクリルシリコーン系エマルジョン塗料、アクリルラッカーなどの塗料を例示することができる。
また、フッ素樹脂塗膜を形成するための塗料としては、テトラフルオロエチレン樹脂塗料、パールフオロアルコキシ樹脂塗料、フッ化エチレンプロピレン樹脂塗料などの塗料を例示することができる。
また、ウレタン樹脂塗膜を形成するための塗料としては、ポリウレタン樹脂塗料、ポリエステルウレタン樹脂塗料、湿気硬化ポリウレタン樹脂塗料、エポキシウレタン塗料、変性エポキシウレタン樹脂塗料などの塗料を例示することができる。
塗膜の厚さは小さすぎすると海水などの腐食性物質の侵入・浸透を十分抑制できなくなるため、十分な防食効果が得られない。また、厚さが大きすぎると、使用環境における温度変化などで塗膜にクラックや剥離が形成されやすくなって、十分な防食効果が得られなくなる場合がある。このような観点から、塗料の種類によっても異なるが、塗膜の厚さは平均厚さで100〜600μmの範囲とすることが推奨される。なお、塗膜のより好ましい厚さの下限は平均で110μmであり、さらに好ましくは120μm以上とするのが良い。また、塗膜のより好ましい厚さの上限は平均厚さで590μmであり、さらに好ましくは580μm以下とするのが良い。
塗装方法は特に制約されるものではないが、所望の塗料をスプレー塗布やはけ塗りなど通常の方法で塗装することにより形成することが可能である。塗膜の厚さを約200〜300μm以下として適用する場合には、塗装は1回塗りでもよい。しかし、塗膜の厚さが約200〜300μmを超える場合には2回塗りが推奨され、厚さが400〜500μmを超える場合は3回塗りが推奨される。
<界面層>
本発明の塗装鋼材では、素地鋼材と塗膜との間に、平均厚さ10〜200μmの界面層を形成する。当該界面層は、Zn、Cl、OおよびCを含む物質からなり、前記物質中のZn濃度が30〜75質量%、Cl濃度が0.5〜50質量%、O濃度が0.5〜35質量%、C濃度が0.5〜5質量%である。界面層の物質中のZn、Cl、Oの濃度をそれぞれ[%Zn]、[%Cl]、[%O]として、[%Zn]と[%Cl]+[%O]との比率に最適なバランスがある。A=[%Zn]/([%Cl]+[%O])とした場合に、Aが1.0〜5.0を満足させることにより界面層の腐食抑制効果はより大きくなる。
Zn濃度の好ましい下限値は31質量%であり、32質量%以上がより好ましい。Zn濃度の好ましい上限値は74質量%であり、73質量%以下がより好ましい。Cl濃度の好ましい下限値は1質量%であり、1.5質量%以上がより好ましい。Cl濃度の好ましい上限値は49質量%であり、48質量%以下がより好ましい。O濃度の好ましい下限値は1質量%であり、1.5質量%以上がより好ましい。O濃度の好ましい上限値は34質量%であり、33質量%以下がより好ましい。C濃度の好ましい下限値は0.55質量%であり、0.6質量%以上がより好ましい。C濃度の好ましい上限値は4.8質量%であり、4.8質量%以下がより好ましい。
残部においては、本願発明の効果を阻害する有害元素1%以下に抑える必要がある。有害元素としては、Feよりもイオン化傾向の小さいCd, Co, Ni, Sn, Pb, Cu, H, Ag, Pt, Auなどが挙げられる。
一方、本願発明の効果を阻害しない元素については、残部に含んでも良い。本願発明の効果を阻害しない元素としては、Feよりもイオン化傾向の大きいLi, Rb, K, Ba, Ca, Na, Mg, Al, Mn, Ta, Crなどが挙げられる。
本発明の界面層を形成することにより、塩化物イオンや酸素などの腐食性物質に対する保護性が得られ、塗膜下での腐食反応を大きく抑制することができる。
界面層において、塩化物イオンや酸素などの腐食性物質は予め他の成分とともに成分比が適切に調整されているため、鋼材表面を腐食することなく、さらに、その後欠陥部から浸透してきた塩化物イオンや酸素などの腐食作用を阻害すると考えられる。
界面層の厚さが小さすぎると、腐食性物質の侵入を十分抑制できなくなるため、十分な防食効果が得られない。また、厚さが大きすぎると、使用環境における温度変化などで界面層にクラックや剥離が形成されやすくなって、十分な防食効果が得られなくなる場合がある。このような観点から、界面層の厚さは平均厚さで10〜200μmの範囲とすることが必要である。なお、塗膜のより好ましい厚さの下限は平均で11μmであり、さらに好ましくは12μm以上とするのが良い。また、塗膜のより好ましい厚さの上限は平均厚さで195μmであり、さらに好ましくは190μm以下とするのが良い。
界面層の形成方法は、特に制約されるものではないが、塩化亜鉛および炭酸亜鉛を含有する粉末を適宜混合し、適切な溶媒に分散させたものを塗布液として鋼材表面に塗布および乾燥させる方法が例示できる。この場合、用いる溶媒としてはアルキルシリケートやエタノールなどが例示できる。また、塗布方法としては、スプレー塗布やはけ塗りなど通常の塗装方法が例示できる。
塩化亜鉛および炭酸亜鉛を含有する粉末の平均粒子径は、鋼材の表面粗さとの関係や、緻密な層を形成する観点から、適宜決定することができる。
界面層の形成前には被塗装材となる素地鋼材の表面を適度に洗浄することが推奨され、例えば、洗浄することで鋼材表面の付着塩分濃度を、NaCl換算で50mg/m以下、好ましくは10mg/m以下とすることが推奨される。
<鋼材>
鋼材の化学成分を適正化することによりさらに優れた防食効果を得ることができる。上述の界面層と鋼材の化学成分との相乗効果により、より一層優れた耐食性が得られるものである。また、ある程度の機械特性や溶接性が要求される構造材料として適用する場合にも、C、Si、Mnなど鋼材の基本的な成分を適切に調整することが好ましい。以下に本発明鋼材の成分範囲の限定理由などについて説明する。
C:0.01〜0.50%
Cは、鋼材の強度確保のために必要な基本的添加元素である。鋼材として通常要求される強度特性を得るためには、少なくとも0.01%以上は含有させることが好ましい。しかし、Cを過剰に含有させると、腐食環境においてカソードサイトとして作用するセメンタイトの生成量が多くなって、腐食反応を促進して耐食性が劣化する。また、靭性も併せて劣化する。このようなCの過剰添加による悪影響を発生させないためには、Cの含有量は多くても0.30%に抑えることが好ましい。よって、Cの含有量の範囲は0.01〜0.50%とすることが好ましい。なお、Cの含有量の好ましい下限は0.02%であり、より好ましくは0.03%以上とするのが良い。また、Cの含有量の好ましい上限は0.49%であり、より好ましくは0.48%以下とするのが良い。
Si:0.05〜3.0%
Siは、0.05%以上含有させることにより、脱酸と強度向上に有効な元素である。しかし、3.0%を超えて過剰に含有させると溶接性が劣化する。なお、Siの含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましくは0.07%以上とするのが良い。また、Siの含有量の好ましい上限は2.95%であり、より好ましくは2.90%以下とするのが良い。
Mn:0.05〜3.0%
MnもSiと同様に、0.05%以上含有させることにより、脱酸と強度向上に有効な元素である。しかし、3.0%を超えて過剰に含有させると靱性が劣化する。なお、Mnの含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましくは0.07%以上とするのが良い。また、Mnの含有量の好ましい上限は2.9%であり、より好ましくは2.8%以下とするのが良い。
Al:0.01〜1.5%
Alは0.01%以上含有させることにより、海水腐食環境において安定な酸化物を形成して耐食性向上に寄与する元素である。また、Alも前記したSi、Mnと同様に脱酸および強度確保のために有効な元素である。しかし、1.5%を超えて含有させると溶接性を害するため、Alは1.5%以下とすることが好ましい。なお、Alの含有量の好ましい下限は0.012%であり、より好ましくは0.014%以上とするのが良い。また、Alの含有量の好ましい上限は1.45%であり、より好ましくは1.4%以下とするのが良い。
Cu:0.05〜3.0%
Cuは鋼材表面に緻密な錆皮膜を形成する作用を有しており、0.05%以上添加することにより更なる耐食性向上が得られる元素である。しかし、過剰に含有させると溶接性や熱間加工性を劣化させるので、Cuの含有量は3.0%以下とすることが好ましい。Cuの含有量の好ましい下限は0.08%であり、より好ましい下限は0.10%である。また、Cuの含有量の好ましい上限は2.95%であり、より好ましい上限は2.90%である。
Cr:0.05〜5.0%
CrはCuと同様に鋼材表面に緻密な錆皮膜を形成する作用を有しており、0.05%添加することにより耐食性の更なる向上が得られる元素である。しかし、過剰に含有させると溶接性や熱間加工性を劣化させるので、Crの含有量は5.0%以下とすることが好ましい。Crの含有量の好ましい下限は0.08%であり、より好ましい下限は0.10%である。また、Crの含有量の好ましい上限は4.9%であり、より好ましい上限は4.8%である。
N:0.001〜0.015%
Nは鋼中において窒化物の微細分散粒子を形成するため、鋼材の強度確保に有効な元素である。Nのこのような効果を得るためには、0.001%以上添加すればよい。しかし、過剰に添加すると、鋼材の靭性に悪影響を及ぼすことに加えて、溶接性も害する。よってNの上限は0.015%とすることが好ましい。なお、Nのより好ましい下限は0.0015%以上添加することが、0.002%以上がさらに好ましい。またN添加量はより好ましくは0.014%以下であり、0.013%以下がさらに好ましい。
以上が、本発明の鋼材の必須添加元素の成分範囲の限定理由であり、残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O、H等を挙げることができ、これらの元素は鋼材の諸特性を害さない程度で含有していても構わない。但し、これら不可避的不純物の合計含有量は、0.1%以下、好ましくは0.09%以下に抑えることによって、本発明による耐食性発現効果を極大化することができる。
また、本発明の鋼材に、以下に示す元素を含有すれば更に有効である。これら元素を含有させる場合の成分範囲の限定理由について次に説明する。
P :0.05%以下
Pは、過剰に含有させると靭性や溶接性を劣化させる元素であり、Pの上限は0.05%とすることが好ましい。Pの含有量のより好ましい上限は0.045%であり、更に好ましくは0.04%以下とするのが良い。実質的に0%であってもよい。
S :0.05%以下
Sは含有量が多くなると靭性や溶接性を劣化させる元素であり、また、耐食性も劣化させる。このような観点から、Sの上限は0.05%とすることが好ましい。Sの含有量のより好ましい上限は0.045%であり、更に好ましくは0.04%以下とするのが良い。実質的に0%であってもよい。
Ni:0.01〜5.0%、Co:0.01〜5.0%、Mo:0.01〜2.5%、W:0.01〜2.5%、の少なくとも1種
Ni、Co、MoおよびWは鉄の溶解反応の活性度を低下させる作用を有しており、必要に応じて添加することにより耐食性の向上効果が得られる元素である。また、適量のNi、Co、Mo、Wは、鋼材の強度特性を向上させるにも有効である。こうした効果を発揮させるためには、夫々0.01%以上含有させることが好ましい。しかしながら、これら元素の添加量が過剰になると溶接性や熱間加工性を劣化させるので、Ni、Coを含有させる場合はそれぞれ5.0%以下とし、Mo、Wを含有させる場合はそれぞれ2.5%以下とすることが好ましい。Ni、Co、Mo、Wを含有させるときのより好ましい下限はそれぞれ0.02%であり、0.03%以上とすることが更に好ましい。Ni、Coを含有させるときのより好ましい上限はそれぞれ4.9%であり、4.8%以下とすることが更に好ましい。MoとWについては、より好ましい上限は2.4%であり、2.3%以下とすることが更に好ましい。
Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、の少なくとも1種
Mg、Caは、使用環境において鋼材の表面近傍のpH低下を抑制する作用を有しており、必要に応じて添加することにより耐食性の向上効果が得られる元素である。こうした作用を有効に発揮させるためには、夫々0.0005%以上含有させることが好ましい。しかしながら、これら元素の含有量が過剰になると溶接性や熱間加工性を劣化させるので、これら元素を含有させる場合は0.01%以下とすることが好ましい。Mg、Caを含有させるときのより好ましい下限は夫々0.0006%であり、更に好ましい下限は夫々0.0007%である。一方、Mg、Caを含有させるときのより好ましい上限は夫々0.0095%であり、更に好ましい上限は夫々0.009%である。
Sn:0.0005〜0.1%、Sb:0.0005〜0.1%、Se:0.0005〜0.1%、Ga:0.0005〜0.1質量%、の少なくとも1種
Sn、Sb、Se、Gaは、鋼材表面の水素過電圧を増加させてカソード反応を抑制する作用を有しており、必要に応じて添加することにより耐食性の向上効果が得られる元素である。こうした作用を有効に発揮させるためには、Sn、Sb、Se、Gaを夫々0.0005%以上含有させることが好ましい。しかしながら、これら元素の含有量が過剰になると溶接性や熱間加工性を劣化させるので、これら元素を含有させる場合は0.1%以下とすることが好ましい。Sn、Sb、Se、Gaを含有させるときのより好ましい下限は夫々0.0008%であり、更に好ましい下限は夫々0.0010%である。一方、Sn、Sb、Se、Gaを含有させるときのより好ましい上限は夫々0.09%であり、更に好ましい上限は夫々0.08%である。
なお、Ti、Nb、Zr、VおよびBなどの強度向上に有効な元素も必要に応じて添加することができる。例えば、Ti、Nb、Zr、Vはそれぞれ0.001%以上、Bは0.0001%以上含有させることにより強度向上効果が発現される。しかし、これら元素を過剰に含有させると母材靭性や溶接性が劣化するため、これら元素を含有させる場合は、添加量には制限がある。Ti、Nb、Zr、Vを含有させるときはそれぞれ0.2%以下、Bを含有させるときは0.01%以下、とする。また、Ti、Nb、Zr、また、V、Zr,Znを含有させるときのより好ましい上限は0.19%であり、更に好ましい上限は0.18%である。Bを含有させるときのより好ましい上限は0.0095%であり、更に好ましい上限は0.009%である。
<鋼材の製造方法>
本発明に用いる鋼材は、転炉製鋼法や電気炉製鋼法などに代表される通常の製造方法で製造した鋼材を用いることが可能である。例えば、以下に説明する方法により製造することが可能である。まず、転炉または電気炉から取鍋に出鋼した溶鋼に対して、RH真空脱ガス装置を用いて、本発明で規定する成分組成に調整すると共に、温度調整をすることで二次精錬を行う。その後、連続鋳造法、造塊法等の通常の鋳造方法で鋼塊とすれば良い。なお、構造用部材として鋼材に必要な基本特性(機械的特性や溶接性)を確保するために、脱酸形式としてはキルド鋼を用いることが好ましく、より好ましくはAlキルド鋼を用いることが推奨される。
本発明の塗装鋼材の形態としては、例えば鋼板、鋼管、棒鋼、線材、形鋼等のものが挙げられる。また、用途としては、例えば、タンカー、コンテナ船、バルカーなどの貨物船、貨客船、客船、軍艦等の船舶におけるバラストタンクの構造部材として用いることが挙げられその他、上甲板、船橋、ハッチカバー、クレーン、各種配管、階段、手すりなど様々な上部鋼構造物に用いることも挙げられる。また、海洋構造物であれば、海洋上で石油や天然ガスを掘削する構造物、海洋で石油・ガスの生産・貯蔵・積出などを行う浮体式設備などを初めとして、海洋での風力発電、波浪発電、潮流・海流発電、温度差発電、太陽光発電などの発電関連設備が挙げられる。また、橋梁分野では、飛来塩分量が概ね0.1mddを超える高飛来塩分環境における橋梁用鋼材が例示できる。
<素地鋼材の表面処理>
本発明の防食効果を得るためには、界面層の素地鋼材表面に対する付着強度を十分確保する必要があり、本発明を適用する鋼材は表面粗さを調整することが必要である。鋼材の表面粗さが小さすぎると、十分な付着強度が得られない。しかし、表面粗さが粗過ぎると、鋼材の凹部に気泡が入って界面層と鋼材とが密着しない部分が生じてしまい、逆に付着強度が低下することが懸念される。このような観点から、鋼材の表面は適度な表面粗さにしておくことが必要であり、JIS B 0601:2001に規定される十点平均粗さRzjisが、10μmから80μmとなるようにすることが必要である。なお、鋼材の表面粗さの好ましい下限は同十点平均粗さで12μmであり、さらに好ましくは15μm以上とするのが良い。また、鋼材の表面粗さの好ましい上限は同十点平均厚さで75μmであり、さらに好ましくは70μm以下とするのが良い。
鋼材の表面粗さは、例えば、通常のショットブラスト処理やグリッドブラスト処理などを適用し、用いる研削材の種類やサイズ分布などを適宜変更することにより、調整することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の塗装鋼材をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含されるものである。
[テストピースの作製]
表1および2に示す種々の成分組成の鋼材を真空溶解炉により溶製し、50kgの鋼塊とした。得られた鋼塊の各々を1150℃に加熱した後、熱間圧延を行って、板厚10mmの鋼板(S1〜S41)とした。各鋼板より大きさ150×70×5(mm)の鋼片10を切り出した。すべての鋼片10の試験面1面(150mm×70mmの面)にはグリッドブラスト処理を施した。このとき用いる研削材の種類やサイズ分布などを適宜変更することにより表面粗さを調整した。
鋼材の表面粗さは、JIS B 0601:2001に規定される十点平均粗さRzjisで測定する。
Figure 2018009218
Figure 2018009218
鋼片10を水洗およびアセトン洗浄をして乾燥させた後、界面層11および塗膜12を鋼片10の試験面1面に形成して、表3および4に示すNo.1〜54のテストピース1を得た。
界面層11は、純亜鉛の金属粉末、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化ナトリウムの特級試薬の適量をアルキルシリケートに添加して、ホモジナイザーを用いて混合して得られた分散液を塗布液として、鋼片10に塗布し、乾燥させて形成させた。塗膜12は市販の各種塗料をスプレー塗布して形成した。塗膜および界面層の膜厚は図1において×印で示される6点の膜厚を電磁膜厚計で測定したときの平均値である。
すべてのテストピースの試験面には、図1に示す長さ80mm、幅3mmの大きさで鋼材表面を露出させて人工欠陥13を形成した。なお、すべてのテストピースは、図1に示すように試験面の端から5mm(1辺のみ15mm)および試験面以外の面をテフロンテープ14で被覆して下記の腐食試験に供試した。
[腐食試験方法]
海水に完全に浸漬されず電気防食が作用しない部位のような、海水による腐食環境下を模擬する腐食試験として、人工海水を用いた複合サイクル腐食試験(CCT)を実施した。サイクル条件は、(i)35℃の人工海水噴霧、1.5時間;(ii)温度60℃、相対湿度20%RH、2.5時間;および(iii)温度50℃、相対湿度95%RH、2.5時間、の繰り返しとした。なお、各過程間の温度および湿度を変化させて安定するまでの移行時間は0.5時間である。試験期間は100日間とした。
[複合サイクル腐食試験結果]
100日間のCCTの後、各テストピースの人工欠陥部の膨れ面積および腐食深さを測定した。まず、CCT終了後に各テストピースの外観写真を撮影し、人工欠陥部からの鋼材腐食によって塗膜および界面層の表面層が隆起している部分の面積を膨れ面積として外観写真の画像解析により求めた。なお、同膨れ面積には元の人工欠陥部を含める。
また、上記の外観写真撮影後にテストピースの塗膜および界面層を市販の脱膜財剤を用いて除去し、その後、インヒビターを添加した塩酸への浸漬により腐食生成物を除去し、水洗およびアセトン洗浄を行った。その後、各テストピースについて腐食深さの最大値を求めた。
複合サイクル腐食試験(CCT)で求めた膨れ面積および最大腐食深さは表3および4に示す通りである。それぞれの膨れ面積および最大腐食深さは、テストピースNo.1の膨れ面積および最大腐食深さをそれぞれ100としたときの相対値で示している。
耐食性の評価においては、下記基準によってA〜Eに区分した。膨れ面積および最大腐食深さの評価基準は、それぞれ以下の通りである。
A:テストピースNo.1に対する相対値が55未満
B:テストピースNo.1に対する相対値が55以上、70未満
C:テストピースNo.1に対する相対値が70以上、85未満
D:テストピースNo.1に対する相対値が85以上、100未満
E:テストピースNo.1に対する相対値が100以上
総合評価では、以上の膨れ面積および最大腐食深さの評価から下記の基準に従ってA〜Gでランク付けを行い、E以上を合格とした。
A:膨れ面積及び最大腐食深さの評価がいずれもA
B:膨れ面積及び最大腐食深さの評価の一方がAで他方がB
C:膨れ面積及び最大腐食深さの評価がいずれもB
D:膨れ面積及び最大腐食深さの評価の一方がCで他方がB以上
E:膨れ面積及び最大腐食深さの評価がいずれもC
F:膨れ面積及び最大腐食深さの評価のいずれか一方がD、他方がD以上
G:膨れ面積及び最大腐食深さの評価がいずれか一方がE
H:膨れ面積及び最大腐食深さの評価がいずれもE
Figure 2018009218
Figure 2018009218
以上の結果から、本発明の構成を満たす塗装鋼材は耐食性に優れていることが明らかである。したがって、本発明の塗装鋼材は、海水や飛来海塩粒子に曝される構造物に用いた場合に従来の塗装鋼材などに比べて長寿命であり、メンテナンス負荷低減ができると判断される。
1 テストピース
10 鋼片
11 界面層
12 塗膜
13 人工欠陥
14 被覆用テフロンテープ

Claims (8)

  1. 素地鋼材と、前記素地鋼材の表面上に形成された界面層と、前記界面層の上層に形成された塗膜を備える塗装鋼材であって、
    前記素地鋼材の表面粗さが十点平均粗さで10〜80μmであり;
    前記界面層は、Zn、Cl、OおよびCを含む物質からなり、前記物質中のZn濃度が30〜75質量%、Cl濃度が0.5〜50質量%、O濃度が0.5〜35質量%、C濃度が0.5〜5質量%であり;
    前記界面層の平均厚さが10〜200μmである
    ことを特徴とする塗装鋼材。
  2. 前記物質中のZn、Cl、Oの濃度をそれぞれ[%Zn]、[%Cl]、[%O]として、A=[%Zn]/([%Cl]+[%O])とした場合に、Aが1.0〜5.0を満足する請求項1に記載の塗装鋼材。
  3. 上記素地鋼材が、
    C :0.01〜0.50質量%、
    Si:0.05〜3.0質量%、
    Mn:0.05〜3.0質量%、
    P :0.05質量%以下、
    S :0.05質量%以下、
    Al:0.01〜1.5質量%、
    Cu:0.05〜3.0質量%、
    Cr:0.05〜5.0質量%、
    N :0.001〜0.015質量%、および
    残部:Fe及び不可避的不純物
    である組成を有する請求項1または請求項2に記載の塗装鋼材。
  4. 上記素地鋼材が、
    Ni:0.01〜5.0質量%、
    Co:0.01〜5.0質量%
    Mo:0.01〜2.5質量%、および
    W :0.01〜2.5質量%
    のうち少なくとも1種をさらに含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗装鋼材。
  5. 上記素地鋼材が、
    Mg:0.0005〜0.01質量%、および
    Ca:0.0005〜0.01質量%、
    のうち少なくとも1種をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の塗装鋼材。
  6. 上記素地鋼材が、
    Sn:0.0005〜0.1質量%、
    Sb:0.0005〜0.1質量%、
    Se:0.0005〜0.1質量%、および
    Ga:0.0005〜0.1質量%
    のうち少なくとも1種をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の塗装鋼材。
  7. 上記素地鋼材が、
    Ti:0.2質量%以下、
    Nb:0.2質量%以下、
    Zr:0.2質量%以下、
    V :0.2質量%以下、および
    B :0.01質量%以下
    のうち少なくとも1種をさらに含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の塗装鋼材。
  8. 請求項1に記載の塗装鋼材の製造方法であって、
    塩化亜鉛および炭酸亜鉛を含有する粉末が溶媒に分散した分散液を素地鋼材の表面に塗布および乾燥して、塩化亜鉛および炭酸亜鉛を含有する界面層を前記鋼材の表面上に形成する工程;および
    前記界面層の上層に塗料を塗布して塗膜を形成する工程
    を含み、
    前記素地鋼材の表面粗さが十点平均粗さで10〜80μmであり;
    前記界面層は、Zn、Cl、OおよびCを含む物質であって、前記物質中のZn濃度が30〜75質量%、Cl濃度が0.5〜50質量%、O濃度が0.5〜35質量%、C濃度が0.5〜5質量%であり;
    前記界面層の平均厚さは10〜200μmである
    ことを特徴とする、塗装鋼材の製造方法。
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