JP2018004901A - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制される定着部材の提供。【解決手段】管状の基材10Aと、基材10A上に設けられた金属層10Bと、金属層10B接して設けられた接着剤層10Cと、接着剤層10Cに接して設けられた弾性層10Dと、弾性層10D上に設けられた離型層10Eと、を有し、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に、弾性層10D及び離型層10Eを90°の角度で剥離する90°剥離試験を行ったとき、基材10A側の剥離面のうち、弾性層10Dの一部が付着した領域の面積が80%以上である画像形成装置用の定着部材10。【選択図】図1

Description

本発明は、定着部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、熱定着用シリコーンゴム被覆ロールに用いられる熱伝導性付加硬化型液状シリコーンゴム組成物として、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有し特定の粘度を有する液状ジオルガノポリシロキサン、特定の平均粒子径を有するアルミナ微粉末、特定の平均粒子径を有する酸化鉄微粉末、酸化セリウム微粉末、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、および白金系触媒を特定の比率で含有し、かつ、硬化後の熱伝導率が特定の範囲である熱伝導性付加硬化型液状シリコーンゴム組成物が開示されている。
特開2004−331962号公報
管状の基材、金属層、及び弾性層をこの順に設けた定着部材を用いた定着装置において、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返すと、金属層と弾性層との間に剥離が生じることがあった。
本発明は、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%未満である場合に比べ、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制される定着部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、管状の基材と、
管状の基材と、前記基材上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層上に接して設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた離型層と、を有し、
160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に、前記弾性層及び前記離型層を90°の角度で剥離する90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち、前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%以上である画像形成装置用の定着部材。
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の定着部材と、
前記定着部材の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記定着部材と共に挟み込む加圧部材と、
前記記録媒体上の未定着のトナー像を加熱する加熱手段と、
を有する定着装置。
請求項3に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項2に記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%未満である場合に比べ、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制される定着部材が提供される。
請求項2又は3に係る発明によれば、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%未満である定着部材を適用した場合に比べ、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離に起因する定着不良を抑制した定着装置又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る定着部材の一例における層構成を示す概略断面図である。 本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<定着部材>
本実施形態に係る画像形成装置用の定着部材は、管状の基材と、前記基材上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層上に接して設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた離型層と、を有する。
そして、本実施形態に係る定着部材は、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に、前記弾性層及び前記離型層を90°の角度で剥離する90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち、前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%以上である。
以下、弾性層が残存した領域を「残存領域」、弾性層が残存していない領域を「非残存領域」ともいう。
また、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったときの基材側の剥離面全体に対する残存領域の面積の割合(%)を「飽和水蒸気後面積率」という場合がある。
ここで、飽和水蒸気後面積率の測定は、定着部材を基材の軸方向に垂直な方向(幅方向)の長さが20mmとなるように切断して得られる管状の試験片を用いて行う。
また、上記90°剥離試験は、JIS−K−6854−1に準じて、温度20〜30℃湿度30〜60%の雰囲気下で、引張速度20mm/min、剥離角度90°の条件で行う。
上記90°剥離試験後に基材側の剥離面を観察し、剥離面に対する残存領域の面積の割合(飽和水蒸気後面積率)を求める。
なお、上記面積率は、例えば以下のようにして求める。具体的には、例えば、剥離面をスキャナーによりスキャニングし、2倍で観察した画像を得る。得られた画像のうち、20mm×20mmの領域において、残存領域の面積と非残存領域(例えば、金属層が露出した領域、接着剤層が露出した領域等)の面積とを測定する。そして、残存領域の面積と非残存領域の面積の合計に対する残存領域の面積の割合(%)を求め、面積率とする。
本実施形態に係る定着部材は、上記構成であることにより、飽和水蒸気後面積率が80%未満である場合の比べ、高温高湿環境下(例えば、温度:170℃、湿度:90%の環境下)で定着部材の外周面を加圧(例えば、0.4MPaの圧力で加圧)して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制される。
具体的には、定着装置の内部は、湿気を含む記録媒体が通過し、加熱及び加圧されることで水蒸気が発生し、高湿環境な状態となりやすい。さらに、例えば省エネルギー化に対応した低熱容量の定着部材では、定着動作後急速冷却されてしまい、部材自身の熱容量による加熱で高湿環境化した定着装置内の水分を揮発除去させることが難しく、高湿環境が維持されてしまう場合がある。その場合は、高温高湿状態のまま次の定着動作が行われることとなる。しかしながら、本実施形態に係る定着部材は、上記のように高温高湿環境下で外周面を加圧して定着動作を繰り返しても、金属層と弾性層との間の剥離が抑制される。
飽和水蒸気後面積率が前記範囲である定着部材としては、例えば、接着剤層がSiH構造を有するシロキサンオリゴマーとテトラアルコキシシランとを含む組成物の硬化物であり、かつ、弾性層がシリコーンゴムを含有する形態が挙げられる。以下、SiH構造を有するシロキサンオリゴマーを「SiH含有シロキサンオリゴマー」ともいう。
上記接着剤層と弾性層との組み合わせとすることで、飽和水蒸気後面積率が前記範囲である定着部材が得られやすくなる理由は定かではないが、以下のように推測される。
例えば、接着剤層がシラン化合物としてテトラアルコキシシランのみを含む組成物の硬化物であり、かつ、弾性層がシリコーンゴムを含有する定着部材では、水素結合及び分子間力の少なくとも一方によって、接着剤層と弾性層とが接着していると考えられる。ここで、上記水素結合としては、例えば、テトラアルコキシシランの加水分解によって形成された水酸基と弾性層に含まれるシリコーンゴムのビニル基、シロキサン構造(例えばSiH構造)等との水素結合が挙げられる。上記水素結合は、ビニル基及びSiH構造が少ないシリコーンゴムを用いた場合に弾性層の剥離が起こりやすいことから、ビニル基及びシロキサン構造の少なくとも一方によるものであると推測される。
ここで、定着部材を160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下に48時間放置すると、例えば、水分子が接着剤層と弾性層との界面に入り込むことが考えられる。そして、接着剤層と弾性層との結合が水素結合や分子間力であると、接着剤層の水酸基と水分子の水素原子とが水素結合を形成することで、水素結合や分子間力が切断され、接着剤層と弾性層との界面における接着力が弱まると考えられる。このように、接着剤層と弾性層との界面における接着力が弱まった定着部材では、前記90°剥離試験において接着剤層と弾性層との界面で剥離が起こりやすく、上記飽和水蒸気後面積率が低下する。
一方、接着剤層がSiH含有シロキサンオリゴマーとテトラアルコキシシランとを含む組成物の硬化物であり、かつ、弾性層がシリコーンゴムを含有する定着部材では、接着剤層がSiH含有シロキサンオリゴマーに由来するSiH構造を有する。SiH構造におけるSi原子に直接結合する水素原子は、弾性層に含まれるシリコーンゴムの炭素−炭素二重結合(例えばビニル基等)に付加反応することで、共有結合を形成する。そして、接着剤層と弾性層との界面において共有結合が形成されることで、接着力が向上し、水分子が接着剤層と弾性層との界面に入り込んでも、接着剤層と弾性層との界面における接着力が低下しにくくなると考えられる。そして、接着剤層と弾性層との界面における接着力が高い定着部材では、前記90°剥離試験において接着剤層と弾性層との界面における剥離よりも、弾性層の凝集破壊の方が起こりやすいため、飽和水蒸気後面積率が前記範囲となりやすい。
また、接着剤層が、SiH含有シロキサンオリゴマーだけでなくテトラアルコキシシランも含む組成物の硬化物であることにより、テトラアルコキシシランが加水分解及び脱水縮合した後に金属層表面の水酸基と縮合し、金属層の表面と接着するという利点がある。すなわち、接着剤層と金属層とが界面における接着の観点から、組成物がテトラアルコキシシランを含むことが好ましい。また、組成物がテトラアルコキシシランを含むことにより、SiH含有シロキサンオリゴマーのSiH基と、加水分解したテトラアルコキシシランの水酸基と、が水素を生じる反応により結合すると考えられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置用の定着部材の一例として、無端ベルトの構成を、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置用の無端ベルトの一例を示す概略構成図である。
図1に示すベルト10は、管状の基材10Aの外周面上に、金属層10Bと、接着剤層10Cと、弾性層10Dと、離型層10Eと、が順に積層された層構成を有する無端ベルトである。なお、金属層10Bは、下地金属層102、電磁誘導作用により自己発熱する電磁誘導金属層104、及び金属保護層106がこの順に積層されてなる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置用の無端ベルトを構成する各層についてより詳細に説明する。
なお、以下においては図1に示す構成のベルト10を例にして説明するが、本実施形態はこの構造に限定されるものではない。例えば、図1には金属層10Bとして、下地金属層102、電磁誘導金属層104、金属保護層106がこの順に積層されてなる構造を示すが、積層される金属層の数が異なっていてもよい。具体的には、単層の金属層からなり、電磁誘導作用により自己発熱する金属層であってもよい。
また、図1には、接着剤層10Cが金属層10Bに直接接触して設けられている構造を示すが、金属層10Bと接着剤層10Cとの間に他の層を有していてもよい。
なお、以下において、各層の符号は省略して説明する場合がある。
[基材10A]
基材10Aは、金属層10Bが発熱した状態でも物性の変化が少なく、高強度を維持する層であることがよい。このため、基材10Aは、主として耐熱性樹脂から構成されることが好ましい(本明細書において、「主として」、「主成分」とは、質量比で50%以上であることを意味し、以下も同義である)。
耐熱性樹脂から主に構成される基材10Aの場合、ベルトの内周面と接触する押圧部材との摺動性が確保され、押圧部材の寿命が延長される。更に、耐熱性樹脂には断熱効果があるため、金属層10Bからの熱を押圧部材へ逃がすことなく、効率よく外周表面側に伝熱し得る。
基材10Aを構成しうる耐熱性樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱かつ高強度の樹脂等が挙げられるが、これら以外にも、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。これらの中でも、ポリイミドが好ましい。
また、耐熱性樹脂中に断熱効果のある充填材を加えたり、耐熱性樹脂を発泡させたりすることにより、断熱効果を更に向上させてもよい。
基材10Aの厚さは、ベルトの長期に渡る繰り返しの周動搬送を実現する剛性と柔軟性とを両立させる観点から、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、30μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。
また、金属層10Bの亀裂の発生を抑制する観点から、基材10Aの引張り強度は200MPa以上(より好ましくは250MPa以上)を満たすことが好ましい。基材の引張り強度は、樹脂の種類、充填材の種類及び添加量によって調整される。
なお、基材の引張り強度(MPa)は、基材を幅5mmの短冊形状に切り出し、これを引張試験機Model 1605N(アイコーエンジニアリング社製)に設置し、10mm/sec等速で引っ張った際の引張破断強度(MPa)にして測定される。
[下地金属層102]
下地金属層102は、基材10Aの外周面に電磁誘導金属層104を電解めっき法により形成するために予め形成される層であり、必要に応じて設けられる。電磁誘導金属層104の形成方法としては、コスト等の観点から電解めっき法が好ましいが、主に樹脂で構成される基材10Aを用いる場合は、直接電解めっきを行うことが困難である。そこで、電磁誘導金属層104形成のため、下地金属層102を設けることが好ましい。
基材10Aの外周面に下地金属層102を形成する方法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、蒸着法等が挙げられ、成膜の容易性の観点から化学めっき法(無電解めっき法)が好ましく、中でも一般的な無電解ニッケルめっき層、無電解銅めっき層等が好ましい。
なお、無電解めっき法によって基材10Aの外周面に下地金属層102を形成する前に、金属粒子が付着し易いように、基材10Aの外周面の表面粗さを予め粗くする処理(粗面化処理)を施してもよい。粗面化処理としては、例えば、アルミナ砥粒等を用いたサンドブラスト、切削、サンドペーパーがけ等により、基材10Aの表面を粗面化する方法が挙げられる。
下地金属層102の厚さは0.1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.3μm以上3μm以下の範囲がより好ましい。
なお、本実施形態に係るベルトを構成する各層の厚さは、ベルトの円筒体の周方向、軸方向について断面を作製し、走査型電子顕微鏡(日本電子社製「JSM6700F」)の加速電圧2.0kV、5000倍における観察像から膜厚を測定した値である。
[電磁誘導金属層104]
電磁誘導金属層104は、磁界が印加された際にこの層内に発生する渦電流により発熱する機能を有する発熱層であり、電磁誘導作用を生ずる金属で構成される。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、又は、2種類以上の金属を含む合金を選択してもよい。コスト、発熱性能、及び加工性を考慮すると、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、その中でも特に、銅又は銅を主成分とする合金が好ましい。
電磁誘導金属層104は、周知の方法、例えば電解めっき処理を施すことで形成される。
電磁誘導金属層104の厚さは、その金属材質により最適な厚さが異なるが、例えば銅を電磁誘導金属層104に用いる場合、効率的に発熱させる観点から、電磁誘導金属層104の厚さは3μm以上50μmの範囲であることが好ましく、3μm以上30μmの範囲であることがより好ましく、5μm以上20μmの範囲であることがさらに好ましい。
[金属保護層106]
電磁誘導金属層104の外周表面側には、膜強度を向上させ、繰り返しの変形による亀裂や、長時間の繰り返し加熱による酸化劣化等を抑制し、発熱特性を維持するために、金属保護層を電磁誘導金属層104と接触して設けることが好ましい。
金属保護層106は、薄膜で破断強度が高く、耐久性及び耐酸化性が高いことが良く、耐酸化金属であることが好ましい。具体的には、例えば、銅、又はニッケルを含んで構成されることがよく、特に、繰り返しの変形による亀裂の発生、及び繰り返し加熱での酸化劣化等の抑制の点から、耐酸化金属であるニッケル(又はニッケル合金)を含むことが好ましい。
金属保護層の厚さは、その材質により最適な厚さが異なるが、例えばニッケルによって金属保護層を形成する場合は、破断強度の不足による亀裂発生を抑制する一方、柔軟性が得られ、膜自体の熱容量が大きくなりすぎず、ウォームアップ時間を短く抑える観点から、2μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、2μm以上15μm以下の範囲であることがより好ましく、5μm以上10μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
金属保護層は、薄膜での加工性も考慮した場合、電解めっき法で形成することが好ましく、中でも強度が高い電解ニッケルめっきがより好ましい。
電界めっき法により形成する場合、まずニッケルイオン等の金属イオンを含むめっき液を準備し、このめっき液に下地金属層102及び電磁誘導金属層104を有する基材10Aを浸漬して電解めっきを行い、求められる厚さの電解めっき層を形成する。
[接着剤層10C]
接着剤層10Cは、金属層10Bと弾性層10Dとの間に設けられている層である。
前述の通り、接着剤層10Cとしては、例えば、SiH含有シロキサンオリゴマーとテトラアルコキシシランとを含む組成物(以下「接着剤層形成用組成物」ともいう)の硬化物の層が挙げられる。
以下、接着剤層形成用組成物について説明する。
−接着剤層形成用組成物−
接着剤層形成用組成物は、例えば、少なくともSiH含有シロキサンオリゴマー及びテトラアルコキシシランを含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
また、接着剤層形成用組成物は、その他の成分として、アルケニル基を有するシランカップリング剤(以下「アルケニル系シランカップリング剤」ともいう)をさらに含むことが好ましい。
以下、接着剤層形成用組成物に含まれる各成分について説明する。
(SiH構造を有するシロキサンオリゴマー)
SiH含有シロキサンオリゴマーは、1つ以上のSiH構造(すなわち、ケイ素原子と水素原子とが直接結合した構造)と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
SiH含有シロキサンオリゴマーの1分子が有するSiH構造の数は、1以上であり、接着剤層と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上10以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンオリゴマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上100以下が好ましい。
SiH含有シロキサンオリゴマーの数平均分子量は、例えば200以上10000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上6000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
SiH含有シロキサンオリゴマーの分子構造は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。
SiH含有シロキサンオリゴマーとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(1)中、R11〜R17が示す1価の有機基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すシリルオキシ基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17は、これらの中でも、接着性の向上の観点から、水素原子、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基、無置換のフェニル基、無置換のシリルオキシ基、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基で置換されたシリルオキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1以上2以下のアルキル基がより好ましい。
なお、一般式(1)中のnが2以上の場合、一般式(1)で表される化合物における2以上のR13及びR14は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、一般式(1)中のR13とR14とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR11とR12とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR15とR16とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、これらの中でも、R11〜R16が水素、メチル基、又はエチル基であり、R17が水素原子である化合物が好ましく、R11〜R16がいずれもメチル基であり、R17が水素原子である化合物がより好ましい。
接着剤層形成用組成物中の固形分全体に対するSiH含有シロキサンオリゴマーの含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、接着性、塗布性の向上の観点から、2質量%以上30質量%以下が好ましい。
(テトラアルコキシシラン)
テトラアルコキシシランは、Si原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示す。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24は、これらの中でも、接着性向上の観点から、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(2)中のR21〜R24は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるテトラアルコキシシランは、これらの中でも、R21〜R24がメチル基又はエチル基である化合物が好ましく、R21〜R24のいずれもがメチル基である化合物がより好ましい。
接着剤層形成用組成物中の固形分全体に対するテトラアルコキシシランの含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、2質量%以上30質量%以下が好ましい。テトラアルコキシシランの含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて、接着剤層の硬度が高くなり、ベルトの使用により負荷がかかっても、接着剤層と金属層との界面における応力の集中が緩和され、ベルト皺の発生が抑制される。
なお、接着剤層形成用組成物に含まれる、SiH含有シロキサンオリゴマー100質量部に対するテトラアルコキシシランの量としては、例えば、10質量部以上500質量部以下が挙げられ、20質量部以上300質量部以下が好ましい。
(アルケニル基を有するシランカップリング剤)
前記の通り、接着剤層形成用組成物は、必要に応じて、アルケニル系シランカップリング剤を含むことが好ましい。
接着剤層形成用組成物が、SiH含有シロキサンオリゴマー及びテトラアルコキシシランに加えてアルケニル系シランカップリング剤を含むと、弾性層の剥離が抑制される。その理由は定かではないが、SiH含有シロキサンオリゴマーのSiH構造における水素原子とアルケニル系シランカップリング剤のアルケニル基との付加反応により架橋構造が形成され、それにより適度なゴム弾性が得られるためと推測される。接着剤層が適度なゴム弾性を有していると、定着部材の外周面が加圧され続けても、応力が弾性層と接着剤層との界面に集中しにくく、応力の集中が緩和されるため、弾性層の剥離が抑制される。
アルケニル系シランカップリング剤は、アルケニル基を有するシランカップリング剤であれば特に限定されない。
ここで、シランカップリング剤とは、Si原子にアルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも一方が直接結合した化合物である。
また、アルケニル基としては、例えば、炭素数2以上4以下のアルケニル基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基が好ましい。
アルケニル系シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
特に、アルケニル系シランカップリング剤として好ましくは、アルケニル基を有し、かつ、3つのアルコキシ基がSi原子に直接結合した化合物が挙げられる。
また、アルケニル系シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中、R31、R32、及びR33は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示し、R34は、アルケニル基を有する1価の有機基を示す。
一般式(3)中、R31〜R33が示す置換又は無置換のアルキル基としては、例えば、前記一般式(2)中のR21〜R24が示す置換又は無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)中のR31〜R33は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基としては、例えば、アルケニル基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルシクロアルキル基、アルケニルアリール基等が挙げられる。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基は、これらの中でも、アルケニル基が好ましく、末端に二重結合を有するアルケニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
一般式(3)で表されるアルケニル系シランカップリング剤は、これらの中でも、R31〜R33がメチル基又はエチル基であり、R34がビニル基又はアリル基である化合物が好ましく、R31〜R33のいずれもがメチル基であり、R34がビニル基である化合物がより好ましい。
接着剤層形成用組成物中の固形分全体に対するアルケニル系シランカップリング剤の含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、弾性層の剥離抑制の観点から2質量%以上30質量%以下が好ましい。
なお、接着剤層形成用組成物に含まれる、SiH含有シロキサンオリゴマー100質量部に対するアルケニル系シランカップリング剤の量としては、例えば、20質量部以上500質量部以下が挙げられ、30質量部以上300質量部以下が好ましい。
(その他の成分)
その他の成分としては、例えば、溶剤(例えば、酢酸ブチル等)、補強性フィラー(例えば、シリカ、酸化鉄、酸化セリウム等)等も挙げられる。
また、接着剤層形成用組成物は、その他の成分として、他のシランカップリング剤をさらに含んでもよい。他のシランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、メタクリル基系シランカップリング剤、スチリル基系シランカップリング剤、及びアミノ基系シランカップリング剤等が挙げられる。
(接着剤層形成用組成物の調製)
接着剤層形成用組成物の調製は、公知の方法で行えばよく、例えば、上記各成分を混合し、攪拌することで、接着剤層形成用組成物を調製すればよい。
−接着剤層の形成方法及び特性−
接着剤層10Cの形成は、公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって金属層10B上に形成すればよい。
具体的には、例えば、まず、接着剤層形成用組成物を金属層10B上に塗布して乾燥させることで接着剤皮膜を形成する。次に、接着剤皮膜上に、後述する弾性層形成用塗布液を塗布して弾性塗膜を形成し、必要に応じて弾性塗膜を乾燥させて弾性皮膜とした後、これらを加熱することで、弾性層10Dの形成とともに接着剤層10Cが形成される。このようにして形成された接着剤層10Cは、接着剤層形成用組成物の未硬化物(すなわち接着剤皮膜)が弾性層形成用塗布液の未硬化物(すなわち弾性塗膜又は弾性皮膜)に接触した状態で硬化した硬化物である。
なお、接着剤皮膜形成時における乾燥温度としては、例えば、10℃以上35℃以下が挙げられ、乾燥時間としては、例えば10分以上360分以下が挙げられる。
また、上記加熱における加熱温度としては、100℃以上200℃以下の範囲が挙げられる。また、上記加熱は、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス等)雰囲気下で行ってもよい。
接着剤層10Cの膜厚としては、例えば、0.1μm以上10μm以下が挙げられ、0.2μm以上7μm以下が好ましく、0.3μm以上5μm以下がより好ましい。
[弾性層10D]
弾性層10Dは、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う層である。特に、多色画像を形成する場合、弾性層10Dにより、記録媒体及びトナー像の加熱ムラによる発色性低下及び光沢ムラが抑制された画像が得られる。また、弾性層10Dが加圧部材との接触領域内で変形し、低荷重でも接触幅が得られることから、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が速くなってもトナー像への熱の受け渡しがなされて定着が行われ、白黒画像を形成する場合でも、高速化が実現される。
弾性層10Dは、例えば、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する弾性材料から構成されることがよい。
なお、本実施形態における弾性層10Dは、例えばシリコーンゴムを含有する。シリコーンゴムの未硬化物は、炭素−炭素二重結合(例えばビニル基等)を有する。そのため、前述のように、弾性層10Dがシリコーンゴムを含有することで、シリコーンゴムに含まれる炭素−炭素二重結合と、接着剤層に含まれるSiH構造における水素原子(すなわちSi原子に直接結合する水素原子)と、が反応し、共有結合を形成する。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
市販品としては、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744等が挙げられる。
なお、本実施形態では、弾性層10Dに含まれる弾性材料中において、シリコーンゴムが主成分である(つまり質量比で50%以上含む)ことが好ましく、さらにその含有率は90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以下であることがさらに好ましい。
弾性層10Dは、弾性材料としてさらにシリコーンゴム以外の材料を含んでもよく、例えばフッ素ゴム等の耐熱性のゴムが挙げられる。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
市販品としては、例えば、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。
特に、弾性層10Dの熱伝導性を向上させる観点から、フィラーを添加することが好ましい。尚、フィラーの熱伝導率は、弾性層10Dにおいてより高い熱伝導性を得る観点から、0.3W/mK以上が好ましく、更には50W/mK以上がより好ましく、100W/mK以上が更に好ましい。
フィラーの材質としては、炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、金属ケイ素等の周知の無機フィラーが挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性の点から、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
弾性層10Dのフィラーの含有量は、求められる熱伝導性、機械的強度等により決定されればよい。例えば、弾性層10D中に占めるフィラーの含有率は、1質量%以上20質量%以下の範囲が好ましく、3質量%以上15質量%以下の範囲がより好ましく、5質量%以上10質量%以下の範囲がさらに好ましい。
また、添加剤としては、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層10Dの形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって接着剤層10C上に形成すればよい。
具体的には、例えば、まず、加熱により硬化されて上記シリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムを含む弾性層形成用塗布液を調製する。次に、前述のように、接着剤層形成用組成物の塗布及び乾燥により形成された接着剤皮膜上に弾性層形成用塗布液を塗布して弾性塗膜を形成し、必要に応じて弾性塗膜を乾燥させた後、これらを加熱することで、接着剤層10Cと共に弾性層10Dが形成される。このようにして形成された弾性層10Dは、弾性層形成用塗布液の未硬化物が接着剤層形成用組成物の未硬化物に接触した状態で硬化した硬化物である。
なお、上記加熱における加熱温度等の条件は、前記の通りである。
弾性層10Dの厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることがよく、好ましくは100μm以上500μm以下である。
[離型層10E]
離型層10Eは、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。
離型層10Eは、フッ素系化合物等の低表面エネルギー材料を主成分として含んで構成されることがよい。フッ素系化合物としては、例えば、フッ素ゴムや、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等のフッ素樹脂などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
離型層10Eの厚さは、10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましい。離型層10Eの厚さが10μm以上であることにより、用紙の縁部での繰り返し摩擦による離型層10Eの摩滅が抑制される。また、離型層10Eの厚さが100μm以下であることにより、表面の柔軟性が保たれ、定着画像の粒状性が維持され、ウォームアップ時間も短縮される。
離型層10Eの形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって形成すればよい。
また、離型層10Eは、チューブ状の離型層を予め準備し、例えばチューブの内面に接着層を形成した上で、弾性層10Dの外周上に被覆させることで、離型層10Eを形成してもよい。
[その他の形態]
以上、本実施形態に係る画像形成装置用の定着部材として、無端ベルトの一例について詳細に説明したが、本実施形態の定着部材はこれに限られるものではなく、例えばロール状のもの(定着ロール)であっても良い。
定着ロールに用いる基材としては、例えば、金属(アルミ、SUS、鉄、銅等)、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で構成された円筒体が挙げられる。
定着ロールにおける基材の外径及び肉厚は、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製の場合は厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製の場合は厚さ0.1mm以上2mm以下である。
定着ロールにおける基材以外の層である金属層、接着剤層、弾性層、及び離型層については、前述の無端ベルトにおける金属層、接着剤層、弾性層、及び離型層と同様のものが適用される。
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置は、前述の本実施形態に係る定着部材と、前記定着部材の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記定着部材と共に挟み込む加圧部材と、前記記録媒体上の未定着トナー像を加熱する加熱手段と、を有する。
以下、本実施形態に係る定着装置の一例として、定着部材として前述の無端ベルトを適用し、かつ、加熱手段として定着部材である無端ベルトの前記金属層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱装置である形態について説明するが、これに限られない。
図2は、本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る定着装置100は上記本実施形態に係るベルト10を備える電磁誘導方式の定着装置である。図2に示すごとく、ベルト10の一部を加圧するよう加圧ロール(加圧部材)11が配置され、効率的に定着を行う観点でベルト10と加圧ロール11との間に接触領域(ニップ)が形成され、ベルト10は加圧ロール11の周面に沿った形に湾曲している。また、記録媒体の剥離性を確保する観点で前記接触領域(ニップ)の末端においてベルトが屈曲する屈曲部が形成される。
加圧ロール11は、基材11A上にシリコーンゴム等による弾性層11Bが形成され、さらに弾性層11B上にフッ素系化合物による離型層11Cが形成されて構成されている。
ベルト10の内側には、加圧ロール11と対向する位置に対向部材13が配置されている。対向部材13は、金属、耐熱樹脂、耐熱ゴム等からなり、ベルト10の内周面に接して局所的に圧力を高めるパッド13Bと、パッド13Bを支持する支持体13Aを有している。
ベルト10を中心として加圧ロール11(加圧部材の一例)と対向する位置には、電磁誘導コイル(励磁コイル)12aを内蔵した電磁誘導発熱装置12が設けられている。電磁誘導発熱装置12は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、ベルト10の金属層10B(特に図1に示す態様のベルトでは電磁誘導金属層104)に渦電流を発生させる。この渦電流が金属層10Bの電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的にベルト10の表面が発熱する。
なお、電磁誘導発熱装置12の位置は図2に示す位置に限定されず、例えば、ベルト10の接触領域に対して回転方向Bの上流側に設置されていてもよいし、ベルト10の内側に設置されていてもよい。
本実施形態に係る定着装置100では、ベルト10の端部に固定されたギアに駆動装置により駆動力が伝達されることで、ベルト10が矢印B方向に自己回転し、ベルト10の回転に伴って加圧ロール11は逆方向、すなわち矢印C方向に回転する。
未定着トナー像14が形成された記録媒体15は、矢印A方向に、定着装置100におけるベルト10と加圧ロール11との接触領域(ニップ)に通され、未定着トナー像14が溶融状態として圧力が加えられて記録媒体15に定着される。
以上説明した定着装置では、加熱手段として無端ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱装置を用いているが、これに限られない。加熱手段として、例えば、ハロゲンランプ等の発熱部材を無端ベルトに接して設け、無端ベルトを介して未定着のトナー像を加熱する手段を用いてもよい。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる本実施形態に係る定着装置と、を有する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置200は、図3に示すように、感光体(像保持体の一例)202、帯電装置204、レーザー露光装置(潜像形成装置の一例)206、ミラー208、現像装置210、中間転写体212、転写ロール(転写装置の一例)214、クリーニング装置216、除電装置218、定着装置100、及び給紙装置(給紙ユニット220、給紙ローラ222、位置合わせローラ224、及び、記録媒体ガイド226)を備えている。
この画像形成装置200で画像形成を行う場合、まず、感光体202に近接して設けられた非接触型の帯電装置204が、感光体202の表面を帯電させる。
帯電装置204により帯電した感光体202の表面に各色の画像情報(信号)に応じたレーザー光が、ミラー208を介してレーザー露光装置206より照射されて静電潜像が形成される。
現像装置210は、感光体202の表面に形成された潜像にトナーを付与することによりトナー像を形成する。現像装置210は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容した各色の現像器(不図示)を備えており、現像装置210が矢印方向に回転することにより、感光体202の表面に形成されている潜像に各色のトナーを付与し、トナー像が形成される。
感光体202の表面に形成された各色のトナー像は、感光体202と中間転写体212との間に印加されたバイアス電圧により、感光体202と中間転写体212との接触部において、各色のトナー像毎に画像情報と一致するように中間転写体212の外周面に重ねて転写される。
中間転写体212は、外周面が感光体202の表面に接触し矢印E方向に回転する。
中間転写体212の周囲には、感光体202の他に、転写ロール214が設けられている。
多色のトナー像が転写された中間転写体212は矢印E方向に回転する。中間転写体212上のトナー像は、転写ロール214と中間転写体212との接触部において、給紙装置によって接触部に矢印A方向に搬送されてきた記録媒体15の表面に転写される。
なお、中間転写体212と転写ロール214との接触部への給紙は、給紙ユニット220に収納された記録媒体が、給紙ユニット220に内蔵された不図示の記録媒体押し上げ手段により給紙ローラ222に接触する位置まで押し上げられ、その記録媒体15が給紙ローラ222に接触した時点で、給紙ローラ222及び位置合わせローラ224が回転することにより記録媒体ガイド226に沿って矢印A方向に搬送されることにより行われる。
記録媒体15の表面に転写されたトナー像は、矢印A方向に移動し、ベルト10と加圧ロール11との接触領域(ニップ)では、トナー像14は溶融状態で記録媒体15の表面に押圧され、記録媒体15の表面に定着される。これにより、記録媒体の表面に定着した画像が形成される。
中間転写体212の表面にトナー像を転写した後の感光体202の表面はクリーニング装置216によって清掃される。
感光体202の表面はクリーニング装置216によって清掃された後、除電装置218によって除電される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
・基材(PI基材)の作製
ポリイミド前駆体(ポリイミドワニス「Uワニス−S」、宇部興産製)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を、直径φ30mmの金型上にフローコーターにて塗布し、380℃まで下記ステップ昇温により焼成した。前記ステップ昇温は、具体的には、25℃から120℃まで昇温し、120℃で1時間維持し、120℃から250℃まで昇温し、250℃で1時間維持し、250℃から380℃まで昇温し、380℃で1時間維持した後、380℃から25℃まで降温した。
これにより、外径30mm、膜厚60μm、幅400mmのポリイミド(樹脂単一層)のみによるシームレス樹脂管状体を得た。
得られた管状のシームレス樹脂管状体の表面を、液体ホーニング装置(不二精機製、LH−8TTHiS)を用い、表面粗さRa=0.5μm以上1.0μm以下となるよう粗面化処理した。なお、ホーニング条件は砥粒#320、噴射圧0.3MPa、噴射距離100mm、処理時間1.5分で実施した。
粗面化されたシームレス樹脂管状体の表面の砥粒をイオン交換水にて洗い流した後、さらに圧縮空気で水分を除去し、PI基材を得た。
・下地金属層の形成
次に、PI基材の外周面にアルカリエッチング処理を行い、洗浄した後、PI基材をめっき治具に組み込み、無電解めっき処理により厚さ0.5μmの無電解ニッケルめっき層(下地金属層)を形成した。
・電磁誘導金属層の形成
無電解ニッケルめっき層(下地金属層)を形成した後、めっき治具両端に電極をセットし、硫酸銅めっき液により電解めっき処理を施し、厚さ10μmの電解銅めっき層(電磁誘導金属層)を形成した。
なお、上記電界めっき処理の条件として、使用しためっき液は、硫酸銅(70g/L)、硫酸(200g/L)、塩酸(50mg/L)からなり、電流密度は0.2A/dmとした。
・金属保護層の形成
次いで、めっき治具両端に電極をセットし、ニッケルイオンを含むめっき液に浸漬してニッケルの電解めっきを行い、厚さ9μmの電解ニッケル層(金属保護層)を形成した。
・接着剤層、弾性層、及び離型層の形成
続いて、A液として東レ・ダウコーニング社製PrimerXを100質量部と、B液として東レ・ダウコーニング社製PrimerYを100質量部と、を秤量し、5分間撹拌して、接着剤層形成用塗布液を調製した。
なお、東レ・ダウコーニング社製PrimerXは、テトラアルコキシシランに該当する化合物を含む。具体的には、東レ・ダウコーニング社製PrimerXは、テトラアルコキシシランとして一般式(2)で表される化合物(R21〜R24=メチル基)を含有する。
また、東レ・ダウコーニング社製PrimerYは、SiH含有シロキサンオリゴマーに該当する化合物を含む。具体的には、東レ・ダウコーニング社製PrimerYは、SiH含有シロキサンオリゴマーとして、一般式(1)で表される化合物(R11〜R16=メチル基、R17=H)を含有する。
金属保護層の外周面に、フロー塗布法を用いて接着剤層形成用塗布液を塗布し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、30分間風乾を行うことで、膜厚0.5μmの接着剤皮膜を形成した。
次に、低高度タイプのシリコーンゴム(X34−1053;信越化学工業製)を酢酸ブチルで15質量%に希釈し、弾性層形成用塗布液を得た。
接着剤皮膜の表面(外周面)に、スパイラルコート装置を用いて弾性層形成用塗布液を200μmの厚みになるように塗布して塗膜を形成した。

続いて、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
内面に接着層を形成したPFA円筒チューブ(膜厚30μm)を、自己平滑化処理及び一次加硫が行われた弾性層形成用塗布液の塗膜上に被覆し、200℃で4時間焼成した。 こうして、PI基材の外周面に、金属層、接着剤層、弾性層、及び離型層を順次形成した後、両端部15mmを切除し、定着ベルトを得た。
形成された接着剤層の膜厚は0.5μm、弾性層の膜厚は200μm、離型層の膜厚は30μmであった。
〔実施例2〕
実施例1の接着剤層形成用組成物の調製において、A液として信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤を用い、B液として信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
なお、信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤は、SiH含有シロキサンオリゴマーに該当する化合物及びテトラアルコキシシランに該当する化合物を含む。具体的には、信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤は、SiH含有シロキサンオリゴマーとして一般式(1)で表される化合物(R11〜R16=メチル基、R17=水素)と、テトラアルコキシシランとして一般式(2)で表される化合物(R21〜R24=メチル基)と、を含有する。
また、信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤は、アルケニル系シランカップリング剤に該当する化合物を含む。具体的には、信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤は、アルケニル系シランカップリング剤として、一般式(3)で表される化合物(R31〜R33=メチル基、R34=ビニル基)を含有する。
〔実施例3〕
実施例1において、接着剤層の膜厚を0.05μmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
〔比較例1〕
実施例1の接着剤層形成用組成物の調製において、A液(東レ・ダウコーニング社製PrimerX)のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
<測定方法>
〔飽和水蒸気後面積率の測定〕
得られた定着ベルトを、基材の軸方向に垂直な方向(幅方向)の長さが20mmとなるように切り出した管状の試験片を、160℃5気圧のスチームオートクレーブ装置(飽和水蒸気環境)に48時間投入した後、軸方向に外周面から基材の外周面まで切込みを入れた。そして、弾性層及び離型層を器具に固定し、前述の方法で90°剥離試験を行った。基材側の剥離面の画像をスキャナー(EPSON社製、GT−X980)により撮影して取り込み、飽和水蒸気後面積率を求めた。結果を表1(飽和水蒸気後面積率(%))に示す。
〔常温常湿後面積率の測定〕
得られた定着ベルトから、上述した飽和水蒸気後面積率の測定方法と同様にして切り出した別の試験片を、スチームオートクレーブ装置に投入せず、常温(25℃)常圧(1気圧)常湿(50%)環境下で48時間静置した。次に、上記飽和水蒸気後面積率の測定と同様にして90°剥離試験を行い、基材側の剥離面における残存領域の面積率を求めた。結果を表1(常温常湿後面積率(%))に示す。
<評価方法>
〔実機試験〕
得られたベルトを、画像形成装置(富士ゼロックス社製、型番:DocuCentre IV C2270)の定着装置に定着ベルトとして搭載し、温度40℃、湿度99%の環境下で、加湿器で直接定着部を加湿しながら、ベルトの外周面に0.7MPaの圧力で加圧しながら100000枚の定着画像を形成する実機試験を行った。
上記実機試験を行った後、画像形成装置から取り出したベルトに対し、用紙端部相当部について上記90°剥離試験をすることで、金属層と弾性層との接着性を評価した。具体的には、上記90°剥離試験後の剥離面のうち、金属層及び接着剤層が露出せず弾性層が凝集破壊した面積の割合(接着面積率(%))を算出した。評価基準は以下の通りであり、結果を表1に示す。
−評価基準−
G1:接着面積率100%
G2:接着面積率80%以上99%以下
G3:接着面積率80%未満
上記のように、実施例では、比較例に比べ、実機試験の評価結果が良好であり、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制されていることが分かる。
10 ベルト
10A 基材
102 下地金属層
104 電磁誘導金属層
106 金属保護層
10B 金属層
10C 接着剤層
10D 弾性層
10E 離型層
11 加圧ロール
11A 基材
11B 弾性層
11C 離型層
12 電磁誘導発熱装置
13 対向部材
13A 支持体
13B パッド
14 トナー像
15 記録媒体
100 定着装置
200 画像形成装置
202 感光体
204 帯電装置
206 露光装置
210 現像装置
212 中間転写体
214 転写ロール
請求項1に係る発明は、管状の基材と、
管状の基材と、前記基材上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた、SiH構造を有するシロキサンオリゴマーとテトラアルコキシシランとを含む組成物の硬化物からなる接着剤層と、前記接着剤層上に接して設けられたシリコーンゴムを含有する弾性層と、前記弾性層上に設けられた離型層と、を有する画像形成装置用の定着部材。
請求項2に係る発明は、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に、前記弾性層及び前記離型層を90°の角度で剥離する90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち、前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%以上である請求項1に記載の画像形成装置用の定着部材。
請求項3に係る発明は、前記SiH構造を有するシロキサンオリゴマーが、後述の一般式(1)で表される化合物であり、前記テトラアルコキシシランが後述の一般式(2)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
請求項に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着部材と、
前記定着部材の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記定着部材と共に挟み込む加圧部材と、
前記記録媒体上の未定着のトナー像を加熱する加熱手段と、
を有する定着装置。
請求項に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項に記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。
請求項1又は2に係る発明によれば、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%未満である場合に比べ、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離が抑制される定着部材が提供される。
請求項又はに係る発明によれば、160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%未満である定着部材を適用した場合に比べ、高温高湿環境下で定着部材の外周面を加圧して定着を繰り返したときの金属層と弾性層との間の剥離に起因する定着不良を抑制した定着装置又は画像形成装置が提供される。

Claims (3)

  1. 管状の基材と、前記基材上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層上に接して設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた離型層と、を有し、
    160℃で5気圧の飽和水蒸気環境下で48時間放置した後に、前記弾性層及び前記離型層を90°の角度で剥離する90°剥離試験を行ったとき、前記基材側の剥離面のうち、前記弾性層の一部が残存した領域の面積が80%以上である画像形成装置用の定着部材。
  2. 請求項1に記載の定着部材と、
    前記定着部材の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記定着部材と共に挟み込む加圧部材と、
    前記記録媒体上の未定着のトナー像を加熱する加熱手段と、
    を有する定着装置。
  3. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項2に記載の定着装置と、
    を有する画像形成装置。
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