JP7124522B2 - 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
以下、「圧縮変形と解放とを繰り返しても、樹脂層又は金属層と弾性層との剥離が抑制された定着部材」を、「樹脂層又は金属層と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材」とも称する。
樹脂層又は金属層と、前記樹脂層又は前記金属層の外周面に接触配置された弾性層と、を備え、
前記樹脂層又は前記金属層が前記弾性層と接触する前記外周面にビニル基を有し、
前記弾性層がケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含み、
前記樹脂層又は前記金属層と前記弾性層との界面に、前記樹脂層又は前記金属層が有するビニル基と前記弾性層の水素結合シリル基とが反応した共有結合を有する定着部材である。
樹脂層又は金属層と、前記樹脂層又は前記金属層の外周面に接触配置された弾性層と、を備え、
前記樹脂層又は前記金属層が前記弾性層と接触する前記外周面にビニル基を有し、
前記弾性層がケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含み、
前記樹脂層又は前記金属層と前記弾性層との界面に、1気圧100℃の水蒸気を100時間吹き付けた後に、前記樹脂層又は前記金属層の一部を前記弾性層に対し90°方向に引張り、剥離した前記樹脂層又は前記金属層に残存する前記弾性層が、剥離した前記樹脂層又は前記金属層の総面積に対して95%以上を占める、定着部材である。
前記樹脂層が樹脂基材であって、前記樹脂基材が、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>又は<2>に記載の定着部材である。
前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]よりも、前記水素結合シリル基の含有量[s]が多い<1>~<3>のいずれか1に記載の定着部材である。
<5>に係る発明は、
前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]と前記水素結合シリル基の含有量[s]との比[v:s(mol比)]が1:1.1乃至1:2.2の範囲である<4>に記載の定着部材である。
前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]よりも、前記ビニル基の含有量[v]が多い<1>~<3>のいずれか1に記載の定着部材である。
<7>に係る発明は、
前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]と前記ビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]が1:1.2乃至1:2.2の範囲である<6>に記載の定着部材である。
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が<1>~<7>のいずれか1に記載の定着部材であり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置である。
<8>に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、<8>に記載の定着装置を有する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
<6>、又は<7>に係る発明によれば、重合体となる前における、ビニル基の含有量[v]よりも、水素結合シリル基の含有量[s]が多い場合に比べ、記録媒体の凹凸追随性に優れた定着部材が提供される。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
第1実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、第1実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
また、弾性層110Bは、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基(-SiH)を有する第1のポリシロキサンとビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含む。
そして、樹脂基材110Aと弾性層110Bとの界面に、樹脂基材110Aが有するビニル基と弾性層110B中の水素結合シリル基とが反応した共有結合を有している。つまり、樹脂基材110Aと弾性層110Bとの界面は、樹脂基材110Aが有するビニル基と弾性層110B中の水素結合シリル基との反応により接着されている。
一方、樹脂基材110Aは、弾性層110Bと接触する外周面にビニル基を有している。そして、この樹脂基材110Aが有するビニル基が弾性層110Bの水素結合シリル基と反応し共有結合を形成している。これにより、樹脂基材110Aと弾性層110Bとの界面における接着力が高まる。
特に、ビニル基と水素結合シリル基との反応は、付加反応であるため副生成物(例えばガス)が発生せず、副生成物に起因する樹脂基材110Aと弾性層110Bとの界面における接着力の低下も見られ難い。
例えば、樹脂基材110Aは、弾性層110Bと接触する外周面にビニル基を導入し得る金属層又は樹脂層を備えているものであればよい。具体的には、定着部材110における樹脂基材110Aは、金属基材であってもよいし、弾性層110Bと接触する外周面に金属層を備える基材(以降、「複合基材」とも称する)であってもよい。
即ち、第1実施形態に係る定着部材を、高温高湿下(例えば、95℃100%RH)で24時間保管する。
保管後の定着部材に対し、以下の方法を用いて、樹脂層又は金属層と弾性層との界面の剥離の有無を確認する。
即ち、上記高温高湿下での保管後、定着部材から水分を拭き取り、樹脂層又は金属層のみを一部を切り出し、切り出した部分以外の定着部材を保持した状態で、切り出した樹脂層又は金属層を弾性層の表面に対して90°方向に引っ張ることで、剥離試験を実施する。
樹脂層又は金属層と弾性層との界面が剥がれた場合は共有結合が形成されていないと判断し、樹脂層又は金属層に弾性層の一部が残存した状態で剥がれた場合は共有結合が形成されていると判断する。
なお、樹脂層又は金属層と弾性層との界面に共有結合が形成されていない場合(例えば、樹脂層又は金属層と弾性層との間に形成されている結合が、イオン結合、水素結合等である場合)、保管時の温度及び湿度に影響を受け、樹脂層又は金属層は弾性層から剥離してしまう。一方、共有結合は、保管時の温度及び湿度の影響を受け難いため、上記の方法にて、樹脂層又は金属層と弾性層との界面の剥離が確認できない場合、樹脂層又は金属層と弾性層との界面に共有結合が形成されていると言える。
そして、第2実施形態に係る定着部材は、以下のような物性を有する。
即ち、定着部材における樹脂層又は金属層と弾性層との界面に、1気圧100℃の水蒸気を100時間吹き付けた後に、前記樹脂層又は前記金属層の一部を前記弾性層に対し90°方向に引張り、剥離した前記樹脂層又は前記金属層に残存する前記弾性層が、剥離した前記樹脂層又は前記金属層の総面積に対して95%以上(好ましくは98%以上)を占める。
上記の物性は、樹脂層又は金属層と弾性層との界面が、高温高圧の水蒸気の影響を受け難く、且つ、強固に接着されていることを示す。
上記の物性を求める際に、樹脂層又は金属層と弾性層との界面が晒される環境は、上述した「樹脂層又は金属層と弾性層との界面に形成された共有結合の確認方法」よりも過酷である。そのため、上記のような物性を示す定着部材は、樹脂層又は金属層と弾性層との界面において、温度及び湿度の影響を受け難い共有結合が多く形成されているとも言い換えられる。
以下、第1及び第2実施形態に係る定着部材について、本実施形態に係る定着部材としてまとめて説明する。
本実施形態に係る定着部材としては、弾性層中の重合体となる前における、ビニル基の含有量[v]よりも、水素結合シリル基の含有量[s]が多い第1の態様が挙げられる。
この第1の態様では、弾性層中の水素結合シリル基(未反応の水素結合シリル基)が多いことから、樹脂層又は金属層の外周面のビニル基と弾性層の水素結合シリル基との反応量が増加し、その結果、両層の界面で形成される共有結合も多くなる。そのため、第1の態様では、樹脂層又は金属層と弾性層との接着耐久性が向上し易い。
樹脂層又は金属層と弾性層との接着耐久性が向上の観点から、ビニル基の含有量[v]と水素結合シリル基の含有量[s]との比[v:s(mol比)]は、1:1.1乃至1:2.2の範囲が好ましく、1:1.15乃至1:2.2の範囲がより好ましく、1:1.2乃至1:2.2の範囲が更に好ましい。
本実施形態に係る定着部材としては、弾性層中の重合体となる前における、水素結合シリル基の含有量[s]よりも、ビニル基の含有量[v]が多い第2の態様が挙げられる。
この第2の態様では、樹脂層又は金属層の外周面のビニル基と弾性層中に残存する水素結合シリル基(未反応の水素結合シリル基)との反応により共有結合は形成されるものの、その反応量は第1の態様よりは少ない。樹脂層又は金属層の外周面のビニル基と弾性層の水素結合シリル基との反応量が増加すると、樹脂層又は金属層と弾性層との界面の硬度も上昇する傾向があるが、この第2の形態では、樹脂層又は金属層と弾性層との界面に柔軟性が得られる。このように、樹脂層又は金属層と弾性層との界面に柔軟性があると、変形に対する追従性が高くなる。
つまり、この第2の態様では、樹脂層又は金属層と弾性層との接着耐久性を高めつつ、記録媒体の凹凸追随性が向上する。
そのため、凹凸の大きな記録媒体を用いた際であっても、凹部、記録媒体の凹凸追随性が向上する。記録媒体の凹凸追従性が高い定着部材を用いることで、凹凸の大きな記録媒体を用いた際であっても、凹部における定着性が高められる。
樹脂層又は金属層と弾性層との接着耐久性の確保、及び記録媒体の凹凸追随性の向上の観点から、水素結合シリル基の含有量[s]とビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]は、1:1.2乃至1:2.2の範囲が好ましく、1:1.25乃至1:2.1の範囲がより好ましく、1:1.3乃至1:2.1の範囲が更に好ましい。
重合体となる前における水素結合シリル基(-SiH)及びビニル基(-CH=CH2)の含有量の測定は、重合前つまり弾性層の形成前の段階での第1のポリシロキサン及び第2のポリシロキサンについて、NMR分光法を用いることで行われる。具体的には、第1のポリシロキサンを含む溶液及び第2のポリシロキサンを含む溶液を、それぞれn-ヘキサンで5倍に希釈し、遠心分離を行ってろ液を分取する。その後、溶媒を除去し、重水素化クロロホルム(CDCl3)に溶解してNMR(バリアン社製、製品名:UNITY-300)により解析し、それぞれの含有量が得られる。
本実施形態に係る定着部材は、ロール状であってもよいし、ベルト状であってもよい。また、熱源をその内部又は外部に備えた加熱定着部材であってもよいし、熱源を備えない加圧定着部材であってもよい。
本実施形態に係る定着部材における樹脂層又は金属層は、その外周面が弾性層に接触する層である。そして、樹脂層又は金属層は、弾性層に接触する外周面にビニル基を有する。
本実施形態に係る定着部材における樹脂層又は金属層の具体的な態様としては、樹脂層のみからなる樹脂基材、金属層のみからなる金属基材、更には、弾性層と接触する外周面に金属層を備える基材(複合基材)が挙げられる。
定着部材がロール状の場合、金属基材の外径及び厚さは、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製であれば厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製であれば厚さ0.1mm以上2mm以下がよい。
また、樹脂ベルトとしては、例えば、長尺のポリイミドシートの両端部をパズル状に組合せ、熱圧着部材を用いて熱圧着し、ベルト状に仕立てたものも挙げられる。
複合基材としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等を含む樹脂ベルト上に金属層を備えた複合ベルトが挙げられる。
複合基材における金属層は、単層で形成されていてもよく、多層に形成されていてもよい。複合基材における金属層が単層の場合、電磁誘導作用により自己発熱する電磁誘導金属層であることが好ましい。また、複合基材における金属層が多層の場合、下地金属層、電磁誘導作用により自己発熱する電磁誘導金属層、及び金属保護層を順次積層した3層であることが好ましい。
電磁誘導金属層の形成方法としては、コスト等の観点から電解めっき法が好ましいが、樹脂ベルトには直接電解めっきを行うことが困難である。そこで、電磁誘導金属層104形成のため、下地金属層102を設けることが好ましい。
樹脂ベルトの外周面に下地金属層を形成する方法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、蒸着法等が挙げられ、成膜の容易性の観点から化学めっき法(無電解めっき法)が好ましく、中でも一般的な無電解ニッケルめっき層、無電解銅めっき層等が好ましい。
下地金属層の厚さは0.1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.3μm以上3μm以下の範囲がより好ましい。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、又は、2種類以上の金属を含む合金を選択してもよい。コスト、発熱性能、及び加工性を考慮すると、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、その中でも特に、銅又は銅を主成分とする合金が好ましい。
電磁誘導金属層は、周知の方法、例えば、電解めっき処理法にて形成される。
電磁誘導金属層の厚さは、その金属材質により最適な厚さが異なるが、例えば銅を電磁誘導金属層に用いる場合、効率的に発熱させる観点から、3μm以上50μm以下の範囲であることが好ましく、3μm以上30μm以下の範囲であることがより好ましく、5μm以上20μm以下の範囲であることが更に好ましい。
金属保護層は、耐酸化金属であるニッケル(又はニッケル合金)を含むことが好ましい。
金属保護層は、周知の方法、例えば、電解めっき処理法にて形成される。
金属保護層の厚さは、その材質により最適な厚さが異なるが、例えばニッケルによって金属保護層を形成する場合は、2μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、2μm以上15μm以下の範囲であることがより好ましく、5μm以上10μm以下の範囲であることが更に好ましい。
本実施形態において、樹脂層又は金属層は、弾性層と接触する外周面にビニル基を有する。
即ち、上述した、樹脂層のみからなる樹脂基材、金属層のみからなる金属基材、及び、弾性層と接触する外周面に金属層を備える基材(複合基材)のいずれにおいても、弾性層と接触する外周面にはビニル基を有する。
なお、樹脂層の場合、樹脂層を構成する材料自体としてビニル基を有する材料を用いる方法も考えられる。樹脂層に求められる機能を保持しつつ且つ弾性層と接触する外周面にビニル基を存在させること、材料の入手し易さ、製造の容易性等の点から、ビニル基を有しない材料によって構成された樹脂層の弾性層と接触する外周面に、表面処理によってビニル基を導入する方法がより好ましい。
樹脂層又は金属層の弾性層と接触する外周面にビニル基を導入する表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよい。
具体的には、例えば、エキシマレーザ処理等によって樹脂層又は金属層に活性点を生じさせ、この活性点にビニル基を有する化合物を反応させる方法、プラズマ処理を行い、樹脂層又は金属層にビニル基を有する化合物を結合させる方法が挙げられる。エキシマレーザ処理、プラズマ処理等は、大気圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
また、樹脂層の場合、樹脂層を構成する樹脂材料と反応する反応基とビニル基とを有する化合物を接触させて、この化合物と樹脂層を構成する樹脂材料と反応させる方法を用いることもできる。
プラズマ処理に用いられる、ビニル基を有する化合物としては、例えば、ジメチルジビニルシラン、ブタジエン等が挙げられる。
例えば、ジメチルビニルシランを減圧下(2×104Pa)でプラズマ励起ガス中に導入して、樹脂基材の表面(弾性層と接触する外周面)をプラズマ処理する方法が挙げられる。
これにより、プラズマが樹脂基材の表面と接触し、ラジカルが樹脂基材を構成する樹脂に生成する。生成した樹脂のラジカルとジメチルビニルシランのビニル基とはラジカル反応するため、その結果として、ビニル基が樹脂基材に結合する。
また、プラズマ励起ガスと共に用いられるビニル基を有する化合物は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂層又は金属層の表面(弾性層と接触する外周面)における表面粗さとしては、算術平均粗さRaにて、0.08μm未満であることが好ましく、Ra0.07μm以下がより好ましい。
また、粗さ曲線要素の平均長さRSmは15μm未満であることが好ましく、RSm14μm以下がより好ましい。
具体的には、レーザーテック株式会社製コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS H1200)を使用し、高さ方向の分解能0.01μmにて基材層表面の表面形状を測定する。得られた表面形状の任意の位置から基材層の長手方向に150μmの評価長さをとり、二次関数で曲率補正を行った上で、JIS B 0601に基づいて表面粗さを計測する。
表面粗さの計測は、実表面の断面曲線から断面曲線を作成するときのカットオフ値を0.0025mm、断面曲線から粗さ曲線を作成するときのカットオフ値を0.08mmとして行われる。
即ち、上述した、樹脂層のみからなる樹脂基材、金属層のみからなる金属基材、及び、弾性層と接触する外周面に金属層を備える基材(複合基材)のいずれであっても、その外周面と、弾性層との間には、接着剤層が介在しない。
弾性層は、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基(-SiH)を有する第1のポリシロキサンと、ビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンと、の重合体を含む。
水素結合シリル基(-SiH)を有する第1のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第1のポリシロキサンにおいて、水素結合シリル基(-SiH)は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第1のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第2のポリシロキサンにおいて、ビニル基は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第2のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
表面層には、例えば、耐熱性や離型性が求められる。
この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的には、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。つまり、表面層は、フッ素樹脂を含む樹脂層がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層が、その内周面にビニル基及び水素結合シリル基の少なくとも一方を有することで、接触する弾性層との界面に、表面層が有するビニル基又は水素結合シリル基と弾性層の水素結合シリル基又はビニル基とが反応した共有結合を形成し得る。
表面層と弾性層との界面に共有結合が形成されることで、表面層と弾性層との剥離も抑制し得る。その結果、圧縮変形と解放とを繰り返しても、表面層と弾性層との剥離が抑制された定着部材となり得る。
なお、樹脂層又は金属層に対するビニル基の導入と同じ方法を採用できる点から、表面層の内周面にはビニル基を導入することが好ましい。
なお、プラズマ処理により表面層の内周面に水素結合シリル基を導入する方法では、水素結合シリル基を有する化合物としては、例えば、モノシラン(SiH4)、モノクロロシラン(SiH3Cl)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)等を用いればよい。
つまり、表面層は、予め成形された樹脂筒状体を、弾性層に被せた層であることが好ましい。より詳細には、表面層は、表面処理を行って、少なくとも弾性層と接触する側の面にビニル基及び水素結合シリル基の少なくとも一方が導入された樹脂筒状体を、弾性層に被せた層であることが好ましい。
次に、定着部材の製造方法について説明する。
定着部材の製造方法としては、例えば、以下の方法がある。
まず、樹脂基材を準備し、その外周面に前述の表面処理を施してビニル基を導入する。
その後、ビニル基が導入された外周面を有する樹脂基材の外周面に、前述の第1のポリシロキサン及び第2のポリシロキサンを含む弾性層形成用の塗布液を塗布し、加熱することで重合体を合成させ硬化して弾性層を形成する。ここで、樹脂基材と弾性層との接着性を高める点から、加熱条件としては、100℃以上150℃以下で5分間以上60分間以下が好ましい。
次いで、前述の耐熱性離型材料を用いて製造した樹脂筒状体を準備し、樹脂筒状体内面に前述の表面処理を施してビニル基を導入し、その後、弾性層上に樹脂筒状体を被覆する。
なお、樹脂筒状体の被覆後に焼成(例えば180℃以上230℃以下で0.5時間以上8時間以下の焼成)を行うことで、樹脂基材のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応を進めたり、また、表面層のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応を進めたり、弾性層形成用の塗布液の硬化反応を更に進めてもよい。
以上のようにして、定着部材が製造される。
なお、弾性層側の触媒によって、樹脂基材のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応、及び、表面層のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応は進行する。
本実施形態に係る定着部材は、例えば、加熱ロール、加圧ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルト等に適用される。なお、加熱ロール及び加熱ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導による方式等が挙げられる。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、第3実施形態のように、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。そして、第3実施形態において、本実施形態に係る定着部材は加熱ベルトとして適用され得る。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持及び供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持及び供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
第3実施形態に係る定着装置について説明する。図4は、第3実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
図4に示すごとく、加熱ベルト210(第1回転体の一例)の一部を加圧するよう加圧ロール211(第2回転体の一例)が配置され、効率的に定着を行う観点で加熱ベルト210と加圧ロール211との間に接触領域(ニップ)が形成され、加熱ベルト210は加圧ロール211の周面に沿った形に湾曲している。また、記録媒体の剥離性を確保する観点で前記接触領域(ニップ)の末端においてベルトが屈曲する屈曲部が形成される。
なお、電磁誘導発熱装置212の位置は図4に示す位置に限定されず、例えば、加熱ベルト210の接触領域に対して回転方向Bの上流側に設置されていてもよいし、加熱ベルト210の内側に設置されていてもよい。
未定着トナー像214が形成された記録媒体215は、矢印A方向に、定着装置200における加熱ベルト210と加圧ロール211との接触領域(ニップ)に通され、未定着トナー像214が溶融状態として圧力が加えられて記録媒体215に定着される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
・基材の準備及び表面処理
厚さ65μm、外径φ118mmのポリイミド樹脂基材を準備した。
次いで、ポリイミド樹脂基材の外周面にプラズマ処理を施して、ビニル基を導入した。
具体的には、放電電極からの印加電圧10kV、周波数18kHz、励起ガス(Ar)とジメチルジビニルシランの混合ガスを用い、その流量1L/minとし、励起ガスに混合した。大気圧下で、プラズマ処理時間10秒に設定してプラズマ処理を行い、外周面にビニル基が導入されたポリイミド樹脂基材を得た。
シリコーンゴム材料として信越化学工業社製の製品名:X34-2086のA液及びB液(A液:ビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサン及び触媒(白金)を含む、B液:水素結合シリル基(-SiH)を有する第1のポリシロキサン及びビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンを含む)を準備した。
このA液及びB液を比率(A液:B液(質量比))で1:1で混合し、弾性層形成用の塗布液を得た。この塗布液中のビニル基と水素結合シリル基の量比(mol比)を、前述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
この塗布液を、ビニル基が導入されたポリイミド樹脂基材の外周面に塗布し、120℃15分間加熱して、厚さ200μmの弾性層を形成した。
PFA(三井デュポンフロロケミカル(株)製、451HP-J)を原料とするフッ素樹脂チューブを、射出成形により成形した。
次いで、フッ素樹脂チューブの内周面にプラズマ処理を施した。
具体的には、放電電極からの印加電圧10kV、周波数18kHz、励起ガス(Ar)とジメチルジビニルシランの混合ガスを用い、その流量1L/minとし、励起ガスに混合した。大気圧下で、プラズマ処理時間10秒に設定してプラズマ処理を行い、外径29.3mm、肉厚30μmであって、内周面にビニル基が導入されたフッ素樹脂チューブを得た。
実施例A1において、弾性層材料(シリコーンゴム材料)、弾性層形成の際のA液及びB液の比率(A液:B液(質量比))を、下記表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A2~A4の定着ベルトを得た。
なお、表1中、「X34-1053」は、シリコーンゴム材料(信越化学工業社製の製品名:X34-1053)を示す。
実施例A1において、ポリイミド樹脂基材の外周面及びフッ素樹脂チューブの内周面に対するプラズマ処理を表1に記載のものに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A5の定着ベルトを得た。
実施例A5において、ポリイミド樹脂基材の外周面及びフッ素樹脂チューブの内周面に対するプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例A5と同様にして、比較例A1の定着ベルトを得た。
・複合基材の準備及び表面処理
粗面化処理(表面粗さRa=0.5μm以上1.0μm以下)された管状のポリイミド基材(径30mm×幅L400mm、膜厚60μm)を用意した。
容易されたポリイミド基材をめっき治具に組み込み、無電解めっき処理により厚さ0.5μmの無電解ニッケルめっき層(金属下地層)を形成した。次に、無電解銅めっき層(金属下地層)を形成した後、めっき治具両端に電極をセットし、硫酸銅めっき液により電解めっき処理を施し、厚さ10μmの電解銅めっき層(金属発熱層)を形成した。
続いて、めっき治具両端に電極をセットし、電解めっき液により電解ニッケルめっき処理を施し、厚さ10μmの電解ニッケルめっき層(金属保護層)を形成し、複合基材を得た。
複合基材の電界ニッケルめっき層(金属保護層)上に、以下の方法でビニル基を導入した。
即ち、電界ニッケルめっき層表面を200℃10分の加熱により酸化処理した後、放電電極からの印加電圧10kV、周波数18kHz、励起ガス(Ar)とジメチルジビニルシランの混合ガスを用い、その流量1L/minとし、励起ガスに混合した。プラズマ処理時間10秒に設定して減圧下(2×104Pa)にてプラズマ処理を行い、ビニル基を導入した。
複合基材のビニル基が導入された電界ニッケルめっき層上に、実施例A1と同様の弾性層形成用の塗布液を塗布し、120℃15分間加熱して、厚さ200μmの弾性層を形成した。
続いて、弾性層上に、実施例A1と同様の方法でプラズマ処理を行い、内周面にビニル基が導入されたフッ素樹脂チューブを被覆し、200℃2時間で焼成して、実施例B1の定着ベルトを得た。
実施例B1において、弾性層材料(シリコーンゴム材料)、弾性層形成の際のA液及びB液の比率(A液:B液(質量比))を、下記表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例B1と同様にして、実施例B2~B4の定着ベルトを得た。
実施例B1において、複合基材の外周面及びフッ素樹脂チューブの内周面に対するプラズマ処理を表1に記載のものに変更した以外は、実施例B1と同様にして、実施例B5の定着ベルトを得た。
実施例B5において、複合基材の外周面及びフッ素樹脂チューブの内周面に対するプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例B5と同様にして、比較例B1の定着ベルトを得た。
(ビニル基の有無)
実施例、比較例で得た各々の樹脂基材又は複合基材の外周面について、既述の「樹脂層又は金属層の内面にビニル基が導入されたかどうかを確認する方法」に記載の方法でビニル基の有無を確認した。
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトについて、95℃100%RHの環境下で24時間保管した。
保管後、定着部材から水分を拭き取り、樹脂基材又は複合基材のみを一部(20mm×20mm)を切り出し、かつ、円周上に切り出した部分の円周部分を基材部分まで切れ目を入れておき、切り出した部分以外の定着ベルトを保持した状態で、切り出した樹脂基材又は複合基材を弾性層の表面に対して90°方向に引っ張ることで、剥離試験1を実施した。
樹脂基材又は複合基材と弾性層との界面における剥離の発生具合(総面積に対する剥離が発生した領域の面積の比(%))を評価した。より具体的には、剥離した樹脂基材又は複合基材に弾性層が残存しているかどうかを確認し、弾性層が残存している面積を算出した。
また、評価基準は以下の通りである。なお、評価A(○)及びB(△)である場合には実用上問題なしと判断した。
A(○):剥離発生領域0.1%未満
B(△):剥離発生領域0.1%以上10%未満(実質上問題ないレベル)
C(×):剥離発生領域10%以上
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトについて、樹脂基材又は複合基材と弾性層との界面に、1気圧100℃の水蒸気を100時間吹き付けた。
その後、定着部材から水分を拭き取り、後に、樹脂基材又は複合基材のみを一部(20mm×20mm)を切り出し、かつ、円周上に切り出した部分の円周部分を基材部分まで切れ目を入れておき、切り出した部分以外の定着ベルトを保持した状態で、切り出した樹脂基材又は複合基材を弾性層の表面に対して90°方向に引っ張ることで、剥離試験2を実施した。
剥離した樹脂基材又は複合基材に残存する弾性層が、剥離した樹脂基材又は複合基材の総面積に対して占める割合を求めた。
また、評価基準は以下の通りである。なお、評価A(○)及びB(△)である場合には実用上問題なしと判断した。
A(○):弾性層の残存面積98%以上
B(△):弾性層の残存面積95%以上98%未満
C(×):弾性層の残存面積95%未満
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトについて、95℃100%RHの環境下で24時間保管した。
次に、実施例A1~A5及び比較例A1の定着ベルトは、画像形成装置「Versant 180 Press(富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。
また、実施例B1~B5及び比較例B1の定着ベルトは、画像形成装置「DocuCentre-IV C5571(富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。
これらの画像形成装置を用いて、A4厚紙(Ncolor209 坪量209グラム/平方メートル)に、画像濃度50%のハーフトーン画像を1,000枚出力した。
その後、定着ベルトを観察し、樹脂基材又は複合基材と弾性層との界面の剥離有無について目紙観察した。表面層の剥離状態を以下の基準で評価した。
A(○): 界面での剥離無し
B(×): 界面での剥離有り
実施例A1~A5及び比較例A1の定着ベルトは、画像形成装置「Versant 180 Press(富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。
また、実施例B1~B5及び比較例B1の定着ベルトは、画像形成装置「DocuCentre-IV C5571(富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。
これらの画像形成装置を用いて、A4凹凸紙(レザック66坪量:151グラム/平方メートル)に、画像濃度50%のハーフトーン画像を1枚出力し、顕微鏡にて用紙凹部のトナーの付着状態を以下の基準で評価した。
A(○): トナー抜け無し
B(△): トナーは存在するが、濃度が低い(実質上問題ないレベル)
C(×): トナー抜けが明確に有り、白抜けしている
特に、高温高湿環境下で保存した後であっても、上記のように界面の剥離が抑制されていることから、本実施例の定着ベルトは、湿度に対する接着耐性も高いことが分かる。
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
200 定着装置
210 加熱ベルト
211 加圧ロール
212 電磁誘導発熱装置
Claims (7)
- 樹脂層又は金属層と、前記樹脂層又は前記金属層の外周面に接触配置された弾性層と、を備え、
前記樹脂層又は前記金属層が前記弾性層と接触する前記外周面にビニル基を有し、
前記弾性層がケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含み、前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]よりも、前記ビニル基の含有量[v]が多く、
前記樹脂層又は前記金属層と前記弾性層との界面に、前記樹脂層又は前記金属層が有するビニル基と前記弾性層の水素結合シリル基とが反応した共有結合を有する定着部材。 - 樹脂層又は金属層と、前記樹脂層又は前記金属層の外周面に接触配置された弾性層と、を備え、
前記樹脂層又は前記金属層が前記弾性層と接触する前記外周面にビニル基を有し、
前記弾性層がケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含み、前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]よりも、前記ビニル基の含有量[v]が多く、
前記樹脂層又は前記金属層と前記弾性層との界面に、1気圧100℃の水蒸気を100時間吹き付けた後に、前記樹脂層又は前記金属層の一部を前記弾性層に対し90°方向に引張り、剥離した前記樹脂層又は前記金属層に残存する前記弾性層が、剥離した前記樹脂層又は前記金属層の総面積に対して95%以上を占める、定着部材。 - 前記樹脂層が樹脂基材であって、前記樹脂基材が、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
- 前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]と前記ビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]が1:1.2乃至1:2.2の範囲である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の定着部材。
- 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の定着部材であり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。 - 請求項5に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項5に記載の定着装置を有する定着手段と、
を備える画像形成装置。
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