JP6965584B2 - 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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基材と、
前記基材上に配置され、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含む弾性層、及び
前記弾性層に接触し、前記弾性層と接触する側の面にビニル基を有する表面層、
を備え、
前記弾性層と前記表面層との界面に、前記弾性層の水素結合シリル基と前記表面層のビニル基とが反応した共有結合を有する定着部材。
前記表面層が、フッ素樹脂を含む樹脂層である<1>に記載の定着部材。
前記表面層が、前記フッ素樹脂を含む樹脂筒状体を前記弾性層に被せた層である<2>に記載の定着部材。
前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]よりも、前記水素結合シリル基の含有量[s]が多い<1>〜<3>のいずれか1に記載の定着部材。
前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]と前記水素結合シリル基の含有量[s]との比[v:s(mol比)]が1:1.1乃至1:2.2の範囲である<4>に記載の定着部材。
前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]よりも、前記ビニル基の含有量[v]が多い<1>〜<3>のいずれか1に記載の定着部材。
前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]と前記ビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]が1:1.4乃至1:2.2の範囲である<6>に記載の定着部材。
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が<1>〜<7>のいずれか1項に記載の定着部材であり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
<8>に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、<8>に記載の定着装置を有する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<4>、又は<5>に係る発明によれば、重合体となる前における、水素結合シリル基の含有量[s]よりも、ビニル基の含有量[v]が多い場合に比べ、弾性層と表面層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<6>、又は<7>に係る発明によれば、重合体となる前における、ビニル基の含有量[v]よりも、水素結合シリル基の含有量[s]が多い場合に比べ、記録媒体の凹凸追随性に優れた定着部材が提供される。
<8>、<9>、又は<10>に係る発明によれば、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサン及びビニル基を有する第2のポリシロキサンの重合体を含む弾性層及び弾性層に接触する表面層を有し、弾性層と接触する側の表面層の面に弾性層中の官能基と共有結合を形成する反応性基を有さない定着部材を備える場合に比べ、弾性層と表面層との接着耐久性に優れた定着部材を備える定着装置、プロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
表面層110Cは、弾性層110Bと接触する側の面にビニル基を有する。
そして、弾性層110Bと表面層110Cとの界面に、弾性層110Bの水素結合シリル基と表面層110Cのビニル基とが反応した共有結合を有している。つまり、弾性層110Bと表面層110Cとは、弾性層110Bの水素結合シリル基と表面層110Cのビニル基との反応により接着されている。
一方、表面層110Cは、弾性層110Bと接触する側の面にビニル基を有している。そして、この表面層110Cのビニル基が弾性層110Bの水素結合シリル基と反応し共有結合を形成している。これにより、表面層110Cと弾性層110Bとの界面における接着力が高まる。
特に、水素結合シリル基とビニル基との反応は、付加反応であるため副生成物(例えばガス)が発生せず、副生成物に起因する表面層110Cと弾性層110Bとの界面における接着力の低下も見られない。
即ち、本実施形態に係る定着部材110を、高温高湿下(例えば、90℃85%RH)で5日間保管する。
保管後の定着部材110に対し、以下の方法を用いて、弾性層110Bからの表面層110Cの剥離の有無を確認した。
即ち、上記保管後12時間以内に定着部材110に20mm幅で周方向に切れ目を入れて表面層110Cを掴み、定着部材110本体との角度を約90度に保った状態で引っ張ることで表面層110Cを剥離する。表面層110Cが弾性層110Bの界面で剥がれた場合は共有結合が形成されていないと判断し、表面層110Cに弾性層110Bの一部が残存した状態で剥がれた場合は共有結合が形成されていると判断する。
なお、表面層110Cと弾性層110Bとの界面に共有結合が形成されていない場合(例えば、表面層110Cと弾性層110Bとの間に形成されている結合が、イオン結合、水素結合等である場合)、保管時の温度及び湿度に影響を受け、表面層110Cは弾性層から剥離してしまう。一方、共有結合は、保管時の温度及び湿度の影響を受け難いため、上記の方法にて、弾性層110Bから表面層110Cの剥離が確認できない場合、表面層110Cと弾性層110Bとの界面に共有結合が形成されていると言える。
本実施形態に係る定着部材110としては、弾性層110B中の重合体となる前における、ビニル基の含有量[v]よりも、水素結合シリル基の含有量[s]が多い第1の態様が挙げられる。この第1の態様では、弾性層110Bの水素結合シリル基と表面層110Cのビニル基との反応量が増加し、その結果、両層の界面で形成される共有結合も多くなる。そのため、第1の態様では、弾性層110Bと表面層110Cとの接着耐久性が向上し易い。
弾性層110Bと表面層110Cとの接着耐久性が向上の観点から、ビニル基の含有量[v]と水素結合シリル基の含有量[s]との比[v:s(mol比)]は、1:1.1乃至1:2.2の範囲が好ましく、1:1.15乃至1:2.2の範囲がより好ましく、1:1.2乃至1:2.2の範囲がさらに好ましい。
本実施形態に係る定着部材110としても、弾性層110B中の重合体となる前における、水素結合シリル基の含有量[s]よりも、ビニル基の含有量[v]が多い第2の態様が挙げられる。この態様では、弾性層110Bの水素結合シリル基と表面層110Cのビニル基との反応量の増加による弾性層110Bと表面層110Cと界面の硬度上昇が抑えられる。つまり、弾性層110Bと表面層110Cとの界面の柔軟性が確保され、変形しやすくなる。そのため、弾性層110Bと表面層110Cとの接着耐久性を高めつつ、記録媒体の凹凸追随性が向上する。
この第2の態様では、弾性層101B中に残存する水素結合シリル基(未反応の水素結合シリル基)と表面層のビニル基との反応により共有結合は形成されるものの、その反応量は第1の態様よりは少ない。弾性層110Bの水素結合シリル基と表面層110Cのビニル基の反応量が増加すると、弾性層110Bと表面層110Cと界面の硬度も上昇する傾向があるが、この第2の形態では、弾性層110Bと表面層110Cとの界面に柔軟性が得られる。このように、弾性層110Bと表面層110Cとの界面に柔軟性があると、変形に対する追従性が高くなる。
つまり、この第2の態様では、弾性層110Bと表面層110Cとの接着耐久性を高めつつ、記録媒体の凹凸追随性が向上する。
弾性層110Bと表面層110Cとの接着耐久性の確保、及び記録媒体の凹凸追随性の向上の観点から、水素結合シリル基の含有量[s]とビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]は、1:1.4乃至1:2.2の範囲が好ましく、1:1.45乃至1:2.1の範囲がより好ましく、1:1.5乃至1:2.0の範囲がさらに好ましい。
重合体となる前における水素結合シリル基(−SiH)及びビニル基(−CH=CH2)の含有量の測定は、重合前つまり弾性層110Bの形成前の段階での第1のポリシロキサン及び第2のポリシロキサンについて、NMR分光法を用いることで行われる。具体的には、第1のポリシロキサンを含む溶液及び第2のポリシロキサンを含む溶液を、それぞれn−ヘキサンで5倍に希釈し、遠心分離を行ってろ液を分取する。その後、溶媒を除去し、重水素化クロロホルム(CDCl3)に溶解してNMR(バリアン社製、製品名:UNITY−300)により解析し、それぞれの含有量が得られる。
本実施形態に係る定着部材は、ロール状であってもよいし、ベルト状であってもよい。また、熱源をその内部又は外部に備えた加熱定着部材であってもよいし、熱源を備えない加圧定着部材であってもよい。
定着部材がロール状の場合、基材としては、例えば、金属(アルミ、SUS、鉄、銅等)、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で構成された円筒体が挙げられる。
定着部材がロール状の場合、基材の外径及び厚さは、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製であれば厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製であれば厚さ0.1mm以上2mm以下がよい。
なお、樹脂ベルトには導電剤などを添加分散して、体積抵抗率が制御されていてもよい。具体的には、樹脂ベルトとしては、例えば、カーボンブラックを添加し分散して体積抵抗率を制御したポリイミドベルトが挙げられる。
また、樹脂ベルトとしては、例えば、長尺のポリイミドシートの両端部をパズル状に組合せ、熱圧着部材を用いて熱圧着し、ベルト状に仕立てたものも挙げられる。
弾性層は、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基(−SiH)を有する第1のポリシロキサンと、ビニル基(−CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンと、の重合体を含む。
水素結合シリル基(−SiH)を有する第1のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第1のポリシロキサンにおいて、水素結合シリル基(−SiH)は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第1のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル基(−CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第2のポリシロキサンにおいて、ビニル基は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第2のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
表面層は、弾性層と接触する側の面にビニル基(−CH=CH2)を有する。
なお、表面層を構成する材料自体としてビニル基を有する材料を用いる方法も考えられる。表面層に求められる機能を保持しつつかつ弾性層と接触する側の面にビニル基を存在させること、材料の入手し易さ、製造の容易性等の点から、ビニル基を有しない材料によって構成された表面層の弾性層と接触する側の面に、表面処理によってビニル基を導入する方法がより好ましい。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。つまり、表面層は、フッ素樹脂を含む樹脂層がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
つまり、表面層は、予め成形された樹脂筒状体を、弾性層に被せた層であることが好ましい。より詳細には、表面層は、表面処理を行って、少なくとも弾性層と接触する側の面にビニル基が導入された樹脂筒状体を、弾性層に被せた層であることが好ましい。
表面層の弾性層と接触する側の面に、ビニル基を導入する表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよい。
具体的には、例えば、表面層に、表面層を構成する耐熱性離型材料と反応する反応基とビニル基とを有する化合物を接触させて、この化合物と表面層を構成する耐熱性離型材料と反応させる方法、エキシマレーザ処理によって表面層に活性点を生じさせ、この活性点にビニル基を有する化合物を反応させる方法、プラズマ処理で2つのビニル基を有する化合物をグラフト重合させる方法が挙げられる。
プラズマ処理に用いられる、2つのビニル基を有する化合物としては、例えば、 ジメチルジビニルシラン、ブタジエン等が挙げられる。
例えば、ジメチルジビニルシランをプラズマ励起ガス中に導入して表面層の内面(弾性層と接触する側の面)をプラズマ処理する方法が挙げられる。
これにより、プラズマが表面層の内面と接触し、ラジカルが表面層を構成するフッ素樹脂に生成する。フッ素樹脂のラジカルと、ジメチルジビニルシランの一方のビニル基とがラジカル反応し、ジメチルジビニルシランが当該フッ素樹脂にグラフト重合する。そして、ジメチルジビニルシランのグラフト重合(枝部)に由来し、表面層の内面に微小な凸部が形成される。
また、プラズマ励起ガスと共に用いられる2つのビニル基を有する化合物は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
表面層の内面(弾性層と接触する側の面)における粗さとしては、算術平均粗さRaは0.08μm未満であることが好ましく、Ra0.07μm以下がより好ましい。
また、粗さ曲線要素の平均長さRSmは15μm未満であることが好ましく、RSm14μm以下がより好ましい。
具体的には、レーザーテック株式会社製コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS H1200)を使用し、高さ方向の分解能0.01μmにて表面層内面の表面形状を測定する。得られた表面形状の任意の位置から表面層の長手方向に150μmの評価長さをとり、二次関数で曲率補正を行った上で、JIS B 0601に基づいて表面粗さを計測する。表面粗さの計測は、実表面の断面曲線から断面曲線を作成するときのカットオフ値を0.0025mm、断面曲線から粗さ曲線を作成するときのカットオフ値を0.08mmとして行われる。
次に、定着部材の製造方法について説明する。
定着部材の製造方法としては、例えば、以下の方法がある。
まず、基材上に、前述の第1のポリシロキサン及び第2のポリシロキサンを含む弾性層形成用の塗布液を塗布し、加熱することで重合体を合成させ硬化して弾性層を形成する。ここで、弾性層と表面層との接着性を高める点から、加熱条件としては、100℃以上150℃以下で5分間以上60分間以下が好ましい。なお、基材と弾性層との間に接着剤層を介してもよく、その場合は、接着層上に弾性層形成用の塗布液を塗布する。
次いで、前述の耐熱性離型材料を用いて製造した樹脂筒状体を準備し、樹脂筒状体内面に前述の表面処理を施してビニル基を導入し、その後、弾性層上に樹脂筒状体を被覆する。なお、樹脂筒状体の被覆後に焼成(例えば180℃以上230℃以下で0.5時間以上8時間以下の焼成)を行うことで、表面層のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応を進めたり、弾性層形成用の塗布液の硬化反応を更に進めてもよい。
以上のようにして、樹脂筒状体は表面層となり、定着部材が製造される。
なお、弾性層側の触媒によって、上記表面層のビニル基と弾性層の水素結合シリル基と反応は進行する。
本実施形態に係る定着部材は、例えば、加熱ロール、加圧ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルト等に適用される。なお、加熱ロール及び加熱ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式による方式等が挙げられる。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
・基材の準備
厚さ65μm、外径30mmのポリイミド樹脂基材を準備した。そして、接着剤として信越化学工業社製の製品名:PRIMER−No32を準備し、ポリイミド樹脂の外周面に厚さ1.0μmとなるよう塗布して、接着剤層を備えたポリイミド樹脂基材(基材)を準備した。
シリコーンゴム材料として信越化学工業社製の製品名:X34−2086のA液及びB液(A液:ビニル基(−CH=CH2)を有する第2のポリシロキサン、及び触媒(白金)を含む、B液:水素結合シリル基(−SiH)を有する第1のポリシロキサン、及びビニル基(−CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンを含む)を準備した。
このA液及びB液を比率(A液:B液(質量比))で1:1で混合し、弾性層形成用の塗布液を得た。この塗布液中のビニル基と水素結合シリル基の量比(mol比)を、前述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
この塗布液をポリイミド樹脂基材(接着剤層)表面に塗布し、120℃15分間加熱して弾性層を形成した。
PFA(三井デュポンフロロケミカル(株)製、451HP−J)を原料とするフッ素樹脂チューブを、射出成形により成形した。
次いで、フッ素樹脂チューブの内面にプラズマ処理を施した。
具体的には、放電電極から印加電圧10kV、周波数18kHz、励起ガス(Ar)とジメチルジビニルシランの混合ガスを用い、その流量1L/minとし、励起ガスに混合した。プラズマ処理時間10秒に設定し、外径29.3mm、肉厚30μmのフッ素樹脂チューブを得た。
実施例1において、弾性層材料(シリコーンゴム材料)、弾性層形成の際のA液及びB液の比率(A液:B液(質量比))を、下記表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の定着ベルトを得た。
なお、表1中、「X34−1053」は、シリコーンゴム材料(信越化学工業社製の製品名:X34−1053)を示す。
実施例1において、表面層に対するプラズマ処理を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の定着ベルトを得た。
実施例1において、表面層に対するプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例5と同様にして定着ベルトを得た。
(ビニル基の有無)
実施例、比較例で得た各々の表面層内面について、既述の「表面層の内面にビニル基が導入されたかどうかを確認する方法」に記載の方法でビニル基の有無を確認した。
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトについて、90℃85%RHの環境下で5日間保管した。次に、定着ベルトの表面層に20mm幅で周方向に向かう切込みを入れ、表面層及び弾性層を保持し、定着ベルトの外側(芯金側から離れる方向)に向かって表面90°方向に引張ることで、剥離試験を実施した。
弾性層と表面層との界面における剥離の発生具合(総面積に対する剥離が発生した領域の面積の比(%))を評価した。より具体的には、剥離した表面層に弾性層が残存しているかどうかを確認し、弾性層が残存している面積を算出した。
また、評価基準は以下の通りである。なお、評価A(○)及びB(△)である場合には実用上問題なしと判断した。
A(○):剥離発生領域0.1%未満
B(△):剥離発生領域0.1%以上10%未満(実質上問題ないレベル)
C(×):剥離発生領域10%以上
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトについて、90℃85%RHの環境下で5日間保管した。次に、定着ベルトを、画像形成装置「 DocuCentre−VI C5571 PFS (富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。
この画像形成装置を用いて、A4厚紙(Ncolor209 坪量209グラム/平方メートル)に、画像濃度50%のハーフトーン画像を1,000枚出力した。
その後定着ベルトを観察し、表面層の剥離有無について目紙観察した。表面層の剥離状態を以下の基準で評価した。
A(○): 表面層剥離無し
B(×): 表面層剥離有り
実施例、比較例で得た各々の定着ベルトを、画像形成装置「DocuCentre−VI C5571 PFS (富士ゼロックス社製)」の定着装置に装着した。 この画像形成装置を用いて、A4凹凸紙(レザック66坪量:151グラム/平方メートル)に、画像濃度50%のハーフトーン画像を1枚出力し、顕微鏡にて用紙凹部のトナーの付着状態を以下の基準で評価した。
A(○): トナー抜け無し
B(△): トナーは存在するが、濃度が低い(実質上問題ないレベル)
C(×): トナー抜けが明確に有り、白抜けしている
特に、高温高湿環境下で保存した後であっても、上記のように界面の剥離が抑制されていることから、本実施例の定着ベルトは、湿度に対する接着耐性も高いことが分かる。
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
Claims (9)
- 基材と、
前記基材上に配置され、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含む弾性層、及び
前記弾性層に接触し、前記弾性層と接触する側の面にビニル基を有する表面層、
を備え、
前記弾性層と前記表面層との界面に、前記弾性層の水素結合シリル基と前記表面層のビニル基とが反応した共有結合を有し、
前記表面層が、フッ素樹脂を含む樹脂層であり、かつ前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)から選択される定着部材。 - 基材と、
前記基材上に配置され、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体を含む弾性層、及び
前記弾性層に接触し、前記弾性層と接触する側の面にビニル基を有する表面層、
を備え、
前記弾性層と前記表面層との界面に、前記弾性層の水素結合シリル基と前記表面層のビニル基とが反応した共有結合を有し、
前記表面層が、フッ素樹脂を含む樹脂筒状体を前記弾性層に被せた層である定着部材。 - 前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]よりも、前記水素結合シリル基の含有量[s]が多い請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
- 前記重合体となる前における、前記ビニル基の含有量[v]と前記水素結合シリル基の含有量[s]との比[v:s(mol比)]が1:1.1乃至1:2.2の範囲である請求項3に記載の定着部材。
- 前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]よりも、前記ビニル基の含有量[v]が多い請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
- 前記重合体となる前における、前記水素結合シリル基の含有量[s]と前記ビニル基の含有量[v]との比[s:v(mol比)]が1:1.4乃至1:2.2の範囲である請求項5に記載の定着部材。
- 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定着部材であり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。 - 請求項7に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項7に記載の定着装置を有する定着手段と、
を備える画像形成装置。
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