JP2019174590A - 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材の提供。【解決手段】ポリイミド樹脂を含む基材と、前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層と、を備える定着部材。【選択図】図1

Description

本発明は、定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、記録材上に形成された未定着のトナー像を定着装置によって定着して画像が形成される。
例えば、特許文献1には、「分子鎖中にアルコキシシランモノマーから誘導された繰返単位を有するオルガノシラン系重合体、および該オルガノシラン系重合体の固形分100重量部あたり0.001〜15重量部の有機チタネート化合物を含んでなるフッ素ゴム組成物用下塗り塗料組成物」が開示されている。この特許文献1の塗料組成物は、シリコーンゴム上に加硫フッ素ゴム層を被覆するとき、接着層として利用することが記載されている。
国際公開第00/60016号
従来、定着部材において、ポリイミド樹脂を含む基材とシリコーンゴムを含む弾性層とを接着させた場合、繰り返しの定着動作により、基材と弾性層との界面で剥離し、接着耐久性が低い傾向がある。特に、高温高湿環境下では、基材と弾性層との界面での剥離が生じやすい。
本発明の課題は、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と前記弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、接着層が、SiH基を有するシロキサンポリマーおよびシランカップリング剤のみを含む組成物の硬化物層である定着部材に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
ポリイミド樹脂を含む基材と、
前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層と、
を備える定着部材。
<2>
前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである前記<1>に記載の定着部材。
<3>
前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである前記<2>に記載の定着部材。
<4>
前記接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の定着部材。
<5>
前記接着層において、前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が60質量%以上95質量%以下である前記<4>に記載の定着部材。
<6>
前記接着層が、前記有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の定着部材。
<7> ポリイミド樹脂を含む基材と、
基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である接着層と、
を備え、
圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である定着部材。
<8>
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
<9>
前記<8>に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<10>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、前記<8>に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
<1>、<2>、又は<3>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、接着層が、SiH基を有するシロキサンポリマーおよびシランカップリング剤のみを含む組成物の硬化物層である定着部材に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<4>、又は<5>に係る発明によれば、接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が少ない場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<6>に係る発明によれば、接着層が、有機チタネート化合物およびSiH基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<7>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と前記弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間未満である場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<8>、<9>又は<10>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と前記弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、接着層が、SiH基を有するシロキサンポリマーおよびシランカップリング剤のみを含む組成物の硬化物層である定着部材を適用した場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材を備えた定着装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
[定着部材]
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
第一実施形態に係る定着部材110は、図1に示すように、例えば、基材110Aと、基材110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた表面層110Cと、を有している。また、基材110Aと弾性層110Bとの間には接着層110Dを有している。
そして、弾性層110Bは、シリコーンゴムを含む。一方、接着層110Dは、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む。
本実施形態に係る定着部材110は、上記構成により、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材となる。その理由は、次の通り推測される。
従来、定着部材において、基材110Aの材質として、屈曲強度および加工性が高いポリイミド樹脂が適用されることがある。
しかし、ポリイミド樹脂を含む基材110Aとシリコーンゴムを含む弾性層110Bとを接着させた場合、繰り返しの定着動作により、基材110Aと弾性層110Bとの界面で剥離し、接着耐久性が低い傾向がある。特に、高温高湿環境下では、基材110Aと弾性層110Bとの界面での剥離が生じやすい。
ポリイミド樹脂は、イミド化によりイミド結合が形成されるため、水酸基などの官能基が金属材料などに比べ少ない。基材110Aの材料に官能基の少ないポリイミド樹脂を適用すると、基材110Aの表面に露出する官能基が少なく、基材110Aと弾性層110Bとを接着に用いられる従来の接着剤(SiH基を有するシロキサンポリマー、シランカップリング剤等)では、基材110Aの表面に存在する官能基との反応が不足する傾向がある。そのため、基材110Aと弾性層110Bとの接着性が十分ではなく、初期接着性が達成されていても、高湿高温環境下における接着耐久性が低い傾向がある。
それに対して、有機チタネート化合物は、シランカップリング剤(アルキルシラン等)に比べ、加水分解時の反応速度が速く、ポリイミド樹脂を含む基材110Aの少ない官能基に対しても加水分解及び脱水縮合反応が十分に発生する。
そのため、基材110Aと弾性層110Bとを接着する接着層に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層110Dを適用すると、基材と弾性層との接着性が向上する。その結果、高湿高温環境下における接着耐久性が向上する。
以上により、第一実施形態に係る定着部材は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材となると推測される。
一方、第二実施形態に係る定着部材110は、図1に示すように、例えば、基材110Aと、基材110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた表面層110Cと、を有している。また、基材110Aと弾性層110Bとの間には接着層110Dを有している。
そして、弾性層110Bは、シリコーンゴムを含む。一方、接着層110Dは、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である。
この層構成において、第二実施形態に係る定着部材110は、圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、基材110Aと弾性層110Bとの接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である。
第二実施形態に係る定着部材110では、上述のように、接着層110Dに加水分解時の反応速度が速い有機チタネート化合物を接着層110Dに適用した上で、基材110Aと弾性層110Bとの接着面積が100%未満となる時間が12時間以上という特性を付与することで、基材110Aと弾性層110Bが向上する。
そのため、第二実施形態に係る定着部材も、上記構成により、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材となる。
なお、第一および第二実施形態に係る定着部材110は、基材110A、弾性層110B、接着層110Dを有する層構成であれば、上記層構成に限られず、必要に応じて、例えば、基材110Aと弾性層110Bとの間に金属層及びその保護層を介在させた層構成、弾性層110Bと表面層110Cとの間に接着層を介在させた層構成、表面層110Cを有さない層構成、これらの層構成を組み合わせた層構成であってもよい。
以下、第一及び第二実施形態(以下、便宜上「本実施形態」とまとめて称する)に係る定着部材110の構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(定着部材の形状)
本実施形態に係る定着部材は、ベルト状の部材(定着ベルト)が例示できる。
(基材)
基材は、ポリイミド樹脂を含む。つまり、基材としては、ポリイミド樹脂層が適用されることがよい。ポリイミド樹脂層には、周知の添加剤が含まれていてもよい。
ポリイミド樹脂としては、特に制限はなく、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。ポリイミド樹脂として具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との等モル量を溶媒中で重合反応させてポリアミド酸の溶液として得て、そのポリアミド酸をイミド化して得られたものが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。
ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンがよく、特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンがよい。
なお、ジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、又は脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
ポリイミド樹脂の数平均分子量は、5000以上100000以下であることがよく、より好ましくは7000以上50000以下、更に好ましくは10000以上30000以下である。
ポリイミド樹脂の数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
基材には、ポリイミド樹脂以外に、導電剤、充填剤、潤滑剤などの周知の添加剤を含んでもよい。
基材の厚みは、例えば、20μm以上200μm以下であることがよく、望ましくは30μm以上150μm以下、より望ましくは40μm以上130μm以下である。
(接着層)
接着層は、基材と弾性層とを接着するための層である。接着層は、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である。
−有機チタネート化合物−
有機チタネート化合物は、「Ti−O−」構造を有するチタン酸エステルが挙げられる。
有機チタネート化合物としては、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、アルキルチタネートが好ましく、テトラアルキルチタネートがより好ましい。
より具体的には、有機チタネート化合物としては、下記一般式(T1)又は(T2)で示される有機チタネート化合物が好ましく、一般式(T1)で示される有機チタネート化合物が好ましい。
・一般式(T1): Ti(OR)
・一般式(T2):(RO)Ti−O−Ti(OR)
ただし、式(T1)及び(T2)中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基を表す。
式(T1)及び(T2)中、Rが表すアルキル基としては、炭素数1以上24以下(好ましくは2以上20以下、より好ましくは3以上12以下)の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。
有機チタネート化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラヘキシルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラオクチルチタネート、ブチルチタネートダイマー等が好ましく、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマーがより好ましく、テトライソプロピルチタネートがさらに好ましい。
有機チタネート化合物としては、その他、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等の周知の有機チタネート化合物も挙げられる。
また、有機チタネート化合物としては、(n−CO)TiOSi(CH)(OC、(n−CO)TiOSi(CH(OC)、[(CHSiO]TiOSi(CH(OC、[(CHSiO]Tiも挙げられる。
有機チタネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
有機チタネート化合物に由来する成分の含有量(反応後の有機チタネート化合物の含有量)は、接着層に対して5質量%以上95質量%以下であり、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、10質量%以上93質量%が好ましく、15質量%以上90質量%がより好ましい。
−他の成分−
接着層は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層であることが好ましい。
・SiH構造を有するシロキサンポリマー
SiH含有シロキサンポリマーは、1つ以上のSiH構造(すなわち、ケイ素原子と水素原子とが直接結合した構造)と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSiH構造の数は、1以上であり、接着剤層と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上100000以下がより好ましく、2以上50000以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上50000以下が好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの数平均分子量は、例えば200以上100000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上50000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
SiH含有シロキサンポリマーの分子構造は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。
SiH含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(1)中、R11〜R17が示す1価の有機基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すシリルオキシ基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17は、これらの中でも、接着性の向上の観点から、水素原子、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基、無置換のフェニル基、無置換のシリルオキシ基、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基で置換されたシリルオキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1以上2以下のアルキル基がより好ましい。
なお、一般式(1)中のnが2以上の場合、一般式(1)で表される化合物における2以上のR13及びR14は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、一般式(1)中のR13とR14とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR11とR12とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR15とR16とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、これらの中でも、R11〜R16が水素、メチル基、又はエチル基であり、R17が水素原子である化合物が好ましく、R11〜R16がいずれもメチル基であり、R17が水素原子である化合物がより好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
SiH含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量(反応後のシロキサンポリマーの含有量)は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、接着層に対して5質量%以上95質量%以下が好ましく、7質量%以上90質量%以下がより好ましい。
なお、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量100質量部に対するSiH含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量は、5質量部以上95質量部以下が好ましく、10質量部以上93質量部以下がより好ましい。
・シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、Si原子にアルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも一方が直接結合した化合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、特に、アルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランは、Si原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示す。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24は、これらの中でも、接着性向上の観点から、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(2)中のR21〜R24は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるテトラアルコキシシランは、これらの中でも、R21〜R24がメチル基又はエチル基である化合物が好ましく、R21〜R24のいずれもがメチル基である化合物がより好ましい。
シランカップリング剤としては、アルケニル基を有するシランカップリング剤(以下、「アルケニル系シランカップリング剤」とも称する)も挙げられる。
ここで、アルケニル基としては、例えば、炭素数2以上4以下のアルケニル基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基が好ましい。
アルケニル系シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
特に、アルケニル系シランカップリング剤として好ましくは、アルケニル基を有し、かつ、3つのアルコキシ基がSi原子に直接結合した化合物が挙げられる。
アルケニル系シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中、R31、R32、及びR33は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示し、R34は、アルケニル基を有する1価の有機基を示す。
一般式(3)中、R31〜R33が示す置換又は無置換のアルキル基としては、例えば、前記一般式(2)中のR21〜R24が示す置換又は無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)中のR31〜R33は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基としては、例えば、アルケニル基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルシクロアルキル基、アルケニルアリール基等が挙げられる。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基は、これらの中でも、アルケニル基が好ましく、末端に二重結合を有するアルケニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
一般式(3)で表されるアルケニル系シランカップリング剤は、これらの中でも、R31〜R33がメチル基又はエチル基であり、R34がビニル基又はアリル基である化合物が好ましく、R31〜R33のいずれもがメチル基であり、R34がビニル基である化合物がより好ましい。
シランカップリング剤としては、その他、エポキシ基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、メタクリル基系シランカップリング剤、スチリル基系シランカップリング剤、及びアミノ基系シランカップリング剤等の周知のカップリング剤も挙げられる。
シランカップリング剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
シランカップリング剤に由来する成分の含有量(反応後のシロキサンポリマーの含有量)は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、接着層に対して5質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上90質量%以下がより好ましい。
なお、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量100質量部に対するシランカップリング剤に由来する成分の含有量は、5質量部以上95質量部以下が好ましく、10質量部以上90質量部以下がより好ましい。
また、SiH含有シロキサンポリマーに由来する成分100質量部に対するシランカップリング剤に由来する成分の含有量としては、例えば、10質量部以上500質量部以下が挙げられ、20質量部以上300質量部以下が好ましい。
・その他の成分
その他の成分としては、例えば、補強性フィラー(例えば、シリカ、酸化鉄、酸化セリウム等)等の周知の添加剤も挙げられる。
(接着剤層の特性)
接着剤層は、弾性層側よりも基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い構成であることが好ましい。この構成により、ポリイミド樹脂を含む基材に対する接着層の接着力が高まり、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性が向上しやすくなる。
接着層は、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が、接着層の厚み方向に段階的に変化する構成であってもよいし、漸次変化する構成であってもよい。
基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、60質量%以上95質量%以下が好ましく、65質量%以上93質量%以下がより好ましい。
基材側と弾性層側との有機チタネート化合物に由来する成分の含有量の差は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、30質量%以上95質量%以下が好ましく、40質量%以上90質量%以下がより好ましい。
弾性層側よりも基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い構成とする方法としては、1)有機チタネート化合物含有量の異なる接着剤形成用組成物を積層化した後、硬化する方法、2)インクジェット法などを利用して、有機チタネート化合物含有量の異なる接着剤形成用組成物の吐出量を変化させながら積層化した後、硬化する方法等が挙げられる。
ここで、基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量とは、基材と接着層との界面から深さ0.01μmの位置での含有量を意味する。一方、弾性層側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量とは、弾性層と接着層との界面から深さ0.01μmの位置での含有量を意味する。
なお、上記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量とは、基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量と弾性層側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量との平均値を意味する。
接着層において、各化合物に由来する成分の含有量は、イオン銃によるイオンエッチングを用いたX線光電子分光分析(XPS)による深さ方向分析、斜め切削装置「Surface And Interfacial Cutting Analysis System(SAICAS)」を用いて、10°斜面を作成したサンプルでのXPS分析等の方法により測定する。
接着剤層の膜厚としては、例えば、0.1μm以上10μm以下が挙げられ、0.2μm以上7μm以下が好ましく、0.3μm以上5μm以下がより好ましい。
(弾性層)
弾性層は、シリコーンゴムを含む。つまり、弾性層は、シリコーンゴム層であることがよい。
シリコーンゴムとしては、ジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)等が挙げられる。
これらの中でも、シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)が好ましい。
そして、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)としては、ケイ素原子に水素原子が結合した水素結合シリル基を有する第1のポリシロキサンとビニル基を有する第2のポリシロキサンとの重合体(以下、「特定のシリコーンゴム」とも称する。)が好ましい。
特定のシリコーンゴムに適用される第1のポリシロキサンについて説明する。
水素結合シリル基(−SiH)を有する第1のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第1のポリシロキサンにおいて、水素結合シリル基(−SiH)は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
第1のポリシロキサンとしては、例えば、主鎖の両末端又は片末端に−SiH(R基を有するオルガノポリシロキサン(なお、Rは水素原子又は有機基を表し、メチル基が好ましく、2つのRは同じであっても異なっていてもよい)、主鎖を構成するSi原子に水素原子が結合した(つまり主鎖中に−[O−Si(−H)(−R)]−の構造を有する)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(なお、Rは水素原子又は有機基を表し、メチル基が好ましい)が挙げられる。
より具体的には、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン/ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン/ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体等のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
これらの第1のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特定のシリコーンゴムに適用される第2のポリシロキサンについて説明する。
ビニル基(−CH=CH)を有する第2のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第2のポリシロキサンにおいて、ビニル基は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
第2のポリシロキサンとしては、例えば、主鎖の両末端又は片末端においてケイ素原子(Si)にビニル基(−CH=CH)が結合したオルガノポリシロキサン、主鎖を構成するSi原子に側鎖となるようビニル基(−CH=CH)が結合したにオルガノポリシロキサンが挙げられる。
より具体的には、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン/メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン/メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体等のオルガノポリシロキサンが挙げられる。
これらの第2のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
弾性層は、シリコーンゴムの他、各種添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層の厚さは、例えば、30μm以上1mm以下であることがよく、望ましくは100μm以上500μm以下である。
(表面層)
表面層は、例えば、耐熱性離型材料(表面層形成用材料)を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
フッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層の厚みは、100μm以下であるが、例えば、5μm以上50μm以下であることがよく、望ましくは10μm以上40μm以下である。
表面層の形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって形成すればよい。
表面層は、表面層となる筒状体を予め準備し、筒状体の内面に接着層を形成した上で、弾性層の外周上に被覆させることで、表面層を形成してもよい。また、表面層は、筒状体の内周面にビニル基等の官能基を導入した上で、弾性層の外周上に被覆させた後、筒状体の内周面に官能基と弾性層の外周面の官能基とを反応させることで、表面層を形成してもよい。
(加圧熱水耐久試験特性)
本実施形態に係る定着部材は、圧力0.35MPa、温度150℃で加圧熱水耐久試験を実施したとき、弾性層と表面層の接着面積が100%未満となる時間が12時間以上(好ましくは24時間以上)である。ただし、この時間の上限は、例えば、200時間以下である。
加圧熱水耐久試験は、具体的には、次の通り実施する。
測定対象となる定着部材から、試験片を採取する。試験片は、軸方向に沿った長さが20mmとなるように定着部材を切断して採取する。
内部環境が圧力0.35MPa、温度150℃となるように設定したスチームオートクレーブに、試験片を投入する。投入後、目的とする時間を経過したとき、試料片をオートクレーブから取り出す。
そして、取り出した試料片の「基材と弾性層と接着面積」を測定する。
「基材と弾性層の接着面積」の測定は、次の通りである。
試料片に対して、90°剥離試験を実施する。90°剥離試験は、JIS−K−6854−1に準じて、温度15〜25℃、湿度30〜70%RHの雰囲気下で、引張速度20mm/min、剥離角度90°の条件で実施する。なお、90°剥離試験は、基材を固定し、弾性層側を引っ張って実施する。
そして、90°剥離試験後、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(残存領域)の面積率(%)を「基材と弾性層と接着面積」として測定する。
残存領域の面積率(%)の測定は、次の通りである。
基材の剥離面をスキャナーによりスキャニングし、2倍で観察した画像を得る。得られた画像のうち、20mm×20mmの領域において、弾性層の一部が残存した残存領域の面積を測定する。
そして、観察面積に対する残存領域の面積の割合(%)を求め、残存領域の面積率(%)とする。
以上の操作を繰り返し、基材と弾性層と接着面積が100%未満となる時間(つまり、スチームオートクレーブに試験片を投入してから試料片を取り出した時間(以下「投入時間」とも称する)を求める。
本実施形態に係る定着部材において、上記加圧熱水耐久試験特性を実現する方法としては、
ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、の間に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層を設ける方法が挙げられる。ただし、この方法に限られるわけではない。
(定着ベルトの用途)
本実施形態に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係る定着部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
[定着装置]
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、トナー像が表面に形成された記録媒体を第1回転体と第2回転体との接触部に挿通してトナー像を定着する定着装置が例示できる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
以下に、第1及び第2実施形態として、加熱ベルトと加圧ロールとを備えた定着装置を説明する。そして、第1及び第2実施形態において、本実施形態に係る定着部材は、加熱ベルト、及び加圧ロールのいずれにも適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
(定着装置の第1実施形態)
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)と、を備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)に維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
(定着装置の第2実施形態)
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第2実施形態に係る定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88との接触部には挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90と、を備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれる。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、複数ある加熱手段の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置は、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、本実施形態に係る定着装置を備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
(基材(PI基材)の作製)
ポリイミド前駆体(ポリイミドワニス「Uワニス−S」、宇部興産製)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を、直径φ30mmの金型上にフローコーターにて塗布し、380℃まで次のステップ昇温により焼成した。前記ステップ昇温は、25℃から120℃まで昇温し、120℃で1時間維持し、120℃から250℃まで昇温し、250℃で1時間維持し、250℃から380℃まで昇温し、380℃で1時間維持した後、380℃から25℃まで降温した。
これにより、外径30mm、膜厚60μm、幅400mmのポリイミド樹脂層単層からなる管状の基材を得た。
(接着剤層、弾性層、及び表面層の形成)
続いて、接着剤として、Primer No32(信越化学工業(株)製)をA液およびB剤それぞれ等量秤量し、5分間撹拌して、PrimerNo.32のA液及びB液の混合剤(以下、「PrimerNo.32AB混合液」とも称する)を得た、その後、PrimerNo.32AB混合液の固形分100部に対して、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)を50部混合し、接着剤塗布液(接着剤層形成用塗布液)を得た。
ウェス塗布法により。得られた接着塗布液を基材(ポリイミド樹脂層)の外周面に塗布し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、30分間風乾後、150℃20分の焼成を行うことで、膜厚0.5μmの接着剤層となる皮膜を形成した。
なお、信越化学工業社製プライマーNo.32は、一般のSi系プライマーに含まれるSiH含有シロキサンポリマーに該当する化合物及びテトラアルコキシシランに該当する化合物、及びアルケニル系シランカップリング剤を含む。
次に、低硬度タイプのシリコーンゴムの原料(X34−1053;信越化学工業製)を酢酸ブチルで15質量%に希釈し、弾性層形成用塗布液を得た。接着剤層となる皮膜の表面(外周面)に、スパイラルコート装置を用いて弾性層形成用塗布液を200μmの厚みになるように塗布して塗膜を形成した。
そして、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
次に、内面に接着層を形成したPFA円筒チューブ(膜厚30μm)を、自己平滑化処理及び一次加硫が行われた弾性層形成用塗布液の塗膜上に被覆し、200℃で4時間焼成した。
こうして、基材の外周面に、接着剤層、弾性層、及び表面層を順次形成し、定着ベルトを得た。
定着ベルトにおいて、接着剤層の膜厚は0.5μm、弾性層の膜厚は200μm、表面層の膜厚は30μmであった。
<実施例2>
実施例1において、PrimerNo.32AB混合液の固形分100部に対して、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)を75部混合した第一の塗布液、25部混合した第二の塗布液を準備した。
そして、第一の塗布液を基材(ポリイミド樹脂層)の外周面に塗布して、塗膜を乾燥した後、乾燥膜上に第二の塗布液を塗布液して、塗膜を乾燥し、膜厚0.5μmの接着層となる皮膜を形成した。膜厚0.5μmの接着層となる皮膜のうち、第一の塗布液による負膜の膜厚は0.2μmとし、第二の塗布液による皮膜の膜厚は0.3μmとした。なお、塗布液の塗布乾燥条件は、実施例1と同様とした。
これら以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例3>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を7部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例4>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を10部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例5>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−21(マツモトファインケミカル社製、テトラノルマルブチルチタネート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例6>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−30(マツモトファインケミカル社製、テトラオクチルチタネート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例7>
実施例1において、弾性層に用いるシリコーンゴムに、高熱伝導フィラーとして、金属ケイ素を使用したシリコーンゴム(X34−2857;信越化学社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<実施例8>
実施例2において、第一の塗布液のTA−8を125部、第二の塗布液のTA−8を10部混合した液を使用した以外は、実施例2と同様にして、定着ベルトを得た。
<比較例1>
実施例1において、有機チタネート化合物を混合しない以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<比較例2>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を3部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
<比較例3>
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を1600部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
(評価方法)
[初期接着性]
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出し、試験片を得た。試験片の弾性層と基材との界面に切れ目を入れ、弾性層と基材とを保持した状態で、90°方向剥離試験を行った。そして、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)を、基材と弾性層の接着面積として測定した。
なお、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)は、上記加圧熱水耐久試験特性で説明した方法で測定した。
[高温高湿接着耐久性]
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出し、試験片を得た。
試験片を、espec社製「高度加速寿命試験装置」に投入し、プレッシャークッカー試験(温度150℃、湿度100%Rh、圧力0.35MPaの条件の試験)を実施した。装置に投入し、100時間経過後、試験片を装置から取り出した。
この試験片を用いた以外は、初期接着性と同様にして、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)を、基材と弾性層の接着面積として測定した。
(加熱加圧耐久試験)
既述の方法に従って、加熱加圧耐久試験を実施後、基材と弾性層と接着面積」を求めた。
ただし、スチームオートクレーブへの試験片の投入時間は、12時間、30時間、48時間、72時間、100時間とした。
各例の一覧を表1に示す。なお、表1中の略称の詳細は、次の通りである。
・TA−8:オルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)
・TA−21:オルガチックスTA−21(マツモトファインケミカル社製、テトラノルマルブチルチタネート)
・TA−30:オルガチックスTA−30(マツモトファインケミカル社製、テトラオクチルチタネート)
・X34−1053:シリコーンゴムの原料(X34−1053;信越化学工業製)
・X34−2857:シリコーンゴムの原料(X34−2857;信越化学工業製)
上記結果から、本実施例のベルトは、比較例のベルトに比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れることがわかる。
60 定着装置
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
110D 接着層

Claims (10)

  1. ポリイミド樹脂を含む基材と、
    前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
    前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層と、
    を備える定着部材。
  2. 前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである請求項2に記載の定着部材。
  4. 前記接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着部材。
  5. 前記接着層において、前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が60質量%以上95質量%以下である請求項4に記載の定着部材。
  6. 前記接着層が、前記有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着部材。
  7. ポリイミド樹脂を含む基材と、
    基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
    前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である接着層と、
    を備え、
    圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である定着部材。
  8. 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
    前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
  9. 請求項8に記載の定着装置を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  10. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項8に記載の定着装置である定着手段と、
    を備える画像形成装置。
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