JP2019174590A - 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリイミド樹脂を含む基材と、
前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層と、
を備える定着部材。
<2>
前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである前記<1>に記載の定着部材。
<3>
前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである前記<2>に記載の定着部材。
<4>
前記接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の定着部材。
<5>
前記接着層において、前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が60質量%以上95質量%以下である前記<4>に記載の定着部材。
<6>
前記接着層が、前記有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の定着部材。
<7> ポリイミド樹脂を含む基材と、
基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である接着層と、
を備え、
圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である定着部材。
<8>
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
<9>
前記<8>に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<10>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、前記<8>に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
<4>、又は<5>に係る発明によれば、接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が少ない場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<6>に係る発明によれば、接着層が、有機チタネート化合物およびSiH基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<7>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と前記弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間未満である場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<8>、<9>又は<10>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と前記弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、接着層が、SiH基を有するシロキサンポリマーおよびシランカップリング剤のみを含む組成物の硬化物層である定着部材を適用した場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材を備えた定着装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
そして、弾性層110Bは、シリコーンゴムを含む。一方、接着層110Dは、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む。
しかし、ポリイミド樹脂を含む基材110Aとシリコーンゴムを含む弾性層110Bとを接着させた場合、繰り返しの定着動作により、基材110Aと弾性層110Bとの界面で剥離し、接着耐久性が低い傾向がある。特に、高温高湿環境下では、基材110Aと弾性層110Bとの界面での剥離が生じやすい。
そのため、基材110Aと弾性層110Bとを接着する接着層に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層110Dを適用すると、基材と弾性層との接着性が向上する。その結果、高湿高温環境下における接着耐久性が向上する。
そして、弾性層110Bは、シリコーンゴムを含む。一方、接着層110Dは、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である。
この層構成において、第二実施形態に係る定着部材110は、圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、基材110Aと弾性層110Bとの接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である。
本実施形態に係る定着部材は、ベルト状の部材(定着ベルト)が例示できる。
基材は、ポリイミド樹脂を含む。つまり、基材としては、ポリイミド樹脂層が適用されることがよい。ポリイミド樹脂層には、周知の添加剤が含まれていてもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
接着層は、基材と弾性層とを接着するための層である。接着層は、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である。
有機チタネート化合物は、「Ti−O−」構造を有するチタン酸エステルが挙げられる。
有機チタネート化合物としては、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、アルキルチタネートが好ましく、テトラアルキルチタネートがより好ましい。
より具体的には、有機チタネート化合物としては、下記一般式(T1)又は(T2)で示される有機チタネート化合物が好ましく、一般式(T1)で示される有機チタネート化合物が好ましい。
・一般式(T1): Ti(OR)4
・一般式(T2):(RO)3Ti−O−Ti(OR)3
ただし、式(T1)及び(T2)中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基を表す。
また、有機チタネート化合物としては、(n−C3H7O)3TiOSi(CH3)(OC3H7)2、(n−C3H7O)3TiOSi(CH3)2(OC3H7)、[(CH3)3SiO]3TiOSi(CH3)2(OC3H7)2、[(CH3)3SiO]4Tiも挙げられる。
接着層は、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層であることが好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーは、1つ以上のSiH構造(すなわち、ケイ素原子と水素原子とが直接結合した構造)と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSiH構造の数は、1以上であり、接着剤層と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上100000以下がより好ましく、2以上50000以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上50000以下が好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの数平均分子量は、例えば200以上100000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上50000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
SiH含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
また、一般式(1)中のR13とR14とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR11とR12とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR15とR16とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
なお、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量100質量部に対するSiH含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量は、5質量部以上95質量部以下が好ましく、10質量部以上93質量部以下がより好ましい。
シランカップリング剤としては、Si原子にアルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも一方が直接結合した化合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、特に、アルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランは、Si原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中のR21〜R24は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるテトラアルコキシシランは、これらの中でも、R21〜R24がメチル基又はエチル基である化合物が好ましく、R21〜R24のいずれもがメチル基である化合物がより好ましい。
ここで、アルケニル基としては、例えば、炭素数2以上4以下のアルケニル基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基が好ましい。
アルケニル系シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中のR31〜R33は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基は、これらの中でも、アルケニル基が好ましく、末端に二重結合を有するアルケニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
なお、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量100質量部に対するシランカップリング剤に由来する成分の含有量は、5質量部以上95質量部以下が好ましく、10質量部以上90質量部以下がより好ましい。
また、SiH含有シロキサンポリマーに由来する成分100質量部に対するシランカップリング剤に由来する成分の含有量としては、例えば、10質量部以上500質量部以下が挙げられ、20質量部以上300質量部以下が好ましい。
その他の成分としては、例えば、補強性フィラー(例えば、シリカ、酸化鉄、酸化セリウム等)等の周知の添加剤も挙げられる。
接着剤層は、弾性層側よりも基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い構成であることが好ましい。この構成により、ポリイミド樹脂を含む基材に対する接着層の接着力が高まり、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性が向上しやすくなる。
なお、上記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量とは、基材側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量と弾性層側の有機チタネート化合物に由来する成分の含有量との平均値を意味する。
弾性層は、シリコーンゴムを含む。つまり、弾性層は、シリコーンゴム層であることがよい。
これらの中でも、シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)が好ましい。
水素結合シリル基(−SiH)を有する第1のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第1のポリシロキサンにおいて、水素結合シリル基(−SiH)は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第1のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル基(−CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第2のポリシロキサンにおいて、ビニル基は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第2のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
表面層は、例えば、耐熱性離型材料(表面層形成用材料)を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
フッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層は、表面層となる筒状体を予め準備し、筒状体の内面に接着層を形成した上で、弾性層の外周上に被覆させることで、表面層を形成してもよい。また、表面層は、筒状体の内周面にビニル基等の官能基を導入した上で、弾性層の外周上に被覆させた後、筒状体の内周面に官能基と弾性層の外周面の官能基とを反応させることで、表面層を形成してもよい。
本実施形態に係る定着部材は、圧力0.35MPa、温度150℃で加圧熱水耐久試験を実施したとき、弾性層と表面層の接着面積が100%未満となる時間が12時間以上(好ましくは24時間以上)である。ただし、この時間の上限は、例えば、200時間以下である。
測定対象となる定着部材から、試験片を採取する。試験片は、軸方向に沿った長さが20mmとなるように定着部材を切断して採取する。
そして、取り出した試料片の「基材と弾性層と接着面積」を測定する。
試料片に対して、90°剥離試験を実施する。90°剥離試験は、JIS−K−6854−1に準じて、温度15〜25℃、湿度30〜70%RHの雰囲気下で、引張速度20mm/min、剥離角度90°の条件で実施する。なお、90°剥離試験は、基材を固定し、弾性層側を引っ張って実施する。
そして、90°剥離試験後、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(残存領域)の面積率(%)を「基材と弾性層と接着面積」として測定する。
基材の剥離面をスキャナーによりスキャニングし、2倍で観察した画像を得る。得られた画像のうち、20mm×20mmの領域において、弾性層の一部が残存した残存領域の面積を測定する。
そして、観察面積に対する残存領域の面積の割合(%)を求め、残存領域の面積率(%)とする。
ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、の間に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層を設ける方法が挙げられる。ただし、この方法に限られるわけではない。
本実施形態に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係る定着部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、トナー像が表面に形成された記録媒体を第1回転体と第2回転体との接触部に挿通してトナー像を定着する定着装置が例示できる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
(基材(PI基材)の作製)
ポリイミド前駆体(ポリイミドワニス「Uワニス−S」、宇部興産製)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を、直径φ30mmの金型上にフローコーターにて塗布し、380℃まで次のステップ昇温により焼成した。前記ステップ昇温は、25℃から120℃まで昇温し、120℃で1時間維持し、120℃から250℃まで昇温し、250℃で1時間維持し、250℃から380℃まで昇温し、380℃で1時間維持した後、380℃から25℃まで降温した。
これにより、外径30mm、膜厚60μm、幅400mmのポリイミド樹脂層単層からなる管状の基材を得た。
続いて、接着剤として、Primer No32(信越化学工業(株)製)をA液およびB剤それぞれ等量秤量し、5分間撹拌して、PrimerNo.32のA液及びB液の混合剤(以下、「PrimerNo.32AB混合液」とも称する)を得た、その後、PrimerNo.32AB混合液の固形分100部に対して、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)を50部混合し、接着剤塗布液(接着剤層形成用塗布液)を得た。
ウェス塗布法により。得られた接着塗布液を基材(ポリイミド樹脂層)の外周面に塗布し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、30分間風乾後、150℃20分の焼成を行うことで、膜厚0.5μmの接着剤層となる皮膜を形成した。
そして、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
定着ベルトにおいて、接着剤層の膜厚は0.5μm、弾性層の膜厚は200μm、表面層の膜厚は30μmであった。
実施例1において、PrimerNo.32AB混合液の固形分100部に対して、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)を75部混合した第一の塗布液、25部混合した第二の塗布液を準備した。
そして、第一の塗布液を基材(ポリイミド樹脂層)の外周面に塗布して、塗膜を乾燥した後、乾燥膜上に第二の塗布液を塗布液して、塗膜を乾燥し、膜厚0.5μmの接着層となる皮膜を形成した。膜厚0.5μmの接着層となる皮膜のうち、第一の塗布液による負膜の膜厚は0.2μmとし、第二の塗布液による皮膜の膜厚は0.3μmとした。なお、塗布液の塗布乾燥条件は、実施例1と同様とした。
これら以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を7部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を10部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−21(マツモトファインケミカル社製、テトラノルマルブチルチタネート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−30(マツモトファインケミカル社製、テトラオクチルチタネート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、弾性層に用いるシリコーンゴムに、高熱伝導フィラーとして、金属ケイ素を使用したシリコーンゴム(X34−2857;信越化学社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例2において、第一の塗布液のTA−8を125部、第二の塗布液のTA−8を10部混合した液を使用した以外は、実施例2と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物を混合しない以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を3部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、有機チタネート化合物としてオルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)の部数を1600部とした以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
[初期接着性]
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出し、試験片を得た。試験片の弾性層と基材との界面に切れ目を入れ、弾性層と基材とを保持した状態で、90°方向剥離試験を行った。そして、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)を、基材と弾性層の接着面積として測定した。
なお、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)は、上記加圧熱水耐久試験特性で説明した方法で測定した。
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出し、試験片を得た。
試験片を、espec社製「高度加速寿命試験装置」に投入し、プレッシャークッカー試験(温度150℃、湿度100%Rh、圧力0.35MPaの条件の試験)を実施した。装置に投入し、100時間経過後、試験片を装置から取り出した。
この試験片を用いた以外は、初期接着性と同様にして、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(弾性層が凝集破壊を起こして残存領域)の面積率(%)を、基材と弾性層の接着面積として測定した。
既述の方法に従って、加熱加圧耐久試験を実施後、基材と弾性層と接着面積」を求めた。
ただし、スチームオートクレーブへの試験片の投入時間は、12時間、30時間、48時間、72時間、100時間とした。
・TA−8:オルガチックスTA−8(マツモトファインケミカル社製、テトライソブチルチタネート)
・TA−21:オルガチックスTA−21(マツモトファインケミカル社製、テトラノルマルブチルチタネート)
・TA−30:オルガチックスTA−30(マツモトファインケミカル社製、テトラオクチルチタネート)
・X34−1053:シリコーンゴムの原料(X34−1053;信越化学工業製)
・X34−2857:シリコーンゴムの原料(X34−2857;信越化学工業製)
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
110D 接着層
Claims (10)
- ポリイミド樹脂を含む基材と、
前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層であり、有機チタネート化合物に由来する成分を5質量%以上95質量%以下含む接着層と、
を備える定着部材。 - 前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである請求項1に記載の定着部材。
- 前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである請求項2に記載の定着部材。
- 前記接着層において、前記弾性層側よりも前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が多い請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着部材。
- 前記接着層において、前記基材側の前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が60質量%以上95質量%以下である請求項4に記載の定着部材。
- 前記接着層が、前記有機チタネート化合物と共に、SiH基を有するシロキサンポリマーと、シランカップリング剤とを含む組成物の硬化物層である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着部材。
- ポリイミド樹脂を含む基材と、
基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である接着層と、
を備え、
圧力0.35MPa、温度150℃の環境下で加圧熱水耐久試験を実施したとき、前記基材と前記弾性層との接着面積が100%未満となる時間が12時間以上である定着部材。 - 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。 - 請求項8に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項8に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
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