JP2010117645A - 耐熱性樹脂ベルト、及び、その製造方法、定着装置、並びに、画像形成装置 - Google Patents
耐熱性樹脂ベルト、及び、その製造方法、定着装置、並びに、画像形成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ポリイミド樹脂シートの両端部を接着してなる無端状ベルト基材の接合部分周囲に、貼り合わせ部の段差解消のために接着剤のはみ出しを生じさせた場合であっても、無端状ベルト基材とその外側に形成された層との間に永続的で、かつ、強固な密着力が得られる耐熱性樹脂ベルトを提供する。
【解決手段】耐熱性樹脂シートを接着剤で円筒状に接着して構成されてなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層されてなる耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記円筒状基体の外表面の耐熱性樹脂シートを構成する樹脂と前記接着剤を構成するポリマーとに、モノマーをグラフト重合によって形成された密着性向上膜を有している耐熱性樹脂ベルト。
【選択図】図1
【解決手段】耐熱性樹脂シートを接着剤で円筒状に接着して構成されてなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層されてなる耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記円筒状基体の外表面の耐熱性樹脂シートを構成する樹脂と前記接着剤を構成するポリマーとに、モノマーをグラフト重合によって形成された密着性向上膜を有している耐熱性樹脂ベルト。
【選択図】図1
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着される定着装置などに用いられる耐熱性樹脂ベルト、係る耐熱性樹脂ベルトを定着ベルトとして備える定着装置、及び、係る定着装置を備える画像形成装置に関する。
電子写真装置等に用いられる耐熱性無端ベルトの内でも、紙搬送ベルト、中間転写ベルト等の耐熱性無端ベルトには、高い圧力が作用し、また、定着ベルトには、高い温度と高い圧力とが作用するので、これらの電子写真装置に用いられる耐熱性無端ベルトには、高い耐熱性と機械的強度とが要求される。
これらの要求を満足するために、これらの耐熱性無端ベルトを構成する材料にはポリイミド樹脂が用いられている。ポリイミド樹脂からなる耐熱性無端ベルトを製作する技術としては、ポリイミド樹脂前駆体を含むポリイミドワニスを金属で構成される円筒体の外周面にキャスト成形した後、このキャスト成形したポリイミドワニスを加熱してイミド化することによりポリイミド無端ベルトとする技術が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この技術では、イミド化工程に時間がかかるので生産性が低い上に、多量生産のために高価な金型を多く必要とし、さらに、ベルトの寸法規格が変更される度に新たな金型が必要となるので、イニシャルコスト、ランニングコストが共に高くなるという問題があった。
そこで、工業的に比較的安価に生産されているポリイミドシートを加工して筒状に貼り合わせ、無端ベルトとする技術が提案されている(特許文献2)。この技術では、非熱可塑性ポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミド樹脂とを貼り合せて、熱可塑性ポリイミド樹脂を溶融接着させることにより、ポリイミド無端ベルトを得ている。しかしながら、この技術では、接合部を溶融接着する際に、溶融接着部分の膜厚を非接合部の膜厚と同一レベルにすることが難しく、また、溶融接着部分と非接合部とで部分的な硬さの違いを生じることなく、かつ、表面平滑性を損なうことなく接合することが難しい。このために、この技術に係るベルトを画像形成装置に応用すると、接合部分の定着画像にスジ状の不良が発生するという問題があった。
また、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂シートの両端部を接着することにより、無端状ベルトとする技術が提案されている(特許文献3)。
これら技術により得られたポリイミド無端ベルトを定着ベルトとするには、ポリイミド無端ベルトの表面にシリコーン弾性層やフッ素樹脂系離型層等を積層する。
このとき、シリコーン弾性層の濡れ性が低い場合、シランカップリング剤などのプライマー処理を施すことでフッ素樹脂系離型層をコーティングすることが一般的である。しかし低コスト化を考慮し、ひいては昨今の環境問題を鑑みると、これらプライマー処理で必須の有機溶剤の全廃が求められている。
一方、シリコーン樹脂における有機基の置換により濡れ性の向上は可能であるが、ポリイミドとの密着力を維持する、あるいは何らかの理由でシリコーン樹脂全体の改質を行うことができない場合はプラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理などから選択された物理的な表面処理を行うことになる。しかしこれらの処理はその処理効果の有効持続時間が短いために、工業的には不利になっている。
また、定着ベルトとしての使用環境で考えると定着温度(180℃前後)での永続的で、かつ、強固な密着力が必要となり、これら処理に代替できる優れた接着性改善方法が求められており、さらにそれは、生産性が良く、低コストでの製造が可能な、耐熱性樹脂シートを接着剤で円筒状に接着して構成されてなる円筒状基体において、接合部分周囲に接着剤のはみ出しが生じた場合であっても、そのはみ出した接着剤を除去する工程の追加なしに、対応できるものでなければならなかった。
特開平7−295396号特公報
特開平11−291348号公報
特開平10−698号公報
特開2008−19393号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ポリイミド樹脂シートの両端部を接着してなる無端状ベルト基材の接合部分周囲に、貼り合わせ部の段差解消のために接着剤のはみ出しを生じさせた場合であっても、プライマー処理なしで、無端状ベルト基材とその外側に形成された層との間に永続的で、かつ、強固な密着力が得られる耐熱性樹脂ベルトを提供することを目的としている。
本発明者等は、上記課題の解決に当たって、フッ素樹脂表面の濡れ性改善において、重合性モノマーにアクリル系モノマーの蒸気プラズマを利用するプラズマグラフト重合法により、アクリル樹脂層をフッ素樹脂表面に得る技術(特許文献4)を参考として、本発明に至った。
すなわち、本発明の耐熱性樹脂ベルトは上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、耐熱性樹脂シートの両端を接着剤で接着して円筒状に形成してなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層された耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記円筒状基体の外表面に、該円筒状基体の外表面の耐熱性樹脂シートと前記接着剤とにモノマーをグラフト重合することによって形成された、密着性向上膜が設けられていることを特徴とする耐熱性樹脂ベルトである。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは請求項2に記載の通り、請求項1に記載の耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記接着剤が、付加重合型シリコーン系接着剤であることを特徴とする。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記モノマーが、親水性官能基を有していることを特徴とする。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記耐熱性樹脂シートが、熱硬化性ポリイミドにより構成されていることを特徴とする。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記弾性層が、シリコーンゴムにより構成されていることを特徴とする。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルトにおいて、請求項1に記載の離型層が、フッ素樹脂により構成されていることを特徴とする。
また、本発明の定着装置は請求項7に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルトを定着ベルトとして備えていることを特徴とする定着装置である。
また、本発明の画像形成装置は請求項8に記載の通り、請求項7に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の耐熱性樹脂ベルトの製造方法は請求項9に記載の通り、耐熱性樹脂シートを接着剤で円筒状に接着して構成されてなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層されてなる耐熱性樹脂ベルトの製造方法において、前記円筒状基体の外表面に、モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程を有していることを特徴とする耐熱性樹脂ベルトの製造方法である。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトの製造方法は請求項10に記載の通り、前記円筒状基体の外表面が、活性化処理されたものであることを特徴とする請求項9の耐熱性樹脂ベルトの製造方法である。
本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、ポリイミド樹脂シートの両端部を接着してなる無端状ベルト基材の接合部分周囲に、貼り合わせ段差解消のために、接着剤のはみ出しがある場合であっても、円筒状基体の外表面に、モノマーをグラフト重合させて構成された密着性向上膜が形成されているために、プライマー処理なしで、かつ、低コストで、無端状ベルト基材と該基材外側に形成された層との間に永続的で、かつ、強固な密着力が得られる耐熱性樹脂ベルトとなり、画像形成装置の定着装置の定着ベルトとして好適に用いることができる。さらに、上記密着性向上膜はその効果が半永久的に維持されるために、工程間タクトを考慮する必要がないので、生産効率が高く、かつ、生産計画のフレキシビリティが向上する。
また、請求項2に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、上記効果に加え、接着剤が、付加重合型シリコーン系接着剤であるために、ポリイミド等の耐熱性樹脂シート材料に対する優れた接着性を発揮でき、さらには、接合部付近のシート材の柔軟性を他の部分同様に維持できる。また、後工程として離型層形成時に300〜350℃の短時間(30分以下)熱処理を行った場合でも、酸化劣化を抑制でき、その結果、信頼性の高い耐熱性樹脂ベルトを提供できる。
また、請求項3に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、上記効果に加え、モノマーが親水性官能基を有していることにより、密着力をより強固にすることができる。このとき、親水性官能基は製品仕様により選択し、最適化させることができる。
また、請求項4に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、上記効果に加え、前記耐熱性樹脂シートが、熱硬化性ポリイミドにより構成されているために、耐熱性、及び、機械的強度が高く、ベルトの外形変位値を小さくできる。そのため、画像形成装置に応用した場合に、高画質、高耐久の画像形成装置とすることができる。
また、請求項5に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、上記効果に加え、前記弾性層が、シリコーンゴムにより構成されていることにより、高品質、すなわち、定着ベルトとしたときに定着温度環境下で充分な耐久性をもち、機械的強度を保ちながら、安価なものとすることができる。
また、請求項6に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトによれば、上記効果に加え、離型層が、フッ素樹脂により構成されているために、高品質、すなわち、定着ベルトとしたときに定着温度環境下で紙に対して良好な離型性を持ちながら、安価なものとすることができる。
また、本発明の定着装置は、上記の耐熱性樹脂ベルトを定着ベルトとして備えているために、安定した定着能力を備えた、耐久性の高い定着装置である。
また、本発明の画像形成装置は、上記の定着装置を備えているために、瑕疵のない画像を安定的に形成できる、耐久性の高い画像形成装置である。
本発明の耐熱性樹脂ベルトの製造方法によれば、上記のような優れた耐熱性樹脂ベルトを製造することができる。
また、請求項10に記載の本発明の耐熱性樹脂ベルトの製造方法によれば、多くのモノマーをグラフト重合させることができる。
本発明の耐熱性樹脂ベルトは、耐熱性樹脂シートの両端を接着剤で接着して円筒状に形成してなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層された耐熱性樹脂ベルトにおいて、前記円筒状基体の外表面に、該円筒状基体の外表面の耐熱性樹脂シートと前記接着剤とにモノマーをグラフト重合することによって形成された、密着性向上膜が設けられている前記円筒状基体の外表面に、モノマーをグラフト重合させて構成された密着性向上膜が形成されている耐熱性樹脂ベルトである。
図1に本発明に係る耐熱性樹脂ベルトの一例の接合部付近のモデル断面図を示す。符号1は耐熱性樹脂シートであり、この例ではその両端に傾斜形状部が設けられ、その斜面同士が耐熱性接着剤2により接着されて、円筒状基体が構成されており、その外表面にモノマーをグラフト重合させて構成された密着性向上膜4、さらに、弾性層5、離型層6がこの順に設けられている。なお、符号3は接合部からはみ出した接着剤である。
耐熱性樹脂シートとしては、スーパーエンジニアリングプラスチックとされる、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PS)、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられるが、熱硬化性ポリイミドが耐熱性と機械的強度に最も優れた耐熱性樹脂ベルトを提供することができ、そのときの耐熱性樹脂ベルトは外形変位値を小さくなるので好ましい。
耐熱性樹脂シートの厚さとしては、ベルトとして求められる耐久性、柔軟性を勘案して決定するが、通常50μm以上125μm以下であり、この範囲より薄いと充分な耐久性が得られないことがあり、また、この範囲より厚いと充分な柔軟性が得られない場合がある。
このような耐熱性樹脂シートを所定の大きさに切断した後、その両端を貼り合わせてベルトとするが、このとき、段差ができないように、耐熱性樹脂シートの一方の先端部分の表面を傾斜形状に、例えばルーターとそのルーター軸に対して斜めにシート端部を保つ治具とを用いて、切削加工して、端に向かって該耐熱性樹脂シートの厚さが徐々に薄くなる第1の傾斜状薄肉部とすると共に、その他方の先端部分の裏面を傾斜形状に切削加工して端に向かって該耐熱性樹脂シートの厚さが徐々に薄くなる第2の傾斜状薄肉部とし、これら傾斜状薄肉部を接着剤により貼り合わせることが、段部が形成されず、加工が容易であり、また、高い接着性が得られるので好ましく、以下、このように加工した耐熱性樹脂シートを用いた例について記載する。
用いる接着剤としては耐熱性付加重合型シリコーン系接着剤が最適である。特に耐熱性向上のために鉄酸化物(ベンガラ等)、チタン酸化物、金属酸化物等の顔料が分散されたシリコーン等、酸素ラジカルの影響を受けにくい材料が好適である。
従来から、耐熱性樹脂シート、主としてポリイミドフィルムを接着する接着剤としては、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤等の接着剤が用いられていたが、(1)ポリイミドフィルムを強固に接着できてポリイミドシート破断レベルと同等のせん断強度を有すること、(2)300〜350℃での30分の熱処理(後述する離型層形成のための条件)で接着力の低下が少ないこと。(3)150〜200℃での定着ベルトとしての動作環境で接着力が低下しないこと、及び、(4)接合部が部品の機能に影響を与えないこと、といったこれら全要件を満足する接着剤としてシリコーン系接着剤が最も好ましい。
このようなシリコーン系接着剤には、縮合反応型シリコーン系接着剤と付加重合型シリコーン系接着剤との2種類がある。
ここで、縮合反応型シリコーン系接着剤には、脱オキシム型シリコーン系接着剤、脱酢酸型シリコーン系接着剤、脱アセトン型シリコーン系接着剤の3種類があるが、いずれも空気中の水分で反応が進むので、その硬化物の強度が弱く、そのために、これら接着剤のポリイミドフィルムへの接着強度はフィルム破断レベルまでは到達しない。また、これらの縮合反応型シリコーン系接着剤は、室温でも反応が進むので、ポットライフが短く、そのために、塗布方法に制約が発生する。また、これらの縮合反応型シリコーン系接着剤は、スクリーン印刷等の生産性の良い塗布方法には使えないことが多い。
一方、付加重合型シリコーン系接着剤は、加熱により付加重合するので、100〜150℃の加熱で架橋反応が進む。その硬化物の強度は、縮合反応型の接着剤より強く、ポリイミドフィルムへの接着強度は、フィルム破断レベルまで到達するものがある。また、付加重合型シリコーン系接着剤は、室温での反応性が低いので、ポットライフも室温で24時間確保でき、そのために、スクリーン印刷による連続加工が可能になるという利点を有している。よって本発明においては、付加重合型シリコーン系接着剤を適用することが好ましい。
接着時には接着剤の接着条件に応じて、接着箇所の加熱や加圧を行う。また、接着時には、充分な接着強度が得られるように、不足するよりはむしろ、若干、過剰量の接着剤を用いることが好ましく、このとき、接着面からはみ出した接着剤が、貼り合わせ箇所の段差解消に寄与するように上記傾斜状薄肉部の形状を決定する。
図2に接合方法の一例を示す。耐熱性樹脂シートの両端に設けられた傾斜状薄肉部の両方にスクリーン印刷により接着剤が塗布された接着剤塗布済み耐熱性樹脂シート9を巻き付け用コア7に巻き付ける。このとき傾斜状薄肉部が巻き付け用コア7のコア内蔵ヒータ8付近になるように巻き付け、コア内蔵ヒータ8により接着剤を硬化させて接合し、円筒状基体を形成する。
このように形成された円筒状基体の外表面には、耐熱性樹脂のみならず、接着剤が露出している箇所がある場合が生じる。
これら耐熱性樹脂及び接着剤の濡れ性(接触角)が近いことは稀であるが、本発明では、これら異なった2種の材料を表面に持つ基体に対して、モノマーをグラフト重合させる密着性向上加工を行って密着性向上膜を形成させることにより、基体と基体の外側に形成された層との間の密着力を接合部付近も含めて向上させることができる。
密着性向上膜の形成に用いられるモノマーとしては、重合性を有するものであることが必要である。このような重合性モノマーのうち、高い接着性向上効果が得られるので、親水性官能基を持つものを用いる、あるいは、併用することが好ましい。ここで、一般に親水性官能基を持つ重合性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンジルトリメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。このうち、同時に定着温度に耐えうる耐熱性、及びコストを考慮するとアクリル酸をモノマーとして用いることが好ましい。
グラフト重合に際しては、円筒形基体に対する物理的な表面処理としてプラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理から選択される活性化処理を行いながら、その処理表面にモノマーを接触させることが、多くのモノマーをグラフト重合させることができ、より高い密着性を得ることができるので、好ましい。
すなわち、物理的な表面処理後の表面には、即座に酸素ラジカルによる阻害が生じるので、物理的な表面処理と同時にモノマーの蒸気を当てる工法が均一性の観点から考えても好ましく、このようにすることにより物理的な表面処理面にモノマーがフラフト重合することが知られている。
ここでモノマーの蒸気としては、空気やアルゴンガスをモノマー中にバブリングして調製した混合ガスなども用いることができる。ここで上記物理的な表面処理のうち、プラズマ処理が高い結合解離エネルギーを持っており、また大気圧下で行うことができるために最も好ましい。
このように、密着性向上膜を形成後に、弾性層を形成する。
弾性層は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどから構成することが一般的であるが、このうちシリコーン化合物からなると、300〜350℃での30分の熱処理(後述する離型層形成のための条件)での耐熱性がえられ、定着ベルトとして動作温度である150〜200℃での長期間の耐久性、及び、塗布後の表面の平滑性が得られるので好ましい。
弾性層の外側には離型層を形成する。
離型層としては高い離型性が得られのるで、フッ素系樹脂により形成することが好ましく、その中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリテトラフロオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などの四フッ化樹脂をベースとする有機基置換体から形成することが汎用品であることから低コストで製作することができるので好ましい。
このとき、水分を多く含むポリテトラフロオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などの離型層形成原料を用いる場合には、シリコーン系弾性層表面の濡れ性が良好でないために、この濡れ性を改善し、かつ、弾性層と離型層との密着性を向上させる目的で、円筒状基体の外表面と同様に、シリコーン系弾性層の外表面に密着性向上膜を形成することが好ましい。
また、本発明の耐熱性樹脂ベルトは、これら円筒状基体、弾性層、及び、表面層の他に、定着ベルトとするときなどでは、円筒状基体の裏面、あるいは、円筒状基体と弾性層との間などに、導電層を設けても良い。また、このような導電層を導入する代わりに、弾性層にカーボンブラックなどを配合した導電性のシリコーン樹脂を使用することで、定着ベルトに導電性を与えることも可能である。これら導電性層により、静電オフセットの無い高画質な定着ベルトとすることができる。
このように形成された本発明に係る耐熱性樹脂ベルトを定着ベルトとして有する画像形成装置用の定着装置の一例を図3に示す。
この定着装置では、定着ベルト10は定着ベルト10の内側から定着ローラ11、テンションローラ12、および、加熱ローラ15により懸架されており、このうち、テンションローラ12は定着ベルト10の内側から外側に向かって付勢されており、定着ベルト10にテンションを付与している。加熱ローラ15は内部のヒータ14によって加熱され、その熱は定着ベルト10に伝わり、加圧ローラ16の回転と定着ローラ11との回転(矢印で共に図示した)に従って回転する定着ベルト10によって定着ベルト10と加圧ローラ16との間に形成されるニップ部に伝わり、未定着画像とともに紙17がこのニップ部によって加圧・加熱されて、画像が定着される。また、定着ベルト10の離型層表面にはオイル塗布ブレード13により、オイルが塗布されて、離型層の離型性が保持される。
以下、本発明をその実施例によってさらに具体的に説明する。
(実施例1)
厚さ50μmの熱硬化性ポリイミドシートを370mm×157mmの大きさに切り出し、この熱硬化性ポリイミドシートの長辺側の一方の端部5mm位置の表面と、他方の端部5mm位置の裏面とを先端部の厚さが20μmとなるようにそれぞれ傾斜形状に切削加工して(図1参照)、5mm幅の切削領域をそれぞれ設けた。
厚さ50μmの熱硬化性ポリイミドシートを370mm×157mmの大きさに切り出し、この熱硬化性ポリイミドシートの長辺側の一方の端部5mm位置の表面と、他方の端部5mm位置の裏面とを先端部の厚さが20μmとなるようにそれぞれ傾斜形状に切削加工して(図1参照)、5mm幅の切削領域をそれぞれ設けた。
付加重合型シリコーン系接着剤(東レ・ダウコーニング社製SE−1700)に酸化鉄粉末を10重量%となるよう配合し、耐熱性付加重合型シリコーン系接着剤として、上記切削領域の一方の面に、切削幅5mmに対して接着剤の塗布幅が4.8mm、及び、厚さが12±2.0μmとなるように、スクリーン印刷し、次いで、図2に示すように前記接着剤を塗布した熱硬化性ポリイミドシートを、直径50mmの円柱状のコアに巻きつけ、接合部を重ね合わせ、その後、前記接合部を加圧しながらコア内にあるヒータで、200℃に3分間加熱することにより上記接着剤を一次硬化させ、次いで、この耐熱性樹脂ベルトコアから外し、直径が50mmの円柱状の他のコアを挿入した後、150℃の加熱炉に入れた後に、昇温し、最終的に260℃での熱処理を10分行うことで上記接着剤を2次硬化させて、円筒状基体を得た。
この円筒状基体の外表面に対して、窒素ガス中、かつ、大気圧下でプラズマ照射しながらプラズマ照射部に、アクリル酸モノマーを45℃に加熱して得た蒸気1.2L/分とアルゴン30L/分とを混合してえた混合ガスを10分間供給し、接合部付近の接着剤部を含めて、密着性向上膜を形成した。
この密着性向上膜が形成された円筒状基体の外表面に導電性シリコーン樹脂溶液(信越化学工業社製X−30−3237−U)をディッピング塗装して塗膜を形成し、次いで200℃、4時間の焼成処理を行って厚さ150μmのシリコーン弾性層を形成した。
このシリコーン弾性層の表面にPFAの水分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−950HPPlus)をディッピング塗装して塗膜を形成し、次いで、340℃で20分間の熱処理を行い、厚さ30μmの離形層を形成し、本発明に係る耐熱性樹脂ベルトAを得た。
この耐熱性樹脂ベルトAの裏面側に、導電性材料としてカーボンブラックを配合したフェノール樹脂(大日本インキ社製フェノライト5010)を塗布して導電性層(厚さ:5μm)を形成して耐熱性定着ベルトA1を得た。
さらに、この耐熱性定着ベルトA1を図3にモデル的に示した定着装置に取り付け、ヒータによる加熱温度を180℃として、空回し試験、すなわち、画像形成なしでの通紙を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。さらに、その後、剥離試験(条件:耐熱性定着ベルトA1から切り取ったサンプル(9mm×100mm、ベルトの軸方向にサンプルの長辺方向が一致するようにサンプリング)を180℃のホットプレート上に保持しながら90°剥離試験を行った。このとき、基体ベルトの接合部を含む部分での基体と弾性層との密着強度は151gf/9mm(1.48N/9mm)であり、基体ベルトの非接合部だけの部分での基体と弾性層との密着強度(132gf/9mm(1.29N/9mm))と同レベルの強度が得られ、さらにその破壊状態を観察したところ、基体ベルトの接合部でも基体ベルトの非接合部と同様に剥離は生じておらず、弾性層の破壊であったことが確認された。
(実施例2)
上記耐熱性定着ベルトA1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこなって、耐熱性定着ベルトB1を得た。このとき、密着性向上膜の形成後の表面が撥水性がなくなり、その結果、PFAの水分散液のディッピング塗装による塗膜が均一となった。
上記耐熱性定着ベルトA1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこなって、耐熱性定着ベルトB1を得た。このとき、密着性向上膜の形成後の表面が撥水性がなくなり、その結果、PFAの水分散液のディッピング塗装による塗膜が均一となった。
この耐熱性定着ベルトB1を耐熱性定着ベルトA1同様定着装置での空回し試験を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。さらに、その後、剥離試験を行ったが、基体ベルトの接合部を含む部分でも、基体ベルトの非接合部だけの部分と同レベルの強度が得られ、さらにその破壊状態を観察したところ、基体ベルトの接合部でも基体ベルトの非接合部と同様に剥離は生じておらず、弾性層の破壊であったことが確認された。
(実施例3)
上記耐熱性定着ベルトA1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこない、次いで、密着性向上膜上に、耐熱性定着ベルトA1では裏面側に設けた導電層を設け、この導電層の上に、さらに、密着性向上膜の形成を行った後に、離形層を形成し、耐熱性定着ベルトC1を得た。このときも、密着性向上膜の形成後の表面が撥水性がなくなり、その結果、PFAの水分散液のディッピング塗装による塗膜が均一となった。
上記耐熱性定着ベルトA1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこない、次いで、密着性向上膜上に、耐熱性定着ベルトA1では裏面側に設けた導電層を設け、この導電層の上に、さらに、密着性向上膜の形成を行った後に、離形層を形成し、耐熱性定着ベルトC1を得た。このときも、密着性向上膜の形成後の表面が撥水性がなくなり、その結果、PFAの水分散液のディッピング塗装による塗膜が均一となった。
この耐熱性定着ベルトC1を耐熱性定着ベルトA1同様定着装置での空回し試験を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。
その後、導電層と弾性層との間、及び、弾性層と離型層との間について剥離試験をそれぞれ行ったが、それぞれ密着力は127gf/9mm(1.25N/9mm)、及び136gf/9mm(1.33N/9mm)と充分に高いものであった。
(実施例4)
実施例1同様に、ただし厚さ125μmの熱硬化性ポリイミドシートを400mm×157mmの大きさに切り出し、この熱硬化性ポリイミドシートの長辺側の一方の端部7mm位置の表面と、他方の端部裏面とを先端部の厚さが22μmとなるようにそれぞれ傾斜形状に切削加工して(図1参照)、7mm幅の切削領域を設け、接着剤の塗布幅を6.5mmとし、直径50mmのコアの代わりに直径140mmのコア2つ(1つは内部にヒータを有し、他方のコアはヒータを有しない)を用いて、本発明に係る耐熱性樹脂ベルトDを得た。
実施例1同様に、ただし厚さ125μmの熱硬化性ポリイミドシートを400mm×157mmの大きさに切り出し、この熱硬化性ポリイミドシートの長辺側の一方の端部7mm位置の表面と、他方の端部裏面とを先端部の厚さが22μmとなるようにそれぞれ傾斜形状に切削加工して(図1参照)、7mm幅の切削領域を設け、接着剤の塗布幅を6.5mmとし、直径50mmのコアの代わりに直径140mmのコア2つ(1つは内部にヒータを有し、他方のコアはヒータを有しない)を用いて、本発明に係る耐熱性樹脂ベルトDを得た。
この耐熱性樹脂ベルトDの軸方向両端部を12mmずつ切断した後、ベルト寄止を両端部に接着して内径が140mmの耐熱性定着ベルトD1を得た。
耐熱性定着ベルトD1ではベルト全域でむらのない表面性が確保できていた。
さらにこの耐熱性定着ベルトD1を定着装置に取り付け、ヒータによる加熱温度を180℃として、空回し試験を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。
その後ベルトからテストピースを切り出し、剥離試験を行ったところ基体ベルトの接合部を含む部分での基体と弾性層との密着強度は138gf/9mm(1.35N/9mm)と、基体ベルトの非接合部だけの部分での密着力147gf/9mm(1.44N/9mm)と同等の強度が得られ、さらにその破壊状態を観察したところ、基体ベルトの接合部でも基体ベルトの非接合部と同様に剥離は生じておらず、弾性層の破壊であったことが確認された。
(実施例5)
上記耐熱性定着ベルトD1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこない、次いで、密着性向上膜上に、耐熱性定着ベルトD1では裏面側に設けた導電層を設け、この導電層の上に、さらに、密着性向上膜の形成を行った後に、離形層を形成し、耐熱性定着ベルトE1を得た。このときも、PFAの水分散液のディッピング塗装が容易となった。
上記耐熱性定着ベルトD1と同様に、ただし、弾性層形成後に、その表面に対して、円筒状基体に対して行ったのと同様に密着性向上膜の形成をおこない、次いで、密着性向上膜上に、耐熱性定着ベルトD1では裏面側に設けた導電層を設け、この導電層の上に、さらに、密着性向上膜の形成を行った後に、離形層を形成し、耐熱性定着ベルトE1を得た。このときも、PFAの水分散液のディッピング塗装が容易となった。
この耐熱性定着ベルトE1を耐熱性定着ベルトD1同様に定着装置での空回し試験を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。
その後、導電層と弾性層との間、及び、弾性層と離型層との間について剥離試験をそれぞれ行ったが、それぞれ密着力は126gf/9mm(1.24N/9mm)、及び、142gf/9mm(1.39N/9mm)と充分に高いものであった。
(比較例1)
上記耐熱性定着ベルトC1と同様に、ただし、密着性向上膜の形成の代わりに東レ・ダウコーニング社製DY39−067を用いてプライマー処理を行い、耐熱性定着ベルトF1を得た。
上記耐熱性定着ベルトC1と同様に、ただし、密着性向上膜の形成の代わりに東レ・ダウコーニング社製DY39−067を用いてプライマー処理を行い、耐熱性定着ベルトF1を得た。
この耐熱性定着ベルトF1を定着装置に取り付け、ヒータによる加熱温度を180℃として、空回し試験を40万枚行ったが、何らの障害も生じなかった。
その後、このベルトからテストピースを切り出し、剥離試験を行ったところ基体ベルトの接合部を含む部分での基体と弾性層との密着力は99gf/9mm(97N/9mm)、基体ベルトの非接合部だけの部分での基体と弾性層との密着力は102gf/9mm(1.0N/9mm)であって、さらにその破壊状態を観察したところ、基体と弾性層の界面は、界面剥離と弾性層破壊とが混在した状態であった。
また、弾性層と離型層との間の密着力は82gf/9mm(0.80N/9mm)であり、その破壊状態を観察したところ、弾性層と剥離層とが界面剥離を生じていることが判った。
1 耐熱性樹脂シート
2 耐熱性接着剤
3 はみ出し部接着剤
4 密着性向上膜
5 弾性層
6 離型層
2 耐熱性接着剤
3 はみ出し部接着剤
4 密着性向上膜
5 弾性層
6 離型層
Claims (10)
- 耐熱性樹脂シートの両端を接着剤で接着して円筒状に形成してなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層された耐熱性樹脂ベルトにおいて、
前記円筒状基体の外表面に、該円筒状基体の外表面の耐熱性樹脂シートと前記接着剤とにモノマーをグラフト重合することによって形成された、密着性向上膜が設けられていることを特徴とする耐熱性樹脂ベルト。 - 前記接着剤が、付加重合型シリコーン系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性樹脂ベルト。
- 前記モノマーが、親水性官能基を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐熱性樹脂ベルト。
- 前記耐熱性樹脂シートが、熱硬化性ポリイミドにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルト。
- 前記弾性層が、シリコーンゴムにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルト。
- 請求項1に記載の離型層が、フッ素樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルト。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂ベルトを定着ベルトとして備えていることを特徴とする定着装置。
- 請求項7に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
- 耐熱性樹脂シートを接着剤で円筒状に接着して構成されてなる円筒状基体の外側に、弾性層、及び、離型層が、この順に積層されてなる耐熱性樹脂ベルトの製造方法において、
前記円筒状基体の外表面に、モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程を有していることを特徴とする耐熱性樹脂ベルトの製造方法。 - 前記円筒状基体の外表面が、活性化処理されたものであることを特徴とする請求項9の耐熱性樹脂ベルトの製造方法。
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JP2008292010A JP2010117645A (ja) | 2008-11-14 | 2008-11-14 | 耐熱性樹脂ベルト、及び、その製造方法、定着装置、並びに、画像形成装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2011002658A (ja) * | 2009-06-18 | 2011-01-06 | Ricoh Co Ltd | 定着ベルト用基体及びその製造方法、定着ベルト及びその製造方法、並びに、定着装置 |
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JP6094713B1 (ja) * | 2016-06-30 | 2017-03-15 | 富士ゼロックス株式会社 | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 |
-
2008
- 2008-11-14 JP JP2008292010A patent/JP2010117645A/ja not_active Withdrawn
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