JP2018003612A - エンジンのオイル通路構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温領域冷却部でオイルの熱交換効率を向上させつつ低温領域冷却部でオイルの圧力損失を低減することで、オイルポンプを大型化することなくエンジンの冷却効率を向上できること。【解決手段】シリンダ内にエンジンオイルを流動させるシリンダ側オイル通路67と、シリンダヘッド内にエンジンオイルを流動させるシリンダヘッド側オイル通路68と、を有するエンジンのオイル通路構造65であって、シリンダ側オイル通路及びシリンダヘッド側オイル通路は、排気に接する部位または燃焼室上方部位を含む高温領域をエンジンオイルにより冷却する高温領域冷却部110と、吸気に接する部位または燃焼室周囲部位を含み高温領域よりも温度が低い低温領域をエンジンオイルにより冷却する低温領域冷却部111とを有し、高温領域冷却部110は、低温領域冷却部111よりも通路断面積が小さく形成されて、エンジンオイルの流速が高く設定されたものである。【選択図】 図5

Description

本発明は、エンジンオイルによりエンジンを潤滑し且つ冷却するエンジンのオイル通路構造に関する。
自動二輪車のエンジンには、点火プラグ、吸気ポート及び排気ポートが形成されるシリンダヘッド内にヘッド側冷却用オイル通路を形成するためのオイル通路中子構造を備えたものがある(特許文献1参照)。このオイル通路中子は、オイル流入路を形成する第1のボスと、オイル流出路を形成する第2のボスと、点火プラグの周辺や排気ポートの周辺を流れてオイル流入路とオイル流出路とを連通する冷却通路部とを有する。シリンダヘッドは、オイル通路中子により形成されたヘッド側冷却用オイル通路内をエンジンオイルが流動することで冷却される。
特開2013−72354号公報
特許文献1に記載のオイル通路中子構造では、シリンダヘッドに形成されたヘッド側冷却用オイル通路は、オイル流入路とオイル流出路間に設けられた冷却通路が、点火プラグの周囲及び排気ポートの周囲に分岐されてオイルが流れるように形成されている。
エンジンオイルは、水に比べて比熱が低いため、冷却性能を向上させるためには、冷却オイルの流速を充分高める必要がある。しかし、特許文献1に記載のオイル通路中子構造では、オイル流入口やオイル流出口を増加させることで、冷却通路の流路断面積が増えてしまい、オイル流速が低下して冷却性能が低下してしまう。
水と比べて比熱の低いエンジンオイルで冷却性能を向上させるためには流速を高める必要があるが、この場合にオイルポンプを大型化すると、オイルポンプの駆動ロスが発生したり、その重量が増大してしまう。
本発明における実施形態の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、高温領域冷却部でオイルの熱交換効率を向上させつつ低温領域冷却部でオイルの圧力損失を低減することで、オイルポンプを大型化することなくエンジンの冷却効率を向上できるエンジンのオイル通路構造を提供することにある。
本発明の実施形態におけるエンジンのオイル通路構造は、シリンダ内にエンジンオイルを流動させるシリンダ側オイル通路と、このシリンダ側オイル通路に連通してシリンダヘッド内にエンジンオイルを流動させるシリンダヘッド側オイル通路と、を有するエンジンのオイル通路構造であって、前記シリンダ側オイル通路及び前記シリンダヘッド側オイル通路は、排気に接する部位または燃焼室上方部位を含む高温領域を前記エンジンオイルにより冷却する高温領域冷却部と、吸気に接する部位または燃焼室周囲部位を含み前記高温領域よりも温度が低い低温領域を前記エンジンオイルにより冷却する低温領域冷却部とを有し、前記高温領域冷却部は、前記低温領域冷却部よりも通路断面積が小さく形成されて、エンジンオイルの流速が高く設定されて構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、エンジンオイルは水に比べて比熱が小さいので、熱交換効率を向上させるためには流速を高めなければならないが、高温領域冷却部では、エンジンオイルの流速が高く設定されているので、熱交換効率を向上させることができる。また、低温領域冷却部では、高温領域冷却部よりもエンジンオイルの流速が低いので、エンジンオイル流動時の圧力損失を低減できる。これらのことから、オイルポンプを大型化することなくエンジンの冷却効率を向上させることができる。
本発明に係るエンジンのオイル通路構造の一実施形態が適用されたエンジンを搭載した自動二輪車を示す左側面図。 図1のエンジンをオイルクーラとともに示す正面図。 図1及び図2のエンジンを示す右側面図。 図2及び図3のエンジンを構成するシリンダアッセンブリを示す左側面図。 図1〜図3におけるエンジンのオイル通路構造を示す系統図。 図2〜図4のシリンダアッセンブリを構成するシリンダの平面図。 図2〜図4のシリンダアッセンブリを構成するシリンダヘッドを下方から目視した底面図。 図7に示すシリンダヘッドから蓋部材を取り外した状態の平面図。 図8のIX−IX線に沿う断面図。 図2〜図4におけるシリンダアッセンブリのシリンダとシリンダヘッドとに設けられるオイル通路構造を示す斜視図。 図10に示されたオイル通路構造を排気ポート側から目視した斜視図。 図10に示されたオイル通路構造を左斜め側方から目視した斜視図。 図10のオイル通路構造を示す平面図。 図10に示されたオイル通路構造を排気ポート側から目視した側面図。 図10に示されたオイル通路構造を吸気ポート側から目視した側面図。 図13に示されたオイル通路構造を左側方から目視した側面図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るエンジンのオイル通路構造の一実施形態が適用されたエンジンを搭載する自動二輪車の左側面図を示すものである。図2は、図1のエンジンをオイルクーラとともに示す正面図であり、図3は、自動二輪車のエンジンを示す左側面図である。本実施形態において、上下、左右及び前後の表現は、車両乗車時の乗員、特に運転者を基準にしたものである。
図1に示す自動二輪車10は、前端部にヘッドパイプ12を備える車体フレーム11を有する。この車体フレーム11は所謂クレードルフレームであり、ヘッドパイプ12、メインチューブ13、ダウンチューブ14、及び左右一対のシートレール15を備えて構成される。
車体フレーム11の前部上方に位置するヘッドパイプ12には、ステアリング機構16が枢支される。このステアリング機構16に、前輪19を回転自在に軸支するとともにサスペンション機構を内蔵したフロントフォーク17及びハンドルバー18が取り付けられている。前輪19は、ハンドルバー18を用いて左右に操舵される。フロントフォーク17には、前輪19の上部を覆うようにフロントフェンダ20が固定されている。
メインチューブ13は、ヘッドパイプ12の上部後面から車両斜め後下方へ延出されるとともに、湾曲して車両下方へ延び、下端部が図示しないピボットブラケットに結合される。また、ダウンチューブ14は、ヘッドパイプ12の下部後面から車両下方へ延びるとともに、湾曲して車両後方へ延び、後端部が前記ピボットブラケットに結合される。このピボットブラケットにはピボット軸支持部(不図示)が架設され、このピボット軸支持部にスイングアーム23が車両上下方向に揺動自在に枢支される。このスイングアーム23の後端に、後輪24が回転自在に軸支される。
メインチューブ13には、左右一対のシートレール15が結合されて車両後方へ延びる。これら左右一対のシートレール15が、車両前後方向に順次配置された複数本のフレームブリッジ(不図示)により連結されて補強される。これらのシートレール15は、左右一対のシートピラー25を介して前記ピボットブラケットに支持される。このシートレール15には、後輪24の上方を覆うリアフェンダ26が支持される。また、シートレール15及びシートピラー25、スイングアーム23の間にリアクッションユニット27が装荷されて、後輪24からの衝撃荷重を緩衝している。
メインチューブ13には、燃料タンク28がヘッドパイプ12の後方位置で支持される。また、シートレール15によりシート29が、燃料タンク28の車両後方に隣接して支持される。
一方、ステアリング機構16またはフロントフォーク17に、車両前方上部を覆うフロントカバー32が設置され、このフロントカバー32にヘッドライト33等が配設される。また、メインチューブ13及びシートレール15には、燃料タンク28の後部下方及びシート27の前部下方の領域を覆う左右一対のサイドカバー34が取り付けられる。更に、シートレール15には、後輪24の上方でシート27の後部下方の領域を覆うリアカバー35が取り付けられる。
更に、メインチューブ13とダウンチューブ14との間にエンジン38が搭載される。このエンジン38は例えば4サイクル単気筒エンジンであり、燃料タンク28の下方に位置づけられる。エンジン38は、後輪24との間に巻き掛けられたドライブチェーン39を介して後輪24を駆動する。
エンジン38は、図2〜図4に示すように構成され、クランクケース40とクランクケース40の上面前部に結合されたシリンダアッセンブリ41とを有する。シリンダアッセンブリ41は、シリンダ42と、このシリンダ42の頂部を塞ぐシリンダヘッド43と、このシリンダヘッド43の頂部を塞ぐヘッドカバー44とを備えて構成される。シリンダヘッド43の後部には、エンジン吸気系を構成する図示しないキャブレタ(またはスロットルボディ)及びエアクリーナ等が順次接続される。また、シリンダヘッド43の前部に、エンジン排気系である図示しないエキゾーストパイプ及び排気マフラが順次接続される。
クランクケース40は、図2に示すように、左側半体40Aと右側半体40Bとが結合面40Cにて結合されて構成され、左側半体40Aにマグネットカバー45が、右側半体40Bにクラッチカバー46がそれぞれ設けられる。クランクケース40のクランク室内に、図3に示すクランクシャフト47が回転自在に軸支される。また、クランクケース40内には、クランク室に隣接してミッション室48が形成される。このミッション室48内に、カウンタシャフト49やドライブシャフト50(ともに図5)を備えるトランスミッション(T/M)51が収容される。また、クランクケース40の下部に、エンジンオイルを貯溜するオイルパン52が設けられる。
シリンダアッセンブリ41は、クランクケース40にやや前傾姿勢で結合される。シリンダアッセンブリ41を構成するシリンダ42内に図3に示すように、円筒形状のシリンダボア53が形成される。このシリンダボア53内に、クランクシャフト47にコンロッド(不図示)を介して連結されたピストン54が往復移動可能に配設される。また、シリンダ42には、図6に示すように、シリンダボア53に隣接してカムチェーン室55が形成されている。
図2及び図3に示すシリンダヘッド43は、シリンダ42の頂部に結合してシリンダボア53の上方を塞ぐことで、ピストン54との間に燃焼室56を形成する。この燃焼室56内で混合気が燃焼することでピストン54が往復移動する。また、シリンダヘッド43は、背面壁側に、混合気を燃焼室56内へ供給する一対の吸気ポート57が設けられ、正面壁側に、燃焼室56にて生成された燃焼ガスを排出する一対の排気ポート58が設けられる。
図13に示すように、一対の吸気ポート57は上流側が合流し、また、一対の排気ポート58は下流側が合流しており、それぞれ燃焼室56付近で2股状に分岐されている。また、図7、図11及び図12に示すように、吸気ポート57の燃焼室56側開口端に吸気バルブシート57Sが配置され、この吸気バルブシート57Sに吸気バルブ59(後述)が接離される。吸気バルブ59は、吸気バルブシート57Sに接触することで吸気ポート57を閉弁し、吸気バルブシート57Sから離反することで吸気ポート57を開弁する。更に、排気ポート58の燃焼室56側開口端に排気バルブシート58Sが配置され、この排気バルブシート58Sに排気バルブ60(後述)が接離される。排気バルブ60は、排気バルブシート58Sに接触することで排気ポート58を閉弁し、排気バルブシート58Sから離反することで排気ポート58を開弁する。
また、シリンダヘッド43には、図6〜図8に示すように、吸気ポート57を開閉する一対の吸気バルブ59、排気ポート58を開閉する一対の排気バルブ60を駆動するための動弁機構61が、ヘッドカバー44との間に収容される。この動弁機構61のカムシャフトは、クランクシャフト47との間で図示しないカムチェーンを介して駆動される。このカムチェーン(不図示)は、シリンダ42のカムチェーン室55及びシリンダヘッド43のカムチェーン室63内に配設される。
図4及び図7に示すように、シリンダヘッド43の左側壁から燃焼室56へ向かって、点火プラグ差込部62が貫通して形成され、この点火プラグ差込部62に点火プラグ37が、左側から斜め下に差し込まれて装着されている。この点火プラグ37の点火動作により、吸気ポート57を経て燃焼室56内に供給された混合気が点火されて燃焼する。
また、図6〜図8に示すように、シリンダ42及びシリンダヘッド43におけるそれぞれシリンダボア53、燃焼室56の周囲4箇所にはボルト穴64が形成される。これらのボルト穴64にスタッドボルトが挿通されることで、シリンダ42及びシリンダヘッド43がクランクケース40に結合される。
ところで、エンジン38は図2及び図5に示すように、エンジンオイルを用いてエンジン38を潤滑し且つ冷却するためのオイル通路構造65を有する。このオイル通路構造65は、クランクケース側オイル通路66、シリンダ側オイル通路67及びシリンダヘッド側オイル通路68を備えて構成される。
クランクケース側オイル通路66は、クランクケース40に設けられたオイル通路であり、クランクケース40及びシリンダ42内の各潤滑部へエンジンオイルを供給して潤滑する。また、シリンダ側オイル通路67は、シリンダ42内にエンジンオイルを流動させるオイル通路であり、特に燃焼室56の周囲をエンジンオイルにより冷却する。更に、シリンダヘッド側オイル通路68は、シリンダ側オイル通路67に連通してシリンダヘッド43内にエンジンオイルを流動させるオイル通路であり、エンジンオイルにより動弁機構61を潤滑するとともに、排気ポート58の周囲及び燃焼室56の上方部位を主に冷却する。
クランクケース側オイル通路66は、図2及び図5に示すように、第1オイル通路部71、オイルポンプ69、第2オイル通路部72、オイルフィルタ70、第3オイル通路部73が順次接続され、更に、オイルフィルタ70に第4オイル通路部74が接続されて構成される。
第1オイル通路部71は、オイルパン52に直接、または図示しないオイルストレーナを介して連通される。また、オイルポンプ69は、クランクシャフト47に回転一体の補機ドライブギア(不図示)により駆動される機械式オイルポンプである。したがって、オイルポンプ69の出力は、クランクシャフト47の回転数(すなわちエンジン38の回転数)に依存し、クランクシャフト47の回転数が高くなるほど多量のエンジンオイルを吐出する。
オイルポンプ69の稼動により、オイルパン52内のエンジンオイルは直接、またはオイルストレーナにより異物が除去された後に、第1オイル通路部71を経てオイルポンプ69から吐出され、第2オイル通路部72を経てオイルフィルタ70に流入して、エンジンオイル中の異物が除去される。
このオイルフィルタ70にて異物が除去されたエンジンオイルは、第3オイル通路部73を経てエンジン38の各潤滑部、つまり、クランク室内のクランクシャフト47、シリンダ42のシリンダボア53内を摺動するピストン54、ミッション室48内のトランスミッション51等へ供給されて、これらのクランクシャフト47、ピストン54、トランスミッション51(カウンタシャフト49、カウンタギア(不図示)、ドライブシャフト50及びドライブギア(不図示)を含む)を潤滑する。また、第4オイル通路部74は、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75に接続される。
シリンダ側オイル通路67は、図2及び図5に示すように、互いに連通する第5オイル通路部75及び第6オイル通路部76と、第5オイル通路部75からオイルクーラ80に接続されるオイルクーラ流入側オイルホース81と、互いに連通する第11オイル通路部86及び第14オイル通路部89とを備えて構成される。第11オイル通路部86は、シリンダ42の燃焼室56の周囲を冷却する燃焼室周囲冷却部を構成する。
また、シリンダヘッド側オイル通路68は、シリンダ側オイル通路67の第6オイル通路部76に連通して動弁機構61を潤滑する第7オイル通路部77と、オイルクーラ流出側オイルホース82に接続された第8オイル通路部83と、この第8オイル通路部83に連通する排気ポート等冷却部としての第9オイル通路部84と、この第9オイル通路部84に連通された排気バルブシート冷却部としての第10オイル通路部85と、吸気ポート冷却部としての第12オイル通路部87と、点火プラグ差込部冷却部としての第13オイル通路部88とを備えて構成される。
シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75は、図2、図3及び図5に示すように、シリンダ42の正面壁の下部に水平方向に直線状に延在して形成される。この第5オイル通路部75に流入したエンジンオイルは、その一部が、第6オイル通路部76を経て、シリンダヘッド側オイル通路68の第7オイル通路部77に至り、この第7オイル通路部77から動弁機構61(図8)の特にカムシャフトへ導かれて、この動弁機構61を潤滑する。
ここで、シリンダ側オイル通路67の第6オイル通路部76は、図2及び図6に示すように、第5オイル通路部75に直交して交差し、上方へ延在してシリンダ42内に形成される。シリンダヘッド側オイル通路68の第7オイル通路部77は、図2及び図7に示すようにシリンダ側オイル通路67の第6オイル通路部76に連通し、シリンダヘッド43に略垂直方向に延在して形成されて、動弁機構61のカムシャフト近傍に至る。
図2及び図5に示すように、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75に流入したエンジンオイルは、その残部が、流入側オイルホース81を経てオイルクーラ80へ送られて冷却される。このオイルクーラ80は、図1及び図2に示すように、車体フレーム11のダウンチューブ14におけるエンジン38の斜め前上方に配置される。特に、このオイルクーラ80は、自動二輪車10の走行風に晒され易いように、前輪19及びフロントフェンダ20を正面に臨む位置を避けて配置されることが好ましい。また、オイルクーラ80の背面には、冷却風を発生する冷却ファンが配置されている。したがって、オイルクーラ80は、流入したエンジンオイルが、冷却ファン(不図示)による冷却風や自動二輪車10の走行風と熱交換して積極的に冷却される。
オイルクーラ80により冷却されたエンジンオイルは、図2、図4及び図5に示すように、オイルクーラ流出側オイルホース82を経てシリンダヘッド側オイル通路68の第8オイル通路部83に流入し、この第8オイル通路部83から排気ポート等冷却部を構成する第9オイル通路部84へ流入する。
第8オイル通路部83は、図2及び図4に示すように、シリンダヘッド43の正面壁における左側面壁との角部に形成される。また、第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84は、後に詳説するが、図11に示すように、シリンダヘッド43における排気ポート58の周囲及び燃焼室56の上方部位に形成され、第8オイル通路83からのエンジンオイルを流動させることで上述の排気ポート58の周囲及び燃焼室56の上方部位を冷却する。更に、第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)85は、シリンダヘッド43における排気バルブシート58Sの前方付近及び排気ポート58の下方部位に形成され、第9オイル通路部84からのエンジンオイルを流動させることで、上述の排気バルブシート58Sの前方付近及び排気ポート58の下方部位を冷却する。
第10オイル通路部85内を流れたエンジンオイルは、図5及び図11に示すように、次にシリンダ側オイル通路67の第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)86に流入する。この第11オイル通路部86は、シリンダ42におけるシリンダヘッド43との接合面でシリンダボア53の周囲に形成され、シリンダヘッド側オイル通路68の第10オイル通路部85からのエンジンオイルを全体として略環状に流動させることで、燃焼室56の周囲を冷却する。この燃焼室56の周囲を冷却したエンジンオイルは、図5及び図6に示すように、第11オイル通路部86からシリンダ側オイル通路67の第14オイル通路部89を経てクランクケース40内のオイルパン52に戻される。この第14オイル通路部89は、シリンダ42の正面壁における左正面壁との角部に垂直方向に形成される。シリンダ42とシリンダヘッド43は、それらの接合面にガスケット92(図7)が介装され、このガスケット92により液密構造に接合され、シール性を向上させている。
但し、上述の第11オイル通路部86は、全体として略円環状に形成されるが、後に詳説するように、途中に2つの区切り部分90a、90bが図6に示すように設けられる。区切り部分90aは、その両側で図5及び図7に示すように、シリンダヘッド側オイル通路68の第12オイル通路部87に、区切り部分90bは、その両側でシリンダヘッド側オイル通路68の第13オイル通路部88にそれぞれ連通される。第12オイル通路部87は吸気ポート57の下方部位をエンジンオイルにより冷却する吸気ポート冷却部である。また、第13オイル通路部88は、図4及び図5に示すように、点火プラグ差込部62の下方部位をエンジンオイルにより冷却する点火プラグ差込部冷却部である。
図10、図11及び図12に示すように、シリンダヘッド側オイル通路68における排気ポート等冷却部としての第9オイル通路部84は、上流側中子93により形成される上流部94と、下流側中子95により形成される下流部96と、を有して構成される。この第9オイル通路部84の上流部94は、図11及び図13に示すように、排気ポート58の2股状の分岐部分の間に設けられ、上流端が第8オイル通路部83に連通し、下流端が下流部96に連通する。
また、第9オイル通路部84の下流部96は、排気ポート58の上方部位及び燃焼室56の上方部位に設けられる。この第9オイル通路部84の下流部96は、実際には、図8及び図9に示すように、シリンダヘッド43の頂面に設けられて上方に開口する開放部99が下流側中子95により形成され、この開放部99を蓋部材100が上方から覆うことで構成される。下流部96の開放部99は、燃焼室56及び排気ポート58の上方で且つ動弁機構61の下方の領域にあって、それぞれ一対の吸気バルブ59と排気バルブ60との間に形成される。
第9オイル通路部84の下流部96の開放部99は、ジグザグ状に蛇行して形成され、または燃焼室56の周縁のうち対向する部位を横切るように例えばコ字形状に形成されることで、流路長が直線状の場合に比べて長くなり、これにより、内部を流れるエンジンオイルの熱交換効率が高められる。また、下流部96の開放部99を形成する下流側中子95には、図11及び図12に示すように、外周面に窪み91が形成されている。この窪み91により、開放部99の流路内壁面に、この開放部99の内側へ突出する突起が形成される。
第9オイル通路84における下流部96の蓋部材100は、図9に示すように、前述の如く下流部96の開放部99を上方から覆うものであり、開放部99の流路の形状に対応した突部101が突出して形成されている。この蓋部材100の突部101が開放部99の流路に差し込まれて係合することで、突部101と開放部99との隙間が第9オイル通路部84の下流部96として構成される。
また、図9に示すように、蓋部材100の接合面100aと開放部99の接合面99aとが接合された状態で、蓋部材100は取付ボルト102を用いてシリンダヘッド43に結合される。このとき、蓋部材100の接合面100aと開放部99の接合面99aのいずれか一方(例えば蓋部材100の接合面100a)は、平面加工が施されていない非加工面、即ち鋳肌面に形成されている。これにより、接合された蓋部材100の接合面100aと開放部99の接合面99aとの隙間に、気泡等の気体が通過可能に構成される。
図5、図11及び図13に示すように、オイルクーラ80により冷却されて第8オイル通路部83から第9オイル通路部84の上流部94内に流入したエンジンオイルは、この上流部94内を流れる間に排気ポート58の2股状の分岐部分を冷却し、更に、第9オイル通路部84の下流部96内を蛇行して流れる間に、燃焼室56及び排気ポート58のそれぞれの上方部位を冷却して第10オイル通路部85へ流出する。このように第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84内を流れるエンジンオイルによって、排気ポート58の周囲及び燃焼室56の上方部位が冷却される。尚、図8中の符号103は、動弁機構61を収容するカムハウジングの一部を示す。
図11及び図14に示すように、シリンダヘッド側オイル通路68における排気バルブシート冷却部としての第10オイル通路部85は、通路用中子97により、第9オイル通路部84の下流部96及び第11オイル通路部86に連通して形成される。この第10オイル通路部85は、シリンダヘッド43における排気バルブシート58Sの前方付近及び排気ポート58の下方部位に設けられる。第9オイル通路部84の下流部96から第10オイル通路部85内に流入したエンジンオイルは、この第10オイル通路部85内を流れる間に排気バルブシート58Sの前方付近及び排気ポート58の下方部位を冷却して第11オイル通路部86へ流出する。
なお、第10オイル通路部85が第11オイル通路部86ではなく第8オイル通路部83に連通され、第9オイル通路84の上流部94が第8オイル通路部83ではなく第11オイル通路部86に連通されることで、オイルクーラ80により冷却された第8オイル通路部83からのエンジンオイルが、第10オイル通路部85、第9オイル通路部84の下流部96、第9オイル通路部84の上流部94、第11オイル通路部86へと順次流動して、排気バルブシート58S、排気ポート58の周囲、燃焼室56の上方部位を順次冷却してもよい。
図5、図6及び図11に示すように、シリンダ側オイル通路67における燃焼室周囲冷却部としての第11オイル通路部86は、シリンダ42におけるシリンダヘッド43との接合面に、シリンダボア53(燃焼室56)の周囲に略環状に形成された環状溝105と、シリンダ42とシリンダヘッド43との間に挟持されたガスケット92(図7)とにより区画されて構成される。環状溝105は、シリンダヘッド43の排気ポート58の下方領域に対応する流入口部86aで、シリンダヘッド43の第10オイル通路部85に連通し、シリンダボア53(燃焼室56)を、区切り部分90a、90bを除いて略一周し、流出口部86bがシリンダ側オイル通路67の第14オイル通路部89に連通される。
この環状溝105もリング状の中子104により形成され、このリング状の中子104には、内周面及び外周面に沿って複数の窪みが形成され、この窪みに対応して、環状溝105の内側に複数の突起106が形成される。このように構成された第11オイル通路部86(特に環状溝105)内をエンジンオイルが流動することで、シリンダ42及びシリンダヘッド43における燃焼室56の周囲が冷却される。
第11オイル通路部86の環状溝105は、周方向に間隔を置いた2つの区切り部分90a,90bにより、3つの円弧状部分105a、105b、105cに区分けされる。第11オイル通路部86をシリンダ42側からシリンダヘッド43側に持ち上げる部分で、環状溝105を第1及び第2区切り部分90a、90bで区切っている。第11オイル通路部86の2つの区切り部分90a、90bのリブは、オープンデッキシリンダのボア剛性を向上させている。これにより、シリンダ42は、クローズドシリンダ同様、ピストン側圧を受けても変形しにくくなる。
また、第11オイル通路部86は、図5及び図6に示すように、第1区切り部分90aを境に、第1円弧状部分105a、第2円弧状部分105bがシリンダヘッド側オイル通路68の第12オイル通路部87に連通しており、第2区切り部分90bを境に、第2円弧状部分105b、第3円弧状部分105cが第13オイル通路部88に連通している。なお、第11オイル通路部86には、シリンダ42内を流れるエンジンオイルのオイル温度を測定する油温センサ108が設置されている。
具体的には、第11オイル通路部86の環状溝105は、図6及び図15に示すように、第1円弧状部分105aの下流端が、シリンダヘッド側オイル通路68における吸気ポート冷却部としての第12オイル通路部87に連通され、この第12オイル通路部87にエンジンオイルを供給して、吸気ポート57の分岐部の下方部位を冷却している。この第12オイル通路部87で吸気ポート57の下方部位を冷却したエンジンオイルは、第12オイル通路部87が第11オイル通路部86の環状溝105における第2円弧状部分105bの上流端に連通されることで、この第2円弧状部分105bに戻される。
また、第11オイル通路部86の環状溝105は、図6及び図16に示すように、第2円弧状部分105bの下流端と第3円弧状部分105cの上流端とが、シリンダヘッド側オイル通路68における点火プラグ差込部冷却部としての第13オイル通路部88に連通される。環状溝105の第2円弧状部分105bに戻されたエンジンオイルは、第2円弧状部分105bを冷却した後、その下流端からシリンダヘッド側オイル通路68の第13オイル通路部88に送られ、この第13オイル通路部88で点火プラグ差込部62(図4)の下方部位を冷却している。この第13オイル通路部88を通ったエンジンオイルは、その下流端から第11オイル通路部86の第3円弧状部分105cの上流端に戻される。
図5、図6及び図11に示すように、第11オイル通路部86の第3円弧状部分105cに戻されたエンジンオイルは、第3円弧状部分105cを冷却した後、流出口部86bから第14オイル通路部89に流出し、クランクケース側オイル通路66を経てオイルパン52に戻される。
ところで、図5及び図11に示すように、シリンダ側オイル通路67及びシリンダヘッド側オイル通路68のうちで、第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84及び第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)85は熱負荷が高く、第13オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)88は次に熱負荷が高く、第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)87は第13オイル通路部88よりも熱負荷が低く、第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)86は第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)87よりも熱負荷が低くなっている。
従って、上述の第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84、第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)85及び第13オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)88は、エンジン38において排気に接する部位または燃焼室56の上方部位を含む高温領域をエンジンオイルにより冷却する高温領域冷却部110である。また、前述の第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)86及び第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)87は、エンジン38において吸気に接する部位または燃焼室56の周囲を含み前記高温領域よりも温度が相対的に低い低温領域をエンジンオイルにより冷却する低温領域冷却部111である。
本実施形態では、高温領域冷却部110(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85、第13オイル通路部88)は、低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)よりも通路断面積が小さく形成されている。従って、高温領域冷却部110(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85、第13オイル通路部88)では、低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)よりも内側を流れるエンジンオイルの流速が高く設定される。
具体的には、高温領域冷却部110のうちの第9オイル通路部84の上流部94は、シリンダ側オイル通路67及びシリンダヘッド側オイル通路68のうちで通路断面積が最も小さく形成される。従って、第9オイル通路部84の上流部94内を流れるエンジンオイルの流速は、シリンダ側オイル通路67及びシリンダヘッド側オイル通路68のうちで最も速く設定されている。また、低温領域冷却部111のうちの第11オイル通路部86は、その通路断面積がシリンダヘッド側オイル通路68及びシリンダ側オイル通路67のうちで最も大きく形成される。例えば、第11オイル通路部86の通路断面積は、第12オイル通路部87の通路断面積よりも大きく形成されて、内側を流れるエンジンオイルの流速は、第11オイル通路部86内の方が第12オイル通路部87内によりも低く設定される。
上述の如く、高温領域冷却部110(第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84、第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)85、第13オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)88)では、低温領域冷却部111(第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)86、第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)87)よりも内側を流れるエンジンオイルの流速が高く設定されたのは、水に比べて比熱が低く粘度が高いエンジンオイルの特性に起因する。通路(管路)内を流れる流体が層流から乱流へ遷移するときの臨界レイノルズ数Reは、エンジンオイルの場合に3×10程度である。そこで、高温領域冷却部114(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85、第13オイル通路部88)内を流れるエンジンオイルのレイノルズ数は、臨界レイノルズ数Reよりも大きく設定され、これにより、高温領域冷却部110内を流れるエンジンオイルは乱流状態となって熱交換効率が向上し、冷却効率が向上する。
低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)内を流れるエンジンオイルのレイノルズ数は、臨界レイノルズ数Reによりも小さく設定され、これにより、低温領域冷却部111内を流れるエンジンオイルは層流状態となって圧力損失が低減される。また、高温領域冷却部110(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85、第13オイル通路部88)内を流れるエンジンオイルは、低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)内のエンジンオイルに比べて粘性が低いので、流速を高めても圧力損失が生じ難いが、そのレイノルズ数が1×10よりも小さく設定されることで、高温領域冷却部110内を流れるエンジンオイルの過度な圧力損失が抑制される。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)図5及び図11に示すように、排気に接する部位または燃焼室56の上方部位を含む高温領域をエンジンオイルにより冷却する高温領域冷却部110(第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84、第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)85、第13オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)88)は、吸気に接する部位または燃焼室56の周囲部位を含む低温領域をエンジンオイルにより冷却する低温領域冷却部111(第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)86、第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)87)よりも、通路断面積が小さく形成されて、エンジンオイルの流速が高く設定されている。
エンジンオイルは水に比べて比熱が小さいので、熱交換効率を向上させるためには流速を高めなければならないが、高温領域冷却部110(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85.第13オイル通路部88)では、エンジンオイルの流速が高く設定されているので、熱交換効率を向上させて冷却効率を向上させることができる。また、低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)では、高温領域冷却部110よりもエンジンオイルの流速が低いので、エンジンオイル流動時の圧力損失を低減できる。これらのことから、オイルポンプ69を大型化することなくエンジン38の冷却効率を向上させることができる。
(2)高温領域冷却部110(第9オイル通路部84、第10オイル通路部85、第13オイル通路部88)は、低温領域冷却部111(第11オイル通路部86、第12オイル通路部87)よりも通路断面積が小さく形成されている。エンジン38の冷機時にはエンジンオイルの粘性が高くなるので、通路断面積が小さいほどエンジンオイルが流れ難くなる。このため、高温領域である排気ポート58の周囲、燃焼室56の上方部位、排気バルブシート58Sの前方付近及び点火プラグ差込部62が暖められ易くなるので、エンジン38を効果的に早期暖機できる。
(3)図11、図13及び図14に示すように、第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84の上流部94が排気ポート58の2股状の分岐部分の間に設けられ、しかも、この上流部94の通路断面積が、シリンダ側オイル通路67及びシリンダヘッド側オイル通路68のうちで最も小さく形成されている。このため、第9オイル通路部84の上流部94内を流れるエンジンオイルによる熱交換効率が最も高くなることで、エンジン38のうち最も高温になる部位を効率良く冷却することができる。
(4)図8及び図11に示すように、第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)84の下流部96が排気ポート58の上方部位及び燃焼室56の上方部位に形成され、蛇行して設けられたので、下流部96の流路長が直線状の場合に比べて長くなって、この下流部96内を流れるエンジンオイルによる冷却効率を向上させることができると共に、冷機始動時の早期暖機を実現できる。
更に、第9オイル通路部84の下流部96が蛇行して形成されることで、この下流部96の通路表面積が増大するので、この下流部96内を流れるエンジンオイルの熱交換効率が促進されて、冷却効率を更に向上させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、図9〜図11に示すように、第9オイル通路部84の上流部94は上流側中子93により、下流部96の開放部99は下側中子95により、第10オイル通路部85は通路用中子97により、第11オイル通路部86の環状溝105は略リング状の中子104によりそれぞれ形成される場合を述べたが、これらの第9オイル通路部84の上流部94、下流部96、第10オイル通路部85、第11オイル通路部86の環状溝105、第12オイル通路部87、第13オイル通路部88は、中子を廃止して機械加工により形成してもよい。
また、第9オイル通路部84の下流部96を構成する蓋部材100の突部101(図9)の表面には、熱交換面積を増大させるために、微細な突出部や窪み部を形成してもよい。更に、図1〜図3に示すオイルクーラ80は、エンジン38が小型でオイルクーラ80を廃止してもエンジン38の冷却性能が確保される場合には、廃止してもよい。
37…点火プラグ、38…エンジン、42…シリンダ、43…シリンダヘッド、56…燃焼室、57…吸気ポート、58…排気ポート、58S…排気バルブシート、60…排気バルブ、62…点火プラグ差込部、65…オイル通路構造、67…シリンダ側オイル通路、68…シリンダヘッド側オイル通路、84…第9オイル通路部(排気ポート等冷却部)、85…第10オイル通路部(排気バルブシート冷却部)、86…第11オイル通路部(燃焼室周囲冷却部)、87…第12オイル通路部(吸気ポート冷却部)、88…第13オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)、94…上流部、96…下流部、110…高温領域冷却部、111…低温領域冷却部。

Claims (7)

  1. シリンダ内にエンジンオイルを流動させるシリンダ側オイル通路と、このシリンダ側オイル通路に連通してシリンダヘッド内にエンジンオイルを流動させるシリンダヘッド側オイル通路と、を有するエンジンのオイル通路構造であって、
    前記シリンダ側オイル通路及び前記シリンダヘッド側オイル通路は、排気に接する部位または燃焼室上方部位を含む高温領域を前記エンジンオイルにより冷却する高温領域冷却部と、吸気に接する部位または燃焼室周囲部位を含み前記高温領域よりも温度が低い低温領域を前記エンジンオイルにより冷却する低温領域冷却部とを有し、
    前記高温領域冷却部は、前記低温領域冷却部よりも通路断面積が小さく形成されて、エンジンオイルの流速が高く設定されて構成されたことを特徴とするエンジンのオイル通路構造。
  2. 前記高温領域冷却部は、シリンダヘッドに形成された排気ポートの周囲及び燃焼室の上方部位をエンジンオイルにより冷却する排気ポート等冷却部と、前記シリンダヘッドに設けられた排気バルブが接離する排気バルブシート付近を、前記排気ポート等冷却部から流入するエンジンオイルにより冷却する排気バルブシート冷却部と、前記シリンダヘッドに装着された点火プラグの差込部の下方部位をエンジンオイルにより冷却する点火プラグの差込部冷却部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのオイル通路構造。
  3. 前記排気ポートが2股状に分岐され、前記排気ポート等冷却部の上流部は、前記排気ポートにおける前記2股状の分岐部分の間に設けられ、且つシリンダ側オイル通路及びシリンダヘッド側オイル通路のうちで通路面積が最も小さく形成されたことを特徴とする請求項2に記載のエンジンのオイル通路構造。
  4. 前記排気ポート等冷却部の下流部は、排気ポートの上方部位及び燃焼室の上方部位に設けられ、通路が蛇行して形成されたことを特徴とする請求項2または3に記載のエンジンのオイル通路構造。
  5. 前記低温領域冷却部は、排気バルブシート冷却部から流入するエンジンオイルによりシリンダの燃焼室周囲を冷却する燃焼室周囲冷却部と、シリンダヘッドに形成された吸気ポートの下方部位をエンジンオイルにより冷却する吸気ポート冷却部と、を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のエンジンのオイル通路構造。
  6. 前記燃焼室周囲冷却部は、その通路断面積が吸気ポート冷却部の通路断面積よりも大きく形成されたことを特徴とする請求項5に記載のエンジンのオイル通路構造。
  7. 前記高温領域冷却部を流れるエンジンオイルのレイノルズ数は、エンジンオイルが層流から乱流に遷移するときの臨界レイノルズ数よりも大きく設定され、前記低温領域冷却部を流れるエンジンオイルのレイノルズ数は、前記臨界レイノルズ数よりも小さく設定されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエンジンのオイル通路構造。
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