ある特定の実施形態の詳細な説明
1.本発明の化合物の一般説明
ある特定の実施形態では、本発明は、CaMKIIの阻害剤を提供する。いくつかの実施形態では、そのような化合物には、式Iを有するもの:
またはその医薬的に許容可能な塩が含まれ、式中:
R
1は、非環式基であるか、または
からなる構造のリストから選択される5員ヘテロアリール基もしくは6員ヘテロアリール基であり;
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OR、−NR
2、−NO
2、−COOR、−CONR
2、及び−Rからなる群から独立に選択され;
Aはそれぞれ、共有結合、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、及びS(O)
2からなる群から独立に選択され;一方のAが、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、またはS(O)
2であるならば、もう一方は、共有結合または任意選択で置換されたメチレンでなくてはならず;
R
8は、水素、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;
Wはそれぞれ、独立にNまたはCR
9であり;
Xはそれぞれ、独立にNまたはCR
10であり;
Yは、O、S、またはNR
11であり;
Zは、O、S、またはNR
12であり;
R
9は、水素、L−R
13、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;R
9基が1つ存在するとき、R
9は、水素ではあり得ず、R
9基が2つ存在するとき、一方は水素でなくてはならず、かつもう一方は水素であってはならず;
R
10はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OR、−NR
2、−NO
2、−COOR、−CONR
2、及び−Rからなる群から独立に選択され;
R
11は、水素、NH
2、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環であり;
R
12は、水素または任意選択で置換されたC
1−6脂肪族であり;
Lは、共有結合、または直鎖もしくは分岐鎖のC
1−6脂肪族基であり、1つまたは複数のメチレン基が、−NR
14−または−O−によって独立かつ任意選択で置換されており;
R
13は、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;
R
14はそれぞれ、独立に水素またはC
1−3脂肪族であり;ならびに
Rはそれぞれ、独立に水素または任意選択で置換されたC
1−6脂肪族である。
2.化合物及び定義
本発明の化合物には、先に一般に記載したものが含まれ、本明細書に開示のクラス、サブクラス、及び化学種によってさらに例示される。本明細書では、別段の記載がない限り、下記の定義が適用されることになる。本発明の目的では、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Edに従って同定される。さらに、有機化学の一般原理は、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、及び“March’s Advanced Organic Chemistry”,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001において説明されており、これによって、それらの内容全体が、参照によって組み込まれる。
本明細書では、「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、直鎖(すなわち、非分岐鎖)または分岐鎖である置換または非置換の炭化水素鎖であり、完全飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含む炭化水素鎖を意味するか、あるいは完全飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではない単環式炭化水素または2環式炭化水素(本明細書で、「炭素環」、「シクロ脂肪族」、または「シクロアルキル」とも称される)であり、他の分子に対する単一の結合点を有する単環式炭化水素または2環式炭化水素を意味する。別段の記載がない限り、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、1〜5個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態では、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜3個の脂肪族炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜2個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、「シクロ脂肪族」(または「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)は、完全飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、他の分子に対する単一の結合点を有する単環式C3〜C6炭化水素を指す。適した脂肪族基には、限定はされないが、直鎖または分岐鎖である飽和または不飽和のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルなどの、それらの複合基(hybrid)が含まれる。
「低級アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖のC1−4アルキル基を指す。例示の低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert−ブチルである。
「低級ハロアルキル」という用語は、1個または複数個のハロゲン原子で置換された直鎖または分岐鎖のC1−4アルキル基を指す。
「ヘテロ原子」という用語は、1つまたは複数の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の4級化形態、またはN(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおいて見られるようなもの)、NH(ピロリジニルにおいて見られるようなもの)、もしくはNR+(N置換ピロリジニルにおいて見られるようなもの)といったヘテロ環式環の置換可能窒素を含む)を意味する。
本明細書では、「不飽和の」という用語は、1つまたは複数の不飽和単位を有する部分を意味する。
本明細書では、「飽和または不飽和である直鎖または分岐鎖の2価C1−8(またはC1−6)炭化水素鎖」という用語は、本明細書で定義されるような、直鎖または分岐鎖である2価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖、及びアルキニレン鎖を指す。
「アルキレン」という用語は、2価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、−(CH2)n−であり、式中、nは、正の整数であり、好ましくは、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、または2〜3である。置換アルキレン鎖は、1個または複数個のメチレン水素原子が置換基で置換されたポリメチレン基である。適した置換基には、置換脂肪族基を対象に以下に記載されるものが含まれる。
「アルケニレン」という用語は、2価のアルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、少なくとも1つの二重結合を含み、1個または複数個の水素原子が置換基で置換されたポリメチレン基である。適した置換基には、置換脂肪族基を対象に以下に記載されるものが含まれる。
本明細書では、「シクロプロピレニル(cyclopropylenyl)」という用語は、次の構造:
を有する2価のシクロプロピル基を指す。
本明細書では、「シクロブチレニル(cyclobutylenyl)」という用語は、次の構造:
を有する2価のシクロブチル基を指す。
本明細書では、「オキシエタニル(oxetanyl)」という用語は、次の構造:
を有する2価のオキシエタニル基を指す。
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
単独、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」においてみられるような、より大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、全部で5〜10の環員を有する単環式環系及び2環式環系を指し、系における少なくとも1つの環が、芳香族であり、系における環はそれぞれ、3〜7の環員を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用されてよい。本発明のある特定の実施形態では、「アリール」は、限定はされないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシル、及び同様のものを含み、1つまたは複数の置換基を有し得る芳香族環系を指す。本明細書では、「アリール」という用語の範囲内には、芳香族環が、インダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチル、及び同様のものなどの、1つまたは複数の非芳香族環に融合した基も含まれる。
単独、または例えば、「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」といった、より大きな部分の一部として使用される「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ−(heteroar−)」という用語は、5〜10個の環原子、好ましくは5個、6個、または9個の環原子を有し、環式配列において共有される6個、10個、または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、及び塩基性窒素の任意の4級化形態を含む。ヘテロアリール基には、限定はされないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルが含まれる。本明細書では、「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ−」という用語は、ヘテロ芳香族環が、1つまたは複数のアリール環、シクロ脂肪族環、またはヘテロシクリル環に融合しており、ラジカルまたは結合点がヘテロ芳香族環上に存在する基も含む。非限定例には、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが含まれる。ヘテロアリール基は、単環式または2環式であってよい。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に使用されてよく、こうした用語のいずれも任意選択で置換された環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分及びヘテロアリール部分は、独立に任意選択で置換される。
本明細書では、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式ラジカル」、及び「ヘテロ環式環」という用語は、互換的に使用され、飽和または部分飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、先に定義したような1個または複数個のヘテロ原子、好ましくは、1〜4個のヘテロ原子を有する安定な5〜7員単環式ヘテロ環式部分または7〜10員2環式ヘテロ環式部分を指す。ヘテロ環の環原子に関して使用されるとき、「窒素」という用語は、置換窒素を含む。例として、酸素、硫黄、または窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和または部分飽和である環において、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおいて見られるようなもの)、NH(ピロリジニルにおいて見られるようなもの)、または+NR(N置換ピロリジニルにおいて見られるようなもの)であってよい。
ヘテロ環式環は、そのペンダント基に対して、安定構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で結合することができ、環原子はいずれも、任意選択で置換することができる。そのような飽和または部分的不飽和のヘテロ環式ラジカルの例には、限定はされないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、及びキヌクリジニルが含まれる。「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「ヘテロ環式基」、「ヘテロ環式部分」、及び「ヘテロ環式ラジカル」という用語は、本明細書で互換的に使用され、ヘテロシクリル環が、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルなどの1つまたは複数のアリール環、ヘテロアリール環、またはシクロ脂肪族環に融合しており、ラジカルまたは結合点がヘテロシクリル環上に存在する基も含む。ヘテロシクリル基は、単環式または2環式であってよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルによって置換されたアルキル基を指し、アルキル基部分及びヘテロシクリル部分は、独立に任意選択で置換される。
本明細書では、「部分的に不飽和の」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分的に不飽和の」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で定義されるようなアリール部分またはヘテロアリール部分を含むことは意図しない。
本明細書では、本発明の化合物は、「任意選択で置換された」部分を含んでよい。一般に、「置換された」という用語は、「任意選択で」という先行用語の有無にかかわらず、指定部分の1つまたは複数の水素が適した置換基で置換されていることを意味する。別段の記載がないかぎり、「任意選択で置換された」基は、基の置換可能位置のそれぞれに、適した置換基を有してよく、任意の所与の構造における複数の位置が、特定基から選択される複数の置換基で置換され得るとき、置換基は、あらゆる位置で、同一であってもよく、または異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定化合物または化学的にあり得る化合物の形成をもたらすものである。本明細書では、「安定な」という用語は、その生成、検出、ならびにある特定の実施形態では、その回収、精製、及び本明細書に開示の1つまたは複数の目的に向けた使用、が可能な条件に供されるとき、実質的に変化しない化合物を指す。
「任意選択で置換された」基の置換可能な炭素原子に対して適した1価の置換基は、独立に、ハロゲン、−(CH2)0−4Ro、−(CH2)0−4ORo、−O(CH2)0−4Ro、−O−(CH2)0−4C(O)ORo、−(CH2)0−4CH(ORo)2、−(CH2)0−4SRo、Roで置換され得る−(CH2)0−4Ph、Roで置換され得る−(CH2)0−4O(CH2)0−1Ph、Roで置換され得る−CH=CHPh、Roで置換され得る−(CH2)0−4O(CH2)0−1−ピリジル、−NO2、−CN、−N3、−(CH2)0−4N(Ro)2、−(CH2)0−4N(Ro)C(O)Ro、−N(Ro)C(S)Ro、−(CH2)0−4N(Ro)C(O)NRo2、−N(Ro)C(S)NRo 2、−(CH2)0−4N(Ro)C(O)ORo、−N(Ro)N(Ro)C(O)Ro、−N(Ro)N(Ro)C(O)NRo2、−N(Ro)N(Ro)C(O)ORo、−(CH2)0−4C(O)Ro、−C(S)Ro、−(CH2)0−4C(O)ORo、−(CH2)0−4C(O)SRo、−(CH2)0−4C(O)OSiRo 3、−(CH2)0−4OC(O)Ro、−OC(O)(CH2)0−4SR−、SC(S)SRo、−(CH2)0−4SC(O)Ro、−(CH2)0−4C(O)NRo 2、−C(S)NRo 2、−C(S)SRo、−SC(S)SRo、−(CH2)0−4OC(O)NRo 2、−C(O)N(ORo)Ro、−C(O)C(O)Ro、−C(O)CH2C(O)Ro、−C(NORo)Ro、−(CH2)0−4SSRo、−(CH2)0−4S(O)2Ro、−(CH2)0−4S(O)2ORo、−(CH2)0−4OS(O)2Ro、−S(O)2NRo 2、−(CH2)0−4S(O)Ro、−N(Ro)S(O)2NRo 2、−N(Ro)S(O)2Ro、−N(ORo)Ro、−C(NH)NRo 2、−P(O)2Ro、−P(O)Ro 2、−OP(O)Ro 2、−OP(O)(ORo)2、SiRo 3、−(C1−4直鎖アルキレンもしくはC1−4分岐鎖アルキレン)O−N(Ro)2、または−(C1−4直鎖アルキレンもしくはC1−4分岐鎖アルキレン)C(O)O−N(Ro)2であり、Roはそれぞれ、以下に定義されるように置換されてよく、独立に、水素、C1−6脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0−1Ph、−CH2−(5〜6員ヘテロアリール環)、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義にかかわらず、その介在原子(複数可)と一緒になって独立に存在する2つのRoは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜12員の飽和環、部分不飽和環、またはアリール単環式環もしくはアリール2環式環を形成し、以下に定義されるように置換されてよい。
Ro(または2つの独立に存在するRoが、その介在原子と一緒になることによって形成される環)に対して適した1価の置換基は、独立に、ハロゲン、−(CH2)0−2R●、−(ハロR●)、−(CH2)0−2OH、−(CH2)0−2OR●、−(CH2)0−2CH(OR●)2、−O(ハロR●)、−CN、−N3、−(CH2)0−2C(O)R●、−(CH2)0−2C(O)OH、−(CH2)0−2C(O)OR●、−(CH2)0−2SR●、−(CH2)0−2SH、−(CH2)0−2NH2、−(CH2)0−2NHR●、−(CH2)0−2NR● 2、−NO2、−SiR● 3、−OSiR● 3、−C(O)SR●、−(C1−4直鎖アルキレンもしくはC1−4分岐鎖アルキレン)C(O)OR●、または−SSR●であり、R●はそれぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換され、C1−4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から独立に選択される。Roの飽和炭素原子に対して適した2価の置換基には、=O及び=Sが含まれる。
「任意選択で置換された」基の飽和炭素原子に対して適した2価の置換基には、=O、=S、=NNR* 2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、−O(C(R* 2))2−3O−、または−S(C(R* 2))2−3S−が含まれ、独立に存在するR*はそれぞれ、水素、以下に定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、非置換である5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。「任意選択で置換された」基の隣接置換可能炭素への結合に適した2価の置換基には、−O(CR* 2)2−3O−が含まれ、独立に存在するR*はそれぞれ、水素、以下に定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、非置換である5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。
R*の脂肪族基に対して適した置換基には、ハロゲン、−R●、−(ハロR●)、−OH、−OR●、−O(ハロR●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR●、−NH2、−NHR●、−NR● 2、または−NO2が含まれ、R●はそれぞれ、非置換であるか、「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換され、独立に、−C1−4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
「任意選択で置換された」基の置換可能窒素に対して適した置換基には、−R†、−NR† 2、−C(O)R†、−C(O)OR†、−C(O)C(O)R†、−C(O)CH2C(O)R†、−S(O)2R†、−S(O)2NR† 2、−C(S)NR† 2、−C(NH)NR† 2、または−N(R†)S(O)2R†が含まれ、R†はそれぞれ、独立に、水素、以下に定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、非置換−OPh、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、非置換である5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環、あるいは上記の定義にかかわらず、その介在原子(複数可)と一緒になって独立に存在する2つのR†は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、非置換である3〜12員の飽和環、部分不飽和環、またはアリール単環式環もしくはアリール2環式環を形成する。
R†の脂肪族基に対して適した置換基は、独立に、ハロゲン、−R●、−(ハロR●)、−OH、−OR●、−O(ハロR●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR●、−NH2、−NHR●、−NR● 2、または−NO2であり、R●はそれぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換され、独立に、C1−4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
本明細書では、「医薬的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、及び同様のものを伴うことなく、ヒト及び下等動物の組織に接触させて使用することに適しており、合理的な利点/危険比に見合うような塩を指す。医薬的に許容可能な塩は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、医薬的に許容可能な塩について詳細に説明しており、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩には、適した無機及び有機である酸と塩基とに由来するものが含まれる。医薬的に許容可能であり、非毒性の酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸で形成されるアミノ基の塩、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸で形成されるアミノ基の塩、またはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩、が含まれる。他の医薬的に許容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、及び同様のものが含まれる。
適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1−4アルキル)4塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及び同様のものが含まれる。さらなる医薬的に許容可能な塩には、適切であるときは、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、及びアリールスルホン酸などの対イオンを使用して形成される非毒性のアンモニウム陽イオン、4級アンモニウム陽イオン、及びアミン陽イオンが含まれる。
別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、構造の異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(または立体配座))形態のすべてを含むことも意図し、例えば、それぞれの不斉中心についてはR及びSの立体配置、Z及びEの二重結合異性体、ならびにZ及びEの立体配座異性体である。それ故に、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(または立体配座)の混合物は、本発明の範囲内に含まれる。別段の記載がない限り、本発明の化合物の互変異性形態はすべて、本発明の範囲内に含まれる。さらに、別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、1個または複数個の同位体的に濃縮された原子が存在することのみにおいて異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素もしくは三重水素による水素の置換、または13Cもしくは14Cが濃縮された炭素による炭素の置換を含んで存在する構造を有する化合物は、本発明の範囲内に含まれる。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明による治療薬剤として、有用である。ある特定の実施形態では、提供される化合物の弾頭(warhead)部分であるR1は、1個または複数個の重水素原子を含む。
3.例示の実施形態の説明
ある特定の実施形態では、本発明は、CaMKIIの阻害剤を提供する。いくつかの実施形態では、そのような化合物には、式Iを有するもの:
またはその医薬的に許容可能な塩が含まれ、式中:
R
1は、非環式基であるか、または
からなる構造のリストから選択される5員ヘテロアリール基もしくは6員ヘテロアリール基であり;
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OR、−NR
2、−NO
2、−COOR、−CONR
2、及び−Rからなる群から独立に選択され;
Aはそれぞれ、共有結合、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、及びS(O)
2からなる群から独立に選択され;一方のAが、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、またはS(O)
2であるならば、もう一方は、共有結合または任意選択で置換されたメチレンでなくてはならず;
R
8は、水素、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;
Wはそれぞれ、独立にNまたはCR
9であり;
Xはそれぞれ、独立にNまたはCR
10であり;
Yは、O、S、またはNR
11であり;
Zは、O、S、またはNR
12であり;
R
9は、水素、L−R
13、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;R
9基が1つ存在するとき、R
9は、水素ではあり得ず、R
9基が2つ存在するとき、一方は水素でなくてはならず、かつもう一方は水素であってはならず;
R
10はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OR、−NR
2、−NO
2、−COOR、−CONR
2、及び−Rからなる群から独立に選択され;
R
11は、水素、NH
2、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環であり;
R
12は、水素または任意選択で置換されたC
1−6脂肪族であり;
Lは、共有結合、または直鎖もしくは分岐鎖のC
1−6脂肪族基であり、1つまたは複数のメチレン基が、−NR
14−または−O−によって独立かつ任意選択で置換されており;
R
13は、NH
2、グアニジノ、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され;
R
14はそれぞれ、独立に水素またはC
1−3脂肪族であり;ならびに
Rはそれぞれ、独立に水素または任意選択で置換されたC
1−6脂肪族である。
先に一般に定義したように、R
1は、非環式基であるか、または
からなる構造のリストから選択される5員ヘテロアリール基または6員ヘテロアリール基である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。いくつかの実施形態では、R
1は、
である。
いくつかの実施形態では、R
1は、
からなる構造のリストから選択される。
先に一般に定義したように、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR、−NR2、−NO2、−COOR、−CONR2、及び−Rからなる群から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R5及びR6は両方共、水素である。いくつかの実施形態では、R5は水素であり、R6は、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR、−NR2、−NO2、−COOR、−CONR2、及び−Rからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R6は水素であり、R5は、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR、−NR2、−NO2、−COOR、−CONR2、及び−Rからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5及びR6は両方共、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR、−NR2、−NO2、−COOR、−CONR2、及び−Rからなる群から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R5は、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R5は、−CNである。いくつかの実施形態では、R5は、−ORである。いくつかの実施形態では、R5は、−OHである。いくつかの実施形態では、R5は、−NR2である。いくつかの実施形態では、R5は、−NO2である。いくつかの実施形態では、R5は、−COORである。いくつかの実施形態では、R5は、−CONR2である。いくつかの実施形態では、R5は、メトキシである。いくつかの実施形態では、R5は、−Rであり、Rは、1つまたは複数のフッ素によって任意選択で置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態では、R5は、メチルである。いくつかの実施形態では、R5は、トリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、R6は、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R6は、−CNである。いくつかの実施形態では、R6は、−ORである。いくつかの実施形態では、R6は、−OHである。いくつかの実施形態では、R6は、−NR2である。いくつかの実施形態では、R6は、−NO2である。いくつかの実施形態では、R6は、−COORである。いくつかの実施形態では、R6は、−CONR2である。いくつかの実施形態では、R6は、メトキシである。いくつかの実施形態では、R6は、−Rであり、Rは、1つまたは複数のフッ素によって任意選択で置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態では、R6は、メチルである。いくつかの実施形態では、R6は、トリフルオロメチルである。
先に一般に定義したように、Aはそれぞれ、共有結合、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、及びS(O)2からなる群から独立に選択され、一方のAが、任意選択で置換されたメチレン、任意選択で置換されたシスエチレン、任意選択で置換されたトランスエチレン、アセチレン、C(O)、S(O)、またはS(O)2であるならば、もう一方は、共有結合または任意選択で置換されたメチレンでなくてはならない。
先に一般に定義したように、R8は、水素、NH2、グアニジノ、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R8は、水素である。いくつかの実施形態では、R8は、NH2である。いくつかの実施形態では、R8は、グアニジンである。いくつかの実施形態では、R8は、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環である。いくつかの実施形態では、R8は、ピペラジノである。いくつかの実施形態では、R8は、ピペリジノである。いくつかの実施形態では、R8は、硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環である。いくつかの実施形態では、R8は、イミダゾロである。
先に一般に定義したように、Wはそれぞれ、独立にNまたはCR9である。
先に一般に定義したように、Xはそれぞれ、独立にNまたはCR10である。
先に一般に定義したように、Yは、O、S、またはNR11である。いくつかの実施形態では、Yは、Oである。いくつかの実施形態では、Yは、Sである。いくつかの実施形態では、Yは、NR11である。
先に一般に定義したように、Zは、O、S、またはNR12である。いくつかの実施形態では、Zは、Oである。いくつかの実施形態では、Zは、Sでる。いくつかの実施形態では、Zは、NR12である。
先に一般に定義したように、R9は、水素、L−R13、NH2、グアニジノ、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され、R9基が1つ存在するとき、R9は、水素ではあり得ず、R9基が2つ存在するとき、一方は水素でなくてはならず、もう一方は水素であってはならない。いくつかの実施形態では、R9は、水素である。いくつかの実施形態では、R9は、L−R13である。いくつかの実施形態では、R9は、NH2である。いくつかの実施形態では、R9は、グアニジンである。いくつかの実施形態では、R9は、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環である。いくつかの実施形態では、R9は、ピペラジノである。いくつかの実施形態では、R9は、ピペリジノである。いくつかの実施形態では、R9は、硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環である。いくつかの実施形態では、R9は、イミダゾロである。
先に一般に定義したように、R10はそれぞれ、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR、−NR2、−NO2、−COOR、−CONR2、及び−Rからなる群から独立に選択される。
先に一般に定義したように、R11は、水素、NH2、グアニジノ、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R11は、水素である。いくつかの実施形態では、R11は、NH2である。いくつかの実施形態では、R11は、グアニジンである。いくつかの実施形態では、R11は、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環である。いくつかの実施形態では、R11は、ピペラジノである。いくつかの実施形態では、R11は、ピペリジノである。いくつかの実施形態では、R11は、硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環である。いくつかの実施形態では、R11は、イミダゾロである。
先に一般に定義したように、R12は、水素または任意選択で置換されたC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態では、R12は、水素である。いくつかの実施形態では、R12は、任意選択で置換されたC1−6脂肪族である。
先に一般に定義したように、Lは、共有結合、または直鎖もしくは分岐鎖のC1−6脂肪族基であり、1つまたは複数のメチレン基が、−NR14−または−O−によって独立かつ任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、Lは、共有結合である。いくつかの実施形態では、Lは、直鎖または分岐鎖のC1−6脂肪族基であり、1つまたは複数のメチレン基が、−NR14−または−O−によって独立かつ任意選択で置換される。先に一般に定義したように、R13は、NH2、グアニジノ、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環、ならびに硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R13は、NH2である。いくつかの実施形態では、R13は、グアニジンである。いくつかの実施形態では、R13は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環である。いくつかの実施形態では、当該任意選択で置換された4〜7員飽和ヘテロ環式環は、アゼタジニル(azetadinyl)、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、またはホモピペラジニルである。いくつかの実施形態では、R13は、硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロ芳香族環である。いくつかの実施形態では、当該5〜6員ヘテロ芳香族環は、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、及びピラジリル(pyrazylyl)である。
先に一般に定義したように、R14はそれぞれ、独立に水素またはC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態では、R14はそれぞれ、水素である。いくつかの実施形態では、R14はそれぞれ、C1−3脂肪族である。いくつかの実施形態では、R14はそれぞれ、独立に水素またはC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態では、それぞれ存在するR14が複数であるとき、少なくとも1つのR14は、水素である。いくつかの実施形態では、それぞれ存在するR14が複数であるとき、少なくとも1つのR14は、C1−3脂肪族である。
先に一般に定義したように、Rはそれぞれ、独立に水素または任意選択で置換されたC1−6脂肪族である。
ある特定の実施形態では、本発明は式Iの化合物を提供し、式中、R
2、R
3、R
4、及びR
7はそれぞれが水素であり、それによって式I−aの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
1、R
5、及びR
6はそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式IIの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、及びXはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって、式IIIの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、X、及びYはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式IVの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、X、及びYはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式Vの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、X、及びZはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式VIの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、X、及びZはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式VIIの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、W、及びXはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物を提供し、式中、R
1は、
であり、それによって式VIIIの化合物:
またはその医薬的に許容可能な塩が形成され、式中、R
5、R
6、R
8、及びAはそれぞれ、先に定義したものであり、本明細書の実施形態において、単独及び組み合わせの両方で記載される。
ある特定の実施形態では、本発明は、式I−aの化合物の調製方法を提供し、当該方法は、
1)式:
の化合物であって、式中、R
5及びR
6が、先に定義したものである化合物と、
からなる構造のリストから選択される化合物であって、式中、R
14が、水素、ボロン酸、ボロン酸エステル、銅塩、MgBr、MgCl、MgI、Li、Na、ZnBr、ZnCl、及びZnIからなるリストから選択され、R
8、R
9、及びR
11のいずれも保護基で修飾され得る化合物と、の反応段階、ならびに
2)保護基の除去段階、
を含む。
当業者であれば、本発明の化合物の合成実施においては、Brで置換された化合物よりはむしろ、Iで置換された化合物を代わりに利用することがしばしば有用であり得ることを認識するであろう(例えば、式
の構造を式
の構造に換える)。
当業者であれば、多くの実施形態において、ある特定の代替合成方法が、本発明の化合物の調製に利用可能であり得ることを認識するであろう。そのような代替方法の例には、限定はされないが、
・Suzuki、Ullman、またはBuchwaldの化学を利用した、別々の環系の段階的導入、
・クリックケミストリーを利用した、環系の直接合成、
・出発臭化物の求核剤(有機リチウム、グリニャール、有機亜鉛、銅塩等)への変換、及び環系もしくは非環式基に由来する脱離基の置換、
・またはMizoroki−Heck反応を介した置換エチレン基の導入、
が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明は、上の表2に示したものから選択される任意の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
本発明によって提供される化合物またはその塩は、任意のさまざまな形態で利用されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、提供される化合物(またはその塩)は、固体形態で利用され、いくつかのそのような実施形態では、提供される化合物(またはその塩)は、非結晶固体形態で利用される。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、結晶固体形態で利用される。いくつかの実施形態では、提供される化合物(またはその塩)は、溶媒和物または水和物である固体形態(例えば、結晶固体形態)で利用される。
4.使用、製剤化、及び投与、ならびに医薬的に許容可能な組成物
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な誘導体、及び医薬的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、生体試料または患者において、CaMKIIを測定可能な程度に阻害するために有効な量の化合物を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明の組成物における化合物量は、生体試料または患者において、CaMKIIが媒介する生物学的過程を測定可能な程度に阻害するために有効な量である。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、本明細書に記載の化合物の単位投薬量を含み、治療レジメンの一部としてそのような単位投薬量を投与することは、所望の薬理予後及び/または治療予後と関連するものである。
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者に対する投与を目的として製剤化される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、患者に対する経口投与を目的として製剤化される。
本明細書では、「投薬レジメン」または「治療レジメン」は、典型的には期間を空けて対象に対して個々に投与される一連の単位用量(典型的には複数回)を指す。いくつかの実施形態では、所与の治療薬剤は、推奨投薬レジメンを有し、これは、1回または複数回の用量を含み得るものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数回の用量を含み、そのそれぞれが同一の長さの期間によってお互いに分かれたものであり、いくつかの実施では、投薬レジメンは、複数回の用量を含むと共に、個々の用量を分ける少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の用量はすべて、同一単位投薬量である。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の異なる用量は、量が異なるものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の投薬量の第1用量と、その後に続く、第1の投薬量とは異なる第2の投薬量の1回または複数回の追加用量と、を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の投薬量の第1用量と、その後に続く、第1の投薬量と同一の第2の投薬量の1回または複数回の追加用量と、を含む。
本明細書では、「患者」という用語は、動物、しばしば哺乳動物、及び多くの実施形態においてはヒトを意味する。
本明細書では、「医薬的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、それと共に製剤化される化合物の薬理活性を破壊しない非毒性の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用してよい医薬的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルには、限定はされないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が含まれる。
「医薬的に許容可能な誘導体」は、本発明の化合物の任意の非毒性塩、本発明の化合物の任意の非毒性エステル、または本発明の化合物のエステルの任意の非毒性塩であって、レシピエントに対して投与された際に、本発明の化合物または阻害活性を有する代謝物もしくはその残留物を直接的または間接的のいずれかで提供することが可能であるものを意味する。
本明細書では、「阻害活性を有する代謝物またはその残留物」という用語は、代謝物またはその残留物が、CaMKIIの阻害剤でもあるか、または同一の疾患、障害、または病態の治療において、治療活性を保持していることを意味する。
本発明の組成物は、任意の適切な投与経路を対象に製剤化されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、頬側に、経膣的に、または埋込リザーバーを介して投与されてよい。本明細書では、「非経口的な」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内、及び頭蓋内への注射手法または注入手法を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌注射用形態は、水溶性または油性の懸濁液であってよい。そのような懸濁液は、適した分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当該技術分野において知られる手法に従って製剤化されてよい。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、注射用製剤として製剤化されてよい。注射用製剤、例えば、無菌注射用である水溶性または油性の懸濁液は、適した分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当該技術分野において知られるものに従って製剤化されてよい。無菌注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤の無菌注射用である溶液、懸濁液、またはエマルジョンであってもよい。許容可能なビヒクル及び溶剤の中で用いられ得るものには、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、溶剤または懸濁ビヒクルとして慣習的に用いられる。この目的では、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む、任意の無菌性の固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を、注射剤の調製において使用することができる。
いくつかの実施形態では、注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によってか、または使用前に無菌水もしくは他の無菌注射用ビヒクルに溶解もしくは分散することができる無菌固体組成物形態に無菌化剤を組み入れることによって、無菌化することができる。
いくつかの実施形態では、例えば、化合物または組成物の作用を延長するために、皮下注射または筋肉内注射に由来する化合物の吸収を遅延させることが望ましくあり得る。これは、結晶の液体懸濁液、または水に対する溶解性が低い非結晶材料を使用することによって達成してよい。化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次いで結晶サイズ及び結晶形態に依存し得るものである。あるいは、またはさらに、非経口的に投与される化合物形態の吸収遅延は、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポ形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリド(polyglycolide)などの生分解性ポリマーにおいて、化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成させることによって作成される。ポリマーに対する化合物の割合、及び用いる特定ポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポ注射用製剤は、生体組織に適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を封入することによっても調製される。
いくつかの実施形態では、無菌注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤の無菌注射用である溶液または懸濁液であり得るか、またはそれを含み得る。許容可能なビヒクル及び溶剤の中で用いられ得るものには、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、溶剤または懸濁ビヒクルとして慣習的に用いられる。
この目的では、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む、任意の無菌性の固定油を用いることができる。注射剤の調製において、オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体が使用され、これらは、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化型などの医薬的に許容可能な天然油である。そのような油の溶液または懸濁液は、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコールである希釈剤もしくは分散剤、またはエマルジョン及び懸濁液を含む医薬的に許容可能な投与量形態の製剤化において一般に使用される類似の分散剤も含んでもよい。Tween、Span、及び他の乳化剤などの他の一般に使用される界面活性剤、または医薬的に許容可能な固体、液体、もしくは他の投与量形態の製造において一般に使用される生体利用能促進剤も製剤化を目的として使用してよい。
本発明の医薬的に許容可能な組成物は、限定はされないが、カプセル、錠剤、水溶性懸濁液、または水溶性溶液を含む任意の経口的に許容可能な投与量形態において、経口的に投与されてよい。経口的な使用を目的とする錠剤の場合は、一般に使用される担体には、ラクトース及びコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、典型的には添加される。カプセル形態における経口投与の目的では、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。経口的な使用に水溶性懸濁液が必要なときは、活性成分は、乳化剤及び懸濁剤と併用される。望ましいのであれば、ある特定の甘味剤、風味剤、着色剤が添加されてもよい。
経口投与を目的とする固体投与量形態には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒が含まれる。そのような固体投与量形態では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの、少なくとも1つの不活性な医薬的に許容可能な添加剤もしくは担体、及び/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの賦形剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸(alginate)、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン(polyvinylpyrrolidinone)、スクロース、及びアラビアガム(acacia)などの結合剤、c)グリセロールなどの保水剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、またはタピオカデンプン、アルギン酸(alginic acid)、ある特定のケイ酸、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物などの潤滑剤、と混合される。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合は、投与量形態は、緩衝剤を含んでもよい。
ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール及び同様のものといった添加剤を使用するソフト充填ゼラチンカプセル及びハード充填ゼラチンカプセルにおいて、類似の型の固体組成物を賦形剤として用いてもよい。固体投与量形態の錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒は、腸溶コーティング及び医薬製剤化分野においてよく知られる他のコーティングなどのコーティング及びシェルを使用して調製することができる。それらは、任意選択で乳白剤を含んでよく、任意選択で遅延様式において、ある特定の腸管部分のみで、またはそこで優先的に、活性成分(複数可)をそれらが放出する組成物でもあり得る。使用することができる包埋組成物の例には、重合体物質及びワックスが含まれる。ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール及び同様のものといった添加剤を使用するソフト充填ゼラチンカプセル及びハード充填ゼラチンカプセルにおいて、類似の型の固体組成物を賦形剤として用いてもよい。
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、上記のような1つまたは複数の添加剤と共にマイクロカプセル化形態において存在し得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒などの固体投与量形態は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬製剤化分野においてよく知られる他のコーティングなどのコーティング及びシェルを使用して調製することができる。そのような固体投与量形態では、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性な希釈剤と混合されてよい。そのような投与量形態は、通常の慣行であるが、不活性な希釈剤の他に追加の物質を含んでもよく、追加の物質は、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び結晶セルロースなどの錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化助剤である。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合は、投与量形態は緩衝剤を含んでもよい。それらは、任意選択で乳白剤を含んでよく、任意選択で遅延様式において、ある特定の腸管部分のみで、またはそこで優先的に、活性成分(複数可)をそれらが放出する組成物でもあり得る。使用することができる包埋組成物の例には、重合体物質及びワックスが含まれる。
経口投与を目的とする液体投与量形態には、限定はされないが、医薬的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体投与量形態は、例えば、水または他の溶剤などの当該技術分野において一般に使用される不活性な希釈剤と、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実油、落花生油、コーン油、麦芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ならびにソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤及び乳化剤と、それらの混合物と、を含んでよい。不活性な希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、風味剤、ならびに芳香剤などのアジュバントを含むこともできる。
あるいは、またはさらに、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、直腸投与を目的とする坐薬形態において投与されてよい。そのような組成物は、提供される化合物と、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、それ故に直腸において溶解して薬剤を放出することになる適した非刺激性添加物と、を組み合わせることによって調製することができる。そのような材料には、ココアバター、蜜ろう、及びポリエチレングリコールが含まれる。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、局所的に投与されてよく、特に、治療標的が局所適用によって容易に到達可能な領域または臓器を含むときに局所的に投与されてよく、これには、目、皮膚、または下部腸管の疾患が含まれる。適した局所製剤は、こうした領域または臓器のそれぞれを対象に容易に調製される。
下部腸管を対象とする局所適用は、直腸坐薬製剤(上記参照)または適した浣腸製剤において達成することができる。局所的に経皮性であるパッチを使用してもよい。
局所適用の目的では、提供される医薬的に許容可能な組成物は、1つまたは複数の担体に懸濁または溶解した活性成分を含む、適した軟膏において製剤化されてよい。本発明の化合物の局所投与を目的とする担体には、限定はされないが、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水が含まれる。あるいは、またはさらに、提供される医薬的に許容可能な組成物は、1つまたは複数の医薬的に許容可能な担体に懸濁または溶解した活性成分を含む、適したローションまたはクリームにおいて製剤化することができる。適した担体には、限定はされないが、鉱物油、ステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水が含まれる。
本発明の化合物の局所投与または経皮投与を目的とする投与形態には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが含まれる。活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容可能な担体、及び任意の必要な保存剤または必要となり得るような緩衝剤と混合される。眼製剤(ophthalmic formulation)、点耳剤、及び点眼剤も、本発明の範囲内であることを企図する。さらに、本発明は、経皮パッチの使用も企図し、経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を提供するという付加的な利点を有するものである。そのような投与量形態は、適切なビヒクルに化合物を溶解または調剤することによって作成することができる。皮膚をまたぐ化合物の流動を増加させるために、吸収促進剤を使用することもできる。速度制御膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることによって速度を制御することができる。
眼への使用には、提供される医薬的に許容可能な組成物は、等張性のpH調整済無菌生理食塩水の微粒子化懸濁液として、または好ましくは、等張性のpH調整済無菌生理食塩水の溶液として、塩化ベンジルアルコニウム(benzylalkonium chloride)などの保存剤を含めて、または保存剤を含めずに製剤化してよい。あるいは、またはさらに、目への使用には、医薬的に許容可能な組成物は、ワセリンなどの軟膏において製剤化されてよい。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、経鼻エアロゾルまたは経鼻吸入によって投与されてよい。そのような組成物は、医薬製剤の分野においてよく知られる手法に従って調製されてよく、例えば、ベンジルアルコールもしくは他の適した保存剤、生体利用能を増進する吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水の溶液として調製されてよい。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、経口投与を目的に製剤化される。そのような製剤は、食物と共に投与されるか、または食物無しで投与されてよい。いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、食物無しで投与される。いくつかの実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、食物と共に投与される。
単一投与量形態の組成物を作るために、担体材料と組み合わせてよい本発明の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与様式に応じて変化することになる。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、こうした組成物が与えられる患者に対して、0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で阻害剤を投与することができるように製剤化される。
任意の特定患者を対象とする特定の投与量及び治療レジメンは、用いる特定化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、及び治療担当医の判断、ならびに治療中である特定疾患の重症度を含む、さまざまな因子に依存し得るものであることも理解されるべきである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物に含まれる本発明の化合物の量は、特定化合物の活性及び/または生体利用能によって決定され、その結果、異なる化合物の組成物が絶対量の異なる化合物を含んでよい。
化合物及び医薬的に許容可能な組成物の使用
本明細書に記載の化合物及び組成物は、さまざまな疾患、障害、及び病態のいずれの治療においても有用である。いくつかの実施形態では、提供される化合物及び組成物は、CaMKIIの活性と関連する疾患、障害、または病態の治療において有用である。
Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMKII)は、セリン/スレオニンキナーゼである。心房細動、心室性不整脈、心不全、心肥大、粥状動脈硬化、冠動脈疾患におけるステント内再狭窄などの循環器疾患と、心保護における使用と、喘息などの炎症性肺疾患と、疼痛、脳卒中、虚血、低酸素、オピオイド耐性及びオピオイド依存、ならびに黄斑変性症などの神経性の疾患及び病態と、II型糖尿病、インスリン抵抗性、及び肥満などの代謝性疾患と、骨肉腫、メラノーマ、及び前立腺癌などの癌及び他の増殖性障害と、骨粗鬆症などの骨疾患と、関節リウマチなどの炎症性疾患と、を含むさまざまな疾患の治療を対象とする重要な治療標的として、CaMKII活性を直接的に阻害するという概念が、いくつかの証拠によって強力に裏付けられている。
CaMKIIを薬理学的及び遺伝子的に阻害すると、リアノジン受容体が媒介するカルシウム漏出が減少し、心房細動のマウスモデルにおいて心房細動の誘導が遮断された。心房細動患者に由来する心房細胞では、CaMKII活性が増加すると、心房細動を促進するカルシウム漏出を引き起こす一方で、当該キナーゼを阻害すると、カルシウム漏出は減少する。(Dobrev D,et al.,“Novel molecular targets for atrial fibrillation therapy”(2012)Nature Reviews Drug Discovery 11:275−291、Chelu MG,et al.,“Calmodulin kinase II−mediated sarcoplasmic reticulum Ca2+ leak promotes atrial fibrillation in mice”(2009)J Clin Invest 119:1940−1951、Neef S,et al.,“CaMKII−dependent diastolic SR Ca2+ leak and elevated diastolic Ca2+ levels in right atrial myocardium of patients with atrial fibrillation”(2010)Circ Res 106:1134−1144)。
CaMKIIを薬理学的に阻害すると、心臓の不整脈原性が減少することがインビトロ及びインビボで示されており、これには、突然死を引き起こす多形性心室頻拍の抑制が含まれる。(Anderson ME,et al.,“KN−93,an inhibitor of multifunctional Ca++/Calmodulin−dependent protein kinase,decreases early afterdepolarizations in rabbit heart”(1998)J Pharmacol Exp Ther 287:996−1006、Sag CM,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent protein kinase II contributes to cardiac arrhythmogenesis in heart failure”(2009)Circ Heart Fail 2:664−675、Erickson JR,Anderson ME,“CaMKII and Its role in cardiac arrhythmia”(2008)Journal of Cardiovascular Electrophysiology 19:1332−1336)。CaMKIIは、Ca2+及び活性酸素種を介してCaMKII活性を増大させる不整脈誘発経路をいくつか統合し、次いでリアノジン受容体、電位依存性のカルシウムチャネル(Cav1.2)、及びNaチャネル(Nav1.5)に作用することで不整脈を促進する(Rokita AG and Anderson ME“New Therapeutic Targets in Cardiology Arrhythmias and Ca2+/Calmodulin−Dependent Kinase II(CaMKII)”(2012)Circulation 126:2125−2139)。
CaMKIIは、マウスモデル及びヒト心臓組織の両方において、心不全及び器質的心疾患に関与していることが、試験によって示されている。CaMKIIを薬理学的、及び遺伝子に基づいて阻害すると、細胞の機械的機能が保護され、心筋梗塞後のカルシウム恒常性が保たれることが示された。CaMKIIは、不全化していくヒト心臓細胞に由来する細胞において増加し、CaMKIIを薬理学的に阻害すると、確立されたCaMKII経路によって収縮力が改善する。(Schulman H,Anderson ME,“Ca/Calmodulin−dependent Protein Kinase II in Heart Failure”(2010)Drug Discovery Today:Disease Mechanisms 7:e117−e122、Zhang R,et al.,“Calmodulin kinase II inhibition protects against structural heart disease”(2005)Nat Med 11:409−417、Sossalla S,et al.,“Inhibition of Elevated Ca2+/Calmodulin−Dependent Protein Kinase II Improves Contractility in Human Failing Myocardium”(2010)Circulation Research 107:1150−1161)。
CaMKIIの遺伝子的な活性化及び薬理学的な阻害を使用することで、CaMKIIが心肥大を媒介する一方で、δ−CaMKIIを遺伝子的に欠失させると、圧負荷後の病理学的な心肥大及びリモデリングから心臓が保護されることが示された。(Backs J,et al.,“The delta isoform of CaM kinase II is required for pathological cardiac hypertrophy and remodeling after pressure overload”(2009)Proc Natl Acad Sci USA 106:2342−2347、Zhang T,et al.,“The cardiac−specific nuclear delta(B)isoform of Ca2+/calmodulin−dependent protein kinase II induces hypertrophy and dilated cardiomyopathy associated with increased protein phosphatase 2A activity”(2002)J Biol Chem 277:1261−1267、Anderson ME,et al.,“CaMKII in myocardial hypertrophy and heart failure”(2011)Journal of Molecular and Cellular Cardiology 51:468−473)。
CaMKIIの阻害は、心臓発作または虚血再灌流障害が生じた後の癌治療(ドキソルビシン)によって引き起こされる心臓毒性からの心臓保護を含む、いくつかの形態の心臓保護において有効であることが明らかとなっており、例えば、心臓発作の迅速インターベンション(初回血管形成術)を実施した場合や、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍などの、突然死につながる変異を有する患者が対象となる。(Sag CM,et al.,“CaMKII−dependent SR Ca leak contributes to doxorubicin−induced impaired Ca handling in isolated cardiac myocytes”(2011)Journal of Molecular and Cellular Cardiology 51:749−759、Zhang R,et al.,“Calmodulin kinase II inhibition protects against structural heart disease”(2005)Nat Med 11:409−417、Liu N,et al.,“Calmodulin kinase II inhibition prevents arrhythmias in RyR2(R4496C+/−)mice with catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia”(2011)Journal of Molecular and Cellular Cardiology 50:214−222、Joiner,M−L A,et al.,“CaMKII determines mitochondrial stress responses in heart”(2012).Nat Med,DOI:10.1038/nature11444,2012年10月10日にオンラインで公開)。
粥状動脈硬化の病理には、脈管構造狭窄ならびに粥腫破綻の両方が含まれる。CaMKIIを阻害することで、血管細胞の増殖、ならびに粥腫破綻の根底にあるアポトーシスにつながるERストレス要因の媒介が遮断される。(Timmins JM,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent protein kinase II links ER stress with Fas and mitochondrial apoptosis pathways”(2009)The Journal of Clinical Investigation 119:2925−2941、Li W,et al.,“The multifunctional Ca2+/calmodulin−dependent kinase IIδ(CaMKIIδ)controls neointima formation after carotid ligation and vascular smooth muscle cell proliferation through cell cycle regulation by p21”(2011)J Biol Chem 286:7990―7999)。
CaMKIIは、重要であるが以前は認識されていなかった喘息促進性のシグナルであり、喘息気道の酸化促進性環境と、下流の炎症性事象及びリモデリング事象と、を関連づけていることが試験によって示唆されている。上皮におけるCaMKII活性は、ROS−CaMKII−エオタキシン−1依存性経路を介する、肺への好酸球の動員を増進するために必要となり得るものである。CaMKII活性の阻害は、未来の喘息治療において新規標的となり得るものである。(Sanders PN,et al.,“Camkii As A Pro−Asthmatic Signal”(2011)Am J Respir Care Med 183:A2795,2011年5月6日ポスター発表)。
平滑筋の増殖は、経皮的冠動脈インターベンションを実施した後の粥状動脈硬化及び再狭窄などの血管リモデリング及び閉塞性脈管障害に寄与しており、キナーゼを阻害することで、再狭窄につながる血管平滑筋増殖及び新生内膜形成が遮断される。(Li W,et al.,“The multifunctional Ca2+/calmodulin−dependent kinase IIδ(CaMKIIδ)controls neointima formation after carotid ligation and vascular smooth muscle cell proliferation through cell cycle regulation by p21”(2011)J Biol Chem 286:7990―7999、House SJ,Singer HA,“CaMKII−delta isoform regulation of neointima formation after vascular injury”(2008)Arterioscler Thromb Vasc Biol 28:441−447)。
CaMKIIの薬理学的抑制及び遺伝子的抑制を使用することで、損傷または炎症に起因する中枢疼痛及び末梢疼痛、ならびに疼痛に対する感作が減少することが示された。(Zeitz KP,et al.,“The contribution of autophosphorylated alpha−calcium−calmodulin kinase II to injury−induced persistent pain”(2004)Neuroscience 128:889−898、Luo F,et al.,“Reversal of chronic inflammatory pain by acute inhibition of Ca2+/calmodulin−dependent protein kinase II”(2008)J Pharmacol Exp Ther 325:267−275、Chen Y,et al.,“Ca2+/Calmodulin−dependent protein kinase IIα is required for the initiation and maintenance of opioid−induced hyperalgesia”(2010)J Neurosci 30:38−46、Crown ED,et al.,“Calcium/calmodulin dependent kinase II contributes to persistent central neuropathic pain following spinal cord injury”(2012)Pain 153:710−721)。
CaMKIIの阻害は、神経保護的であり、脳卒中モデルにおいて低酸素に起因する損傷を減少させる。CaMKIIを阻害することによって心房細動が減少すれば、脳卒中の発症率も減少するであろう。(Vest RS,et al.,“Effective post−insult neuroprotection by a novel CaMKII inhibitor”(2010)J Biol Chem 285:20675−20682、Ashpole NM,et al.,“Calcium/Calmodulin−dependent Protein Kinase II(CaMKII)Inhibition Induces Neurotoxicity via Dysregulation of Glutamate/Calcium Signaling and Hyperexcitability”(2012)Journal of Biological Chemistry 287:8495−8506、Dobrev D,et al.,“Novel molecular targets for atrial fibrillation therapy”(2012)Nature Reviews Drug Discovery 11:275−291)。
オピエート受容体を刺激すると、CaMKIIが増加すると共に、耐性及び依存を引き起こし、当該耐性及び依存は、CaMKIIを阻害することによって減少する。(Liang D,et al.,“Increased expression of Ca2+/calmodulin−dependent protein kinase II alpha during chronic morphine exposure”(2004)Neuroscience 123:769−775、Fan GH,et al.,“Inhibition of calcium/calmodulin−dependent protein kinase II in rat hippocampus attenuates morphine tolerance and dependence”(1999)Mol Pharmacol 56:39−45)。
CaMKIIのベータアイソフォームは、うつ病の病態生理学と関連する領域である外側手綱において選択的に増加するものであり、うつ病の前臨床モデルにおいて増加し、抗うつ剤での治療によって低下する(Li K,et al.,βCaMKII in lateral habenula mediates core symptoms of depression“(2013)Science 341:1016−1020)。ベータアイソフォームが選択的に増加すると、快感消失及び行動断念(behavioral despair)などの中心的なうつ症状が増加した一方で、ベータアイソフォームを遺伝子的に抑制すると、うつ症状は好転した。
CaMKIIを阻害すると、網膜内皮細胞の血管新生または血管形成の増加を媒介するVEGF経路を抑制する。(Banumathi E,et al.,“VEGF−induced retinal angiogenic signalling is critically dependent on Ca2+ signalling via Ca2+/calmodulin−dependent protein kinase II”(2011)Investigative Ophthalmology & Visual Science 52:3103−3111)。
CaMKIIは、II型糖尿病においてCaMKIIを阻害するという概念を裏付ける作用部位をいくつか有し得る。CaMKIIは、インスリン抵抗性の病態形成における役割が示唆されているインスリンシグナル伝達を調節している。肝臓では、CaMKIIは、グルコース産生及びインスリンシグナル伝達の抑制を制御しており、したがって、CaMKIIを阻害すれば、糖尿病及び心血管代謝疾患に有益であろう。(Illario M,et al.,“Calcium−calmodulin−dependent kinase II(CaMKII)mediates insulin−stimulated proliferation and glucose uptake”(2009)Cellular Signalling 21:786−792、Ozcan L,et al.,“Calcium Signaling through CaMKII Regulates Hepatic Glucose Production in Fasting and Obesity”(2012)Cell Metabolism 15:739−751、Ozcan L,et al.,Activation of Calcium/Calmodulin−dependent Protein Kinase II in obesity mediates suppression of hepatic insulin signaling”(2013)Cell Metabolism 18:1−13)。
CaMKIIを薬理学的に阻害すると、骨肉腫細胞株の増殖が減少し、増殖に関連するシグナル伝達の変化を示すことが試験によって示された。ヒト骨肉腫異種移植片を有するマウスに対して阻害剤を投与すると、腫瘍サイズが顕著に減少する。(Yuan K,et al.,“α−CaMKII controls the growth of human osteosarcoma by regulating cell cycle progression”(2007)Lab Invest 87:938−950)。
腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)は、メラノーマ治療において道筋を与えるものであるが、メラノーマは、転移した後、TRAILに対して抵抗性であることが多い。CaMKIIのシグナル伝達を、当該キナーゼのドミナントネガティブ形態を使用することによって阻害すると、TRAILを介した細胞死に対するメラノーマの感受性が回復することが示された。(Xiao C,et al.,“Inhibition of CaMKII−mediated c−FLIP expression sensitizes malignant melanoma cells to TRAIL−induced apoptosis”(2005)Exp Cell Res 304:244−255)。
前立腺癌細胞株の増殖及び浸潤が、CaMKIIを薬理学的に阻害することによって減少することが試験によって示された。キナーゼ阻害を使用することで、キナーゼが前立腺癌細胞の生存に重要であると共に、前立腺癌細胞のアンドロゲン依存性状態への進行を促進することが示された。(Mamaeva OA,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent kinase II regulates notch−1 signaling in prostate cancer cells”(2009)J Cell Biochem 106:25−32、Rokhlin OW,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent kinase II plays an important role in prostate cancer cell survival”(2007)Cancer Biol Ther 6:732−742)。
CaMKIIを薬理学的に阻害すると、破骨細胞の分化が減少し、骨粗鬆症の骨吸収特性が抑制される。(Ang ESM,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent kinase activity is required for efficient induction of osteoclast differentiation and bone resorption by receptor activator of nuclear factor kappa B ligand(RANKL)”(2007)Journal of cellular physiology 212:787−795)。
CaMKIIを薬理学的及び遺伝子的に抑制することで、マクロファージにおける炎症誘発性のサイトカイン及びインターフェロンの産生において、CaMKIIが役割を担っていることが示された。CaMKIIの小分子阻害剤を使用することで、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)が媒介する線維芽細胞様滑膜細胞のアポトーシスに、それが必要であったことが示され、このことは、CaMKIIが関節リウマチ治療の標的であること示唆している。(Liu X,et al.,“CaMKII promotes TLR−triggered proinflammatory cytokine and type I interferon production by directly binding and activating TAK1 and IRF3 in macrophages”(2008)Blood 112:4961−4970、Fujikawa K,et al.,“Calcium/calmodulin−dependent protein kinase II(CaMKII)regulates tumour necrosis factor−related apoptosis inducing ligand(TRAIL)−mediated apoptosis of fibroblast−like synovial cells(FLS)by phosphorylation of Akt”(2009)Clinical and experimental rheumatology 27:952−957)。
CaMKIIの阻害剤、またはCaMKIIが媒介する疾患、障害、もしくは病態の治療として本発明において利用される化合物の活性は、インビトロまたはインビボでアッセイしてよい。本発明の化合物の効力のインビボでの評価は、CaMKIIが媒介する疾患、障害、または病態の動物モデルを使用して実施してよく、動物モデルは、例えば、げっ歯類モデルまたは霊長類モデルである。例えば、CaMKIIを発現する組織から単離した細胞株を使用して、細胞に基づくアッセイを実施してよい。さらに、例えば、精製タンパク質、ノーザンブロット、RT−PCR等を使用する転写アッセイといった、生化学的アッセイまたは機構に基づくアッセイを実施してよい。インビトロアッセイには、細胞形態学、タンパク質発現、及び/または細胞傷害性、酵素阻害活性、及び/または本発明の化合物で細胞を処理した後の機能的な結果、を決定するアッセイが含まれる。代替または追加のインビトロアッセイを使用することで、細胞内のタンパク質分子または核酸分子に対する阻害剤の結合能力を定量してよい。阻害剤の結合は、結合の前に阻害剤を放射標識し、阻害剤/標的分子の複合体を単離して、放射標識の結合量を決定することによって測定してよい。あるいは、またはさらに、阻害剤の結合は、既知の放射リガンドに結合した精製タンパク質または精製核酸と共に新たな阻害剤をインキュベートする競合実験を実施することによって決定してよい。CaMKIIの阻害剤として本発明において利用される化合物のアッセイを目的とする例示システムの詳細条件は、後述の実施例に示すものである。そのようなアッセイは、例示であって、本発明の範囲の限定を意図するものではない。当業者であれば、同程度の活性評価に用いることができるか、またはそうでなければ本明細書に記載の化合物及び/または組成物の同程度の特徴づけに用いることができる同等アッセイまたは他のアッセイを開発するために、従来のアッセイに対する変更が実施可能なことを理解することができる。
本明細書では、「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、及び「治療(treating)」という用語は、本明細書に記載のような、疾患、障害、もしくは病態、または1つもしくは複数のその症状の好転、軽減、その発症遅延、その発症率もしくは重症度の低減、またはその進行の阻害を指す。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の症状が生じた後に治療が実施されてよい。他の実施形態では、症状が存在しない状態で治療が実施されてよい。例えば、症状を発症する前に、感受性である個体に対して治療が実施されてよい(例えば、症状歴の観点及び/または遺伝子的感受性因子もしくは他の感受性因子の観点において)。治療は、例えば、症状の再発を予防または遅延させるために、症状から回復した後に継続されてもよい。
本明細書に記載の化合物及び/または組成物は、疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、化合物及び/または組成物は、循環器の疾患、障害、もしくは病態、炎症性の疾患、障害、もしくは病態、神経性の疾患、障害、もしくは病態、眼性の疾患、障害、もしくは病態、代謝性の疾患、障害、もしくは病態、癌もしくは他の増殖性の疾患、障害、もしくは病態、骨の疾患、障害、もしくは病態、または嗜癖性の疾患、障害、もしくは病態の治療に有効な量及び/または経路によって投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物及び/または組成物は、CaMKIIと関連する疾患、障害、または病態の治療またはその重症度の軽減に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。
いくつかの実施形態では、化合物及び/または組成物は、循環器の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、循環器の疾患、障害、または病態は、心臓の疾患である。いくつかの実施形態では、循環器の疾患、障害、または病態は、脈管構造の疾患である。いくつかの実施形態では、循環器の疾患、障害、または病態は、心房細動、心室性不整脈、心不全、心肥大、粥状動脈硬化、または再狭窄から選択される。いくつかの実施形態では、再狭窄は、冠動脈疾患におけるステント内再狭窄である。
いくつかの実施形態では、提供される化合物及び/または組成物は、心臓毒性からの心臓保護の達成に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び組成物を投与することによって回避される心臓毒性は、薬剤治療、心臓発作、虚血再灌流障害、またはカテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍などの、突然死につながる変異に起因するものである。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、炎症性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、炎症性の疾患、障害、または病態は、喘息または関節リウマチである。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、神経性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、神経性の疾患、障害、または病態は、疼痛または脳卒中である。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、嗜癖性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、嗜癖性の疾患、障害、または病態は、オピオイド耐性またはオピオイド依存である。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、眼性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、眼性の疾患、障害、または病態は、黄斑変性症である。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、代謝性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、代謝性の疾患、障害、または病態は、糖尿病である。いくつかの実施形態では、糖尿病は、II型糖尿病である。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、癌または別の増殖性の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、癌または他の増殖性の疾患、障害、または病態は、骨肉腫、メラノーマ、または前立腺癌である。
いくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、骨の疾患、障害、または病態の治療に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して投与されてよい。いくつかの実施形態では、骨の疾患、障害、または病態は、骨粗鬆症である。
当業者であれば、提供される化合物または組成物の正確な量は、対象の種、年齢、及び全身状態、感染重症度、特定薬剤、その投与様式、及び同様のものに応じて、対象ごとに変わり得ることを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、例えば、投与の容易さ及び投与量の均一性を目的として、投与量単位形態で製剤化される。本明細書では、「投与量単位形態」または「単位投与量」という表現は、治療されることになる患者に適した物理的に別々の単位の薬剤を指す。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で、担当医によって決定されてよいことを理解されるであろう。任意の特定患者または特定生物に有効な特定用量レベルは、治療中の疾患及び疾患の重症度と、用いる特定化合物の活性と、用いる特定の組成物と、患者の年齢、体重、総体的な健康、性別、及び食事と、投与時間、投与経路、及び用いる特定化合物の排出速度と、治療の継続期間と、用いる特定化合物と組み合わせて使用する薬剤、または用いる特定化合物と同時使用する薬剤と、医学分野においてよく知られる同様の因子と、を含むさまざまな因子に依存し得るものである。
いくつかの実施形態によれば、本発明は、生体試料におけるCaMKIIの阻害方法に関し、当該方法は、当該生体試料と、本発明の化合物または当該化合物を含む組成物と、の接触段階を含む。
本明細書では、「生体試料」という用語には、限定はされないが、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物、及び血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、もしくは他の体液、またはその抽出物を含む。
生体試料における酵素阻害は、当業者に知られるさまざまな目的に有用である。そのような目的の例には、限定はされないが、生物学的アッセイ、遺伝子発現試験、及び生物学的標的の同定が含まれる。
本発明のいくつかの実施形態は、患者におけるCaMKIIの阻害方法に関し、当該方法は、本発明の化合物または当該化合物を含む組成物の、当該患者に対する投与段階を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者におけるCaMKII活性の阻害方法に関し、当該方法は、本発明の化合物または当該化合物を含む組成物の、当該患者に対する投与段階を含む。ある特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における、CaMKIIによって媒介される疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明による化合物またはその医薬的に許容可能な組成物の、当該患者に対する投与段階を含む。そのような疾患、障害、及び病態は、本明細書に詳細に記載される。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び/または組成物は、循環器の疾患、障害、もしくは病態、炎症性の疾患、障害、もしくは病態、神経性の疾患、障害、もしくは病態、眼性の疾患、障害、もしくは病態、代謝性の疾患、障害、もしくは病態、癌もしくは他の増殖性の疾患、障害、もしくは病態、または骨の疾患、障害、もしくは病態の治療方法において使用されてよい。ある特定の実施形態では、本発明の化合物及び組成物は、哺乳動物における、循環器の疾患、障害、もしくは病態、炎症性の疾患、障害、もしくは病態、神経性の疾患、障害、もしくは病態、眼性の疾患、障害、もしくは病態、代謝性の疾患、障害、もしくは病態、癌もしくは他の増殖性の疾患、障害、もしくは病態、または骨の疾患、障害、もしくは病態の治療のために使用されてよい。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒト患者である。
いくつかの実施形態では、本発明は、循環器の疾患、障害、もしくは病態、炎症性の疾患、障害、もしくは病態、神経性の疾患、障害、もしくは病態、眼性の疾患、障害、もしくは病態、代謝性の疾患、障害、もしくは病態、癌もしくは他の増殖性の疾患、障害、もしくは病態、または骨の疾患、障害、もしくは病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、それを必要とする患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、循環器の疾患、障害、もしくは病態、炎症性の疾患、障害、もしくは病態、神経性の疾患、障害、もしくは病態、眼性の疾患、障害、もしくは病態、代謝性の疾患、障害、もしくは病態、癌もしくは他の増殖性の疾患、障害、もしくは病態、または骨の疾患、障害、もしくは病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
ある特定の実施形態では、本発明は、循環器の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、循環器の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、循環器の疾患、障害、または病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
ある特定の実施形態では、本発明は、癌または別の増殖性の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、癌または別の増殖性の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、癌または他の増殖性の疾患の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
本明細書では、「癌の治療」という用語は、細胞障害性、栄養の涸渇、またはアポトーシスの誘導による、個々、または他の癌細胞と共に生じる、癌細胞の増殖、分裂、成熟、もしくは生存率の阻害、及び/または癌細胞死の誘起を指す。
本明細書に記載の化合物及び組成物によってその増殖が阻害され、本明細書に記載の方法が有用である癌性細胞を含む組織の例には、限定はされないが、乳房、前立腺、脳、血液、骨髄、骨、肝臓、膵臓、皮膚、腎臓、結腸、卵巣、肺、精巣、陰茎、甲状腺、副甲状腺、下垂体、胸腺、網膜、ぶどう膜、結膜、脾臓、頭部、頸部、気管、胆嚢、膀胱、直腸、唾液腺、副腎、咽頭、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、筋肉、心臓、及び胃が含まれる。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物または組成物によって治療される癌は、皮膚癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、白血病、腎癌、食道癌、脳癌、骨癌、または結腸癌である。いくつかの実施形態では、本発明の化合物または組成物によって治療される癌は、骨肉腫、メラノーマ、または前立腺癌である。
ある特定の実施形態では、本発明は、神経性の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、神経性の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、神経性の疾患、障害、または病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ある特定の実施形態では、神経性の疾患、障害、または病態は、疼痛または脳卒中である。
ある特定の実施形態では、本発明は、炎症性の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、炎症性の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、炎症性の疾患、障害、または病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ある特定の実施形態では、神経性の疾患、障害、または病態は、喘息または関節リウマチである。
ある特定の実施形態では、本発明は、代謝性の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、代謝性の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、代謝性の疾患、障害、または病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ある特定の実施形態では、代謝性の疾患、障害、または病態は、糖尿病である。いくつかの実施形態では、糖尿病は、II型糖尿病である。
ある特定の実施形態では、本発明は、オピオイド耐性またはオピオイド依存の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、代謝性の疾患、障害、または病態を有する、オピオイド耐性またはオピオイド依存である患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、オピオイド耐性またはオピオイド依存の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、ヒトに対する投与を含む。いくつかの実施形態では、オピオイド耐性またはオピオイド依存は、モルヒネ耐性またはモルヒネ依存である。
ある特定の実施形態では、本発明は、眼性の疾患、障害、または病態の治療方法を提供し、当該方法は、本発明の化合物または組成物の、眼性の疾患、障害、または病態を有する患者に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、眼性の疾患、障害、または病態の治療方法は、本発明の化合物及び組成物の、哺乳動物に対する投与を含む。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ある特定の実施形態では、眼性の疾患、障害、または病態は、黄斑変性症である。
治療されることになる特定の疾患、障害、または病態に応じて、その病態を治療するために通常投与される追加の治療薬剤が、本発明の化合物及び組成物と組み合わせて投与されてよい。本明細書では、特定の疾患または病態を治療するために通常投与される追加の治療薬剤は、「治療中の疾患または病態に適したもの」として知られる。
ある特定の実施形態では、提供される化合物またはその組成物は、別のCaMKII阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、提供される化合物またはその組成物は、1つまたは複数の他の治療薬剤と組み合わせて投与される。そのようなCaMKII阻害剤には、限定はされないが、CaMキナーゼIIカルモジュリンアンタゴニストペプチド、KN−93、及びラベンダスチンCが含まれる。
ある特定の実施形態では、提供される化合物またはその組成物は、別の抗癌剤、細胞毒剤、または化学療法剤と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態では、本発明の化合物または組成物と組み合わせて使用される抗癌剤または化学療法剤には、限定はされないが、イマチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、スニチニブ、カルフィルゾミブ、サリノスポラミドA、レチノイン酸、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、チオグアニン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、タフルポシド(tafluposide)、パクリタキセル、ドセタキセル、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、アクチノマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン、イダルビシン、エピルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、メルファラン、ブスルファン、カペシタビン、ペメトレキセド、エポチロン、13−シス−レチノイン酸、2−CdA、2−クロロデオキシアデノシン、5−アザシチジン、5−フルオロウラシル、5−FU、6−メルカプトプリン、6−MP、6−TG、6−チオグアニン、アブラキサン(Abraxane)、Accutane(登録商標)、アクチノマイシンD、Adriamycin(登録商標)、Adrucil(登録商標)、Afinitor(登録商標)、Agrylin(登録商標)、Ala−Cort(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、Alkaban−AQ(登録商標)、Alkeran(登録商標)、全トランス型レチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、Anandron(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、シタラビン(Ara−C)、Aranesp(登録商標)、Aredia(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Aromasin(登録商標)、Arranon(登録商標)、亜ヒ酸、Arzerra(商標)、アスパラギナーゼ、ATRA、Avastin(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)ビカルタミド、BiCNU、Blenoxane(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、Busulfex(登録商標)、C225、ロイコボリンカルシウム(Calcium Leucovorin)、Campath(登録商標)、Camptosar(登録商標)、カンプトテシン−11、カペシタビン、Carac(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウェハー、Casodex(登録商標)、CC−5013、CCI−779、CCNU、CDDP、CeeNU、Cerubidine(登録商標)、セツキシマブ、クロラムブシル、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、Cosmegen(登録商標)、CPT−11、Cytadren(登録商標)、Cytosar−U(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、ダカルバジン、Dacogen、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、リポソーマルダウノルビシン、DaunoXome(登録商標)、デカドロン(Decadron)、デシタビン、Delta−Cortef(登録商標)、Deltasone(登録商標)、デニロイキン、ジフチトクス、DepoCyt(商標)、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサゾン(Dexasone)、デクスラゾキサン、DHAD、DIC、ディオデクス(Diodex)、ドセタキセル、Doxil(登録商標)、ドキソルビシン、リポソーマルドキソルビシン、Droxia(商標)、DTIC、DTIC−Dome(登録商標)、Duralone(登録商標)、Efudex(登録商標)、Eligard(商標)、Ellence(商標)、Eloxatin(商標)、Elspar(登録商標)、Emcyt(登録商標)、エピルビシン、エポエチンアルファ、Erbitux、エルロチニブ、エルウィニア属のL−アスパラギナーゼ(Erwinia L−asparaginase)、エストラムスチン、エチオール(Ethyol)、Etopophos(登録商標)、エトポシド、リン酸エトポシド、Eulexin(登録商標)、エベロリムス、Evista(登録商標)、エキセメスタン、Fareston(登録商標)、Faslodex(登録商標)、Femara(登録商標)、フィルグラスチム、フロクスウリジン、Fludara(登録商標)、フルダラビン、Fluoroplex(登録商標)、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、G−CSF、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、、Gemzar Gleevec(商標)、Gliadel(登録商標)ウェハー(Wafer)、GM−CSF、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、Halotestin(登録商標)、Herceptin(登録商標)、ヘキサドロール(Hexadrol)、Hexalen(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、HMM、Hycamtin(登録商標)、Hydrea(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、リン酸ハイドロコートン(Hydrocortone Phosphate)、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、Idamycin(登録商標)、Idarubicin Ifex(登録商標)、IFN−アルファ、イホスファミド、IL−11、IL−2、イマチニブメシル酸塩、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2b(PEG結合体)、インターロイキン−2、インターロイキン−11、Intron 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Depot(登録商標)、Matulane(登録商標)、マキシデックス(Maxidex)、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、Megace(登録商標)、メゲストロール、メゲストロール酢酸エステル、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(商標)、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、Meticorten(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン−C、ミトキサントロン、M−Prednisol(登録商標)、MTC、MTX、Mustargen(登録商標)、ムスチン、Mutamycin(登録商標)、Myleran(登録商標)、Mylocel(商標)、Mylotarg(登録商標)、Navelbine(登録商標)、ネララビン、Neosar(登録商標)、Neulasta(商標)、Neumega(登録商標)、Neupogen(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Nilandron(登録商標)、ニロチニブ、ニルタミド、Nipent(登録商標)、ナイトロジェンマスタード、Novaldex(登録商標)、Novantrone(登録商標)、エヌプレート(Nplate)、オクトレオチド、オクトレオチド酢酸塩、オファツムマブ、Oncospar(登録商標)、Oncovin(登録商標)、Ontak(登録商標)、Onxal(商標)、オプレルベキン、Orapred(登録商標)、Orasone(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル(Paclitaxel Protein−bound)、パミドロネート、パニツムマブ、Panretin(登録商標)、Paraplatin(登録商標)、パゾパニブ、Pediapred(登録商標)、PEGインターフェロン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG−INTRON(商標)、PEG−L−アスパラギナーゼ、PEMETREXED、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、Platinol(登録商標)、Platinol−AQ(登録商標)、プレドニゾロン、プレドニゾン、Prelone(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、Proleukin(登録商標)、カルムスチンインプラントを含むプロリフェプロスパン20(Prolifeprospan 20 with Carmustine Implant)、Purinethol(登録商標)、ラロキシフェン、Revlimid(登録商標)、Rheumatrex(登録商標)、Rituxan(登録商標)、リツキシマブ、Roferon−A(登録商標)(インターフェロンアルファ−2a)、ロミプロスチム、Rubex(登録商標)、ルビドマイシン塩酸塩、Sandostatin(登録商標)、Sandostatin LAR(登録商標)、Sargramostim、Solu−Cortef(登録商標)、Solu−Medrol(登録商標)、ソラフェニブ、SPRYCEL(商標)、STI−571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、Sutent(登録商標)、タモキシフェン、Tarceva(登録商標)、Targretin(登録商標)、Tasigna(登録商標)、Taxol(登録商標)、Taxotere(登録商標)、Temodar(登録商標)、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、Thalomid(登録商標)、TheraCys(登録商標)、チオグアニン、Thioguanine Tabloid(登録商標)、チオホスホアミド(Thiophosphoamide)、Thioplex(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、Toposar(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、Torisel(登録商標)、トシツモマブ、トラスツズマブ、Treanda(登録商標)、トレチノイン、Trexall(商標)、Trisenox(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、VCR、Vectibix(商標)、Velban(登録商標)、Velcade(登録商標)、VePesid(登録商標)、Vesanoid(登録商標)、Viadur(商標)、Vidaza(登録商標)、ビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸塩、Vincasar Pfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビノレルビン酒石酸塩、VLB、VM−26、ボリノスタット、ヴォトリエント(Votrient)、VP−16、Vumon(登録商標)、Xeloda(登録商標)、Zanosar(登録商標)、Zevalin(商標)、Zinecard(登録商標)、Zoladex(登録商標)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(Zolinza)、Zometa(登録商標)、または上記のものの任意の組み合わせが含まれる。
ある特定の実施形態では、2つ以上の治療薬剤の組み合わせが、本発明の化合物と一緒に投与されてよい。ある特定の実施形態では、3つ以上の治療薬剤の組み合わせが、本発明の化合物と共に投与されてよい。
本発明の阻害剤と組み合わせてもよい他の薬剤の例には、限定はされないが、ビタミン及び栄養のサプリメント、癌ワクチン、好中球減少症向けの治療(例えば、G−CSF、フィルグラスチム、レノグラスチム)、血小板減少症向けの治療(例えば、輸血、エリスロポエチン)、制吐薬(例えば、5−HT3受容体アンタゴニスト、ドーパミンアンタゴニスト、NK1受容体アンタゴニスト、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、または抗コリン薬)、Aricept(登録商標)及びExcelon(登録商標)などのアルツハイマー病向けの治療、L−DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピニロール(ropinrole)、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキセフェニジル(trihexephendyl)、及びアマンタジンなどのパーキンソン病向けの治療、ベータインターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)及びRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、及びミトキサントロンなどの、多発性硬化症(MS)治療向けの薬剤、アルブテロール及びSingulair(登録商標)などの喘息向けの治療、ジプレキサ(zyprexa)、リスパダール(risperdal)、セロクエル(seroquel)、及びハロペリドールなどの、統合失調症治療向けの薬剤、副腎皮質ステロイド、TNF遮断剤、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、及びスルファサラジンなどの抗炎症剤、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、副腎皮質ステロイド、シクロホファミド(cyclophophamide)、アザチオプリン、及びスルファサラジンなどの免疫調節剤及び免疫抑制剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断剤、リルゾール、及び抗パーキンソン病剤などの神経栄養因子、ベータ遮断剤、ACE阻害剤、利尿剤、ナイトレート(nitrate)、カルシウムチャネル遮断剤、及び、スタチン、フィブラート、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸捕捉剤、及びナイアシンなどの、循環器疾患治療向けの薬剤、副腎皮質ステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、及び抗ウイルス剤などの、肝疾患治療向けの薬剤、副腎皮質ステロイド、抗白血病剤、及び増殖因子などの、血液疾患治療向けの薬剤、ガンマグロブリンなどの、免疫不全疾患治療向けの薬剤、ならびにビグアナイド(メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン)、スルホニル尿素(トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド)、メグリチニド(レパグリニド、ナテグリニド)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(ミグリトール、アカルボース)、インクレチン模倣剤(エキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド)、胃抑制ペプチドアナログ、DPP−4阻害剤(ビルダグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン)、アミリンアナログ(プラムリンチド)、ならびにインスリン及びインスリンアナログなどの抗糖尿病剤が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な組成物は、アンチセンス剤、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、またはsiRNA治療と組み合わせて投与される。
こうした追加薬剤は、複数回投与量レジメンの一部として、本発明の化合物を含有する組成物とは別に投与されてよい。あるいは、または別に投与されるこうした追加薬剤に加えて、こうした薬剤は、単一組成物において本発明の化合物と一緒に混合された単一投与量形態の一部であってよい。複数回投与量レジメンの一部として投与されるのであれば、2つの活性薬剤は、同時、逐次、またはお互いに一定時間内に提供されてよく、お互いに一定時間内の場合、通常は、お互いに5時間以内である。
本明細書では、「組み合わせ」、「組み合わせた」という用語、及び関連用語は、本発明に従う治療薬剤の同時投与または逐次投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別の治療薬剤と、別々の単位投与量形態において同時投与もしくは逐次投与されるか、または単一の単位投与量形態において一緒に投与されてよい。したがって、本発明は、式Iの化合物、式I−aの化合物、式IIの化合物、式IIIの化合物、式IVの化合物、式Vの化合物、式VIの化合物、式VIIの化合物、または式VIII、追加の治療薬剤、及び医薬的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位投与量形態を提供する。
単一投与量形態を製造するために担体材料と組み合わせてよい本発明の化合物及び追加の治療薬剤(上記のような追加の治療薬剤を含む組成物中)の両方の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変わることになる。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で発明物を投与することができるように製剤化されるべきである。
追加の治療薬剤を含むそうした組成物において、その追加の治療薬剤及び本発明の化合物は、相乗的に作用してよい。それ故に、そのような組成物における追加の治療薬剤の量は、その治療薬剤のみを利用する単独療法で必要となる量より少ないことになる。そのような組成物では、0.01〜100μg/kg体重/日の投与量で追加の治療薬剤を投与することができる。
本発明の組成物に存在する追加の治療薬剤の量は、唯一の活性薬剤としてその治療薬剤を含む組成物において通常投与されるであろう量を超えないことになる。好ましくは、今回開示の組成物における追加の治療薬剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物に通常存在する量の約50%〜100%の範囲となる。
例示
以下の実施例に示すように、ある特定の例示の実施形態において、化合物が下記の一般的な手順に従って調製される。一般的な方法によって、本発明のある特定の化合物の合成が示されるが、下記の一般的な方法、及び当業者に知られる他の方法を、本明細書に記載のように、すべての化合物ならびにこうした化合物のそれぞれのサブクラス及び化学種に対して適用することができると理解されることになる。
ある特定の実施形態では、式I−aの化合物は、スキーム1に概要を示す手順による式IXの中間構造から調製される。
式IXの化合物を本発明の例示構造へと導くその後の合成は、当業者に知られる化学を使用して達成する。そのような化学には、限定はされないが、Suzukiカップリング反応、Buchwaldカップリング反応、Sonagashiraカップリング反応、パラジウム触媒の使用、銅触媒の使用、「クリック」ケミストリーの使用、亜鉛試薬の使用、リチウム試薬の使用、グリニャール試薬の使用、保護基の使用、保護基の組み込み方法の使用、及び保護基の除去方法の使用が含まれる。当業者であれば、必要となる特定方法論、及び当該方法論を用いる順序は、本発明の任意の個々の化合物の調製に必要となる特定基質に依存することを認識するであろう。
ある特定の実施形態では、式I−aの化合物は、スキーム2に概要を示す手順による式IXaの中間構造から調製される。
式IXの化合物を式IXaの化合物へと変換する許容可能な方法には、限定はされないが、下記のものが含まれる:
・フェノール中でヨウ化ナトリウムと共に加熱
・塩化アセチルとヨウ化ナトリウムとを反応させた後、酢酸エステルを架橋窒素原子から加水分解
・シリル基で架橋NHを一過性に保護した後、tert−ブチルリチウムで処理してリチウム−ハロゲン交換を実施し、ヨウ素で反応停止
下記の実施例は、本発明に関連する構造の調製に利用する方法を示すものである。こうした実施例を通して、反応実施及び反応生成物の精製にあたって、ある特定の機器、HPLCカラム、及び溶媒系を利用する。したがって、マイクロ波を使用する反応は、AntonParのMonowave 300マイクロ波反応装置を利用して実施する。分取HPLCを使用する精製は、Discovery C−18カラム(50x21.2mm、5μ)を備えたShimadzu[Prominence LC−20AP]を利用し、次の方法を利用して実施する。溶媒A=アセトニトリル、溶媒B=水、濃度勾配=流速10mL/minで、20分かけて溶媒B95%から溶媒B10%へ。分析LCMSのデータは、SHIMPAK,XR ODS−IIカラム(50x2mm)を備えたShimadzu[LCMS−2020]を使用し、次の方法を利用して得た。流速=0.2mL/min、溶媒A=アセトニトリル、溶媒B=0.1%のTFAを含む水、濃度勾配=溶媒B95%で開始し、10分かけて溶媒B10%とした後、さらに10分間溶媒B10%。
下記の実施例において示す化学は、当業者に知られる個々の反応を含むと理解される。意図する構造の部分的合成またはその全体合成に必要な反応の特定の組み合わせは、当業者には一般に知られていないとも理解される。本発明の支援として、本明細書に例示の新規化合物の合成、または本明細書に例示の新規化合物の合成に組み込まれる新規の中間構造の合成を支援する反応及び方法論が下記の参考文献に含まれる。こうした参考文献は、下記の実施例に記載の最終化合物または中間構造の調製において用いることが可能な文献または方法論の主部を完全に構成するものではないと理解される。当業者であれば、当該実施例において示す合成スキームの実施に有用であり得る代替の化学的な方法論が存在することを認識するであろうと、さらに理解される。
実施例1〜9に記載の化合物の合成を支援する参考文献:
・Jimenez,Juan−Miguel,PCT Int.Appl.,2010011768,28 Jan 2010
・Panteleev,Jane et al,Advanced Synthesis & Catalysis,350(18),2893−2902;2008
・Pereira,Guilherme R.et al,European Journal of Medicinal Chemistry,73,295−309; 2014
・Shevchuk,Nadiia V.et al,Synthesis,44(13),2041−2048;2012
・Duffy,Joseph L.et al PCT Int.Appl.,2010017048,11 Feb 2010
・Hama,Takuo et al Journal of Organic Chemistry,78(17),8250−8266;2013
・Hung,David T.et al,PCT Int.Appl.,2010051501,06 May 2010
1−(ピリジン−2−イル)−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(3)の合成:
トルエン(160mL)中に1H−ベンゾ−[1,2,3]トリアゾール(1、40g、335mmol)及び2−ブロモピリジン(2、105g、671mmol)を含む懸濁液を18時間還流して加熱した後、反応混合物をEtOAc(1L)へと注ぎ入れた。得られた白色固体の沈殿を、KOH水溶液(10%、85mL)を添加することによって溶解した。相を分離し、有機層をKOH水溶液で洗浄(10%、250mLで2回)した。有機層を無水Na2SO4で脱水し、濾過してから濃縮することで乾燥させた。単離した固体をCH3OHから再結晶化することで、化合物3を62%の収率で得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.65 (d, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.31 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 7.94 (m, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.46 (t, 1H), 7.33 (m, 1H)、質量(m/z):197.2(M+H)。
9H−ピリド[2,3−b]インドール(4)の合成:
化合物3(40g、203mmol)に対して、160℃に予熱したポリリン酸(160g)を添加した。ガスの放出が終了した時点で、H2O(900mL)を添加し、NaOH水溶液(10M)を添加することによって、溶液のpHを>10に調整した。その後、反応物の塊が完全に懸濁するまで混合物を50℃で超音波処理した。懸濁液をH2O(500mL)へと注ぎ入れ、室温まで冷却した。20分後、得られた固体を濾過によって回収し、H2Oで洗浄(150MLで2回)してから減圧下で乾燥させることで、粗化合物4を35%の収率で得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.72 (br, 1H), 8.44 (d, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.38−7.44 (m, 1H), 7.16−7.20 (m, 1H), 7.15 (d, 1H)、質量(m/z):169.2(M+H)
9H−ピリド[2,3−b]インドール1−オキシド(5)の合成:
CH3COOH(17mL)中に粗化合物4(2g、11.9mmol)を含む溶液に対して、H2O2水溶液(35%、2.8g、83mmol)を滴下して加えた。反応混合物を4時間還流した。追加のH2O2水溶液(35%、1mL)を滴下して加え、さらに2時間還流を継続した。その後、溶媒を減圧下で除去し、飽和K2CO3水溶液で処理して油状残留物のpHを8に調整した。得られた水溶液を一晩撹拌した。得られた固体を濾過によって回収し、H2Oで洗浄してから減圧下で乾燥させることで、化合物5を67%の収率で得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 12.58 (br, 1H), 8.34(d, 1H), 8.20 (dd, 2H), 7.56 (m, 2H), 7.30 (t, 1H), 7.23 (t, 1H)。質量(m/z):185.2(M+H)。
4−ブロモ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6)の合成:
無水DMF(10mL)中に化合物5(1g、5.5mmol)を含む懸濁液を0℃まで冷却し、撹拌しながらPOBr3(3.66g、12.8mmol)を滴下して加えた。反応物を室温で24時間撹拌した後、H2O(20mL)へと注ぎ入れた。0〜5℃まで冷却した後、KOH水溶液(10%)を使用して溶液のpHを8〜10に調整した。さらに15分撹拌した後、得られた沈殿を濾過によって回収し、15mLのH2Oで洗浄してから減圧下で乾燥させた。粗材料をシリカゲル(20%のEtOAcを含むヘキサン)で精製することで、化合物6を50%の収率で得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 12.19 (br, 1H), 8.46(d, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.57 (m, 2H), 7.46 (d, 1H), 7.32 (m, 1H)。質量(m/z):247.2(M+H)。
4−ヨード−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6−I)の合成:
無水アセトニトリル(20mL)中に4−ブロモ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(化合物6、1g、4.04mmol)及びNaI(0.95g、6.38mmol)を含む溶液に対して、塩化アセチル(0.95g、12.12mmol)を徐々に添加した。混合物をそのまま撹拌し、反応が完了するまで窒素雰囲気下で還流した(24時間)。過剰なアセトニトリルを減圧下で除去した。残留物に対して、10%の炭酸カリウム水溶液(10mL)を添加してから混合物をCH2Cl2で抽出(20mLで3回)した。統合した有機抽出物を、10%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水してから濾過した後に濃縮することで、粗アセチル化化合物6−Iを得た。THF(15mL)中にこの粗生成物を含む溶液に対して、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を添加した。反応が完了するまで混合物を室温で撹拌した(2.5時間)。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水(20mL)で希釈してからCH2Cl2(40mL)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水してから濾過した後に減圧下で濃縮した。得られた粗化合物6−Iを42%の収率で単離し、その純度はLCMSで77%であった。この粗材料をさらに精製することはせずに使用した。質量(m/z):295.01。
化合物8aの合成:
化合物6(100mg、0.404mmol)、ボロン酸エステル7a(250mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 1/1)で精製することで、化合物8a(収率50%)を得た。質量(m/z):430.3(M+H)。
化合物9aの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8a(87mg、0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9aのHCl塩を100mg得た。この材料をMP−炭酸塩(MP−carbonate)(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、150mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9a(36mg、収率55%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 12.05 (b, 1H), 8.50(m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.60−7.45 (m, 3H), 7.42 (t, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.05 (t, 1H), 3.30 (t, 4H), 2.90 (t, 4H)。質量(m/z):330.3(M+H)。純度:HPLCで99.14%。
化合物8bの合成:
化合物6(1.01mmol)、ボロン酸エステル7b(1.52mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びジオキサン(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(0.05mmol)を添加する。得られる混合物をマイクロ波反応装置中、140℃で45分間撹拌する。室温まで冷却した後、混合物を水(30mL)へと注ぎ入れ、EtOAcで洗浄(50mLで2回)する。統合した有機相を無水Na2SOで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル(40%のEtOAcを含むヘキサン)で精製することで化合物8bを得る。
化合物9bの合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物8b(0.2mmol)を含む懸濁液に対して、トリフルオロ酢酸(1.0mmol)を滴下して加える。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9bを得る。この材料を、MeOH(4mL)中で脱塩樹脂(MP−炭酸塩)と共に2時間撹拌する。樹脂を濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾燥させる。残留物を分取HPLCによって精製する。
化合物8cの合成:
化合物6(1.01mmol)、ボロン酸エステル7c(1.52mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びジオキサン(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(0.05mmol)を添加する。得られる混合物を、マイクロ波反応装置中、140℃で45分間撹拌する。室温まで冷却した後、混合物を水(30mL)へと注ぎ入れ、EtOAcで洗浄(50mLで2回)する。統合した有機相を無水Na2SOで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル(40%のEtOAcを含むヘキサン)で精製することで化合物8cを得る。
化合物8c−1の合成:
無水ジオキサン(10mL)中に化合物8c(2.5mmol)、N−Boc−ピペラジン(2.8mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.05mmol)、BINAP(0.1mmol)、及び炭酸セシウム(15.1mmol)を含む混合物をN2雰囲気下、90℃で14時間撹拌する。室温まで冷却した後、混合物をセライトに通して濾過し、セライト床を酢酸エチルで洗浄(10mLで2回)する。統合した濾液を濃縮して乾燥させてから、粗生成物をシリカゲルで精製することで化合物8c−1を得る。
化合物9cの合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物8c−1(0.2mmol)を含む懸濁液に対して、トリフルオロ酢酸(1.0mmol)を滴下して加える。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9cを得る。この材料を、MeOH(4mL)中で脱塩樹脂(MP−炭酸塩)と共に2時間撹拌する。樹脂を濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾燥させる。残留物を分取HPLCによって精製する。
化合物8dの合成:
化合物6−I(100mg、0.34mmol)、ボロン酸エステル7d(160mg、0.68mmol)、炭酸カリウム(100mg、0.68mmol)、及びDMF(5mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、PdCl2(dppf)(15mg、0.017mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で45分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20mL)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(40mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 1/1)で精製することで、化合物8dを5.2%の収率で得た。質量(m/z):280.2。純度:LC−MSで94.68%。
化合物8d−1の合成:
THF(0.5mL)中に化合物8d(0.05mmol)を含む溶液に対して、Boc−ピペラジン(0.5mmol)を添加する。その後、THF(2.1M、55mL、0.11mmol)中にLDAを含む溶液を新たに調製し、シリンジを介して室温で添加する。出発材料がすべて消費されるまで混合物を加熱して還流する。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をジクロロメタンで水から抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。粗混合物をシリカゲルで精製することで、化合物8d−1を得る。
化合物9dの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8d−1(0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温でさらに2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物8dのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物8dを得る。
化合物11の合成:
ジメチルスルホキシド(10mL)中に化合物−6(500mg、2.02mmol)及びアジ化ナトリウム(394mg、3.07mmol)を含む混合物を100℃まで加熱して12時間撹拌した。反応物をそのまま室温まで冷却した後、酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮することで、粗生成物を得た。シリカゲル(EtOAC/ヘキサン 3/7)で精製することで、所望の純粋化合物11を35%の収率で得た。質量(m/z):210.2(M+H)。
化合物8fの合成:
t−ブタノール/水の混合物(20mL、1:1)中に化合物11(300mg、1.43mmol)及び化合物12(300mg、1.43mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、硫酸銅五水和物(159mg、0.717mmol)を添加した後、アスコルビン酸ナトリウム(198mg、1.43mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で一晩撹拌してからTLCによって監視した。反応完了時に、反応混合物を酢酸エチル/水の混合物(30mL、1:1)で希釈した。層を分離し、有機層を5%の水酸化アンモニウム溶液(10mL)で洗浄した後、ブライン(15mL)によって洗浄した。統合した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮することで粗残留物を得た。シリカゲル(EtOAC/ヘキサン 4/6)で精製することで純粋化合物8fを10%の収率で得た。質量(m/z):419.3(M+H)。
化合物9eの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8f(60mg、0.143mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9eのHCl塩を70mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、100mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9e(15mg、収率33%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 12.40 (b, 1H), 8.69(s, 1H), 8.60 (d, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.52 (t, 1H),7.46 (d, 1H),7.18 (t, 1H),3.09(m, 2H), 2.97 (m, 1H),2.70 (t, 2H),2.04(m, 2H), 1.67 (m, 2H)、質量(m/z):319.2(M+H)。純度:HPLCで98.74%。
化合物9fの合成:
DMF(100mL)中に化合物6(0.1mol)及び化合物13(0.1mol)を含む溶液に対して、CuI(5mmol)、DMEDA(10mmol)、及びK2CO3(20mmol)を添加する。得られる混合物を撹拌しながらアルゴン雰囲気下で12時間還流後に冷却し、濾過してから濃縮して乾燥させることで中間化合物8gを得る。残留物をMeOH(200mL)に溶解し、10MのHCl水溶液(20mL)を添加する。得られる混合物を濃縮して乾燥させ、残留物を再結晶することで、化合物9fをその塩酸塩として得る。この材料を、MeOH(4mL)中で脱塩樹脂(MP−炭酸塩)と共に2時間撹拌する。樹脂を濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾燥させる。残留物を分取HPLCによって精製する。
化合物15の合成:
化合物15は、化合物6と、Hamaらによって説明されるように調製した化合物14の有機亜鉛(organizinc)誘導体と、をカップリングさせて調製する。
化合物16の合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物15(0.2mmmol)を含む溶液に対して、トリフルオロ酢酸(1.0mmol)を滴下して加える。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮することで化合物16を得る。
化合物8hの合成:
無水ジクロロメタン(20mL)中で、化合物16(1mmol)とN−Boc−ピペラジン(1mmol)とを混合する。得られる溶液を0℃まで冷却し、DIEA(3mmol)を添加する。PyBOP(1mmol)を添加し、得られる混合物を完了するまで室温で撹拌する。反応物を濃縮して乾燥させ、残留物をシリカゲルで精製することで化合物8hを得る。
化合物9gの合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物8h(0.2mmol)を含む懸濁液に対して、トリフルオロ酢酸(1.0mmol)を滴下して加える。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮することで化合物9gを得る。この材料を、MeOH(4mL)中で脱塩樹脂(MP−炭酸塩)と共に2時間撹拌する。樹脂を濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾燥させる。残留物を分取HPLCによって精製する。
化合物8iの合成:
化合物6(500mg、2.02mmol)、化合物17(457mg、2.02mmol)、及びトリエチルアミン(1.7mL、12.12mmol)と、DMSO/ジオキサンの混合物(10mL、1/4)と、を混合した。撹拌しながらPd(PPh3)4(116mg、0.101mmol)を添加した。得られた混合物をN2気流で30分間脱気した後、封管内、140℃で一晩撹拌した。その後、混合物を水(20mL)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水Na2SO4で脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAC/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8iを6.3%の単離収率で得た。質量(m/z):393.3(M+H)。
化合物9hの合成:
MeOH(2mL)中に化合物8i(45mg、0.114mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、2mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9hのHCl塩を35mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、50mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9h(10mg、収率30%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 11.98 (brs, 1H), 8.40−8.21 (m, 1H), 8.1−8.05 (m, 1H), 7.58−7.38 (m, 2H), 7.2−7.0 (m, 2H), 5.81−5.61 (m, 1H), 5.60−5.42 (m, 1H), 3.4 (m, 2H), 2.8 (m, 4H) & 2.4 (m, 4H)。質量(m/z):293.3(M+H)。純度:HPLCで90.75%。
化合物8jの合成:
化合物6(100mg、0.405mmol)、ボロン酸エステル7j(237mg、0.608mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 3/2)で精製することで、化合物8j(収率30%)を得た。質量(m/z):430.3(M+H)。
化合物9jの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8j(53mg、0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9jのHCl塩を55mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、150mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで、灰白色の固体として化合物9j(12mg、収率30%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.97 (b, 1H), 8.47(d, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.75 (t, 1H), 7.49 (m, 2H), 7.30 (d, 1H), 7.07−6.93 (m, 3H), 3.36 (m, 4H), 2.78(m, 4H)。質量(m/z):330.3(M+H)。純度:HPLCで95.43%。
化合物8kの合成:
化合物6(100mg、0.405mmol)、ボロン酸エステル7k(240mg、0.606mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 3/2)で精製することで、化合物8k(収率40%)を得た。質量(m/z):436.3(M+H)。
化合物9kの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8k(71mg、0.163mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9kのHCl塩を80mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、110mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9k(16mg、収率55%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 12.01 (b, 1H), 8.36(d, 1H), 8.15 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.54−7.45 (m, 2H), 7.17 (t, 1H), 7.08 (d, 1H), 3.46(t, 4H), 2.86(t, 4H)。質量(m/z):336.2(M+H)。純度:HPLCで97.8%。
化合物8lの合成:
化合物6(100mg、0.405mmol)、ボロン酸エステル7l(250mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 1/1)で精製することで、化合物8l(収率30%)を得た。質量(m/z):432.4(M+H)。
化合物9lの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8l(80mg、0.185mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9lのHCl塩を90mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、110mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9l(18mg、収率20%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.94 (b, 1H), 8.39(d, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.63−7.39 (m, 4H), 7.09 (t, 1H), 7.03 (d, 1H), 4.50 (m, 1H), 3.34 (t, 2H), 2.99(t, 2H), 2.23(m,4H), 2.05(s, 3H)。質量(m/z):332.3(M+H)。純度:HPLCで97.4%。
化合物8mの合成:
化合物6(100mg、0.404mmol)、ボロン酸エステル7l(230mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 2/3)で精製することで、化合物8m(収率20%)を得た。質量(m/z):418.3(M+H)。
化合物9mの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8m(38mg、0.091mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9mのHCl塩を43mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、100mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9m(10mg、収率35%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.93 (b, 1H), 8.35(m, 2H), 8.02 (d, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.58−7.42 (m, 2H), 7.25−7.09 (m, 2H), 4.35 (m, 1H), 3.10 (m, 2H), 2.62(m, 2H), 2.08−1.86 (m, 4H)。質量(m/z):318.3(M+H)。純度:HPLCで95.1%。
化合物8nの合成:
DMF(20mL)中に化合物6(500mg、2.02mmol)、化合物7n(460mg、2.02mmol)、及びトリエチルアミン(1.7mL、12.12mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、Pd(PPh3)2Cl2(140mg、0.202mmol)及びCuI(80mg、0.404mmol)を添加した。混合物をN2気流で30分間脱気した後、140℃で一晩撹拌した。その後、反応混合物を水(20mL)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAC/ヘキサン 4/6)で濃縮することで、化合物8nを10%の収率で得た。質量(m/z):391.3(M+H)。
化合物9nの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8n(80mg、0.204mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9nのHCl塩を85mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで灰白色の固体として化合物9n(12mg、収率20%)を得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.98 (brs, 1H), 8.50−8.20 (m, 2H),7.55−7.32 (m,2H),7.23−7.00 (m, 2H), 3.67 (s, 2H), 2.95−2.50 (m, 8H)。質量(m/z):291.2(M+H)。純度:HPLCで98.5%。
化合物8oの合成:
MeOH(10mL)中に化合物8n(100mg、0.256mmol)を含む溶液に対して、リンドラー触媒(10%Pd/BaSO4、20mg)を室温で添加した。得られたものを水素雰囲気下(風船圧)で4時間撹拌した。出発材料消費後に、反応物をMeOH(20mL)で希釈し、セライトに通して濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAC/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8oを40%の単離収率で得た。質量(m/z):393.3(M+H)。
化合物9nの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8o(30mg、0.076mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9oのHCl塩を45mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9oを得た。分取HPLCによって最終精製することで、純粋な化合物9o(10mg、収率45%)を灰白色の固体として得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.97 (brs, 1H), 8.40 (m, 1H), 8.10 (m, 1H), 7.60−7.40 (m, 2H), 7.30−7.10 (m, 2H), 7.0 (m, 1H), 6.2 (m, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.62 (m, 4H), 2.40−2.10 (m, 4H)。質量(m/z):293.3(M+H)。純度:HPLCで96.1%。
化合物8pの合成:
化合物6(100mg、0.404mmol)、ボロン酸エステル7p(143mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8pを35%の単離収率で得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 12.16 (b, 1H), 8.79−8.75(m, 2H),8.57(d,1H),7.89 (d, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.44 (m, 2H), 7.20 (d, 1H), 7.08−6.95 (m, 2H)。質量(m/z):280.1(M+H)。純度:HPLCで97.7%。
化合物8p−1の合成:
THF(0.5mL)中に化合物8p(0.05mmol)を含む溶液に対して、Boc−ピペラジン(0.5mmol)を添加する。その後、THF(2.1M、55mL、0.11mmol)中にLDAを含む溶液を新たに調製し、シリンジを介して室温で添加する。出発材料がすべて消費されるまで混合物を加熱して還流する。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をジクロロメタンで水から抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。粗混合物をシリカゲルで精製することで、化合物8p−1を得る。
化合物9pの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8p−1を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9pのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9pをその遊離塩基として得る。
化合物7q−1の合成:
化合物6(100mg、0.404mmol)、ボロン酸エステル7p(175mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン 1/1)で精製することで、化合物7q−1を45%の単離収率で得た。
化合物8qの合成:
MeOH(3mL)中に化合物7q−1(60mg、0.18mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物8qのHCl塩を70mg得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物8qを灰白色の固体として33%の単離収率で得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.78 (b, 1H), 11.29(b, 1H),8.30(d,1H),8.25 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.40 (t, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.10−7.06 (m, 2H).7.01(d,1H),6.56 (d,1H)。質量(m/z):234.2(M+H)。純度:HPLCで97.6%。
化合物8q−1の合成:
DMF(150mL)中に化合物8q(46mmol)を含む0℃の溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、カリウムt−ブトキシド(6.7g、60mmol)を添加する。30分撹拌した後、N−Boc−4−ブロモピペリジン(60mmol)を添加し、混合物を反応完了まで約25℃で撹拌する。混合物をエーテル及び水で希釈する。層を分離し、水溶性部分をエーテルでさらに2回抽出する。有機部分を統合し、ブラインで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水する。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去する。粗生成物をシリカゲルで精製することで、化合物8q−1を得る。
化合物9qの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8q−1(0.076mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9qのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9qをその遊離塩基として得る。
化合物8rの合成:
化合物6(100mg、0.404mmol)、ボロン酸エステル7r(143mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8rを30%の単離収率で得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 12.15 (b, 1H), 8.8 (s, 1H), 8.58 (d,1H), 7.62 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.12 (d, 1H), 6.81−7.91 (m, 2H)。質量(m/z):280.2。純度:HPLCで90.84%。
化合物8r−1の合成:
THF(0.5mL)中に化合物8r(0.05mmol)を含む溶液に対して、Boc−ピペラジン(0.5mmol)を添加する。その後、THF(2.1M、55mL、0.11mmol)中にLDAを含む溶液を新たに調製し、シリンジを介して室温で添加する。出発材料がすべて消費されるまで混合物を加熱して還流する。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をジクロロメタンで水から抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。粗混合物をシリカゲルで精製することで、化合物8r−1を得る。
化合物9rの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8r−1含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9rのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9rをその遊離塩基として得る。
化合物8sの合成:
化合物6(0.405mmol)、ボロン酸エステル7s(0.608mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加する。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌する。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)する。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮する。シリカゲルで精製することで、化合物8sを得る。
化合物9sの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8s(0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9sのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9sを得る。
化合物8tの合成:
化合物6−I(175mg、0.595mmol)、ボロン酸エステル7t(171mg、0.714mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、0.6mL、1.2mmol)、及びDME(5mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(80mg、0.064mmol)を添加した。得られた混合物を100℃まで加熱し、4時間保持した。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(60mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 45/55)で精製することで、化合物8tを15%の収率で得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 12.18 (s, 1H), 8.7 (d, 1H), 8.52 (d,1H), 7.92 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.2 (d, 1H), 7.1 (m, 1H)。質量:280.2。純度:LC−MSで96.36%。
化合物8t−1の合成:
磁性撹拌棒を備えたシュレンク管を火炎乾燥し、当該シュレンク管に対して、N−Boc−4−ブロモピペリジン(0.15mmol、100mol%)を負荷した後、4,4’−ジーtert−ブチル−2,2’−ビピリジン(0.015mmol、10mol%)、化合物8t(0.15mmol、100mol%)、及び亜鉛粉末(0.3mmol、200mol%)を添加する。シュレンク管を、乾燥したグローブボックス内へと移し、そこでNiI2(0.015mmol、10mol%)及びMgCl2(0.15mmol、100mol%)を添加する。ゴムセプタムでシュレンク管をキャップし、グローブボックスから取り出す。その後、シリンジを介して、ピリジン(0.15mmol、100mol%)及びDMA(1.0mL)を添加する。窒素雰囲気下、25℃で反応混合物を12時間撹拌した後、反応後の処理は実施せずに反応混合物をシリカカラムへと直接負荷する。反応容器中の残留物は、少量のDCMで洗い込む。シリカゲルでフラッシュカラムクロマトグラフィーで化合物8t−1を得る。
化合物9tの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8t−1(0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9tのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9tを得る。
化合物8uの合成:
化合物6−I(125mg、0.425mmol)、ボロン酸エステル7u(200mg、0.831mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、0.7mL、1.4mmol)、及びDME(5mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(96mg、0.076mmol)を添加した。得られた混合物を100℃まで加熱し、4時間保持した。室温まで冷却した後、混合物を水(25ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(55mLで2回)した。統合した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8uを16.6%の収率で得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 12.19 (s, 1H), 9.21 (s, 1H), 9.0 (s, 1H), 8.58 (d, 1H), 7.9 (d, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.15 (m, 1H)。質量(m/z):281.2。純度:LC−MSで95%。
化合物8u−1の合成:
磁性撹拌棒を備えたシュレンク管を火炎乾燥し、当該シュレンク管に対して、N−Boc−4−ブロモピペリジン(0.15mmol、100mol%)を負荷した後、4,4’−ジーtert−ブチル−2,2’−ビピリジン(0.015mmol、10mol%)、化合物8u(0.15mmol、100mol%)、及び亜鉛粉末(0.3mmol、200mol%)を添加する。シュレンク管を、乾燥したグローブボックス内へと移し、そこでNiI2(0.015mmol、10mol%)及びMgCl2(0.15mmol、100mol%)を添加する。ゴムセプタムでシュレンク管をキャップし、グローブボックスから取り出す。その後、シリンジを介して、ピリジン(0.15mmol、100mol%)及びDMA(1.0mL)を添加する。窒素雰囲気下、25℃で反応混合物を12時間撹拌した後、反応後の処理は実施せずに反応混合物をシリカカラムへと直接負荷する。反応容器中の残留物は、少量のDCMで洗い込む。シリカゲルでフラッシュカラムクロマトグラフィーで化合物8u−1を得る。
化合物9uの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8u(0.202mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9uのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9uを得る。
化合物8vの合成:
化合物6(0.405mmol)、ボロン酸エステル7v(0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びDME(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(50mg、0.04mmol)を添加する。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で90分間撹拌する。室温まで冷却した後、混合物を水(20ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)する。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮する。シリカゲルで精製することで、化合物8vを得る。
化合物9vの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8v(0.185mmol)を含む懸濁液を撹拌しながら、当該懸濁液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9vのHCl塩を90mg得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9vを得る。
化合物9wの合成:
6−I(100mg、0.34mmol)、化合物7o(170mg、0.68mmol)、炭酸カリウム(100mg、0.68mmol)、及びイミダゾール(80mg、1.02mmol)の混合物をマイクロ波反応装置中、200℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(10ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(30mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。シリカゲル(EtOAc/ヘキサン 6/4)で精製することで、化合物9w(収率13.9%)を得、カップリング反応の間にBoc保護基は切断されており、したがって、中間化合物8wを単離する手間を省いたものである。質量(m/z):318.3(M+H)。純度:LC−MSで73.42%。
化合物8xの合成:
DMF(3mL)中に化合物8q(85mg、0.36mmol)及びN−Boc−3−ブロモプロピルアミン(86mg、0.36mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、カリウムtert−ブトキシド(61mg、0.54mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で45分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(10ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(25mLで2回)した。統合した有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン 4/6)で精製することで、化合物8xを21%の単離収率で得た。質量(m/z):391.3(M+H)。
化合物9xの合成:
MeOH(2mL)中に化合物8x(30mg、0.076mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、2mL)を滴下して加えた。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9xのHCl塩を得た。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、40mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9x(10mg、収率45.4%)を薄茶色の固体として得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−D6) δ ppm: 11.32 (s, 1H), 8.40−8.22(m, 2H), 7.71(d,1H), 7.5 (t, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.20−7.05 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 6.58 (s, 1H), 4.6−4.52(t,2H),2.51 (t,2H),1.90 (m, 2H)。質量(m/z):291.2(M+H)。純度:HPLCで92.87%。
化合物8yの合成:
DMF(150mL)中に化合物8q(実施例18、46mmol)を含む0℃の溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、カリウムt−ブトキシド(6.7g、60mmol)を添加する。30分撹拌した後、N−Boc−2−ブロモエチルアミン(60mmol)を添加し、混合物を反応完了まで約25℃で撹拌する。混合物をエーテル及び水で希釈する。層を分離し、水溶性部分をエーテルでさらに2回抽出する。有機部分を統合し、ブラインで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水する。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去する。粗生成物をシリカゲルで精製することで、化合物8yを得る。
化合物9yの合成:
MeOH(3mL)中に化合物8y(0.076mmol)を含む溶液を撹拌しながら、当該溶液に対して、メタノールHCl(HClガスをMeOHへと通気することによって調製、3mL)を滴下して加える。添加後に室温で2時間撹拌を継続した後、混合物を減圧下で濃縮することで、化合物9yのHCl塩を得る。この材料をMP−炭酸塩(テトラアルキルアンモニウム炭酸塩−ポリマー結合体、90mg)で2時間処理し、濾過してから濃縮することで化合物9yをその遊離塩基として得る。
tert−ブチル2−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニルアミノ)エチルカルバメート(18a)の合成:
化合物6(250mg、1.01mmol)、ボロン酸エステル17a(550mg、1.52mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、1mL、2.0mmol)、及びジオキサン(4mL)の溶液に対して、窒素パージを実施し、Pd(PPh3)4(58mg、0.05mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波反応装置中、140℃で45分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(30ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで洗浄(50mLで2回)した。統合した有機相を無水Na2SO4で脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。粗粗生成物をシリカゲル(40%のEtOAcを含むヘキサン)で精製することで、化合物18aを40%の収率で得た。質量(m/z):403.4(M+H)。
N1−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)エタン−1,2−ジアミン(I−7)の合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物18a(100mg、0.2mmol)を含む懸濁液に対して、トリフルオロ酢酸(114mg、1.0mmol)を滴下して加えた。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮することで化合物I−7を110mg得た。この材料を、MeOH(4mL)中で脱塩樹脂(MP−炭酸塩、150mg)と共に2時間撹拌した。樹脂を濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾燥させた。残留物を分取HPLCによって精製することで純粋な化合物I−7を22mg(収率30%)得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.9 (br, 1H), 8.41(d, 1H), 7.8 (br, 2H), 7.64 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.04 (m, 2H), 6.78−6.85(m, 3H), 6.0 (br, 1H), 3.25(t, 2H), 2.97(t, 2H)。質量(m/z):303.2(M+H)。純度:HPLCで98.4%。
tert−ブチル2−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニルアミノ)プロピルカルバメート(18b)の合成:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6(100mg、0.405mmol)、化合物17b(228mg、0.60mmol)、Pd(PPh3)4(23mg、0.025mmol)、ならびに比例モル当量の炭酸ナトリウム水溶液及びジオキサンを使用して、化合物18bを調製した。80mg(収率47%)の化合物18bを単離した。質量(m/z):417.4(M+H)。純度:HPLCで98.2%。
N1−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)プロパン−1,2−ジアミン(I−8)の合成:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、化合物18b(80mg、0.19mmol)、及びトリフルオロ酢酸(109mg、0.95mmol)を使用して化合物I−8を調製した。12mg(収率20%)の化合物I−8を単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.91 (br, 1H), 8.41(d, 1H), 7.7 (br, 2H), 7.64 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.41 (t, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.04−7.06 (m, 2H), 6.83(d, 1H), 6.78 (d, 1H), 5.94(br, 1H),3.31(t, 2H),2.90 (t, 2H), 1.83−1.85 (m, 2H)。質量(m/z):317.3(M+H)。
化合物6から化合物18cへの変換
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6(100mg、0.405mmol)、化合物17c(194mg、0.60mmol)、Pd(PPh3)4(23mg、0.025mmol)、ならびに比例モル当量の炭酸ナトリウム水溶液及びジオキサンを使用して、化合物18cを調製した。67mg(収率46%)の化合物18cを単離した。質量(m/z):360.4(M+H)。純度:HPLCで97.12%。
化合物18cから化合物I−6への変換:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、化合物18c(67mg、0.18mmol)、及びトリフルオロ酢酸(106mg、0.90mmol)を使用して化合物I−6を調製した。22mg(収率45%)の化合物I−6を単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.89 (br, 1H), 8.41(d, 1H), 7.66 (d, 2H), 7.50 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.22 (t, 1H), 7.03 (m, 2H), 6.83(s, 1H), 6.75 (m, 2H), 5.30(br, 2H)。質量(m/z):260.3(M+H)。
化合物6から化合物18dへの変換:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6(100mg、0.405mmol)、化合物17d(199mg、0.60mmol)、Pd(PPh3)4(23mg、0.025mmol)、ならびに比例モル当量の炭酸ナトリウム水溶液及びジオキサンを使用して、化合物18dを調製した。75mg(収率50%)の化合物18dを単離した。質量(m/z):374.4(M+H)。純度:HPLCで95.5%。
化合物8cから化合物I−3への変換:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、化合物18d(75mg、0.2mmol)、及びトリフルオロ酢酸(118mg、0.90mmol)を使用して化合物I−3を調製した。12mg(収率20%)の化合物I−3を単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.89 (br, 1H), 8.48(d, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.65−7.68 (m, 3H), 7.53 (dd, 2H), 7.42 (t, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.09 (t, 1H), 4.12 (s,2H)。質量(m/z):274.3(M+H)。
エタノール(2mL)中にI−6(30mg、0.115mmol)を含む溶液に対して、NH2CN(29mg、6当量)を添加した。混合物を2日間還流した後、揮発性物質を減圧下で除去した。得られた粗残留物を水に溶解し、2NのNaOH水溶液を使用してpHを約10に調整した。水溶性混合物をEtOAc(5mL)で抽出した。有機相をNa2SO4で脱水し、濃縮してから分取HPLCによって精製することで、化合物I−4(4mg、収率12%)を黄色の固体として得た。質量(m/z):302.3(M+H)。純度:HPLCで90.05%。
化合物I−4(実施例31)の調製に従って、化合物I−3(40mg、0.146mmol)及びNH2CN(35mg、6当量)を使用して化合物I−5を調製した。4mg(収率8.6%)の化合物I−5を単離した。質量(m/z):316.4(M+H)。純度:HPLCで98.1%。
化合物18eの調製:
ジオキサン(4mL)中に化合物6(250mg、1.01mmol)、3−ヒドロキシフェニルボロン酸17e(167mg、1.2mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、1mL、2.0mmol)含む溶液に対して、窒素パージを実施した。Pd(PPh3)4(58mg、0.05mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で5時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(30ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(50mLで2回)した。統合した有機相をNa2SO4で脱水し、濾過してから濃縮して乾燥させた。残留物をシリカゲル(40%EtOAc/ヘキサン)で精製することで、化合物18e(収率50%)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.89 (br, 1H), 9.68(br, 1H), 8.42 (d,1H), 7.58 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.39 (m, 2H), 7.04 (m, 4H), 6.92 (d, 1H)。質量(m/z):261.3(M+H)。
3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニルトリフルオロメタンスルホネート(19e)の合成:
ジクロロメタン(5mL)中に化合物18e(200mg、0.7mmole)を含む0℃の溶液に対して、トリエチルアミン(0.26mL、1.9mmole)を添加した。5〜10分撹拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.2mL、1.5mmole)を滴下して加えた。室温で2時間撹拌を継続した後、反応物を濃縮して乾燥し、残留物をシリカゲル(20%EtOAC/ヘキサン)で精製することで、化合物19e(150mg、収率33%)を得た。質量(m/z):393.3(M+H)。
4−(3−(1H−イミダゾール−1−イル)フェニル)−9H−ピリド[2,3−b]インドール(I−2)の合成:
THF(4mL)中に化合物19e(150mg、0.38mmol)、イマダゾール(imadazole)(77mg、1.14mmol)、酢酸パラジウム(II)(9mg、10mol%)、BINAP(24mg、10mol%)、及び炭酸セシウム(250mg、0.76mmol)を含む混合物をマイクロ波反応装置中、150℃で45分間撹拌した。混合物をセライトに通して濾過し、セライト床をEtOAcで洗浄した。統合した濾液を濃縮して乾燥させ、粗生成物を分取HPLCによって精製することで、化合物I−2(7mg、収率5.8%)を灰白色の固体として得た。質量(m/z):311.2(M+H)。純度:HPLCで99.2%。
tert−ブチル4−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(18f)の合成:
化合物18e(実施例33)向けの手順に従って、化合物6(100mg、0.405mmol)、化合物17f(148mg、0.48mmol)、及びPd(PPh3)4(23mg、0.025mmol)を使用して化合物18fを調製した。90mg(収率52%)の化合物18fを単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.94 (br, 1H), 8.45 (d,1H), 7.50 −7.58 (m, 3H), 7.42 (t, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.19−7.21 (m, 3H), 7.03 (t, 1H), 3.20 (t,4H), 3.47 (t,4H), 1.41 (s,9H)。質量(m/z):429.3(M+H)。
4−(3−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−9H−ピリド[2,3−b]インドール(I−1)の合成:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、化合物18f(75mg、0.2mmol)及びトリフルオロ酢酸(118mg、0.90mmol)を使用して化合物I−1を調製した。12mg(収率20%)の化合物I−1を単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.97 (br, 1H), 8.87(b, 1H), 8.45 (d,1H), 7.54−7.58 (m, 3H), 7.42 (d, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.19−7.21 (m, 3H), 7.03 (t, 1H), 3.26 (t,4H), 3.37 (t,4H)。
tert−ブチル2−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェノキシ)エチルカルバメート(18g)の合成:
ジオキサン(4mL)中に化合物6(100mg、0.40mmol)、化合物17g(220mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2M、1mL、2.0mmol)を含む混合物に対して、窒素パージを実施した。Pd(PPh3)4(23mg、0.02mmol)を添加し、得られた混合物をマイクロ波反応装置中、140℃で45分間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(10ml)へと注ぎ入れ、EtOAcで抽出(25mLで2回)した。統合した有機層をNa2SO4で脱水し、濾過してから減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(40%のEtOAc/ヘキサン)で精製することで、化合物18g(収率50%)を得た。質量(m/z):404.4(M+H)。
2−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェノキシ)エタンアミン(I−9)の合成:
無水ジクロロメタン(3mL)中に化合物18g(100mg、0.24mmol)を含む溶液に対して、トリフルオロ酢酸(141mg、1.2mmol)を滴下して加えた。室温で2時間撹拌した後、反応物を濃縮して乾燥させた。残留物をMeOH(5mL)中でMP−炭酸塩樹脂(150mg)と共に2時間撹拌した。樹脂を濾過によって除去した。濾液を濃縮して乾燥させ、残留物を分取HPLCによって精製することで化合物I−9(14mg、収率18%)を灰白色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.98 (br, 1H), 8.43(d, 1H), 7.98 (br, 2H), 7.55 (m, 3H), 7.40 (t, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.18 (d, 2H), 7.08(d, 3H), 7.02 (t, 1H)。質量(m/z):304.3(M+H)。
tert−ブチル3−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェノキシ)プロピルカルバメート(18h)の合成:
化合物11g(実施例35)向けの手順に従って、化合物6(100mg、0.40mmol)、化合物17h(229mg、0.60mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2 M、1mL、2.0mmol)、及びPd(PPh3)4(23mg、0.02mmol)を含むジオキサン(4mL)を使用して化合物18hを調製した。化合物18hを54%の収率で単離した。質量(m/z):418.4(M+H)。
3−(3−(9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェノキシ)プロパン−1−アミン(I−10)の合成:
化合物I−9(実施例9)向けの手順に従って、化合物18h(100mg、0.23mmol)及びトリフルオロ酢酸(136mg、1.2mmol)を含む無水ジクロロメタン(3mL)を使用して化合物I−10を調製した。粗生成物を分取HPLCによって精製することで、化合物I−10(13mg、収率17%)を灰白色の固体として得た。1HNMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.97 (br, 1H), 8.44(d, 1H), 7.80 (br, 2H), 7.51−7.54 (m, 2H), 7.39 (t, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.08 (d, 2H), 7.07 (dd, 2H), 7.02 (t, 1H); 4.12 (t,2H), 2.99 (m,2H), 2.01 (t,2H)。質量(m/z):318.3(M+H)。純度:HPLCで97.02%。
実施例37
化合物6a、化合物6b、化合物6c、及び化合物6dの調製スキーム:
化合物4a−dの一般合成手順:
o−キシレン中(16mL)中に2,3−ジクロロピリジン20(1g、6.76mmol)、アニリン21(7.43mmol)、Pd(OAc)2(98mg、0.065mmol)、PPh3(198mg、0.13mmol)、及びNaOtBu(780mg、1.2mmol)を含む混合物に対して窒素パージを5分間実施し、窒素雰囲気下、密封試料バイアル中で130℃まで加熱して3時間保持した。反応混合物を室温まで冷却することで化合物22を得た。Pd(OAc)2(98mg、0.065mmol)、PCy3(200mg、0.1mmol)、DBU(2g、2mmol)、及びジメチルアセトアミド(16mL)を反応容器に添加した。反応混合物に対して窒素パージを5分間実施し、窒素雰囲気下で160℃まで加熱し、16時間保持した。反応混合物を濃縮して乾燥させた。残留物を酢酸エチルに溶解(200mLで2回)させた。混合物を水で洗浄(50mLで3回)した後、ブラインで洗浄(50mLで2回)し、無水Na2SO4で脱水後に濾過してから濃縮した。残留物をシリカゲル(70%EtOAC/ヘキサン)で精製することで化合物4を得た。
実施例38
化合物6a例示調製手順:
7−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール(4a)の合成:
実施例37に従って、3−メチルアニリン21a(877mg、7.43mmol)ならびに比例モル当量の化合物20、Pd(OAc)2、PPh3、NaOtBu、及びo−キシレンを使用して化合物4aを調製した。実施例11に従って継続し、粗単離化合物22aを、比例モル当量のPd(OAc)2、PCy3、DBU、及びジメチルアセトアミドを使用して化合物4aへと変換した。480mg(収率40%)の化合物4aを単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.61 (br, 1H), 8.41(dd, 2H), 8.02 (d, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.21 (d, 1H), 7.15 (d, 1H), 2.45 (s, 3H)。質量(m/z):183.2(M+H)。
7−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール1−オキシド(5a)の合成:
化合物5(実施例1)向けの手順に従って、化合物4a(370mg、2.02mmol)、ならびに比例モル当量のH2O2水溶液(35%)及びCH3COOHを使用して化合物5aを調製した。160mg(収率40%)の化合物5aを単離した。質量(m/z):199.2(M+H)。
4−ブロモ−7−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6a)の合成:
化合物6(実施例1)向けの手順に従って、化合物5a(155mg、0.782mmol)、ならびに比例モル当量の無水DMF及びPOBr3を使用して化合物6aを調製した。61mg(収率30%)の化合物6aを単離した。質量(m/z):261.1,263.1。
実施例39
化合物6bの例示調製手順:
6−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール(4b)の合成:
実施例37に従って、4−メチルアニリン21b(877mg、7.43mmol)、ならびに比例モル当量の化合物20、Pd(OAc)2、PPh3、NaOtBu、及びo−キシレンを使用して化合物4bを調製した。実施例11に従って継続し、粗単離化合物22bを、比例モル当量のPd(OAc)2、PCy3、DBU、及びジメチルアセトアミドを使用して化合物4bへと変換した。495mg(収率41%)の化合物4bを単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ ppm: 11.59 (br, 1H), 8.41(d, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.9 (s, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.18 (t, 1H), 2.42(s, 3H)。質量(m/z):183.2(M+H)。
6−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール1−オキシド(5b)の合成:
化合物5(実施例1)向けの手順に従って、化合物4b(420mg、2.29mmol)、ならびに比例モル当量のH2O2水溶液(35%)及びCH3COOHを使用して化合物5bを調製した。173mg(収率38%)の化合物5bを単離した。質量(m/z):199.2(M+H)。
4−ブロモ−6−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6b)の合成:
化合物6(実施例1)向けの手順に従って、化合物5b(170mg、0.857mmol)、ならびに比例モル当量の無水DMF及びPOBr3を使用して化合物6bを調製した。69mg(収率31%)の化合物6bを単離した。質量(m/z):261.1,263.1。
実施例40
化合物6cの例示調製手順:
6クロロ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(4c)の合成:
実施例37に従って、4−クロロアニリン21c(1.03g、7.43mmol)、ならびに比例モル当量の化合物20、Pd(OAc)2、PPh3、NaOtBu、及びo−キシレンを使用して化合物4cを調製した。実施例11に従って継続し、粗単離化合物22cを、比例モル当量のPd(OAc)2、PCy3、DBU、及びジメチルアセトアミドを使用して化合物4cへと変換した。400mg(収率30%)の化合物4cを単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.95 (br, 1H), 8.59(d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.58(d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.21 (t, 1H)。質量(m/z):203.2,205.2。
6−クロロ−9H−ピリド[2,3−b]インドール1−オキシド(5c)の合成:
化合物5(実施例1)向けの手順に従って、化合物4c(380mg、1.88mmol)、ならびに比例モル当量のH2O2水溶液(35%)及びCH3COOHを使用して化合物5cを調製した。205mg(収率50%)の化合物5cを単離した。質量(m/z):219.2,221.2。
4−ブロモ−6−クロロ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6c)の合成:
化合物6(実施例1)向けの手順に従って、化合物5c(200mg、0.917mmol)、ならびに比例モル当量の無水DMF及びPOBr3を使用して化合物6cを調製した。90mg(収率35%)の化合物6cを単離した。質量(m/z):283.0,285.0。
実施例41
化合物6dの例示調製手順:
7−メトキシ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(4d)の合成:
実施例11に従って、3−メトキシアニリン21d(890mg、7.43mmol)、ならびに比例モル当量の化合物20、Pd(OAc)2、PPh3、NaOtBu、及びo−キシレンを使用して化合物4dを調製した。実施例11に従って継続し、粗単離化合物22dを、比例モル当量のPd(OAc)2、PCy3、DBU、及びジメチルアセトアミドを使用して化合物4dへと変換した。355mg(収率30%)の化合物4dを単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.61 (br, 1H), 8.38(d, 1H), 8.34 (d,1H), 7.18 (d, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.81 (t, 1H), 3.82(s, 3H)、質量(m/z):199.2(M+H)。
7−メトキシ−9H−ピリド[2,3−b]インドール1−オキシド(5d)の合成:
化合物5(実施例1)向けの手順に従って、化合物4d(330mg、1.67mmol)、ならびに比例モル当量のH2O2水溶液(35%)及びCH3COOHを使用して化合物5dを調製した。89mg(収率25%)の化合物5dを単離した。質量(m/z):215.2(M+H)。
4−ブロモ−7−メトキシ−9H−ピリド[2,3−b]インドール(6d)の合成:
化合物6(実施例1)向けの手順に従って、化合物5d(88mg、0.411mmol)、ならびに比例モル当量の無水DMF及びPOBr3を使用して化合物6dを調製した。45mg(収率40%)の化合物6dを単離した。質量(m/z):277.1,279.1。
tert−ブチル3−(7−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェネチルカルバメート(I−11)の合成:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6a(61mg、0.23mmol)、ならびに比例モル当量のボロン酸エステル17a、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M)、ジオキサン、及びPd(PPh3)4を使用して化合物18iを調製した。49mg(収率50%)の化合物18iを単離した。質量(m/z):417.3(M+H)。
2−(3−(7−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)エタンアミン(I−11)の合成:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、比例モル当量のトリフルオロ酢酸を含む無水ジクロロメタンで処理し、化合物18i(49mg、0.117mmol)から化合物I−11を調製した。分取HPLCによって精製することで、14mg(収率37%)の化合物I−11を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.89 (br, 1H), 8.39(d, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.35 (m, 2H),7.05 (d, 1H), 6.86 (m, 3H), 6.80 (d, 1H), 6.02(br, 1H), 2.98 (t, 2H),2.40 (s, 3H)。1H NMR D2O交換(500 MHz, DMSO−d6)δ PPM: 8.32 (d, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.35 (m, 2H), 7.05 (d, 1H), 6.86 (m, 3H), 6.80 (d, 1H), 3.35 (t, 2H), 2.98 (t, 2H), 2.38 (s, 3H)。質量(m/z):317.3(M+H)。
tert−ブチル3−(6−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェネチルカルバメート(18j)の合成:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6b(68mg、0.256mmol)、ならびに比例モル当量のボロン酸エステル17a、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M)、ジオキサン、及びPd(PPh3)4を使用して化合物18jを調製した。54mg(収率49%)の化合物18jを単離した。質量(m/z):417.3(M+H)。
N1−(3−(6−メチル−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)エタン−1,2−ジアミン(I−13)の合成:
化合物I−7(実施例27)向けの手順に従って、化合物18j(53mg、0.126mmol)、ならびに比例モル当量のトリフルオロ酢酸及び無水ジクロロメタンを使用して化合物I−13を調製した。分取HPLCによって精製することで、16mg(収率40%)の化合物I−13を単離した。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 11.95 (br, 1H), 8.62(d, 1H), 7.70(s, 1H), 7.65 (d, 2H),7.58 (t, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.10(dd, 2H), 7.0 (d, 1H), 6.20 (br, 1H),3.20 (t, 2H), 2.70 (s, 3H)。1H NMR D2O交換(500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 8.38 (d, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.38 (t, 1H),7.22 (d, 1H), 7.05 (d, 1H), 6.85 (m, 2H), 6.80 (d 1H), 3.35(t, 2H), 2.98 (t, 2H),2.22 (s, 3H)。質量(m/z):317.3(M+H)。
tert−ブチル3−(6−クロロ−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェネチルカルバメート(18k)の合成:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6c(85mg、0.302mmol)、ならびに比例モル当量のボロン酸エステル17a、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M)、ジオキサン、及びPd(PPh3)4を使用して化合物18kを調製した。59mg(収率45%)の化合物18kを単離した。質量(m/z):437.3,439.3。
N1−(3−(6−クロロ−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)エタン−1,2−ジアミン(I−14)の合成:
化合物I−7(実施例1)向けの手順に従って、化合物18k(58mg、0.133mmol)、ならびに比例モル当量のトリフルオロ酢酸及び無水ジクロロメタンを使用して、化合物I−14を調製した。分取HPLCによって精製することで、15mg(収率36%)の化合物I−14を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 12.10 (br, 1H), 8.40(d, 1H), 7.80(br, 2H), 7.55 (s, 1H),7.50 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.08(d, 1H), 6.8 (m, 3H), 6.00 (br, 1H), 3.00 (t, 2H)。1H NMR D2O交換(500 MHz, DMSO−d6) δ PPM: 8.38 (d, 1H), 7.59 (m, 2H), 7.39 (d, 1H), 7.35 (t, 1H), 7.15 (d, 1H), 6.89 (m, 3H), 3.38 (t, 2H), 2.98 (t, 2H)。質量(m/z):337.2.339.2。
tert−ブチル3−(6−メトキシ−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェネチルカルバメート(18l)の合成:
化合物18a(実施例27)向けの手順に従って、化合物6d(44mg、0.158mmol)、ならびに比例モル当量のボロン酸エステル17a、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M)、ジオキサン、及びPd(PPh3)4を使用して化合物18lを調製した。27mg(収率40%)の化合物18lを単離した。質量(m/z):433.3(M+H)。
N1−(3−(7−メトキシ−9H−ピリド[2,3−b]インドール−4−イル)フェニル)エタン−1,2−ジアミン(I−12)の合成:
化合物9(実施例1)向けの手順に従って、化合物18l(27mg、0.062mmol)、ならびに比例モル当量のトリフルオロ酢酸及び無水ジクロロメタンを使用して化合物I−12を調製した。分取HPLCによって精製することで、6.3mg(収率30%)の化合物I−12を得た。質量(m/z):333.2(M+H)。
実施例46
CaMKIIδ活性のインビトロでのアッセイ
CaMKIIδのインビトロでの阻害アッセイ向けの例示手順は、CaMKIIに対する本発明の化合物の阻害活性を決定するために使用することができ、下記のとおりである。手順は、Chao LH,et al.,(2010)Nat Struct Mol Biol.17(3):264−272に記載のものを使用しており、当該文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
CaMKII活性の阻害は、ATPの加水分解後に遊離するADPと、ペプチド基質AC3(KKALHRQETVDAL;配列識別番号1:)(1)へのリン酸転移と、を測定する共役アッセイを使用して評価した。全長であり、C末端にHis/Glnタグを有するCaMKIIδ構築物(以下の表3の配列)を使用した。
UV透過96ウェルプレート(ウェルサイズが1/2面積のもの)のウェルに対して5uL体積の化合物を添加した。化合物を試験した最終濃度は、0.5nM〜10uMである。アッセイは2連で実施した。100mMのトリス(pH7.5)、150mMのKCl、0.27mMのEGTA、1.3mMのPEP、0.2mg/mlのAC3、6.9%(v/v)のPK/LDH混合物(Sigma P0294)、0.38mMのNADHを含む混合物に対して、CaMKIIδを最終濃度16nMで添加し、氷上で保持した。化合物を含むウェルに対して、72uLの当該酵素混合物を添加し、プレートを短時間振とうさせ、氷上で保持した。100mMのTris(pH7.5)、150mMのKCl、1.7mMのCaCl2、48mMのMgCl2、0.35mMのATP、及び6.7ug/mLのカルモジュリンを含む混合物を23uL添加することによってアッセイを開始した。ADPの遊離速度を、340nMの吸収が減少する速度として25℃で測定し、化合物濃度の対数に対してプロットした(図1)。IC50のデータは、GraphPad Prismソフトウェアを使用して適合させた。
CaMKIIδ活性のインビトロでのアッセイ結果を表4に示す。化合物番号は、表1、表2、及び実施例に記載の中間体の化合物番号と対応している。IC
50≦50nMの活性を有する化合物は、「A」として示される。50〜250nMのIC
50の活性を有する化合物は、「B」として示される。250〜1000nMのIC
50の活性を有する化合物は、「C」として示される。IC
50≧1μMの活性を有する化合物は、「D」として示される。「NA」は、「未アッセイ」を示す。図1には、化合物I−7のCaMKIIδに対する酵素阻害曲線が示される。
本発明の実施形態を数多く記載したが、基礎的な実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供するために変更してよいことは明らかである。それ故に、本発明の範囲は、例として示した特定の実施形態によってというより、むしろ添付の特許請求の範囲によって定義されることになると理解されるであろう。