本発明は、耳垢除去または耳垢埋伏解消のための改良に関するものである。
外耳道における耳垢(イヤーワックス又はセルーメン)の蓄積および埋伏は、家庭医、小児科医や内科などのプライマリーケア医が直面する共通の問題である。耳垢の埋伏は、耳道を塞ぐ耳垢の塊は妨害する存在である。耳垢の蓄積は、最大6%の一般集団、およびはるかに高い割合の高齢者及び認知障害者(例えば、老人ホーム入居者の57%に影響を与えることがわかっている)に影響を与える。アメリカ合衆国では、耳垢の蓄積は年間1200万人の患者の通院及び800万例の耳垢除去処置の原因になっている。
耳垢埋伏の多くの場合、通常、耳鼻咽喉科(ENT)の医師が、真空下で、又はキューレットを使用して、又は注射器を使用した水洗浄によって耳垢の除去を行っている。各々のアプローチは、リスクと利点を有している。キューレットの使用は、臨床医が処置を見やすく耳垢を安全に除去でき、また水を使用せず感染のリスクを低下させる。しかし、キューレットの使用にはかなりのスキルが必要である。
アメリカ合衆国では、洗浄又は「シリンジング」は耳垢除去の標準的な方法であり、約15万の耳が毎週洗浄されている。しかし、洗浄は鼓膜(ティンパニックメンブレン)を損傷する可能性のある高圧を使用する液体の注入を伴う。
家庭用耳ケア製品は、有効性が非常に低く、時には安全性に問題があるワックス軟化剤または綿棒を含む。軟化剤は、しばしば埋伏耳垢の軽度の症例の治療に有効であり、一部の場合に専門家による除去の必要性を低減する。耳の中の垢を軟化させるために使用される垢軟化剤は、通常、ベビーオイル、グリセリン、鉱油、グリセロール、オリーブ油、アーモンド油、過酸化水素、ドキュセートナトリウム(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート)、ジクロロベンゼン、および過酸化カルバミドである。過酸化水素及び10%重炭酸ナトリウム溶液が耳垢の除去及び軟化の効果的な手段として知られている。
耳垢除去するための現在の診療はENT(耳鼻咽喉科)医師などの専門医に重度に依存している。耳垢軟化剤などの家庭用製品は埋伏の状態にある耳垢は取り除けないが、耳鼻科医師又は一般開業医による治療(水洗浄、キュレット、真空による治療など)における使用では有用である。
そのため、臨床医が全く関与せずに行える、安全で機械的な耳垢除去のための手段と方法に対する長年のニーズがある。さらに、コスト削減と耳鼻科医師の負担軽減のために一般開業医が行える処置の簡素化のニーズがある。
本発明の一実施形態によれば、耳道から耳垢除去する装置であって、前記装置は、シャフトと、前記シャフトの末端に実質的に細長い空間を囲む螺旋ストリップ形状の耳垢コレクタヘッドを備え、前記螺旋ストリップは断面を有し、前記断面は前記螺旋ストリップの外表面が実質的に平坦であり、前記螺旋ストリップの内表面が内向きのエッジとなるように半径方向に先細っている断面であり、前記螺旋ストリップの遠位端がウェッジを形成するように先細っている装置が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、前記装置は、前記シャフトの回転時、前記コレクタヘッドが開口部を介してハウジングの外へ伸展するように構成された前記ハウジングによって覆われている。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、耳垢溶解剤の液源と接続するための注入口を備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングおよび前記シャフトは、前記シャフト回転の時、前記ハウジングから前記コレクタヘッドを伸展させる。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記外耳道内への前記ハウジングの挿入を制限するストッパを備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記ハウジングの向きを前記外耳道に対応させて外耳を塞ぐように形成されたリストリクタを備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記コレクタヘッドの外への伸展を制限するように構成されている。
また、本発明の一実施形態によれば、前記シャフトは、前記コレクタヘッドの外への伸展を制限するノブを備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、把持可能なフィンを備えている。
また、本発明の一実施形態によれば、装置は、前記装置は、前記コレクタヘッドおよび前記シャフトの間に、前記コレクタヘッドが前記シャフトの長手方向軸に対して横方向に屈曲するフレキシブル部をさらに備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記フレキシブル部の柔軟性は、前記フレキシブル部に沿って変化する
また、本発明の一実施形態によれば、前記フレキシブル部は、複数のフレキシブルセグメントを備える。
また、本発明の一実施形態によれば、前記複数のフレキシブルセグメントは、互いに垂直横方向に折り曲がる交互のフレキシブルセグメントである。
また、本発明の一実施形態によれば、前記コレクタヘッドの前記ウェッジは、曲げ力が所定のしきい値より大きい曲げ力にたいしてたわむように構成されている。
また、本発明の一実施形態によれば、前記コレクタヘッドは、前記ウェッジをたわめるノッチを備える。
本発明の一実施形態によれば、耳道から耳垢を除去するための方法であって、前記方法は、シャフトに接続された螺旋状のコレクタヘッドを前記外耳道内へ挿入する工程と、前記シャフトを回転させ前記外耳道から前記コレクタヘッド内へ前記耳垢を収集する工程と、前記外耳道から前記コレクタヘッドを取り出す工程とを含む方法がさらに提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、前記コレクタヘッドを前記外耳道内へ挿入する工程は、開始時に前記コレクタヘッドを覆っているハウジングの頭開部を、前記外耳道の開口部の外側に配置する工程と、 ノブを回転させることによって前記シャフトを回転させ、前記開頭部から前記コレクタヘッドを前記外耳道内に伸展させ、前記コレクタヘッド内に前記耳垢を収集する工程とを含む。
また、本発明の一実施形態によれば、前記方法は、前記外耳道内に耳垢溶解剤を導入する工程を含む
また、本発明の一実施形態によれば、耳垢溶解剤を導入する工程において、開始時に前記コレクタヘッドを覆っている本体を前記耳垢溶解剤の液源と接続する工程を含む。
また、本発明の一実施形態によれば、前記耳垢溶解剤は、前記外耳道内への前記コレクタヘッドの挿入の1〜20分前に導入される。
本発明のより深い理解及び実用的応用例の理解のため、以下の図が提供され、以後参照される。なお、図は実施例に過ぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。同様の構成要素には同じ符号を付す。
図1は、外耳および、本発明の一実施形態による耳垢除去装置によって除去可能である耳道の埋伏耳垢を示す。
図2Aは、本発明の一実施形態による耳垢除去装置の耳垢がある耳道への挿入及び耳垢軟化剤の応用例を模式的に示す。図2Bは、図2Aに図示された耳垢除去装置のさらなる挿入を模式的に示す。図2Cは、図2Bに図示された耳垢除去装置による耳垢の収集を模式的に示す。
図3Aは、耳から耳垢を取り除くための装置の使用工程を模式的に示す。図3B−3Dは、耳道に挿入するための図3Aの装置の一部を模式的に示す。
図4A−4Eは、耳から耳垢を取り除くための装置の使用工程を模式的に示す。
図5A−5Dは、耳垢を耳垢軟化液にさらし軟化する工程を模式的に示す。
図6A−6Eは、装置の一実施形態を模式的に示す。
図7は、本発明の一実施形態によるフライスビットの形状を有するコレクタヘッドを模式的に示す。
図8Aは、本発明の一実施形態による収納位置にある編組バスケットデザインの形状を有するコレクタヘッドを模式的に示す。図8Bは、図8Aのコレクタヘッドが部分的に伸展された状態を模式的に示す。図8Cは、図8Aのコレクタヘッドがほぼ伸展された状態を模式的に示す。図8Dは、図8Aのコレクタヘッドが完全に伸展された状態を模式的に示す。
図9Aは、本発明の一実施形態によるスポンジ状のコレクタヘッドを模式的に示す。図9Bは、本発明の一実施形態によるファイバースポンジ状のコレクタヘッドを模式的に示す。
図10Aは、本発明の一実施形態による中空管の形状を有するコレクタヘッドの耳道への挿入を模式的に示す。図10Bは、図10Aのコレクタヘッドのさらなる挿入を模式的に示す。図10Cは、図10Bのコレクタヘッドの耳垢を収集するために挿入した様子を模式的に示す。
図11Aは、本発明の一実施形態による薄壁中空管コレクタの耳道へ挿入した際の初期状態を模式的に示す。図11Bは本発明の一実施形態による薄壁中空管コレクタの耳道へさらに挿入した際の状態及び耳垢の収集の様子を模式的に示す。図11Cは、図11Aに図示された薄壁中空管コレクタの可変リングを模式的に示す。
図12は、コレクタヘッド用のシャフトを模式的に示す。
図13は、コレクタヘッドのいくつかの実施形態を模式的に示す。
図14は、コレクタヘッドのいくつかの実施形態を模式的に示す。
図15Aは、本発明の一実施形態による螺旋バネ耳垢コレクタを備えた耳垢除去装置の外観を示す。図15Bは、図15Aに図示された装置の垂直方向の外観を示す。図15Cは、図15Aに図示された装置の平面A−Aに沿った断面を示す。図15Dは、図15Bに図示された装置の平面F−Fに沿った断面を示す。
図16Aは、図15Aに図示された装置のシャフトの詳細を示す。図16Bは、図16Aに図示されたシャフトのコレクタヘッドの先端部を示す。図16Cは、図16Aの平面E−Eに沿った断面を示す。図16Dは、図16Aの平面C−Cに沿った断面を示す。
図17Aは、本発明の一実施形態による螺旋バネ耳垢コレクタを備えた耳垢除去装置を示す。図17Bは、図17Aの耳垢除去装置のコレクタが伸展した状態を示す。図17Cは、図17Bに図示された耳垢除去装置の内部コンポーネントを表す断面図を示す。
図18は、図17Aに図示された耳垢除去装置が耳に挿入された状態を模式的に示す。
図19は、本発明の一実施形態による屈曲可能な先端部を備えた螺旋コレクタヘッドを示す。
図20Aは、本発明の一実施形態による螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示す。図20Bは、図20Aに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示す。図20Cは、図20Bに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示す。図20Dは、図20Cに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示す。図20Eは、図20Dに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示す。
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するため、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細なしに実現されてもよいことは、当業者に理解されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないため、周知の方法、処理、コンポーネント及び回路は詳細には説明されない。
本発明の実施例はこれに関して限定されないが、例えば、"処理"、"計算"、"算出"、"決定"、"確定"、"解析"、"確認"などの用語を用いた説明は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(電子など)量として表されるデータを、演算及び/又は処理を実行するための命令を格納可能なコンピュータのレジスタ、メモリ又は他の情報記憶媒体内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ、計算プラットフォーム、計算システム又は他の電子計算装置の演算及び/又は処理を参照するものであってもよい。
本発明の実施例はこれに限定されないが、ここで用いられる"複数"という用語は、例えば、"複数"又は"2以上"などを含むものであってもよい。"複数"という用語は、2以上のコンポーネント、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記載するため、明細書全体で利用されてもよい。
特に明記しないかぎり、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制限されない。また、記載された方法の実施形態またはその構成要素の一部は、同時に(共に、同一時点で)生起又は実行され得る。特に断りのない限り、本明細書で使用される接続詞「または」は、すべてを含むものとして理解されるべきである(記載されたオプションのいずれか、またはすべて)。
下記の説明は、全体に亘って、当業者が本発明を使用することができように示されており、本発明の発明者により意図された最良の態様を述べている。しかしながら、それらの態様の他に種々の変更例があることを当業者にも理解されるものである。何故なら、本発明の一般原理が、耳道からの耳垢の機械的な除去方法を提供するための手段および方法を提供するように具体的に説明されているからである。
以下、「約」という用語は、値の前後20%以内を意味する。
以下、「複数」という用語は、任意の1より大きい整数を意味する。
以下、「蓄積する」という用語は、物質量を累積または集めることを意味する。
以下、「遠位」という用語は、外耳道のより内部にある部位のことを意味する。
以下、「近位」という用語は、使用中に外耳により近い部位のことを意味する。装置が2つの部位を備える場合、第1の部位は耳の外側に残り、第2の部位は耳道に伸展し、近位部は第1の部位であり、遠位部は第2の部位である。遠位部(第2の部位)の近位端は、第1の部位(近位部)内の遠位部の末端である。
以下、「ヒンジ式に接続される」という用語は、ヒンジとして機能する接続のことを意味する。ここでヒンジとは、少なくとも一つの接続部を有し、各接続部が2つの部位を接続している。そして、各接続部がヒンジとして機能するように、各接続部が接続された部位よりもフレキシブルであり、隣接した接続部が少なくとも一方向に互いに向かって曲がる。
以下、「主長手方向軸」という用語は、装置の長軸に沿って延びる軸のことを意味する。一実施形態によれば、装置は線形または非線形の装置のいずれであってもよい。
以下、「変形する」という用語は、任意の機械的な変形のことを意味し、例えば、屈曲、伸張、圧縮、ねじり、およびこれらの任意の組み合わせのことである。
以下、「塑性変形する」あるいは「塑性変形」という用語は、任意の恒久的な機械変形のことを意味する。
以下、「編組バスケット」という用語は、完全に伸展させた時にバスケットに似た形である編まれた複数の繊維を意味する。バスケットの作用は拡張し、拡張時に耳垢を集め、そして収縮中にそれを捕えることである。
以下、「アコーディオンプリーツ」という用語は、実質的に均等な間隔の実質的に平行な折り目のことを意味する。アコーディオンプリーツは、非限定的な例として、一連の並列な行、または螺旋を形成してよい。
以下、「生成した軟化耳垢」または「軟化耳垢」という用語は、任意の耳垢の形状、例えばペースト、ワックス、液体、または半固体を意味する。一般的に、軟化耳垢高い粘度を有する
以下、「3方向すべて」または「軟化耳垢」という用語は、三次元座標系の軸を形成する3方向を意味する。非限定的な例として、3方向すべてに屈曲可能な先端を有する物体は、空間内の任意の点を指し示すことができる。
耳垢は、通常の状態で外耳道を掃除し、保護し、潤滑にするために自然に生じる物質である。耳垢は、顎運動により耳道から移動させるセルフクリーニング機構により除去される。過剰な耳垢は耳道で硬化し、耳を塞ぐことがある。
耳垢は外耳道の深部及び表面から生じ腺分泌物と混ざった角質細胞のシートから構成され、ケラチンが耳垢プラグ形質の最大60%を占める。図1には、埋伏耳垢2000を含有する外耳道の模式図が示されている。
耳垢は、比較的硬い物質である。場合によっては、除去を簡単にするために、耳垢を溶かすか、または軟らかいペースト状になるように湿らせることもある。いくつかの実施形態では、本発明は、液浸の効果(耳垢を浸漬する効果)、と耳垢の機械的収集を組み合わせる。他の実施形態では、耳垢は医師による耳のシリンジング等の他の手段によって軟化され、本発明によって機械的に軟化耳垢を収集する。
耳垢軟化液は低粘度の軟化液であり、また生成した軟化耳垢は、液体、ペーストまたはワックスの形状であり、耳垢と軟化液の混合物であるため高い粘度を有することに留意すべきである。
本発明の実施形態の背景にある中心概念は、耳垢除去のために簡単な機械的装置を提供することである。
いくつかの実施形態によれば、上記装置は、医療訓練を受けていない人でも使用可能である。他の実施形態によれば、上記装置は、医師などの医療従事者による使用を意図している(例えば、一般開業医や耳鼻科医師)。場合によっては、耳垢を上記装置を使用する前に軟化することができる。例えば、過酸化水素水または他の液体等の耳垢軟化液をシリンジを用いて、もしくはその他の方法で耳道に導入することができる。この場合、耳垢の軟化後、上記装置は、軟化耳垢を外耳道から除去するために使用することができる。
導入された耳垢軟化液は外耳道内に留まり、一定時間耳垢と接触する。場合によっては、液体は、液体、ゲル、粉末、または泡の形で薬剤を含有している(例えば、外耳炎や真菌症のような症状の局所治療のために)。
耳垢除去処置は、図2A−2Cに示すように行うことが可能である。
図2Aは、本発明の一実施形態による耳垢除去装置の耳垢がある耳道への挿入及び耳垢軟化剤の適用の様子を模式的に示す。耳道で装置1000によって耳垢の溶解が行われる場合、装置1000から流体1500が出て耳垢2000を湿らせることができる。なお、いくつかの装置の変形例では、耳への装置1000の挿入前に、軟化液を当技術分野で公知の任意の方法で、耳の中に導入することができる(例えば、シリンジによって)。
過酸化水素は良い耳垢軟化剤であり、しばしばワックス軟化剤に使用されているため、軟化剤として使用することができる。また、軟化剤は、ベビーオイル、グリセリン、鉱油、グリセロール、オリーブ油、アーモンド油、ドキュセートナトリウム(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート)、ジクロロベンゼン、カルバミドペルオキシド、過酸化水素水、炭酸水素ナトリウム溶液、市販の耳垢除去液、他の材料、またはそれらの任意の組み合わせを含有することができる。
図2Bは、図2Aに図示された耳垢除去装置のさらなる挿入を模式的に示している。装置1000のコレクタヘッド1300は、機械的に耳垢を収集するために耳道に導入される。装置1000のコレクタヘッド1300は、軟化耳垢2300(あるいは、非軟化耳垢2000)を収集するように機能することができる。
図2Cは、図2Bに図示された耳垢除去装置による耳垢の収集を模式的に示している。耳垢が装置1000のコレクタヘッド1300内に集められた後、コレクタヘッド1300を含む装置1000、及びコレクタヘッド1300によって収集された軟化耳垢2300は耳道から取り出される。
本発明は、単回使用の、使い捨て製品を提供し、いくつかの実施形態では、自宅における患者による自己治療用に設計されている。非限定的な例として、例えば、臨床医または他の介護者により、臨床現場または自宅において患者に処置を施すことができる。自宅における処置の非限定的な例には、自分自身で処置する場合や、親が子供を処置する場合が含まれる。他の非限定的な例には、身体的弱者(高齢者など)や心身に障害のある者のケアが含まれる。このようなケアは、患者の家族、介護者、または医師によって提供され得る。臨床現場における処置の非限定的な例は、医師による医院での処置の一部としての使用が含まれる。
いくつかの実施形態では、全体のプロセスは、20分未満であり、場合によっては5分未満または1分未満である。
操作は非常に単純である。上記装置を耳道に挿入し、回転力を耳の外部に残っているノブに加える。上記装置は、適切に用いた場合に、使用者が長手方向、すなわち耳道に沿った内方向へ、耳垢を内部へ押し込むために十分な力を加えることが出来ないように設計されている。さらに、上記装置は、適切に用いた場合に、使用者が、例えば一定速度で回転させることにより、実質的な回転力をノブに加えるように設計されている。
安全を考慮し、鼓膜から最低でも0.5−1cmの安全距離が残されているように、耳道への侵入最大長を外耳から1.5−2.5cmとするため、耳垢収集機構の最長行程を0.5−1.5cmとする必要がある。さらに、使用者によって与えられる唯一のモーメント力は、上記装置を鼓膜に向かって押す力ではなく、従って膜を引き裂く危険性が大幅に低減される。
図3Aは、耳から耳垢を取り除くための上記装置の使用工程を模式的に示している。全工程は、いくつかのコンポーネントを有するアプリケータ1000によって制御される。
静止機構1100(以下、「装置本体」)は、外耳道の外に留まり、好ましい実施形態では約0.2〜3mLの液体が充填されている貯蔵庫を含む。好ましい実施形態では、該液体は3%過酸化水素水である。他の使用可能な液体としては、限定されるものではないが、他の濃度の過酸化水素水、鉱油、ベビーオイルや薬用オリーブオイルなどのオイル、炭酸水素ナトリウム点耳剤、及びEarexTM(ただし、これに限定されない)など市販点耳剤が挙げられる。
いくつかの実施形態では、装置は軟化液の貯蔵庫を含まない。軟化液は、医師または他の臨床医によって、シリンジング(ただし、これに限定されない)などの当技術分野で公知の任意の方法で耳に導入される。液体の導入し液体が耳垢を軟化するのに十分な時間の経過後に、医師または他の臨床医が装置を耳に導入し操作することにより、軟化耳垢が耳から優しくかつ確実に除去される。
いくつかの実施形態では、液体の貯蔵庫は上記装置の本体内には存在せず、上記装置に流体接続されたコンテナ内に存在し、外耳道の上に位置し、非限定的な例として、目の高さ、耳介の上部及び頭間の耳の上、または頭の上に位置する。これらの実施形態のいくつかにおいて、貯蔵庫は頭の周りにリボンまたはゴムバンドで縛り付けられ、あるいは頭の所定の位置に対象を保持する当技術分野で公知の任意の他の方法によって頭に保持することができる。貯蔵庫が外耳道の上にある実施形態においては、外耳道内へ重力の作用により液体が流れ込む。
いくつかの実施形態では、液体の貯蔵庫は、上記装置と繋がっていない。そのような実施形態においては、液体は別途導入され、好ましくは上記装置の耳への導入の1−20分前に別途導入される。しかし、その時間は、使用される軟化液及び耳垢の硬さに依存し、より長くても短くてもよい。
場合によっては、外耳道へ液体は導入されない。
ダイナミック機構1200(以下、「ノブ」)は、処置を通じて、使用者による上記装置への動力供給により生じる回転力を利用する。
耳垢2000の前面を湿らせる機構(図示せず)は、軟化液の貯蔵庫(図示せず)と、外耳道へ液体を送り込むオリフィス1400と、装置本体1000内の貯蔵庫(図示せず)及びオリフィス1400間の流体接続(図示せず)を備える。
耳垢コレクタ1300は、耳垢2000を収集する。
アプリケータは次のように機能する。アプリケーター1000は外耳道の開口部へ導入され、静止機構1100の遠位端1500は耳の外部に留まる。使用者はノブ1200を回転させる。これは二つの効果を有する第一に、耳垢の前面は湿潤機構(図示せず)により過酸化水素水など(ただし、これに限定されない)の軟化液で湿らされる。湿潤液は、好ましくは、耳垢コレクタ1300の少なくとも1つの開口部1400を介して外耳道に送り込まれる。第二は、ノブ1200がコレクタ1300を耳垢2000の方向(真っ直ぐな矢印)へ進める回転動作(曲がった矢印)を起こさせる。耳垢2000が柔らかい場合には、コレクタヘッド1300が上記装置と硬い耳垢の境界部にある湿った耳垢ペーストを収集する。耳垢コレクタ1300の先端は、耳垢が十分なソフトでない場合、外耳道を進まない。耳垢が収集するのに硬すぎる場合には、耳垢コレクタ1300が潰れるか、定位置で回転するか、または硬い耳垢と接触しているコレクタヘッド1300の部分の前進を防ぐことができる当技術分野で公知の任意の他の手段が用いられる。
静止体の遠位端、すなわちノーズピース1500は、耳栓のような形状とすることができる。耳栓形状の非限定的な例が、図3B〜3Dに示されている。外耳道内に最も進展された末端である耳栓の遠位端は、図3B〜3Dの右側である。
ノブ1200は、使用者によって与えられる回転力を利用し、処置中に上記装置に動力を供給するダイナミック機構(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤまたはケーブルが静止機構1100に接続され、ワイヤまたはケーブルは機械的に耳道を掃除するためにノブの回転運動をコレクタへ伝達する。上記装置は、鼓膜領域の損傷の可能性を避けるように、圧縮力ではなく、回転力による動作のみを使用者に許すように制限する。回転力は、回転(すなわち、スクリューの動き)により外耳道の内部へコレクタ導くと同時に、オリフィス(図示せず)を介して耳垢の前面へ液体を送ることに利用される。液体は、装置1000を使用する前に、ピストン/シリンジ機器などの他の機器を用いて導入することも可能である。安全対策として、耳垢の押し込み防止のための要素を追加することが可能である。耳垢が外耳道を塞いでいる場合やまだ硬い場合に、膜を損傷させるような不要なリスクを冒すことがないように、鼓膜の方に押し込まれずにコレクタがその位置に留まる。
好ましい実施形態では、ノブ機構は、クラッチまたは他のデカップリング機構を含む。コレクタヘッドが所定の距離、好ましくは1cm以下で押し出された後は、ノブのさらなる回転はコレクタヘッドをそれ以上押し出さない。
耳垢コレクタヘッド1300は、耳垢を掘削および収集するように構成されているが、耳垢を押さない。耳垢を耳道に押し込むことができないのは、コレクタヘッド1300の長手方向の剛性が低く、耳垢を押すために必要な圧力より低い圧力で潰れるように設計されているからである。
さらに、コレクタヘッド1300は、外耳道の内部へ導入しやすいように曲げに対する抵抗力が小さく設計されている(外耳道は3次元すべてで蛇行している)。
コレクタヘッド1300の機構の実施形態は、限定されるものではないが、コレクタヘッドが軟質材料で構成され、フライスビットまたはアルキメデススクリュー(直径約4〜6mm、長さ約10mm)のような形状;断面の直径の少なくとも一部が耳道の直径に合うように変化する機能、及び長手方向軸の一部の方向を耳道のS字形状に従うように変化させる機能を備えた薄肉の中空管;内側突起を有する薄肉の中空管;編組バスケットデザイン;スポンジデザイン;スクープデザイン;シャベルデザインであり、他の実施形態についても当業者には明らかであろう。
耳垢軟化液の貯蔵庫が不可欠な実施形態においては、貯蔵庫はコレクタ内、装置本体(静止機構)内に備えることができ、これらを任意に組み合わせもよい。貯蔵庫を備える他の実施形態においては、貯蔵庫は装置本体に流体接続され、耳介と頭の間の耳の上、目の高さ、または頭の上など、装置本体(及び、外耳道)の高さより上に設置され得る。貯蔵庫を目の高さ、または頭の上に設置する実施形態においては、貯蔵庫をリボン、ゴムバンド、または頭の所定の位置に対象を保持する当技術分野で公知の任意の他の方法によってその位置に保持することが可能である。
概念の例示的な実施形態(図4A−4E)では、上記装置を使用するための工程が示されている。第1の工程(図4A)では、埋伏耳垢2000を有する外耳道の外側部分に装置1000が導入される。
第2の工程(図4B)では、手3000によって装置1000のノブ1200が回転される(矢印)。これは耳垢軟化液1500の外耳道への流れを誘起し、耳垢2000と接触しこれを軟化させる。
第3の工程(図4C)では、ノブ1200のさらなる回転は装置本体1100からコレクタヘッド1300を押し出し、コレクタヘッド1300を少なくとも部分的に軟化した耳垢2000と接触させる。
第4の工程(図4D)では、使用者がノブ1200を続けて回転させ、コレクタヘッド1300を装置本体1100からさらに伸展させ、軟化耳垢2300を収集する。
湿潤工程は、断続的または連続的であってよい。いくつかの実施形態では、医師または他の臨床医による使用が主に想定されているため、上記装置を耳に導入する前に、例えばシリンジを用いて、軟化液によって別途耳垢を湿らせて軟化させる。そのような実施形態においては、上記装置は貯蔵庫を備えず、上記装置の操作には軟化耳垢を集める工程と耳道から取り除く工程が含まれる。
他の実施形態においては、工程の開始時に、耳にすべての軟化液を導入し、その後軟化耳垢が集められ外耳道から取り除かれる。
さらに他の実施形態においては、軟化耳垢の収集と同時に軟化液が継続的に導入される。これらの実施形態では、コレクタヘッドが耳垢に到達した時に耳垢が軟化し収集可能であるように、好ましくは、軟化液の導入は収集開始前である。
さらに他の実施形態においては、軟化液放出とコレクタ動作は共に断続的である。これらの実施形態では、軟化液の放出後に、コレクタヘッドが軟化耳垢を収集する。そして、軟化耳垢の収集に続いて、さらに軟化液が放出される。軟化液と耳垢の収集は複数回繰り返すことができる。非限定的な例として、(a)軟化液がノブの2回転の間に導入され、(b)続くノブの2回転の間には液体の導入もコレクタヘッドの回転も生じない。そして、(c)追加の(例えば、1〜10回)ノブの回転の間にはコレクタヘッドが軟化耳垢を収集する。工程(a)、(b)、及び(c)は複数回繰り返すことができる。そして、装置が耳道から取り除かれる。
最後の工程(図4E)では、コレクタヘッド1300によって軟化耳垢2300が保持されているので、装置1000は外耳道から取り除かれた軟化耳垢2300と共に外耳道(矢印)から取り出される。
いくつかの変形例においては、装置本体1100を取り出す工程でコレクタヘッド1300は装置本体1100に収納され、他の変形例(図示)においては、コレクタヘッド1300は装置本体1100に部分的に収納され、また他の実施形態においては、コレクタヘッド1300は装置1000及び軟化耳垢2300を耳道から取り除く間も伸展されたままである。
当該分野で公知の任意の機構を、装置本体にコレクタヘッドを収納するために使用することができる。典型的な機構としては、限定されるものではないが、コレクタヘッドの一端またはシャフトの遠位端のいくつかの部分に取り付けられたワイヤまたはケーブルを含み、ワイヤまたはケーブルの一部が引かれると、コレクタヘッドが装置本体に引き込まれる;折り畳み時に、コレクタヘッドを装置本体に引き込む折り畳み式または伸縮自在のシャフト;回転時に、コレクタヘッドを本体にねじり入れる回転可能なシャフト;ノブを回転させた時に、コレクタヘッドが本体に収納される例えば、ノブまたは第2のノブへの直接結合、またはそれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。
図5A−5Dは、硬化耳垢プラグ上の耳垢軟化液の効果を表す。
図5Aにおいては、硬化耳垢の耳垢プラグ200がチューブ220に留まっている様子が示されている。チューブ220は耳垢プラグ200より上が軟化液210で満たされている。
図5Bに示すように、境界部230にある耳垢プラグ200は軟化液210の一部を吸収する。結果として、耳垢片は軟化液210中に浮遊する。
図5Cに示すように、軟化工程は継続に従い、耳垢プラグ200から切り離された小さな断片となり、楕円240に示されるように軟化液210中に浮遊する。
図5Dに示すように、軟化工程完了時には、耳垢プラグ200は軟化し耳垢の断片を含む軟ペーストとなり、チューブ210の上端に浮く。
いくつかの実施形態では、上記装置は外耳道に手動で導入される。他の実施形態では、上記装置は、上記装置が外耳に設置された場合に、自動的に導入される導入機構を含む。
自動導入機構を備える装置、及び自動的に作動する装置(これに限定されないが、例えば、生分解性のシェルを備える装置)は、身体的または精神的な虚弱によって装置の導入に困難がある人、または医師または介護者に装置を導入してもらうことが難しい人のケアにおいて特に有用である。
コレクタヘッド設計の実施形態の例について以下に説明する。
[実施形態1]
図6A−6Eは、コレクタヘッドがソフトブレード1300を有するアルキメデススクリューの形状である実施形態を示す。本実施形態では、使用者によってノブ1200を介してコレクタヘッド1300に与えられた回転力によってアルキメデススクリューが回転される。ブレード端1312は埋伏塊から軟化耳垢を切り離し、切り離された耳垢はブレードに沿って自動の外へと運ばれる。ブレードが柔らかく細い設計であるため屈曲可能であり、コレクタヘッドは管内が異なる深さを有する外耳道の寸法に合わせることができる(外耳道は、長さ方向に直径が同一ではなく、そして耳ごと、人ごとに異なる)。
図6Aは、スクリュー1310が最も内側の位置(装置本体内)にあるアルキメデススクリュー仕様について示している。
図6Bは、スクリュー1310が進展した位置にあるアルキメデススクリュー仕様について示しており、スクリュー1310及びブレード端1312が図示されている。
図6Cは、ノブ1200が取り外され部分分解された、アルキメデススクリュー及び装置本体1100用の押出し機構1314が図示されているアルキメデススクリュー仕様について示されている。押出し機構が約1cm移動した場合に、クラッチ様機構1316がノブ1200と押出し機構1314の間の動きが切り離なされ、押出し機構1314はアルキメデススクリュー1310に接続される。使用者がノブ1200を回し続けても鼓膜の方向へ進まないように切り離しが必要である。クラッチ機構は、アルキメデススクリューが回転を続けても、さらに進めないようにすることを保証する。
図6Dは、アルキメデススクリュー仕様の分解図を示す。分解図は、ノブ1200、アルキメデススクリュー1310用の押出し機構1314、装置のアウターハウジング1100、クラッチ様機構1316、及び外耳にフィットしアルキメデススクリュー1310が突き出るノーズピース1500を示す。コンテナ1110は外耳道に導入される耳垢溶解剤(例えば、過酸化水素水または別の流体)で満たされ得る。
図6Eは、アルキメデススクリュー1310の仕様を示している。左のアルキメデススクリュー1317は粗いピッチを有し、一方右のアルキメデススクリュー1318は細かいピッチを有する。
アルキメデススクリュー1310は、軟質材料で構成されうる。軟質材料の非限定的な例としては、シリコーン、繊維メッシュ、セルロース、ポリウレタン、高密度又は低密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アルキメデススクリュー1310は、構成されていてもよく、フレキシブル部で連結された複数の部位を含んでいてもよい。該フレキシブル部は、アコーディオンプリーツ、螺旋バネ、またはヒンジ手段を備えており、フレキシブル部が、アルキメデススクリュー1310を耳道のねじれに合わせて変形させる。以下で説明するように、ヒンジ手段は、ヒンジ機構、または複数のヒンジ部を備えたシャフトを含むことが可能である。
フレキシブル部は、3次元すべてにおいて屈曲可能とすることにより、コレクタヘッドの屈曲に対する抵抗、特に長手方向軸に関する抵抗を低減し、アルキメデススクリューが外耳道のねじれに従うことを担保している。
[実施形態2]
図7は、軟質材料で構成されたフライスビット1320の形状であるコレクタヘッドの実施形態を開示している。軟質材料の非限定的な例としては、シリコーン、繊維メッシュ等が挙げれられる。該ビットでは、耳垢は貯蔵庫(図示せず)から内管(図示せず)及びオリフィス1400を介して供給される流体によって湿らされる。ビットが外耳道内で回転しながら、耳垢はビットの溝部1325内に収集される。
フライスビット1320は、軟質材料で構成することができる。軟質材料の非限定的な例としては、シリコーン、繊維メッシュ、セルロース、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
フライスビット1320は、単一の部位により構成されていてもよく、フレキシブル部で連結された複数の部位を含んでいてもよい。該フレキシブル部は、アコーディオンプリーツ、螺旋バネ、またはヒンジ手段を備えており、フレキシブル部が、フライスビット1320を耳道のねじれに合わせて変形することを可能にする。以下で説明するように、ヒンジ手段は、ヒンジ機構、または複数のヒンジ部を備えたシャフトを含むことが可能である。
フレキシブル部は、3次元すべてにおいて屈曲可能とすることにより、コレクタヘッドの屈曲に対する抵抗、特に長手方向軸に関する抵抗を低減し、フライスビットが外耳道のねじれに従うことを担保している。
[実施形態3]
図8A−8Dは、完全に展開した場合に、バスケットの様になる形状に編まれた複数の繊維を形成するコレクタヘッドの一実施形態を開示している。以下、本実施形態は、「編組バスケット」コレクタ装置1340と称する。編組バスケットデザインにおいては、編組は中空管、好ましくは弾性繊維で構成されたクローズドエンド管を形成する。編組は、耳道内の任意の場所で編組バスケットを外耳道の寸法に合うように展開することを容易にする。この設計により、バスケット1346は収納時には最小の直径状態となり、少なくとも実質的にスリーブ1343の内部にあり、スリーブ1343の外側で少なくとも一部が展開されているときは展開位置で開いている。開いた状態で、バスケット1346は耳垢を捕捉する。そして、スリーブ1343がバスケット1346の全体または部分を覆っているときは、バスケット1346の直径が小さくなり、編組バスケット1346の穴の中に耳垢が収集されている。
使用においては、収納位置にある編組バスケット1346を備えた装置が外耳道へ挿入される。ノブまたはハンドルが回転され、または別の機構が作動し、スリーブ1343から編組バスケット1346が展開され、編組バスケット1346を回転させる。編組バスケット1346の回転は、バスケット内の軟化耳垢を収集する。装置を外耳道から取り出す際に、編組バスケット1346はスリーブ1343に収納され、コレクタ装置1340の内部に耳垢を捕捉し、外耳道から取り除かれる。
バスケットの繊維は、任意の十分な剛性、十分に弾性を有する材料によるものとすることができる。繊維材料は、限定されるものではないが、金属(例えば、鋼、ニッケル−チタン、ベータチタン、または他の金属)、プラスチック、天然繊維、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、織物、不織布材料、他の材料、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。モノフィラメント、すなわち単一の繊維であってもよく、または複数の繊維を含むマルチフィラメントであってもよい。
マルチフィラメント繊維は、コアを持たず互いに巻き付いたフィラメント、コアの周りに巻き付いたフィラメント、一緒に編み込まれたフィラメント、及びこれらの任意の組み合わせを含むことができる。これらのフィラメントは同一であっても、異なっていてもよい。例えば、コアは、覆っているフィラメントより太く、より硬い材料であってよい。
繊維はコーティングされていてもよい。マルチフィラメントの各フィラメントそれぞれがコーティングされていてもよく、繊維自体がコーティングされていてもよい。
コーティングは、剛性、破壊強度、柔軟性、繊維同士の滑り性(ノンスティックコーティング)、生体適合性などの要素を向上させることができる。
繊維のコーティングには、限定されるものではないが、金属、プラスチック、テフロン、天然繊維、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリウレタン、ヒドロゲル、親水性コーティング、織布材料、不織布材料及びこれらの任意の組み合わせによるコーティングが含まれる。。
図8Aは、収納位置にある編組バスケットデザインの一実施形態を示している。編組バスケット1346の一部が、スリーブ1343の末端に表示されている。
図8Bは、部分的に伸展された編組バスケットデザインの一実施形態を示している。編組バスケット1346はスリーブ1343の末端にはっきりと表示されており、スリーブ1343よりかなり広く展開されている。
図8Cは、ほぼ伸展された編組バスケットデザインの一実施形態を示している。編組バスケット1346は少しだけ伸展された場合より広く、スリーブ1343の末端からより遠くへ進展されている。
図8Dは、完全に伸展された状態の編組バスケットデザインの一実施形態を示している。holdingthe編組バスケット1346を保持しているシャフト1348がはっきりと見え、ここで編組バスケット1346は図8A−8Cにおいて見られるようなより円錐形に近い形状ではなく、バスケット形状となっている。
流体が中空スリーブから容易に流れ、バスケットの編組を通り抜けて耳垢到達するのは明らかである。
[実施形態4]
図9Aは、スポンジ1350の形状であるコレクタヘッドの一実施形態を示している。この設計においては、コレクタヘッドは、実質的に円筒形であり、海綿状材料によって形成されている。スポンジが貯蔵庫からの流体による湿りを維持し、そして流体はスポンジを流れて通過し、耳垢の前面部分を湿らせる。スポンジの回転によって、スポンジの細孔内に軟化耳垢が収集される。スポンジは弾性があり、外耳道の大きさや形状に合わせて変形することができる。
スポンジは、限定されないが、円錐または円錐台などの他の形状であってもよい。
スポンジは、ノブに直接取り付けられていてもよく、またシャフト、スリーブ、その他の当技術分野で知られているような結合機構を介してノブに取り付けられていてもよい。そのようなシャフトの一実施形態について、以下に説明する。
スポンジは、限定されないが、セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらの任意の組み合わせを含む材料によって構成することができる。
図9Bは、繊維によって構成された本体を形成するように、ねじられ、しわくちゃにされ、屈曲した、編み込まれた微細繊維によって構成されたスポンジである別の実施形態1355を示している。図9Bの典型的な実施形態は、円筒状に屈曲した繊維によって形成されていてもよく、繊維体は、限定されないが、円錐または円錐台などの他の形状に成形されてもよい。
なお、耳垢軟化液は低粘度の軟化液である一方、耳垢と軟化流体の混合物であるため、取り出される液体、ペーストまたはワックス状の軟化耳垢は、高い粘度を有する。
[実施形態5]
図10A−10Cは、中空管1360の形状のコレクタヘッドを用いる方法について示している。管の先端(遠位端)が鼓膜に向かって内側に進む中空管デザインでは、耳垢2000の新しい前面は湿され、耳垢コレクタによって収集される。この工程は外耳道が空になるまで絶えず繰り返される。
中空管は、非常に薄い弾性ホイルで構成される。弾性ホイルは円状に折りたたまれ、十分に弾性を有するバネ状材料で作られており、外耳道などのトンネル内でその場に合わせて直径を増減させるために耳道壁に向かう放射状の弾性力(時計のぜんまいに似た)を有している。なぜなら、弾性ホイルがバネ状であるため耳道壁に押付けられるからである。このことは、ホイルの薄さとともに、弾性ホイルコレクタヘッドが外耳道内の耳垢と外耳道壁の間を通ることを担保し、耳垢がホイルコレクタヘッドによって取り囲まれ、その中に収集される。また、弾性ホイルを外耳道壁に押付けることを担保する放射状の力は、ホイルコレクタヘッドが耳垢を外耳道深くへと押し込むことを防ぐ。
図10A−10Cは、中空管デザインが機能している様子を示している。管1360を出た液体1500が耳垢2000を湿らせ、軟化させて、完全な湿潤状態の耳垢2300を生成し、管開口部から離れた領域では部分的に湿潤状態にある耳垢2200を生成しする一方で、湿っていない耳垢2100が管から最も遠い領域に残る。
図10Aは、工程開始時の状況を示している。この時点では、湿潤流体1500は耳垢2000に到達しているが管1360は到達しておらず、部分的に湿潤状態にある耳垢2200及び完全な湿潤状態の耳垢2300を生成しているが、耳垢2100の一部はまだ湿っていない。
図10Bは、管1360が内側(矢印)へ移動し、耳垢2000に到達した状況を示している。完全な湿潤状態の耳垢2350の一部は管の中に収集され、湿潤流体(図示せず)が耳垢プラグ2200のさらなる部分を軟化させている。湿っていない耳垢2100の量が減少する。
工程が継続し(図10C)、外耳道の底へ向かって内へと管1360(矢印)が移動し続け、耳垢2350中の湿潤状態の耳垢を収集し続ける。工程の終わり近くでは、図10Cに示すように、湿潤状態の耳垢2300の殆どが収集され、部分的に湿潤状態にある耳垢2200及び湿っていない耳垢2100が少量のみ残る。
図11A−11Cは、非常に薄い弾性ホイル(0.5mm〜0.05mmの範囲内の厚さ、好ましくは約0.1ミリメートルの厚さ)によって構成された中空管デザインの別の実施形態を示している。バネ状材料で作られており、弾性ホイルは円状に折りたたまれ、外耳道壁の形状に合わせて直径を増減させることが可能な放射状の弾性力を有している。なぜなら、弾性ホイルがバネ状であるため外耳道壁に押付けられるからである。このことは、ホイルの薄さとともに、弾性ホイルコレクタヘッドが外耳道内の耳垢と外耳道壁の間を通ることを担保し、耳垢がホイルコレクタヘッドによって取り囲まれ、その中に収集される。また、弾性ホイルを外耳道壁に押付けることを担保する放射状の力は、ホイルコレクタヘッドが耳垢を外耳道深くへと押し込むことを防ぎ、ホイルが外耳道に沿った各断面における最大径まで開くことを担保することができる。
コレクタ先端(遠位端)と、耳道と、耳垢プラグの直径がほぼ同じであり、薄壁中空管の材料が薄いためコレクタが耳垢を取り囲むことが可能であり、コレクタが耳垢と外耳道壁の間を進むことが可能である。外耳道の直径が小さくなるため、コレクタが進むに従い、その直径、特に先端部の直径は小さくなる。
ある時点で、コレクタの先端部(遠位端)のいくつかの部分は塑性変形する。塑性変形すると、コレクタの先端部(遠位端)は、おおよそその最終的な変形した形状のままになり、耳から取り出しても元の拡張された形状を取り戻さず、コレクタ内に耳垢を保持することができる。
いくつかの実施形態では、弾性ホイルの材料が塑性変形しない。これらの実施形態では、コレクタはコレクタのほぼ先端(遠位端)に外耳道のほぼ最深部にホイルコレクタヘッドがあるときに適当に塑性変形するリング、好ましくは金属リング(以下、「可変リング」)を備える。
好ましい実施形態では、コレクタは、処置の最後に実質的な円錐形に再成形されるため、実質的なクローズドサイド及びクローズドエンド形状であり、装置が耳から取り出されたとき、コレクタは捕捉した耳垢を保持する。
耳垢がホイル内に効率的に収集されるため、耳からの装置の取り出しにより耳垢も取り出される。可変リングの外耳道による塑性変形、すなわちホイルコレクタヘッドの遠位端の開口部を閉じようとする塑性変形は、耳から耳垢を取り除く効率を向上させる。
いくつかの実施形態では、ホイルコレクタヘッドはさらに近位端にも可変リングを備え、これらの実施形態では、ホイルコレクタヘッドは遠位端と近位端の両方に、可変リングを備える。
上記管は非常に薄く高弾性のホイルを形成することが可能な任意の材料によって構成することができる。いくつかの実施形態では、ホイルはポリイミドで構成されている。他のホイル材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドおよび熱可塑性エラストマーと熱可塑性プラスチックのラミネートを含むことができる。非常に薄く、高弾性のホイル(0.05mm〜0.5mmの厚さの範囲、好ましくは約0.1mmの厚さ)を形成可能な当技術分野で公知の任意の材料を用いることができる。ホイルは、必要に応じてストラットまたはその他の当技術分野で公知の補強のメカニズムによって補強することができる。
図11Aは、開始時に耳道に挿入された薄壁中空管コレクタ1360の一実施形態の透視図を模式的に示している。図11Bは、図11Aの薄壁中空管コレクタのさらなる外耳道への挿入と、耳垢の収集を模式的に示している。コレクタ1362は、好ましくはフレキシブル部1372を有するフレキシブルシャフト1370に取り付けられている。本実施形態では、弾性ホイル1362はギャップ1364を有する。ギャップ1364は、サイズおよび/または形状を変化させることによる弾性ホイル1362の柔軟性の微調整に適用することが可能である。よって、単一の太さのホイルを、非限定的な例であるが、大人と子供のような異なるサイズの外耳道に用いることができる。
フレキシブル部は、3次元すべてにおいて屈曲可能とすることにより、シャフトの屈曲に対する抵抗、特にその長手方向軸についての抵抗を抑え、ホイルの遠位端の長手方向軸が耳道のねじれに従うことを担保している。
図11Aおよび11Bに示す実施形態では、フレキシブル部1372はアコーディオンプリーツを有する。シャフトのフレキシブル部1372は、3次元すべてにおいて屈曲可能にすることにより、外耳道におけるコレクタヘッドの柔軟性を向上させ、シャフトへの屈曲に対する抵抗、特にその長手方向軸についての抵抗を抑え、3次元すべてにおいてシャフトに十分な柔軟性を与えることによってヘッドを耳垢の方へと導き、ホイルが耳垢と同じ方向に向いているようにする。
アコーディオンプリーツは、複数の実質的な直線、すなわち実質的な平行列の形状であってもよく、連続螺旋の形状であってもよく、またこれらの任意の組み合わせであってもよく、アコーディオンプリーツは、3次元すべてにおいてシャフトの屈曲を可能にする。
後述の他の実施形態においては、フレキシブル部は螺旋バネ、より柔軟な材料、より硬い領域にヒンジ式に接続された複数の薄い領域、より硬い領域にヒンジ式に接続されたより柔軟な材料により構成された複数の領域、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
図11Cは、圧縮された状態の可変リング1366の正面図を示す。可変リング1366は、薄壁中空管コレクタ1360の先端または遠位端に設けることができる。可変リング1366は、十分に圧力を掛けられた場合に塑性変形可能であり、使用中、薄壁中空管コレクタ1360の先端(遠位端)が外耳道内の最深部に到達する位置あたりで変形し得る。
図11Aおよび11Bにおいて、薄壁ホイル1362は、円錐の直径を容易に変化させ円錐角を外耳道に合わせることを可能にするように一端が開いている実質的な円錐台であり、円錐の狭端部(図11Aおよび11Bにおいては右)は先端(遠位端)を形成し、円錐の広端部(近位端)(図11Aおよび図11Bおいては左)より耳道の深くに位置している。
いくつかの実施形態では、弾性ホイルは、内側に耳垢を収集するのに適した突起(図示せず)を有し、耳垢をホイル内のシャフト1370の近くに誘導することにより、弾性ホイルの遠位部をクリアし、弾性ホイルにさらに耳垢を収集させる。
突起の高さは様々であり、突起遠位端のゼロから始まり突起近位端に向かって増加していく。好ましい実施形態では、突起は耳垢を収集するが押し込まないことにより、装置が耳垢を外耳道の深くに押し込むことを防ぐように、突起の高さは近位端の近くにおいて最大である。
好ましい実施形態では、突起は少なくとも螺旋のセグメントを形成し、該螺旋は円錐台の側面を覆う。
耳垢を誘導することに加えて、突起は弾性ホイルを補強するストラットとしても機能する。
図12は、弾性ホイルコレクタヘッドを保持し耳垢の位置へと導くシャフト1370の別の実施形態を示している。器具を外耳道へ挿入する主な障害の一つは、外耳道の曲がりくねった形状であり、ゆえに挿入時に外耳道壁を傷つける確率が高いことである。痛みおよび/または傷を防ぐために、3次元の任意の方向への屈曲のどのような場合でも、シャフトが3次元すべてにおいて屈曲し、耳道に従うように設計されている。
[実施形態6]
図13は、スクープヘッド1380を有するコレクタ1300の一実施形態を示している。この実施形態は、好ましくは、フレキシブルシャフト1370と、柔軟性を与えるアコーディオンプリーツ(本実施形態では)を備えるフレキシブル部1372と、円形(本実施形態においてはほぼ半円)のセグメントを形成する横断面を有するスクープのような形状を実質的にしているコレクタヘッド1380を含む。コレクタが回転すると、コレクタヘッド1380の側面は外耳道壁際または外耳道壁の近くを通過し、スクープ1380内に耳垢が収集される。
スクープの材料は、スクープ、特にその末端が、外耳道壁に対して優しく圧力を与えるようなバネ状弾性材料である。このことは、スクープを耳垢と外耳道壁の間を通過させ、耳垢の収集を容易にし、スクープによる外耳道深くへの耳垢の押しこみを防止する。
フレキシブル部は、3次元すべてにおいて屈曲可能とすることにより、屈曲に対するコレクタヘッドの抵抗、特にその長手方向軸についての抵抗を抑制し、コレクタを全長に渡る外耳道のねじれに従わせる。
アコーディオンプリーツは、複数の実質的な直線、すなわち実質的な平行列の形状であってもよく、連続螺旋の形状であってもよく、またはこれらの任意の組み合わせであってもよく、3次元すべてにおいてシャフトの屈曲を可能にする。
後述の他の実施形態においては、フレキシブル部は螺旋バネ、より柔軟な材料、より硬い領域にヒンジ式に接続された複数の薄い領域、より硬い領域にヒンジ式に接続されたより柔軟な材料により構成された複数の領域、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
いくつかの実施形態では、スクープヘッドは耳垢を収集するための少なくとも1つの羽根1382を供え、耳垢をスクープ内のシャフト1370近くに誘導することにより、スクープの遠位部をクリアし、スクープにさらに耳垢を収集させる。この実施形態においては、このような2つの羽根を有することが示されている。
羽根の高さは変化し、羽根遠位端のゼロから始まり羽根近位端に向かって増加していく。好ましい実施形態では、羽根の高さは近位端の近くにおいて最大であり、羽根は耳垢を収集するが押し込まないことにより、装置が耳垢を外耳道の深くに押し込むことを防ぐ。
スクープヘッドコレクタの変形例においては、近位へ移動するように耳垢を誘導する手段は、少なくとも一つのリッジである。すべての変形例において、収集/誘導手段は、遠位端のゼロから近位端近くで最大であることによる高さの変化である
羽根またはリッジは好ましくはコレクタヘッド内に螺旋部を形成する。螺旋状の羽根または螺旋状のリッジは、図14に示すように、螺旋の遠位端が長手方向に分離しているように配置可能である。別の例として、横方向に分離されていてもよく、非限定的な例として、2つ螺旋の末端が両方ともコレクタの遠位端にある。そして、これらは任意に組み合わせ可能である。
いくつかの実施形態では、スクープは羽根もリッジも有さない。いくつかの実施形態では、コレクタヘッド内において、羽根およびリッジは螺旋状ではなく、直線状または円形である。
[実施形態7]
図14は、シャベルヘッド1390を有するシャベルコレクタ1300の一実施形態を示している。この実施形態は、好ましくは、フレキシブルシャフト1370と、柔軟性を与えるフレキシブル部1374と、コレクタヘッド1390を含む。コレクタヘッド1390は、実質的にU字形の横断面を有する実質的なシャベル状であり、ほぼ垂直な湾曲した側面を有する。コレクタが回転すると、コレクタヘッド1390の側面は外耳道壁際または外耳道壁の近くを通過し、シャベル1390内に耳垢が収集される。
シャベルの材料は、シャベル、特にその末端が、外耳道壁に対して優しく圧力を与えるようなバネ状弾性材料である。このことは、シャベルを耳垢と外耳道壁の間に通過させ、耳垢の収集を容易にし、シャベルによる外耳道深くへの耳垢の押しこみを防止する。
フレキシブル部は、3次元すべてにおいて屈曲可能とすることにより、屈曲に対するコレクタヘッドの抵抗、特にその長手方向軸についての抵抗を抑制し、コレクタが全長に渡る外耳道のねじれに従うようにする。
フレキシブル部はアコーディオンプリーツ、螺旋バネ、より柔軟な材料、より硬い領域にヒンジ式に接続された複数の薄い領域、より硬い領域にヒンジ式に接続されたより柔軟な材料により構成された複数の領域、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
アコーディオンプリーツは、複数の実質的な直線、すなわち実質的な平行列の形状であってもよく、連続螺旋の形状であってもよく、またはこれらの任意の組み合わせであってもよく、3次元すべてにおいてシャフトの屈曲を可能にする。
いくつかの実施形態では、シャベルヘッドは耳垢を収集するための少なくとも1つの羽根1382を有し、耳垢をシャベル内のシャフト1370近くに誘導することにより、シャベルの遠位部をクリアしシャベルにさらに耳垢を収集させる。この実施形態においては、このような2つの羽根を有することが示されている。
羽根の高さは変化し、羽根遠位端のゼロから始まり羽根近位端に向かって増加していく。好ましい実施形態では、羽根の高さは近位端の近くにおいて最大であり、羽根は耳垢を収集するが押し込まないことにより、装置が耳垢を外耳道の深くに押し込むことを防ぐ。
シャベルヘッドコレクタの変形例においては、近位へ移動するように耳垢を誘導する手段は、少なくとも一つのリッジである。
すべての変形例において、収集/誘導手段は、遠位端のゼロから近位端近くで最大であることによる高さの変化である。
羽根またはリッジは好ましくはコレクタヘッド内に螺旋部を形成する。螺旋状の羽根または螺旋状のリッジは、図14に示すように、螺旋の遠位端が長手方向に分離しているように配置可能である。別の例として、横方向に分離されていてもよく、非限定的な例として、2つ螺旋の末端が両方ともコレクタの遠位端にある。そして、これらは任意に組み合わせ可能である。
いくつかの実施形態では、シャベルは羽根もリッジも有さない。いくつかの実施形態では、コレクタヘッド内において、羽根およびリッジは螺旋状ではなく、直線状または円形である。
図示されている実施形態において、フレキシブル部1374は螺旋ストリップ形状である。代替でまたは追加で、フレキシブル部は、アコーディオンプリーツ1372または螺旋バネを備えることが可能であり、セグメント化され、ヒンジ部によって接続されることが可能であり、またはそれらの任意の組み合わせでもよい。当技術分野で公知のフレキシブル接続とする他の手段を用いてもよい。
スクープ、シャベル、またはそれらの変形例などのコレクタヘッド仕様の好ましい実施例は1/4と1/2の間のシリンダであり、好ましくは約1/3のシリンダである。
[実施形態8]
本発明の一実施形態によれば、耳垢除去装置は、実質的に螺旋バネの一般形状であるコレクタヘッドを含んでよい。取り囲むシースまたはハウジングを有しないコレクタヘッドを外耳道内へ伸展することができる。螺旋バネ形状は実質的に三角形の断面を有する。従って、放射状に外側を向いている、すなわち外耳道壁の内面に対しているコレクタヘッドの表面は実質的に平坦である。放射状に内側を向いている、すなわちコレクタヘッドの長手方向軸に対しているコレクタヘッドの表面は先細り、ブレード状のエッジとなっている。
コレクタヘッドの回転によって外耳道内の耳垢が収集され得る(例えば、外耳道内への耳垢軟化液導入後、または導入と同時に)。フレキシブル部またはフレキシブルネックは、コレクタヘッドを含むシャフトの長手方向軸に対する屈曲を可能とする。従って、外耳道内へコレクタヘッドを挿入した時に、コレクタヘッドは外耳道の局所的な向きに自身を合わせることが可能である。
図15Aは、本発明の一実施形態による螺旋耳垢コレクタを有する耳垢除去装置の外観を示している。図15Bは、図15Aに図示された装置の垂直方向の外観を示している。図15Cは、図15Aに図示された装置の平面A−Aに沿った断面を示している。図15Dは、図15Bに図示された装置の平面F−Fに沿った断面を示している。
耳垢除去装置1505には、実質的に螺旋状である螺旋コレクタヘッド1550が組み込まれている。螺旋コレクタヘッド1550は、耳垢除去装置1505から外耳道内へと伸展し耳垢を収集するように構成されている。螺旋コレクタヘッド1550は、前記螺旋ストリップ内の細長い空間を囲む螺旋バネまたは螺旋ストリップの形状をしている。耳垢除去装置1505から伸展している場合、螺旋コレクタヘッド1550は螺旋コレクタヘッド1550を囲む構造を有さず露出している。従って、螺旋コレクタヘッド1550が外耳道のような制限された空間内へ挿入された場合、螺旋コレクタヘッド1550の各部は空間の各所の断面を埋めるように拡がる(螺旋コレクタヘッド1550の無制限の直径まで)。
耳垢除去装置1505は、ノブ1200を含む装置ハウジング1510およびヘッドアセンブリ1520の形状のハウジングを備える。ノブ1200は、装置ハウジング1510から向きに延びている。装置ハウジング1510は内壁のハウジングねじ山1515を有し、ヘッドアセンブリ1520のシャフト1522は対応するシャフトねじ山1525を有する。従って、ノブ1200を回して、ヘッドアセンブリ1520を装置ハウジング1510内へ回し入れ、螺旋コレクタヘッド1550を頭開部1540から伸展させることが可能である。耳垢除去装置1505を組み立てた際に、装置ハウジング1510の頭開部1540は、ノブ1200に対して遠位にある。
耳垢除去装置1505は、耳垢軟化液の液源(例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、タップ、または他の液源)に接続可能な注入口1530を備えることできる。いくつかの実施形態では、注入口1530には、耳垢軟化液の貯蔵庫が組み込まれているか、あるいは、恒久的に取り付けられている。耳垢軟化液は、螺旋コレクタヘッド1550の外耳道内への挿入前、あるいは同時、あるいは後に外耳道内へ導入することが可能である。
ノブ1200は、ヘッドアセンブリ1520を形成するように、シャフト1522およびフレキシブル部1560を介して螺旋コレクタヘッド1550に接続されている。従って、その軸に対するノブ1200の回転は、同様に螺旋コレクタヘッド1550を回転させる。頭開部1540は、外耳道の開口部の外側に配置される。ノブ1200のシャフトねじ山1525と装置ハウジング1510のハウジングねじ山1515がかみ合い、螺旋コレクタヘッド1550の回転により、螺旋コレクタヘッド1550は頭開部1540から外耳道内へと伸展する。
フレキシブル部1560は、シャフト1522またはヘッドアセンブリ1520の長手方向軸に対して垂直な2次元方向に、横方向に折れ曲がる。例えば(図16Aに示す様な)、2次元方向への横曲げは、フレキシブル部を交互にすることで可能となり、ヘッドアセンブリ1520およびフレキシブル部1560の長手方向軸に対して垂直な軸について単一のディメンションの屈曲が可能である。交互になっているセクションの屈曲軸は、互いに直交している。(例えば、長手方向軸をX軸として名付けされている場合、屈曲軸はy軸及びz軸として名付けられる)。外耳道内に螺旋コレクタヘッド1550が挿入された場合、フレキシブル部1560の2次元の屈曲が、螺旋コレクタヘッド1550の長手方向軸を、外耳道の任意の場所において外耳道の長手方向軸に対して実質的に平行に保つことを可能とする。従って、螺旋コレクタヘッド1550は、耳垢の収集に最適な方向で外耳道内の耳垢に接近することが可能である(耳垢を外耳道深くへ押しこむことを避けながら)。また、外耳道のねじれに従う場合、螺旋コレクタヘッド1550の屈曲や変形は回避又は低減される。従って、螺旋コレクタヘッド1550により作用する外耳道への圧力または力は低減または排除されるため、痛みが回避される。外耳道に対して平行に保つことで、螺旋コレクタヘッド1550の先端が外耳道壁を突く可能性を除く、または低減することも可能である。従って、ヘッドアセンブリ1520の回転によって、螺旋コレクタヘッド1550が外耳道内へ伸展し、外耳道内の耳垢が収集される。耳垢が収集されると、螺旋コレクタヘッド1550は外耳道から引き抜かれる。
螺旋コレクタヘッド1550がバネ状構造を有するため、螺旋コレクタヘッド1550の直径は固定されず、その長さによって変化する。従って、螺旋コレクタヘッド1550の外径は、様々な外耳道の直径に合うように、満たすように自動的に適合する。例えば、鼓膜(内部)付近の外耳道は、外耳付近の外耳道の開口部に比べ狭い。外耳道の狭窄は一様ではない。螺旋コレクタヘッド1550の直径は、自動的に自己調整され、螺旋コレクタヘッド1550の外径は各点における外耳道の直径に実質的に一致する。バネ状構造は弾力があり、本質的に独立しているため、その直径は各所で適合し、さらにバネ状構造の直径を外耳道の直径に一致させることを可能にしている。
螺旋コレクタヘッド1550は、フレキシブルで、柔軟性のある材料で作られてよい。好適な材料としては、限定されるものではないが、金属、ポリプロピレン、高密度または低密度ポリエチレンポリカーボネート、ナイロン、ガラス繊維、エポキシ樹脂、炭素繊維、ポリエチレンイミン(PEI)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
図16Aは、本発明の一実施形態による螺旋コレクタヘッドアセンブリの詳細を示している。図16Bは、図16Aに図示されているコレクタヘッドアセンブリのコレクタヘッドの先端を示している。図16Cは、図16Aの平面E−Eに沿った断面を示している。図16Dは、図16Aの平面C−Cに沿った断面を示している。
ヘッドアセンブリ1520は、単体で使用されてもよく(例えば、螺旋コレクタヘッド1550を耳道内へ手動で挿入し、シャフト1522を手動で操作して耳垢を取り除く医療専門家による)、耳垢除去装置1505(図15A)または1600(図17A)のように耳垢除去装置のハウジング内に組み込まれていてもよい。シャフト1522は、一つ以上の印を有していてよい。外耳道内における螺旋コレクタヘッド1550の深さを示すことができる。
螺旋コレクタヘッド1550の螺旋ストリップ1551は、細長い、空の中央空間を取り囲む。螺旋ストリップ1551の近位端は、テーパ部1553から伸展することができる。
螺旋コレクタヘッド1550の螺旋ストリップ1551は、実質的に三角、くさび状、また放射状に内側に向かって先細る断面を有してよい。したがって、螺旋ストリップ1551の外面1554は、実質的に平坦である。内側への先細り、または三角形やくさびの頂点は、内向きに内縁1556を形成している。内縁1556の形状は、耳垢の除去を容易にできる。例えば、内縁1556は、螺旋コレクタヘッド1550を耳道から取り出した際に、螺旋コレクタヘッド1550の収集された耳垢を保持することができる。
螺旋ストリップ1551の遠位端は、ウェッジ1552を形成するために平坦になるように先細っている。ウェッジ1552の先端1558は、図示されているように螺旋軸に対して実質的に平行であってもよく、螺旋軸に対して湾曲または斜めとなっていてもよい。その面が平坦であろうとも(例えば、三角形)、湾曲していようとも(例えば、凹面)、ウェッジはここで使用されているように、薄いエッジに向かって先細る末端を含む任意の構造を意味する。
ウェッジ1552の形状は、耳垢の塊と外耳道壁の間、または耳垢の塊への螺旋コレクタヘッド1550の挿入を容易にすることができる。螺旋コレクタヘッド1550の螺旋構造は、螺旋コレクタヘッド1550の長さ(長手方向軸)方向に沿った各所の直径を、外耳道の断面の各所に合うように拡大させる(各所の断面が、本質的に無制限である螺旋コレクタヘッド1550の直径以下である場合)。従って、ウェッジ1552の形状は、耳垢(毛、汚れ、残骸、または他の物を含む)の外耳道からの分離を容易にする。
ウェッジ1552の遠位端は、丸みを帯びるか、または面取りされたコーナー1559を有する。コーナー1559の丸みを帯びるかまたは面取りされた形状は、外耳道に対する突き刺し、引掻き、または傷つけを防ぐことができる。
断面E−Eは、螺旋コレクタヘッド1550の長手方向軸に対して垂直であり、一方、断面C−Cは、螺旋コレクタヘッド1550のバネ状構造に対して垂直である。螺旋コレクタヘッド1550のバネ状構造の内向きに細くなる断面が図16Dに図示されている。図16Cは、螺旋コレクタヘッド1550の遠位端の内向きに細くなる断面から、ウェッジ1552の平坦な形状への移行を示している。
従って、放射状に外側を向いている、すなわち外耳道壁の内面に対しているコレクタヘッドの外表面は実質的に平坦である。放射状に内側を向いている、すなわちヘッドアセンブリ1520の長手方向軸に対しているコレクタヘッドの外表面は先細り、エッジ1556となっている。エッジ1556は外耳道から収集した耳垢を取り除くことを容易にすることができる。
ヘッドアセンブリ1520は、単一工程で成形または製造することができる。ヘッドアセンブリ1520の構成は、例えば、シリコーン、セルロース、ポリウレタン、高密度または低密度ポリエチレン(PE)、ポリアミド、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステルシリコーン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性、エラストマー、金属、他の材料、またはそれらの任意の組み合わせによる材料などを含むことができる。
フレキシブル部1560は、ヘッドアセンブリ1520のシャフトの遠位端1522において螺旋コレクタヘッド1550に隣接するように配置される。従って、フレキシブル部1560は、螺旋コレクタヘッド1550が、螺旋コレクタヘッド1550が挿入された外耳道の部分の向きに正確に従うようにすることができる。例えば、フレキシブル部1560は、フレキシブルセグメント1565と実質的に分離された剛性アンカー部1562(フレキシブル部1560が折れ曲げられた場合に、形状を実質的に維持する)を有してよい。
場合によっては、フレキシブルセグメント1565は、例えば横の一方向(ほぼ単軸)にヒンジ式に屈曲可能な薄い接続部である平坦な形状を有してよい。異なるフレキシブルセグメント1565の屈曲方向は互いに異なってよく、異なる向きの軸に対して屈曲することができる(屈曲軸に直交している異なる方向の各面内でフレキシブル部1560の横曲げを可能にする)。例えば、交互になっているフレキシブルセグメント1565は、互いに直交するように(ただし、ヘッドアセンブリ1520の長手方向軸に対して並行となるように)配向されてよい。このような構成は、長手方向軸に直交する任意の方向への横曲げを可能にする。アンカー部1562は、フレキシブルセグメント1565より硬い。例えば、アンカー部1562は、円盤状または他の平坦な形状、すなわちヘッドアセンブリ1520の長手方向軸に対して実質的に垂直に配向された平面を有してよい。
アコーディオンプリーツは、複数の実質的な直線、すなわち実質的な平行列の形状であってもよく、連続螺旋の形状であってもよく、またはこれらの任意の組み合わせであってもよく、任意の方向にシャフトが折り曲がることを可能にする。
螺旋バネはヘッドアセンブリ1520のフレキシブル領域に組み込まれていてもよく、シャフト(例えば、シャフトの内側)に取り付けられていてもよく、シャフト材に埋め込まれていてもよい。バネは、金属、プラスチック、ガラス繊維、炭素繊維、それらの組み合わせ、または当技術分野で公知の任意の他の適切な材料で作られていてよい。プラスチックは、ポリカーボネート、プラスチック複合材料、ポリエーテルイミド樹脂(Ultem)、または当技術分野で公知の任意の他の適切なプラスチックを含んでよい。フレキシブル部1560が変形されなかった場合(例えば、外耳道の屈曲部に挿入されなかった場合)、螺旋バネの長手方向軸は、ヘッドアセンブリ1520および螺旋コレクタヘッド1550の長手方向軸と同一直線上にある。
ヘッドアセンブリ1520、ヘッドアセンブリ1520を組み込んだ耳垢除去装置は、外耳道への耳垢溶解剤の導入なしで用いることができる。ヘッドアセンブリ1520の構造は、硬化した耳垢の除去を可能にする。場合によっては、耳垢除去装置は耳垢軟化剤または耳垢溶解剤が外耳道に導入された後に用いてもよい。そのような場合には、耳垢除去装置は、耳垢軟化剤の貯蔵庫を組み込むこと、または耳垢軟化剤の貯蔵庫に取り付けられることを必要としない。例えば、そのような耳垢除去装置は、耳垢軟化剤の導入から1〜20分後に用いることができる。耳垢軟化剤は、臨床医または他の医療専門家、あるいはボトルまたはバイアルから耳に従来の耳垢軟化液を導入する非専門家である使用者(例えば、耳から耳垢を取り除こうとしている人または他の人)によって外耳道に導入されてよい。非専門家による使用のために構成された耳垢除去装置は、外耳に対する装置の一を保つための制御構造を含んでよい。
図17Aは、螺旋バネ耳垢コレクタを備えた耳垢除去装置を示している。図17Bは、図17Aの耳垢除去装置のコレクタが伸展された状態を示している。図17Cは、図17Bに図示された耳垢除去装置の内部コンポーネントを表す断面図を示している。
耳垢除去装置1600を、非専門家である使用者(例えば、耳から耳垢を取り除こうとしている人または耳垢の除去についての専門的な訓練を受けていない他の人)による使用のために構成することができる。
耳垢除去装置1600は、装置ハウジング1610を備える。ノブ1200または別の形状のハンドルは、装置ハウジング1610の近位端から伸展する。ノブ1200が回転すると、その回転により、スクリュー状の押出し機構1314(withねじ山onシャフト1522)が、螺旋コレクタヘッド1550を装置ハウジング1610の外へと伸展させる。フレキシブル部1550は、使用中に外耳道内において、螺旋コレクタヘッド1550を望まれる方向に保つことを可能とする。
リストリクタ1615およびフィン1620は、装置ハウジング1610に取り付けられる。リストリクタ1615およびフィン1620は、実質的に平坦な翼状の構造を有してよい。リストリクタ1615の外輪郭は、外耳の典型的構造に一致するように構成されよい。従って、リストリクタ1615は外耳の構造とかみ合う。外耳とかみ合うことにより、例えば、螺旋コレクタヘッド1550が外耳道に対して開口部の外でほぼ平行に伸展されるように、装置ハウジング1610の向きが拘束されうる。
頭開部1540を備える装置ハウジング1610の末端には、テーパプラグ形状のストッパ構造1612が設けられている。ストッパ構造1612は、頭開部1540が外耳道内にある場合に、外耳道の開口部外側とかみ合うように構成されている。外耳道の開口部外側とかみ合うことにより、螺旋コレクタヘッド1550が所定距離より外耳道内へさらに挿入されることを防止できる。例えば、所定距離が10〜20mmの範囲、例えば約15mmであることで、頭開部1540から螺旋コレクタヘッド1550を伸展しきった場合に、鼓膜(一般的に、深さが25〜30mmである)から螺旋コレクタヘッド1550まで少なくとも5mm余裕があることを担保する。ストッパ構造1612は、頭開部1540からの距離に応じて増大する直径を有する、先細りの連続したリング状リッジを備えていてよい。先細り構造は、ストッパ構造1612が異なる大きさの外耳道開口部とかみ合うことを担保する
耳垢除去装置1600の使用中は、リストリクタ1615は、耳垢を取り除かれる人の外耳にかみ合う。外耳とかみ合うことで、装置ハウジング1610の外耳および外耳道に対して望ましい方向に維持するような使用において、耳垢除去装置1600を安定させることができる。望ましい方向は、外耳道の総体的な方向とすることができる。従って、装置ハウジング1610から伸展される螺旋コレクタヘッド1550、実質的にその位置における外耳道の総体的な方向に実質的に合わせられる。そのような方向付けは、耳垢の収集、痛みの除去または最小化、外耳道壁の傷つきの防止または低減を容易にすることができる。ストッパ構造1612による摩擦とともにリストリクタ1615は、ノブ1200の回転時の装置ハウジング1610の回転を防止することもできる。装置ハウジング1610は、ノブ1200の動きの制限により螺旋コレクタヘッド1550と鼓膜の安全距離を維持するように構成されていてよい。
フィン1620は、螺旋コレクタヘッド1550の挿入時に使用者が耳垢除去装置1600を掴みまたは保持することを可能とする把持可能なハンドルとして機能する。
図18は、図17Aに図示された耳垢除去装置が耳に挿入された状態を模式的に示している。リストリクタ1615が外耳100に対して載置されている場合、装置ハウジング1610は適切に配置される。そのように配置すると、フィン1620は、使用中に外耳道に対して安定的に載置されうる。
装置ハウジング1610の頭開部1540(図17C)が外耳道の開口部に載置された場合、ノブ1200などのハンドルは回転される(例えば、時計回りに)。ノブ1200が一方向に回転することのみが可能であるようにする機構を提供することができる。例えば、該機構は、回転方向を制限するのに適したラチェット機構または他の機構を備えていてよい。代替でまたは追加で、装置ハウジング1610は、ノブ1200またはシャフト1522の正しい回転方向を示す一つ以上の印を備えていてもよい。
ノブ1200の回転により、頭開部1540から外耳道内へ螺旋コレクタヘッド1550が伸展する。継続して回転させることにより、螺旋コレクタヘッド1550が外耳道内の耳垢にまで伸展する。さらに継続して回転させることにより、螺旋コレクタヘッド1550が外耳道から耳垢を分離し収集する(例えば、螺旋コレクタヘッド1550のループ内または間に)。耳垢を収集後、ノブ1200またはフィン1620は収集された耳垢を有する螺旋コレクタヘッド1550を外耳道内から外へ引き出すことができる。装置ハウジング1610は、処分されるかもしくは空にされる。螺旋コレクタヘッド1550の外耳道への挿入の前に、同時に、もしくは後に、耳垢軟化液または耳垢溶解剤を外耳道内に導入してもよい。
本発明の一実施形態によれば、ウェッジ1552(図16A)を備える螺旋コレクタヘッド1550の先端は、外耳道内で狭窄する直径に適合するように、あるいはたわむか折り曲がりにより外耳道に適合するように構成されていてよい。。フレキシブル部1560は、徐々に折れ曲がるように(例えば、折れ曲がった場合に、一箇所で曲がっているというよりは円弧状に見える)構成することができる。例えば、より屈曲範囲が広くなるように構成される。
図19は、本発明の一実施形態による屈曲可能な先端部を備えた螺旋コレクタヘッドを示している。
螺旋コレクタヘッド1550は、ノッチ1650を備える。ノッチ1650は、螺旋コレクタヘッド1550の遠位端の螺旋ストリップ1551の先端にあるウェッジ1552を螺旋ストリップ1551に対して屈曲可能にする(例えば、内向き、すなわち螺旋コレクタヘッド1550の長手方向軸の方へ)。ウェッジ1552の屈曲は、ウェッジ1552の先端1558が外耳道壁を引掻き、突き刺し、傷つける可能性を低減または排除することが可能である。
フレキシブル部1560は、屈曲性において互いに異なるフレキシブルセグメントを備えることができる(例えば、弾性定数や係数を計測した場合に)。例えば、フレキシブルセグメント1565aの厚さは、フレキシブルセグメント1565bの厚さと異なっていてよい。例えば、フレキシブル部の厚さは、一方の端部からもう一方の端部へと増加していてもよい(例えば、3つ部位の厚さが0.50mm、0.55mm、and0.6mmである)。例えば、最も薄い部分が螺旋コレクタヘッド1550に隣接していてもよい。このような厚さの違いが、柔軟性の違い(例えば、異なる材料や表面形状による)、フレキシブル部1560が折れ曲がった際に、フレキシブル部1560の複数のフレキシブルセグメントが折れ曲がることを担保している。従って、フレキシブル部1560を全長にわたって曲率がゼロではないように緩やかに屈曲させることが可能である(1つのフレキシブルセグメントが折れ曲がり、他のセグメントが実質的に折れ曲がらないということではない)。
ウェッジ1552またはノッチ1650の形状は、ウェッジ1552に与えられる曲げ力が所定のしきい値より大きいで場合に、ウェッジ1552がたわむか折れ曲がるように設計されている。例えば、ノッチ1650の形状や大きさの1つ以上(または1つ以上の追加のノッチ)、ウェッジ1552の大きさや形状、または螺旋コレクタヘッド1550を構成するために選ばれた材料は、特定の曲げ力しきい値を与えるように選択または変更されてよい。曲げ力しきい値は、ウェッジ1552によって外耳道壁に与えられる最大横力と等しいと考えられる。例えば、曲げ力しきい値は、外耳道または外耳道内の耳垢の既知の特性に合わせて選択することができる。
図20A−20Eは、ウェッジおよびノッチの形状の違いを、単一の材料で構成した場合の曲げ力しきい値の低下順に示している。
図20Aは、本発明の一実施形態による螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示している。ウェッジ1552aおよびノッチ1650aは、図20B−20Eに図示されているどの形状の曲げ力しきい値より大きい曲げ力しきい値であるように構成されている。
図20Bは、図20Aに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示している。ウェッジ1552bおよびノッチ1650bの組み合わせは、ウェッジ1552aおよびノッチ1650aの組み合わせに比べて、より容易に折れ曲がる形状となっている。
図20Cは、図20Bに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示している。ウェッジ1552cおよびノッチ1650cの組み合わせは、ウェッジ1552bおよびノッチ1650bの組み合わせに比べて、より容易に折れ曲がる形状となっている。
図20Dは、図20Cに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示している。ウェッジ1552dおよびノッチ1650dの組み合わせは、ウェッジ1552cおよびノッチ1650cの組み合わせに比べて、より容易に折れ曲がる形状となっている。
図20Eは、図20Dに図示された形状に比べ曲げ力しきい値が小さい螺旋コレクタヘッドの遠位端の形状を示している。ウェッジ1552eおよびノッチ1650eの組み合わせ(この場合、二重ノッチ)は、ウェッジ1552dおよびノッチ1650dの組み合わせに比べて、より容易に折れ曲がる形状となっている。
本明細書において、様々な実施形態が開示されている。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせ可能である。従って、従って、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の上述の説明は、例示および説明のために提示されている。網羅的なものではなく、または開示された形態そのものに本発明を限定するものではない。多くの変更、変形、置換、変更、および均等物が上記の教示に照らして可能であることは、当業者によって理解されるべきである。そのため、添付された特許請求の範囲は、本発明の主旨の内に入るすべての修正および変更を含むことを意図していることが理解されるべきである。
本発明の特定の特徴を図示し説明したが、多くの修正、置換、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。そのため、添付された特許請求の範囲は、本発明の主旨の内に入るすべての修正および変更を含むことを意図していると理解されるべきである。