JP2017228403A - 蓄電デバイス用負極材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電容量が大きく、且つ充放電サイクルの容量維持率が高い蓄電デバイス用負極材料の提供。【解決手段】多数の粒子22の集合である粉末からなり、粒子22の材質が、Si、Cr及び元素Xを含むSi系合金であり、Si系合金が、(1)Siが主成分であるSi相、及び(2)化合物相を有しており、化合物相(2)が、(2−1)Si−(Cr,X)化合物相、又は(2−2)Si−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相を含んでおり、数式(I)|RCr−RX|/RCr≦0.2、を満たす蓄電デバイス用負極材料。又、Si系合金におけるCrと元素Xとの合計含有率が5〜30at.%、元素Xの含有率が0.01〜20at.%、元素Xが、Ag、Al、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nb、Ni、Re、V、U、Ta、Ti及びWからなる群から選択された1又は2以上である負極材料。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、全固体リチウムイオン二次電池、ハイブリットキャパシタ等の、充放電時にリチウムイオンの移動を伴う蓄電デバイスの負極に適した材料に関する。
近年、携帯電話機、携帯音楽プレーヤー、携帯端末等が急速に普及している。これらの携帯機器は、リチウムイオン二次電池を有している。電気自動車及びハイブリッド自動車も、リチウムイオン二次電池を有している。さらに、家庭用の定置蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池及びハイブリットキャパシタが用いられている。
リチウムイオン二次電池では、充電時に負極がリチウムイオンを吸蔵する。リチウムイオン二次電池の使用時には、負極からリチウムイオンが放出される。負極は、集電体と、この集電体の表面に固着された活物質とを有している。
負極における活物質として、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス等の炭素系材料が用いられている。しかし、炭素系材料の、リチウムイオンに対する理論上の容量は、372mAh/gにすぎない。容量の大きな活物質が望まれている。
負極における活物質として、Siが注目されている。Siは、リチウムイオンと反応する。この反応により、化合物が形成される。典型的な化合物は、Li22Siである。この反応により、大量のリチウムイオンが負極に吸蔵される。Siは、負極の蓄電容量を高めうる。
Siを含む活物質層がリチウムイオンを吸蔵すると、前述の化合物の生成により、この活物質層が膨張する。活物質の膨張率は、約400%である。活物質層からリチウムイオンが放出されると、この活物質層が収縮する。膨張と収縮との繰り返しにより、活物質が集電体から脱落する。この脱落は、蓄電容量を低下させる。膨張と収縮との繰り返しにより、活物質間の導電性が阻害されることもある。負極がSiを含む従来のリチウムイオン二次電池の寿命は、長くない。
しかも、Siの単体での電気伝導性は、炭素質材料及び金属系材料のそれに比べて低い。従って、Siを含む負極材料では、充放電時の効率が不十分である。
Siを含む負極材料の欠点を改善する提案が、なされている。特開2016−004715公報には、Si又はSnからなるアモルファス金属のクラスター間に、アモルファス合金相が存在する負極材料が開示されている。この負極材料では、Si又はSnの膨張及び収縮を、アモルファス合金相が抑制する。
特開2016−004715公報
特開2016−004715公報に開示された負極材料では、電子又はイオンの移動をアモルファス合金相が阻害する恐れがある。
同様の問題は、リチウムイオン二次電池以外の、様々な蓄電デバイスにおいても、生じている。
本発明の目的は、蓄電容量が大きく、かつ充放電の繰り返しによる蓄電容量低下が抑制された負極が得られる材料の提供にある。
本発明に係る蓄電デバイス用負極材料は、多数の粒子の集合である粉末からなる。この粒子の材質は、Si、Cr及び元素Xを含むSi系合金である。このSi系合金は、
(1)Siが主成分であるSi相
及び
(2)化合物相
を有している。この化合物相(2)は、
(2−1)Si−(Cr,X)化合物相
又は
(2−2)Si−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相
を含む。この負極材料は、下記数式(I)を満たす。
Figure 2017228403
上記数式(I)において、RCrはCrの原子半径を表し、RXは元素Xの原子半径を表す。
好ましくは、このSi系合金におけるCrと元素Xとの合計含有率は、5at.%以上30at.%以下である。
好ましくは、Si系合金における元素Xの含有率は、0.01at.%以上20at.%以下である。
好ましくは、元素Xは、Ag、Al、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nb、Ni、Re、V、U、Ta、Ti及びWからなる群から選択された1又は2以上である。
好ましくは、Si相(1)の結晶子サイズは、10nm以下である。好ましくは、化合物相(2)の結晶子サイズは、20nm以下である。
好ましくは、粉末のBET比表面積は、3.0m/g以上9.0m/g以下である。
本発明に係る材料を含む負極では、蓄電容量が大きい。しかもこの負極では、充放電の繰り返しによる蓄電容量低下が抑制される。
図1は、本発明の一実施形態に係る負極材料が用いられたリチウムイオン二次電池が示された概念図である。 図2は、図1の電池の負極の一部が示された拡大断面図である。 図3は、X線回折パターンが示されたチャートである。 図4は、他のX線回折パターンが示されたチャートである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に概念的に示されたリチウムイオン二次電池2は、槽4、電解液6、セパレータ8、正極10及び負極12を備えている。電解液6は、槽4に蓄えられている。この電解液6は、リチウムイオンを含んでいる。セパレータ8は、槽4を、正極室14及び負極室16に区画している。セパレータ8により、正極10と負極12との当接が防止される。このセパレータ8は、多数の孔(図示されず)を備えている。リチウムイオンは、この孔を通過しうる。正極10は、正極室14において、電解液6に浸漬されている。負極12は、負極室16において、電解液6に浸漬されている。
図2には、負極12の一部が示されている。この負極12は、集電体18と、活物質層20とを備えている。活物質層20は、多数の粒子22を含んでいる。粒子22は、この粒子22に当接する他の粒子22と固着されている。集電体18に当接する粒子22は、この集電体18に固着されている。活物質層20は、多孔質である。
活物質層20を形成する前の多数の粒子22の集合は、粉末である。本発明では、この粉末が、「負極材料」と称される。
粒子22の材質は、Si系合金である。このSi系合金は、Si、Cr及び元素Xを含む。好ましくは、このSi系合金における、Si、Cr及び元素Xの残部は、不可避的不純物である。
このSi系合金は、
(1)Si相
及び
(2)化合物相
を有している。好ましくは、このSi系合金は、Si相(1)と化合物相(2)とのみからなる。
Si相(1)の主成分は、Siである。Siは、リチウムイオンと反応する。従ってこのSi相(1)を含む負極12は、大量のリチウムイオンを吸蔵しうる。Si相(1)は、負極12の蓄電容量を高めうる。蓄電容量の観点から、Si相(1)におけるSiの含有率は50at.%以上が好ましく、60at.%以上がより好ましく、70at.%以上が特に好ましい。
蓄電容量の観点から、合金におけるSiの含有率は50at.%以上が好ましく、60at.%以上がより好ましく、70at.%以上が特に好ましい。合金が、後述されるCr及び元素Xを十分に含有しうるとの観点から、Siの含有率は95at.%以下が好ましく、90at.%以下が特に好ましい。
Si相(1)がSi以外の元素を含んでもよい。Si相(1)が、導電性に優れた元素を含むことが好ましい。導電性に優れた元素を含む合金では、大きな蓄電容量が達成され、かつ優れた電気伝導性が達成される。好ましくは、導電性に優れた元素は、Siに固溶している。
化合物相(2)は、Si−Cr化合物のCrの一部が他の元素で置換された化合物を含む。Si−Cr化合物は、SiとCrとの金属間化合物である。Si−Cr化合物の電気抵抗値は、Siの電気抵抗値よりも小さい。Si−Cr化合物を含む合金は、導電性に優れる。Si−Cr化合物はさらに、充放電時の体積変化によって生じる応力を緩和する。応力の緩和により、Si相の微粉化が抑制され、さらに粒子22の脱落が抑制される。Si−Cr化合物相は、充放電の繰り返しに起因する蓄電容量の低下を抑制する。
SiとCrとは、共晶反応を起こしうる。共晶組織では、Si相及びSi−Cr化合物相が微細である。微細組織では、充放電時の体積変化によっても、Si相の微粉化が生じにくい。
化合物相(2)は、Si−(Cr,X)化合物を含んでいる。Si−(Cr,X)化合物は、Si−Cr化合物のうちのCrの一部が元素Xで置換されたものである。Si−(Cr,X)化合物においても、母構造であるSi−Cr化合物と同様、共晶反応による微細組織が達成されうる。この化合物相(2)において、Si−(Cr,X)化合物は、
(2−1)Si−(Cr,X)化合物相
又は
(2−2)Si−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相
として存在しうる。化合物相(2)が、Si−(Cr,X)化合物相(2−1)と複合相(2−2)との両方を含んでもよい。
元素Xは、下記の数式(I)を満たす。下記の数式(I)において、RCrはCrの原子半径を表し、RXは元素Xの原子半径を表す。
Figure 2017228403
上記数式(I)を満たす負極材料では、元素Xの原子半径RXの、Crの原子半径RCrとの差が、小さい。この元素Xは、Si−Cr化合物のうちのCrと、容易に置換されうる。
元素Xの具体例として、Ag、Al、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nb、Ni、Re、V、U、Ta、Ti及びWが挙げられる。合金が、2種以上の元素Xを含んでもよい。好ましい元素Xは、Co、Ni及びTiである。各元素Xの原子半径RXは、以下の通りである。
Ag:1.44オングストローム
Al:1.43オングストローム
Co:1.25オングストローム
Cu:1.28オングストローム
Fe:1.24オングストローム
Mn:1.12オングストローム又は1.50オングストローム(Mnは多形変態するため)
Mo:1.36オングストローム
Nb:1.43オングストローム
Ni:1.25オングストローム
Re:1.37オングストローム
V:1.32オングストローム
U:1.1.38オングストローム又は1.50オングストローム(Uは多形変形するため)
Ta:1.43オングストローム
Ti:1.47オングストローム
W:1.37オングストローム
なお、Crの原子半径RCrは、1.25オングストロームである。
図3には、Si−Cr化合物及びSi−Cr−Ti化合物のX線回折パターンが示されている。図3から明らかなように、Si−Cr−Ti化合物のXRDピークの角度は、Si−Cr化合物のXRDピークの角度よりも小さい。このチャートより、Crと置換されたTiがXRDピークを低角度方向にシフトさせることが分かる。換言すれば、Crと置換されたTiは、この化合物の結晶面の格子間隔を拡大させる。
本発明では、結晶面の格子間隔dは、Braggの法則に従い、下記数式に基づいて算出される。
2・d・sinθ = n・λ
この数式において、θは結晶面とX線とがなす角度を表し、λはX線の波長を表し、nは整数を表す。
図4には、Si−Cr−Ti化合物及びSi−Cr−Co−Ti化合物のX線回折パターンが示されている。図4から明らかなように、Si−Cr−Co−Ti化合物のXRDピークの角度は、Si−Cr−Ti化合物のXRDピークの角度よりも小さい。このチャートより、Crと置換されたCoがXRDピークを低角度方向にシフトさせることが分かる。換言すれば、Crと置換されたCoは、この化合物の結晶面の格子間隔を拡大させる。
前述の化合物相(2−1)又は複合相(2−2)を有する合金では、元素Xが存在するので、格子間隔が大きい。この合金では、リチウムイオンが移動しやすい。この合金は、導電性に優れる。
格子間隔の観点から、合金における、化合物相(2−1)及び複合相(2−2)の合計量の比率は、30%以上80%以下が好ましい。この比率は、合金の断面の拡大写真における、化合物相(2−1)の面積と複合相(2−2)の面積との合計の、合金の面積に対する比率である。
蓄電容量維持性能の観点から、Si系合金におけるCrと元素Xとの合計含有率は、5at.%以上が好ましく、8at.%以上がより好ましく、10at.%以上が特に好ましい。合金が十分なSiを含有し、従って初期の蓄電容量が大きいとの観点から、この含有率は30at.%以下が好ましい。
導電性の観点から、Si系合金における元素Xの含有率は0.01at.%以上が好ましく、1.0at.%以上が特に好ましい。元素Xが過剰であると、この元素XがCrと置換しきれず、元素Xが単体で析出する。単体での析出が防止されるとの観点から、元素Xの含有率は20at.%以下が好ましく、15at.%以下が特に好ましい。
Si相(1)の結晶子サイズは、10nm以下が好ましい。この結晶子サイズが10nm以下である負極材料では、充放電時の応力に起因する、粒子22の、ひび割れ、電気的孤立及び集電体からの脱落が抑制される。この観点から、この結晶子サイズは7nm以下がより好ましく、5nm以下が特に好ましい。
化合物相(2)の結晶子サイズは、20nm以下が好ましい。この結晶子サイズが20nm以下である負極材料では、化合物相内でリチウムイオンが容易に移動しうる。この観点から、この結晶子サイズは17nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。
結晶子サイズは、X線回折により確認されうる。X線回折では、X線源として波長が1.54059オングストロームのCuKα線が用いられる。測定は、2θが20度以上80度以下である範囲でなされる。得られる回折スペクトルにおいて、結晶子サイズが小さいほど、ブロードな回折ピークが観測される。粉末X線回折分析で得られるピークの半値幅から、下記のScherrerの式が用いられて、結晶子サイズが求められ得る。
D = (K × λ) / (β × cosθ)
この数式において、Dは結晶子サイズ(オングストローム)を表し、KはScherrerの定数を表し、λはX線管球の波長を表し、βは結晶子の大きさによる回折線の拡がりを表し、θは回折角を表す。
Si相及び化合物相の結晶子サイズの制御は、原料の成分の調整によってなされうる。結晶子サイズの制御は、原料粉末を溶解した後の凝固時の冷却速度の制御によっても、なされうる。
粉末のBET比表面積SSは、3.0m/g以上9.0m/g以下が好ましい。この比表面積SSが3.0m/g以上である粉末では、Si系合金が広い面積でリチウムイオンと反応しうる。従ってこの粉末が用いられた負極12では、蓄電容量が大きい。さらに、この比表面積SSが3.0m/g以上である粉末では、充放電時の粒子22の内部と粒子22の表面との応力差が小さい。従ってこの粉末が用いられた負極12では、粒子22の微粉化が抑制され、蓄電容量が維持される。これらの観点から、この比表面積SSは3.5m/g以上がより好ましく、4.0m/g以上が特に好ましい。この比表面積SSが9.0m/g以下である粉末では、粒子22の表面での電解液の分解反応が抑制される。従ってこの粉末が用いられた負極12では、リチウムイオンの減少が抑制され、固体電解質層(SEI)の形成が抑制される。この負極12では、蓄電容量が維持される。この観点から、比表面積SSは8.0m/g以下がより好ましく、7.5m/g以下が特に好ましい。BET比表面積SSは、「JIS Z 8830:2013」の規格に準拠して測定される。
粉末の製造方法として、水アトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法及び遠心アトマイズ法が例示される。これらの方法によって得られた粉末に、メカニカルミリング等が施されてもよい。ミリング方法として、ボールミル法、ビーズミル法、遊星ボールミル法、アトライタ法及び振動ボールミル法が例示される。
好ましい製造方法は、単ロール冷却法、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。以下、これらの製造方法の一例が、詳説される。製造の条件は、下記に記載されたものに限定されない。
単ロール冷却法では、底部に細孔を有する石英管の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。細孔から流出する原料が、銅ロールの表面に落とされて冷却され、リボンが得られる。このリボンが、ボールと共にポットに投入される。ボールの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの中にアルゴンガスが充満され、このポットが密閉される。このリボンがミリングにより粉砕され、粒子22が得られる。ミリングとして、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、アトライタ及び振動ボールミルが例示される。
ガスアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料に、アルゴンガスが噴射される。原料は急冷されて凝固し、粒子22が得られる。
ディスクアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料が、高速で回転するディスクの上に落とされる。回転速度は、40000rpmから60000rpmである。ディスクによって原料は急冷され、凝固して、粉末が得られる。この粉末が、ボールと共にポットに投入される。ボールの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの中にアルゴンガスが充満され、このポットが密閉される。このリボンがミリングにより粉砕され、粒子22が得られる。ミリングとして、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、アトライタ及び振動ボールミルが例示される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
本発明に係る負極材料の効果を、二極式コイン型セルを用いて確認した。まず、表1及び2に示された組成を有する原料を準備した。各原料から、ガスアトマイズ法及びメカニカルミリングにより、粉末を製作した。それぞれの粉末、導電材(アセチレンブラック)、結着材(ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン等)及び分散液(N−メチルピロリドン)を混合し、スラリーを得た。このスラリーを、集電体である銅箔の上に塗布した。このスラリーを、真空乾燥機で減圧乾燥した。乾燥温度は、ポリイミドが結着材である場合は200℃以上であり、ポリフッ化ビニリデンが結着材である場合は160℃以上であった。この乾燥によって溶媒を蒸発させ、活物質層を得た。この活物質層及び銅箔を、ロールにて押圧した。この活物質層及び銅箔を、コイン型セルに適した形状に打ち抜き、負極を得た。
電解液として、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を準備した。両者の質量比は、3:7であった。さらに、支持電解質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を準備した。この支持電解質の量は、電解液1リットルに対して1モルである。この支持電解質を、電解液に溶解させた。
コイン型セルに適した形状のセパレータ及び正極を、準備した。この正極は、リチウム箔から打ち抜いた。減圧下で電解液にセパレータを浸漬し、5時間放置して、セパレータに電解液を充分に浸透させた。
槽に、負極、セパレータ及び正極を組み込んだ。槽に電解液を充填し、コイン型セルを得た。なお、電解液は、露点管理された不活性雰囲気中で取り扱われる必要がある。従って、セルの組み立ては、不活性雰囲気のグローブボックスの中で行った。
上記コイン型セルにて、温度が25℃であり、電流密度が0.50mA/cmである条件で、正極と負極との電位差が0Vとなるまで充電を行った。その後、電位差が1.5Vとなるまで放電を行った。この充電及び放電を、50サイクル繰り返した。初期の放電容量A及び50サイクルの充電及び放電を繰り返した後の放電容量Bを測定した。さらに、放電容量Aに対する放電容量Bの比率(維持率)を算出した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
下記の表1及び2において、No.1−23は本発明の実施例に係る負極材料の組成であり、No.24−33は比較例に係る負極材料の組成である。表1及び2に記載された成分の残部は、Si及び不可避的不純物である。
Figure 2017228403
Figure 2017228403
表2に記載された、元素X以外の添加元素の原子半径は、以下の通りである。
Ge:1.23オングストローム
Mg:1.60オングストローム
Zr:1.62オングストローム
Y:1.82オングストローム
La:1.88オングストローム
表1及び2に記載された数式(I)は、下記の通りである。この数式(I)において、RCrはCrの原子半径を表し、RXは元素Xの原子半径を表す。
Figure 2017228403
表1及び2において、初期放電容量は500mAh/g以上が好ましく、維持率は70%以上が好ましい。
各実施例の負極材料は、粒子の材質が、Si、Cr及び元素Xを含むSi系合金である。この元素Xは、上記数式(I)を満たす。このSi系合金は、Siが主成分であるSi相(1)と、化合物相(2)とを有している。この化合物相(2)は、Si−(Cr,X)化合物相(2−1)、又はSi−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相(2−2)を含んでいる。この負極材料は、本発明の全ての発明特定事項を具備している。
例えばNo.11の負極材料では、初期放電容量が1314mAh/gであって十分に大きい。この負極材料の50サイクル後の放電容量維持率は88%であり、十分なサイクル寿命を有する。
各比較例の負極材料は、本発明の発明特定事項のいずれかを満たしていない。表2において、満たされていない発明特定事項に下線が付されている。
例えば、No.30の負極材料は、Si−Cr化合物相を有していない。この負極材料は、Si−(Cr,X)化合物相を有していない。さらにこの負極材料は、Si−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相を有していない。この負極材料の初期放電容量は、429mAh/gであって、十分ではない。この負極材料の50サイクル後の放電容量維持率は9%であり、サイクル寿命は短い。
以上の評価結果から、本発明の優位性は明かである。
以上説明された負極は、リチウムイオン二次電池のみならず、全固体リチウムイオン二次電池、ハイブリットキャパシタ等の、種々の蓄電デバイスにも適用されうる。
2・・・リチウムイオン二次電池
6・・・電解液
8・・・セパレータ
10・・・正極
12・・・負極
18・・・集電体
20・・・活物質層
22・・・粒子

Claims (6)

  1. 多数の粒子の集合である粉末からなる、蓄電デバイス用負極材料であって、
    上記粒子の材質が、Si、Cr及び元素Xを含むSi系合金であり、
    上記Si系合金が、
    (1)Siが主成分であるSi相
    及び
    (2)化合物相
    を有しており、
    上記化合物相(2)が、
    (2−1)Si−(Cr,X)化合物相
    又は
    (2−2)Si−(Cr,X)化合物とSi−X化合物との複合相
    を含んでおり、
    下記数式(I)を満たす蓄電デバイス用負極材料。
    Figure 2017228403

    (上記数式(I)において、RCrはCrの原子半径を表し、RXは元素Xの原子半径を表す。)
  2. 上記Si系合金におけるCrと元素Xとの合計含有率が5at.%以上30at.%以下である請求項1に記載の負極材料。
  3. 上記Si系合金における元素Xの含有率が0.01at.%以上20at.%以下である請求項1又は2に記載の負極材料。
  4. 上記元素Xが、Ag、Al、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nb、Ni、Re、V、U、Ta、Ti及びWからなる群から選択された1又は2以上である請求項1から3のいずれかに記載の負極材料。
  5. 上記Si相(1)の結晶子サイズが10nm以下であり、上記化合物相(2)の結晶子サイズが20nm以下である請求項1から4のいずれかに記載の負極材料。
  6. 上記粉末のBET比表面積が、3.0m/g以上9.0m/g以下である請求項1から5のいずれかに記載の負極材料。
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