JP2016004715A - 非水電解質二次電池負極活物質 - Google Patents

非水電解質二次電池負極活物質 Download PDF

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雅 松下
英郎 西久保
Hideo Nishikubo
英郎 西久保
西村 健
Takeshi Nishimura
健 西村
俊哉 樋上
Toshiya Higami
俊哉 樋上
中村 健一
Kenichi Nakamura
健一 中村
杉山 聡
Satoshi Sugiyama
聡 杉山
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Noriyoshi Sakurai
紀快 櫻井
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Yu Omigawa
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Abstract

【課題】サイクル特性、容量維持率に優れたリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】Si、Snから選択される金属aのアモルファス金属単相からなるA相と、金属aと、金属aと固溶する金属aと異なる金属bとのアモルファス合金相からなるB相とからなり、B相がA相のクラスター間に存在し、A相の金属aからなる平均クラスター径が0.3〜10nmで、A相の金属aからなるクラスター間平均距離が0.3〜30nmで、A相が、A相とB相との合計質量に対し42〜65質量%存在するリチウムイオン2次電池用負極活物質を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池負極活物質に関し、具体的には、特にサイクル特性、容量維持率に優れたリチウムイオン二次電池を提供する負極活物質に関する。
リチウムイオン2次電池の負極活物質には、従来では黒鉛などの炭素材料からなる粉末が用いられているが、黒鉛は理論容量が372mAh/gと低く、更なる高容量化には限界がある。そのため、黒鉛よりも理論容量の高いSiおよびSi合金の適用が検討され、実用化されている。Siは4000mAh/gを超える理論容量がある。しかし、Siを負極材料として適用する場合、高容量は得られるものの、Liの吸蔵、脱離に伴う体積変化が大きいこと、電解液との副反応が生じることによりサイクル効率が短くなるという課題がある。このような課題を解決するため、種々の試みが行われている。
特許文献1には、微細な結晶粒を構成するSi−Al−M1−M2合金相と、前記結晶粒の粒界に析出して網目状構造を呈するSi相とを有する合金材料にかかる発明が記載されている。
特許文献2には、基材フィルムの表面に、樹脂による剥離層と、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜層とを用いてなる薄膜構造にかかる発明が記載されている。
特開2013−105655号公報 特開2011−65983号公報
しかしながら、特許文献1にかかる発明は、結晶構造を有しており、Siの膨張による異方性を緩和する効果が低い。
また、特許文献2にかかる発明は、結晶構造の有無について記載がなく、さらには膨張収縮の大きい層と、小さい層を別々に積層させているため、後述する本願発明のように1層に膨張収縮の大きい相と小さい相を混在させた場合と比べ、膨張収縮の緩和、それにともなうサイクル特性の向上効果が低い。
上記の課題を鑑みて、出願人は、繰り返しの充放電に伴うSiの体積膨張を抑制し、サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本願発明は、Si、Snから選択される金属aのアモルファス金属単相からなるA相と、
前記金属aと、前記金属aと固溶する金属aと異なる金属bとのアモルファス合金相からなるB相とからなり、
前記B相が前記A相のクラスター間に存在し、
前記A相の金属aからなる平均クラスター径が0.3〜10nmで、
前記A相の金属aからなるクラスター間平均距離が0.3〜30nmで、
前記A相が、前記A相と前記B相との合計質量に対し42〜65質量%存在することを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極活物質に関する。
このような構成をとることにより、A相のSi、Snの膨張収縮をB相が抑え込み、サイクル特性が向上するという顕著な効果を奏する。
また、結晶構造ではなくアモルファス構造であることにより、膨張の異方性をも緩和することができる。
また、A相の金属aからなるクラスター間平均距離は、好ましくは0.3〜20nm、さらに好ましくは0.3〜10nmであることが、シリコン粉末の微細化を抑制できる点から適切である。
また、本願発明は、Si、Snから選択される金属aの金属単相からなるA相と、
前記金属aと、前記金属aと固溶する金属aと異なる金属bとの合金相からなるB相とからなり、
前記負極材料のXAFS(X線吸収微細構造)によるエネルギー曲線が、金属aよりも低エネルギー側にシフトし、TEM(透過型電子顕微鏡)で前記負極材料からなる薄膜を測定すると、ハローパターンのみが検出されることを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極活物質に関する。
この発明は、上記B相がA相に良好に分散している状態を現すものである。B相がA相に良好に分散することにより、さらなるサイクル特性の向上をもたらす。
さらに本願発明は、B相を構成する元素がAl、Y、Pr、Nb、Ti、Zr、Co、Cr、Mn、Fe、V、Hf、Ni、Mo、W、Ta、Re、Osから選択されることを特徴とする、上記リチウムイオン2次電池用負極活物質に関する。
くわえて本願発明は、上記負極活物質を用いてなる負極、ならびに前記負極を用いてなるリチウムイオン2次電池に関する。
本発明により、サイクル特性の向上に寄与するリチウムイオン2次電池用負極活物質およびリチウムイオン2次電池を提供することが可能となった。
本願発明の実施例1にかかる負極活物質材料のSEM像 図1の一部領域のTEM像 実施例1、比較例1のXAFS測定結果
(A相について)
A相は、Si、Snから選択される金属aのアモルファス金属の単相である。
さらに、A相の金属aからなる平均クラスター径は0.3〜10nmであって、またクラスター間平均距離が0.3〜30nmであることが好ましい。
クラスター径が十分に小さいことにより、ホールペッチ効果が得られ、シリコン粉末の微粉化を抑制する効果がある。ここで説明するクラスター径とは、粒子をあらゆる方向に回転させた際に形成する球の直径であり、粒子の最長径または最大長に対応する。具体的には、小角X線散乱(SAXS)、極小角X線散乱(USAXS)や、カットアンドシー(Cut and See)による断面の三次元構築などから算出出来る。そして、平均クラスター径、クラスター間平均距離は、(例:試料の任意の範囲をピックアップし、その中でのクラスター径、クラスター距離を測定し、最下位層5%、最上位層5%を除いた数値の中から平均値をとった値とする。
クラスター間平均距離が30nmを上回ると、充放電に伴うシリコン相の膨張によってシリサイド相が破壊される。その結果、電極塗膜の剥がれによる放電容量の低下を引き起こす。また、クラスター間平均距離は20nm以下、さらには10nm以下であることが好ましい。
ここで、アモルファス構造とは、X線や電子線回折パターンがハローパターンを示す物質の構造を指す。
(B相について)
金属aと、金属aと固溶する金属aとは異なる金属群bとから、B相は構成される。金属群bは、Al、Y、Pr、Nb、Ti、Zr、Co、Cr、Mn、Fe、V、Hf、Ni、Mo、W、Ta、Re、Osなどから選択されることが好ましい。B相も、アモルファス合金相をとることが必要である。
(A相とB相との関係、および状態について)
B相は、A相のクラスター間に存在していることが必要である。
A相のSi、Snの膨張収縮をB相が抑え込むことによって、サイクル特性が向上する。
また、B相がA相間に良好に分散していることが好ましい。
この「B相がA相間に良好に分散している」状態を言い換えると、前記負極材料のXAFS(X線吸収微細構造)によるエネルギー曲線が、金属aよりも低エネルギー側にシフトし、TEM(透過型電子顕微鏡)で前記負極材料からなる薄膜を測定した際にハローパターンのみが検出される状態である。
XAFSによるエネルギー曲線のエネルギーシフトについては、規格化した吸収係数0.5の位置を基準とする。金属が複相になっている場合、金属の単相材料よりも金属の複相材料の方が低エネルギー側にエネルギーがシフトする。つまり、低エネルギー側へのシフトから、複相の形成を確認できる。
また、A相が、A相と前記B相との合計質量に対し42〜65質量%存在していることが好ましい。42質量%を下回ると、電池容量が小さくなってしまう。65質量%を上回ると、Siの膨張効果が大きくなってしまう。
(A相とB相とを有する負極活物質の製造方法)
本願発明にかかるリチウムイオン2次電池用負極活物質の製法としては、特に限定されるべきものではないが、スパッタリングを例にとると、集電体に合金をスパッタ成膜する方法、スパッタ後に成膜された層を剥離して活物質とする方法、粉末にスパッタ成膜する方法などが挙げられる。
スパッタ後に成膜された層を剥離して活物質とする方法、粉末にスパッタ成膜する方法を用いると、作製した電極の単位面積当たりの放電容量を大きく出来る。スパッタでは活物質を積層させていくことが難しいが、剥離した活物質や粉末状の活物質であれば、活物質をスラリー化して積層させていくことが容易であるからである。
(実施例1)
(活物質の製法)
基材となるポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに、グラビアコート法により剥離層となるセルロースアセテートブチレート(CAB)を積層した。剥離層表面に、Si 68at%、Fe 12at%、Al 20at%の合金インゴットを、スパッタにより成膜した。製膜後に剥離層を溶剤で溶かし出し、スパッタにより作成された活物質層を摘出した。この活物質層を遊星ボールミルで粉砕し、目開き20μmのふるいを通して粉末状の負極活物質材料を得た。
なお、この電極断面をSEMで観察したものが、図1、TEM像で観察したものが図2に相当する。図2の観察結果から、各相の偏析がなく微細なSi(A相)が、シリサイド(B相)中に良好に分散していることがわかる。さらに、元素マッピングを行い解析した結果、各相が良好に分散していることが確認された。
(負極の製法)
負極活物質材料64質量部とアセチレンブラック(平均粒径35nm、電気化学工業株式会社製、粉状品)16質量部の比率でミキサーに投入した。さらに結着剤としてスチレン・ブタジエン・ゴム(SBR、日本ゼオン株式会社製、BM400B)固形分換算で5質量部、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC−Na、日本製紙ケミカル株式会社製)固形分換算で15質量部の割合で混合してスラリーを作製した。
調製したスラリーを自動塗工装置のドクターブレードを用いて、厚さ10μmの集電体用電解銅箔(古河電気工業(株)製、NC−WS)上に15μmの厚みで塗布し、100℃で乾燥させた後、プレスによる調厚工程を経た後、330℃で2時間の熱処理工程を経て、非水電解質二次電池用負極を製造した。
(実施例2)
スパッタ用の合金インゴットの組成をSi 27at%、Fe 50at%、Al 23at%とした点以外は、実施例1と同様の製法を使用した。
(実施例3)
スパッタ用の合金インゴットの組成をSi 50at%、Fe 18at%、Al 32at%とした点以外は、実施例1と同様の製法を使用した。
(比較例1)
スパッタ用の金属をSiのみとした点以外は、実施例1と同様の製法を使用した。
(比較例2)
Si 68at%、Fe 12at%、Al 20at%を混合し、溶解
させた後、その溶湯を単ロール急冷装置を用いて急冷して15〜20μm厚の合金箔が得られた。この合金箔を粉砕し、目開き20μmのふるいにかけて粉末状の負極活物質材料を得た。負極の製法は実施例1と同様の方法を用いた。
(比較例3)
比較例2の溶湯組成をSi 27at%、Fe 50at%、Al 23at%とした点以外は、比較例2と同様の製法を使用した。
(負極活物質、およびそれを用いてなる二次電池の評価)
表1に、負極活物質の物性、およびそれを用いてなる二次電池の評価について示す。
項目 マッピングの個数 とは、3次元アトムプローブを用いて検出した元素数を示す。より具体的には、特定のエネルギーのX線の計数率を信号として電子プローブを走査することで、各点からのX線放出量の違いを画像化し、各元素の存在位置をマッピングする手法を用いて測定した元素の個数を示す。
項目 A/(A+B)とは、A相の、A相と前記B相との合計質量に対する割合を示す。3次元アトムプローブの測定結果に基づいて前記割合を決定した。
項目 A相のクラスターサイズ、および項目 A相のクラスター間距離は、
TEM(倍率8万倍以上)の画像データを、画像処理ソフトA像くんを用いて測定した値である。
項目 10回サイクル容量維持率とは、9回充放電を行なった後、10回目の二次電池の放電容量を、初回放電容量で割った値である。具体的には、以下の方法でサイクル特性の評価を行った。
二次電池用負極と、1.3mol/LのLiPFを含むエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの混合溶液にビニレンカーボネートを添加した電解液と、金属Li箔対極を用いてリチウムイオン二次電池を構成し、充放電特性を調べた。特性の評価は、充放電時の放電容量を充電容量で割ったクーロン効率を用いた。
まず、25℃環境下において、電流値を0.1C、電圧値を0.02V(vs.Li/Li)まで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値0.1Cの条件で、電圧が1.5V(vs.Li/Li)となるまで放電を行った。なお、1Cとは、1時間で満充電できる電流値である。また、充電と放電はともに25℃環境下において行った。次いで、0.1Cでの充放電速度で上記充放電を10サイクルまで繰り返した。
項目 スポットの有無の「スポット」とは、電子線回折測定(TEM)で結晶構造解析を行った際の結果を基準として判断した時に、回折パターンで対称性を持つピークがある場合を指す。
項目 XAFSのエネルギーシフトとは、規格化した吸収係数0.5の位置を基準とした場合、エネルギー値が低エネルギー側へシフトしていることを指す。図3に実施例1と比較例1とを比較したXAFS測定結果を示す。実施例1の薄膜が、金属(Si)のみの薄膜である比較例1よりも約0.3eVほど低エネルギー側にシフトしていることがわかる。
項目 ハローパターンとは、液体と同様にX線や電子線回折パターンとして明瞭な回折線は認められず輪郭のぼけた回折像しか得られないことを指す。したがって、ハローパターンの有無が、結晶構造の有無、即ちアモルファス構造の有無を表す指標となる。
表1から明らかな通り、実施例1〜3は、金属aの金属単相からなるA相と、前記金属aと、前記金属aと固溶する金属aと異なる金属bとの合金相からなるB相が存在し、かつ、B相がA相に良好に分散していることがわかる。
上記の負極活物質を用いた二次電池は、容量維持率が向上していた。
これに対して、Siのみの相である比較例1は、容量維持率が低かった。これは、B相が存在しないためにA相の膨張収縮をすることが困難であったためと考えられる。比較例2は、A相、B相が形成され実施例1とA相とB相の割合が同じである。しかし、A相のクラスターサイズが5μmより大きいため、A相の膨張収縮の程度が実施例1よりも大きい。また、A相のクラスター間距離も5μmより長いため、A相の膨張収縮を緩和するB相が大きくなるが、B相が大きくなることの効果は見られなかった。比較例3は、A相、B相が形成され実施例2とA相とB相の割合が同じである。しかし、A相のクラスターサイズが5μmより大きいため、A相の膨張収縮の程度が実施例2よりも大きい。また、A相のクラスター間距離も5μmより長いため、A相の膨張収縮を緩和するB相が大きくなるが、B相が大きくなることの効果は見られなかった。
比較例2,3は実施例1〜3と異なりスポットが検出され、XAFSのエネルギーシフトが確認できなかった。マッピングの結果、実施例1,2と比較例2,3の元素比は同じであったが、A相のクラスターサイズ、A相のクラスター間距離、ハローパターン、スポットの有無、エネルギーシフトの有無、に違いがあった。したがって、所定の大きさのA相、B相が良好に分散し、アモルファス化していることが容量維持率に影響していると考えられる。
1………負極活物質材料
3………図2での観察部位

Claims (7)

  1. Si、Snから選択される金属aのアモルファス金属単相からなるA相と、
    前記金属aと、前記金属aと固溶する金属aと異なる金属bとのアモルファス合金相からなるB相とからなり、
    前記B相が前記A相のクラスター間に存在し、
    前記A相の金属aからなる平均クラスター径が0.3〜10nmで、
    前記A相の金属aからなるクラスター間平均距離が0.3〜30nmで、
    前記A相が、前記A相と前記B相との合計質量に対し42〜65質量%存在することを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極活物質。
  2. 前記A相の金属aからなるクラスター間平均距離が0.3〜20nmであることを特徴とする、請求項1記載のリチウムイオン2次電池用負極活物質。
  3. 前記A相の金属aからなるクラスター間平均距離が0.3〜10nmであることを特徴とする、請求項1または2記載のリチウムイオン2次電池用負極活物質。
  4. Si、Snから選択される金属aの金属単相からなるA相と、
    前記金属aと、前記金属aと固溶する金属aと異なる金属bとの合金相からなるB相とからなるリチウムイオン2次電池用負極活物質であって、
    前記負極活物質のXAFS(X線吸収微細構造)によるエネルギー曲線が、金属aよりも低エネルギー側にシフトし、かつ、TEM(透過型電子顕微鏡)で前記負極材料からなる薄膜を測定すると、ハローパターンのみが検出されることを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極活物質。
  5. B相を構成する元素がAl、Y、Pr、Nb、Ti、Zr、Co、Cr、Mn、Fe、V、Hf、Ni、Mo、W、Ta、Re、Osから選択されることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載のリチウムイオン2次電池用負極活物質。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の負極活物質を用いてなることを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極。
  7. 請求項6記載の負極を用いてなることを特徴とするリチウムイオン2次電池。
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