JP2017227109A - 遮音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低周波から高周波まで幅広い周波数領域に対する遮音効果を発揮することができる遮音構造体1を提供する。【解決手段】 遮音構造体1は、板状体2と、板状体2の内面20の一部または全部に接触して加圧する加圧体としての袋体3と、袋体3を挟んで板状体2と対向して配置された保持体としての網体4と、を含む。網体4は、袋体3が板状体4を加圧した反力に抗して袋体3を所定位置に保持する。網体4は、複数の貫通孔を有する。袋体3は、内部に封入された気体の圧力によって板状体2を加圧する。袋体3が板状体2を加圧することで、少なくとも10Hz〜40Hzの周波数領域における遮音性能を発揮する剛性を板状体2に付与する。【選択図】図1

Description

本発明は、低周波から高周波までの遮音効果を発揮することができる遮音構造体に関する。
一般に、道路や鉄道用トンネルの掘削土木工事においては、掘削時に発生する機械の振動音や発破作業時に発生する発破音など騒音が頻繁に発生する。このとき発生する騒音は、現場の作業員や近隣の住民等に多大な不快感を与えるとともに、また健康に対する悪影響を及ぼす。このため、トンネル土木工事を行う際には十分な遮音対策が必要となる。
そこで、上述した問題の解消を図るものとして、軽量化を図りながらも従来の平板状の遮音構造体よりも優れた遮音効果が得られる遮音構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この遮音構造体は、半球状の内部に空気を封入した気泡体が可撓性シートの片面に多数形成されてなる遮音シートを、気泡体を内側とした配置で渦巻き状に巻回して円柱形状としたシートロールを複数備え、これらシートロールを、一面が開口し、且つ他面が格子形状となった保持枠の内部に並べて収容し、格子状の押え枠を、前記各シートロールに圧縮力を付与しながら保持枠の他面に固定した構成になっている。
また、軽量化と安価に製作できる構成とを有しながら入射音波の広範な周波数領域に対して優れた遮音効果を得ることができる遮音構造体が提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。この遮音構造体は、可撓性を有する薄いフィルム状素材により密閉袋状に形成された遮音部材と、多数の開口を有し且つ所定の内部体積を有する偏平な箱状に形成されて遮音部材が内包された保形枠体と、遮音部材の内部に封入された気体の圧力をほぼゼロから遮音部材の一部が保形枠体の各開口内に膨出する圧力までの範囲で可変するよう制御する圧力制御ユニットとを備えている。
しかしながら、これらの優れた遮音効果を有する遮音構造体にあっても低周波から高周波までの幅広い周波数領域に対する遮音効果をさらに向上させることが望まれている。
特許第4649650号公報 特開2012−122236号公報 特開2013−195729号公報
本発明は、低周波から高周波まで幅広い周波数領域に対する遮音効果を発揮することができる遮音構造体を提供することを目的とする。
[適用例1]
本適用例に係る遮音構造体は、
板状体と、
前記板状体の一方の面の一部または全部に接触して加圧する加圧体と、
前記加圧体を挟んで前記板状体と対向して配置された保持体と、
を含み、
前記保持体は、前記加圧体が前記板状体を加圧した反力に抗して前記加圧体を所定位置に保持することを特徴とする。
本適用例に係る遮音構造体によれば、低周波から高周波まで幅広い周波数領域に対する遮音効果を発揮することができる。
[適用例2]
本適用例に係る遮音構造体において、
前記加圧体は、一または複数の袋体を含み、
前記保持体は、複数の貫通孔を有し、
前記袋体は、内部に封入された気体の圧力によって前記板状体を加圧することができる。
本適用例に係る遮音構造体によれば、袋体を用いることで施工性に優れる。また、袋体を挟んで板状体と対向して配置された保持体が複数の貫通孔を有することから、二層の板状体とその間の空気層で構成される二重壁構造において生じる低・中周波数の共鳴に起因する遮音性能の低下を防ぐことができる。
[適用例3]
本適用例に係る遮音構造体において、
前記袋体は、細長い中空体であり、
複数の前記袋体が前記板状体の前記面に沿って配置されることができる。
本適用例に係る遮音構造体によれば、袋体を細長い中空体とすることで、複数の袋体を板状体の面に沿って配置する際の施工性に優れる。
[適用例4]
本適用例に係る遮音構造体において、
前記板状体は、鉄製であり、
前記袋体は、ゴム製であり、
前記保持体は、金属製であることができる。
本適用例に係る遮音構造体によれば、鉄製の板状体によって質量則による遮音効果を得ることができ、ゴム製の袋体を金属製の保持体及び板状体に押し付けることで剛性則による遮音効果を付加することができる。また、本適用例に係る遮音構造体によれば、袋体をゴム製とすることで質量を大きくすることができるため質量則による遮音効果も得ることができる。金属製の保持体及び板状体を用いることで厚みのあるゴム製の袋体を押し付けても保持体及び板状体の変形を抑えることができるため、袋体の気体の圧力を効率よく板状体の剛性向上に繋げることができる。
[適用例5]
本適用例に係る遮音構造体において、
前記加圧体が前記板状体を加圧することで、少なくとも10Hz〜40Hzの周波数領域における遮音性を発揮する剛性を前記板状体に付与することができる。
本適用例に係る遮音構造体によれば、加圧体が前記板状体を加圧して所定の剛性を板状体に付与することで10Hz〜40Hzの周波数領域における遮音性を発揮することができる。
[適用例6]
本適用例に係る遮音構造体において、
前記保持体は、鉄線、鋼線または棒鋼を交差して配列し、それらの交点を接続して格子状にした、金網を含むことができる。
本適用例に係る遮音構造体によれば、建築用の線材による金網を用いることができる。
本発明の遮音構造体は、低周波から高周波まで幅広い周波数領域に対する遮音効果を発揮することができる。
本実施形態に係る遮音構造体の縦断面で示す側面図である。 本実施形態に係る遮音構造体の正面図である。 本実施形態に係る遮音構造体の袋体内に圧力を加える前の縦断面で示す側面図である。 変形例1に係る遮音構造体の正面図である。 実施例1及び比較例1〜4の測定を行った音響実験室の平面図である。 実施例1の測定状況を示す無響室側からみた写真である。 実施例1及び比較例1〜4の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。 実施例1,2及び比較例1の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。 実施例3及び比較例5の測定を行った音響実験室のコンクリート壁と開口を残響室側からみた写真である。 実施例3の測定状況を示す残響室側からみた写真である。 実施例3及び比較例5の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。 変形例2に係る遮音構造体の正面図である。 変形例3に係る遮音構造体の正面図である。 実施例5の測定状況を示す残響室側からみた写真である。 実施例6の測定状況を示す残響室側からみた写真である。 実施例4,5,6及び比較例6の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本実施形態に係る遮音構造体は、板状体と、前記板状体の一方の面の一部または全部に接触して加圧する加圧体と、前記加圧体を挟んで前記板状体と対向して配置された保持体と、を含み、前記保持体は、前記加圧体が前記板状体を加圧した反力に抗して前記加圧体を所定位置に保持することを特徴とする。
1.遮音構造体
図1〜図3を用いて本実施形態に係る遮音構造体1について説明する。図1は本実施形態に係る遮音構造体1を縦断面で示す側面図であり、図2は本実施形態に係る遮音構造体1の正面図であり、図3は本実施形態に係る遮音構造体1の袋体3内に圧力を加える前の縦断面で示す側面図である。
図1に示すように、遮音構造体1は、板状体2と、板状体2の一方の面(図1では内面20)の一部または全部に接触して加圧する加圧体としての袋体3と、袋体3を挟んで板状体2と対向して配置された保持体としての網体4と、を含み、網体4は、袋体3が板状体2を加圧した反力に抗して袋体3を所定位置に保持することを特徴とする。
ここで、遮音効果の剛性則と質量則について説明する。一般に遮音構造体に用いられる平板の一次固有振動数以下の周波数領域においては、平板自体の剛性に対応して遮音効果が律則される剛性則と称される法則に依存するとともに、平板の一次固有振動数以上の周波数領域においては、平板自体の質量に対応して遮音効果が律則される質量則に依存する。
一般的な遮音構造体の平板では、その一次固有振動数が数十Hz以下であるため、大部分の可聴音周波数領域において、遮音効果が質量則に依存する。この質量則によると、遮音構造体の面密度(単位面積当たりの質量)が大きいほど遮音構造体が振動し難く、遮音構造体の入射音波に対する遮音効果が高くなる。
逆に、一般的な遮音構造体の平板を重くするだけでは、その一次固有振動数以下の周波数領域における遮音性が剛性則に依存するため、遮音効果の向上を期待できない。
遮音構造体1は、板状体2を用いて質量則により板状体2の一次固有振動数以上の周波数領域における遮音効果を得ると共に、袋体3を網体4及び板状体2に押し付けることにより袋体3が板状体2を加圧することで剛性則により板状体2の一次固有振動数以下の周波数領域における遮音効果を得る。すなわち、遮音構造体1によれば、低周波から高周波まで幅広い周波数領域に対する遮音効果を発揮することができるのである。例えば、遮音構造体1を構造物の開口6に設けられる扉に適用することで、扉の軽量化と薄型化が可能となる。すなわち、従来のように、低周波数領域の遮音効果を得るために高剛性の素材を用いると扉が重くなる傾向があり、また、軽量化のために二重壁構造を採用すると共鳴を避けるための幅の広い空気層が必要になるが、遮音構造体1であれば、袋体3は比較的軽量で、しかも共鳴を避けるための広い幅も不要であるため、扉の軽量化と薄型化が可能となる。また、袋体3を挟んで板状体2と対向して配置された保持体としての網体4が複数の貫通孔を有することから、従来のような二層の板状体とその間の空気層で構成される二重壁構造において生じる低・中周波数の共鳴に起因する遮音性能の低下を防ぐことができる。
図1及び図2に示すように、板状体2は、平板であり、板状体2の内面20及び外面22が設備機械室などの構造物の開口6に設けられる扉や壁を塞ぐ面積を有する。また、複数枚の板状体2を組み合わせて開口6を塞いでもよい。
板状体2は、鉄製であることができる。鉄製の板状体2によって質量則による遮音効果を得ることができる。板状体2は、厚さを厚くすることで質量則による所望の遮音効果を得ることができる。また、鉄であれば経済的にも有利である。なお、板状体2は、鉄製に限らず、所望の質量を得ることができれば他の金属であってもよい。また、板状体2は、袋体3の圧力による変形に耐えるように、特別な補強構造を用いれば、石膏ボード、ガラス、木製板(例えば合板)などであってもよい。特別な補強構造としては、石膏ボードの場合には建築用鋼製下地材(例えばJIS A 6517)など、ガラスの場合には強化ガラスや網入りガラスなどを用いることができる。
加圧体としての袋体3は、板状体2の一方の面である内面20の一部または全部に接触して加圧する。図1では袋体3はほぼ内面20の全部に接触しているが、板状体2の剛性
を向上できれば一部だけ接触していてもよい。袋体3は、板状体2と対向して配置される板状体側側面30と、網体4と対向して配置される網体側側面32と、板状体側側面30と網体側側面32とを全周で接続する周縁部34と、を含む。板状体側側面30と網体側側面32と周縁部34とで構成される袋体3の内部空間は気体を封入することができる。袋体3は、例えば網体側側面32に内部に気体を送り込むための逆止弁のついた図示しない注入口をさらに含む。注入口は、網体4側にあって、ポンプ等に接続されたチューブが着脱自在である。
本実施形態では加圧体として袋体3を用いたが、板状体2の剛性を向上して低周波領域における遮音性能が得ることができれば、袋体3に限られない。例えば、板状体2を加圧することができる油圧ジャッキなどでもよい。
図2では、板状体側側面30は、内部に封入された気体の圧力によって膨らんだ状態で、板状体2の内面20の略全体に押し付けられて密着する。袋体3は、内部の気体の圧力によって変形可能な柔軟性を備える材質である。板状体側側面30及び板状体側側面30が押し付けられた板状体2は、気体の圧力による変形に抗することにより、剛性が向上する。袋体3を用いることにより、施工性に優れる。具体的には、袋体3は、油圧ジャッキなどに比べると比較的軽量で取り扱いやすく、内圧を下げれば板状体2と網体4との間で所望の位置へ容易にずらして移動することができるからである。また、袋体3は内圧を上げることで板状体2に接触するため、接触面における袋体3の取り付け精度もあまり厳しい制約を受けないからである。
網体側側面32は、内部に封入された気体の圧力によって膨らんだ状態で、網体4に押し付けられて網体4の貫通孔である網の目の部分から網体4の外側へ膨らむように変形する。網体4の網の目の部分で外側へ膨らんだ網体側側面32の部分は、延ばされることで剛性が高くなる。この剛性によって、剛性則による遮音効果を得ることができる。袋体3は、このような変形によって剛性が得られる材質を採用できる。
袋体3は、ゴム製であることができる。ゴム製の袋体3を網体4及び板状体2に押し付けることで剛性則による遮音効果を得ることができる。袋体3がゴム製であることで、容易に質量を大きくすることができるため質量則による遮音効果も得ることができる。また、袋体3がゴム製であることで、耐候性に優れることができ、また、トンネル内の発破による飛石が当たっても破裂しにくい。特に、袋体3がゴム製であることにより、内部の気体の圧力によって袋体3が膨らんで網体4及び板状体2に密着することで擬似的に一体化する。ゴム製の袋体3が柔軟に変形しながら板状体2に板状側側面30の全面が密着するため、板状体2の内面20の凹凸もあまり厳格に考慮しなくても所望の効果を得ることができる。一体化した遮音構造体1は、気体の圧力により全体が引張力や押圧力を受けて剛性が向上する。
ここで、ゴム製とは、ゴム単体だけでなく、公知の補強布にゴムシートを貼り付け又は液状ゴムを塗布乾燥して得られるものも含み、例えばゴムと布織物との複合材であるいわゆるゴム引布を含む。補強布としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、綿などの織布が挙げられる。
袋体3に用いるゴムは、例えば、JIS K6404−3の引張試験における、引張強さが1470(N/3cm)以上であることができ、伸びが15%〜40%であることができる。また、袋体3に用いるゴムは、JIS K6404−4の引裂試験における引裂き強さが例えば147N以上であることができる。
ゴム製の袋体3は、JIS K64064−2−3で測定した厚さが例えば0.9mm
〜2mmであることができる。袋体3の厚さを0.9mm以上とすることで破裂しにくい丈夫なものとすることができる。袋体3の厚さを2mm以下とすることで市販されているゴムシートを用いて安価に製造することができる。また、ゴム製の袋体3は、JIS K6404−2−1で測定した重さが例えば1100g/m〜1500g/mであることができる。
ゴム製以外の袋体3としては、例えば、合成樹脂製の中空体であってもよい。ゴムに比べて柔軟性に劣るもののゴムよりも軽量化が可能である。
網体4は、袋体3を挟んで板状体2と対向して配置される。網体4は、複数の貫通孔として網の目を有する。網体4は袋体3の網体側側面32に接触し、複数の網の目の中で袋体3が膨出する方向に気体の圧力が作用することで網体側側面32の剛性を向上させる。また、網体4自身も袋体3に押されることで剛性が向上する。本実施形態では保持体として網体4を用いる例について説明するが、保持体の形態は網体4に限るものではなく、複数の開口を有する他の形態であってもよい。保持体は、袋体3が板状体2を加圧した反力に抗して袋体3を所定位置に保持する。袋体3が板状体2を加圧した反力によって保持体が変形することで、袋体3が板状体2を所望の圧力で加圧できなくなることを防ぐためである。保持体を網体4にすることで網の目の中で袋体3の一部が膨出し、袋体3との内面20に沿った方向における袋体3の移動も制限することもできる。保持体は、袋体3を膨らませた際に袋体3の変形を抑えることで、袋体3を含む遮音構造体1全体の剛性を高める効果も有しており、例えば、金属板の全体に多数の貫通孔を設けたパンチングメタルを採用することができる。パンチングメタルを採用する場合には、下記の網の目のサイズの貫通孔を全体に配置することができる。網体4における保持体としての機能としては、袋体3を含む遮音構造体1全体の剛性を高めることの他、袋体3が膨らんで押し付けられても網体4の形態を保持して遮音構造体1の外観を保つことにもある。パンチングメタルの保持体を用いることで、遮音構造体1の外観の意匠性が向上し、仕上げ材としての機能をも有する。
網体4は、金属製であることができる。金属製の網体4を用いることで比較的厚みのあるゴム製の袋体3を押し付けても網体4の変形を抑えることができる。網体4が袋体3の押し付け力によって大きく変形すると、網体側側面32が所望の剛性を得ることができず、板状体2及び板状体側側面30も所望の剛性が得られない。
網体4は、鉄線、鋼線または棒鋼を交差(例えば直交)して配列し、それらの交点を接続して格子状にした、金網を含むことができる。網体4は、建築用の線材による金網を用いることができる。建築用の線材を用いることで、市場で所望(袋体3の押圧力に合わせて)の強度等を有する線材の入手が容易となる。ここで鉄線は、低炭素鋼の軟鋼を原料とした線材であり、JIS G3505に規定する軟鋼線材を用いた線材である。鉄線としては、例えば、JIS G3532で規定されるSWM−P,SWM−C,SWM−R及びSWM−Iに適合する鉄線の他、JIS G3542の亜鉛めっき鉄線などの各種被覆をした鉄線を用いることができる。また、鋼線は、炭素鋼線または合金鋼線を原料とした線材であり、JIS G3505の軟鋼線材以外の線材(JIS G3506の高鋼線材、JIS G4308のステンレス鋼線材など)である。鋼線としては、例えば、JIS
G3521で規定される高鋼線などを用いることができる。棒材は、JIS G3112のSR235,SR295,SD295A,SD295B及びSD345に適合した棒鋼を用いることができる。このような線材を用いた金網は、鉄線を直交して配列し、それらの交点を電気抵抗溶接して格子状にした溶接金網(JIS G3551)、棒鋼を直交して配列し,それらの交点を電気抵抗溶接して格子状にした鉄筋格子(JIS G3551)を用いることができる。網体4は、金網を部分的に補強する高剛性の部材を含んでもよい。例えば、金属製の管体などを補強材として用いてもよい。また、網体4は、上記の
ような線材に限らず、単管などを格子状に接合してもよい。
網体4は、縦線40と横線42とを有し、縦線40と横線42とは交差する部分で溶接されて一体化している。縦線40と横線42の剛性が高いことが望ましい。袋体3の外側への変形に耐えるためである。また、網体4は、溶接により一体化することにより、剛性を向上することが望ましい。袋体3に内圧をかけた際に、網体4の各目における袋体3が均等に剛性を発揮するためである。網体4の網目寸法(隣り合う線の中心間の距離)は、50mm〜100mmであることが好ましい。網目寸法が50mm以上であると市販されている溶接金網や鉄筋格子を用いることができ、網目寸法が100mm以下であれば網目で形成される高剛性の袋体3を得ることができる。網体4の線径は2.6mm〜5.0mmであることが好ましい。線径が2.6mm以上であれば袋体3の圧力に耐えることができ、5.0mm以下であれば市販されている溶接金網や鉄筋格子を用いることができる。
板状体2と網体4との間隔Dは、袋体3を収納することができる幅を有している。この間隔Dとしては、40mm〜60mmであることが好ましく、例えば50mmが好ましい。この間隔Dが40mm以上であれば袋体3の厚さを確保することができ、60mm以下であれば袋体3を短時間で膨らませることができる。
枠体5は、板状体2の外形に沿った形状を有している。枠体5は、開口6の内側に沿って配置され、上枠50、下枠52、右枠54、左枠56とからなる。枠体5は、袋体3の周縁部34の周りを覆うように配置され、一端が板状体2の内面20に固定されて他端が網体4側に突出し、その他端が網体4の周縁を固定する。枠体5は、袋体3が膨らんでも変形しない剛性を有する。
加圧体としての袋体3が板状体2を加圧することで、少なくとも10Hz〜40Hzの周波数領域における遮音性を発揮する剛性を板状体2に付与することができる。剛性則により、実験の結果少なくとも10Hz〜40Hzにおける遮音性が特に向上したからである。袋体3の内部に封入される気体の圧力は、板状体2、網体4及び袋体3に、少なくとも10Hz〜40Hz、好ましくは10Hz〜250Hzの周波数領域における遮音性を発揮する剛性を付与することができる程度に調整することができる。袋体3内の気体の圧力が板状体2、網体4及び袋体3に所定の剛性を付与することで10Hz〜250Hzの周波数領域における遮音性を発揮することができるからである。後述の実施例3では、板状体2、網体4及び袋体3に剛性を付与することにより10Hz〜60Hzの低周波に対する効果を証明し、実施例1及び2においても100Hz〜250Hzに効果があることを証明した。また、実施例1及び2では125Hzから100Hzへ向かって挿入損失が大きくなる傾向がみられることから、100Hz以下であっても当然に遮音効果が見込めることが理解できる。
図3に示すように、袋体3は、内部に空気を注入する前は網体4に網体側側面32を押し付けていない。袋体3に図示しない注入口から圧縮空気を注入し、袋体3の内部の圧力を高めることにより、袋体3が外側に膨らむように変形し、図1に示すような状態となる。袋体3の内部に注入する気体は、空気であることが安価で好ましいが、他の気体例えば窒素などの不活性ガスを用いてもよい。
2.変形例1
図4を用いて変形例1に係る遮音構造体1aについて説明する。図4は変形例1に係る遮音構造体1aの正面図である。なお、図4において、図1〜図3と同じ構成には同じ符号を用いて示し、重複する説明は省略する。
図4は、構造物がトンネル12であり、その開口6aを遮音組立体12が閉鎖している
。遮音組立体12は、複数の遮音構造体1aを組み合わせて構成されている。複数の遮音構造体1aの一部が扉としての機能を有し、他の遮音構造体1aが壁としての機能を有する。図4ではトンネル10の内側からみた正面図である。例えば、遮音構造体1aの一部に出入り口が設けられる場合には、その出入り口には別の遮音構造を用いてもよい。
各遮音構造体1aの基本構造は、図1〜図3で説明した遮音構造体1と同じであり、開口6aの外側にあって図示しない板状体と、板状体の一方の面の一部または全部に接触して加圧する加圧体としての袋体3と、袋体3を挟んで板状体と対向して配置された網体4とを含む。図4における遮音構造体1aの全面に設けられた格子状の部分が網体4であり、その格子状の網体4の網の目の内側に見える部分が袋体3である。
開口6aの周縁に沿って配置されている遮音構造体1aの枠体5aは、開口6aの形状に合わせて円弧状の部分を有する。したがって、枠体5aに固定される網体4も同様に円弧状の部分を有する。また、網体4の内側に保持されている袋体3も円弧状の部分を有することが好ましい。しかしながら、ゴム製の袋体3を開口6aの形状に合わせて成形することは経済的でないため、枠体5aに収まる大きさであって正面から見て長方形の袋体3を用いてもよい。正面視で長方形の袋体3を用いると枠体5aとの間に隙間が生じるが、トンネル10のような巨大な構造物の開口6aの場合には許容できる範囲である。なお、このような隙間には、小さいサイズの袋体3をさらに配置してもよい。すなわち、1つの枠体5aの中に、大きさの異なる複数の袋体3を配置してもよい。
3.変形例2
図12を用いて変形例2に係る遮音構造体1bについて説明する。図12は変形例2に係る遮音構造体1bの正面図である。なお、図12において、図1〜図3と同じ構成には同じ符号を用いて示し、重複する説明は省略する。
図12は、開口6を遮音構造体1bが閉鎖している。遮音構造体1bは、図1〜図3に示した袋体3の代わりに正面視で開口6よりも小さな面積を有する袋体3aを用いている点で相違し、また、網体4の外側に補強体45,45を備える点で相違する。
袋体3aは、正面視における網体側側面32aの面積が板状体2の内面20の面積の例えば1/4程度である。袋体3aは、内面20の中心付近に配置されて、内部に空気を充填して板状体2と網体4との間の所定位置に保持される。袋体3aは、後述する実施例4の結果から図1〜図3のように内面20の全面に袋体3が接触するものとほぼ同等の遮音性能を有することがわかっている。袋体3aは板状体2の内面20の一部に接触して加圧するものであってもよく、袋体3aが板状体2の内面20と接触する面積は少なくとも内面20の1/4以上であることが好ましい。
補強体45,45は、その両端を開口6の上端及び下端に固定された網体4を部分的に補強する高剛性の部材である。補強体45,45は、例えば金属製の管体であることができ、建築に用いるいわゆる単管などでもよい。補強体45,45は、袋体3aに対して網体4の外側にあり、袋体3aが膨らんだ際に網体4が外側へ変形することを防止する。袋体3aが板状体2を加圧する力を低下させないためである。
このように、正面視における袋体3aの面積が板状体2の内面20の面積よりも小さい場合であっても、袋体3aの加圧力によって板状体2に遮音性を発揮する剛性を付与することができる。
4.変形例3
図13を用いて変形例3に係る遮音構造体1cについて説明する。図13は変形例3に
係る遮音構造体1cの正面図である。なお、図13において、図1〜図3と同じ構成には同じ符号を用いて示し、重複する説明は省略する。
図13は、開口6を遮音構造体1cが閉鎖している。遮音構造体1cは、図1〜図3に示した遮音構造体1における袋体3の代わりに正面視で開口6よりも小さな面積を有する袋体3bを複数用いている点で相違し、また、網体4の外側に補強体45,45を備える点で相違する。
袋体3bは、細長い中空体である。袋体3bの長さは開口6の幅とほぼ同じである。袋体3bの長さは開口6の大きさや袋体3bの本数や配置に合わせて設定できる。袋体3bの正面視における網体側側面32bの面積は、板状体2の内面20の面積の1/15程度である。袋体3bは、開口6の幅方向を長手方向として、隣り合う袋体3aと間隔をあけて、内面20に沿って複数本(例えば6本)並べて配置される。このような袋体3bの間隔を設けなくてもよい。袋体3bは、内面20に沿って配置されて、内部に空気を充填することで板状体2と網体4との間の所定位置に保持される。袋体3bは、後述する実施例5の結果から図1〜図3のように内面20の全面に袋体3bが接触するものと少なくとも10Hz〜40Hzにおいてはほぼ同等の遮音性能を有することがわかっている。
このように、袋体3bを内面20に沿って複数並べて配置することで、袋体3bの加圧力によって板状体2に遮音性を発揮する剛性を付与することができる。
袋体3bとしては、例えば、コンクリート打継に用いる円筒状のエアーフェンス(東邦建材社製)等を用いることができる。既製品を用いることで施工コストを下げることができるからである。
長さの異なる袋体3bを組み合わせることにより、板状体2(開口6)の形状に柔軟に対応できる。例えば、図4のような開口6aであっても、曲線に合わせて長さの異なる袋体3bを並べれば、板状体の全体に袋体3bを配置することができる。
[実施例1,実施例2]
実施例1及び実施例2の遮音構造体1は、図1及び図2に示すものであり、板状体2として長さ600mm×幅600mm×厚さ0.6mmの鉄板と、網体4としてJIS
G3551の長さ600mm×幅600mmの溶接金網(線径5mm、網目50mm×50mm)と、袋体3として厚さ約1mm(JIS K6404−2−3)のクロロプレンゴム(CR)シート(重さ1265g/m(JIS K6404−2−1)、縦方向の引張強さ2792(N/3cm)、横方向の引張強さ2542(N/3cm)(JIS
K6404−3)、縦方向の伸び22%、横方向の伸び31%(JIS K6404−3)、縦方向の引裂強さ163N、横方向の引裂強さ199N(JIS K6404−4)、剥離強さ55.1(N/3cm)以上で剥離しなかった(JIS K6404−5))を二枚重ねて周縁部を接着して得られた長さ600mm×幅600mm×奥行約50mmの立方体状の袋体と、を用いて、板状体2と網体4との間隔Dが50mmになるように木製の枠体5で周囲を固定した。実施例の袋体3には8kPa(実施例1、比較例4)及び4kPa(実施例2)の圧縮空気を注入し、袋体3の板状体側側面30を板状体2に密着させ、網体側側面32を網体4に密着させた。袋体3の面密度は、厚さ0.6mmの鉄板とほぼ等しく、4.7kg/mであった。
比較例1の遮音構造体は、長さ600mm×幅600mm×厚さ0.6mmの1枚の鉄板を用いた。比較例2の遮音構造体は、長さ600mm×幅600mm×厚さ0.6mmの2枚の鉄板を50mmの間隔を有するように木製の枠体で固定した。比較例3の遮音構造体は、長さ600mm×幅600mm×厚さ0.6mmの鉄板と実施例1で用いた網体
とを50mmの間隔を有するように配置して木製の枠体で固定した。比較例4の遮音構造体は、長さ600mm×幅600mm×厚さ0.6mmの鉄板と実施例1で用いた袋体(8kPaの内圧、奥行50mm)を密着するように重ねて木製の枠体で固定した。
(挿入損失試験)
実施例1,2及び比較例1〜4の遮音構造体について、図5に示す音響実験室68で測定を行った。図5は実施例及び比較例の測定を行った音響実験室68の平面図である。音響実験室68は、音源(スピーカ)63が配置された残響室60と、測定点(マイク)65が配置された無響室62と、残響室60と無響室62との間の厚さ200mmのコンクリート壁64(幅3.6m×高さ3.0m)と、を有する。コンクリート壁64には600mm角の開口66が形成され、開口66で残響室60と無響室62とが連通する。残響室60の音源から一定のピンクノイズを放射し、開口66に実施例1,2及び比較例1〜4の遮音構造体を設置してそれぞれの無響室62内の音圧レベルを測定した。
図6は、実施例1の測定状況を示す無響室62側からみた写真である。各遮音構造体は、開口66に、音源室側に板状体である鉄板、受音室側に他の鉄板、袋体3、網体4、枠体5となるように取り付けた。測定点65は、開口66の正面でコンクリート壁64の表面から1mの距離に配置した。実施例及び比較例の各遮音構造体で得られた無響室62内の音圧レベルより、SN比が10dB以上となる周波数帯域について、開口66を遮音構造体で塞がない場合と各遮音構造体で塞いだ場合との音圧レベル差、すなわち、挿入損失(dB)を算出した。図7,8に各遮音構造体における挿入損失を示した。
図7は、実施例1及び比較例1〜4の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。図7に示すように、開口66に鉄板0.6mmを設置した場合(比較例1)の挿入損失は、100Hz〜4kHzにおいて、周波数が高くなるほど大きくなる質量則と同様の特性がみられた。鉄板0.6mmに空気層を設けて鉄板0.6mmを設置した場合(比較例2)の挿入損失は250Hz以上の周波数帯域において比較例1を大きく上回るが、200Hz以下では比較例1と同等以下となり、特に160Hz帯域では比較例1を明らかに下回った。鉄板0.6mmに空気層を設けて溶接金網を設置した場合(比較例3)の挿入損失は比較例1とほとんど違いがみられなかった。鉄板0.6mmに袋体を付加して8kPaまで加圧した場合(比較例4)の挿入損失も630Hz以下においては比較例1と違いがみられないが、800Hz以上では明らかな増加がみられ、比較例2と同程度であった。鉄板0.6mmに袋体と溶接金網を付加して8kPaまで加圧した場合(実施例1)の挿入損失は315Hzで最小となり、それより周波数が高くなるほど、または低くなるほど増加する傾向がみられた。特に、100Hz〜200Hzの挿入損失は比較例1〜4との違いが明らかであり、100Hzにおいて、その差が約15dBであった。
図8は、実施例1,2及び比較例1の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。鉄板0.6mmに袋体と溶接金網を付加して加圧した場合の挿入損失について、袋体に加える内圧の違いを比較したものである。図8に示すように、内圧4kPaの場合(実施例2)の挿入損失は250Hzで最小となり、それより周波数が高く、または低くなるほど増加するという実施例1と同様の傾向がみられたが、実施例1の挿入損失と比較して全体的に低周波数側にシフトしていることが確認された。
二重壁等の空気層を有する複層構造では、通常、共鳴透過によって低・中周波数において単層壁よりも遮音性能の小さい領域が生じてしまう。比較例2で確認された160Hz付近の挿入損失の低下はこの共鳴透過に起因すると考えられる。これに対し、実施例1,2の単層壁に袋体と溶接金網を付加して加圧した場合は、全ての周波数帯域で比較例1の単層壁と同等以上の遮音性能が確保され、かつ、低周波数領域で明らかな遮音性能の向上
が確認された。また、実施例1と実施例2との比較によって、袋体の加圧の程度によって、遮音性能の増減が調整可能であることも確認された。
[実施例3]
実施例3の遮音構造体1は、実施例1,2と基本的な構成及び材質は同様であって、板状体2として長さ1200mm×幅1200mm×厚さ0.8mmの鉄板と、網体4として長さ1200mm×幅1200mmの溶接金網と、袋体3として厚さ約1mmのクロロプレンゴム(CR)シートを二枚重ねて周縁部を接着して得られた長さ1200mm×幅1200mm×奥行約50mmの立方体状の袋体3と、を用いて、板状体2と網体4との間隔Dが50mmになるように鉄製の枠体5で周囲を固定した。実施例の袋体3には2kPaの圧縮空気を注入し、袋体3の板状体側側面30を板状体2に密着させ、網体側側面32を網体4に密着させた。
比較例5の遮音構造体は、長さ1200mm×幅1200mm×厚さ0.8mmの1枚の鉄板を用いた。
(挿入損失試験)
実施例3及び比較例5の遮音構造体について、実施例1,2と同様に、図5に示す音響実験室68で測定を行った。実施例3及び比較例5の試験ではコンクリート壁64からの低周波領域の音漏れを防ぐため、高さ3000mm×幅3600mm×厚さ150mmのコンクリート壁64及び高さ1200mm×幅1200mmの開口66を新たに施工して実験を行った。
図9は、コンクリート壁64及び開口66を残響室60側から見た写真であり、図10は、実施例3の測定状況を残響室60側からみた写真である。挿入損失試験の測定方法は実施例1,2と同様である。図11に各遮音構造体における挿入損失を示した。
図11は、実施例3及び比較例5の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。図11に示すように、10Hz〜100Hzにおいても、実施例3の挿入損失(図11の○及び●印)は比較例5の挿入損失(図11の×印)に比べて大きく、遮音性能に優れていた。ここで、振動測定の結果、比較例5の1次固有振動数は約14Hzであり、実施例3の1次固有振動数は約60Hzであり、各条件で挿入損失が最低となる周波数帯域とほぼ一致することが確認できた。すなわち、新しいコンクリート壁64によってノイズが除去された結果、実施例3による低周波数領域の遮音性能向上が100Hz以下でも確認できた。なお、コンクリートブロックの1次固有振動数が約25Hzであったことから、図11の実施例3のグラフにおいて、20Hz付近で生じた挿入損失の落ち込みはコンクリート壁64の透過音に起因すると考えられる。そのため、図11の実施例3のグラフにおける20Hz付近の挿入損失(図11の○印)は、実際の挿入損失の方がより大きいと推定される。
[実施例4]
実施例4の遮音構造体1は、図1〜図3に示すものであり、実施例3の板状体2を1200×1200×1.6mmの鉄板としたものである。実施例4の袋体3には4kPaの圧縮空気を注入した。
[実施例5]
実施例5の遮音構造体1bは、図12に示すものであり、実施例3の板状体2及び網体4と基本的な構成及び材質は同様であって、板状体2として実施例4と同じものを用いた。網体4の外側には単管2本を袋体3aの幅よりも狭い間隔で枠体5に固定した。袋体3aは、厚さ約1mmのクロロプレンゴム(CR)シートを二枚重ねて周縁部を接着して得
られた長さ600mm×幅600mm×奥行約50mmの立方体状であった。実施例5の袋体3aには4kPaの圧縮空気を注入した。
[実施例6]
実施例6の遮音構造体1cは、図13に示すものであり、袋体3bを除いて実施例5と同様であった。実施例6の袋体3bは、直径が80mmで長さが1200mmの細長い中空体に4kPaの圧縮空気を注入し、板状体2の内面20に沿って6本を間隔を空けて内面20の全体に配置した。
[比較例6]
比較例6の遮音構造体1は、1200×1200×1.6mmの鉄板であった。
(挿入損失試験)
実施例4,5,6及び比較例6の遮音構造体について、実施例3と同様に、図14及び図15に示す音響実験室で測定を行った。
図14及び図15は、実施例5,6の測定状況を残響室側からみた写真である。挿入損失試験の測定方法は実施例1,2と同様である。図16に実施例4,5,6の各遮音構造体1,1b、1cにおける挿入損失と比較例6の遮音構造体における挿入損失を示した。
図16は、実施例4,5,6及び比較例6の挿入損失(dB)と中心周波数(Hz)との関係を示すグラフである。図16に示すように、比較例6の固有振動数は16Hz付近にあったが、実施例4,5,6の固有振動数は50Hz付近にあることがわかった。実施例4,5,6の挿入損失は、少なくとも10Hz〜40Hzにおいて比較例6の挿入損失に比べて大きく、遮音性能に優れていた。実施例4,5の挿入損失は低周波数から高周波数まで比較例6の挿入損失に比べて大きく、遮音性能に優れていた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1,1a,1b,1c…遮音構造体、2…板状体、3,3a,3b…袋体、4…網体、5,5a…枠体、6,6a…開口、10…トンネル、12…遮音組立体、20…内面、22…外面、30…板状体側側面、32,32a,32b…網体側側面、34…周縁部、40…縦線、42…横線、50…上枠、52…下枠、54…右枠、56…左枠、60…残響室、62…無響室、63…音源、64…コンクリート壁、65…測定点、66…開口、68…音響実験室、D…間隔

Claims (6)

  1. 板状体と、
    前記板状体の一方の面の一部または全部に接触して加圧する加圧体と、
    前記加圧体を挟んで前記板状体と対向して配置された保持体と、
    を含み、
    前記保持体は、前記加圧体が前記板状体を加圧した反力に抗して前記加圧体を所定位置に保持することを特徴とする、遮音構造体。
  2. 請求項1において、
    前記加圧体は、一または複数の袋体を含み、
    前記保持体は、複数の貫通孔を有し、
    前記袋体は、内部に封入された気体の圧力によって前記板状体を加圧することを特徴とする、遮音構造体。
  3. 請求項2において、
    前記袋体は、細長い中空体であり、
    複数の前記袋体が前記板状体の前記面に沿って配置されることを特徴とする、遮音構造体。
  4. 請求項2または3において、
    前記板状体は、鉄製であり、
    前記袋体は、ゴム製であり、
    前記保持体は、金属製であることを特徴とする、遮音構造体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記加圧体が前記板状体を加圧することで、少なくとも10Hz〜40Hzの周波数領域における遮音性を発揮する剛性を前記板状体に付与することを特徴とする、遮音構造体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記保持体は、鉄線、鋼線または棒鋼を交差して配列し、それらの交点を接続して格子状にした、金網を含むことを特徴とする、遮音構造体。
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