JP2017212953A - 蒸留酒類 - Google Patents
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本明細書において、蒸留酒類には、蒸留酒及び蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類が含まれる。本明細書において、蒸留酒には、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール及びスピリッツが含まれる。本明細書において、蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類には、リキュールが含まれる。また、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
なお、「単式蒸留焼酎の混和割合」とは、混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコール量の割合である。
完熟大麦種子1粒を破砕し、500μLの抽出バッファー(0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5))を用いて、4℃で30分間振とうして抽出する。得られた抽出液を15000rpmで10分間遠心分離した後、上清を粗酵素液として得る。次に、粗酵素液10μLに5μLの基質液(40mMリノール酸、1.0%(W/V)Tween20水溶液)及び85μLの抽出バッファーを加え混和した後、24℃で5分間反応させる。反応の停止は、100μLの反応停止液(80mM 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール メタノール溶液)を添加し混和することで行う。反応液を−20℃で30分間静置した後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を得る。得られた上清20μLに、200μLの発色液(4mM2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、25mM硫酸、0.25mM硫酸アンモニウム鉄(II)6水和物、100mMキシレノールオレンジ、90%メタノール水溶液)を添加し、30分間静置後、波長550nmの吸光度を測定する。陰性対照としては、粗酵素液を100℃で5分間熱処理し、LOX−1を失活させたものを同様に反応させたものを用い、陽性対照として大麦品種Kendallの種子の粗酵素液を用いる。
大麦から0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を用いて抽出した全可溶性タンパク質3μgを、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)により分画後、PVDFメンブレン(ミリポア社)にブロッティングする。このメンブレンをTTBS(20mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M 塩化ナトリウム、0.05%(w/v) Tween20、0.05%(w/v) アジ化ナトリウム))で洗浄後、LOX−1抗体液(1000倍希釈/TTBS)で30分間反応させる。メンブレンのTTBS洗浄を5分3回行った後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIgG抗体液(Santa Cruz社製、1000倍希釈TTBS溶液)で30分間反応させる。メンブレンをTTBSで5分間×2回洗浄を行い、さらにAP9.5(10mM Tris−HCl(pH9.5)、0.1M 塩化ナトリウム、5mM 塩化マグネシウム)で5分×1回洗浄を行った後、アルカリフォスファターゼ基質液(1mg/mlニトロブルーテトラゾリウム、0.5mg/ml BCIP、AP9.5溶液)と反応させ発色させる。それにより、対象を基準とするバンドの強弱によって発現量を比較することができる。
本実施形態における蒸留酒類は、混和焼酎であってよい。本実施形態における混和焼酎は、LOX−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いたものであるため、まろやかさ及び油臭が改善されることに加え、更に渋味が改善される。
本発明はまた、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤又は油臭改善剤と捉えることもできる。本実施形態における改善剤は、LOX−1を欠失している大麦原料を有効成分として含むことにより、蒸留酒類のまろやかさを向上することができ、また、油臭を低減することができる。
本発明はまた、大麦原料としてLOX−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び渋味改善方法と捉えることもできる。本実施形態における改善方法は、蒸留酒類の製造工程において、大麦原料の一部又は全部がLOX−1欠失大麦原料であることにより、得られる蒸留酒類のまろやかさを向上することがき、また、油臭を低減させることができる。
本発明はまた、LOX−1欠失大麦原料を有効成分とする、混和焼酎の渋味改善剤と捉えることもできる。本実施形態における改善剤は、LOX−1を欠失している大麦原料を有効成分として含むことにより、混和焼酎の渋味を低減することができる。
本発明はまた、大麦原料としてLOX−1欠失大麦原料を使用することを含む、混和焼酎の渋味改善方法と捉えることもできる。本実施形態における改善方法は、混和焼酎の製造工程において、大麦原料の一部又は全部がLOX−1欠失大麦原料であることにより、得られる混和焼酎の渋味を低減することができる。
施例により限定されるものではない。
(実施例1:乙類焼酎の製造)
LOX−1欠失大麦0.32kgと温水1.3L程度を混合し、全量で1.6L程度とし、60℃となるように温度調整した。得られた混合液に60℃で、コクゲンSD−TC3(天野エンザイム社製)0.3g、及びスミチームAC(新日本化学工業社製)0.06gを添加し、定期的に撹拌を加えつつ、2時間インキュベートした。その後、得られた液を105℃で30分間、オートクレーブ処理した。70℃まで、放冷したのち、得られた液にスミチームAC0.06g、及びスミチームSG(新日本化学工業社製)0.08gを添加し、常温で1時間放置した。続いて、50℃まで、放冷したのち、スミチームAC0.08g、スミチームSG0.12g、及びスミチームLP50D(新日本化学工業社製)0.08gを添加し、常温で1時間放置した後、25℃まで、氷冷した。得られた液に、焼酎用乾燥酵母2号(公益財団法人 日本醸造協会製)1gに40℃の水を30mL添加し、10分間放置することで復水したのち、添加し、もろみを得た。得られたもろみは、6〜7日後にマントルヒーターを使用し、大気圧下で蒸留した。蒸留液に割水を実施し、アルコール分を25.4%にし、実施例1の乙類焼酎を得た。
対照として、LOX−1欠失大麦に代えてLOX−1を欠失していない大麦を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で焼酎を製造し、比較例1の乙類焼酎を得た。
実施例1及び比較例1の乙類焼酎のまろやかさ、油臭、渋味及び総合評価について、訓練されたパネル5名により、評点1〜5の5段階で官能評価を行った。5名のパネルによる評点の平均値及び代表的な評価コメントを表1に示す。まろやかさは、評点が高いほど、まろやかであることを示す。油臭は、評点が高いほど油臭が少ないことを示す。渋味は、評点が高いほど渋味が少ないことを示す。総合評価は、評点が高いほど飲料として適していることを示す。
(単式蒸留焼酎)
単式蒸留焼酎として、実施例1の乙類焼酎、又は比較例1の乙類焼酎を使用した。
連続式蒸留焼酎として、サッポロビール社群馬工場製造品(アルコール度数:25.4%、主原料:糖蜜、連続式蒸留)を使用した。
単式蒸留焼酎として実施例1の乙類焼酎を使用し、連続式蒸留焼酎と所定の割合で混和させることにより実施例2〜5の甲乙混和焼酎を製造した。
なお、単式蒸留焼酎の混和割合は、甲乙混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコールの割合である。したがって、例えば、単式蒸留焼酎の混和割合が15%の混和焼酎を準備する場合、単式蒸留焼酎(アルコール度数:25.4%)と連続式蒸留焼酎(アルコール度数:25.4%)とを液量の比率が15:85となるように混和させた。
単式蒸留焼酎として比較例1の乙類焼酎を使用し、連続式蒸留焼酎と所定の割合で混和させることにより比較例2〜5の甲乙混和焼酎を製造した。
実施例2〜5及び比較例2〜5の甲乙混和焼酎のまろやかさ、油臭、渋味及び総合評価について、試験例1と同様に評価した。なお、単式蒸留焼酎の混和割合が15%の甲乙混和焼酎は、訓練された5名のパネルにより評価し、それ以外の甲乙混和焼酎は、訓練された4名のパネルにより評価した。4名又は5名のパネルによる評点の平均値及び代表的な評価コメントを表2に示す。
Claims (12)
- リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いた、蒸留酒類。
- 焼酎である、請求項1に記載の蒸留酒類。
- 単式蒸留焼酎である、請求項1に記載の蒸留酒類。
- 請求項2又は3に記載の蒸留酒類を含む混和焼酎。
- 甲乙混和焼酎である、請求項4に記載の混和焼酎。
- リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤。
- リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類の油臭改善剤。
- 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法。
- 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類の油臭改善方法。
- リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、混和焼酎の渋味改善剤。
- 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、混和焼酎の渋味改善方法。
- 単式蒸留焼酎の大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、請求項11に記載の渋味改善方法。
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