JP2017212953A - 蒸留酒類 - Google Patents

蒸留酒類 Download PDF

Info

Publication number
JP2017212953A
JP2017212953A JP2016110426A JP2016110426A JP2017212953A JP 2017212953 A JP2017212953 A JP 2017212953A JP 2016110426 A JP2016110426 A JP 2016110426A JP 2016110426 A JP2016110426 A JP 2016110426A JP 2017212953 A JP2017212953 A JP 2017212953A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shochu
barley
raw material
lox
distilled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016110426A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6691826B2 (ja
Inventor
隆一 滝沢
Ryuichi Takizawa
隆一 滝沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sapporo Breweries Ltd
Original Assignee
Sapporo Breweries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sapporo Breweries Ltd filed Critical Sapporo Breweries Ltd
Priority to JP2016110426A priority Critical patent/JP6691826B2/ja
Publication of JP2017212953A publication Critical patent/JP2017212953A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6691826B2 publication Critical patent/JP6691826B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

【課題】まろやかさ及び油臭が改善された蒸留酒類を提供すること、並びに蒸留酒類のまろやかさ及び油臭の改善剤及び改善方法を提供すること。【解決手段】リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いた、蒸留酒類、並びにリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤及び油臭改善剤、及び大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び油臭改善方法。【選択図】なし

Description

本発明は、蒸留酒類に関する。本発明はまた混和焼酎、蒸留酒類のまろやかさ改善剤及び油臭改善剤、蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び油臭改善方法、並びに混和焼酎の渋味改善剤及び渋味改善方法にも関する。
蒸留酒は、原料である醸造酒等のアルコール含有物を蒸留することによって製造される。そして、蒸留酒の品質を決定づけるうえで、味わいや風味は非常に重要である。これまでにも、蒸留酒の製造においては、味わいや風味を改善するための様々な技術が開示されている。例えば、特許文献1では、パルミチン酸エチル、リノレン酸エチル、オレイン酸エチルおよびステアリン酸エチルからなる群から選択される成分の少なくとも1つを含有し、これらの成分の合計濃度が0.1ppm以上である、混和蒸留酒が開示されている。
また、特許文献2には、単式蒸留機で蒸留した単式蒸留焼酎と連続式蒸留機で蒸留した連続式蒸留焼酎とを混和した麦焼酎であって、1−ブタノールの濃度が0.015〜0.120ppmであることを特徴とする焼酎が開示されている。
特開2012−249587号公報 特開2015−139399号公報 特開2008−43348号公報
本発明は、味わいや風味の中でも特にまろやかさ及び油臭が改善された蒸留酒類を提供することを目的とする。また、本発明は、蒸留酒類のまろやかさ及び油臭の改善剤並びに改善方法を提供することを目的とする。
本発明は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いた、蒸留酒類を提供する。
本発明に係る蒸留酒類は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いているため、まろやかさと油臭が改善されている。
本発明に係る蒸留酒類は、焼酎であってもよく、単式蒸留焼酎であってもよい。蒸留酒類が焼酎又は単式蒸留焼酎であると、まろやかさと油臭の改善効果がより一層顕著に奏される。
本発明はまた、上記焼酎又は単式蒸留焼酎を含む混和焼酎を提供する。
本発明に係る混和焼酎は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いた焼酎又は単式蒸留焼酎を含むため、まろやかさと油臭が改善されていることに加え、渋味も改善されている。
上記混和焼酎は、甲乙混和焼酎であることが好ましい。これにより、混和焼酎のまろやかさ、油臭及び渋味の改善効果がより顕著に奏される。
本発明はまた、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤及び油臭改善剤を提供する。
上記改善剤は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分としているため、蒸留酒類のまろやかさを向上させること、及び蒸留酒類の油臭を低減することができる。
本発明はまた、大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び油臭改善方法を提供する。
本発明の改善方法は、大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用しているため、蒸留酒類のまろやかさを向上させること、及び蒸留酒類の油臭を低減することができる。
本発明はさらに、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、混和焼酎の渋味改善剤を提供する。
本発明はさらに、大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、混和焼酎の渋味改善方法を提供する。
本発明の渋味改善剤及び渋味改善方法は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を用いるため、混和焼酎の渋味を低減することができる。
本発明によれば、まろやかさ及び油臭が改善された蒸留酒類を提供することができる。また、本発明によれば、蒸留酒類のまろやかさ及び油臭の改善剤並びに改善方法を提供することができる。
さらに本発明によれば、まろやかさ、油臭及び渋味が改善された混和焼酎を提供することができる。また、本発明によれば、混和焼酎の渋味改善剤及び渋味改善方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
〔蒸留酒類〕
本明細書において、蒸留酒類には、蒸留酒及び蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類が含まれる。本明細書において、蒸留酒には、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール及びスピリッツが含まれる。本明細書において、蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類には、リキュールが含まれる。また、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
焼酎には、単式蒸留焼酎及び連続式蒸留焼酎、並びに単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎とを混和した混和焼酎が含まれる。
本明細書において、「単式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「単式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、単式蒸留焼酎を乙類焼酎とも呼ぶことがある。単式蒸留焼酎は、原料由来の独特の風味を有する。
本明細書において、「連続式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「連続式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、連続式蒸留焼酎を甲類焼酎と呼ぶことがある。連続式蒸留焼酎は、単式蒸留焼酎と比較し、独特な風味は減少するが、連続蒸留機を用いて製造することから大量生産に適しているため、比較的安価である。
本明細書において、「混和焼酎」とは、単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎とを混和したものである。混和焼酎は、「単式蒸留焼酎」又は「連続式蒸留焼酎」に含まれる概念でもある。混和焼酎における、単式蒸留焼酎の混和割合は特に制限されるものではなく、0%超かつ100%未満のいずれであってもよい。また、本明細書において、単式蒸留焼酎の混和割合が0%超かつ50%未満である混和焼酎を特に「甲乙混和焼酎」と呼び、単式蒸留焼酎の混和割合が50%以上100%未満である混和焼酎を特に「乙甲混和焼酎」と呼ぶ。
なお、「単式蒸留焼酎の混和割合」とは、混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコール量の割合である。
本明細書において、「ウイスキー」、「ブランデー」、「原料用アルコール」及び「スピリッツ」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「ウイスキー」、「ブランデー」、「原料用アルコール」及び「スピリッツ」とそれぞれ同義である。
本明細書において、「リキュール」とは、蒸留酒をベースにすることの他は、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「リキュール」と同義である。
本実施形態における蒸留酒類は、リポキシゲナーゼ−1(以下、「LOX−1」ともいう。)欠失大麦原料を原料の少なくとも一部として用いた、蒸留酒類である。本実施形態における蒸留酒類は、LOX−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部として用いているため、まろやかさ及び油臭が改善されている。
大麦に含まれる酵素であるLOX−1は、原料として大麦原料を含む飲料の製造工程において、リノール酸を酸化し、9−ヒドロペルオキシオクタデカジエン酸を生成することが知られている。
本実施形態における蒸留酒類は、原料の少なくとも一部としてLOX−1欠失大麦原料を使用するものであればよい。また、本実施形態における蒸留酒類は、大麦原料の一部又は全部がLOX−1欠失大麦原料であることが好ましい。ここで、大麦原料には、大麦、又は大麦加工物が含まれる。大麦加工物としては、例えば、大麦抽出物、麦芽、麦汁、麦芽抽出物等が挙げられる。
大麦原料としては、LOX−1欠失大麦原料以外の大麦原料、すなわちLOX−1を欠失していない大麦原料を使用してもよい。LOX−1欠失大麦原料以外の大麦原料としては、蒸留酒類の製造に適した任意のものを用いることができる。全大麦原料中の、LOX−1欠失大麦原料の割合は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、75%以上であることがより更に好ましく、85〜95%であることが特に好ましい。使用される全大麦原料中のLOX−1欠失大麦原料の割合は、例えば、20〜100%、20〜95%、30〜95%、50〜95%、75〜95%であってよい。また、大麦原料の全て(100%)がLOX−1欠失大麦原料であってもよい。
本明細書においてLOX−1欠失大麦原料とは、LOX−1を欠失している大麦原料である。本明細書において、LOX−1を欠失しているとは、LOX−1タンパク質を実質的に有しないか、又はLOX−1タンパク質を有していてもLOX−1活性を実質的に有しないことをいう。LOX−1欠失大麦原料は、例えば、LOX−1タンパク質の発現量又はLOX−1活性を測定して確認することにより、選抜することができる。LOX−1欠失大麦原料は、蒸留酒類の製造に用いられる際に大麦原料自体がLOX−1を欠失していればよい。
LOX−1欠失大麦原料は、例えば、公知の大麦原料の製造方法において、大麦として、LOX−1を欠失している大麦(以下、「LOX−1欠失大麦」ともいう。)を用いることによって得ることができる。この場合、大麦をLOX−1欠失大麦に置き換えるだけでLOX−1欠失大麦原料を得ることができるため、簡便である。
LOX−1欠失大麦は、例えば、LOX−1タンパク質の発現量又はLOX−1活性を測定して確認することにより、選抜することができる。また、LOX−1欠失大麦として、後述する大麦LOX−1変異遺伝子を持つ大麦を用いてもよい。
大麦のLOX−1活性は、例えば、大麦の種子又は麦芽から抽出した粗酵素液の、リノール酸に対する酸化活性を測定することにより確認することができる。具体的には例えば、以下の方法で測定することができる。
完熟大麦種子1粒を破砕し、500μLの抽出バッファー(0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5))を用いて、4℃で30分間振とうして抽出する。得られた抽出液を15000rpmで10分間遠心分離した後、上清を粗酵素液として得る。次に、粗酵素液10μLに5μLの基質液(40mMリノール酸、1.0%(W/V)Tween20水溶液)及び85μLの抽出バッファーを加え混和した後、24℃で5分間反応させる。反応の停止は、100μLの反応停止液(80mM 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール メタノール溶液)を添加し混和することで行う。反応液を−20℃で30分間静置した後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を得る。得られた上清20μLに、200μLの発色液(4mM2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、25mM硫酸、0.25mM硫酸アンモニウム鉄(II)6水和物、100mMキシレノールオレンジ、90%メタノール水溶液)を添加し、30分間静置後、波長550nmの吸光度を測定する。陰性対照としては、粗酵素液を100℃で5分間熱処理し、LOX−1を失活させたものを同様に反応させたものを用い、陽性対照として大麦品種Kendallの種子の粗酵素液を用いる。
大麦のLOX−1タンパク質の発現量は、例えば、抗LOX−1抗体を用いて、ウェスタンブロッティングにより調べることができる。具体的には例えば、以下の方法で行うことができる。
大麦から0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を用いて抽出した全可溶性タンパク質3μgを、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)により分画後、PVDFメンブレン(ミリポア社)にブロッティングする。このメンブレンをTTBS(20mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M 塩化ナトリウム、0.05%(w/v) Tween20、0.05%(w/v) アジ化ナトリウム))で洗浄後、LOX−1抗体液(1000倍希釈/TTBS)で30分間反応させる。メンブレンのTTBS洗浄を5分3回行った後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIgG抗体液(Santa Cruz社製、1000倍希釈TTBS溶液)で30分間反応させる。メンブレンをTTBSで5分間×2回洗浄を行い、さらにAP9.5(10mM Tris−HCl(pH9.5)、0.1M 塩化ナトリウム、5mM 塩化マグネシウム)で5分×1回洗浄を行った後、アルカリフォスファターゼ基質液(1mg/mlニトロブルーテトラゾリウム、0.5mg/ml BCIP、AP9.5溶液)と反応させ発色させる。それにより、対象を基準とするバンドの強弱によって発現量を比較することができる。
LOX−1欠失大麦は、例えば、大麦LOX−1遺伝子第5イントロンのスプライシング供与部位(5’−GT−3’)のグアニンがアデニンに変異している大麦LOX−1変異遺伝子を持つ大麦である。当該変異遺伝子は、既知のLOX−1遺伝子(配列番号1)と比較してLOX−1遺伝子第5イントロンの60番目の塩基GがAに置換されていることを特徴とする(配列番号2)。LOX−1遺伝子第5イントロンの60−61番目はスプライシング供与部位(5’−GT−3’)であるため、この塩基の置換によりLOX−1はスプライシングに異常をきたし、活性のあるLOX−1を発現できなくなる。なお、配列表の配列番号1には既知のLOX−1遺伝子の第5イントロン領域の塩基配列を、配列番号2にはLOX−1変異遺伝子のLOX−1遺伝子の第5イントロン領域に相当する部分の塩基配列を示す。上述のLOX−1活性測定方法、LOX−1タンパク質発現量測定方法、大麦LOX−1変異遺伝子を持つLOX−1欠失大麦、LOX−1欠失大麦選抜方法等は、特許文献3に詳細に記載されている。
LOX−1欠失大麦は、上述のように、LOX−1タンパク質を発現しない、又はLOX−1活性を実質的に有しないという特徴を有するほかは、蒸留酒類の製造に適した通常の大麦品種の特徴、育種に適した大麦品種の特徴等を有していることが好ましい。所望の特徴を有するLOX−1欠失大麦は、例えば、LOX−1変異遺伝子を持つLOX−1欠失大麦と、当該特徴を有する品種とを交配することにより得ることができる。
本実施形態における蒸留酒類は、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部として使用するほかは、公知の方法と同様の方法によって製造することができる。すなわち、公知の蒸留酒類の製造において用いられる大麦原料の一部又は全部をリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料に置き換えることにより、本実施形態における蒸留酒類を得ることができる。リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料は、特別な処理を経ることなく、通常の大麦原料と同様に蒸留酒類の製造に用いることができる。したがって、例えば発酵条件等の細かい制御や飲料中の微量成分の調節等を行う必要はない。
蒸留酒類の製造には、大麦原料以外の発酵原料を用いてもよい。大麦原料以外の発酵原料としては、米、サツマイモ、ジャガイモ、黒糖、そば、栗等が挙げられる。また、蒸留酒類は、その他の副材料として、酸化防止剤、着色料、炭酸ガス等を含んでもよい。
蒸留酒類は、容器詰めされて提供されてもよい。容器としては、アルコール飲料に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、缶、ビン、ペットボトル等のプラスチック容器、紙容器、パウチ容器等が挙げられる。
〔混和焼酎〕
本実施形態における蒸留酒類は、混和焼酎であってよい。本実施形態における混和焼酎は、LOX−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いたものであるため、まろやかさ及び油臭が改善されることに加え、更に渋味が改善される。
本実施形態における混和焼酎は、単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎とを混和したものであり、単式蒸留焼酎及び連続式蒸留焼酎の少なくとも一方が、LOX−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いたものであればよいが、本発明による効果をより顕著に奏することから、単式蒸留焼酎がLOX−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いたものであることが好ましい。
本実施形態における混和焼酎は、単式蒸留焼酎の混和割合は特に制限されない。本実施形態における混和焼酎は、本発明による効果をより顕著に奏することから、単式蒸留焼酎の混和割合が、5%以上95%未満であることが好ましく、5%以上50%未満であることがより好ましく、5%以上25%以下であることが更に好ましく、10%以上25%以下であることが更により好ましく、10%以上20%以下であることが更によりまた好ましい。
〔蒸留酒類のまろやかさ改善剤及び油臭改善剤〕
本発明はまた、リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤又は油臭改善剤と捉えることもできる。本実施形態における改善剤は、LOX−1を欠失している大麦原料を有効成分として含むことにより、蒸留酒類のまろやかさを向上することができ、また、油臭を低減することができる。
本実施形態における改善剤は、蒸留酒類の製造の際に大麦原料の一部又は全部を本実施形態における改善剤に置き換えることにより、得られる蒸留酒類のまろやかさ及び油臭を改善することができる。
〔蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び油臭改善方法〕
本発明はまた、大麦原料としてLOX−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法及び渋味改善方法と捉えることもできる。本実施形態における改善方法は、蒸留酒類の製造工程において、大麦原料の一部又は全部がLOX−1欠失大麦原料であることにより、得られる蒸留酒類のまろやかさを向上することがき、また、油臭を低減させることができる。
〔混和焼酎の渋味改善剤〕
本発明はまた、LOX−1欠失大麦原料を有効成分とする、混和焼酎の渋味改善剤と捉えることもできる。本実施形態における改善剤は、LOX−1を欠失している大麦原料を有効成分として含むことにより、混和焼酎の渋味を低減することができる。
本実施形態における改善剤は、混和焼酎の製造の際に大麦原料の一部又は全部を本実施形態における改善剤に置き換えることにより、得られる混和焼酎の渋味を改善することができる。本実施形態における改善剤は、単式蒸留焼酎の大麦原料の一部又は全部として使用することが好ましい。
〔混和焼酎の渋味改善方法〕
本発明はまた、大麦原料としてLOX−1欠失大麦原料を使用することを含む、混和焼酎の渋味改善方法と捉えることもできる。本実施形態における改善方法は、混和焼酎の製造工程において、大麦原料の一部又は全部がLOX−1欠失大麦原料であることにより、得られる混和焼酎の渋味を低減することができる。
本実施形態における改善方法は、単式蒸留焼酎の大麦原料としてLOX−1欠失大麦原料を使用することを含むのが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実
施例により限定されるものではない。
〔試験例1:乙類焼酎の製造及び評価〕
(実施例1:乙類焼酎の製造)
LOX−1欠失大麦0.32kgと温水1.3L程度を混合し、全量で1.6L程度とし、60℃となるように温度調整した。得られた混合液に60℃で、コクゲンSD−TC3(天野エンザイム社製)0.3g、及びスミチームAC(新日本化学工業社製)0.06gを添加し、定期的に撹拌を加えつつ、2時間インキュベートした。その後、得られた液を105℃で30分間、オートクレーブ処理した。70℃まで、放冷したのち、得られた液にスミチームAC0.06g、及びスミチームSG(新日本化学工業社製)0.08gを添加し、常温で1時間放置した。続いて、50℃まで、放冷したのち、スミチームAC0.08g、スミチームSG0.12g、及びスミチームLP50D(新日本化学工業社製)0.08gを添加し、常温で1時間放置した後、25℃まで、氷冷した。得られた液に、焼酎用乾燥酵母2号(公益財団法人 日本醸造協会製)1gに40℃の水を30mL添加し、10分間放置することで復水したのち、添加し、もろみを得た。得られたもろみは、6〜7日後にマントルヒーターを使用し、大気圧下で蒸留した。蒸留液に割水を実施し、アルコール分を25.4%にし、実施例1の乙類焼酎を得た。
(比較例1:乙類焼酎の製造)
対照として、LOX−1欠失大麦に代えてLOX−1を欠失していない大麦を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で焼酎を製造し、比較例1の乙類焼酎を得た。
(乙類焼酎の評価)
実施例1及び比較例1の乙類焼酎のまろやかさ、油臭、渋味及び総合評価について、訓練されたパネル5名により、評点1〜5の5段階で官能評価を行った。5名のパネルによる評点の平均値及び代表的な評価コメントを表1に示す。まろやかさは、評点が高いほど、まろやかであることを示す。油臭は、評点が高いほど油臭が少ないことを示す。渋味は、評点が高いほど渋味が少ないことを示す。総合評価は、評点が高いほど飲料として適していることを示す。
Figure 2017212953
LOX−1欠失大麦を用いた実施例1の乙類焼酎は、比較例1の乙類焼酎と比べて、まろやかさが向上し、油臭が低減されており、かつ飲料として適したものであった。
〔試験例2:甲乙混和焼酎の製造及び評価〕
(単式蒸留焼酎)
単式蒸留焼酎として、実施例1の乙類焼酎、又は比較例1の乙類焼酎を使用した。
(連続式蒸留焼酎)
連続式蒸留焼酎として、サッポロビール社群馬工場製造品(アルコール度数:25.4%、主原料:糖蜜、連続式蒸留)を使用した。
(実施例2〜5:甲乙混和焼酎の製造)
単式蒸留焼酎として実施例1の乙類焼酎を使用し、連続式蒸留焼酎と所定の割合で混和させることにより実施例2〜5の甲乙混和焼酎を製造した。
なお、単式蒸留焼酎の混和割合は、甲乙混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコールの割合である。したがって、例えば、単式蒸留焼酎の混和割合が15%の混和焼酎を準備する場合、単式蒸留焼酎(アルコール度数:25.4%)と連続式蒸留焼酎(アルコール度数:25.4%)とを液量の比率が15:85となるように混和させた。
(比較例2〜5:甲乙混和焼酎の製造)
単式蒸留焼酎として比較例1の乙類焼酎を使用し、連続式蒸留焼酎と所定の割合で混和させることにより比較例2〜5の甲乙混和焼酎を製造した。
(甲乙混和焼酎の評価)
実施例2〜5及び比較例2〜5の甲乙混和焼酎のまろやかさ、油臭、渋味及び総合評価について、試験例1と同様に評価した。なお、単式蒸留焼酎の混和割合が15%の甲乙混和焼酎は、訓練された5名のパネルにより評価し、それ以外の甲乙混和焼酎は、訓練された4名のパネルにより評価した。4名又は5名のパネルによる評点の平均値及び代表的な評価コメントを表2に示す。
Figure 2017212953
Figure 2017212953
Figure 2017212953
Figure 2017212953
LOX−1欠失大麦を用いた実施例2〜5の甲乙混和焼酎では、比較例2〜5の甲乙混和焼酎と比べて、まろやかさが向上し、油臭が低減されており、かつ飲料として適したものであった。更にこれらの効果に加えて、実施例2〜5の甲乙混和焼酎では、比較例2〜5の甲乙混和焼酎と比べて、渋味も低減された。特に、LOX−1欠失大麦を用いた単式蒸留焼酎の混和割合が10、15及び20%である実施例3〜5の甲乙混和焼酎はまろやかさ、油臭及び渋味が顕著に改善された。

Claims (12)

  1. リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を原料の少なくとも一部に用いた、蒸留酒類。
  2. 焼酎である、請求項1に記載の蒸留酒類。
  3. 単式蒸留焼酎である、請求項1に記載の蒸留酒類。
  4. 請求項2又は3に記載の蒸留酒類を含む混和焼酎。
  5. 甲乙混和焼酎である、請求項4に記載の混和焼酎。
  6. リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類のまろやかさ改善剤。
  7. リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、蒸留酒類の油臭改善剤。
  8. 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類のまろやかさ改善方法。
  9. 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、蒸留酒類の油臭改善方法。
  10. リポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を有効成分とする、混和焼酎の渋味改善剤。
  11. 大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、混和焼酎の渋味改善方法。
  12. 単式蒸留焼酎の大麦原料としてリポキシゲナーゼ−1欠失大麦原料を使用することを含む、請求項11に記載の渋味改善方法。
JP2016110426A 2016-06-01 2016-06-01 蒸留酒類 Active JP6691826B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016110426A JP6691826B2 (ja) 2016-06-01 2016-06-01 蒸留酒類

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016110426A JP6691826B2 (ja) 2016-06-01 2016-06-01 蒸留酒類

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017212953A true JP2017212953A (ja) 2017-12-07
JP6691826B2 JP6691826B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=60575984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016110426A Active JP6691826B2 (ja) 2016-06-01 2016-06-01 蒸留酒類

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6691826B2 (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59205975A (ja) * 1983-05-10 1984-11-21 Fuji Debuison Kagaku Kk 精製蒸留酒の製造方法
JPS6296055A (ja) * 1985-10-21 1987-05-02 Taishi Shokuhin Kogyo Kk リポキシゲナ−ゼ欠失大豆を用いた大豆食品の製造方法
JPS63309156A (ja) * 1987-06-10 1988-12-16 Taishi Shokuhin Kogyo Kk 大豆食品の製造方法
JPH11127841A (ja) * 1997-08-27 1999-05-18 Kojika Shuzo Kyogyo Kumiai 焼酎の油性物質の除去方法
JP2001029097A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Sapporo Breweries Ltd 穀類中のリポキシゲナーゼ活性の測定方法
JP2004522434A (ja) * 2000-12-29 2004-07-29 カールスバーグ・リサーチ・ラボラトリー 低リポキシゲナーゼ1オオムギ
JP2004290024A (ja) * 2003-03-25 2004-10-21 Sapporo Holdings Ltd 大麦リポキシゲナーゼ−1遺伝子、大麦の選抜方法、麦芽アルコール飲料用原料及び麦芽アルコール飲料の製造方法
WO2004106483A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Suntory Limited 組織別に分画した麦芽を用いた麦芽使用飲料の製造法
JP2008043348A (ja) * 2007-10-29 2008-02-28 Sapporo Breweries Ltd 大麦リポキシゲナーゼ−1遺伝子、大麦の選抜方法、麦芽アルコール飲料用原料及び麦芽アルコール飲料の製造方法
JP2012513744A (ja) * 2008-12-30 2012-06-21 カールスベア ブリューアリーズ アー/エス リポキシゲナーゼ活性を低減させたオオムギおよびそれらから調製した飲料
JP2014003972A (ja) * 2012-05-30 2014-01-16 Nisshin Oillio Group Ltd 餅又は団子用の老化防止剤、当該老化防止剤を使用する餅又は団子の製造方法、及び、当該老化防止剤を含む餅又は団子

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59205975A (ja) * 1983-05-10 1984-11-21 Fuji Debuison Kagaku Kk 精製蒸留酒の製造方法
JPS6296055A (ja) * 1985-10-21 1987-05-02 Taishi Shokuhin Kogyo Kk リポキシゲナ−ゼ欠失大豆を用いた大豆食品の製造方法
JPS63309156A (ja) * 1987-06-10 1988-12-16 Taishi Shokuhin Kogyo Kk 大豆食品の製造方法
JPH11127841A (ja) * 1997-08-27 1999-05-18 Kojika Shuzo Kyogyo Kumiai 焼酎の油性物質の除去方法
JP2001029097A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Sapporo Breweries Ltd 穀類中のリポキシゲナーゼ活性の測定方法
JP2004522434A (ja) * 2000-12-29 2004-07-29 カールスバーグ・リサーチ・ラボラトリー 低リポキシゲナーゼ1オオムギ
JP2004290024A (ja) * 2003-03-25 2004-10-21 Sapporo Holdings Ltd 大麦リポキシゲナーゼ−1遺伝子、大麦の選抜方法、麦芽アルコール飲料用原料及び麦芽アルコール飲料の製造方法
WO2004106483A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Suntory Limited 組織別に分画した麦芽を用いた麦芽使用飲料の製造法
US20060263483A1 (en) * 2003-05-30 2006-11-23 Nobuo Tada Process for producing malt-based drink from malt fractioned by tissue
JP2008043348A (ja) * 2007-10-29 2008-02-28 Sapporo Breweries Ltd 大麦リポキシゲナーゼ−1遺伝子、大麦の選抜方法、麦芽アルコール飲料用原料及び麦芽アルコール飲料の製造方法
JP2012513744A (ja) * 2008-12-30 2012-06-21 カールスベア ブリューアリーズ アー/エス リポキシゲナーゼ活性を低減させたオオムギおよびそれらから調製した飲料
JP2014003972A (ja) * 2012-05-30 2014-01-16 Nisshin Oillio Group Ltd 餅又は団子用の老化防止剤、当該老化防止剤を使用する餅又は団子の製造方法、及び、当該老化防止剤を含む餅又は団子

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"第VIII章 貯蔵", 本格焼酎製造技術, JPN6020011589, 10 December 2004 (2004-12-10), JP, pages 236 - 243, ISSN: 0004240599 *
蛸井潔: "ビールをはじめとする酒類の香り研究について-近年の成果とトレンド-", 日本醸造協会誌, vol. 第110巻7号, JPN6020011593, 2015, JP, pages 479 - 488, ISSN: 0004240601 *
西谷尚道: "本格焼酎の香味(II)", 日本醸造協会雑誌, vol. 第75巻第12号, JPN6020011591, 1980, JP, pages 944 - 952, ISSN: 0004240600 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6691826B2 (ja) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101872416B1 (ko) 비발효 맥주 맛 음료 및 그 제조 방법
JP2021036907A (ja) 非甘味性飲料
JP5848703B2 (ja) 麦芽飲料の穀物臭を低減させる方法
JP2016149975A (ja) 低糖質ビールテイストアルコール飲料およびその製造方法
JP2016123400A (ja) ビールテイストアルコール飲料およびその製造方法
JP6993109B2 (ja) 低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP6826840B2 (ja) 低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料
JP6567396B2 (ja) 高アルコールならではの嗜好性と飲みやすさを両立した発酵麦芽飲料
JP2017012092A (ja) 麦芽発酵飲料
WO2018051997A1 (ja) 低糖質ビールテイスト飲料
KR20220076417A (ko) 맥주맛 발효 맥아 음료
JP2007259763A (ja) 発酵麦芽飲料及びその製造方法
JP6691826B2 (ja) 蒸留酒類
JP7158264B2 (ja) 混和芋焼酎
JP7008453B2 (ja) ビールテイスト発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP6772034B2 (ja) 麹を用いた発酵麦芽飲料の製造方法
JP7249772B2 (ja) 麦芽香気を制御したビール風味発酵麦芽飲料
JP6498421B2 (ja) 複数の麦芽に由来する香気を共存させた発酵飲料
JP7018305B2 (ja) 高アルコール濃度のビールテイストアルコール飲料およびその製造方法
JPH07168A (ja) ビール類似の新規な発泡酒の製造法
JP7428715B2 (ja) 飲食品用組成物
TWI750331B (zh) 穀物香氣降低之麥芽飲料
JP6948835B2 (ja) 麦芽飲料及びその製造方法
JP2018000161A (ja) 蒸留酒類
JP2017123837A (ja) ビールテイスト飲料の渋味改善剤及びマイルドさ改善剤、並びにビールテイスト飲料の渋味改善方法及びマイルドさ改善方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6691826

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250