JP2017211405A - 画像形成装置および制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】滑材塗布機能の動作に影響を与えることなく、像担持体表面に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材量)を安定化する。
【解決手段】画像形成装置は、像担持体と、像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、転写後に像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、像担持体上に滑材を塗布するとともに、クリーニング装置の上流側において像担持体上に存在するトナーを回収する滑材塗布調整手段と、滑材塗布調整手段を制御する制御手段とを含む。制御手段は、像担持体上で形成されるトナー像の画像面積率が高いほど、滑材塗布調整手段により多くのトナーを回収するように制御する。
【選択図】図3

Description

本技術は、像担持体上に潤滑剤を供給する機能を有する画像形成装置、およびその画像形成装置における制御方法に関するものである。
従来から、複合機、複写機、プリンターといった電子写真方式の画像形成装置が広く普及している。このような電子写真方式の画像形成装置は、一般的には、回転駆動されながら表面にトナー像が形成される像担持体と、形成されたトナー像を転写体または媒体に転写する転写装置と、像担持体上の未転写トナーおよび転写残トナー等の残留トナーを除去するためのクリーニング装置とを含む。クリーニング装置としては、典型的には、弾性体からなる平板状のクリーニングブレードを像担持体の表面に当接し、これにより像担持体上の残留トナーを除去するブレードクリーニング方式が知られている。
このようなブレードクリーニング方式に関する先行技術として、特開2006−276065号公報(特許文献1)は、クリーニング手段の動作を、入力された画像信号より検知された平均画像密度に応じて制御することを特徴とする画像形成装置を開示する。
ブレードクリーニング方式では、特開2006−276065号公報(特許文献1)において言及されている平均画像密度の他にも種々の影響を受けて、クリーニング能力が変動し得る。このような変動要因の典型例として、クリーニングブレードのエッジ摩耗がある。エッジ部分が摩耗することで、像担持体に対する接触面積が増加し、それによってピーク圧が低減するため、クリーニング能力も低下する。このようなクリーニング能力の低下によって、トナーを拭き残す、すなわちクリーニング不良が発生する可能性が高まる。このような課題に対して、クリーニングブレードのクリーニング能力を高めるとともに、像担持体の感光層の減耗を抑制することを目的として、像担持体上に潤滑剤(以下、「滑材」とも称する。)を供給する滑材供給装置が設けられることがある。
このような滑材供給装置に関する先行技術として、特開2004−109513号公報(特許文献2)は、また廃トナーを潤滑剤として使うことによりトナーの無駄使いを防止し、トナーイールドを満足させる画像形成装置を開示する。
また、特開2006−235563号公報(特許文献3)は、画像面積が少ない画像が連続すると、クリーニング部のトナーの存在量が少ないために潤滑剤が削れにくくなり、感光体への潤滑剤の供給量が低下し、感光体の摩擦係数が低下しにくくなること、および、画像面積率が非常に高い画像が連続した場合、トナーの入力量が多くなり、ブラシ状ローラーが保持するトナーが多くなるので、感光体への塗布性が低下し、クリーニングブレードでせき止められたトナーにより感光体上の潤滑剤が掻き取られてしまうので、感光体の摩擦係数が高くなってしまうこと、といった課題を開示する。このような課題に対して、特開2006−235563号公報(特許文献3)は、直前の一定作像間隔の平均画像面積率5%以下であるときは、潤滑剤塗布動作前にクリーニング手段に意図的にトナーを入力し、直前の一定作像間隔の平均画像面積率20%以上であるときは、潤滑剤塗布動作時間を長くする、という解決手段を開示する。
特開2006−276065号公報 特開2004−109513号公報 特開2006−235563号公報
像担持体上に供給された滑材が本来の機能を適切に発揮するためには、像担持体表面に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材の量)を一定に保つことが好ましい。滑材被膜層の厚みを一定に保つためには、滑材塗布機能による滑材の単位時間当たりの供給量(以下、「滑材供給速度」とも称す。)とクリーニングブレードの先端にあるエッジ(以下、「ブレードエッジ」とも称す。)での滑材の単位時間当たりの回収量(以下、「滑材回収速度」とも称す。)とをバランスさせればよい。
ところが、クリーニングブレードが滑材被膜層を研磨して回収する滑材回収速度は、ブレードエッジに供給されるトナー量に依存することが知られている。画像形成時の画像面積率(以下、「カバレッジ」とも称す。)が変化すると、ブレードエッジに供給されるトナー量が変化するとともに、トナー量の変化に伴って滑材回収速度も変化することになる。この結果、滑材供給速度と滑材回収速度とバランスが崩れて、像担持体表面の滑材被膜層の厚みが変化してしまう。
特開2006−276065号公報(特許文献1)は、平均画像密度に応じた制御を行なうことは開示するものの、滑材供給装置を採用することについては何ら開示するものではなく、上述の課題を解決するようなものではない。また、特開2004−109513号公報(特許文献2)は、廃トナーを潤滑剤として使うことを開示するのみであり、上述の課題を解決するようなものではない。
一方、特開2006−235563号公報(特許文献3)は、上述した課題と類似の課題に対して、直前の一定作像間隔の平均画像面積率に応じて、潤滑剤塗布動作前にクリーニング手段に意図的にトナーを入力する、または、潤滑剤塗布動作時間を長くする、という解決手段を開示する。しかしながら、特開2006−235563号公報(特許文献3)に開示される解決手段によれば、潤滑剤塗布動作の開始が遅れる、または、潤滑剤塗布動作の動作時間が長くなるという課題が存在する。
そこで、本技術は、滑材塗布機能の動作に影響を与えることなく、像担持体表面に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材量)を安定化することを一つの目的とする。
本発明のある局面に従う画像形成装置は、像担持体と、像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、転写後に像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、像担持体上に滑材を塗布するとともに、クリーニング装置の上流側において像担持体上に存在するトナーを回収する滑材塗布調整手段と、滑材塗布調整手段を制御する制御手段とを含む。制御手段は、像担持体上で形成されるトナー像の画像面積率が高いほど、滑材塗布調整手段により多くのトナーを回収するように制御する。
好ましくは、制御手段は、画像面積率が高いほど、滑材塗布調整手段によるトナーの回収能力がより高まるよう制御するとともに、画像面積率が低いほど、滑材塗布調整手段によるトナーの回収能力がより低くなるよう制御する。
さらに好ましくは、滑材塗布調整手段は、像担持体に滑材を塗布するための第1の当接部材と、像担持体上に存在するトナーを回収するための第2の当接部材とを含む。
さらに好ましくは、第2の当接部材は、ブラシおよびローラーの少なくとも一方で構成され、制御手段は、第2の当接部材の回転数および回転方向の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する。
さらに好ましくは、第2の当接部材は、導電性を有している部材から構成され、制御手段は、第2の当接部材に印加するバイアス電圧の大きさおよび極性の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する。
好ましくは、滑材塗布調整手段は、像担持体に滑材を塗布するとともに、トナーを回収するための当接部材を含む。
好ましくは、制御手段は、当接部材の回転数および回転方向の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する。
好ましくは、制御手段は、トナー像の画像面積率として、像担持体上の画像形成領域全体での平均画像面積率を用いる。
好ましくは、制御手段は、像担持体の主走査方向に沿って複数の領域に分割した各領域の画像面積率の最低値を画像面積率として採用する。
好ましくは、制御手段は、予め定められた条件が成立すると、像担持体上に画像面積率に応じたパッチ画像に基づくトナー像を形成するとともに、パッチ画像に対応するトナー像に対して、滑材塗布調整手段の制御を実行する。
さらに好ましくは、予め定められた条件は、画像形成装置の電源投入時、入力画像に対する画像形成実行前、入力画像に対する画像形成実行後の少なくとも1つを含む。
さらに好ましくは、予め定められた条件は、像担持体の総使用時間、現像装置の総使用時間、画像形成装置での画像形成が実行されずに放置されていた時間、画像形成装置の設置環境の少なくとも1つに基づいて決定される。
さらに好ましくは、制御手段は、パッチ画像の画像面積率は、滑材塗布調整手段の制御に用いる画像面積率から除外する。
本発明の別の局面に従えば、画像形成装置における制御方法が提供される。画像形成装置は、像担持体と、像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、転写後に像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、像担持体上に滑材を塗布するとともに、クリーニング装置の上流側において像担持体上に存在するトナーを回収する滑材塗布調整手段とを含む。制御方法は、像担持体上で形成されるトナー像の画像面積率を取得するステップと、取得された画像面積率が高いほど、滑材塗布調整手段により多くのトナーを回収するように制御するステップとを含む。
本技術によれば、滑材塗布機能の動作に影響を与えることなく、像担持体表面に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材量)を安定化できる。
本実施の形態に従う画像形成装置の全体構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う画像形成装置のイメージングユニットの模式図である。 本実施の形態に従う画像形成装置における滑材被膜層の安定化処理の概要を説明するための模式図である。 感光体上のトナー量とクリーニングブレードのブレードエッジによる滑材回収速度との関係を概略的に示す模式図である。 本実施の形態に係る第1の構成例に従うイメージングユニットの概略構成を示す模式図である。 図5に示すイメージングユニットでのトナーおよび滑材の挙動を説明する模式図である。 本実施の形態に従う画像形成装置におけるカバレッジの算出方法の一例を説明するための図である。 本実施の形態に従う画像形成装置における制御手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る第2の構成例に従うイメージングユニットの概略構成を示す模式図である。 図9に示すイメージングユニットでのトナーおよび滑材の挙動を説明する模式図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
<A.全体装置構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置100の全体装置構成について説明する。以下では、典型例として、複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)として実装されるカラー画像形成装置である画像形成装置100について説明するが、カラー画像形成装置に限定されるわけではなく、モノクロ画像形成装置にも適用可能である。また、カラー画像を形成する機構として、タンデム方式を例示するが、サイクル方式(典型的には、4サイクル方式)にも適用可能である。
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の全体構成を示す模式図である。図1を参照して、画像形成装置100は、プリントエンジン110と、原稿読取部120と、給紙部130とを含む。
プリントエンジン110は、電子写真方式の画像形成プロセスを実行する。図1に示す構成においては、フルカラーの印刷出力が可能である。印刷出力された媒体Sは、下流工程へ排出される。
原稿読取部120は、原稿を読み取って、その読み取り結果をプリントエンジン110に対する入力画像として出力する。より具体的には、原稿読取部120は、イメージスキャナー122と、原稿給紙台124と、原稿自動送り装置126と、原稿排紙台128とを含む。
イメージスキャナー122は、プラテンガラス上に配置された原稿をスキャンする。イメージスキャナー122は、主要な構成要素として、原稿に対して光を照射する光源と、光源から照射された光が原稿で反射して生じる画像を取得するイメージセンサーと、イメージセンサーから画像信号を出力するためのAD(Analog to Digital:アナログデジタル)変換器と、イメージセンサーの前段に配置された結像光学系とを含む。
原稿自動送り装置126は、原稿給紙台124に配置された原稿を連続的にスキャンする。原稿給紙台124上に配置された原稿は、図示しない送出ローラーにより1枚ずつ送り出され、イメージスキャナー122または原稿自動送り装置126内に配置されたイメージセンサーによって順次スキャンされる。スキャン後の原稿は、原稿排紙台128へ排出される。
給紙部130は、媒体Sをプリントエンジン110へ順次供給する。具体的には、給紙部130は、保持している媒体Sを送出ローラー30によって順次送り出すとともに、この送り出される媒体Sを搬送経路32に沿ってプリントエンジン110へ搬送する。
プリントエンジン110では、給紙部130から供給された媒体Sが搬送経路34に沿って排出口まで搬送される。媒体Sが搬送経路34に沿って搬送される過程において、定着装置20がトナー像を媒体Sへ転写および定着させる。定着装置20は、加圧ローラー22および加熱ローラー24を含み、中間転写体6上に形成されたトナー像を媒体Sへ転写する。
プリントエンジン110は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれのトナー像を形成するイメージングユニット10C,10M,10Y,10K(以下、「イメージングユニット10」と総称することもある。)を含む。
図1には、それぞれのイメージングユニット10が形成したトナー像を、中間転写体を介して被転写部材である媒体Sに転写する構成を例示する。画像形成装置100は、中間転写体として、中間転写体駆動ローラー14,15,16により張架された中間転写体6を含む。中間転写体6は、中間転写体駆動ローラー14,15,16の回転駆動により、所定方向に回動される。中間転写体6としては、図1に示す中間転写ベルトに代えて、中間転写ローラーを採用してもよい。なお、図1には、トナー像を中間転写体に一旦転写した後、定着装置20によって媒体Sへ転写する構成について例示するが、感光体1上のトナー像を媒体Sに直接転写するようにしてもよい。
イメージングユニット10C,10M,10Y,10Kは、プリントエンジン110内に張架されて回転駆動される中間転写体6に沿って、その順序に配置される。イメージングユニット10の各々は、中間転写体6を挟んで対向配置される、感光体1および中間転写装置5を含む。感光体1の周囲には、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、クリーニング装置とが配置されている。これらの装置の詳細については後述する。
プリントエンジン110は、画像形成装置100の全体制御を司る制御部50を含む。制御部50は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリー、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリー、および、各種インターフェイスを含む。典型的には、プリントエンジン110では、プロセッサが不揮発性メモリーに格納されている各種プログラムを実行することで、画像形成装置100における画像形成に係る処理等が実行される。
制御部50としては、プロセッサがプログラムを実行することで実現されるが、これに代えて、その処理の全部または一部を専用のハードウェアを用いて実現してもよい。また、プロセッサがプログラムを実行する場合には、そのプログラムは、各種の記録媒体を介して不揮発性メモリーにインストールされ、あるいは、通信回線を介して図示しないサーバー装置等からダウンロードされてもよい。
<B.イメージングユニットおよび画像形成動作>
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100のプリントエンジン110を構成するイメージングユニット10の構成、および、イメージングユニット10を用いた画像形成動作について説明する。
図2は、本実施の形態に従う画像形成装置100のイメージングユニット10の模式図である。図2を参照して、感光体1の周囲には、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置4と、クリーニング装置8とが配置されている。
感光体1は、トナー像を担持する像担持体であり、その表面に感光層が形成された感光体ローラーが用いられる。感光体1は、その表面にトナー像が形成されるように配置されるとともに、中間転写体6の回転方向に対応する方向に回転する。なお、像担持体としては、感光体ローラーに代えて、感光体ベルトを採用してもよい。感光体1には、露光装置3により静電潜像が形成されるとともに、現像装置4によって静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
帯電装置2は、帯電チャージャなどを含み、感光体1の表面を所定電位に一様に帯電する。
露光装置3は、レーザー書き込み等により、指定された画像パターンに従って感光体1の表面を露光することで、その表面上に静電潜像を形成する。典型的には、露光装置3は、レーザー光を発生するレーザダイオードと、主走査方向に沿ってレーザー光を感光体1の表面を露光させるポリゴンミラーとを含む。
現像装置4は、感光体1と現像領域を介して対向するように配置された現像スリーブ42を有しており、現像スリーブ42を用いて、感光体1上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。現像スリーブ42には、例えば、帯電装置2の帯電極性と同極性の直流電圧に対して交流電圧を重畳した現像バイアスが印加されており、この現像バイアスによって、露光装置3によって形成された静電潜像にトナーが付着する。
現像装置4において用いられる現像剤としては、典型的には、トナーとトナーを帯電するためのキャリアとを含む二成分系の現像剤を用いることができる。トナーとしては、特に限定されることはなく、公知のトナーを用いることができる。例えば、バインダー樹脂中に着色剤、および、必要に応じて荷電制御剤および離型剤等を含有させた上で、外添剤を付加したものをトナーとして使用してもよい。外添剤としては、シリカやチタンといった微粒子の金属酸化物を使用でき、30nmといった小粒径のものから、100nmといった比較的大きな粒径のものを使用してもよい。トナー粒径としては、特に限定されることなく、例えば、3〜15μm程度が好ましい。キャリアとしては、特に限定されることなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば、バインダー型キャリア、コート型キャリア等を使用できる。キャリア粒径としては、特に限定されることはなく、例えば、15〜100μmが好ましい。なお、二成分系の現像剤に限らず、一成分系の現像剤(トナー)を用いてもよい。
現像装置4により感光体1上に形成されたトナー像は、感光体1と中間転写装置5との間に形成される転写領域に運ばれる。中間転写装置5にはトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加されており、この転写バイアスによって、転写領域において、感光体1上のトナー像は中間転写体6へ転写される。このように、中間転写装置5は、トナー像を被転写媒体である中間転写体6に転写する。
転写領域において中間転写体6へ転写されずに感光体1上に残ったトナーは、クリーニング装置8に搬送されて、クリーニング装置8で除去される。クリーニング装置8は、転写後に感光体1上に残留するトナーを回収する。さらに、クリーニング装置8により表面のトナーが除去された感光体1は、再び帯電装置2により帯電され、次の静電潜像およびトナー像が形成される。このような一連の画像形成動作が繰返される。
クリーニング装置8としては、一般的には、弾性体からなる平板状のクリーニングブレードを感光体1の表面に当接し、これにより感光体1上の残留トナーをするブレードクリーニング方式が採用される。
本実施の形態に従うイメージングユニット10においては、クリーニングブレードのトナーに対するクリーニング能力を高めるとともに、感光体1の感光層の減耗を抑制することを目的として、感光体1上に滑材を供給する機能が実装されている。
具体的には、イメージングユニット10のクリーニング装置8(クリーニングブレード)の上流側には、滑材塗布調整機構7が配置される。滑材塗布調整機構7は、感光体1上に滑材を供給するとともに、感光体1上のトナー量を調整することで、感光体1表面に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、感光体1表面に存在する滑材量)を安定化する。すなわち、滑材塗布調整機構7は、感光体1上に滑材を塗布するとともに、クリーニング装置8の上流側において感光体1上に存在するトナーを回収する。滑材塗布調整機構7は、制御部50によって制御される。滑材塗布調整機構7の構造および挙動などについては、後述する。
<C.課題および解決手段>
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100が解決しようとする課題およびその解決手段について説明する。
本実施の形態に従う滑材を供給する機構は、感光体1の表面に滑材を塗布する。この滑材塗布構成は、主として、感光体1に当接して回転する塗布ブラシと、塗布ブラシに圧接する固形滑材とから構成される。塗布ブラシが回転して、固形滑材の一部を削り取るとともに、固形滑材から削り取られた滑材粉を感光体1に搬送することで、感光体1表面に供給する。感光体1に搬送された滑剤粉は、通常、その下流側に配置された固定化機構(例えば、感光体1に当接する固定化ブレード)により、感光体1上で引き伸ばされて製膜されることで、感光体1表面に滑材被膜層が形成される。
固形滑材としては、脂肪酸金属塩の脂肪酸を主成分とするものが用いられる。脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、直鎖状の炭化水素が好ましく、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好ましく、ステアリン酸が一層好ましい。脂肪酸金属塩の金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チタン、鉄等が挙げられる。これらの中で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄等が好ましく、特に、ステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
感光体1表面の滑材被膜層の厚みには適正範囲が存在する。適正範囲から外れて、滑材被膜層が薄すぎると、クリーニング不良、および、粒状ノイズやスジ状の画像ムラなどの画像性能劣化といった不具合が発生し、逆に、滑材被膜層が厚すぎると、クリーニングブレードのエッジ摩耗が促進されてしまう。さらに、感光体1表面の滑材被膜層の厚みにムラがあると、画像濃度および画質にバラツキを生じる。すなわち、画像性能および画質の安定化のためにも、滑材量のムラを所定範囲内に収める必要がある。
一方、クリーニング装置8を構成するクリーニングブレードは、感光体1表面に当接して感光体1上の未転写トナーおよび転写残トナー等の残留トナーを回収する。このとき、感光体1に当接するクリーニングブレードのブレードエッジは、滑材被膜層を研磨することが分かっている。
このような知見に基づけば、滑材被膜層の厚みを一定(あるいは、感光体1表面に存在する滑材の量)に保つためには、滑材塗布機能による滑材供給速度とクリーニングブレードのブレードエッでの滑材回収速度とをバランスさせればよい。
ところが、クリーニングブレードが滑材被膜層を研磨して回収する滑材回収速度は、ブレードエッジに供給されるトナー量に依存する。画像形成時の画像面積率(カバレッジ)が変化すると、ブレードエッジに供給されるトナー量が変化するとともに、滑材回収速度も変化することになる。この結果、滑材供給速度と滑材回収速度とバランスが崩れて、像担持体表面の滑材被膜層の厚みが変化してしまう。すなわち、感光体1上に存在するトナー量に影響を受けずに、滑材供給速度と滑材回収速度とをバランスさせることは容易ではない。
本実施の形態においては、感光体1上に形成されるトナー像のカバレッジの情報に基づいて、滑材塗布調整機構7が滑材を塗布するのと併せて、または、滑材塗布調整機構7が滑材を塗布するのと同時に、滑材塗布調整機構7による感光体1上のトナーに対する掻き取り力を調整することで、滑材塗布調整機構7の下流側に配置されたクリーニング装置8(クリーニングブレード)に到達するトナー量を制御する。すなわち、クリーニングブレードのブレードエッジによる滑材被膜層に対する研磨量を調整することで、滑材供給速度と滑材回収速度とをバランスさせる。
これは次のようなメカニズムによるものと考えられる。すなわち、トナーに外添処理されている外添剤は、感光体1上において、トナーから離脱する。この離脱した外添剤は、ブレードエッジが感光体1に当接する部分の上流側に滞留する。外添剤は、シリカやチタンといった微粒子の金属酸化物(無機微粒子)であり、感光体1表面を研磨することになる。このような外添剤の溜り量は、回収するトナー量に応じて変化するので、結果として、回収されるトナー量に応じてクリーニング装置8での滑材の回収量を変化させることができる。
後述するように、滑材塗布調整機構7としては、別体の構成または一体の構成によって、滑材を塗布する機能(滑材塗布機能)およびトナーを回収する機能(トナー回収機能)を実現する。
図3は、本実施の形態に従う画像形成装置100における滑材被膜層の安定化処理の概要を説明するための模式図である。図4は、感光体1上のトナー量とクリーニングブレードのブレードエッジによる滑材回収速度との関係を概略的に示す模式図である。
まず、図3(a)に示すように、感光体1に形成されるトナー像が中間転写体6へ転写された後の残留トナー(未転写トナーおよび転写残トナー等)の量は、基本的には、カバレッジの大きさに比例することになる。一方、滑材塗布調整機構7の滑材塗布機能により感光体1へ塗布される滑材の滑材供給速度は、感光体1に当接して回転する塗布ブラシの回転速度やバイアス電圧などが変化しない限り、カバレッジによらず一定である。
従来構成においては、図3(a)に示すような、カバレッジに依存する、トナー量と滑材量とのバランスに従って、クリーニング装置8(クリーニングブレード)によるクリーニングが実施される(図3(c)参照)。具体的には、図4に示すように、クリーニング装置8(クリーニングブレード)による滑材被膜層の研磨効果の大きさは、感光体1上の残留トナー量(すなわち、直前画像のカバレッジ)に比例することになる。
その結果、図3(c)に示すように、感光体1から単位時間あたりに回収される滑材の量(滑材回収速度)は、カバレッジの大きさに比例することになる。その結果、カバレッジの低い状態が続くと、滑材被膜層が薄くなり、クリーニング不良、および、粒状ノイズやスジ状の画像ムラなどの画像性能劣化といった不具合が発生し得る。逆に、カバレッジの高い状態が続くと、滑材被膜層が厚くなり、クリーニングブレードのエッジ摩耗が促進されてしまう。また、感光体1上に生じ得るカバレッジの局所的な変動によって、滑材被膜層の厚さのバラツキが生じることで、クリーニング性能および画像品質に悪影響を与え得る。
本実施の形態に従う画像形成装置100では、クリーニング装置8(クリーニングブレード)の上流側に、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能を配置することで、クリーニングブレードを通過する感光体1上に存在するトナー量を調整する。これにより、クリーニングブレードによる滑材被膜層に対する研磨効果がカバレッジに影響されることを低減する。
図3(c)に示すように、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能は、カバレッジが高いほどより多くのトナーを感光体1上から回収し、逆に、カバレッジが低いほど感光体1上から回収するトナーの量を低減する。これによって、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能を通過する感光体1上のトナー量をカバレッジに影響されることなく、より均一化できる。
このようなトナー回収機能を適用することで、クリーニングブレードを通過する感光体1上に存在するトナー量が均一化し、その結果、クリーニングブレードによる滑材被膜層に対する研磨効果(すなわち、滑材回収速度)も均一化する。このような滑材被膜に対する研磨効果に対するカバレッジの影響を低減させることで、滑材供給速度と滑材回収速度との間のバランスを維持することができ、次のトナー像を形成するサイクルにおいても、感光体1表面の滑材被膜層の厚みを適正範囲に維持できる。この図3(b)に示す作用をまとめると、以下のようになる。
(1)カバレッジが低い場合(低カバレッジ時)
滑材塗布調整機構7のトナー回収機能によるトナー回収能力を抑制し、クリーニングブレードに供給されるトナー量をより多くする。低カバレッジ時には、残留トナー量が減るので、クリーニングブレードに到達するトナー量が減少することで滑材回収速度が低減するが、これを抑制する。
(2)カバレッジが高い場合(高カバレッジ時)
滑材塗布調整機構7のトナー回収機能によるトナー回収能力を増加させ、クリーニングブレードに供給されるトナー量をより少なくする。高カバレッジ時には、残留トナー量が増えるので、クリーニングブレードに到達するトナー量が増加することで滑材回収速度が増大するが、これを抑制する。
滑材塗布調整機構7のトナー回収機能によるトナー回収能力の調整は、例えば、トナーの帯電量および帯電電極に応じたバイアス電圧の調整、感光体1に当接して回転する塗布ブラシの回転速度の調整、などの任意の方法を用いることができる。これらの具体的な方法については、後述する。
このような滑材供給速度と滑材回収速度との間のバランスを維持するための制御は、制御部50によって実行される。より具体的には、制御部50は、図3(c)に示すように、感光体1上で形成されるトナー像の画像面積率(カバレッジ)が高いほど、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能により多くのトナーを回収するように制御するとともに、トナー像の画像面積率(カバレッジ)が低いほど、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能によるトナーの回収を抑制するように制御する。
すなわち、制御部50は、カバレッジが高いほど、滑材塗布調整機構7によるトナーの回収能力がより高まるよう制御するとともに、カバレッジが低いほど、滑材塗布調整機構7によるトナーの回収能力がより低くなるよう制御する。
上述したような解決手段を採用することで、本実施の形態に従う画像形成装置100では、カバレッジが変化しても、滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材の量)になるべく変動を与えず、安定化することができる。
<D.第1の構成例>
次に、上述したような本実施の形態における解決手段を具現化した一実施例として、第1の構成例に従うイメージングユニット10について例示する。
(d1:装置構成)
図5は、本実施の形態に係る第1の構成例に従うイメージングユニット10の概略構成を示す模式図である。図6は、図5に示すイメージングユニット10でのトナーおよび滑材の挙動を説明する模式図である。
図5および図6には、滑材塗布調整機構7のトナーを回収する機能(トナー回収機能)と滑材を塗布する機能(滑材塗布機能)とが、クリーニング装置8を挟んで分離配置されているイメージングユニット10の構成例を示す。具体的には、イメージングユニット10は、図中A方向に沿って上流側から順に、トナー回収機能を発揮する回収ブラシ70、クリーニング装置8(クリーニングブレード82および搬送スクリュー84)、滑材塗布装置72、固定化機構(固定化ブレード78)が配置されている。
クリーニング装置8は、クリーニングブレード82と、トナーを搬送する搬送スクリュー84とを含む。クリーニングブレード82は、典型的には、シート状に加工されたポリウレタンゴムなどから構成される。搬送スクリュー84が回転駆動することで、クリーニングブレード82で回収したトナーを図示しない図示しないトナー収容部へ搬送する。
滑材塗布装置72は、クリーニング装置8の下流側に配置される。滑材塗布装置72は、感光体1に当接して回転する塗布ブラシ74と、塗布ブラシ74に圧接する固形滑材75とから構成される。塗布ブラシ74が回転して、固形滑材75の一部を削り取るとともに、固形滑材75から削り取られた滑材粉を感光体1に搬送することで、感光体1表面に供給する。感光体1に搬送された滑剤粉は、通常、その下流側に配置された固定化機構(図5および図6に示す例では、固定化ブレード78)により、感光体1上で引き伸ばされて製膜されることで、感光体1表面に滑材被膜層が形成される。
塗布ブラシ74は、ロール状のブラシ部材であり、感光体1と逆方向に回転するように構成されている。固形滑材75は、塗布ブラシ74に対して圧縮バネなどからなる押圧部材76により押圧保持されている。
固形滑材75は、典型的には、金属石鹸の粉体を溶融整形したものを用いることができる。例えば、固形滑材75は、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を用いることができる。ステアリン酸亜鉛で形成された皮膜は離型性が高く(すなわち、純水接触角が高く)、摩擦係数が小さいことが特徴であり、転写性およびクリーニング性がよく、また感光体1の減耗も抑制されて長寿命化が達成できる。
固定化ブレード78は、クリーニングブレード82と同様に、シート状に加工されたポリウレタンゴムなどから構成される。固定化ブレード78の当接方向としては、感光体1に対して引きずる方向に当接(トレーリング当接)することが好ましい。
図6を参照して、感光体1上に存在する残留トナーは、クリーニング装置8のクリーニングブレード82によって回収されることになる。また、感光体1上に存在する滑材の一部は、滑材塗布装置72の塗布ブラシ74によって回収されるとともに、固形滑材75から削り取られた滑材粉と混ざって、再度、感光体1へ塗布されることになる。
次に、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能として、クリーニング装置8の上流側に回収ブラシ70が配置される。回収ブラシ70は、ロール状の導電性ブラシ部材であり、感光体1と同方向に回転するように構成される。回収ブラシ70の回転によって感光体1上に存在する残留トナーの一部を回収し、回収されたトナーは、フリッカ部材(不図示)により回収ブラシ70から掻き落とされて、収容部に回収される。
図6に示す状態において、クリーニング装置8のクリーニングブレード82がトナーを掻き取るとともに、トナーに外添処理されている外添剤の一部がトナーから離脱する。離脱した外添剤の大部分は、クリーニングブレード82が感光体1に当接する部分の上流位置に溜まり、その内の一部がクリーニングブレード82を通過する。塗布ブラシ74は、外添剤を掻き取るとともに滑材を供給する。
図5に示すように、第1の構成例に従う滑材塗布調整機構7は、感光体1に滑材を塗布するための当接部材としての塗布ブラシ74を有するとともに、感光体1上に存在するトナーを回収するための当接部材としての回収ブラシ70を有する。なお、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能として、ロール状の導電性ブラシ部材ではなく、導電性を有するローラーであってもよい。
回収ブラシ70が感光体1から回収するトナー量(トナー回収能力/トナー回収速度)を制御することで、回収ブラシ70の下流側に配置されたクリーニング装置8が感光体1から回収する滑材量(滑材回収速度)を制御することができる。
回収ブラシ70によるトナー回収能力の制御は、典型的には、画像形成時のカバレッジに基づいて実行される。トナー回収能力を調整する手段としては、回収ブラシ70の回転数および/または回転方向、ならびに、回収ブラシ70に印加するバイアス電圧の大きさおよび/または極性を調整する方法を採用できる。
より具体的には、感光体1上に存在するトナーを回収するための当接部材としての回収ブラシ70または回収ローラーを採用した場合には、制御部50は、当該当接部材(回収ブラシ70または回収ローラー)の回転数および回転方向の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する。また、感光体1上に存在するトナーを回収するための当接部材として導電性の部材を採用した場合には、制御部50は、当該当接部材に印加するバイアス電圧の大きさおよび極性の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する。
このようなトナー回収能力の制御の具体例については、後述の効果確認のための実験例などにおいて例示している。
(d2:トナー回収能力の制御)
本実施の形態に従う画像形成装置100は、画像形成時のカバレッジに基づいて、滑材塗布調整機構7のトナーを回収する機能(トナー回収機能)によるトナー回収能力を制御する。このとき、基本的には、先に形成されたトナー像についてのカバレッジを用いることになる。
画像形成装置100において印刷対象となる画像データは、典型的には、制御部50(図1)の内蔵メモリーに一旦格納され、格納された順番に順次読み出されることになる。制御部50は、先に印刷した画像(先に形成されたトナー像)について、画像部(トナーを付着すべき領域)と非画像部(トナーを付着すべきではない領域)との面積(典型的には、各領域に含まれるドット数)を算出し、画像部と非画像部との比率からカバレッジの値を算出する。なお、直前の1枚の画像からカバレッジを算出するようにしてもよいし、過去の所定枚数または所定期間に亘って印刷された画像からカバレッジを算出するようにしてもよい。
図7は、本実施の形態に従う画像形成装置100におけるカバレッジの算出方法の一例を説明するための図である。図7(a)を参照して、一般的には、感光体1表面の内側にある所定幅の領域に亘ってトナー像を形成することができ、その領域が画像形成領域12となる。制御部50は、トナー回収能力の制御に用いるためのトナー像のカバレッジとして、感光体1上の画像形成領域12全体での平均画像面積率(平均カバレッジ)を用いるようにしてもよい。
このような領域全体の平均値ではなく、局所的なカバレッジを用いてもよい。例えば、図7(b)に示すように、通紙方向を幅方向で複数に分割した分割領域12−1〜12−4の各々についてカバレッジを算出し、それぞれのカバレッジから代表値を決定するようにしてもよい。
本実施の形態においては、低カバレッジ時であるほどシビアになるので、算出されたそれぞれのカバレッジのうち、最低の値を画像面積率として用いるようにすることが好ましい。このように、制御部50は、感光体1の主走査方向に沿って複数の領域に分割した各領域の画像面積率の最低値を画像面積率として採用するようにしてもよい。
あるいは、状況によっては、分割領域12−1〜12−4の中間値または最大値を用いるようにしてもよい。
また、図1に示すように、複数の色のトナー像を重ねてカラー画像を形成する場合には、各色(色レイヤ毎)にカバレッジをそれぞれ算出し、それらを用いてもよい。あるいは、トナー像を重ねる際に、別色のトナー像からの逆転写もあるので、各色のカバレッジを平均化した値を用いてもよい。カバレッジの算出方法については、装置構成などに応じて、より最適なものを採用するようにすればよい。
(d3:パッチ画像に基づくトナー像の形成)
本実施の形態に従う画像形成装置100における滑材被膜層の安定化処理は、通常のプリント処理に対しても適用可能であるが、いわゆるパッチ画像に基づくトナー像の形成時にも適用可能である。感光体1およびクリーニング装置8の保護等の観点から、通常の画像形成処理(すなわち、入力画像に応じた画像形成処理)とは別に、所定条件が満たされると、いわゆるパッチ画像に基づくトナー像が形成され、そのトナー像に対して、クリーニングなどの処理を実施することで、感光体1上に存在するトナー量などが調整される。このような場合においても、本実施の形態に従う滑材被膜層の安定化処理が実施されてもよい。
より具体的には、画像形成装置100の制御部50は、予め定められた条件が成立すると、感光体1上にパッチ画像に基づくトナー像を形成する。そして、このパッチ画像に対応するトナー像に対しても、制御部50は、滑材塗布調整機構7の制御を実行する。
パッチ画像に基づくトナー像を形成するタイミングとしては、通常の画像形成処理が実行されていない期間が好ましい。例えば、画像形成装置100の電源投入時(初期化時)、入力画像に対する画像形成実行前、入力画像に対する画像形成実行後などのいずれかを含むようにしてもよい。
また、パッチ画像に基づくトナー像を形成する条件は、クリーニング性能の劣化、画像性能の劣化、感光体1の寿命の短縮化といった事態を避けるべき条件を含む。具体的には、感光体1の総使用時間、現像装置4の総使用時間、画像形成装置100での画像形成が実行されずに放置されていた時間、画像形成装置100の設置環境(温度や湿度など)のいずれかを含むようにしてもよい。あるいは、これらの要因を複合させて算出される度合いなどに基づいて、パッチ画像に基づくトナー像を形成する条件を決定してもよい。
このようなトナー像を形成するためのパッチ画像は、予め定められたパターン、または、実行タイミングにおける条件に応じて決定することが好ましい。この場合、直前の画像面積率に応じた画像面積率を有するパッチ画像を用いるようにしてもよい。例えば、直前の画像形成処理においてより高い画像面積率の画像が形成されていた場合には、パッチ画像の画像面積率を低下させ、逆に、直前の画像形成処理においてより低い画像面積率の画像が形成されていた場合には、パッチ画像の画像面積率を上昇させることが好ましい。
なお、パッチ画像に基づくトナー像の形成は、画像安定化処理の一部として実施されることもあり、このような点を考慮すると、本実施の形態に従う滑材被膜層の安定化処理において、当該パッチ画像に基づいて形成されたトナー像のカバレッジは、その後の滑材被膜層の安定化処理に反映しないようにすることが好ましい。すなわち、画像形成装置100の制御部50は、パッチ画像の画像面積率を、滑材塗布調整機構7の制御に用いる画像面積率から除外することが好ましい。
以上のようなパッチ画像に基づくトナー像の形成およびそれに対する滑材塗布調整機構7の制御を実行することで、滑材被膜層をより安定化させることができる。
(d4:処理手順)
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100における制御手順について説明する。図8は、本実施の形態に従う画像形成装置100における制御手順を示すフローチャートである。図8に示す各ステップは、典型的には、制御部50が予めインストールされた制御プログラムを実行することで実行される。
まず、制御部50は、パッチ画像に基づくトナー像を形成すべき条件が満たされているか否かを判断する(ステップS2)。パッチ画像に基づくトナー像を形成すべき条件が満たされている場合(ステップS2においてYESの場合)には、制御部50は、形成すべきパッチ画像のトナー像に応じたカバレッジを取得し(ステップS4)、ステップS10以下の処理を実行する。
これに対して、パッチ画像に基づくトナー像を形成すべき条件が満たされていない場合(ステップS2においてNOの場合)には、制御部50は、印刷対象の入力画像が存在するか否かを判断する(ステップS6)。印刷対象の入力画像が存在しない場合(ステップS6においてNOの場合)には、ステップS2の処理が繰返される。
印刷対象の入力画像が存在する場合(ステップS6においてYESの場合)には、制御部50は、印刷対象の入力画像のカバレッジを取得し(ステップS8)、ステップS10以下の処理を実行する。
ステップS10において、制御部50は、取得したカバレッジに応じて、滑材塗布調整機構7のトナー回収機能でのトナー回収能力を決定し(ステップS10)、決定したトナー回収能力に応じて、回収ブラシ70の回転速度、回転方向、バイアス電圧などを調整する(ステップS12)。すなわち、制御部50は、感光体1上で形成されるトナー像の画像面積率(カバレッジ)を取得するステップ(ステップS4,S8)を実行し、続いて、取得された画像面積率が高いほど、滑材塗布調整機構7により多くのトナーを回収するように制御する(ステップS12)。逆に言えば、制御部50は、取得された画像面積率が低いほど、滑材塗布調整機構7によるトナーの回収を抑制するように制御する。
最終的に、制御部50は、画像面積率に応じたパッチ画像に基づくトナー像、または、入力画像に応じたトナー像についての、画像形成処理を実行する(ステップS14)。そして、処理は終了する。図8に示す処理は、所定周期で繰返し起動されることになる。
<E.第1の構成例に対する効果確認結果>
上述した本実施の形態に従う画像形成装置100(第1の構成例)での感光体1表面に形成される滑材被膜層を安定化させる効果を確認するいくつかの実験(実施例1〜3および比較例1〜2)を行なった結果を以下に示す。
具体的な装置構成としては、実施例および比較例ともに、図5および図6に示す、第1の構成例に従うイメージングユニットに沿って、感光体1、現像装置4、中間転写装置5、滑材塗布調整機構7(滑材塗布機能およびトナー回収機能)、クリーニングブレード等を以下のように設定した。ベースとなる画像形成装置としては、コニカミノルタ社製デジタル印刷システム「bizhub PRESS C1070」をベースとした実験機を用いた。
(1)感光体1
感光体1としては、アルミニウムからなるドラム状の金属基体の外周面に、ポリカーボネート樹脂よりなる厚さ25μmの感光層が形成されたドラム状の有機感光体を用いた。感光体1は、400mm/secで回転させた。
(2)現像装置4
現像装置4としては、線速度600mm/minで回転駆動される現像スリーブを有し、この現像スリーブに感光体1の表面電位と同極性のバイアス電圧が印加され、二成分現像剤によって反転現像が行なわれるものを用いた。
トナーとしては、トナーとトナーを帯電するためのキャリアとを含む二成分系の現像剤を用いた。トナー粒子としては、乳化重合法により製造された、体積平均粒径が6.5μmのものを用いた。トナー粒子には負帯電性を付与している。トナーには、シリカおよびチタニアといった微粒子が外添処理されたものを用いた。
(3)中間転写装置5
中間転写体6としては、導電性を付与したポリイミド樹脂からなる無端状のベルトを用い、ベルトを介して感光体1に圧接させ、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加する転写ローラーを設けた構成を用いた。
(4)滑材塗布調整機構7(滑材塗布機能)
塗布ブラシ74としては、導電性ナイロン繊維(抵抗10Ω、太さ20μm、繊維密度3.0×10本/m)からなる、ブラシ毛長さが3mmの導電性ファーブラシを用いてロール状に形成した。塗布ブラシ74のローラー径をφ14mmに構成した。塗布ブラシ74に対して、固形滑材を圧縮バネでできた押圧部材により押圧保持するように構成した。また、固形滑材としては、金属石鹸の粉体を溶融整形したものを用い、金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛を用いた。
塗布ブラシ74の回転方向は、感光体1の回転方向に対して逆方向(カウンター)に設定し、感光体1の回転速度に対する塗布ブラシ74の回転速度の比である相対速度θ2を標準として0.5に固定した。
(5)滑材塗布調整機構7(滑材塗布機能)
回収ブラシ70としては、導電性ナイロン繊維(抵抗10Ω、太さ20μm、繊維密度3.0×10本/m)からなる、ブラシ毛長さが3mmの導電性ファーブラシを用いてロール状に形成した。回収ブラシのローラー径をφ14mmに構成した。
回収ブラシ70の回転方向は、感光体1の回転方向に対して同方向(ウィズ)に設定し、感光体1の回転速度に対する回収ブラシ70の回転速度の比である相対速度θ1を0.5〜2.0の範囲で可変させた。
(6)クリーニングブレード82
クリーニングブレード82としては、ウレタンゴムよりなる反発弾性率が50%(25℃)、JIS A硬度が70°、厚さが2.00mm、自由長が10mm、幅が324mmのものを用いた。クリーニングブレード82について、感光体1に対する当接荷重が20N/m、当接角が15°となるように設定した。
以下、実施例1〜3および比較例1〜2のそれぞれの実験条件について説明する。
(e1.実施例1および比較例1〜2)
実施例1は、画像面積率(カバレッジ)に応じて、滑材塗布調整機構7の回収ブラシ70の回転数を制御した場合の効果を検証するための条件設定例である。この実施例1の設定を比較対象の条件設定(比較例1および比較例2)と対比して、以下の表に示す。
実施例1においては、図5に示すイメージングユニット10の構成において、回収ブラシ70の回転数をカバレッジの大きさに応じて変化させた。一方、比較例1においては、図5に示すイメージングユニット10の構成において、回収ブラシ70の回転数をカバレッジの大きさにかかわらず一定にした。また、比較例2においては、回収ブラシ70を用いていない。
いずれの場合も、回収ブラシ70の回転方向は、感光体1と同方向に設定し、回収ブラシ70にはバイアス電圧として+200Vを印加した。
Figure 2017211405
(e2.実施例2)
実施例2は、画像面積率(カバレッジ)に応じて、滑材塗布調整機構7の回収ブラシ70の回転方向および回転数を制御した場合の効果を検証するための条件設定例である。この実施例2の設定を以下の表に示す。上述の実施例1と同様に、回収ブラシ70にはバイアス電圧として+200Vを印加した。
Figure 2017211405
(e3.実施例3)
実施例3は、画像面積率(カバレッジ)に応じて、滑材塗布調整機構7の回収ブラシ70に印加するバイアス電圧を制御した場合の効果を検証するための条件設定例である。この実施例3の設定を以下の表に示す。回収ブラシ70の回転方向は、感光体1と同方向に設定し、感光体1の回転速度に対する相対速度θ1を1.4に固定した。
Figure 2017211405
(e4.画像評価結果)
以上のような条件設定された実施例1〜3および比較例1〜2の各々について、画像面積率(カバレッジ)の異なる4種類の画像をそれぞれ連続通紙させるとともに、通紙枚数がそれぞれ10,500,2000枚になった時点で、画像ノイズを以下に示す2項目の観点から評価した。
(1)温度10℃、相対湿度20%環境における、クリーニング不良に起因する画像上の画像ノイズの有無(目視)
(2)通紙後に画像面積率70%のハーフ画像を1枚印刷したときの印刷結果に現れる粒状の濃度ムラの有無(目視)
これらの2項目を総合して、OKまたはNGで評価した。「OK」は、クリーニング不良に起因する画像ノイズおよび粒状の濃度ムラがいずれも発生していない状態を意味し、「NG」は、クリーニング不良に起因する画像ノイズ、および、粒状の濃度ムラのいずれかが発生している状態を意味する。以下、実施例1〜3および比較例1〜2の各々についての実験結果を示す。
Figure 2017211405
(e5.小括)
上表によれば、実施例1〜3は、いずれも通紙枚数が大きくなっても(2000枚に到達した場合であっても)、クリーニング不良に起因する画像ノイズ、および、粒状の濃度ムラのいずれも発生しておらず、良好な状態が維持できていることが分かる。
これに対して、比較例1においては、通紙枚数が2000に到達した時点で、画像面積率(カバレッジ)が1%である画像については不具合が発生しており、また、比較例2においては、通紙枚数が2000に到達した時点で、画像面積率(カバレッジ)が1%、5%、10%といった低カバレッジの画像については不具合が発生していることが分かる。
すなわち、本実施の形態に従う滑材被膜層の安定化制御を実装することで、従来の構成に比較して、顕著な作用効果が得られていることが分かる。
<F.第2の構成例>
次に、上述したような本実施の形態における解決手段を具現化した別の実施例として、第2の構成例に従うイメージングユニット10Aについて例示する。
図9は、本実施の形態に係る第2の構成例に従うイメージングユニット10Aの概略構成を示す模式図である。図10は、図9に示すイメージングユニット10Aでのトナーおよび滑材の挙動を説明する模式図である。
図9および図10には、トナーを回収する機能(トナー回収機能)および滑材を塗布する機能(滑材塗布機能)を兼ねる滑材塗布調整機構7Aを実装した例を示す。具体的には、イメージングユニット10Aは、図中A方向に沿って上流側から順に、滑材塗布装置72Aおよびクリーニング装置8(クリーニングブレード82および搬送スクリュー84)が配置されている。
滑材塗布調整機構7Aは、トナー回収機能を兼ねた、滑材塗布装置72Aを有する。滑材塗布装置72Aは、感光体1に当接して回転する塗布ブラシ74Aと、塗布ブラシ74Aに圧接する固形滑材75Aとから構成される。塗布ブラシ74Aが回転して、固形滑材75Aの一部を削り取るとともに、固形滑材75Aから削り取られた滑材粉を感光体1に搬送することで、感光体1表面に供給する。図9および図10に示す構成例においては、クリーニング装置8のクリーニングブレード82が滑材に対する固定化機構を兼ねる。すなわち、滑材塗布装置72Aにより供給される滑材(固形滑材75から削り取られた滑材粉)はクリーニングブレード82により、感光体1上で引き伸ばされて製膜されることで、感光体1表面に滑材被膜層が形成される。
滑材塗布装置72Aが滑材を感光体1に塗布する際には、感光体1が塗布ブラシ74Aに当接して回転することで、感光体1上に存在するトナーの一部が回収されることになる。図10に示すように、塗布ブラシ74Aが感光体1に当接して回転することにより、感光体1上にあるトナーの一部が回収されることになる。
図9に示すように、第2の構成例に従う滑材塗布調整機構7Aは、感光体1に滑材を塗布するとともに、トナーを回収するための当接部材としての塗布ブラシ74Aを有する。なお、塗布ブラシ74Aではなく、塗布ローラーであってもよい。
この塗布ブラシ74Aによるトナー回収能力の調整は、典型的には、当接部材である塗布ブラシ74Aの回転速度および回転方向の少なくとも一方を変化させることで行なうことができる。
すなわち、図9および図10に示す第2の構成例に従うイメージングユニット10Aにおいては、滑材塗布装置72A(滑材塗布機能)がトナーを回収する機能(トナー回収機能)を兼ねるので、形成された画像のカバレッジに応じて、塗布ブラシ74Aの回転数および/または回転方向を変更することで、滑材塗布量およびトナー回収量を制御できる。
(1)カバレッジが低い場合(低カバレッジ時)
滑材塗布装置72Aの塗布ブラシ74Aの回転数を低減して、トナー回収能力を抑制する。塗布ブラシ74Aの回転数の低減に伴って、感光体1に対する滑材の塗布量が減少する。塗布ブラシ74Aの回転数を制御しなければ、低カバレッジ時には、感光体1上の滑材量が増加する方向に変化するのに対して、本実施の形態に従う制御を適用することで、滑材塗布量を低減できるとともに、滑材回収速度を高めることができるの、滑材被膜層の厚みを安定化するための相乗効果を得ることができる。
(2)カバレッジが高い場合(高カバレッジ時)
滑材塗布装置72Aの塗布ブラシ74Aの回転数を増加して、トナー回収能力を増強する。塗布ブラシ74Aの回転数の増加に伴って、感光体1に対する滑材の塗布量が増加する。塗布ブラシ74Aの回転数を制御しなければ、高カバレッジ時には、感光体1上の滑材量が減少する方向に変化するのに対して、本実施の形態に従う制御を適用することで、滑材塗布量を増加できるとともに、滑材回収速度を下げることができるの、滑材被膜層の厚みを安定化するための相乗効果を得ることができる。
上述の(d2:トナー回収能力の制御)、(d3:パッチ画像に基づくトナー像の形成)、(d4:処理手順)においてそれぞれ説明した内容については、図9および図10に示す第2の構成例においても同様に適用できるので、ここでは、詳細な説明は繰返さない。
<G.第2の構成例に対する効果確認結果>
上述した本実施の形態に従う画像形成装置100(第2の構成例)での感光体1表面に形成される滑材被膜層を安定化させる効果を確認する実験(実施例4)を行なった結果を以下に示す。
具体的な装置構成としては、図9および図10に示す、第2の構成例に従うイメージングユニットに沿って、感光体1、現像装置4、中間転写装置5、滑材塗布調整機構7A、クリーニングブレード等を以下のように設定した。滑材塗布調整機構7Aの構成を除いて、上述の<E.第1の構成例に対する効果確認結果>において説明した構成と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
実施例4は、画像面積率(カバレッジ)に応じて、滑材塗布調整機構7Aの塗布ブラシ74Aの回転数(感光体1の回転速度に対する相対速度θ2)を制御した場合の効果を検証するための条件設定例である。この実施例4の設定を以下の表に示す。塗布ブラシ74Aの回転方向は、感光体1と同方向に設定し、塗布ブラシ74Aにはバイアス電圧として+200Vを印加した。
Figure 2017211405
このような条件設定された実施例4について、上述の<E.第1の構成例に対する効果確認結果>において説明したのと同様の方法で、画像ノイズを評価した。実施例4についての実験結果を示す。
Figure 2017211405
上表によれば、実施例4は、いずれも通紙枚数が大きくなっても(2000枚に到達した場合であっても)、クリーニング不良に起因する画像ノイズ、および、粒状の濃度ムラのいずれも発生しておらず、良好な状態が維持できていることが分かる。
<H.まとめ>
本実施の形態に従う画像形成装置は、滑材を塗布する機能(滑材塗布機能)およびトナーを回収する機能(トナー回収機能)を有する滑材塗布調整機構を採用するとともに、画像形成時の画像面積率(カバレッジ)に応じてトナー回収機能によるトナー回収能力を調整する。すなわち、カバレッジが高いほどより多くのトナーを感光体1上から回収し、逆に、カバレッジが低いほど感光体1上から回収するトナーの量を低減する。
このような構成および制御を採用することで、画像面積率(カバレッジ)が変化したときでも、感光体上の滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材の量)を安定化でき、画像ノイズのない良好な画像を得るとともに、滑材被膜層が安定化することで、クリーニング性の維持および感光体の長寿命化も期待できる。
また、本実施の形態に従う画像形成装置においては、画像形成動作において、滑材塗布調整機構が通常の動作を行なうのと平行して、感光体上に形成される滑材被膜層の厚み(あるいは、像担持体表面に存在する滑材量)の安定化処理を実行するので、滑材を塗布する動作に影響を与えること、画像形成のタクトタイムなどへ影響を与えるようなことはない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、2 帯電装置、3 露光装置、4 現像装置、5 中間転写装置、6 中間転写体、7,7A 滑材塗布調整機構、8 クリーニング装置、10,10A,10C,10K,10M,10Y イメージングユニット、12 画像形成領域、12−1〜12−4 分割領域、14,15,16 中間転写体駆動ローラー、20 定着装置、22 加圧ローラー、24 加熱ローラー、30 送出ローラー、32,34 搬送経路、42 現像スリーブ、50 制御部、70 回収ブラシ、72,72A 滑材塗布装置、74,74A 塗布ブラシ、75,75A 固形滑材、76 押圧部材、78 固定化ブレード、82 クリーニングブレード、84 搬送スクリュー、100 画像形成装置、110 プリントエンジン、120 原稿読取部、122 イメージスキャナー、124 原稿給紙台、126 原稿自動送り装置、128 原稿排紙台、130 給紙部、S 媒体。

Claims (14)

  1. 像担持体と、
    前記像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、
    前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
    転写後に前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、
    前記像担持体上に滑材を塗布するとともに、前記クリーニング装置の上流側において前記像担持体上に存在するトナーを回収する滑材塗布調整手段と、
    前記滑材塗布調整手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記像担持体上で形成されるトナー像の画像面積率が高いほど、前記滑材塗布調整手段により多くのトナーを回収するように制御する、画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記画像面積率が高いほど、前記滑材塗布調整手段によるトナーの回収能力がより高まるよう制御するとともに、
    前記画像面積率が低いほど、前記滑材塗布調整手段によるトナーの回収能力がより低くなるよう制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記滑材塗布調整手段は、
    前記像担持体に滑材を塗布するための第1の当接部材と、
    前記像担持体上に存在するトナーを回収するための第2の当接部材とを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第2の当接部材は、ブラシおよびローラーの少なくとも一方で構成され、
    前記制御手段は、前記第2の当接部材の回転数および回転方向の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する、請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記第2の当接部材は、導電性を有している部材から構成され、
    前記制御手段は、前記第2の当接部材に印加するバイアス電圧の大きさおよび極性の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する、請求項3または4に記載の画像形成装置。
  6. 前記滑材塗布調整手段は、前記像担持体に滑材を塗布するとともに、トナーを回収するための当接部材を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御手段は、前記当接部材の回転数および回転方向の少なくとも一方を変更することで、トナーの回収能力を制御する、請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御手段は、トナー像の画像面積率として、前記像担持体上の画像形成領域全体での平均画像面積率を用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、前記像担持体の主走査方向に沿って複数の領域に分割した各領域の画像面積率の最低値を画像面積率として採用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記制御手段は、
    予め定められた条件が成立すると、前記像担持体上に画像面積率に応じたパッチ画像に基づくトナー像を形成するとともに、
    前記パッチ画像に対応するトナー像に対して、前記滑材塗布調整手段の制御を実行する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記予め定められた条件は、前記画像形成装置の電源投入時、入力画像に対する画像形成実行前、入力画像に対する画像形成実行後の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記予め定められた条件は、前記像担持体の総使用時間、前記現像装置の総使用時間、前記画像形成装置での画像形成が実行されずに放置されていた時間、前記画像形成装置の設置環境の少なくとも1つに基づいて決定される、請求項10または11に記載の画像形成装置。
  13. 前記制御手段は、前記パッチ画像の画像面積率は、前記滑材塗布調整手段の制御に用いる画像面積率から除外する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 画像形成装置における制御方法であって、前記画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、前記像担持体上に滑材を塗布するとともに、前記クリーニング装置の上流側において前記像担持体上に存在するトナーを回収する滑材塗布調整手段とを備え、前記制御方法は、
    前記像担持体上で形成されるトナー像の画像面積率を取得するステップと、
    前記取得された画像面積率が高いほど、前記滑材塗布調整手段により多くのトナーを回収するように制御するステップとを備える、制御方法。
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