JP2006276065A - 画像形成装置 - Google Patents

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真 坂廼邉
Kenichi Mishina
憲一 三品
Noritaka Kuroda
能孝 黒田
Akiya Sugiura
聡哉 杉浦
Hiromi Nagai
浩美 永井
Hideyuki Akagi
秀行 赤木
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Abstract

【課題】 像担持体上の残留トナーや放電生成物の除去が良好に行えると共に、像担持体及びクリーニング部材の磨耗を効果的に防止し、高画質なプリントを長期間に渡って得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも像担持体11と、前記像担持体表面を帯電させる帯電手段12と、前記像担持体11を入力された画像信号に応じて露光し潜像を形成する露光手段13と、前記潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段14と、前記可視像を転写媒体に転写するための転写手段と、前記像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段15とを有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段15の動作を、前記入力された画像信号より検知された平均画像密度に応じて制御することを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 図3

Description

本発明は、平均画像密度に応じて動作が制御されたクリーニング装置を有する画像形成装置に関する。
近年、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段を有する、いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置は、各部材、システムの技術進展により一層の高速化、ロングライフ化が図られている。これに伴い、各サブシステムの高速対応性、高信頼性に対する要求が従来に増して高くなっている。特に、画像書き込みに使用される像担持体と、未転写トナーを像担持体表面より除去するクリーナーとの間では、摺動によるストレスを多く受け、傷、磨耗、欠けなどによる画像欠陥を生じやすく、高速対応性、高信頼性に対する要求が一層強い。
従来から、上記クリーナーにおいて、導電性ブラシを用いたクリーニングユニットが知られている。像担持体表面に当接配置されたブラシ部材と、該ブラシ部材に当接配置された回収ロールと、該回収ロールに当接配置されたかき取り部材(ブレード)とを有する像担持体表面クリーニングユニットである。
しかしながら、上記導電性ブラシは、湿度や温度の動作環境によってブラシの電気抵抗が大きく変化するためにクリーニング能力が変動しやすい。また経時的にブラシに固着するトナーが増加し、固着したトナーがブラシの電気抵抗値を高める。こうなるとブラシに流れる電流が少なくなるため、クリーニング能力が低下する。クリーニング能力の低下した回転ブラシを使用していると、クリーニング不良による画像汚れや、像担持体上からトナーが除去されずにフィルミングが発生するという不具合が生じる。そこで、上記クリーニング能力の低下を防ぐために、温度や湿度を検知し、その検知結果に基づいて、回転ブラシへの印加バイアスなどの、ブラシ動作条件を変化させる装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。また、ブラシの使用時間に応じてクリーニング条件を変化させる装置が知られている(例えば、特許文献6、7参照)。
しかしながら、画像汚れやフィルミングを防止するために必要なクリーニング能力は、像担持体上に保持されたトナー量によっても異なるものである。そこでクリーニング能力に着目し、導電性ブラシ通過後の像担持体上の残トナー量を検知し、残トナー量に応じて導電性ブラシの印加電圧を補正する手段が知られている(例えば、特許文献8参照)。
特開昭63−249182号公報 特開平2−216177号公報 特開平4−174488号公報 特開平4−178680号公報 特開平4−29283号公報 特開平2−77781号公報 特開平7−64444号公報 特開平4−214586号公報
しかしながら、導電性ブラシ通過後の残トナーを検知するためには、残トナー量検知手段そのものの設置方法やコスト、汚れ防止などを検討する必要がある。また、残トナー量がごく微量である場合、検知手段には高い感度が必要とされ、ノイズに対しても弱くなる。更に、連続したプリントが実施された場合、残トナー量を検知した後に導電性ブラシの印加電圧を補正したとしても、その残トナーがクリーニングされるのは次回のクリーニング工程となるため、クリーニングされるまでの帯電、現像その他の工程に悪影響を与えてしまう恐れがある。次回のクリーニング工程では検知された残トナーと、そのプロセスにおいて現像されたトナーの両者のクリーニングが必要とされるため、常にブラシに最適か或いはそれ以上の過剰なクリーニング性能が与えられてしまい、像担持体、クリーニング部材共に摩耗が促進され、結果的に画像形成装置の寿命は短いものとなる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体上の残留トナーや放電生成物の除去が良好に行えると共に、像担持体及びクリーニング部材の磨耗を効果的に防止し、高画質なプリントを長期間に渡って得ることができる画像形成装置を提供することにある。
即ち、本発明の画像形成装置は、
<1> 少なくとも像担持体と、前記像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を入力された画像信号に応じて露光し潜像を形成する露光手段と、前記潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段と、前記可視像を転写媒体に転写する転写手段と、前記像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段の動作を、前記入力された画像信号より検知された平均画像密度に応じて制御することを特徴とする画像形成装置である。
<2> 前記クリーニング手段に、導電性繊維を有するブラシロールと、該ブラシロールからトナーを除去する回収ロールと、該回収ロールからトナーを除去するかきとり部材と、を有してなるクリーニング装置を用いることを特徴とする前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記クリーニング手段の動作の制御として、前記ブラシロールの回転数及び/又は印加電圧の制御を行うことを特徴とする前記<2>に記載の画像形成装置である。
<4> 前記クリーニング手段の動作の制御として、前記ブラシロールから前記回収ロールへのトナーの転移率の制御を行うことを特徴とする前記<2>又は<3>に記載の画像形成装置である。
<5> 前記検知された平均画像密度に応じて、サイクルイン時及び/又はサイクルアウト時、少なくともインターイメージ部にトナーバンドを挿入することを特徴とする前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の画像形成装置である。
<6> 前記像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表層が、架橋構造を有する樹脂を含有するとともに、電荷輸送能を有する構造単位を持つことを特徴とする前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の画像形成装置である。
<7> 前記最表層が、前記架橋構造を有する樹脂として、メチロール基を有するフェノール誘導体又はシロキサン系樹脂を用い、且つ、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料を含有することを特徴とする前記<6>に記載の画像形成装置である。
本発明によれば、像担持体上の残留トナーや放電生成物の除去が良好に行えると共に、像担持体及びクリーニング部材の磨耗を効果的に防止し、高画質なプリントを長期間に渡って得ることができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の画像形成装置について詳述するにあたり、まず、図を用いて画像形成装置の構成を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るフルカラーの画像形成装置を示す概略構成図である。図中の符号10はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像を形成することができる作像装置としての作像ユニット、20は作像ユニット10で形成されるトナー像を無端ベルトにより所定位置まで搬送する中間転写ベルトモジュール、Pは記録用紙を示す。
この画像形成装置は、まず、その作像ユニット10において、矢印A方向に所定の速度で回転駆動される電子写真感光体としての感光ドラム11の表面が、帯電手段である帯電ロール12により所定の電位に一様に帯電され、しかる後、その帯電された感光ドラム11の表面に潜像形成手段としてのROS(RasterOutputScanner)13から画像情報に応じて変調されたレーザービームBmが走査露光されて静電潜像が形成される。
次いで、その静電潜像は、その潜像の色に対応するトナーを含有する現像剤が収容された現像手段であるロータリ式現像装置14の現像器14Y,14M,14C,14Kによって現像される。この結果、感光ドラム11上に静電潜像に対応した色のトナー像Tが形成される。感光ドラム11上に形成されたトナー像Tは、感光ドラム11が中間転写ベルト21と当接する一次転写位置N1にて、中間転写ベルト21外周面に転写される。
なお、この転写後の感光ドラム11の表面はブラシロール151及び152で構成されるクリーニング手段であるクリーニング装置15によって清掃される。上記画像情報は、原稿読取装置や外部接続機器(パーソナルコンピュータなど)等から得られる画像情報である。
このように作像ユニット10の感光ドラム11上で形成されたトナー像Tは、中間転写ベルトモジュール20の中間転写ベルト21に転写される。
ここで、中間転写ベルト21は、合成樹脂フィルム又はゴム製の無端ベルトからなり、中間転写ベルト21は内周面側に、駆動ロール22、テンションロール23、バックアップロール24及び従動ロール25が、この順に時計周り方向に配置されることにより張架されており、矢印B方向へ所定の速度で回転駆動されるようになっている。また、この中間転写ベルト21の感光ドラム11と対向する内周面側(一次転写位置N1)には、感光ドラム11上のトナーの帯電極性とは逆極性の1次バイアスが印加される1次転写バイアスロール26が配設されている。
また、中間転写ベルト21の従動ロール25と対向する外周面側には、中間転写ベルト21に対して接離可能なベルト用クリーナ27が配設されている。さらに、この中間転写ベルト21のバックアップロール24と対向する外周面側(二次転写位置N2)には、中間転写ベルト21に対して接離可能な二次転写ロール30が配設されている。また、そのバックアップロール24には、そのロール24に対して中間転写ベルト21上のトナーの帯電極性と逆極性の2次転写バイアスを印加するための給電ロール31が配設されている。
このような中間転写ベルトモジュール20においては、前記した感光ドラム11上のトナー像Tが一次転写位置N1で中間転写ベルト21に静電的に1次転写され、しかる後、その中間転写ベルト21の回転に伴なって2次転写位置N2まで搬送される。そして、この中間転写ベルト21上のトナー像は、二次転写位置N2に供給される記録用紙Pに対して静電的に2次転写される。ここで、記録用紙Pは、用紙収容カセット35に収容されており、フィードロール36によりそのカセット内から送り出された後、複数の搬送ロール37等にて構成される用紙搬送路を経由してレジストロール38まで搬送され、最後に2次転写タイミングに合わせてレジストロール38により二次転写位置N2に送り込まれるようになっている。
また、この中間転写ベルトモジュール20においては、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト21に1次転写された当該単色のトナー像Tが直ちに記録用紙Pに2次転写されるが、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、前記した感光ドラム11上での当該各トナー像の形成並びにそのトナー像の1次転写の工程が色数分だけ繰り返されるようになっている。
例えば、4色のトナー像を重ね合わせたフルカラー画像を形成する場合、感光ドラム11ではイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像が順次形成され、その形成順で中間転写ベルト21に1次転写される。また、カラー画像を形成する場合には、上記したように複数のトナー像を中間転写ベルト21上で重ね合わせるように多重転写するため、前記ベルト用クリーナ27及び2次転写ロール30は、少なくとも中間転写ベルト21に先に1次転写されたトナー像をそのベルト用クリーナ27や2次転写ロール30が触れることによって乱してしまわないような所定のタイミングで中間転写ベルト21に対して当接したり又は離間するようになっている。
次いで、トナー像Tが2次転写された後の記録用紙Pは、定着装置40に送り込まれて定着処理される。この定着装置40は、加熱ロール41と加圧ロール(加熱機能を兼備していてもよい)42が圧接された状態で回転するように配設されたものであり、この両ロール41、42の圧接部である定着用ニップ部に記録用紙Pを導入して通過させるようになっている。
したがって、2次転写後に中間転写ベルト21から剥離した記録用紙Pは、定着装置40の定着用ニップ部に送りこまれて通過することにより、トナー像が加熱加圧されて記録用紙Pの片面に定着される。そして、この定着終了後の記録用紙Pは、定着装置40から排出された後に排出ロール43等により機外又は後処理装置(又は両面プリントの場合には両面用搬送路)に搬送排出される。
以上の工程を経ることにより、このカラー画像形成装置による基本的な画像形成プロセスが完了する。
また、本発明の画像形成装置をにおける別の態様を示す。
図2は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2に示すように、この画像形成装置は、いわゆるタンデム型フルカラー画像形成装置であり、矢印B方向に循環移動する中間転写体21と、中間転写体21に接してタンデムに配列された、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色の画像形成を担う画像形成部100Y,100M,100C,100Kと、これら各画像形成部で形成された各色の画像を所定の転写用紙Pに転写する二次転写ロール30とを備えている。
なお、本実施形態における中間転写体21は、本発明にいう転写媒体に相当するものである。
図3は、図2に記載の画像形成装置における画像形成部の概略構成図である。
図3に示すように、この画像形成部100は、矢印A方向に回転する感光体11と、感光体11表面に所定の電荷を付与する帯電部材12A及び帯電電源12Bからなる帯電部12と、電荷が付与された感光体11表面に画像に応じた露光光を照射する露光部13と、感光体11表面に形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像部14と、形成されたトナー像を中間転写体21に転写する一次転写部材26A及び一次転写電源26Bからなる一次転写部26と、転写材に転写されなかったトナー像の電荷の極性を合わせるための帯電部材16と、前記帯電処理後トナーと感光体の静電吸着力を弱めるための除電ランプ17と、感光体11円周方向に並列に配置された2つのブラシロール151,152を有するクリーニング部15とを備えている。
図4は、図3に記載の画像形成部におけるクリーニング部の概略構成図である。
図4に示すように、このクリーニング部15は、第1及び第2のブラシロール151,152を備えており、これら各ブラシロールは、それぞれ回転軸151A、152Aと、各回転軸に放射状に植毛されたブラシ繊維151B、152Bとからなり、ブラシ繊維151B、152Bの先端を所定の先端力で感光体11に接触させながら回転することにより、中間転写体21にトナー像が転写された後の感光体11表面に残留したトナーを除去するようになっている。
さらに、本実施形態のクリーニング部15は、各ブラシロール151,152に接触しながら回転することにより、各ブラシロール151,152に付着したトナーをそれぞれ回収する回収ロール153,154、及び各回収ロールに回収されたトナーを掻き落とすスクレーパ155,156を備えている。
また、本実施形態のクリーニング部15は、ブラシ繊維151B,152Bとしては導電性を有するものを用いており、且つ、上記2つのブラシロールのうちの感光体回転方向上流側に位置するブラシロール151の回転軸151Aに、トナーの帯電極性とは逆極性のバイアス電圧を印加する電源157Aと、感光体回転方向下流側に位置するブラシロール152の回転軸152Aに、トナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加する電源157Bと、回収ロール153に、ブラシロール151への印加電圧と同極性で、かつ絶対値で高いバイアス電圧を印加する電源158Aと、回収ロール154に、ブラシロール152への印加電圧と同極性で、かつ絶対値で高いバイアス電圧を印加する電源158Bとを備えている。
本発明の画像形成装置は、例えば上記の様な構成を有しており、クリーニング手段の動作を入力された画像信号より検知された平均画像密度の応じて制御することを特徴とする。
<平均画像密度によるクリーニング手段の制御>
入力された画像信号から平均画像密度を検知する手段(画像情報処理演算手段)を備えた本発明の画像形成装置によれば、クリーニング手段に、平均画像密度に応じた最適なクリーニング性能を与えることができ、像担持体上の残留トナーや放電生成物を良好に除去できると共に、像担持体及びクリーニング部材に余計な負荷をかけることがなく、像担持体及びクリーニング部材の磨耗を効果的に抑制することができる。
実際に制御される要素としては、例えば図4に記載のクリーニング部であれば、ブラシロールの回転数、ブラシロールへの印加電圧、回収ロールの回転数、ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率等が挙げられる。
(ブラシロールの回転数及び印加電圧と回収ロールの回転数の制御)
ブラシロールの回転数及び/又はブラシロールへの印加電圧を制御することによって、平均画像密度に応じた最適なクリーニング性能を与えることができ、上記の様に、高いレベルでのトナー等の除去性と、像担持体及びクリーニング部材の磨耗防止効果とを得ることができる。また、ブラシロールの回転数の制御は必要なとき以外の像担持体及び回収ロールへの負荷の抑制にもつながりクリーニング部材の長寿命化を図ることができる。更に、回収ロールの回転数を制御することによって、必要なとき以外のブラシロール及びかき取り部材への負荷を抑制することができ、これによってもクリーニング部材の長寿命化を図ることができる。
(ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率の制御)
従来から、像担持体の転写残トナーをクリーニングする方法として、2本の導電性ブラシロールに静電気的に残留トナーを吸着させクリーニングする方法等が用いられているが、このクリーニング方式は、現像剤中のトナーの外添剤等が感光体に付着固着し(フィルミング)画質欠陥を発生させてしまう。そのフィルミングを抑制するために、像担持体に研磨ロールを接触させ表面層を削りフィルミングを抑制する方法や、フィルミング除去ブラシを設置し、フィルミング発生を判断するとフィルミング除去ブラシを回転駆動させる方法等が試されている。しかし研磨ロールにしても、フィルミング除去ブラシにしても、フィルミングは抑制若しくは除去されるが、像担持体の表面を削ることになるため像担持体の寿命が短くなってしまう。電圧を印加させたブラシロールによるクリーナーはブレード方式と比較した場合、像担持体に対するストレスは非常に小さく像担持体の寿命に対して有効な手段であるのだが、その利点を消してしまう。
また、最近では像担持体の寿命延長のために表面層に磨耗しにくい層をオーバーコートした像担持体も用いられているが、表面が磨耗しにくい像担持体は、非常にフィルミングしやすく、そのフィルミングを削りとるためにはさらに強い力で研磨する必要があり結果的には寿命延長に対して逆の方向に進むことになる。
ちなみに、フィルミングはトナーの外添剤がトナーから遊離し回転するブラシロールに付着しブラシより像担持体に押し付けられ像担持体に再付着し徐々に成長してゆくと考えられている。外添剤はトナーと比較すると非常に小さいために、いったん遊離し静電気的に像担持体に付着した場合ブラシで回収することは困難であった。
しかし、本発明者らは、ブラシの先端部にある程度のトナーが保持された状態で像担持体表面を摺擦すると、付着している外添剤を捕獲し像担持体表面より離脱させることができることを見出した。
そこで、本発明の画像形成装置においては、像担持体表面からブラシロールによって除去されたトナーを更に回収ロールで回収する際、前記平均画像密度に応じてトナーの転移率を制御することによりブラシ上にある程度のトナーを残存させることが好ましい。これにより、像担持体表面を削ることなく、像担持体上に付着している外添剤を効率的に除去することができ、フィルミングを防止することができる。
尚、上記ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率の制御は、該ブラシロールと回収ロールとの電位差を制御することによって行うことができる。
(トナーバンドの挿入)
また、画像形成の際、非常に平均画像密度が低いエリア(例えば、像担持体上の静電潜像をトナーで現像する際に、像担持体を軸方向に捉えて、全くトナーが供給されない領域)と、平均画像密度が高いエリアが混在するような画像パターンが連続的に走行する場合、平均画像密度が高いエリアに相当する部分のブラシロールには新たなトナーが付着する一方で、平均画像密度が低いエリアに相当する部分のブラシロールには付着せず、上記の様にブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率を制御した場合であっても、平均画像密度が低いエリアに相当する部分のブラシロールには、所望の量のトナーを残存させることができなくなる。
しかし、像担持体の平均画像密度が低いエリアにおいても、像担持体周辺で遊離してしまった外添剤は微量ながら付着し(現像され)たり、また、ブラシロールで回収されたトナーから遊離した外添剤がブラシ上に残り、その外添剤が像担持体とブラシとの接触によって像担持体上に転移してしまうことがある。こうして付着した外添剤は、ブラシロールとの接触を繰り返すたびに圧力を加えられて徐々に付着力を強くし、量も多くなりフィルミングとして肉眼でも確認できるほどの大きさに成長することがある。平均画像密度の高いエリアでは、ブラシロールにコンスタントにトナーが付着し、ブラシの先端部に保持されたトナーによって像担持体表面に付着している外添剤が捕獲され、像担持体表面より離脱させることができる。
そこで、本発明の画像形成装置における一実施形態としては、クリーニング手段の動作を制御すると共に、平均画像密度に応じてトナーバンドを挿入し、ブラシロールに意図的にトナーを供給することも好ましい。トナーバンドを挿入することにより、低平均画像密度エリアに相当する部分のブラシロールにもトナーが保持され、像担持体上に付着している外添剤を効率的に除去することができ、フィルミングを防止することができる。尚、トナーバンドは、画像形成のサイクルイン時及び/又はサイクルアウト時に、少なくともインターイメージ部に挿入することが好ましい。
また、上記トナーバンドは、低平均画像密度エリアにのみ挿入すれば十分であり、高平均画像密度エリアへのトナーバンドの挿入は、トナーの消費増加につながる。従って、前記平均画像密度の検出を、像担持体の軸方向に所望の間隔で区分けされたエリア毎に行い、該エリア毎の平均画像密度に応じて、トナーバンドの濃度及び/又は幅(像担持体のプロセス方向への長さ)を制御することが好ましい。
<クリーニング装置>
次に、前述の手段により、平均画像密度に応じて動作が制御されるクリーニング装置について説明する。尚、本発明におけるクリーニング装置としては特に限定されるわけではないが、図4に記載の装置が好ましく、以下においては、ブラシロール、回収ロール、かき取り部材からなるクリーニング装置について述べる。
まず、回収ロールとしては熱硬化性樹脂で形成されたものが好ましい。熱硬化性樹脂は、加熱により硬化(架橋)が進み形成される為、成形後の収縮が起こり難く回収ロールに求められる寸法精度に対し非常に優位である。本発明の回収ロールに用いる熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げる事が出来るが、中でもフェノール樹脂は寸法精度が高く、成形がし易く、且つ成形品の表面平滑性に優れ、更には安価である事から本発明の回収ロールに用いる材料として最適である。
更に、前記回収ロールのJIS−K7203(1995)に於ける曲げ弾性率が700kPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が700kPaに満たないと回収ロールに撓みを生じブラシロール及びかき取り部材との当接位置や食い込み量を一定に保つ事が出来ない場合がある。また曲げ弾性率の低い材料を用い、回収ロールの肉圧を増加させ剛性を保とうとすると、成形収縮が大きくなり所望の寸法精度が得られないことがあり、重量が増す、成形時間が増す、後加工が必要になる等の諸問題により、コストアップの懸念がある。また、回収ロールはブラシロール及びかき取り部材と絶えず接触状態にある。従って磨耗に強い材料から構成される事が求められ、上記磨耗量がJIS−K6902(1998)に於ける磨耗量が20mgを越えると回収ロールの寿命が短くなり、頻繁な交換の必要性が出てくる。又、磨耗量が小さい為にブラシロールやかき取り部材の当接圧や食い込み量を大きく設定でき、長期に渡り像担持体上を安定してクリーニングできるため、20mg以下であることが好ましい。また、寸法精度の高い成形が可能となり、削れに対し非常に強いロールとなるため、回収ロールのJIS−K7202−2(2001)に於けるロックウェル硬さ(Mスケール)が100以上であることが好ましい。
また、剛性を増加させると共に電気抵抗を所定の範囲に調整する目的で、回収ロール中に有機フィラー又は無機フィラーの何れかを単独又は複数、或いは有機フィラーと無機フィラーの両方を各一種又は複数種充填してもよい。ここで言う有機フィラーとは、カーボンブラック、炭素粉、グラファイト、磁性粉、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物、ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト、マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、又はこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等から選ばれ高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体、所謂複合金属酸化物等であり、無機フィラーとは錫、鉄、銅、アルミ等の金属粉体や金属繊維、ガラス繊維等が挙げられる。回収ロールの電気抵抗が1×105Ωより低い場合には、電荷注入が起こりブラシロールが掻き取ったトナーや紙粉等の微粉末の極性が反転し、電気的に吸着する事が出来ない場合がある。逆に回収ロールの電気抵抗が1×1010Ωを上回ってしまうと、回収ロールに電荷が蓄積される所謂チャージアップが起こり、やはり電気的にトナーや紙粉等の微粉末を吸着出来ない場合があり、回収ロールの500V印加時の電気抵抗は1×105〜1×1010Ωの範囲が好ましく、更には1×106〜1×108Ωが好ましい。
入力された画像信号により検知された平均画像密度に応じてブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率を制御するには、その時の条件によって異なるものの、効率的にトナーや紙粉等の微粉末を静電的に吸着移動させる観点から、像担持体表面に当接配置されたブラシロールと、該ブラシロールに当接配置された回収ロールとに電位差のあるクリーニングバイアスを印加することが好ましい。ブラシロールと回収ロールとの電位差は|100V|以上、更には|200V|以上が望ましく、上限はバイアスリーク限界で規制され、|650V|以下に抑える事が好ましい。
転写工程を終えた後に像担持体上に残存する所謂転写残トナーは、転写電界の影響でその極性にバラツキを生じており、正極から逆極に反転した物まで存在する。正極の転写残トナー及び逆極に反転した転写残トナーまで効率的に除去する目的で、ブラシロールと回収ロールとかき取り部材から成る像担持体表面クリーニングユニットを一つの像担持体に対し、複数設置し且つそれぞれに異なる極性の電位差を設ける事もできる。転写工程を終えた後に像担持体上に残存する所謂転写残トナーは、転写電界の影響でその極性にバラツキを生じているが、その大半は正極(もとの帯電極性)のままで存在する。そこで第1の像担持体表面クリーニングユニットにトナーと異なる極性でブラシロールと回収ロールとに電位差のあるクリーニングバイアスを印加し、転写残トナーの大半を占める正極トナーを静電的に吸着移動させ、次の像担持体表面クリーニングユニットにトナーと同極性であり、且つブラシロールと回収ロールとに電位差のあるクリーニングバイアスを印加する事で、逆極性に反転したトナーを静電的に吸着移動させることが有効である。
また、図4に記載の像担持体表面クリーニングユニットは、像担持体とブラシロールと回収ロールとかき取り部材とからなる一つのプロセスカートリッジとして用いる事ができる。プロセスカートリッジとする事でメンテナンスフリーを実現すると共に、プロセスカートリッジを交換するだけで高品質の画像形成を容易に繰り返す事が出来る。
ブラシロールは、回転する軸外周上に多数の繊維を配したロール状に形成されている。ブラシロールは像担持体に対しブラシの先端が僅かに食い込む位置に配置され、像担持体の周面移動方向と逆方向に前記ブラシロールの周面が回転移動し、この際像担持体と摺接する事によって像担持体表面からトナーや外添剤を剥離し、回収ロールへと運ぶ働きを担っている。ブラシと像担持体との食い込み量は0.1〜2.5mmが望ましく、好ましくは0.5〜2.0mmであり、より好ましくは0.9〜1.8mmである。
具体的なブラシロールの材料としてはナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を挙げる事が出来、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部或いは外部に導電層が形成されたもの等を用いることができ、その抵抗値としては繊維単体で102〜109Ωのものが好ましく、より好ましくは104〜105Ω、繊維の太さは30d(デニール)以下、好ましくは20d以下であり、より好ましくは2d〜10d、繊維の密度は2万本/inch2以上、好ましくは3万本/inch2以上であり、より好ましくは6万本/inch2以上である。具体的には、ベルトロン(カネボウ製)、SA−7(東レ製)、UUナイロン(ユニチカ製)などが挙げられる。さらに、導電性を付与する材料は、繊維中に均一に配合されたものがクリーニング維持性に優れより好ましい。
回収ロールはその外周面が前記ブラシロール外周面に僅かに食い込む位置に配置され、ブラシロールに付着した残留トナーや外添剤等を担持し、該回収ロールに当接配置されたかき取り部材により、その表面に担持した残留トナーや外添剤等が回収される様に構成されている。
先ずブラシロールと像担持体との間に形成される電界によって、像担持体表面からブラシロールへの静電誘引力でトナー等が引っ張られ、像担持体表面から除去される。一方、上述の回収ロールにはブラシロールよりも絶対値の高い且つ同極性のクリーニングバイアスが印加されており、ブラシロールに付着した残留トナーや外添剤等は回収ロールに再付着する。上記回収ロールにはかき取り部材が当接しており、回収ロールに付着したトナー等はこのかき取り部材によって回収ロールから除去される。このかき取り部材は高耐久性及び低コストの観点よりステンレス或いはリン青銅の金属薄板から形成されることが好ましく、その厚さは0.02〜2mm程度で使用されることが好ましく、更に0.05〜1mmであるものがより好適に用いられる。
<像担持体>
次に本発明の画像形成装置に用いられる像担持体(感光体)について説明する。
像担持体としては、特に限定されることなく、いかなる構成のものも用いることができるが、本発明においては、特に、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、及び最表層を有する電子写真感光体が好ましい。
−導電性支持体−
導電性支持体(図13に示すような積層構成の場合は支持体71に相当する部分)としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、或いは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、或いはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。また、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmに粗面化することが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、或いは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理などが好ましい。Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得難くなり、Raが0.5μmより大きいと、画質が粗くなることがあり不適である。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、支持体の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
上記陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が、10〜11質量%の範囲、クロム酸が3〜5質量%の範囲、フッ酸が0.5〜2質量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5〜18質量%の範囲が好ましい。処理温度は、42〜48℃であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3〜15μmが好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招くことがある。
ベーマイト処理は、90〜100℃の純水中に5〜60分間浸漬するか、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚については0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
また、所望により支持体と感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の間に中間層を形成することもできる。用いられる材料としてはジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、従来より中間層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。また、中間層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂などで表面処理してもよい。電子輸送性顔料は多すぎると中間層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等をもちいる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができる。中間層の厚みは一般的には、0.1〜30μm、好ましくは0.2〜25μmが適当である。また、中間層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて中間層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った支持体は、欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、中間層を形成することが好ましい。
−電荷発生層−
次に電荷発生層(図13に示すような積層構成の場合は感光層72に相当する部分)について説明する。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や、三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など既知のもの全て使用することができるが、特に380nm〜500nmの露光波長を用いる場合には無機顔料が好ましく、700nm〜800nmの露光波長を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007及び、特開平5−279591に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472及び、特開平5−140473に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873及び、特開平5−43813開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独或いは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって該の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができる。また、本発明で用いる電荷発生層の厚みは一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。また、電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
−電荷輸送層−
次いで、電荷輸送層(図13に示すような積層構成の場合は感光層73に相当する部分)について説明する。
電荷輸送層としては、公知の技術によって形成されたものを使用できる。それらの電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、或いは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独或いは2種以上混合して用いることができるが、モビリティーの観点から、以下の構造のものが好ましい。
Figure 2006276065
式中、R14は、水素原子又はメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar6及びAr7は置換又は未置換のアリール基或いは、−C(R18)=C(R19)(R20)、−CH=CH−CH=C(Ar)2を表わし、R18、R19、R20は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換又は未置換のアリール基を表す。
上記アリール基への置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
Figure 2006276065
式中R15、R25は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、を表わす。R16、R26、R17、R27は同一でも異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、或いは、−C(R18)=C(R19)(R20)、−CH=CH−CH=C(Ar)2を表わし、R18、R19、R20は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換又は未置換のアリール基を表す。m及びnは0〜2の整数である。
上記アリール基への置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
Figure 2006276065
式中R21は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R22、R23は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。
上記アリール基への置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
さらに電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独或いは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、上述のポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
本発明で用いる電荷輸送層の厚みは一般的には、5〜50μm、好ましくは10〜30μmが適当である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができる。また、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
−最表層−
次いで、最表層(図13に示すような積層構成の場合は保護層74に相当する部分)について説明する。
本発明における感光体としては表面の傷などに対する耐性を持たせ長寿命化をはかるため高強度表面層を設けることが好ましい。この高強度表面層としては、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができるが、膜強度の観点から、架橋構造を有するものが好ましい。感光体の表面(最表層)に架橋構造を有する樹脂が含まれるために、表面の硬度が高く耐磨耗性に優れ、ブラシ摺擦により発生する傷を抑制することで、ブラシ毛先の傷に沿った不均一な摺擦を抑制し感光体を均一に摺擦することが可能となる。
架橋構造を形成するものとしては種々の材料を用いることが出来るが、特性上フェノール樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく、特にフェノール樹脂又はシロキサン系樹脂からなるものが好ましい。なお、最表層には、架橋構造を有する樹脂以外にも必要に応じて、架橋構造を有さないバインダー樹脂や、導電性微粒子、また、フッ素樹脂やアクリル樹脂などからなる潤滑性微粒子が含まれていてもよく、最表層の形成に際しては、必要に応じてシリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができる。また、最表層の形成方法の詳細については後述するが、最表層の形成には架橋構造を有する樹脂を構成する前駆体を少なくとも含む最表層形成用溶液が用いられる。
さらに電気特性や画質維持性などの観点からは、架橋構造を有する樹脂は、電荷輸送性を有している(電荷輸送能を有する構造単位を含む)ことが好ましい。この場合、最表層が、電荷輸送層の一部として機能することもできる。
このような電荷輸送能を有する構造単位を含み、且つ、架橋構造を有する樹脂を構成する電荷輸送能を有する構造単位は、架橋構造を有する樹脂としてメチロール基を有するフェノール誘導体又はシロキサン系樹脂と、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料とを含有するものがより好ましい。更に当該フェノール誘導体含有層の赤外吸収スペクトルが下記式で示される条件を満たすことで電気特性に優れ高画質化が図れる為より好ましい。
(P2/P1)≦0.2
[式中、P1は1560cm-1〜1640cm-1に存在する最大吸収ピークの吸光度を、P2は1645cm-1〜1700cm-1に存在する最大吸収ピークの吸光度を示す。]
上記式で上述の効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、メチロール基を有するフェノール誘導体を用いて塗膜を形成する過程において、フェノール誘導体のメチロール基のうちの一部は、ホルミル基等の酸化物になると考えられる。このようなホルミル基等の酸化物は、感光体中の電荷輸送を妨げるキャリアトラップとして作用し、感光体の電気特性を低下させると考えられる。ここで、赤外吸収スペクトルにおいて、1560cm-1〜1640cm-1に存在する最大吸収ピーク(P1)は、フェノール誘導体の芳香族C−C伸縮振動に相当する。また、1645cm-1〜1700cm-1に存在する最大吸収ピーク(P2)は、ホルミル基等の酸化物に由来すると考えられる。
つまり、吸光度比(P2/P1)が小さい感光体は、感光体中のホルミル基等の酸化物が少なく、キャリア輸送性に優れると考えられる。そして、上記電子写真感光体は、上記特定の材料を用い且つ吸光度比(P2/P1)が0.2以下であることから、電気特性に優れ、高画質化が達成できたと考えられる。なお、上記電子写真感光体は、電気特性と共に機械強度も優れており、この点も高画質化が達成できた要因であると考えられる。
なお、吸光度比(P2/P1)は、0.18以下が好ましく、0.17以下がより好ましい。吸光度比(P2/P1)が0.2を超えると、キャリア輸送性が低下し、感光体の電気特性が不十分となり、画質が低下することがある。
上記メチロール基を有するフェノール誘導体としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が挙げられる。このようなメチロール基を有するフェノール誘導体は、レゾルシン、ビスフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるもので、一般にフェノール樹脂として市販されているものも使用できる。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
上記酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体としては、フェノール樹脂が好ましく、レゾール型フェノール樹脂がより好ましい。
水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料としては、下記一般式(I)、(II)、(III)で示される化合物であることが好ましい。
F−[(X1m1−(R1m2−Y]m3 (I)
上記式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、X1は酸素原子又は硫黄原子を、R1はアルキレン基(炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい)を、Yは水酸基、カルボキシル基(−COOH)、チオール基(−SH)又はアミノ基(−NH2)を示し、m1及びm2はそれぞれ独立に0又は1を、m3は1〜4の整数を示す。
F−[(X2n1−(R2n2−(Z)n3G]n4 (II)
上記式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、X2は酸素原子又は硫黄原子を、R2はアルキレン基(炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい)を、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはエポキシ基を、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を、n4は1〜4の整数を示す。
F−[D−Si(R3(3-a)ab (III)
式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、R3は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6〜20が好ましく、6〜15がより好ましい)を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を、bは1〜4の整数を示す。
また、上記可とう性を有する2価の基Dとしては、具体的には、光電特性を付与するためのFの部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークの構築に寄与する置換ケイ素基とを結びつける働きを担う2価の基である。また、Dは、堅い反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークの部分に適度な可とう性を付与し、膜としての機械的強靱さを向上させる働きを担う有機基構造を表す。Dとして具体的には、−CαH2α−、−CβH2β-2−、−CγH2γ-4−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、αは1〜15の整数を表し、βは2〜15の整数を表し、γは3〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C64−、−N=CH−、−(C64)−(C64)−、及び、これらの特性基を任意に組み合わせた構造を有する特性基、更にはこれらの特性基の構成原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。また、上記加水分解性基Qとしては、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基がより好ましい。
また、電荷輸送材料としては上記(I)乃至(III)のほかに、下記(IV)(V)を用いることもできる。
Figure 2006276065
ここで、式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn7価の有機基を、Tは2価の基を、Yは酸素原子又は硫黄原子を、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を、R7は1価の有機基を、m1は0又は1を、n7は1〜4の整数を、それぞれ示す。但し、R6とR7は互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
Figure 2006276065
ここで、式(V)中、Fは正孔輸送性を有するn8価の有機基を、Tは2価の基を、R8は1価の有機基を、m2は0又は1を、n8は1〜4の整数を、それぞれ示す。
上記一般式(I)〜(V)で示される化合物における正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基Fとしては、下記一般式(VI)で示される化合物が好ましい。
Figure 2006276065
ここで、上記式(VI)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr1〜Ar5のうち1〜4個は、上記式(I)〜(V)で示される化合物における−[(X1m1−(R1m2−Y]、−[(X2n1−(R2n2−(Z)n3G]、−[D−Si(R3(3-a)a]、下記式(IV−1)又は下記式(V−1)で示される構造単位で表される部位と結合するための結合手を有するまた、kは0又は1を表す。
Figure 2006276065
一般式(VI)で示される化合物におけるAr1〜Ar4で示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記式(VI−1)〜(VI−7)に示されるアリール基が好ましい。
Figure 2006276065
上記式(VI−7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(VI−8)又は(VI−9)で示されるアリール基が好ましい。
Figure 2006276065
また、上記式(VI−7)で示されるアリール基におけるZとしては、下記式(VI−10)〜(VI−17)で示される2価の基が好ましい。
Figure 2006276065
ここで、上記式(VI−1)〜(VI−17)中、R36は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を、R37〜R43はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を、m及びsはそれぞれ独立に0又は1を、q及びrはそれぞれ独立に1〜10の整数を、tはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
また、上記式(VI−1)〜(VI−7)中、Xは上記式(I)〜(V)で示される化合物における、−[(X1m1−(R1m2−Y]、−[(X2n1−(R2n2−(Z)n3G]、−[D−Si(R3(3-a)a]、上記式(IV−1)で示される構造単位、又は上記式(V−1)で示される構造単位で表される部位と結合するための結合手を有する。
また、上記式(VI−16)〜(VI−17)中、Wは下記式(VI−18)〜(VI−26)で示される2価の基を示す。なお、式(VI−25)中、uは0〜3の整数を示す。
Figure 2006276065
また、上記一般式(VI)におけるAr5の具体的構造としては、k=0の時は上記Ar1〜Ar2の具体的構造におけるm=1の構造が、k=1の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造におけるm=0の構造が挙げられる。
ここで、上記一般式(I)で示される化合物の具体例として、下記化合物(I−1)〜(I−38)を挙げる。なお、下記において、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2006276065
Figure 2006276065
Figure 2006276065
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上記一般式(II)で示される化合物の具体例としては、下記化合物(II−1)〜(II−47)を挙げることができる。なお、下記において、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2006276065
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また、上記一般式(III)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(F−1)〜(F−61)が挙げられる。なお、下記化合物(F−1)〜(F−61)は、一般式(VI)で示される化合物のAr1〜Ar5及びkを下記の表に示されるように組み合わせ、且つ、アルコキシシリル基(Y)を下記の表に示される特定のものとしたものである。なお、下記において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を示す。
Figure 2006276065
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Figure 2006276065
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Figure 2006276065
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Figure 2006276065
Figure 2006276065
上記一般式(IV)で示される化合物の具体例としては、下記化合物(IV−1)〜(IV−40)を挙げることができる。なお、下記において、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2006276065
Figure 2006276065
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Figure 2006276065
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上記一般式(V)で示される化合物の具体例としては、下記化合物(V−1)〜(V−13)を挙げることができる。なお、下記において、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2006276065
Figure 2006276065
また、最表層には、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属又は金属酸化物がより好ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は最表層の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
また、最表層には、最表層の強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(VII−1)で示される化合物を添加することもできる。
Si(R30(4-c)c (VII−1)
上記式(VII−1)中、R30は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1〜4の整数を示す。
上記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては以下のようなシランカップリ
ング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3及び4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1及び2官能のアルコキシシランが好ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、最表層には、その強度を高めるために、一般式(VII−2)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B−(Si(R31(3-d)d2 (VII−2)
上記式(VII−2)中、Bは2価の有機基を、R31は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1〜3の整数を示す。
また、最表層には、ポットライフの延長、膜特性のコントロール、トルク低減、塗布膜表面の均一性向上のため、下記一般式(VII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることもできる。
Figure 2006276065
上記式(VII−3)中、A1及びA2は、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
一般式(VII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、2種以上を併用してもよい。
微粒子の一例として、ケイ素原子含有微粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径が好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜30nmであり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から最表層の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜50質量%の範囲、より好ましくは0.1〜30質量%の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、平均粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nmであり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。最表層中のシリコーン微粒子の含有量は、最表層の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜30質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In23、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、最表層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。最表層にはヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化製。ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」、「スミライザーTPS」、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、最表層には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を含有させてもよい。この場合、絶縁性樹脂は、所望の割合で添加することができ、これにより、電荷輸送層との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥等を抑制することができる。
最表層は、上述した構成材料を含有する最表層形成用塗布液を、電荷輸送層上に塗布して硬化させることで形成される。
最表層は、上述した電荷輸送材料を用いて形成されることから、最表層形成用塗布液に触媒を添加すること、又は最表層形成用塗布液作製時に触媒を用いることが好ましい。用いられる触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン等のアルカリ触媒、さらに系に不溶な固体触媒を用いることもできる。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体から、合成時の触媒を除去するために、フェノール誘導体をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿等の処理を行うか、イオン交換樹脂、又は無機固体を用いて処理を行うことが好ましい。
例えば、イオン交換樹脂としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂が挙げられる。
また、無機固体としては、Zr(O3PCH2CH2SO3H)2,Th(O3PCH2CH2COOH)2等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;LiSO4,MgSO4等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO32等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
最表層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用できる。なお、電子写真感光体の生産に一般的に使用されるディップコーティング法を適用するためには、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましい。また、使用される溶媒の沸点は50〜150℃のものが好ましく、それら任意に混合して使用することができる。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましいことから、最表層の形成に使用される電荷輸送材料としては、それらの溶剤に可溶であることが好ましい。
また、溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、最表層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部とすることが好ましい。
最表層形成用塗布液を用いて最表層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。なお、複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
電荷輸送層上に最表層形成用塗布液を塗布した後には、硬化処理を行う。通常、硬化処理の際には、フェノール誘導体の架橋反応を促進し、最表層の機械強度を上げるため、硬化温度は高く、硬化時間長いほど好ましい。しかし、そうした場合には、前述の吸光度比(P2/P1)が0.2を超えやすく、電気特性が著しく悪化してしまう。そこで、最表層のIRスペクトルが上記条件を満たすように、硬化温度、硬化時間、架橋雰囲気又は硬化触媒で制御することが好ましい。
すなわち、最表層のIRスペクトルが(P2/P1)≦0.2の条件を満たすようにするために、硬化処理の際の硬化温度は100〜170℃が好ましく、100〜150℃が、さらに100〜140℃がより好ましい。また、硬化時間は、30分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。
また、硬化処理(架橋反応)を行う雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の、いわゆる酸化に対して不活性なガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)下が吸光度比(P2/P1)を小さくするのに効果的である。不活性ガス雰囲気下で架橋反応を行う場合には、空気雰囲気(酸素含有雰囲気)下よりも硬化温度を高く設定することができ、硬化温度は100〜160℃(好ましくは110〜150℃)とすることが可能である。また、硬化時間は30分〜2時間(好ましくは30分〜1時間)とすることが可能である。また、一般式(I)で示される化合物において、(−(X1m1−(R1m2−Y)で示される部位が−CH2−OHの場合が最も硬化温度による電気特性の影響が大きい傾向があり、酸化に対して敏感であるので、上記好ましい温度範囲で硬化処理を行うことが好ましい。
さらに、硬化処理の際には、硬化触媒を使用することが好ましい。硬化触媒としては、例えば、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタンのようなビススルホニルジアゾメタン類、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタンのようなビススルホニルメタン類、シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタンのようなスルホニルカルボニルジアゾメタン類、2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノンのようなスルホニルカルボニルアルカン類、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートのようなニトロベンジルスルホネート類、ピロガロールトリスメタンスルホネートのようなアルキル及びアリールスルホネート類(g)ベンゾイントシレートのようなベンゾインスルホネート類、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミドのようなN−スルホニルオキシイミド類、(4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドンのようなピリドン類、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル−4−クロロベンゼンスルホネートのようなスルホン酸エステル類、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートのようなオニウム塩類等の光酸発生剤や、プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、無水カルボン酸化合物等が挙げられる。
プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル類等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さらには酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュア2500X、4167、X−47−110、3525、5225(キングインダストリー社製)等が挙げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、例えば、BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2等のルイス酸を上記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。
オニウム化合物としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
無水カルボン酸化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン酸、無水オレイン酸、無水ステアリン酸、無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カプリン酸、無水パルミチン酸、無水ミリスチン酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水モノクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等が挙げられる。
ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等の金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等の有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石鹸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら硬化触媒の使用量は特に制限されないが、最表層形成用塗布液に含まれる固形分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部が特に好ましい。
また、最表層を形成する際に、有機金属化合物を触媒として用いる場合には、ポットライフ、硬化効率の面から、多座配位子を添加することが好ましい。このような多座配位子としては、以下に示すようなもの及びそれらから誘導されるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル類;ビピリジン及びその誘導体;グリシン及びその誘導体;エチレンジアミン及びその誘導体;8−オキシキノリン及びその誘導体;サリチルアルデヒド及びその誘導体;カテコール及びその誘導体;2−オキシアゾ化合物等の2座配位子;ジエチルトリアミン及びその誘導体;ニトリロトリ酢酸及びその誘導体等の3座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びその誘導体等の6座配位子;等を挙げることができる。さらに、上記のような有機系配位子の他、ピロリン酸、トリリン酸等の無機系の配位子を挙げることができる。多座配位子としては、特に2座配位子が好ましく、具体例としては、上記の他、下記一般式(VII−4)で示される2座配位子が挙げられる。
Figure 2006276065
上記式(VII−4)中、R32及びR33はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、フッ化アルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。
多座配位子としては、上記の中でも、下記一般式(VII−4)で示される2座配位子がより好ましく、下記一般式(VII−4)中のR32とR33とが同一のものが特に好ましい。R32とR33とを同一にすることで、室温付近での配位子の配位力が強くなり、最表層形成用塗布液のさらなる安定化を図ることができる。
多座配位子の配合量は、任意に設定することができるが、有機金属化合物の使用量1モルに対し、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上、さらに好ましくは1モル以上である。
最表層の25℃における酸素透過係数は、4×1012fm/s・Pa以下であることが好ましく、3.5×1012fm/s・Pa以下であることがより好ましく、3×1012fm/s・Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、酸素透過係数は層の酸素ガス透過のし易さを表す尺度であるが、見方を変えると、層の物理的な隙間率の代用特性と捕らえることもできる。なお、ガスの種類が変われば透過率の絶対値は変わるものの、検体となる層間で大小関係の逆転は殆どない。したがって、酸素透過係数は、一般的なガス透過のし易さを表現する尺度と解釈してよい。
つまり、最表層の25℃における酸素透過係数が上記条件を満たす場合には、最表層においてガスが浸透しにくい。したがって、画像形成プロセスにより生じる放電生成物の浸透が抑制され、最表層に含有される化合物の劣化が抑制され、電気特性を高水準に維持することができ、高画質化、長寿命化に有効である。
また、赤外吸収スペクトルの吸光度比(P2/P1)が前述の条件を満たすように最表層を形成しようとする場合には、空気雰囲気下では硬化温度を比較的低く設定することが必要である。そのため、最表層の25℃における酸素透過係数を下げることは困難であるが、吸光度比(P2/P1)が前述の条件を満たすようにすると共に、最表層の25℃における酸素透過係数が上記条件を満たすようにすることで、電気特性がさらに向上し、さらに高画質を達成できる感光体が得られる。
最表層の膜厚は、0.5〜15μmが好ましく、1〜10μmがさらに好ましく、1〜5μmがより好ましい。
以下、本発明の画像形成装置について実施例を用いて詳細に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中、「部」は「質量部」を意味する。
−実施例1−
(感光体PR−1−1の製造)
先ず、84mmΦの円筒状アルミニウム基材を準備した。このアルミニウム基材をセンタレス研磨装置により研磨し、表面粗さをRz=0.6μmとした。このセンタレス研磨処理が施されたアルミニウム基材を洗浄するために、脱脂処理、2質量%水酸化ナトリウム溶液での1分間エッチング処理、中和処理及び純水洗浄をこの順に行った。次に、アルミニウム基材に対して、10質量%硫酸溶液によりその表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm2)を形成した。水洗後、80℃の1質量%酢酸ニッケル溶液に20分間浸漬して封孔処理を行った。更に、純水洗浄、乾燥処理を行い、表面に7μmの陽極酸化膜が形成されたアルミニウム基材を得た。
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンを1部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させ、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を、得られたアルミニウム基材上に浸漬コートして100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
下記式(i−1)で示されるベンジジン化合物を2.5部、下記式(i−2)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)を3部及びクロロベンゼンを20部混合し溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この塗布液を電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃で40分の加熱を行ない、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、陽極酸化膜が形成されたアルミニウム基材上に、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された「感光体PR−1」を得た。
Figure 2006276065
下記化合物(i−3)を5部、レゾール型フェノール樹脂(PL−4852、群栄化学社製)を7部、メチルフェニルポリシロキサンを0.03部、及びイソプロパノ−ルを20部混合して溶解し、最表層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬コーティング法で感光体PR−1の電荷輸送層上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、膜厚3μmの最表層を形成して、「感光体PR−1−1」を得た。尚、本実施例においては、乾燥時の雰囲気を特に記載していない場合は空気雰囲気で行ったものである。
(感光体PR−1−2の製造)
下記化合物(i−4)を5部、イソプロピルアルコールを15部、テトラヒドロフランを9部、及び蒸留水を0.9部混合し、それにイオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.5部加え、室温で攪拌することにより2時間加水分解を行った。さらに、ブチラール樹脂を0.5部、レゾール型フェノール樹脂(PL−2211、群栄化学社製)を5部、サノールLS2626(三共ライフテック社製)を0.2部、及びネイキュア4167(楠本化成社製)を0.5部加え最表層形成用塗布液を調製した。この最表層形成用塗布液を浸漬コーティング法で、前記感光体PR−1の上に塗布して130℃で30分乾燥し、膜厚3μmの最表層を形成して、「感光体PR−1−2」を得た。
Figure 2006276065
(クリーニングシステム1の説明)
[第1のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:導電性ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×108Ω、毛足長さ:3.5mm、密度:1.2万本/inch2、感光体への食い込み量:約0.5mm、周速:171mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転、ブラシ印加バイアス:+260V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×108Ω、曲げ弾性率(JIS K7203):100MPa、磨耗量(JIS K6902):2.0mg、ロックウェル硬度(JIS K7202、Mスケール):120、ブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:201mm/s、印加バイアス:+660V
<スクレイパー>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
[第2のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:導電性ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×105Ω、毛足長さ:4.5mm、密度:1.2万本/inch2、感光体への食い込み量:約1.6mm、周速:177mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転、ブラシ印加バイアス:−400V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×108Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2.0mg、ロックウェル硬度(M):120、ブラシへの食い込み量:2.1mm、周速:320mm/s、印加バイアス:−800V
<スクレイパー>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
(クリーニングシステム2の説明)
[第1のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:導電性ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×108Ω、毛足長さ:3.5mm、密度:2.4万本/inch2、感光体への食い込み量:約0.75mm、周速:114mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転、ブラシ印加バイアス:+260V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×108Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2.0mg、ロックウェル硬度(M):120、ブラシへの食い込み量:1.25mm、周速:137mm/s、印加バイアス:+660V
<スクレイパー>
材質:SUS404、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
[第2のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:導電性ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×105Ω、毛足長さ:4.5mm、密度:1.2万本/inch2、感光体への食い込み量:約1.6mm、周速:118mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転、ブラシ印加バイアス:−400V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×108Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2.0mg、ロックウェル硬度(M):120、ブラシへの食い込み量:2.1mm、周速:213mm/s、印加バイアス:−800V
<スクレイパー>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
(クリーニングシステム3の説明)
[第1のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:導電性ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×108Ω、毛足長さ:3.5mm、密度:3.6万本/inch2、感光体への食い込み量:約1.0mm、周速:114mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転、ブラシ印加バイアス:+260V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×108Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2.0mg、ロックウェル硬度(M):120、ブラシへの食い込み量:1.5mm、周速:137mm/s、印加バイアス:+660V
<スクレイパー>
材質:SUS404、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
[第2のクリーニングユニット]
クリーニングシステム2のものと同様とした。
(実験1)ブラシロールへの印加電圧に対するクリーニング性能の実験
まず、画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color 500)の像担持体とクリーニング装置とを以下の様に改造し、ブラシロールへの印加電圧に対するクリーニング性能の実験を行った。
水準1の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−1を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム1を用い、下記の通り、ブラシへの印加バイアス(印加電圧)のみ任意の値に設定したものである。
水準2の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−2を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム2を用い、下記の通り、ブラシへの印加バイアス(印加電圧)のみ任意の値に設定したものである。
水準3の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−2を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム3を用い、下記の通り、ブラシへの印加バイアス(印加電圧)のみ任意の値に設定したものである。
各画像形成装置に設置したクリーニング装置のブラシに任意の印加電圧を設定し、続いて感光体の軸方向に、濃度(以下、「DMA」ということがある)を4.5g/m2から0.5g/m2まで連続的に変化させたトナーバンドを、幅(プロセス方向への長さ)264mmでバイアス現像により現像し、そのクリーニングを実施することによりクリーニング性能を評価した。結果を図5に示す。尚、評価基準は、クリーニング実施後に感光体表面に残留したトナーバンドの軸方向長さであり、つまり、クリーニング性能が低いほど長いトナーバンドが残留することになる。
感光体表面に現像したトナーバンドの濃度(平均画像密度)によって、残留トナーを充分にクリーニングできる最小印加電圧が大きく異なることがわかり、入力された平均画像密度に応じてブラシロールへの印加電圧を制御することの有用性が示唆された。
(実験2)ブラシロールの回転数に対する像担持体表面の荒れの実験
次に、画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color 500)の像担持体とクリーニング装置とを以下の様に改造し、ブラシロールの回転数に対する像担持体表面の荒れの実験を行った。
水準4の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−1を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム1を用いたものである。
水準5の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−2を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム1と同様の構成を用い、第1及び第2のクリーニングユニット内のブラシの回転速度のみを、それぞれクリーニングシステム1の2分の1にしたものである。
水準6の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−2を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム3を用いたものである。
実験は、上記(実験1)と同条件のトナーバンドを現像し、そのクリーニングを実施するという工程を繰り返して、感光体の回転数に対する感光体表面の荒れ(粗さ)の発生具合により評価を行った。尚、粗さの評価は、下記基準をもとに目視にて行った。結果を図6に示す。
[粗さの評価基準]
感光体表面の粗さ評価基準として、まず初期状態の感光体表面をグレード0とし、画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color 500)を用いてプリントを行った際にプリント画質上に明らかな荒れ起因の白抜けが発生する場合の感光体表面をグレード5とした限度見本を作成した。粗さ評価は、評価対象の感光体表面を上記限度見本と目視にて比較し、グレード付けすることにより行った。
ブラシロールの回転数によって、像担持体表面の荒れ(スクラッチ)の発生が大きく異なることがわかり、入力された平均画像密度に応じてブラシロールの回転数を制御することの有用性が示唆された。
(実験3)平均画像密度に応じたクリーニング装置の動作の制御の実験
画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color 500)の像担持体とクリーニング装置とを以下の様に改造し、平均画像密度に応じたクリーニング装置の動作の制御を行う場合と行わない場合の比較の実験を行った。
水準7の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−1を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム1を用いたものである。
水準8の画像形成装置は、像担持体として感光体PR−1−2を用い、クリーニング装置としてクリーニングシステム3を用いたものである。
但し、水準7及び8のいずれにおいても、平均画像密度に応じてクリーニング装置の動作を制御する場合には、ブラシロールの回転速度、ブラシロールへの印加電圧、回収ロールの回転速度を、下記表9に記載のように制御した。
尚、上記平均画像密度(感光体軸方向における平均画像密度)は、上記画像形成装置に設置された画像情報処理演算装置(画像形成装置に内臓された画像情報のピクセルカウントを行う装置)により、入力された画像情報から演算され、図7及び8のフローチャートに基づいてクリーニング装置の動作条件が決定され、クリーニング装置制御信号がクリーニング装置動作部に出力される。尚、図7及び8のフローチャートに記載の条件は、本実施例の構成における条件である。
Figure 2006276065
実験は、まず、感光体に帯電を5回行う毎に、感光体の軸方向にDMA1.0g/m2から0g/m2まで連続的に変化させたトナーバンドを、幅(プロセス方向への長さ)130mmでバイアス現像により一度現像し、合計で30000回の帯電を行った。
その後、感光体の軸方向にDMA4.5g/m2から0.5g/m2まで連続的に変化させたトナーバンドを、幅(プロセス方向への長さ)264mmでバイアス現像により一度現像し、そのクリーニングを実施することによりクリーニング性能を評価した。尚、クリーニング性能の評価は、DMA4.5g/m2及び0.5g/m2のトナーバンドを現像した箇所における、クリーニング不良の発生の有無を、目視によって行った。
また、上記クリーニング性能の評価後、感光体表面の荒れ(スクラッチ)の発生を目視にて確認し、一定レベル(画像を形成した場合に画質劣化が発生するレベル)以上であるか否かを基準に、感光体表面の荒れを評価した。
尚、上記の(実験3)は、30000回の帯電及びクリーニング性能評価の際に、(1)平均画像密度に応じてクリーニング装置を制御しない場合(従来)、(2)ブラシ印加電圧のみを制御した場合(改善1)、(3)ブラシ印加電圧及びブラシ回転数を制御した場合(改善2)、(4)ブラシ印加電圧、ブラシ回転数及び回収ロール回転数を制御した場合(改善3)の4パターンについて行った。結果を表10に示す。
Figure 2006276065
尚、表2に記載の評価基準は以下の通りである。
○ クリーニング不良の発生はなく、スクラッチの発生も上記一定レベルには達しておらず、良好である。
△ クリーニング不良が発生した。
▲ 上記一定レベル以上のスクラッチが発生した。
× クリーニング不良と、上記一定レベル以上のスクラッチと、が共に発生した。
− データなし。
入力画像に応じてブラシロールの回転数や印加電圧を制御することにより、導電性ブラシに最適なクリーニング性能が与えられたまま、像担持体表面の荒れを防止できることが確認された。また回収ロールの回転数を制御することによって、ブラシロールやかき取り部材等のクリーニング装置の摩耗やへたりを抑制し、クリーニング性能を長期間に渡って維持できることが確認された。
−実施例2−
(感光体PR−2の製造)
(ベース感光体2)
先ず、ホーニング処理を施した外径84mmφの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10部、イソプロパノールを400部、及びブタノールを200部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT−2)で示される電荷輸送材料を2部、上記式(i−2)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)を3部、及びクロロベンゼンを20部混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
Figure 2006276065
この塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「ベース感光体2」とした。
上記式(v−4)で示される化合物を2.5部、ショウノールBRL−204(昭和高
分子製)を3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(AO−80:旭電化製)を0.1部、フッ素グラフトポリマー(ZX007C:富士化成製)を0.2部、及びフッ素カップリング剤(KBM−7803:信越化学製)を0.1部混合し、イソプロピルアルコール5部、メチルブチルケトン5部に溶解させ、最表層形成用塗布液を得た。この塗布液をベース感光体2の電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの最表層を形成した。得られた感光体を「PR−2」とした。
(クリーニングシステム3の説明)
[クリーニング前処理ランプ&帯電装置]
帯電装置(図3における、残留トナーの電荷の極性を合わせるための帯電装置。):コロトロン、帯電コロトロン印加電圧 DC−6kv、除電ランプ(図3における、残留トナーと感光体の静電吸着力を弱めるための除電ランプ17):LED
[第1のクリーニングユニット]
<ブラシ>
ブラシ材質:12ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×105Ω、毛足長さ:1.5mm、密度:36万本/inch2、感光体への食い込み量:約0.5mm、周速:60mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対して逆回転、ブラシ印加バイアス:+200V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1.0×106Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2.0mg、ロックウェル硬度:120、ブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:70mm/s、印加バイアス:+600V
<スクレイパー>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
[第2のクリーニングユニット]
<ブラシ>
材質:12ナイロン、太さ:2d(約17μm)、電気抵抗:1.0×105Ω、毛足長さ:1.5mm、密度:36万本/inch2、感光体への食い込み量:約0.5mm、周速:60mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対して逆回転、ブラシ印加バイアス:−400V
<回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散、電気抵抗:1×106Ω、曲げ弾性率:100MPa、磨耗量:2mg、ロックウェル硬度(M):120、ブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:70mm/s、印加バイアス:−800V
<スクレイパー>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス:8.0mm
(実験4)平均画像密度におけるフィルミング発生の実験
画像形成装置(FujiXerox社製、ColorDocuTech 60V)に前記クリーニングシステム3、及び前記感光体PR−2を搭載した機械を用い、実験を行った。
図9に示すように、記録用紙61(A4横向き)のイメージ部を分割したエリアA部/B部/C部/D部/E部において、それぞれの平均画像密度が10%/5%/3%/1%/0%となるようなパターン画像63を印画し、それを10000枚走行したところ、C部、D部及びE部においてトナー外添剤が感光体に付着固着(フィルミング)するという現象が発生した。
(実験5)トナーバンド挿入の実験(1)
ブラシロール及び回収ロールへの印加電圧と、印画するパターン画像63を上記(実験4)と同じ条件のままとし、図10に記載のトナーバンド挿入のイメージ図に示すように、感光体11におけるインターイメージ部C、D、E部に相当するエリアに、濃度60%相当で幅(矢印Cで示す感光体回転方向への長さ)30mmのトナーバンド65を、パターン画像63の印画20回毎に1回の割合で挿入する設定とし、10000枚のランニングテストを実施した。その結果、C、D、E部においても、感光体へのトナー外添剤付着は改善された。
(実験6)トナーバンド挿入の実験(2)
上記(実験5)において、挿入するトナーバンド65の幅を10mmに変えた以外は、(実験5)と同様にして10000枚のランニングテストを実施した。その結果、C部は改善されたが、D、E部においてはトナー外添剤付着は改善されなかった。
(実験7)トナー転移率の実験
(実験6)において、第1のクリーニングユニットの回収ロールへの印加電圧を+600vから+300vに変更することにより、ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率を55%から25%に低減させた以外は、(実験6)と同様にして、幅10mmのトナーバンド65を、パターン画像63の印画20回毎に1回の割合で挿入する設定とし、10000枚のランニングテストを実施した。その結果、D、E部のトナー外添剤付着は改善されたが、A、B部の高濃度部においてクリーニング不良が発生した。
尚、上記ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移率の測定は、以下に記載の方法で行った。
まず、感光体のイメージ部に相当するエリア全面に4g/m2のトナーを現像させ、転写工程を経た後、クリーニング装置により任意の条件(ブラシロールと回収ロールの電位差)でクリーニングを行う。クリーニング開始後2.0秒経過した状態で機械をシャットダウンし、ブラシの表面積500mm2あたりのトナー質量、及び回収ロールの表面積500mm2あたりのトナー質量を測定し、その比を転移率とした。
ここで、本実施例における、ブラシロールと回収ロールの電位差に対する転移率の推移を図11に示す。
(実験8)トナー転移率、平均画像密度、及びトナーバンド挿入の関係の実験
上記画像形成装置において、ブラシロールと回収ロールのトナーの転移率をそれぞれ10%、25%、35%、45%、55%と設定し(実際には、回収ロールに印加する電圧を実験ごとに変化させた)、図9に記載の画像パターンを10000枚ランニングした。その際、印画20回毎に1回の割合で任意の幅(濃度60%相当)のトナーバンドを挿入し、各エリア(図9に記載のA、B、C、D、E部)毎に、トナー外添剤付着(フィルミング)が抑制されるトナーバンドの幅を調査した。尚、クリーニング不良が発生した場合にはその時点でランニングを終了し、上記トナーバンドの幅は求めなかった。その結果を表11に示す。
Figure 2006276065
表11より、平均画像密度に応じて、ブラシロールから回収ロールへのトナー転移率を制御することにより、ブラシ表面に適度にトナーを残留させ、フィルミングの発生が抑制でき、且つ良好なクリーニングが行なえることがわかった。
また特に、感光体上に現像される画像パターンが、軸方向に分割したエリアにおいて、高平均画像密度領域と低平均画像密度領域とを有し、該画像パターンを連続して多量に画像形成する場合には、ブラシロールから回収ロールへのトナー転移率を制御すると共に、各エリア毎に検知される平均画像密度に応じて幅(即ちトナー量)を調節したトナーバンドを挿入することにより、フィルミングの発生が抑制でき、且つ良好なクリーニングが行なえることがわかった。また、トナーバンドを挿入すると同時に、ブラシロールから回収ロールへのトナー転移率を制御することにより、トナーバンド挿入によるトナー消費量を最小限にすることができるということがわかった。
(実験9)エリア毎の平均画像密度に応じたトナー転移率及びトナーバンド制御の実験
(実験8)にて得られた結果より、エリア毎に検知された平均画像密度に応じ、フィルミング発生の抑制と良好なクリーニングとを実現する、最適なブラシロールから回収ロールへのトナー転移率、及び印画20回毎に1回の割合で挿入するトナーバンドの幅を、図12にフローチャートとして表す。尚、これらの条件は、本実施例の構成での結果である。
画像形成装置(FujiXerox社製、ColorDocuTech 60V)に前記クリーニングシステム3(但し、第1のクリーニングユニットにおける回収ロールへの印加電圧条件は下記の通り設定した)、前記感光体PR−2、及び画像情報処理演算装置(画像形成装置に内臓された画像情報のピクセルカウントを行う装置)を搭載した機械を準備した。第1のクリーニングユニットにおけるブラシロールから回収ロールへのトナー転移率(即ち、回収ロールへの印加電圧)及び印画20回毎に1回の割合で挿入するトナーバンドの幅を、図12に記載のフローチャートに基づいて制御し、図9に記載の画像パターンを10000枚ランニングしたところ、フィルミングの発生もなく、良好なクリーニングが実行され、良好な画像を得ることができた。
本発明の一実施形態に係るフルカラーの画像形成装置を示す概略構成図である 本発明の一実施形態に係るフルカラーの画像形成装置を示す概略構成図である 図2に記載の画像形成装置における画像形成部の概略構成図である 図3に記載の画像形成部におけるクリーニング部の概略構成図である ブラシロールへの印加電圧に対するクリーニング性能の実験結果を示すグラフである ブラシロールの回転数に対する像担持体表面の荒れの実験結果を示すグラフである 実施例1の(実験3)における画像形成装置にて、クリーニング装置の動作の制御を示すフローチャートである 実施例1の(実験3)における画像形成装置にて、クリーニング装置の動作の制御を示すフローチャートである 実施例2の(実験1)において印画するパターン画像を示すイメージ図である 実施例2の(実験2)において挿入されるトナーバンドを示すイメージ図である 実施例2の画像形成装置におけるブラシロールと回収ロールの電位差に対する転移率の推移を示すグラフである 実施例2の(実験9)における画像形成装置にて、クリーニング装置の動作及びトナーバンドの挿入の制御を示すフローチャートである 本発明における感光体の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・作像ユニット、
100、100Y、100M、100C、100K・・・画像形成部、
11・・・感光ドラム、
12・・・帯電装置、
12A・・・帯電部材、
12B・・・帯電電源、
13・・・露光装置、
14・・・現像装置、
14Y、14M、14C、14B・・・現像器、
15・・・クリーニング装置、
151、152・・・ブラシロール、
151A、152A・・・回転軸、
151B、152B・・・ブラシ繊維
153、154・・・回収ロール、
155、156・・・スクレーパ、
157A、157B、158A、158B・・・電源、
16・・・帯電部剤
17・・・除電ランプ
20・・・中間転写ベルトモジュール、
21・・・中間転写ベルト、
22・・・駆動ロール、
23・・・テンションロール、
24・・・バックアップロール、
25・・・従動ロール、
26・・・一次転写装置、
26A・・・一次転写部材、
26B・・・一次転写電源、
27・・・ベルト用クリーナ、
30・・・二次転写装置、
31・・・給電ロール、
35・・・用紙収容カセット、
36・・・フィードロール、
37・・・搬送ロール、
38・・・レジストロール、
40・・・定着装置、
41・・・加熱ロール、
42・・・加圧ロール、
43・・・排出ロール、
61・・・記録用紙、
63・・・パターン画像、
65・・・トナーバンド、
67・・・記録用紙に相当するエリア
N1・・・一次転写位置、
N2・・・二次転写位置、
P・・・記録用紙

Claims (7)

  1. 少なくとも像担持体と、前記像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を入力された画像信号に応じて露光し潜像を形成する露光手段と、前記潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段と、前記可視像を転写媒体に転写する転写手段と、前記像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段の動作を、前記入力された画像信号より検知された平均画像密度に応じて制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記クリーニング手段に、導電性繊維を有するブラシロールと、該ブラシロールからトナーを除去する回収ロールと、該回収ロールからトナーを除去するかきとり部材と、を有してなるクリーニング装置を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記クリーニング手段の動作の制御として、前記ブラシロールの回転数及び/又は印加電圧の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記クリーニング手段の動作の制御として、前記ブラシロールから前記回収ロールへのトナーの転移率の制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
  5. 前記検知された平均画像密度に応じて、サイクルイン時及び/又はサイクルアウト時、少なくともインターイメージ部にトナーバンドを挿入することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表層が、架橋構造を有する樹脂を含有するとともに、電荷輸送能を有する構造単位を持つことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記最表層が、前記架橋構造を有する樹脂として、メチロール基を有するフェノール誘導体又はシロキサン系樹脂を用い、且つ、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料を含有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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