JP2007292841A - クリーニング装置および画像形成装置 - Google Patents

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浩江 奥山
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聡 重崎
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寛治 新宅
Tatsuya Soga
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Abstract

【課題】本発明は、例えば感光体ドラムや中間転写体などといった被クリーニング体をクリーニングするクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置が備えられた画像形成装置に関し、装置の大型化を招くことなく、球形トナーをクリーニングし、画像ボケを防止し、長期に渡って高画質の画像を得ることに寄与するクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置が備えられた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】クリーニングブレード172Y,172M,172C,172Kの、少なくとも感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kと接触する部分は、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
A≧−2.5×B+102 式(1)
で表される関係式(1)を満たす材料からなるものである。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば感光体ドラムや中間転写体などといった被クリーニング体をクリーニングするクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置が備えられた画像形成装置に関する。
電子写真方式の複写機やプリンタあるいはファクシミリなどに用いられる画像形成装置では、感光体ドラム等に代表される潜像担持体を一様に帯電させ、画像の情報を担持した露光光をその潜像担持体に照射することによりその潜像担持体上に静電潜像を形成し、その静電潜像を現像することにより潜像担持体上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を直接に、あるいは例えば中間転写体を介在させて、最終的に記録媒体上に転写して定着することによりその記録媒体上に定着トナー像からなる画像が形成される。
従来より、形成されたトナー像を直接に記録媒体上に転写して定着する構成の画像形成装置には、潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写した後に潜像担持体上に残留するトナーや、帯電プロセスにおいて生成されて潜像担持体上に残留する放電生成物をクリーニングするクリーニング装置が配備されている。また、形成されたトナー像を中間転写体を介在させて記録媒体上に転写して定着する構成の画像形成装置には、中間転写体上にトナー像を1次転写した後の潜像担持体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置や、潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体を介在させて記録媒体上に2次転写した後にその中間転写体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置が配備されている。画像形成装置にこのようなクリーニング装置が配備されることによって、潜像担持体や中間転写体などといった被クリーニング体が繰り返し使用される。
このようなクリーニング装置におけるクリーニング方式としては、ゴムブレード等のクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング方式や、導電性ブラシや磁気ブラシやファーブラシ等のクリーニングブラシを用いたブラシクリーニング方式が知られている。
ブラシクリーニング方式と比較してブレードクリーニング方式は簡便な構成であるがゆえに最も広く用いられている。しかしながら、ブレードクリーニング方式は、クリーニングブレードと被クリーニング体との機械的摺擦によって被クリーニング体の摩耗が進みやすく、被クリーニング体の大幅な長寿命化が計れないという問題がある。特に、オンデマンド印刷に使用されるような高速機にブレードクリーニング方式のクリーニング装置を適用した場合には、クリーニングブレード先端部の摩滅や欠けがより一層顕著となり、クリーニング信頼性を長期に渡って維持できないという問題がある。
近年、この種の画像形成装置において高画質化の要求が進み、その一手段として、重合法によるトナーが用いられるようになっている。重合法で得られたトナーは、従来の不定形粉砕トナーと比較して格段に小粒径化、粒度分布狭化、球形化がなされ、このような重合法によるトナーが画像形成に用いられることにより、ドットの再現性、現像性、転写性が向上する。
ところが、このような重合法によるトナーを用いた画像形成装置にブレードクリーニング方式のクリーニング装置を適用した場合、小粒径で球形に近いトナーを除去するには、従来の不定形粉砕トナーを除去する場合と比較して、トナー除去のために高いブレード押し付け圧を必要とし、クリーニングブレードの劣化や被クリーニング体の傷がより一層悪化するという問題がある。さらに高速機において、一時に大量のプリントが取られ非画像部が長時間続く場合は、クリーニングブレードエッジ部へトナーが供給されないため、潤滑が阻害され、ブレードめくれやブレードエッジ部の磨耗が著しく進み、クリーニング性能の低下を招くこととなる。
一方、クリーニングブラシを用いたブラシクリーニング方式は、クリーニング性能の経時劣化が少なく、特に高速機においては、ブレードクリーニング方式に比して有利である。またブラシクリーニング方式は積極的に電界を利用するクリーニング方式であるため、ブレードクリーニング方式では困難であった球状トナーのクリーニングに対しても優位性を有する。
ここで、感光体ドラムをコロナ帯電器や導電性ローラ等による帯電手段によって帯電する帯電プロセスにおいて、オゾンやNOなどといった放電生成物が発生することが知られている。感光体ドラム表面に付着したオゾンやNOは雰囲気中の水分と結合して、感光体ドラム表面の電気抵抗を低下させ、感光体ドラム上電荷の保持が困難になる。
しかしながら、ブラシクリーニング方式は、ブレードクリーニング方式と比較して感光体ドラム表面の機械的掻き取り力が低く、帯電器から生じる放電生成物を充分に除去できないことによる画像ボケ(画像流れ)が発生しやすい。特に高速機では感光体ドラムを帯電させるために高い電流値に設定しなければならず、感光体ドラム表面に放電生成物が多く付着する傾向があり、画像ボケ現象がより加速される。
また、ブラシクリーニング方式はブレードクリーニング方式と比較して、トナーのクリーニング性能は優れているものの、微粒子のクリーニング性は不足しており、現像剤の外添剤のフィルミングが生じやすいと言った問題もある。
また、ブラシクリーニング方式は、ブラシ毛先が繰り返し傷をなぞる傾向があり、従来の硬さの感光体ドラムが配備された画像形成装置に用いた場合、ブレードクリーニング方式と比較して溝状に傷が深くなり、その結果、傷によるスジ状濃度ムラといった画質の著しい低下を招くこととなる。この問題に対しては、感光体ドラムの寿命を延ばすために、耐磨耗性を向上させた種々の感光体ドラムが利用でき、このような感光体ドラムとして、電荷輸送能を有する構造単位を有し且つ架橋構造を有する樹脂を利用した感光体ドラムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に提案された感光体ドラムは従来のものに対し耐熱性、機械的強度が優れることから、感光体ドラムの傷や摩耗による劣化を著しく減少させることができ、感光体ドラムの長寿命化が図れる。
しかし、この特許文献1に提案された耐摩耗性の高い感光体ドラムをブラシクリーニング方式のクリーニング装置が配備された画像形成装置に適用した場合、感光体ドラムの傷や摩耗は大きく良化するものの、上述したように、ブラシクリーニング方式はブレードクリーニング方式と比較して掻き取り性が低いゆえに、感光体ドラム表面に付着した放電生成物を削り取ることが困難であり、画像ボケやフィルミングはかえって悪化し、ただ単にクリーニングブラシの剛性を上げて摺擦力を高めても改善されるものではないことが分かってきた。
このような不具合を解決するために、近年、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用し、クリーニングブレードにより感光体ドラム表面との摺擦を向上してフィルミングや画像ボケを防止しつつ、クリーニングブラシによりトナーのクリーニングを確実に行う方式が検討されている。このような方式では、トナー飛散を防止するため、一般に、クリーニングブレードはクリーニングブラシよりも感光体ドラムの回転方向下流側に配備される。ところが、潤滑剤としても作用して摩擦を軽減する残留トナーの多くが上流側のクリーニングブラシにより回収されると、クリーニングブレードのエッジ部分に供給されるトナーが不足して潤滑が阻害され、クリーニングブレードのビビリや捲れが問題となる。
このような問題を解決する技術として、クリーニングブラシに印加するバイアスを適時調整し、クリーニングブラシからクリーニングブレードエッジ部へ潤滑剤であるトナーを供給する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この特許文献2に提案された技術はクリーニングブレードへトナーを供給しブレードダメージを防止する効果があるものの、特に高速機に用いる場合は、クリーニングブラシにトナーを常時適量保持する必要があり、クリーニングブラシ上に常時保持されたトナーは感光体ドラムや回収ロールとの摩擦あるいは電荷注入等により次第に電荷を失う。それによりクリーニングブラシの内部(毛の根本〜毛先)には電界に対して反応しない低帯電トナーが蓄積していくことによってトナーのクリーニング機能が低下し、長期走行ではクリーニング性能が維持できないという問題がある。
また、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用した方式においてクリーニングブレードの潤滑が不足するという問題を解決する技術として、クリーニングブレードエッジ近傍に低摩擦部分を設けてクリーニングブレードと感光体ドラムとの間の摩擦を低減する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
この特許文献3に提案された技術によれば、クリーニングブレードと感光体ドラムとの間のインタラクションが低減され、ブレードめくれやビビリを防止することが出来るものの、感光体ドラムとの摺擦による掻き取りが充分になされず、特に長寿命を目的とした低磨耗型高硬度感光体ドラムを用いた場合、表面に付着した放電生成物の除去が充分になされず、画像ボケを防止することが困難である。
さらに、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用した方式においてクリーニングブレードの潤滑が不足するという問題を解決する技術として、クリーニングブラシ下流に装着する補助ブレードの弾性率を20%以上25%以下にしたり、あるいはその補助ブレードとして高硬度のものを使用して、クリーニングブレードのビビリを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
この特許文献4に提案された、高硬度あるいは低反発弾性のクリーニングブレードは、クリーニングブレードと感光体ドラムの接触面積を減少させ摩擦上昇は抑制させることが可能であるものの、クリーニングブレードを高硬度化・低反発弾性化するだけでは感光体ドラムの傷を防止することは出来ず、また、近年、クリーニングブレードの高硬度化で必ずしも摩擦抑制効果が充分に説明出来るものではないことが分かってきた。そのため、ブラシクリーニング後のブレードクリーニングにおいて、特にトナー等の潤滑剤供給が極端に少ない条件下においては、この特許文献4に提案された物性だけでは、充分にビビリ現象を抑えることが困難である。
特開2000−241998号公報 特開2003−233282号公報 特開2002−287592号公報 特開平07−84497号公報
本発明は、上記事情に鑑み、装置の大型化を招くことなく、球形トナーをクリーニングし、画像ボケを防止し、長期に渡って高画質の画像を得ることに寄与するクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置が備えられた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明のクリーニング装置は、
所定の方向に移動する被クリーニング体に接触して回転するとともに、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧の印加を受けて、その被クリーニング体に付着したトナーを除去する導電性クリーニングブラシと、
上記導電性クリーニングブラシよりも上記被クリーニング体の移動方向下流側、かつその導電性クリーニングブラシから所定間隔離間した位置に配備され、板形状を有し、この板形状の1辺がその被クリーニング体に当接して、その導電性クリーニングブラシによるトナー除去でその被クリーニング体に残留した残留物を掻き取るクリーニングブレードとを備え、
上記クリーニングブレードは、少なくとも上記1辺が、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
A≧−2.5×B+102
で表される関係式を満たす材料からなるものであることを特徴とする。
本発明のクリーニング装置によれば、例えば小径で球形度の高いトナーが用いられたとしても上記導電性クリーニングブラシによりトナーを確実にクリーニングできるため高画質が得られ、クリーニングブレードをその導電性クリーニングブラシよりも上記被クリーニング体の移動方向下流側に配備することで、導電性クリーニングブラシで不足する摺擦力が付加されることとなり、例えば放電生成物除去不足による画像ボケが防止できる。また、本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングブレードを、水との接触角と100%モジュラスが上記関係式を満たす材料からなるものにすることで、クリーニングブレードが導電性クリーニングブラシよりも上記被クリーニング体の移動方向下流側に設置されることによる潤滑不足が発生しても、安定な姿勢で感光体ドラムに当接し、長期に渡って充分な摺擦を発揮することが出来る。従って、本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングブレードの寿命および感光体ドラム寿命をのばし、長期に渡ってクリーニング性能が維持され、ディフェクトのない均一な画像形成が可能である。
ここで、上記本発明のクリーニング装置は、上記クリーニングブレードが、板状バネ部材に支持されたものであってもよい。
また、上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
静電潜像を形成しトナーで現像してトナー像を形成し、このトナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することによりその記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
所定の方向に移動する被クリーニング体と、
上記被クリーニング体をクリーニングするクリーニング装置とを備え、
上記クリーニング装置が、
上記被クリーニング体に接触して回転するとともに、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧の印加を受けて、その被クリーニング体に付着したトナーを除去する導電性クリーニングブラシと、
上記導電性クリーニングブラシよりも上記被クリーニング体の移動方向下流側、かつその導電性クリーニングブラシから所定間隔離間した位置に配備され、板形状を有し、この板形状の1辺がその被クリーニング体に当接して、その導電性クリーニングブラシによるトナー除去でその被クリーニング体に残留した残留物を掻き取るクリーニングブレードとを備え、
上記クリーニングブレードは、少なくとも上記1辺が、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
A≧−2.5×B+102
で表される関係式を満たす材料からなるものであることを特徴とする。
ここで、本発明の画像形成装置にいう「被クリーニング体」とは、例えば潜像担持体や中間転写体をいう。尚、潜像担持体は静電潜像を担持するものであって、中間転写体は形成されたトナー像が一時的に転写される中間媒体である。
本発明の画像形成装置は、本発明のクリーニング装置が備えられたものである。従って、本発明の画像形成装置によれば、本発明のクリーニング装置と同様に、クリーニングブレードの寿命および感光体ドラム寿命をのばし、長期に渡ってクリーニング性能が維持され、ディフェクトのない均一な画像形成が可能である。
ここで、上記本発明の画像形成装置は、上記クリーニングブレードが、板状バネ部材に支持されたものであってもよい。
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、球形トナーをクリーニングし、画像ボケを防止し、長期に渡って高画質の画像を得ることに寄与するクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置が備えられた画像形成装置が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態が適用された画像形成装置1の概略構成図である。ここでは、先ずこの図1を参照して、本発明の位置づけについて説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、フルカラータンデム方式を採用した画像形成装置であって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の4色のトナーそれぞれに対応した4つのトナー像形成ユニットを用いて、中間媒体としての中間転写ベルトの送りに同期させて各トナー像形成ユニットでYMCK各色のトナー像を形成し、それら各色のトナー像を中間転写ベルト上に重ね合わせ(1次転写)、中間転写ベルト上に重ね合わせたカラートナー像を記録媒体である用紙に転写(2次転写)し、定着するものである。
図1に示す画像形成装置1は、4つのトナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、および4つの1次転写ロール20Y,20M,20C,20Kを備えている。また、この画像形成装置1は、駆動ロール31、従動ロール32、テンションロール33、および対向ロール42に張架されて反時計回りの矢印B方向に循環移動する半導電性の中間転写ベルト30、2次転写を行う一括転写装置40、および未定着トナー像を用紙に定着させる定着装置50も備えている。
4つのトナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、中間転写ベルト30の循環移動方向に並んで配備されており、各トナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kには、時計回りの矢印A方向に回転する感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kが配備されている。この感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kは、本発明にいう被クリーニング体の一例に相当するものである。各感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面は、中間転写ベルト30に接している。1次転写ロール20Y,20M,20C,20Kは、中間転写ベルト30を挟んで各感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kと対向する位置に配備されており、各感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kと中間転写ベルト30とが接する部分が1次転写位置である。
また、各トナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの周囲には、非接触型帯電装置12Y,12M,12C,12K、露光光照射装置13Y,13M,13C,13K、現像装置14Y,14M,14C,14K、補助帯電装置15Y,15M,15C,15K、補助露光装置16Y,16M,16C,16K、およびクリーニング装置17Y,17M,17C,17Kが備えられている。このクリーニング装置17Y,17M,17C,17Kは、本発明にいうクリーニング装置の一例に相当するものである。
現像装置14Y,14M,14C,14Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周囲の、1次転写位置の上流側に配備されている。露光光照射装置13Y,13M,13C,13Kは、その現像装置14Y,14M,14C,14Kよりもさらに上流側に配備されていて、非接触型帯電装置12Y,12M,12C,12Kは、その露光光照射装置13Y,13M,13C,13Kよりもさらに上流側に配備されている。
補助帯電装置15Y,15M,15C,15Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周囲の、1次転写位置の下流側に配備されている。補助露光装置16Y,16M,16C,16Kは、その補助帯電装置15Y,15M,15C,15Kよりもさらに下流側に配備されている。クリーニング装置17Y,17M,17C,17Kは、その補助露光装置16Y,16M,16C,16Kよりもさらに下流側に配備されていて、1次転写位置において中間転写ベルト30に転写されず、感光体ドラム11Y,11M,11C,11K上に残留する残留トナーを、導電性クリーニングブラシ171Y,171M,171C,171Kとクリーニングブレード172Y,172M,172C,172Kでクリーニングする。この導電性クリーニングブラシ171Y,171M,171C,171Kは、本発明にいう導電性クリーニングブラシの一例に相当するものであり、このクリーニングブレード172Y,172M,172C,172Kは、本発明にいうクリーニングブレードの一例に相当するものである。
感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面は、非接触型帯電装置12Y,12M,12C,12Kによって一様に帯電される。非接触型帯電装置12Y,12M,12C,12Kにより一様に帯電した感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面には、露光光照射装置13Y,13M,13C,13Kより画像の情報を担持したレーザ光が照射されて感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面に静電潜像が形成される。現像装置14Y,14M,14C,14Kは、二成分現像方式を採用したものであり、この現像装置14Y,14M,14C,14Kには、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤が収容されている。また、現像装置14Y,14M,14C,14Kには現像ロール141Y,141M,141C,141Kが配備されている。現像ロール141Y,141M,141C,141Kの周面には、トナーが付着した磁性キャリアが層状となった現像剤層(いわゆる磁気層)が形成され、トナーは、この現像剤層から静電潜像を担持した感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面に供給される。静電潜像はトナーの供給を受けて現像されトナー像となる。
1次転写ロール20Y,20M,20C,20Kには、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加されており、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面から中間転写ベルト30表面に移行する。各トナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kで形成されたトナー像は、中間転写ベルト30上で1つに重なり合ったカラートナー像となる。
また、一括転写装置40は、中間転写ベルト30のトナー像担持面側に圧接配備された二次転写ロール41と、中間転写ベルト30の裏面側に配備された対向ロール42を備えており、これら2つのロール41,42で中間転写ベルト30を挟みこんでいる。これら2つのロール41,42間が二次転写位置になる。
さらに、図1に示す画像形成装置1には、図示しない用紙トレイから搬送された用紙Pを、シュート61を経て二次転写位置に送り出すレジストレーションロール62が配備されており、用紙Pが所定のタイミングで二次転写位置へと送り込まれる。二次転写位置では、中間転写ベルト30上で1つに重なり合ったカラートナー像が、送り込まれてきた用紙P上に転写される。
また、この画像形成装置1には、カラートナー像が2次転写された用紙Pを搬送する搬送ベルト63が配備されており、搬送ベルト63で搬送された用紙Pが定着装置50へと送り込まれる。定着装置50は、加熱機構511を有する定着ロール51、および定着ロール51に対向するように設けられた圧力ロール52を備えている。互いに対向する定着ロール51と圧力ロール52との間に、2次転写位置を通過した用紙Pが搬送されてくると、用紙P上のカラートナー像を構成するトナーは、定着ロール51の加熱機構511により溶融され用紙P上に定着され、用紙P上に定着トナー像からなる画像が形成される。
また、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面に形成されたトナー像が1次転写位置で中間転写ベルト30表面に移行した後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kは、補助帯電装置15Y,15M,15C,15Kによって転写履歴が緩和されるとともに、補助露光装置16Y,16M,16C,16Kによって感光体電位が調整される。また、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面に形成されたトナー像が1次転写位置で中間転写ベルト30表面に移行した後に、感光体ドラム11Y,11M,11C,11K上に残留する残留トナーは、補助帯電装置15Y,15M,15C,15Kによって帯電量が調整された後に、クリーニング装置17Y,17M,17C,17Kに配備された導電性クリーニングブラシ171Y,171M,171C,171Kとクリーニングブレード172Y,172M,172C,172Kでクリーニングされる。
ここで、この図1に示す画像形成装置1における、本発明の一実施形態としての特徴は、この画像形成装置1に備えられたクリーニング装置17Y,17M,17C,17Kに関連があり、以下、このクリーニング装置17Y,17M,17C,17Kについて詳しく説明する。尚、以下の説明では、上述した4つのクリーニング装置17Y,17M,17C,17Kを代表して、K色用のトナー像形成ユニット10Kに配備されたクリーニング装置17Kについて説明する。
図2は、図1に示す4つのトナー像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kのうちの、K色用のトナー像形成ユニット10Kの概略構成図である。
図2には、図1にも示す、感光体ドラム11K、非接触型帯電装置12K、露光光照射装置13K、現像装置14K、補助帯電装置15K、補助露光装置16K、およびクリーニング装置17Kが配備されたK色用のトナー像形成ユニット10Kと、1次転写ロール20Kと、矢印B方向に循環移動する中間転写ベルト30とが示されている。
図2に示すように、クリーニング装置17Kには、導電性クリーニングブラシ171Kと、クリーニングブレード172Kと、回収ロール173Kと、スクレーパ174Kが配備されている。なお、回収ロール173Kには、さらに、導電性クリーニングブラシ171Kに付着したトナーを機械的に叩き落とすフリッキング部材を設置してもよい。また、クリーニング装置17Kは着脱可能なカートリッジ方式のものが好ましい。
ここで、転写工程の後に感光体ドラム11K表面に残留する残留トナーは、現像時に感光体ドラム11K表面へ供給されるトナーの極性と同極性の残留トナーの他に、これとは逆極性の残留トナーも必ず存在する。これは、転写時にトナーに加わる電界の影響を受けて、全体に占める割合は少ないものの一部の残留トナーの極性が、現像時に感光体ドラム11K表面へ供給されるトナーの極性と逆に反転(逆極化)するからである。それゆえ、残留トナー中に正負両極性を帯びたトナーが混在することは避けられない。
転写の影響を受けて帯電量が変動した残留トナーのクリーニングを導電性クリーニングブラシ171Kで確実に行うために、図2に示すクリーニング装置17Kは、感光体ドラム11Kの回転方向に沿って導電性クリーニングブラシ171Kが配備され、この導電性クリーニングブラシ171Kに印加される電圧がトナーと逆極性になるように選択され、導電性クリーニングブラシ171Kに接触して導電性クリーニングブラシ171K上のトナーを回収する回収ロール173Kには、導電性クリーニングブラシ171Kと同極性で、かつ、その電圧値より高い電圧が印加される。また導電性クリーニングブラシ171Kに突入するトナーの帯電量を導電性クリーニングブラシ171Kの極性と逆極性に調整するために、例えば非接触のコロナ帯電器などといった補助帯電装置15Kが、導電性クリーニングブラシ171Kよりも感光体ドラム11Kの回転方向上流側に配備されている。この補助帯電装置15Kに印加される電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳してもよい。また、補助帯電装置15Kとしては、導電固定ブラシや導電ロールなどの接触型帯電器を用いても良い。
尚、導電性クリーニングブラシを2つ以上配備する場合は、少なくとも第1の導電性クリーニングブラシに印加される電圧と、第2の導電性クリーニングブラシに印加される電圧とは、その極性が逆となるように選択される。
さらに、導電性クリーニングブラシ171Kよりも感光体ドラム11Kの回転方向下流側にクリーニングブレード172Kを配備し、帯電器から放出され感光体ドラム11K表面に付着した放電生成物等の画質に悪影響を及ぼす付着物の除去を行う。
導電性クリーニングブラシ171Kは、図示しないシャフトの外周面上に、その中心から外周面方向に複数の繊維を配してロール状としたものである。シャフトはそれぞれ感光体ドラム11Kとの接線に平行に配備されており、導電性クリーニングブラシ171Kはシャフトを中心として回転可能である。また、シャフトのそれぞれと感光体ドラム11Kとの距離は、導電性クリーニングブラシ171Kのブラシ先端の感光体ドラム11Kに対する食い込み量が所定の値(好ましくは0.3mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.8mm以下)となるように設定されている。
導電性クリーニングブラシ171Kの繊維としては、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維が挙げられ、ベルトロン(カネボウ社製)、SA−7(東レ社製)、UUナイロン(ユニチカ社製)等の市販品を使用することができる。これらの繊維の太さは、好ましくは30デニール以下、より好ましくは20デニール以下、さらに好ましくは0.5デニール以上10デニール以下である。また、繊維の密度は、好ましくは20,000本/inch以上、より好ましくは60,000本/inch以上である。
回収ロール173Kは、熱硬化性樹脂を硬化させてロール状に成型し、図示しないシャフトの外周に配したものである。回収ロール173Kは、その外周面が導電性クリーニングブラシ171Kのブラシ先端に当接している。回収ロール173Kはシャフトを回転軸として回転可能となっている。
回収ロール173Kに用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもフェノール樹脂は、寸法精度が高く、成型が容易であり、成形体の表面平滑性に優れ、安価である等の利点を有するので好ましい。
回収ロール173Kの曲げ弾性率は700KPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が700KPa未満であると、回収ロール173Kに撓みが生じて導電性クリーニングブラシ171Kやスクレーパ174Kとの当接位置や食い込み量を所定値に保持することが困難となる。また、曲げ弾性率が700KPa未満の材料を用いて回収ロール173Kの肉厚を増加させて剛性を保持しようとすると、成形収縮が大きくなって寸法精度が不十分となり、さらには、重量が増加する、成形時間が増加する、後工程が必要となる等の問題が生じてコストが増大する。なお、ここでいう曲げ弾性率は、JIS K7171:1994に準拠して測定される値をいう。
また、回収ロール173Kは、導電性クリーニングブラシ171K及びスクレーパ174Kと接触状態にあるため、その動作により回収ロール173Kの外周面は磨耗し得る。この磨耗量は、回収ロール173Kの外周面についてJIS K6902:1998に準拠して磨耗量を測定したとき、当該磨耗量が20mg以下であることが好ましい。これにより、導電性クリーニングブラシ171K及びスクレーパ174Kの当接圧や食い込み量を大きな値に設定することができ、また、その場合にも長期にわたって安定的なクリーニングを行うことができる。なお、磨耗量が20mgを超えると、回収ロール173Kの寿命が不十分となって頻繁な交換が必要となる場合がある。
また、回収ロール173Kのロックウェル硬さ(Mスケール)は100以上であることが好ましい。ロックウェル硬さが100以上であると、寸法精度の高い成形が可能となり、また、削れに対して非常に強いロール部材となる。なお、ここでいうロックウェル硬さとは、JIS K7202−2:2001に準拠して測定される値をいう。
スクレーパ174Kは金属薄板からなるものであって、その一端のエッジ部分が回収ロール173Kの外周面に当接するように配備されている。スクレーパ174Kはクリーニング装置17Kのハウジングに固定されるが、それらの固定方法は特に制限されず、取り付け金具を用いて固定してもよく、クリーニング装置17Kのハウジングに直接固定してもよい。
スクレーパ174Kの材質としては、高耐久性及び低コストの点から、ステンレス又はリン青銅が好ましい。スクレーパ174Kの厚みは、好ましくは0.02mm以上2mm以下、より好ましくは0.05mm以上1mm以下である。なお、スクレーパ174Kの代わりにゴムブレード部材を用いてもよい。
以上説明した構成を有するクリーニング装置17Kにおいては、先ず、転写後の感光体ドラム11K上に残留する残留トナーが導電性クリーニングブラシ171Kにより除去される。次に、導電性クリーニングブラシ171Kの回転により回収ロール173Kとの当接位置までトナーが移送されて回収される。これにより、導電性クリーニングブラシ171Kのブラシ先端は再生され、感光体ドラム11Kのクリーニングに繰り返し使用される。また、回収ロール173Kに付着したトナーは、回収ロール173Kの回転によりスクレーパ174Kとの当接位置まで移送され除去される。これにより、回収ロール173Kの表面も再生され、導電性クリーニングブラシ171Kのブラシ先端の再生に繰り返し使用される。
なお、導電性クリーニングブラシ171Kでトナーを静電的に吸着除去するために、導電性クリーニングブラシ171Kにはトナーと逆極性の電圧が印加されるが、さらに、導電性クリーニングブラシ171Kと回収ロール173Kとの間に電位差のあるクリーニングバイアスを印加する機構とすることが好ましい。
より具体的には、導電性クリーニングブラシ171Kに所定の電圧を印加することで、その静電誘因力により感光体ドラム11K上の残留トナーを導電性クリーニングブラシ171Kに付着させることができる。導電性クリーニングブラシ171Kには、導電性クリーニングブラシ171Kと感光体ドラム11Kとの間の電位差が100V以上になるように設定されることが好ましい。そして、回収ロール173Kに導電性クリーニングブラシ171Kへの印加電圧よりも絶対値が大きく且つ極性が同じ電圧を印加することで、導電性クリーニングブラシ171Kに付着した残留トナーを回収ロール173Kに付着させることができる。導電性クリーニングブラシ171Kと回収ロール173Kとの間の電位差は、好ましくは100V以上、より好ましくは200V以上、さらに好ましくは400V以上である。
導電性クリーニングブラシ171Kに電圧を印加するには、導電性クリーニングブラシ171Kの繊維が導電性を有していることが必要である。ここで、導電性クリーニングブラシ171Kの繊維に導電性を付与する方法としては、繊維に導電性粉末やイオン導電材を配合する方法、繊維の内部又は外部に導電層を形成する方法等が挙げられる。また、導電性が付与された繊維の抵抗値は、繊維単体で10Ω・cm以上1011Ω・cm以下が好ましい。
また、回収ロール173Kの電気抵抗を調整する方法として、無機フィラーや有機フィラーを充填する方法等が挙げられる。無機フィラーや有機フィラーを回収ロール173Kに充填すると、回収ロール173Kの剛性が増加するという利点もある。無機フィラーとしては、錫、鉄、銅、アルミ等の金属粉体や金属繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機フィラーとしては、カーボンブラック、炭素粉、グラファイト、磁性粉、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物、ストロンチウム、バリウム、希土類等のいわゆるハードフェライト、マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、またはこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等から選ばれ高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体、いわゆる複合金属酸化物等やポリアニリンが挙げられる。
回収ロール173Kに500Vの電圧を印加したときの抵抗値は、好ましくは1×10Ω・cm以上1×1010Ω・cm以下、より好ましくは1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下である。抵抗値が1×10Ω未満の場合、回収ロール173Kへの電荷注入が起こり、導電性クリーニングブラシ171Kによって掻き取られたトナーや紙粉等の微粉末の極性が反転するため、これらを電気的に吸着することが困難となる場合がある。他方、回収ロール173Kの抵抗値が1×1010Ω・cmを超えると、回収ロール173Kに電荷が蓄積される現象(チャージアップ)が起こりやすくなり、この場合もトナーや紙粉等の微粉末の電気的な吸着が困難となる場合がある。
なお、図2に示すクリーニング装置17Kは、導電性クリーニングブラシ171Kを1つ備えたものであるが、2つ以上の導電性クリーニングブラシを備える場合は、少なくとも一つの導電性クリーニングブラシに印加される電圧の極性、もう一つの導電性クリーニングブラシに印加される電圧の極性が互いに逆極性となるように調整される。
次に、クリーニングブレード172Kについて詳述する。
図2に示すクリーニングブレード172Kの、少なくとも感光体ドラム11Kと接触する部分は、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
A≧−2.5×B+102 式(1)
で表される関係式(1)を満たす材料からなるものである。
接触角Aはゴニオメーター等を用いて測定することができる。ここでは、23℃・55%RHの環境下において、クリーニングブレード172Kの表面に水を滴下し、10秒間放置後の水滴の接触角を、接触角測定装置CA−Xロール型(協和界面科学社製)を用いて測定した。測定場所を変え5回繰り返し測定した際の平均値を接触角Aとした。
100%モジュラス(MPa)Bとは100%伸張時の応力をいう。ここでは、JIS K6251:2004(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの引張応力を求める方法)に準拠した測定で23°Cの環境下で求めた値を100%モジュラス(MPa)Bとした。クリーニングブレード172Kが少なくとも2層の層構成を有する場合、感光体ドラム11Kと当接する層を構成する材料についての100%モジュラス(MPa)を100%モジュラス(MPa)Bとする。
ここで、一般に、感光体ドラム表面と接触した従来のクリーニングブレードの先端部は感光体ドラムとの摩擦作用により、感光体ドラムの回転方向下流側に引っ張られ変形した状態で使用される。従来のクリーニングブレードは平滑な感光体ドラム表面と直接接触すると密着し摩擦が高過ぎて感光体ドラムを回転させることが出来ないが、トナーによって供給される外添剤粒子などの介在物によって実質の接触面積が低減されるため摩擦が下がり感光体ドラムが回転可能となる。そのクリーニングブレードよりも感光体ドラムの回転方向上流側に設けられた導電性クリーニングブラシにより、球形度が高くそれゆえ付着力の低い球形トナーは形成された電界によって残留トナーの大半が除去されるため、そのクリーニングブレードのエッジ部における潤滑剤が不足する。特に低画像密度の画像が続くとブレードニップにおける外添剤粒子が極端に枯渇するため、そのクリーニングブレード先端の変形が著しくなり、感光体ドラムと接するブレードニップが不安定となるため、充分かつ安定な摺擦が得られない。
ところが、本実施形態では、クリーニングブレード172Kにおける水との接触角を従来のクリーニングブレードよりも高いものを用いるため、感光体ドラム11Kとクリーニングブレード172Kとの凝着力が低くなり摩擦が低減される。さらに、本実施形態では、100%モジュラスを高くすることでクリーニングブレード172K先端部の変形が抑制され、接触面積の変動が小さくなるため摩擦上昇が抑制される。本発明者らによる実験により、水との接触角および100%モジュラスが上記関係式(1)の関係にある場合、高速で低画像密度の画像を連続して流した場合でもトルクが上昇しないことを見出した。このような走行条件においてはブレードニップにおける外添剤の量が極度に少なくなるゆえに、凝着力が高く変形しやすい従来のクリーニングブレードを用いると摩擦が上昇してしまうが、上記関係式(1)を満たす材料からなるクリーニングブレード172Kを用いると、クリーニングブレード172Kが感光体ドラム11K表面と直接接触する面積が増えても摩擦が低く、クリーニングニップ状態を安定に保つことが出来る。
然るに、どのような画像形成においてもクリーニングブレード172Kに過剰なストレスがかからないため、クリーニングブレード172K先端の姿勢を安定に保つことが出来、画質に悪影響を与える感光体ドラム11K表面に付着した放電生成物等を確実に除去できる。さらに、クリーニングブレード172Kの接触部が安定するため、感光体ドラム11K表面の清掃を充分行いつつも、クリーニングブレード172Kの損傷を防ぎ、クリーナの長寿命化を達成することが出来る。
またクリーニングブレードエッジ部の摩耗低減効果に関し、必ずしもゴム硬度のみで説明出来ない理由として以下のように推測する。電子写真において一般に使用されるクリーニングブレードのゴム材料は、高変形領域までを含めると複雑な応力〜歪みの関係を示す。歪みゲージによる測定結果やニップ観察等から走行におけるクリーニングブレード先端部の変形量は、数百μmから数mmにまで及ぶことが推定されるが、硬度の測定は微小変形領域での挙動を示すものであるため、実態と合わないことがままあると思われる。それに対して100%モジュラスの測定値は中間〜大変形領域における挙動に即しており、実際走行におけるクリーニングブレード先端変形量の測定値と良い相関を示し、長期におけるクリーニングブレード摩耗との明確な関係が現れるものと思われる。
従って、図2に示すクリーニング装置17Kは、回収ロール173Kを備えた導電性クリーニングブラシ171Kによって、高画質化が得られる小粒径で球形度の高い重合トナーのクリーニングを確実にし、さらに上記関係式(1)を満たす材料からなるクリーニングブレード172Kを使用するため、トナーの供給が少なくクリーニングブレード172Kのエッジ部へ潤滑剤が不足する場合でも、安定なエッジ姿勢を保ち、放電生成物やトナーの外添剤等を確実に除去でき、長期に渡って安定した高画質が得られる。
以下、図3を参照して本実施形態のクリーニングブレード172Kの効果を説明する。
図3は、クリーニングブレード172Kの100%モジュラス(MPa)Bと水との接触角(°)Aとの関係を示した図である。尚、横軸は100%モジュラス(MPa)Bを示し、縦軸は水との接触角(°)Aを示す。
図3には、富士ゼロックス社製の「DocuCentre Color400」を用いて、クリーニングブレード172Kにおけるクリーニング性能の維持性を調べた実験結果であって、この実験では、接触帯電器に印加する交流電圧出力値を「DocuCentre Color400」の設定値より高く設定し、かつ高温高湿条件(28℃、85%RH)下で、低画像密度の画像を連続で流したもので、通常走行よりストレスが加速された実験結果である。尚、クリーニングブレード172Kの摺擦力の低下度は、走行後のクリーニングブレード172Kの先端部を顕微鏡(キーエンス社(株)製レーザー顕微鏡VK8500)で観察しクリーニングブレード172Kのエッジの損傷具合と、走行後一晩放置した後の画像流れ(ハーフトーン画像のスジ状白抜けの有無)により判断した。
図3に示す○は、クリーニングブレード172Kのエッジにおける磨耗が均一で少なく、走行後高温高湿下に置き一晩放置したあと、均一なハーフトーン画像プリントが得られたことを示すデータである。
また、図3に示す×は、クリーニングブレード172Kのエッジにおける磨耗が多く、局所的に欠けが見られ、走行後高温高湿下に置き一晩放置したあと、ハーフトーン画像プリントを採取したところ、所々スジ状白抜けが見られるプリントが得られたことを示すデータである。
図3から分かるように、100%モジュラスと水との接触角が特定の範囲にあるクリーニングブレード172Kを用いると、クリーニングブレード172K先端部の損傷が抑制され、クリーニング性能が改善されることが明確になった。
クリーニングブレード172Kの材質としては公知の材質を用いることが可能であり、例えばウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。その中で耐摩耗性に優れていることからポリウレタン弾性体を用いる事が好ましい。
ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。
上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。ポリウレタン系ブレードの、ポリオール材料、ポリオールの分子量、イソシアネートと架橋剤の材料及び配合を変えることで100%モジュラスおよび水との接触角を制御することが可能である。ポリオールの分子量を低くすると、架橋点間分子鎖長さが短くなりミクロブラウン運動が低下して高モジュラス化するが、一方、極性の低い脂肪族分子鎖の割合が少なくなるため全体の極性が高くなり、水との接触角は低くなる。また、架橋剤の量を多くして架橋密度を増大させても高モジュラス化が可能であるが、やはり極性が高くなるため水との接触角が低くなる傾向がある。このように単純にポリオールの分子量のみの変更や架橋密度の調整だけではモジュラスと接触角を好適な範囲にすることは困難で、物性のバランスを取りつつ前述したポリオール材料、ポリオールの分子量、イソシアネートと架橋剤の材料及び配合の組み合わせを工夫することにより、本実施形態の物性の範囲にあるクリーニングブレード材料が製造出来るものである。
クリーニングブレード172Kの100%モジュラスは上記関係式(1)を満たした上で、更に6.3MPa以上19.6MPa以下(65kgf/cm以上200kgf/cm以下)に制御されることが好ましい。100%モジュラスが6.3MPaより低いと、高速で低画像密度の画像の連続走行等のストレス条件下でのトルク上昇を抑制しきれない。また19.6MPaを越えると、感光体ドラム11Kの表面にスクラッチ傷が発生した場合、ゴムの凹凸に対する追従性が不十分となり、特に球形に近い形状のトナーを用いた場合、紙詰まり時などで導電性クリーニングブラシ171Kでトナーを回収し切れない場合はクリーニング不良が生じる。
クリーニングブレード172Kの水との接触角は上記関係式(1)を満たした上で更に80°以上100°以下に制御されることがより好ましい。80°より低いと、特に接触帯電器を用いると放電生成物付着により感光体ドラム11K表面が非常に高摩擦になった場合においてクリーニングブレード172Kと感光体ドラム11K間の摩擦上昇を抑えきれない。また100°より高いとゴムの分子間凝集力の低下によってクリーニングブレード172Kの摩耗が加速される。
尚、本発明にいうクリーニングブレードの構成は特に限定されるものではなく、均一な材質からなる単層構造のものであってもよいし、積層構造としてもよい。
以下、図4〜図8を参照して、本発明にいうクリーニングブレードの他の実施形態について説明する。
図4は、積層(2層)構造のクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。
図4に示すクリーニングブレード1721は、感光体ドラム11と当接する第一弾性体1721aと、第一弾性体1721aの感光体ドラム11と当接する面とは反対側の面に設けられた第二弾性体1721bとから構成され、ブレード支持体18に固定されている。このような積層(2層)構造のクリーニングブレード1721においては、第一弾性体1721aを上記関係式(1)を満たす弾性材料で構成し、第二弾性体1721bを第一弾性体1721aよりも100%モジュラスの低い弾性材料で構成することにより、クリーニングブレード1721先端部の振動を吸収でき、さらにクリーニングブレード1721全体の当接圧を好適に調整することが可能となり、クリーニングブレード1721先端部の変形が最小限に止められるため、より好ましい。
また第二弾性体1721bの構成材料の永久伸びを第一弾性体1721aの構成材料の永久伸びよりも小さくすることにより、クリーニングブレード1721全体の長期保管による永久変形を抑制することが可能となり、より好ましい。
第二弾性体1721bの構成材料の反発弾性を第一弾性体1721aよりも大きくすることにより、クリーニングブレード1721全体の弾性を調整でき、クリーニング性能を維持することが出来る。これらの場合第一弾性体1721aの厚さはクリーニングブレード1721全体の厚さの25%以下とすることが好ましい。
図5,図6は、板状バネ部材に支持されたクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。
図5に示すクリーニングブレード1722は、感光体ドラム11と当接する部分の裏側が板状バネ部材19で支持され、この板状バネ部材19がブレード支持体18に固定されている。また、図6に示すクリーニングブレード1723は、感光体ドラム11と当接する部分の裏側よりも上部が板状バネ部材19で支持され、この板状バネ部材19がブレード支持体18に固定されている。図5に示すクリーニングブレード1722や、図6に示すクリーニングブレード1723は、上記関係式(1)を満たす材料で構成されている。
図5,図6に示す実施形態によれば、板状バネ部材19の厚みや材料等のパラメータを調節することによって、クリーニングブレード1722,1723の感光体ドラム11への当接圧を調整することが可能であり、使用環境や長期保管での永久変形などの影響を受けず、安定した当接圧を維持できる。
図7,図8は、板状バネ部材に支持された、積層(2層)構造のクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。
図7に示すクリーニングブレード1724は、感光体ドラム11と当接する第一弾性体1724aと、第一弾性体1724aの感光体ドラム11と当接する面とは反対側の面に設けられた第二弾性体1724bとから構成され、感光体ドラム11と当接する部分の裏側が板状バネ部材19で支持され、この板状バネ部材19がブレード支持体18に固定されている。また、図8に示すクリーニングブレード1725は、感光体ドラム11と当接する第一弾性体1725aと、第一弾性体1725aの感光体ドラム11と当接する面とは反対側の面に設けられた第二弾性体1725bとから構成され、感光体ドラム11と当接する部分の裏側よりも上部が板状バネ部材19で支持され、この板状バネ部材19がブレード支持体18に固定されている。図7,図8に示すクリーニングブレード1724,1725においては、第一弾性体1724a,1725aを上記関係式(1)を満たす弾性材料で構成し、第二弾性体1724b,1725bを第一弾性体1724a,1725aよりも100%モジュラスの低い弾性材料で構成することにより、クリーニングブレード1724,1725先端部の振動を吸収でき、クリーニングブレード1724,1725全体の当接圧が好適に調整可能となり、より安定してクリーニングブレード1724,1725先端部の変形を制御可能となる。
図5〜図8に示す板状バネ部材19の材料としては、板状の板バネ部材であれば特に限定しないが金属製の薄板やプラスチック製の薄板等板バネ部材を好適に用いる事ができる。金属製の薄板材料としては柔軟性のある金属薄板であれば、どのような金属材料でも用いることができるが、好ましくはSUS系のステンレス板、リン青銅板等が用いられる。プラスチック製の薄板に用いられる高分子材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、スチレンアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の強化プラスチック、或いは3次元架橋により硬化させたゴム弾性が小さい熱硬化性高分子材料等が好ましく用いられる。
また、この板状バネ部材19と上述した各弾性部材とは、ホットメルトや両面テープや瞬間接着剤などといった既知の接着方法で接着することができる。
次に、感光体ドラム11Kについて説明する。
感光体ドラムは、導電性基体と、この導電性基体上に形成された感光層とを少なくとも備えてなり、必要に応じて下引き層、保護層等のその他の層を備えていてもよい。また、上記感光層は、一層のみからなっていてもよいし、電荷発生層と電荷輸送層とから構成される機能分離型の感光層であってもよい。上記感光層が機能分離型である場合、上記導電性基体側から電荷発生層と電荷輸送層とがこの順に積層されている態様が好ましい。以下、図9を参照して感光体ドラム11Kについて説明する。
図9は感光体ドラム11Kの一実施形態を示す断面図である。図9に係る感光体ドラム11Kは、導電性基体111Kと、下引き層112Kと、電荷発生層113Kと、電荷輸送層114Kと、保護層115Kとをこの順に備え、電荷発生層113Kと電荷輸送層114Kとで感光層が構成されている。
導電性基体111Kとしては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。感光体ドラム11Kがレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nmから850nmのものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。さらに、感光体ドラム11Kなどの駆動モーターにかかる負荷が低減でき、低消費電力化することにも効果がある。また、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体111Kの表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に導電性基体111Kを圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化などが好ましい。
Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Raが0.5μmより大きいと、画質が粗くなって不適である。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
陽極酸化膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が、10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は、42℃以上48℃以下であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
導電性基体111Kのベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の水中に5分〜60分間浸漬するか、90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚については0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
所望により導電性基体111Kと感光層との間に下引き層112Kを形成することもできる。下引き層112Kに用いられる材料としてはジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
次いで、電荷輸送層114Kについて説明する。電荷輸送層114Kとしては、公知の技術によって形成されたものを使用できる。電荷輸送層114Kは、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独または2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、モビリティーの観点から、以下の構造のものが好ましい。
Figure 2007292841
(上記化学式中、R14は、水素原子またはメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar及びArは置換又は未置換のアリール基あるいは、−C(R18)=C(R19)(R20)、―CH=CH―CH=C(Ar)を表わし、R18、R19、R20は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1以上5以下の範囲のアルキル基、炭素数が1以上5以下の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1以上3以下の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
Figure 2007292841
(上記化学式中、R15、R15´は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を表わす。R16、R16´、R17、R17´は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R18)=C(R19)(R20)、―CH=CH―CH=C(Ar)を表わし、R18、R19、R20は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。mおよびnは0以上2以下の整数である。)
Figure 2007292841
(上記化学式中、R21は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、または、―CH=CH―CH=C(Ar)を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R22、R23は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。)
さらに電荷輸送層114Kに用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層114Kとして使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層114Kを設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常に使われる有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
本実施形態で用いる電荷輸送層114Kの厚みは一には、5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上40μm以下が適当である。電荷輸送層114Kの厚みが5μmより薄いものであると、特に接触帯電器などを用いた場合にリーク等の問題が起きやすく、18μmより膜厚が厚いと、転写履歴が残りやすいため、カラー機などの高画質が要求されるシステムには適性がない。電荷輸送層114Kの膜厚の制御方法としては、塗布スピードや溶剤に構成材料を溶解させた時の粘度等で調整が可能である。
また、画像形成装置1内で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体ドラム11Kの劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
感光体ドラム11Kに使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等や、後述する一般式(I)で示される化合物をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
尚、電荷輸送層114Kが最表層になる場合は、電荷輸送層114Kにフッ素樹脂微粒子を含有することが好ましい。フッ素樹脂微粒子を含有することにより、感光体ドラム11Kが保護層115Kを有さない場合に、感光体ドラム11Kの摩擦が低減する効果がある。フッ素樹脂微粒子の電荷輸送層114K中の含有量は、電荷輸送層114Kの全量に対し0.1質量%以上40質量%以下が好適であり、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。含量が0.1質量%未満ではフッ素樹脂微粒子の分散による摩擦低減効果が特に接触型帯電器との組合せに於いては十分でなく、一方、40質量%を越えると、散乱による光通過性及び電荷輸送性が顕著に低下し、かつ繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
高速白黒画像形成用感光体ドラムにおけるのフッ素樹脂の電荷輸送層中の含有量は、カラー用感光体ドラムのフッ素樹脂の電荷輸送層中の含有量よりも少なく、且つ0質量%以上3質量%以下が好ましく、0質量%以上2質量%以下がより好ましい。3質量%よりも多い場合は、高速画像形成時に電荷移動速度が低下し易い。
本実施形態で用いるフッ素樹脂微粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。前記フッ素樹脂微粒子の一次粒径は0.05μm以上1μm以下が良く、更に好ましくは0.1μm以上0.5μm以下が好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。又、1μmを上回ると画質欠陥が発生しやすくなる。
感光体ドラム11Kには、表面の傷などに対する耐性を持たせたるため感光体ドラム11Kの最表面層として高強度の保護層115Kが設けられる。これにより感光体ドラム11Kの長寿命化が可能となる。
以下保護層115Kについて説明する。保護層115Kを構成する材料としては、耐磨耗性を向上させ十分な硬度を確保するために、架橋構造を有する樹脂が少なくとも用いられる。このような材料を用いない場合には、表面の硬度が低く十分な耐磨耗性が得られないため、傷が発生したり磨耗が進行し易く、高速で使用する場合や、非常に長期に渡って画像形成を行う場合、高品質の画質を得られない。
なお、保護層115Kには、架橋構造を有する樹脂以外にも必要に応じて、架橋構造を有さないバインダー樹脂や、導電性微粒子、電荷輸送材料(電荷輸送能を有する化合物)、また、フッ素樹脂やアクリル樹脂などからなる潤滑性微粒子が含まれていてもよく、保護層115Kの形成に際しては、必要に応じてシリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができる。
保護層115Kの形成方法の詳細については後述するが、保護層115Kの形成には架橋構造を有する樹脂を構成する前駆体を少なくとも含む保護層形成用塗布液が用いられる。
なお、架橋構造を有する樹脂としては、保護層115Kの硬度を確保する点から種々の材料を用いることができるが、特性上、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、これらの中でもフェノール系樹脂とシロキサン系樹脂が耐久性の点で好ましい。さらに好ましくはメチロール基を有するフェノール誘導体を架橋したフェノール系樹脂、および、架橋構造を有するシロキサン系樹脂から選択される少なくとも1種である。
さらに電気特性や画質維持性などの観点からは、架橋構造を有する樹脂は、電荷輸送性を有している(電荷輸送能を有する構造単位を含む)ことが好ましい。この場合、図9に示すような積層構成型の感光体ドラム11Kでは、保護層115Kが、電荷輸送層114Kの一部として機能することもできる。このような電荷輸送能を有する構造単位としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料であることが好ましい。
水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料としては下記一般式(I)〜(V)で示される化合物又はその誘導体が強度、安定性に優れ特に好ましい。
F−[D−Si(R(3−a) (I)
上記一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6以上20以下が好ましく、6以上15以下がより好ましい)を、Qは加水分解性基を、aは1以上3以下の整数を、bは1以上4以下の整数を示す。また、上記可とう性を有する2価の基Dとしては、具体的には、光電特性を付与するためのFの部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークの構築に寄与する置換ケイ素基とを結びつける働きを担う2価の基である。また、Dは、堅い反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークの部分に適度な可とう性を付与し、膜としての機械的強靱さを向上させる働きを担う有機基構造を表す。Dとして具体的には、−CαHα−、−CβHβ−2−、−CγHγ−4−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、αは1以上15以下の整数を表し、βは2以上15以下の整数を表し、γは3以上15以下の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH−C−、−N=CH−、−(C)−(C)−、及び、これらの特性基を任意に組み合わせた構造を有する特性基、更にはこれらの特性基の構成原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。また、上記加水分解性基Qとしては、アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上15以下のアルコキシ基がより好ましい。
F−[(Xn1−ZH]n2 (II)
上記一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、X1は酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基(炭素数は1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい)を、n1は0又は1を、n2は1以上4以下の整数を、ZHは水酸基、チオール基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。
F−[(Xn3−(Rn4−(Z)n5G]n6 (III)
上記一般式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基(炭素数は1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい)を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはエポキシ基を、n3、n4及びn5はそれぞれ独立に0又は1を、n6は1以上4以下の整数を示す。
Figure 2007292841
上記一般式(IV)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Tは2価の基を、Yは酸素原子又は硫黄原子を、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を、Rは1価の有機基を、m1は0又は1を、n7は1以上4以下の整数を、それぞれ示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。Tの具体例としては、炭素数1のアルキレン基などが挙げられる。
Figure 2007292841
上記一般式(V)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Tは2価の基を、Rは1価の有機基を、m2は0又は1を、n8は1以上4以下の整数を、それぞれ示す。Tの具体例としては、炭素数1のアルキレン基などが挙げられる。
上記一般式(I)〜(V)で示される化合物における正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基Fとしては、下記一般式(VI)で示される化合物が好ましい。
Figure 2007292841
ここで、上記一般式(VI)中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr〜Arのうち1個〜4個は、上記一般式(I)〜(V)で示される化合物における−D−Si(R(3−a)、−(Xn1−ZH、−(Xn3−(Rn4−(Z)n5G、−(T)m1−O−CR(CHR)(Y−R)、−(T)m2−OCOORで示される部位と結合手を有する。kは0又は1を示す。
また、本実施形態においては保護層115Kが、メチロール基を有するフェノール誘導体と、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送材料とを含有することが好ましい。
上記メチロール基を有するフェノール誘導体としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が挙げられる。このようなメチロール基を有するフェノール誘導体は、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるもので、一般にフェノール樹脂として市販されているものも使用できる。なお、本実施形態では、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
上記酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)、Ba(OH)等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。また、メチロール基を有するフェノール誘導体としては、フェノール樹脂が好ましく、レゾール型フェノール樹脂がより好ましい。
また、保護層115Kには、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属又は金属酸化物がより好ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の体積平均粒子径は保護層115Kの透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
また、保護層115Kには、保護層115Kの強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(VII−1)で示される化合物を添加することもできる。
Si(R30(4−c) (VII−1)
上記一般式(VII−1)中、R30は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1以上4以下の整数を示す。
上記一般式(VII−1)で示される化合物の具体例としては以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3及び4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1及び2官能のアルコキシシランが好ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層115Kには、その強度を高めるために、一般式(VII−2)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B−(Si(R31(3−d) (VII−2)
上記一般式(VII−2)中、Bは2価の有機基を、R31は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1以上3以下の整数を示す。
また、保護層115Kには、ポットライフの延長、膜特性のコントロール、塗布膜表面の均一性向上のため、下記一般式(VII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることもできる。
Figure 2007292841
上記一般式(VII−3)中、A及びAは、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
上記一般式(VII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、感光体ドラム11K表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、2種以上を併用してもよい。
微粒子の一例として、ケイ素原子含有微粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。保護層115K中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から保護層115Kの固形分全量を基準として好ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。ケイ素原子含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、感光体ドラム11Kの表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、感光体ドラム11K表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。保護層115K中のシリコーン微粒子の含有量は、保護層115Kの固形分全量を基準として好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89”に示される様な、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体ドラム11Kを作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。保護層115Kにはヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化製。ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」以上三共ライフテック株式会社製、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」、「スミライザーTPS」、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、保護層115Kには、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を含有させてもよい。この場合、絶縁性樹脂は、所望の割合で添加することができ、これにより、電荷輸送層114Kとの接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥等を抑制することができる。
保護層115Kは、上述した構成材料を含有する保護層形成用塗布液を、電荷輸送層114K上に塗布して硬化させることで形成される。
保護層115Kは、上述した電荷輸送材料を用いて形成されることから、保護層形成用塗布液に触媒を添加すること、又は保護層形成用塗布液作製時に触媒を用いることが好ましい。用いられる触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン等のアルカリ触媒、さらに系に不溶な固体触媒を用いることもできる。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体から、合成時の触媒を除去するために、フェノール誘導体をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿等の処理を行うか、イオン交換樹脂、又は無機固体を用いて処理を行うことが好ましい。
例えば、イオン交換樹脂としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂が挙げられる。
また、無機固体としては、Zr(OPCHCHSOH),Th(OPCHCHCOOH)等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;LiSO,MgSO等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO,Mn(NO等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用できる。なお、感光体ドラム11Kの生産に一般的に使用されるディップコーティング法を適用するためには、アルコール系溶剤、トン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましい。また、使用される溶媒の沸点は50℃以上150℃以下のものが好ましく、それら任意に混合して使用することができる。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましいことから、使用される保護層115Kの形成に使用される電荷輸送材料としては、それらの溶剤に可溶であることが好ましい。
また、溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し好ましくは0.5質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
保護層形成用塗布液を用いて保護層115Kを形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。なお、複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
電荷輸送層114K上に保護層形成用塗布液を塗布後には、硬化処理を行う。通常、硬化処理の際には、フェノール誘導体の架橋反応を促進し、保護層115Kの機械強度を上げるためには硬化温度は高く、硬化時間は長いほど好ましい。
硬化処理の際の硬化温度は100℃以上190℃以下が好ましく、110℃以上170℃以下がより好ましく、130℃以上160℃以下がさらに好ましい。また、硬化時間は、30分以上2時間以下が好ましく、30分以上1時間以下がより好ましい。また、硬化処理(架橋反応)を行う雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の、いわゆる酸化に対して不活性なガス雰囲気(不活性ガス雰囲気)下であることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で架橋反応を行う場合には、空気雰囲気(酸素含有雰囲気)下よりも硬化温度を高く設定することができ、硬化温度は100℃以上160℃以下(好ましくは110℃以上150℃以下)とすることが可能である。また、硬化時間は30分以上2時間以下(好ましくは30分以上1時間以下)とすることが可能である。また、一般式(II)で示される化合物において、(−(X1)n1R2−ZH)で示される部位が−CH2−OHの場合が最も硬化温度による電気特性の影響が大きい傾向があり、酸化に対して敏感であるので、上記好ましい温度範囲で硬化処理を行うことが好ましい。
さらに、硬化処理の際には、硬化触媒を使用することが好ましい。硬化触媒としては、例えば、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタンのようなビススルホニルジアゾメタン類、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタンのようなビススルホニルメタン類、シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタンのようなスルホニルカルボニルジアゾメタン類、2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノンのようなスルホニルカルボニルアルカン類、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートのようなニトロベンジルスルホネート類、ピロガロールトリスメタンスルホネートのようなアルキル及びアリールスルホネート類、ベンゾイントシレートのようなベンゾインスルホネート類、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミドのようなN−スルホニルオキシイミド類、(4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドンのようなピリドン類、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル−4−クロロベンゼスルホネートのようなスルホン酸エステル類、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートのようなオニウム塩類等の光酸発生剤や、プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、無水カルボン酸化合物等が挙げられる。
プロトン酸或いはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル類等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、等が挙げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、例えば、BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2等のルイス酸を上記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。
オニウム化合物としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
無水カルボン酸化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン酸、無水オレイン酸、無水ステアリン酸、無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カプリン酸、無水パルミチン酸、無水ミリスチン酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水モノクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等の金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等の有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチルコバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石鹸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら硬化触媒の使用量は特に制限されないが、保護層形成用塗布液に含まれる固形分の合計100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
また、保護層115Kを形成する際に、有機金属化合物を触媒として用いる場合には、ポットライフ、硬化効率の面から、多座配位子を添加することが好ましい。このような多座配位子としては、以下に示すようなもの及びそれらから誘導されるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。具体的には、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル類;ビピリジン及びその誘導体;グリシン及びそ誘導体;エチレンジアミン及びその誘導体;8−オキシキノリン及びその誘導体;サリチルアルデヒド及びその誘導体;カテコール及びその誘導体;2−オキシアゾ化合物等の2座配位子;ジエチルトリアミン及びその誘導体;ニトリロトリ酢酸及びその誘導体等の3座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びその誘導体等の6座配位子;等を挙げることができる。さらに、上記のような有機系配位子の他、ピロリン酸、トリリン酸等の無機系の配位子を挙げることができる。多座配位子としては、特に2座配位子が好ましく、具体例としては、上記の他、下記一般式(VII−4)で示される2座配位子が挙げられる。
Figure 2007292841
上記一般式(VII−4)中、R32及びR33はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、フッ化アルキル基、又は炭素数1以上10以下のアルコキシ基を示す。
多座配位子としては、上記の中でも、一般式(VII−4)で示される2座配位子がより好ましく、一般式(VII−4)中のR32とR33とが同一のものが特に好ましい。R32とR33とを同一にすることで、室温付近での配位子の配位力が強くなり、保護層形成用塗布液のさらなる安定化を図ることができる。
多座配位子の配合量は、任意に設定することができるが、有機金属化合物の使用量1モルに対し、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上、さらに好ましくは1モル以上である。
保護層115Kの25℃における酸素透過係数は、4×1012fm/s・Pa以下であることが好ましく、3.5×1012fm/s・Pa以下であることがより好ましく、3×1012fm/s・Pa以下であることがさらに好ましい。ここで、酸素透過係数は層の酸素ガス透過のし易さを表す尺度であるが、見方を変えると、層の物理的な隙間率の代用特性ととらえることもできる。なお、ガスの種類が変われば透過率の絶対値は変わるものの、検体となる層間で大小関係の逆転は殆どない。したがって、酸素透過係数は、一般的なガス透過のし易さを表現する尺度と解釈して良い。つまり、保護層115Kの25℃における酸素透過係数が上記条件を満たす場合には、保護層115Kにおいてガスが浸透しにくい。したがって、画像形成プロセスにより生じる放電生成物の浸透が抑制され、保護層115Kに含有される化合物の劣化が抑制され、電気特性を高水準に維持することができ、高画質化、長寿命化に有効である。
保護層115Kの膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。
本実施形態に用いられる現像剤は、トナーからなる一成分現像剤、あるいは、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤のいずれであってもよい。
本実施形態に用いられるトナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤と離型剤と、さらに必要に応じて帯電制御剤等とを混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させて形成された分散液と、着色剤分散液と、離型剤分散液と、更に必要に応じて帯電制御剤等を含む分散液とを混合した混合液中で、トナー構成成分を凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤や離型剤、更に必要に応じて帯電制御剤等を含む溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤と離型剤と、更に必要に応じて帯電制御剤等を含む溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに結着樹脂微粒子を付着させた後、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができる。これらの製造方法の中でも、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナーは結着樹脂、着色剤、離型剤等を含み、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含んでいてもよい。トナーの体積平均粒径は2μm以上12μm以下の範囲が好ましく3μm以上9μm以下の範囲がより好ましい。また、既述したようにトナーの平均形状指数SFが100以上140以下の範囲のものを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。特にクリーニング手段として導電性クリーニングブラシ171Kを用いた本実施形態では、高クリーニング性を維持するためにはトナーの球形化度が高いことが好ましい。
また、トナーの形状係数SFは、高い現像、転写性、クリーニング性及び高画質が得られる点から100以上140以下の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは125以上140以下である。ここで、トナーの形状係数SFとは下記式(2)で示される値を意味する。
SF=100×π×ML/4A 式(2)
但し、上記式(2)中、SFは前記トナーの形状係数、MLは前記トナー粒子の絶対最大長、Aは前記トナー粒子の投影面積を表す。なお、上記式(2)に示されるトナー粒子の絶対最大長、トナーの投影面積は光学顕微鏡(ニコン製、Microphoto−FXA)を用いて倍率500倍に拡大したトナー粒子像を撮影し、得られた画像情報をインターフェースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入して画像解析を行うことにより求めることができる。また、形状係数SF1の値は、無作為にサンプリングした1000個のトナー粒子を測定して得られたデータを元に平均値として求めることができる。
トナーの結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
本実施形態においては、球形状微粉の他にも公知の外添剤を必要に応じて添加できるが、粉体流動性、帯電制御等のため、以下に示す無機酸化物を用いることが好ましい。
このような無機微粒子としては、シリカ、チタニア、酸化セリウム、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用することができるが、精密な帯電制御を行うためには、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については以下の示す表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を向上させる効果が大きくなる。
また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく行うことができる。
さらに研磨剤として、300nm以上1μm以下の無機粒子を添加しても良い。研磨剤としては、酸化セリウム、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。研磨剤の粒径は小径過ぎると研磨効果が不足し、大径過ぎると傷が発生することがあり好ましくない。
さらに感光体ドラム11K上に薄層を形成して、トナーの離形性を高めるために、トナーに潤滑剤を添加しても良い。トナーに添加される潤滑剤としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。また、トナーには上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって外添することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。また現像機中におけるストレス等のキャリア破壊を防止する等の目的で、心材として、溶液中に樹脂および磁性酸化物を分散せしめ重合により得られる球形状の重合キャリアや、磁性酸化物の焼結条件等の制御により低密度のコアを作成し、低密度コアに樹脂を充填して心材の強度を高めたものを使用してもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下であり、好ましくは20μm以上100μm以下、さらに好ましくは30μm以上50μm以下である。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
1.現像剤の作成
[トナー母粒子の製造]
(樹脂微粒子分散液の調整)
スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部、四臭化炭素4質量部を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、150nmであり、Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11500の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
(着色剤分散液(1)の調整)
カーボンブラック(モーガルL:キャボット製) 60質量部
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 6質量部
イオン交換水 240質量部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調整した。
(着色剤分散液(2)の調整)
Cyan顔料B15:3 60質量部
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5質量部
イオン交換水 240質量部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散し(2)を調整した。
(着色剤分散液(3)の調整)
Magenta顔料R122 60質量部
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5質量部
イオン交換水 240質量部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を調整した。
(着色分散液(4)の調整)
Yellow顔料Y180 90質量部
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5質量部
イオン交換水 240質量部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を調整した。
(離型剤分散液)
パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃) 100質量部
カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製) 5質量部
イオン交換水 240質量部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
<トナー母粒子Kの調整>
樹脂微粒子分散液(複合微粒子調整の時に作成したもの) 234質量部
着色剤分散液(1) 30質量部
離型剤分散液 40質量部
ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S) 0.5質量部
イオン交換水 600質量部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、2時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1のD50が5.5μm、平均形状係数SFは132であった。
<トナー母粒子Cの調整>
着色粒子分散液(1)のかわりに、着色粒子分散液(2)を用いる以外はK1と同様にしてトナー母粒子C1を得た。このトナー母粒子C1のD50は5.6μm、平均形状係数SFは131であった。
<トナー母粒子Mの調整>
着色粒子分散液(1)のかわりに、着色粒子分散液(3)を用いる以外はK1と同様にしてトナー母粒子M1を得た。このトナー母粒子M1のD50は5.5μm、平均形状係数SFは135であった。
<トナー母粒子Yの調整>
着色粒子分散液(1)のかわりに、着色粒子分散液(4)を用いる以外はK1と同様にしてトナー母粒子Y1を得た。このトナー母粒子Y1のD50は5.8μm、平均形状係数SFは128であった。
トナー母粒子としてK1,C1,M1,Y1を用い、トナー100質量部に対して、外添剤として、メタチタン酸(平均一次粒径40nm、i−ブチルトリメトキシシラン処理)1質量部、シリカ(平均一次粒径12nm、ジメチルジメトキシシラン処理、気相酸化法)1.6質量部をK1,C1,M1,Y1に添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、4色のをトナーを得た。
2.キャリアおよび現像剤の作成
[キャリヤの製造]
フェライト粒子(平均粒径:50μm) 100質量部
トルエン 14質量部
スチレン/メタクリレート共重合体(成分比:90/10) 2質量部
カーボンブラック(R330:キャボット社製) 0.2質量部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調整し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリヤを得た。このキャリヤは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
また、キャリア100質量部とこのトナー6質量部をV−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより各色トナーを用いた現像剤を得た。
3.感光体の作成
〔感光体1〕
4質量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を溶解したn−ブチルアルコール170質量部に、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30質量部および有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3質量部を添加、混合撹拌して下引き層形成用の塗布液を得た。この塗布液を、ホーニング処理により粗面化された外径40mmのアルミニウム支持体の上に浸漬塗布し、室温で5分間風乾を行った後、支持体を10分間で50℃に昇温し、50℃、85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れて、20分間加湿硬化促進処理を行った。その後、熱風乾燥機に入れて170℃で10分間乾燥を行い下引層を形成した。
電荷発生材料として、塩化ガリウムフタロシアニンを用い、その15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を、上記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次に、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン40質量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量40,000)60質量部とをテトロヒドロフラン235質量部及びモノクロロベンゼン100質量部に十分に溶解混合して得られた塗布液を感光体1と同様な手順で電荷発生層まで塗布したアルミニウム支持体上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚22μmの電荷輸送層を形成した。これを感光体1とする。
〔感光体2〕
N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン40質量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量40,000)60質量部とをテトロヒドロフラン280質量部及びトルエン120質量部に十分に溶解混合した後、4フッ化エチレン樹脂粒子10質量部を加え、さらに混合した。このとき、室温を25℃に設定し、混合工程における液温度を25℃に保った。その後、ガラスビーズを用いたサンドグラインダーにて分散し、4フッ化エチレン樹脂粒子分散液を作成した。このとき、サンドクラインダーのベッセルに24度の水を流し、分散液の温度を50度に保持した。得られた塗布液を感光体1と同様な条件で電荷発生層まで作成した物の上に浸漬塗布し、125℃で40分乾燥することにより、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。これを感光体2とする。
〔感光体3〕
下記に示す構成材料を、イソプロピルアルコール5質量部、テトラヒドロフラン3質量部、蒸留水0.3質量部に溶解させ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5質量部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。
構成材料
Figure 2007292841
化合物1 2質量部
メチルトリメトキシシラン 2質量部
テトラメトキシシラン 0.5質量部
コロイダルシリカ 0.3質量部
フッ素グラフトポリマー(ZX007C:富士化成製) 0.5質量部
加水分解したものからイオン交換樹脂を濾過分離した液に対し、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)を0.1質量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部を加え、このコーティング液を感光体1の電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、130℃で60分加熱処理して硬化し、膜厚約3μmの表面層を形成した。これを感光体3とする。
〔感光体4〕
下記化合物2を2質量部、レジトップPL4852(群栄化学製)を2質量部をイソプロピルアルコール10質量部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。この保護層形成用塗布液を電荷輸送層の膜厚を22μmとする以外は感光体1と同じ条件で作成した電荷輸送層上に浸漬塗布し、室温で30分風乾した後、145℃で60分乾燥させ、膜厚4μmの保護層を形成した。得られた感光体を感光体4とする。
Figure 2007292841
4.評価機・評価条件
試験機として富士ゼロックス社製DocuCentre Color500(図2に示す装置)をベースに、表1に示すクリーニングブレードを組み込んだものを評価機とした。また実施例5は、図10に示される装置のように、図2に示す非接触型帯電装置12Kに代えて接触帯電ローラ121を配備したものを用いた。この接触帯電ローラ121は、φ14mmの導電性ゴムロール(東海ゴム工業(株)社製)を用い、接触帯電ローラ121への印加電圧は、直流成分−660V、感光体/帯電ロール間の電流値が1.75mAと一定になるように交流電界を制御した。交流電界の周波数は1300Hzである。
Figure 2007292841
<クリーニングブレード>
クリーニングブレード1〜6の感光体接触部ゴム弾性体の物性(モジュラス、接触角、硬度)および構成を表1に示す。ゴム弾性体はポリウレタンゴムで、ポリオール材料、ポリオールの分子量、イソシアネートと架橋剤の材料及び配合を変えることで100%モジュラスおよび水との接触角を変化せさた。表1に示すクリーニングブレード1〜6のうちクリーニングブレード4以外は図3に示す2層構造で成型した物で感光体当接面の第1層の厚さを0.32mmとした。第2層の材料はゴム弾性体ポリウレタンゴムで、その100%モジュラスは3.6Mpa(37kgf/cm)、接触角は83.2°、硬度は70°(JIS−A硬度)である。なおクリーニングブレードの自由長及び感光体への食い込み量を調整し感光体への圧接力はいずれ2.6gf/mmとなるように設定されている。またクリーニングブレードの取り付け角度は22°とした。
また表1に示すクリーニングブレード4はクリーニングブレード1のゴム弾性体を図7に示す構造で板状バネ部材32の先端にホットメルトで取り付けてある。板バネ部材は0.1mm厚のSUS材を用いた。
これらのクリーニング部材は板状バネ部材32により、感光体へ荷重が付与されるが、この圧接力は以下に示す式(3)で表すことが出来る。
圧接力=(((3×E×I)/L3)×食い込み量)/ブレード長手方向長さ (3)
E:板状バネ部材32のヤング率
I:板状バネ部材32の断面2次モーメント
L:板状バネ部材32の長さ
また表1に示すクリーニングブレード6も他のクリーニングブレードと同様に、感光体への圧接力はいずれも2.6gf/mmとなるように設定されている。クリーニングブレードの取り付け角度は22°とした。
クリーニング装置としては、以下に示すものを用いた。いずれもプロセスカートリッジである。
<クリーニング装置1>
図2に示す構成を有する以下のクリーニング装置を用いた。
(1)導電性クリーニングブラシ
ブラシ材質:導電性ナイロン、繊維太さ:2デニール(約17μm)、電気抵抗:1×108Ω、毛足長さ:3mm、繊維密度:120,000本/inch、感光体への食い込み量:約0.75mm、周速:60mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対して逆方向、ブラシ印加バイアス:+200V
(2)回収ロール
材質:導電性カーボンを分散したフェノール樹脂、電気抵抗:1×108Ω、曲げ弾性率(JIS K7171:1994):100MPa、磨耗量(JIS K6902:1998):2mg、ロックウェル硬度(JIS K7202−2:2001、Mスケール):120、導電性クリーニングブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:70mm/s、回転方向:導電性クリーニングブラシの回転方向に対して同方向、印加バイアス:+600V
(3)スクレーパ
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス(自由長):8.0mm。
(4)クリーニングブレード
表1に示す物性のクリーニングブレード1を用いた。
<クリーニング装置2>
表1に示す物性のクリーニングブレード2を用いた他は、クリーニング装置1と同じ構成のものを用いた。
<クリーニング装置3>
表1に示す物性のクリーニングブレード3を用いた他は、クリーニング装置1と同じ構成のものを用いた。
<クリーニング装置4>
表1に示す物性のクリーニングブレード4を用いた他は、クリーニング装置1と同じ構成のものを用いた。
<クリーニング装置5>
表1に示す物性のクリーニングブレード5を用いた他は、クリーニング装置1と同じ構成のものを用いた。
<クリーニング装置6>
表1に示す物性のクリーニングブレード6を用いた他は、クリーニング装置1と同じ構成のものを用いた。
<クリーニング装置7>
図11に示すように、クリーニングブレード172と、2対の導電性クリーニングブラシ1711,1212を備え、最上流にある導電性クリーニングブラシ1212は、クリーニング装置1と同じものを用い、以下に示す第二の導電性クリーニングブラシを用いた。
(1)第二の導電性クリーニングブラシ
ブラシ材質:導電性ナイロン、繊維太さ:2デニール(約17μm)、電気抵抗:1×108Ω、毛足長さ:3mm、繊維密度:120,000本/inch、感光体への食い込み量:約0.75mm、周速:60mm/s、回転方向:感光体の回転方向に対して逆回転、ブラシ印加バイアス:−400V
(2)回収ロール
材質:導電性カーボンを分散したフェノール樹脂、電気抵抗:1×108Ω、曲げ弾性率(JIS K7171:1994):100MPa、磨耗量(JIS K6902:1998):2mg、ロックウェル硬度(JIS K7202−2:2001、Mスケール):120、導電性クリーニングブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:70mm/s、回転方向:導電性クリーニングブラシの回転方向に対して逆方向、印加バイアス:−800V
(3)スクレーパ
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス(自由長):8.0mm。
(4)クリーニングブレード
表1に示す物性のクリーニングブレード1を用いた。
<クリーニング装置8>
図12に示すように、クリーニング装置8からクリーニングブレード172を取り除いた、2対の導電性クリーニングブラシ1711,1212から構成される。
実施例1〜9,比較例1〜5の実施形態を表2に示す。実施例9および比較例3は、図10に示す構成を有する画像形成装置(FUJI XEROX社製、Docu Centre Color 500機の帯電器をコロトロンから接触帯電ローラに変更し、改造を施した装置)を用いて評価を実施した。
比較例4は図11に示すように、FUJI XEROX社製、Docu Centre Color 500機から導電性クリーニングブラシを取り去ったものを用いて評価を実施した。
Figure 2007292841
5.評価方法
高温高湿(28℃、80%)及び低温低湿(10℃、20%RH)条件下で各20万枚、計40万枚の耐久試験を行い、画像ボケ、フィルミング、感光体傷、感光体摩耗量、の測定を行った。クリーニング性、画像流れボケ、フィルミング、感光体傷の判断基準を以下に示す。
〔クリーニング性〕
トナーのクリーニング性は以下のように評価した。計40万枚の耐久試験後、低温低湿下において、転写バイアスを切り未転写トナーのベタ黒画像がクリーニングブレードを通過した後のクリーニング不良を観察した。
◎:A3 3枚後でクリーニング不良が未発生である。
○:A3 1枚後でのクリーニング不良は未発生であるが、A3 3枚後は若干クリーニング不良が発生。
×:A3 1枚後でクリーニング不良が発生。
〔ブレードエッジダメージ〕
クリーニングブレードエッジダメージは、レーザー顕微鏡により(キーエンス(株)VK8500)エッジ先端部の摩耗および欠けの状態を観察し官能評価を行った。判断基準は以下の通りである。
◎:エッジ摩耗小
○:エッジ摩耗中
×:エッジ摩耗大
××:エッジ摩耗大、エッジ欠け多
〔画像ボケ〕
画像ボケは、以下のように評価した。まず、高温高湿環境(28℃、85%RH)下でハーフトーン画像(画像密度30%)を10万枚プリントし終えた後に、水溶性である放電生成物を除去するため感光体表面の一部分のみを水拭きした。その後、再度ハーフトーン画像(画像密度30%)をプリントし、反射型濃度測定機(X−rite)により、感光体表面の水拭きした箇所と水拭きしていない箇所とに対応する画像部分の濃度差(ΔSAD)を測定し、以下の判断基準で評価した。
◎:ΔSADが0.15以下。
○:ΔSADが0.15を超え0.4未満。
×:ΔSADが0.4以上。
〔感光体傷〕
感光体傷は、表面粗さ計(東京精密(株)製Surfcom1400A)での10点平均粗さ(Rz)を測定を行い評価した。判断基準は以下の通りである。
◎:Rzが1.5μm以下。
○:Rzが1.5μmを超え2.5μm未満(画質的に問題ないレベル)。
×:Rzが2.5μm以上(画像上に白筋発生)。
〔感光体摩耗〕
感光体の磨耗に関しては走行試験前と試験後の感光体の膜厚を渦電流式の膜厚計で計測しその差分にて判断した。表3に示す値は1000回転あたりの摩耗量を示す。
Figure 2007292841
本発明の画像形成装置の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。 図1に示す4つのトナー像形成ユニットのうちの、K色用のトナー像形成ユニットの概略構成図である。 クリーニングブレードの100%モジュラス(MPa)Bと水との接触角(°)Aとの関係を示した図である。 積層(2層)構造のクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。 板状バネ部材に支持されたクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。 板状バネ部材に支持されたクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。 板状バネ部材に支持された、積層(2層)構造のクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。 板状バネ部材に支持された、積層(2層)構造のクリーニングブレードの一例を示す概略構成図である。 感光体ドラムの一実施形態を示す断面図である。 トナー像形成ユニットの概略構成図である。 トナー像形成ユニットの概略構成図である。 トナー像形成ユニットの概略構成図である。
符号の説明
1 画像形成装置
10Y,10M,10C,10K トナー像形成ユニット
11Y,11M,11C,11K 感光体ドラム
111K 導電性基体
112K 下引き層
113K 電荷発生層
114K 電荷輸送層
115K 保護層
12Y,12M,12C,12K 非接触型帯電装置
121 接触帯電ローラ
13Y,13M,13C,13K 露光光照射装置
14Y,14M,14C,14K 現像装置
141Y,141M,141C,141K 現像ロール
15Y,15M,15C,15K 補助帯電装置
16Y,16M,16C,16K 補助露光装置
17Y,17M,17C,17K クリーニング装置
171Y,171M,171C,171K 導電性クリーニングブラシ
1711,1212 導電性クリーニングブラシ
172Y,172M,172C,172K クリーニングブレード
1721,1722,1723,1724,1725 クリーニングブレード
1721a,1724a,1725a 第一弾性体
1721b,1724b,1725b 第二弾性体
172 クリーニングブレード
18 ブレード支持体
19 板状バネ部材
173K 回収ロール
174K スクレーパ
20Y,20M,20C,20K 1次転写ロール
30 中間転写ベルト
31 駆動ロール
32 従動ロール
33 テンションロール
40 一括転写装置
41 二次転写ロール
42 対向ロール
50 定着装置
51 定着ロール
511 加熱機構
52 圧力ロール
61 シュート
62 レジストレーションロール
63 搬送ベルト

Claims (2)

  1. 所定の方向に移動する被クリーニング体に接触して回転するとともに、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧の印加を受けて、該被クリーニング体に付着したトナーを除去する導電性クリーニングブラシと、
    前記導電性クリーニングブラシよりも前記被クリーニング体の移動方向下流側、かつ該導電性クリーニングブラシから所定間隔離間した位置に配備され、板形状を有し、該板形状の1辺が該被クリーニング体に当接して、該導電性クリーニングブラシによるトナー除去で該被クリーニング体に残留した残留物を掻き取るクリーニングブレードとを備え、
    前記クリーニングブレードは、少なくとも前記1辺が、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
    A≧−2.5×B+102
    で表される関係式を満たすことを特徴とするクリーニング装置。
  2. 静電潜像を形成しトナーで現像してトナー像を形成し、該トナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
    所定の方向に移動する被クリーニング体と、
    前記被クリーニング体をクリーニングするクリーニング装置とを備え、
    前記クリーニング装置が、
    前記被クリーニング体に接触して回転するとともに、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧の印加を受けて、該被クリーニング体に付着したトナーを除去する導電性クリーニングブラシと、
    前記導電性クリーニングブラシよりも前記被クリーニング体の移動方向下流側、かつ該導電性クリーニングブラシから所定間隔離間した位置に配備され、板形状を有し、該板形状の1辺が該被クリーニング体に当接して、該導電性クリーニングブラシによるトナー除去で該被クリーニング体に残留した残留物を掻き取るクリーニングブレードとを備え、
    前記クリーニングブレードは、少なくとも前記1辺が、水との接触角をAとし、23℃における100%モジュラスをBとしたとき、
    A≧−2.5×B+102
    で表される関係式を満たすことを特徴とする画像形成装置。
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