以下、本発明の電子デバイス、電子デバイスの製造方法、物理量センサー、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。図2は、図1に示す電子デバイスが備えるジャイロセンサー素子を示す平面図である。図3は、図2中のA−A線断面図である。図4は、図2中のB−B線断面図である。図5は、図2に示すジャイロセンサー素子の駆動振動モードを示す簡略図である。図6は、図2に示すジャイロセンサー素子の検出振動モードを示す簡略図である。図7は、図1に示す電子デバイスが備える支持基板を示す平面図である。図8は、図7中のC−C線断面図である。図9は、図1に示す電子デバイスが備えるICのブロック図である。図10は、図1に示す電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。図11ないし図16は、それぞれ、図1に示す電子デバイスの製造方法を説明するための断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸をx軸、y軸およびz軸とする。また、x軸、y軸およびz軸は、後述する水晶の結晶軸であるX軸、Y軸およびZ軸とほぼ一致している。
図1に示す電子デバイス1は、角速度を検出することのできる角速度センサーデバイス(物理量センサー)であり、機能素子としてのジャイロセンサー素子3(物理量検出素子)と、ジャイロセンサー素子3の平面視(以下、単に「平面視」とも言う)で、ジャイロセンサー素子3と重なるように配置されている開口部421を有する支持基板4と、開口部421を通ってジャイロセンサー素子3と支持基板4とを接続し、ジャイロセンサー素子3を支持基板4に吊った状態で支持しているワイヤーとしての複数のボンディングワイヤーBWと、を有している。このような電子デバイス1によれば、前述した従来の構成と比較してボンディングワイヤーBWを短くすることができ、十分な実装強度を保つと共に、ジャイロセンサー素子3の振動特性(特に温度周波数特性)の悪化を低減することができる。
以下、このような特徴を有する電子デバイス1について詳細に説明する。図1に示すように、電子デバイス1は、パッケージ2と、パッケージ2内に収容されたジャイロセンサー素子3、支持基板4、ボンディングワイヤーBWおよびIC5と、を有している。
(パッケージ)
図1に示すように、パッケージ2は、支持基板4を支持するベース21と、ベース21との間にジャイロセンサー素子3、支持基板4、ボンディングワイヤーBWおよびIC5を収容するようにベース21の上面に接合されている蓋体としてのリッド22と、を有している。このようなパッケージ2によって、ジャイロセンサー素子3、支持基板4、ボンディングワイヤーBWおよびIC5を保護することができる。
ベース21は、矩形の平面視形状をなしており、上面に開口する凹部211を有するキャビティ状をなしている。また、凹部211は、ベース21の上面に開放する第1凹部211aと、第1凹部211aの底面に開放し、第1凹部211aよりも開口が小さい第2凹部211bと、第2凹部211bの底面に開放し、第2凹部211bよりも開口が小さい第3凹部211cと、を有している。そして、第3凹部211cの底面にIC5が配置され、第1凹部211aの底面に支持基板4が配置されている。一方、リッド22は、板状をなしており、凹部211の開口を塞いでベース21の上面に接合されている。ジャイロセンサー素子3等が収容されている空間29は、気密封止されており、減圧状態(例えば10Pa以下程度。好ましくは真空)となっている。このように、空間29を減圧状態とすることで、空間29内の粘性抵抗が減るため、ジャイロセンサー素子3を効率的に駆動することができる。ただし、空間29内の雰囲気としては特に限定されず、収容される機能素子の種類等に応じて適宜設定することができる。
ベース21の構成材料としては、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の各種セラミックスを用いることができる。また、リッド22の構成材料としては、特に限定されないが、ベース21の構成材料と線膨張係数が近似する部材であるとよい。例えば、ベース21の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。
また、第2凹部211bの底面には複数の内部端子231が配置されており、第1凹部211aの底面には複数の内部端子232が配置されている。また、ベース21の底面には複数の外部端子233が配置されている。各内部端子231は、ボンディングワイヤーを介してIC5と電気的に接続されている。また、各内部端子231は、ベース21に形成された図示しない内部配線等を介して内部端子232または外部端子233と電気的に接続されている。また、各内部端子232は、導電性を有する接合部材24(例えば、導電性接着剤、金属バンプ、半田等のろう材等)を介して支持基板4と電気的に接続されている。なお、内部端子231、232や外部端子233の数としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定すればよい。
(ジャイロセンサー素子)
図2に示すように、ジャイロセンサー素子3は、Z軸まわりの角速度ωzを検出することができるものであり、振動体31と、振動体31に配置された電極(図3参照)と、を有している。
図2に示すように、振動体31は、Zカット水晶板で構成され、水晶の結晶軸であるX軸(電気軸)およびY軸(機械軸)で規定されるXY平面に広がりを有し、Z軸(光軸)方向に厚みを有している。このような振動体31は、基部32と、基部32に接続されている振動腕と、を有している。具体的には、振動体31は、中央部に位置する基部32と、基部32からY軸方向両側に向けて延出する振動腕としての検出腕331、332と、基部32からX軸方向両側に向けて延出する連結腕341、342と、連結腕341の先端部からY軸方向両側に向けて延出する振動腕としての駆動腕351、352と、連結腕342の先端部からY軸方向両側に向けて延出する振動腕としての駆動腕353、354と、を有している。
検出腕331、332の先端部には基端側よりも幅の広い広幅部(所謂「ハンマーヘッド」)が設けられており、この広幅部には質量調整部としての金属膜339が配置されている。この金属膜339を必要に応じて必要量除去することで検出腕331、332の質量を調整することができ、後述する検出振動モードの周波数を調整することができる。なお、金属膜339を除去する方法としては特に限定されないが、レーザーを照射する方法が好ましい。また、検出腕331の両主面(上下面)には溝部3311、3312が形成されており、検出腕332の両主面には溝部3321、3322が形成されている。
同様に、駆動腕351、352、353、354の先端部にも基端側よりも幅の広い広幅部(所謂「ハンマーヘッド」)が設けられ、この広幅部には質量調整部としての金属膜359が配置されている。この金属膜359を必要に応じて必要量除去することで駆動腕351、352、353、354の質量を調整することができ、後述する駆動振動モードの周波数を調整することができる。なお、金属膜359を除去する方法としては特に限定されないが、レーザーを照射する方法が好ましい。また、駆動腕351の両主面には溝部3511、3512が形成されており、駆動腕352の両主面には溝部3521、3522が形成され、駆動腕353の両主面には溝部3531、3532が形成されており、駆動腕354の両主面には溝部3541、3542が形成されている。
このような振動体31に配置された電極は、図3および図4に示すように、駆動信号電極361と、駆動接地電極362と、第1検出信号電極371と、第2検出信号電極372と、第1検出接地電極373と、第3検出信号電極381と、第4検出信号電極382と、第2検出接地電極383と、を有する。
駆動信号電極361は、駆動腕351、352の上面および下面と、駆動腕353、354の両側面と、に配置されている。そして、駆動信号電極361は、基部32の上面に配置された駆動信号端子391に電気的に接続されている。このような駆動信号電極361は、駆動腕351〜354を駆動振動させるための駆動信号(電圧)を印加するための電極である。
駆動接地電極362は、駆動腕351、352の両側面と、駆動腕353、354の上面および下面と、に配置されている。そして、駆動接地電極362は、基部32の上面に配置された駆動接地端子392に電気的に接続されている。このような駆動接地電極362は、駆動信号電極361に対してグランド(基準電位)となる電極である。
第1検出信号電極371は、検出腕331の溝部3311、3312の−X軸側の側面に配置されている。そして、第1検出信号電極371は、基部32の上面に配置された第1検出信号端子393に電気的に接続されている。このような第1検出信号電極371は、角速度が加わることで発生するコリオリ力に基づいた検出信号を取得するための電極である。
第2検出信号電極372は、検出腕331の+X軸側の側面に配置されている。そして、第2検出信号電極372は、基部32の上面に配置された第2検出信号端子394に電気的に接続されている。このような第2検出信号電極372は、角速度が加わることで発生するコリオリ力に基づいた検出信号を取得するための電極である。
第1検出接地電極373は、検出腕331の−X軸側の側面と、溝部3311、3312の+X軸側の側面に配置されている。そして、第1検出接地電極373は、基部32の上面に配置された第1検出接地端子395に電気的に接続されている。このような第1検出接地電極373は、第1、第2検出信号電極371、372に対してグランド(基準電位)となる電極である。
第3検出信号電極381は、検出腕332の溝部3321、3322の−X軸側の側面に配置されている。そして、第3検出信号電極381は、基部32の上面に配置された第3検出信号端子396に電気的に接続されている。このような第3検出信号電極381は、角速度が加わることで発生するコリオリ力に基づいた検出信号を取得するための電極である。
第4検出信号電極382は、検出腕332の+X軸側の側面に配置されている。そして、第4検出信号電極382は、基部32の上面に配置された第4検出信号端子397に電気的に接続されている。このような第4検出信号電極382は、角速度が加わることで発生するコリオリ力に基づいた検出信号を取得するための電極である。
第2検出接地電極383は、検出腕332の−X軸側の側面と、溝部3321、3322の+X軸側の側面に配置されている。そして、第2検出接地電極383は、基部32の上面に配置された第2検出接地端子398に電気的に接続されている。このような第2検出接地電極383は、第3、第4検出信号電極381、382に対してグランド(基準電位)となる電極である。
このようなジャイロセンサー素子3は、次のようにしてZ軸まわりの角速度ωzを検出することができる。まず、駆動信号電極361および駆動接地電極362間に駆動信号を印加すると、駆動腕351、352、353、354が、図5に示すような駆動振動モードで振動する。この駆動振動モードでは、駆動腕351、352と、駆動腕353、354と、が重心を通るYZ平面に関して対称の屈曲振動を行っているため、駆動腕351、352、353、354の振動が相殺され、検出腕331、332は、ほとんど振動しない。
このような駆動振動モードで駆動している状態で、ジャイロセンサー素子3にZ軸まわりの角速度ωzが加わると、図6に示すような検出振動モードが新たに励振される。この検出振動モードでは、駆動腕351、352、353、354にコリオリの力が作用して矢印Aに示す方向の振動が励振され、この振動に呼応するように、検出腕331、332が矢印Bに示す方向に(X軸方向に沿って)屈曲振動する。このような振動によって検出腕331、332に発生した電荷を検出信号電極371、372、381、382から検出信号S1、S2、S3、S4として取り出し、この信号に基づいて角速度ωzを検出することができる。
以上、ジャイロセンサー素子3の構成について説明した。ただし、ジャイロセンサー素子3の構成としては、角速度を検出することができれば、上記の構成に限定されない。
(支持基板4)
支持基板4は、図1に示すように、ジャイロセンサー素子3の上方(すなわち、リッド22側)に設けられている。このような支持基板4は、ジャイロセンサー素子3とベース21とを中継する基板であり、支持基板4を介してジャイロセンサー素子3がベース21に固定されている。このような構成によれば、例えば、支持基板4を省略してジャイロセンサー素子3を直接ベース21に固定した場合と比較して、パッケージ2に発生する応力(例えば、外部からの応力、熱膨張により発生する熱応力等)がジャイロセンサー素子3に伝わり難くなる。そのため、ジャイロセンサー素子3による角速度ωzの検出精度が向上する。
このような支持基板4は、図7に示すように、基板41と、基板41に設けられた複数(本実施形態では8本)の配線45およびシールド配線46と、を有している。このように、支持基板4が配線45を備えることで、支持基板4をジャイロセンサー素子3とIC5とを電気的に接続するための配線基板としても用いることができ、IC5とジャイロセンサー素子3との電気的な接続を簡単に行うことができる。
また、図8に示すように、基板41は、板状の基部42と、基部42から下方へ突出する突出部43と、を有している。このような基板41は、硬質であり、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の各種セラミックスで構成されている。基板41は、特に、ベース21と同じ材料で構成されているのが好ましい。基板41をベース21と同じ材料で構成することで、基板41とベース21の線膨張係数の差がなくなり、パッケージ2に熱応力が発生し難くなる。そのため、ジャイロセンサー素子3に伝わる熱応力が小さくなり、ジャイロセンサー素子3の角速度検出精度の低下を低減することができる。ただし、基板41の構成材料としては、セラミックスに限定されない。
基部42は、矩形の板状をなし、平面視で、その外縁がジャイロセンサー素子3の全域を囲んでいる。ただし、基部42の形状は、特に限定されず、例えば、平面視形状が円形、異形等であってもよいし、平面視で、その外縁からジャイロセンサー素子3の一部がはみ出していてもよい。
また、図7に示すように、基部42は、平面視でジャイロセンサー素子3の基部32と重なるように配置されている開口部421と、平面視で駆動腕351、352、353、354の金属膜359(質量調整部)と重なるように配置されている4つの質量調整用開口部422と、を有している。開口部421は、ボンディングワイヤーBWを通すための開口であり、平面視で、この開口部421内に基部32に配置された各端子391、392、393、394、395、396、397、398が位置している。一方、質量調整用開口部422は、金属膜359にレーザーを照射して駆動腕351、352、353、354の質量(駆動振動モードの周波数)を調整するための開口である。このように、質量調整用開口部422を有することで、質量調整用開口部422を介して金属膜359を処理することができるため、金属膜359の処理を容易に行うことができる。
また、図8に示すように、突出部43は、基部42の外縁部から下方(第1凹部211aの底面側)へ突出して設けられている。そして、突出部43の下面において、支持基板4が接合部材24を介してベース21の第1凹部211aの底面に接合されている。
このような突出部43は、後述する製造方法で説明するように、基部42とジャイロセンサー素子3とをボンディングワイヤーBWで接続する際に、基部42の下方にジャイロセンサー素子3を配置するためのスペースを確保するスペーサーとして機能する(図11参照)。このような突出部43は、ジャイロセンサー素子3をx軸方向に挟むようにして一対設けられている。そして、一対の突出部43は、それぞれ、対応する基部42の外縁(一辺)に沿って直線的に延在している。また、各突出部43の厚さT1は、ジャイロセンサー素子3の厚さT2よりも厚くなっている。このように、T1>T2とすることで、ジャイロセンサー素子3を配置するための前記スペースを確実に確保することができる。なお、突出部43の形状や配置は、特に限定されず、例えば、基部42の外縁に沿って配置された枠状をなしていてもよい。突出部43を枠状にすることで、上述したスペーサーとしての機能に加えて、基部42の強度を補強する補強部材としての機能を効果的に発揮することができる。
図7に示すように、配線45は、基部42の上面に配置されており、一端部が開口部421の周囲に位置し、他端部が突出部43と重なるように外縁部に位置している。そして、複数の配線45は、前記他端部においてビア(貫通電極)を介して突出部43の下面に引き出されている。そして、各配線45は、突出部43の下面において接合部材24を介して対応する内部端子232と電気的に接続されている。
また、シールド配線46は、基部42の下面に配置されている。そして、シールド配線46も配線45と同様に、ビア(貫通電極)を介して突出部43の下面に引き出されており、接合部材24を介して対応する内部端子232と電気的に接続されている。このようなシールド配線46は、グランド(定電位)に接続されており、ジャイロセンサー素子3へのノイズの混入を低減するシールドとして機能する。特に、シールド配線46は、ジャイロセンサー素子3と配線45との間に位置しているため、これらの間の容量結合を低減することができる。そのため、電子デバイス1の角速度検出精度の低下を低減することができる。
以上のような支持基板4の下側、すなわち支持基板4とベース21との間にジャイロセンサー素子3が位置しており、ジャイロセンサー素子3は、ボンディングワイヤーBWによって支持基板4に吊られた状態で支持されている。このように、ジャイロセンサー素子3を支持基板4とベース21との間に配置することで、支持基板4およびジャイロセンサー素子3の配置が適切なものとなり、電子デバイス1の低背化を図ることができる。
(ボンディングワイヤー)
図7および図8に示すように、複数(本実施形態では8本)のボンディングワイヤーBWは、開口部421を通ってジャイロセンサー素子3と支持基板4とを接続し、ジャイロセンサー素子3を支持基板4に吊った状態(浮遊した状態)で支持している。このような構成によれば、ボンディングワイヤーBWを短くすることができ、十分な実装強度を保つと共に、ジャイロセンサー素子3の振動特性(特に温度周波数特性)の悪化を低減することができる。
また、複数のボンディングワイヤーBWは、それぞれ、ジャイロセンサー素子3の基部32と支持基板4とを接続している。このように、基部32にボンディングワイヤーBWを接続することで、ボンディングワイヤーBWによってジャイロセンサー素子3をバランスよく支持することができる。また、駆動腕351、352、353、354の駆動振動や検出腕331、332の検出振動がボンディングワイヤーBWによって妨げられることもない。
また、各ボンディングワイヤーBWは、ジャイロセンサー素子3側の端部が基部32に配置された端子391、392、393、394、395、396、397、398のいずれかと接続されており、支持基板4側の端部がその端子と対応する配線45に接続されている。そのため、複数のボンディングワイヤーBWを介して、ジャイロセンサー素子3と複数の配線45とが電気的に接続されている。このように、ボンディングワイヤーBWを電気配線として用いることで、ジャイロセンサー素子3からの電極の引き出しが容易となる。このようなボンディングワイヤーBWは、線材であり、その配置スペースが小さく済むため、本実施形態のように基部32に比較的多くの端子(端子391〜398)が配置されている場合に特にその効果を発揮することができる。
また、各ボンディングワイヤーBWは、ジャイロセンサー素子3の主面に対して直交する方向(z軸方向)に延在する部分を有している。本実施形態では、ボンディングワイヤーBWの基部32側の端部がz軸方向に延在している。このような構成とすることで、ジャイロセンサー素子3に応力(特に、横方向(主面の面内方向)の応力)がより加わり難くなり、ジャイロセンサー素子3の振動特性の低下を低減することができる。
また、各ボンディングワイヤーBWの支持基板4との接続部は、開口部421の近傍(開口部421の縁部)に位置している。具体的には、図7に示すように、平面視で、ジャイロセンサー素子3の全域を囲み、かつ、各辺がジャイロセンサー素子3の外縁に接する矩形の枠Rを設定したとき、各ボンディングワイヤーBWの支持基板4との接続部は、枠Rの内側に位置している。これにより、各ボンディングワイヤーBWの長さをより短くすることができ、上述した効果がより顕著となる。
また、複数のボンディングワイヤーBWは、基部32の中心に対してx軸方向の両側に分かれて配置されており、基部32を両持ち支持している。これにより、ジャイロセンサー素子3をより安定して支持することができる。
また、各ボンディングワイヤーBWは、ジャイロセンサー素子3の平面視で、ジャイロセンサー素子3の振動方向(x軸方向)に沿って延在している。このように、複数のボンディングワイヤーBWをそれぞれx軸方向に沿って配置することで、ジャイロセンサー素子3がx軸方向の加速度に対して揺れ難くなる。
このようなボンディングワイヤーBWの構成材料としては特に限定されず、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属材料を用いることができる。また、ボンディングワイヤーBWの数としては特に限定されず、7本以下であってもよいし、9本以上であってもよい。また、本実施形態では、各端子391、392、393、394、395、396、397、398とそれに対応する配線45とを1本のボンディングワイヤーBWで接続しているが、例えば、接続強度の向上や電気抵抗の低減を目的に2本以上のボンディングワイヤーBWで接続してもよい。
(IC)
図1に示すように、IC5は、第3凹部211cの底面に固定されており、ジャイロセンサー素子3と電気的に接続されている。このようなIC5は、図9に示すように、ジャイロセンサー素子3を駆動振動させるための駆動回路51と、角速度ωzが加わったときにジャイロセンサー素子3の検出振動を検出するための検出回路52と、を有している。
駆動回路51は、I/V変換回路(電流電圧変換回路)511と、AC増幅回路512と、振幅調整回路513と、を有している。駆動回路51は、ジャイロセンサー素子3の駆動信号電極361に駆動腕351、352、353、354を駆動させる信号を出力し、かつジャイロセンサー素子3の駆動接地電極362から出力される信号が入力される回路である。
ジャイロセンサー素子3の駆動腕351、352、353、354が振動すると、圧電効果に基づく交流電流が駆動接地電極362から出力され、I/V変換回路511に入力される。I/V変換回路511は、入力された交流電流を駆動腕351、352、353、354の振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号に変換して出力する。I/V変換回路511から出力された交流電圧信号は、AC増幅回路512に入力される。AC増幅回路512は、入力された交流電圧信号を増幅して出力する。
AC増幅回路512から出力された交流電圧信号は、振幅調整回路513に入力される。振幅調整回路513は、入力された交流電圧信号の振幅を一定値に保持するように利得を制御し、利得制御後の交流電圧信号をジャイロセンサー素子3の駆動信号電極361に出力する。この駆動信号電極361に入力される交流電圧信号(駆動信号)により駆動腕351、352、353、354が駆動振動モードで振動する。
検出回路52は、チャージアンプ521a、521b、521c、521dと、減算処理回路522a、522bと、減算処理回路523と、AC増幅回路524と、同期検波回路525と、平滑回路526と、可変増幅回路527と、フィルター回路528と、を有する。
チャージアンプ521aは、演算増幅器と帰還抵抗と帰還容量を備えて構成されており、演算増幅器の反転入力端子(−端子)には、検出腕331の第2検出信号電極372から出力された検出信号Sbが入力され、この演算増幅器の非反転入力端子(+端子)は基準電位に固定される。チャージアンプ521aは、演算増幅器に入力された検出信号を交流電圧信号に変換する。
チャージアンプ521bは、演算増幅器と帰還抵抗と帰還容量を備えて構成されており、演算増幅器の反転入力端子(−端子)には、検出腕331の第1検出信号電極371から出力された検出信号Saが入力され、この演算増幅器の非反転入力端子(+端子)は基準電位に固定される。チャージアンプ521bは、演算増幅器に入力された検出信号を交流電圧信号に変換する。
なお、検出信号Saと検出信号Sbとは、電気的特性が逆である。
チャージアンプ521aの出力信号とチャージアンプ521bの出力信号は、減算処理回路522a(差動増幅回路)に入力される。減算処理回路522aは、ジャイロセンサー素子3の出力信号を差動増幅する差動増幅部として機能し、チャージアンプ521aの出力信号とチャージアンプ521bの出力信号との電位差を増幅(差動増幅)した信号を出力する。
チャージアンプ521cは、演算増幅器と帰還抵抗と帰還容量を備えて構成されており、演算増幅器の反転入力端子(−端子)には、検出腕332の第3検出信号電極381から出力された検出信号Scが入力され、この演算増幅器の非反転入力端子(+端子)は基準電位に固定される。チャージアンプ521cは、演算増幅器に入力された検出信号を交流電圧信号に変換する。
チャージアンプ521dは、演算増幅器と帰還抵抗と帰還容量を備えて構成されており、演算増幅器の反転入力端子(−端子)には、検出腕332の第4検出信号電極382から出力された検出信号Sdが入力され、この演算増幅器の非反転入力端子(+端子)は基準電位に固定される。チャージアンプ521dは、演算増幅器に入力された検出信号を交流電圧信号に変換する。
なお、検出信号Scと検出信号Sdとは、電気的特性が逆である。
チャージアンプ521cの出力信号とチャージアンプ521dの出力信号は、減算処理回路522b(差動増幅回路)に入力される。減算処理回路522bは、ジャイロセンサー素子3の出力信号を差動増幅する差動増幅部として機能し、チャージアンプ521cの出力信号とチャージアンプ521dの出力信号との電位差を増幅(差動増幅)した信号を出力する。
減算処理回路522aの出力信号S’と減算処理回路522bの出力信号S”は、減算処理回路523に入力される。減算処理回路523は、ジャイロセンサー素子3の出力信号を差動増幅する差動増幅部として機能し、出力信号S’と出力信号S”との電位差を増幅(差動増幅)した信号を出力する。減算処理回路523の出力信号は、AC増幅回路524に入力される。
AC増幅回路524は、AC信号を増幅するAC増幅部として機能し、減算処理回路523の出力信号を増幅した信号を出力する。AC増幅回路524の出力信号は、同期検波回路525に入力される。同期検波回路525は、駆動回路51のAC増幅回路512が出力する交流電圧信号を基に、AC増幅回路524の出力信号を同期検波することによりZ軸まわりの角速度成分を抽出する。
同期検波回路525で抽出されたZ軸まわりの角速度成分の信号は、平滑回路526で直流電圧信号に平滑化され、可変増幅回路527に入力される。可変増幅回路527は、平滑回路526の出力信号(直流電圧信号)を設定された増幅率(または減衰率)で増幅(または減衰)して角速度感度を変化させる。可変増幅回路527で増幅(または減衰)された信号は、フィルター回路528に入力される。
フィルター回路528は、可変増幅回路527の出力信号からセンサー帯域外の高周波のノイズ成分を減衰させ(正確には所定レベル以下に減衰させ)、Z軸まわりの角速度の方向および大きさに応じた極性および電圧レベルの検出信号を出力する。そして、この検出信号は、外部出力端子(図示せず)から外部へ出力される。
以上、電子デバイス1の構成について詳細に説明した。次に、電子デバイス1の製造方法について説明する。
電子デバイス1の製造方法は、図10に示すように、ジャイロセンサー素子3と、開口部421および質量調整用開口部422を有する支持基板4と、を用意する用意工程と、開口部421がジャイロセンサー素子3と重なるように支持基板4を配置する配置工程と、開口部421を介してジャイロセンサー素子3と支持基板4とをボンディングワイヤーBWで接続する接続工程と、質量調整用開口部422を介して金属膜359(質量調整部)を処理する質量調整工程と、支持基板4をベース21に固定し、ジャイロセンサー素子3がボンディングワイヤーBWを介して支持基板4に吊られて支持される状態とする搭載工程と、ベース21にリッド22を接合するリッド接合工程と、を含んでいる。すなわち、ジャイロセンサー素子3は、ジャイロセンサー素子3の質量を調整する質量調整部としての金属膜359を有し、支持基板4は、金属膜359と重なるように配置されている質量調整用開口部422を有し、接続工程の後に、質量調整用開口部422を介して金属膜359を処理する質量調整工程を含んでいる。以下、各工程について順に説明する。
[用意工程]
まず、ジャイロセンサー素子3と、開口部421および質量調整用開口部422を有する支持基板4と、を用意する。
[配置工程]
次に、図11に示すように、開口部421がジャイロセンサー素子3の基部32と重なるように支持基板4を配置する。この際、前述したように、支持基板4の突出部43が、基部42の下方にジャイロセンサー素子3を配置するスペースを確保するスペーサーとして機能する。なお、本工程では、吸着ステージ9にジャイロセンサー素子3および支持基板4を配置し、これらを吸着によって吸着ステージ9に固定する。これにより、ジャイロセンサー素子3および支持基板4のずれが防止され、次の接合工程をより精度よく行うことができる。
[接合工程]
次に、図12に示すように、ワイヤーボンディング技術を用いて、開口部421を介してジャイロセンサー素子3と支持基板4とをボンディングワイヤーBWで接続する。これにより、ジャイロセンサー素子3および支持基板4が機械的かつ電気的に接続される。なお、前述したように、本工程は、吸着ステージ9にジャイロセンサー素子3および支持基板4が固定された状態で行われるため、ジャイロセンサー素子3および支持基板4のずれが防止され、本工程をより精度よく行うことができる。
[質量調整工程]
次に、図13に示すように、ボンディングワイヤーBWを介してジャイロセンサー素子3を支持基板4に吊り下げた状態で、ジャイロセンサー素子3の駆動振動モードの周波数を測定する。一般的に、この段階で測定される周波数は、設定値よりも低く設定されている。そこで、図14に示すように、ジャイロセンサー素子3が有する金属膜359(質量調整部)に重なるように配置されている支持基板4の質量調整用開口部422を介して金属膜359にレーザーLを照射し、金属膜359の少なくとも一部を除去することで駆動振動モードの周波数を高め、前記設定値に合わせ込む。これにより、ジャイロセンサー素子3の振動特性が向上する。
すなわち、機能素子は、機能素子の質量を調整する質量調整部を有し、支持基板は、質量調整部と重なるように配置されている質量調整用開口部を有し、接続する工程の後に、前記質量調整用開口部を介して前記質量調整部を処理する工程を含んでいる。
[搭載工程]
次に、図15に示すように、IC5が配置されたベース21を用意し、このベース21に接合部材24を介して支持基板4を接合する。これにより、ジャイロセンサー素子3がベース21と支持基板4との間に位置し、かつ、ボンディングワイヤーBWを介して支持基板4に吊られた状態で支持される。このようにジャイロセンサー素子3を吊り下げ支持することで、ジャイロセンサー素子3に外力が加わり難くなる。
[リッド接合工程]
次に、図16に示すように、減圧雰囲気下で、ベース21の上面にリッド22を接合する。以上より、電子デバイス1が得られる。
以上のような製造方法によれば、比較的簡単な方法で、ボンディングワイヤーBWを短くすることができ、十分な実装強度を保つと共に、振動特性の悪化を低減することのできる電子デバイス1が得られる。
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図17では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図17に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、複数のボンディングワイヤーBWは、基部32の中心に対してx軸方向の両側に分かれて配置されている。また、複数のボンディングワイヤーBWは、ジャイロセンサー素子3の平面視で、ジャイロセンサー素子3の振動方向(x軸方向)と交差する方向に沿って延在している。特に、本実施形態では、各ボンディングワイヤーBWは、平面視で、y軸方向(すなわち振動方向と直交する方向)に沿って延在している。ボンディングワイヤーBWをこのように配置することで、ジャイロセンサー素子3がy軸方向の加速度に対して揺れ難くなる。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図18では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図18に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、複数のボンディングワイヤーBWは、ジャイロセンサー素子3の平面視で、基部32の中心部から放射状に配置されている。このように、複数のボンディングワイヤーBWを放射状に配置することで、ジャイロセンサー素子3が平面方向(XY平面内の方向)の加速度に対して揺れ難くなる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
図19は、本発明の第4実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図19では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図19に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、支持基板4の基部42に形成された開口部421が2つに分割されており、2つの開口部421a、421bがx軸方向に並んで配置されている。また、平面視で、開口部421a内に端子391〜394が位置しており、開口部421b内に端子395〜398が位置している。そして、端子391〜394と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421aを通って、開口部421aの+x軸側において支持基板4に接続され、端子395〜398と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421bを通って、開口部421bの+x軸側において支持基板4に接続されている。すなわち、全てのボンディングワイヤーBWが開口に対して同じ側で支持基板4に接続されている。このようにボンディングワイヤーBWを配置することで、ジャイロセンサー素子3がX軸方向の加速度に対して揺れ難くなる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
図20は、本発明の第5実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第5実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図20では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図20に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、支持基板4の基部42に形成された開口部421が2つに分割されており、2つの開口部421a、421bがy軸方向に並んで配置されている。また、平面視で、開口部421a内に端子391〜394が位置しており、開口部421b内に端子395〜398が位置している。そして、端子391〜394と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421aを通って、開口部421aの+y軸側において支持基板4に接続され、端子395〜398と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421bを通って、開口部421bの+y軸側において支持基板4に接続されている。すなわち、全てのボンディングワイヤーBWが開口に対して同じ側で支持基板4に接続されている。このようにボンディングワイヤーBWを配置することで、ジャイロセンサー素子3がY軸方向の加速度に対して揺れ難くなる。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第6実施形態>
図21は、本発明の第6実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第6実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図21では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図21に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、支持基板4の基部42に形成された開口部421が4つに分割されており、4つの開口部421a、421b、421c、421dがx軸方向およびy軸方向に2行列状に並んで配置されている。また、ジャイロセンサー素子3の平面視で、開口部421a内に端子391、392が位置し、開口部421b内に端子393、394が位置し、開口部421c内に端子395、396が位置し、開口部421d内に端子397、398が位置している。そして、端子391、392と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421aを通って開口部421a、421bの間において支持基板4に接続され、端子393、394と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421bを通って、開口部421b、421cの間において支持基板4に接続され、端子395、396と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421cを通って開口部421c、421dの間において支持基板4に接続され、端子397、398と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421dを通って、開口部421d、421aの間において支持基板4に接続されている。このようにボンディングワイヤーBWを配置することで、ジャイロセンサー素子3が平面方向(xy平面内の方向)の加速度に対して揺れ難くなる。
このような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第7実施形態>
図22は、本発明の第7実施形態に係る電子デバイスの平面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第7実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図22では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図22に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、ジャイロセンサー素子3と支持基板4とを接続するボンディングワイヤーとして、前述した第1実施形態で説明したジャイロセンサー素子3と支持基板4との電気的な接続を兼ねているボンディングワイヤーBWの他に、ジャイロセンサー素子3と支持基板4との電気的な接続を兼ねていない補強用のボンディングワイヤーBW’を有している。このような補強用のボンディングワイヤーBW’を有することで、より高い強度でジャイロセンサー素子3を支持基板4に吊り下げることができる。なお、本実施形態では、平面視で、各ボンディングワイヤーBWがx軸方向に延在し、各ボンディングワイヤーBW’がy軸方向に延在している。このように、ボンディングワイヤーBW、BW’を異なる方向に延在させることで、これらの区別が容易となる。
このような第7実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第8実施形態>
図23は、本発明の第8実施形態に係る電子デバイスの平面図である。図24は、図23中のD−D線断面図である。
本実施形態に係る電子デバイスは、主に、ボンディングワイヤーの構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の電子デバイスと同様である。
なお、以下の説明では、第8実施形態の電子デバイスに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図23および図24では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図23に示すように、本実施形態の電子デバイス1では、支持基板4の基部42に形成された開口部421が2つに分割されており、2つの開口部421a、421bがx軸方向に並んで配置されている。また、ジャイロセンサー素子3の平面視で、開口部421a内に端子391〜394が位置しており、開口部421b内に端子395〜398が位置している。
そして、端子391〜394と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421aを通って、開口部421aの−x軸側において支持基板4に接続され、端子395〜398と接続されたボンディングワイヤーBWは、それぞれ、開口部421bを通って、開口部421bの+x軸側において支持基板4に接続されている。このようにボンディングワイヤーBWを配置することで、ジャイロセンサー素子3がx軸方向の加速度に対して揺れ難くなる。
また、本実施形態の電子デバイス1では、ジャイロセンサー素子3と支持基板4とを接続するボンディングワイヤーとして、上述したジャイロセンサー素子3と支持基板4との電気的な接続を兼ねているボンディングワイヤーBWの他に、ジャイロセンサー素子3と支持基板4との電気的な接続を兼ねていない補強用のボンディングワイヤーBW’を有している。
このような補強用のボンディングワイヤーBW’は、図24に示すように、一端部が開口部421aを通ってジャイロセンサー素子3の基部32に接続されており、他端部が開口部421bを通ってジャイロセンサー素子3の基部32に接続されている。すなわち、ボンディングワイヤーBW’は、その両端部がジャイロセンサー素子3の基部32に接続されており、形成されたループ(輪っか)の内側に、支持基板4の開口部421a、421bの間にある梁部424が配置されている。このような補強用のボンディングワイヤーBW’を設けることで、より高い強度でジャイロセンサー素子3を支持基板4に吊り下げることができる。なお、本実施形態では、ボンディングワイヤーBW’を1本有しているが、ボンディングワイヤーBW’の数としては特に限定されず、2本以上であってもよい。この場合には、複数のボンディングワイヤーBW’をy軸方向に沿って配置することができる。
このような第8実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
[電子機器]
次に、本発明の電子機器を説明する。
図25は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には電子デバイス1が内蔵されている。
図26は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(スマートフォン、PHS等も含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には電子デバイス1が内蔵されている。
図27は、本発明の電子機器を適用したデジタルスチールカメラの構成を示す斜視図である。この図において、デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラ1300は、電子デバイス1が内蔵されている。
このような電子機器は、電子デバイス1を有しているので、前述した電子デバイス1の効果を享受でき、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、図25のパーソナルコンピューター、図26の携帯電話機、図27のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
[移動体]
次に、本発明の移動体を説明する。
図28は、本発明の移動体を適用した自動車を示す斜視図である。この図において、自動車1500には電子デバイス1が内蔵されており、例えば、電子デバイス1によって車体1501の姿勢を検出することができる。電子デバイス1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。
このような移動体は、電子デバイス1を有しているので、前述した電子デバイス1の効果を享受でき、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、電子デバイス1は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
以上、本発明の電子デバイス、電子デバイスの製造方法、物理量センサー、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、機能素子として、角速度を検出可能なジャイロセンサー素子を用いた構成について説明したが、機能素子としては、ジャイロセンサー素子に限定されず、例えば、加速度を検出可能な加速度センサー素子等の物理量検出素子であってもよく、この場合には、電子デバイスを加速度センサー(物理量センサー)として用いることができる。また、機能素子としては、物理量検出素子でなくてもよく、振動素子であってもよく、この場合には、電子デバイスを発振器として用いることができる。